説明

積層光学フィルム、積層光学フィルムを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置

【課題】画面コントラストに優れ、カラーシフトが小さい、積層光学フィルム、液晶パネルおよび液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】本発明の積層光学フィルムは、偏光子と、屈折率楕円体がnx>ny>nzの関係を示し、面内位相差Re(590)が80〜200nmである第1の光学補償層と、屈折率楕円体がnx=ny>nzの関係を示す第2の光学補償層とをこの順で備え、該偏光子の吸収軸と該第1の光学補償層の遅相軸とのなす角度が30〜60°であり、該第1の光学補償層と該第2の光学補償層との積層体の厚み方向の位相差が、Rth(450)>Rth(550)>Rth(650)の関係を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層光学フィルム、積層光学フィルムを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置に関する。より詳細には、本発明は、偏光子と少なくとも2つの光学補償層を有する積層光学フィルム、当該積層光学フィルムを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置においては、液晶セルの複屈折性を補償するための位相差フィルムとして光学補償フィルムが使用されている。このような光学補償フィルムは、代表的には、液晶セルと偏光板との間に配置されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、近年の液晶表示装置の高精細化および高機能化に伴い、画面の均一性および表示品位のより一層の向上が求められている。しかし、上記従来の液晶表示装置によれば、VA(Vertical Aligned)モード、OCB(Optically Aligned Birefringence)モード等の代表的な液晶セルの駆動モードにおいて、画面コントラストの向上およびカラーシフトの低減がいずれも不十分であるという問題がある。
【特許文献1】特開2004−78203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、画面コントラストに優れ、カラーシフトが小さい、積層光学フィルム、液晶パネルおよび液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の積層光学フィルムは、偏光子と、屈折率楕円体がnx>ny>nzの関係を示し、面内位相差Re(590)が80〜200nmである第1の光学補償層と、屈折率楕円体がnx=ny>nzの関係を示す第2の光学補償層とをこの順で備え、該偏光子の吸収軸と該第1の光学補償層の遅相軸とのなす角度が30〜60°であり、該第1の光学補償層と該第2の光学補償層との積層体の厚み方向の位相差が、Rth(450)>Rth(550)>Rth(650)の関係を示す。
【0006】
好ましい実施形態においては、上記第1の光学補償層のNz係数が1<Nz<2の関係を示す。
【0007】
好ましい実施形態においては、上記第2の光学補償層がコレステリック配向固化層である。
【0008】
好ましい実施形態においては、屈折率楕円体がnz>nx=nyの関係を示す液晶セルを備える液晶パネルに用いられる。
【0009】
好ましい実施形態においては、上記液晶セルのRth(450)/Rth(550)と上記積層体のRth(450)/Rth(550)との差の絶対値が0.05以下であり、上記液晶セルのRth(650)/Rth(550)と上記積層体のRth(650)/Rth(550)との差の絶対値が0.055以下である。
【0010】
本発明の別の局面によれば、液晶パネルが提供される。この液晶パネルは、上記積層光学フィルムを備える。
【0011】
本発明の別の局面によれば、液晶表示装置が提供される。この液晶表示装置は、上記液晶パネルを備える。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、上記の光学特性を有する第1の光学補償層および第2の光学補償層を備えることにより、液晶セルに対する補償(例えば、液晶セルの波長分散特性)を好適に行い得る。その結果、画面コントラストを向上させ得、カラーシフトを低減し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0014】
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差Re
面内位相差Re(λ)は、23℃、波長λにおける層(フィルム)の面内位相差値をいう。Reは、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、Re=(nx−ny)×dによって求められる。例えば、Re(590)と示したときは、波長590nmにおける層(フィルム)の面内位相差をいう。同様に、Re(450)、Re(550)、Re(650)と示したときは、それぞれ、波長450nm、550nm、650nmにおける層(フィルム)の面内位相差をいう。なお、本明細書に記載される用語や記号に付される添え字の「1」は第1の光学補償層を表し、添え字の「2」は第2の光学補償層を表し、添え字の「LC」は液晶セルを表す。
(3)厚み方向の位相差Rth
厚み方向の位相差Rth(λ)は、23℃、波長λにおける層(フィルム)の厚み方向の位相差値をいう。Rthは、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、Rth={(nx+ny)/2−nz}×dによって求められる。例えば、Rth(590)と示したときは、波長590nmにおける層(フィルム)の厚み方向の位相差をいう。同様に、Rth(450)、Rth(550)、Rth(650)と示したときは、それぞれ、波長450nm、550nm、650nmにおける層(フィルム)の厚み方向の位相差をいう。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth´(λ)/Re(λ)によって求められる。ここで、Rth´(λ)は、波長λにおける面内の遅相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nzとし、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、Rth´(λ)=(nx−nz)×dによって求められる値である。
(5)λ/2板
λ/2板とは、光ビームの偏光面を回転させる役目をする電子光学的な複屈折板であり、互いに直角な方向に振動する直線偏光間に1/2波長の光路差を生じさせる機能を有するものをいう。すなわち、常光線成分と異常光線成分との間の位相が2分の1サイクルずれるように作用するものをいう。
(6)λ/4板
λ/4板とは、光ビームの偏光面を回転させる役目をする電子光学的な複屈折板であり、互いに直角な方向に振動する直線偏光間に1/4波長の光路差を生じさせる機能を有するものをいう。すなわち、常光線成分と異常光線成分との間の位相が4分の1サイクルずれるように作用し、円偏光を平面偏光に(または、平面偏光を円偏光に)変換するものをいう。
【0015】
A.積層光学フィルム
A−1.積層光学フィルムの全体構成
図1は、本発明の好ましい実施形態による積層光学フィルムの概略断面図である。この積層光学フィルム10は、偏光子11と第1の光学補償層12と第2の光学補償層13とをこの順に備える。図示しないが、必要に応じて、偏光子11と第1の光学補償層12との間に第1の保護層が設けられ、偏光子11の第1の光学補償層12の反対側に第2の保護層が設けられる。また、本発明の積層光学フィルムは、必要に応じて、任意の適切な光学補償層をさらに備え得る。
【0016】
上記第1の光学補償層12は、nx>ny>nzの屈折率楕円体を有する。上記第1の光学補償層12は、その遅相軸が偏光子11の吸収軸に対して、任意の適切な角度を規定するようにして積層されている。好ましくは30〜60°、さらに好ましくは35〜55°、特に好ましくは40〜50°、最も好ましくは43〜47°である。
【0017】
本発明の積層光学フィルムの全体厚みは、好ましくは250〜410μm、さらに好ましくは255〜405μm、特に好ましくは260〜400μmである。以下、本発明の積層光学フィルムを構成する各層の詳細について説明する。
【0018】
A−2.第1の光学補償層
上記第1の光学補償層12は、nx>ny>nzの屈折率楕円体を有する。第1の光学補償層の面内位相差Re(590)は、80〜200nmであり、好ましくは100〜200nm、さらに好ましくは110〜150nmである。第1の光学補償層は、λ/4板として機能し得る。第1の光学補償層は、λ/4板として、例えば、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または、円偏光を直線偏光に)変換し得る。Nz係数(Rth´(590)/Re(590))は、好ましくは1<Nz<2、さらに好ましくは1<Nz<1.8、特に好ましくは1.2<Nz<1.7である。このような範囲のNz係数を有することにより、第1の光学補償層がλ/4板として機能し得るとともに、後述の第2の光学補償層とともに液晶セルに対する補償(例えば、液晶セルの波長分散特性)をより好適に行い得る。その結果、コントラストに極めて優れ得る。
【0019】
上記第1の光学補償層は、任意の適切な材料で形成され得る。具体例としては、高分子フィルムの延伸フィルムが挙げられる。当該高分子フィルムを形成する樹脂としては、好ましくは、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂である。
【0020】
上記ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系モノマーを重合単位として重合される樹脂である。当該ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、およびそのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等、これらのハロゲン等の極性基置換体;ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン等;ジメタノオクタヒドロナフタレン、そのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、およびハロゲン等の極性基置換体、例えば、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン等;シクロペンタジエンの3〜4量体、例えば、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン等が挙げられる。上記ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの共重合体であってもよい。
【0021】
上記ポリカーボネート系樹脂としては、好ましくは、芳香族ポリカーボネートが用いられる。芳香族ポリカーボネートは、代表的には、カーボネート前駆物質と芳香族2価フェノール化合物との反応によって得ることができる。カーボネート前駆物質の具体例としては、ホスゲン、2価フェノール類のビスクロロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、ホスゲン、ジフェニルカーボネートが好ましい。芳香族2価フェノール化合物の具体例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジプロピルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが用いられる。特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとを共に使用することが好ましい。
【0022】
上記延伸フィルムの作製方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。延伸方法としては、例えば、横一軸延伸、自由端一軸延伸、固定端二軸延伸、固定端一軸延伸、逐次二軸延伸が挙げられる。固定端二軸延伸の具体例としては、高分子フィルムを長手方向に走行させながら、短手方向(横方向)に延伸させる方法が挙げられる。この方法は、見かけ上は横一軸延伸であり得る。これらの延伸方法は、単独でまたは二以上組み合わせて採用し得る。例えば、自由端一軸延伸を行った後に、固定端一軸延伸を行う方法等が挙げられる。延伸温度は、好ましくは135〜165℃、さらに好ましくは140〜160℃である。延伸倍率は、好ましくは1.2〜3.2倍、さらに好ましくは1.3〜3.1倍である。この場合、厚みは、代表的には20〜80μm、好ましくは25〜75μm、さらに好ましくは30〜60μmである。
【0023】
なお、第1の光学補償層が上記高分子フィルムの延伸フィルムである場合、その厚み方向の位相差は、代表的には、Rth(450)/Rth(550)が0.99〜1.01の関係を示し、Rth(650)/Rth(550)が0.99〜1.01の関係を示す。このような特性を備えることにより、後述の第2の光学補償層とともに、液晶セルをより良好に補償し得る。その結果、コントラストに極めて優れ得る。
【0024】
A−3.第2の光学補償層
上記第2の光学補償層13は、nx=ny>nzの屈折率楕円体を有する。ここで、「nx=ny」は、nxとnyが厳密に等しい場合のみならず、nxとnyが実質的に等しい場合も包含する。すなわち、Re(590)が10nm未満であることをいう。上記第2の光学補償層の厚み方向の位相差は、上記第1の光学補償層の光学特性(例えば、Nz係数)、適用される液晶パネルの構成等に応じて、任意の適切な値に設定され得る。詳細については、後述のB−4項でも説明するが、本発明の積層光学フィルム(第2の光学補償層)が液晶セルの一方の側にのみ配置される場合、厚み方向の位相差Rth(590)は、好ましくは10〜300nm、さらに好ましくは30〜200nm、特に好ましくは50〜180nmである。一方、本発明の積層光学フィルム(第2の光学補償層)が液晶セルの両側に配置される場合、厚み方向の位相差Rth(590)は、好ましくは5〜150nm、さらに好ましくは15〜100nmである。面内位相差Reが非常に小さく(実質的にゼロであり)、かつ、このような範囲の厚み方向の位相差Rthを有する第2の光学補償層を設けることにより、上記第1の光学補償層とともに液晶セルに対する補償(例えば、液晶セルの波長分散特性)を好適に行い得る。その結果、コントラストに優れ得る。
【0025】
上記第2の光学補償層の厚み方向の位相差は、好ましくは、Rth(450)>Rth(550)>Rth(650)の関係(波長分散特性)を示す。Rth(450)/Rth(550)は、好ましくは1.00以上であり、さらに好ましくは1.01〜1.15、特に好ましくは1.01〜1.10である。Rth(650)/Rth(550)は、好ましくは1.00以下であり、さらに好ましくは0.85〜0.99、特に好ましくは0.90〜0.99である。このような第2の光学補償層を設けることにより、液晶セルに対する補償をより好適に行い得る。具体的には、上記第1の光学補償層だけでは液晶セルに対する補償が不十分な場合がある。これは、第1の光学補償層の形成材に起因して、良好な補償を実現するのに十分な波長分散特性が得られないためと推定される。第2の光学補償層を設けることにより、このような不具合を解消し得る。
【0026】
上記第2の光学補償層は、上記の屈折率楕円体が得られる限りにおいて任意の適切な材料で形成され得る。Rth(450)>Rth(550)>Rth(650)の関係を示し得る第2の光学補償層のとしては、例えば、コレステリック配向固化層が挙げられる。「コレステリック配向固化層」とは、当該層の構成分子がらせん構造をとり、そのらせん軸が面方向にほぼ垂直に配向し、その配向状態が固定されている層をいう。したがって、「コレステリック配向固化層」は、液晶化合物がコレステリック液晶相を呈している場合のみならず、非液晶化合物がコレステリック液晶相のような擬似的構造を有する場合を包含する。例えば、「コレステリック配向固化層」は、液晶材料が液晶相を示す状態でカイラル剤によってねじりを付与してコレステリック構造(らせん構造)に配向させ、その状態で重合処理または架橋処理を施すことにより、当該液晶材料の配向(コレステリック構造)を固定することにより形成され得る。
【0027】
上記コレステリック配向固化層の具体例としては、特開2003−287623号公報に記載のコレステリック層が挙げられる。
【0028】
上記第2の光学補償層の厚みは、上記所望の光学特性が得られる限り、任意の適切な値に設定され得る。上記第2の光学補償層がコレステリック配向固化層である場合、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは0.5〜8μm、特に好ましくは0.5〜5μmである。
【0029】
上記第2の光学補償層を形成する材料の別の具体例としては、非液晶性材料が挙げられる。特に好ましくは、非液晶性ポリマーである。このような非液晶性材料は、液晶性材料とは異なり、基板の配向性に関係なく、それ自身の性質によりnx=ny>nzという光学的一軸性を示す膜を形成し得る。非液晶性材料としては、例えば、耐熱性、耐薬品性、透明性に優れ、剛性にも富むことから、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等のポリマーが好ましい。これらのポリマーは、いずれか一種類を単独で使用してもよいし、例えば、ポリアリールエーテルケトンとポリアミドとの混合物のように、異なる官能基を持つ2種以上の混合物として使用してもよい。このようなポリマーの中でも、高透明性、高配向性、高延伸性であることから、ポリイミドが特に好ましい。
【0030】
上記ポリイミドの具体例および当該第2の光学補償層の形成方法の具体例としては、特開2004−46065号公報に記載のポリマーおよび光学補償フィルムの製造方法が挙げられる。
【0031】
上記第2の光学補償層の厚みは、上記所望の光学特性が得られる限り、任意の適切な値に設定され得る。上記第2の光学補償層が非液晶性材料で形成される場合、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは0.5〜8μm、特に好ましくは0.5〜5μmである。
【0032】
上記第2の光学補償層のさらに別の具体例としては、上記コレステリック配向固化層とプラスチックフィルムとを有する積層体が挙げられる。プラスチックフィルムを形成する樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、市販のフィルムをそのまま用い得る。さらに、市販のフィルムに延伸処理および/または収縮処理などの2次的加工を施したものを用い得る。市販のフィルムとしては、例えば、富士写真フイルム(株)製 フジタックシリーズ(商品名;ZRF80S,TD80UF,TDY−80UL)、コニカミノルタオプト(株)製 商品名「KC8UX2M」、日本ゼオン(株)製 商品名「Zeonor」、JSR(株)製 商品名「Arton」等が挙げられる。ノルボルネン系樹脂を構成するノルボルネン系モノマーついてはA−2項で上述したとおりである。延伸方法としては、例えば、二軸延伸(縦横等倍率延伸)が挙げられる。上記プラスチックフィルムの厚みは、任意の適切な値に設定し得る。
【0033】
なお、本発明の積層光学フィルムにおける、第1の光学補償層と第2の光学補償層との積層体の厚み方向の位相差のRthについては、B−5項で説明する。
【0034】
A−4.偏光子
上記偏光子11としては、目的に応じて任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、1〜80μm程度である。
【0035】
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いし、ヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗しても良い。
【0036】
ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
【0037】
A−5.保護層
上記第1の保護層および上記第2の保護層は、偏光板の保護フィルムとして使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
【0038】
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、Tg(ガラス転移温度)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。耐久性に優れ得るからである。上記(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
【0039】
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)が挙げられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルが挙げられる。より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
【0040】
上記(メタ)アクリル系樹脂の具体例としては、例えば、三菱レイヨン社製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、特開2004−70296号公報に記載の分子内に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tg(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
【0041】
上記(メタ)アクリル系樹脂として、高い耐熱性、高い透明性、高い機械的強度を有する点で、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が特に好ましい。
【0042】
上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
【0043】
上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、質量平均分子量(重量平均分子量と称することもある)が、好ましくは1000〜2000000、より好ましくは5000〜1000000、さらに好ましくは10000〜500000、特に好ましくは50000〜500000である。
【0044】
上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、Tg(ガラス転移温度)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは130℃以上、特に好ましくは135℃、最も好ましくは140℃以上である。耐久性に優れ得るからである。上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
【0045】
なお、本明細書において「(メタ)アクリル系」とは、アクリル系および/またはメタクリル系をいう。
【0046】
上記第1の保護層および上記第2の保護層は、透明で、色付きが無いことが好ましい。第2の保護層の厚み方向の位相差Rth(590)は、好ましくは−90nm〜+90nm、さらに好ましくは−80nm〜+80nm、特に好ましくは−70nm〜+70nmである。
【0047】
上記第1の保護層および上記第2の保護層の厚みは、上記の好ましい厚み方向の位相差Rth(590)が得られ得る限りにおいて、任意の適切な厚みが採用され得る。第2の保護層の厚みは、代表的には5mm以下であり、好ましくは1mm以下、さらに好ましくは1〜500μm、特に好ましくは5〜150μmである。
【0048】
上記第2の保護層の偏光子と反対側には、必要に応じて、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等が施され得る。
【0049】
偏光子と第1の光学補償層との間に設けられる上記第1の保護層の厚み方向の位相差(Rth)は、上記好ましい値よりも、さらに小さいことが好ましい。一般的に保護フィルムとして用いられているセルロース系フィルムは、例えば、トリアセチルセルロースフィルムの場合、厚さ80μmにおいて厚み方向の位相差(Rth)は60nm程度である。そこで、厚み方向の位相差(Rth)の大きいセルロース系フィルムについて、厚み方向の位相差(Rth)を小さくするための適当な処理を施すことにより、好適に第1の保護層を得ることができる。
【0050】
厚み方向の位相差(Rth)を小さくするための上記処理としては、任意の適切な処理方法を採用できる。例えば、シクロペンタノン、メチルエチルケトン等の溶剤を塗布したポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ステンレス等の基材を、一般的なセルロース系フィルムに貼り合わせ、加熱乾燥(例えば、80〜150℃程度で3〜10分程度)した後、基材フィルムを剥離する方法;ノルボルネン系樹脂、アクリル系樹脂等をシクロペンタノン、メチルエチルケトン等の溶剤に溶解した溶液を、一般的なセルロース系フィルムに塗布し、加熱乾燥(例えば、80〜150℃程度で3〜10分程度)した後、塗布フィルムを剥離する方法などが挙げられる。
【0051】
上記セルロース系フィルムを構成する材料としては、好ましくは、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等の脂肪酸置換セルロース系ポリマーが挙げられる。一般的に用いられているトリアセチルセルロースでは、酢酸置換度が2.8程度であるが、好ましくは酢酸置換度を1.8〜2.7、より好ましくはプロピオン酸置換度を0.1〜1に制御することによって、厚み方向の位相差(Rth)を小さく制御することができる。
【0052】
上記脂肪酸置換セルロース系ポリマーに、ジブチルフタレート、p−トルエンスルホンアニリド、クエン酸アセチルトリエチル等の可塑剤を添加することにより、厚み方向の位相差(Rth)を小さく制御することができる。可塑剤の添加量は、脂肪酸置換セルロース系ポリマー100重量部に対して、好ましくは40重量部以下、より好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。
【0053】
上記厚み方向の位相差(Rth)を小さくする為の処理は、適宜組み合わせて用いてもよい。このような処理を施して得られる第1の保護層の厚み方向の位相差Rth(550)は、好ましくは−20nm〜+20nm、さらに好ましくは−10nm〜+10nm、特に好ましくは−6nm〜+6nm、最も好ましくは−3nm〜+3nmである。第1の保護層の面内位相差Re(550)は、好ましくは0nm以上10nm以下、さらに好ましくは0nm以上6nm以下、特に好ましくは0nm以上3nm以下である。
【0054】
上記第1の保護層の厚みは、好ましくは20〜200μm、より好ましくは30〜100μm、さらに好ましくは35〜95μmである。
【0055】
A−6.積層方法
上記各層(フィルム)の積層方法は、任意の適切な方法を採用し得る。具体的には、任意の適切な粘着剤層または接着剤層を介して積層される。当該粘着剤層としては、代表的には、アクリル系粘着剤層が挙げられる。アクリル系粘着剤層の厚みは、好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは3〜25μmである。
【0056】
B.液晶パネル
B−1.液晶パネルの全体構成
図2(a)は、本発明の1つの実施形態による液晶パネルの概略断面図である。この液晶パネル100は、液晶セル20と;液晶セル20の一方の側に配置された本発明の積層光学フィルム10と;液晶セル20の他方の側に配置された本発明の積層光学フィルム10とを備える。図示するように、積層光学フィルム10,10は、光学補償層が設けられている側が液晶セル20側となるように配置されている。
【0057】
図2(b)は、本発明の別の実施形態による液晶パネルの概略断面図である。この液晶パネル100’は、液晶セル20と;液晶セル20の一方の側(図示例ではバックライト側)に配置された本発明の積層光学フィルム10と;液晶セル20の他方の側(図示例では視認側)に配置された積層フィルム30とを備える。積層フィルム30は、上記偏光子11と第3の光学補償層14とを備える。積層フィルム30は、必要に応じて、偏光子11と第3の光学補償層14との間に第1の保護層が設けられ、偏光子11の第3の光学補償層14の反対側に第2の保護層が設けられる。また、図示しないが、積層フィルム30は、任意の適切な他の光学補償層をさらに備え得る。図示するように、積層光学フィルム10および積層フィルム30は、光学補償層が設けられている側が液晶セル20側となるように配置されている。図示例とは異なり、積層光学フィルム10が視認側に配置され、積層フィルム30がバックライト側に配置されていてもよい。
【0058】
上記積層フィルム30を構成する第3の光学補償層14の遅相軸は、積層フィルム30を構成する偏光子11の吸収軸に対して、任意の適切な角度を規定するようにして積層されている。好ましくは30〜60°、さらに好ましくは35〜55°、特に好ましくは40〜50°、最も好ましくは43〜47°である。
【0059】
上記液晶パネル100,100’の液晶セル20の両側に配置された偏光子11、11の吸収軸は、好ましくは、直交するように配置されている。本明細書において、「直交」とは、実質的に直交する場合も包含する。ここで、「実質的に直交」とは、90°±3.0°である場合を包含し、好ましくは90°±1.0°、さらに好ましくは90°±0.5°である。
【0060】
B−2.液晶セル
上記液晶セル20は、一対の基板21、21’と、基板21、21’間に挟持された表示媒体としての液晶層22とを有する。一方の基板(カラーフィルター基板)21には、カラーフィルターおよびブラックマトリクス(いずれも図示せず)が設けられている。他方の基板(アクティブマトリクス基板)21’には、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子(代表的にはTFT)(図示せず)と、このスイッチング素子にゲート信号を与える走査線(図示せず)およびソース信号を与える信号線(図示せず)と、画素電極(図示せず)とが設けられている。なお、カラーフィルターは、アクティブマトリクス基板21’側に設けてもよい。上記基板21、21’の間隔(セルギャップ)は、スペーサー(図示せず)によって制御されている。上記基板21、21’の液晶層22と接する側には、例えば、ポリイミドからなる配向膜(図示せず)が設けられている。
【0061】
上記液晶セル20の駆動モードとしては、任意の適切な駆動モードを採用し得る。好ましくは、液晶セル20の屈折率楕円体は、nz>nx=nyの関係を示し得る。ここで、「nx=ny」は、nxとnyが厳密に等しい場合のみならず、nxとnyが実質的に等しい場合も包含する。具体的には、Reが10nm未満であることをいう。屈折率楕円体がnz>nx=nyの関係を示し得る液晶セルの駆動モードとしては、具体的には、上記液晶層の液晶分子がホメオトロピック配向をとり得る場合が挙げられる。液晶セルの駆動モードとしては、好ましくは、VAモードが挙げられる。図3は、VAモードにおける液晶分子の配向状態を説明する概略断面図である。図3(a)に示すように、電圧無印加時には、液晶分子は基板21、21’面に略垂直(法線方向)に配向する。ここで、「略垂直」とは、液晶分子の配向ベクトルが法線方向に対して傾いている場合、すなわち、液晶分子がチルト角を有する場合も包含する。当該チルト角(法線からの角度)は、好ましくは10°以下、さらに好ましくは5°以下、特に好ましくは1°以下である。このような範囲のチルト角を有することにより、コントラストに優れ得る。また、動画表示特性が向上し得る。このような略垂直配向は、垂直配向膜(図示せず)を形成した基板間に負の誘電率異方性を有するネマチック液晶を配することにより実現され得る。このような状態で一方の基板21の面から光を入射させると、一方の偏光子11を通過して液晶層22に入射した直線偏光の光は、垂直配向している液晶分子の長軸の方向に沿って進む。液晶分子の長軸方向には複屈折が生じないため入射光は偏光方位を変えずに進み、一方の偏光子11と直交する偏光軸を有する他方の偏光子11で吸収される。これにより電圧無印加時において暗状態の表示が得られる(ノーマリブラックモード)。図3(b)に示すように、電極間に電圧が印加されると、液晶分子の長軸が基板面に平行に配向する。この状態の液晶分子は、一方の偏光子11を通過して液晶層22に入射した直線偏光の光に対して複屈折性を示し、入射光の偏光状態は液晶分子の傾きに応じて変化する。所定の最大電圧印加時において液晶層を通過する光は、例えばその偏光方位が90°回転させられた直線偏光となるので、他方の偏光子11を透過して明状態の表示が得られる。再び電圧無印加状態にすると配向規制力により暗状態の表示に戻すことができる。また、印加電圧を変化させて液晶分子の傾きを制御して他方の偏光子11からの透過光強度を変化させることにより階調表示が可能となる。
【0062】
電圧無印加時における液晶セルの厚み方向の位相差RthLC(590)は、代表的には−500〜−200nm、好ましくは−400〜−200nmである。RthLCは、例えば、液晶分子の複屈折率、セルギャップ(基板21、21’の間隔)等を適宜選択することにより、調整し得る。セルギャップは、代表的には1.0〜7.0μmである。また、電圧無印加時における液晶セルの厚み方向の位相差は、代表的には、|RthLC(450)|>|RthLC(550)|>|RthLC(650)|の関係(波長分散特性)を示す。RthLC(450)/RthLC(550)は、代表的には1.02〜1.10であり、好ましくは1.03〜1.09である。RthLC(650)/RthLC(550)は、代表的には0.90〜0.99であり、好ましくは0.92〜0.97である。
【0063】
B−3.第3の光学補償層
一つの実施形態においては、上記第3の光学補償層33は、その屈折率楕円体がnx>ny>nzの関係を示す。別の実施形態においては、その屈折率楕円体がnx>ny=nzの関係を示す。ここで、「ny=nz」は、nyとnzが厳密に等しい場合のみならず、nyとnzが実質的に等しい場合も包含する。第3の光学補償層の面内位相差Re(590)は、好ましくは80〜200nm、さらに好ましくは100〜200nm、特に好ましくは110〜150nmである。第3の光学補償層は、λ/4板として機能し得る。第3の光学補償層は、λ/4板として、例えば、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または、円偏光を直線偏光に)変換し得る。
【0064】
第3の光学補償層33の屈折率楕円体がnx>ny>nzの関係を示す場合、Nz係数(Rth´(590)/Re(590))は、好ましくは1.1<Nz<2、さらに好ましくは1.1<Nz<1.9、特に好ましくは1.1<Nz<1.8である。この場合、第3の光学補償層を形成する材料としては、上記第1の光学補償層と同様のものを採用し得る。
【0065】
第3の光学補償層33の屈折率楕円体がnx>ny=nzの関係を示す場合、Nz係数(Rth´(590)/Re(590))は、0.9〜1.1であり得る。第3の光学補償層を形成する材料としては、上記のような特性が得られる限りにおいて任意の適切な材料を採用され得る。液晶材料が好ましく、液晶相がネマチック相である液晶材料(ネマチック液晶)がさらに好ましい。液晶材料を用いることにより、得られる光学補償層のnxとnyとの差を非液晶材料に比べて格段に大きくし得る。その結果、所望の面内位相差を得るための光学補償層の厚みを格段に小さくし得、得られる積層光学フィルムおよび液晶パネルの薄型化に寄与し得る。このような液晶材料としては、例えば、液晶ポリマーや液晶モノマーが使用可能である。液晶材料の液晶性の発現機構は、リオトロピックでもサーモトロピックでもどちらでもよい。液晶の配向状態は、好ましくはホモジニアス配向である。液晶ポリマーおよび液晶モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
【0066】
上記液晶材料が液晶性モノマーである場合、例えば、重合性モノマーおよび/または架橋性モノマーであることが好ましい。これは、液晶性モノマーを重合または架橋させることによって、液晶性モノマーの配向状態を固定できるためである。液晶性モノマーを配向させた後に、例えば、液晶性モノマー同士を重合または架橋させれば、それによって上記配向状態を固定することができる。ここで、重合によりポリマーが形成され、架橋により3次元網目構造が形成されることとなるが、これらは非液晶性である。したがって、形成された第3の光学補償層は、例えば、液晶性化合物に特有の温度変化による液晶相、ガラス相、結晶相への転移が起きることはない。その結果、第3の光学補償層は、温度変化に影響されない、極めて安定性に優れた光学補償層となる。
【0067】
上記液晶モノマーおよび当該第3の光学補償層の形成方法の具体例としては、特開2006−178389号公報に記載のモノマーおよび形成方法が挙げられる。
【0068】
上記第3の光学補償層の厚みは、所望の光学特性が得られるように設定され得る。第3の光学補償層が液晶材料で形成される場合、厚みは、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは0.5〜8μm、特に好ましくは0.5〜5μmである。
【0069】
nx>ny=nzの屈折率楕円体を示す第3の光学補償層は、高分子フィルムを延伸処理することによっても形成され得る。具体的には、ポリマーの種類、延伸条件(例えば、延伸温度、延伸倍率、延伸方向)、延伸方法等を適切に選択することにより、上記所望の光学特性(例えば、屈折率楕円体、面内位相差、厚み方向の位相差)を有する第3の光学補償層が得られ得る。より具体的には、延伸温度は、好ましくは110〜170℃、さらに好ましくは130〜150℃である。延伸倍率は、好ましくは1.37〜1.67倍、さらに好ましくは1.42〜1.62倍である。延伸方法としては、例えば、横一軸延伸が挙げられる。
【0070】
上記第3の光学補償層が高分子フィルムを延伸処理することによって形成される場合、厚みは、好ましくは5〜55μm、さらに好ましくは10〜50μm、特に好ましくは15〜45μmである。
【0071】
上記高分子フィルムを形成する樹脂としては、任意の適切なポリマーが採用され得る。具体例としては、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリスルホン系樹脂等の正の複屈折フィルムを構成する樹脂が挙げられる。中でも、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。これらの樹脂の詳細については、A−2項で上述したとおりである。
【0072】
B−4.第2の光学補償層の厚み方向の位相差について
図2(b)に示すように、本発明の積層光学フィルム10(第2の光学補償層13)が液晶セル20の一方の側にのみ配置されている場合、当該第2の光学補償層の厚み方向の位相差Rth(590)は、好ましくは10〜300nm、さらに好ましくは30〜200nm、特に好ましくは50〜180nmである。一方、図2(a)に示すように、本発明の積層光学フィルム10(第2の光学補償層13)が液晶セル20の両側に配置されている場合、それぞれの第2の光学補償層の厚み方向の位相差Rth(590)は、好ましくは、一方に配置されている場合の厚み方向の位相差の略半分である。すなわち、好ましくは5〜150nm、さらに好ましくは15〜100nmである。
【0073】
B−5.第1の光学補償層と第2の光学補償層との積層体
本発明の積層光学フィルムにおける第1の光学補償層と第2の光学補償層との積層体は、用いられる液晶パネルの駆動モード等に応じて任意の適切な光学特性(Rth、波長分散特性)に調整され得る。以下、本発明の積層光学フィルムが、屈折率楕円体がnz>nx=nyの関係を示し得る液晶セル(例えば、VAモード)を備える液晶パネルに用いられる場合について説明する。
【0074】
第1の光学補償層と第2の光学補償層との積層体の厚み方向の位相差Rth(590)は、好ましくは200〜400nm、さらに好ましくは240〜360nm、特に好ましくは270〜310nmである。積層体の厚み方向の位相差は、任意の適切な第1の光学補償層および第2の光学補償層を組み合わせることにより調整し得る。
【0075】
第1の光学補償層と第2の光学補償層との積層体の厚み方向の位相差は、好ましくは、Rth(450)>Rth(550)>Rth(650)の関係(波長分散特性)を示す。さらに好ましくは、当該積層体の厚み方向の位相差の波長分散特性と、上記液晶セルの厚み方向の位相差の波長分散特性とは、近似している。具体的には、両者のRth(λ)/Rth(550)が近似している。さらに具体的には、上記液晶セルのRthLC(450)/RthLC(550)と積層体のRth(450)/Rth(550)との差の絶対値は、好ましくは0.05以下であり、さらに好ましくは0.04以下、特に好ましくは0.03以下である。上記液晶セルのRthLC(650)/RthLC(550)と積層体のRth(650)/Rth(550)との差の絶対値は、好ましくは0.055以下であり、さらに好ましくは0.05以下、特に好ましくは0.04以下である。積層体のRth(450)/Rth(550)は、好ましくは1.01〜1.15であり、さらに好ましくは1.01〜1.10である。Rth(650)/Rth(550)は、好ましくは0.85〜0.99であり、好ましくは0.90〜0.99である。第1の光学補償層と第2の光学補償層との積層体がこのような波長分散特性を有することにより、液晶セルを良好に補償し得る。その結果、コントラストがさらに向上し得る。このような積層体の波長分散特性は、例えば、後述の第1の光学補償層のNz係数および第2の光学補償層の厚み方向の位相差を適宜設定することにより達成し得る。
【0076】
B−6.積層方法
上記各層(フィルム)の積層方法は、任意の適切な方法を採用し得る。具体的には、任意の適切な粘着剤層または接着剤層を介して積層される。上記液晶セルの両側に設けられるアクリル系粘着剤層の厚みは、好ましくは1〜100μm、より好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは3〜30μmである。
【0077】
C.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、上記液晶パネルを備える。本発明の液晶表示装置において、液晶パネルは任意の適切な方法で配置される。
【実施例】
【0078】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。各特性の測定方法は以下の通りである。
【0079】
(1)位相差値の測定
王子計測製KOBRA−WPRを用いて自動計測した。測定温度は23℃であった。
(2)コントラストの測定
実際に作製して測定した各光学補償層の光学特性パラメーターを用いて、各実施例および比較例の液晶パネルについてコンピューターシミュレーションを行った。シミュレーションには、シンテック社製、液晶表示器用シミュレーター「LCD MASTER」を用いた。
【0080】
[実施例1]
(第1の光学補償層)
長尺のノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名Zeonor、厚み60μm、光弾性係数3.1×10−12/N)を150℃で1.5〜2.0倍に固定端二軸延伸することによって、長尺状のフィルムを作製した。このフィルムの面内位相差Re(590)は140nm、厚み方向の位相差Rth(590)は130nm、Nz係数(Rth´(590)/Re(590))は1.43であった。また、このフィルムの厚み方向の位相差Rth(450)は130nm、Rth(550)は130nm、Rth(650)は130nmであった。得られたフィルムを上記液晶セルに対応するサイズに打ち抜いて第1の光学補償層とした。
【0081】
(第2の光学補償層の作製)
下記化学式(1)に示されるネマチック液晶性化合物90重量部、下記化学式(2)に示されるカイラル剤10重量部、光重合開始剤(イルガキュア907:チバスペシャリティーケミカルズ社製)5重量部、およびメチルエチルケトン300重量部を均一となるように混合し、液晶塗工液を調製した。次に、この液晶塗工液を基板(二軸延伸PETフィルム)上にコーティングし、80℃で3分間熱処理し、次いで紫外線を照射して重合処理し、基板上に第2の光学補償層となるコレステリック配向固化層を形成した。当該コレステリック配向固化層の厚みは3μm、厚み方向の位相差Rth(590)は150nmであり、面内位相差Reは実質的にゼロであった。また、このフィルムの厚み方向の位相差Rth(450)は162nm、Rth(550)は150nm、Rth(650)は148nmであった。
【0082】
【化1】

【0083】
(第3の光学補償層の作製)
長尺のノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名Zeonor、厚み40μm、光弾性係数3.10×10−12/N)を140℃で1.52倍に一軸延伸することによって、長尺のフィルムを作製した。このフィルムの厚みは35μm、面内位相差Re(590)は140nm、厚み方向の位相差Rth(590)は70nm、Nz係数(Rth´(590)/Re(590))は1であった。また、このフィルムの厚み方向の位相差Rth(450)は70nm、Rth(550)は70nm、Rth(650)は70nmであった。得られたフィルムを後述の液晶セルに対応するサイズに打ち抜いて第3の光学補償層とした。
【0084】
(積層光学フィルムAの作製)
上記第1の光学補償層に、第2の光学補償層となるコレステリック配向固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基板(二軸延伸PETフィルム)を除去して、第1の光学補償層にコレステリック配向固化層が転写された積層体を得た。得られた積層体のRth(450):294nm、Rth(550):285nm、Rth(590):282nm、Rth(650):280nmであった。
次に、得られた積層体の第1の光学補償層側に、偏光子および保護層を含む偏光板(日東電工株式会社製、商品名:TEG1465DU)を、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層した。ここで、第1の光学補償層の遅相軸が、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように積層した。このようにして本発明の積層光学フィルムAを得た。
【0085】
(積層フィルムBの作製)
上記第3の光学補償層に、偏光子および保護層を含む偏光板(日東電工株式会社製、商品名:TEG1465DU)を、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層した。ここで、第3の光学補償層の遅相軸が、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように積層した。このようにして積層フィルムBを得た。
【0086】
(液晶パネルの作製)
ソニー社製プレイステーションポータブル(VAモード液晶セル搭載)から液晶セルを取り外した。得られた液晶セルのRthLC(450):381nm、RthLC(550):360nm、RthLC(590):352nm、RthLC(650):340nmであった。
次に、得られた液晶セルのバックライト側に上記積層光学フィルムAを、アクリル系粘着剤(厚み20μm)を介して貼り付ける。このとき、第2の光学補償層が液晶セル側になるように貼り付ける。また、液晶セルの視認側には、上記積層フィルムBを、アクリル系粘着剤(厚み20μm)を介して貼り付ける。ことのき、第3の光学補償層が液晶セル側になるように貼り付ける。また、積層光学フィルムAの偏光子の吸収軸と積層フィルムBの偏光子の吸収軸とが互いに実質的に直交するように積層する。このようにして液晶パネルを作製する。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図4に示す。
【0087】
[実施例2]
(積層光学フィルムCの作製)
第1の光学補償層として下記に示すフィルムを用いたこと以外は積層光学フィルムAと同様にして、本発明の積層光学フィルムCを作製した。なお、第1の光学補償層と第2の光学補償層との積層体のRth(450):312nm、Rth(550):303nm、Rth(590):301nm、Rth(650):298nmであった。
(第1の光学補償層)
長尺のノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名Zeonor、厚み60μm、光弾性係数3.1×10−12/N)を150℃で1.55倍に固定端二軸延伸することによって、長尺状のフィルムを作製した。このフィルムの面内位相差Re(590)は140nm、厚み方向の位相差Rth(590)は150nm、Nz係数(Rth´(590)/Re(590))は1.55であった。また、このフィルムの厚み方向の位相差Rth(450)は150nm、Rth(550)は150nm、Rth(650)は150nmであった。得られたフィルムを上述の液晶セルに対応するサイズに打ち抜いて第1の光学補償層とした。
【0088】
(液晶パネルの作製)
積層光学フィルムAのかわりに積層光学フィルムCを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図5に示す。
【0089】
[実施例3]
(積層光学フィルムDの作製)
第1の光学補償層として下記に示すフィルムを用いたこと、第2の光学補償層の厚みが2μmでRth(590)が110nm(Rth(450)は120nm、Rth(550)は113nm、Rth(650)は109nm)であったこと以外は積層光学フィルムAと同様にして、本発明の積層光学フィルムDを作製した。なお、第1の光学補償層と第2の光学補償層との積層体のRth(450):304nm、Rth(550):298nm、Rth(590):296nm、Rth(650):295nmであった。
(第1の光学補償層)
長尺のノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名Zeonor、厚み60μm、光弾性係数3.1×10−12/N)を150℃で1.38倍に自由端一軸延伸した後、147℃で2.30倍に固定端一軸延伸することによって、長尺状のフィルムを作製した。このフィルムの面内位相差Re(590)は140nm、厚み方向の位相差Rth(590)は185nm、Nz係数(Rth´(590)/Re(590))は1.8であった。また、このフィルムの厚み方向の位相差Rth(450)は185nm、Rth(550)は185nm、Rth(650)は185nmであった。得られたフィルムを上述の液晶セルに対応するサイズに打ち抜いて第1の光学補償層とした。
【0090】
(液晶パネルの作製)
積層光学フィルムAのかわりに積層光学フィルムDを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図6に示す。
【0091】
[比較例1]
(積層フィルムEの作製)
上記実施例3で第1の光学補償層として用いたフィルムに、偏光子および保護層を含む偏光板(日東電工株式会社製、商品名:TEG1465DU)を、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層した。ここで、フィルムの遅相軸が、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように積層した。このようにして積層フィルムEを得た。なお、ここで用いたフィルムのRth(450):185nm、Rth(550):185nm、Rth(590):185nm、Rth(650):186nmであった。
【0092】
(液晶パネルの作製)
積層光学フィルムAのかわりに積層フィルムEを用いること、積層フィルムBのかわりに積層フィルムEを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図7に示す。
【0093】
実施例1〜3、比較例1の液晶パネルの構成を各層の光学特性を用いて表1にまとめる。バックライト側の偏光子の吸収軸を0°としたときの角度(反時計回り)も示す。
【0094】
【表1】

【0095】
なお、液晶セル、実施例1〜3で用いた第1の光学補償層と第2の光学補償層との積層体および比較例1で用いたフィルムのRth(λ)/Rth(550)を表2および図8に示す。
【表2】

【0096】
図4〜7から明らかなように、本発明の実施例1〜3の液晶パネルは、比較例1の液晶パネルに比べて、コントラストが優れていた。実施例1〜3を比較すると、図8に示すように、液晶セルの波長分散特性とより近似する実施例1が特に優れていた。また、本発明の実施例の液晶パネルは比較例の液晶パネルに比べて、カラーシフトが小さいことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の積層光学フィルム、液晶パネルおよび液晶表示装置は、携帯電話、液晶テレビ等に好適に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の1つの実施形態による積層光学フィルムの概略断面図である。
【図2】(a)は、本発明の1つの実施形態による液晶パネルの概略断面図であり、(b)は、本発明の別の好ましい実施形態による液晶パネルの概略断面図である。
【図3】本発明の液晶表示装置がVAモードの液晶セルを採用する場合に、液晶層の液晶分子の配向状態を説明する概略断面図である。
【図4】本発明の実施例1の液晶パネルのコントラストの視野角依存性についてのコンピューターシミュレーションの結果である。
【図5】本発明の実施例2の液晶パネルのコントラストの視野角依存性についてのコンピューターシミュレーションの結果である。
【図6】本発明の実施例3の液晶パネルのコントラストの視野角依存性についてのコンピューターシミュレーションの結果である。
【図7】比較例1の液晶パネルのコントラストの視野角依存性についてのコンピューターシミュレーションの結果である。
【図8】液晶セル、実施例1〜3で用いた積層体および比較例1で用いた光学補償層の波長分散特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0099】
10 積層光学フィルム
11 偏光子
12 第1の光学補償層
13 第2の光学補償層
20 液晶セル
100 液晶パネル
100’ 液晶パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子と、
屈折率楕円体がnx>ny>nzの関係を示し、面内位相差Re(590)が80〜200nmである第1の光学補償層と、
屈折率楕円体がnx=ny>nzの関係を示す第2の光学補償層とをこの順で備え、
該偏光子の吸収軸と該第1の光学補償層の遅相軸とのなす角度が30〜60°であり、
該第1の光学補償層と該第2の光学補償層との積層体の厚み方向の位相差が、Rth(450)>Rth(550)>Rth(650)の関係を示す、積層光学フィルム。
【請求項2】
前記第1の光学補償層のNz係数が1<Nz<2の関係を示す、請求項1に記載の積層光学フィルム。
【請求項3】
前記第2の光学補償層がコレステリック配向固化層である、請求項1または2に記載の積層光学フィルム。
【請求項4】
屈折率楕円体がnz>nx=nyの関係を示す液晶セルを備える液晶パネルに用いられる、請求項1から3のいずれかに記載の積層光学フィルム。
【請求項5】
前記液晶セルのRth(450)/Rth(550)と前記積層体のRth(450)/Rth(550)との差の絶対値が0.05以下であり、
前記液晶セルのRth(650)/Rth(550)と前記積層体のRth(650)/Rth(550)との差の絶対値が0.055以下である、請求項4に記載の積層光学フィルム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の積層光学フィルムを備える、液晶パネル。
【請求項7】
請求項6に記載の液晶パネルを備える、液晶表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図8】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−53614(P2009−53614A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222607(P2007−222607)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】