説明

積層型多回路押圧スイッチ、及びそれを用いた正誤判定装置

【課題】 積層型多回路押圧スイッチの外形形状を小さくしてコストダウンを図ること。
【解決手段】 第1のFPC2は、所定の位置で分割され、相互に非導通のオフパターンを有し、第2のFPC3は、オフパターンに当接して該オフパターンを導通に切り換えるオンパターンを有し、スペーサ4は、上記オフパターン、及び上記オンパターンの当接部分を回避して、上記第1のFPC2、及び上記第2のFPC3間に積層され、上記オフパターンと上記オンパターンとの間に所定の間隙を維持し、押圧子1は、上記オフパターン、及び上記オンパターンの少なくとも一方から上記間隙方向に押圧し、上記オフパターンを上記非導通から上記導通に切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多回路押圧スイッチ、特に積層型多回路押圧スイッチ、及び該積層型多回路押圧スイッチを用いた正誤判定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、操作者が押ボタンを一回押下することによって複数の回路をオン・オフ出来る、多回路押圧スイッチの用途が拡大している。特に、積層型多回路押圧スイッチが多く用いられている。ここで、正誤判定装置に用いられ、装置内に挿入されたカードに設けられている解答部分の導通、非導通を検出する積層型2回路押圧スイッチを例に挙げて、積層型多回路押圧スイッチの従来技術について説明する。
【0003】
図7は、従来の積層型2回路押圧スイッチの説明図である。
(a)は、従来の積層型2回路押圧スイッチの平面図であり、(b)は、従来の積層型2回路押圧スイッチのオフ状態に於けるA−A断面側面図であり、(c)は、従来の積層型2回路押圧スイッチのオン状態に於けるA−A断面側面図である。
【0004】
(b)に於いて、50は可動接点であり、51は固定接点である。固定接点51は、基板52の図中上面に導通状態に固着されている。基板52は両面プリント基板であり、上面パターン52−1が基板52の全面を覆い、下面は、下面パターン52−2と下面パターン52−3とが相互に、非導通状態に分割されている。53は、ゼブラコンタクトである。ゼブラコンタクト53は、絶縁層53−1、導電層53−2、絶縁層53−3、導電層53−4、絶縁層53−5の順に絶縁ゴム層と導電ゴム層とが積層されている(特許文献1参照)。
【0005】
ゼブラコンタクト53の上面は、導電層53−2が基板52の下面パターン52−2と、絶縁層53−3が基板52の下面パターン52−2及び下面パターン52−3の境界部分と、導電層53−4が基板52の下面パターン52−3にそれぞれ当接して配設される。一方ゼブラコンタクト53の下面は装置内部に挿入されたカード(ここでは導体55)に当接して配設される。
【0006】
可動接点50と、基板52との間にはコイルスプリング54が挟圧状態に配設され、可動接点50と固定接点51とはオフ状態に維持される。又、ゼブラコンタクト53には、未だ操作者による押圧力Fが印加されていないので、導電層53−2、及び導電層53−4は抵抗値大であり、下面パターン52−2、及び下面パターン52−3はオフ状態に維持されている。
【0007】
次に(c)に示すように、可動接点50に操作者による押圧力Fが印加されると、押圧力Fの一部は、最初にコイルスプリング54に蓄積され、可動接点50と固定接点51は接触する。この状態で可動接点50と固定接点51との間が導通状態になり第一のスイッチ(可動接点50と固定接点51により構成)はオン状態になる。
【0008】
操作者が更に押圧力Fを増加すると、この押圧力は、ゼブラコンタクト53の内部に蓄積される。このとき押圧力が所定の圧力以上になると、導電層53−2、及び導電層53−4の抵抗値は減少する。その結果、下面パターン52−2→導電層53−2→導体55→導電層53−4→下面パターン52−3の電流通路が生成され第二のスイッチ(下面パターン52−2と下面パターン52−3の境界部分により構成)はオン状態になる。その結果、装置内部に挿入されたカード上の導体55を検出する事になる。カード上に導体55が存在しない場合には上記通路が形成されないので操作者が押圧力Fを増加しても第二のスイッチはオフ状態を維持することになる。
【特許文献1】特開平10−293303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、上記従来技術による積層型2回路押圧スイッチでは、外形形状が大きくなりコストアップが余儀なくされている点である。更に、第一のスイッチと第二のスイッチの動作順、更には、両スイッチ間での動作遅延量がコイルスプリング、及びゼブラコンタクトの弾性特性によって定まるので精密に制御することは不可能に近く、時には動作順番が逆転し誤動作する点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
所定の位置で分割され相互に非導通のオフパターンを有する第1のFPCと、上記オフパターンに当接して該オフパターンを導通に切り換えるオンパターンを有する第2のFPCと、上記オフパターン、及び上記オンパターンの当接部分を回避して、上記第1のFPC、及び上記第2のFPCとの間に所定の間隙を維持するスぺーサとを積層することによって、上記第1のFPC、及び上記第2のFPCの面方向への張力がノーマルオフ状態を維持し、押圧子が上記第1のFPC、及び上記第2のFPCとを厚さ方向に押圧し、上記オフパターンとオンパターンとを当接させてオン状態に切り換えることを最も大きな特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1のFPC、及び上記第2のFPCの面方向への張力がノーマルオフ状態を維持し、押圧子が上記第1のFPC、及び上記第2のFPCとを厚さ方向の押圧し、上記オフパターンとオンパターンとを当接させてオン状態に切り換えるので、外形形状が小さくなり、且つ、押圧子の移動方向上流から順番にオフパターンがオン状態に切り換えられることが保証されるという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の積層型2回路押圧スイッチを正誤判定装置に適用し、該正誤判定装置の制御系統に於ける信号入力部、遅延時間計測部、及び判定部を予め装置内部のROM(リードオンリメモリ)に格納してある所定のプログラムを実行することによって起動するコンピュータ制御手段によって構成した。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の積層型2回路押圧スイッチの説明図である。
(a)は、本発明の積層型2回路押圧スイッチの平面図であり、(b)は、本発明の積層型2回路押圧スイッチのオフ状態に於けるA−A断面側面図であり、(c)は、本発明の積層型2回路押圧スイッチのオン状態に於けるA−A断面側面図であり、(d)は、本発明のFPC上に形成されているパターンの一例である。
【0014】
(b)に示すように、本発明の積層型2回路押圧スイッチは、押圧子1と、第1のFPC2と、第2のFPC3と、スペーサ4と、第1の押さえ板5と、第2の押さえ板6と、導体板7とを備える。
【0015】
押圧子1は、スペーサ4を挟んだ、第1のFPC2と第2のFPC3との積層体に図中上から積層体の厚さ方向に押圧力Fを印加し、ノーマルオフ状態の積層型2回路押圧スイッチを上から順にオン状態に遷移させる部分である。
【0016】
第1のFPC2は、所定の位置で分割され相互に非導通のオフパターンを有するFPC(フレキシブルプリント基板)である。オフパターンは、一例として、(d)のd−1に示すように第1のFPC2の中央部分に櫛形形状のパターンを有する下面パターン2−1と、同様に第1のFPC2の中央部分に櫛形形状のパターンを有する下面パターン2−2とからなる。この双方の櫛形形状は、お互いに噛み合った状態に形成される。また各パターンの他の先端部分は外部回路に接続され第1のスイッチ回路を形成する。
【0017】
第2のFPC3は、その上面に、上記第1のFPC2のオフパターンに当接して該オフパターンを導通に遷移させるオンパターンが形成されているFPC(フレキシブルプリント回路)である。オンパターンは一例として、(d)のd−2に示すように第1のFPC2の中央部分にあるオフパターンの櫛形形状の全面を覆うに足る大きさの矩形パターンである。又、第2のFPC3の下面には、所定の位置で分割され相互に非導通のオフパターンが形成されている。このオフパターンも第1のFPC2と同様に、一例として、(d)のd−1に示すように第2のFPC3の中央部分に櫛形形状のパターンを有する下面パターン3−1と、同様に第2のFPC3の中央部分に櫛形形状のパターンを有する下面パターン3−2とからなる。この双方の櫛形形状は、お互いに噛み合った状態に形成される。また各パターンの他の先端部分は外部回路に接続され第2のスイッチ回路を形成する。
【0018】
スペーサ4は、上記オフパターン、及び上記オンパターンの当接部分を回避して、第1のFPC2、及び第2のFPC3の間に積層され、上記オフパターン、及び上記オンパターン間に所定の間隙を維持する絶縁フィルムである。
【0019】
第1の押さえ板5は、スペーサ4を挟んだ、第1のFPC2と第2のFPC3との積層体を上側から押さえ込んで固定する部分である。
第2の押さえ板6は、スペーサ4を挟んだ、第1のFPC2と第2のFPC3との積層体を下側から押さえ込んで固定する部分である。更に、第2のFPC3のオフパターンを回避して、上記オフパターン、及び導体板7との間に所定の間隙を維持する絶縁板である。
【0020】
この第1の押さえ板5、及び第2の押さえ板6によって、スペーサ4を挟んだ、第1のFPC2と第2のFPC3との積層体を上下から挟圧する。この挟圧力によって、第1のFPC2と、第2のFPC3の面方向の張力が維持され、誤動作を回避することが出来る。
【0021】
導体板7は、第2のFPC3のオフパターンに当接して該オフパターンを導通に遷移させる部分である。本実施例の積層型2回路押圧スイッチを上記正誤判定装置に用いた場合には、この部分は問題記載カードの所定の位置に配設される解答部分(導通)に該当する。
【0022】
押圧子1は、第1のFPC2を積層体の厚さ方向に押圧し、上記オフパターンを上記非導通から前記導通に遷移させる部分である。更に、本実施例の積層型2回路押圧スイッチを上記正誤判定装置に用いた場合には、上記問題記載カードにおける解答部分が導通であるか非導通であるかを検出する部分である。
【0023】
以上説明したように、本実施例の積層型2回路押圧スイッチでは、第1のFPC2、及び第2のFPC3との間に所定の間隙を維持するスぺーサ4が積層され、この積層体が、第1の押さえ板5と第2の押さえ板6とによって、上下から挟圧される。この挟圧力によって、第1のFPC2と、第2のFPC3の面方向の張力が保持されノーマルオフ状態が維持される。又、押圧子1が上記積層体にその厚さ方向の押圧力Fを印加することによって上記オフパターンとオンパターンとを当接させてオン状態に遷移させることになる。その結果、外形形状が小さくなり、更に、押圧子の移動方向上流から第1のスイッチ回路、第2のスイッチ回路の順番でオン状態に遷移するという効果を得る。
【0024】
尚、以上の説明では、積層型2回路押圧スイッチに限定して説明したが、本発明の積層型多回路押圧スイッチはこの例に限定されるものではない。即ち、上記第1のFPC2、第2のFPC3、及びスぺーサ4とを多層積層することによって容易に積層型多回路押圧スイッチを構成出来ることは記すまでもない。
【実施例2】
【0025】
図2は、本発明の正誤判定装置の構造図である。
(a)は、本発明の正誤判定装置の平面図であり、(b)は、A−A断面側面図である。
図3は、FPCパターンの説明図である。(a)は、オフパターンの形状の一例を表し、(b)は、オンパターンの形状の一例を表している。
図4は、スペーサの説明図である。
(a)は、平面図であり、(b)は、側面図である。
【0026】
図2(a)に示すように正誤判定装置100は、本体10と問題記載カード12とを備える。
本体10には、押ボタン13−1、押ボタン13−2、押ボタン13−3が、所定の位置に配設されている。また本体10の図中左右の内側面には、問題記載カード12を本体10へ挿入する際のガイドの役割を果たすカードスライド部11−1が内設されている。
【0027】
このカードスライド部11−1は、問題記載カード12が本体10へ挿入された後に学習者が問題文12−1と解答文12−2とを読み取り可能なように問題記載カード12の縁部分以外は除去されている。又、問題記載カード12が本体10に完全に挿入されたときに問題記載カード12が、図中上下、及び左右へ位置ずれするのを防止するためのカード挿入口11−2が押ボタン13−1、押ボタン13−2、押ボタン13−3の下方に内設されている。
【0028】
問題記載カード12は、その表面に問題文12−1と解答文12−2が記載されている。更に、解答文の各解答に対応する解答領域12−3、解答領域12−4、解答領域12−5が設けられている。これら解答領域の正解答部分には導体膜が、誤解答部分には絶縁膜が、それぞれ形成されている。更に、問題記載カード12が本体10に完全に挿入されたときに、これらの解答領域が、それぞれ、押ボタン13−1、押ボタン13−2、押ボタン13−3の真下に位置するように配設されている。
【0029】
次に、本体10の内部に配設されている積層型2回路押圧スイッチについて説明する。ここでは、実施例1で説明した積層型2回路押圧スイッチが3個並列に配設されている。以下の説明では、実施例1と同様の機能を有する部分については、実施例1と同様の名称を付し、符合のみを換えて記載し、実施例1と重複する説明は省略することとする。
【0030】
図2(b)に示すように、本実施例で用いられる積層型2回路押圧スイッチは、押圧子14、第1のFPC15、第2のFPC16、スペーサ17、第1の押さえ板18、及び第2の押さえ板19を備える。
【0031】
押圧子14は、3個並列に配設され、第1のFPCを図中上から押圧し、複数個のオフパターンを個々に非導通から導通に遷移させるとともに、問題記載カード12の解答領域12−3、解答領域12−4、及び解答領域12−5が、それぞれ導通であるか非導通であるかを個々に検出する部分であり、それぞれ押ボタン13−1、押ボタン13−2、押ボタン13−3の下面に固着されている。
【0032】
第1のFPC15は、その下面に図3(a)に示すように、所定の位置で分割され相互に非導通のオフパターンが並列に複数個付着され、第1のスイッチ回路を形成するフレキシブルプリント基板である。
【0033】
第2のFPC16は、その上面に図3(b)に示すように、個々に対応する第1のFPC15のオフパターンに当接して該オフパターンを個々に導通に遷移させるオンパターンが並列に複数個付着され、更に、その下面に図3(a)に示すように、所定の位置で分割され相互に非導通のオフパターンが並列に複数個付着され、第2のスイッチ回路を形成するフレキシブルプリント基板である。
【0034】
スペーサ17は、図4に示すように、第1のFPC15の複数個のオフパターン、及び該オフパターンに個々に対応する第2のFPC16の複数個のオンパターンの当接部分を回避して、第1のFPC15、及び第2のFPC16間に積層され、第1のFPC15の複数個のオフパターンと該オフパターンに個々に対応する第2のFPC16の複数個のオンパターンとの間に所定の間隙を維持する絶縁フィルムである。
【0035】
第1の押さえ板18は、スペーサ17を挟んだ、第1のFPC15と第2のFPC16との積層体を上側から押さえ込んで固定する部分であり、その面上所定の位置に押圧子14の上下動を確保する貫通穴が設けられている。
【0036】
第2の押さえ板19は、問題記載カード12の所定の位置に上記複数個のオフパターンに対応して配設される解答領域(導通、及び非導通の何れか一方)と第2のFPC16の複数個のオフパターンとの間に、両者の当接部分を回避して所定の間隙を維持する絶縁材料の板材である。
【0037】
この第1の押さえ板18、及び第2の押さえ板19によってスペーサ17を挟んだ、第1のFPC15と第2のFPC16との積層体を上下から挟圧することによって、第1のFPC15と、第2のFPC16の面方向の張力が維持され、誤動作を回避することが出来る。
【0038】
次に、本実施例に於ける制御系統について説明する。
図5は、本発明の正誤判定装置の機能ブロック図である。
図に示すように、本発明による正誤判定装置の制御系統は、信号入力部21、遅延時間計測部22、判定部23、発音部24、ROM25、及びCPU26とを備える。
【0039】
信号入力部21は、何れかのオフパターンが導通すると該オフパターンからオン信号を受け入れて該オフパターンの位置を特定する部分であり、この部分には、オフパターンSW1−1、オフパターンSW2−1、オフパターンSW3−1からなる第1のスイッチ回路群と、オフパターンSW1−2、オフパターンSW2−2、オフパターンSW3−2からなる第2のスイッチ回路群とが、それぞれ分割して接続される。
【0040】
ここでオフパターンSW1−1とオフパターンSW1−2、オフパターンSW2−1とオフパターンSW2−2、及びオフパターンSW3−1とオフパターンSW3−2は、それぞれ押ボタン13−1(図2)、押ボタン13−2(図2)、押ボタン13−3(図2)に対応する積層型2回路押圧スイッチである。この信号入力部21は、CPU26(図2)が、予めROM25(図2)に格納されている所定のプログラムを実行することによって起動されるコンピュータ制御手段である。
【0041】
遅延時間計測部22は、信号入力部21が、何れかのオフパターンからオン信号を受け入れると、該オン信号の受入時刻から経過時間を計測する部分である。この部分は、CPU26(図2)が、予めROM25(図2)に格納されている所定のプログラムを実行することによって起動されるコンピュータ制御手段である。
【0042】
判定部23は、第1のFPC15(図2)の何れかのオフパターンからオン信号を受け入れた後、所定時間経過後に、該オフパターンと同一の積層型2回路押圧スイッチを構成する第2のFPC16(図2)のオフパターンからオン信号を受け入れたとき、その解答部分を導通と判定し、所定時間経過後に該オフパターンと同一の積層型2回路押圧スイッチを構成する第2のFPC16(図2)のオフパターンからオン信号を受け入れないとき、その解答部分を非導通と判定する部分である。この部分は、CPU26(図2)が、予めROM25(図2)に格納されている所定のプログラムを実行することによって起動されるコンピュータ制御手段である。ここで所定時間は、予め設定されROM25に予め格納されている。
【0043】
発音部24は、判定部23の判定結果に基づいて所定の通知を行う部分であり、その内部にはA音出力手段24−1、及びB音出力手段24−2とを有する。一例としてA音出力手段24−1は、ピンポン音(導通)を出力する手段であり、B音出力手段24−2は、ブー音(非導通)を出力する手段である。この部分は、CPU26(図2)が、予めROM25(図2)に格納されている所定のプログラムを実行することによって起動されるコンピュータ制御手段である。
【0044】
ROM25は、CPU26が実行して装置全体を制御するプログラムを予め格納するリードオンリーメモリである。本実施例では、特に、ROM25が実行することによって信号入力部21、遅延時間計測部22、及び判定部23とを起動するプログラムと制御データ(例えば上記所定時間)を格納する。
【0045】
CPU26は、ROM25に予め格納されているプログラムを実行することによって装置全体を制御するマイクロプロセッサである。本実施例では特に、ROM25に予め格納されているプログラムを実行することによって信号入力部21、遅延時間計測部22、及び判定部23とを起動する部分である。
【0046】
次に本発明の正誤判定装置の動作についてフローチャートを用いて説明する。
図6は、本発明の正誤判定装置の動作フローチャートである。
ステップS1〜ステップS8までステップ順に説明する。
ステップS1
学習者が所定の問題記載カード12(図2)をカードスライド部11−1(図2)にスライドさせてカード挿入口11−2(図2)まで挿入する。
【0047】
ステップS2
学習者は、問題記載カード12(図2)の表面に記載してある問題文12−1(図2)を読んで、解答文12−2(図2)を選択し、押ボタン13−1、押ボタン13−2、押ボタン13−1の中から該当する押ボタンを押下する。
【0048】
ステップS3
押ボタンの押下によって該当する第1のFPC(図2)の該当するオフパターンが導通に遷移し、信号入力部21(図5)へオン信号を送出する。
【0049】
ステップS4
信号入力部21(図5)が導通に遷移した第1のFPC(図2)のオフパターンの位置と、対応する第2のFPC(図2)のオフパターンの位置を特定する。
【0050】
ステップS5
遅延時間計測部22(図5)は、経過時間の計測を開始する。
ステップS6
判定部23(図5)は、導通に遷移した第1のFPC(図2)オフパターンの位置と、対応する第2のFPC(図2)のオフパターンからのオン信号を待って所定時間待機し、所定時間内にオン信号を受け入れた場合にはステップS7へ進み、所定時間内にオン信号を受け入れない場合にはステップS9へ進み
【0051】
ステップS7
判定部23(図5)は、第2のFPC(図2)のオフパターンが当接している解答部分は導通すると判定し(正解答)、発音部24のA音出力手段24−1(図5)は、ピンポン音を出力する。
【0052】
ステップS8
学習者が問題記載カード12(図2)を除去してフローを終了する。
ステップS9
所定時間内にオン信号を受け入れない場合なので、判定部23(図5)は、第2のFPC(図2)のオフパターンが当接している解答部分は非導通である判定し(誤解答)、発音部24のB音出力手段24−2(図5)は、ブー音を出力してステップS2へ戻る。
以下、ステップS2以降を繰り返し、ステップS6からステップS7、ステップS8へ抜けてフローを終了する。
【0053】
以上説明したように本発明の正誤判定装置は、実施例1の積層型2回路押圧スイッチを用いることによって小型で誤動作の少ない正誤判定装置を実現することが出来るという効果を得る。更に、遅延時間計測部22(図2)を備え、判定部23(図2)が、第1のFPC15(図2)の何れかのオフパターンからオン信号を受け入れた後、所定時間経過後に、該オフパターンと同一の積層型2回路押圧スイッチを構成する第2のFPC16(図2)のオフパターンからオン信号を受け入れたとき、その解答部分を導通と判定し、所定時間経過後に該オフパターンと同一の積層型2回路押圧スイッチを構成する第2のFPC16(図2)のオフパターンからオン信号を受け入れないとき、その解答部分を非導通と判定することとしたので、押ボタン押下動作中に発生する過渡ノイズ等の影響を排除することが可能になったので、より一層誤判定し難い正誤判定装置を得ることが出来るという効果を得る。
【0054】
尚、上記説明では、信号入力部21(図2)、遅延時間計測部22(図2)、及び判定部23(図2)の全てを、ROM25(図2)の内部に予め格納されているプログラムをCPU26(図2)が実行することによって起動するコンピュータ制御手段によって実現することとしているが、本発明はこの例に限定されるものではない。即ち、上記信号入力部21(図2)、遅延時間計測部22(図2)、及び判定部23(図2)の全て、又はその一部を専用の電子回路で構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上の説明では、本発明を正誤判定装置に適用した場合のみについて説明したが、本発明は、この例に限定されるものではない。即ち、操作者が押ボタンを一回押下することによって複数の回路をオン・オフ出来る、多回路押圧スイッチを必要とする全ての機器に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の積層型2回路押圧スイッチの説明図である。
【図2】本発明の正誤判定装置の構造図である。
【図3】FPCパターンの説明図である。
【図4】スペーサの説明図である。
【図5】本発明の正誤判定装置の機能ブロック図である。
【図6】本発明の正誤判定装置の動作フローチャートである。
【図7】従来の積層型2回路押圧スイッチの説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1 押圧子
2 第1のFPC
2−1 下面パターン
2−2 下面パターン
3 第2のFPC
3−1 下面パターン
3−2 下面パターン
4 スペーサ
5 第1の押さえ板
6 第2の押さえ板
7 導通板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置で分割され、相互に非導通のオフパターンを有する第1のFPC(フレキシブルプリント基板)と、
前記オフパターンに当接して該オフパターンを導通に切り換えるオンパターンを有する第2のFPCと、
前記オフパターン、及び前記オンパターンの当接部分を回避して、前記第1のFPC、及び前記第2のFPC間に積層され、前記オフパターンと前記オンパターンとの間に所定の間隙を維持するスぺーサと、
前記オフパターン、及び前記オンパターンの少なくとも一方から前記間隙方向に押圧し、前記オフパターンを前記非導通から前記導通に切り換える押圧子とを備えることを特徴とする積層型多回路押圧スイッチ。
【請求項2】
問題記載カードの所定の位置に配設される解答部分の導通、又は非導通を検出して問題解答の正誤を判定する正誤判定装置であって、
所定の位置で分割され、相互に非導通のオフパターンを並列に複数個有する第1のFPCと、
一方の面に、個々に対応する前記オフパターンに当接して該オフパターンを個々に導通に切り換えるオンパターンを並列に複数個有し、他方の面に所定の位置で分割され、相互に非導通のオフパターンを並列に複数個有する第2のFPCと、
前記第1のFPCの前記複数個のオフパターン、及び該オフパターンに個々に対応する前記第2のFPCの前記複数個のオンパターンの当接部分を回避して、前記第1のFPC、及び前記第2のFPC間に積層され、前記第1のFPCの前記複数個のオフパターンと該オフパターンに個々に対応する前記第2のFPCの前記複数個のオンパターンとの間に所定の間隙を維持するスぺーサと、
前記問題記載カードの所定の位置に前記第2のFPCの前記複数個のオフパターンに対応して配設される前記解答部分と、前記第2のFPCの前記複数個のオフパターンとの当接部分を回避して、前記複数個のオフパターンと前記解答部分との間に所定の間隙を維持する押さえ板と、
前記第1のFPCから前記間隙方向に押圧し、前記複数個のオフパターンを個々に前記非導通から前記導通に切り換えるとともに、前記解答部分の導通、又は非導通を個々に検出する複数個の押圧子とを備えることを特徴とする正誤判定装置。
【請求項3】
前記複数個の押圧子の上下動を確保する貫通穴を有し、前記第1のFPC、前記スペーサ、及び前記第2のFPCとからなる積層体を、前記押さえ板とで挟持する押圧子貫通押さえ板を更に備え、
該押圧子貫通押さえ板と前記押さえ板との間の挟圧力で前記第1のFPC、及び前記第2のFPCの面方向への張力を保持することを特徴とする請求項2に記載の正誤判定装置。
【請求項4】
何れかのオフパターンが導通すると該オフパターンからオン信号を受け入れて該オフパターンの位置を特定する信号入力部と、
該信号入力部が、前記オン信号を受け入れると、該オン信号の受入時刻から経過時間を計測する遅延時間計測部と、
前記第1のFPCの何れかのオフパターンから前記オン信号を受け入れた後、所定時間経過後に前記オン信号を出力した第1のFPCのオフパターンに対応する前記第2のFPCのオフパターンからオン信号を受け入れたとき前記解答部分を導通と判定し、所定時間経過後に前記オン信号を出力した第1のFPCのオフパターンに対応する前記第2のFPCのオフパターンからオン信号を受け入れないとき前記解答部分を非導通と判定する判定部と、
該判定部の判定結果に基づいて所定の通知を行う判定結果通知部とを更に備えることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の正誤判定装置。
【請求項5】
前記判定結果通知部は、前記判定部による導通の判定結果に基づいて所定の音波を生成し、前記判定部による非導通の判定結果に基づいて、前記所定の音波とは異なる音波を生成することを特徴とする請求項4に記載の正誤判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−173032(P2006−173032A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367085(P2004−367085)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(504385638)
【Fターム(参考)】