説明

積込装置および積込システム

【課題】搬送物の流れ不良、物流効率の低下を引き起こすことなく、最下流側に位置する搬送物を確実に切り出すことができる積込装置を、低コストにて実現する。
【解決手段】搬送シューター2と切出しストッパー3とを備え、搬送シューター2はパレット100を搬送する滑動面Sを有し、滑動面Sは搬送方向に向かって下方に傾斜する第一滑動面S1と、第一滑動面S1の下流端より、さらに下方に傾斜する第二滑動面S2とを有し、切出しストッパー3は第二滑動面S2の下流部に設けられ最下流側のパレット100Aと当接する下流側ストッパー31と、第一滑動面S1の下流部に設けられパレット100Aに後続するパレット100Bと当接する上流側ストッパー32とを有し、下流側ストッパー31から第二滑動面S2の上流端部までの長さは、パレット100の搬送方向の長さより短く、上流側ストッパー32はパレット100Aとパレット100Bと間隙に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱形状からなる複数の搬送物を連続的に搬送し、これら搬送物を目標の場所に積み込む積込装置、および該積込装置を備える積込システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば自動車の組立工場などにおいては、組立ラインに供給される部品群を複数のパレットに収容し、これら複数のパレットを搬送物として連続的に搬送しつつ、目標の場所に積み込むための積込装置が設けられている(例えば、「特許文献1」を参照)。
また、前記「目標の場所」が、例えば、積み込まれたパレットを一個ずつ搬送していく無動力降下装置(例えば、「特許文献2」を参照)によって構成されたエレベーター設備などである場合には、切り出し機能を備える積込装置が設けられる。
そして、前記積込装置からなる上側搬送手段や、該上側搬送手段の下方に配設され該上側搬送手段によって搬送されてきた搬送物(パレット)を引き続き搬送する下側搬送手段や、これらの上側搬送手段と下側搬送手段との間に配設され前記無動力降下装置(以下、「昇降装置」と記載)からなる昇降手段などによって、積込システムは構成される。
【0003】
ここで、従来の切り出し機能を備える積込装置の構成について、図14および図15を用いて説明する。
図14および図15は、従来の第一の積込装置201および第二の積込装置301において、それぞれの切出しストッパー203・303の動作を経時的に示した部分断面側面図である。
なお、便宜上、図14および図15における矢印Aの方向は、パレット(搬送物)200・300の搬送方向を示すものとして、また図面上の上下方向は積込装置201・301の上下方向を示すものとして各々規定し、以下の説明を行う。
【0004】
先ず、従来の第一の積込装置201について、図14を用いて説明する。
従来の積込装置201は、搬送物である複数のパレット200・200・・・を搬送する搬送シューター202を備え、該搬送シューター202には、これらパレット200・200・・・の搬送の停止、および開放を行う切出しストッパー203が設けられる。
【0005】
前記搬送シューター202の上面部には、搬送方向に向かって徐々に下方に傾斜する一直線上に、等間隔にて並設される複数の回転ローラー202a・202a・・・が軸支される。
そして、複数のパレット200・200・・・は、これら回転ローラー202a・202a・・・上に載置されることで、自重によって滑動し、搬送方向に向かって搬送される。
【0006】
一方、切出しストッパー203は、搬送シューター202において、搬送方向の下流側端部に配設されるストッパー装置203aと、該ストッパー装置203aに対して上流側に配設される突上げ装置203bとを有して構成される。そして、ストッパー装置203a、および突上げ装置203bは、回転ローラー202a・202a・・・の下方に配置されている。
前記ストッパー装置203a、および前記突上げ装置203bは、上下方向(側面視において、搬送方向に対する直交方向)に向かってロッドを伸縮させるアクチュエーターにて構成され、これらアクチュエーターのロッド先端部には、ストッパーブロック203c、および当接ローラー203dがそれぞれ配設される。
そして、これらアクチュエーターが作動することで、前記ストッパーブロック203c、および前記当接ローラー203dは、前述した複数の回転ローラー202a・202a・・・より上方に向かって突出、あるいはこれら回転ローラー202a・202a・・・の下方に向かって没入される。
なお、ストッパー装置203aと突上げ装置203bとの間の寸法は、パレット200の搬送方向に対する長さ寸法に比べて短く設定されている。
【0007】
このような構成からなる積込装置201は、以下に示す動作(積込動作)を繰り返すことで、搬送されてきた複数のパレット200・200・・・を目標の場所に積み込んでいく。
【0008】
即ち、図14(a)に示すように、ストッパーブロック203cが突出され、且つ当接ローラー203dが没入された状態において、複数の回転ローラー202a・202a・・・上を搬送されてきた複数のパレット200・200・・・は、搬送方向に沿って互いに当接しつつ、最下流側に位置するパレット200(図14(a)におけるパレット200A。以下同じ。)が、前記ストッパーブロック203cと当接されることで停止する。
【0009】
このような状態において、図14(b)に示すように、当接ローラー203dが突出されると、パレット200Aは、当接ローラー203dによって下面後端部が突き上げられ、下面前端部を支点にして、下流側に向かって下方に大きく傾く姿勢となる。
その後、ストッパーブロック203cが没入されると、パレット200Aは自重によって下流側へと動き出し、当接ローラー203dより落下した後、回転ローラー202a・202a・・・上を滑動しながら、さらに下流側へと搬送される。
【0010】
パレット200Aが下流側へと搬送されると、該パレット200Aの直後に後続するパレット200(図14(b)におけるパレット200B。以下同じ。)は、自重によって下流側へと動き出し、これに続いてパレット200Bに後続する残りのパレット200・200・・・も、下流側に位置するものから順次自重によって動き出す。
【0011】
そして、図14(c)に示すように、パレット200Bは、当接ローラー203dに当接して停止し、その後、パレット200Bに後続する残りのパレット200・200・・・も、下流側に位置するものから順次、自身の直前に位置するパレット200に当接して停止する。
つまり、最下流側に位置するパレット200Aのみが、ストッパー装置203aよりも下流側へと搬送され、これらパレット200・200・・・よりパレット200Aが切り出される。
【0012】
その後、図14(d)に示すように、搬送シューター202よりパレット200Aが搬出されると、ストッパーブロック203cが突出され、且つ当接ローラー203dが没入され、パレット200Bは自重によって下流側へと動き出し、これに続いてパレット200Bに後続する残りのパレット200・200・・・も、下流側に位置するものから順次自重によって動き出す。
そして、再び、図14(a)に示すように、パレット200Bが前記ストッパーブロック203cと当接することで、複数のパレット200・200・・・は、搬送方向に沿って互いに当接した状態で停止されるのである。
【0013】
次に、従来の第二の積込装置301について、図15を用いて説明する。
第二の積込装置301は、該積込装置301自身の構成について、前述の第一の積込装置201と同じくし、搬送物である複数のパレット300・300・・・の形状について、前述のパレット200・200・・・と相異点を有する。
なお、以下の説明においては、前述の積込装置201と同じくする箇所(積込装置301の構成)の記載は省略する。
【0014】
各パレット300の下面後部には、上方に向かって陥没する凹部300aが形成され、該凹部300aは、少なくともパレット300の下面、および後側面に向かって開口される。
【0015】
そして、図15(a)に示すように、複数の回転ローラー302a・302a・・・上を搬送されてきた複数のパレット300・300・・・は、搬送方向に沿って互いに当接した状態で凹部300aを上流側に向けて停止する。
【0016】
このような状態において、図15(b)に示すように、突上げ装置303bの当接ローラー303dが突出されると、該当接ローラー303dは、最下流側に位置するパレット300(図15(b)におけるパレット300A。以下同じ。)の凹部300aと、該パレット300Aの直後に後続するパレット300(図15(b)におけるパレット300B。以下同じ。)の前面部とによって囲まれた空間内に、下方より挿入された状態となる。
その後、ストッパー装置303aのストッパーブロック303cが没入されると、パレット300Aは自重によって下流側へと動き出し、回転ローラー302a・302a・・・上を滑動しながら、さらに下流側へと搬送される。
【0017】
パレット300Aが下流側へと搬送されると、パレット300Bは、自重によって下流側へと動き出し、これに続いてパレット300Bに後続する残りのパレット300・300・・・も、下流側に位置するものから順次自重によって動き出す。
【0018】
そして、図15(c)に示すように、パレット300Bは、当接ローラー303dに当接されて停止し、その後、パレット300Bに後続する残りのパレット300・300・・・も、下流側に位置するものから順次、自身の直前に位置するパレット300に当接されて停止する。
つまり、最下流側に位置するパレット300Aのみが、ストッパー装置303aよりも下流側へと搬送され、これらパレット300・300・・・よりパレット300Aが切り出される。
【0019】
その後、図15(d)に示すように、搬送シューター302よりパレット300Aが搬出されると、ストッパーブロック303cが突出され、且つ当接ローラー303dが没入され、パレット300Bは自重によって下流側へと動き出し、これに続いてパレット300Bに後続する残りのパレット300・300・・・も、下流側に位置するものから順次自重によって動き出す。
そして、再び、図15(a)に示すように、パレット300Bが前記ストッパーブロック303cと当接されることで、複数のパレット300・300・・・は、搬送方向に沿って互いに当接した状態で停止されるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2010−58853号公報
【特許文献2】特開2007−119128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従来の第一の積込装置201においては、前述のように複数のパレット200・200・・・よりパレット200Aを切り出す場合、突上げ装置203bにより該パレット200Aの下面後端部を上方に向かって突き上げるように構成していることから、突上げ装置203bを構成するアクチュエーターとして高出力のものを用いる必要があり、積込装置201を備える積込システム全体として設備費が嵩むこととなっていた。
また、突上げ装置203bによって突き上げられたパレット200Aは、下流側に向かって下方に大きく傾く姿勢となるところ、前記パレット200Aの下面前端部が、互いに隣接される回転ローラー202a・202a間の隙間に入り込み、前記パレット200Aの搬送が妨げられる(流れ不良が生じる)恐れがあった。
【0022】
さらに、従来の第二の積込装置301においては、複数のパレット300・300・・・が、凹部300a・300a・・・を有する特殊な形状に加工されるため、これらパレット300・300・・・の加工費が高額となり、積込装置301を備える積込システム全体として、費用が嵩むこととなっていた。
また、各パレット300内部の収納スペースは、凹部300aの容積分だけ減少することとなり、積込装置301を備える積込システム全体として、物流効率の低下を引き起こすこととなっていた。
【0023】
一方、前記「特許文献2」によって示される従来の昇降装置においては、電力や油圧などの動力源を別途設けることなく、搬送物の自重のみによって可動する構成となっている。
即ち、前記昇降装置は、主に上下方向に対向して配設される2個の大型のスプロケットと、これらスプロケット間に巻回される無端状のチェーン(連結部材)と、該チェーン(連結部材)に等間隔で配設される複数の載荷台(バケット)と、を有して構成されている。
このようなことから、前記昇降装置の設備費は低減し、前記昇降装置を備える積込システム全体の設備費も低減されることとなる。
【0024】
しかし、前記昇降装置においては、前述した構造上、載荷台(バケット)の搬送経路が上昇時と下降時とによって各々区別されることとなり、昇降装置の必要床面積(設置スペース)は増加することとなる。
従って、前記昇降装置を備える積込システム全体として、広範囲な設置スペースが必要となっていた。
【0025】
本発明は、以上に示した現状の問題点を鑑みてなされたものであり、箱形状からなる複数の搬送物(パレット)を連続的に搬送し、これら搬送物を目標の場所に積み込む積込装置であって、搬送物の流れ不良や物流効率の低下を引き起こすことなく、最下流側に位置する搬送物を確実に切り出すことができる積込装置を、低コストにて実現することを課題とする。
また、コンパクトな昇降装置を構築することで、例えば前記積込装置からなる上側搬送手段や、該上側搬送手段の下方に配設され、該上側搬送手段によって搬送されてきた搬送物(パレット)を引き続き搬送する下側搬送手段や、前記昇降装置からなり、これらの上側搬送手段と下側搬送手段との間に配設される昇降手段などからなる積込システム全体のコンパクト化を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0027】
即ち、請求項1においては、箱形状の搬送物を搬送し、該搬送物を目標の場所に積み込む積込装置であって、搬送方向に向かって複数の前記搬送物を連続的に搬送する搬送シューターと、該搬送シューターの下流部に配設され、前記搬送物の搬送の停止および開放を行う切出しストッパーと、を備え、前記搬送シューターは、前記搬送物を滑動させながら搬送する滑動面を有し、該滑動面は、搬送方向に向かって下方に傾斜する第一滑動面と、該第一滑動面の下流端から搬送方向の下流側に向けて設けられ、前記第一滑動面の傾斜角度よりも大きな角度で搬送方向に向かって下方に傾斜する第二滑動面と、を有し、前記切出しストッパーは、前記第二滑動面の下流部にて開閉自在に設けられ、閉状態において、搬送方向最下流側に位置する第一の搬送物と当接して、該第一の搬送物の搬送を停止するとともに、開状態において前記第一の搬送物の停止状態を開放する下流側ストッパー部と、前記第一滑動面の下流部にて開閉自在に設けられ、閉状態において、前記第一の搬送物の直後に後続する第二の搬送物と当接して、前記第一の搬送物を除く全ての搬送物の搬送を停止するとともに、開状態において前記第一の搬送物を除く全ての搬送物の停止状態を開放する上流側ストッパー部と、を有し、前記第二滑動面における前記下流側ストッパーの配設位置から上流端部までの長さは、前記搬送物の搬送方向に関する長さに対して短く構成され、閉状態における前記上流側ストッパーは、前記下流側ストッパーによる停止位置に位置する前記第一の搬送物の下面後部と前記第一滑動面の下流側端部との間に形成される間隙内に位置するものである。
【0028】
請求項2においては、請求項1に記載の積込装置であって、前記上流側ストッパーの先端部には、ローラー部が軸支され、前記上流側ストッパーは、前記ローラー部の外周面を前記第二の搬送物に当接しつつ回転しながら、開閉動作を行うものである。
【0029】
請求項3においては、箱形状の搬送物を搬送し、該搬送物を目標の場所に積み込む積込装置によって構成される上側搬送手段と、該上側搬送手段の下方側に配設され、該上側搬送手段によって搬送されてきた搬送物を、引き続き搬送する下側搬送手段と、上部にて前記上側搬送手段の下流側端部と連結し、下部にて前記下側搬送手段の上流側端部と連結するとともに、前記上側搬送手段によって搬送されてきた搬送物を、前記下側搬送手段に受け渡す昇降手段と、を備える積込システムであって、前記昇降手段は、前記搬送物を載置するバケットと、該バケットを上下方向に移動させる昇降機構と、を有し、前記昇降機構は、前記昇降手段の上端部にて回動可能に軸支される定滑車と、中途部にて該定滑車に巻回されつつ、両端部を下方に垂下させる連結部材と、該連結部材の一方の端部に連結されるウエイトと、により構成し、前記連結部材の他方の端部は、前記バケットと連結されるとともに、前記ウエイトは、自身の重量が前記バケットの重量に比べて重く、且つ前記バケットとの重量差が前記搬送物の重量に比べて軽くなるように形成され、前記昇降機構によって、前記バケットは、前記上側搬送手段の下流側端部と、前記下側搬送手段の上流側端部との間を往復移動されるものである。
【0030】
請求項4においては、請求項3に記載の積込システムであって、前記昇降手段には、上下方向中途部にて前記バケットを停止させる停止機構が備えられ、該停止機構は、前記上側搬送手段における搬送物の有無を検知する検知手段と、該検知手段の検知結果に基づいて出没可能に設けられるとともに、前記バケットと当接されることで前記バケットの上昇を停止するストッパー手段と、を有し、前記検知手段は、前記上側搬送手段に搬送物が無いことを検知すると、前記ストッパー手段を出現させ、上昇中の前記バケットを停止させるものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明における積込装置によれば、箱形状からなる複数の搬送物(パレット)を連続的に搬送し、これら搬送物を目標の場所に積み込む積込装置であって、搬送物の流れ不良や物流効率の低下を引き起こすことなく、最下流側に位置する搬送物を確実に切り出すことができる積込装置を、低コストにて実現することができる。
また、本発明における積込システムによれば、コンパクトかつ低コストな昇降装置を構築することが可能となり、前記積込装置からなる上側搬送手段や、該上側搬送手段の下方に配設され、該上側搬送手段によって搬送されてきた搬送物(パレット)を引き続き搬送する下側搬送手段や、これらの上側搬送手段と下側搬送手段との間に配設され前記昇降装置からなる昇降手段などからなる積込システム全体のコンパクト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例に係る積込システムの全体的な構成を示した側面図。
【図2】本発明の一実施例に係る積込装置の下流側近傍の構成を示した断面側面図。
【図3】切出しストッパーの近傍を示した図であって、(a)は下流側ストッパーが「閉状態」となり、上流側ストッパーが「開状態」となった状態を示した正面図、(b)は下流側ストッパーが「開状態」となり、上流側ストッパーが「閉状態」となった状態を示した正面図。
【図4】別実施例における切出しストッパーの近傍を示した図であって、(a)は下流側ストッパーが「閉状態」となり、上流側ストッパーが「開状態」となった状態を示した正面図、(b)は動作途中の状態を示した正面図、(c)は下流側ストッパーが「開状態」となり、上流側ストッパーが「閉状態」となった状態を示した正面図。
【図5】積込装置の下流側近傍を示した図であって、下流側ストッパーが「開状態」となり、上流側ストッパーが「閉状態」となった直後の状態を示した断面側面図。
【図6】同じく、積込装置の下流側近傍を示した図であって、「開状態」となった下流側ストッパーを最下流側に位置するパレットが通過する状態を示した断面側面図。
【図7】同じく、積込装置の下流側近傍を示した図であって、下流側ストッパーが「閉状態」となり、上流側ストッパーが「開状態」となった直後の状態を示した断面側面図。
【図8】バケットに備えられる落下防止ストッパーの構成を示した図であって、(a)は落下防止ストッパーが「閉状態」となった状態を示した正面図、(b)は落下防止ストッパーが「開状態」となった状態を示した正面図。
【図9】昇降装置の定滑車の近傍を示した平面図。
【図10】上昇停止機構に備えられるパレット検知部の構成を示した図であって、(a)は積込装置に搬送物が存在しない場合の状態を示した平面図、(b)は積込装置に搬送物が存在する場合の状態を示した平面図。
【図11】上昇停止機構に備えられるストッパー部の構成を示した図であって、(a)はストッパー部が「閉状態」となった状態を示した側面図、(b)はストッパー部が「開状態」となった状態を示した側面図、(c)は「閉状態」にあるストッパー部に対してバケットが下降する際の状態を示した側面図。
【図12】積込システム全体の動作を示した図であって、(a)は積込装置(上側搬送手段)より昇降装置(昇降手段)へパレットが搬入された状態を示した概略側面図、(b)は昇降装置(昇降手段)より供給装置(下側搬送手段)へパレットが搬入された状態を示した概略側面図、(c)は昇降装置(昇降手段)のバケットが上昇する際の状態を示した概略側面図。
【図13】積込装置が備えられる生産ラインの一実施例として、自動車の組立ラインの配置を示した概略正面図。
【図14】従来の第一実施例に係る積込装置において、切出しストッパーの動作を経時的に示した図であって、(a)はストッパー装置が突出状態となり、突上げ装置が没入状態となった状態を示した部分断面側面図、(b)はストッパー装置が没入状態となり、突上げ装置が突出状態となった状態を示した部分断面側面図、(c)は没入状態となったストッパー装置を最下流側に位置する搬送物が通過する状態を示した部分断面側面図(d)は最下流側に位置する搬送物の通過後、ストッパー装置が突出状態となり、突上げ装置が没入状態となった直後の状態を示した部分断面側面図。
【図15】従来の第二実施例に係る積込装置において、切出しストッパーの動作を経時的に示した図であって、(a)はストッパー装置が突出状態となり、突上げ装置が没入状態となった状態を示した部分断面側面図、(b)はストッパー装置が没入状態となり、突上げ装置が突出状態となった状態を示した部分断面側面図、(c)は没入状態となったストッパー装置を最下流側に位置する搬送物が通過する状態を示した部分断面側面図(d)は最下流側に位置する搬送物の通過後、ストッパー装置が突出状態となり、突上げ装置が没入状態となった直後の状態を示した部分断面側面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0034】
[積込システム50]
先ず、本発明を具現化する積込システム50の構成について、図1および図13を用いて説明する。
なお、便宜上、図1における矢印Aの方向は前方、および搬送物の搬送方向を示すものとして、また図1および図13の上下方向は、それぞれ積込システム50および組立工場の上下方向を示すものとして各々規定し、以下の説明を行う。
【0035】
積込システム50は、箱形状からなる複数の搬送物(以下、「パレット100」と記す)を連続的に搬送し、これらパレット100・100・・・を目標の場所に積み込むための積込装置を備えるシステムであって、例えば自動車の組立工場内において、組立ラインの近傍に配設される。
【0036】
即ち、図1に示すように、積込システム50は、主に上側搬送手段や下側搬送手段、および該上側搬送手段と該下側搬送手段との間に配設される昇降手段などからなり、これらの上側搬送手段や下側搬送手段や昇降手段は、後述する積込装置1や供給装置40や昇降装置10などによって各々構成される。
【0037】
ここで、図13に示すように、例えば自動車の組立工場などにおいては、流れ作業によって複数の部品を組み付ける組立ライン101の近傍に順立て場102が設けられる。
【0038】
前記順立て場102は、組立ライン101を流れてくる自動車の車種の順番に従って、複数の部品群を予め順序立てて整理しておくための作業場である。
つまり、順立て場102の作業者104は、複数ある箱形状のパレット100・100・・・を用いて、組立ライン101に供給される部品群を、該組立ライン101を流れてくる車種の順番に従って峻別する。
【0039】
そして、順立て場102にて順立てされた部品を収納する、複数のパレット100・100・・・は、組立ライン101を流れてくる車種の順番に従って、順次組立ライン101の作業者105に供給されるのである。
【0040】
ところで、このような順立て場102を、組立ライン101の横の通路103を挟んだ場所に設けた場合、順立て場102より供給されるパレット100は、前記通路103を往来する物流台車や作業者などの通行を妨げないように、前記通路103の上空を一旦迂回した後、組立ライン101に搬送される必要がある。
【0041】
このようなことから、組立ライン101と順立て場102との間には、前記パレット100を、順立て場102より通路103の上空を介して組立ライン101に搬送する搬送システム106が設けられている。
【0042】
前記搬送システム106は、順立て場102と通路103との間に立設される上昇用エレベーター107や、組立ライン101と通路103との間に立設される下降用エレベーター108や、これら上昇用エレベーター107と下降用エレベーター108とを、上部において橋架する搬送部109や、前記上昇用エレベーター107の下部近傍に配設される投入部110や、前記下降用エレベーター108の下部近傍に配設される搬出部111などにより構成される。
【0043】
そして、上昇用エレベーター107の下部には搬入口107aが設けられ、該搬入口107aを介して、上昇用エレベーター107は投入部110と連通される。
また、上昇用エレベーター107の上部には搬出口107bが設けられ、該搬出口107bを介して、上昇用エレベーター107は搬送部109と連通される。
【0044】
一方、下降用エレベーター108の上部には搬入口108aが設けられ、該搬入口108aを介して、下降用エレベーター108は搬送部109と連通される。
また、下降用エレベーター108の下部近傍には搬出口108bが設けられ、該搬出口108bを介して、下降用エレベーター108は搬出部111と連通される。
【0045】
搬送部109や投入部110や搬出部111は、各々搬送方向に向かって下方に傾斜する滑動面を有した搬送機構を備えており、これら搬送部109や投入部110や搬出部111に投入されたパレット100は、前記搬送機構の滑動面を自重によって滑り落ちることによって、搬送方向に搬送される。
【0046】
即ち、順立て場102にて順立てされた部品を収納する、複数のパレット100・100・・・は、作業者104によって投入部110に投入されると、投入された順に従って、上昇用エレベーター107に向かって搬送される。
【0047】
上昇用エレベーター107の搬入口107a近傍に到達したパレット100は、該搬入口107aを介して上昇用エレベーター107内に導かれ、その後、該上昇用エレベーター107内を上下移動(昇降移動)する昇降かご107cによって、搬出口107bに向かって上昇される。
そして、搬出口107bに到達したパレット100は、該搬出口107bを介して搬送部109内に導かれ、その後、下降用エレベーター108に向かって搬送される。
【0048】
下降用エレベーター108の搬入口108a近傍に到達したパレット100は、該搬入口108aを介して下降用エレベーター108内に導かれ、その後、該下降用エレベーター108内を上下移動(昇降移動)する昇降かご108cによって、搬出口108bに向かって下降される。
そして、搬出口108bに到達したパレット100は、該搬出口108bを介して搬出部111へと導かれ、その後、組立ライン101へと搬送され、作業者105に供給されるのである。
【0049】
ところで、前記昇降かご107c・108cのパレット100の積載個数は、それぞれ1個となっており、上昇用エレベーター107、および下降用エレベーター108の各搬入口107a・108aに投入されたパレット100は、これら昇降かご107c・108cによって、各搬出口107b・108bに向かって一個ずつ搬送される。
【0050】
一方、これら上昇用エレベーター107、および下降用エレベーター108の各搬入口107a・108aの近傍にそれぞれ配設される投入部110、および搬送部109において、搬送されてきた複数のパレット100・100・・・は、搬送方向に沿って隙間無く並べられた状態となって、各々の搬入口107a・108aの近傍に並べられる。
【0051】
よって、これら投入部110、および搬送部109においては、搬送されてきた複数のパレット100・100・・・を一個ずつ切り出して、上昇用エレベーター107、および下降用エレベーター108の各々の搬入口107a・108aに投入することが必要となる。
【0052】
また、前記下降用エレベーター108においては、従来から、電力や油圧などの動力源を別途用いることなく、重力のみを動力源とする省エネルギー化を図った様々な構成が提唱されているが、従来の構成では設備全体が大きくなり、設備費が嵩むなどの問題点も多い。
【0053】
そこで、本実施例においては、搬送部109や搬出部111や下降用エレベーター108を、積込システム50(図1を参照)によって構築するとともに、電力や油圧などを動力源とする上昇用エレベーター107や、前記搬送部109と略同等の構造からなる投入部110を、前記積込システム50の上流側(パレット100の搬送方向に対する上流側)に配設することで、搬送システム106を構成することとしている。
【0054】
より具体的には、積込システム50に備えられる上側搬送手段(より具体的には、後述する積込装置1)によって搬送部109を構成し、また下側搬送手段(より具体的には、後述する供給装置40)によって搬出部111を構成し、さらに昇降手段(より具体的には、後述する昇降装置10)によって下降用エレベーター108を構成する。
また、搬送部109を構成する前記上側搬送手段と略同等の構造の搬送手段によって投入部110を構成するとともに、下降用エレベーター108を構成する前記昇降手段と異なり、油圧シリンダーなどのアクチュエーターによって昇降かご107cの昇降動作を行う昇降手段によって上昇用エレベーター107を構成する。
【0055】
このような構成を有することで、搬送システム106においては、搬送されてきた複数のパレット100・100・・・を一個ずつ確実に切り出して、上昇用エレベーター107および下降用エレベーター108の各々の搬入口107a・108aに投入することを可能にし、またこれらの上昇用エレベーター107および下降用エレベーター108を、重力のみを動力源としつつ、コンパクトかつ低コストにて実現することを可能にしているのである。
【0056】
次に、積込システム50の構成について説明する。
図1に示すように、積込システム50は、積込装置1にて構成される上側搬送手段や、供給装置40にて構成される下側搬送手段や、昇降装置10にて構成される昇降手段などによって構成される。
【0057】
前記積込装置1は、搬送方向に向かって複数のパレット100・100・・・を連続的に搬送し、これらパレット100・100・・・を昇降装置10に供給するための装置であり、その下流側端部(パレット100の搬送方向に対する下流側端部)において、昇降装置10の上部と連結される。
また、積込装置1において、搬送されてきた複数のパレット100・100・・・は、一個ずつ確実に切り出され、昇降装置10に供給されるようになっている。
【0058】
供給装置40は、搬送方向に向かって複数のパレット100・100・・・を連続的に搬送し、最終的に作業者51に供給するための装置であり、その上流側端部(パレット100の搬送方向に対する上流側端部)において、昇降装置10の下部に連結される。
つまり、供給装置40は積込装置1の下方に配設され、該積込装置1によって搬送されてきたパレット100を、昇降装置10を介して引き続き搬送する装置である。
【0059】
供給装置40は、後述する積込装置1に備えられる搬送シューター2と、略同等の構造を有して構成され、その下流側端部には、ストッパー7aが固定保持されている。
そして、積込装置1より昇降装置10を介して搬送されてきた複数のパレット100・100・・・は、その最下流部に位置するパレット100がストッパー7aと当接することで、搬送方向に沿って隙間無く並べられた状態となって、供給装置40上に配設される。
【0060】
昇降装置10は、積込装置1によって搬送されてきたパレット100を、積込装置1よりも下方に配置される供給装置40へ引き渡すための装置である。
昇降装置10は、後述するように、重力を利用して昇降移動を行うバケット12を有して構成され、コンパクトかつ低コストに構築されている。
【0061】
このような構成からなる積込装置1や供給装置40や昇降装置10などによって、積込システム50は構築される。
そして、複数のパレット100・100・・・は、積込装置1によって順に搬送された後、昇降装置10によって下降(下方に移動)され、その後、供給装置40によって、作業者51のもとへ供給されるのである。
【0062】
また、投入部110は、前記上側搬送手段を構成する積込装置1と同等の構成を有する積込装置1にて構成されるとともに、上昇用エレベーター107は、前記前記昇降手段を構成する昇降装置10と、昇降かご107cの昇降機構について異なる構成を有する昇降装置にて構成されている。
【0063】
[積込装置1]
次に、積込システム50の上側搬送手段、および投入部110に用いられる前記積込装置1の構成について、図2乃至図4を用いてさらに説明する。
なお、便宜上、図2における矢印Aの方向は前方、および搬送物の搬送方向を示すものとして、また図2乃至図4の上下方向は、それぞれ積込装置1の上下方向を示すものとして各々規定し、以下の説明を行う。
また、以下の説明においては、主に搬送システム106の投入部110(図13を参照)を構成する積込装置1について説明しているが、後述のとおり、積込装置1は、連結バー33の前端部に設けられる当接部位34の構成を、該連結バー33の軸心を中心にして対称的な構成となるように変更しつつ、下流側端部において下降用エレベーター108の上部と連結されることで、積込システム50の上側搬送手段としても用いられるものである。
【0064】
以下では、搬送システム106の投入部110に用いた場合の積込装置1について説明する。
図2に示すように、積込装置1は、主に搬送シューター2や切出しストッパー3などを有して構成される。
前記搬送シューター2は、搬送方向に向かって複数のパレット100・100・・・を連続的に搬送するための部位である。
【0065】
搬送シューター2は、搬送方向(図2における矢印Aの方向。以下、同じ。)に延出する枠体構造からなるフレーム21を有し、該フレーム21の上部には、複数の回転ローラー22・22・・・が設けられる。
また、フレーム21の上部において、これら回転ローラー22・22・・・の左右両側(平面視において、搬送方向に対して直交方向両側。以下同じ。)には、帯状の搬送ガイド24・24(図2においては、断面図であるため、片側の搬送ガイド24のみ記載)が搬送方向に沿って固設される。
【0066】
そして、後述するように、回転ローラー22・22・・・上を搬送されてくる複数のパレット100・100・・・は、左右方向の位置が乱れないように、前記搬送ガイド24・24によって規制されている。
【0067】
搬送シューター2の下流側端部には上昇用エレベーター107、あるいは昇降装置10にて構成される下降用エレベーター108(図2においては、上昇用エレベーター107を記載)が配設される。
【0068】
そして、前記昇降装置10が上昇用エレベーター107を構成するものである場合、搬送シューター2によって搬送されてきたパレット100は、搬入口107aを介して、上昇用エレベーター107の内部を昇降移動する昇降かご107cに投入され、その後、該昇降かご107cによって、搬出口107b(図13を参照)へと搬送される。
【0069】
一方、前記昇降装置10が下降用エレベーター108を構成するものである場合、搬送シューター2によって搬送されてきたパレット100は、搬入口108aを介して、下降用エレベーター108の内部を昇降移動する昇降かご108cに投入され、その後、該昇降かご108cによって、搬出口108b(図13を参照)へと搬送される。
【0070】
回転ローラー22・22・・・は、平面視において、搬送方向に対して直交方向に軸心方向を向けた状態で互いに等間隔に並設され、フレーム21の上部に各々軸支される。
また、回転ローラー22・22・・・は、側面視において、緩やかな傾斜角度(水平面に対する傾斜角度。以下同じ。)を有しつつ搬送方向に向かって徐々に下方に傾斜する平面(後述する第一滑動面S1)と、第一滑動面S1の下流側にて前記第一滑動面S1の傾斜角度に比べて急な傾斜角度を有しつつ搬送方向に向かって徐々に下方に傾斜する平面(後述する第二滑動面S2)とに沿ってフレーム21に配設される。
【0071】
そして、これら回転ローラー22・22・・・上に載置されたパレット100は、各々の回転ローラー22・22・・・を回転させつつ、これら回転ローラー22・22・・・上を滑り落ち、搬送方向に向かって搬送される。
つまり、搬送シューター2は、これら回転ローラー22・22・・・によって形成される滑動面Sを有し、搬送シューター2に投入されたパレット100は、前記滑動面Sを滑動しながら搬送方向に向かって搬送される。
【0072】
このようにして形成される滑動面Sは、回転ローラー22・22・・・の配置に基づく、連続する二つの滑動面によって構成される。
即ち、滑動面Sは第一滑動面S1と、該第一滑動面S1の下流側に設けられる第二滑動面S2とにより構成される。
【0073】
前記第一滑動面S1は、緩やかな傾斜角度θaを有しつつ、搬送シューター2の上流端から搬送方向に向かって徐々に下方に傾斜するようにして形成される。
また、前記第二滑動面S2は、第一滑動面S1に比べて急な傾斜角度θb(θb>θa)を有しつつ、該第一滑動面S1の下流端から搬送方向に向かって徐々に下方に傾斜するようにして形成される。
こうして、滑動面Sは、搬送方向に向かって下方に傾斜する第一滑動面S1と、該第一滑動面S1の下流端より、該第一滑動面S1に比べて搬送方向に向かってさらに下方に傾斜する第二滑動面と、によって構成されるのである。
【0074】
次に、切出しストッパー3について説明する。
切出しストッパー3は、搬送シューター2の下流部に配設され、複数のパレット100・100・・・の搬送の停止および開放を行うための部位である。
切出しストッパー3は、前述した第二滑動面S2の下流部に設けられる下流側ストッパー31や、該下流側ストッパー31の上流側、且つ前述した第一滑動面S1の下流部に設けられる上流側ストッパー32などを有して構成され、これら下流側ストッパー31や上流側ストッパー32は、搬送方向に向かって延出する連結バー33によって一体的に連結される。
【0075】
下流側ストッパー31は、最下流側に位置するパレット100(図2におけるパレット100A。以下同じ。)の前面部に当接して、全てのパレット100・100・・・の搬送を停止させる一方、パレット100Aの前面部に当接した状態から第二滑動面S2の下方に移動することで、前記パレット100Aの搬送を開放する(パレット100Aを切り出す)ための部位である。
なお、下流側ストッパー31によりパレット100Aの搬送が開放された状態では、パレット100Aよりも搬送方向上流側に位置するパレット100・100・・・は、後述する上流側ストッパー32により停止されることとなるため、パレット100Aのみを搬送する(パレット100Aを切り出す)ことが可能となっている。
【0076】
下流側ストッパー31は、例えば棒状部材より形成され、一方の端部において、連結バー33と直交方向に固設される。
つまり、下流側ストッパー31は、連結バー33の外周面において、該連結バー33の半径方向に延出するようにして固設される。
【0077】
そして、連結バー33が軸心を中心にして回動されることで、下流側ストッパー31は、第二滑動面S2より垂直上方に向かって起立した状態(以下、「閉状態」と記す)、あるいは第二滑動面S2の下方にて傾倒した状態(以下、「開状態」と記す)に変移される。
【0078】
ここで、第二滑動面S2上において、「閉状態」にある下流側ストッパー31の後端部(上流側端部)から、第二滑動面S2の上流側端部(第二滑動面S2と第一滑動面S1との境界部)までの寸法(図2における寸法a)は、パレット100の搬送方向における長さ寸法(図2における寸法b)に比べて、小さな値(a<b)となるように設定されている。
【0079】
従って、下流側ストッパー31によって搬送を停止されたパレット100Aは、重心位置が第二滑動面S2の上方に位置することとなり、前方側(下流側)を下方に傾けつつ、後方側(上流側)を第二滑動面S2より上流側に向かって突出させた姿勢によって、第二滑動面S2上に停止される。
その結果、パレット100Aの直後に後続するパレット100(図2におけるパレット100B。以下同じ。)は、前面部において、パレット100Aの後下端部と当接して搬送を停止される。この状態においては、下流側ストッパー31による停止位置に位置するパレット100Aの下面後部と第一滑動面S1の下流側端部との間に隙間が形成される。すなわち、第一滑動面S1の下流側端部の上方には、パレット100Aの下面後部と、パレット100Bの前面下部とによって囲まれた空間部(隙間)5が形成されるのである。
【0080】
上流側ストッパー32は、第一滑動面S1より上方へ突出した状態でパレット100Bの前面部に当接し、パレット100Aを除くパレット100・100・・・(パレット100Bおよびパレット100Bに後続するパレット100・100・・・)の搬送を停止させる一方、第一滑動面S1より上方へ突出した状態から第一滑動面S1の下方に移動することで、搬送が停止されたこれらのパレット100・100・・・の搬送を開放するための部位である。
【0081】
上流側ストッパー32は当接ローラー32aや支持部材32bなどにより構成される。
前記支持部材32bは、例えば棒状部材より形成され、一方の端部において、同軸上に設けられる当接ローラー32aを軸支するとともに、他方の端部において、連結バー33と直交方向に固設される。
つまり、支持部材32bは、連結バー33の外周面において、該連結バー33の半径方向に延出するようにして固設され、前記支持部材32bの延出端部には、当接ローラー32aが、連結バー33と直交方向に軸心を向けて、回転可能に配設される。
【0082】
そして、連結バー33が軸心を中心にして回動されることで、上流側ストッパー32は、第一滑動面S1より垂直上方に向かって支持部材32bが起立して、該支持部材32bの延出端部に、軸心方向を垂直方向とする当接ローラー32aが回転可能に設けられた状態(以下、「閉状態」と記す)、あるいは第一滑動面S1の下方にて傾倒した状態(以下、「開状態」と記す)に変移される。
【0083】
ここで、上流側ストッパー32は、下流側ストッパー31に対して上流側に離間して配設されるとともに、「閉状態」において前述した空間部(隙間)5内に当接ローラー32aが位置するように配設される。
つまり、「閉状態」における上流側ストッパー32は、パレット100Aとパレット100Bとの間隙からなる空間部(隙間)5内に位置するようになっている。
【0084】
このように本実施例における上流側ストッパー32は、従来の切出しストッパー203における突上げ装置203b(図14を参照)のように、パレット100Aの下面後端部を上方に向かって突き上げることなく、前記パレット100Aを除く残りの後続するパレット100・100・・・の搬送を停止させる構成となっている。
よって、上流側ストッパー32を可動させるための高出力なアクチュエーターなど必要なくなり、積込装置1全体としての設備費の低廉化を図ることができるのである。
【0085】
また、連結バー33の外周面における、下流側ストッパー31と上流側ストッパー32とが固設される位置は、互いに連結バー33の軸回りの角度をずらして設けられる。
即ち、図3に示すように、正面視において、下流側ストッパー31と上流側ストッパー32とは互いに位相をずらして配置されており、下流側ストッパー31の軸心方向と、上流側ストッパー32(より詳しくは、当接ローラー32a)の軸心方向とは、互いに交差するようになっている。
【0086】
そして、連結バー33が軸心を中心にして回動され、例えば、図3(a)に示すように、下流側ストッパー31が「閉状態」となれば上流側ストッパー32は「開状態」となり、また、図3(b)に示すように、下流側ストッパー31が「開状態」となれば上流側ストッパー32は「閉状態」となるのである。
【0087】
連結バー33は、下流側ストッパー31や上流側ストッパー32を連結するための部位であり、丸棒状の部材により形成される。
連結バー33は、図2に示すように、搬送シューター2の下流部において、搬送方向に沿って延出するようにして、回転ローラー22・22・・・の下方に配設される。
また、連結バー33の搬送方向中央部は、フレーム21に固定保持されるハウジング23の内径部に、ブッシング23aなどを介して挿嵌される。つまり、連結バー33は、該ハウジング23(ブッシング23a)によって軸支される。
【0088】
連結バー33の前部(下流部)には、下流側ストッパー31が固設される。
また、積込装置1が搬送システム106の投入部110(図13を参照)を構成するものである場合において、下流側ストッパー31の下流側となる連結バー33の前端部(下流端部)には、当接部位34が設けられる。
【0089】
前記当接部位34は、板状部材を略「L」字状に湾曲形成した当接部34aと、連結バー33の前端部(下流端部)から延出して該当接部34aを支持するクランク状の支持部34bとにより構成される。
【0090】
即ち、当接部34aは、下流側ストッパー31が「閉状態」(あるいは、上流側ストッパー32が「開状態」)となる状態において、正面視逆「L」字状に形成され、つまり支持部34bから上方に延出する部分となる垂直部と、前記垂直部の上端部から左右方向(平面視において、搬送方向に対する直交方向。以下同じ。)に延出する部分となる平面部とで形成されており、連結バー33の前方側、且つ右側方側に配設され、支持部34bに支持される。また、当接部位34は、上昇用エレベーター107の昇降かご107cの下方に配置されている。
【0091】
そして、下流側ストッパー31が「閉状態」にある状態で、下降してきた昇降かご107cが当接部34aの上端部(平面部)を下方に向かって押圧することで、該当接部34aが連結バー33を中心に下方(正面視「反時計回り」(図3(a)における矢印Bの方向)に回動する。
下降してきた昇降かご107cが下限位置(搬入口107aを介してパレット100が投入される際の、昇降かご107cの位置。以下同じ。)に位置した状態では、当接部34a(連結バー33)は上流側ストッパー32が「閉状態」となる位置まで回動する。
【0092】
一方、連結バー33の後部(上流部)には、上流側ストッパー32が固設される。
また、連結バー33の上流側ストッパー32の配設位置よりも上流側に位置する後端部(上流端部)には、ウエイト部35が設けられる。
【0093】
前記ウエイト部35は、ウエイト本体35aと支持部35bとにより構成される。
即ち、ウエイト本体35aは、下流側ストッパー31が「閉状態」(あるいは、上流側ストッパー32が「開状態」)となる状態において、連結バー33の後端部から直下方に垂下されるようにして、支持部35bを介して、該連結バー33に固設される。
【0094】
連結バー33のこのような位置に、ウエイト部35を設けることで、下限位置にあった昇降かご107cが上昇して当接部位34の当接部34aより離間した後は、ウエイト部35が釣り合いの取れた状態、つまり連結バー33の後端部の直下に位置するように移動することとなり、連結バー33は、軸心を中心にして正面視「時計回り」(図3(b)における矢印Cの方向)に回動される。
その結果、下流側ストッパー31、および上流側ストッパー32は、それぞれ「閉状態」、および「開状態」に維持されるのである。
【0095】
なお、積込装置1が積込システム50の上側搬送手段を構成するものである場合においては、図示しないが、連結バー33の前端部(下流端部)には、正面視にて逆略「L」字状に湾曲形成した当接部と、連結バー33の前端部(下流端部)より延出され、該当接部を支持するクランク状の支持部とからなる当接部位が配設される。即ち、正面視にて、前記当接部は当接部位34に対して、連結バー33の軸心を中心にして対称位置に配設される。
一方、下降用エレベーター108の昇降かご108cの下部には、積込装置1側に延出する棒状部材(図示せず)が固設される。
そして、昇降かご108cの上昇に伴って前記棒状部材は上昇され、前記棒状部材によって下方より前記当接部を押し上げることで、連結バー33は軸心を中心にして回動され、下流側ストッパー31と上流側ストッパー32とはそれぞれ「閉状態」あるいは「開状態」となるのである。
【0096】
このように、本実施例における切出しストッパー3においては、上流側ストッパー32を可動させるために高出力なアクチュエーターなどが不要になったことから、連結バー33によって「からくり機構」を構成し、これら下流側ストッパー31、および上流側ストッパー32の各動作を、昇降かご107c(あるいは、昇降かご108c)の動作により行うこととしている。
【0097】
以上のような構成からなる搬送シューター2、および切出しストッパー3を有することで、積込装置1は、複数のパレット100・100・・・を搬送し、搬送されてきた複数のパレット100・100・・・を一個ずつ確実に切り出して、上昇用エレベーター107の搬入口107aに投入することを可能にしている。
【0098】
即ち、昇降かご107cが未だ下限位置に到達していない状態においては、下流側ストッパー31、および上流側ストッパー32は、それぞれ「閉状態」、および「開状態」となっており、複数のパレット100・100・・・は、パレット100Aが下流側ストッパー31と当接されることで、搬送方向に沿って互いに当接した状態で第一滑動面S1および第二滑動面S2の上面に停止している。
【0099】
そして、昇降かご107cが下限位置に到達すると、下流側ストッパー31、および上流側ストッパー32は、それぞれ「開状態」、および「閉状態」となる。この状態においては、パレット100Aを除く複数のパレット100・100・・・は、パレット100Bが上流側ストッパー32と当接することで、第二滑動面S2の上面に停止し、前記パレット100Aは、下流側ストッパー31によって停止状態が開放されて搬送を開始し、切り出されるのである。
【0100】
なお、連結バー33の構成については、本実施例におけるものに限定されるものではなく、下流側ストッパー31、および上流側ストッパー32のうちのいずれか一方が「閉状態」となる場合、他方が常に「開状態」となるように、これら下流側ストッパー31、および上流側ストッパー32を連結する構成であればよい。
例えば、連結部材を、搬送方向に沿って延出するとともに、該連結部材の延出方向の中央部における、平面視にて搬送方向と直交する方向に配置された枢支軸を中心に揺動可能に構成して、下流側ストッパー31および上流側ストッパー32を、それぞれ前記連結部材の延出方向の両端部にて固設するのである。
つまり、連結部材は、前記枢支軸を中心にして上下方向に揺動することで、下流側ストッパー31、および上流側ストッパー32のうちのいずれか一方が「閉状態」となり、他方が「開状態」となるような構成としてもよい。
【0101】
また、連結バー33の構成に係る別実施例として、例えば、以下に示すような構成からなる連結バー133を設けてもよい。
即ち、図4(a)に示すように、積込装置1が積込システム50の上側搬送手段を構成するものである場合において、下流側ストッパー131の下流側となる連結バー133の前端部(下流端部)には、ローラーレバー134が設けられる。
【0102】
前記ローラーレバー134は当接ローラー134aや支持部材134bなどにより構成される。
前記支持部材134bは、例えば連結バー133から該連結バー133の半径方向外側に向けて延出する棒状部材より形成され、その先端部に当接ローラー134aが回転可能に軸支されている。当接ローラー134aは、軸心方向を連結バー133と平行にして配設されている。
【0103】
また、連結バー133の外周面における、支持部材134bが延出する方向は、下流側ストッパー131および上流側ストッパー132に対して、連結バー133の軸回りの角度をずらして設けられる。
【0104】
即ち、正面視において、これら支持部材134bと下流側ストッパー131と上流側ストッパー132とは、互いに位相をずらして配置されており、支持部材134bの軸心方向と、下流側ストッパー131の軸心方向と、上流側ストッパー132(より詳しくは、当接ローラー132a)の軸心方向とは、互いに交差するようになっている。
【0105】
一方、ローラーレバー134の前下方には、回転リンク135が配設される。
前記回転リンク135は、軸心方向を連結バー133と平行にして配設されるとともに、フレーム21(図2を参照)に回転可能に支持される回転軸部135Aを有して構成され、該回転軸部135Aの外周面には、ガイドリンク135Bや当接レバー135Cが配設される。
【0106】
ガイドリンク135Bは正面視「コ」字状に形成され、略上方に向かって開口するようにして配設される。
即ち、ガイドリンク135Bは、略上下方向に延出されるとともに、左右方向(平面視において、搬送方向と直交する方向。以下同じ。)に向かって互いに平行に配設される二本のガイド部135a・135a、およびこれらのガイド部135a・135aの下端部において、該ガイド部135a・135aを連結する連結部135bなどによって構成される。
そしてガイドリンク135Bは、二本のガイド部135a・135aによって当接ローラー134aを挟持するようにして配設される。
【0107】
連結部135bの中央部には、ガイド部135a・135aの延出方向に沿って略下方側に向かって突出する支持部135cが配設されており、該支持部135cの突出端部は、回転軸部135Aと固設されている。
即ち、支持部135cは、回転軸部135Aの外周面において、該回転軸部135Aの半径方向に突出するようにして固設されている。
【0108】
当接レバー135Cは、例えば回転軸部135Aから半径方向外側へ向けて延出する棒状部材にて形成されている。
また、回転軸部135Aの外周面における、当接レバー135Cが延出する方向は、ガイドリンク135Bの支持部135cに対して、回転軸部135Aの軸回りの角度をずらして設けられる。
つまり、正面視において、これら当接レバー135Cと支持部135cとは、互いに位相をずらして配置されており、当接レバー135Cの軸心方向と、支持部135cの軸心方向(より詳しくは、ガイド部135a・135aの延出方向)とは、互いに交差するようになっている。
【0109】
一方、下降用エレベーター108の昇降かご108cにおいて、積込装置1側には、上方に延出する棒状の押上げバー108dが固設される。
そして、図4(a)に示すように、下流側ストッパー131が「閉状態」(あるいは上流側ストッパー132が「開状態」)にある状態において、下降用エレベーター108の昇降かご108c(図13を参照)が上昇すると、該昇降かご108cに固設される押上げバー108dは、これに追従して上昇される。
【0110】
昇降かご108cが搬入口108a(図13を参照)付近にまで到達すると、図4(b)に示すように、押上げバー108dの上端部は、当接レバー135Cの延出端部と当接される。
【0111】
その後、さらに昇降かご108cが上昇し、押上げバー108dが当接レバー135Cを突き上げることで、回転リンク135は、回転軸部135Aの軸心を中心にして、正面視時計回りに回転される。
つまり、ガイドリンク135Bは、回転軸部135Aの軸心を中心にして、正面視時計回りに回転される。
【0112】
すると、ガイドリンク135Bを構成する二本のガイド部135a・135aの間において、当接ローラー134aは該ガイド部135a・135aに沿って摺動移動され、ローラーレバー134を介して、連結バー133が、軸心を中心にして正面視反時計回りに回転される。
【0113】
やがて、昇降かご108cが搬入口108aに到達すると、図4(c)に示すように、回転リンク135は回転を停止するとともに、ガイドリンク135Bを介して、ローラーレバー134を支持し、連結バー133の姿勢を保持する。
即ち、連結バー133は、回転リンク135によって、下流側ストッパー131が「開状態」(あるいは上流側ストッパー132が「閉状態」)にある状態にて保持されるのである。
【0114】
なお、下流側ストッパー131が「開状態」となれば、最下流側のパレット100A(図2を参照)は、積込装置1より昇降かご108c内に搬入される。
昇降かご108c内にパレット100Aが搬入されると、該パレット100Aの重量によって昇降かご108cは下降し、押上げバー108dが当接レバー135Cより離間される。
すると、連結バー133と回転リンク135は、互いに自身の重心位置のバランス(以下、「重量バランス」と記す)の影響によって回転し、図4(a)に示すように、下流側ストッパー131は「閉状態」(あるいは上流側ストッパー132が「開状態」)となって停止するのである。
【0115】
このように、ローラーレバー134と回転リンク135とによって「リンク機構」を構成し、これら下流側ストッパー131、および上流側ストッパー132の各動作を、昇降かご108cの動作により行うこととしてもよい。
【0116】
さらに、本実施例においては、上流側ストッパー32にのみ当接ローラー32aを設けることとしているが、これは以下の理由による。
即ち、上流側ストッパー32が「閉状態」にある状態では、パレット100Aを除く複数のパレット100・100・・・が、搬送方向に沿って互いに当接した状態で、上流側ストッパー32により停止されている。
つまり、「閉状態」にある上流側ストッパー32には、これらパレット100・100・・・の全重量(より詳しくは、これらパレット100・100・・・の全重量における、第一滑動面S1と平行する分力。以下同じ。)が付加されている。
よって、上流側ストッパー32に当接ローラー32aを設けて、上流側ストッパー32を「閉状態」から「開状態」に回動させる際に、該当接ローラー32aの外周面をパレット100Bの前面部に摺動させることで、上流側ストッパー32とパレット100Bとの摺動抵抗が減少するようにしている。これにより、上流側ストッパー32は、「閉状態」から「開状態」へ回動するための原動力として高出力なアクチュエーターなど必要とせず、ウエイト本体35aの自重による小さな出力によって、「閉状態」から「開状態」に容易に移動できるようになっている。
【0117】
一方、下流側ストッパー31が「閉状態」にある状態では、パレット100Aを含む全てのパレット100・100・・・が、搬送方向に沿って互いに当接した状態で、下流側ストッパー31により停止されている。
つまり、「閉状態」にある下流側ストッパー31には、これら全てのパレット100・100・・・の全重量(より詳しくは、これらパレット100・100・・・の全重量における、第二滑動面S2と平行する分力。以下同じ。)が付加されている。
しかし、前述したように、下流側ストッパー31を「閉状態」から「開状態」へ回動するための原動力は、上昇用エレベーター107の昇降かご107cであって、大きな回動力を得ることができるため、上流側ストッパー32のように、パレット100との摺動抵抗を減少させるための当接ローラーは設けられていないのである。
【0118】
但し、下流側ストッパー31の構成については、本実施例におけるものに限定されるものではなく、例えば、該下流側ストッパー31においても当接ローラーを配設し、パレット100Aの前面部との抵抗を減少させて、該下流側ストッパー31が「閉状態」から「開状態」に容易に移動できるように構成してもよい。
【0119】
[積込装置1の動作]
次に、積込システム50に備えられた上側搬送手段を構成する積込装置1の動作について、図2、および図5乃至図7を用いて説明する。
なお、便宜上、図5乃至図7における矢印Aの方向は、前方、およびパレット(搬送物)100の搬送方向を示すものとして、また図5乃至図7の上下方向は、積込装置1の上下方向を示すものとして各々規定し、以下の説明を行う。
また、以下の説明においては、主に搬送システム106の投入部110(図13を参照)を構成する積込装置1について説明しているが、前述のとおり、積込装置1は、連結バー33の前端部に設けられる当接部位34の構成を、該連結バー33の軸心を中心にして対称的な構成となるように変更しつつ、下流側端部において下降用エレベーター108の上部と連結されることで、積込システム50の上側搬送手段としても用いられるものである。
【0120】
先ず、図2に示すように、上昇用エレベーター107の昇降かご107cが下限位置よりも上方に位置している状態では、切出しストッパー3は、下流側ストッパー31が「閉状態」となり、上流側ストッパー32が「開状態」となる状態で保持されており、このような状態において、複数のパレット100・100・・・が搬送シューター2によって搬送されてくる。
【0121】
搬送されてきた複数のパレット100・100・・・は、搬送シューター2の下流部において順次停止し、搬送方向に沿って並ぶ。
即ち、先ず初めに、これらパレット100・100・・・の先頭となって搬送されてきたパレット100Aの前面部が下流側ストッパー31に当接され、パレット100Aは、第二滑動面S2上に停止する。
【0122】
パレット100Aが停止した後、該パレット100Aの直後に後続するパレット100Bが搬送シューター2の下流部に搬送されてくる。
この際、パレット100Aは、第二滑動面S2上において、パレット100Bの搬送姿勢と比べて前下方に傾倒した状態にて停止しており、パレット100Bは、その前面部がパレット100Aの下面後端部に当接され、第一滑動面S1上の最下流部に停止する。
なお、前述のとおり、これらパレット100A、およびパレット100Bが互いに当接されて停止することで、第一滑動面S1の下流端部の上方には、パレット100Aの下面後部と、パレット100Bの前面下部とによって囲まれた空間部(隙間)5が形成される。
【0123】
パレット100Bの直後に後続するパレット100(図2におけるパレット100C。以下同じ。)が搬送シューター2の下流部に搬送されてくると、第一滑動面S1上において、パレット100Cの前面部が、停止したパレット100Bの後面部に当接されて停止する。
【0124】
その後、パレット100Cに後続する複数のパレット100・100・・・は、搬送シューター2の下流部に搬送されてくるとともに、その前面部が、自身の直前に搬送されるパレット100の後面部に当接され、順次、第一滑動面S1上で停止する。
【0125】
そして、これら複数のパレット100・100・・・は、先頭に位置するパレット100Aを第二滑動面S2上にて前下方に傾倒させ、その他のパレット100・100・・・を第一滑動面S1上にて搬送方向に沿って互いに当接させた状態で停止し、搬送方向に沿って並べられる。
【0126】
搬送シューター2の下流部に複数のパレット100・100・・・が並べられると、上昇用エレベーター107の昇降かご107cが下降を開始する。
下降する昇降かご107cが下限位置の近くにまで到達し、昇降かご107cの下端部と切出しストッパー3の当接部34aとが当接すると、当接部34aが昇降かご107cにより下方へ押圧される。
【0127】
当接部34aが、上方より下方に向かって押圧されると、前述したように、切出しストッパー3は、連結バー33の軸心を中心にして回動される。
そして、図5に示すように、昇降かご107cが下限位置に到達すると、切出しストッパー3は、下流側ストッパー31が「開状態」となり、上流側ストッパー32が「閉状態」となる状態にて保持される。
つまり、下流側ストッパー31は、第二滑動面S2の下方にて完全に傾倒した状態によって保持される。また、上流側ストッパー32は、第一滑動面S1の上方にて当接ローラー32aが空間部(隙間)5内に挿入されるとともに、パレット100Bの前面部が当接した状態で保持される。
【0128】
このような状態で切出しストッパー3が保持されると、図6に示すように、パレット100Aは、下流側への搬送を妨げる下流側ストッパー31の存在を失うことから、第二滑動面S2上を滑動しながら、下流側へと搬送される。
そして、下流側へと搬送されたパレット100Aは、上昇用エレベーター107の搬入口107aを通じて、搬送シューター2の下流端部から昇降かご107cへと乗り移る。
【0129】
一方、この際、パレット100Bは、その前面部が当接ローラー32aに当接され、第一滑動面S1上の最下流部に停止するとともに、前記パレット100Bに後続する複数のパレット100・100・・・は、その前面部を、自身の直前に搬送されるパレット100の後面部に当接して、第一滑動面S1上に停止する状態を保持する。
つまり、最下流側に位置するパレット100Aのみが下流側へと搬送され、これらパレット100・100・・・よりパレット100Aが切り出される。
【0130】
パレット100Aが昇降かご107cへと乗り移り、該昇降かご107c内に完全に投入されると、該昇降かご107cは上昇を開始する。
昇降かご107cは、昇降かご107cの上昇に伴い、切出しストッパー3の当接部34aより離間する。つまり、昇降かご107cにより切出しストッパー3の当接部34aに付加されていた押圧力が開放される。
【0131】
当接部34aへの押圧力が開放されると、前述したように、切出しストッパー3は、連結バー33の軸心を中心にして、前記当接部34aが上昇する方向に回動される。
そして、図7に示すように、昇降かご107cが当接部34aより完全に離間すると、切出しストッパー3は、再び、下流側ストッパー31が「閉状態」となり、上流側ストッパー32が「開状態」となる状態に保持される。
【0132】
すると、パレット100Bは、下流側への搬送を妨げる上流側ストッパー32の存在を失うことから、第二滑動面S2上を滑動しながら、下流側へと搬送される。
そして、下流側へと搬送されたパレット100Bは、パレット100Aに変わって、最下流側に位置することなり、その前面部が下流側ストッパー31に当接されて停止する。
【0133】
その後、パレット100Bに後続するパレット100Cは、その前面部がパレット100Cの下面後端部に当接され、第一滑動面S1上の最下流部に停止する。
パレット100Cが停止すると、パレット100Cに後続する複数のパレット100・100・・・は、搬送シューター2の下流部に搬送されてくるとともに、その前面部が自身の直前に搬送されるパレット100の後面部に当接され、順次、第一滑動面S1上に停止する。
【0134】
そして、再び図2に示すように、これら複数のパレット100・100・・・は、先頭に位置するパレット100Bを第二滑動面S2上にて前下方に傾倒させ、その他のパレット100・100・・・を第一滑動面S1上にて搬送方向に沿って互いに当接させた状態で停止し、搬送方向に沿って並ぶ。
【0135】
以上のような動作を繰り返すことで、積込装置1は、複数のパレット100・100・・・を搬送し、搬送されてきた複数のパレット100・100・・・を一個ずつ確実に切り出して、上昇用エレベーター107の搬入口107aに投入するのである。
【0136】
以上のように、本実施例における積込装置1は、箱形状のパレット(搬送物)100を搬送し、該パレット(搬送物)100を目標の場所に積み込む積込装置1であって、搬送方向に向かって複数の前記パレット(搬送物)100・100・・・を連続的に搬送する搬送シューター2と、該搬送シューター2の下流部に配設され、前記パレット(搬送物)100の搬送の停止および開放を行う切出しストッパー3と、を備え、前記搬送シューター2は、前記パレット(搬送物)100を滑動させながら搬送する滑動面Sを有し、該滑動面Sは、搬送方向に向かって下方に傾斜する第一滑動面S1と、該第一滑動面S1の下流端から搬送方向の下流側に向けて設けられ、前記第一滑動面S1の傾斜角度よりも大きな角度で搬送方向に向かって下方に傾斜する第二滑動面S2と、を有し、前記切出しストッパー3は、前記第二滑動面S2の下流部にて開閉自在に設けられ、閉状態において、搬送方向最下流側に位置する第一のパレット(搬送物)100Aと当接して、該第一のパレット(搬送物)100Aの搬送を停止するとともに、開状態において前記第一のパレット(搬送物)100Aの停止状態を開放する下流側ストッパー31と、前記第一滑動面S1の下流部にて開閉自在に設けられ、閉状態において、前記第一のパレット(搬送物)100Aの直後に後続する第二のパレット(搬送物)100Bと当接して、前記第一のパレット(搬送物)100Aを除く全ての搬送物100・100・・・の搬送を停止するとともに、開状態において前記第一のパレット(搬送物)100Aを除く全ての搬送物の停止状態を開放する上流側ストッパー32と、を有し、前記第二滑動面S2における前記下流側ストッパー31の配設位置から上流端部までの長さ(図2における寸法a)は、前記パレット(搬送物)100の搬送方向に関する長さ(図2における寸法b)に対して短く構成され、閉状態における前記上流側ストッパー32は、前記下流側ストッパー31による停止位置に位置する前記第一のパレット(搬送物)100Aの下面後部と前記第一滑動面S1の下流側端部との間に形成される間隙内に位置するものである。
【0137】
このような構成を有することで、本実施例における積込装置1によれば、箱形状からなる複数のパレット100・100・・・を連続的に搬送し、これらパレット100・100・・・を目標の場所(本実施例においては、上昇用エレベーター107の昇降かご107c)に積み込む積込装置1であって、パレット100・100・・・の流れ不良や物流効率の低下を引き起こすことなく、最下流側に位置するパレット100Aを確実に切り出すことができる積込装置1を、低コストにて実現することができる。
【0138】
即ち、本実施例における積込装置1によれば、最下流側に位置するパレット100Aは、該パレット100Aの直後に後続するパレット100Bに対して、前下方に傾倒した状態にて停止することとなり、第一滑動面S1の下流部には、パレット100Aの下面後部と、パレット100Bの前面下部とによって囲まれた空間部(隙間)5が形成される。
よって、前記空間部(隙間)5内に、上流側ストッパー32(より詳しくは、当接ローラー32a)を挿入しつつ、下流側ストッパー31を「開状態」とすることで、パレット100Aは容易に切り出されることとなる。
従って、本実施例における積込装置1は、従来の積込装置201の突上げ装置203b(図14を参照)のように、パレット100Aの下面後端部を上方に向かって突き上げることもないため、上流側ストッパー32を可動させるための高出力なアクチュエーターなど必要なくなり、積込装置1全体としての設備費の低廉化を図ることができるばかりか、例えば、該パレット100Aの下面前端部が、隣接される回転ローラー22・22間の隙間に入り込み、該パレット100Aの搬送が妨げられる(流れ不良が生じる)恐れもない。
【0139】
また、本実施例における積込装置1は、従来の積込装置301のように、各パレット100の形状を特殊なものに形成することなく、パレット100A、およびパレット100Bにおける停止時の姿勢の違いによって、前記空間部(隙間)5を形成することとしている。
従って、各パレット100内部の収納スペースの減少を招くこともなく、積込装置全体として、物流効率の低下を引き起こすこともない。
また、各パレット100の加工費についても、特殊な形状による費用の増加を招くこともなく、積込装置1を含むシステム全体として、費用が嵩むこともないのである。
【0140】
また、本実施例における積込装置1は、前記上流側ストッパー32の先端部には、当接ローラー(ローラー部)32aが軸支され、前記上流側ストッパー32は、前記当接ローラー(ローラー部)32aの外周面を前記第二のパレット(搬送物)100Bに当接しつつ回転しながら、開閉動作を行うものである。
【0141】
このような構成を有することで、上流側ストッパー32は、当接ローラー32aの外周面を、パレット100Bの前面部に摺動させながら「閉状態」から「開状態」に移動することとなる。
よって、上流側ストッパー32とパレット100Bとの間の摺動抵抗は減少し、上流側ストッパー32は、高出力なアクチュエーターなど必要とせず、「閉状態」から「開状態」に容易に移動できる構成となっている。
従って、積込装置1を含むシステム全体として、費用が嵩むこともないのである。
【0142】
[昇降装置10]
次に、積込システム50の昇降手段に用いられる昇降装置10の構成について、図1および図8乃至図11を用いて説明する。
なお、便宜上、図9乃至図11における矢印Aの方向は前方、および搬送物の搬送方向を示すものとして、また図8および図11の上下方向は、昇降装置10の上下方向を示すものとして各々規定し、以下の説明を行う。
【0143】
(↓昇降装置10を上昇用エレベーター107に用いた場合の構成(積込システム50の昇降手段に用いた場合と異なる部分等)についても、必要な程度に応じて適宜記載する↓)
図1に示すように、昇降装置10は、上下方向に延出する直方体形状の躯体構造からなるフレーム11を有して構成され、該フレーム11には、バケット12や昇降機構13や上昇停止機構14などが備えられる。
【0144】
そして、フレーム11の後側部(搬送方向上流側の側部。以下同じ。)の上部には、搬入口11aが設けられ、該搬入口11aを介して積込装置1(上側搬送手段)の下流側端部と連結される。また、フレーム11の前側部(搬送方向下流側の側部。以下同じ。)の下部には搬出口11bが設けられ、該搬出口11bを介して供給装置40(下側搬送手段)の上流側端部と連結される。
【0145】
バケット12は箱形状からなるパレット100を搭載し、該パレット100を下方に向かって搬送するための部位であり、フレーム11の内部において、上下方向に移動(上昇・下降)可能に設けられる。
なお、バケット12は、前述した上昇用エレベーター107や下降用エレベーター108に備えられる昇降かご107c・108cに相当する部位である。
【0146】
バケット12は、略矩形状に形成された枠体構造からなるフレーム12aを有し、該フレーム12aの上部には、複数の回転ローラー12b・12b・・・が設けられる。
【0147】
即ち、側面視において、フレーム12aの上部は、搬送方向に向かって徐々に下方に傾斜するようにして形成され、前記回転ローラー12b・12b・・・は、フレーム12a上部の傾斜に沿いつつ、平面視において、搬送方向に対して直交方向に軸心方向を向けた状態で互いに等間隔に並設され、前記フレーム12aの上部に各々軸支される。
【0148】
ここで、フレーム12a上部の搬送方向に関する長さ寸法は、パレット100の搬送方向に関する長さ寸法に比べて、略同程度となるように構成されており、バケット12(より詳しくは、回転ローラー12b・12b・・・)の上部には、1個のパレット100が搭載されるようになっている。
【0149】
バケット12の下流側端部には、落下防止ストッパー15が配設される。
前記落下防止ストッパー15は、パレット100を搭載したバケット12が下降する際、該バケット12よりパレット100が脱落することを防止するための部位である。
【0150】
落下防止ストッパー15は、図8(a)に示すように、正面視「L」字状に形成されるストッパー部材15Aを有して構成され、バケット12上部の左右方向(平面視にて、搬送方向と直交する方向。以下同じ。)中央部において、垂直方向に回動可能に支持される。
【0151】
即ち、前記ストッパー部材15Aは、上下方向に延出するストッパー部15aと、該ストッパー部15aの下端部より、左右方向のいずれか一方側に延出する当接部15bとにより構成される。
【0152】
そして、ストッパー部15aの上下方向中央部には、回転軸部15Bが軸心方向を搬送方向に向けて貫設され、該回転軸部15Bがフレーム12aに軸支されることで、落下防止ストッパー15は、左右方向に回動可能に支持されるのである。
【0153】
一方、フレーム11(図1を参照)内の下部には、上方に延出する棒状の押上げバー11cが固設される。
【0154】
そして、図8(a)に示すように、バケット12が上限位置(搬入口11aを介して、パレット100がバケット12に投入される際における、バケット12の位置。以下同じ。)にてパレット100を搭載し、その後、下降して下限位置(搬出口11bを介して、パレット100が供給装置40に搬出される際における、バケット12の位置。以下同じ。)の近傍に到達するまでの間においては、落下防止ストッパー15が「閉状態」(落下防止ストッパー15がフレーム12aの上部より垂直上方に向かって起立した状態。以下同じ。)となっている。
【0155】
よって、例えバケット12に搭載されたパレット100が、複数の回転ローラー12b・12b・・・上を滑り落ち、該バケット12より下流側方向に向かって脱落しようとしても、落下防止ストッパー15によって阻まれることとなる。
従って、バケット12が下降する際において、該バケット12に搭載されたパレット100が、該バケット12より脱落することはない。
【0156】
バケット12の下降開始後、該バケット12が搬出口11b(図1を参照)付近にまで到達すると、押上げバー11cの上端部は、ストッパー部材15Aの当接部15bと当接される。
【0157】
その後、さらにバケット12が下降することで、押上げバー108dは当接レバー135Cを上方に向かって突き上げることとなり、落下防止ストッパー15が、回転軸部15Bの軸心を中心にして、正面視時計回りに回転を開始する。
【0158】
そして、図8(b)に示すように、バケット12が下限位置に到達すると、落下防止ストッパー15は、完全に「開状態」(落下防止ストッパー15がフレーム12a上部の下方にて傾倒した状態。以下同じ。)となって保持されるのである。
【0159】
こうして、落下防止ストッパー15が「開状態」となれば、パレット100はバケット12の回転ローラー12b・12b・・・上を滑り落ち、昇降装置10より下側搬送手段7(図1を参照)に搬出される。
そして、パレット100の搬出が完了すると、バケット12の重量は後述するウエイト13cに比べて軽くなり、該バケット12は上昇を開始する。
【0160】
ここで、従来の重量バランスを利用した無動力降下装置(昇降装置)においては、上下方向に2個の大型のスプロケットを対向して配設し、これらスプロケットに無端状のチェーン(連結部材)を巻回し、該チェーン(連結部材)に複数の載荷台(バケット)を等間隔に配設する構成となっているため、該載荷台(バケット)に搭載されるパレット100を搬出する際は、前記スプロケットに沿って該載荷台(バケット)を大きく傾けて、前記パレット100を落下させることで行われていた。
そのため、パレット100の内容物が、例えば自動車の電子部品などである場合、落下したパレット100が着地する際の衝撃などによって、該電子部品がパレット100より脱落したり、また前記衝撃によって、該電子部品が破損する恐れがあった。
【0161】
このような従来の重量バランスを利用した無動力降下装置(昇降装置)に対して、本実施例における昇降装置10においては、落下防止ストッパー15の開閉動作によって、バケット12上にパレット100を確実に保持するとともに、回転ローラー12b・12b・・・を介して、該パレット100を滑らかに搬出することが可能な構成となっている。
よって、従来の重量バランスを利用した無動力降下装置(昇降装置)とは異なり、パレット100に外部からの衝撃を与えることも少なく、該パレット100の内容物の損傷を防ぐことができるのである。
【0162】
バケット12が上昇すると、押上げバー11cはストッパー部材15Aの当接部15bより離間される。
すると、ストッパー部材15Aは、重量バランスの影響によって再び回転し、図8(a)に示すように、落下防止ストッパー15は「閉状態」となって維持される。
その後、バケット12は上限位置に到達し、積込装置1より該バケット12に、再びパレット100が投入されるのである。
【0163】
次に、昇降機構13について説明する。
図1に示すように、昇降機構13は、フレーム11内において、バケット12を上昇あるいは下降させるための機構である。
昇降機構13は、フレーム11の上端部において、回動可能に軸支される定滑車13aや、該定滑車13aに巻回され両端部を下方に垂下された連結部材13bや、該連結部材13bの一方の端部に連結されるウエイト13cなどにより構成される。
そして、前記連結部材13bの他方の端部には、バケット12が連結される。
【0164】
ここで、ウエイト13cの重量(Wg)は、バケット12の重量(Bg)に比べて重くなるように設定されている(Wg>Bg)。
また、バケット12にパレット100が搭載され、該バケット12の重量(Bg)にパレット100の重量(Pg)が加算されると、これら重量の合計は、ウエイト13cの重量(Wg)に比べて重くなるように設定されている(Wg<Bg+Pg)。
つまり、ウエイト13cは、バケット12との重量差(Wg−Bg)がパレット100の重量(Pg)に比べて軽くなる((Wg−Bg)<Pg)ように形成される。
【0165】
このようなことから、バケット12に未だパレット100が搭載されていない状態においては、バケット12の重量(Bg)に比べてウエイト13cの重量(Wg)の方が重くなり、該ウエイト13cは連結部材13bの一方の端部を引っ張りながら下降する。
すると、連結部材13bの他方の端部は、定滑車13aを介して上昇することとなり、該他方の端部に連結されるバケット12は上昇する。
【0166】
一方、バケット12にパレット100が搭載された状態においては、バケット12およびパレット100の合計重量(Bg+Pg)に比べてウエイト13cの重量(Wg)の方が軽くなり、前記バケット12は連結部材13bの他方の端部を引っ張りながら下降する。
すると、連結部材13bの一方の端部は、定滑車13aを介して上昇することとなり、該一方の端部に連結されるウエイト13cは上昇する。
【0167】
こうして、バケット12は、昇降機構13を介して、パレット100の搭載状態の有無によって、上昇あるいは下降されるようになっている。
従って、バケット12の昇降動作については、アクチュエーターなどの動力源を設けることもなく、昇降機構13を介して、該バケット12とウエイト13cと間の重量バランスのみによって行われることとなり、設備コストの低減を図ることができる。
【0168】
また、従来の重量バランスを利用した無動力降下装置(昇降装置)においては、前述したように、上下方向に2個の大型のスプロケットを対向して配設し、これらスプロケットに無端状のチェーン(連結部材)を巻回し、該チェーン(連結部材)に複数の載荷台(バケット)を等間隔に配設する構成としていたため、該バケットの搬送経路が上昇時と下降時とによって各々区別されることとなり、装置全体として大型化し、広い設置スペースが必要となっていた。
【0169】
これに対して、本実施例における昇降装置10においては、1個のバケット12と、該バケット12を昇降動作させる昇降機構13とを設け、該昇降動作は上下方向に往復させることとしたため、バケットの搬送経路が上昇時と下降時とによって区別されることもなく共通となり、昇降装置10全体としてコンパクト化を図ることが可能となることから、該昇降装置10を備える積込システム50全体の設置スペースの縮小化を図ることができる。
【0170】
なお、搬送システム106の上昇用エレベーター107に用いられる昇降装置は、昇降装置10と略同等の構成を有し、昇降機構において異なる構成を有する。
即ち、前記昇降装置に備えられる昇降装置は、例えば、上下方向に伸縮する伸縮ロッドを有した油圧シリンダーや、或いは、駆動モータによって回転可能に設けられる動滑車などを有して構成される。
つまり、搬送システム106の上昇用エレベーター107に用いられる昇降装置は、重力バランスの影響によってバケット12の昇降動作を行う昇降装置10と異なり、電力や油圧などを動力源として、バケットの昇降移動を行う構成となっている。
【0171】
一方、フレーム11内の下部には、水平状に枠組みされる枠体部11dが設けられ、該枠体部11dの上面中央部には緩衝部材16が配設される。
前記緩衝部材16は、例えば低反発ウレタンなどのクッション材料からなり、十分な厚みを有する板状に形成される。
【0172】
そして、緩衝部材16は、枠体部11dの上面中央部において、上下方向に平面部を向けて配設されるとともに、該緩衝部材16の上面は、バケット12が下限位置に到達した状態において、該バケット12の下面に押圧されるようになっている。
【0173】
このような緩衝部材16を設けることで、バケット12が下限位置に到達した瞬間において、該バケット12に付加される衝撃力は、緩衝部材16によって略吸収されることとなる。
【0174】
従って、前記衝撃力の影響によって、バケット12に搭載されるパレット100が、搭載姿勢を大きく崩し、該パレット100に収納される部品などの内容物に損傷を与えることもない。
【0175】
また、定滑車13aには、調速機構25が配設される。
前記調速機構25は、定滑車13aの回転速度を変化させることで、バケット12の上昇時および下降時の速度を変更するための機構である。
【0176】
調速機構25は、図9に示すように、二個の回転ローラー25A・25Aを有して構成される。
各回転ローラー25Aは、軸心方向を上下方向(正面視において、定滑車13aの軸心方向に対して垂直方向)とする主軸25Bによって回転可能に軸支される。また、各回転ローラー25Aの外周面には、ネオプレンゴムなどからなる緩衝材25aが貼設される。
【0177】
そして、これら二個の回転ローラー25A・25Aは、その外周面(より詳しくは、緩衝材25a・25aにおける外周面)にて、互いに当接するように配設される。また、一方の回転ローラー25Aにおいては、その外周面にて、他方の回転ローラー25Aと当接されるとともに、定滑車13aの平面部とも当接されるようになっている。
【0178】
ここで、一方の回転ローラー25A(定滑車13a側の回転ローラー25A)を軸支する主軸25Bは、図示せぬ支持部材を介して、フレーム11に固定保持されている。また、他方の回転ローラー25Aを軸支する主軸25Bは、図示せぬスライド機構などを介して、フレーム11に支持されるとともに、該スライド機構によって、定滑車13aの軸心方向に沿って移動可能に設けられている。
つまり、他方の回転ローラー25Aは、一方の回転ローラー25Aに対して、近接離間方向に移動可能に設けられている。
【0179】
そして、2個の回転ローラー25A・25Aの間において、隙間が生じない範囲内にて、他方の回転ローラー25Aの位置を変更することで、バケット12の上昇時および下降時の速度は任意に変更されるようになっている。
【0180】
即ち、バケット12の上昇時および下降時において、定滑車13aは、常に2個の回転ローラー25A・25Aに回転駆動力を与えながら回転しているところ、例えば、他方の回転ローラー25Aを、一方の回転ローラー25Aに対して近接方向に移動して圧接すれば、これら2個の回転ローラー25A・25A間に発生する抵抗力は増加する。
その結果、定滑車13aと、一方の回転ローラー25Aとの間に発生する抵抗力も増加し、該定滑車13aの回転速度が低下することから、バケット12の上昇時および下降時の速度は減速される。
【0181】
一方、他方の回転ローラー25Aを、一方の回転ローラー25Aに対して離間方向に移動すれば、これら2個の回転ローラー25A・25A間に発生する抵抗力は減少する。
その結果、定滑車13aと、一方の回転ローラー25Aとの間に発生する抵抗力も減少し、該定滑車13aの回転速度が増加することから、バケット12の上昇時および下降時の速度は増加されるのである。
【0182】
このように、本実施例における昇降装置10においては、調速機構25を設けることで、他に駆動モータや減速機などを用いた大掛かりな変速装置を別途もうけることもなく、主に二個の回転ローラー25Aや図示せぬスライド機構などからなる機械的な構成のみによって、バケット12の上昇時および下降時の速度を、任意に変更することを可能としている。
【0183】
次に、上昇停止機構14について説明する。
上昇停止機構14は、積込装置1におけるパレット100の有無に応じて、バケット12の上昇を強制的に停止させるための機構である。
【0184】
即ち、図1に示すように、積込装置1の搬送シューター2(図2を参照)上にパレット100が存在しない場合において、仮にバケット12が上限位置にまで到達して停止すれば、前述したように、連結バー33を介して、下流側ストッパー31および上流側ストッパー32は、各々「開状態」および「閉状態」に維持されることとなる。
【0185】
このような状態において、搬送シューター2上に新たにパレット100を再投入すると、該パレット100は上流側ストッパー32によってせき止められることとなる。
よって、例えば作業者51等が、上流側ストッパー32を強制的に「開状態」としない限り、パレット100は下流側ストッパー31にまで到達することはできず、積込システム50によるパレット100の搬送が停止することとなる。
【0186】
このようなことから、本実施例における昇降装置10においては、上昇停止機構14を設けて、搬送シューター2上におけるパレット100の有無を検知し、該パレット100が存在しない場合には、バケット12の上昇を強制的に停止させて、該バケット12を上限位置の手前(より詳しくは、昇降装置10の上下方向中途部)の位置に停止させるようにしている。
【0187】
従って、昇降装置10においては、搬送シューター2上に新たにパレット100を再投入しても、該パレット100が上流側ストッパー32によってせき止められることもなく、積込システム50によるパレット100の搬送が、直ちに開始されるのである。
【0188】
上昇停止機構14は、パレット検知部17や、ストッパー部18や、これらパレット検知部17とストッパー部18とを連結する連結部材19などにより構成される。
前記パレット検知部17は、積込装置1におけるパレット100の有無を検知するための部位である。
パレット検知部17は、図10(a)に示すように、検知バー17aや当接ローラー17bや回転軸部17cやストップバー17dなどにより構成される。
【0189】
検知バー17aは棒状部材より形成され、積込装置1の下流側端部における一方の側部近傍(本実施例においては、左側部近傍)において、ほぼパレット100の搬送方向に向かって延出するようにして配設される。
【0190】
検知バー17aの前方側(パレット100の搬送方向下流側。以下同じ。)の端部には、当接ローラー17bが、軸心を垂直方向に向けつつ、回転可能に軸支される。
また、検知バー17aの後方側(パレット100の搬送方向上流側。以下同じ。)の端部には、連結部材19の一方の端部19aが連結される。
そして、検知バー17aの中途部には回転軸部17cが設けられ、該回転軸部17cを介して、検知バー17aは、水平方向に回転可能に軸支される。
なお、回転軸部17cは、積込装置1のフレーム21に固定支持されている。
【0191】
ここで、連結部材19の他方の端部には、後述するストッパー部14Bが連結されており、連結部材19には、前記ストッパー部14Bの自重によって、常に引張力が付勢されている。
つまり、検知バー17aの後方側の端部は、連結部材19によって、常に前方側に向かって引っ張られており、検知バー17aは、平面視にて回転軸部17cの軸心を中心にして、常に時計回り方向(図10(a)における矢印Dの方向)に向かって回転するように付勢されている。
【0192】
一方、回転軸部17cの近傍には、例えば棒状部材からなるストップバー17dが、直立して配設されるとともに、積込装置1のフレーム21より固定支持されている。
そして、ストップバー17dと当接されることで、連結部材19による検知バー17aの回転動作は停止され、パレット検知部17は、平面視において、該検知バー17aの前方側の端部を積込装置1側に傾斜させ、且つ当接ローラー17bを搬送シューター2の上方に位置させた状態(以下、「空状態」と記す)によって保持されるようになっている。
【0193】
このような構成からなるパレット検知部17によって、積込装置1の搬送シューター2(図2を参照)上における、パレット100の有無が検知され、該パレット100の有無に基づいて、パレット検知部17は、連結部材19を介して、後述するストッパー部18を操作するようになっている。
【0194】
即ち、図10(a)に示すように、搬送シューター2上にパレット100が存在しない場合、前述したように、パレット検知部17は「空状態」によって保持される。
【0195】
一方、図10(b)に示すように、搬送シューター2上にパレット100が存在する場合、該パレット100は、側面部(本実施例においては、左側面部)を当接ローラー17bに摺動させつつ下流側へと搬送され、下流側ストッパー31によって、積込装置1の下流側端部に停止することとなる。
【0196】
その結果、当接ローラー17bは、パレット100の側面部によって自転されつつ、平面視にて搬送シューター2の外側方向(より具体的には、左側方向)に押しやられることとなる。
よって、パレット検知部17は、検知バー17aが回転軸部17cの軸心を中心にして反時計回り方向(図10(b)における矢印Eの方向。以下同じ。)に向かって回転され、検知バー17aの後方側の端部が前記「空状態」に比べて後方側に大きく移動された状態(以下、「実状態」と記す)となる。
そして、パレット検知部17が「実状態」になれば、これにともない、連結部材19の一方の端部19aも後方側に大きく引っ張られることとなり、後述するように、ストッパー部18が動作される。
【0197】
バケット12が上限位置に到達し、積込装置1より該バケット12上にパレット100が投入されると、当接ローラー17bは、該パレット100の側面部より開放される。
その結果、連結部材19に付勢される引張力によって、検知バー17aは、再び回転軸部17cの軸心を中心にして、時計回り方向に向かって回転され、パレット検知部17が「空状態」に保持される。
【0198】
このように、パレット検知部17は、積込装置1の搬送シューター2上におけるパレット100の有無を、検知バー17aの回転動作によって検知するとともに、後述するように、該回転動作に基づいて、連結部材19を介して、ストッパー部18を動作させる構成となっているのである。
【0199】
ストッパー部18は、パレット検知部17の検知結果(より詳しくは、積込装置1におけるパレット100の有無)に基づいて出没可能に設けられるとともに、バケット12に配設される突出部材20と直接当接され、バケット12の上昇を停止させる部位である。
ストッパー部18は、図11(a)に示すように、バケットストッパー18Aや当接ローラー18Bや回転軸部18Cなどにより構成される。
【0200】
バケットストッパー18Aは側面視「コ」字状に形成され、昇降装置10におけるフレーム11の上下方向中途部において、その後側部に前方側に向かって開口するようにして配設される。
即ち、バケットストッパー18Aは、前後方向に延出されるとともに、上下方向に向かって互いに平行に配設される二本の支持部18a・18aや、これら支持部18a・18aの後端部において、該支持部18a・18aを連結する連結部18bや、該連結部18bの後面部より後方に向かって突設される突出部18cなどにより構成される。
【0201】
そして、上方側の支持部18aにおいて、その前端部には回転軸部18Cが設けられ、該回転軸部18Cを介して、バケットストッパー18Aは、垂直方向に回転可能に軸支される。
つまり、回転軸部18Cを中心にして、バケットストッパー18Aが回転することで、該バケットストッパー18Aにおける下方側の支持部18aの先端部(より詳しくは、後述する当接ローラー18B)はバケット12側に出没される。
【0202】
一方、突出部18cの突出端部には、連結部材19の他方の端部19bが連結される。
そして、検知バー17aが「空状態」(図10(a)を参照)、あるいは「実状態」(図10(b)を参照)に保持されることで、連結部材19の他方の端部19bが下方、あるいは上方へと移動することとなり、バケットストッパー18Aの姿勢は、回転軸部18Cの軸心を中心にして回転し、保持されるようになっている。
【0203】
下方側の支持部18aにおいて、その前端部には当接ローラー18Bが配設される。
前記当接ローラー18Bは、軸心を左右方向に向けつつ、該支持部18aに回転可能に軸支される。
そして、バケット12の上昇を停止する際は、当接ローラー18Bが、バケット12の突出部材20に当接されるようになっている。
【0204】
このような構成からなるストッパー部18を、前述したパレット検知部17の動作に基づいて操作することで、バケット12は、積込装置1の搬送シューター2上にパレット100が存在しない場合に限り、上昇を停止されるようになっている。
【0205】
即ち、ストッパー部18のバケットストッパー18Aは、重量バランスの影響によって、回転軸部18Cの軸心を中心にして、時計回り方向(図11(a)における矢印Fの方向)に向かって回転するように常に付勢されており、前記バケットストッパー18Aの回転動作にともなって、連結部材19の他方の端部19bも、常に下方に向かって引っ張られることとなる。
【0206】
一方、前述したように、連結部材19の他方の端部19bが下方に向かって引っ張られると、これに追従して、前記連結部材19の一方の端部19aは、前方側へと引っ張られ、パレット検知部17の検知バー17aが、回転軸部17cの軸心を中心にして回転される。
つまり、搬送シューター2上にパレット100が存在しない場合、検知バー17aは、連結部材19によって、ストップバー17dと当接される位置にまで回転されることとなり、パレット検知部17が「空状態」に保持される。
【0207】
すると、図11(a)に示すように、バケットストッパー18Aの回転も停止され、ストッパー部18は、該バケットストッパー18Aが、回転軸部18Cの軸心を中心にして、前方側にやや傾くとともに、下方側の支持部18aの延出端部(より詳しくは、当接ローラー18B)が、フレーム11内に突出する状態(以下、「閉状態」と記す。)によって保持される。
【0208】
ここで、バケット12の後側部には突出部材20が設けられる。
前記突出部材20は、バケット12の後側端部において、後方に向かって突出するようにして配設される。
【0209】
即ち、突出部材20は、側面視において、水平後向に向かって突出する上部突出部20aと、該上部突出部20aの突出端部より斜前下方に向かって突出する下部突出部20bとにより形成される。
【0210】
そして、ストッパー部18が「閉状態」にある場合において、バケットストッパー18Aの下方よりバケット12が上昇すると、該バケットストッパー18Aに配設される当接ローラー18Bの下端部と、突出部材20の上面(より具体的には、上部突出部20aの上面)とが当接され、バケット12の上昇は停止される。
つまり、バケット12は、上限位置の手前(下方)の位置に保持される。
【0211】
なお、ストッパー部18によって、バケット12の上昇が停止された後、さらに該バケット12が上昇しようとしても、パレット検知部17の検知バー17aが、ストップバー17dによって回転を停止されている以上、連結部材19の他方の端部19bを下方に向かって引っ張ることは不可能であり、ストッパー部18の「閉状態」は保持され、前記バケット12が上昇することはない。
【0212】
一方、搬送シューター2上にパレット100が存在する場合、前述したように、連結部材19の一方の端部19aは後方側に大きく引っ張られ、パレット検知部17が「実状態」に保持される。
【0213】
すると、連結部材19の他方の端部19bは、大きく上方へと引っ張られることとなり、バケットストッパー18Aは、回転軸部18Cの軸心を中心にして、反時計回り方向(図10(b)における矢印Gの方向)に向かって回転され保持される。
つまり、パレット検知部17が「実状態」に保持されることで、ストッパー部18は、該バケットストッパー18Aが、回転軸部18Cの軸心を中心にして、後方側にやや傾くとともに、下方側の支持部18aの延出端部(より詳しくは、当接ローラー18B)が、フレーム11内より外側(後方側)に向かって移動した状態(以下、「開状態」と記す。)によって保持される。
【0214】
そして、ストッパー部18が「開状態」によって保持されていれば、バケットストッパー18Aの下方よりバケット12が上昇しても、該バケットストッパー18Aに配設される当接ローラー18Bの下端部と、突出部材20の上面(より具体的には、上部突出部20aの上面)とが当接されることはない。
つまり、搬送シューター2上にパレット100が存在する場合には、バケット12の上昇は停止されることはないのである。
【0215】
このように、本実施例における昇降装置10においては、上昇停止機構14を設けることで、他に検出器やアクチュエーターなどを用いた大掛かりな装置を別途設けることもなく、パレット検知部17やストッパー部18や連結部材19などからなる機械的な構成のみによって、積込装置1の搬送シューター2上にパレット100が存在しないことを検出し、バケット12の上昇を強制的に停止して、積込システム50の動作を停止するとともに、搬送シューター2上にパレット100を再び投入した後は、積込システム50の動作を自動的に再開することを可能にしている。
【0216】
なお、搬送シューター2上にパレット100が存在しない場合において、バケット12が下限位置に到達しても、積込システム50によるパレット100の搬送に影響を与えることはないことから、本実施例における上昇停止機構14では、積込システム50の動作をむやみに停止することがないように、ストッパー部18が「閉状態」にある状態でも、バケット12の下降は停止しない構成となっている。
【0217】
即ち、図11(c)に示すように、ストッパー部18が「閉状態」にある場合において、バケットストッパー18Aの上方よりバケット12が下昇すると、該バケットストッパー18Aに配設される当接ローラー18Bの上端部と、突出部材20の下面(より具体的には、下部突出部20bの下面)とが当接される。
【0218】
ここで、下部突出部20bは、前述したように、斜前下方に向かって突出するようにして形成されているため、バケット12が下降するにともなって、当接ローラー18Bは、下部突出部20bの下面に沿って摺動しつつ、フレーム11内より外側(後方側)に向かって押しやられる。
【0219】
その結果、バケットストッパー18Aは、バケット12が下降するにともなって、回転軸部18Cの軸心を中心にして、反時計回り方向(図11(c)における矢印Hの方向)に向かって回転されることとなり、ストッパー部18が「閉状態」にある状態でも、バケット12の下降が停止されることはないのである。
【0220】
[積込システム50の動作]
次に、本発明を具現化する積込システム50の動作について、図12を用いて説明する。
なお、便宜上、図12における矢印Aの方向は、前方および搬送物の搬送方向を示すものとして、また図12の上下方向は、積込システム50の上下方向を示すものとして各々規定し、以下の説明を行う。
【0221】
先ず、積込装置1において、下流側ストッパー31および上流側ストッパー32が、各々「閉状態」および「開状態」の状態にあり、且つ複数のパレット100・100・・・が、搬送方向に沿って隙間なく、積込装置1上に並べられた状態において、「空状態」(バケット12上にパレット100が搭載されていない状態。以下同じ。)のバケット12が、昇降機構13によって上昇される。
なお、この際、バケット12に備えられる落下防止ストッパー15は、「閉状態」となっている。
【0222】
そして、図12(a)に示すように、バケット12が上限位置に到達すると、前述したように、該バケット12の上昇動作によって、連結バー33が軸心を中心にして回転され、下流側ストッパー31および上流側ストッパー32は、各々「開状態」および「閉状態」となる。
すると、前記複数のパレット100・100・・・のうち、最下流側に位置するパレット100のみが切り出されて、バケット12に投入される。
【0223】
このように、本実施例における積込装置1においては、予め複数のパレット100・100・・・を投入しておくことが可能であるとともに、バケット12の上昇動作によって、自動的に1個のパレット100(最下流側のパレット100)が切り出されて、バケット12に投入されるようになっている。
よって、バケット12へパレット100を投入する際のタイミングを制御するための検出装置などを別途設ける必要はなく、あるいは、バケット12が上限位置に到達したタイミングを見計らって、該バケット12にパレット100を投入する作業者を設ける必要もなく、積込装置1の設備コスト、あるいは該積込装置1の操作に関わる人件費を低減することができるのである。
【0224】
バケット12の上部にパレット100が搭載され、バケット12の重量(Bg)に、パレット100の重量(Pg)が加算されると、これら加算された重量(Bg+Pg)は、ウエイト13cの重量(Wg)を超えることとなる。
その結果、パレット100が搭載されるバケット12と、ウエイト13cとの間における釣り合い関係より、バケット12は下降を開始するとともに、ウエイト13cが上昇を開始する。
【0225】
バケット12が下降すると、前述したように、自身の重量バランスの影響によって、連結バー33が軸心を中心にして逆方向(バケット12の上昇動作によって回転された方向に対して逆方向)に回転され、下流側ストッパー31および上流側ストッパー32は、再び各々「閉状態」および「開状態」となる。
すると、上流側ストッパー32によって停止されていたパレット100・100・・・が搬送方向に向かって順に搬送され、これらパレット100・100・・・は、下流側ストッパー31によって、再び搬送方向に沿って隙間なく、積込装置1上に並べられる。
【0226】
このように、本実施例における積込装置1においては、バケット12にパレット100が投入された後も、該バケット12の下降動作によって、自動的に次のパレット100が最下流側に搬送されるようになっている。
よって、積込装置1の操作に関しては、作業者が関与する部分が全くなく、人件費を低減することができるのである。
【0227】
一方、図12(b)に示すように、バケット12が下限位置に到達すると、前述したように、該バケット12の下降動作によって、落下防止ストッパー15は「開状態」となる。
すると、バケット12に搭載されるパレット100は、供給装置40へと搬出される。
【0228】
バケット12よりパレット100が搬出され、加算分であるパレット100の重量(Pg)を失うと、バケット12自身の重量(Bg)は、ウエイト13cの重量(Wg)に比べて小さいため、バケット12とウエイト13cとの間における釣り合い関係より、バケット12は上昇を開始するとともに、ウエイト13cが下降を開始する。
【0229】
そして、図12(c)に示すように、バケット12が上昇すると、前述したように、自身の重量バランスの影響によって、落下防止ストッパー15は再び「閉状態」となる。
【0230】
その後、図12(a)に示すように、バケット12は再び上限位置に到達し、積込装置1の最下流側に位置するパレット100のみが切り出されて、バケット12に投入されるのである。
【0231】
以上のように、本実施例における積込システム50は、箱形状のパレット(搬送物)100を搬送し、該パレット(搬送物)100を目標の場所に積み込む積込装置1によって構成される上側搬送手段と、該積込装置(上側搬送手段)1の下方側に配設され、該積込装置(上側搬送手段)1によって搬送されてきたパレット(搬送物)100を、引き続き搬送する供給装置(下側搬送手段)40と、上部に設けられる搬入口11aを介して前記積込装置(上側搬送手段)1の下流側端部と連結し、下部に設けられる搬出口11bを介して前記供給装置(下側搬送手段)40の上流側端部と連結するとともに、前記積込装置(上側搬送手段)1によって搬送されてきたパレット(搬送物)100を、前記供給装置(下側搬送手段)40に受け渡す昇降装置(昇降手段)10と、を備える積込システム50であって、前記昇降装置(昇降手段)10は、前記パレット(搬送物)100を載置するバケット12と、該バケット12を上下方向に移動させる昇降機構13と、を有し、前記昇降機構13は、前記昇降装置(昇降手段)10の上部にて回動可能に軸支される定滑車13aと、中途部にて該定滑車13aに巻回されつつ、両端部を下方に垂下させる連結部材13bと、該連結部材13bの一方の端部に連結されるウエイト13cと、により構成し、前記連結部材13bの他方の端部は、前記バケット12と連結されるとともに、前記ウエイト13cは、自身の重量(Wg)が前記バケット12の重量(Bg)に比べて重く(Wg>Bg)、且つ前記バケット12との重量差(Wg−Bg)が前記搬送物の重量(Pg)に比べて軽くなる((Wg−Bg)<Pg)ように形成され、前記昇降機構13によって、前記バケット12は、前記積込装置(上側搬送手段)1の下流側端部と、前記供給装置(下側搬送手段)40の上流側端部との間を往復移動されることとしている。
【0232】
このような構成を有することで、本実施例における積込システム50によれば、コンパクトかつ低コストな昇降装置10を構築することが可能となり、前記積込装置1からなる上側搬送手段や、該上側搬送手段の下方側に配設され、該上側搬送手段によって搬送されてきたパレット100を引き続き搬送する下側搬送手段や、前記昇降装置10からなり、これら上側搬送手段と下側搬送手段との間に配設される昇降手段などからなる積込システム50を、低コストにて実現することができる。
【0233】
即ち、本実施例における昇降装置10においては、1個のバケット12と、該バケット12を昇降動作させる昇降機構13とを設け、該昇降動作は上下方向に往復させることとしたため、バケットの搬送経路が上昇時と下降時とによって区別されることもなく共通となり、昇降装置10全体としてコンパクト化を図ることが可能となる。
従って、昇降装置10を備える積込システム50全体の設置スペースを縮小することができるばかりか、該積込システム50の設置費用を低減することも可能となり、該積込システム50を、低コストにて実現することができるのである。
【0234】
また、このような構成からなる昇降機構13を介して、バケット12は、パレット100の搭載状態の有無によって、上昇あるいは下降されるようになっていることから、バケット12の昇降動作については、電力や油圧などの動力源を別途用いることなく、昇降機構13を介して、該バケット12とウエイト13cと間の重量バランスのみによって行われることとなり、設備コストの低減を図ることができる。
【0235】
また、本実施例における積込システム50において、前記昇降装置(昇降手段)10には、上下方向中途部にて前記バケット12を停止させる上昇停止機構(停止機構)14が備えられ、該上昇停止機構(停止機構)14は、前記積込装置(上側搬送手段)1におけるパレット(搬送物)100の有無を検知するパレット検知部(検知手段)17と、該パレット検知部(検知手段)17の検知結果に基づいて出没可能に設けられるとともに、前記バケット12と当接されることで前記バケット12の上昇を停止するストッパー部(ストッパー手段)18と、を有し、前記パレット検知部(検知手段)17は、前記積込装置(上側搬送手段)1にパレット(搬送物)100が無いことを検知すると、前記ストッパー部(ストッパー手段)18を出現させ、上昇中の前記バケット12を停止させることとしている。
【0236】
このような構成からなる上昇停止機構14を昇降装置10に備えることで、本実施例における積込システム50においては、例えば上側搬送手段を、前述した切出しストッパー3を備えた積込装置1によって構成した場合でも、該積込装置1上にパレット100が存在しなくなった状態から新たにパレット100を再投入した際、該パレット100が上流側ストッパー32によってせき止められることを防止することができ、積込システム50全体としての動作が停止することを防ぐことができるのである。
【符号の説明】
【0237】
1 積込装置(上側搬送手段)
2 搬送シューター
3 切出しストッパー
10 昇降装置(昇降手段)
11a 搬入口
11b 搬出口
12 バケット
13 昇降機構
13a 定滑車
13b 連結部材
13c ウエイト
14 上昇停止機構(停止機構)
17 パレット検知部(検知手段)
18 ストッパー部(ストッパー手段)
31 下流側ストッパー
32 上流側ストッパー
32a 当接ローラー(ローラー部)
40 供給装置(下側搬送手段)
50 積込システム
100 パレット(搬送物)
100A パレット
100B パレット(搬送物)
S 滑動面
S1 第一滑動面
S2 第二滑動面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱形状の搬送物を搬送し、該搬送物を目標の場所に積み込む積込装置であって、
搬送方向に向かって複数の前記搬送物を連続的に搬送する搬送シューターと、
該搬送シューターの下流部に配設され、前記搬送物の搬送の停止および開放を行う切出しストッパーと、
を備え、
前記搬送シューターは、前記搬送物を滑動させながら搬送する滑動面を有し、
該滑動面は、
搬送方向に向かって下方に傾斜する第一滑動面と、
該第一滑動面の下流端から搬送方向の下流側に向けて設けられ、前記第一滑動面の傾斜角度よりも大きな角度で搬送方向に向かって下方に傾斜する第二滑動面と、
を有し、
前記切出しストッパーは、
前記第二滑動面の下流部にて開閉自在に設けられ、
閉状態において、搬送方向最下流側に位置する第一の搬送物と当接して、該第一の搬送物の搬送を停止するとともに、開状態において前記第一の搬送物の停止状態を開放する下流側ストッパー部と、
前記第一滑動面の下流部にて開閉自在に設けられ、
閉状態において、前記第一の搬送物の直後に後続する第二の搬送物と当接して、前記第一の搬送物を除く全ての搬送物の搬送を停止するとともに、開状態において前記第一の搬送物を除く全ての搬送物の停止状態を開放する上流側ストッパー部と、
を有し、
前記第二滑動面における前記下流側ストッパーの配設位置から上流端部までの長さは、前記搬送物の搬送方向に関する長さに対して短く構成され、
閉状態における前記上流側ストッパーは、前記下流側ストッパーによる停止位置に位置する前記第一の搬送物の下面後部と前記第一滑動面の下流側端部との間に形成される間隙内に位置する、
ことを特徴とする積込装置。
【請求項2】
前記上流側ストッパーの先端部には、ローラー部が軸支され、
前記上流側ストッパーは、前記ローラー部の外周面を前記第二の搬送物に当接しつつ回転しながら、開閉動作を行う、
ことを特徴とする、請求項1に記載の積込装置。
【請求項3】
箱形状の搬送物を搬送し、該搬送物を目標の場所に積み込む積込装置によって構成される上側搬送手段と、
該上側搬送手段の下方側に配設され、該上側搬送手段によって搬送されてきた搬送物を、引き続き搬送する下側搬送手段と、
上部にて前記上側搬送手段の下流側端部と連結し、下部にて前記下側搬送手段の上流側端部と連結するとともに、前記上側搬送手段によって搬送されてきた搬送物を、前記下側搬送手段に受け渡す昇降手段と、
を備える積込システムであって、
前記昇降手段は、
前記搬送物を載置するバケットと、
該バケットを上下方向に移動させる昇降機構と、
を有し、
前記昇降機構は、
前記昇降手段の上端部にて回動可能に軸支される定滑車と、
中途部にて該定滑車に巻回されつつ、両端部を下方に垂下させる連結部材と、
該連結部材の一方の端部に連結されるウエイトと、
により構成し、
前記連結部材の他方の端部は、前記バケットと連結されるとともに、
前記ウエイトは、
自身の重量が前記バケットの重量に比べて重く、且つ
前記バケットとの重量差が前記搬送物の重量に比べて軽くなるように形成され、
前記昇降機構によって、前記バケットは、前記上側搬送手段の下流側端部と、前記下側搬送手段の上流側端部との間を往復移動される、
ことを特徴とする積込システム。
【請求項4】
前記昇降手段には、
上下方向中途部にて前記バケットを停止させる停止機構が備えられ、
該停止機構は、
前記上側搬送手段における搬送物の有無を検知する検知手段と、
該検知手段の検知結果に基づいて出没可能に設けられるとともに、前記バケットと当接されることで前記バケットの上昇を停止するストッパー手段と、
を有し、
前記検知手段は、前記上側搬送手段に搬送物が無いことを検知すると、前記ストッパー手段を出現させ、上昇中の前記バケットを停止させる、
ことを特徴とする、請求項3に記載の積込システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−46352(P2012−46352A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214488(P2010−214488)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】