空気処理装置
【課題】汚染空気を効率よく捕集することができ、経時変化による性能低下を少なくするとともに、メンテナンスまでの期間を長期化し得る空気処理装置を提供する。
【解決手段】電気加熱器具4による調理時に発生する汚染空気を吸い込むための吸込み口と、吸込み口に連通してキャビネット1内に設置され、吸込み口から汚染空気を取り込む送風機11と、吸込み口に配置される吸込み口フィルタ5と、キャビネット内に配置されるプレフィルタ7と、放電電極と対向電極の間でコロナ放電を生じさせて油煙・水蒸気を帯電させるイオン化部と、このイオン化部で帯電された油煙・水蒸気を集塵するコレクタ部とで構成される集塵手段9と、脱臭手段とを備え、吸込み口から取り込んだ汚染空気を第1の油煙・水蒸気除去手段、第2の油煙・水蒸気除去手段、集塵手段、脱臭手段の順に経由してキャビネットの外に吹き出し口から排出させる。
【解決手段】電気加熱器具4による調理時に発生する汚染空気を吸い込むための吸込み口と、吸込み口に連通してキャビネット1内に設置され、吸込み口から汚染空気を取り込む送風機11と、吸込み口に配置される吸込み口フィルタ5と、キャビネット内に配置されるプレフィルタ7と、放電電極と対向電極の間でコロナ放電を生じさせて油煙・水蒸気を帯電させるイオン化部と、このイオン化部で帯電された油煙・水蒸気を集塵するコレクタ部とで構成される集塵手段9と、脱臭手段とを備え、吸込み口から取り込んだ汚染空気を第1の油煙・水蒸気除去手段、第2の油煙・水蒸気除去手段、集塵手段、脱臭手段の順に経由してキャビネットの外に吹き出し口から排出させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気加熱器具による調理時に発生する油煙や水蒸気、臭気等を除去する空気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二酸化炭素を発生しないIHクッキングヒータなどの電磁調理器、ハロゲンヒータ等の電気加熱器具(以下、電気加熱器具という)の使用時に発生する調理臭を処理する装置として、例えば、調理に起因して生じる臭いを上部フードで捕集し、脱臭処理して室内へ循環するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
燃焼を伴わない電気加熱器具では人体に有害な二酸化炭素が発生しないため、油煙、水分、調理臭等の汚染空気(以下、汚染空気という)を処理できれば必ずしも室外への排気は必要なくなる。従来技術(特許文献1)では上部フードで汚染空気を捕集し脱臭処理して室内へと循環させているが、上部フードでの捕集では、燃焼を伴わない電気加熱器具を使用した場合には、ガスの燃焼を利用した調理時に比べて上昇流が弱く、空調機等による気流の乱れの影響を受けて拡散しやすいため、汚染空気を効率よく捕集することは難しい。また、捕集された汚染空気を脱臭し循環路を通り室内へと循環させているが、その循環路は調理器具奥側の壁内にあるため、対面式キッチンとすることができない等キッチンレイアウトが制限されてしまう。また、上部フードが設置されると、そのスペースを有効利用することができず、上部フードに設置されたフィルタの取り外しも容易ではない。さらにまた、上部フードが設置されたキャビネットは重心が高く容易に移動させることができない。そこで、上述のような問題を解決するために、電気加熱器具の奥側に設けられ、該電気加熱器具による調理で発生した汚染空気を吸い込むための吸込み口と、吸込み口に連通してキャビネット内に設置され、吸込み口から汚染空気を取り込む送風機と、吸込み口に配置される油煙除去装置、キャビネット内に設置される水分除去装置及び脱臭装置の内、少なくとも1又は複数の処理装置を備え、吸込み口から取り込んだ汚染空気を処理してキャビネットの外に吹き出し口から排出して室内に循環させるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平9−042730号公報(請求項1、図1)
【特許文献2】特開2005−283060号公報(請求項1、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この従来技術(特許文献2)では、電気加熱器具による調理で発生した汚染空気をキャビネット内に吸い込むために、吸込み口に油煙除去装置が、キャビネット内には水分除去装置及び脱臭装置が配置されているが、キャビネット内に設置されるこれら油煙除去装置や水分除去装置、脱臭装置のメンテナンスが困難であるという問題があった。また、油煙、水分が油煙除去装置、水分除去装置及び脱臭装置に堆積すると性能が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、汚染空気を効率よく捕集することができ、経時変化による性能低下を少なくするとともに、メンテナンスまでの期間を長期化し得る空気処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る空気処理装置は、電気加熱器具による調理時に発生する油煙や水蒸気、臭気等の汚染空気を吸い込むための吸込み口と、前記吸込み口に連通してキャビネット内に設置され、前記吸込み口から前記汚染空気を取り込む送風機と、前記吸込み口に配置される第1の油煙・水蒸気除去手段と、前記キャビネット内に配置される第2の油煙・水蒸気除去手段と、放電電極と対向電極の間でコロナ放電を生じさせて油煙・水蒸気を帯電させるイオン化部と、このイオン化部で帯電された油煙・水蒸気を集塵するコレクタ部とで構成される集塵手段と、脱臭手段とを備え、前記吸込み口から取り込んだ前記汚染空気を前記第1の油煙・水蒸気除去手段、前記第2の油煙・水蒸気除去手段、前記集塵手段、前記脱臭手段の順に経由して前記キャビネットの外に吹き出し口から排出させる構成とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の空気処理装置は、上記のように構成することにより、まず第1の油煙・水蒸気除去手段により、調理時に発生する汚染空気中の油煙や水蒸気の大半を除去し、引き続き第2の油煙・水蒸気除去手段により、さらに油煙や水蒸気を除去することで、集塵手段の負荷を減少させることができるので、経時変化による集塵効率の低下が少なく、メンテナンスまでの期間を長期化でき、メンテナンスまでの期間安定した性能を維持できるという効果がある。そして、脱臭手段により汚染空気中の臭気を除去することで、清浄化された空気が吹き出し口から外に吹き出して循環し、これによって室内空気の清浄化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る空気処理装置の概要を示す部分断面側面図であり、図2はその上部の部分断面上面図である。
本実施の形態1に係る空気処理装置は、厨房用の空気処理装置として構成されており、キャビネット1と、キャビネット1の奥側に立設された吸い込みフード2とを備え、キャビネット1内に本空気処理装置の本体部3が配置されている。また、キャビネット1の上部には電気加熱器具4が配置され、この電気加熱器具4の下側に本空気処理装置の本体部3が配置されている。
【0010】
吸い込みフード2には電気加熱器具4による調理時に発生する油煙や水蒸気、臭気等の汚染空気を吸い込むための吸込み口が設けられ、該吸込み口に汚染空気中の油煙や水蒸気を除去するための第1の油煙・水蒸気除去手段を構成する吸込み口フィルタ5が立設した状態で取り付けられている。吸込み口フィルタ5は金属製の網目状に形成されたフィルタからなり、着脱可能な状態で吸い込みフード2に取り付けられている。また、吸い込みフード2は高さ方向の位置が調整可能にキャビネット1に取り付けられている。
【0011】
本空気処理装置の本体部3は、吸込み口に連通するキャビネット1内の風路6内部に配置されており、風上側より順に、汚染空気中の油煙や水蒸気を除去する第2の油煙・水蒸気除去手段であるプレフィルタ7と、臭気を除去するプレ脱臭フィルタ8と、上記の吸込み口フィルタ5およびプレフィルタ7で除去できない小さい油煙や水蒸気、煙等を除去する集塵手段9と、臭気を除去するメイン脱臭フィルタ10と、汚染空気を吸込み口から吸引する送風機11と、および排気口脱臭フィルタ12とを配置する構成となっている。排気口脱臭フィルタ12は本空気処理装置のもっとも風下側に配置される。また、プレ脱臭フィルタ8、メイン脱臭フィルタ10、および排気口脱臭フィルタ12により脱臭手段が構成されている。なお、図2において、13は本空気処理装置の運転・制御等を司る回路基板が収納される基板収納部であり、風路6の外側に設けられている。
また、風路6は、図2に示すように、キャビネット1の中央部を通る吸引路6aと、キャビネット1の側面側を通る2つの送風路6bとに分割されており、上記プレフィルタ7、プレ脱臭フィルタ8、集塵手段9、およびメイン脱臭フィルタ10は吸引路6a内に配置され、送風機11と排気口脱臭フィルタ12は上記2つの送風路6bのそれぞれに配置されている。
【0012】
第1の油煙・水蒸気除去手段である吸込み口フィルタ5、および第2の油煙・水蒸気除去手段であるプレフィルタ7は、同様のフィルタ構造となっている。例えば、図3に吸込み口フィルタ5を構成する1枚のフィルタ形状を示す。図3に示すように、吸込み口フィルタ5の1枚はステンレス、アルミニウム等の直径0.1〜0.5mmの線状金属14を、開口部15が2〜5mmとなるようにメリヤス形状に形成したものである。16は金属製の外枠である。そして、吸込み口フィルタ5は、図3に示す構造のものを、例えば図4に示すように折り曲げて2層とし、この2層1組を複数枚積層して構成する。積層枚数は10〜20枚(5〜10組)となっている。なお、本実施の形態1では、吸込み口フィルタ5の編み目形状をメリヤス形状としたが、他の編み目形状もしくはパンチング形状でも良い。編み目形状と開口部の大きさ、あるいはパンチング形状と開口率により、油煙や水蒸気等の捕集効率や圧力損失が変化するが、前記構成の場合、もっとも捕集効率が高く、圧力損失が低減できる。圧力損失が低減することにより、騒音の低減、消費電力の低減が可能となる。また、吸込み口フィルタ5は着脱可能な状態で吸込み口内に取り付けられているので、メンテナンスの時には吸込み口のカバー(図示せず)を外すことにより容易に着脱でき清掃することができる。
【0013】
上記のように風路6内部に配置された本空気処理装置の本体部3は、風路径(ここでは吸引路6aの開口径)が吸込み口よりも大きくなっており、そのため、吸引された汚染空気の風速を下げて、油煙や水蒸気、臭気等を捕捉しやすい構造となっている。従って、プレフィルタ7は吸込み口フィルタ5よりも吸い込み面積が大きくなっている。また、プレフィルタ7は吸込み口フィルタ5と比較して、積層枚数が少なくなっている。本実施の形態1では、プレフィルタ7の積層枚数は6〜8枚としている。このように構成することにより、吸込み口フィルタ5とプレフィルタ7により、吸引された汚染空気中の油煙のうち70%以上を捕集することができる。
【0014】
プレフィルタ7の風下側には、プレ脱臭フィルタ8が設置されている。図5にプレ脱臭フィルタ8の構造例を示す。図5の(a)は開口部の形状をコルゲート状に形成したものであり、(b)は四角状、(c)はハニカム状に形成したものである。このようなコルゲート状もしくは四角状、あるいはハニカム状等の開口を有するペーパーセラミック担体やコージェライト担体、金属担体等に、脱臭剤として、酸化マンガン、酸化銅、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物触媒のうち1種類以上を、もしくは臭気物質を物理的に吸着するゼオライト、活性炭、シリカゲル、酸化ケイ素等の吸着剤のうち1種類以上を、あるいは臭気物質を化学的に吸着する化学吸着剤を1種類以上を担持させることにより、プレ脱臭フィルタ8が構成されている。化学吸着剤にはアミン系の吸着剤やリン酸等が使用される。また、プレ脱臭フィルタ8の開口部は、1インチ平方当たり150〜250セルとなっており、厚さ10mm以下で構成される。このように構成することにより、圧力損失を低減し、脱臭効率を高めることが可能となる。
【0015】
プレ脱臭フィルタ8の風下側には、吸込み口フィルタ5やプレフィルタ7で除去できない小さい油煙や水蒸気、煙等を除去するための集塵手段9が設置されている。図6にこの集塵手段9の構造を示す。集塵手段9は、イオン化部17とコレクタ部18の2つの要素により構成される。イオン化部17は、対向配置された放電電極19と対向電極20との間でコロナ放電を生じさせて空気中の塵埃を帯電させる。このイオン化部17で帯電された塵埃はコレクタ部18で集塵される。放電電極19は金属等で形成される導電性のワイヤ線や針状電極、平板突起電極等となっており、対向電極20は金属や導電性樹脂等で形成される導電性で平板状電極となっている。図6では、放電電極19に平板突起電極を用いた場合を示している。
【0016】
イオン化部17は放電電極19と対向電極20を複数個並列に並べた構成となっている。対向電極20は支持枠と一体で成型されていることが多い。放電電極19は金属等で形成される給電部材で電気的に接続されており、イオン化部17のケーシングに支持されている。コレクタ部18は樹脂に帯電防止剤等を練り込んだ半導電性樹脂により形成される平板状の高圧電極、金属等の導電性樹脂、もしくは樹脂表面に金属コーティングしたもの、カーボンファイバーや金属微粒子を練り込んだ導電性樹脂、ステンレス等の金属により形成される平板状の集塵電極を複数枚積層した構成となっている。集塵電極は電気的に接続されており、支持枠と一体で成型されていることが多い。集塵手段9には一定の電圧が印加される。このとき印加される電圧は、直流のプラスもしくはマイナスの3〜7kVとなっている。
【0017】
集塵手段9の風下側には、メイン脱臭フィルタ10、送風機11、排気口脱臭フィルタ12がこの順に配置されている。メイン脱臭フィルタ10と排気口脱臭フィルタ12は、プレ脱臭フィルタ8と同様の構造となっている。メイン脱臭フィルタ10は、プレ脱臭フィルタ8よりも開口が小さく、厚さが厚くなっており、プレ脱臭フィルタ8で除去できない低濃度の臭気を除去可能となっている。排気口脱臭フィルタ12は、プレ脱臭フィルタ8、メイン脱臭フィルタ10よりも開口が大きくなっており、吸い込みフード2と並列に設置される。また、排気口脱臭フィルタ12は、例えばキャビネット1の上方より抜き差しすることにより着脱可能な状態で取り付けられているので、メンテナンスの時にはカバー(図示せず)を外すことにより容易に着脱でき清掃することができる。メイン脱臭フィルタ10の風下側に設置される送風機11は、両側の送風路6b部分に1つずつ2つ設置される。メイン脱臭フィルタ10の風下側は風路6が中央部の吸引路6aから両側の送風路6bへと2分割されており、清浄化された空気は、送風路6b内に設置される排気口脱臭フィルタ12を通過して2つの吹き出し口から吹き出す。吹き出し口はキャビネット1の背面、もしくは奥側の上面あるいは側面に設けられる。
【0018】
キャビネット1の内部に設置されるプレフィルタ7、プレ脱臭フィルタ8、集塵手段9、メイン脱臭フィルタ10は、図2に示すように、全て1つのケーシング21に一体的に収納されている。このケーシング21はキャビネット1内で気密的に風路6の吸引路6aを構成するとともに、キャビネット1の前後方向に摺動自在に設けられており、ケーシング21の側面に設けられた開口部6cと、送風路6bの仕切壁22に設けられた開口部23とを連通させることにより、風路6を構成する吸引路6aと送風路6bとが連通するようになっている。そのため、キャビネット1の前面側から、基板収納部13における回路基板との配線を外し、プレフィルタ7、プレ脱臭フィルタ8、集塵手段9、メイン脱臭フィルタ10が収納されたケーシング21を引き出すことにより、これらのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0019】
次に動作について説明する。
上記のように構成された空気処理装置においては、電気加熱器具4による調理時に発生した水蒸気、油煙、臭気等の汚染空気が送風機11により吸引され、吸い込みフード2に取り付けられた第1の油煙・水蒸気除去手段である吸込み口フィルタ5で汚染空気中の油煙、水蒸気の大半が除去される。その後、吸い込まれた空気は、プレフィルタ7を通過し、さらに油煙、水蒸気が除去される。吸込み口フィルタ5とプレフィルタ7により、吸引された汚染空気中の油煙、水蒸気のうち70%以上が捕集される。その後、吸い込まれた空気は、プレ脱臭フィルタ8を通過し、臭気が除去される。プレ脱臭フィルタ8は、その風下側に設置される集塵手段9に付着する臭気を抑制する効果がある。集塵手段9には高電圧が印加されており、気流中の残った水蒸気、油煙に対してイオン化部17でコロナ放電により電荷を与えて、この荷電粒子がコレクタ部18を通過する間に静電気力により集塵電極に捕集されて除去される。その後、油煙・水蒸気が除去された空気は、メイン脱臭フィルタ10を通過する。メイン脱臭フィルタ10を通過することにより、気流中の臭気はメイン脱臭フィルタ10に吸着剤や触媒、化学薬品等の脱臭剤を1種類以上含有させる構成とすることにより除去され、これによって清浄化された空気が排気口脱臭フィルタ12を通過してさらに清浄化され吹き出し口から外に吹き出す。
【0020】
図7に吸込み口フィルタ5に加えてプレフィルタ7を設置した場合の効果を示す。油煙の捕集を実施すると、集塵手段9のイオン化部17の放電電極19の放電箇所に油が堆積し、放電電流が低下する。本空気処理装置では、電流が低下した場合は、印加電圧を増加させることで電流低下を抑制する制御としている。しかし、印加電圧の上限は6kVであり、プレフィルタ7がない場合は、約6ヶ月相当の油煙の捕集により集塵手段9が機能を停止する。そこで、プレフィルタ7を6層設置することで、機能停止を18ヶ月以上とし、メンテナンスまでの期間を長期化することが可能である。
【0021】
以上のように、本実施の形態1に係る空気処理装置は、電気加熱器具による調理時に発生する油煙や水蒸気、臭気等の汚染空気を吸い込むための吸込み口と、前記吸込み口に連通してキャビネット内に設置され、前記吸込み口から前記汚染空気を取り込む送風機と、前記吸込み口に配置される第1の油煙・水蒸気除去手段と、前記キャビネット内に配置される第2の油煙・水蒸気除去手段と、放電電極と対向電極の間でコロナ放電を生じさせて油煙・水蒸気を帯電させるイオン化部と、このイオン化部で帯電された油煙・水蒸気を集塵するコレクタ部とで構成される集塵手段と、脱臭手段とを備え、前記吸込み口から取り込んだ前記汚染空気を前記第1の油煙・水蒸気除去手段、前記第2の油煙・水蒸気除去手段、前記集塵手段、前記脱臭手段の順に経由して前記キャビネットの外に吹き出し口から排出させ、前記第1の油煙・水蒸気除去手段と前記第2の油煙・水蒸気除去手段とは、金属製のメリヤス形状のフィルタを複数枚積層する構成としたので、調理時に発生する汚染空気中の油煙や水蒸気の7割以上を捕集することができ、これによって集塵手段の負荷が軽減され機能停止を抑制でき、集塵効率の低下が少なく、メンテナンスまでの期間を長期化することができるるとともに、メンテナンスまでの期間安定した性能を維持することができる。そして最後に、脱臭手段により臭気を除去することにより、清浄化された空気を室内に循環させることができる。
【0022】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る空気処理装置は、集塵手段9のイオン化部の放電電極を平板突起電極とし、その板厚を0.3mm以下としたものである。図8に放電電極の板厚が0.5mmと0.3mmの場合の油煙捕集効率を示す。放電電極の板厚が、0.5mmのときは初期の捕集効率は良いが、徐々に捕集効率は低下する。0.3mmのときは初期から10ヶ月後まで安定した捕集効率を維持できる。放電電極には油が堆積し、放電電流が低下するため、捕集効率が低下することとなる。板厚0.3mmの場合、電流低下を抑制でき、捕集効率の低下も抑制できる。板厚は薄いほどその効果は大きく、0.3mm以下で安定した捕集効率を維持可能である。また、放電電極に油が堆積しにくくするため、フッ素系もしくはセラミックス系の常温乾燥型もしくは熱硬化型の撥水性コーティング材を塗布しても良い。その他の構成は実施の形態1と同じであるので説明は省略する。
【0023】
以上のように、集塵手段のイオン化部の放電電極は、平板突起形状であり、その板厚を0.3mm以下とするか、あるいは、フッ素系もしくはセラミックス系の常温乾燥型もしくは熱硬化型の撥水性コーティング材を放電電極に塗布することにより、放電電流の低下を抑制し、安定した油煙捕集効率を維持できる。
【0024】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る空気処理装置は、前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間、および、前記集塵手段の風下側に設置される前記脱臭手段を、金属酸化物からなる触媒と活性炭もしくはシリカゲルを混合したものを含む構成としたものである。脱臭手段は、実施の形態1に記載するように脱臭剤として、酸化マンガン、酸化銅、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物触媒のうち1種類以上を、もしくは臭気物質を物理的に吸着するゼオライト、活性炭、シリカゲル、酸化ケイ素等の吸着剤のうち1種類以上を、あるいは臭気物質を化学的に吸着する化学吸着剤1種類以上を担体基材(ペーパーセラミック、コージェライト、金属等からなる担体基材)に担持(添着ともいう)させてなる。しかし、実際に調理を数ヶ月実施した場合、梅雨時などの湿度が高いときや湯沸し等の水蒸気発生が多いときなどに、脱臭手段から臭気が発生し、吹き出し口から不快な臭気が排出されることがある。
【0025】
図9は、脱臭手段に、酸化マンガン、酸化銅、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物触媒のうち1種類以上と、ゼオライトとを混合して担持させた場合(a)と、同じものにさらに活性炭を10質量%配合した場合(b)について、調理後に湯沸しを実施し、吹き出し口から排出される空気を分析した結果である。分析はガスクロマトグラフ/質量分析計を使用し、TENAXサンプラーに500mLの空気を濃縮して実施した。図9中の横軸は検出時間(数字は分と秒)、縦軸はイオン強度を示す。
分子量が大きく、沸点が高いものは、検出時間が長い位置でピークが発現する。活性炭がない場合、揮発性有機化合物(Hexane、Ethylbenzene、Xylene、Styrene)、炭化水素(Nonane、Decane、Cosane)が検出されており、活性炭がある場合は検出されていない。両者ともに検出されている物質は、二酸化硫黄(Sulfur Dioxide)、酢酸ブチル(Butylacetate)、アルコール(Ethylalcohol、1-Butanol)、シラノール(Cyclotrosiloxane)となっている。両者ともに検出されている二酸化硫黄(Sulfur Dioxide)、酢酸ブチル(Butylacetate)、アルコール(Ethylalcohol、1-Butanol)、シラノール(Cyclotrosiloxane)は、室内空気からも検出されており、室内にいる人が不快になる臭気ではない。一方、揮発性有機化合物(Hexane、Ethylbenzene、Xylene、Styrene)は接着剤の臭い、炭化水素(Nonane、Decane等)は焦げた臭い、ガソリン臭として鼻では感じられ、室内にいる人が不快になる可能性がある。
これに対し、活性炭がある場合は、これらの臭気が抑制されて、検出されていない。このように、脱臭手段に、酸化マンガン、酸化銅、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物触媒のうち1種類以上と、ゼオライトとを混合して担持させたものに活性炭を10質量%配合することで、調理後に湯沸しを実施した場合に、吹き出し口から排出される不快な臭気を抑制することができる。
【0026】
図10は、本発明の実施の形態3に係る空気処理装置の脱臭手段の効果を表すために用いた測定装置の模式図である。
アセトアルデヒドボンベ51と純空気ボンベ52とからそれぞれのガスを送り、混合して脱臭手段50に通過させるようになっている。純空気ボンベ52からの送風路にはイオン交換水をバブリングする装置が搭載されており、湿度を調整した空気が送風されるようになっている。脱臭手段50には、20mm×20mmのフィルタを搭載する。このフィルタを通過したアセトアルデヒド、純空気の混合ガスは、バッファー53を通過し、放出される。バッファー53には、光音響マルチガスモニタ54が接続されており、アセトアルデヒドの濃度が測定できる。
【0027】
図11は、脱臭手段50に、酸化マンガン、酸化銅、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物触媒のうち1種類以上と、ゼオライトとを混合して担持させたものに、活性炭を質量割合で、20%、10%、5%、0%配合した場合の、アセトアルデヒドの放出量を測定した結果である。図10に示す測定装置に、脱臭手段50として、活性炭を質量割合で、20%、10%、5%、0%配合したフィルタをそれぞれセットし、アセトアルデヒド100ppm、温度25℃、相対湿度40%に調整したガスを15分間流す。これにより、それぞれのフィルタにアセトアルデヒドが吸着する。その後、アセトアルデヒド0ppm、温度25℃、相対湿度40%に調整したガスを60分間流す。このとき、フィルタに吸着したアセトアルデヒドが脱着して放出された場合、光音響マルチガスモニタ54で検出され、アセトアルデヒド濃度が測定される。
図11より、活性炭配合量を10%まで増加させた場合、放出されるアセトアルデヒドが抑制されるが、活性炭配合量を20%にした場合は、活性炭配合量が0%のときよりも放出されるアセトアルデヒドの濃度が高いことがわかる。
【0028】
図12は、図11のアセトアルデヒド放出量の図から総放出量、ピーク値を読み取り図示したものである。
総放出量は、図11の60分間で放出されたアセトアルデヒドの総量(mg)であり、ピーク値は最も高いアセトアルデヒド濃度(ppm)である。活性炭配合率としては、ほぼ10%のとき総放出量、ピーク値とも最も低くなっている。活性炭の他にも、シリカゲル等の高分子量の臭気成分を吸着することが得意な吸着剤でも同様の効果が期待できる。また、活性炭を配合することで調理臭の除去性能の向上も可能となる。
【0029】
図13は、脱臭手段50に、酸化マンガン、酸化銅、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物触媒のうち1種類以上と、ゼオライトとを混合して担持させたものに、活性炭を質量割合で、20%、10%、5%、0%配合した場合の、アセトアルデヒドの除去性能を示す測定結果である。図10に示す測定装置に、脱臭手段50として、活性炭を質量割合で、20%、10%、5%、0%配合したフィルタをそれぞれセットし、アセトアルデヒド10ppm、温度25℃、相対湿度40%に調整したガスを流す。これにより、それぞれのフィルタにアセトアルデヒドが吸着する。そのため、バッファー53内はアセトアルデヒド濃度が低くなり、徐々にフィルタが性能低下するに伴い、アセトアルデヒド濃度が高くなっていく。従って、アセトアルデヒド残存率が少ないものがアセトアルデヒド除去性能が良いことを示す。この場合も、活性炭配合量を10%まで増加させた場合、除去されるアセトアルデヒドが多いが、活性炭配合量を20%にした場合は、活性炭配合量が10%のときよりも除去されるアセトアルデヒドが少ないことがわかる。
【0030】
図14に、図13のアセトアルデヒド残存率が最も少ないときの値から算出したアセトアルデヒドワンパス除去率を示す。
活性炭配合率としては、5〜20%が最もアセトアルデヒドワンパス除去率が高いことがわかる。従って、活性炭の配合量としては、5〜20%が良いといえる。また、活性炭配合量を20%よりも多くした場合、着火の危険が増すため、性能が良く、難燃性を保てる5〜20%が適している。
【0031】
以上のように、本実施の形態3に係る空気処理装置は、電気加熱器具による調理時に発生する油煙や水蒸気、臭気等の汚染空気を吸い込むための吸込み口と、前記吸込み口に連通してキャビネット内に設置され、前記吸込み口から前記汚染空気を取り込む送風機と、前記吸込み口に配置される第1の油煙・水蒸気除去手段と、前記キャビネット内に配置される第2の油煙・水蒸気除去手段と、放電電極と対向電極の間でコロナ放電を生じさせて油煙・水蒸気を帯電させるイオン化部と、このイオン化部で帯電された油煙・水蒸気を集塵するコレクタ部とで構成される集塵手段と、脱臭手段とを備え、前記吸込み口から取り込んだ前記汚染空気を前記第1の油煙・水蒸気除去手段、前記第2の油煙・水蒸気除去手段、前記集塵手段、前記脱臭手段の順に経由して前記キャビネットの外に吹き出し口から排出させ、前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間、および、前記集塵手段の風下側に設置される前記脱臭手段は、金属酸化物からなる触媒と活性炭もしくはシリカゲルを混合したものを含む脱臭手段とし、配合される活性炭量を5〜20質量%としたことによって、湯沸し時等の水蒸気が多量に発生する場合でも、吹き出し口からの臭気の発生がなく、清浄化された空気を室内に循環させることができる。
【0032】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係る空気処理装置は、前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間、および、前記集塵手段の風下側に設置される前記脱臭手段は、担体基材に活性炭を添着した後、吸着剤や触媒、化学薬品等の脱臭剤を1種類以上含有したものを添着したものである。脱臭手段は、実施の形態1に記載するように、コルゲート状もしくは四角状、あるいはハニカム状等の開口を有するペーパーセラミック担体やコージェライト担体、金属担体等に、脱臭剤として、酸化マンガン、酸化銅、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物触媒のうち1種類以上を、もしくは臭気物質を物理的に吸着するゼオライト、活性炭、シリカゲル、酸化ケイ素等の吸着剤のうち1種類以上を、あるいは臭気物質を化学的に吸着する化学吸着剤を1種類以上を担持させてなる。コルゲート状もしくは四角状、あるいはハニカム状等の開口を有するペーパーセラミック担体やコージェライト担体、金属担体等は、無機もしくは有機のバインダーで接着して構成されており、そのバインダーの臭気が、実際に調理を数ヶ月実施した場合、梅雨時などの湿度が高いときや湯沸し等の水蒸気発生が多いときなどに、調理臭と複合し発生し、吹き出し口から不快な臭気が排出されることがある。この場合の臭気成分も図9に示す活性炭なしの場合と同様の臭気成分である。この臭気成分のもととなる物質の1つはバインダーであり、この放出を抑制することで、不快な臭気の発生を抑えることができる。担体基材に活性炭を添着した後、吸着剤や触媒、化学薬品等の脱臭剤を1種類以上含有したものを添着することで、バインダー臭気の放出を抑制することが可能となり、吹き出し口からの臭気の発生を抑制できる。
【0033】
以上のように、本実施の形態4に係る空気処理装置は、電気加熱器具による調理時に発生する油煙や水蒸気、臭気等の汚染空気を吸い込むための吸込み口と、前記吸込み口に連通してキャビネット内に設置され、前記吸込み口から前記汚染空気を取り込む送風機と、前記吸込み口に配置される第1の油煙・水蒸気除去手段と、前記キャビネット内に配置される第2の油煙・水蒸気除去手段と、放電電極と対向電極の間でコロナ放電を生じさせて油煙・水蒸気を帯電させるイオン化部と、このイオン化部で帯電された油煙・水蒸気を集塵するコレクタ部とで構成される集塵手段と、脱臭手段とを備え、前記吸込み口から取り込んだ前記汚染空気を前記第1の油煙・水蒸気除去手段、前記第2の油煙・水蒸気除去手段、前記集塵手段、前記脱臭手段の順に経由して前記キャビネットの外に吹き出し口から排出させ、前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間、および、前記集塵手段の風下側に設置される前記脱臭手段は、担体基材に活性炭を添着した後、吸着剤や触媒、化学薬品等の脱臭剤を1種類以上含有したものを添着したことによって、担体基材のバインダーからの臭気を抑制し、湯沸し時等の水蒸気が多量に発生する場合でも、吹き出し口からの臭気の発生がなく、清浄化された空気を室内に循環させることができる。
【0034】
実施の形態5.
本発明の実施の形態5に係る空気処理装置は、前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間に設置される前記脱臭手段を、活性炭もしくはシリカゲルを含有した水分吸着剤を含む構成としたものである。湯沸し時等の水蒸気が多量に発生する場合に臭気が放出される要因は、調理臭等が水分と置換して放出されることに原因がある場合がある。その場合、水分が、吸着した臭気と置換しないように、風上側で水分のみ捕捉する手段が有効的である。同様に前記第2の油煙・水蒸気除去手段に、活性炭もしくはシリカゲルを含有した水分吸着剤を添着しても良い。
【0035】
以上のように、本実施の形態5に係る空気処理装置は、電気加熱器具による調理時に発生する油煙や水蒸気、臭気等の汚染空気を吸い込むための吸込み口と、前記吸込み口に連通してキャビネット内に設置され、前記吸込み口から前記汚染空気を取り込む送風機と、前記吸込み口に配置される第1の油煙・水蒸気除去手段と、前記キャビネット内に配置される第2の油煙・水蒸気除去手段と、放電電極と対向電極の間でコロナ放電を生じさせて油煙・水蒸気を帯電させるイオン化部と、このイオン化部で帯電された油煙・水蒸気を集塵するコレクタ部とで構成される集塵手段と、脱臭手段とを備え、前記吸込み口から取り込んだ前記汚染空気を前記第1の油煙・水蒸気除去手段、前記第2の油煙・水蒸気除去手段、前記集塵手段、前記脱臭手段の順に経由して前記キャビネットの外に吹き出し口から排出させ、前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間に設置される前記脱臭手段を、活性炭もしくはシリカゲルを含有した水分吸着剤を含む構成としたことによって、湯沸し時等の水蒸気が多量に発生する場合でも、吹き出し口からの臭気の発生がなく、清浄化された空気を室内に循環させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空気処理装置の概要を示す部分断面側面図。
【図2】図1の上部の部分断面上面図。
【図3】油煙・水蒸気除去手段を構成するフィルタの構成図。
【図4】油煙・水蒸気除去手段のフィルタの積層構造を示す図。
【図5】脱臭手段の構成例を示す図。
【図6】集塵手段の概略構成図。
【図7】油煙・水蒸気除去手段の効果を示す図。
【図8】本発明の実施の形態2に係る空気処理装置の集塵手段の油煙捕集効率を示す図。
【図9】本発明の実施の形態3に係る空気処理装置の臭気再放出抑制効果を示す図。
【図10】本発明の実施の形態3に係る空気処理装置の脱臭手段の効果を表すために用いた測定装置の模式図。
【図11】本発明の実施の形態3に係る空気処理装置の脱臭手段のアセトアルデヒド再放出抑制効果を示す図。
【図12】本発明の実施の形態3に係る空気処理装置の脱臭手段のアセトアルデヒド再放出抑制効果を示す図。
【図13】本発明の実施の形態3に係る空気処理装置の脱臭手段のアセトアルデヒド除去性能を示す図。
【図14】本発明の実施の形態3に係る空気処理装置の脱臭手段のアセトアルデヒド除去性能を示す図。
【符号の説明】
【0037】
1 キャビネット、2 吸い込みフード、3 空気処理装置の本体部、4 電気加熱器具、5 吸込み口フィルタ(第1の油煙・水蒸気除去手段)、6 風路、6a 吸引路、6b 送風路、6c 開口部、7 プレフィルタ(第2の油煙・水蒸気除去手段)、8 プレ脱臭フィルタ、9 集塵手段、10 メイン脱臭フィルタ、11 送風機、12 排気口脱臭フィルタ、13 基板収納部、14 線状金属、15 開口部、16 外枠、17 イオン化部、18 コレクタ部、19 放電電極、20 対向電極、21 ケーシング、22 仕切壁、23 開口部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気加熱器具による調理時に発生する油煙や水蒸気、臭気等を除去する空気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二酸化炭素を発生しないIHクッキングヒータなどの電磁調理器、ハロゲンヒータ等の電気加熱器具(以下、電気加熱器具という)の使用時に発生する調理臭を処理する装置として、例えば、調理に起因して生じる臭いを上部フードで捕集し、脱臭処理して室内へ循環するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
燃焼を伴わない電気加熱器具では人体に有害な二酸化炭素が発生しないため、油煙、水分、調理臭等の汚染空気(以下、汚染空気という)を処理できれば必ずしも室外への排気は必要なくなる。従来技術(特許文献1)では上部フードで汚染空気を捕集し脱臭処理して室内へと循環させているが、上部フードでの捕集では、燃焼を伴わない電気加熱器具を使用した場合には、ガスの燃焼を利用した調理時に比べて上昇流が弱く、空調機等による気流の乱れの影響を受けて拡散しやすいため、汚染空気を効率よく捕集することは難しい。また、捕集された汚染空気を脱臭し循環路を通り室内へと循環させているが、その循環路は調理器具奥側の壁内にあるため、対面式キッチンとすることができない等キッチンレイアウトが制限されてしまう。また、上部フードが設置されると、そのスペースを有効利用することができず、上部フードに設置されたフィルタの取り外しも容易ではない。さらにまた、上部フードが設置されたキャビネットは重心が高く容易に移動させることができない。そこで、上述のような問題を解決するために、電気加熱器具の奥側に設けられ、該電気加熱器具による調理で発生した汚染空気を吸い込むための吸込み口と、吸込み口に連通してキャビネット内に設置され、吸込み口から汚染空気を取り込む送風機と、吸込み口に配置される油煙除去装置、キャビネット内に設置される水分除去装置及び脱臭装置の内、少なくとも1又は複数の処理装置を備え、吸込み口から取り込んだ汚染空気を処理してキャビネットの外に吹き出し口から排出して室内に循環させるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平9−042730号公報(請求項1、図1)
【特許文献2】特開2005−283060号公報(請求項1、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この従来技術(特許文献2)では、電気加熱器具による調理で発生した汚染空気をキャビネット内に吸い込むために、吸込み口に油煙除去装置が、キャビネット内には水分除去装置及び脱臭装置が配置されているが、キャビネット内に設置されるこれら油煙除去装置や水分除去装置、脱臭装置のメンテナンスが困難であるという問題があった。また、油煙、水分が油煙除去装置、水分除去装置及び脱臭装置に堆積すると性能が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、汚染空気を効率よく捕集することができ、経時変化による性能低下を少なくするとともに、メンテナンスまでの期間を長期化し得る空気処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る空気処理装置は、電気加熱器具による調理時に発生する油煙や水蒸気、臭気等の汚染空気を吸い込むための吸込み口と、前記吸込み口に連通してキャビネット内に設置され、前記吸込み口から前記汚染空気を取り込む送風機と、前記吸込み口に配置される第1の油煙・水蒸気除去手段と、前記キャビネット内に配置される第2の油煙・水蒸気除去手段と、放電電極と対向電極の間でコロナ放電を生じさせて油煙・水蒸気を帯電させるイオン化部と、このイオン化部で帯電された油煙・水蒸気を集塵するコレクタ部とで構成される集塵手段と、脱臭手段とを備え、前記吸込み口から取り込んだ前記汚染空気を前記第1の油煙・水蒸気除去手段、前記第2の油煙・水蒸気除去手段、前記集塵手段、前記脱臭手段の順に経由して前記キャビネットの外に吹き出し口から排出させる構成とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の空気処理装置は、上記のように構成することにより、まず第1の油煙・水蒸気除去手段により、調理時に発生する汚染空気中の油煙や水蒸気の大半を除去し、引き続き第2の油煙・水蒸気除去手段により、さらに油煙や水蒸気を除去することで、集塵手段の負荷を減少させることができるので、経時変化による集塵効率の低下が少なく、メンテナンスまでの期間を長期化でき、メンテナンスまでの期間安定した性能を維持できるという効果がある。そして、脱臭手段により汚染空気中の臭気を除去することで、清浄化された空気が吹き出し口から外に吹き出して循環し、これによって室内空気の清浄化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る空気処理装置の概要を示す部分断面側面図であり、図2はその上部の部分断面上面図である。
本実施の形態1に係る空気処理装置は、厨房用の空気処理装置として構成されており、キャビネット1と、キャビネット1の奥側に立設された吸い込みフード2とを備え、キャビネット1内に本空気処理装置の本体部3が配置されている。また、キャビネット1の上部には電気加熱器具4が配置され、この電気加熱器具4の下側に本空気処理装置の本体部3が配置されている。
【0010】
吸い込みフード2には電気加熱器具4による調理時に発生する油煙や水蒸気、臭気等の汚染空気を吸い込むための吸込み口が設けられ、該吸込み口に汚染空気中の油煙や水蒸気を除去するための第1の油煙・水蒸気除去手段を構成する吸込み口フィルタ5が立設した状態で取り付けられている。吸込み口フィルタ5は金属製の網目状に形成されたフィルタからなり、着脱可能な状態で吸い込みフード2に取り付けられている。また、吸い込みフード2は高さ方向の位置が調整可能にキャビネット1に取り付けられている。
【0011】
本空気処理装置の本体部3は、吸込み口に連通するキャビネット1内の風路6内部に配置されており、風上側より順に、汚染空気中の油煙や水蒸気を除去する第2の油煙・水蒸気除去手段であるプレフィルタ7と、臭気を除去するプレ脱臭フィルタ8と、上記の吸込み口フィルタ5およびプレフィルタ7で除去できない小さい油煙や水蒸気、煙等を除去する集塵手段9と、臭気を除去するメイン脱臭フィルタ10と、汚染空気を吸込み口から吸引する送風機11と、および排気口脱臭フィルタ12とを配置する構成となっている。排気口脱臭フィルタ12は本空気処理装置のもっとも風下側に配置される。また、プレ脱臭フィルタ8、メイン脱臭フィルタ10、および排気口脱臭フィルタ12により脱臭手段が構成されている。なお、図2において、13は本空気処理装置の運転・制御等を司る回路基板が収納される基板収納部であり、風路6の外側に設けられている。
また、風路6は、図2に示すように、キャビネット1の中央部を通る吸引路6aと、キャビネット1の側面側を通る2つの送風路6bとに分割されており、上記プレフィルタ7、プレ脱臭フィルタ8、集塵手段9、およびメイン脱臭フィルタ10は吸引路6a内に配置され、送風機11と排気口脱臭フィルタ12は上記2つの送風路6bのそれぞれに配置されている。
【0012】
第1の油煙・水蒸気除去手段である吸込み口フィルタ5、および第2の油煙・水蒸気除去手段であるプレフィルタ7は、同様のフィルタ構造となっている。例えば、図3に吸込み口フィルタ5を構成する1枚のフィルタ形状を示す。図3に示すように、吸込み口フィルタ5の1枚はステンレス、アルミニウム等の直径0.1〜0.5mmの線状金属14を、開口部15が2〜5mmとなるようにメリヤス形状に形成したものである。16は金属製の外枠である。そして、吸込み口フィルタ5は、図3に示す構造のものを、例えば図4に示すように折り曲げて2層とし、この2層1組を複数枚積層して構成する。積層枚数は10〜20枚(5〜10組)となっている。なお、本実施の形態1では、吸込み口フィルタ5の編み目形状をメリヤス形状としたが、他の編み目形状もしくはパンチング形状でも良い。編み目形状と開口部の大きさ、あるいはパンチング形状と開口率により、油煙や水蒸気等の捕集効率や圧力損失が変化するが、前記構成の場合、もっとも捕集効率が高く、圧力損失が低減できる。圧力損失が低減することにより、騒音の低減、消費電力の低減が可能となる。また、吸込み口フィルタ5は着脱可能な状態で吸込み口内に取り付けられているので、メンテナンスの時には吸込み口のカバー(図示せず)を外すことにより容易に着脱でき清掃することができる。
【0013】
上記のように風路6内部に配置された本空気処理装置の本体部3は、風路径(ここでは吸引路6aの開口径)が吸込み口よりも大きくなっており、そのため、吸引された汚染空気の風速を下げて、油煙や水蒸気、臭気等を捕捉しやすい構造となっている。従って、プレフィルタ7は吸込み口フィルタ5よりも吸い込み面積が大きくなっている。また、プレフィルタ7は吸込み口フィルタ5と比較して、積層枚数が少なくなっている。本実施の形態1では、プレフィルタ7の積層枚数は6〜8枚としている。このように構成することにより、吸込み口フィルタ5とプレフィルタ7により、吸引された汚染空気中の油煙のうち70%以上を捕集することができる。
【0014】
プレフィルタ7の風下側には、プレ脱臭フィルタ8が設置されている。図5にプレ脱臭フィルタ8の構造例を示す。図5の(a)は開口部の形状をコルゲート状に形成したものであり、(b)は四角状、(c)はハニカム状に形成したものである。このようなコルゲート状もしくは四角状、あるいはハニカム状等の開口を有するペーパーセラミック担体やコージェライト担体、金属担体等に、脱臭剤として、酸化マンガン、酸化銅、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物触媒のうち1種類以上を、もしくは臭気物質を物理的に吸着するゼオライト、活性炭、シリカゲル、酸化ケイ素等の吸着剤のうち1種類以上を、あるいは臭気物質を化学的に吸着する化学吸着剤を1種類以上を担持させることにより、プレ脱臭フィルタ8が構成されている。化学吸着剤にはアミン系の吸着剤やリン酸等が使用される。また、プレ脱臭フィルタ8の開口部は、1インチ平方当たり150〜250セルとなっており、厚さ10mm以下で構成される。このように構成することにより、圧力損失を低減し、脱臭効率を高めることが可能となる。
【0015】
プレ脱臭フィルタ8の風下側には、吸込み口フィルタ5やプレフィルタ7で除去できない小さい油煙や水蒸気、煙等を除去するための集塵手段9が設置されている。図6にこの集塵手段9の構造を示す。集塵手段9は、イオン化部17とコレクタ部18の2つの要素により構成される。イオン化部17は、対向配置された放電電極19と対向電極20との間でコロナ放電を生じさせて空気中の塵埃を帯電させる。このイオン化部17で帯電された塵埃はコレクタ部18で集塵される。放電電極19は金属等で形成される導電性のワイヤ線や針状電極、平板突起電極等となっており、対向電極20は金属や導電性樹脂等で形成される導電性で平板状電極となっている。図6では、放電電極19に平板突起電極を用いた場合を示している。
【0016】
イオン化部17は放電電極19と対向電極20を複数個並列に並べた構成となっている。対向電極20は支持枠と一体で成型されていることが多い。放電電極19は金属等で形成される給電部材で電気的に接続されており、イオン化部17のケーシングに支持されている。コレクタ部18は樹脂に帯電防止剤等を練り込んだ半導電性樹脂により形成される平板状の高圧電極、金属等の導電性樹脂、もしくは樹脂表面に金属コーティングしたもの、カーボンファイバーや金属微粒子を練り込んだ導電性樹脂、ステンレス等の金属により形成される平板状の集塵電極を複数枚積層した構成となっている。集塵電極は電気的に接続されており、支持枠と一体で成型されていることが多い。集塵手段9には一定の電圧が印加される。このとき印加される電圧は、直流のプラスもしくはマイナスの3〜7kVとなっている。
【0017】
集塵手段9の風下側には、メイン脱臭フィルタ10、送風機11、排気口脱臭フィルタ12がこの順に配置されている。メイン脱臭フィルタ10と排気口脱臭フィルタ12は、プレ脱臭フィルタ8と同様の構造となっている。メイン脱臭フィルタ10は、プレ脱臭フィルタ8よりも開口が小さく、厚さが厚くなっており、プレ脱臭フィルタ8で除去できない低濃度の臭気を除去可能となっている。排気口脱臭フィルタ12は、プレ脱臭フィルタ8、メイン脱臭フィルタ10よりも開口が大きくなっており、吸い込みフード2と並列に設置される。また、排気口脱臭フィルタ12は、例えばキャビネット1の上方より抜き差しすることにより着脱可能な状態で取り付けられているので、メンテナンスの時にはカバー(図示せず)を外すことにより容易に着脱でき清掃することができる。メイン脱臭フィルタ10の風下側に設置される送風機11は、両側の送風路6b部分に1つずつ2つ設置される。メイン脱臭フィルタ10の風下側は風路6が中央部の吸引路6aから両側の送風路6bへと2分割されており、清浄化された空気は、送風路6b内に設置される排気口脱臭フィルタ12を通過して2つの吹き出し口から吹き出す。吹き出し口はキャビネット1の背面、もしくは奥側の上面あるいは側面に設けられる。
【0018】
キャビネット1の内部に設置されるプレフィルタ7、プレ脱臭フィルタ8、集塵手段9、メイン脱臭フィルタ10は、図2に示すように、全て1つのケーシング21に一体的に収納されている。このケーシング21はキャビネット1内で気密的に風路6の吸引路6aを構成するとともに、キャビネット1の前後方向に摺動自在に設けられており、ケーシング21の側面に設けられた開口部6cと、送風路6bの仕切壁22に設けられた開口部23とを連通させることにより、風路6を構成する吸引路6aと送風路6bとが連通するようになっている。そのため、キャビネット1の前面側から、基板収納部13における回路基板との配線を外し、プレフィルタ7、プレ脱臭フィルタ8、集塵手段9、メイン脱臭フィルタ10が収納されたケーシング21を引き出すことにより、これらのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0019】
次に動作について説明する。
上記のように構成された空気処理装置においては、電気加熱器具4による調理時に発生した水蒸気、油煙、臭気等の汚染空気が送風機11により吸引され、吸い込みフード2に取り付けられた第1の油煙・水蒸気除去手段である吸込み口フィルタ5で汚染空気中の油煙、水蒸気の大半が除去される。その後、吸い込まれた空気は、プレフィルタ7を通過し、さらに油煙、水蒸気が除去される。吸込み口フィルタ5とプレフィルタ7により、吸引された汚染空気中の油煙、水蒸気のうち70%以上が捕集される。その後、吸い込まれた空気は、プレ脱臭フィルタ8を通過し、臭気が除去される。プレ脱臭フィルタ8は、その風下側に設置される集塵手段9に付着する臭気を抑制する効果がある。集塵手段9には高電圧が印加されており、気流中の残った水蒸気、油煙に対してイオン化部17でコロナ放電により電荷を与えて、この荷電粒子がコレクタ部18を通過する間に静電気力により集塵電極に捕集されて除去される。その後、油煙・水蒸気が除去された空気は、メイン脱臭フィルタ10を通過する。メイン脱臭フィルタ10を通過することにより、気流中の臭気はメイン脱臭フィルタ10に吸着剤や触媒、化学薬品等の脱臭剤を1種類以上含有させる構成とすることにより除去され、これによって清浄化された空気が排気口脱臭フィルタ12を通過してさらに清浄化され吹き出し口から外に吹き出す。
【0020】
図7に吸込み口フィルタ5に加えてプレフィルタ7を設置した場合の効果を示す。油煙の捕集を実施すると、集塵手段9のイオン化部17の放電電極19の放電箇所に油が堆積し、放電電流が低下する。本空気処理装置では、電流が低下した場合は、印加電圧を増加させることで電流低下を抑制する制御としている。しかし、印加電圧の上限は6kVであり、プレフィルタ7がない場合は、約6ヶ月相当の油煙の捕集により集塵手段9が機能を停止する。そこで、プレフィルタ7を6層設置することで、機能停止を18ヶ月以上とし、メンテナンスまでの期間を長期化することが可能である。
【0021】
以上のように、本実施の形態1に係る空気処理装置は、電気加熱器具による調理時に発生する油煙や水蒸気、臭気等の汚染空気を吸い込むための吸込み口と、前記吸込み口に連通してキャビネット内に設置され、前記吸込み口から前記汚染空気を取り込む送風機と、前記吸込み口に配置される第1の油煙・水蒸気除去手段と、前記キャビネット内に配置される第2の油煙・水蒸気除去手段と、放電電極と対向電極の間でコロナ放電を生じさせて油煙・水蒸気を帯電させるイオン化部と、このイオン化部で帯電された油煙・水蒸気を集塵するコレクタ部とで構成される集塵手段と、脱臭手段とを備え、前記吸込み口から取り込んだ前記汚染空気を前記第1の油煙・水蒸気除去手段、前記第2の油煙・水蒸気除去手段、前記集塵手段、前記脱臭手段の順に経由して前記キャビネットの外に吹き出し口から排出させ、前記第1の油煙・水蒸気除去手段と前記第2の油煙・水蒸気除去手段とは、金属製のメリヤス形状のフィルタを複数枚積層する構成としたので、調理時に発生する汚染空気中の油煙や水蒸気の7割以上を捕集することができ、これによって集塵手段の負荷が軽減され機能停止を抑制でき、集塵効率の低下が少なく、メンテナンスまでの期間を長期化することができるるとともに、メンテナンスまでの期間安定した性能を維持することができる。そして最後に、脱臭手段により臭気を除去することにより、清浄化された空気を室内に循環させることができる。
【0022】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る空気処理装置は、集塵手段9のイオン化部の放電電極を平板突起電極とし、その板厚を0.3mm以下としたものである。図8に放電電極の板厚が0.5mmと0.3mmの場合の油煙捕集効率を示す。放電電極の板厚が、0.5mmのときは初期の捕集効率は良いが、徐々に捕集効率は低下する。0.3mmのときは初期から10ヶ月後まで安定した捕集効率を維持できる。放電電極には油が堆積し、放電電流が低下するため、捕集効率が低下することとなる。板厚0.3mmの場合、電流低下を抑制でき、捕集効率の低下も抑制できる。板厚は薄いほどその効果は大きく、0.3mm以下で安定した捕集効率を維持可能である。また、放電電極に油が堆積しにくくするため、フッ素系もしくはセラミックス系の常温乾燥型もしくは熱硬化型の撥水性コーティング材を塗布しても良い。その他の構成は実施の形態1と同じであるので説明は省略する。
【0023】
以上のように、集塵手段のイオン化部の放電電極は、平板突起形状であり、その板厚を0.3mm以下とするか、あるいは、フッ素系もしくはセラミックス系の常温乾燥型もしくは熱硬化型の撥水性コーティング材を放電電極に塗布することにより、放電電流の低下を抑制し、安定した油煙捕集効率を維持できる。
【0024】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る空気処理装置は、前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間、および、前記集塵手段の風下側に設置される前記脱臭手段を、金属酸化物からなる触媒と活性炭もしくはシリカゲルを混合したものを含む構成としたものである。脱臭手段は、実施の形態1に記載するように脱臭剤として、酸化マンガン、酸化銅、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物触媒のうち1種類以上を、もしくは臭気物質を物理的に吸着するゼオライト、活性炭、シリカゲル、酸化ケイ素等の吸着剤のうち1種類以上を、あるいは臭気物質を化学的に吸着する化学吸着剤1種類以上を担体基材(ペーパーセラミック、コージェライト、金属等からなる担体基材)に担持(添着ともいう)させてなる。しかし、実際に調理を数ヶ月実施した場合、梅雨時などの湿度が高いときや湯沸し等の水蒸気発生が多いときなどに、脱臭手段から臭気が発生し、吹き出し口から不快な臭気が排出されることがある。
【0025】
図9は、脱臭手段に、酸化マンガン、酸化銅、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物触媒のうち1種類以上と、ゼオライトとを混合して担持させた場合(a)と、同じものにさらに活性炭を10質量%配合した場合(b)について、調理後に湯沸しを実施し、吹き出し口から排出される空気を分析した結果である。分析はガスクロマトグラフ/質量分析計を使用し、TENAXサンプラーに500mLの空気を濃縮して実施した。図9中の横軸は検出時間(数字は分と秒)、縦軸はイオン強度を示す。
分子量が大きく、沸点が高いものは、検出時間が長い位置でピークが発現する。活性炭がない場合、揮発性有機化合物(Hexane、Ethylbenzene、Xylene、Styrene)、炭化水素(Nonane、Decane、Cosane)が検出されており、活性炭がある場合は検出されていない。両者ともに検出されている物質は、二酸化硫黄(Sulfur Dioxide)、酢酸ブチル(Butylacetate)、アルコール(Ethylalcohol、1-Butanol)、シラノール(Cyclotrosiloxane)となっている。両者ともに検出されている二酸化硫黄(Sulfur Dioxide)、酢酸ブチル(Butylacetate)、アルコール(Ethylalcohol、1-Butanol)、シラノール(Cyclotrosiloxane)は、室内空気からも検出されており、室内にいる人が不快になる臭気ではない。一方、揮発性有機化合物(Hexane、Ethylbenzene、Xylene、Styrene)は接着剤の臭い、炭化水素(Nonane、Decane等)は焦げた臭い、ガソリン臭として鼻では感じられ、室内にいる人が不快になる可能性がある。
これに対し、活性炭がある場合は、これらの臭気が抑制されて、検出されていない。このように、脱臭手段に、酸化マンガン、酸化銅、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物触媒のうち1種類以上と、ゼオライトとを混合して担持させたものに活性炭を10質量%配合することで、調理後に湯沸しを実施した場合に、吹き出し口から排出される不快な臭気を抑制することができる。
【0026】
図10は、本発明の実施の形態3に係る空気処理装置の脱臭手段の効果を表すために用いた測定装置の模式図である。
アセトアルデヒドボンベ51と純空気ボンベ52とからそれぞれのガスを送り、混合して脱臭手段50に通過させるようになっている。純空気ボンベ52からの送風路にはイオン交換水をバブリングする装置が搭載されており、湿度を調整した空気が送風されるようになっている。脱臭手段50には、20mm×20mmのフィルタを搭載する。このフィルタを通過したアセトアルデヒド、純空気の混合ガスは、バッファー53を通過し、放出される。バッファー53には、光音響マルチガスモニタ54が接続されており、アセトアルデヒドの濃度が測定できる。
【0027】
図11は、脱臭手段50に、酸化マンガン、酸化銅、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物触媒のうち1種類以上と、ゼオライトとを混合して担持させたものに、活性炭を質量割合で、20%、10%、5%、0%配合した場合の、アセトアルデヒドの放出量を測定した結果である。図10に示す測定装置に、脱臭手段50として、活性炭を質量割合で、20%、10%、5%、0%配合したフィルタをそれぞれセットし、アセトアルデヒド100ppm、温度25℃、相対湿度40%に調整したガスを15分間流す。これにより、それぞれのフィルタにアセトアルデヒドが吸着する。その後、アセトアルデヒド0ppm、温度25℃、相対湿度40%に調整したガスを60分間流す。このとき、フィルタに吸着したアセトアルデヒドが脱着して放出された場合、光音響マルチガスモニタ54で検出され、アセトアルデヒド濃度が測定される。
図11より、活性炭配合量を10%まで増加させた場合、放出されるアセトアルデヒドが抑制されるが、活性炭配合量を20%にした場合は、活性炭配合量が0%のときよりも放出されるアセトアルデヒドの濃度が高いことがわかる。
【0028】
図12は、図11のアセトアルデヒド放出量の図から総放出量、ピーク値を読み取り図示したものである。
総放出量は、図11の60分間で放出されたアセトアルデヒドの総量(mg)であり、ピーク値は最も高いアセトアルデヒド濃度(ppm)である。活性炭配合率としては、ほぼ10%のとき総放出量、ピーク値とも最も低くなっている。活性炭の他にも、シリカゲル等の高分子量の臭気成分を吸着することが得意な吸着剤でも同様の効果が期待できる。また、活性炭を配合することで調理臭の除去性能の向上も可能となる。
【0029】
図13は、脱臭手段50に、酸化マンガン、酸化銅、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物触媒のうち1種類以上と、ゼオライトとを混合して担持させたものに、活性炭を質量割合で、20%、10%、5%、0%配合した場合の、アセトアルデヒドの除去性能を示す測定結果である。図10に示す測定装置に、脱臭手段50として、活性炭を質量割合で、20%、10%、5%、0%配合したフィルタをそれぞれセットし、アセトアルデヒド10ppm、温度25℃、相対湿度40%に調整したガスを流す。これにより、それぞれのフィルタにアセトアルデヒドが吸着する。そのため、バッファー53内はアセトアルデヒド濃度が低くなり、徐々にフィルタが性能低下するに伴い、アセトアルデヒド濃度が高くなっていく。従って、アセトアルデヒド残存率が少ないものがアセトアルデヒド除去性能が良いことを示す。この場合も、活性炭配合量を10%まで増加させた場合、除去されるアセトアルデヒドが多いが、活性炭配合量を20%にした場合は、活性炭配合量が10%のときよりも除去されるアセトアルデヒドが少ないことがわかる。
【0030】
図14に、図13のアセトアルデヒド残存率が最も少ないときの値から算出したアセトアルデヒドワンパス除去率を示す。
活性炭配合率としては、5〜20%が最もアセトアルデヒドワンパス除去率が高いことがわかる。従って、活性炭の配合量としては、5〜20%が良いといえる。また、活性炭配合量を20%よりも多くした場合、着火の危険が増すため、性能が良く、難燃性を保てる5〜20%が適している。
【0031】
以上のように、本実施の形態3に係る空気処理装置は、電気加熱器具による調理時に発生する油煙や水蒸気、臭気等の汚染空気を吸い込むための吸込み口と、前記吸込み口に連通してキャビネット内に設置され、前記吸込み口から前記汚染空気を取り込む送風機と、前記吸込み口に配置される第1の油煙・水蒸気除去手段と、前記キャビネット内に配置される第2の油煙・水蒸気除去手段と、放電電極と対向電極の間でコロナ放電を生じさせて油煙・水蒸気を帯電させるイオン化部と、このイオン化部で帯電された油煙・水蒸気を集塵するコレクタ部とで構成される集塵手段と、脱臭手段とを備え、前記吸込み口から取り込んだ前記汚染空気を前記第1の油煙・水蒸気除去手段、前記第2の油煙・水蒸気除去手段、前記集塵手段、前記脱臭手段の順に経由して前記キャビネットの外に吹き出し口から排出させ、前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間、および、前記集塵手段の風下側に設置される前記脱臭手段は、金属酸化物からなる触媒と活性炭もしくはシリカゲルを混合したものを含む脱臭手段とし、配合される活性炭量を5〜20質量%としたことによって、湯沸し時等の水蒸気が多量に発生する場合でも、吹き出し口からの臭気の発生がなく、清浄化された空気を室内に循環させることができる。
【0032】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係る空気処理装置は、前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間、および、前記集塵手段の風下側に設置される前記脱臭手段は、担体基材に活性炭を添着した後、吸着剤や触媒、化学薬品等の脱臭剤を1種類以上含有したものを添着したものである。脱臭手段は、実施の形態1に記載するように、コルゲート状もしくは四角状、あるいはハニカム状等の開口を有するペーパーセラミック担体やコージェライト担体、金属担体等に、脱臭剤として、酸化マンガン、酸化銅、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物触媒のうち1種類以上を、もしくは臭気物質を物理的に吸着するゼオライト、活性炭、シリカゲル、酸化ケイ素等の吸着剤のうち1種類以上を、あるいは臭気物質を化学的に吸着する化学吸着剤を1種類以上を担持させてなる。コルゲート状もしくは四角状、あるいはハニカム状等の開口を有するペーパーセラミック担体やコージェライト担体、金属担体等は、無機もしくは有機のバインダーで接着して構成されており、そのバインダーの臭気が、実際に調理を数ヶ月実施した場合、梅雨時などの湿度が高いときや湯沸し等の水蒸気発生が多いときなどに、調理臭と複合し発生し、吹き出し口から不快な臭気が排出されることがある。この場合の臭気成分も図9に示す活性炭なしの場合と同様の臭気成分である。この臭気成分のもととなる物質の1つはバインダーであり、この放出を抑制することで、不快な臭気の発生を抑えることができる。担体基材に活性炭を添着した後、吸着剤や触媒、化学薬品等の脱臭剤を1種類以上含有したものを添着することで、バインダー臭気の放出を抑制することが可能となり、吹き出し口からの臭気の発生を抑制できる。
【0033】
以上のように、本実施の形態4に係る空気処理装置は、電気加熱器具による調理時に発生する油煙や水蒸気、臭気等の汚染空気を吸い込むための吸込み口と、前記吸込み口に連通してキャビネット内に設置され、前記吸込み口から前記汚染空気を取り込む送風機と、前記吸込み口に配置される第1の油煙・水蒸気除去手段と、前記キャビネット内に配置される第2の油煙・水蒸気除去手段と、放電電極と対向電極の間でコロナ放電を生じさせて油煙・水蒸気を帯電させるイオン化部と、このイオン化部で帯電された油煙・水蒸気を集塵するコレクタ部とで構成される集塵手段と、脱臭手段とを備え、前記吸込み口から取り込んだ前記汚染空気を前記第1の油煙・水蒸気除去手段、前記第2の油煙・水蒸気除去手段、前記集塵手段、前記脱臭手段の順に経由して前記キャビネットの外に吹き出し口から排出させ、前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間、および、前記集塵手段の風下側に設置される前記脱臭手段は、担体基材に活性炭を添着した後、吸着剤や触媒、化学薬品等の脱臭剤を1種類以上含有したものを添着したことによって、担体基材のバインダーからの臭気を抑制し、湯沸し時等の水蒸気が多量に発生する場合でも、吹き出し口からの臭気の発生がなく、清浄化された空気を室内に循環させることができる。
【0034】
実施の形態5.
本発明の実施の形態5に係る空気処理装置は、前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間に設置される前記脱臭手段を、活性炭もしくはシリカゲルを含有した水分吸着剤を含む構成としたものである。湯沸し時等の水蒸気が多量に発生する場合に臭気が放出される要因は、調理臭等が水分と置換して放出されることに原因がある場合がある。その場合、水分が、吸着した臭気と置換しないように、風上側で水分のみ捕捉する手段が有効的である。同様に前記第2の油煙・水蒸気除去手段に、活性炭もしくはシリカゲルを含有した水分吸着剤を添着しても良い。
【0035】
以上のように、本実施の形態5に係る空気処理装置は、電気加熱器具による調理時に発生する油煙や水蒸気、臭気等の汚染空気を吸い込むための吸込み口と、前記吸込み口に連通してキャビネット内に設置され、前記吸込み口から前記汚染空気を取り込む送風機と、前記吸込み口に配置される第1の油煙・水蒸気除去手段と、前記キャビネット内に配置される第2の油煙・水蒸気除去手段と、放電電極と対向電極の間でコロナ放電を生じさせて油煙・水蒸気を帯電させるイオン化部と、このイオン化部で帯電された油煙・水蒸気を集塵するコレクタ部とで構成される集塵手段と、脱臭手段とを備え、前記吸込み口から取り込んだ前記汚染空気を前記第1の油煙・水蒸気除去手段、前記第2の油煙・水蒸気除去手段、前記集塵手段、前記脱臭手段の順に経由して前記キャビネットの外に吹き出し口から排出させ、前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間に設置される前記脱臭手段を、活性炭もしくはシリカゲルを含有した水分吸着剤を含む構成としたことによって、湯沸し時等の水蒸気が多量に発生する場合でも、吹き出し口からの臭気の発生がなく、清浄化された空気を室内に循環させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空気処理装置の概要を示す部分断面側面図。
【図2】図1の上部の部分断面上面図。
【図3】油煙・水蒸気除去手段を構成するフィルタの構成図。
【図4】油煙・水蒸気除去手段のフィルタの積層構造を示す図。
【図5】脱臭手段の構成例を示す図。
【図6】集塵手段の概略構成図。
【図7】油煙・水蒸気除去手段の効果を示す図。
【図8】本発明の実施の形態2に係る空気処理装置の集塵手段の油煙捕集効率を示す図。
【図9】本発明の実施の形態3に係る空気処理装置の臭気再放出抑制効果を示す図。
【図10】本発明の実施の形態3に係る空気処理装置の脱臭手段の効果を表すために用いた測定装置の模式図。
【図11】本発明の実施の形態3に係る空気処理装置の脱臭手段のアセトアルデヒド再放出抑制効果を示す図。
【図12】本発明の実施の形態3に係る空気処理装置の脱臭手段のアセトアルデヒド再放出抑制効果を示す図。
【図13】本発明の実施の形態3に係る空気処理装置の脱臭手段のアセトアルデヒド除去性能を示す図。
【図14】本発明の実施の形態3に係る空気処理装置の脱臭手段のアセトアルデヒド除去性能を示す図。
【符号の説明】
【0037】
1 キャビネット、2 吸い込みフード、3 空気処理装置の本体部、4 電気加熱器具、5 吸込み口フィルタ(第1の油煙・水蒸気除去手段)、6 風路、6a 吸引路、6b 送風路、6c 開口部、7 プレフィルタ(第2の油煙・水蒸気除去手段)、8 プレ脱臭フィルタ、9 集塵手段、10 メイン脱臭フィルタ、11 送風機、12 排気口脱臭フィルタ、13 基板収納部、14 線状金属、15 開口部、16 外枠、17 イオン化部、18 コレクタ部、19 放電電極、20 対向電極、21 ケーシング、22 仕切壁、23 開口部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気加熱器具による調理時に発生する油煙や水蒸気、臭気等の汚染空気を吸い込むための吸込み口と、前記吸込み口に連通してキャビネット内に設置され、前記吸込み口から前記汚染空気を取り込む送風機と、前記吸込み口に配置される第1の油煙・水蒸気除去手段と、前記キャビネット内に配置される第2の油煙・水蒸気除去手段と、放電電極と対向電極の間でコロナ放電を生じさせて油煙・水蒸気を帯電させるイオン化部と、このイオン化部で帯電された油煙・水蒸気を集塵するコレクタ部とで構成される集塵手段と、脱臭手段とを備え、前記吸込み口から取り込んだ前記汚染空気を前記第1の油煙・水蒸気除去手段、前記第2の油煙・水蒸気除去手段、前記集塵手段、前記脱臭手段の順に経由して前記キャビネットの外に吹き出し口から排出させることを特徴とする空気処理装置。
【請求項2】
前記吸込み口に配置される第1の油煙・水蒸気除去手段と前記キャビネット内に配置される第2の油煙・水蒸気除去手段とは、それぞれ金属製の網目状のフィルタから構成してなることを特徴とする請求項1記載の空気処理装置。
【請求項3】
前記第1の油煙・水蒸気除去手段および前記第2の油煙・水蒸気除去手段を構成する前記フィルタの編み目形状はメリヤス形状としたことを特徴とする請求項2記載の空気処理装置。
【請求項4】
前記第1の油煙・水蒸気除去手段および前記第2の油煙・水蒸気除去手段を構成する前記フィルタは、2層を1組として外周を金属製の外枠で囲む構成となっていることを特徴とする請求項2または3記載の空気処理装置。
【請求項5】
前記第1の油煙・水蒸気除去手段および前記第2の油煙・水蒸気除去手段を構成する前記フィルタは、複数組のフィルタを積層してなることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項6】
前記第1の油煙・水蒸気除去手段を構成するフィルタは、前記第2の油煙・水蒸気除去手段を構成するフィルタよりフィルタの積層枚数が多いことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項7】
前記第1の油煙・水蒸気除去手段を構成するフィルタは、前記第2の油煙・水蒸気除去手段を構成するフィルタより吸い込み面積を小さくしたことを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項8】
前記第1の油煙・水蒸気除去手段と前記第2の油煙・水蒸気除去手段とにより、調理時に発生する油煙の7割以上を捕集することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項9】
前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間、および、前記集塵手段の風下側に、吸着剤や触媒、化学薬品等の脱臭剤を1種類以上含有した脱臭手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項10】
前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間に設置される前記脱臭手段は、1インチ平方当たり150〜250セルの開口を有し、厚さが10mm以下であることを特徴とする請求項9記載の空気処理装置。
【請求項11】
前記集塵手段のイオン化部の放電電極は、平板突起形状であり、その板厚は0.3mm以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項12】
前記集塵手段のイオン化部の放電電極に、フッ素系もしくはセラミックス系の常温乾燥型もしくは熱硬化型の撥水性コーティング材を塗布してなることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項13】
前記第2の油煙・水蒸気除去手段、前記集塵手段、および前記脱臭手段は、風路の一部を構成するケーシングに一体的に収納され、このケーシングが前記キャビネットの前面側に引き出し可能な構成となっていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項14】
前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間、および、前記集塵手段の風下側に設置される前記脱臭手段は、金属酸化物からなる触媒と活性炭もしくはシリカゲルを混合したものを含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項15】
前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間、および、前記集塵手段の風下側に設置される前記脱臭手段に含まれる活性炭の配合量は、5〜20質量%であることを特徴とする請求項14記載の空気処理装置。
【請求項16】
前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間、および、前記集塵手段の風下側に設置される前記脱臭手段は、担体基材に活性炭を添着した後、吸着剤や触媒、化学薬品等の脱臭剤を1種類以上含有したものを添着したことを特徴とする請求項14記載の空気処理装置。
【請求項17】
前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間に設置される前記脱臭手段は、活性炭もしくはシリカゲルを含有した水分吸着剤を含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項18】
前記第2の油煙・水蒸気除去手段は、活性炭もしくはシリカゲルを含有した水分吸着剤を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項1】
電気加熱器具による調理時に発生する油煙や水蒸気、臭気等の汚染空気を吸い込むための吸込み口と、前記吸込み口に連通してキャビネット内に設置され、前記吸込み口から前記汚染空気を取り込む送風機と、前記吸込み口に配置される第1の油煙・水蒸気除去手段と、前記キャビネット内に配置される第2の油煙・水蒸気除去手段と、放電電極と対向電極の間でコロナ放電を生じさせて油煙・水蒸気を帯電させるイオン化部と、このイオン化部で帯電された油煙・水蒸気を集塵するコレクタ部とで構成される集塵手段と、脱臭手段とを備え、前記吸込み口から取り込んだ前記汚染空気を前記第1の油煙・水蒸気除去手段、前記第2の油煙・水蒸気除去手段、前記集塵手段、前記脱臭手段の順に経由して前記キャビネットの外に吹き出し口から排出させることを特徴とする空気処理装置。
【請求項2】
前記吸込み口に配置される第1の油煙・水蒸気除去手段と前記キャビネット内に配置される第2の油煙・水蒸気除去手段とは、それぞれ金属製の網目状のフィルタから構成してなることを特徴とする請求項1記載の空気処理装置。
【請求項3】
前記第1の油煙・水蒸気除去手段および前記第2の油煙・水蒸気除去手段を構成する前記フィルタの編み目形状はメリヤス形状としたことを特徴とする請求項2記載の空気処理装置。
【請求項4】
前記第1の油煙・水蒸気除去手段および前記第2の油煙・水蒸気除去手段を構成する前記フィルタは、2層を1組として外周を金属製の外枠で囲む構成となっていることを特徴とする請求項2または3記載の空気処理装置。
【請求項5】
前記第1の油煙・水蒸気除去手段および前記第2の油煙・水蒸気除去手段を構成する前記フィルタは、複数組のフィルタを積層してなることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項6】
前記第1の油煙・水蒸気除去手段を構成するフィルタは、前記第2の油煙・水蒸気除去手段を構成するフィルタよりフィルタの積層枚数が多いことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項7】
前記第1の油煙・水蒸気除去手段を構成するフィルタは、前記第2の油煙・水蒸気除去手段を構成するフィルタより吸い込み面積を小さくしたことを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項8】
前記第1の油煙・水蒸気除去手段と前記第2の油煙・水蒸気除去手段とにより、調理時に発生する油煙の7割以上を捕集することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項9】
前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間、および、前記集塵手段の風下側に、吸着剤や触媒、化学薬品等の脱臭剤を1種類以上含有した脱臭手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項10】
前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間に設置される前記脱臭手段は、1インチ平方当たり150〜250セルの開口を有し、厚さが10mm以下であることを特徴とする請求項9記載の空気処理装置。
【請求項11】
前記集塵手段のイオン化部の放電電極は、平板突起形状であり、その板厚は0.3mm以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項12】
前記集塵手段のイオン化部の放電電極に、フッ素系もしくはセラミックス系の常温乾燥型もしくは熱硬化型の撥水性コーティング材を塗布してなることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項13】
前記第2の油煙・水蒸気除去手段、前記集塵手段、および前記脱臭手段は、風路の一部を構成するケーシングに一体的に収納され、このケーシングが前記キャビネットの前面側に引き出し可能な構成となっていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項14】
前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間、および、前記集塵手段の風下側に設置される前記脱臭手段は、金属酸化物からなる触媒と活性炭もしくはシリカゲルを混合したものを含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項15】
前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間、および、前記集塵手段の風下側に設置される前記脱臭手段に含まれる活性炭の配合量は、5〜20質量%であることを特徴とする請求項14記載の空気処理装置。
【請求項16】
前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間、および、前記集塵手段の風下側に設置される前記脱臭手段は、担体基材に活性炭を添着した後、吸着剤や触媒、化学薬品等の脱臭剤を1種類以上含有したものを添着したことを特徴とする請求項14記載の空気処理装置。
【請求項17】
前記第2の油煙・水蒸気除去手段と前記集塵手段との間に設置される前記脱臭手段は、活性炭もしくはシリカゲルを含有した水分吸着剤を含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項18】
前記第2の油煙・水蒸気除去手段は、活性炭もしくはシリカゲルを含有した水分吸着剤を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の空気処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−55404(P2008−55404A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161766(P2007−161766)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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