説明

積層型セラミック電子部品の製造方法

【課題】グリーンチップを低コストで研磨することができ、かつ、グリーンチップに対する過剰な角取りを防止することができる共に、その結果として得られる電子部品における電気特性の不良を防止することができる積層型セラミック電子部品の製造方法を提供すること。
【解決手段】 積層型セラミック電子部品の製造方法であって、グリーンシート10aを形成する工程と、内部電極層12aを形成する工程と、グリーンシート10aおよび内部電極層12aを複数積層して、チップ領域40とダミー領域42とを有する積層体16を形成する工程と、積層体16を所定の寸法に切断して、チップ領域40からは、内部電極層12aを有するグリーンチップ44を形成すると共に、ダミー領域42からは、内部電極層12aを有さないダミーチップ46を同時に形成する工程と、ダミーチップ46を用いてグリーンチップ44を研磨する第1研磨工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば積層セラミックコンデンサなどの積層型セラミック電子部品の製造方法に関し、さらに詳しくは、グリーンチップおよび焼結体を研磨し、結果として得られる電子部品における電気特性の不良を防止することができる積層型セラミック電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサ、バンドパスフィルタ、インダクタ、積層三端子フィルタ、圧電素子、PTCサーミスタ、NTCサーミスタ、またはバリスタ等の積層型セラミック電子部品を製造する方法としては、たとえば下記の方法が知られている。すなわち、まず、可撓性支持体(例としてPETフィルム)上にドクターブレード法などで、セラミック粉、有機バインダ、可塑剤、溶剤等を含むセラミック塗料をシート状に成形し、グリーンシートとする。そのグリーンシートの上に、パラジウム、銀、ニッケル、銅等の電極材を含むペーストを所定パターンで印刷し、内部電極層とする。
【0003】
積層構造を得る場合には、得られたグリーンシートを、所望の積層構造になるように積層し、プレス切断工程を経てグリーンチップを得る。このようにして得られたグリーンチップ中のバインダをバーンアウトした後、グリーンチップを焼成し、焼結体を得る。この焼結体に、銀、銀−パラジウム、ニッケル、または銅等の外部電極を形成し、積層型セラミック電子部品を得る。
【0004】
上述した製造方法において、例えば積層セラミックコンデンサを製造する場合、焼成後に得られる焼結体の側面付近(積層方向に略垂直な端部側面)において、内部電極が酸化して、内部電極が途切れている場合がある。内部電極が途切れると、焼結体の端部に外部電極を焼き付けても、内部電極と、外部電極とが電気的に導通しない恐れがある。また、内部電極がセラミック素地よりも焼成時の縮率が大きいため、内部電極よりも素子側面が外部に突出している場合にも導通しない恐れがある。
【0005】
従来、焼結体の端部において酸化した内部電極と、外部電極とを導通させるために、焼結体の端部を研磨処理する。この研磨処理によって、内部電極において酸化した部分を除去し、酸化していない内部電極を焼結体の端部に露出させる。
【0006】
しかしながら、焼結体の研磨処理においては、研磨時に焼結体の角(コーナー)においてクラック、割れ、欠けが生じてしまう恐れがある。焼結体のクラック、割れ、欠けは、コンデンサにおいてショート不良等の電気特性不良の原因となる。
【0007】
特許文献1においては、研磨後の焼結体における欠けを防止する対策として、アルミナあるいはジルコニア等の研磨メディアを用いて、焼結体をバレル研磨し、焼結体の稜線に丸みを持たせる方法が挙げられている。
【0008】
しかし、特許文献1に示す製造方法においては、研磨メディアの調達、および研磨メディアを焼結体から分別する工程が必要となるため、コスト高になってしまう。
【0009】
また、アルミナあるいはジルコニア等の研磨メディアは硬いため、焼結体(あるいは焼成前のグリーンチップ)が過剰に研磨される恐れがある。焼結体(あるいは焼成前のグリーンチップ)が過剰に研磨されると、焼結体(あるいは焼成前のグリーンチップ)のコーナーが過剰に削れ、本来露出してはならない内部電極がコーナーに露出してしまう恐れがある。コーナーにおける内部電極の露出は、コンデンサにおける電気特性不良の原因となる。近年、コンデンサの大容量化に伴い、焼結体における積層方向の両端面に位置する外層側誘電体層(グリーンチップにおける外装用グリーンシート)の薄層化が進んでいる。外層側誘電体層が薄層化するほど、コーナー(外層側誘電体層の四隅近辺)において、内部電極層が露出し易くなることが問題となる。
【0010】
特許文献2においては、研磨処理後の焼結体におけるクラック、割れ、欠けを防止する対策として、焼成前のグリーンチップに対して研磨処理を施し、グリーンチップの角に丸み(コーナーR)を持たせる方法(角取り)が挙げられる。特許文献2に示す製造方法おいては、グリーンチップの作製とは別に、誘電体セラミック単独からなるダミーチップを作製する。そして、このダミーチップを研磨メディアとして用いて、焼成前のグリーンチップをバレル研磨し、角取りを行う。角取り後、グリーンチップを焼成する。
【0011】
しかし、特許文献2に示す製造方法においては、グリーンチップの作製工程とは別に、研磨メディア専用のダミーチップを作製する工程が別途必要となり、研磨メディアの原材料および研磨メディア作製工程数の点で製造コストがかかることが問題となる。
【特許文献1】特開平11−162778号公報
【特許文献2】特開平08−236393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、グリーンチップを低コストで研磨することができ、かつ、グリーンチップに対する過剰な角取りを防止することができる共に、その結果として得られる電子部品における電気特性の不良を防止することができる積層型セラミック電子部品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係る積層型セラミック電子部品の製造方法は、グリーンシートを形成する工程と、
内部電極層を形成する工程と、
前記グリーンシートおよび前記内部電極層を複数積層して、チップ領域とダミー領域とを有する積層体を形成する工程と、
前記積層体を所定の寸法に切断して、前記チップ領域からは、前記内部電極層を有するグリーンチップを形成すると共に、前記ダミー領域からは、前記内部電極層を有さないダミーチップを同時に形成する工程と、
前記ダミーチップを用いて前記グリーンチップを研磨する第1研磨工程と、を有する。
【0014】
本願発明においては、内部電極層を有するグリーンチップと、内部電極層を有さないダミーチップとを、同一工程において、同時に作製する。すなわち、グリーンチップの作製工程において、従来は不要とされ、チップ領域から除去されていたダミー領域を用いて、研磨メディア用ダミーチップを作製する。その結果、本願発明においては、従来技術のように、研磨メディア専用のダミーチップを、グリーンチップとは別の工程において作製する必要がない。よって、本願発明においては、従来に比べて、研磨メディアの原材料コスト、作製工程数、および作製コストを削減することができる。
【0015】
また、本願発明においては、グリーンチップと同様の材料および硬度を有するダミーチップを研磨メディアとして用いる。その結果、焼成前のグリーンチップが過度に研磨されることがなく、グリーンチップのコーナーに内部電極層が露出することを防止できる。すなわち、グリーンチップのコーナーに適度な丸みを形成することができる。
【0016】
好ましくは、前記第1研磨工程において、第1研磨用溶媒中に、前記グリーンチップと、前記ダミーチップとを含ませて、攪拌することによって、前記グリーンチップが研磨される。
【0017】
第1研磨用溶媒中において研磨処理を行うことによって、グリーンチップとダミーチップとの衝突に伴う衝撃を緩和することができる。その結果、第1研磨工程において、ダミーチップとの衝突に起因するグリーンチップの欠けを防止することができる。
【0018】
好ましくは、前記第1研磨工程後、前記グリーンチップを焼成して焼結体を形成すると共に、前記ダミーチップとを同時に焼成してダミー焼結体を形成する焼成工程と、
該焼成工程後、前記ダミー焼結体を用いて、前記焼結体を研磨する第2研磨工程と、を有する。
【0019】
第1研磨工程において角取りされたグリーンチップを焼成することによって、角取りされた(コーナーに丸みを有する)焼結体を得ることができる。この焼結体に対して、焼成後のダミーチップ(ダミー焼結体)を研磨メディアとした第2研磨処理を行うことによって、焼結体にクラック、割れ、欠けを生じさせることなく、焼結体の端部(側面)において、酸化した内部電極の端部を除去し、酸化していない内部電極を露出させることができる。その結果、完成後の積層型セラミック電子部品において、外部電極と内部電極層との電気的接続性が向上し、電気特性不良を防止することができる。
【0020】
好ましくは、前記第2研磨工程において、第2研磨用溶媒中に、前記焼結体と、前記ダミー焼結体とを含ませて、攪拌することによって、前記焼結体が研磨される。
【0021】
第2研磨用溶媒中において研磨処理を行うことによって、焼結体とダミー焼結体との衝突に伴う衝撃を緩和することができる。その結果、第2研磨工程において、ダミー焼結体との衝突に起因する焼結体の欠けを防止することができる。
【0022】
好ましくは、前記第2研磨工程後、前記焼結体の側面、および前記ダミー焼結体の側面に、外部電極を形成する外部電極形成工程と、
該外部電極形成工程後、前記焼結体および前記ダミー焼結体の電気特性を評価することによって、前記焼結体のうち良品の焼結体と、不良品の焼結体とを分別すると共に、前記ダミー焼結体を同時に分別する検査工程と、を有する。
【0023】
本願発明においては、外部電極形成工程後の検査工程において、不良品の焼結体のみならず、ダミー焼結体も同時に、良品の焼結体から分別することができる。すなわち、本願発明では、従来の製造方法において不良品の焼結体の分別のみを担っていた検査工程が、研磨メディアであるダミー焼結体の分別の機能も兼ね備える。その結果、本願発明においては、従来の製造方法に比べて、研磨メディアを除去する工程を省略することができ、製造コストを削減することができる。
【0024】
好ましくは、前記グリーンチップと、前記ダミーチップとが同じ寸法を有する。
よって、焼成工程後に得られる焼結体とダミー焼結体も同じ寸法を有する。
【0025】
ダミーチップが、グリーンチップと同じ寸法を有することによって、グリーンチップから得られる焼結体の場合と同様の検査方法を用いて、ダミーチップから得られるダミー焼結体に対する電気特性の評価を行い易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図、
図2は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造工程を示す工程フロー図、
図3は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造に用いる積層体の概略断面図、
図4は、図3に示す積層体を、積層方向IVから観察した概略図、
図5は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造に用いる第1研磨工程前のグリーンチップの概略断面図、
図6は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法における第1研磨工程で用いるダミーチップの概略断面図、
図7は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造に用いる第1研磨工程後のグリーンチップの概略断面図である。
【0027】
積層セラミックコンデンサの全体構成
まず、本発明に係る方法により製造される電子部品の一実施形態として、積層セラミックコンデンサの全体構構成について説明する。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、コンデンサ素体4と、第1外部電極6と第2外部電極8とを有する。コンデンサ素体4は、内層側誘電体層10と、内部電極層12とを有し、内層側誘電体層10の間に、これらの内部電極層12が交互に積層してある。コンデンサ素体4は、その積層方向の両端面に、外層側誘電体層10bを有する。交互に積層される一方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の第1端部(側面52)の外側に形成してある第1外部電極6の内側に対して電気的に接続してある。また、交互に積層される他方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の第2端部(側面54)の外側に形成してある第2外部電極8の内側に対して電気的に接続してある。
【0029】
内層側誘電体層10および外層側誘電体層10bの材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムおよび/またはチタン酸バリウムなどの誘電体材料で構成される。各内層側誘電体層10の厚みは、特に限定されないが、数μm〜数百μmのものが一般的である。また、各外層側誘電体層10bの厚みは、特に限定されないが、通常30〜100μm程度が一般的である。
【0030】
外部電極6および8の材質も特に限定されないが、通常、Ni,Pd,Ag,Au,Cu,Pt,Rh,Ru,Ir等の少なくとも1種、又はそれらの合金を用いることができる。通常は、Cu,Cu合金、Ni又はNi合金等や、Ag,Ag−Pd合金、In−Ga合金等が使用される。外部電極6および8の厚みも特に限定されないが、通常10〜50μm程度である。
【0031】
積層セラミックコンデンサ2の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。積層セラミックコンデンサ2が直方体形状の場合は、通常、縦(0.6〜5.7mm)×横(0.3〜5.0mm)×厚み(0.3〜3.2mm)程度である。
【0032】
積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、図2に示す工程フロー図に沿って、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2の製造方法の一例を説明する。本実施形態に係る製造方法は、主として、S1:積層体の形成工程、S2:積層体の切断工程、S3:第1研磨工程、S4:脱バインダ工程、S5:焼成工程、S6:第2研磨工程、S7:外部電極形成工程、S8:電気特性の検査工程を有する。以下では、各工程について詳説する。
【0033】
(S1:積層体の形成工程)
まず、積層体の形成工程について説明する。なお、積層体の形成方法は、以下に示す方法に限定されない。
【0034】
グリーンシートの形成
まず、支持シートの表面に、グリーンシート用スラリーを塗布して、グリーンシートを形成する。グリーンシートは、焼成後に図1に示す内層側誘電体層10、外層側誘電体層10bとなる。
【0035】
グリーンシートの形成方法は、層を均一に形成できる方法であれば特に限定されず、ドクターブレード法、ノズルコート法などが例示される。なお、形成後のグリーンシートは、必要に応じて乾燥させる。
【0036】
グリーンシート用スラリーは、主成分として、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどのセラミック粉体を含む。さらには、副成分として、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類元素、ガラス組成物などがグリーンシート用スラリーに含まれる。これらセラミック粉体および副成分と、溶剤、分散剤、可塑剤、バインダ等とを混合し、これを分散処理することによって、グリーンシート用スラリーを得る。
【0037】
溶剤としては、特に限定されないが、グリコール類、アルコール、ケトン類、エステル類、芳香族類などが例示される。具体的には、テルピネオール、アルコール、ブチルカルビトール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ステアリン酸ブチル、イソボニルアセテートなどが用いられる。
【0038】
分散剤としては、特に限定されないが、マレイン酸系分散剤、ポリエチレングリコール系分散剤、アリルエーテルコポリマー分散剤が例示される。
【0039】
可塑剤としては、特に限定されないが、フタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。
【0040】
バインダとしては、特に限定されないが、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール等のブチラール系樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体からなる有機質、またはエマルジョンなどが例示される。
【0041】
支持シートの材質は、剥離時の適当な柔軟性と、支持体としての剛性とを持つものであれば特に限定されないが、通常、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフィルムなどが用いられる。
【0042】
内部電極層の形成
次に、グリーンシートの表面に、内部電極層用ペーストを所定のパターン状に塗布し、内部電極層を形成する。内部電極層は、焼成後に図1に示す内部電極層12となる。
【0043】
内部電極層の形成方法は、層を均一に形成できる方法であれば特に限定されず、たとえば内部電極層用ペーストを用いたスクリーン印刷法あるいはグラビア印刷法などの厚膜形成方法、あるいは蒸着、スパッタリングなどの薄膜法が例示される。なお、形成後の内部電極層は、必要に応じて乾燥させる。
【0044】
内部電極層用ペーストは、導電性粉末、溶剤、分散剤、可塑剤、バインダ、添加物粉末などを、ボールミルなどで混練し、スラリー化することによって得られる。
【0045】
導電性粉末としては、特に限定されないが、通常、Cu,Cu合金、Ni又はNi合金等や、Ag,Ag−Pd合金、In−Ga合金等を用いる。
【0046】
溶剤としては、特に限定されないが、ターピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン、アセトン、イソボニルアセテートなどが例示される。
【0047】
分散剤としては、特に限定されないが、マレイン酸系分散剤、ポリエチレングリコール系分散剤、アリルエーテルコポリマー分散剤が例示される。
【0048】
可塑剤としては、特に限定されないが、フタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。
【0049】
バインダとしては、特に限定されないが、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチルセルロース樹脂などが例示される。
【0050】
添加物粉末としては、グリーンシートに含まれるセラミック粉体と同じ組成を有する共材が挙げられる。共材は、焼成過程において導電性粉末の焼結を抑制する。
【0051】
余白パターン層の形成
次に、グリーンシートの表面に内部電極層を形成した後(またはその前)に、グリーンシートの表面において内部電極層が形成されていない余白部分に余白パターン層用ペーストを塗布して、余白パターン層を形成する。その結果、グリーンシート、内部電極層、および余白パターン層から構成される積層体ユニットが得られる。
【0052】
余白パターン層は、内部電極層あるいはグリーンシートと同様の方法によって形成することができる。なお、形成後の余白パターン層は、必要に応じて乾燥させる。
【0053】
余白パターン層の厚さは、内部電極層の厚さを同じにして、余白パターン層と内部電極層との間に段差が生じないようにする。
【0054】
余白パターン層用ペーストとしては、通常、グリーンシート用ペーストと同様のペーストを用いる。
【0055】
積層体ユニットの積層
次に、支持シートを剥離した積層体ユニット同士を複数積層する。積層においては、一方の積層体ユニットにおけるグリーンシートが、他方の積層体ユニットにおける内部電極層および余白パターン層の表面に接するように、複数の積層体ユニット同士を次々と積層する。
【0056】
次に、得られた積層物の上面および/または下面に、内部電極層を有さない外装用グリーンシートを積層する。
【0057】
次に、この積層物を加熱しながら加圧する。その結果、図3に示すように、内層用グリーンシート10aと、内部電極層12aおよび余白パターン層14とが交互に積層された構造を有する積層体16が得られる。なお、積層体16における積層方向の厚さT1は、特に限定されないが、通常、0.4〜4.0[mm]程度である。
【0058】
なお、図3に示す外装用グリーンシート10cは、焼成後に、図1に示す外層側誘電体層10bとなる。また、外装用グリーンシート10cは、単独のグリーンシートから形成されてもよく、また、複数の内層用グリーンシート10aが積層されたものであってもよい。
【0059】
素子(積層体16)の上面、下面に用いる外装用グリーンシート10cの総厚さは、特に限定されないが、好ましくは、30〜300μm程度である。外装用グリーンシート10cが薄過ぎると、後の第1研磨工程およひ第2研磨工程において、グリーンチップあるいは焼結体のコーナー近辺に内部電極層が露出する恐れがある。また、外装用グリーンシート10cが厚過ぎると、積層セラミックコンデンサ自体の薄型化が困難となってしまう。
【0060】
なお、図3に示すように、内層用グリーンシート10aと、内部電極層12aおよび余白パターン層14とは、接着層18を介して積層されていてもよい。
【0061】
(S2:積層体の切断工程)
次に、積層体16を所定の寸法に切断して、グリーンチップおよびダミーチップを形成する。
【0062】
図4は、図3に示す積層体16を、積層方向IVから見た上面図(模式図)である。図4に示すように、積層体16は、チップ領域40と、ダミー領域42とを有する。積層体16の積層方向において、チップ領域40内には、内部電極層12a(図示省略)が形成されている。一方、チップ領域40の外周部に位置するダミー領域42には、内部電極層12aが形成されていない。このチップ領域40と、ダミー領域42とを同一の切断工程において、同時に切断して、チップ領域40からグリーンチップ44(図5)を形成すると共に、ダミー領域42からは、ダミーチップ(図6)を同時に形成する。なお、チップ領域40内においては、切断線41(図3、4)に沿ってチップ領域40を切断することによって、個々のグリーンチップ44が形成される。
【0063】
内部電極層が形成されているチップ領域40(図4)を切断して形成されたグリーンチップ44は、図5に示すように、内層用グリーンシート10a、外装用グリーンシート10c、および内部電極層12aを有する。なお、図4において接着層は省略してある。
【0064】
一方。内部電極層が形成されていないダミー領域42(図4)を切断して形成されたダミーチップ46は、図6に示すように、内層用グリーンシート10aおよび外装用グリーンシート10cを有するが、内部電極層12aは有さない。なお、図6においても接着層は省略してある。
【0065】
なお、図4に示すグリーンチップ44の寸法は、特に限定されないが、通常、縦幅Lgcが、(0.7〜7.1[mm])、横幅Wgcが、(0.4〜6.2[mm])程度である。グリーンチップ44の厚みは、図3に示す積層体16の厚みT1と同じであり、通常、0.4〜4.0[mm]程度である。
【0066】
好ましくは、グリーンチップ44(図5)と、ダミーチップ46(図6)とが同じ寸法を有する。
【0067】
ダミーチップ46が、グリーンチップ44と同じ寸法を有することによって、後述する検査工程に到るまで、ダミーチップ46も、グリーンチップ44と同じ製造工程を経ることができる。また、後述する検査工程において、グリーンチップ44から得られる焼結体の場合と同様の検査方法を用いて、ダミーチップ46から得られるダミー焼結体に対する電気特性の評価を行い易くなる。
【0068】
なお、図4に示す積層体16の寸法は、特に限定されないが、好ましくは、縦幅L1=100〜300[mm]、横幅W1=100〜300[mm]程度である。
【0069】
また、積層体16の積層面において、ダミー領域42の幅W2(積層体16の端部からチップ領域40までの幅)は、特に限定されないが、6〜8[mm]程度である。
【0070】
(S3:第1研磨工程)
次に、得られたグリーンチップ44およびダミーチップ46を固化乾燥させる。
【0071】
次に、第1研磨工程において、ダミーチップ46を用いて、グリーンチップ44を研磨する。第1研磨工程によって、図7に示すように、研磨後のグリーンチップ44aのコーナーに適度な丸みRを形成することができる。
【0072】
なお、研磨後のグリーンチップ44a(図7)のコーナーにおける丸みRの有する曲率半径が、20〜350[μm]となるように、グリーンチップ44(図6)を研磨することが好ましい。曲率半径が小さ過ぎると、コーナーに充分な丸みRを形成することができず、後述する第2研磨工程において、焼結体の端部にクラック、欠け、割れが生じる恐れがある。また、曲率半径が大き過ぎると、コーナー近辺に、本来露出してはならない内部電極層12aが露出する恐れがある。そこで、コーナーにおいて曲率半径が上記範囲内となるように研磨を行うことによって、これらの不具合を防止することができる。
【0073】
第1研磨工程において用いる研磨方法は、特に限定されないが、好ましくは、第1研磨用溶媒中に、グリーンチップ44と、ダミーチップ46とを含ませて、攪拌することによって、グリーンチップ44を研磨する。具体的には、研磨メディアとして、ダミーチップ46を用い、第1研磨用溶媒として水を用いたバレル研磨によって、グリーンチップ44を研磨することが好ましい。
【0074】
水バレルのように、第1研磨用溶媒中において研磨処理を行うことによって、グリーンチップ44とダミーチップ46との衝突に伴う衝撃を緩和することができる。その結果、第1研磨工程において、ダミーチップ46との衝突に起因するグリーンチップ44の欠けを防止することができる。
【0075】
好ましくは、全グリーンチップの総重量に対して、0.1〜7.0重量%(全グリーンチップ数に対して、6〜10数量%)のダミーチップ46を、研磨メディアとして第1研磨用溶媒中に含ませた上で、第1研磨工程を行う。
【0076】
ダミーチップ46の重量(数量)が、小さ過ぎると、グリーンチップ44を充分に研磨することができず、グリーンチップ44のコーナーに適度な丸みを形成することができない。よって、ダミーチップ46の含有量は、上記下限値以上であることが好ましい。また、ダミーチップ46の重量(数量)が大き過ぎると、研磨処理量が少なく生産効率が悪くなることが問題となる。さらに、ダミーチップ46は、第1研磨工程以降も、グリーンチップ44と同様の加工を施されるが、検査工程後にはグリーンチップ44から分別されてしまい、製品化されない。よって、ダミーチップ46の数量は可能な限り少ないことが好ましい。このようなことから、ダミーチップ46の含有量は、上記上限値以下であることが好ましい。
【0077】
なお、バレルの回転数、回転時間等のバレル条件は、特に限定されず、グリーンチップ44およびダミーチップ46の寸法および数量に合わせて、適宜設定すればよい。
【0078】
第1研磨工程後のグリーンチップ44aおよびダミーチップ46は、洗浄した後に、乾燥させる。
【0079】
(S4:脱バインダ工程)
次に、第1研磨工程後のグリーンチップ44aにおよびダミーチップ46に対して、脱バインダ処理を行う。
【0080】
脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、内部電極層の導電体材料にNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、特に下記の条件で行うことが好ましい。
昇温速度:5〜300℃/時間、特に10〜50℃/時間、
保持温度:200〜800℃、特に350〜600℃、
保持時間:0.5〜20時間、特に1〜10時間、
雰囲気 :加湿したNとHとの混合ガス。
【0081】
(S5:焼成工程)
次に、焼成工程において、脱バインダ工程後のグリーンチップ44aおよびダミーチップ46を共に焼成する。グリーンチップ44aは、焼成後、焼結体となり、ダミーチップ46は、焼成後、ダミー焼結体となる。好ましくは、焼成工程後、焼結体およびダミー焼結体の誘電体層を再酸化するための熱処理を行う。
【0082】
焼成条件は、下記の条件が好ましい。
昇温速度:50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間、
保持温度:1100〜1300℃、特に1150〜1250℃、
保持時間:0.5〜8時間、特に1〜3時間、
冷却速度:50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間、
雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス等。
【0083】
ただし、焼成時の空気雰囲気中の酸素分圧は、10−2Pa以下、特に10−2〜10−8 Paにて行うことが好ましい。前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にあり、また、酸素分圧があまり低すぎると、内部電極層の電極材料が異常焼結を起こし、途切れてしまう傾向にある。
【0084】
このような焼成を行った後の熱処理は、保持温度または最高温度を、好ましくは1000℃以上、さらに好ましくは1000〜1100℃として行うことが好ましい。熱処理時の保持温度または最高温度が、前記範囲未満では誘電体材料の酸化が不十分なために絶縁抵抗寿命が短くなる傾向にあり、前記範囲をこえると内部電極のNiが酸化し、容量が低下するだけでなく、誘電体素地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にある。熱処理の際の酸素分圧は、焼成時の還元雰囲気よりも高い酸素分圧であり、好ましくは10−3Pa〜1Pa、より好ましくは10−2Pa〜1Paである。前記範囲未満では、誘電体層の再酸化が困難であり、前記範囲をこえると内部電極層が酸化する傾向にある。そして、そのほかの熱処理条件は下記の条件が好ましい。
【0085】
保持時間:0〜6時間、特に2〜5時間、
冷却速度:50〜500℃/時間、特に100〜300℃/時間、
雰囲気用ガス:加湿したNガス等。
【0086】
なお、Nガスや混合ガス等を加湿するには、例えばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は0〜75℃程度が好ましい。また脱バインダ処理、焼成および熱処理は、それぞれを連続して行っても、独立に行ってもよい。これらを連続して行なう場合、脱バインダ処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続いて焼成の際の保持温度まで昇温して焼成を行ない、次いで冷却し、熱処理の保持温度に達したときに雰囲気を変更して熱処理を行なうことが好ましい。一方、これらを独立して行なう場合、焼成に際しては、脱バインダ処理時の保持温度までNガスあるいは加湿したNガス雰囲気下で昇温した後、雰囲気を変更してさらに昇温を続けることが好ましく、熱処理時の保持温度まで冷却した後は、再びNガスあるいは加湿したNガス雰囲気に変更して冷却を続けることが好ましい。また、熱処理に際しては、Nガス雰囲気下で保持温度まで昇温した後、雰囲気を変更してもよく、熱処理の全過程を加湿したNガス雰囲気としてもよい。
【0087】
(S6:第2研磨工程)
焼成工程(および熱処理工程)の後、第2研磨工程において、ダミー焼結体を用いて、焼結体を研磨する。この研磨処理によって、焼結体(図1のコンデンサ素体4)の側面52、54において、焼成及び熱処理によって酸化した内部電極層12aの端部を除去し、酸化していない内部電極層12aを焼結体の側面に露出させる。
【0088】
第2研磨工程において用いる研磨方法は、特に限定されないが、好ましくは、第2研磨用溶媒中に、焼結体と、ダミー焼結体とを含ませて、攪拌することによって、焼結体を研磨する。
【0089】
第2研磨用溶媒中において研磨処理を行うことによって、焼結体とダミー焼結体との衝突に伴う衝撃を緩和することができる。その結果、第2研磨工程において、ダミー焼結体との衝突に起因する焼結体の欠けを防止することができる。
【0090】
具体的には、研磨メディアとして、ダミー焼結体を用い、第2研磨用溶媒として水を用いたバレル研磨によって、焼結体を研磨することが好ましい。なお、ダミー焼結体を研磨メディアとして用いず、焼結体のみを第2研磨用溶媒と共にバレル内に投入して、バレル研磨を行っても良い。
【0091】
第2研磨工程後の焼結体およびダミー焼結体は、洗浄した後に、乾燥させる。
【0092】
(S7:外部電極形成工程)
次に、外部電極形成工程において、第2研磨工程後の焼結体の側面52、54、およびダミー焼結体の側面に、第1外部電極6および第2外部電極8(図1)を形成する。
【0093】
各外部電極は、通常、下地層、中間めっき層、および外側めっき層の3層から構成される。
【0094】
まず、下地層を形成する。下地層は、焼結体(図1のコンデンサ素体4)の両側面52,54に、電極ペースト膜(Ag,Cu等)を塗布し、これに焼き付け処理を行うことで形成される。電極ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。
【0095】
(S8:電気特性の検査工程)
下地層を形成した後、検査工程において、焼結体およびダミー焼結体の電気特性を評価する。この検査工程によって、焼結体のうち良品の焼結体と、不良品の焼結体とを分別すると共に、ダミー焼結体を同時に分別することができる。具体的には、検査工程において、下地層を有する焼結体およびダミー焼結体の静電容量、誘電損失(複素誘電率の損失係数tanδ)、絶縁抵抗(IR)等を評価する。そして、これら評価項目において製品規格を満たす良品の焼結体のみを選別し、規格外である不良品の焼結体およびダミー焼結体を同時に分別し、製造ラインから除去する。
【0096】
電気特性の検査工程後、選別された良品の焼結体に形成された下地層の表面に、中間めっき層を形成する。中間めっき層は、NiまたはNi合金膜等で構成され、無電解めっき法により形成される。
【0097】
次に、中間めっき層の表面に、外側めっき層を形成することによって、図1に示す積層セラミックコンデンサ2が完成する。外側めっき層は、電解めっき法により形成され、SnあるいはSn合金のめっき層で構成される。
【0098】
次に、完成後の積層セラミックコンデンサ2に対して、前述の検査工程と同様の方法を用いて、再度電気特性の検査(出荷検査)を行う。その結果、良品の積層セラミックコンデンサ中に依然として混在する不良品(不良品の焼結体あるいはダミー焼結体から構成されたコンデンサ)を除去し、出荷品に含まれる不良品の割合を更に減少させることができる。
【0099】
なお、1度目の検査工程(外部電極の下地層形成直後の検査)のみによって不良品(不良品の焼結体、およびダミー焼結体)を完全に分別することができる。よって、不良品を分別するためには、1度目の検査工程、あるいは出荷検査の少なくともいづれか1つを行えばよい。
【0100】
このようにして製造された積層セラミックコンデンサ2は、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
【0101】
本実施形態においては、内部電極層12aを有するグリーンチップ44(図5)と、内部電極層12aを有さないダミーチップ46(図6)とを、同一工程において、同時に作製する。すなわち、グリーンチップ44の作製工程において、従来は不要とされ、除去、廃棄されていたダミー領域42を用いて、研磨メディア用ダミーチップ46を作製する。その結果、本実施形態においては、従来技術のように、研磨メディア専用のダミーチップ46を、グリーンチップ44とは別の工程において、別の原材料から作製する必要がない。その結果、本実施形態においては、従来に比べて、研磨メディアの原材料コスト、作製工程数、および作製コストを削減することができる。
【0102】
本実施形態においては、グリーンチップ44と同様の材料および硬度を有するダミーチップ46を研磨メディアとして用いる。その結果、焼成前のグリーンチップ44が過度に研磨されることがなく、研磨後のグリーンチップ44a(図7)のコーナーに内部電極層が露出することを防止できる。すなわち、グリーンチップ44(図5)のコーナーに適度な丸みR(図7)を形成することができる。
【0103】
本実施形態においては、第1研磨工程において角取りされたグリーンチップ44a(図7)を焼成することによって、角取りされた(コーナーに丸みRを有する)焼結体を得ることができる。この焼結体に対して、ダミー焼結体(焼成後のダミーチップ46)を研磨メディアとした第2研磨処理を行う。その結果、焼結体にクラック、割れ、欠けを生じさせることなく、焼結体(コンデンサ素体4)の側面52、54(図1)において、酸化した内部電極の端部を除去し、酸化していない内部電極を露出させることができる。その結果、完成後の積層型セラミック電子部品2において、第1外部電極6および第2外部電極8と内部電極層12との電気的接続性が向上し、電気特性不良を防止することができる。
【0104】
本実施形態においては、外部電極形成工程後の検査工程において、不良品の焼結体のみならず、ダミー焼結体も同時に、良品の焼結体から分別することができる。すなわち、本実施形態では、従来の製造方法において不良品の焼結体の分別のみを担っていた検査工程が、研磨メディアであるダミー焼結体の分別の機能も兼ね備える。その結果、本実施形態においては、従来の製造方法に比べて、研磨メディアを除去する工程を省略することができ、製造コストを削減することができる。
【0105】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0106】
例えば、本発明の製造方法は、積層セラミックコンデンサの製造方法に限らず、3端子フィルタ、インダクタ、バンドパスフィルタ、バリスタ、サーミスタなどにも適用することができる。
【0107】
また、第1研磨工程あるいは第2研磨工程に用いる研磨方法は、上述の水バレルに限定されず、ポット横型遠心バレル、ポット縦型遠心バレル、あるいはポット架台バレルなども用いても良い。この場合も、上述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0108】
また、上述の実施形態では、第1研磨用溶媒または第2研磨用溶媒として、水を用いたが、 第1研磨用溶媒またはび第2研磨用溶媒は、水に限定されず、界面活性剤等を添加した液体等を用いても良い。この場合も上述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、第1研磨用溶媒と第2研磨用溶媒とは、同種の溶媒であってよく、異なる種類の溶媒を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造工程を示す工程フロー図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造に用いる積層体の概略断面図である。
【図4】図4は、図3に示す積層体を、積層方向IVから観察した概略図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造に用いる第1研磨工程前のグリーンチップの概略断面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法における第1研磨工程において、研磨メディアとして用いるダミーチップの概略断面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造に用いる第1研磨工程後のグリーンチップの概略断面図である。
【符号の説明】
【0110】
2… 積層セラミックコンデンサ
4… コンデンサ素体
6… 第1外部電極
8… 第2外部電極
10… 内層側誘電体層
10a… 内層用グリーンシート
10b… 外層側誘電体層
10c… 外装用グリーンシート
12、12a… 内部電極層
16… 積層体
40… チップ領域
42… ダミー領域
44、44a… グリーンチップ
46… ダミーチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリーンシートを形成する工程と、
内部電極層を形成する工程と、
前記グリーンシートおよび前記内部電極層を複数積層して、チップ領域とダミー領域とを有する積層体を形成する工程と、
前記積層体を所定の寸法に切断して、前記チップ領域からは、前記内部電極層を有するグリーンチップを形成すると共に、前記ダミー領域からは、前記内部電極層を有さないダミーチップを同時に形成する工程と、
前記ダミーチップを用いて前記グリーンチップを研磨する第1研磨工程と、を有する積層型セラミック電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記第1研磨工程において、第1研磨用溶媒中に、前記グリーンチップと、前記ダミーチップとを含ませて、攪拌することによって、前記グリーンチップが研磨されることを特徴とする請求項1に記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記第1研磨工程後、前記グリーンチップを焼成して焼結体を形成すると共に、前記ダミーチップとを同時に焼成してダミー焼結体を形成する焼成工程と、
該焼成工程後、前記ダミー焼結体を用いて、前記焼結体を研磨する第2研磨工程と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記第2研磨工程において、第2研磨用溶媒中に、前記焼結体と、前記ダミー焼結体とを含ませて、攪拌することによって、前記焼結体が研磨されることを特徴とする請求項3に記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記第2研磨工程後、前記焼結体の側面、および前記ダミー焼結体の側面に、外部電極を形成する外部電極形成工程と、
該外部電極形成工程後、前記焼結体および前記ダミー焼結体の電気特性を評価することによって、前記焼結体のうち良品の焼結体と、不良品の焼結体とを分別すると共に、前記ダミー焼結体を同時に分別する検査工程と、を有することを特徴とする請求項3または4に記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記グリーンチップと、前記ダミーチップとが同じ寸法を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−71909(P2008−71909A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248667(P2006−248667)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】