説明

積層磁石

【課題】より経済的な希土類永久磁石を提供する。
【解決手段】複数の主磁石層(10、10’)と、複数の下位磁石層(11、12、13、11’、12’、13’、14)とを有する、電気機械(2)の磁石装置用の積層磁石(1、1’)が提供され、各磁石層(10、10’、11、12、13、11’、12’、13’、14)はランタニドの層濃度を有する強磁性体を含み、該ランタニドの層濃度が主磁石層(10、10’)において最大である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層磁石および積層磁石の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機やモータなどの電気機械では、複数の磁石が複数のコイルまたは巻線に対向して設けられている。一般に、特に大きい電気機械において、磁石は回転する部材すなわちロータ上に配置され、巻線は動かない部材すなわちステータ上に配置されている。便宜上、以下の記載では、磁石がステータに等しく良好に取り付けられており、巻線がロータ上に設けられているような装置を仮定する。
【0003】
発電機の場合、磁石はたとえば硬質の強磁性体材料から作られた永久磁石であり、これは適切な強磁界によって磁化され、その寿命にわたってその磁気モーメントを保持する。発電機において、永久磁石の強磁界はステータ巻線に電流を誘導する。しかし、永久磁石の磁界は均一ではなく、消磁場が磁石の全体の磁気モーメントを減少させる。永久磁石の保磁力すなわち消磁に抵抗する能力は、ネオジム(Nd)やジスプロシウム(Dy)などの希土類(ランタニド)金属の少量の添加により改善可能である。したがって、このような希土類永久磁石の装置を用いることにより、発電機の効率を向上させることができる。
【0004】
既知の種類の希土類永久磁石において、磁石材料の粒子間の磁気分離を向上させるため、および、磁石の保磁力を向上するために、1つまたは複数の適切なランタニド金属たとえばネオジム、ジスプロシウム、サマリウム(Sm)などが製造プロセスにおいて磁石材料と化合される。磁石の保磁力は選択されたランタニドの濃度に直接関係する。大きい永久磁石の製造に通常用いられる粉末焼結法では、鉄(Fe)等の磁石材料が粉末の形態で任意のランタニドまたは他の材料(たとえばNdFeB磁石の場合にはホウ素(B))と化合され、プレス成形され、焼結される。このやり方では、ランタニドは磁石本体中に実質的に等しく分散され、均一な保磁力が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ジスプロシウムなどのランタニドは非常に高価であり、電気機械の全体のコストを押し上げる。機械が大きいほど、相応に、大きい磁石に必要な材料が増加する。たとえば、風力タービンの多極直接駆動発電機は7m〜10mの直径および約2mの長さを有しており、たとえば、ロータの長さ方向に沿って延びる、それぞれ幅および高さが数cm、長さが最大2mの数百個の磁石が必要である。
【0006】
したがって、本発明の課題は、より経済的な希土類永久磁石を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1記載の積層磁石、請求項9記載の積層磁石の製造方法、請求項12記載の磁石装置および請求項13記載の電気機械により満たされる。
【0008】
本発明によれば、電気機械の磁石装置用の積層磁石は、複数の主磁石層と、複数の下位磁石層とを有し、各磁石層はランタニドの層濃度を有する強磁性体を含み、該ランタニドの層濃度が主磁石層において最大である。
【0009】
本発明に係る積層磁石の利点は、非常に好ましい保磁力特性を有する希土類永久磁石を提供すると共に、ランタニドの総量を最小に維持できることである。本発明は、電気機械の動作中に永久磁石に働く消磁力についての観察に基づいている。消磁力が磁石の全領域について等しい程度で作用せず、したがって、磁石の全領域について高い保磁力のメリットがあるわけではないではないことが観察された。磁場の力は磁石の外側領域、すなわち、場により近い領域において最大である。これらはエアギャップに最も近い領域であり、消磁場はこれらの領域において最も強い。ランタニド濃度が磁石全体にわたって均一な従来技術の希土類永久磁石では、高い保磁力が磁石の全領域において実際に必要とされるわけではないため、かなりの部分のランタニドが事実上「無駄になる」。異なる量および濃度のランタニドが用いられる本発明に係る積層磁石では、より高い濃度のランタニドが、それが最もメリットのある場所、すなわち、高い保磁力が必要である磁石の領域において実現され、より低い濃度が、高い保磁力がメリットとならない磁石の部分において用いられる。既知の種類の希土類永久磁石と異なり、本発明に係る積層磁石は、磁石の様々な領域における消磁場に抵抗するために実際に必要な量のランタニドしか用いない。
【0010】
本発明において、電気機械の磁石装置用の積層磁石の製造方法は、複数の主磁石層および複数の下位磁石層を用意するステップであって、各磁石層は強磁性体を含む、ステップと、ランタニドの層濃度が主磁石層において最大であるように、磁石層におけるランタニドの層濃度を導入するステップと、積層磁石を得るように、磁石層を配置するステップと、を含む。
【0011】
本発明にかかる方法の利点は、各磁石層が、既知の適切な方法たとえば粉末焼結を用いて製造可能であり、そして、1つまたは複数のランタニドの全体的な不均一性および好ましい経済的分布を有する永久磁石を得るために、これらの層が積層可能であることである。
【0012】
本発明によれば、電気機械のための磁石装置であって、磁石装置は、電気機械のロータまたはステータに設けられたこのような複数の積層磁石を有する。
【0013】
本発明によれば、電気機械はこのような磁石装置を有する。
【0014】
本発明の特に有利な実施形態および特徴は、従属請求項に記載されており、以下の詳細な説明において明らかとされる。異なる請求項のカテゴリーの特徴は、本明細書中に記載されていない他の実施形態を実現するために組み合わせてもよい。
【0015】
本発明を何ら限定するものではないが、便宜上、電気機械が発電機たとえば風力タービンの直接駆動発電機であり、積層磁石はこのタービンのロータに設けられていると以下では仮定する。通常、永久磁石の下側または取付面は、磁石がロータの外面に突き出るように、ロータの外面に接着等により取り付けられる。このような磁石はまた通常、2つの長い側または側面と、上面とを有する実質的に長方形である。以下では、「磁石」、「積層磁石」、「永久磁石」および「希土類永久磁石」の語は、本発明に係る積層磁石に関して、場合によって交換可能に用いられている。
【0016】
以下では、便宜上、積層磁石に含入されるランタニドとしてジスプロシウムが記載されている。しかし、このことはジスプロシウムのみに限定するものとして解釈されるべきではなく、他の適切なランタニドをジスプロシウムの代わりにまたはこれに加えて用いることができる。
【0017】
上述のように、電気機械の磁石回路設計に基づいて、磁石の外側領域(エアギャップに最も近い領域)がより高い消磁場を受け、エアギャップからより離れた磁石の領域がより弱い消磁場を受ける。従って、本発明の有利に好ましい実施形態では、主磁石層は、積層磁石の外側領域に設けられ、この外側領域は電気機械のエアギャップに隣接して存在する。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、積層磁石は、取付面および少なくとも1つの側面を有し、ランタニドの層濃度は、取付面に向かって減少し、および/または、側面に向かって増加する。
【0019】
磁石の取付面はエアギャップから最も遠いため、ジスプロシウムの層濃度が取付面に向かって減少することが有利である。このような実施形態では、主磁石層は、たとえば、最高のジスプロシウム濃度がエアギャップに最も近くなるように、磁石の「上」面に設けられる。
【0020】
エアギャップは隣接磁石間の領域に在るため、消磁場も磁石の長い側に沿って強い。したがって、高いジスプロシウム濃度が磁石の外面に沿って形成されるように、主磁石層を磁石の一端または両端に沿って、磁石の長軸に実質的に平行に設けることが有利である。
【0021】
均一なジスプロシウム分布を有する従来技術の磁石の量の数%たとえば5%〜6%のジスプロシウム濃度により、好ましい消磁に対する抵抗が得られることが観察された。したがって、本発明の有利な実施形態では、主磁石層におけるジスプロシウムの層濃度は、主磁石層の量の最低5%である。
【0022】
主磁石層は最も高いジスプロシウム濃度を有し、最高の保磁力が必要とされる磁石領域に設けられており、このことは、この領域が磁石全体の比較的大きい部分に存在する場合に有利である。したがって、本発明の別の実施形態では、主磁石層はいかなる下位磁石層の厚さより大きい層厚さを有する。比較的大きい主磁石層および多数の比較的小さいまたは薄い下位層を用いることにより、高い保磁力を有する比較的大きい磁石の領域が得られ、一方で、他の領域はその比較的少ない体積およびそのより低いジスプロシウム濃度のために、低い保磁力を示す。
【0023】
上述のように、風力タービンなどの電気機械で用いるための永久磁石は大きく、容易に長さが最大数m、幅および高さが最大数cmとなりうる。したがって、磁石全体の消磁場はかなりの強さとなりうる。このため、本発明の特に好ましい実施形態では、磁石層のジスプロシウム成分は、ジスプロシウムが磁石層の本体において実質的に均一に分散されるように、磁石材料と化合される。これは、上述の粉末焼結プロセスにより実現可能である。有利には、比較的大きい厚さたとえば20mmの磁石層に関して、および/または、エアギャップ近くに設けられた磁石層に関して、粉末焼結技術によってジスプロシウムの十分に均一な分散が得られる。粒界拡散(GBD)技術も、完成された層の磁気特性の向上に用いることができる。
【0024】
より薄い磁石層に関して、および/または、エアギャップからはるかに離れて設けられた磁石層に関して、代わりの、より簡潔な製造技術を用いることができる。本発明のこのような実施形態では、磁石層のジスプロシウム成分は従来の拡散プロセスにおいて磁石層中に拡散させることができる。たとえば、1つまたは複数のランタニドたとえばジスプロシウムとともに一定量のネオジムが混合された樹脂バインダを含む「グリーンシート」を用いてこのような薄い磁石層をコートし、コートした磁石を焼結することで十分である。これにより、ランタニド成分がその表面において高濃度化された磁石層が得られる。この技術によれば、厚さわずか数mmの磁石層に関してもよい結果が得られる。
【0025】
磁石層は、最終的な積層磁石を得るために、複数の異なるやり方で設けることができる。第1の好ましい実施形態の積層磁石は、磁石層の水平方向の積層を有し、この積層はロータの外面に実質的に平行に取り付け可能である。この実施形態では、取付面すなわち積層の底の下位層の磁石層は、最低のジスプロシウム濃度を有し、一方で、上面すなわち積層の主層の磁石層は最高のジスプロシウム濃度を有する。
【0026】
第2の好ましい実施形態の積層磁石は、磁石層の垂直方向の積層を含み、この積層は、層がロータ表面に対して実質的に直立してまたは垂直に設けられるように、ロータに設けることができる。積層磁石のこの実施形態において、取付面は各磁石層の一側面から構成され、一方、積層磁石の側面は最高のジスプロシウム濃度を有する主磁石層を有する。より低いジスプロシウム濃度を有する下位の磁石層は、たとえば、2つの主層の間で「サンドイッチ」される。
【0027】
勿論、これらの水平方向および垂直方向の積層の設計は、「チェッカーボード」型の設計を得るように組み合わせることができる。このような組み合わせを用いて、積層磁石の全ての外側領域における高いジスプロシウム含量および全ての内部または内側領域における低いジスプロシウム含量とすることができる。
【0028】
磁石の一定領域のみにおいて高いジスプロシウム濃度を有することにより、本発明に係る磁石の全体のジスプロシウム含量は比較可能な従来技術の希土類永久磁石のものよりも非常に低いものとなる。本発明に係る積層磁石の有利に好ましい実施形態では、全ジスプロシウム含量は、磁石の量の最大4.8%、より好ましくは最大4.4%、最も好ましくは最大4.0%である。たとえば、主磁石層において6%のジスプロシウムを含み、かつ、エアギャップから最も離れた下位層において2%のジスプロシウムのみを含む積層磁石に関して、全体のまたは総ジスプロシウム含量はわずか約4.2%であり、したがって、既知の希土類永久磁石の設計に比べて非常に経済的な利点を有する。
【0029】
冒頭に説明したように、永久磁石の外側の端部はより高い場の強さを有し、このため、消磁力は磁石のこれらの部分において最も強い。磁石の性能を向上するため、本発明の特に好ましい実施形態では、積層中の磁石層は、電気機械のエアギャップに曝される主磁石層の表面が下位の磁石層の露出した表面領域よりも大きいように寸法化されおよび/または設けられる。
【0030】
本発明に係る積層磁石は、単純な長方形のブロック形状を有し、磁石の長軸に対して垂直な方向の断面は長方形状を有する。しかし、他のデザインによってよりよい性能が得られる場合もある。たとえば、曲面状の外面を有し、これにより磁石がその長軸に沿って最も高いように設計してもよい。個々の磁石層の形状は適宜調整可能である。たとえば、水平方向に積層された構成では、主層は曲面状の上面を有し、一方、下位層は実質的に平坦な層である。垂直方向に積層された構成では、磁石層は、おおよそ、「高い」中央の下位層と、「低い」外側の主層とを得るように、異なる適切に設計された型に成形される。その結果、エアギャップに曝される上面は、全体の積層磁石またはスタックが実質的になめらかな外面を有するように、予め定めた曲線に従うような形状とされている。
【0031】
外側の下位層は適切な低濃度のたとえば2%のジスプロシウムを含む。勿論、「低濃度」とは、特に、最外層または最低層の保磁力が磁石全体の設計に特に関係してしない積層磁石に関して、層が無視できる量のジスプロシウムを有することも意味する。
【0032】
本発明に係る積層磁石の層構造は、たとえば、各粉末層が異なるジスプロシウム濃度を有する複数の粉末層により、適切な型を充填することにより実現可能である。次いで、これらの層は、共に圧着され、焼結される。しかし、本発明に係る方法の好ましい実施形態では、層は個別に形成され、得られた磁石層が1つの層となるよう、共に圧着されおよび/または接着される。好ましくは、層は共に近接して適合するように形成され、このため、積層の磁石層の間に大きなギャップは存在しない。
【0033】
希土類永久磁石はランタノイドの添加によって脆くなるため、本発明にかかる方法は、また、電気機械のロータまたはステータに取り付けるための非磁性容器中に積層を設けるステップを含む。この容器は、ロータに信頼性良く取り付け可能であり、磁石を損傷および/または腐食から保護可能な任意の適切な材料、たとえば、非磁性鉄またはプラスチックから製造可能である。
【0034】
本発明に係る電気機械は、好ましくは、風力タービンの多極発電機、有利には、直接駆動発電機である。本発明に係る非常に強力な希土類積層永久磁石の調整された保磁力のため、このような発電機は非常に好ましい効率的なやり方で実現可能である。
【0035】
本発明の他の課題および特徴は添付図面に関連して考慮される以下の詳細な説明から明らかとなる。しかし、図面は例示を目的としているのみであり、本発明の範囲を限定するものとして記載されていない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】電気機械の部分断面図および第1の時点における力線を示す。
【図2】図1の電気機械の部分断面図および第2の時点における力線を示す。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る積層磁石を示す。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る積層磁石を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図面中、全体を通して同様の参照番号は同様の対象を示している。図中の対象は必ずしも寸法を示すものではない。
【0038】
図1は、電気機械2の部分断面図、および、たとえばステータ21に対するロータ20の第1の位置に関する第1の時点における力線Fを示す。永久磁石Mはロータ20の外面上に設けられている。便宜上、図には1つの磁石のみ示されているが、複数の磁石Mがロータ20に設けられている。風力タービンの直接駆動多極発電機は、数mの直径を有する。たとえば、約7mのロータ直径を有する発電機は、ロータ20に設けられた100〜200個の永久磁石を有する。各磁石Mは、たとえば、ロータ20の長さに応じて、1.5m〜2mの長さであり、高さ2cm以上、幅15cmである。
【0039】
電気機械2の動作中、磁石Mの磁界Fはステータ21のステータ歯22の間に設けられた巻線23に誘導電流を生じさせる。電気機械の動作中、ロータ20はステータ21に対して所定の方向に動く。磁力線Fの分布は相応に変動する。しかし、消磁場は常に磁石の外側領域においてより強い。図2は力線Fの別の分布を示す。消磁力に抵抗するには高い保磁力が必要とされ、臨界領域における必要な保磁力を保証するための高い保磁力は通常材料中に比較的高い割合のジスプロシウムを導入することにより実現される。しかし、図に示されるように、消磁場は磁石の上に均一に分散されておらず、エアギャップから最も遠い磁石Mの領域において最も弱い。
【0040】
図3は本発明の第1の実施形態に係る積層磁石1を示す。この積層磁石1は、水平方向の積層Sに積層された異なる層10、11、12、13、14を有する。エアギャップに最も近くに設けられる上層10は、5%〜6%の高いジスプロシウム含量を有する主層10である。他の層11、12、13、14は下位層であり、ジスプロシウム含量が低下している。たとえば、ジスプロシム濃度は主層10の次の下位層11において3%〜4%であり、主層10から最も遠く、したがってエアギャップから最も遠い下位層14において2%〜3%の濃度まで低下する。
【0041】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る積層磁石1’を示す。ここで、2つの主層10’が磁石1’の外側に設けられ、いくつかの下位層11’、12’、13’は垂直方向の積層S’中で主層の間にサンドイッチされている。また、主層10’におけるジスプロシウム含量は高く、たとえば、5%〜6%である。他の層11’、12’、13’は、たとえば、次第にジスプロシウム濃度が減少し、たとえば、主層10’の次の下位層11’において3%〜4%、主層10’から最も離れた、すなわちエアギャップからも最も離れた中央の下位層13’において約2%〜3%である。
【0042】
図3および4における両方の磁石の積層S,S’は、たとえば、電気機械のロータに取り付けられる前に、適切な保護材料により囲まれまたは封止される。
【0043】
本発明は好ましい実施形態およびその変形例の形で説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、多くのさらなる修正および変更をなしうることは理解されるであろう。
【0044】
便宜上、本明細書を通して、「1つ」と限定していない場合は複数を排除するものではなく、「含む」、「有する」の語は他のステップまたは要素を排除するものではない。
【符号の説明】
【0045】
1、1’ 積層磁石、 2 電気機械、 10〜14 磁石層、 10’〜13’ 磁石層、 20 ロータ、 21 ステータ、 S、S’ 積層、 M 永久磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の主磁石層(10、10’)と、複数の下位磁石層(11、12、13、11’、12’、13’、14)とを有する、電気機械(2)の磁石装置用の積層磁石(1、1’)であって、
各磁石層(10、10’、11、12、13、11’、12’、13’、14)はランタニドの層濃度を有する強磁性体を含み、該ランタニドの層濃度が主磁石層(10、10’)において最大である、
ことを特徴とする積層磁石。
【請求項2】
主磁石層(10、10’)は、前記積層磁石(1、1’)のうちの外側領域に設けられている、請求項1記載の積層磁石。
【請求項3】
前記積層磁石(1、1’)は、取付面(30)および少なくとも1つの側面(31)を有し、
前記ランタニドの層濃度は、前記取付面(30)に向かって減少し、および/または、前記側面(31)に向かって増加する、
請求項1または2記載の積層磁石。
【請求項4】
前記ランタニドはジスプロシウムを含み、
主磁石層(10、10’)におけるジスプロシウムの層濃度が最低5%であり、
下位磁石層(11、12、13、11’、12’、13’、14)におけるジスプロシウムの層濃度が最大3%である、
請求項1から3のいずれか1項記載の積層磁石。
【請求項5】
前記磁石層(10、10’、11、12、13、11’、12’、13’、14)におけるジスプロシウムの総含量は、前記積層磁石(1、1’)の量の最大4.8%、より好ましくは最大4.4%、最も好ましくは最大4%である、請求項4記載の積層磁石。
【請求項6】
主磁石層(10、10’)は、全ての下位磁石層(11、12、13、11’、12’、13’、14)の厚さよりも大きい層厚さを有する、請求項1から5のいずれか1項記載の積層磁石。
【請求項7】
前記電気機械(2)のロータまたはステータの外面に実質的に平行に配置するための、磁石層(10、11、12、13、14)の水平方向の積層(S)を有する、請求項1から6のいずれか1項記載の積層磁石。
【請求項8】
前記積層磁石(1、1’)は、前記電気機械(2)のロータまたはステータの外面に実質的に垂直に配置するための、磁石層(10’、11’、12’、13’)の垂直方向の積層(S’)を有する、請求項1から7のいずれか1項記載の積層磁石。
【請求項9】
電気機械(2)の磁石装置用の積層磁石(1、1’)の製造方法であって、
複数の主磁石層(10、10’)および複数の下位磁石層(11、12、13、11’、12’、13’、14)を用意するステップであって、各磁石層(10、10’、11、12、13、11’、12’、13’、14)は強磁性体を含む、ステップと、
ランタニドの層濃度が主磁石層(10、10’)において最大であるように、前記磁石層(10、10’、11、12、13、11’、12’、13’、14)におけるランタニドの層濃度を導入するステップと、
積層磁石(M,M’)を得るように、前記磁石層(10、10’、11、12、13、11’、12’、13’、14)を配置するステップと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
磁石層(10、10’、11、12、13、11’、12’、13’、14)のランタニド成分を、拡散プロセスにより磁石層(10、10’、11、12、13、11’、12’、13’、14)中に拡散させるステップを含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記積層磁石(1、1’)を、前記磁石層(10、10’、11、12、13、11’、12’、13’、14)の圧着および/または接着により組み立てるステップを含む、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
電気機械(2)のための磁石装置であって、
前記磁石装置は、前記電気機械(2)のロータまたはステータに設けられた、請求項1から8のいずれか1項記載の複数の積層磁石(10、10’、11、12、13、11’、12’、13’、14)を有する、
ことを特徴とする磁石装置。
【請求項13】
請求項12記載の磁石装置を有する、ことを特徴とする電気機械(2)。
【請求項14】
前記磁石装置は前記電気機械(2)の前記ロータ(20)に設けられている、請求項13記載の電気機械。
【請求項15】
電気機械(2)が風力タービンの多極発電機である、請求項14記載の電気機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−191211(P2012−191211A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−52118(P2012−52118)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】