説明

空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造

【課題】
車両用圧縮空気ブレーキ装置等の空気乾燥装置の内部にポリウレタン製フィルタ部等を備え、圧縮空気に包含するオイル分又はオイルミスト等を除去する空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造の技術を提供する。
【解決手段】
乾燥用ケース22は大径長円筒体部22Aと小径長円筒体部22Bとで構成され、前記大径長円筒体部22Aはその内部に除湿部材25を充填している。該除湿部材25は乾燥剤部25Aと、該乾燥剤部25Aの上面部もしくは下面部に配置したポリウレタン材料で成形したフィルタ部25Bとでなる。オイルフィルタ27は全体形状が略ドーナツ状で構成され、固形化されたアルミ箔製フィルタ部27Aと該固形化されたアルミ箔製フィルタ部27Aの上方に配置したポリウレタン製フィルタ部27Bとでなる。そして該オイルフィルタ27は前記外ケース21の内壁面と乾燥用ケース22の小径長円筒体部22Bとの間に形成された空間S3に挿置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両用圧縮空気ブレーキ装置等の空気乾燥装置の内部にポリウレタン製フィルタ部等を備え、圧縮空気に包含するオイル分又はオイルミスト等を抑制し、品質の向上を図るべくした空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種、流入空気の除湿やオイルを除去するための空気乾燥装置の第1の例としては図8に示す米国特許公報2004/0163535A1に開示された技術がある。
これについて説明すれば、1は空気乾燥装置であって外ケース2と、この外ケース2の下端2aに基盤3を固定してある。該基盤3は乾燥前の圧縮空気を流入するための入口3aと、略中央部に穿孔した出口3bとを有している。該基盤3は例えば全体が所定の厚さを有する円盤状に形成され、その略中央部が筒状の突起体3cで形成し乾燥後の圧縮空気を排出する前記出口3bを備えている。
【0003】
そして、前記基盤3の出口3bの外周部分には円周状に所定間隔、例えば相互間を略45°に設定した入口3aを8個を有している。前記外ケース2の高さ方向の略中央位置に於ける内部には、多数の小孔でなる開口4aを形成した円盤状の支持板4を配置している。該支持板4の上方に向って該外ケース2の内部には円筒体5を突設・形成している。また、該支持板4の下方に向って円筒状スプリング支持体6を垂下形成している。該円筒状スプリング支持体6の外周にはエレメント支持体7を配置してある。該エレメント支持体7は大概して上方に鍔部7aと、その下方に一体形成した筒部7bとを備えており、該筒部7bの内部の下方にはスプリング受座7cを形成している。このスプリング受座7cは略中央部分が前記基盤3の出口3bに連通する円孔7dを穿孔してある。
【0004】
そして、該筒部7b内に巻装されたスプリング8はその下端がスプリング受座7cの上面で又、その上端が前記円筒状スプリング支持体6でそれぞれ支持されている。一方、前記エレメント支持体7の鍔部7aの外周縁にはエレメント把持部7eを下方に向けて周設している。該エレメント把持部7eにはエレメント9を備え、その下方は通路10を形成すると共に圧縮空気チェック弁11を備えている。また、外ケース2の内部であって支持板4の上方の空間内には乾燥剤12を充填している。
尚、図中Sは外ケース2とエレメント支持体7の筒部7bとで形成された空間である。
【0005】
従来技術の第1例に於ける空気乾燥装置1は上述した構成であるので、圧縮機(図示せず)から流送された乾燥前の圧縮空気は入口3aから空間Sを経由してエレメント9を流過し、該圧縮空気に包含するオイル粒子分や湿気分を除去する。そして、該圧縮空気は支持板4の開口4aから乾燥剤12に流れ込む。該乾燥剤12により該圧縮空気はさらに除湿・乾燥されて円筒体5に流送されると共にエレメント支持体7の筒部7bの内部を流過して出口3bから排出される。
【0006】
次に従来の技術に於ける空気乾燥装置の第2の例としては図9に示す米国特許公報2006/0123743A1に開示された技術がある。
これについて説明すれば、1Aは空気乾燥装置であって、外ケース2と内ケース2Aとを有している。該内ケース2Aは上方・下方に大径及び小径の筒体2b、2cでなる円筒状に形成されてある。該内ケース2Aの小径筒体2cの底板2eは基盤3の出口3bと連通する小孔でなる排出口2fを多数個穿孔している。該底板2eの上面にはフィルタ板13を敷設している。一方、該底板2eの外周縁の下面と前記基盤3の外周縁の上面との間には第1フィルタ14を介装してある。
【0007】
そして該内ケース2Aの底板2eの略中央部下面に円筒突起2gを突設し、この先端部分にシール材2hを介在させて前記基盤3の略中央部に上方に向って形成した筒状の突起体3cの外周に固設している。また前記内ケース2Aの大径筒体2bの外周面と外ケース2の内周面との間にはエア流送路S1及び該内ケース2Aの小径筒体2cの外周面と外ケース2の内周面との間にはバイパス通路S2をそれぞれ形成している。
【0008】
15は第2フィルタであって、前記バイパス通路S2内であって、該内ケース2Aの大径筒体2bの外周縁の下面と小径筒体2cの下端縁との間に固定・配置している。前記基盤3の下部には下面にシール部材16を備えた外部カバー17を固定している。該外部カバー17には基盤3の入口3aに連通する流入口17a及び基盤3の出口3bに連通する流出口17bを形成している。図中2dは内ケース2Aの蓋板であり、その中央部に筒体2jを突設すると共に多数個の開口2k・・・・・を穿孔してなり、フィルタ板18をその下面に配置し、内ケース2A内に充填した乾燥剤12を閉止する。19はスプリングであり前記筒体2j内に巻装され外ケース2の上壁面2iに支持されている。
図中、Vはチェックバルブでありバイパス通路S2に配置している。
【0009】
従来の技術の第2の例に於ける空気乾燥装置1Aは上述の構成であるので、圧縮機(図示せず)から流送された乾燥前の圧縮空気は入口3aから第1フィルタ14、バイパス通路S2を経由して第2フィルタ15及びエア流送路S1を流過し、蓋板2dの開口2kを経て乾燥剤12に流れ込む。そして、該圧縮空気は該乾燥剤12により該圧縮空気はさらに除湿・乾燥されてフィルター板13を経て底板2eの排出口2fを流過して基盤3の出口3bから排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】2004/0163535A1に係る米国特許公報
【特許文献2】2006/0123743A1に係る米国特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
圧縮機が外気から取入れた空気を圧縮する際に、圧縮空気には圧縮機のオイルミストが混入する。一般に空気乾燥装置において、圧縮空気の水分を除去するに先立ちフィルタ等にてオイルミストを圧縮空気から除去している。しかしながら従来の技術の第1、第2の例に於ける前述した空気乾燥装置に於いては、フィルタが固形化されたアルミ箔等で製作されており、オイルミストの除去を十分に行うことができず、乾燥剤がオイルミストで汚染されると共に重量が嵩みかつ高価であるという欠点があった。さらに、乾燥剤がオイルミストで汚染されると、圧縮空気の乾燥が不十分となり、圧縮空気中の水分によって車両等に搭載したブレーキ装置を始めとする各種の空圧装置・機器の腐食を促進し、特に制動装置系統の故障により突然走行不能となるという問題点があった。また、冬季及び寒冷地に於いて各種の空圧装置・機器に流入した水分・水滴が各種の空圧装置・機器を凍結させて作動不良が発生するという問題点があった。さらに、フィルタエレメント及びその周囲に付着し貯留された圧縮機からのオイルが、フィルタエレメントから溢れ出し、乾燥剤を流過して各種の空圧装置・機器内に流入してシール材やパッキング等のゴム製部品を劣化させて故障の原因となるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造は叙上の問題点を解決すべく発明したものであり、次の構成、手段から成立する。
【0013】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、外ケースと、該外ケースの内部に収納されかつ大径長円筒体部及びこれと一体成形された小径長円筒体部を有すると共に、該大径長円筒体部の内部に合成ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の単一もしくはこれらを組み合わせた材料で構成された除湿部材を充填した乾燥用ケースと、該乾燥用ケースの下端に固定しかつ圧縮空気の入口及び出口を備えた基盤とでなる構成に於いて、前記外ケースの内壁面と前記小径長円筒体部との間に形成された空間S3内に固形化されたアルミ箔製フィルタ部と該固形化されたアルミ箔製フィルタ部の上方もしくは下方に配置したポリウレタン等でできた油分吸着用フィルタとでなるオイルフィルタを挿置したことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、外ケースと、該外ケースの内部に収納されかつ大径長円筒体部及びこれと一体成形された小径長円筒体部を有すると共に、該大径長円筒体部の内部に合成ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の単一もしくはこれらを組み合わせた材料で構成された除湿部材を充填した乾燥用ケースと、該乾燥用ケースの下端に固定しかつ圧縮空気の入口及び出口を備えた基盤とでなる構成に於いて、前記外ケースの内壁面と前記小径長円筒体部との間に形成された空間S3内にポリウレタン等でできた油分吸着用フィルタを挿置したことを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、ドレンバルブ装置を有した支持ベースと、該支持ベースに乾燥剤を充填しかつ上端周縁に所定数個を張出し形成した突出部を設けた乾燥容器と、乾燥容器に係合するパージタンクとを設けた構成に於いて、前記乾燥容器の内部空間S5に合成ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の単一もしくはこれらを組み合わせた材料で構成された除湿部材を収容すると共に前記乾燥容器の底部の小容積の収容部分S6にポリウレタン等でできた油分吸着用フィルタを挿置したことを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3に記載の空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造に於いて、前記該大径長円筒体部の内部の所望部位もしくは前記乾燥容器の内部空間に乾燥剤部と該乾燥剤部の上面もしくは下面に配置したポリウレタン等の油分吸着用材料で成形したフィルタ部とでなる除湿部材を充填したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造は上述した構成を有するので次の効果がある。
【0018】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、外ケースと、該外ケースの内部に収納されかつ大径長円筒体部及びこれと一体成形された小径長円筒体部を有すると共に、該大径長円筒体部の内部に合成ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の単一もしくはこれらを組み合わせた材料で構成された除湿部材を充填した乾燥用ケースと、該乾燥用ケースの下端に固定しかつ圧縮空気の入口及び出口を備えた基盤とでなる構成に於いて、前記外ケースの内壁面と前記小径長円筒体部との間に形成された空間S3内に固形化されたアルミ箔製フィルタ部と該固形化されたアルミ箔製フィルタ部の上方もしくは下方に配置したポリウレタン等でできた油分吸着用フィルタとでなるオイルフィルタを挿置したことを特徴とする空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造を提供する。
このような構成としたので、空間S3内のオイルフィルタのアルミ箔製フィルタ部及びポリウレタン製フィルタ部を流過し、該圧縮空気に包含する例えば重油や原油、機械油、灯油及び軽油等の各種のオイル粒子分や湿気分を除去するいという効果がある。さらに、乾燥剤量を少なくかつ乾燥剤の容積を抑制することもできたので空気乾燥装置の外形寸法を拡大することなくオイルトラップ部すなわち前記外ケースの内壁面と乾燥用ケースの小径長円筒体部との間に形成された空間S3の容積を増加させることができ、圧縮機から混入・流入するオイル及びオイルミストを十分に貯留することができると共にオイル蓄積能力を高め、オイルが乾燥剤や各種の空圧装置・機器に付着・流入することが無く、オイル上がりを防止し、良質な圧縮空気を流送し併せて従来品に備えたチェックバルブやバイパス通路を排除でき構造を簡単にして量産性の高い装置を提供できるという効果がある。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、外ケースと、該外ケースの内部に収納されかつ大径長円筒体部及びこれと一体成形された小径長円筒体部を有すると共に、該大径長円筒体部の内部に合成ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の単一もしくはこれらを組み合わせた材料で構成された除湿部材を充填した乾燥用ケースと、該乾燥用ケースの下端に固定しかつ圧縮空気の入口及び出口を備えた基盤とでなる構成に於いて、前記外ケースの内壁面と前記小径長円筒体部との間に形成された空間S3内にポリウレタン等でできた油分吸着用フィルタを挿置したことを特徴とする空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造を提供する。
このような構成としたので、請求項1に記載の発明の効果に加えて空間S3内のポリウレタン製フィルタ部を流過し、該圧縮空気に包含する例えば重油や原油、機械油、灯油及び軽油等の各種のオイル粒子分や湿気分を除去する。このとき該オイルフィルタがポリウレタン製フィルタ部で構成されているので該圧縮空気に包含するオイル分を捕捉・除去することができるという効果がある。また、除湿部材は合成ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の単一もしくはこれらを組み合わせた材料で構成され圧縮空気を除湿する機能が極めて高いという効果があり、殊に該除湿部材は隙間S4から流送された油分のほとんどない圧縮空気の湿分を除湿することができ空気乾燥装置を円滑かつ極めて効率よく動作させることができるという効果がある。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、ドレンバルブ装置を有した支持ベースと、該支持ベースに乾燥剤を充填しかつ上端周縁に所定数個を張出し形成した突出部を設けた乾燥容器と、乾燥容器に係合するパージタンクとを設けた構成に於いて、前記乾燥容器の内部空間S5に合成ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の単一もしくはこれらを組み合わせた材料で構成された除湿部材を収容すると共に前記乾燥容器の底部の小容積の収容部分S6にポリウレタン等でできた油分吸着用フィルタを挿置したことを特徴とする空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造を提供する。
このような構成としたので、請求項1に記載の発明の効果に加えて乾燥容器の底部の小容積の収容部分S5内のポリウレタン製フィルタ部を流過し、該圧縮空気に包含する例えば重油や原油、機械油、灯油及び軽油等の各種のオイル粒子分や湿気分を除去し、圧縮空気に包含するオイル分を軽量かつ安価なうえに効率よく捕捉・除去することができ、加えて除湿部材により効率よく除湿されるという効果がある。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3に記載の空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造に於いて、前記該大径長円筒体部の内部の所望部位もしくは前記乾燥容器の内部空間S5に乾燥剤部と該乾燥剤部の上面もしくは下面に配置したポリウレタン等でできた油分吸着用材料で成形したフィルタ部とでなる除湿部材を充填したことを特徴とする空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造を提供する。
このような構成としたので、大径長円筒体部はその内部に乾燥剤部とポリウレタン材料で成形したフィルタ部とで構成したので安価な上に軽量であって圧縮空気を除湿する機能が極めて高いという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造の実施の形態を示す垂直断面図である。
【図2】本発明に係る空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造に適用するポリウレタン製フィルタ部の製法を示す図面であって、(a)はポリウレタン素材を示す斜視図、(b)は該ポリウレタン素材を切断した後の帯状ウレタン部材の正面図、(c)は帯状ウレタン部材の一端、他端の形状を示す側面図である。
【図3】本発明に適用する帯状ウレタン部材(ポリウレタン製フィルタ部)のカール状の曲折状態を示す図面であって、(a)は正面図、(b)は(a)に示す帯状ウレタン部材をカール状に曲折した後の平面図である。
【図4】本発明に適用する帯状ウレタン部材(ポリウレタン製フィルタ部)のカール状の曲折状態の他の例を示す図面であって、(a)は正面図、(b)は(a)に示す帯状ウレタン部材をカール状に曲折した後の平面図である。
【図5】本発明に適用する帯状ウレタン部材(ポリウレタン製フィルタ部)の内側面に切欠きを設けた図面であって、(a)は側面図、(b)は(a)の切欠き部を示す部分拡大図である。
【図6】本発明に係る空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造の実施例1に適用する除湿部材及びオイルフィルタの例を示す垂直断面図である。
【図7】本発明に係る空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造の実施例2に適用する除湿部材及びオイルフィルタの例を示す部分垂直断面図である。
【図8】従来の技術に於ける空気乾燥装置の第1の例を示す垂直断面図である。
【図9】従来の技術に於ける空気乾燥装置の第2の例を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明に係る空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造の実施の形態について図1に基づき詳細に説明する。
図1は空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造を示す垂直断面図である。
20は本発明に係る空気乾燥装置であって、大概して外ケース21と、この外ケース21の内部に収納された乾燥用ケース22と、該外ケース21の下端部21aに固定した基盤23と、該基盤23を下方から支持しかつ該下端部21aの端部21bに固定した外カバー24とで構成される。前記外ケース21は例えば冷間圧延鋼板や電気亜鉛メッキ鋼板等で作成され全体形状が空洞であって釣鐘状を成している。
【0024】
前記乾燥用ケース22は前記外ケース21と同一材質であって、全体形状が略円筒形で成形され大径長円筒体部22Aと、これと一体成形されかつ小径長円筒体部22Bとを有している。前記大径長円筒体部22Aはその内部に除湿部材25を充填している。該除湿部材25は例えば図1に示すように乾燥剤部25Aと、該乾燥剤部25Aの上面部に配置したポリウレタン材料で成形したフィルタ部25Bとでなる。該乾燥剤部25Aは大径長円筒体部22Aの内底面つまりフィルタ板22dから高さhの位置までに配置する。そして、前記フィルタ部25Bは該乾燥剤部25Aの上面であって、該大径長円筒体部22Aの天井面、つまりフィルタ板22aから高さhの位置までに配置する。
【0025】
ここで高さhと高さhの合計値は大径長円筒体部22Aの高さとほぼ等しくなる。そして前記乾燥剤部25A及びフィルタ部25Bはいずれも該大径長円筒体部22Aの内部に適正に嵌合できるように円柱形状で構成してある。尚、前記除湿部材25の配置例は上述のように該大径長円筒体部22Aの下方に乾燥剤部25Aを、上方にフィルタ部25Bを配置したが、本発明はこれに限定されず一点鎖線で示すように大径長円筒体部22Aの下方であってフィルタ板22dから高さhの位置にフィルタ部25Bを、その上方に乾燥剤部25Aを配置する構成でもよい。
【0026】
該乾燥部剤25Aは高性能乾燥剤であって例えば合成ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の単一もしくはこれらを組み合わせた材料で構成される。該大径長円筒体部22Aの上面及び底面にそれぞれフィルタ22a、22bを介してフィルタ板22c、22dを敷設または覆設している。前記フィルタ22a、22bは例えばポリエステル材料等で成形され略円盤状であって、その中央部分を低く成形している。
【0027】
該フィルタ板22c、22dは前記外ケース21と同一材質であって薄板状の円盤形状で構成され、その中央部分に凹部22gを形成し、この上方のフィルタ板22cの凹部22gに支持ばね26を係入し乾燥用ケース22を支持している。また、該フィルタ板22c、22dはそれぞれ多数個の小開口22e・・・・、22f・・・・を貫通形成している。これにより乾燥された圧縮空気はフィルタ板22cの小開口22eからフィルタ22a、乾燥剤25を経由してフィルタ板22dの小開口22fを流過し、小径長円筒体部22Bの内部を流れ基盤23の出口23bに流送・排出される。
【0028】
27はオイルフィルタであって、全体形状が略ドーナツ状で構成され、固形化されたアルミ箔製フィルタ部27Aと該固形化されたアルミ箔製フィルタ部27Aの上方に配置したポリウレタン製フィルタ部27Bとでなる。該ポリウレタン製フィルタ部27Bはポリウレタン等でできた油分吸着用フィルタを構成する。そしてポリウレタン等で構成した油分吸着用フィルタの材料としては、ポリエステル系の発泡ポリウレタンすなわちモルトプレン、特に発泡したポリエーテル系の発泡ポリウレタンが好適である。そして該オイルフィルタ27は前記外ケース21の内壁面と乾燥用ケース22の小径長円筒体部22Bとの間に形成された空間S3に挿置されている。また前記固形化されたアルミ箔製フィルタ部27Aは基盤23の上面から高さhの位置までに配置する。そして該ポリウレタン製フィルタ部27Bは該固形化されたアルミ箔製フィルタ部27Aの上面であって該小径長円筒体部22Bの天井面22hから高さhの位置までに配置する。
【0029】
ここで高さhと高さhの合計値は該小径長円筒体部22Bの高さとほぼ等しくなる。前記固形化されたアルミ箔製フィルタ部27Aと前記ポリウレタン製フィルタ部27Bとはいずれも略ドーナツ状に形成する。尚、オイルフィルタ27の配置例は上述のように該小径長円筒体部22Bの下方に固形化されたアルミ箔製フィルタ部27Aを、該小径長円筒体部22Bの上方にポリウレタン製フィルタ部27Bを配置したが、本発明はこれに限定されず一点鎖線で示すようにポリウレタン製フィルタ部27Bを前記固形化されたアルミ箔製フィルタ部27Aの下方であって、基盤23の上面から高さhの位置に該ポリウレタン製フィルタ部27Bを配置する構成でもよい。
【0030】
前記基盤23は、例えば全体が所定の厚さを有する円盤状に形成され、その略中央部が筒状の突起体23cで形成し乾燥後の圧縮空気を排出する出口23bを備えている。そして、前記基盤23の出口23bの外周部分には円周状に所定間隔、例えば相互間を略45°に設定した入口23aを8個を有している。また、該基盤23に形成した例えば8個の入口23aの内壁面に外カバー24の立上げ片24aを挿入・係止する。前記外カバー24は下面に凹陥24bを周設・形成し、この凹陥24b内にリング状のシール部材28を嵌着している。該シール部材28は中心部分が貫通孔28aとなっており、前記基盤23の出口23bに連通している。
【0031】
一方に於いて前記外カバー24の外縁部24cは内方にカール状に形成する。他方に於いて前記外ケース21の下端部21aの端部21bは外方にカール状に形成する。そして、その両者間は例えばシール剤を塗布して加締めて固定する。
尚、図中29はシール部材であり乾燥用ケース22の小径長円筒体部22Bの下端縁と基盤23の筒状の突起体23cの外周面とに介装され、両者は密閉性を高めている。
【0032】
次に図2(a)ないし(c)に基づき本発明に適用するオイルフィルタ27のポリウレタン製フィルタ部27Bについてその製法を説明する。
図2(a)はポリウレタン素材27aを示す斜視図であり該ポリウレタン素材27aは全体形状が大型の略矩形でなる。そして該ポリウレタン素材27aは本発明に適用すべく一例で示すように切断線27bを線引し、これに基づき工具や裁断器等の切断機具27cを用いて矩形体であって図2(b)に示すように帯状に切断する。これにより製作された帯状ウレタン部材は前記ポリウレタン製フィルタ部27Bを構成する。そして、該帯状ウレタン部材(ポリウレタン製フィルタ部)27Bは一端27d、他端27eの垂直方向中心部に図2(c)に示すように凹陥27f、突起27gを構成する。かくして帯状ウレタン部材(ポリウレタン製フィルタ部)27Bを図1に示す空間S3に配置する際、この凹陥27fと突起27gを嵌着する。このようにすれば帯状ウレタン部材(ポリウレタン製フィルタ部)27Bの組付性が向上する。また一方、該帯状ウレタン部材(ポリウレタン製フィルタ部)27Bはその両端に凹陥27f、突起27gを形成することなく図3(a)に示すように矢印P1、P2方向にカール状に曲折し、図3(a)のカール後の平面図である図3(b)に示すように隙間27hを有した状態のまま前記空間S3に配置してもよい。
【0033】
さらに帯状ウレタン部材(ポリウレタン製フィルタ部)27Bはその両端に凹陥27f、突起27gを形成することなく適当な傾斜角を有した斜面L1、L2を形成し図4(a)に示すように矢印P1、P2方向にカール状に曲折し、図4(a)のカール後の平面図である図4(b)に示すように斜面L1、L2を当接した構成とする。この様にすれば帯状ウレタン部材(ポリウレタン製フィルタ部)27Bの一端27dと他端27eが密着して接合することができ帯状ウレタン部材(ポリウレタン製フィルタ部)27Bの密着性が向上する。
【0034】
また、図5(a)に示すように帯状ウレタン部材(ポリウレタン製フィルタ部)27Bの内側面27iに所定間隔を有して複数個の切欠き27j・・・・を形成し一端27d、他端27eをカール状に曲折するとき帯状ウレタン部材(ポリウレタン製フィルタ部)27Bの内側面27iにストレスが生ずることなく円滑に曲折加工できる。該完成した帯状ウレタン部材(ポリウレタン製フィルタ部)27Bを空間S3内に配置するとき、小径長円筒体部22Bの外表面に該切欠き27jの周辺部27kが密着し密閉性が向上する。
【0035】
次に本発明に係る空気乾燥装置に於ける除湿及び吸着構造についてその実施の形態について図1に基づき動作等を説明する。
空気乾燥装置20は上述した構成であるので、圧縮機(図示せず)から流送された乾燥前の圧縮空気は入口23aから空間S3内のオイルフィルタ27のアルミ箔製フィルタ部27A及びポリウレタン製フィルタ部27Bを流過し、該圧縮空気に包含する例えば重油や原油、機械油、灯油及び軽油等の各種のオイル粒子分や湿気分を除去する。このとき該オイルフィルタ27が固形化されたアルミ箔製フィルタ部27Aとポリウレタン製フィルタ部27Bで構成されているので重複して該圧縮空気に包含するオイル分を捕捉・除去することができる。よって該オイルフィルタ27は圧縮空気に包含するオイルを捕捉・蓄積する能力を高めており、従来の技術に比較し、例えば、全流送中の約5割程度のオイル粒子分やオイルミストを除去することもできた。
【0036】
この場合、該オイルフィルタ27つまり固形化されたアルミ箔製フィルタ部27Aとポリウレタン製フィルタ部27Bの働きにより、いわゆるオイル上がりを防止できた圧縮空気を除湿部材25に流れ込ませる。すなわちオイルフィルタ27から送出された乾燥空気は外ケース21と大径長円筒体22Aとの間の隙間S4を経てフィルタ板22cの小開口22eを通じて除湿部材25に流れる。ここで該除湿部材25は乾燥剤部25Aとポリウレタン材料で成形したフィルタ部25Bとで構成され安価な上に軽量であって圧縮空気を除湿する機能が極めて高い。殊に該除湿部材25は隙間S4から流送されたオイル上がりのほとんどない圧縮空気の湿分を除湿することができ空気乾燥装置を円滑かつ極めて効率よく動作させることができた。
【0037】
除湿・乾燥された該圧縮空気は乾燥用ケース22の小径長円筒体部22Bに流送されると共に基盤23の出口23bから排出される。従って、前記シール部材28の下流側に配置したタンク内に流送された圧縮空気によりオイル分が滞留することがなく、空気乾燥装置の品質を高めることができる。ここで基盤の入口23aの総面積と外ケース21と乾燥用ケース22の大径長円筒体部22Aとの間の隙間S4の軸直角断面積をほぼ同じにするとよい。そして乾燥用ケース22の小径長円筒体部22Bの軸直角断面積と基盤の出口23bの軸直角断面積をほぼ同じにするとよい。さらに、基盤の入口23aの総面積と基盤の出口23bの軸直角断面積をほぼ同じにするとよい。また、乾燥用ケース22の小径長円筒体部22Bの軸直角断面積よりも外ケース21の内壁面と乾燥用ケース22の小径長円筒体部22Bとの間に形成された空間S3の軸直角断面積のほうを大きくするとよい。さらに隙間S4に対して基盤の入口23aをできるだけ基盤23の中心側に配置するとよい。このように配置すると空間S3内での流速が遅くなりオイルミストが液滴化(凝縮)しやすくなる。
【0038】
また上述したオイルフィルタ27は使用済みで廃却することがなく、これを洗浄し、いわゆるカートリッジ式を採用し、空間S3内に再使用可能となる。また使用済みのものと新規なオイルフィルタ27とを交換可能にすることもできる。
【実施例1】
【0039】
次に本発明に係る空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造の実施例1について図6に基づき詳細に説明する。
図6は本発明に係る空気乾燥装置に適用する除湿部材25C及びポリウレタン製フィルタ27Cの例を示す垂直断面図である。
本実施例1に於いて前記乾燥用ケース22は前記外ケース21と同一材質であって、全体形状が略円筒形で成形され大径長円筒体部22Aと、これと一体成形されかつ小径長円筒体部22Bとを有している。前記大径長円筒体部22Aはその内部の全域に除湿部材25Cを充填している。該除湿部材25Cは例えば合成ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の単一もしくはこれらを組み合わせた材料で構成してなり、大径長円筒体部22Aの内底面つまりフィルタ板22dからフィルタ板22cまで、すなわち概ね円柱形状の大径長円筒体部22Aの高さ又は天井面の位置までに配置し又は充填する。
【0040】
該大径長円筒体部22Aの上面及び底面にそれぞれフィルタ22a、22bを介してフィルタ板22c、22dを敷設または覆設している。前記フィルタ22a、22bは例えばポリエステル材料等で成形され略円盤状であって、その中央部分を低く成形している。
【0041】
次に、27Cはポリウレタン製フィルタであり全体形状が略ドーナツ状で構成されている。そして該ポリウレタン製フィルタ27Cは前記外ケース21の内壁面と乾燥用ケース22の小径長円筒体部22Bとの間に形成された空間S3の全域に挿置されている。そして該ポリウレタン製フィルタ27Cは該小径長円筒体部22Bの天井面22hから基盤23の上面までの全域に配置し、該ポリウレタン製フィルタ27Cは略ドーナツ状に形成する。
【0042】
次に本発明に係る空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造についてその実施例1について動作等を説明する。
空気乾燥装置20は上述した構成であるので、圧縮機(図示せず)から流送された乾燥前の圧縮空気は入口23aから空間S3内のポリウレタン製フィルタ27Cを流過し、該圧縮空気に包含する例えば重油や原油、機械油、灯油及び軽油等の各種のオイル粒子分や湿気分を除去する。このとき該オイルフィルタがポリウレタン製フィルタ27Cで構成されているので該圧縮空気に包含するオイル分を捕捉・除去することができる。よってポリウレタン製フィルタ27Cは軽量にして安価で圧縮空気に包含するオイルを捕捉・蓄積する能力を高めており、従来の技術に比較し、例えば全流送中の約5割程度のオイル粒子分やオイルミストを除去することもできた。
【0043】
この場合、該ポリウレタン製フィルタ27Cの働きにより、いわゆるオイル上がりを防止できた圧縮空気を除湿部材25Cに流れ込ませる。すなわちポリウレタン製フィルタ27Cから送出された乾燥空気は外ケース21と大径長円筒体22Aとの間の隙間S4を経てフィルタ板22cの小開口22eを通じて除湿部材25Cに流れる。ここで該除湿部材25Cは合成ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の単一もしくはこれらを組み合わせた材料で構成され、圧縮空気を除湿する機能が極めて高い。殊に該除湿部材25Cはポリウレタン製フィルタ27Cを通り、隙間S4から流送された圧縮空気の湿分を除湿することができ空気乾燥装置を円滑かつ極めて効率よく動作させることができた。
【0044】
該圧縮空気はさらに除湿・乾燥されて乾燥用ケース22の小径長円筒体部22Bに流送されると共に基盤23の出口23bから排出される。従って、前記シール部材28の下流側に配置したタンク内に流送された圧縮空気によりオイル分が滞留することがなく、空気乾燥装置の品質を高めることができる。尚、実施例1に係る空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造についてほかの構成、動作等は図1に示すものと略同一であり同一符号、同一番号を付しその説明を省略する。また、従って、ポリウレタン製フィルタ27Cは、空間S3の流路の軸直角断面を全て被うことができれば、空間S3の一部に挿置されてもよい。
【実施例2】
【0045】
次に本発明に係る空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造の実施例2について図7に基づき詳細に説明する。
図7は本発明に係るパージタンク一体型空気乾燥装置に適用する合成ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の単一もしくはこれらを組み合わせた材料で構成された除湿部材及びポリウレタン製フィルタを配置した例を示すの垂直断面図である。
【0046】
圧縮空気乾燥装置30の底部には肉厚な支持ベース31がある。支持ベース31は、アルミニウムあるいはその合金などからなる金属成型品である。支持ベース31の一方の側面には空気圧縮機(図示せず)の吐出口に連通される入口(図示せず)があり、他方の側面にはタンク等(図示せず)に連通される出口(図示せず)を設けている。
【0047】
空気圧縮機(図示せず)の吐出口に連通される入口は、径方向に伸びる入口孔から中央の縦孔31dを通し支持ベース31の上面に連通している。支持ベース31は、ドレンバルブ装置を有しており上面側には、内側リング部31aおよび外側リング部31bを同心状に備えている。外側リング部31bは、内側リング部31aに比べて背が高くしかも肉厚状に構成している。内側リング部31aと外側リング部31bとの間にわたって支持ベース31の上面は大きくえぐられ、そこにリング状空間31cが形成されている。このリング状空間31cは、乾燥処理を終えた圧縮空気を貯える空間として利用される。したがって、逆止弁を収容したバルブ収容孔は、リング状空間31cに開口する。
【0048】
圧縮空気乾燥装置30は、上述の支持ベース31のほか、支持ベース31の上に位置する乾燥容器32および外側カバーとしてのパージタンク33を備える。乾燥容器32は、内部空間S5の全域に除湿部材34を収容した容器である。また、パージタンク33は、乾燥容器32の外周を取り囲み、その乾燥容器32との間に圧縮空気を貯える第1の部屋33aを区画するカバーである。パージタンク33と乾燥容器32は互いに嵌り合う。嵌り合う部分には、密閉するためのシールリング36を設けている。そして、該乾燥容器32はその上端周縁に突出部32aを張出し形成している。該突出部32aは所定数個例えば8個周設している。そして該突出部32aの上面に蓋部材32bを取付けボルト32eで固定している。また、該乾燥容器32はその下方に所定数個のパージタンク係止凹陥32cを周設している。該パージタンク係止凹陥32cはパージタンク33の下方に所定数個形成した係止突起32dを係合し該パージタンク33を係止している。
【0049】
乾燥容器32の大径な下方部32gは、リング状内部空間32fを備える。リング状内部空間32fは、支持ベース31側のリング状空間31cと一緒になって、乾燥処理を終えた圧縮空気を貯える第2の部屋を区画する。圧縮空気を貯える第2の部屋つまりリング状空間31cと圧縮空気を貯える第1の部屋33aとは、複数の連通孔(図示せず)を通して互いに連通する。
【0050】
大径な下方部32gのリング状内部空間32fは、幅が広い部分と幅が狭い部分とが連続した形態である。それに応じ、乾燥容器32の容器内部には、底部32hに小容積の収容部分S6があり、その上に大容積の収容部分すなわち内部空間S5がある。底部32hの小容積の収容部分S6の全域にはポリウレタン製フィルタ35が充填又は収容され挿置する。その上の内部空間S5の全域に除湿部材34が充填又は収容されている。容器内部のポリウレタン製フィルタ35及び除湿部材34は、複数の取付けボルト32eをゆるめて乾燥容器32の上部の蓋部材32bを取り外すことによって交換可能である。蓋部材32bには、逆止弁32iが閉じる比較的に大きな通路32jがある。また、蓋部材32bの下には、除湿部材34を適度に充填するためのコイルバネ32kを巻装してある。
【0051】
次に本発明に係る空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造についてその実施例2についてその動作等を説明する。
乾燥処理すべき圧縮空気は、入口から入りまずポリウレタン製フィルタ35によってコンプレッサオイルやダストが除去され、ついで除湿部材34の中を通過することで該除湿部材34により効率よく除湿される。除湿され乾燥した圧縮空気は、逆止弁32iを開いて通路32jからパージタンク33の圧縮空気を貯える第1の部屋33a、およびそれに連通する圧縮空気を貯える第2の部屋つまりリング状空間31cに流入する。流入した圧縮空気は、一部が再生用として圧縮空気を貯える第1の部屋33aおよびリング状空間31c内に貯えられ、残りは支持ベース31内の逆止弁から出口を通して外部のメインタンク内に貯えられる。
【0052】
この場合に於ける圧縮空気乾燥装置33は、乾燥前の圧縮空気は入口から前記乾燥容器32の底部32hの小容積の収容部分S5内のポリウレタン製フィルタ部35を流過し、該圧縮空気に包含する例えば重油や原油、機械油、灯油及び軽油等の各種のオイル粒子分や湿気分を除去する。このとき該オイルフィルタがポリウレタン製フィルタ部35で構成されているのでアルミ箔製フィルタのみを使用する場合に比べて該圧縮空気に包含するオイル分を軽量かつ安価なうえに効率よく捕捉・除去することができる。よってポリウレタン製フィルタ部35は軽量にして安価で圧縮空気に包含するオイルを捕捉・蓄積する能力を高め、加えて該除湿部材34により効率よく除湿され従来の技術に比較し、例えば全流送中の約5割程度のオイル粒子分やオイルミストを除去することもできた。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は自動車の圧縮空気供給システムの分野に利用するものであって、圧縮空気乾燥装置に流入する圧縮空気を除湿して清浄化すると共に、当該圧縮空気乾燥装置に流入する油分や湿分を除湿部材やポリウレタン製フィルタで除去することを目的とする。
【符号の説明】
【0054】
20 空気乾燥装置
20A 空気乾燥装置
21 外ケース
21a 外ケースの下端部
21b 外ケースの下端部の端部
22 乾燥用ケース
22A 乾燥用ケースの大径長円筒体部
22B 乾燥用ケースの小径長円筒体部
22C 乾燥用ケースの傾斜面
22a フィルタ
22b フィルタ
22c フィルタ板
22d フィルタ板
22e フィルタ板22cの小開口
22f フィルタ板22dの小開口
22g フィルタ板の凹部
22h 天井面
23 基盤
23a 基盤の入口
23b 基盤の出口
23c 基盤の筒状の突起体
24 外カバー
24a 外カバーの立上げ片
24b 外カバーの凹陥
24c 外カバーの外縁部
25 除湿部材
25A 乾燥剤部
25B フィルタ部
25C 除湿部材
26 支持ばね
27 オイルフィルタ
27A アルミ箔製フィルタ部
27B 帯状ウレタン部材(ポリウレタン製フィルタ部)
27C ポリウレタン製フィルタ
27a ポリウレタン素材
27b 切断線
27c 切断機具
27d 一端
27e 他端
27f 凹陥
27g 突起
27h 隙間
27i 内側面
27j 切欠き
27k 周辺部
28 シール部材
28a シール部材の貫通孔
29 シール部材
30 圧縮空気乾燥装置
31 支持ベース
31a 内側リング部
31b 外側リング部
31c リング状空間
31d 縦孔
32 乾燥容器
32a 突出部
32b 蓋部材
32c パージタンク係止凹陥
32d 大径な下方部
32e 取付けボルト
32f リング状内部空間
32g 大径な下方部
32h 底部
32i 逆止弁
32j 通路
32k コイルバネ
33 パージタンク
33a 圧縮空気を貯える第1の部屋
33b 係止突起
34 除湿部材
35 ポリウレタン製フィルタ
36 シールリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外ケースと、該外ケースの内部に収納されかつ大径長円筒体部及びこれと一体成形された小径長円筒体部を有すると共に、該大径長円筒体部の内部に合成ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の単一もしくはこれらを組み合わせた材料で構成された除湿部材を充填した乾燥用ケースと、該乾燥用ケースの下端に固定しかつ圧縮空気の入口及び出口を備えた基盤とでなる構成に於いて、前記外ケースの内壁面と前記小径長円筒体部との間に形成された空間S3内に固形化されたアルミ箔製フィルタ部と該固形化されたアルミ箔製フィルタ部の上方もしくは下方に配置したポリウレタン等でできた油分吸着用フィルタとでなるオイルフィルタを挿置したことを特徴とする空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造。
【請求項2】
外ケースと、該外ケースの内部に収納されかつ大径長円筒体部及びこれと一体成形された小径長円筒体部を有すると共に、該大径長円筒体部の内部に合成ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の単一もしくはこれらを組み合わせた材料で構成された除湿部材を充填した乾燥用ケースと、該乾燥用ケースの下端に固定しかつ圧縮空気の入口及び出口を備えた基盤とでなる構成に於いて、前記外ケースの内壁面と前記小径長円筒体部との間に形成された空間S3内にポリウレタン等でできた油分吸着用フィルタを挿置したことを特徴とする空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造。
【請求項3】
ドレンバルブ装置を有した支持ベースと、該支持ベースに乾燥剤を充填しかつ上端周縁に所定数個を張出し形成した突出部を設けた乾燥容器と、乾燥容器に係合するパージタンクとを設けた構成に於いて、前記乾燥容器の内部空間S5に合成ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の単一もしくはこれらを組み合わせた材料で構成された除湿部材を収容すると共に前記乾燥容器の底部の小容積の収容部分S6にポリウレタン等でできた油分吸着用フィルタを挿置したことを特徴とする空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造。
【請求項4】
前記該大径長円筒体部の内部の所望部位もしくは前記乾燥容器の内部空間に乾燥剤部と該乾燥剤部の上面もしくは下面に配置したポリウレタン等の油分吸着用材料で成形したフィルタ部とでなる除湿部材を充填したことを特徴とする請求項1ないし3に記載の空気乾燥装置に於ける除湿及びオイル吸着構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−25205(P2011−25205A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175989(P2009−175989)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(510063502)ナブテスコオートモーティブ株式会社 (34)
【Fターム(参考)】