説明

空気浄化装置

【課題】透過膜を用いる空気浄化装置において、送風手段を簡素化する。
【解決手段】外気が流れる外気流路12と、内気が流れる内気流路11と、外気流路12と内気流路11との境界に配置され、外気流路12側と内気流路11側との間で気体を選択的に透過させる透過膜10bと、透過膜10bの外気流れ上流側で透過膜10b近傍の外気圧力より高い外気圧力、あるいは透過膜10bの外気流れ下流側で透過膜10b近傍の外気圧力より低い外気圧力の少なくとも一方を発生させる差圧発生手段20とを備え、差圧発生手段20によって発生した外気圧力の圧力差によって、外気流路12に外気の流れを発生させる。差圧発生手段として、透過膜10bの外気流れ下流側に設けられた内燃機関20を用いることで、内燃機関20の吸気圧によって、透過膜10bの外気流れ下流側で透過膜10b近傍の外気圧力より低い外気圧力を発生させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過膜を用いて外気と内気との間で特定種類のガスを選択的に透過させる空気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、外気と内気の境界に透過膜を設け、外気と内気との間で特定種類のガス(例えば酸素、二酸化炭素)を選択的に透過させる空気浄化装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の装置では、乗員の呼吸によって内気の酸素濃度が外気の酸素濃度よりも低下するとともに内気の二酸化炭素濃度が外気の二酸化炭素濃度よりも上昇すると、外気と内気の濃度差によって外気側の酸素が透過膜を透過して室内に導入されるとともに内気側の二酸化炭素が透過膜を透過して室外に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−120496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、透過膜を用いる空気浄化装置では、透過膜に新鮮な外気および内気の供給がなされないと、透過膜近傍に外気または内気が滞留し、外気と内気の濃度差がほとんどなくなって透過膜の透過性能の低下を招いてしまうおそれがある。このため、透過膜を用いる空気浄化装置では、透過膜に外気を供給する外気送風機と内気を供給する内気送風機の両方が必要となる。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、透過膜を用いる空気浄化装置において、送風手段を簡素化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の発明では、外気が流れる外気流路(12)と、内気が流れる内気流路(11)と、一方の面が前記外気流路(12)の外気と接触し、かつ他方の面が前記内気流路(11)の内気と接触するように前記外気流路(12)と前記内気流路(11)との境界に配置され、前記外気流路(12)側と前記内気流路(11)側との間で気体を選択的に透過させる透過膜(10b)と、前記透過膜(10b)の外気流れ上流側で前記透過膜(10b)近傍の外気圧力より高い外気圧力、あるいは前記透過膜(10b)の外気流れ下流側で前記透過膜(10b)近傍の外気圧力より低い外気圧力の少なくとの一方を発生させる差圧発生手段(20)とを備え、前記差圧発生手段(20)によって発生した外気圧力の圧力差によって、前記外気流路(12)に外気の流れを発生させることを特徴としている。
【0007】
このような差圧発生手段としては、透過膜(10b)の外気流れ上流側で透過膜(10b)近傍の外気圧力より高い外気圧力、あるいは透過膜(10b)の外気流れ下流側で透過膜(10b)近傍の外気圧力より低い外気圧力の少なくとも一方を発生させることができるものであれば、任意の既存の装置を用いることができる。このため、透過膜(10b)に外気を供給することのみを目的とした外気送風機を設ける必要がなく、空気浄化装置の送風手段を簡略化することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明では、前記差圧発生手段は、前記透過膜(10b)の外気流れ下流側に設けられ、外気と燃料との混合気を吸入し燃焼させる内燃機関(20)であり、前記内燃機関(20)は、吸気圧によって、前記透過膜(10b)の外気流れ下流側で前記透過膜(10b)近傍の外気圧力より低い外気圧力を発生させることを特徴としている。
【0009】
これにより、内燃機関(20)の吸気圧によって、外気流路(12)に外気の流れを発生させることができるので、透過膜(10b)に外気を供給することのみを目的とした外気送風機を設ける必要がない。これにより、空気浄化装置の送風手段を簡略化することができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、前記外気流路(12)における前記透過膜(10b)と前記内燃機関(20)との間に、外気の圧力変動を吸収するためのサージタンク(21)を備えることを特徴としている。
【0011】
これにより、内燃機関(20)の吸気圧の変動によって、外気流路(12)で外気が圧力変動することを極力抑えることができ、外気の圧力変動に起因する透過膜10bの破損を防止することができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明では、前記内燃機関(20)に供給されるすべての外気が前記透過膜(10b)に供給されることを特徴としている。
【0013】
これにより、例えば内燃機関(20)が小排気量の場合には、外気流路(12)の外気流量を確保することができる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明では、前記内燃機関(20)に供給される一部の外気が前記透過膜(10b)に供給されることを特徴としている。
【0015】
これにより、例えば内燃機関(20)が大排気量の場合には、透過膜(10b)の表面を流れる外気流量が必要以上に多くなり過ぎることを防止でき、透過膜(10b)を破損することを防止できる。
【0016】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の空気浄化装置の概念図である
【図2】透過膜ユニットの断面図である。
【図3】第2実施形態の空気浄化装置の概念図である
【図4】第3実施形態の空気浄化装置の概念図である
【図5】第4実施形態の空気浄化装置の概念図である
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明の空気浄化装置を車両に適用した第1実施形態について図1、図2に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本実施形態の空気浄化装置1の構成を示す概念図である。図1に示すように、空気浄化装置1は、透過膜ユニット10を備えている。透過膜ユニット10には、内気流路11を介して車室内の内気が供給され、外気流路12を介して車室外の外気が供給される。外気流路12は、後述するエンジン20の吸気経路を構成している。なお、内気とは、外部と遮断された空間(本実施形態では車室内)の内部に存在する空気であり、外気とは、外部と遮断された空間の外部に存在する空気(大気)である。
【0020】
図2は、透過膜ユニット10の断面図である。透過膜ユニット10は、内気流路11と外気流路12を構成する流路形成部材10aを備えている。内気流路11と外気流路12との境界には、透過膜10bが設けられている。
【0021】
透過膜10bは、特定種類の気体(例えば酸素、二酸化炭素、水蒸気)が透過しやすいが他の種類定の成分の気体(例えば窒素)は透過しにくいというものである。透過膜10bの材料としては、シリコーン等の気体透過性高分子の膜やセロファンやセラミックの多孔体や不織布等を用いることができる。透過膜10bは、外気流路12に露出する面に外気が接触し、内気流路11に露出する面に内気が接触することで、外気と内気との間で特定種類の気体を選択的に透過させることができる。
【0022】
また、透過膜10bは、特定種類の気体(例えば酸素、二酸化炭素、水蒸気)における内気中の濃度と外気中の濃度との差によって透過性能が発揮されるようになっている。そして、透過膜10bの内気側と外気側との間に、真空ポンプ等の差圧発生手段により大きな圧力差を設けることなく、すなわち内気と外気との間に差圧がない状態においても、透過膜10bの透過性能が発揮されるようになっている。
【0023】
透過膜10bは、例えば襞折りにされた板状に形成することで、透過膜10bの表面積を大きくすることでき、透過性能を向上させることができる。また、図示を省略しているが、透過膜10bにはセラミック、繊維、多孔質金属、多孔質樹脂または樹脂スクリーンメッシュ等からなる支持体が積層されている。透過膜10bは、気体を透過し易くするために膜厚が薄くなっているため、支持体によって支持されている。
【0024】
本実施形態の透過膜10bは、表面および内部の孔径が透過対象ガス(酸素、二酸化炭素、水蒸気)の平均自由行程以下となっている。平均自由行程とは、気体分子同士の衝突から次の衝突までの間に進む距離であり、気体分子の種類に依存する。これにより、透過膜10bに気体を透過させた場合に、膜を透過する気体の流れにおいてクヌーセン(Knudsen)流が支配的となる。「クヌーセン流」とは、分子の動きが問題となるほど希薄な気体の流れをいい、ガスの透過速度がその分子量に依存するという特徴を有している。また、「クヌーセン流が支配的」とは、ガスの透過速度がその分子量に依存するようになることをいう。
【0025】
透過膜10bを透過する気体の流れは、透過膜10bの孔径が小さくなるに従って、粘性流→クヌーセン流→溶解拡散流に変化する。クヌーセン流が生じる孔径は、下限が分子サイズの1nm程度であり、上限が透過対象ガス(酸素、二酸化炭素、水蒸気)の平均自由行程である50nm程度である。
【0026】
粘性流は、圧力の高い方から低い方に流れるので、外気と内気の圧力差によって気体の流れる方向が決まる。このため、外気と内気とで濃度差がない気体(例えば窒素)でも、内外気の圧力差によって選択膜24を透過することとなり、外気と内気とで濃度差がある気体(例えば酸素、二酸化炭素、水蒸気)のみを選択的に透過させることができない。
【0027】
これに対し、クヌーセン流では、分子同士が衝突する前に膜の孔内の壁面に衝突するので、外気と内気の圧力差の影響を受けることがなく、外気と内気とで濃度差がある気体(酸素、二酸化炭素、水蒸気)のみを選択的に透過させることができる。このため、透過膜10bの孔径を透過対象ガス(酸素、二酸化炭素、水蒸気)の平均自由行程以下とすることで、外気と内気とで濃度差がある気体のみを選択的に透過させることができる。
【0028】
また、溶解拡散流では、気体分子が膜の上流表面に溶解し、下流方向に膜内を分子拡散により移動するので、外気と内気の圧力差の影響を受けないが、膜の孔径が小さくなるほど、膜を透過する気体の速度が小さくなる。このため、気体の透過速度を確保するためには、透過膜10bの孔径が大きくすることが望ましく、少なくとも分子サイズである1nmより大きくすることが望ましい。
【0029】
図1に戻り、内気流路11には、第1内気導入口13から車室内の内気が導入される。第1内気導入口13は、車室内前方のインストルメンタルパネルに設けられている。内気流路11の透過膜ユニット10より下流側は、空調ケース14に接続されている。空調ケース14内には、空調風を車室内に送風するための空調用送風機15が設けられている。本実施形態の空調用送風機15は、内気流路11に内気の流れを発生させる内気送風手段を構成している。
【0030】
本実施形態の空調用送風機15は、2つの送風ファン15a、15bが同軸上に設けられた二層式送風機として構成されている。空調用送風機15の下方側送風ファン15aによって、内気流路11に内気の流れを発生させることができる。また、空調用送風機15の上方側送風ファン15bは、第2内気導入口16より導入された車室内の内気を送風する。第1内気導入口13から導入され透過膜ユニット10を通過した内気と、第2内気導入口16から導入された内気は、送風口17から排出される。なお、図示を省略しているが、送風口17の下流側には、温度調整用熱交換器や車室内に空調風を吹き出すための吹出口が設けられている。
【0031】
外気流路12には、外気導入口18から車室外の外気が導入される。外気流路12における透過膜ユニット10の上流側には、空気中の塵埃等を除去するためエアフィルタ19が設けられている。本実施形態のエアフィルタ19は、エンジン吸気用のフィルタと透過膜用のフィルタを兼用している。
【0032】
外気流路12における透過膜ユニット10の下流側には、エンジン20が設けられている。エンジン20は、シリンダ内部で燃料と空気の混合気を燃焼する内燃機関として構成されており、車両走行用の駆動源となるものである。外気流路12におけるエンジン20の上流側には、エンジン20の吸入圧の変動を吸収するサージタンク21と、エンジン20に供給される空気量を調整するためのスロットルバルブ22が設けられている。エンジン20は、ガソリンエンジンでもディーゼルエンジンでもよい。また、本実施形態の車両は、エンジン20のみを走行用駆動源とする車両でもよく、エンジン20の他に走行用電動モータを備えるハイブリッド車でもよい。
【0033】
なお、本実施形態では、透過膜ユニット10、内気流路11、空調ケース14等は、隔壁(ファイヤーウォール)23の内側に設けられ、外気流路12の大部分、エンジン20等は、隔壁23の外側に設けられている。
【0034】
内燃機関として構成されたエンジン20は、作動によってシリンダ内部で負圧(吸入圧)が発生する。つまり、外気流路12における透過膜10b近傍の外気圧力P0とエンジン20の吸気圧P1との関係がP0>P1となる。透過膜10b近傍の外気圧力P0は、ほぼ大気圧に等しい。この圧力差によって、車室外の外気が外気流路12に導入され、外気流路12に外気の流れが発生する。このため、エンジン20が本発明の差圧発生手段を構成している。
【0035】
外気流路12に導入された外気は、透過膜ユニット10に供給された後で、エンジン20に供給される。このため、外気流路12がエンジン20の吸気経路を構成している。なお、本実施形態では、エンジン20に供給される外気のすべてが透過膜ユニット10を通過するように構成されている。
【0036】
透過膜ユニット10には、内気送風機15によって内気が供給され、エンジン20の吸気によって外気が供給される。内気と外気との間で濃度差がある気体(例えば、酸素、二酸化炭素、水蒸気)は、透過膜10bを介して高濃度側から低濃度側に移動する。通常、車室内の内気は、乗員の呼吸等によって、酸素濃度が低く、二酸化炭素濃度が高く、湿度が高くなっているので、透過膜10bによる分子交換によって、内気の酸素濃度、二酸化炭素濃度、湿度を外気に近づけることができる。
【0037】
以上説明した本実施形態の構成によれば、エンジン20の吸気圧によって、外気流路12に外気の流れを発生させることができるので、透過膜10bに外気を供給することのみを目的とした外気送風機を設ける必要がない。これにより、空気浄化装置1の送風手段を簡略化することができる。
【0038】
また、エンジン20は、スロットルバルブ22の開度によってエンジン20の吸気量が変動し、吸気圧(外気の圧力)が変動する。透過膜10bは、上述のように膜厚が薄くなっているため、外気の圧力変動によって破損するおそれがある。これに対し、本実施形態ではサージタンク21を設けているので、外気流路12における外気の圧力変動を極力抑えることができ、外気の圧力変動に起因する透過膜10bの破損を防止することができる。
【0039】
また、本実施形態では、エンジン20に供給される外気のすべてが透過膜ユニット10を通過するので、外気流路12の外気流量を多くすることができる。これは、例えばエンジン20が小排気量の場合には特に有効である。
【0040】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図3に基づいて説明する。上記第1実施形態では、エンジン20に供給される外気のすべてが透過膜ユニット10を通過するように構成したのに対し、本第2実施形態ではエンジン20に供給される外気の一部が透過膜ユニット10を通過するように構成している。以下、上記第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0041】
図3は、本第2実施形態の空気浄化装置1の構成を示す概念図である。図3に示すように、本第2実施形態では、外気流路12とは別に、エンジン20に外気を供給するための吸気経路24が設けられている。吸気経路24には、吸気口25から外気が導入される。また、吸気経路24には、エンジン用エアフィルタ26が設けられている。吸気経路24におけるエンジン用エアフィルタ26の下流側には、外気流路12の下流側端部が接続されている。このため、外気流路12を通過した外気は、吸気経路24におけるエンジン用エアフィルタ26の下流側に流入する。
【0042】
このような構成によっても、エンジン20の吸気圧によって、外気導入口18から外気流路12に外気を導入し、外気流路12に外気の流れを発生させることができ、透過膜ユニット10に外気を供給することができる。このため、透過膜10bに外気を供給することのみを目的とした外気送風機を設ける必要がない。これにより、空気浄化装置1の送風手段を簡略化することができる。
【0043】
また、エンジン20が大排気量の場合に、上記第1実施形態のようにエンジン20に供給される外気のすべてが透過膜ユニット10を通過する構成では、透過膜10bが破損するおそれがある。これに対し、本第2実施形態では、エンジン20に供給される外気の一部が透過膜ユニット10を通過するので、透過膜10bの表面を流れる外気流量が必要以上に多くなり過ぎることを防止でき、透過膜10bが破損することを防止できる。
【0044】
また、本第2実施形態の構成によれば、従来から車両に備わっているエンジン20の吸気経路24に外気流路12を接続するだけでよく、既存の装置に大きな変更を加えることなく、空気浄化装置1を車両に搭載することができる。
【0045】
また、本第2実施形態では、外気流路12が吸気経路24から独立しているので、外気流路12のレイアウトの自由度が増加する。例えば、透過膜10bより上流側の外気流路12を短く構成した場合には、外気流路12で発生する圧力損失を小さくすることができるので、外気流路12における透過膜10b近傍の外気圧力P0とエンジン20の吸気圧P1との圧力差を大きくすることができる。この結果、外気流路12での外気の流れを容易に発生させることができる。
【0046】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図4に基づいて説明する。上記第2実施形態では、外気導入口18から外気流路12に外気を導入するように構成したのに対し、本第3実施形態では吸気経路24から外気流路12に外気を導入するように構成している。以下、上記各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0047】
図4は、本第3実施形態の空気浄化装置1の構成を示す概念図である。図4に示すように、外気流路12の上流側端部は、吸気経路24におけるエンジン用エアフィルタ26に上流側に接続されている。このため、吸気経路24に吸入された外気の一部が外気流路12に流入する。
【0048】
このような構成によっても、エンジン20の吸気圧によって、外気流路12に外気を導入し、外気流路12に外気の流れを発生させることができ、透過膜ユニット10に外気を供給することができる。このため、透過膜10bに外気を供給することのみを目的とした外気送風機を設ける必要がない。これにより、空気浄化装置1の送風手段を簡略化することができる。
【0049】
また、吸気経路24では、エンジン用エアフィルタ26の圧力損失によって、エンジン用エアフィルタ26の上流側と下流側の圧力差が大きくなる。このため、吸気経路24におけるエンジン用エアフィルタ26の上流側と下流側の圧力差によって、外気流路12に容易に外気の流れを発生させることができる。
【0050】
また、吸気口25は車両前端部に設けられ、清浄な外気を得やすいので、吸気経路24から外気流路12に外気を導入することで、透過膜ユニット10に清浄な外気を供給することができる。
【0051】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図5に基づいて説明する。上記第3実施形態では、吸気経路24のエンジン用エアフィルタ26の上流側から外気流路12に外気を導入するように構成したのに対し、本第4実施形態では吸気経路24のエンジン用エアフィルタ26の下流側から外気流路12に外気を導入するように構成している。以下、上記各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0052】
図5は、本第4実施形態の空気浄化装置1の構成を示す概念図である。図5に示すように、本第4実施形態では、外気流路12の上流側端部を吸気経路24のエンジン用エアフィルタ26の下流側に接続している。外気流路12の上流側端部は、吸気経路24における外気流路12の下流側端部との接続部より上流側に接続されている。
【0053】
本第4実施形態では、外気流路12の上流側端部と下流側端部をともに、吸気経路24におけるエンジン用エアフィルタ26の下流側に接続しているが、車両の構成上、吸気経路24におけるエンジン用エアフィルタ26の下流側が長くなっている場合には、吸気経路24の圧力損失によって、吸気経路24と外気流路12の上流側端部との接続部位と、吸気経路24と下流側端部との接続部位の圧力差が大きくなる。この結果、外気流路12に外気の流れを発生させることができる。
【0054】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0055】
例えば、上記各実施形態では、本発明の空気浄化装置を車両に適用した例について説明したが、これに限らず、本発明は内燃機関を備える船舶等といった車両以外の用途にも適用可能である。
【0056】
また、上記各実施形態では、外気流路12の下流側端部をエンジン20の吸気側に接続したが、これに限らず、エンジン20の排気側に接続してもよい。この場合、例えば排気ガス経路と外気流路12との接続部にエジェクタを設け、排気ガスの噴射流によって発生する負圧を利用して外気を吸引させるようにすればよい。
【0057】
また、上記各実施形態では、走行用駆動源のエンジン20を用いた例について説明したが、これに限らず、空調装置の冷凍サイクルの冷媒圧縮機を駆動するためのサブエンジン等を用いてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、差圧発生手段(負圧発生手段)としてエンジン20を用いた例について説明したが、差圧発生手段(負圧発生手段)は、透過膜10b近傍の外気圧力P0より低い圧力を透過膜10bの外気流れ下流側で発生させることができればよく、エンジン以外の差圧発生手段(負圧発生手段)を用いてもよい。例えば、差圧発生手段(負圧発生手段)として、燃料電池の空気供給用ファン、バッテリ冷却用ファン、熱交換器用ファンといった送風手段を透過膜10bの外気流れ下流側に設けてもよい。これらの送風手段によれば、吸込口で透過膜10b近傍の外気圧力P0より低い圧力(負圧)を発生させることができ、外気流路12で外気の流れを発生させることができる。
【0059】
また、上記実施形態では、差圧発生手段として、透過膜10b近傍の外気圧力P0より低い圧力(負圧)を透過膜10bの外気流れ下流側で発生させる負圧発生手段(エンジン20)を用いた例について説明したが、これに限らず、差圧発生手段として、透過膜10b近傍の外気圧力P0より高い圧力(正圧)を透過膜10bの外気流れ上流側で発生させる正圧発生手段を用いてもよい。正圧発生手段としては、例えば外気導入口18を車両進行方向に向かって開口させることで、車両の走行に伴って走行風による圧力(走行動圧)を発生させることができ、透過膜10b近傍の外気圧力P0より高い圧力(正圧)を透過膜10bの外気流れ上流側で発生させることができる。これにより、外気流路12で外気の流れを発生させることができる。
【0060】
また、外気導入口18を車両進行方向に向かって開口させる構成に加えて、外気流路12の下流側端部を車両床面で開口させることで、走行中の車両がもたらす床下の負圧(ラム圧)を利用して、透過膜10b近傍の外気圧力P0より低い圧力(負圧)を透過膜10bの外気流れ下流側で発生させることができる。これにより、外気流路12での外気の流れを増大させることができる。
【0061】
また、上記各実施形態では、透過膜ユニット10を隔壁23の内側に配置したが、これに限らず、透過膜ユニット10を隔壁23の外側に配置してもよい。
【0062】
また、上記各実施形態では、外気流路12における透過膜10bの下流側にサージタンク21を設けたが、例えば一定出力で作動するエンジン20を用いるような場合には、吸気圧が変動しないので、サージタンク21を省略することができる。サージタンク21を省略する場合には、サージタンク21に起因する圧力損失を無くすことができ、外気流路12で外気を流れを流れやすくすることができるとともに、空気浄化装置の小型化を図ることができる。
【0063】
また、上記各実施形態では、空調用送風機15(内気送風機)として、2つの送風ファン15a、15bが同軸上に設けられた二層式送風機を用いたが、これに限らず、他の構成の送風機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 透過膜ユニット
10a 流路形成部材
10b 透過膜
11 内気流路
12 外気流路
15 空調用送風機(内気送風手段)
20 エンジン(差圧発生手段)
21 サージタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気が流れる外気流路(12)と、
内気が流れる内気流路(11)と、
一方の面が前記外気流路(12)の外気と接触し、かつ他方の面が前記内気流路(11)の内気と接触するように前記外気流路(12)と前記内気流路(11)との境界に配置され、前記外気流路(12)側と前記内気流路(11)側との間で気体を選択的に透過させる透過膜(10b)と、
前記透過膜(10b)の外気流れ上流側で前記透過膜(10b)近傍の外気圧力より高い外気圧力、あるいは前記透過膜(10b)の外気流れ下流側で前記透過膜(10b)近傍の外気圧力より低い外気圧力の少なくとも一方を発生させる差圧発生手段(20)とを備え、
前記差圧発生手段(20)によって発生した外気圧力の圧力差によって、前記外気流路(12)に外気の流れを発生させることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項2】
前記差圧発生手段は、前記透過膜(10b)の外気流れ下流側に設けられ、外気と燃料との混合気を吸入し燃焼させる内燃機関(20)であり、
前記内燃機関(20)は、吸気圧によって、前記透過膜(10b)の外気流れ下流側で前記透過膜(10b)近傍の外気圧力より低い外気圧力を発生させることを特徴とする請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項3】
前記外気流路(12)における前記透過膜(10b)と前記内燃機関(20)との間に、外気の圧力変動を吸収するためのサージタンク(21)を備えることを特徴とする請求項2に記載の空気浄化装置。
【請求項4】
前記内燃機関(20)に供給されるすべての外気が前記透過膜(10b)に供給されることを特徴とする請求項2または3に記載の空気浄化装置。
【請求項5】
前記内燃機関(20)に供給される一部の外気が前記透過膜(10b)に供給されることを特徴とする請求項2または3に記載の空気浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−11879(P2012−11879A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149676(P2010−149676)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】