説明

積層型チップ素子及びその製造方法

【課題】本発明は、積層型チップ素子及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明は、導電性物質で形成される内部電極を有するシートが複数積層されてなる積層体と、前記積層体の両側に備えられる外部電極と、前記内部電極から延長され、前記内部電極を前記外部電極に電気的に連結させる接続電極と、を含む積層型チップ素子であって、前記接続電極は、前記内部電極から延長されるが、前記内部電極より薄い厚さで延長されるメッキ液浸透防止部と、前記メッキ液浸透防止部から延長されるが、前記外部電極に向かって厚さが次第に拡大される形に延長される接触補強部と、を含む積層型チップ素子及びその製造方法を開示する。
本発明によると、外部から内部電極へのメッキ液浸透を防止することができ、熱衝撃に対する耐久性を向上させることができ、内部電極と外部電極との間の接触性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型チップ素子及びその製造方法に関し、より詳細には、製造工程において外部から内部電極へのメッキ液浸透を防止することができ、熱衝撃に対する耐久性を向上させることができ、内部電極と外部電極との間の接触性を高めることができる積層型チップ素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの電子装置の小型化とともに主要部品である半導体素子の高速化及び高周波化の傾向に伴って、超高容量の積層セラミックコンデンサに対する需要が高まっている。これに対応するためには、大きさに対する静電容量を増加させる必要があり、そのため、誘電体層及び内部電極層の厚さはさらに薄くならなければらなない。
【0003】
以下、従来の積層セラミックコンデンサのような積層型チップ素子について説明すると次のとおりである。
【0004】
図1は、従来の積層型チップ素子の一部を概略的に示した断面図である。
【0005】
図1は、従来の積層型チップ素子のうち一つのシート、即ち、グリーンシートのような誘電体シートの一層に対する構造を概略的に示したものであって、図1を参照すると、従来の積層型チップ素子1は、導電性物質で形成された内部電極11を有する誘電体シート20が複数積層された積層体の形態からなることができ、前記積層体の両側には、前記内部電極11に電気的に連結される外部電極30が備えられ、積層型チップ素子を実装するための外部端子の機能を行うことができる。
【0006】
ここで、前記内部電極11は、接続電極12を介して前記外部電極30に電気的に連結される。即ち、前記接続電極12は、前記内部電極11から外側に延長されて前記外部電極30と接触することにより、前記内部電極11と前記外部電極30とを電気的に連結させることができる。
【0007】
この際、前記接続電極12は、前記内部電極11の厚さより薄い厚さbで延長されるが、これは、ディッピング(dipping)のようなメッキ法により、前記積層体の両側に前記外部電極30を形成する場合、メッキ液が前記内部電極11に侵透することを防止するためである。
【0008】
即ち、前記接続電極12を前記内部電極11の厚さと同一の厚さに延長させて、前記外部電極30に電気的に連結する場合、前記接続電極12と前記外部電極30との間の接触性は良好であるが、前記外部電極30の形成工程の際メッキ液が前記接続電極12を介して前記内部電極11に浸透される恐れがある。
【0009】
特に、前記接続電極12は、前記誘電体シート20のラウンド状の角の中心から垂直距離が一定間隔aを維持するように、前記内部電極11の厚さより薄い厚さbに形成され、これにより前記メッキ液が前記接続電極12に浸透されることを防止することができる。
【0010】
しかし、このような場合、前記接続電極12の厚さが前記内部電極11の厚さより薄く形成されるため、前記外部電極30と接触する前記接続電極12の接触面積が減少して、前記内部電極11と前記外部電極30との間の接触性が低下する。そのため、積層型チップ素子の電気的容量が低下する現象が発生し、前記容量低下の現象が他の問題点に係わる場合、容量ゼロ現象まで発生する問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国特許第10−0578296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記のような問題点を解決するために導き出された本発明は、製造工程において外部から内部電極へのメッキ液浸透を防止することができ、熱衝撃に対する耐久性を向上させることができる積層型チップ素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
本発明の他の目的は、積層型チップ素子の内部電極と外部電極との連結性を向上させることができる積層型チップ素子及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を果たすために、本発明は、導電性物質で形成される内部電極を有するシートが複数積層されてなる積層体と、前記積層体の両側に備えられる外部電極と、前記内部電極から延長され、前記内部電極を前記外部電極に電気的に連結させる接続電極と、を含む積層型チップ素子であって、前記接続電極は、前記内部電極から延長されるが、前記内部電極より薄い厚さで延長されるメッキ液浸透防止部と、前記メッキ液浸透防止部から延長されるが、前記外部電極に向かって厚さが次第に拡大される形に延長される接触補強部と、を含む積層型チップ素子を提供する。
【0015】
前記シートは、角がラウンド状に形成されたグリーンシートからなることができ、前記接触補強部は、前記接続電極のうち、実質的に前記シートの角の中心から最短距離にある地点から延長形成されることができる。
前記メッキ液浸透防止部は、同一の厚さで延長されることができる。
【0016】
前記メッキ液浸透防止部の厚さは、実質的に前記内部電極の厚さに対して20〜60%の厚さに形成されることができ、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分の厚さは、実質的に前記内部電極の厚さに対して60〜85%の厚さに形成されることができる。
【0017】
前記内部電極が250〜340μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが110〜250μmに形成される場合、前記シートが40層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は210〜290μmの厚さに形成されることができ、前記シートが40層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は、200〜270μmの厚さに形成されることができる。
【0018】
前記内部電極が250〜840μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが120〜480μmに形成される場合、前記シートが40層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は210〜710μmの厚さに形成されることができ、前記シートが40層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は、200〜670μmの厚さに形成されることができる。
【0019】
前記内部電極が285〜799μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが180〜1030μmに形成される場合、前記シートが40層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分が240〜680μmの厚さに形成されることができ、前記シートが40層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は230〜640μmの厚さに形成されることができる。
【0020】
前記内部電極が800〜1740μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが180〜1030μmに形成される場合、前記シートが50層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は680〜1480μmの厚さに形成されることができ、前記シートが50層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は600〜1300μmの厚さに形成されることができる。
【0021】
前記内部電極が1119〜1740μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが210〜1220μmに形成される場合、前記シートが50層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は950〜1480μmの厚さに形成されることができ、前記シートが50層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は840〜1300μmの厚さに形成されることができる。
【0022】
前記内部電極が1200〜1980μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが210〜1220μmに形成される場合、前記シートが50層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は900〜1480μmの厚さに形成されることができ、前記シートが50層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は840〜1380μmの厚さに形成されることができる。
【0023】
前記内部電極が1200〜1599μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが140〜1080μmに形成される場合、前記シートが50層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は900〜1200μmの厚さに形成されることができ、前記シートが50層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は840〜1120μmの厚さに形成されることができる。
【0024】
前記内部電極が1600〜1730μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが140〜1080μmに形成される場合、前記シートが50層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は1120〜1200μmの厚さに形成されることができ、前記シートが50層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は1040〜1120μmの厚さに形成されることができる。
【0025】
前記内部電極が2150〜2499μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが290〜550μmに形成される場合、前記シートが50層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は1500〜1750μmの厚さに形成されることができ、前記シートが50層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は1400〜1620μmの厚さに形成されることができる。
【0026】
前記内部電極が2501〜2750μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが290〜550μmに形成される場合、前記シートが50層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は1750〜1920μmの厚さに形成されることができ、前記シートが50層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は1500〜1650μmの厚さに形成されることができる。
【0027】
前記積層型チップ素子は、前記接続電極に形成されるエマルションブロック(emulsion block)をさらに含むことができる。
【0028】
前記エマルションブロックは、前記接続電極を形成する際、接続電極形成用マスクに前記エマルションブロックに対応する形態で形成される開口孔により、前記シートに導電性物質が未塗布になって形成されることができる。
【0029】
前記積層型チップ素子は、積層セラミックコンデンサ(MLCC)を含むことができる。
【0030】
前記目的を果たすための他の形態として、本発明は、シートに内部電極を形成する段階と、前記内部電極から延長され、メッキ液浸透防止部と接触補強部からなる接続電極を形成する段階と、前記内部電極及び前記接続電極が形成されたシートを複数積層して積層体を形成する段階と、前記積層体の両側に外部電極を形成する段階と、を含む積層型チップ素子の製造方法を提供する。
【0031】
前記メッキ液浸透防止部は、前記内部電極より薄い厚さで延長形成されることができ、前記接触補強部は、前記メッキ液浸透防止部から延長されるが前記外部電極に向かって厚さが次第に拡大される形に延長形成されることができる。
【0032】
前記シートは、角がラウンド状に形成されることができ、前記接触補強部は、前記接続電極のうち、実質的に前記シートのラウンド状の角の中心から最短距離にある地点から延長形成されることができる。
【0033】
前記メッキ液浸透防止部は、同一の厚さで延長されることができる。
【0034】
前記メッキ液浸透防止部の厚さは、実質的に前記内部電極の厚さに対して20〜60%の厚さに形成されることができ、前記接触補強部のうち、前記外部電極と接触する部分の厚さは、実質的に前記内部電極の厚さに対して60〜85%の厚さに形成されることができる。
【発明の効果】
【0035】
以上で説明したように、本発明による積層型チップ素子及びその製造方法によると、外部から内部電極へのメッキ液浸透を防止することができる利点がある。
【0036】
また、本発明による積層型チップ素子及びその製造方法によると、製造または実装工程などにおいて熱衝撃により発生されるクラック不良を最小化することができる利点がある。
【0037】
また、本発明による積層型チップ素子及びその製造方法によると、内部電極と外部電極の連結性を向上させて容量が低下されることを防止することにより、製品性能及び信頼性を向上することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】従来の積層型チップ素子の一部を概略的に示した断面図である。
【図2】本発明による積層型チップ素子の一実施形態の一部を概略的に示した断面図である。
【図3】図2のA部を概略的に示した拡大図である。
【図4】本発明による積層型チップ素子の他の実施形態の一部を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付した図面を参照して、本発明の目的を具体的に実現することができる本発明の好ましい実施例について説明する。本実施例を説明するにあたり、同一の構成に対しては同一の名称及び符号を用いて、これに対する付加説明は省略する。
【0040】
添付の図1乃至図3を参照して本発明による積層型チップ素子及びその製造方法についてより詳細に説明すると、次のとおりである。
【0041】
図2は、本発明による積層型チップ素子の一実施形態の一部を概略的に示した断面図であり、図3は、図2のA部を概略的に示した拡大図であり、図4は、本発明による積層型チップ素子の他の実施形態の一部を概略的に示した断面図である。
【0042】
先ず、図2及び図3を参照すると、本発明による積層型チップ素子100の一実施形態は、導電性物質で形成される内部電極111を有するシート120が複数積層されてなる積層体と、前記積層体の両側に備えられる外部電極130と、前記内部電極111から延長され、前記内部電極111を前記外部電極130に電気的に連結させる接続電極112と、を含んで構成されることができる。
【0043】
ここで、本実施形態による積層型チップ素子100における前記接続電極112は、メッキ液浸透防止部112aと、接触補強部112bと、を含んで構成されることができる。
【0044】
この際、前記メッキ液浸透防止部112aは、前記内部電極111から延長形成されるが、前記内部電極111の厚さfより薄い厚さbで延長されて形成されることができ、同一の厚さを有するように延長されることができる。
【0045】
そして、前記接触補強部112bは、前記メッキ液浸透防止部112aから延長形成されるが、前記外部電極130に向かって厚さが次第に拡大される形に延長されて形成されることができる。
【0046】
一方、前記シート120は、角がラウンド状に形成された誘電体のグリーンシートからなることができ、これにより前記接触補強部112bは、前記接続電極112のうち、実質的に前記シート120の角の中心から最短距離aにある地点から延長形成されることができる。
【0047】
これは、ディッピング(dipping)方法により、前記積層体の両側に外部電極130をメッキして形成する工程において、メッキ液が前記積層体、即ち、シート120の角の中心から主に浸透されるため、前記メッキ液浸透防止部112aは、少なくとも、前記シート120の角の中心から最短距離aにある地点まで延長形成されることができ、これにより、前記接触補強部112bは前記地点から前記外部電極130に向かって厚さが次第に拡大される形に延長形成されることができる。
【0048】
この際、前記接触補強部112bは、前記外部電極130に向かって厚さが次第に拡大される形を有するが、急に拡大されすぎて、前記接触補強部112bのうち、前記外部電極130と接触する部分の厚さgと、前記メッキ液浸透防止部112aの厚さbとの差の約半分の大きさcが大きくなりすぎると、前記シート120の角の中心との距離b1が短くなってメッキ液浸透可能性が高くなるため、これを考慮して設計することが好ましい。
【0049】
前記メッキ液浸透防止部112aの厚さbは、実質的に前記内部電極111の厚さfに対して20〜60%の厚さに形成されることが好ましく、前記接触補強部112bのうち前記外部電極130と接触する部分の厚さgは、実質的に前記内部電極の厚さfに対して60〜85%の厚さに形成されることが好ましい。
【0050】
また、前記接続電極112の全体の延長長さi毎の前記メッキ液浸透防止部112aの延長長さh、即ち、前記接触補強部112bのスタート点は、下記の表1のような場合、比較的に最適の割合を有することができる。
【0051】
【表1】

【0052】
また、前記内部電極111の厚さfに対する前記接触補強部112bの接触部分の厚さgの最適の割合g/fと、前記内部電極111の厚さfに対する前記メッキ液浸透防止部112aの延長長さhの最適の割合h/f、またこの際の容量パーセンテージ及び接触性の発生頻度を実験した結果は、下記の表2のとおりである。
【0053】
【表2】

【0054】
実験を行った結果、内部電極111の厚さfが薄い場合、接触補強部112bの接触部分の厚さgが厚くなり、容量パーセンテージも小幅に上昇することが分かり、前記内部電極111の厚さfに対する前記接触補強部112bの接触部分の厚さgの最適の割合g/fが85%になると、接触性の発生頻度が急激に減少されることが分かる。
【0055】
また、前記内部電極111の厚さfが異なる場合でも、前記内部電極111の厚さfに対する前記接触補強部112bの接触部分の厚さgの最適の割合g/fが85%である場合を比較した結果、同様な結果を示すことが確認できた。その結果、前記内部電極111の厚さfに関係なく、前記内部電極111の厚さfに対する前記接触補強部112bの接触部分の厚さgの最適の割合g/fが85%と認められると、接触性不良を改善することができるということが確認できた。但し、メッキ液浸透による内部電極のクラック発生は、前記内部電極111の厚さfに対する前記接触補強部112bの接触部分の厚さgの最適の割合g/fがより低いほど減少される。
【0056】
さらに、シート120の積層数が減少すると、外部電極130と前記接続電極112との接触面積が減少し、積層数毎に前記内部電極111の厚さfに対する前記接触補強部112bの接触部分の厚さgの最適の割合g/fが変化し得るため、積層数を異にして接触性の発生頻度がどのように変化するかについても確認した。
【0057】
この際、積層セラミックコンデンサのサイズ、即ち、内部電極111の厚さf毎に同一の材料で同一の工程において実験を行った。また、焼成後に本研磨を適用しなかった場合、表面酸化層のノイズにより接触性の影響が大きくなるため、本研磨を施し、走査{そうさ}プローブリソグラフィー(Scanning Probe Lithography;SPL)を行ってそれぞれの差を確認した。その後、電極を塗布し外部電極を形成するためのメッキを行い、各条件毎に測定選別装置により選別した後、容量ゼロの不良を別途実測して、接触による不良の発生頻度を確認した。但し、内部電極の厚さ毎の絶対的な接触面積が異なるため、これに適する焼結温度を有した外部電極ペーストを使用した。
【0058】
前記のように実験を行った結果、内部電極111の厚さfに対する層数毎の前記接触補強部112bの接触部分の厚さgに対する最適の条件及び前記内部電極111の厚さfに対する前記接触部分の厚さgの最適の割合は、下記表3のとおりであった。
【0059】
【表3】

【0060】
前記のような最適の割合に基づき接触補強部112bの接触部分の厚さgを設計すると、メッキ液浸透防止のための接触部分のマージンを維持しながら外部電極との接触性を改善し、生産収率と信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを製造することができる。
【0061】
一方、図4に図示されたように、本発明による積層型チップ素子は、接続電極212にエマルションブロック213をさらに含んでなることができる。
【0062】
ここで、前記エマルションブロック213は、前記接続電極212を形成する際、接続電極形成用マスクに前記エマルションブロック213に対応する形態で形成される開口孔により、誘電体のシート220に導電性物質からなるペーストが未塗布になって形成されることができる。
【0063】
本実施形態による積層型チップ素子は、前記接続電極212、即ち、接触補強部212bにエマルションブロックを形成することにより、前記接続電極212を形成するために前記マスクを用いて導電性ペーストを印刷方式で塗布した後前記マスクを取り除く場合、前記エマルションブロック213に対応する開口孔が前記導電性ペーストを自動的に上げさせるため、前記接触補強部212bの高さを高めることができ、これにより、焼結工程の後、電極の連結が中断されるサドル(saddle)現象を防止して電気的連結性を向上させることができる。
【0064】
以上で説明した本発明の好ましい実施形態は例示を目的として開示されたものに過ぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であり、このような置換、変形及び変更は、添付された特許請求の範囲に属するものと理解すべきであろう。
【符号の説明】
【0065】
100 積層型チップ素子
111 内部電極
112 接続電極
112a メッキ液浸透防止部
112b 接触補強部
120 シート
130 外部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性物質で形成される内部電極を有するシートが複数積層されてなる積層体と、前記積層体の両側に備えられる外部電極と、前記内部電極から延長され、前記内部電極を前記外部電極に電気的に連結させる接続電極と、を含む積層型チップ素子であって、
前記接続電極は、
前記内部電極から延長されるが、前記内部電極より薄い厚さで延長されるメッキ液浸透防止部と、
前記メッキ液浸透防止部から延長されるが、前記外部電極に向かって厚さが次第に拡大される形に延長される接触補強部と、を含む積層型チップ素子。
【請求項2】
前記シートは、角がラウンド状に形成されたグリーンシートからなり、
前記接触補強部は、前記接続電極のうち、実質的に前記シートの角の中心から最短距離にある地点から延長形成される請求項1に記載の積層型チップ素子。
【請求項3】
前記メッキ液浸透防止部は同一の厚さで延長される請求項1に記載の積層型チップ素子。
【請求項4】
前記メッキ液浸透防止部の厚さは、実質的に前記内部電極の厚さに対して20〜60%の厚さに形成され、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分の厚さは、実質的に前記内部電極の厚さに対して60〜85%の厚さに形成される請求項1に記載の積層型チップ素子。
【請求項5】
前記内部電極が250〜340μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが110〜250μmに形成される場合、前記シートが40層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は210〜290μmの厚さに形成され、前記シートが40層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は、200〜270μmの厚さに形成される請求項4に記載の積層型チップ素子。
【請求項6】
前記内部電極が250〜840μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが120〜480μmに形成される場合、前記シートが40層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は210〜710μmの厚さに形成され、前記シートが40層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は、200〜670μmの厚さに形成される請求項4に記載の積層型チップ素子。
【請求項7】
前記内部電極が285〜799μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが180〜1030μmに形成される場合、前記シートが40層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分が240〜680μmの厚さに形成され、前記シートが40層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は230〜640μmの厚さに形成される請求項4に記載の積層型チップ素子。
【請求項8】
前記内部電極が800〜1740μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが180〜1030μmに形成される場合、前記シートが50層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は680〜1480μmの厚さに形成され、前記シートが50層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は600〜1300μmの厚さに形成される請求項4に記載の積層型チップ素子。
【請求項9】
前記内部電極が1119〜1740μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが210〜1220μmに形成される場合、前記シートが50層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は950〜1480μmの厚さに形成され、前記シートが50層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は840〜1300μmの厚さに形成される請求項4に記載の積層型チップ素子。
【請求項10】
前記内部電極が1200〜1980μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが210〜1220μmに形成される場合、前記シートが50層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は900〜1480μmの厚さに形成され、前記シートが50層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は840〜1380μmの厚さに形成される請求項4に記載の積層型チップ素子。
【請求項11】
前記内部電極が1200〜1599μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが140〜1080μmに形成される場合、前記シートが50層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は900〜1200μmの厚さに形成され、前記シートが50層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は840〜1120μmの厚さに形成される請求項4に記載の積層型チップ素子。
【請求項12】
前記内部電極が1600〜1730μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが140〜1080μmに形成される場合、前記シートが50層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は1120〜1200μmの厚さに形成され、前記シートが50層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は1040〜1120μmの厚さに形成される請求項4に記載の積層型チップ素子。
【請求項13】
前記内部電極が2150〜2499μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが290〜550μmに形成される場合、前記シートが50層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は1500〜1750μmの厚さに形成され、前記シートが50層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は1400〜1620μmの厚さに形成される請求項4に記載の積層型チップ素子。
【請求項14】
前記内部電極が2501〜2750μmの厚さに形成され、前記メッキ液浸透防止部の延長長さが290〜550μmに形成される場合、前記シートが50層未満に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は1750〜1920μmの厚さに形成され、前記シートが50層以上に積層されると、前記接触補強部のうち前記外部電極と接触する部分は1500〜1650μmの厚さに形成される請求項4に記載の積層型チップ素子。
【請求項15】
前記接続電極に形成されるエマルションブロックをさらに含む請求項1に記載の積層型チップ素子。
【請求項16】
前記エマルションブロックは、前記接続電極を形成する際、接続電極形成用マスクに前記エマルションブロックに対応する形態で形成される開口孔により、前記シートに導電性物質が未塗布になって形成される請求項15に記載の積層型チップ素子。
【請求項17】
前記積層型チップ素子は、積層セラミックコンデンサ(MLCC)を含む請求項1に記載の積層型チップ素子。
【請求項18】
シートに内部電極を形成する段階と、
前記内部電極から延長され、メッキ液浸透防止部と接触補強部からなる接続電極を形成する段階と、
前記内部電極及び前記接続電極が形成されたシートを複数積層して積層体を形成する段階と、
前記積層体の両側に外部電極を形成する段階と、を含む積層型チップ素子の製造方法。
【請求項19】
前記メッキ液浸透防止部は、前記内部電極より薄い厚さで延長形成され、
前記接触補強部は、前記メッキ液浸透防止部から延長されるが、前記外部電極に向かって厚さが次第に拡大される形に延長形成される請求項18に記載の積層型チップ素子の製造方法。
【請求項20】
前記シートは、角がラウンド状に形成され、
前記接触補強部は、前記接続電極のうち、実質的に前記シートのラウンド状の角の中心から最短距離にある地点から延長形成される請求項18に記載の積層型チップ素子の製造方法。
【請求項21】
前記メッキ液浸透防止部は、同一の厚さで延長される請求項18に記載の積層型チップ素子の製造方法。
【請求項22】
前記メッキ液浸透防止部の厚さは、実質的に前記内部電極の厚さに対して20〜60%の厚さに形成され、前記接触補強部のうち、前記外部電極と接触する部分の厚さは、実質的に前記内部電極の厚さに対して60〜85%の厚さに形成される請求項18に記載の積層型チップ素子の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−4980(P2013−4980A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134550(P2012−134550)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】