空気浄化装置
【課題】ストリーマ放電時において被処理成分の処理量に対して処理能力が過剰となり、放電電力の無駄に消費してしまうこと抑制し、空気浄化装置の省エネルギー性の向上を図る。
【解決手段】ストリーマ放電を行う放電装置(40)の電源手段(45)に放電制御部(63)を設ける。そして、上記放電制御部(63)により、空気浄化装置で処理される被処理成分の処理量に応じて放電装置(40)の放電電力を増減させるようにする。
【解決手段】ストリーマ放電を行う放電装置(40)の電源手段(45)に放電制御部(63)を設ける。そして、上記放電制御部(63)により、空気浄化装置で処理される被処理成分の処理量に応じて放電装置(40)の放電電力を増減させるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリーマ放電を行う放電装置を備え、被処理空気中の被処理成分を分解する空気浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、放電装置を備えた空気浄化装置は、放電によって生じたプラズマにより、被処理空気中の被処理成分(臭気成分や有害成分など)を分解除去する手段として利用されている。この空気浄化装置の中で、ストリーマ放電により低温プラズマを発生するストリーマ放電方式の空気浄化装置は、他の放電方式(例えばグロー放電方式やコロナ放電方式)の空気浄化装置と比較して高い空気浄化効率が得られるため、有害成分の分解や脱臭を行うのに好適な技術である。
【0003】
このストリーマ放電方式の空気浄化装置は、図13に示すように、放電装置(80)として、複数の放電電極(81)と、この放電電極(81)に対向する対向電極(82)とを備えている。上記放電電極(81)は、基板(83)に所定の間隔で並設されており、先端が突出した形状をしている。一方、上記対向電極(82)は、放電電極(81)の基板の両側に所定の間隔で配置されている。そして、放電電極(81)の先端部と対向電極(82)とが対峙している。さらに、空気浄化装置は、両電極(81,82)に電圧を印加する図示しない電源手段と、上記放電装置(80)へ被処理空気を流通させる図示しない送風手段とを備えている。この構成において、送風手段が起動し、電源手段より両電極(81,82)に電圧が印加されると、両電極(81,82)間でストリーマ放電が行われ、低温プラズマが発生する。そして、この低温プラズマの生成に伴い発生した活性種(高速電子、イオン、ラジカル、その他の励起分子等)に、被処理空気中の被処理成分を通気接触させることで、この被処理成分が分解除去される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−218828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されているようなストリーマ放電を行う空気浄化装置では、ストリーマ放電時に放電電極(81)及び対向電極(82)へ高圧の電圧を印加する必要があるため、比較的大容量の電力を消費することになる。ここで、例えばこの空気浄化装置が設置された室内空間における臭気成分や有害成分の濃度が希薄な状態となる場合、この空気浄化装置で処理される被処理成分の処理量が少なくなる。したがって、空気浄化装置のストリーマ放電で得られる処理能力が、上記被処理成分の処理量を上回ってしまい、ストリーマ放電時に消費されるエネルギーが無駄となってしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ストリーマ放電時において被処理成分の処理量に対して処理能力が過剰となり、放電電力の無駄に消費されてしまうことを抑制し、空気浄化装置の省エネルギー性の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被処理成分の処理量に応じて放電装置(40)の放電電力を増減させるようにしたものである。
【0008】
具体的に、第1の発明は、放電電極(41)と、該放電電極(41)に対向する対向電極(42)との間でストリーマ放電を行う放電装置(40)と、両電極(41,42)へ電圧を印加する電源手段(45)と、上記放電装置(40)へ被処理空気を流通させる送風手段(26)とを備え、上記ストリーマ放電によって被処理空気中の被処理成分を分解する空気浄化装置を前提としている。そして、この空気浄化装置は、上記送風手段(26)の風量に応じて上記放電装置(40)の放電電力を増減させる放電制御部(63)を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
上記第1の発明では、電源手段(45)より放電装置(40)に電圧が印加されると、放電電極(41)と対向電極(42)との間では、所定の放電電力でストリーマ放電が行われる。その結果、低温プラズマの発生に伴い上述した活性種が生成する。そして、被処理空気中の被処理成分は、この活性種に酸化分解されることで、被処理空気が清浄化される。
【0010】
ここで、本発明では、電源手段(45)に放電制御部(63)を設けている。そして、放電制御部(63)によって、送風手段(26)の風量に応じて放電装置(40)の放電電力を増減させるようにしている。このため、例えば空気浄化装置が設置された室内空間の被処理成分の濃度が高くなり、送風手段(26)の風量が大風量となる処理を行った場合、放電電力を所定量増大させることで、上記活性種の生成量を増大させることができる。したがって、被処理成分の処理量に応じた活性種を生成することができ、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0011】
一方、例えば室内空間の被処理成分の濃度が低くなり、送風手段(26)の風量が小風量となる処理を行った場合、放電電力を所定量低減させることで、上記活性種の生成量を減少させることができる。したがって、放電装置(40)のストリーマ放電によって得られる処理能力が、被処理成分の処理量よりも過剰になり、放電電力が無駄となってしまうことを抑制できる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明の空気浄化装置において、送風手段(26)の風量を複数の設定風量に切り換える風量制御部(64)を備え、放電制御部(63)には、複数の設定放電電力が設定され、放電制御部(63)は、送風手段(26)の各設定風量に応じて放電電力を各設定放電電力に切り換えるように構成されていることを特徴とするものである。ここで、上記「複数の設定風量」は、送風手段(26)の風量を0とする(送風手段(26)をOFFとする)設定風量と、設定風量を所定値とする(送風手段(26)をONとする)設定風量との組み合わせであってもよい。また、同様に、上記「複数の設定放電電力」は、放電装置(40)の放電電力を0とする(放電装置(40)をOFFとする)設定放電電力と、放電電力を所定値とする(放電装置(40)をONとする)設定放電電力との組み合わせであってもよい。さらに、上記「複数の設定風量」と上記「複数の設定放電電力」は、それぞれ3つ以上設定されることが好ましい。加えて、上記「各設定風量」と上記「各設定放電電力」とは、必ずしも同じ数量設定される必要はなく、したがって、各々の設定風量と各々の設定放電電力が必ず対応している必要もない。すなわち、例えば設定風量が、A、B、C、D、Eの5段階で設定される一方、設定放電電力は、第1設定放電電力と第2定放電電力とで設定され、A、B、Cの設定風量と第1設定放電電力とが対応し、D、Eの設定風量と第2設定放電電力が対応していてもよい。
【0013】
上記第2の発明では、風量制御部(64)によって送風手段(26)の風量が各設定風量に切り換えられると同時に、この設定風量に応じて放電装置(40)の放電電力が各設定放電電力に切り替えられる。
【0014】
ここで、例えば室内空間の被処理成分の濃度が高くなり、送風手段(26)の風量が「大設定風量」となる場合、放電電力をこの設定風量に応じた「大設定放電電力」とすることで、上記活性種の生成量を増大させることができる。したがって、被処理成分の処理量に応じた活性種を生成することができ、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0015】
一方、例えば室内空間の被処理成分の濃度が低くなり、送風手段(26)の風量が「小設定風量」となる場合、放電電力をこの設定風量に応じた「小設定放電電力」とすることで、上記活性種の生成量を減少させることができる。したがって、放電装置(40)のストリーマ放電によって得られる処理能力が、被処理成分の処理量よりも過剰になり、放電電力が無駄となってしまうことを抑制できる。
【0016】
第3の発明は、第2の発明の空気浄化装置において、放電制御部(63)は、風量制御部(64)が送風手段(26)の風量を切換えてから設定時間(t)後に放電電力を切り換えるように構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
上記第3の発明では、送風手段(26)の風量切換えから設定時間(t)が経過した後に放電電力が切り換えられる。ここで、設定時間(t)を設けることで、送風手段(26)の風量が切り換わってから設定風量に近くなる状態において、放電電力を切り換えることができる。このため、被処理成分の処理量が安定した状態において、放電電力の切換えを行うことができる。
【0018】
第4の発明は、放電電極(41)と、該放電電極(41)に対向する対向電極(42)との間でストリーマ放電を行う放電装置(40)と、両電極(41,42)へ電圧を印加する電源手段(45)と、上記放電装置(40)へ被処理空気を流通させる送風手段(26)とを備え、上記ストリーマ放電によって被処理空気中の被処理成分を分解する空気浄化装置を前提としている。そして、この空気浄化装置は、被処理空気中の被処理成分濃度を検知する濃度検知手段(70)を備え、上記濃度検知手段(70)の検知濃度に応じて放電装置(40)の放電電力を増減させる放電制御部(63)を備えていることを特徴とするものである。ここで、「濃度検知手段」は、この空気浄化装置で処理可能となる臭気成分や有害成分の物質濃度、あるいは臭気濃度を検知可能なものである。
【0019】
上記第4の発明では、濃度検知手段(70)で検知された被処理成分濃度に基づいて、放電制御部(63)が放電装置(40)の放電電力を増減させる。
【0020】
ここで、例えば室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が高くなり、濃度検知手段(70)がこれらの被処理成分濃度の増大を検知した場合、放電電力を所定量増大させることで、上記活性種の生成量を増大させることができる。したがって、被処理成分の処理量に応じた活性種を生成することができ、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0021】
一方、例えば室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が低くなり、濃度検知手段(70)がこれらの被処理成分濃度の減少を検知した場合、放電電力を所定量低減させることで、上記活性種の生成量を減少させることができる。したがって、放電装置(40)のストリーマ放電によって得られる処理能力が、被処理成分の処理量よりも過剰になり、放電電力が無駄となってしまうことを抑制できる。
【0022】
第5の発明は、第4の発明の空気浄化装置において、上記濃度検知手段(70)の検知濃度に応じて送風手段(26)の風量を増減させる風量制御部(64)を備えていることを特徴とするものである。
【0023】
上記第5の発明では、濃度検知手段(70)によって検知された被処理成分濃度の増減に伴って、送風手段(26)の風量と上記放電装置(40)の放電電力との双方が増減する。
【0024】
ここで、例えば被処理成分濃度の増大に伴って送風手段(26)の風量が大風量となる処理を行った場合、放電電力を所定量増大させることで、上記活性種の生成量を増大させることができる。したがって、被処理成分の処理量に応じた活性種を生成することができ、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0025】
一方、例えば被処理成分濃度の減少に伴って送風手段(26)の風量が小風量となる処理を行った場合、放電電力を所定量低減させることで、上記活性種の生成量を減少させることができる。したがって、放電装置(40)のストリーマ放電によって得られる処理能力が、被処理成分の処理量よりも過剰になり、放電電力が無駄となってしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0026】
上記第1の発明によれば、送風手段(26)の風量が大風量となる処理を行った場合、放電電力を所定量増大させ、活性種の生成量を多くできるようにしている。したがって、被処理成分の処理量に相当する処理能力でストリーマ放電を行うことができ、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0027】
一方、送風手段(26)の風量が小風量となる処理を行った場合、放電電力を所定量低減させ、活性種の生成量を少なくできるようにしている。したがって、被処理成分の処理量に対してストリーマ放電による処理能力が過剰となり、放電電力が無駄となってしまうことを抑制できる。したがって、この空気浄化装置の省エネルギー性の向上を図ることができる。
【0028】
また、本発明によれば、送風手段(26)の風量が大風量となり、送風手段(26)の運転音が比較的大きくなる際に、放電電力を増大させることで、放電装置(40)のストリーマ放電によって生じる放電音を上記送風手段(26)の運転音によってマスキングさせることができる。
【0029】
一方、送風手段(26)の風量が小風量となることで、送風手段(26)の運転音が比較的小さくなり、上記放電音が使用者に聞こえやすくなる条件下において、放電電力を減少させることで、上記放電音の小さくでき、この放電音が使用者を不快にさせてしまうことを抑制できる。
【0030】
さらに、本発明によれば、被処理成分の処理量に相当する処理能力でストリーマ放電を行えるようにしている。このようにすると、例えば被処理成分の処理量に対してオゾンなどの活性種が過剰に発生し、被処理成分と未反応となったオゾンなどが装置外へ放出されてしまうことを効果的に抑制できる。したがって、この空気浄化装置の信頼性の向上を図ることができる。
【0031】
上記第2の発明によれば、送風手段(26)の風量を各設定風量に切換えられるようにしている。したがって、室内空間の環境条件や使用者の運転ニーズに応じた空気浄化装置の運転を行うことができる。また、上記設定風量を多く設け、送風手段(26)の風量を多段階に切換え可能とすることで、室内空間の環境条件や使用者の運転ニーズに合わせたより緻密な空気浄化装置の運転が可能となる。
【0032】
また、本発明によれば、送風手段(26)の各設定風量に応じて放電電力を各設定放電電力に切り換えるようにしている。したがって、例えば送風手段(26)の風量が「大設定風量」となる運転の場合、放電電力を「大設定放電電力」とさせ、活性種の生成量を多くできるようにしている。したがって、被処理成分の処理量に相当する処理能力でストリーマ放電を行うことができ、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0033】
一方、例えば送風手段(26)の風量が「小設定風量」となる運転の場合、放電電力を「小設定放電電力」とさせ、活性種の生成量を少なくできるようにしている。したがって、被処理成分の処理量に対してストリーマ放電による処理能力が過剰となり、放電電力が無駄となってしまうことを抑制できる。
【0034】
さらに、上記設定放電電力を多く設け、送風手段(26)の風量に応じて放電電力を多段階に切換え可能とすることで、被処理成分の処理量に相当する活性種をより緻密に生成することができる。したがって、被処理空気を一層効率的に清浄化でき、空気浄化装置の省エネルギー性の向上を図ることができる。
【0035】
上記第3の発明によれば、送風手段(26)の風量が設定風量に近い状態となり、被処理成分の処理量が安定した状態において、放電電力の切換えを行うようにしている。このため、送風手段(26)が定格運転に達していない状況で余分な放電電力の切換えが行われてしまうことを抑制できる。このため、送風手段(26)の風量、すなわち被処理成分の処理量に応じた最適な放電電力の切換えを行うことができる。したがって、被処理成分の処理量に対して過剰なストリーマ放電を行い、放電電力が無駄となってしまうことを効果的に抑制できる。
【0036】
上記第4の発明によれば、濃度検知手段(70)を設け、この濃度検知手段(70)で検知された被処理成分濃度の変動に応じて放電電力を増減させるようにしている。そして、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が高くなった場合、放電電力を所定量増大させ、活性種の生成量を多くできるようにしている。したがって、被処理成分の処理量に相当する処理能力でストリーマ放電を行うことができ、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0037】
一方、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が低くなった場合、放電電力を所定量低減させ、活性種の生成量を少なくできるようにしている。したがって、被処理成分の処理量に対してストリーマ放電による処理能力が過剰となり、放電電力が無駄となってしまうことを抑制できる。したがって、この空気浄化装置の省エネルギー性の向上を図ることができる。
【0038】
また、本発明によれば、濃度検知手段(70)の検知濃度に基づいて放電装置(40)の放電電力を切り換えるようにしているため、被処理成分濃度に応じた放電電力の切換えを自動で行うことができる。
【0039】
上記第5の発明によれば、濃度検知手段(70)を設け、この濃度検知手段(70)で検知された被処理成分濃度の変動に応じて、送風手段(26)の風量を増減させ、さらに放電電力を増減させるようにしている。このため、例えば室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が高い場合に送風手段(26)の風量を増大させることで、被処理成分の処理速度を速め、速やかに室内空間を清浄化できる。また、この際、被処理成分濃度に応じて放電電力を増大させることによって被処理成分の処理量に相当する活性種を生成でき、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0040】
一方、例えば室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が低い場合に送風手段(26)の風量を減少させることで、送風手段(26)の過剰な運転を抑制できる。したがって、送風手段(26)の運転動力を削減できる。また、この際、被処理成分濃度に応じて放電電力を減少させることによって被処理成分の処理量に相当する活性種を生成でき、被処理成分の処理量に対してストリーマ放電による処理能力が過剰となってしまい、放電電力が無駄となってしまうことを抑制できる。
【0041】
また、本発明によれば、濃度検知手段(70)の検知濃度に基づいて送風手段(26)の送風量及び放電装置(40)の放電電力を切り換えるようにしているため、この空気浄化装置によって被処理成分濃度に応じた自動運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態に係る空気浄化装置の全体構成を示す概略斜視図である。
【図2】本実施形態に係る放電装置の内部を上側から視た構成図である。
【図3】本実施形態に係る放電装置の要部拡大斜視図である。
【図4】実施形態1に係る空気浄化装置のブロック図である。
【図5】実施形態1に係る空気浄化装置の運転条件例を示す表である。
【図6】変形例1に係る空気浄化装置のブロック図である。
【図7】変形例1に係る空気浄化装置の運転条件例を示す表である。
【図8】変形例2に係る空気浄化装置の運転条件例を示す表である。
【図9】実施形態2に係る空気浄化装置の電源手段のブロック図である。
【図10】実施形態3に係る空気浄化装置のブロック図である。
【図11】実施形態3に係る空気浄化装置の運転条件例を示す表である。
【図12】実施形態4に係る空気浄化装置のブロック図である。
【図13】従来技術に係る空気浄化装置の放電装置の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0044】
《発明の実施形態1》
まず、実施形態1に係る空気浄化装置(10)について、図1から図4を参照しながら説明する。
【0045】
図1は、実施形態1に係る空気浄化装置(10)の分解斜視図であり、図2は、この空気浄化装置(10)の内部を上方から視た図である。この空気浄化装置(10)は、一般家庭や小規模店舗などで用いられる民生用の空気浄化装置である。また、この空気浄化装置(10)は、ストリーマ放電により低温プラズマを生成して被処理空気を清浄化する、いわゆるストリーマ放電方式の空気浄化装置である。
【0046】
空気浄化装置(10)は、一端が開放された箱形のケーシング本体(21)と、その開放端面に装着される前面プレート(22)とからなるケーシング(20)を備えている。ケーシング(20)の前面プレート(22)側の両側面には吸込口(23)が形成されている。また、ケーシング本体(21)には、天板の背面寄りに吹出口(24)が形成されている。
【0047】
ケーシング(20)内には、吸込口(23)から吹出口(24)までに亘って被処理空気である室内空気が流れる空気通路(25)が形成されている。この空気通路(25)には、室内空気の流れの上流側(図2において下側)から順に、空気浄化を行う各種の機能部品(30)と、該空気通路(25)に室内空気を流通させるための遠心送風機(送風手段)(26)とが配置されている。
【0048】
上記機能部品(30)には、前面プレート(22)側から順に、プレフィルタ(31)、イオン化部(32)、静電フィルタ(33)、そして触媒フィルタ(34)が含まれている。イオン化部(32)には、低温プラズマを発生させるための放電装置(40)が一体的に組み込まれている。また、空気浄化装置(10)のケーシング本体(21)の後部下側寄りには、放電装置(40)の電源手段(45)が設けられている。
【0049】
プレフィルタ(31)は、空気中に含まれる比較的大きな塵埃を捕集するフィルタである。また、イオン化部(32)は、プレフィルタ(31)を通過した比較的小さな塵埃を帯電させ、この塵埃を、イオン化部(32)の下流側に配置されている静電フィルタ(33)により捕集するためのものである。このイオン化部(32)は、複数のイオン化線(35)と、複数の対向電極(42)とから構成されている。複数のイオン化線(35)は、イオン化部(32)の上端から下端まで等間隔で張架されていて、それぞれが静電フィルタ(33)に平行な一枚の仮想面上に位置している。対向電極(42)は、水平断面が「コ」の字形となった長尺部材で構成され、その開放部が後方側に位置している。この対向電極(42)は、各イオン化線(35)の間に該イオン化線(35)と平行に配列されている。そして、各対向電極(42)は、1枚のメッシュ板(37)にそれぞれの開放部が接合されている。
【0050】
放電装置(40)は、複数の放電電極(41)と、この放電電極(41)に対向する対向電極(42)とを備えている。なお、上記対向電極(42)は、上記イオン化部(32)の対向電極(42)として共用されており、各放電電極(41)がこの放電電極(41)に対峙する各対向電極(42)の内側に配置されている。
【0051】
具体的に、対向電極(42)の内側には、放電装置(40)の拡大斜視図である図3に示すように、上下方向に延在する電極保持部材(43)が設けられ、放電電極(41)は固定部材(44)を介して電極保持部材(43)に保持されている。放電電極(41)は線状ないし棒状の電極であり、固定部材(44)から突出した放電電極(41)が、対向電極(42)の第1面(42a)と略平行になるように配置されている。
【0052】
触媒フィルタ(34)は、静電フィルタ(33)の下流側に配置されている。この触媒フィルタ(34)は、例えばハニカム構造の基材の表面に触媒を担持したものである。この触媒には、マンガン系触媒や貴金属系触媒など、放電によって生成される低温プラズマ中の反応性の高い物質をさらに活性化し、空気中の有害成分や臭気成分の分解を促進するものが用いられる。さらに、この触媒フィルタ(34)には、活性炭が担持されており、被処理空気中の被処理成分に対して吸着性能を有している。
【0053】
次に、本発明の特徴である電源手段(45)の構成について、図4のブロック図を参照しながら説明する。この電源手段(45)には、例えばリモコンや操作パネルなどより出力される運転信号を検出する運転入力信号検出部(61)と、この運転入力信号検出部(61)の検出信号を受信可能な機器運転制御部(62)とを備えている。さらに、電源手段(45)には、上記機器運転制御部(62)によって制御される放電制御部(63)及び風量制御部(64)と、装置本体内の放電装置(40)へ所定の電力(電流)を出力する高圧電源部(65)が備えられている。
【0054】
風量制御部(64)は、送風手段である遠心送風機(26)へ制御信号を出力し、この遠心送風機(26)の風量を複数段階の設定風量に変化させるように構成されている。具体的に、本実施形態の遠心送風機(26)は、第1から第5までの設定風量(図5のA運転からE運転までの設定風量)で運転可能に構成されている。
【0055】
放電制御部(63)は、電流制御部(63a)とON/OFF制御部(63b)とで構成されている。電流制御部(63a)は、高圧電源部(65)に備えられた電流値設定部(65a)に電流制御用の信号を出力し、高圧電源部(65)より放電装置(40)へ出力され電力(電流)を切換え可能に構成されている。ON/OFF制御部(63b)は、高圧電源部(65)にON/OFFの切換信号を出力することで、高圧電源部(65)をONの状態とOFFの状態とに切換え可能に構成されている。
【0056】
以上のような構成の電源手段(45)において、放電制御部(63)に備えられた電流制御部(63a)は、遠心送風機(26)の風量に応じて放電装置(40)の放電電力を増減させるように構成されている。具体的に、電流制御部(63a)には、第1設定放電電力と第2設定放電電力とが設定されており、遠心送風機(26)の風量が図5のA運転、B運転、又はC運転の設定風量である場合、放電装置(40)の放電電力を第1設定放電電力(放電電流が37μAとなる放電電力)とするように構成されている。一方、電流制御部(63a)は、遠心送風機(26)の風量が図5のD運転又はE運転の風量となる場合、放電装置(40)の放電電力を第1設定放電電力より小さい第2設定放電電力(放電電流が5.5μAとなる放電電力)とするように構成されている。
【0057】
なお、電流制御部(63a)は、風量制御部(64)が遠心送風機(26)へ風量を変更させる信号を出力してから設定時間(t)が経過した後に、遠心送風機(26)の風量に応じて放電電力を切り換えるように構成されている。ここで、設定時間(t)には、遠心送風機(26)の運転が切り換えられてから、この遠心送風機(26)の風量が設定風量に達するまで、すなわち遠心送風機(26)が定格運転に達するとみなせるまでの時間が設定される。
【0058】
−運転動作−
次に、空気浄化装置(10)の基本運転動作について説明する。
【0059】
図1及び図2に示すように、空気浄化装置(10)の運転中は、遠心送風機(26)が所定の設定風量で起動し、室内空気がケーシング(20)内の空気通路(25)を流通する。また、図4の電源手段(45)の高圧電源部(65)がONの状態となり、放電装置(40)ではストリーマ放電が行われる。
【0060】
室内空気がケーシング(20)内に導入されると、まずプレフィルタ(31)において比較的大きな塵埃が除去される。室内空気は、さらにイオン化部(32)を通過するときに該室内空気中の比較的小さな塵埃が帯電した状態となって下流側へ流れ、この塵埃は静電フィルタ(33)に捕集される。以上により、空気中の塵埃は、大きなものから小さなものまでプレフィルタ(31)と静電フィルタ(33)とで概ね除去される。
【0061】
イオン化部(32)に一体的に組み込まれた放電装置(40)では、図3に示すように、放電電極(41)の先端より、対向電極(42)に向かって低温プラズマが発生することで、反応性の高い活性種(電子、イオン、オゾン、ラジカルなど)が生じる。そして、これらの活性種が、触媒フィルタ(34)まで達すると、さらに活性化して空気中の有害成分や臭気成分を分解除去する。以上のようにして塵埃が除去されるとともに、有害成分や臭気成分も除去された清浄な室内空気は、空気吹出口(24)から室内へ吹き出される。
【0062】
−制御例−
次に、空気浄化装置(10)の具体的な制御例について図4及び図5を参照しながら説明する。
【0063】
例えば空気浄化装置(10)が配置された室内空間において、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が高くなる場合、使用者は、例えば図示しないリモコンから図5のAの運転を開始する運転信号を運転入力信号検出部(61)へ出力する。このようにすると、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。
【0064】
機器運転制御部(62)の信号を受信した風量制御部(64)は、6.0m3/minの設定風量で送風を行わせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が6.0m3/minの風量での定格運転を行う。
【0065】
また、機器運転制御部(62)の信号を受信した放電制御部(63)の電流制御部(63a)は、高圧電源部(65)の電流値設定部(65a)に上記設定風量に応じた電流制御信号を出力する。具体的に、電流制御部(63a)は、放電装置(40)における放電電流が37μAとなり、ストリーマ放電時の放電電力が第1設定放電電力となる制御信号を電流値設定部(65a)へ出力する。この際、電流制御信号は、風量制御部(64)が遠心送風機(26)へ制御信号を出力してから上記設定時間(t)後に電流値設定部(65a)に入力される。そして、高圧電源部(65)より放電装置(40)へ電力が出力されると、放電装置(40)では、第1設定放電電力でのストリーマ放電が行われる。したがって、被処理成分の処理量の増大に対応してストリーマ放電時に生成する低温プラズマ、すなわち活性種の量が多くなり、被処理成分が効率的に分解される。
【0066】
一方、このようなA運転によって室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が低減されると、使用者は、例えばリモコンから図5のE運転を開始する運転信号を運転入力信号検出部(61)へ出力する。このようにすると、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。
【0067】
機器運転制御部(62)の信号を受信した風量制御部(64)は、0.9m3/minの設定風量で送風を行わせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が0.9m3/minの風量で定格運転を行う。
【0068】
また、機器運転制御部(62)の信号を受信した放電制御部(63)の電流制御部(63a)は、高圧電源部(65)の電流値設定部(65a)に上記設定風量に応じた電流制御信号を出力する。具体的に、電流制御部(63a)は、放電装置(40)における放電電流が5.5μAとなり、ストリーマ放電時の放電電力が第2設定放電電力となる制御信号を電流値設定部(65a)へ出力する。この際、電流制御信号は、風量制御部(64)が遠心送風機(26)へ制御信号を出力してから上記設定時間(t)後に電流値設定部(65a)に入力される。そして、高圧電源部(65)より放電装置(40)へ電力が出力されると、放電装置(40)では、第2設定放電電力でのストリーマ放電が行われる。したがって、被処理成分の処理量の減少に対応してストリーマ放電時に生成する活性種の量が小さくなり、過剰なストリーマ放電が行われず、被処理成分が効率的に分解される。
【0069】
−実施形態1の効果−
実施形態1に係る空気浄化装置によれば、以下の効果が発揮される。
【0070】
実施形態1によれば、遠心送風機(26)の風量が大設定風量であるA、B、Cの運転時に、放電電力を第1放電電力とし、ストリーマ放電により生じる活性種の量を多くするようにしている。このため、被処理成分の処理量が比較的大きい運転時において、これら被処理成分の処理量に相当する処理能力を得ることができる。したがって、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0071】
一方、遠心送風機(26)の風量が小設定風量であるD、Eの運転時には、放電電力を第2放電電力とし、ストリーマ放電により生じる活性種の量を少なくするようにしている。このため、被処理成分の処理量が比較的小さい運転時において、これら被処理成分の処理量に対して処理能力が上回ってしまうことを抑制することができる。したがって、この空気浄化装置相当する処理能力を得ることができる。したがって、この空気浄化装置の省エネルギー性の向上を図ることができる。
【0072】
また、実施形態1によれば、遠心送風機(26)の風量が大設定風量となり、遠心送風機(26)の運転音が比較的大きい条件下において、放電電力を増大させるようにしている。したがって、ストリーマ放電時における放電音を遠心送風機(26)の運転音によってマスキングすることができ、使用者がストリーマ放電時における放電音を不快に感じることを抑制できる。
【0073】
一方、遠心送風機(26)の風量が小設定風量となり、遠心送風機(26)の運転音が比較的小さい条件下においては、放電電力を減少させるようにしている。その結果、遠心送風機(26)の運転音が小さい条件下においても、ストリーマ放電時の放電音を使用者に対して聞こえにくくさせることができる。したがって、この空気浄化装置が配置される空間における快適性の向上を図ることができる。
【0074】
さらに、実施形態1によれば、被処理成分の処理量に相当する処理能力でストリーマ放電を行うようにしている。このようにすると、例えば被処理成分の処理量に対してオゾンなどの活性種が過剰に発生し、被処理成分と未反応となったオゾンなどが装置外へ放出されてしまうことを効果的に抑制できる。したがって、この空気浄化装置の信頼性の向上を図ることができる。
【0075】
また、実施形態1によれば、遠心送風機(26)が定格運転に達するとみなされる設定時間(t)後に放電電力を切り換えるようにしている。このため、遠心送風機(26)の風量が安定した状態において、放電電力の切換えを行うことができる。したがって、被処理成分の処理量に応じた最適な放電電力の切換えを行うことができ、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0076】
<実施形態1の変形例1>
次に、実施形態1に係る空気浄化装置(10)の変形例1について、図6及び図7を参照しながら説明する。この変形例1の空気浄化装置(10)は、実施形態1と電源手段(45)の構成が異なるものである。具体的に、電源手段(45)の放電制御部(63)には、ON/OFF制御部(63b)のみが設けられ、高圧電源部(65)には、上述した電流値設定部が設けられていない構成となっている。そして、放電制御部(63)に備えられたON/OFF制御部(63b)は、遠心送風機(26)の風量に応じて放電装置(40)の放電電力を切り換えるように構成されている。具体的に、遠心送風機(26)は、遠心送風機(26)の風量が図7のA運転、B運転、又はC運転の設定風量である場合、放電装置(40)の放電電力をONとし、第1設定放電電力(放電電流が37μAとなる放電電力)とするように構成されている。一方、電流制御部(63a)は、遠心送風機(26)の風量が図7のD運転又はE運転の風量となる場合、放電装置(40)の放電電力をOFF(第2設定放電電力)とするように構成されている。
【0077】
以上の構成において、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が高くなる場合、使用者は、例えばリモコンから図7のA運転を開始する運転信号を運転入力信号検出部(61)へ出力する。このようにすると、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。
【0078】
機器運転制御部(62)の信号を受信した風量制御部(64)は、6.0m3/minの設定風量で送風を行わせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が6.0m3/minの風量で定格運転を行う。
【0079】
また、機器運転制御部(62)の信号を受信した放電制御部(63)のON/OFF制御部(63b)は、遠心送風機(26)の風量に応じて高圧電源部(65)をONに切り換える信号を出力する。なお、この信号は、風量制御部(64)が遠心送風機(26)へ制御信号を出力してから上記設定時間(t)後に高圧電源部(65)に受信される。この信号を受信した高圧電源部(65)はONの状態となり、放電装置(40)における放電電流が37μAとなる電力を放電装置(40)へ出力する。そして、放電装置(40)では、第1放電電力でのストリーマ放電が行われる。したがって、被処理成分の処理量の増大に対応してストリーマ放電時に生成する活性種の量が多くなり、被処理成分が効率的に分解される。
【0080】
一方、このようなA運転によって室内空間の臭気成分や有害成分がほぼ清浄化されると、使用者は、例えばリモコンから図7のE運転を開始する運転信号を運転入力信号検出部(61)へ出力する。このようにすると、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。機器運転制御部(62)の信号を受信した風量制御部(64)は、0.9m3/minの設定風量で送風を行わせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が0.9m3/minの定格運転を行う。
【0081】
また、機器運転制御部(62)の信号を受信した放電制御部(63)のON/OFF制御部(63b)は、遠心送風機(26)の風量に応じて高圧電源部(65)をOFFに切り換える信号を出力する。なお、この信号は、風量制御部(64)が遠心送風機(26)へ制御信号を出力してから上記設定時間(t)後に高圧電源部(65)に受信される。この信号を受信した高圧電源部(65)はOFFの状態となり、放電装置(40)には電力が出力されなくなる。したがって、放電装置(40)では、ストリーマ放電が行われなくなり、ストリーマ放電による被処理成分の分解が行われなくなる。
【0082】
この変形例1の空気浄化装置(10)では、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が非常に低い状態において、放電装置(40)の放電電力をOFFとすることで、省エネルギー性を重視した運転を行うことができる。なお、この運転時には、上述した触媒フィルタ(34)の吸着分解作用によって、被処理成分が分解除去される。
【0083】
また、この変形例1では、遠心送風機(26)の運転音が小さくなるD運転やE運転時に、ストリーマ放電を行わないようにしている。したがって、オフィス空間における会議時や居住空間における夜間時など、特に静粛性が望まれる状況において、ストリーマ放電で生じる放電音を確実に抑止し、空気浄化装置(10)の騒音を効果的に低減することができる。
【0084】
<実施形態1の変形例2>
次に、実施形態1に係る空気浄化装置(10)の変形例2について、図4及び図8を参照しながら説明する。この変形例2の空気浄化装置(10)は、実施形態1と同様の構成の電源手段(45)において、その制御方法が異なるものである。具体的に、変形例2における放電制御部(63)の電流制御部(63a)には、図8に示すように、遠心送風機(26)の設定風量に対応する5段階の設定放電電力(第1から第5までの設定放電電力)が設定されている。
【0085】
この変形例2の空気浄化装置において、例えば室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が著しく増大し、使用者がリモコンよりA運転を開始する信号を出力すると、遠心送風機(26)の風量が図8のA運転時の設定風量(6.0m3/min)となる。これに対応して、電流制御部(63a)が、放電装置(40)において37μAの放電電流(第1設定放電電力)でストリーマ放電を行うよう電流値設定部(65a)に信号を出力する。したがって、放電装置(40)の放電電力が最も高い放電電力となり、ストリーマ放電時に発生する活性種の量が最も多くなる。
【0086】
一方、例えば室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が著しく低くなり、使用者がリモコンよりE運転を開始する信号を出力すると、遠心送風機(26)の風量が図8のE運転時の設定風量(0.9m3/min)となる。これに対応して、電流制御部(63a)が、放電装置(40)において5.5μAの放電電流(第5設定放電電力)でストリーマ放電を行うよう電流値設定部(65a)に信号を出力する。したがって、放電装置(40)の放電電力が最も低い放電電力となり、ストリーマ放電時に発生する活性種の量が最も少なくなる。
【0087】
さらに、例えば室内空間の臭気成分や有害成分の濃度がA運転時とE運転時との中間の濃度であり、使用者がリモコンよりC運転を開始する信号を出力すると、遠心送風機(26)の風量が図8のC運転時の設定風量(2.7m3/min)となる。これに対応して、電流制御部(63a)が、放電装置(40)において20μAの放電電流(第3設定放電電力)でストリーマ放電を行うよう電流値設定部(65a)に信号を出力する。したがって、放電装置(40)の放電電力がA運転とE運転との中間の放電電力となり、ストリーマ放電時に発生する活性種の量もA運転とE運転との中間程度の量となる。
【0088】
このように、この変形例2では、遠心送風機(26)の設定風量に応じて、ストリーマ放電の放電電力を多段階に調整するようにしている。したがって、被処理成分の処理量に合わせた緻密な放電電力の切換えが可能となり、被処理空気を高エネルギー効率で清浄化さできる。
【0089】
《実施形態2》
次に、実施形態2に係る空気浄化装置(10)について図9を参照しながら説明する。実施形態2に係る空気浄化装置(10)は、実施形態1と電源手段(45)の構成が異なるものであり、それ以外の構成は実施形態1と同様の構成となっている。以下に、実施形態1と異なる点についてのみ説明する。
【0090】
図9に示すように、実施形態2の電源手段(45)には、第1高圧電源部(71)と第2高圧電源部(72)とからなる2つの高圧電源部が設けられている。両高圧電源部(71,72)は、それぞれ仕様が異なっており、放電装置(40)に異なる電力(電流)を出力するように構成されている。具体的に、第1高圧電源部(71)は、放電装置(40)において37μAの放電電流(第1設定放電電力)でストリーマ放電が行われる電力を放電装置(40)へ出力するように構成されている。一方、第2高圧電源部(72)は、放電装置(40)において5.5μAの放電電流(第2設定放電電力)でストリーマ放電が行われる電力を放電装置(40)へ出力するように構成されている。
【0091】
また、電源手段(45)には、上記第1電源手段(71)と放電装置(40)とを接続する一方、上記第2電源手段(72)と放電装置(40)とを接続しない第1状態(図9のIで示す状態)と、上記第2電源手段(72)と放電装置(40)とを接続する一方、上記第1電源手段(71)と放電装置(40)とを接続しない第2状態(図9のIIの状態)とに切り替わるスイッチ(73)が設けられている。このスイッチ(73)は、放電制御部(63)に設けられた接続電源切換部(63c)によって第1状態と第2状態とに切換え可能に構成されている。なお、上記接続電源切換部(63c)は、機器運転制御部(62)の信号を受信して制御されるように構成されている。
【0092】
−制御例−
次に実施形態2の空気浄化装置(10)の制御例について図5及び図9を参照しながら説明する。
【0093】
例えば室内空間において、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が高くなる場合、使用者は、リモコンから図5のAの運転を開始する運転信号を運転入力信号検出部(61)へ出力する。このようにすると、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。
【0094】
機器運転制御部(62)の信号を受信した風量制御部(64)は、6.0m3/minの設定風量での送風を行わせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が6.0m3/minの風量で定格運転を行う。
【0095】
また、機器運転制御部(62)の信号を受信した放電制御部(63)の接続電源切換部(63c)は、遠心送風機(26)の風量変化に対応してスイッチ(73)を第1状態に切り換える。この第1状態では、第1高圧電源部(71)と放電装置(40)とが接続されるため、放電装置(40)では、37μAの放電電流、すなわち第1設定放電電力でのストリーマ放電が行われる。したがって、被処理成分の処理量の増大に対応してストリーマ放電時に生成する活性種の量が多くなり、被処理成分が効率的に分解される。
【0096】
一方、このようなA運転によって室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が低減されると、使用者は、リモコンから図5のE運転を開始する運転信号を運転入力信号検出部(61)へ出力する。このようにすると、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。
【0097】
機器運転制御部(62)の信号を受信した風量制御部(64)は、0.9m3/minの設定風量での送風を行わせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が0.9m3/minの風量で定格運転を行う。
【0098】
また、機器運転制御部(62)の信号を受信した放電制御部(63)の接続電源切換部(63c)は、遠心送風機(26)の風量変化に対応してスイッチ(73)を第2状態に切り換える。この第2状態では、第2高圧電源部(72)と放電装置(40)とが接続されるため、放電装置(40)では、5.5μAの放電電流、すなわち第2設定放電電力でのストリーマ放電が行われる。したがって、被処理成分の処理量の減少に対応してストリーマ放電時に生成する活性種の量が小さくなり、過剰なストリーマ放電が行われず、被処理成分が効率的に分解される。
【0099】
以上のように、実施形態2では、実施形態1と異なる電源手段(45)の構成において、同様の運転制御を行うことができる。この実施形態2においても、被処理成分の処理量に応じた放電電力でのストリーマ放電を行うことで、被処理空気を効率的に清浄化させることができる。
【0100】
《実施形態3》
次に、実施形態3に係る空気浄化装置(10)について図10を参照しながら説明する。実施形態3に係る空気浄化装置(10)は、複数の放電電極(41)と、各放電電極(41)に対向する対向電極(42)が、2つの放電装置(第1放電装置(40a)と第2放電装置(40b)にブロック化されている。そして、第1放電装置(40a)に対応する第1高圧電源部(40a)と、第2放電装置(40b)に対応する第2高圧電源部(40b)とが設けられている。なお、第1高圧電源部(40a)と第2高圧電源部(40b)とは、それぞれ同じ仕様となっており、対応する放電装置において37μAの放電電流でストリーマ放電が行われる電力を各放電装置へ出力するように構成されている。また、放電制御部(63)には、上記第1,第2高圧電源部(40a,40b)をそれぞれON/OFF制御可能なON/OFF制御部(63b)が設けられている。それ以外の空気浄化装置(10)の構成は、実施形態1と同様の構成となっている。
【0101】
−制御例−
次に、実施形態3の空気浄化装置(10)の制御例について図10及び図11を参照しながら説明する。
【0102】
例えば室内空間において、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が高くなる場合、使用者は、リモコンから図11のAの運転を開始する運転信号を運転入力信号検出部(61)へ出力する。このようにすると、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。
【0103】
機器運転制御部(62)の信号を受信した風量制御部(64)は、6.0m3/minの設定風量での送風を行わせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が6.0m3/minの風量で定格運転を行う。
【0104】
また、機器運転制御部(62)の信号を受信した放電制御部(63)のON/OFF制御部(63b)は、遠心送風機(26)の風量変化に対応して第1放電装置(40a)と第2放電装置(40b)との双方がONとなるよう両電源部(71,72)に信号を出力する。このようにすると、第1放電装置(40a)と第2放電装置(40b)との双方では、37μAの放電電流でストリーマ放電が行われる。そして、第1放電装置(40a)と第2放電装置(40b)との放電電力の総和が第1設定放電電力となる。したがって、被処理成分の処理量の増大に対応してストリーマ放電時に生成する活性種の量が多くなり、被処理成分が効率的に分解される。
【0105】
一方、このようなA運転によって室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が低減されると、使用者は、例えばリモコンから図11のE運転を開始する運転信号を運転入力信号検出部(61)へ出力する。このようにすると、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。
【0106】
機器運転制御部(62)の信号を受信した風量制御部(64)は、0.9m3/minの設定風量での送風を行わせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が0.9m3/minの風量で定格運転を行う。
【0107】
また、機器運転制御部(62)の信号を受信した放電制御部(63)のON/OFF制御部(63b)は、遠心送風機(26)の風量変化に対応して例えば第1放電装置(40a)をONとし、第2放電装置(40b)をOFFとする信号をそれぞれの電源部(71,72)に出力する。このようにすると、第1放電装置(40a)では、37μAの放電電流でのストリーマ放電が行われる一方、第2放電装置(40b)では、ストリーマ放電が行われなくなる。そして、第1,第2放電装置(40a,40b)の放電電力の総和が第2設定放電電力となり、上記A運転時の放電電力の総和(第1設定放電電力)よりも小さくなる。その結果、放電装置(40)全体として生成する活性種の量が減少する。したがって、被処理成分の処理量の減少に対応して過剰なストリーマ放電が行われず、被処理成分が効率的に分解される
以上のように、実施形態3では、放電装置(40)のうち、一部の放電装置(例えば第2放電装置(40b))の放電を停止させることによって、放電装置(40)全体としての放電電力を低減させるようにしている。この場合にも、被処理成分の処理量に対応して放電電力を切り換えることができ、被処理空気を効果的に清浄化できる。
【0108】
また、実施形態3では、実施形態1のように電流制御部(63a)を設ける必要がなく、また、実施形態2のようにスイッチ(73)なども設ける必要ないため、電源手段(45)の回路構成を単純化できる。
【0109】
《実施形態4》
次に、実施形態4に係る空気浄化装置について図12を参照しながら説明する。この空気浄化装置は、実施形態1に係る空気浄化装置に、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度(被処理成分濃度)を検知する濃度検知手段(70)が備えられたものである。そして、放電制御部(63)の電流制御部(63a)は、上記濃度検知手段(70)で検知された被処理成分の検知濃度に応じて放電装置(40)の放電電力を増減させるように構成されている。また、同様に、風量制御部(64)は、上記濃度検知手段(70)で検知された被処理成分の検知濃度に応じて送風手段(40)の風量を増減させるように構成されている。
【0110】
−制御例−
次に、実施形態4の空気浄化装置(10)の制御例について図12を参照しながら説明する。実施形態4の空気浄化装置では、濃度検知手段(70)が被処理成分濃度を検知すると、この信号が運転入力信号検出部(61)へ出力される。そして、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。
【0111】
ここで、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度、すなわち被処理成分濃度が高く、この濃度を濃度検知手段(70)が検知した場合、風量制御部(64)は、遠心送風機(26)の風量を大風量(例えば6.0m3/min)とさせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が6.0m3/minの風量で運転を行う。同時に、放電制御部(63)の電流制御部(63a)は、高圧電源部(65)の電流値設定部(65a)に放電装置(40)における放電電力が大放電電力となる(放電電流が例えば37μAとなる)制御信号を出力する。そして、放電装置(40)では、大放電電力でのストリーマ放電が行われる。
【0112】
一方、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度、すなわち被処理成分濃度が低く、この濃度を濃度検知手段(70)が検知した場合、風量制御部(64)は、遠心送風機(26)の風量を小風量(例えば0.9m3/min)とさせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が0.9m3/minの風量で運転を行う。同時に、放電制御部(63)の電流制御部(63a)は、高圧電源部(65)の電流値設定部(65a)に放電装置(40)における放電電力が小放電電力となる(放電電流が例えば5.5μAとなる)制御信号を出力する。そして、放電装置(40)では、小放電電力でのストリーマ放電が行われる。
【0113】
このように、実施形態4では、濃度検知手段(70)で検知された被処理成分濃度に応じて遠心送風機(26)の風量及び放電装置(40)の放電電力が増減される。したがって、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度に基づく被処理成分の処理量に相当する活性種をストリーマ放電によって生成させることができる。したがって、被処理空気を効率的に清浄化でき、空気浄化装置の省エネルギー性の向上を図ることができる。
【0114】
また、実施形態4では、濃度検知手段(70)の検知濃度に基づいて遠心送風機(26)と放電装置(40)との双方を制御するようにしているため、被処理成分の処理量に応じた自動運転処理を行うことができる。
【0115】
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0116】
上記実施形態では、遠心送風機(26)の運転切換後、設定時間(t)後に放電電力を増減させることで、定格運転時の遠心送風機(26)の風量に対応した放電電力の制御を行うようにしている。しかしながら、これ以外に、たとえば遠心送風機(26)の周波数や電流値を検出することで、遠心送風機(26)が予め設定しておいた風量に実質的に達したかを判定し、その後に放電電力を制御するようにしてもよい。
【0117】
また、上記実施形態においては、例えば室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が低く、遠心送風機(26)の風量を小設定風量に切り換える際に、設定時間(t)後に放電電力を低減させるようにしている。しかしながら、このように遠心送風機(26)の風量が「大設定風量」から「小設定風量」に切り換わる際には、瞬時に放電電力を低減させるようにしてもよい。この場合、遠心送風機(26)の風量が「小設定風量」となるまでの間に、ストリーマ放電時の放電音が使用者の耳に聞こえやすくなってしまうことを確実に抑制できる。
【0118】
また、実施形態4では、濃度検知手段(70)で検知された被処理成分濃度に応じて、遠心送風機(26)の風量と放電装置(40)の放電電力との双方を増減させるようにしている。しかしながら、これ以外に、濃度検知手段(70)で検知された被処理成分濃度に応じて、放電装置(40)の放電電力のみを増減させるようにしてもよい。この場合、例えば遠心送風機(26)の風量は一定とし、被処理成分濃度に基づいて放電電力を増減させることで、被処理成分の処理量に相当する活性種をストリーマ放電によって生成させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の空気浄化装置は、民生用の空気浄化装置、さらには業務用の空気浄化装置において有用である。
【符号の説明】
【0120】
(10) 空気浄化装置
(26) 送風手段
(40) 放電装置(40a,40b)
(41) 放電電極
(42) 対向電極
(45) 電源手段
(63) 放電制御部
(64) 風量制御部
(65) 高圧電源(71,72)
(70) 濃度検知手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリーマ放電を行う放電装置を備え、被処理空気中の被処理成分を分解する空気浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、放電装置を備えた空気浄化装置は、放電によって生じたプラズマにより、被処理空気中の被処理成分(臭気成分や有害成分など)を分解除去する手段として利用されている。この空気浄化装置の中で、ストリーマ放電により低温プラズマを発生するストリーマ放電方式の空気浄化装置は、他の放電方式(例えばグロー放電方式やコロナ放電方式)の空気浄化装置と比較して高い空気浄化効率が得られるため、有害成分の分解や脱臭を行うのに好適な技術である。
【0003】
このストリーマ放電方式の空気浄化装置は、図13に示すように、放電装置(80)として、複数の放電電極(81)と、この放電電極(81)に対向する対向電極(82)とを備えている。上記放電電極(81)は、基板(83)に所定の間隔で並設されており、先端が突出した形状をしている。一方、上記対向電極(82)は、放電電極(81)の基板の両側に所定の間隔で配置されている。そして、放電電極(81)の先端部と対向電極(82)とが対峙している。さらに、空気浄化装置は、両電極(81,82)に電圧を印加する図示しない電源手段と、上記放電装置(80)へ被処理空気を流通させる図示しない送風手段とを備えている。この構成において、送風手段が起動し、電源手段より両電極(81,82)に電圧が印加されると、両電極(81,82)間でストリーマ放電が行われ、低温プラズマが発生する。そして、この低温プラズマの生成に伴い発生した活性種(高速電子、イオン、ラジカル、その他の励起分子等)に、被処理空気中の被処理成分を通気接触させることで、この被処理成分が分解除去される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−218828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されているようなストリーマ放電を行う空気浄化装置では、ストリーマ放電時に放電電極(81)及び対向電極(82)へ高圧の電圧を印加する必要があるため、比較的大容量の電力を消費することになる。ここで、例えばこの空気浄化装置が設置された室内空間における臭気成分や有害成分の濃度が希薄な状態となる場合、この空気浄化装置で処理される被処理成分の処理量が少なくなる。したがって、空気浄化装置のストリーマ放電で得られる処理能力が、上記被処理成分の処理量を上回ってしまい、ストリーマ放電時に消費されるエネルギーが無駄となってしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ストリーマ放電時において被処理成分の処理量に対して処理能力が過剰となり、放電電力の無駄に消費されてしまうことを抑制し、空気浄化装置の省エネルギー性の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被処理成分の処理量に応じて放電装置(40)の放電電力を増減させるようにしたものである。
【0008】
具体的に、第1の発明は、放電電極(41)と、該放電電極(41)に対向する対向電極(42)との間でストリーマ放電を行う放電装置(40)と、両電極(41,42)へ電圧を印加する電源手段(45)と、上記放電装置(40)へ被処理空気を流通させる送風手段(26)とを備え、上記ストリーマ放電によって被処理空気中の被処理成分を分解する空気浄化装置を前提としている。そして、この空気浄化装置は、上記送風手段(26)の風量に応じて上記放電装置(40)の放電電力を増減させる放電制御部(63)を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
上記第1の発明では、電源手段(45)より放電装置(40)に電圧が印加されると、放電電極(41)と対向電極(42)との間では、所定の放電電力でストリーマ放電が行われる。その結果、低温プラズマの発生に伴い上述した活性種が生成する。そして、被処理空気中の被処理成分は、この活性種に酸化分解されることで、被処理空気が清浄化される。
【0010】
ここで、本発明では、電源手段(45)に放電制御部(63)を設けている。そして、放電制御部(63)によって、送風手段(26)の風量に応じて放電装置(40)の放電電力を増減させるようにしている。このため、例えば空気浄化装置が設置された室内空間の被処理成分の濃度が高くなり、送風手段(26)の風量が大風量となる処理を行った場合、放電電力を所定量増大させることで、上記活性種の生成量を増大させることができる。したがって、被処理成分の処理量に応じた活性種を生成することができ、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0011】
一方、例えば室内空間の被処理成分の濃度が低くなり、送風手段(26)の風量が小風量となる処理を行った場合、放電電力を所定量低減させることで、上記活性種の生成量を減少させることができる。したがって、放電装置(40)のストリーマ放電によって得られる処理能力が、被処理成分の処理量よりも過剰になり、放電電力が無駄となってしまうことを抑制できる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明の空気浄化装置において、送風手段(26)の風量を複数の設定風量に切り換える風量制御部(64)を備え、放電制御部(63)には、複数の設定放電電力が設定され、放電制御部(63)は、送風手段(26)の各設定風量に応じて放電電力を各設定放電電力に切り換えるように構成されていることを特徴とするものである。ここで、上記「複数の設定風量」は、送風手段(26)の風量を0とする(送風手段(26)をOFFとする)設定風量と、設定風量を所定値とする(送風手段(26)をONとする)設定風量との組み合わせであってもよい。また、同様に、上記「複数の設定放電電力」は、放電装置(40)の放電電力を0とする(放電装置(40)をOFFとする)設定放電電力と、放電電力を所定値とする(放電装置(40)をONとする)設定放電電力との組み合わせであってもよい。さらに、上記「複数の設定風量」と上記「複数の設定放電電力」は、それぞれ3つ以上設定されることが好ましい。加えて、上記「各設定風量」と上記「各設定放電電力」とは、必ずしも同じ数量設定される必要はなく、したがって、各々の設定風量と各々の設定放電電力が必ず対応している必要もない。すなわち、例えば設定風量が、A、B、C、D、Eの5段階で設定される一方、設定放電電力は、第1設定放電電力と第2定放電電力とで設定され、A、B、Cの設定風量と第1設定放電電力とが対応し、D、Eの設定風量と第2設定放電電力が対応していてもよい。
【0013】
上記第2の発明では、風量制御部(64)によって送風手段(26)の風量が各設定風量に切り換えられると同時に、この設定風量に応じて放電装置(40)の放電電力が各設定放電電力に切り替えられる。
【0014】
ここで、例えば室内空間の被処理成分の濃度が高くなり、送風手段(26)の風量が「大設定風量」となる場合、放電電力をこの設定風量に応じた「大設定放電電力」とすることで、上記活性種の生成量を増大させることができる。したがって、被処理成分の処理量に応じた活性種を生成することができ、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0015】
一方、例えば室内空間の被処理成分の濃度が低くなり、送風手段(26)の風量が「小設定風量」となる場合、放電電力をこの設定風量に応じた「小設定放電電力」とすることで、上記活性種の生成量を減少させることができる。したがって、放電装置(40)のストリーマ放電によって得られる処理能力が、被処理成分の処理量よりも過剰になり、放電電力が無駄となってしまうことを抑制できる。
【0016】
第3の発明は、第2の発明の空気浄化装置において、放電制御部(63)は、風量制御部(64)が送風手段(26)の風量を切換えてから設定時間(t)後に放電電力を切り換えるように構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
上記第3の発明では、送風手段(26)の風量切換えから設定時間(t)が経過した後に放電電力が切り換えられる。ここで、設定時間(t)を設けることで、送風手段(26)の風量が切り換わってから設定風量に近くなる状態において、放電電力を切り換えることができる。このため、被処理成分の処理量が安定した状態において、放電電力の切換えを行うことができる。
【0018】
第4の発明は、放電電極(41)と、該放電電極(41)に対向する対向電極(42)との間でストリーマ放電を行う放電装置(40)と、両電極(41,42)へ電圧を印加する電源手段(45)と、上記放電装置(40)へ被処理空気を流通させる送風手段(26)とを備え、上記ストリーマ放電によって被処理空気中の被処理成分を分解する空気浄化装置を前提としている。そして、この空気浄化装置は、被処理空気中の被処理成分濃度を検知する濃度検知手段(70)を備え、上記濃度検知手段(70)の検知濃度に応じて放電装置(40)の放電電力を増減させる放電制御部(63)を備えていることを特徴とするものである。ここで、「濃度検知手段」は、この空気浄化装置で処理可能となる臭気成分や有害成分の物質濃度、あるいは臭気濃度を検知可能なものである。
【0019】
上記第4の発明では、濃度検知手段(70)で検知された被処理成分濃度に基づいて、放電制御部(63)が放電装置(40)の放電電力を増減させる。
【0020】
ここで、例えば室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が高くなり、濃度検知手段(70)がこれらの被処理成分濃度の増大を検知した場合、放電電力を所定量増大させることで、上記活性種の生成量を増大させることができる。したがって、被処理成分の処理量に応じた活性種を生成することができ、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0021】
一方、例えば室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が低くなり、濃度検知手段(70)がこれらの被処理成分濃度の減少を検知した場合、放電電力を所定量低減させることで、上記活性種の生成量を減少させることができる。したがって、放電装置(40)のストリーマ放電によって得られる処理能力が、被処理成分の処理量よりも過剰になり、放電電力が無駄となってしまうことを抑制できる。
【0022】
第5の発明は、第4の発明の空気浄化装置において、上記濃度検知手段(70)の検知濃度に応じて送風手段(26)の風量を増減させる風量制御部(64)を備えていることを特徴とするものである。
【0023】
上記第5の発明では、濃度検知手段(70)によって検知された被処理成分濃度の増減に伴って、送風手段(26)の風量と上記放電装置(40)の放電電力との双方が増減する。
【0024】
ここで、例えば被処理成分濃度の増大に伴って送風手段(26)の風量が大風量となる処理を行った場合、放電電力を所定量増大させることで、上記活性種の生成量を増大させることができる。したがって、被処理成分の処理量に応じた活性種を生成することができ、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0025】
一方、例えば被処理成分濃度の減少に伴って送風手段(26)の風量が小風量となる処理を行った場合、放電電力を所定量低減させることで、上記活性種の生成量を減少させることができる。したがって、放電装置(40)のストリーマ放電によって得られる処理能力が、被処理成分の処理量よりも過剰になり、放電電力が無駄となってしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0026】
上記第1の発明によれば、送風手段(26)の風量が大風量となる処理を行った場合、放電電力を所定量増大させ、活性種の生成量を多くできるようにしている。したがって、被処理成分の処理量に相当する処理能力でストリーマ放電を行うことができ、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0027】
一方、送風手段(26)の風量が小風量となる処理を行った場合、放電電力を所定量低減させ、活性種の生成量を少なくできるようにしている。したがって、被処理成分の処理量に対してストリーマ放電による処理能力が過剰となり、放電電力が無駄となってしまうことを抑制できる。したがって、この空気浄化装置の省エネルギー性の向上を図ることができる。
【0028】
また、本発明によれば、送風手段(26)の風量が大風量となり、送風手段(26)の運転音が比較的大きくなる際に、放電電力を増大させることで、放電装置(40)のストリーマ放電によって生じる放電音を上記送風手段(26)の運転音によってマスキングさせることができる。
【0029】
一方、送風手段(26)の風量が小風量となることで、送風手段(26)の運転音が比較的小さくなり、上記放電音が使用者に聞こえやすくなる条件下において、放電電力を減少させることで、上記放電音の小さくでき、この放電音が使用者を不快にさせてしまうことを抑制できる。
【0030】
さらに、本発明によれば、被処理成分の処理量に相当する処理能力でストリーマ放電を行えるようにしている。このようにすると、例えば被処理成分の処理量に対してオゾンなどの活性種が過剰に発生し、被処理成分と未反応となったオゾンなどが装置外へ放出されてしまうことを効果的に抑制できる。したがって、この空気浄化装置の信頼性の向上を図ることができる。
【0031】
上記第2の発明によれば、送風手段(26)の風量を各設定風量に切換えられるようにしている。したがって、室内空間の環境条件や使用者の運転ニーズに応じた空気浄化装置の運転を行うことができる。また、上記設定風量を多く設け、送風手段(26)の風量を多段階に切換え可能とすることで、室内空間の環境条件や使用者の運転ニーズに合わせたより緻密な空気浄化装置の運転が可能となる。
【0032】
また、本発明によれば、送風手段(26)の各設定風量に応じて放電電力を各設定放電電力に切り換えるようにしている。したがって、例えば送風手段(26)の風量が「大設定風量」となる運転の場合、放電電力を「大設定放電電力」とさせ、活性種の生成量を多くできるようにしている。したがって、被処理成分の処理量に相当する処理能力でストリーマ放電を行うことができ、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0033】
一方、例えば送風手段(26)の風量が「小設定風量」となる運転の場合、放電電力を「小設定放電電力」とさせ、活性種の生成量を少なくできるようにしている。したがって、被処理成分の処理量に対してストリーマ放電による処理能力が過剰となり、放電電力が無駄となってしまうことを抑制できる。
【0034】
さらに、上記設定放電電力を多く設け、送風手段(26)の風量に応じて放電電力を多段階に切換え可能とすることで、被処理成分の処理量に相当する活性種をより緻密に生成することができる。したがって、被処理空気を一層効率的に清浄化でき、空気浄化装置の省エネルギー性の向上を図ることができる。
【0035】
上記第3の発明によれば、送風手段(26)の風量が設定風量に近い状態となり、被処理成分の処理量が安定した状態において、放電電力の切換えを行うようにしている。このため、送風手段(26)が定格運転に達していない状況で余分な放電電力の切換えが行われてしまうことを抑制できる。このため、送風手段(26)の風量、すなわち被処理成分の処理量に応じた最適な放電電力の切換えを行うことができる。したがって、被処理成分の処理量に対して過剰なストリーマ放電を行い、放電電力が無駄となってしまうことを効果的に抑制できる。
【0036】
上記第4の発明によれば、濃度検知手段(70)を設け、この濃度検知手段(70)で検知された被処理成分濃度の変動に応じて放電電力を増減させるようにしている。そして、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が高くなった場合、放電電力を所定量増大させ、活性種の生成量を多くできるようにしている。したがって、被処理成分の処理量に相当する処理能力でストリーマ放電を行うことができ、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0037】
一方、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が低くなった場合、放電電力を所定量低減させ、活性種の生成量を少なくできるようにしている。したがって、被処理成分の処理量に対してストリーマ放電による処理能力が過剰となり、放電電力が無駄となってしまうことを抑制できる。したがって、この空気浄化装置の省エネルギー性の向上を図ることができる。
【0038】
また、本発明によれば、濃度検知手段(70)の検知濃度に基づいて放電装置(40)の放電電力を切り換えるようにしているため、被処理成分濃度に応じた放電電力の切換えを自動で行うことができる。
【0039】
上記第5の発明によれば、濃度検知手段(70)を設け、この濃度検知手段(70)で検知された被処理成分濃度の変動に応じて、送風手段(26)の風量を増減させ、さらに放電電力を増減させるようにしている。このため、例えば室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が高い場合に送風手段(26)の風量を増大させることで、被処理成分の処理速度を速め、速やかに室内空間を清浄化できる。また、この際、被処理成分濃度に応じて放電電力を増大させることによって被処理成分の処理量に相当する活性種を生成でき、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0040】
一方、例えば室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が低い場合に送風手段(26)の風量を減少させることで、送風手段(26)の過剰な運転を抑制できる。したがって、送風手段(26)の運転動力を削減できる。また、この際、被処理成分濃度に応じて放電電力を減少させることによって被処理成分の処理量に相当する活性種を生成でき、被処理成分の処理量に対してストリーマ放電による処理能力が過剰となってしまい、放電電力が無駄となってしまうことを抑制できる。
【0041】
また、本発明によれば、濃度検知手段(70)の検知濃度に基づいて送風手段(26)の送風量及び放電装置(40)の放電電力を切り換えるようにしているため、この空気浄化装置によって被処理成分濃度に応じた自動運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態に係る空気浄化装置の全体構成を示す概略斜視図である。
【図2】本実施形態に係る放電装置の内部を上側から視た構成図である。
【図3】本実施形態に係る放電装置の要部拡大斜視図である。
【図4】実施形態1に係る空気浄化装置のブロック図である。
【図5】実施形態1に係る空気浄化装置の運転条件例を示す表である。
【図6】変形例1に係る空気浄化装置のブロック図である。
【図7】変形例1に係る空気浄化装置の運転条件例を示す表である。
【図8】変形例2に係る空気浄化装置の運転条件例を示す表である。
【図9】実施形態2に係る空気浄化装置の電源手段のブロック図である。
【図10】実施形態3に係る空気浄化装置のブロック図である。
【図11】実施形態3に係る空気浄化装置の運転条件例を示す表である。
【図12】実施形態4に係る空気浄化装置のブロック図である。
【図13】従来技術に係る空気浄化装置の放電装置の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0044】
《発明の実施形態1》
まず、実施形態1に係る空気浄化装置(10)について、図1から図4を参照しながら説明する。
【0045】
図1は、実施形態1に係る空気浄化装置(10)の分解斜視図であり、図2は、この空気浄化装置(10)の内部を上方から視た図である。この空気浄化装置(10)は、一般家庭や小規模店舗などで用いられる民生用の空気浄化装置である。また、この空気浄化装置(10)は、ストリーマ放電により低温プラズマを生成して被処理空気を清浄化する、いわゆるストリーマ放電方式の空気浄化装置である。
【0046】
空気浄化装置(10)は、一端が開放された箱形のケーシング本体(21)と、その開放端面に装着される前面プレート(22)とからなるケーシング(20)を備えている。ケーシング(20)の前面プレート(22)側の両側面には吸込口(23)が形成されている。また、ケーシング本体(21)には、天板の背面寄りに吹出口(24)が形成されている。
【0047】
ケーシング(20)内には、吸込口(23)から吹出口(24)までに亘って被処理空気である室内空気が流れる空気通路(25)が形成されている。この空気通路(25)には、室内空気の流れの上流側(図2において下側)から順に、空気浄化を行う各種の機能部品(30)と、該空気通路(25)に室内空気を流通させるための遠心送風機(送風手段)(26)とが配置されている。
【0048】
上記機能部品(30)には、前面プレート(22)側から順に、プレフィルタ(31)、イオン化部(32)、静電フィルタ(33)、そして触媒フィルタ(34)が含まれている。イオン化部(32)には、低温プラズマを発生させるための放電装置(40)が一体的に組み込まれている。また、空気浄化装置(10)のケーシング本体(21)の後部下側寄りには、放電装置(40)の電源手段(45)が設けられている。
【0049】
プレフィルタ(31)は、空気中に含まれる比較的大きな塵埃を捕集するフィルタである。また、イオン化部(32)は、プレフィルタ(31)を通過した比較的小さな塵埃を帯電させ、この塵埃を、イオン化部(32)の下流側に配置されている静電フィルタ(33)により捕集するためのものである。このイオン化部(32)は、複数のイオン化線(35)と、複数の対向電極(42)とから構成されている。複数のイオン化線(35)は、イオン化部(32)の上端から下端まで等間隔で張架されていて、それぞれが静電フィルタ(33)に平行な一枚の仮想面上に位置している。対向電極(42)は、水平断面が「コ」の字形となった長尺部材で構成され、その開放部が後方側に位置している。この対向電極(42)は、各イオン化線(35)の間に該イオン化線(35)と平行に配列されている。そして、各対向電極(42)は、1枚のメッシュ板(37)にそれぞれの開放部が接合されている。
【0050】
放電装置(40)は、複数の放電電極(41)と、この放電電極(41)に対向する対向電極(42)とを備えている。なお、上記対向電極(42)は、上記イオン化部(32)の対向電極(42)として共用されており、各放電電極(41)がこの放電電極(41)に対峙する各対向電極(42)の内側に配置されている。
【0051】
具体的に、対向電極(42)の内側には、放電装置(40)の拡大斜視図である図3に示すように、上下方向に延在する電極保持部材(43)が設けられ、放電電極(41)は固定部材(44)を介して電極保持部材(43)に保持されている。放電電極(41)は線状ないし棒状の電極であり、固定部材(44)から突出した放電電極(41)が、対向電極(42)の第1面(42a)と略平行になるように配置されている。
【0052】
触媒フィルタ(34)は、静電フィルタ(33)の下流側に配置されている。この触媒フィルタ(34)は、例えばハニカム構造の基材の表面に触媒を担持したものである。この触媒には、マンガン系触媒や貴金属系触媒など、放電によって生成される低温プラズマ中の反応性の高い物質をさらに活性化し、空気中の有害成分や臭気成分の分解を促進するものが用いられる。さらに、この触媒フィルタ(34)には、活性炭が担持されており、被処理空気中の被処理成分に対して吸着性能を有している。
【0053】
次に、本発明の特徴である電源手段(45)の構成について、図4のブロック図を参照しながら説明する。この電源手段(45)には、例えばリモコンや操作パネルなどより出力される運転信号を検出する運転入力信号検出部(61)と、この運転入力信号検出部(61)の検出信号を受信可能な機器運転制御部(62)とを備えている。さらに、電源手段(45)には、上記機器運転制御部(62)によって制御される放電制御部(63)及び風量制御部(64)と、装置本体内の放電装置(40)へ所定の電力(電流)を出力する高圧電源部(65)が備えられている。
【0054】
風量制御部(64)は、送風手段である遠心送風機(26)へ制御信号を出力し、この遠心送風機(26)の風量を複数段階の設定風量に変化させるように構成されている。具体的に、本実施形態の遠心送風機(26)は、第1から第5までの設定風量(図5のA運転からE運転までの設定風量)で運転可能に構成されている。
【0055】
放電制御部(63)は、電流制御部(63a)とON/OFF制御部(63b)とで構成されている。電流制御部(63a)は、高圧電源部(65)に備えられた電流値設定部(65a)に電流制御用の信号を出力し、高圧電源部(65)より放電装置(40)へ出力され電力(電流)を切換え可能に構成されている。ON/OFF制御部(63b)は、高圧電源部(65)にON/OFFの切換信号を出力することで、高圧電源部(65)をONの状態とOFFの状態とに切換え可能に構成されている。
【0056】
以上のような構成の電源手段(45)において、放電制御部(63)に備えられた電流制御部(63a)は、遠心送風機(26)の風量に応じて放電装置(40)の放電電力を増減させるように構成されている。具体的に、電流制御部(63a)には、第1設定放電電力と第2設定放電電力とが設定されており、遠心送風機(26)の風量が図5のA運転、B運転、又はC運転の設定風量である場合、放電装置(40)の放電電力を第1設定放電電力(放電電流が37μAとなる放電電力)とするように構成されている。一方、電流制御部(63a)は、遠心送風機(26)の風量が図5のD運転又はE運転の風量となる場合、放電装置(40)の放電電力を第1設定放電電力より小さい第2設定放電電力(放電電流が5.5μAとなる放電電力)とするように構成されている。
【0057】
なお、電流制御部(63a)は、風量制御部(64)が遠心送風機(26)へ風量を変更させる信号を出力してから設定時間(t)が経過した後に、遠心送風機(26)の風量に応じて放電電力を切り換えるように構成されている。ここで、設定時間(t)には、遠心送風機(26)の運転が切り換えられてから、この遠心送風機(26)の風量が設定風量に達するまで、すなわち遠心送風機(26)が定格運転に達するとみなせるまでの時間が設定される。
【0058】
−運転動作−
次に、空気浄化装置(10)の基本運転動作について説明する。
【0059】
図1及び図2に示すように、空気浄化装置(10)の運転中は、遠心送風機(26)が所定の設定風量で起動し、室内空気がケーシング(20)内の空気通路(25)を流通する。また、図4の電源手段(45)の高圧電源部(65)がONの状態となり、放電装置(40)ではストリーマ放電が行われる。
【0060】
室内空気がケーシング(20)内に導入されると、まずプレフィルタ(31)において比較的大きな塵埃が除去される。室内空気は、さらにイオン化部(32)を通過するときに該室内空気中の比較的小さな塵埃が帯電した状態となって下流側へ流れ、この塵埃は静電フィルタ(33)に捕集される。以上により、空気中の塵埃は、大きなものから小さなものまでプレフィルタ(31)と静電フィルタ(33)とで概ね除去される。
【0061】
イオン化部(32)に一体的に組み込まれた放電装置(40)では、図3に示すように、放電電極(41)の先端より、対向電極(42)に向かって低温プラズマが発生することで、反応性の高い活性種(電子、イオン、オゾン、ラジカルなど)が生じる。そして、これらの活性種が、触媒フィルタ(34)まで達すると、さらに活性化して空気中の有害成分や臭気成分を分解除去する。以上のようにして塵埃が除去されるとともに、有害成分や臭気成分も除去された清浄な室内空気は、空気吹出口(24)から室内へ吹き出される。
【0062】
−制御例−
次に、空気浄化装置(10)の具体的な制御例について図4及び図5を参照しながら説明する。
【0063】
例えば空気浄化装置(10)が配置された室内空間において、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が高くなる場合、使用者は、例えば図示しないリモコンから図5のAの運転を開始する運転信号を運転入力信号検出部(61)へ出力する。このようにすると、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。
【0064】
機器運転制御部(62)の信号を受信した風量制御部(64)は、6.0m3/minの設定風量で送風を行わせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が6.0m3/minの風量での定格運転を行う。
【0065】
また、機器運転制御部(62)の信号を受信した放電制御部(63)の電流制御部(63a)は、高圧電源部(65)の電流値設定部(65a)に上記設定風量に応じた電流制御信号を出力する。具体的に、電流制御部(63a)は、放電装置(40)における放電電流が37μAとなり、ストリーマ放電時の放電電力が第1設定放電電力となる制御信号を電流値設定部(65a)へ出力する。この際、電流制御信号は、風量制御部(64)が遠心送風機(26)へ制御信号を出力してから上記設定時間(t)後に電流値設定部(65a)に入力される。そして、高圧電源部(65)より放電装置(40)へ電力が出力されると、放電装置(40)では、第1設定放電電力でのストリーマ放電が行われる。したがって、被処理成分の処理量の増大に対応してストリーマ放電時に生成する低温プラズマ、すなわち活性種の量が多くなり、被処理成分が効率的に分解される。
【0066】
一方、このようなA運転によって室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が低減されると、使用者は、例えばリモコンから図5のE運転を開始する運転信号を運転入力信号検出部(61)へ出力する。このようにすると、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。
【0067】
機器運転制御部(62)の信号を受信した風量制御部(64)は、0.9m3/minの設定風量で送風を行わせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が0.9m3/minの風量で定格運転を行う。
【0068】
また、機器運転制御部(62)の信号を受信した放電制御部(63)の電流制御部(63a)は、高圧電源部(65)の電流値設定部(65a)に上記設定風量に応じた電流制御信号を出力する。具体的に、電流制御部(63a)は、放電装置(40)における放電電流が5.5μAとなり、ストリーマ放電時の放電電力が第2設定放電電力となる制御信号を電流値設定部(65a)へ出力する。この際、電流制御信号は、風量制御部(64)が遠心送風機(26)へ制御信号を出力してから上記設定時間(t)後に電流値設定部(65a)に入力される。そして、高圧電源部(65)より放電装置(40)へ電力が出力されると、放電装置(40)では、第2設定放電電力でのストリーマ放電が行われる。したがって、被処理成分の処理量の減少に対応してストリーマ放電時に生成する活性種の量が小さくなり、過剰なストリーマ放電が行われず、被処理成分が効率的に分解される。
【0069】
−実施形態1の効果−
実施形態1に係る空気浄化装置によれば、以下の効果が発揮される。
【0070】
実施形態1によれば、遠心送風機(26)の風量が大設定風量であるA、B、Cの運転時に、放電電力を第1放電電力とし、ストリーマ放電により生じる活性種の量を多くするようにしている。このため、被処理成分の処理量が比較的大きい運転時において、これら被処理成分の処理量に相当する処理能力を得ることができる。したがって、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0071】
一方、遠心送風機(26)の風量が小設定風量であるD、Eの運転時には、放電電力を第2放電電力とし、ストリーマ放電により生じる活性種の量を少なくするようにしている。このため、被処理成分の処理量が比較的小さい運転時において、これら被処理成分の処理量に対して処理能力が上回ってしまうことを抑制することができる。したがって、この空気浄化装置相当する処理能力を得ることができる。したがって、この空気浄化装置の省エネルギー性の向上を図ることができる。
【0072】
また、実施形態1によれば、遠心送風機(26)の風量が大設定風量となり、遠心送風機(26)の運転音が比較的大きい条件下において、放電電力を増大させるようにしている。したがって、ストリーマ放電時における放電音を遠心送風機(26)の運転音によってマスキングすることができ、使用者がストリーマ放電時における放電音を不快に感じることを抑制できる。
【0073】
一方、遠心送風機(26)の風量が小設定風量となり、遠心送風機(26)の運転音が比較的小さい条件下においては、放電電力を減少させるようにしている。その結果、遠心送風機(26)の運転音が小さい条件下においても、ストリーマ放電時の放電音を使用者に対して聞こえにくくさせることができる。したがって、この空気浄化装置が配置される空間における快適性の向上を図ることができる。
【0074】
さらに、実施形態1によれば、被処理成分の処理量に相当する処理能力でストリーマ放電を行うようにしている。このようにすると、例えば被処理成分の処理量に対してオゾンなどの活性種が過剰に発生し、被処理成分と未反応となったオゾンなどが装置外へ放出されてしまうことを効果的に抑制できる。したがって、この空気浄化装置の信頼性の向上を図ることができる。
【0075】
また、実施形態1によれば、遠心送風機(26)が定格運転に達するとみなされる設定時間(t)後に放電電力を切り換えるようにしている。このため、遠心送風機(26)の風量が安定した状態において、放電電力の切換えを行うことができる。したがって、被処理成分の処理量に応じた最適な放電電力の切換えを行うことができ、被処理空気を効率的に清浄化できる。
【0076】
<実施形態1の変形例1>
次に、実施形態1に係る空気浄化装置(10)の変形例1について、図6及び図7を参照しながら説明する。この変形例1の空気浄化装置(10)は、実施形態1と電源手段(45)の構成が異なるものである。具体的に、電源手段(45)の放電制御部(63)には、ON/OFF制御部(63b)のみが設けられ、高圧電源部(65)には、上述した電流値設定部が設けられていない構成となっている。そして、放電制御部(63)に備えられたON/OFF制御部(63b)は、遠心送風機(26)の風量に応じて放電装置(40)の放電電力を切り換えるように構成されている。具体的に、遠心送風機(26)は、遠心送風機(26)の風量が図7のA運転、B運転、又はC運転の設定風量である場合、放電装置(40)の放電電力をONとし、第1設定放電電力(放電電流が37μAとなる放電電力)とするように構成されている。一方、電流制御部(63a)は、遠心送風機(26)の風量が図7のD運転又はE運転の風量となる場合、放電装置(40)の放電電力をOFF(第2設定放電電力)とするように構成されている。
【0077】
以上の構成において、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が高くなる場合、使用者は、例えばリモコンから図7のA運転を開始する運転信号を運転入力信号検出部(61)へ出力する。このようにすると、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。
【0078】
機器運転制御部(62)の信号を受信した風量制御部(64)は、6.0m3/minの設定風量で送風を行わせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が6.0m3/minの風量で定格運転を行う。
【0079】
また、機器運転制御部(62)の信号を受信した放電制御部(63)のON/OFF制御部(63b)は、遠心送風機(26)の風量に応じて高圧電源部(65)をONに切り換える信号を出力する。なお、この信号は、風量制御部(64)が遠心送風機(26)へ制御信号を出力してから上記設定時間(t)後に高圧電源部(65)に受信される。この信号を受信した高圧電源部(65)はONの状態となり、放電装置(40)における放電電流が37μAとなる電力を放電装置(40)へ出力する。そして、放電装置(40)では、第1放電電力でのストリーマ放電が行われる。したがって、被処理成分の処理量の増大に対応してストリーマ放電時に生成する活性種の量が多くなり、被処理成分が効率的に分解される。
【0080】
一方、このようなA運転によって室内空間の臭気成分や有害成分がほぼ清浄化されると、使用者は、例えばリモコンから図7のE運転を開始する運転信号を運転入力信号検出部(61)へ出力する。このようにすると、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。機器運転制御部(62)の信号を受信した風量制御部(64)は、0.9m3/minの設定風量で送風を行わせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が0.9m3/minの定格運転を行う。
【0081】
また、機器運転制御部(62)の信号を受信した放電制御部(63)のON/OFF制御部(63b)は、遠心送風機(26)の風量に応じて高圧電源部(65)をOFFに切り換える信号を出力する。なお、この信号は、風量制御部(64)が遠心送風機(26)へ制御信号を出力してから上記設定時間(t)後に高圧電源部(65)に受信される。この信号を受信した高圧電源部(65)はOFFの状態となり、放電装置(40)には電力が出力されなくなる。したがって、放電装置(40)では、ストリーマ放電が行われなくなり、ストリーマ放電による被処理成分の分解が行われなくなる。
【0082】
この変形例1の空気浄化装置(10)では、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が非常に低い状態において、放電装置(40)の放電電力をOFFとすることで、省エネルギー性を重視した運転を行うことができる。なお、この運転時には、上述した触媒フィルタ(34)の吸着分解作用によって、被処理成分が分解除去される。
【0083】
また、この変形例1では、遠心送風機(26)の運転音が小さくなるD運転やE運転時に、ストリーマ放電を行わないようにしている。したがって、オフィス空間における会議時や居住空間における夜間時など、特に静粛性が望まれる状況において、ストリーマ放電で生じる放電音を確実に抑止し、空気浄化装置(10)の騒音を効果的に低減することができる。
【0084】
<実施形態1の変形例2>
次に、実施形態1に係る空気浄化装置(10)の変形例2について、図4及び図8を参照しながら説明する。この変形例2の空気浄化装置(10)は、実施形態1と同様の構成の電源手段(45)において、その制御方法が異なるものである。具体的に、変形例2における放電制御部(63)の電流制御部(63a)には、図8に示すように、遠心送風機(26)の設定風量に対応する5段階の設定放電電力(第1から第5までの設定放電電力)が設定されている。
【0085】
この変形例2の空気浄化装置において、例えば室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が著しく増大し、使用者がリモコンよりA運転を開始する信号を出力すると、遠心送風機(26)の風量が図8のA運転時の設定風量(6.0m3/min)となる。これに対応して、電流制御部(63a)が、放電装置(40)において37μAの放電電流(第1設定放電電力)でストリーマ放電を行うよう電流値設定部(65a)に信号を出力する。したがって、放電装置(40)の放電電力が最も高い放電電力となり、ストリーマ放電時に発生する活性種の量が最も多くなる。
【0086】
一方、例えば室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が著しく低くなり、使用者がリモコンよりE運転を開始する信号を出力すると、遠心送風機(26)の風量が図8のE運転時の設定風量(0.9m3/min)となる。これに対応して、電流制御部(63a)が、放電装置(40)において5.5μAの放電電流(第5設定放電電力)でストリーマ放電を行うよう電流値設定部(65a)に信号を出力する。したがって、放電装置(40)の放電電力が最も低い放電電力となり、ストリーマ放電時に発生する活性種の量が最も少なくなる。
【0087】
さらに、例えば室内空間の臭気成分や有害成分の濃度がA運転時とE運転時との中間の濃度であり、使用者がリモコンよりC運転を開始する信号を出力すると、遠心送風機(26)の風量が図8のC運転時の設定風量(2.7m3/min)となる。これに対応して、電流制御部(63a)が、放電装置(40)において20μAの放電電流(第3設定放電電力)でストリーマ放電を行うよう電流値設定部(65a)に信号を出力する。したがって、放電装置(40)の放電電力がA運転とE運転との中間の放電電力となり、ストリーマ放電時に発生する活性種の量もA運転とE運転との中間程度の量となる。
【0088】
このように、この変形例2では、遠心送風機(26)の設定風量に応じて、ストリーマ放電の放電電力を多段階に調整するようにしている。したがって、被処理成分の処理量に合わせた緻密な放電電力の切換えが可能となり、被処理空気を高エネルギー効率で清浄化さできる。
【0089】
《実施形態2》
次に、実施形態2に係る空気浄化装置(10)について図9を参照しながら説明する。実施形態2に係る空気浄化装置(10)は、実施形態1と電源手段(45)の構成が異なるものであり、それ以外の構成は実施形態1と同様の構成となっている。以下に、実施形態1と異なる点についてのみ説明する。
【0090】
図9に示すように、実施形態2の電源手段(45)には、第1高圧電源部(71)と第2高圧電源部(72)とからなる2つの高圧電源部が設けられている。両高圧電源部(71,72)は、それぞれ仕様が異なっており、放電装置(40)に異なる電力(電流)を出力するように構成されている。具体的に、第1高圧電源部(71)は、放電装置(40)において37μAの放電電流(第1設定放電電力)でストリーマ放電が行われる電力を放電装置(40)へ出力するように構成されている。一方、第2高圧電源部(72)は、放電装置(40)において5.5μAの放電電流(第2設定放電電力)でストリーマ放電が行われる電力を放電装置(40)へ出力するように構成されている。
【0091】
また、電源手段(45)には、上記第1電源手段(71)と放電装置(40)とを接続する一方、上記第2電源手段(72)と放電装置(40)とを接続しない第1状態(図9のIで示す状態)と、上記第2電源手段(72)と放電装置(40)とを接続する一方、上記第1電源手段(71)と放電装置(40)とを接続しない第2状態(図9のIIの状態)とに切り替わるスイッチ(73)が設けられている。このスイッチ(73)は、放電制御部(63)に設けられた接続電源切換部(63c)によって第1状態と第2状態とに切換え可能に構成されている。なお、上記接続電源切換部(63c)は、機器運転制御部(62)の信号を受信して制御されるように構成されている。
【0092】
−制御例−
次に実施形態2の空気浄化装置(10)の制御例について図5及び図9を参照しながら説明する。
【0093】
例えば室内空間において、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が高くなる場合、使用者は、リモコンから図5のAの運転を開始する運転信号を運転入力信号検出部(61)へ出力する。このようにすると、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。
【0094】
機器運転制御部(62)の信号を受信した風量制御部(64)は、6.0m3/minの設定風量での送風を行わせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が6.0m3/minの風量で定格運転を行う。
【0095】
また、機器運転制御部(62)の信号を受信した放電制御部(63)の接続電源切換部(63c)は、遠心送風機(26)の風量変化に対応してスイッチ(73)を第1状態に切り換える。この第1状態では、第1高圧電源部(71)と放電装置(40)とが接続されるため、放電装置(40)では、37μAの放電電流、すなわち第1設定放電電力でのストリーマ放電が行われる。したがって、被処理成分の処理量の増大に対応してストリーマ放電時に生成する活性種の量が多くなり、被処理成分が効率的に分解される。
【0096】
一方、このようなA運転によって室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が低減されると、使用者は、リモコンから図5のE運転を開始する運転信号を運転入力信号検出部(61)へ出力する。このようにすると、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。
【0097】
機器運転制御部(62)の信号を受信した風量制御部(64)は、0.9m3/minの設定風量での送風を行わせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が0.9m3/minの風量で定格運転を行う。
【0098】
また、機器運転制御部(62)の信号を受信した放電制御部(63)の接続電源切換部(63c)は、遠心送風機(26)の風量変化に対応してスイッチ(73)を第2状態に切り換える。この第2状態では、第2高圧電源部(72)と放電装置(40)とが接続されるため、放電装置(40)では、5.5μAの放電電流、すなわち第2設定放電電力でのストリーマ放電が行われる。したがって、被処理成分の処理量の減少に対応してストリーマ放電時に生成する活性種の量が小さくなり、過剰なストリーマ放電が行われず、被処理成分が効率的に分解される。
【0099】
以上のように、実施形態2では、実施形態1と異なる電源手段(45)の構成において、同様の運転制御を行うことができる。この実施形態2においても、被処理成分の処理量に応じた放電電力でのストリーマ放電を行うことで、被処理空気を効率的に清浄化させることができる。
【0100】
《実施形態3》
次に、実施形態3に係る空気浄化装置(10)について図10を参照しながら説明する。実施形態3に係る空気浄化装置(10)は、複数の放電電極(41)と、各放電電極(41)に対向する対向電極(42)が、2つの放電装置(第1放電装置(40a)と第2放電装置(40b)にブロック化されている。そして、第1放電装置(40a)に対応する第1高圧電源部(40a)と、第2放電装置(40b)に対応する第2高圧電源部(40b)とが設けられている。なお、第1高圧電源部(40a)と第2高圧電源部(40b)とは、それぞれ同じ仕様となっており、対応する放電装置において37μAの放電電流でストリーマ放電が行われる電力を各放電装置へ出力するように構成されている。また、放電制御部(63)には、上記第1,第2高圧電源部(40a,40b)をそれぞれON/OFF制御可能なON/OFF制御部(63b)が設けられている。それ以外の空気浄化装置(10)の構成は、実施形態1と同様の構成となっている。
【0101】
−制御例−
次に、実施形態3の空気浄化装置(10)の制御例について図10及び図11を参照しながら説明する。
【0102】
例えば室内空間において、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が高くなる場合、使用者は、リモコンから図11のAの運転を開始する運転信号を運転入力信号検出部(61)へ出力する。このようにすると、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。
【0103】
機器運転制御部(62)の信号を受信した風量制御部(64)は、6.0m3/minの設定風量での送風を行わせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が6.0m3/minの風量で定格運転を行う。
【0104】
また、機器運転制御部(62)の信号を受信した放電制御部(63)のON/OFF制御部(63b)は、遠心送風機(26)の風量変化に対応して第1放電装置(40a)と第2放電装置(40b)との双方がONとなるよう両電源部(71,72)に信号を出力する。このようにすると、第1放電装置(40a)と第2放電装置(40b)との双方では、37μAの放電電流でストリーマ放電が行われる。そして、第1放電装置(40a)と第2放電装置(40b)との放電電力の総和が第1設定放電電力となる。したがって、被処理成分の処理量の増大に対応してストリーマ放電時に生成する活性種の量が多くなり、被処理成分が効率的に分解される。
【0105】
一方、このようなA運転によって室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が低減されると、使用者は、例えばリモコンから図11のE運転を開始する運転信号を運転入力信号検出部(61)へ出力する。このようにすると、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。
【0106】
機器運転制御部(62)の信号を受信した風量制御部(64)は、0.9m3/minの設定風量での送風を行わせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が0.9m3/minの風量で定格運転を行う。
【0107】
また、機器運転制御部(62)の信号を受信した放電制御部(63)のON/OFF制御部(63b)は、遠心送風機(26)の風量変化に対応して例えば第1放電装置(40a)をONとし、第2放電装置(40b)をOFFとする信号をそれぞれの電源部(71,72)に出力する。このようにすると、第1放電装置(40a)では、37μAの放電電流でのストリーマ放電が行われる一方、第2放電装置(40b)では、ストリーマ放電が行われなくなる。そして、第1,第2放電装置(40a,40b)の放電電力の総和が第2設定放電電力となり、上記A運転時の放電電力の総和(第1設定放電電力)よりも小さくなる。その結果、放電装置(40)全体として生成する活性種の量が減少する。したがって、被処理成分の処理量の減少に対応して過剰なストリーマ放電が行われず、被処理成分が効率的に分解される
以上のように、実施形態3では、放電装置(40)のうち、一部の放電装置(例えば第2放電装置(40b))の放電を停止させることによって、放電装置(40)全体としての放電電力を低減させるようにしている。この場合にも、被処理成分の処理量に対応して放電電力を切り換えることができ、被処理空気を効果的に清浄化できる。
【0108】
また、実施形態3では、実施形態1のように電流制御部(63a)を設ける必要がなく、また、実施形態2のようにスイッチ(73)なども設ける必要ないため、電源手段(45)の回路構成を単純化できる。
【0109】
《実施形態4》
次に、実施形態4に係る空気浄化装置について図12を参照しながら説明する。この空気浄化装置は、実施形態1に係る空気浄化装置に、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度(被処理成分濃度)を検知する濃度検知手段(70)が備えられたものである。そして、放電制御部(63)の電流制御部(63a)は、上記濃度検知手段(70)で検知された被処理成分の検知濃度に応じて放電装置(40)の放電電力を増減させるように構成されている。また、同様に、風量制御部(64)は、上記濃度検知手段(70)で検知された被処理成分の検知濃度に応じて送風手段(40)の風量を増減させるように構成されている。
【0110】
−制御例−
次に、実施形態4の空気浄化装置(10)の制御例について図12を参照しながら説明する。実施形態4の空気浄化装置では、濃度検知手段(70)が被処理成分濃度を検知すると、この信号が運転入力信号検出部(61)へ出力される。そして、運転入力信号検出部(61)に検出された信号に基づいて、機器運転制御部(62)が放電制御部(63)及び風量制御部(64)へ制御信号を出力する。
【0111】
ここで、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度、すなわち被処理成分濃度が高く、この濃度を濃度検知手段(70)が検知した場合、風量制御部(64)は、遠心送風機(26)の風量を大風量(例えば6.0m3/min)とさせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が6.0m3/minの風量で運転を行う。同時に、放電制御部(63)の電流制御部(63a)は、高圧電源部(65)の電流値設定部(65a)に放電装置(40)における放電電力が大放電電力となる(放電電流が例えば37μAとなる)制御信号を出力する。そして、放電装置(40)では、大放電電力でのストリーマ放電が行われる。
【0112】
一方、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度、すなわち被処理成分濃度が低く、この濃度を濃度検知手段(70)が検知した場合、風量制御部(64)は、遠心送風機(26)の風量を小風量(例えば0.9m3/min)とさせる制御信号を遠心送風機(26)へ出力する。そして、遠心送風機(26)が0.9m3/minの風量で運転を行う。同時に、放電制御部(63)の電流制御部(63a)は、高圧電源部(65)の電流値設定部(65a)に放電装置(40)における放電電力が小放電電力となる(放電電流が例えば5.5μAとなる)制御信号を出力する。そして、放電装置(40)では、小放電電力でのストリーマ放電が行われる。
【0113】
このように、実施形態4では、濃度検知手段(70)で検知された被処理成分濃度に応じて遠心送風機(26)の風量及び放電装置(40)の放電電力が増減される。したがって、室内空間の臭気成分や有害成分の濃度に基づく被処理成分の処理量に相当する活性種をストリーマ放電によって生成させることができる。したがって、被処理空気を効率的に清浄化でき、空気浄化装置の省エネルギー性の向上を図ることができる。
【0114】
また、実施形態4では、濃度検知手段(70)の検知濃度に基づいて遠心送風機(26)と放電装置(40)との双方を制御するようにしているため、被処理成分の処理量に応じた自動運転処理を行うことができる。
【0115】
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0116】
上記実施形態では、遠心送風機(26)の運転切換後、設定時間(t)後に放電電力を増減させることで、定格運転時の遠心送風機(26)の風量に対応した放電電力の制御を行うようにしている。しかしながら、これ以外に、たとえば遠心送風機(26)の周波数や電流値を検出することで、遠心送風機(26)が予め設定しておいた風量に実質的に達したかを判定し、その後に放電電力を制御するようにしてもよい。
【0117】
また、上記実施形態においては、例えば室内空間の臭気成分や有害成分の濃度が低く、遠心送風機(26)の風量を小設定風量に切り換える際に、設定時間(t)後に放電電力を低減させるようにしている。しかしながら、このように遠心送風機(26)の風量が「大設定風量」から「小設定風量」に切り換わる際には、瞬時に放電電力を低減させるようにしてもよい。この場合、遠心送風機(26)の風量が「小設定風量」となるまでの間に、ストリーマ放電時の放電音が使用者の耳に聞こえやすくなってしまうことを確実に抑制できる。
【0118】
また、実施形態4では、濃度検知手段(70)で検知された被処理成分濃度に応じて、遠心送風機(26)の風量と放電装置(40)の放電電力との双方を増減させるようにしている。しかしながら、これ以外に、濃度検知手段(70)で検知された被処理成分濃度に応じて、放電装置(40)の放電電力のみを増減させるようにしてもよい。この場合、例えば遠心送風機(26)の風量は一定とし、被処理成分濃度に基づいて放電電力を増減させることで、被処理成分の処理量に相当する活性種をストリーマ放電によって生成させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の空気浄化装置は、民生用の空気浄化装置、さらには業務用の空気浄化装置において有用である。
【符号の説明】
【0120】
(10) 空気浄化装置
(26) 送風手段
(40) 放電装置(40a,40b)
(41) 放電電極
(42) 対向電極
(45) 電源手段
(63) 放電制御部
(64) 風量制御部
(65) 高圧電源(71,72)
(70) 濃度検知手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電電極(41)と、該放電電極(41)に対向する対向電極(42)との間でストリーマ放電を行う放電装置(40)と、両電極(41,42)へ電圧を印加する電源手段(45)と、上記放電装置(40)へ被処理空気を流通させる送風手段(26)とを備え、上記ストリーマ放電によって被処理空気中の被処理成分を分解する空気浄化装置であって、
上記送風手段(26)の風量に応じて上記放電装置(40)の放電電力を増減させる放電制御部(63)を備えていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空気浄化装置において、
送風手段(26)の風量を複数の設定風量に切り換える風量制御部(64)を備え、
放電制御部(63)には、複数の設定放電電力が設定され、
放電制御部(63)は、送風手段(26)の各設定風量に応じて放電電力を各設定放電電力に切り換えるように構成されていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項3】
請求項2に記載の空気浄化装置において、
放電制御部(63)は、風量制御部(64)が送風手段(26)の風量を切換えてから設定時間(t)後に放電電力を切り換えるように構成されていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項4】
放電電極(41)と、該放電電極(41)に対向する対向電極(42)との間でストリーマ放電を行う放電装置(40)と、両電極(41,42)へ電圧を印加する電源手段(45)と、上記放電装置(40)へ被処理空気を流通させる送風手段(26)とを備え、上記ストリーマ放電によって被処理空気中の被処理成分を分解する空気浄化装置であって、
被処理空気中の被処理成分濃度を検知する濃度検知手段(70)を備え、
上記濃度検知手段(70)の検知濃度に応じて上記放電装置(40)の放電電力を増減させる放電制御部(63)を備えていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項5】
請求項4に記載の空気浄化装置において、
濃度検知手段(70)の検知濃度に応じて送風手段(26)の風量を増減させる風量制御部(64)を備えていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項1】
放電電極(41)と、該放電電極(41)に対向する対向電極(42)との間でストリーマ放電を行う放電装置(40)と、両電極(41,42)へ電圧を印加する電源手段(45)と、上記放電装置(40)へ被処理空気を流通させる送風手段(26)とを備え、上記ストリーマ放電によって被処理空気中の被処理成分を分解する空気浄化装置であって、
上記送風手段(26)の風量に応じて上記放電装置(40)の放電電力を増減させる放電制御部(63)を備えていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空気浄化装置において、
送風手段(26)の風量を複数の設定風量に切り換える風量制御部(64)を備え、
放電制御部(63)には、複数の設定放電電力が設定され、
放電制御部(63)は、送風手段(26)の各設定風量に応じて放電電力を各設定放電電力に切り換えるように構成されていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項3】
請求項2に記載の空気浄化装置において、
放電制御部(63)は、風量制御部(64)が送風手段(26)の風量を切換えてから設定時間(t)後に放電電力を切り換えるように構成されていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項4】
放電電極(41)と、該放電電極(41)に対向する対向電極(42)との間でストリーマ放電を行う放電装置(40)と、両電極(41,42)へ電圧を印加する電源手段(45)と、上記放電装置(40)へ被処理空気を流通させる送風手段(26)とを備え、上記ストリーマ放電によって被処理空気中の被処理成分を分解する空気浄化装置であって、
被処理空気中の被処理成分濃度を検知する濃度検知手段(70)を備え、
上記濃度検知手段(70)の検知濃度に応じて上記放電装置(40)の放電電力を増減させる放電制御部(63)を備えていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項5】
請求項4に記載の空気浄化装置において、
濃度検知手段(70)の検知濃度に応じて送風手段(26)の風量を増減させる風量制御部(64)を備えていることを特徴とする空気浄化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−148614(P2009−148614A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89332(P2009−89332)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【分割の表示】特願2004−78378(P2004−78378)の分割
【原出願日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【分割の表示】特願2004−78378(P2004−78378)の分割
【原出願日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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