空気処理装置
【課題】空気処理装置と室外を連通する排気風路を構成しなくても、長期間安定した脱臭性能を維持することができる、空気処理装置を提供する。
【解決手段】空気の吸込み口と吹き出し口を有する本体と、本体内に設けられ燃焼を伴わない電気加熱器具の使用により発生する臭気を含む汚染空気を吸込み口から吸引する送風機と、吸込み口から吸引した汚染空気から少なくとも臭気を除去する脱臭手段と、送風機及び前記ヒータの運転を制御する制御手段を備え、脱臭手段は、少なくとも臭気を吸着し酸化分解する脱臭剤と、脱臭剤を加熱して活性化させるヒータとで構成され、制御手段は、運転を停止する信号を受けたのち、送風機を信号を受ける前より回転数を減少させた低速運転に移行して運転する。
【解決手段】空気の吸込み口と吹き出し口を有する本体と、本体内に設けられ燃焼を伴わない電気加熱器具の使用により発生する臭気を含む汚染空気を吸込み口から吸引する送風機と、吸込み口から吸引した汚染空気から少なくとも臭気を除去する脱臭手段と、送風機及び前記ヒータの運転を制御する制御手段を備え、脱臭手段は、少なくとも臭気を吸着し酸化分解する脱臭剤と、脱臭剤を加熱して活性化させるヒータとで構成され、制御手段は、運転を停止する信号を受けたのち、送風機を信号を受ける前より回転数を減少させた低速運転に移行して運転する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼を伴わない電気加熱器具の使用により発生する臭気を除去する空気処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加熱調理器として、IHクッキングヒータなどの電磁調理器やハロゲンヒータ等の電気加熱器具(以下、電気加熱器具という)があり、これら電気加熱器具は、加熱に燃焼を伴わないので調理中に人体に有害な二酸化炭素が発生しないという特徴を有している。例えば燃焼を伴う加熱調理器においては、その調理中に発生する二酸化炭素を住居内から排出する必要があるため換気扇等により住居外へ排出していたが、電気加熱器具においては、調理時に発生するのは油煙、水分、調理臭等の汚染成分だけであり、この汚染成分を含んだ空気(以下、汚染空気という)から汚染成分を処理すれば、必ずしも住居外への排気は必要なくなるという利点を有している。
【0003】
そこで、電気加熱器具を用いて調理する際に発生する汚染空気を処理する従来技術として、調理に起因して生じる臭気を活性炭等で構成された脱臭装置で吸着し、脱臭処理した空気を室内へ排気する調理臭気処理装置が提案されている。また、その調理臭気処理装置は、運転していない時に、活性炭に熱風を当てて吸着した臭気を再放出させ、その再放出した臭気を室外に排気するようにして活性炭の脱臭能力が維持できる期間を延長することも提案している。加えて、臭気センサにて脱臭性能の低下を検知したときには、速やかに活性炭の交換や洗浄を促す機能についても提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−042730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の従来技術では、活性炭に吸着した臭気を室外に再放出することで十分な脱臭能力を維持できる期間は延長されるが、最終的には活性炭の交換もしくは洗浄するというメンテナンスが必要であるという課題があった。また、活性炭から再放出される臭気を室外に排出する為の排気通路が必要となり、処理装置の設置レイアウトが制限されるとともに構造が大きくなるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、空気処理装置と室外を連通する排気風路を構成しなくても、長期間安定した脱臭性能を維持できる空気処理装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る空気処理装置は、空気の吸込み口と吹き出し口を有する本体と、本体内に設けられ燃焼を伴わない電気加熱器具の使用により発生する臭気を含む汚染空気を吸込み口から吸引する送風機と、吸込み口から吸引した汚染空気から少なくとも臭気を除去する脱臭手段と、送風機及び前記ヒータの運転を制御する制御手段を備え、脱臭手段は、少なくとも臭気を吸着し酸化分解する脱臭剤と、脱臭剤を加熱して活性化させるヒータとで構成され、制御手段は、運転を停止する信号を受けたのち、送風機を信号を受ける前より回転数を減少させた低速運転に移行して運転する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る空気処理装置は、上記のように構成することにより、空気処理装置の配置レイアウトを制限することなく脱臭性能の低下を抑制することができ、脱臭手段に対してメンテナンスをしなくても長期間安定した性能を維持できるという効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における空気処理装置を組み込んだキャビネットの正面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における脱臭装置の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における脱臭装置の上面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における脱臭装置に用いられる触媒の脱臭性能と温度の関係図である。
【図6】本発明の実施の形態1における脱臭装置に用いられるPTCヒータ素子の特性図である。
【図7】本発明の実施の形態1における脱臭装置とは別の形態の脱臭装置の正面図である。
【図8】本発明の実施の形態1における脱臭装置とは別の形態の脱臭装置を用いた空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1における空気処理装置の制御回路概略図である。
【図10】本発明の実施の形態1における空気処理装置の運転フロー図である。
【図11】本発明の実施の形態1における空気処理装置のアセトアルデヒド除去性能を示した図である。
【図12】本発明の実施の形態1における脱臭剤に用いられる触媒種類によるアセトアルデヒド除去性能を比較した図である。
【図13】本発明の実施の形態2における空気処理装置の制御回路概略図である。
【図14】本発明の実施の形態2における空気処理装置の運転フロー図である。
【図15】本発明の実施の形態3における空気処理装置を組み込んだキャビネットの横断面図である。
【図16】本発明の実施の形態4における空気処理装置を組み込んだキャビネットの横断面図である。
【図17】本発明の実施の形態5における連通口が閉じた状態の空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図である。
【図18】本発明の実施の形態5における連通口が開いた状態の空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図である。
【図19】本発明の実施の形態5における空気処理装置の制御回路概略図である。
【図20】本発明の実施の形態5における空気処理装置の運転フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1における空気処理装置を組み込んだキャビネットの正面図であり、図2は空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図である。
本実施の形態1に係る空気処理装置100は、厨房用の空気処理装置としてキャビネット101に組み込まれて設置されるものであり、特にIHクッキングヒータなどに代表される燃焼させずに加熱容器102を加熱して調理をおこなう電気加熱器具103にて調理する際に発生する、油煙や水蒸気、臭気等を含んだ汚染空気104を処理する装置である。キャビネット101には、手前側上部に電気加熱器具103を設置し、その電気加熱器具103の奥側に空気処理装置100が設置されている。
【0011】
空気処理装置100は、電気加熱器具103側に開口する吸込み口1を有する吸込みフード2と、吸込み口1から汚染空気103を吸引する吸引流を発生させる送風機3と、吸引された汚染空気104の少なくとも臭気を吸着して浄化する脱臭装置4(脱臭手段)と、その浄化された空気105を空気処理装置100外のキャビネット101周囲に放出する吹き出し口5を備えている。また、キャビネット101上が広く使えるように、空気処理装置100の送風機3や脱臭装置4はキャビネット101内に設けられている。また、吸込みフード2の吸込み口1付近には油煙・水蒸気を除去するステンレス、アルミニウム等の金属製のフィルタ6(油煙・水蒸気除去手段)が着脱可能な状態で設置されており、フィルタ6は吸込み口1のカバー7を外すことにより容易に外して清掃できる構成となっている。また、空気処理装置100内部は、吸込み口1と送風機3とを連通する吸気側風路8と、送風機3と吹き出し口5とを連通する排気側風路9とで連通している。
空気処理装置100は、吸込みフード2に設けられた複数のスイッチ10のうち、電源スイッチを押されることにより運転開始の指示を受け、送風機3の運転を開始する。送風機3の運転により発生する吸引流によって吸込み口1から汚染空気104を吸引し、吸引された汚染空気104は、最初にフィルタ6で油煙と水蒸気の大半を除去され、続いて脱臭装置4で臭気を吸着されると共にフィルタ6で捕りきれなかった油煙と水蒸気も吸着され、浄化される。浄化された空気105は、送風機3を通過し、吹き出し口5から空気処理装置100外へ排気されるようになっている。また、吸込みフード2は、汚染空気104を吸引し易いように、電気加熱器具103側に傾いて設置されている。また、キャビネット101上が広く使えるように、空気処理装置100の送風機3や脱臭装置4はキャビネット101内に設けられているが、これに限ったものではない。
【0012】
次に、実施の形態1に係る空気処理装置100で用いられる脱臭装置4について図2〜6を用いて説明する。図3は本発明の実施の形態1における脱臭装置の正面図であり、図4は脱臭装置の側面図である。
脱臭装置4は、脱臭剤を担持したアルミフィン11(金属板)と、アルミフィン11を加熱する棒状のPTCヒータ素子12(ヒータ)と、PTCヒータ素子12端面に設けられた給電端子13にて構成されており、PTCヒータ素子12は吸気側風路8を跨ぐようにして複数並べて設け、吸気側風路8に対して平行方向に複数並べて設けたアルミフィン11と接触して固定されている。
【0013】
アルミフィン11に担持される脱臭剤には、酸化マンガンを主成分とし、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム等の貴金属もしくは他の金属酸化物のうち1つ以上を混合してなる触媒を用いている。なお、他の金属酸化物としては、酸化銅、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物触媒が使用される。
上記のような触媒は、臭気を吸着すると共に、その吸着した臭気を周囲の酸素を用いて酸化分解するという性質を有しており、触媒が行う吸着と分解の処理能力を脱臭性能とすると、触媒を加熱することにより触媒が活性化し、触媒の脱臭性能が向上するという性質を持っている。
よって、脱臭装置4は、給電端子13からの給電によりPTCヒータ素子12を発熱し、その熱をアルミフィン11に伝導させてアルミフィン11に担持された触媒を加熱して活性化させ、高い脱臭性能を得ている。したがって、脱臭装置4を通過する気体は、PTCヒータ素子12及びアルミフィン11からの放熱によって加熱される。
【0014】
例えば、図5は本発明の実施の形態1における脱臭装置に用いられる触媒の脱臭性能と温度の関係図であり、触媒を加熱し、触媒の温度が60℃付近(A)を超えてくると活性化が始まり脱臭性能が上がり始める。さらに触媒の温度が100℃付近(B)を過ぎたあたりから温度上昇に対する脱臭性能の増加割合が大きくなり200℃付近(C)まで急激に脱臭性能が向上する。そして、触媒の温度が200℃付近(C)を超えてくると温度上昇に対する脱臭性能の増加割合が小さくなり、温度を上げてもあまり脱臭性能が上がらないようになる。更に、触媒の温度が300℃付近(D)まで上昇すると、触媒の組成変化が起きはじめその脱臭性能が低下していく。
なお、触媒は油煙や水蒸気も吸着することが可能であり、吸着した油煙は触媒の温度を所定温度(およそ220℃)以上に加熱することで酸化分解することができる。
また、同じ時間で触媒が吸着する臭気吸着量と触媒が吸着した臭気を分解する臭気分解量を比べると、臭気吸着量の方が多いものが一般的である。
また、図5に示した関係図は触媒温度に対する脱臭性能の関係を示した一例であり、その温度帯や脱臭性能の増加割合等は混合される触媒の種類や混合割合などによって変わるものではあるが、触媒を加熱することで脱臭性能を向上することができるという効果は同様に得られるものである。また、触媒が油煙の分解が可能となる温度も同様に触媒の種類や混合割合で変わるものである。また、触媒が低温時でも十分な脱臭性能を得られるように、触媒に加えて臭気物質を物理的に吸着するゼオライト、活性炭、シリカゲル、酸化ケイ素等の吸着剤のうち1種類以上をアルミフィン11に担持させたものを用いても良い。
【0015】
したがって本発明は、脱臭装置4の脱臭剤として吸着と分解を行うことができる触媒を用い、且つその触媒を加熱して活性化させることによって脱臭装置4自身で吸着した汚染成分の処理を行なうものであり、それにより使用者が脱臭装置4のメンテナンスをしなくても経時変化による性能低下を抑制し、長期間安定した性能を維持できる空気処理装置100を得るものである。加えて、触媒が吸着した汚染成分の処理を行うのに十分な脱臭性能を得る為に、触媒の温度をより速くそしてより高温にすることにより、触媒の脱臭性能を向上させるものである。
【0016】
本発明では、触媒の温度をより速くそしてより高温にする為に、触媒を担持したアルミフィン11にPTCヒータ素子12を直接接触させ熱伝導により触媒を加熱する構成としている。これにより、PTCヒータ素子12の熱が効率よくアルミフィン11に伝導するので加熱時の熱ロスが少なくすることができ、例えば同じ加熱量でも触媒をより早く高温にすることができたりその温度もより高温にすることができ、高い脱臭性能を得ることが出来る。加えて、加熱時の熱ロスが少ないので、省エネ効果も得ることが出来る。
また、PTCヒータ素子12の熱量が吸気側風路8の外へ逃げるのを抑制する為に、PTCヒータ素子12近傍の吸気側風路8の壁面に難燃性の樹脂等からなる断熱材14を設けている。これにより、PTCヒータ素子12から吸気側風路8の外へ逃げる熱量を減少させることができ、上記と同様の効果を得ることが出来る。加えて、キャビネット101内部に設けられる空気処理装置100以外の機器(例えば、電気加熱器具103や食器洗浄器(図示無し)等)が不要に加熱され、故障することを防止することができる。なお、実施の形態1では断熱材14をPTCヒータ素子12近傍の吸気側風路8の壁面に設けたが、断熱材14はPTCヒータ素子12の熱がアルミフィン11以外に伝わるのを抑制するように構成されていれば良いものであり、例えばアルミフィン11接触している部分以外のPTCヒータ素子12表面に直接断熱材14を設置して熱が周囲の空気へ放熱されるのを抑制しても良いし、逆に空気処理装置100全体を断熱材14で覆って空気処理装置100外へ熱が逃げるのを抑制しても良い。
また、PTCヒータ素子12及びアルミフィン11は、加熱されて100℃を超える温度になるので、脱臭装置4を通過する空気はかなりの高温に加熱される。したがって、脱臭装置4の周囲及び脱臭装置4より下流の風路はアルミやステンレスなどの金属等からなる不燃材で形成し、温度上昇により延焼することを防止している。
【0017】
次に、脱臭装置4のヒータとして用いられているPTCヒータ素子12について説明する。図6は本発明の実施の形態1における脱臭装置に用いられるPTCヒータ素子の特性図である。
実施の形態1に用いられているPTCヒータ素子12は、チタン酸バリウム(BaTiO3)を主成分とした酸化物半導体セラミックスで形成されており、その電気抵抗は自身の温度がおよそ200℃を過ぎてくると急激に増加するという電気特性を有しており、この電気特性を利用してPTCヒータ素子12の温度が300℃以上に上昇しないよう構成されている。したがって、上記のようなPTCヒータ素子12を脱臭装置4のヒータとして使用することにより、例えば吸込み口1が異物によって塞がってしまったり、送風機3が故障して停止したりしてアルミフィン11やPTCヒータ素子12からの放熱が抑制されたとしても、PTCヒータ素子12の温度が300℃以上に上昇しないので、触媒の組成の変化による脱臭性能の低下を確実に防ぐことができる。加えて、ヒータが想定外の温度まで上昇することによって、延焼が発生するなどの危険を防止することができる。なお、PTCヒータ素子の代わりに、例えばシーズヒータに代表される一般的なヒータを用いる場合は、ヒータの温度を検知するヒータ温度検知手段(図示無し)を設け、ヒータ温度検知手段によってヒータ温度が300℃以上にならないようヒータへの通電を制御することによってPTCヒータ素子12を用いた時と同様の効果を得ることが出来るが、PTCヒータ素子12を用いることによりヒータ温度検知手段が不要となり、脱臭装置4をコンパクトに構成することが出来る。
なお、実施の形態1では、PTCヒータ素子12にチタン酸バリウム(BaTiO3)を使用したが、例えば低融点のポリマー中にカーボンブラック、ニッケル等の導電性粒子を分散させたもの、ポリエチレンなどの結晶性ポリマーにカーボンブラックなどの導電性粒子を均一に分散させたものでも良い。
【0018】
また、アルミフィン11は、実施の形態1では均等に配置されているが、通常、風路内では中央付近の風速が速くなるので、風速が速くなる風路の中央付近にアルミフィン11を密に配置しても良い。上記構成にすることにより、汚染空気104とアルミフィン11に担持されている触媒の接触を効率よく行うことが出来るので、脱臭装置4の脱臭性能を向上することができ、それによりメンテナンスを長期間不要にする為に必要な触媒の脱臭性能を得ることが出来る。
【0019】
図7は本発明の実施の形態1における脱臭装置とは別の形態の脱臭装置の正面図である。実施の形態1における脱臭装置と同様の効果を有するものには、同様の符号を付している。
図7に記載のように、脱臭装置4は、触媒を担持したアルミフィン11を波状に形成し、PTCヒータ素子12に接続する構成にしても良い。上記構成にすることにより、アルミフィン11の表面積が増えるので汚染空気104とアルミフィン11に担持されている触媒の接触を効率よく行うことが出来るので、脱臭装置4の脱臭性能を向上することができ、それによりメンテナンスを長期間不要にする為に必要な触媒の脱臭性能を得ることが出来る。
【0020】
また、図8は本発明の実施の形態1における脱臭装置とは別の形態の脱臭装置を用いた空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図であり、脱臭装置4は、脱臭剤を担持した脱臭フィルタと脱臭フィルタの近傍に設置され脱臭フィルタを熱風や輻射熱で加熱するヒータで構成されている。実施の形態1における脱臭装置と同様の効果を有するものには、同様の符号を付している。
図8の脱臭装置4は、風上側にPTCヒータ素子12を設置し、風下側のPTCヒータ素子12と近接して対向する位置に脱臭フィルタ15を設置する。脱臭フィルタ15は、開口部の形状をコルゲート状に形成した基材に触媒を担持したものであり、基材の形状としては他に四角状、ハニカム状に形成したものも使用される。基材の材料としては、ペーパーセラミックやコージェライト、もしくは金属が用いられ、その基材に酸化マンガンを主成分とし、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム等の貴金属もしくは他の金属酸化物のうち1つ以上を混合してなる触媒を担持している。上記のようにヒータ(PTCヒータ素子12)と脱臭剤(脱臭フィルタ15)を別体に設けることにより、脱臭剤とヒータを接触して構成する為の加工が不要となるので、加工が難しいが脱臭性能を向上することができる材料を基材として用いることができ、それによりメンテナンスを長期間不要にする為に必要な脱臭性能を得ることが出来る。
【0021】
次に実施の形態1における空気処理装置の制御回路について説明する。図9は、実施の形態1における空気処理装置の制御回路概略図である。
空気処理装置100には、スイッチ10の操作により送風機3の運転やPTCヒータ素子12への通電を制御する制御装置16が設けられており、制御装置16は、スイッチ10に設けられた空気処理装置100の運転/停止を指示するスイッチや、送風機3の運転速度(風量)を指示できるスイッチ(例えば強、中、弱等)からの指示に応じて送風機3の回転数やPTCヒータ素子12の入力電力を制御している。
【0022】
次に実施の形態1における空気処理装置の動作について説明する。図10は、使用者が実際に使用する場合の空気処理装置の運転フロー図である。
まず、使用者が空気処理装置100のスイッチ10を操作して、空気処理装置100の運転開始を指示する信号を制御装置16に送る(S1)。すると、制御装置16は、送風機3を運転して吸込み口1からの吸引を開始すると共に、PTCヒータ素子12に通電を開始し発熱させてアルミフィン11に担持された触媒(脱臭剤)を油煙も分解可能となる220℃以上になるよう加熱して活性化させる(S2)。
【0023】
次に、使用者は電気加熱器具103の上に被加熱物を収納した加熱容器102を戴置し、電気加熱器具103に設けられた電源スイッチ103aを押してONにし(S3)、電気加熱器具103を運転して加熱容器102を加熱し調理を開始する(S4)。被加熱物は電気加熱器具103によって加熱調理され、その際に水蒸気や油煙、臭気等を含む汚染空気104が発生する。発生した汚染空気104は、送風機3によって発生する吸引流によって吸込み口1から吸引される。吸込み口1から吸引された汚染空気104は、吸込み口4に設置された金属製のフィルタ6によって汚染空気104に含まれる水蒸気、油煙の大半が除去され、更に吸気側風路8を流れていき脱臭装置4のアルミフィン11に担持された触媒によって汚染空気104に含まれる臭気が吸着されると共にフィルタ6で捕りきれなかった水蒸気や油煙も吸着され、汚染空気104は浄化される。その後、浄化された空気105は、送風機3を通過し、排気側風路9を流れていき吹き出し口5からキャビネット101外へ排出される。
このとき、触媒は220℃以上の温度に加熱され、触媒が活性化して常温時よりも高い脱臭性能を発揮する状態となっており、周囲の臭気等を吸着すると共に吸着した臭気を酸化分解し無害・無臭化したのち再放出している。これにより、触媒は自身で脱臭性能の再生を行うことが出来るので、使用者がメンテナンスをしなくても長期間十分な脱臭性能を維持することが出来る。加えて、触媒は220℃以上の温度に加熱されているので臭気だけでなく油煙も分解可能となり、これにより触媒の脱臭性能は更に長期間の間、十分な脱臭性能を維持することが出来るようになる。
【0024】
調理が終了すると、使用者は電気加熱器具103の電源スイッチ103aを押し、電源スイッチ103aをOFFにして電気加熱器具103を停止させる(S5)。さらに、空気処理装置100のスイッチ10を操作して、空気処理装置100の運転停止を指示する信号を制御装置16に送る(S6)。これにより、制御装置16は送風機3の運転及びPTCヒータ素子12への通電を停止する(S7)。
【0025】
なお、実施の形態1ではスイッチ10が空気処理装置100に設置されているが、スイッチ10は空気処理装置100の運転指示を行えるものであれば良く、例えば空気処理装置100とは別体に設けられたリモコン等を用いたものでも良い。また、スイッチ10は、電気加熱器具103の電源スイッチ103aと連動して空気処理装置100の動作を指示するようにしても良い。また、汚染空気104の有無やその量を検知できる検知センサ(図示無し)をスイッチ10として設け、該検知センサからの情報により空気処理装置100の運転/停止を指示したり、送風機3の運転速度(風量)を変化させても良い。
また、S1とS3、S5とS6の順番はこれに限ったものでは無く、調理終了後から所定時間の間、PTCヒータ素子12の通電を続けて、触媒の活性化を促すものであれば良い。
また、触媒の温度を油煙が分解できる220℃以上まで上昇させたがこれに限ったものでは無く、フィルタ6の油煙除去性能が十分なものであれば、触媒の温度を220℃以上まで上げなくても良い。
【0026】
図11は、本発明の実施の形態1における空気処理装置のアセトアルデヒド除去性能を示した図である。空気処理装置100を1立方メートルの箱に入れ、箱の中にアセトアルデヒド10ppmを投入し、空気処理装置100を稼動して、運転時間毎による箱内のアセトアルデヒドの残存率を測定した。
その結果、PTCヒータ素子12を通電してアルミフィン11を加熱した状態で空気処理装置100を運転した場合、10分の運転で箱内のアセトアルデヒド除去率は90%となった。また、前記測定を再度実施(2回目)しても、10分の運転で箱内のアセトアルデヒド除去率は90%となり、その脱臭性能には変化が見られなかった(図中の加熱脱臭1、加熱脱臭2)。
また、比較対象として、PTCヒータ素子12を通電しない状態で空気処理装置100を運転した場合、10分の運転で箱内のアセトアルデヒド除去率は65%となり(図中の常温1回目)が、更に同様の測定を再度実施(2回目)した場合、10分の運転で箱内のアセトアルデヒド除去率は50%となった(図中の常温2回目)。その後、PTCヒータ素子12を通電した状態で再度測定すると、10分の運転で箱内のアセトアルデヒド除去率は70%となり、アセトアルデヒド除去率が回復することを確認した(図中の加熱再生後)。
上記結果から、触媒を十分な温度、時間で加熱することにより、脱臭装置4のメンテナンスを行うこと無く十分な脱臭性能を維持できることが確認されている。よって、実施の形態1の空気処理装置100を用いることにより、使用者が脱臭装置4のメンテナンスを行うこと無く、経時変化による性能低下を抑制し、長期間安定した性能を維持できることが分かった。
【0027】
図12は、本発明の実施の形態1における脱臭剤に用いられる触媒種類によるアセトアルデヒド除去性能を比較した図である。
図12は、図8に示したようにPTCヒータ素子12と触媒を担持した脱臭フィルタ15を別体で構成した空気処理装置100を用いて測定しており、各種触媒を担持した脱臭フィルタ15にアセトアルデヒド10ppmを通風させ、脱臭フィルタ15通過後のアセトアルデヒド濃度と脱臭フィルタ15通過前のアセトアルデヒド濃度から算出したアセトアルデヒド除去率を測定している。
その結果、酸化マンガンのみよりも酸化マンガンに貴金属を混合した触媒の方が、アセトアルデヒド除去率が良いことが確認できる。さらに、酸化マンガンに貴金属を混合した触媒を加熱して温度を高めることにより、アセトアルデヒド除去率が増加することが確認できる。また、触媒の温度を100℃から200℃へ上昇させることにより、アセトアルデヒド除去率を向上できることが確認できる。よって、脱臭剤として酸化マンガンを主成分とし、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム等の貴金属もしくは他の金属酸化物のうち1つ以上を混合してなる触媒を用いることにより、より高い脱臭性能が得られることが分かる。
【0028】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2における空気処理装置100は、実施の形態1で示した空気処理装置100に加え、制御装置16に経過時間を計測できるタイマー17を備えると共に、その運転フローを変えることにより特別な効果を得るものである。図13は本発明の実施の形態2における空気処理装置の制御回路概略図であり、図14は本発明の実施の形態2における空気処理装置の運転フロー図である。また、図中において実施の形態1と同じ機能を有する部分には同一の符号を付している。以下、実施の形態2における空気処理装置100の運転フローを説明する。
【0029】
まず、使用者が空気処理装置100のスイッチ10を操作して、空気処理装置100の運転開始を指示する信号を制御装置16に送る(S1)。すると、制御装置16は、送風機3を運転して吸込み口1からの吸引を開始すると共に、PTCヒータ素子12に通電を開始し発熱させてアルミフィン11に担持された触媒(脱臭剤)を100℃〜200℃になるよう加熱して活性化させる(S2)。
次に、使用者は電気加熱器具103の上に被加熱物を収納した加熱容器102を戴置し、電気加熱器具103に設けられた電源スイッチ103aを押してONにし(S3)、電気加熱器具103を運転して加熱容器102を加熱し調理を開始する(S4)。
【0030】
被加熱物は電気加熱器具103によって加熱調理され、その際に水蒸気や油煙、臭気等を含む汚染空気104が発生する。発生した汚染空気104は、送風機3によって発生する吸引流によって吸込み口1から吸引される。吸込み口1から吸引された汚染空気104は、吸込み口4に設置された金属製のフィルタ6によって汚染空気104に含まれる水蒸気、油煙の大半が除去され、更に吸気側風路8を流れていき脱臭装置4のアルミフィン11に担持された触媒によって汚染空気104に含まれる臭気が吸着されると共にフィルタ6で捕りきれなかった水蒸気や油煙も吸着され、汚染空気104は浄化される。その後、浄化された空気105は、送風機3を通過し、排気側風路9を流れていき吹き出し口5からキャビネット101外へ排出される。
このとき、触媒は、加熱されてその温度は100℃〜200℃へ上昇し、これにより触媒が活性化して常温時よりも高い脱臭性能を発揮する状態となっており、周囲の臭気等を吸着すると共に吸着した臭気を酸化分解し無害・無臭化したのち再放出している。したがって、空気処理装置100が動作しているときの触媒は、臭気や油煙、水蒸気等を吸着する脱臭作用を行うと共に吸着した臭気を酸化分解して再放出することにより自身で脱臭機能の再生を行っている。
【0031】
調理が終了すると、使用者は電気加熱器具103の電源スイッチ103aを押し、電源スイッチ103aをOFFにして電気加熱器具103を停止させる(S5)。さらに、空気処理装置100のスイッチ10を操作し、空気処理装置100の運転停止を指示する信号を制御装置16に送る(S6)。すると、制御装置16はPTCヒータ素子12の通電を維持したまま送風機3の回転数を減少させ低速運転に移行して吸引風量を小さくすると共に、タイマー17による経過時間の記録を開始する(S61)。ここで、アルミフィン11及びPTCヒータ素子12は、吸込み口1からの吸引風量が少なくなることによりその放熱量が減少するので、アルミフィン11に担持された触媒の温度は調理中の温度より高い220℃以上まで温度上昇する。これにより、触媒は調理中に吸着した油煙の分解を開始し、無害・無臭のものに変化させ再放出する。また、触媒の脱臭性能は更に向上し、既に吸着した臭気の分解速度を速める。
なお、このとき送風機3を低速運転させているのは、触媒に触媒が酸化分解するのに必要な酸素を含む空気を供給する為のものであり、例えば送風機3を低速運転させる代わりに、脱臭装置4より下方に外気が流入可能な開口(図示無し)を設け、PTCヒータ素子12の熱による上昇気流を利用して触媒に空気(酸素)を供給する構成にしても良い。
【0032】
タイマー17の経過時間があらかじめ設定されている所定時間に到達すると、制御装置16は、送風機3の運転及びPTCヒータ素子12への通電を停止する(S7)。
ここで、スイッチ10を操作して空気処理装置100の運転停止を指示する信号を制御装置16に送ってから(S6)、実際に送風機3やPTCヒータ素子12の加熱が停止する(S7)までの所定時間をあらかじめ設定しているが、この所定時間は例えば触媒に吸着した臭気、油煙の分解を概ね分解させる為により長い時間を設定しても良いし、使用者の不快感や電力消費を考慮して設定時間を短くしても良い。また、脱臭剤に吸着した吸着量を検知するセンサを設け、その結果によって所定時間を自動で設定したり、該センサをタイマー17の代わりに用いて送風機3の運転及びPTCヒータ素子12への通電を停止する(S7)タイミングを決めても良いし、使用者が所定時間を自ら設定できるようにしても良い。
【0033】
上記に示すように本発明の実施の形態2における空気処理装置100は、調理が終わってスイッチ10操作により空気処理装置100の運転停止を指示した後(S6〜S7)も触媒の加熱を所定時間継続して触媒に吸着した臭気を分解するのに十分な時間を設けたものであり、これにより触媒が分解する臭気より調理中(S3〜S5)に発生する臭気の方が大量に発生した場合でも、次回空気処理装置100を使用するまでには十分な脱臭性能が得られるまで触媒に吸着した臭気を分解することができ、長期間安定した脱臭性能を維持することが出来る。なお、上記効果は、実施の形態2で示したようにスイッチ10による運転停止操作ののち所定時間送風機3を低速運転に移行しなくても、所定時間、PTCヒータ素子12の通電と送風機3の運転を維持することで得られる。
また、実施の形態2の脱臭装置4は、実施の形態1のように調理中に発生する臭気を全て調理中に分解するように触媒を高温に加熱して活性化させる必要が無いので、実施の形態1のヒータよりも加熱能力の小さいヒータで良く、これにより脱臭装置4をコンパクトに構成することが出来ると共に、調理中に吹き出し口5から排出される浄化された空気105の温度が下がるので熱風が当たることによる使用者の不快感を低減することができる。
また、調理中は汚染空気104を吸引する為に送風機3はかなりの風量を発生させる必要があるので、調理中のアルミフィン11とPTCヒータ素子12からの放熱量は大きく、したがって調理中に油煙を分解可能な220℃以上まで上げるには、調理中の吸引風量をある程度抑制するかもしくは300℃以上まで自身が発熱するような非常に高い加熱力を有するヒータを使用する必要があった。しかし、実施の形態2のように調理中では無く大きな吸引風量が必要でない調理後に触媒に吸着した油煙を分解するよう運転することで、アルミフィン11とPTCヒータ素子12からの放熱量を大幅に減少することができ、調理中の吸引風量を抑制したり非常に加熱力のあるヒータを使用しなくても、長期間安定して十分な脱臭性能を維持することができる。
【0034】
[実施の形態3]
本発明の実施の形態3における空気処理装置100は、脱臭装置4の下流側に気体の温度を下げる冷却手段を備えたものであり、その冷却手段として空気処理装置100の外気を取り込む冷却空気風路18を設けたものである。図15は本発明の実施の形態3における空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図である。なお、図中において実施の形態1及び実施の形態2と同じ機能を有する部分には同一の符号を付している。以下に、実施の形態3が、実施の形態1及び実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
本発明の実施の形態3に係る空気処理装置100は、吹き出し口5から排出される空気を冷却する冷却手段として、キャビネット101外と吸気側風路8の脱臭装置4と送風機3の間を連通する冷却空気風路18を備え、送風機3を運転したときに、吸込み口1と冷却空気風路16の両方から空気処理装置100の外気を吸引するように構成されている。
【0035】
次に、本発明の実施の形態3における空気処理装置の動作について説明する。実施の形態3は実施の形態1及び実施の形態2のどちらの運転フローにおいても同様の効果を得られるものであり、ここでは実施の形態1における空気処理装置の運転フロー図である図10を用いて、実施の形態3が実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
使用者は電気加熱器具103の上に被加熱物を収納した加熱容器102を戴置し、電気加熱器具103に設けられた電源スイッチ103aを押してONにし(S3)、電気加熱器具103を運転して加熱容器102を加熱し調理を開始する(S4)。被加熱物は電気加熱器具103によって加熱調理され、その際に水蒸気や油煙、臭気等を含む汚染空気104が発生する。発生した汚染空気104は、送風機3によって発生する吸引流によって吸込み口1から吸引される。吸込み口1から吸引された汚染空気104は、吸込み口4に設置された金属製のフィルタ6によって汚染空気104に含まれる水蒸気、油煙の大半が除去されたのち、更に吸気側風路8を流れていき脱臭装置4のアルミフィン11に担持された触媒(脱臭剤)によって汚染空気104に含まれる臭気及び水蒸気や油煙が吸着され、汚染空気104が浄化される。
【0036】
ここで、脱臭装置4を通過した浄化された空気105は、高温に加熱されたアルミフィン11からの放熱により加熱され、高温になっている。浄化された空気105は、冷却空気風路18から吸引された常温の空気と混ざって送風機3を通過し、排気側風路9を流れていき吹き出し口5からキャビネット101外へ排出する。
上記のように、浄化され高温になった汚染空気104を冷却する冷却手段を設けることにより、脱臭装置4からの放熱によって浄化された空気105の温度が上昇してしまっても、吹き出し口5から排出される高温の空気による使用者が感じる不快感や火傷の危険を防止することが出来る。したがって、触媒を更に高温に上昇させてその脱臭性能を向上させることができ、メンテナンスをしなくても長期間十分な脱臭性能を維持することができる。また、冷却手段を送風機3より上流側に設けることにより、送風機3が高温になり故障してしまうことを防止することが出来る。
【0037】
[実施の形態4]
本発明の実施の形態4における空気処理装置100は、脱臭装置4の下流側に気体の温度を下げる冷却手段を備えたものであり、その冷却手段として排気側風路9と吸気側風路8の間で熱交換する熱交換装置としてペルチェ素子19を設けたものである。図16は本発明の実施の形態4における空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図である。なお、図中において実施の形態1〜2と同じ機能を有する部分には同一の符号を付している。また、実施の形態4は、実施の形態3の冷却手段を別形態にしたものであり、以下に、実施の形態4が、実施の形態3と異なる部分を中心に説明する。
本発明の実施の形態4における空気処理装置100は、吹き出し口5から排出される空気を冷却する冷却手段として、その一方面から他方面へ熱を移動させて加熱と冷却を同時に行うペルチェ素子19(熱交換装置)を備えており、ペルチェ素子19は、ペルチェ素子19の冷却される冷却面20を送風機3より下流の排気側風路9、ペルチェ素子19の放熱される放熱面21を脱臭装置4より上流の吸気側風路8に設置し、それぞれ冷却面20側には冷却フィン20a、放熱面21側には放熱フィン21aを備えている。上記のようにペルチェ素子19を設置することにより、排気側風路9の熱を吸気側風路8へ熱交換している。なお、ペルチェ素材19は冷却面20及び放熱面21に通電することによりその移動熱量を制御できるものであり、この通電は、送風機3の運転に併せてON/OFFしている。また、図16ではペルチェ素子19の冷却面20を送風機3より下流の排気側風路9側に設けたが、これに限ったものでは無く、脱臭装置4より下流側で且つ吹き出し口5より上流側であれば、いずれに設置しても良いものである。また、熱交換装置はペルチェ素子19を用いたものに限ったものでは無く、熱交換器やヒートポンプ、又は吸気側風路8と排気側風路9の両側にフィンを持つアルミ素材などでも良い。
【0038】
次に、本発明の実施の形態4における空気処理装置の動作について説明する。運転フローは実施の形態3と同様に実施の形態1及び実施の形態2のどちらの運転フローでも同様の効果を得られるものであり、ここでは実施の形態1における空気処理装置の運転フロー図である図10を用いて、実施の形態4が実施の形態3と異なる部分を中心に説明する。
まず、使用者が空気処理装置100のスイッチ10を操作して、空気処理装置100の運転開始を指示する信号を制御装置16に送る(S1)。すると、制御装置16は、送風機3を運転して吸込み口1からの吸引を開始すると共に、PTCヒータ素子12への通電を開始し発熱させてアルミフィン11に担持された触媒(脱臭剤)を油煙も分解可能となる220℃以上になるよう加熱して活性化させる(S2)。ここで、ペルチェ素子19の通電も開始する。
【0039】
次に使用者は電気加熱器具103の上に被加熱物を収納した加熱容器102を戴置し、電気加熱器具103に設けられた電源スイッチ103aを押してONにし(S3)、電気加熱器具103を運転して加熱容器102を加熱し調理を開始する(S4)。被加熱物は電気加熱器具103によって加熱調理され、その際に水蒸気や油煙、臭気等を含む汚染空気104が発生する。発生した汚染空気104は、送風機3によって発生する吸引流によって吸込み口1から吸引される。吸込み口1から吸引された汚染空気104は、吸込み口4に設置された金属製のフィルタ6によって汚染空気104に含まれる水蒸気、油煙の大半が除去されたのち、更に吸気側風路8を流れていきペルチェ素子19の放熱面21側に設けられた放熱フィン21a付近を通過する際に加熱され、そののち脱臭装置4に到達し、脱臭装置4のアルミフィン11に担持された触媒(脱臭剤)によって汚染空気104に含まれる臭気及び水蒸気や油煙が吸着され、汚染空気104が浄化される。
【0040】
ここで、脱臭装置4を通過した浄化された空気105は、放熱フィン21aからの放熱と高温に加熱されたアルミフィン11及びPTCヒータ素子12からの放熱により加熱され高温になっている。浄化された空気105は、送風機3を通過したあと排気側風路9を流れていき、排気側風路9に設けられたペルチェ素子19の冷却面20と接続した冷却フィン20a付近を通過する際に冷却され、そののち吹き出し口5からキャビネット101外へ排出される。
上記のように、排気側風路9の熱を吸気側風路8へ熱交換する熱交換装置を設けることにより、実施の形態3と同様の効果が得られることに加え、浄化された空気105をペルチェ素子19によって強制的に冷却するので実施の形態3よりも吹き出し口5から排出される空気の温度を低温にすることができるので、より使用者が感じる不快感を低減できる。加えて、脱臭装置4上流側で汚染空気104が加熱されるので、アルミフィン11やPTCヒータ素子12からの放熱量を減少することができ、触媒をより早くそしてより高温に加熱することが出来る。これにより、触媒の脱臭性能を向上することができ、それによりメンテナンスをしなくても長期間十分な脱臭性能を維持することが出来る。また、放熱量が減るので同一温度まで加熱するとしてもPTCヒータ素子12への通電は少なくて済み、これによる省エネ効果を得ることが出来る。
【0041】
[実施の形態5]
本発明の実施の形態5における空気処理装置100は、吹き出し口5が開閉できる吹き出し口シャッタ22と、脱臭装置4より上流の吸気側風路8と送風機3より下流の排気側風路9とを連通する風路である連通口23と、連通口23が開閉でき且つ連通口23が開いているときは吸込み口1と脱臭装置4との連通を遮断するように設けられた連通口シャッタ24を備えたものであり、吹き出し口シャッタ22及び連通口シャッタ24の開閉により、空気処理装置100内に循環風路を形成するものである。図17は本発明の実施の形態5における連通口が閉じた状態の空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図、図18は本発明の実施の形態5における連通口が開いた状態の空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図であり、図19は本発明の実施の形態5における空気処理装置の制御回路概略図である。なお、図中において実施の形態1〜4と同じ機能を有する部分には同一の符号を付している。以下に、実施の形態5が、実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
本発明の実施の形態5における空気処理装置100は、吹き出し口5が開閉できる吹き出し口シャッタ22と、脱臭装置4より上流の吸気側風路8と送風機3より下流の排気側風路9を連通する連通口23と、連通口23が開閉でき且つ連通口23が開いているときは吸込み口1と脱臭装置4との連通を遮断するように設けられた連通口シャッタ24を備えている。なお、吹き出し口シャッタ22及び連通口シャッタ24の開閉は、制御装置16によって制御されている。また、連通口シャッタ24は、連通口23の開閉と吸込み口1と脱臭装置4の連通を遮断する二つの機能を有しているが、それぞれの機能を果たすシャッタを別々に設けても良い。
【0042】
次に、本発明の実施の形態5における空気処理装置の動作について説明する。図20は、本発明の実施の形態5における空気処理装置の運転フロー図である。
まず、使用者が空気処理装置100のスイッチ10を操作して、空気処理装置100の運転開始を指示する信号を制御装置16に送る(S1)。すると、制御装置16は吹き出し口シャッタ22を開いて排気側風路9とキャビネット101外の通気が可能となる。加えて、連通口シャッタ24を閉じて連通口23が閉じられると共に吸込み口1と脱臭装置4の通気を可能にする(S11)。そののち、制御装置16は、送風機3を運転して吸込み口1からの吸引を開始すると共に、PTCヒータ素子12に通電を開始し発熱させてアルミフィン11に担持された触媒(脱臭剤)を100℃〜200℃になるよう加熱して活性化させる(S2)。
次に、使用者は電気加熱器具103の上に被加熱物を収納した加熱容器102を戴置し、電気加熱器具103に設けられた電源スイッチ103aを押してONにし(S3)、電気加熱器具103を運転して加熱容器102を加熱し調理を開始する(S4)。
【0043】
被加熱物は電気加熱器具103によって加熱調理され、その際に水蒸気や油煙、臭気等を含む汚染空気104が発生する。発生した汚染空気104は、送風機3によって発生する吸引流によって吸込み口1から吸引される。吸込み口1から吸引された汚染空気104は、吸込み口4に設置された金属製のフィルタ6によって汚染空気104に含まれる水蒸気、油煙の大半が除去され、更に吸気側風路8を流れていき脱臭装置4のアルミフィン11に担持された触媒によって汚染空気104に含まれる臭気が吸着されると共にフィルタ6で捕りきれなかった水蒸気や油煙も吸着され、汚染空気104は浄化される。その後、浄化された空気105は、送風機3を通過し、排気側風路9を流れていき吹き出し口5からキャビネット101外へ排出される。
このとき、触媒は、加熱されてその温度は100℃〜200℃へ上昇し、これにより触媒が活性化して常温時よりも高い脱臭性能を発揮する状態となっており、周囲の臭気等を吸着すると共に吸着した臭気を酸化分解し無害・無臭化したのち再放出している。したがって、空気処理装置100が動作しているときの触媒は、臭気や油煙、水蒸気等を吸着する脱臭作用を行うと共に吸着した臭気を酸化分解して再放出することにより自身で脱臭機能の再生を行っている。
【0044】
調理が終了すると、使用者は電気加熱器具103の電源スイッチ103aを押し、電源スイッチ103aをOFFにして電気加熱器具103を停止させる(S5)。さらに、空気処理装置100のスイッチ10を操作し、空気処理装置100の運転停止を指示する信号を制御装置16に送る(S6)。すると、制御装置16はPTCヒータ素子12の通電を維持したまま送風機3の回転数を減少させ低速運転に移行して吸引風量を小さくすると共に、タイマー17による経過時間の記録を開始する(S61)。更に制御装置16は、吹き出し口シャッタ22を閉じて吹き出し口5からキャビネット101外への排気を遮断する。加えて、連通口シャッタ24を開いて吸込み口1からの吸気を遮断すると共に連通口23が通気可能となり脱臭装置4と送風機3を循環する循環風路が形成する(S62)。脱臭装置4を含む循環風路が形成されることにより、アルミフィン11及びPTCヒータ素子12の放熱により高温になった気体は循環風路外へ排出されず(つまりは空気処理装置100外に排出されず)徐々にその温度は上昇していき、その結果アルミフィン11及びPTCヒータ素子12の放熱量が減少し、アルミフィン11に担持された触媒の温度は調理中の温度より高い220℃以上まで温度上昇する。これにより、触媒は調理中に吸着した油煙の分解を開始し、無害・無臭のものに変化させ再放出する。また、触媒の脱臭性能は更に向上し、既に吸着した臭気の分解速度を速める。また、実施の形態5では、吹き出し口5から熱風が排出されないので、使用者に不快な思いをさせたり、室内の温度を不要に上昇させてしまうのを防ぐことができる。
タイマー17の経過時間があらかじめ設定されている所定時間に到達すると、制御装置16は、送風機3の運転及びPTCヒータ素子12への通電を停止する(S7)。
【0045】
上記に示すように本発明の実施の形態5における空気処理装置100は、実施の形態2の構成及び運転フローに加えて、調理が終わってスイッチ10操作により空気処理装置100の運転停止を指示した後(S6〜S7)空気処理装置100内に循環風路を形成することによって、実施の形態2によって得られる効果に加え、吹き出し口5から熱風が排出されないので、使用者に不快な思いをさせたり、室内の温度を不要に上昇させてしまうのを防ぐことができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、空気処理装置100外に設けられた電気加熱器具103などの燃焼を伴わない機器の使用により発生する少なくとも臭気を含む汚染空気104を吸引して浄化し、その浄化した空気105を再度放出するものであり、例えば、電気加熱器具103ではなく、半田作業や染色作業などによって発生する臭気を吸引して浄化する空気処理装置100としても使用できる。また、実施の形態1〜5では、空気処理装置100の一部をキャビネット101内に設置しているがこれに限ったものでは無く、例えば空気処理装置100を電気加熱器具103の上方に設置しても良い。また、空気処理装置100内はフィルタ6、脱臭装置4、送風機3の順番で並んでいるがこれに限ったものでは無く、送風機3によって発生する吸引流によって吸込み口1から汚染空気104を吸引し、フィルタ6及び脱臭装置4によって浄化できるのであれば、どの順番で設置されていても良い。
【符号の説明】
【0047】
1 吸込み口、2 吸込みフード、3 送風機、4 脱臭装置、5、吹き出し口、6 フィルタ、7 カバー、8 吸気側風路、9 排気側風路、10 スイッチ、11 アルミフィン、12 PTCヒータ素子、13 給電端子、14 断熱材、15 脱臭フィルタ、16 制御装置、17 タイマー、18 冷却空気風路、19 ペルチェ素子、20 冷却面、20a 冷却フィン、21 放熱面、21a 放熱フィン、22 吹き出し口シャッタ、23 連通口、24 連通口シャッタ、100 空気処理装置、101 キャビネット、102 加熱容器、103 電気加熱器具、103a 電源スイッチ、104 汚染空気、105 浄化された空気
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼を伴わない電気加熱器具の使用により発生する臭気を除去する空気処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加熱調理器として、IHクッキングヒータなどの電磁調理器やハロゲンヒータ等の電気加熱器具(以下、電気加熱器具という)があり、これら電気加熱器具は、加熱に燃焼を伴わないので調理中に人体に有害な二酸化炭素が発生しないという特徴を有している。例えば燃焼を伴う加熱調理器においては、その調理中に発生する二酸化炭素を住居内から排出する必要があるため換気扇等により住居外へ排出していたが、電気加熱器具においては、調理時に発生するのは油煙、水分、調理臭等の汚染成分だけであり、この汚染成分を含んだ空気(以下、汚染空気という)から汚染成分を処理すれば、必ずしも住居外への排気は必要なくなるという利点を有している。
【0003】
そこで、電気加熱器具を用いて調理する際に発生する汚染空気を処理する従来技術として、調理に起因して生じる臭気を活性炭等で構成された脱臭装置で吸着し、脱臭処理した空気を室内へ排気する調理臭気処理装置が提案されている。また、その調理臭気処理装置は、運転していない時に、活性炭に熱風を当てて吸着した臭気を再放出させ、その再放出した臭気を室外に排気するようにして活性炭の脱臭能力が維持できる期間を延長することも提案している。加えて、臭気センサにて脱臭性能の低下を検知したときには、速やかに活性炭の交換や洗浄を促す機能についても提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−042730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の従来技術では、活性炭に吸着した臭気を室外に再放出することで十分な脱臭能力を維持できる期間は延長されるが、最終的には活性炭の交換もしくは洗浄するというメンテナンスが必要であるという課題があった。また、活性炭から再放出される臭気を室外に排出する為の排気通路が必要となり、処理装置の設置レイアウトが制限されるとともに構造が大きくなるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、空気処理装置と室外を連通する排気風路を構成しなくても、長期間安定した脱臭性能を維持できる空気処理装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る空気処理装置は、空気の吸込み口と吹き出し口を有する本体と、本体内に設けられ燃焼を伴わない電気加熱器具の使用により発生する臭気を含む汚染空気を吸込み口から吸引する送風機と、吸込み口から吸引した汚染空気から少なくとも臭気を除去する脱臭手段と、送風機及び前記ヒータの運転を制御する制御手段を備え、脱臭手段は、少なくとも臭気を吸着し酸化分解する脱臭剤と、脱臭剤を加熱して活性化させるヒータとで構成され、制御手段は、運転を停止する信号を受けたのち、送風機を信号を受ける前より回転数を減少させた低速運転に移行して運転する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る空気処理装置は、上記のように構成することにより、空気処理装置の配置レイアウトを制限することなく脱臭性能の低下を抑制することができ、脱臭手段に対してメンテナンスをしなくても長期間安定した性能を維持できるという効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における空気処理装置を組み込んだキャビネットの正面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における脱臭装置の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における脱臭装置の上面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における脱臭装置に用いられる触媒の脱臭性能と温度の関係図である。
【図6】本発明の実施の形態1における脱臭装置に用いられるPTCヒータ素子の特性図である。
【図7】本発明の実施の形態1における脱臭装置とは別の形態の脱臭装置の正面図である。
【図8】本発明の実施の形態1における脱臭装置とは別の形態の脱臭装置を用いた空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1における空気処理装置の制御回路概略図である。
【図10】本発明の実施の形態1における空気処理装置の運転フロー図である。
【図11】本発明の実施の形態1における空気処理装置のアセトアルデヒド除去性能を示した図である。
【図12】本発明の実施の形態1における脱臭剤に用いられる触媒種類によるアセトアルデヒド除去性能を比較した図である。
【図13】本発明の実施の形態2における空気処理装置の制御回路概略図である。
【図14】本発明の実施の形態2における空気処理装置の運転フロー図である。
【図15】本発明の実施の形態3における空気処理装置を組み込んだキャビネットの横断面図である。
【図16】本発明の実施の形態4における空気処理装置を組み込んだキャビネットの横断面図である。
【図17】本発明の実施の形態5における連通口が閉じた状態の空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図である。
【図18】本発明の実施の形態5における連通口が開いた状態の空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図である。
【図19】本発明の実施の形態5における空気処理装置の制御回路概略図である。
【図20】本発明の実施の形態5における空気処理装置の運転フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1における空気処理装置を組み込んだキャビネットの正面図であり、図2は空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図である。
本実施の形態1に係る空気処理装置100は、厨房用の空気処理装置としてキャビネット101に組み込まれて設置されるものであり、特にIHクッキングヒータなどに代表される燃焼させずに加熱容器102を加熱して調理をおこなう電気加熱器具103にて調理する際に発生する、油煙や水蒸気、臭気等を含んだ汚染空気104を処理する装置である。キャビネット101には、手前側上部に電気加熱器具103を設置し、その電気加熱器具103の奥側に空気処理装置100が設置されている。
【0011】
空気処理装置100は、電気加熱器具103側に開口する吸込み口1を有する吸込みフード2と、吸込み口1から汚染空気103を吸引する吸引流を発生させる送風機3と、吸引された汚染空気104の少なくとも臭気を吸着して浄化する脱臭装置4(脱臭手段)と、その浄化された空気105を空気処理装置100外のキャビネット101周囲に放出する吹き出し口5を備えている。また、キャビネット101上が広く使えるように、空気処理装置100の送風機3や脱臭装置4はキャビネット101内に設けられている。また、吸込みフード2の吸込み口1付近には油煙・水蒸気を除去するステンレス、アルミニウム等の金属製のフィルタ6(油煙・水蒸気除去手段)が着脱可能な状態で設置されており、フィルタ6は吸込み口1のカバー7を外すことにより容易に外して清掃できる構成となっている。また、空気処理装置100内部は、吸込み口1と送風機3とを連通する吸気側風路8と、送風機3と吹き出し口5とを連通する排気側風路9とで連通している。
空気処理装置100は、吸込みフード2に設けられた複数のスイッチ10のうち、電源スイッチを押されることにより運転開始の指示を受け、送風機3の運転を開始する。送風機3の運転により発生する吸引流によって吸込み口1から汚染空気104を吸引し、吸引された汚染空気104は、最初にフィルタ6で油煙と水蒸気の大半を除去され、続いて脱臭装置4で臭気を吸着されると共にフィルタ6で捕りきれなかった油煙と水蒸気も吸着され、浄化される。浄化された空気105は、送風機3を通過し、吹き出し口5から空気処理装置100外へ排気されるようになっている。また、吸込みフード2は、汚染空気104を吸引し易いように、電気加熱器具103側に傾いて設置されている。また、キャビネット101上が広く使えるように、空気処理装置100の送風機3や脱臭装置4はキャビネット101内に設けられているが、これに限ったものではない。
【0012】
次に、実施の形態1に係る空気処理装置100で用いられる脱臭装置4について図2〜6を用いて説明する。図3は本発明の実施の形態1における脱臭装置の正面図であり、図4は脱臭装置の側面図である。
脱臭装置4は、脱臭剤を担持したアルミフィン11(金属板)と、アルミフィン11を加熱する棒状のPTCヒータ素子12(ヒータ)と、PTCヒータ素子12端面に設けられた給電端子13にて構成されており、PTCヒータ素子12は吸気側風路8を跨ぐようにして複数並べて設け、吸気側風路8に対して平行方向に複数並べて設けたアルミフィン11と接触して固定されている。
【0013】
アルミフィン11に担持される脱臭剤には、酸化マンガンを主成分とし、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム等の貴金属もしくは他の金属酸化物のうち1つ以上を混合してなる触媒を用いている。なお、他の金属酸化物としては、酸化銅、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化コバルト等の金属酸化物触媒が使用される。
上記のような触媒は、臭気を吸着すると共に、その吸着した臭気を周囲の酸素を用いて酸化分解するという性質を有しており、触媒が行う吸着と分解の処理能力を脱臭性能とすると、触媒を加熱することにより触媒が活性化し、触媒の脱臭性能が向上するという性質を持っている。
よって、脱臭装置4は、給電端子13からの給電によりPTCヒータ素子12を発熱し、その熱をアルミフィン11に伝導させてアルミフィン11に担持された触媒を加熱して活性化させ、高い脱臭性能を得ている。したがって、脱臭装置4を通過する気体は、PTCヒータ素子12及びアルミフィン11からの放熱によって加熱される。
【0014】
例えば、図5は本発明の実施の形態1における脱臭装置に用いられる触媒の脱臭性能と温度の関係図であり、触媒を加熱し、触媒の温度が60℃付近(A)を超えてくると活性化が始まり脱臭性能が上がり始める。さらに触媒の温度が100℃付近(B)を過ぎたあたりから温度上昇に対する脱臭性能の増加割合が大きくなり200℃付近(C)まで急激に脱臭性能が向上する。そして、触媒の温度が200℃付近(C)を超えてくると温度上昇に対する脱臭性能の増加割合が小さくなり、温度を上げてもあまり脱臭性能が上がらないようになる。更に、触媒の温度が300℃付近(D)まで上昇すると、触媒の組成変化が起きはじめその脱臭性能が低下していく。
なお、触媒は油煙や水蒸気も吸着することが可能であり、吸着した油煙は触媒の温度を所定温度(およそ220℃)以上に加熱することで酸化分解することができる。
また、同じ時間で触媒が吸着する臭気吸着量と触媒が吸着した臭気を分解する臭気分解量を比べると、臭気吸着量の方が多いものが一般的である。
また、図5に示した関係図は触媒温度に対する脱臭性能の関係を示した一例であり、その温度帯や脱臭性能の増加割合等は混合される触媒の種類や混合割合などによって変わるものではあるが、触媒を加熱することで脱臭性能を向上することができるという効果は同様に得られるものである。また、触媒が油煙の分解が可能となる温度も同様に触媒の種類や混合割合で変わるものである。また、触媒が低温時でも十分な脱臭性能を得られるように、触媒に加えて臭気物質を物理的に吸着するゼオライト、活性炭、シリカゲル、酸化ケイ素等の吸着剤のうち1種類以上をアルミフィン11に担持させたものを用いても良い。
【0015】
したがって本発明は、脱臭装置4の脱臭剤として吸着と分解を行うことができる触媒を用い、且つその触媒を加熱して活性化させることによって脱臭装置4自身で吸着した汚染成分の処理を行なうものであり、それにより使用者が脱臭装置4のメンテナンスをしなくても経時変化による性能低下を抑制し、長期間安定した性能を維持できる空気処理装置100を得るものである。加えて、触媒が吸着した汚染成分の処理を行うのに十分な脱臭性能を得る為に、触媒の温度をより速くそしてより高温にすることにより、触媒の脱臭性能を向上させるものである。
【0016】
本発明では、触媒の温度をより速くそしてより高温にする為に、触媒を担持したアルミフィン11にPTCヒータ素子12を直接接触させ熱伝導により触媒を加熱する構成としている。これにより、PTCヒータ素子12の熱が効率よくアルミフィン11に伝導するので加熱時の熱ロスが少なくすることができ、例えば同じ加熱量でも触媒をより早く高温にすることができたりその温度もより高温にすることができ、高い脱臭性能を得ることが出来る。加えて、加熱時の熱ロスが少ないので、省エネ効果も得ることが出来る。
また、PTCヒータ素子12の熱量が吸気側風路8の外へ逃げるのを抑制する為に、PTCヒータ素子12近傍の吸気側風路8の壁面に難燃性の樹脂等からなる断熱材14を設けている。これにより、PTCヒータ素子12から吸気側風路8の外へ逃げる熱量を減少させることができ、上記と同様の効果を得ることが出来る。加えて、キャビネット101内部に設けられる空気処理装置100以外の機器(例えば、電気加熱器具103や食器洗浄器(図示無し)等)が不要に加熱され、故障することを防止することができる。なお、実施の形態1では断熱材14をPTCヒータ素子12近傍の吸気側風路8の壁面に設けたが、断熱材14はPTCヒータ素子12の熱がアルミフィン11以外に伝わるのを抑制するように構成されていれば良いものであり、例えばアルミフィン11接触している部分以外のPTCヒータ素子12表面に直接断熱材14を設置して熱が周囲の空気へ放熱されるのを抑制しても良いし、逆に空気処理装置100全体を断熱材14で覆って空気処理装置100外へ熱が逃げるのを抑制しても良い。
また、PTCヒータ素子12及びアルミフィン11は、加熱されて100℃を超える温度になるので、脱臭装置4を通過する空気はかなりの高温に加熱される。したがって、脱臭装置4の周囲及び脱臭装置4より下流の風路はアルミやステンレスなどの金属等からなる不燃材で形成し、温度上昇により延焼することを防止している。
【0017】
次に、脱臭装置4のヒータとして用いられているPTCヒータ素子12について説明する。図6は本発明の実施の形態1における脱臭装置に用いられるPTCヒータ素子の特性図である。
実施の形態1に用いられているPTCヒータ素子12は、チタン酸バリウム(BaTiO3)を主成分とした酸化物半導体セラミックスで形成されており、その電気抵抗は自身の温度がおよそ200℃を過ぎてくると急激に増加するという電気特性を有しており、この電気特性を利用してPTCヒータ素子12の温度が300℃以上に上昇しないよう構成されている。したがって、上記のようなPTCヒータ素子12を脱臭装置4のヒータとして使用することにより、例えば吸込み口1が異物によって塞がってしまったり、送風機3が故障して停止したりしてアルミフィン11やPTCヒータ素子12からの放熱が抑制されたとしても、PTCヒータ素子12の温度が300℃以上に上昇しないので、触媒の組成の変化による脱臭性能の低下を確実に防ぐことができる。加えて、ヒータが想定外の温度まで上昇することによって、延焼が発生するなどの危険を防止することができる。なお、PTCヒータ素子の代わりに、例えばシーズヒータに代表される一般的なヒータを用いる場合は、ヒータの温度を検知するヒータ温度検知手段(図示無し)を設け、ヒータ温度検知手段によってヒータ温度が300℃以上にならないようヒータへの通電を制御することによってPTCヒータ素子12を用いた時と同様の効果を得ることが出来るが、PTCヒータ素子12を用いることによりヒータ温度検知手段が不要となり、脱臭装置4をコンパクトに構成することが出来る。
なお、実施の形態1では、PTCヒータ素子12にチタン酸バリウム(BaTiO3)を使用したが、例えば低融点のポリマー中にカーボンブラック、ニッケル等の導電性粒子を分散させたもの、ポリエチレンなどの結晶性ポリマーにカーボンブラックなどの導電性粒子を均一に分散させたものでも良い。
【0018】
また、アルミフィン11は、実施の形態1では均等に配置されているが、通常、風路内では中央付近の風速が速くなるので、風速が速くなる風路の中央付近にアルミフィン11を密に配置しても良い。上記構成にすることにより、汚染空気104とアルミフィン11に担持されている触媒の接触を効率よく行うことが出来るので、脱臭装置4の脱臭性能を向上することができ、それによりメンテナンスを長期間不要にする為に必要な触媒の脱臭性能を得ることが出来る。
【0019】
図7は本発明の実施の形態1における脱臭装置とは別の形態の脱臭装置の正面図である。実施の形態1における脱臭装置と同様の効果を有するものには、同様の符号を付している。
図7に記載のように、脱臭装置4は、触媒を担持したアルミフィン11を波状に形成し、PTCヒータ素子12に接続する構成にしても良い。上記構成にすることにより、アルミフィン11の表面積が増えるので汚染空気104とアルミフィン11に担持されている触媒の接触を効率よく行うことが出来るので、脱臭装置4の脱臭性能を向上することができ、それによりメンテナンスを長期間不要にする為に必要な触媒の脱臭性能を得ることが出来る。
【0020】
また、図8は本発明の実施の形態1における脱臭装置とは別の形態の脱臭装置を用いた空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図であり、脱臭装置4は、脱臭剤を担持した脱臭フィルタと脱臭フィルタの近傍に設置され脱臭フィルタを熱風や輻射熱で加熱するヒータで構成されている。実施の形態1における脱臭装置と同様の効果を有するものには、同様の符号を付している。
図8の脱臭装置4は、風上側にPTCヒータ素子12を設置し、風下側のPTCヒータ素子12と近接して対向する位置に脱臭フィルタ15を設置する。脱臭フィルタ15は、開口部の形状をコルゲート状に形成した基材に触媒を担持したものであり、基材の形状としては他に四角状、ハニカム状に形成したものも使用される。基材の材料としては、ペーパーセラミックやコージェライト、もしくは金属が用いられ、その基材に酸化マンガンを主成分とし、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム等の貴金属もしくは他の金属酸化物のうち1つ以上を混合してなる触媒を担持している。上記のようにヒータ(PTCヒータ素子12)と脱臭剤(脱臭フィルタ15)を別体に設けることにより、脱臭剤とヒータを接触して構成する為の加工が不要となるので、加工が難しいが脱臭性能を向上することができる材料を基材として用いることができ、それによりメンテナンスを長期間不要にする為に必要な脱臭性能を得ることが出来る。
【0021】
次に実施の形態1における空気処理装置の制御回路について説明する。図9は、実施の形態1における空気処理装置の制御回路概略図である。
空気処理装置100には、スイッチ10の操作により送風機3の運転やPTCヒータ素子12への通電を制御する制御装置16が設けられており、制御装置16は、スイッチ10に設けられた空気処理装置100の運転/停止を指示するスイッチや、送風機3の運転速度(風量)を指示できるスイッチ(例えば強、中、弱等)からの指示に応じて送風機3の回転数やPTCヒータ素子12の入力電力を制御している。
【0022】
次に実施の形態1における空気処理装置の動作について説明する。図10は、使用者が実際に使用する場合の空気処理装置の運転フロー図である。
まず、使用者が空気処理装置100のスイッチ10を操作して、空気処理装置100の運転開始を指示する信号を制御装置16に送る(S1)。すると、制御装置16は、送風機3を運転して吸込み口1からの吸引を開始すると共に、PTCヒータ素子12に通電を開始し発熱させてアルミフィン11に担持された触媒(脱臭剤)を油煙も分解可能となる220℃以上になるよう加熱して活性化させる(S2)。
【0023】
次に、使用者は電気加熱器具103の上に被加熱物を収納した加熱容器102を戴置し、電気加熱器具103に設けられた電源スイッチ103aを押してONにし(S3)、電気加熱器具103を運転して加熱容器102を加熱し調理を開始する(S4)。被加熱物は電気加熱器具103によって加熱調理され、その際に水蒸気や油煙、臭気等を含む汚染空気104が発生する。発生した汚染空気104は、送風機3によって発生する吸引流によって吸込み口1から吸引される。吸込み口1から吸引された汚染空気104は、吸込み口4に設置された金属製のフィルタ6によって汚染空気104に含まれる水蒸気、油煙の大半が除去され、更に吸気側風路8を流れていき脱臭装置4のアルミフィン11に担持された触媒によって汚染空気104に含まれる臭気が吸着されると共にフィルタ6で捕りきれなかった水蒸気や油煙も吸着され、汚染空気104は浄化される。その後、浄化された空気105は、送風機3を通過し、排気側風路9を流れていき吹き出し口5からキャビネット101外へ排出される。
このとき、触媒は220℃以上の温度に加熱され、触媒が活性化して常温時よりも高い脱臭性能を発揮する状態となっており、周囲の臭気等を吸着すると共に吸着した臭気を酸化分解し無害・無臭化したのち再放出している。これにより、触媒は自身で脱臭性能の再生を行うことが出来るので、使用者がメンテナンスをしなくても長期間十分な脱臭性能を維持することが出来る。加えて、触媒は220℃以上の温度に加熱されているので臭気だけでなく油煙も分解可能となり、これにより触媒の脱臭性能は更に長期間の間、十分な脱臭性能を維持することが出来るようになる。
【0024】
調理が終了すると、使用者は電気加熱器具103の電源スイッチ103aを押し、電源スイッチ103aをOFFにして電気加熱器具103を停止させる(S5)。さらに、空気処理装置100のスイッチ10を操作して、空気処理装置100の運転停止を指示する信号を制御装置16に送る(S6)。これにより、制御装置16は送風機3の運転及びPTCヒータ素子12への通電を停止する(S7)。
【0025】
なお、実施の形態1ではスイッチ10が空気処理装置100に設置されているが、スイッチ10は空気処理装置100の運転指示を行えるものであれば良く、例えば空気処理装置100とは別体に設けられたリモコン等を用いたものでも良い。また、スイッチ10は、電気加熱器具103の電源スイッチ103aと連動して空気処理装置100の動作を指示するようにしても良い。また、汚染空気104の有無やその量を検知できる検知センサ(図示無し)をスイッチ10として設け、該検知センサからの情報により空気処理装置100の運転/停止を指示したり、送風機3の運転速度(風量)を変化させても良い。
また、S1とS3、S5とS6の順番はこれに限ったものでは無く、調理終了後から所定時間の間、PTCヒータ素子12の通電を続けて、触媒の活性化を促すものであれば良い。
また、触媒の温度を油煙が分解できる220℃以上まで上昇させたがこれに限ったものでは無く、フィルタ6の油煙除去性能が十分なものであれば、触媒の温度を220℃以上まで上げなくても良い。
【0026】
図11は、本発明の実施の形態1における空気処理装置のアセトアルデヒド除去性能を示した図である。空気処理装置100を1立方メートルの箱に入れ、箱の中にアセトアルデヒド10ppmを投入し、空気処理装置100を稼動して、運転時間毎による箱内のアセトアルデヒドの残存率を測定した。
その結果、PTCヒータ素子12を通電してアルミフィン11を加熱した状態で空気処理装置100を運転した場合、10分の運転で箱内のアセトアルデヒド除去率は90%となった。また、前記測定を再度実施(2回目)しても、10分の運転で箱内のアセトアルデヒド除去率は90%となり、その脱臭性能には変化が見られなかった(図中の加熱脱臭1、加熱脱臭2)。
また、比較対象として、PTCヒータ素子12を通電しない状態で空気処理装置100を運転した場合、10分の運転で箱内のアセトアルデヒド除去率は65%となり(図中の常温1回目)が、更に同様の測定を再度実施(2回目)した場合、10分の運転で箱内のアセトアルデヒド除去率は50%となった(図中の常温2回目)。その後、PTCヒータ素子12を通電した状態で再度測定すると、10分の運転で箱内のアセトアルデヒド除去率は70%となり、アセトアルデヒド除去率が回復することを確認した(図中の加熱再生後)。
上記結果から、触媒を十分な温度、時間で加熱することにより、脱臭装置4のメンテナンスを行うこと無く十分な脱臭性能を維持できることが確認されている。よって、実施の形態1の空気処理装置100を用いることにより、使用者が脱臭装置4のメンテナンスを行うこと無く、経時変化による性能低下を抑制し、長期間安定した性能を維持できることが分かった。
【0027】
図12は、本発明の実施の形態1における脱臭剤に用いられる触媒種類によるアセトアルデヒド除去性能を比較した図である。
図12は、図8に示したようにPTCヒータ素子12と触媒を担持した脱臭フィルタ15を別体で構成した空気処理装置100を用いて測定しており、各種触媒を担持した脱臭フィルタ15にアセトアルデヒド10ppmを通風させ、脱臭フィルタ15通過後のアセトアルデヒド濃度と脱臭フィルタ15通過前のアセトアルデヒド濃度から算出したアセトアルデヒド除去率を測定している。
その結果、酸化マンガンのみよりも酸化マンガンに貴金属を混合した触媒の方が、アセトアルデヒド除去率が良いことが確認できる。さらに、酸化マンガンに貴金属を混合した触媒を加熱して温度を高めることにより、アセトアルデヒド除去率が増加することが確認できる。また、触媒の温度を100℃から200℃へ上昇させることにより、アセトアルデヒド除去率を向上できることが確認できる。よって、脱臭剤として酸化マンガンを主成分とし、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム等の貴金属もしくは他の金属酸化物のうち1つ以上を混合してなる触媒を用いることにより、より高い脱臭性能が得られることが分かる。
【0028】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2における空気処理装置100は、実施の形態1で示した空気処理装置100に加え、制御装置16に経過時間を計測できるタイマー17を備えると共に、その運転フローを変えることにより特別な効果を得るものである。図13は本発明の実施の形態2における空気処理装置の制御回路概略図であり、図14は本発明の実施の形態2における空気処理装置の運転フロー図である。また、図中において実施の形態1と同じ機能を有する部分には同一の符号を付している。以下、実施の形態2における空気処理装置100の運転フローを説明する。
【0029】
まず、使用者が空気処理装置100のスイッチ10を操作して、空気処理装置100の運転開始を指示する信号を制御装置16に送る(S1)。すると、制御装置16は、送風機3を運転して吸込み口1からの吸引を開始すると共に、PTCヒータ素子12に通電を開始し発熱させてアルミフィン11に担持された触媒(脱臭剤)を100℃〜200℃になるよう加熱して活性化させる(S2)。
次に、使用者は電気加熱器具103の上に被加熱物を収納した加熱容器102を戴置し、電気加熱器具103に設けられた電源スイッチ103aを押してONにし(S3)、電気加熱器具103を運転して加熱容器102を加熱し調理を開始する(S4)。
【0030】
被加熱物は電気加熱器具103によって加熱調理され、その際に水蒸気や油煙、臭気等を含む汚染空気104が発生する。発生した汚染空気104は、送風機3によって発生する吸引流によって吸込み口1から吸引される。吸込み口1から吸引された汚染空気104は、吸込み口4に設置された金属製のフィルタ6によって汚染空気104に含まれる水蒸気、油煙の大半が除去され、更に吸気側風路8を流れていき脱臭装置4のアルミフィン11に担持された触媒によって汚染空気104に含まれる臭気が吸着されると共にフィルタ6で捕りきれなかった水蒸気や油煙も吸着され、汚染空気104は浄化される。その後、浄化された空気105は、送風機3を通過し、排気側風路9を流れていき吹き出し口5からキャビネット101外へ排出される。
このとき、触媒は、加熱されてその温度は100℃〜200℃へ上昇し、これにより触媒が活性化して常温時よりも高い脱臭性能を発揮する状態となっており、周囲の臭気等を吸着すると共に吸着した臭気を酸化分解し無害・無臭化したのち再放出している。したがって、空気処理装置100が動作しているときの触媒は、臭気や油煙、水蒸気等を吸着する脱臭作用を行うと共に吸着した臭気を酸化分解して再放出することにより自身で脱臭機能の再生を行っている。
【0031】
調理が終了すると、使用者は電気加熱器具103の電源スイッチ103aを押し、電源スイッチ103aをOFFにして電気加熱器具103を停止させる(S5)。さらに、空気処理装置100のスイッチ10を操作し、空気処理装置100の運転停止を指示する信号を制御装置16に送る(S6)。すると、制御装置16はPTCヒータ素子12の通電を維持したまま送風機3の回転数を減少させ低速運転に移行して吸引風量を小さくすると共に、タイマー17による経過時間の記録を開始する(S61)。ここで、アルミフィン11及びPTCヒータ素子12は、吸込み口1からの吸引風量が少なくなることによりその放熱量が減少するので、アルミフィン11に担持された触媒の温度は調理中の温度より高い220℃以上まで温度上昇する。これにより、触媒は調理中に吸着した油煙の分解を開始し、無害・無臭のものに変化させ再放出する。また、触媒の脱臭性能は更に向上し、既に吸着した臭気の分解速度を速める。
なお、このとき送風機3を低速運転させているのは、触媒に触媒が酸化分解するのに必要な酸素を含む空気を供給する為のものであり、例えば送風機3を低速運転させる代わりに、脱臭装置4より下方に外気が流入可能な開口(図示無し)を設け、PTCヒータ素子12の熱による上昇気流を利用して触媒に空気(酸素)を供給する構成にしても良い。
【0032】
タイマー17の経過時間があらかじめ設定されている所定時間に到達すると、制御装置16は、送風機3の運転及びPTCヒータ素子12への通電を停止する(S7)。
ここで、スイッチ10を操作して空気処理装置100の運転停止を指示する信号を制御装置16に送ってから(S6)、実際に送風機3やPTCヒータ素子12の加熱が停止する(S7)までの所定時間をあらかじめ設定しているが、この所定時間は例えば触媒に吸着した臭気、油煙の分解を概ね分解させる為により長い時間を設定しても良いし、使用者の不快感や電力消費を考慮して設定時間を短くしても良い。また、脱臭剤に吸着した吸着量を検知するセンサを設け、その結果によって所定時間を自動で設定したり、該センサをタイマー17の代わりに用いて送風機3の運転及びPTCヒータ素子12への通電を停止する(S7)タイミングを決めても良いし、使用者が所定時間を自ら設定できるようにしても良い。
【0033】
上記に示すように本発明の実施の形態2における空気処理装置100は、調理が終わってスイッチ10操作により空気処理装置100の運転停止を指示した後(S6〜S7)も触媒の加熱を所定時間継続して触媒に吸着した臭気を分解するのに十分な時間を設けたものであり、これにより触媒が分解する臭気より調理中(S3〜S5)に発生する臭気の方が大量に発生した場合でも、次回空気処理装置100を使用するまでには十分な脱臭性能が得られるまで触媒に吸着した臭気を分解することができ、長期間安定した脱臭性能を維持することが出来る。なお、上記効果は、実施の形態2で示したようにスイッチ10による運転停止操作ののち所定時間送風機3を低速運転に移行しなくても、所定時間、PTCヒータ素子12の通電と送風機3の運転を維持することで得られる。
また、実施の形態2の脱臭装置4は、実施の形態1のように調理中に発生する臭気を全て調理中に分解するように触媒を高温に加熱して活性化させる必要が無いので、実施の形態1のヒータよりも加熱能力の小さいヒータで良く、これにより脱臭装置4をコンパクトに構成することが出来ると共に、調理中に吹き出し口5から排出される浄化された空気105の温度が下がるので熱風が当たることによる使用者の不快感を低減することができる。
また、調理中は汚染空気104を吸引する為に送風機3はかなりの風量を発生させる必要があるので、調理中のアルミフィン11とPTCヒータ素子12からの放熱量は大きく、したがって調理中に油煙を分解可能な220℃以上まで上げるには、調理中の吸引風量をある程度抑制するかもしくは300℃以上まで自身が発熱するような非常に高い加熱力を有するヒータを使用する必要があった。しかし、実施の形態2のように調理中では無く大きな吸引風量が必要でない調理後に触媒に吸着した油煙を分解するよう運転することで、アルミフィン11とPTCヒータ素子12からの放熱量を大幅に減少することができ、調理中の吸引風量を抑制したり非常に加熱力のあるヒータを使用しなくても、長期間安定して十分な脱臭性能を維持することができる。
【0034】
[実施の形態3]
本発明の実施の形態3における空気処理装置100は、脱臭装置4の下流側に気体の温度を下げる冷却手段を備えたものであり、その冷却手段として空気処理装置100の外気を取り込む冷却空気風路18を設けたものである。図15は本発明の実施の形態3における空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図である。なお、図中において実施の形態1及び実施の形態2と同じ機能を有する部分には同一の符号を付している。以下に、実施の形態3が、実施の形態1及び実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
本発明の実施の形態3に係る空気処理装置100は、吹き出し口5から排出される空気を冷却する冷却手段として、キャビネット101外と吸気側風路8の脱臭装置4と送風機3の間を連通する冷却空気風路18を備え、送風機3を運転したときに、吸込み口1と冷却空気風路16の両方から空気処理装置100の外気を吸引するように構成されている。
【0035】
次に、本発明の実施の形態3における空気処理装置の動作について説明する。実施の形態3は実施の形態1及び実施の形態2のどちらの運転フローにおいても同様の効果を得られるものであり、ここでは実施の形態1における空気処理装置の運転フロー図である図10を用いて、実施の形態3が実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
使用者は電気加熱器具103の上に被加熱物を収納した加熱容器102を戴置し、電気加熱器具103に設けられた電源スイッチ103aを押してONにし(S3)、電気加熱器具103を運転して加熱容器102を加熱し調理を開始する(S4)。被加熱物は電気加熱器具103によって加熱調理され、その際に水蒸気や油煙、臭気等を含む汚染空気104が発生する。発生した汚染空気104は、送風機3によって発生する吸引流によって吸込み口1から吸引される。吸込み口1から吸引された汚染空気104は、吸込み口4に設置された金属製のフィルタ6によって汚染空気104に含まれる水蒸気、油煙の大半が除去されたのち、更に吸気側風路8を流れていき脱臭装置4のアルミフィン11に担持された触媒(脱臭剤)によって汚染空気104に含まれる臭気及び水蒸気や油煙が吸着され、汚染空気104が浄化される。
【0036】
ここで、脱臭装置4を通過した浄化された空気105は、高温に加熱されたアルミフィン11からの放熱により加熱され、高温になっている。浄化された空気105は、冷却空気風路18から吸引された常温の空気と混ざって送風機3を通過し、排気側風路9を流れていき吹き出し口5からキャビネット101外へ排出する。
上記のように、浄化され高温になった汚染空気104を冷却する冷却手段を設けることにより、脱臭装置4からの放熱によって浄化された空気105の温度が上昇してしまっても、吹き出し口5から排出される高温の空気による使用者が感じる不快感や火傷の危険を防止することが出来る。したがって、触媒を更に高温に上昇させてその脱臭性能を向上させることができ、メンテナンスをしなくても長期間十分な脱臭性能を維持することができる。また、冷却手段を送風機3より上流側に設けることにより、送風機3が高温になり故障してしまうことを防止することが出来る。
【0037】
[実施の形態4]
本発明の実施の形態4における空気処理装置100は、脱臭装置4の下流側に気体の温度を下げる冷却手段を備えたものであり、その冷却手段として排気側風路9と吸気側風路8の間で熱交換する熱交換装置としてペルチェ素子19を設けたものである。図16は本発明の実施の形態4における空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図である。なお、図中において実施の形態1〜2と同じ機能を有する部分には同一の符号を付している。また、実施の形態4は、実施の形態3の冷却手段を別形態にしたものであり、以下に、実施の形態4が、実施の形態3と異なる部分を中心に説明する。
本発明の実施の形態4における空気処理装置100は、吹き出し口5から排出される空気を冷却する冷却手段として、その一方面から他方面へ熱を移動させて加熱と冷却を同時に行うペルチェ素子19(熱交換装置)を備えており、ペルチェ素子19は、ペルチェ素子19の冷却される冷却面20を送風機3より下流の排気側風路9、ペルチェ素子19の放熱される放熱面21を脱臭装置4より上流の吸気側風路8に設置し、それぞれ冷却面20側には冷却フィン20a、放熱面21側には放熱フィン21aを備えている。上記のようにペルチェ素子19を設置することにより、排気側風路9の熱を吸気側風路8へ熱交換している。なお、ペルチェ素材19は冷却面20及び放熱面21に通電することによりその移動熱量を制御できるものであり、この通電は、送風機3の運転に併せてON/OFFしている。また、図16ではペルチェ素子19の冷却面20を送風機3より下流の排気側風路9側に設けたが、これに限ったものでは無く、脱臭装置4より下流側で且つ吹き出し口5より上流側であれば、いずれに設置しても良いものである。また、熱交換装置はペルチェ素子19を用いたものに限ったものでは無く、熱交換器やヒートポンプ、又は吸気側風路8と排気側風路9の両側にフィンを持つアルミ素材などでも良い。
【0038】
次に、本発明の実施の形態4における空気処理装置の動作について説明する。運転フローは実施の形態3と同様に実施の形態1及び実施の形態2のどちらの運転フローでも同様の効果を得られるものであり、ここでは実施の形態1における空気処理装置の運転フロー図である図10を用いて、実施の形態4が実施の形態3と異なる部分を中心に説明する。
まず、使用者が空気処理装置100のスイッチ10を操作して、空気処理装置100の運転開始を指示する信号を制御装置16に送る(S1)。すると、制御装置16は、送風機3を運転して吸込み口1からの吸引を開始すると共に、PTCヒータ素子12への通電を開始し発熱させてアルミフィン11に担持された触媒(脱臭剤)を油煙も分解可能となる220℃以上になるよう加熱して活性化させる(S2)。ここで、ペルチェ素子19の通電も開始する。
【0039】
次に使用者は電気加熱器具103の上に被加熱物を収納した加熱容器102を戴置し、電気加熱器具103に設けられた電源スイッチ103aを押してONにし(S3)、電気加熱器具103を運転して加熱容器102を加熱し調理を開始する(S4)。被加熱物は電気加熱器具103によって加熱調理され、その際に水蒸気や油煙、臭気等を含む汚染空気104が発生する。発生した汚染空気104は、送風機3によって発生する吸引流によって吸込み口1から吸引される。吸込み口1から吸引された汚染空気104は、吸込み口4に設置された金属製のフィルタ6によって汚染空気104に含まれる水蒸気、油煙の大半が除去されたのち、更に吸気側風路8を流れていきペルチェ素子19の放熱面21側に設けられた放熱フィン21a付近を通過する際に加熱され、そののち脱臭装置4に到達し、脱臭装置4のアルミフィン11に担持された触媒(脱臭剤)によって汚染空気104に含まれる臭気及び水蒸気や油煙が吸着され、汚染空気104が浄化される。
【0040】
ここで、脱臭装置4を通過した浄化された空気105は、放熱フィン21aからの放熱と高温に加熱されたアルミフィン11及びPTCヒータ素子12からの放熱により加熱され高温になっている。浄化された空気105は、送風機3を通過したあと排気側風路9を流れていき、排気側風路9に設けられたペルチェ素子19の冷却面20と接続した冷却フィン20a付近を通過する際に冷却され、そののち吹き出し口5からキャビネット101外へ排出される。
上記のように、排気側風路9の熱を吸気側風路8へ熱交換する熱交換装置を設けることにより、実施の形態3と同様の効果が得られることに加え、浄化された空気105をペルチェ素子19によって強制的に冷却するので実施の形態3よりも吹き出し口5から排出される空気の温度を低温にすることができるので、より使用者が感じる不快感を低減できる。加えて、脱臭装置4上流側で汚染空気104が加熱されるので、アルミフィン11やPTCヒータ素子12からの放熱量を減少することができ、触媒をより早くそしてより高温に加熱することが出来る。これにより、触媒の脱臭性能を向上することができ、それによりメンテナンスをしなくても長期間十分な脱臭性能を維持することが出来る。また、放熱量が減るので同一温度まで加熱するとしてもPTCヒータ素子12への通電は少なくて済み、これによる省エネ効果を得ることが出来る。
【0041】
[実施の形態5]
本発明の実施の形態5における空気処理装置100は、吹き出し口5が開閉できる吹き出し口シャッタ22と、脱臭装置4より上流の吸気側風路8と送風機3より下流の排気側風路9とを連通する風路である連通口23と、連通口23が開閉でき且つ連通口23が開いているときは吸込み口1と脱臭装置4との連通を遮断するように設けられた連通口シャッタ24を備えたものであり、吹き出し口シャッタ22及び連通口シャッタ24の開閉により、空気処理装置100内に循環風路を形成するものである。図17は本発明の実施の形態5における連通口が閉じた状態の空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図、図18は本発明の実施の形態5における連通口が開いた状態の空気処理装置を組み込んだキャビネットのA−A横断面図であり、図19は本発明の実施の形態5における空気処理装置の制御回路概略図である。なお、図中において実施の形態1〜4と同じ機能を有する部分には同一の符号を付している。以下に、実施の形態5が、実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
本発明の実施の形態5における空気処理装置100は、吹き出し口5が開閉できる吹き出し口シャッタ22と、脱臭装置4より上流の吸気側風路8と送風機3より下流の排気側風路9を連通する連通口23と、連通口23が開閉でき且つ連通口23が開いているときは吸込み口1と脱臭装置4との連通を遮断するように設けられた連通口シャッタ24を備えている。なお、吹き出し口シャッタ22及び連通口シャッタ24の開閉は、制御装置16によって制御されている。また、連通口シャッタ24は、連通口23の開閉と吸込み口1と脱臭装置4の連通を遮断する二つの機能を有しているが、それぞれの機能を果たすシャッタを別々に設けても良い。
【0042】
次に、本発明の実施の形態5における空気処理装置の動作について説明する。図20は、本発明の実施の形態5における空気処理装置の運転フロー図である。
まず、使用者が空気処理装置100のスイッチ10を操作して、空気処理装置100の運転開始を指示する信号を制御装置16に送る(S1)。すると、制御装置16は吹き出し口シャッタ22を開いて排気側風路9とキャビネット101外の通気が可能となる。加えて、連通口シャッタ24を閉じて連通口23が閉じられると共に吸込み口1と脱臭装置4の通気を可能にする(S11)。そののち、制御装置16は、送風機3を運転して吸込み口1からの吸引を開始すると共に、PTCヒータ素子12に通電を開始し発熱させてアルミフィン11に担持された触媒(脱臭剤)を100℃〜200℃になるよう加熱して活性化させる(S2)。
次に、使用者は電気加熱器具103の上に被加熱物を収納した加熱容器102を戴置し、電気加熱器具103に設けられた電源スイッチ103aを押してONにし(S3)、電気加熱器具103を運転して加熱容器102を加熱し調理を開始する(S4)。
【0043】
被加熱物は電気加熱器具103によって加熱調理され、その際に水蒸気や油煙、臭気等を含む汚染空気104が発生する。発生した汚染空気104は、送風機3によって発生する吸引流によって吸込み口1から吸引される。吸込み口1から吸引された汚染空気104は、吸込み口4に設置された金属製のフィルタ6によって汚染空気104に含まれる水蒸気、油煙の大半が除去され、更に吸気側風路8を流れていき脱臭装置4のアルミフィン11に担持された触媒によって汚染空気104に含まれる臭気が吸着されると共にフィルタ6で捕りきれなかった水蒸気や油煙も吸着され、汚染空気104は浄化される。その後、浄化された空気105は、送風機3を通過し、排気側風路9を流れていき吹き出し口5からキャビネット101外へ排出される。
このとき、触媒は、加熱されてその温度は100℃〜200℃へ上昇し、これにより触媒が活性化して常温時よりも高い脱臭性能を発揮する状態となっており、周囲の臭気等を吸着すると共に吸着した臭気を酸化分解し無害・無臭化したのち再放出している。したがって、空気処理装置100が動作しているときの触媒は、臭気や油煙、水蒸気等を吸着する脱臭作用を行うと共に吸着した臭気を酸化分解して再放出することにより自身で脱臭機能の再生を行っている。
【0044】
調理が終了すると、使用者は電気加熱器具103の電源スイッチ103aを押し、電源スイッチ103aをOFFにして電気加熱器具103を停止させる(S5)。さらに、空気処理装置100のスイッチ10を操作し、空気処理装置100の運転停止を指示する信号を制御装置16に送る(S6)。すると、制御装置16はPTCヒータ素子12の通電を維持したまま送風機3の回転数を減少させ低速運転に移行して吸引風量を小さくすると共に、タイマー17による経過時間の記録を開始する(S61)。更に制御装置16は、吹き出し口シャッタ22を閉じて吹き出し口5からキャビネット101外への排気を遮断する。加えて、連通口シャッタ24を開いて吸込み口1からの吸気を遮断すると共に連通口23が通気可能となり脱臭装置4と送風機3を循環する循環風路が形成する(S62)。脱臭装置4を含む循環風路が形成されることにより、アルミフィン11及びPTCヒータ素子12の放熱により高温になった気体は循環風路外へ排出されず(つまりは空気処理装置100外に排出されず)徐々にその温度は上昇していき、その結果アルミフィン11及びPTCヒータ素子12の放熱量が減少し、アルミフィン11に担持された触媒の温度は調理中の温度より高い220℃以上まで温度上昇する。これにより、触媒は調理中に吸着した油煙の分解を開始し、無害・無臭のものに変化させ再放出する。また、触媒の脱臭性能は更に向上し、既に吸着した臭気の分解速度を速める。また、実施の形態5では、吹き出し口5から熱風が排出されないので、使用者に不快な思いをさせたり、室内の温度を不要に上昇させてしまうのを防ぐことができる。
タイマー17の経過時間があらかじめ設定されている所定時間に到達すると、制御装置16は、送風機3の運転及びPTCヒータ素子12への通電を停止する(S7)。
【0045】
上記に示すように本発明の実施の形態5における空気処理装置100は、実施の形態2の構成及び運転フローに加えて、調理が終わってスイッチ10操作により空気処理装置100の運転停止を指示した後(S6〜S7)空気処理装置100内に循環風路を形成することによって、実施の形態2によって得られる効果に加え、吹き出し口5から熱風が排出されないので、使用者に不快な思いをさせたり、室内の温度を不要に上昇させてしまうのを防ぐことができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、空気処理装置100外に設けられた電気加熱器具103などの燃焼を伴わない機器の使用により発生する少なくとも臭気を含む汚染空気104を吸引して浄化し、その浄化した空気105を再度放出するものであり、例えば、電気加熱器具103ではなく、半田作業や染色作業などによって発生する臭気を吸引して浄化する空気処理装置100としても使用できる。また、実施の形態1〜5では、空気処理装置100の一部をキャビネット101内に設置しているがこれに限ったものでは無く、例えば空気処理装置100を電気加熱器具103の上方に設置しても良い。また、空気処理装置100内はフィルタ6、脱臭装置4、送風機3の順番で並んでいるがこれに限ったものでは無く、送風機3によって発生する吸引流によって吸込み口1から汚染空気104を吸引し、フィルタ6及び脱臭装置4によって浄化できるのであれば、どの順番で設置されていても良い。
【符号の説明】
【0047】
1 吸込み口、2 吸込みフード、3 送風機、4 脱臭装置、5、吹き出し口、6 フィルタ、7 カバー、8 吸気側風路、9 排気側風路、10 スイッチ、11 アルミフィン、12 PTCヒータ素子、13 給電端子、14 断熱材、15 脱臭フィルタ、16 制御装置、17 タイマー、18 冷却空気風路、19 ペルチェ素子、20 冷却面、20a 冷却フィン、21 放熱面、21a 放熱フィン、22 吹き出し口シャッタ、23 連通口、24 連通口シャッタ、100 空気処理装置、101 キャビネット、102 加熱容器、103 電気加熱器具、103a 電源スイッチ、104 汚染空気、105 浄化された空気
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の吸込み口と吹き出し口を有する本体と、
前記本体内に設けられ燃焼を伴わない電気加熱器具の使用により発生する臭気を含む汚染空気を前記吸込み口から吸引する送風機と、
前記吸込み口から吸引した汚染空気から少なくとも臭気を除去する脱臭手段と、
前記送風機及び前記ヒータの運転を制御する制御手段を備え、
前記脱臭手段は、少なくとも臭気を吸着し酸化分解する脱臭剤と、該脱臭剤を加熱して活性化させるヒータとで構成され、
前記制御手段は、運転を停止する信号を受けたのち、前記送風機を前記信号を受ける前より回転数を減少させた低速運転に移行して運転することを特徴とする空気処理装置。
【請求項2】
燃焼を伴わない電気加熱器具の電源スイッチと連動して動作することを特徴とする請求項1に記載の空気処理装置。
【請求項3】
前記脱臭手段の下流側に冷却手段を備え、
前記吹き出し口より排出する空気を予め該冷却手段で冷却することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項4】
前記冷却手段は、前記本体外の空気を取り込む冷却空気風路で構成され、前記脱臭手段を通過した空気と前記冷却空気風路から吸引した前記本体外の空気を混合することを特徴とする請求項3に記載の空気処理装置。
【請求項5】
前記冷却手段は、熱を吸熱する吸熱側と該吸熱した熱を放熱する放熱側で構成された熱交換装置で構成され、該熱交換装置の放熱側を前記脱臭手段より上流側に設け、該熱交換装置の吸熱側を前記脱臭手段より下流側に設けたことを特徴とする請求項3に記載の空気処理装置。
【請求項6】
前記熱交換装置は、ペルチェ素子で構成されていることを特徴とする請求項5に記載の空気処理装置。
【請求項7】
前記冷却手段は、前記送風機より上流側に設置されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項1】
空気の吸込み口と吹き出し口を有する本体と、
前記本体内に設けられ燃焼を伴わない電気加熱器具の使用により発生する臭気を含む汚染空気を前記吸込み口から吸引する送風機と、
前記吸込み口から吸引した汚染空気から少なくとも臭気を除去する脱臭手段と、
前記送風機及び前記ヒータの運転を制御する制御手段を備え、
前記脱臭手段は、少なくとも臭気を吸着し酸化分解する脱臭剤と、該脱臭剤を加熱して活性化させるヒータとで構成され、
前記制御手段は、運転を停止する信号を受けたのち、前記送風機を前記信号を受ける前より回転数を減少させた低速運転に移行して運転することを特徴とする空気処理装置。
【請求項2】
燃焼を伴わない電気加熱器具の電源スイッチと連動して動作することを特徴とする請求項1に記載の空気処理装置。
【請求項3】
前記脱臭手段の下流側に冷却手段を備え、
前記吹き出し口より排出する空気を予め該冷却手段で冷却することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の空気処理装置。
【請求項4】
前記冷却手段は、前記本体外の空気を取り込む冷却空気風路で構成され、前記脱臭手段を通過した空気と前記冷却空気風路から吸引した前記本体外の空気を混合することを特徴とする請求項3に記載の空気処理装置。
【請求項5】
前記冷却手段は、熱を吸熱する吸熱側と該吸熱した熱を放熱する放熱側で構成された熱交換装置で構成され、該熱交換装置の放熱側を前記脱臭手段より上流側に設け、該熱交換装置の吸熱側を前記脱臭手段より下流側に設けたことを特徴とする請求項3に記載の空気処理装置。
【請求項6】
前記熱交換装置は、ペルチェ素子で構成されていることを特徴とする請求項5に記載の空気処理装置。
【請求項7】
前記冷却手段は、前記送風機より上流側に設置されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の空気処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−181008(P2012−181008A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−95257(P2012−95257)
【出願日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【分割の表示】特願2009−53645(P2009−53645)の分割
【原出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【分割の表示】特願2009−53645(P2009−53645)の分割
【原出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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