説明

空気清浄器およびその制御方法

【課題】プレフィルタとメインフィルタとについて、個別に適切な交換時期を報知する。
【解決手段】制御手段は、プレフィルタが目詰まりを起こした場合とプレフィルタの耐用期間が終了した場合の何れか一方の場合に、当該プレフィルタの交換を要する旨を表示するように表示手段を制御する。それとともに、プレフィルタの目詰まりの発生を検出した回数と前記プレフィルタの耐用期間終了を検出した回数とが所定の条件
Z=N+C×M (1)
但し、N:プレフィルタの目詰まりの発生を検出した回数
M:プレフィルタの耐用期間終了を検出した回数
C:補正係数
を満たした場合に、当該メインフィルタの交換を要する旨を表示するように表示手段を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、全般に、空気清浄器およびその制御方法に関し、特に空気清浄器でのエアフィルタの交換に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な空気清浄器は、吸気を複数のフィルタに通す。例えば特許文献1に開示された空気清浄器は、空気清浄器本体の吸気側にあてがうフィルタ(プレフィルタ)を下流側のフィルタ(メインフィルタ)よりも寿命の短いものとし、予め設定された経過時間の間隔に基づいて、プレフィルタを取り替えるための警告信号を提供する。メインフィルタが実際に目詰まりしたのか、或いは経時的に劣化して耐用期間を終了したのか、に拘わらず警告信号は発生する。これは、室内の空気に含まれる粒子の量に依存して、フィルタが詰まる時間がばらつくからである。複数のフィルタがある他の空気清浄器は、交換の必要性を合図するためにフィルタの下流に表示器を浮かす圧力計を備えた装置を使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2755200号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、プレフィルタとメインフィルタとについて、個別に適切な交換時期を報知することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、ハウジングと、前記ハウジング内に収容されて当該ハウジング内に空気を吸引するファンと、前記ハウジングの空気通路に配置されるプレフィルタと、前記ハウジング内の前記プレフィルタと前記ファンとの間に配置されるメインフィルタとを備えている空気清浄器において、各フィルタの交換要否を個別に表示可能な表示手段と、表示手段の表示を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記プレフィルタの交換時期を検出した場合に当該プレフィルタ交換用の表示を、前記メインフィルタの交換時期を検出した場合に当該メインフィルタ交換用の表示をそれぞれ個別に出力するように前記表示手段を制御するものであることを特徴とする空気清浄器である。
【0006】
特に好ましい態様において、前記制御手段は、前記プレフィルタが目詰まりを起こした場合と前記プレフィルタの耐用期間が終了した場合の何れか一方の場合に、当該プレフィルタの交換を要する旨を表示するように前記表示手段を制御するとともに、前記プレフィルタの目詰まりの発生を検出した回数と前記プレフィルタの耐用期間終了を検出した回数とが所定の条件を満たした場合に、当該メインフィルタの交換を要する旨を表示するように前記表示手段を制御するものである。
【0007】
この態様では、プレフィルタの目詰まりや耐用期間終了の履歴に基づいて、特別な流量計や流速計を設けることなく、比較的精緻にメインフィルタの耐用期間終了を推定することが可能になる。プレフィルタの交換履歴とメインフィルタの耐用期間との関係は、本発明者による以下の知見によって明らかになった。
【0008】
まず第1に、本件発明者は、鋭意研究の結果、プレフィルタの目詰まりの回数が、メインフィルタの耐用期間終了と相関的な関係にあることを見出した。ある条件下では、プレフィルタの交換回数が所定の値を越えると、メインフィルタは交換が必要なほど劣化する。そのため、プレフィルタの交換回数がそのようなリミット値を越えた場合、メインフィルタは耐用期間を終了していると解してよいことになる。しかも、プレフィルタの目詰まりは、メインフィルタが新しい間は、ファンを駆動するときのモータ回転数に基づいて、容易且つ正確に検出することが可能である。そこで、本態様では、プレフィルタの目詰まりの回数に基づいて、メインフィルタの耐用期間終了を推定しているのである。
【0009】
次に、本件発明者は、プレフィルタの目詰まりと耐用期間終了との関係に着目した。同じ作業エリアであっても、煙の多く出るはんだ付け作業を行う場合もあれば、煙の少ないはんだ付け作業を行う場合もある。そのため、プレフィルタの目詰まりが生じる前に、プレフィルタが経時的に劣化し、耐用期間が終了して、交換される場合もある。しかし、プレフィルタが目詰まりせずに経時劣化する運転状況でも、メインフィルタの劣化は進行する。そこで、プレフィルタが劣化した回数も制御のパラメータとすることにより、一層、正確にリミット値を演算することが可能になったのである。
【0010】
好ましい態様において、前記制御手段は、前記プレフィルタの目詰まりの発生を検出した回数をNとしてカウントする処理と、前記プレフィルタの耐用期間終了を検出した回数をMとしてカウントする処理と、予め設定された補正係数をCとして、次式のカウント値Z
Z=N+C×M (1)
を演算する処理と、前記カウント値Zが予め設定されたリミット値を越えた場合に、当該メインフィルタの交換を要する旨を表示する処理とを実行するものである。この態様では、式(1)によって、プレフィルタの好適な交換タイミングとメインフィルタの好適な交換タイミングとが個別に推定されるので、ユーザに対し、何れのフィルタを交換すべきか、適切に報知することができる。本件発明者が行ったある実施形態では、前記カウント値Zが10のとき、メインフィルタが耐用期間を終了することが確認された。また、本件発明者が行ったある実施形態では、カウント値Zを10とした場合、補正係数Cは、0.5が好適であることが確認された。無論、補正係数Cの値は、後述する実施形態において、詳しく例示しているように、0.5以外の値をとることができる。
【0011】
好ましい態様において、前記メインフィルタは、溶断制御可能なヒューズを含み、前記制御手段は、前記カウント値Zが前記リミット値を越えた場合に、当該ヒューズを溶断するものである。この態様では、メインフィルタの耐用期間終了と判断される運転状況において、ヒューズを溶断することにより、当該メインフィルタの耐用期間終了を確実に識別することができる。
【0012】
好ましい態様において、前記メインフィルタは、新品の場合に定格風量で0.3μmの粒子を少なくとも98%濾過する吸着型フィルタであり、前記プレフィルタは、新品の場合に定格風量で0.3μmの粒子を少なくとも65%濾過するものであり、前記カウント値Zは、10であり、前記補正係数Cは、0.5である。この態様では、極めて精緻にメインフィルタの耐用期間終了を推定し、適切なタイミングでプレフィルタの交換要否とメインフィルタの交換要否をそれぞれユーザに報知することができる。
【0013】
好ましい態様において、前記メインフィルタは、溶断制御可能なヒューズを含むものである。この態様では、所要の場合にヒューズを溶断操作することによって、メインフィルタの交換要否を確実に識別することができる。
【0014】
好ましい態様において、前記制御手段は、前記メインフィルタの耐用期間終了を検出するとともに、前記メインフィルタの耐用期間終了が検出された場合に、当該ヒューズを溶断するものである。
【0015】
好ましい態様において、前記ファンを駆動するときのモータ回転数を検出するセンサと、前記プレフィルタの目詰まりに対応するモータ回転数リミット値を記憶するモータ回転数リミット値記憶手段とを備え、前記制御手段は、検出された前記モータ回転数を前記モータ回転数リミット値記憶手段に記憶された前記モータ回転数リミット値と比較する処理を実行し、前記モータ回転数が前記モータ回転数リミット値を越えた場合に、当該プレフィルタが目詰まりしたと判定し、プレフィルタの交換を要する旨を表示するように前記表示手段を制御するものである。この態様では、予め、モータ回転数リミット値をモータ回転数リミット値記憶手段に記憶しておき、検出されたモータ回転数とモータ回転数リミット値とを比較することによって、精緻にプレフィルタの目詰まりを推定し、適切なタイミングで交換の要否を表示することが可能になる。すなわち、プレフィルタが目詰まりを起こしている場合、空気流量が低下して負荷が小さくなり、モータ回転数が上昇する現象を利用し、実験等に基づいて適切なモータ回転数リミット値を設定することにより、モータ回転数に基づいて、プレフィルタの目詰まりを推定することができるのである。なお、モータ回転数は、ファンを駆動する駆動装置(モータ)の回転数が好ましいが、ファンとモータ軸の回転の比率は一定であるので、所定の場合には、ファンの回転数を検出することとしてもよい。
【0016】
好ましい態様において、前記プレフィルタの耐用期間終了に対応するプレフィルタ作動タイムリミット値を記憶するプレフィルタ作動タイムリミット値記憶手段を備え、前記制御手段は、前記プレフィルタの累積作動時間を積算する処理を実行し、前記プレフィルタの累積作動時間が前記プレフィルタ作動タイムリミット値を越えた場合に、当該プレフィルタの耐用期間が終了したと判定し、プレフィルタの交換を要する旨を表示するように前記表示手段を制御するものである。この態様では、予め、作動タイムリミット値を作動タイムリミット値記憶手段に記憶しておき、積算された累積作動時間と作動タイムリミット値とを比較することによって、精緻にプレフィルタの耐用期間終了を推定し、適切なタイミングで交換の要否を表示することが可能になる。すなわち、プレフィルタの耐用期間は、プレフィルタの累積作動時間に比例することを利用し、実験等に基づいて適切な作動タイムリミット値を設定することにより、プレフィルタの累積作動時間に基づいて、プレフィルタの目詰まりを推定することができるのである。
【0017】
好ましい態様において、前記制御手段は、運転モードをリセットモードに切り換えた場合に、当該プレフィルタの累積作動時間カウント手段のカウントした前記プレフィルタの累積作動時間をリセットするプレリセットスイッチのリセット動作で当該プレフィルタの有無を検出するものである。この態様では、プレフィルタ毎に正確な累積作動時間を積算し、適切なタイミングでリセットすることができる。
【0018】
また異なる好ましい態様において、前記プレフィルタの有無を検出するプレフィルタ検出手段とを備えてもよい。前記制御手段は、前記プレフィルタが前記プレフィルタ検出手段に検出されている間に前記ファンが作動するプレフィルタの累積作動時間を積算する処理を実行し、前記プレフィルタの累積作動時間が前記プレフィルタ作動タイムリミット値を越えた場合に、当該プレフィルタの交換を要する旨を表示するように前記表示手段を制御するものである。
【0019】
好ましい態様において、前記制御手段は、前記プレフィルタの交換要否をブーリアン型の値で示すプレフィルタ状態フラグを記憶する不揮発性のプレフィルタ状態フラグ記憶手段を備え、且つ前記プレフィルタの目詰まりと耐用期間終了の何れかを検出した場合に、当該プレフィルタ状態フラグ記憶手段に記憶されているプレフィルタ状態フラグを「交換要」を示す状態に切り換えるとともに、前記プレリセットスイッチが作動したときに前記プレフィルタ状態フラグ記憶手段に記憶されている前記プレフィルタ状態フラグを「交換不要」を示す状態に切り換える処理を実行するものである。この態様では、不揮発性のプレフィルタ状態フラグ記憶手段にプレフィルタ状態フラグの値が記憶されているので、現在のプレフィルタが交換を要する状態(目詰まりまたは耐用期間の終わりのいずれか)が検出された場合には、空気清浄器の電源を停止してから再投入した後でも、制御手段は、現在のプレフィルタが交換を要する状態に達していて、依然、交換されるべきである旨の表示を再現することができる。広く知られているように、ブーリアン(Boolean)型の値とは、所定の値がセットされた場合にTrueと判定し、それ以外の場合には、Falseと判定する型の変数である。TrueとFalse(またはNull)のうち、何れか一方を「交換要」の値とすることができ、他方を「交換不要」の値とすることができる。
【0020】
好ましい態様において、前記メインフィルタの有無を検出するメインフィルタ検出手段と、前記メインフィルタの耐用期間終了に対応するメインフィルタ作動タイムリミット値を記憶するメインフィルタ作動タイムリミット値記憶手段とを備え、前記制御手段は、前記メインフィルタの累積作動時間を積算する処理を実行し、カウントした前記メインフィルタの累積作動時間が前記メインフィルタ作動タイムリミット値を超えた場合に、当該メインフィルタの耐用期間が終了したと判定し、メインフィルタの交換を要する旨を表示するように前記表示手段を制御するものである。この態様では、予め、実験等で定められるメインフィルタ作動タイムリミット値を制御手段のメインフィルタ作動タイムリミット値記憶手段に記憶しておき、積算されたメインフィルタの累積作動時間とメインフィルタ作動タイムリミット値とを比較することによって、メインフィルタの耐用期間終了を推定し、適切なタイミングで交換の要否を表示することが可能になる。
【0021】
好ましい態様において、前記メインフィルタ検出手段は、前記メインフィルタが交換された場合に、積算された前記メインフィルタの累積作動時間をリセットするメインフィルタリセットスイッチである。この態様では、メインフィルタ毎に正確なメインフィルタの累積作動時間を積算し、適切なタイミングで積算されたメインフィルタの累積作動時間をリセットすることができる。
【0022】
好ましい態様において、前記制御手段は、前記メインフィルタリセットスイッチが作動したときに前記メインフィルタの交換を要する旨の表示を解除するように前記表示手段を制御するものである。
【0023】
好ましい態様において、前記制御手段は、前記メインフィルタの交換要否をブーリアン型の値で示すメインフィルタ状態フラグを記憶する不揮発性のメインフィルタ状態フラグ記憶手段を備え、且つ前記メインフィルタの耐用期間終了が検出された場合に、当該メインフィルタ状態フラグ記憶手段に記憶されているメインフィルタ状態フラグを「交換要」を示す状態に切り換えるとともに、前記メインフィルタリセットスイッチが作動したときに前記メインフィルタ状態フラグ記憶手段に記憶されている前記メインフィルタ状態フラグを「交換不要」を示す状態に切り換える処理を実行し、前記メインフィルタ状態フラグが「交換要」を示す状態の場合に、当該メインフィルタの交換を要する旨を表示するように前記表示手段を制御するとともに、前記メインフィルタ状態フラグが「交換不要」を示す状態の場合に、当該メインフィルタの交換を要する旨の表示を解除するように前記表示手段を制御するものである。この態様では、不揮発性のメインフィルタ状態フラグ記憶手段にメインフィルタ状態フラグの値が記憶されているので、現在のメインフィルタの耐用期間終了が検出された場合には、空気清浄器の電源を停止してから再投入した後でも、制御手段は、現在のメインフィルタが交換を要する状態に達していて、依然、交換されるべきである旨の表示を再現することができる。広く知られているように、ブーリアン(Boolean)型の値とは、所定の値がセットされた場合にTrueと判定し、それ以外の場合には、Falseと判定する型の変数である。TrueとFalseのうち、何れか一方を「交換要」の値とすることができ、他方を「交換不要」の値とすることができる。
【0024】
好ましい態様において、前記プレフィルタは、吸着型のフィルタであり、前記メインフィルタは、吸着型のフィルタであって、前記プレフィルタよりも空気の流れの下流に位置し、濾過能力が前記プレフィルタより優れて、耐用期間が前記プレフィルタより長い。吸着型フィルタは、マット状の繊維が粒子をさえぎり、粒子と衝突し、そして粒子を沈降させ、粒子を捕らえ、さらに粒子のブラウン運動や粒子とフィルタ繊維の電位の差による静電引力により粒子を捕らえることができる吸着能力を持つフィルタのことである。さえぎり、衝突、沈降、ブラウン運動、静電引力のメカニズムは技術的に知られており、ここでは、説明の必要はない。
【0025】
本発明の別の態様は、ハウジングと、前記ハウジング内に収容されて当該ハウジング内に空気を吸引するファンと、前記ハウジングの空気通路に配置されるプレフィルタと、前記ハウジング内の前記プレフィルタと前記ファンとの間に配置されるメインフィルタと、各フィルタの交換要否を表示する表示手段とを備えている空気清浄器の制御方法であって、前記プレフィルタの目詰まりの発生を検出した回数をNとしてカウントする目詰まり回数カウントステップと、前記プレフィルタの耐用期間終了を検出した回数をMとしてカウントするプレフィルタ耐用期間終了カウントステップと、予め設定された補正係数をCとして、次式のカウント値Z
Z=N+C×M (1)
を演算する演算ステップと、前記カウント値Zが予め設定されたリミット値を越えた場合に、当該メインフィルタが交換を要する旨を表示するように、前記表示手段を制御するメインフィルタ交換表示ステップとを備えていることを特徴とする空気清浄器の制御方法である。この態様では、プレフィルタの目詰まりや耐用期間終了の履歴に基づいて、特別な流量計や流速計を設けることなく、比較的精緻にメインフィルタの耐用期間終了を推定することが可能になる。プレフィルタとメインフィルタの交換要否が個別に判断されて表示されるので、適切なタイミングでプレフィルタの交換要否とメインフィルタの交換要否をそれぞれユーザに報知することができる。
【0026】
好ましい態様において、前記プレフィルタが目詰まりを起こした場合と耐用期間を終了した場合の何れか一方を検出したときに、前記プレフィルタが交換を要する旨を表示するように、前記表示手段を制御するプレフィルタ交換表示ステップをさらに備えている。
【0027】
好ましい態様において、前記目詰まり回数カウントステップは、前記ファンを駆動するときのモータ回転数を計測し、計測された前記モータ回転数が予め設定されたモータ回転数リミット値を超えた場合に、当該プレフィルタが目詰まりを起こしていると判定する処理を含む。
【0028】
好ましい態様において、前記プレフィルタ耐用期間終了カウントステップは、前記プレフィルタの装着を検出し、プレフィルタの装着が検出されている間に前記ファンが作動するプレフィルタの累積作動時間を積算し、前記プレフィルタの累積作動時間が予め設定されている作動タイムリミット値を超えた場合に、当該プレフィルタの耐用期間が終了していると判定する処理を含む。
【0029】
好ましい態様において、前記空気清浄器に設けられたメインフィルタリセットスイッチが前記メインフィルタの交換を検出した場合に、当該メインフィルタが交換不要である旨を表示するように前記表示手段を制御するステップを含む。
【0030】
好ましい態様において、前記カウント値Zが予め設定されたリミット値を越えた場合に、当該空気清浄器に設けられたヒューズを溶断するヒューズ溶断ステップを備えている。
【0031】
好ましい態様において、前記メインフィルタの有無を検出し、前記メインフィルタが検出されている間に前記ファンが作動する前記メインフィルタの累積作動時間を積算し、前記メインフィルタの累積作動時間が予め設定されたメインフィルタ作動タイムリミット値を超えた場合に、当該空気清浄器に設けられたヒューズを溶断するヒューズ溶断ステップを備えている。
【0032】
好ましい態様において、前記メインフィルタの有無を検出し、前記メインフィルタが検出されている間に前記ファンが作動する累積作動時間を積算し、前記メインフィルタの累積作動時間が予め設定されたメインフィルタ作動タイムリミット値を超えた場合に、前記メインフィルタ交換表示ステップを実行するものである。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明によれば、プレフィルタの目詰まりや耐用期間終了の履歴に基づいて、特別な流量計や流速計を設けることなく、比較的精緻にメインフィルタの耐用期間終了を推定することができる、という顕著な効果を奏する。
【0034】
本発明の特徴と利点は、次の詳細説明と図面と照らし合わせて読めば容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】空気清浄器が煙と空気中の粒子とを集めるための吸引ダクトとフードに接続された上からと前からの斜視図である。
【図2】図1の空気清浄器の下部と後部を示している斜視図である。
【図3】図1の空気清浄器の斜視図であり、通常は蓋の下に含まれているプレフィルタとメインフィルタが取り外しできるように蓋が開けられていることを示す斜視図である。
【図4】図1の空気清浄器の前部に位置するコントロールパネルの平面図である。
【図5】図4のコントロールパネル上の表示器とスイッチと空気清浄器の制御ユニットが接続されたブロック図である。
【図6】図7および図8の遷移図の凡例を示す図である。
【図7】空気清浄器の操作態様における様々なパラメータの状態遷移を示している遷移図である。
【図8】図7の続きを示している遷移図である。
【図9】煙の粒子が空気清浄器に吸引されるにつれ、空気流量の低下の試験結果を示す図である。
【図10】空気清浄器の粒子を捕らえる能力の劣化を示している試験結果の図である。
【図11】空気清浄器の制御ユニットによって切れるヒューズを持っているメインフィルタの斜視図である。
【図12】ヒューズに関連している第2実施形態の回路図である。
【図13】図14および図15の遷移図の凡例を示す図である。
【図14】図11および図12のメインフィルタを採用した空気清浄器の操作態様における様々なパラメータの状態遷移を示している遷移図である。
【図15】図14の続きを示している遷移図である。
【図16】空気清浄器で空気の流れの方向を示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(第1実施形態)
本発明の実施形態を説明するために典型的な図をより詳細に参照する。
【0037】
参照番号は、関連する図の中の要素を示し、図1から図3には、はんだ付け作業から煙を吸引するための空気清浄器10が示されている。ハウジング11は、取り外し可能なプレフィルタ12、取り外し可能なメインフィルタ14、モータとファンが一体になったモータファン16(図5参照)、そして制御ユニット17(図5参照)を内蔵する。制御ユニット17は、トランジスタ、ファンの速度を検出するセンサ、メモリ素子、プログラムできるロジックコントローラ、マイクロプロセッサを含む電子部品の組み合わせを含んでもよい。ハウジング11の前部にあるコントロールパネル18は、ユーザに空気清浄器10の操作と正しい機能を維持させるスイッチとビジュアルディスプレイを含む。ちょうつがいでハウジング11の上部に接続された開閉蓋20は、ユーザにより、留め金22を外すことにより回転式に開くことができる。開閉蓋20を開けると、ユーザは、プレフィルタ12やメインフィルタ14を交換できる。
【0038】
図3を参照して、プレフィルタ12は、ハウジング11が形成する空気通路内において、メインフィルタ14の上流側に位置し、比較的大きな空気中の粒子がメインフィルタ14に入り込むことを避ける。このことは、メインフィルタ14の耐用期間を延ばす。プレフィルタ12は、ポリエステルやガラスファイバーからなる。時がたつにつれて、プレフィルタ12は、目詰まりするようになる結果、空気流量が減る。プレフィルタ12が目詰まりすればするほど、モータファン16のモータ回転数Sは、上昇する。フィルタ12、14からのモータファン16への空気の移動する総量が減れば、モータファン16への負荷減少により、モータ回転数Sは、自然に増加する。後述するように、制御ユニット17は、プレフィルタ12の過度な目詰まりを検出または推定し、ユーザにプレフィルタが交換されるべき時期の合図を出す。
【0039】
空気の状態(環境)は大きく変化するので、使用時間のみによる検出は、フィルタの目詰まりを検出するのには十分でない。特に劣悪な環境条件では、モータファン16の回転が検出に必要である。空気が極めて高い量のほこりや粒子を持っている場合、プレフィルタ12は、予め決められた時間よりも早く目詰まり劣化する。したがって空気流量の低下によるプレフィルタ12の目詰まりの検出が必要となる。とはいえ、プレフィルタ12の目詰まりを検出するための手段として、空気の流量や流速を計測する場合は、流量計や流速計を必要とする。これに対して、プレフィルタ12の目詰まりを検出するための手段としてモータファン16のモータ回転数Sを検出する場合は、空気流量計や流速計を必要としないので、空気清浄器の部品点数とコストを下げる。
【0040】
しかしながら、専らモータファン16の回転に頼る従来技術を使用して、連続して配置された、2つの耐用期間が異なる種類のフィルタについて、フィルタ毎に個別に警告を報知することはできない。モータファン16のモータ回転数Sは、プレフィルタ12かメインフィルタ14のどちらかが詰まっても上昇する。モータファン16は、プレフィルタ12とメインフィルタ14の両方の下流に位置するので、長期にわたる使用では、モータファン16のモータ回転数Sだけに基づく検出では、どちらのフィルタが目詰まりしたか、または劣化したかを検出するのは不可能である。他方、初期の使用では、モータファン16のモータ回転数Sの上昇は、プレフィルタの劣化によるものと推測できる。しかし時間が経過するにつれ、この推測はできなくなり、モータファン16のモータ回転数Sだけでは、どちらのフィルタが劣化したかを検出し、個々にそれぞれのフィルタの警告表示することは、できない。同じ問題が、フィルタの目詰まりと劣化を検出するために空気流量を測ることでも起こる。図16を参照して、プレフィルタ12だけが目詰まりしたとき、或いは、メインフィルタ14が目詰まりしたとき、空気流量は、プレフィルタ12の下流であるポイントA1であろうが、メインフィルタ14の下流であるポイントB1であろうが、空気清浄器の空気流れ15のどのポイントでも同じである。したがって、単に空気流量やモータファン16のモータ回転数Sを計測するだけでは、どちらのフィルタが目詰まりしたかを見分けることができないのである。
【0041】
好ましい実施形態では、メインフィルタ14は、サイズ0.3μmの粒子を99.97%以上濾過する高性能フィルタである。メインフィルタ14を使用するときは、メインフィルタ14より吸着能力の劣るプレフィルタ12と組み合わされる。発明者は、実験を通して、メインフィルタ14の耐用期間は、目詰まりの検出回数Nと、補正係数Cに重み付けされた後の耐用期間終了回数Mとに基づいて終了することを発見した。文字Nは、モータファン16のモータ回転数Sに基づいて、プレフィルタ12の目詰まりを検出した回数である。文字Mは、プレフィルタ12の累積作動時間に基づいて、耐用期間終了を検出した回数である。後述するように、メインフィルタ14は、次式
Z=N+C×M (1)
で演算されるカウント値Zがリミット値ZLを超えると耐用期間が終了したか、或いは劣化したと検出される。
【0042】
メインフィルタ14は、プレフィルタ12に比べて細かい空気中に浮遊する粒子を捕らえる。メインフィルタ14は、高性能(High Efficiency Particulate Air:HEPA)フィルタであってもよく、任意に配置されたマット状の繊維が粒子をさえぎり、粒子と衝突し、そして粒子を沈降させ、(或いは粒子のブラウン運動により、)粒子を捕らえる。さえぎり、衝突、沈降のメカニズムは技術的に知られており、ここでは、説明の必要はない。プレフィルタ12およびメインフィルタ14は、さらに粒子とフィルタの繊維の電位の違いによる静電引力により粒子を捕らえることができる。時間が経つにつれ、メインフィルタ14は、飽和し、メインフィルタ14の捕集効率は劣化して、より多くの粒子が通り抜けられるようになる。通常の使用条件では、メインフィルタ14に捕集される粒子のサイズは、繊維の径よりも小さい。メインフィルタ14の粒子の捕集能力の劣化は、必ずしも空気流量の低下とはならない。後述するように、制御ユニット17は、メインフィルタ14の捕集能力が過度に劣化する時を推測し、ユーザにメインフィルタ14が交換されるべきという合図を出す。
【0043】
いくつかの実施形態では、新品のプレフィルタは、0.3μmのサイズまたはそれ以上の空気中粒子を約65%捕集し、新品のメインフィルタ14は、0.3μmのサイズの空気中粒子を少なくとも約98%捕集する。
【0044】
吸気口24は、回転式の開閉蓋20に形成される。吸気口24には、吸煙フード28に集められた煙を離れた所から吸引できるように、吸引ダクト26を介して当該吸煙具28と接続することができる。モータファン16が動作しているとき、空気は、吸気口24から吸引される。ハウジング11の中に入ると、空気は、メインフィルタ14の上に位置するプレフィルタ12を通り抜ける。プレフィルタ12を通過した後に、空気は、仕切り壁30の上に位置しているメインフィルタ14を通って、下流に抜ける。
【0045】
図3に示すように、仕切り壁30には、空気穴30aが形成されている。メインフィルタ14を通った空気は、空気穴30aの中に吸引されて、モータファン16に引き寄せられる。仕切り壁30は、ハウジング11の内部の空間を上室と下室とに分ける。上室は、プレフィルタ12とメインフィルタ14を収容し、下室は、モータファン16、並びに制御ユニット17を収容する。
【0046】
仕切り壁30には、メインフィルタリセットスイッチ32が取り付けられている。メインフィルタリセットスイッチ32は、スプリングによって付勢されたボタン32aを持つプッシュボタン式スイッチである。ボタン32aは、仕切り壁30から突き出していて、通常は、メインフィルタ14が設置される空間にある。メインフィルタリセットスイッチ32のボタン32aは、収容位置と取り外し位置との間で遷移する。メインフィルタ14がハウジング11の上室に置かれた時に、ボタン32aが収容位置に押し込まれる。これにより制御ユニット17は、メインフィルタ14が置かれていることを検出する。メインフィルタ14が上側に仕切り空間から取除かれた時にボタン32aがスプリングにより取り外し位置に上げられる。これにより制御ユニット17は、メインフィルタ14が置かれていないことを検出する。
【0047】
図2に戻ると、下室からの空気は、下室の底に形成された排出口34より排出される。
【0048】
図4を参照して、コントロールパネル18は、3つの表示ランプ36、38、40、クリーナー空気清浄器をオンオフするロッカー式の電源スイッチ42、並びにユーザが吸引のための空気量を選択できる回転式のフロースイッチ44を備えている。表示ランプ36、38、40は、発光ダイオードや、白熱ランプや他の従来からのビジュアルディスプレイでよい。第1表示ランプ36は、プレフィルタ状態表示ランプの一例であり、制御ユニット17によりプレフィルタが交換されるべきと検出された時に橙色に点滅または点灯する。第2の表示ランプ38は、メインフィルタ状態表示ランプの一例であり、制御ユニット17によりメインフィルタ14が交換されるべきと検出された時に赤色に点滅または点灯する。第三の表示ランプ40は、電源表示ランプの一例であり、電源スイッチ42がオフ位置からオン位置に切り替えられた時に緑色に点滅または点灯する。フロースイッチ44は、3つの異なる空気流量の設定位置とリセット位置の間を動かすことができ、4つの位置の為の電気接点を持つ。電気接点は、ダイヤル44aの回転によって、択一的に共通端子と接続される。制御ユニット17は、共通端子と接続された接点に応じて、高速運転モード、中速運転モード、低速運転モード、リセットモードに切り換えられ、各モードに応じてモータファン16の回転を制御する。
【0049】
高流量設定位置(高速運転モード)では、空気清浄器10は、3つの空気流量設定の中で一番高いレベルの吸引を行う。中流量設定位置(中速運転モード)では、空気清浄器10は中レベルの吸引を行う。低流量設定位置(低速運転モード)では、空気清浄器10は3つの空気流量設定の中で一番低いレベルの吸引を行う。
【0050】
フロースイッチ44がリセット位置にある場合(リセットモード)では、制御ユニット17は、モータファン16を停止させ、ユーザがプレフィルタ12を交換できるようにする。ユーザがフロースイッチ44をリセット位置に動かした時、制御ユニット17は、プレフィルタ12が交換されたことを検出し、下記の説明にあるようにプレフィルタの目詰まりの検出に関連するパラメータをリセットする。リセット位置を持つフロースイッチ44は、プレフィルタリセットスイッチの一例である。また、リセット位置は、プレフィルタ12の累積作動時間をリセットするプレリセットスイッチとしても機能する。
【0051】
図5に示すように、制御ユニット17は、コントロールパネル上の3つの表示ランプ36、38、40に操作可能につながって、制御している。制御ユニット17は、またフロースイッチ44、メインフィルタリセットスイッチ32、そして制御ユニット17に40Vの電圧を供給する電源ユニット48と操作可能につながっている。
【0052】
いくつかの実施形態での、フロースイッチ44の様々な設定による空気流量を表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
時間がたつにつれて、目詰まりのため空気清浄器が空気を通させることは、より難しくなる。プレフィルタ12とメインフィルタ14から、モータファン16へと下流に通る空気が少なくなればなる程、モータ回転数Sは上昇する。空気流量が低減する場合、モータファン16に作用する空気抵抗は、低減するであろうし、制御ユニット17は、能動的にモータ回転数Sを下げるものではないことから、モータ回転数Sは、必然的に上昇する。したがって、目詰まりを検出するため、制御ユニット17は、モータ回転数Sを検出さえすればよい。つまり制御ユニット17は、目詰まりを検出するために直接空気流量を計測するセンサ類を必要としない。
【0055】
いくつかの実施形態では、表1は、制御ユニット17がモータファン16を作動する様々な速度を示す。プレフィルタが新品で目詰まりがないとき、モータファン16は、「プレフィルタ新品時」の欄にあるモータ回転数Sまたはそれに近い値で動作する。
【0056】
いつプレフィルタ12をユーザが交換するべきであるかを検出するために、制御ユニット17は、2つのパラメータをモニタする。1つはモータ回転数Sであり、もう1つは、プレフィルタ12の前回の交換からの経過時間である。制御ユニット17は、これら2つのパラメータをリミット値と比較しこれら2つのプレフィルタ交換条件の成否を検出する。第1のプレフィルタ交換条件は、モータ回転数Sに基づく。第2のプレフィルタ交換条件は、経過時間に基づく耐用期間終了の推定に相当する。
【0057】
いつメインフィルタ14をユーザが交換するべきか検出するために、制御ユニット17は、以下の3つのパラメータをモニタする。その1つは、プレフィルタ12の目詰まり(第1のプレフィルタ交換条件)を検出した回数Nであり、もう1つは、プレフィルタ12の耐用期間終了(第2のプレフィルタ交換条件)を検出した回数Mであり、最後の1つは、前回のメインフィルタ14の交換後にモータファン16が作動したメインフィルタ累積作動時間TMである。
【0058】
これら3つのパラメータに基づき、制御ユニット17は、メインフィルタ14について二つの交換条件の成否を判定(検出)する。第1のメインフィルタ交換条件は、リミット値Zに基づいて、耐用期間終了を評価するために対応する。また、第2のメインフィルタ交換条件は、メインフィルタ累積作動時間TMに基づく耐用期間終了の推定に対応する。
【0059】
第1のメインフィルタ交換条件の成否を検出するために、制御ユニット17は、カウント値(パラメータ)ZをNとMの関数として前記(1)式を計算する。第2のメインフィルタ交換条件の成否を検出するために、制御ユニット17は、メインフィルタ累積作動時間TMを検出する。そして、制御ユニット17は、第1、第2のメインフィルタ交換条件の成否を検出するため、カウント値Zとメインフィルタ累積作動時間TMをそれぞれのリミット値ZL、TMLと比較する。
【0060】
いくつかの実施形態の空気清浄器10の動作が、図6から図8を通じて説明される。図7を参照して、プレフィルタ交換に関するものを最初に説明する。
【0061】
ブロック50では、ユーザは、電源スイッチ42(図4)をオフ位置からオン位置に動かす。すると40Vの電圧が制御ユニット17に供給され、電源表示ランプ40が点灯する。
【0062】
もしフロースイッチ44がリセット位置にある場合、モータファン16は、回転しない。もしメインフィルタリセットスイッチ32が取り外し位置にある場合、制御ユニット17は、ブロック54に示されたようにメインフィルタ14がハウジング11から取り除かれたことを検出し、メインフィルタ状態表示ランプ38を点灯し、モータファン16へ回転の電源を供給しない。
【0063】
他方、メインフィルタリセットスイッチ32(図3)が収容位置にあると、制御ユニット17は、ブロック52に示されているように、メインフィルタ14がハウジング11内に存在していることを検出し、フロースイッチ44の位置に基づく速度でモータファン16を回転させる。このタイミングで、プレフィルタ12の累積作動時間TPとメインフィルタ14の累積作動時間TMの更新(積算)が開始される。
【0064】
いくつかの例において、プレフィルタ12の粒子の捕集の劣化は、プレフィルタ12を通る空気流量の低下を伴わない。ブロック53に示したように、ブロック52で示した制御の後、制御ユニット17は、同じプレフィルタ12が、ハウジング11内で使用されている間、モータファン16が運転している累積作動時間を検出する。累積作動時間は、プレフィルタ12の累積作動時間TPとされる。制御ユニット17は、例えば1分ごと、或いは10分ごと等、定期的な間隔でメモリ素子にあるプレフィルタ12の累積作動時間TPを保存または更新する。オフになっている電源スイッチ42をオンにして電源を再投入した場合、制御ユニット17は、前回メモリ素子に保存されたプレフィルタ12の累積作動時間TPを更新の基礎とする。
【0065】
ブロック53の運転状態のとき、初期状態が継続している場合には、プレフィルタ状態フラグとメインフィルタ状態フラグは、何れもNullの状態、すなわち、フィルタ交換が不要であることを示す状態となっている。また、目詰まり検出回数Nや、耐用期間終了回数Mは、電源を投入する前の状態(初期状態では、何れも0)を維持している。
【0066】
いくつかの例では、プレフィルタ12の粒子を捕集する能力の低下は、プレフィルタを通じての空気流量の低下を伴う。空気流量が低下するため、モータファン16は、速い速度で回転する。前に述べたように、おそらくモータファン16の空気負荷の減少と、制御ユニット17が積極的にはモータ回転数Sを変更しないこととにより、モータ回転数Sは、結果として上昇する。制御ユニット17は、プレフィルタ12の交換を首肯するのに充分な目詰まりが生じているか否かを間接的に検出するためにモータ回転数Sを用いる。
【0067】
図7を参照して、制御ユニット17は、モータ回転数Sを検出し、モータ回転数Sの様々なリミット値と比較する。ブロック56にあるように、モータ回転数Sが、例えば3710rpmに設定される一次モータ回転数リミット値SL1を超えると、制御ユニット17は、プレフィルタ12に目詰まりが生じていると判定して、ブロック53の状態からブロック56の状態に遷移し、モータファン16を回転し続けるがプレフィルタの表示ランプ36を比較的遅い割合で点滅させる(一次警告)。通常、プレフィルタ状態表示ランプ36は、点灯しない。比較的遅い点滅は、プレフィルタ12が目詰まりし、交換されるべきであるとユーザに伝える一次警告信号となる。点滅のサイクルはたとえば500msec点灯、500msec非点灯である。
【0068】
ブロック56に遷移したタイミングで、制御ユニット17は、第1のカウンタ変数Nを1つ増加させてプレフィルタの状態フラグを「交換要」を表す値にセットし、それによりプレフィルタ12がユーザによって交換されるべきであると表示する。第1のカウンタ変数とプレフィルタ状態フラグは、制御ユニット17のメモリ素子に保存される。メモリ素子は、ハウジング内の制御ユニット17の部分であり、電気的に消去や再書き込みができるフラッシュメモリ(EPROM)または他の装置でありえる。他の装置は、不揮発性メモリやその同等品が好ましい。第1のカウンタ変数Nのインクリメントは、目詰まりが起こったと制御ユニット17が検出した回数を数えることを許容し、そしてメインフィルタ14がいつ交換されるべきかを検出することに使用される。プレフィルタ状態フラグは、ブーリアン型変数で、所定の値がセットされた場合は、プレフィルタ12が交換されるべきことを示し、それ以外の場合(他の値やNullの場合)は、プレフィルタ12が交換しなくてもよいことを示す。
【0069】
ブロック56で示した運転状態からさらにモータ回転数Sが、例えば、3800rpmに設定された二次モータ回転数リミット値SL2を超えると、制御ユニット17は、ブロック58に示される運転状態に遷移する(二次警告)。このブロック58での運転状態では、制御ユニット17は、モータファン16を回転し続ける一方、プレフィルタ状態表示ランプ36を比較的速い速度で点滅させ始める。比較的速い速度での点滅は、プレフィルタ12がいよいよ目詰まりし、交換されるべきことの第2の警告信号をユーザに送る。点滅のサイクルは、例えば、200msec点灯、200msec非点灯である。
【0070】
制御ユニット17によって使用される一次、二次モータ回転数リミット値SL1およびSL2は、フロースイッチ44の流量設定位置による。制御ユニット17は、メモリ素子の中に一次、二次モータ回転数リミット値SL1およびSL2のマトリクスを記憶し、それぞれのフロー設定には、一次、二次モータ回転数リミット値SL1およびSL2が設定されている。
【0071】
いくつかの実施形態では、モータ回転数リミット値のマトリクスは表1に示されている通りのものである。
【0072】
通常のモータ回転数Sよりも高い適切な値が一次モータ回転数リミット値SL1として用いることができ、それよりも高い値を二次モータ回転数リミット値SL2として使用できることが理解されよう。より高い空気流量を得るためには、より速いファンスピードが必要となるので、SL1の好適な値は、それぞれ低速、中速、高速の流量設定になるに連れて、モータ回転数リミット値を累進的により高くするであろう。同様に、SL2の好適な値は、それぞれ低速、中速、高速の流量設定になるに連れて、モータ回転数リミット値を累進的により高くするであろう。SL1、SL2は、何れもサイズ、羽根の形状やモータファン16の構造のタイプ、モータファン16の効率、そしてその他空気清浄器10を通して空気流量に与える他の構造的要因に基づき選定される。
【0073】
プレフィルタ12の累積作動時間TPがプレフィルタ累積作動タイムリミット値TPLを超えた場合、ブロック53の運転状態にあった制御ユニット17は、ブロック62に示されているように、プレフィルタ12の耐用期間が終了していると判定して、モータファン16を回転し続ける一方、プレフィルタ12が耐用期間終了のため劣化したことの警告信号としてプレフィルタ状態表示ランプ36を点滅させ始める。
【0074】
あらゆる適切なプレフィルタ累積作動タイムリミット値TPLが使用できる。プレフィルタ12の累積作動タイムリミット値は、構造のタイプ、サイズ、そしてプレフィルタ12の能力そしてまたは空気清浄器10が使用される環境条件に基づいて設定される。プレフィルタ12の累積作動タイムリミット値は、例えば200時間であり、この時間設定では、プレフィルタがマニュアルはんだ付け作業で使用され、0.3μm以上の粒子を65%以上捕集するようプレフィルタに好適に設計されている。
【0075】
ブロック62の運転状態に遷移すると、制御ユニット17は、第2のカウンタ変数(耐用期間終了回数)Mを1つ増加し、プレフィルタ12の状態フラグを「交換要」を表す値にセットし、プレフィルタ12がユーザにより交換されるべきことを表示する。第2のカウンタ変数Mとプレフィルタ状態フラグは、制御ユニット17のメモリ素子に保存される。第2のカウンタ変数Mのインクリメントは、制御ユニット17にプレフィルタ12の耐用期間終了を検出した回数を数えさせる。それはメインフィルタ14の交換時期検出に使用される。
【0076】
プレフィルタ状態フラグがメモリ素子に保存されるので、オフになっている電源スイッチ42をオンにして電源を再投入した後でさえも、制御ユニット17は、現在のプレフィルタ12が交換を要する状態(目詰まりまたは耐用期間の終わりのいずれか)に達していて、依然、交換されるべきである旨の表示を再現することができる。同様に、カウンタ変数NとMは、メモリ素子に保存されているので、オフになっている電源スイッチ42をオンにして電源を再投入した後でも、制御ユニット17は、プレフィルタ12が目詰まりまたは耐用期間が終了したと検出された回数を追跡することができる。
【0077】
運転状態がブロック56またはブロック62の状態に遷移した場合、制御ユニット17は、カウント値Zをリミット値ZLと比較する。仮にカウント値Zがリミット値ZL以下である場合には、ブロック56またはブロック62の運転状態が維持される。仮にカウント値Zがリミット値ZLを越える場合、制御ユニット17は、後述するブロック64に示す運転状態に遷移する。
【0078】
ブロック56、58、または62の運転状態が継続している間、プレフィルタ状態表示ランプ36の点滅に促されて、ユーザは、フロースイッチ44をリセット位置にする。これにより運転状態は、ブロック56、58、または62からブロック60に遷移する。
【0079】
図7のブロック60に示されるように、リセット位置は、モータファン16が回転を止めるように制御ユニット17がモータファン16への給電を遮断する原因となる一方、プレフィルタ状態表示ランプ36が点灯し続ける原因となる。モータファン16が停止している間、使用しているプレフィルタを新しいものと交換するために、ユーザは、開閉蓋20を開けることができる。リセット位置は、さらに「交換要」を表す値をクリアし、プレフィルタ状態フラグを「交換不要」に切り換えるし、プレフィルタがユーザにより交換されたことを制御ユニット17が判別可能にする原因となる。他方、リセット位置は、カウンタ変数NやMがゼロに変化する原因とはならない。NやMは、両方とも変更されないままである。新しいプレフィルタ12を既存のメインフィルタ14の上に設置し、開閉蓋20を閉めて、ユーザは、フロースイッチ44をリセット位置から3つの流量設定位置の何れか1つに設定して吸引を再開することができる。またプレフィルタ12の交換は、メインフィルタ14の累積作動時間TMにも影響しない。
【0080】
メインフィルタ14の交換に関する図8について説明する。上記のように、メインフィルタ14の交換条件の1つは、プレフィルタ12の目詰まりまたは耐用期間の終了を検出した回数に関連するカウンタ変数NとMの関数であり、それぞれ、プレフィルタ12が目詰まりした回数と作動時間により耐用期間終了を検出された回数に相当する。制御ユニット17は、カウント値Zを前記(1)式(Z=N+C×M)により計算する。制御ユニット17は、制御ユニットのメモリ素子に保存されているメインフィルタ14のリミット値ZLを参照し、カウント値Zをリミット値ZLと比較する。
【0081】
ブロック64に示すように、カウント値Zがメインフィルタ14のリミット値ZLを超えたときに第1のメインフィルタ交換条件が成立する。この状態では、制御ユニット17は、モータファン16を回転し続けるが、プレフィルタ状態表示ランプ36とメインフィルタ状態表示ランプ38の両方を比較的遅いペースで点滅させ始める。二つのランプの点滅は、空気清浄器10の最高の清浄効率を維持するためにはユーザにプレフィルタ12とメインフィルタ14の両方が交換されるべきであることを警告する合図の例である。
【0082】
ブロック64に遷移すると、制御ユニット17は、メインフィルタ14の状態フラグを「交換要」を表す値にセットし、メインフィルタ14がユーザによって交換されるべきであることを表示する。メインフィルタ14の状態フラグは、ブーリアン型変数である。所定の値がセットされた場合、メインフィルタ14が交換されるべきであることを示し、それ以外の場合(Nullの場合を含む)は、メインフィルタ14は、交換しなくてもよいことを示す。メインフィルタ14の状態フラグは、たとえオフになっている電源スイッチ42をオンにして電源を再投入した後でも、制御ユニット17により、メインフィルタ14の品質が低下し、交換されるべきである旨の表示を再現するために使用される。
【0083】
(1)式(Z=N+C×M)は現在使用されているメインフィルタ14の清浄効率が、前回メインフィルタ14を交換した時から使用されたプレフィルタの数に基づくことを考慮に入れる。どのような適切な補正係数Cやメインフィルタ14のリミット値ZLが使用されてもよい。補正係数Cの値は0であっても0でなくてもよい。必ずしも必要ではないが、好ましくは、補正係数Cは、作動時間による交換に比べて目詰まりによる交換に重みをおくような0から1.0までの分数であってよい。補正係数Cやリミット値ZLはプレフィルタ12やメインフィルタ14の構造のタイプ、プレフィルタ12とメインフィルタ14の相互のサイズや能力、空気清浄器10が使用される環境条件によるものであってよい。
【0084】
はんだ付けエリアでは、多くのはんだ付け作業を行って多くの煙が空気中に存在する場合もあれば、少ないはんだ付け作業を行って少ない煙が空中にある場合がある。例えば、モータファン16の回転による検出が8回起こり(N=8)、(N+(C×M))が10回に達したときにメインフィルタ14の耐用期間が終了したと考えられるとした場合について考察する。
【0085】
補正係数Cを省略した場合、プレフィルタ12の作動時間による検出が2回起こった場合、実際にはメインフィルタ14を続けて使用でき、交換の必要がないにも拘わらず、メインフィルタ14の耐用期間警告が表示される。本件発明者は、C=0.5が典型的なはんだ付け環境に適切であると発見した。例を続けると、C=0.5であることは、メインフィルタ14の耐用期間警告表示が点灯するまでプレフィルタの作動時間による検出は、4回で起こりえるということになる。
【0086】
いくつかの状況では、メインフィルタ14が粒子を捕集する能力の劣化は、ユーザがフロースイッチ44をリセット位置にすることによるプレフィルタの交換を検出した回数では、制御ユニット17が正確に推定できない場合がある。例えば、ユーザは、制御ユニット17が交換の必要を表示する前にプレフィルタ12を交換するかもしれない。またユーザは、プレフィルタ12の交換を大幅に遅らせるかもしれない。これらのことやその他の状況に配慮するため、制御ユニット17は、モータファン16の作動時間に基づく条件である第2のメインフィルタ交換条件をモニタする。
【0087】
制御ユニット17は、同じメインフィルタ14がハウジング11内で使用されている間にモータファン16が動作しているときの累積作動時間を検出する。累積作動時間は、メインフィルタ14の累積作動時間TMの一例である。制御ユニット17は、例えば1分または10分ごと等の定期的な間隔でメモリ素子のメインフィルタ14の累積作動時間TMを保存または更新する。オフになっている電源スイッチ42をオンにして電源を再投入した後でも、制御ユニット17は、メモリ素子に保存されているメインフィルタ14の累積作動時間TMを更新の基礎として使用する。ブロック52の運転状態に移行した時点で、制御ユニット17は、メインフィルタ14の累積作動時間TMの更新を開始する。
【0088】
図8のブロック66に示されているように、メインフィルタ14の累積作動時間TMがメインフィルタ作動タイムリミット値TMLを超えたとき、第2の交換条件が成立し、制御ユニット17は、モータファン16を回転し続ける一方、メインフィルタ状態表示ランプ38を点灯し続ける。連続した点灯は、空気清浄器10の最大清浄効率を維持するためにメインフィルタ14を交換するべきであるとの警告をユーザに合図する一例である。
【0089】
あらゆる適切なメインフィルタ作動タイムリミット値TMLが使用されてもよい。実際に用いられるメインフィルタ作動タイムリミット値TMLは、構造のタイプ、サイズ、メインフィルタ14の能力、そしてまたは空気清浄器10が使用されるであろう環境条件に基づくものでよい。メインフィルタ作動タイムリミット値TMLとしての2500時間は、手作業でのはんだ付け作業環境において0.3μmの空気中の粒子を99%以上捕集するように設計された場合に適切であると発明者によって決定された一例である。
【0090】
メインフィルタ状態表示ランプ38が点灯(ブロック66)または点滅(ブロック64)するのをみて、ユーザは、フロースイッチ44をリセット位置にする。このことによって、フロースイッチ44をリセットに接続し、メインフィルタ14を交換する。
【0091】
ブロック64の運転状態からフロースイッチ44がリセットされ、プレフィルタ12が交換されると、制御ユニット17は、ブロック65の運転状態に移行する。その場合は、モータファン16が停止し、プレフィルタ状態表示ランプ36が点灯し、メインフィルタ状態表示ランプ38が点滅し続け、プレフィルタ状態フラグがクリア(リセット)される。また、プレフィルタ12が交換されるので、制御ユニット17は、プレフィルタ12の累積作動時間Tpをリセットする。
【0092】
ブロック65への運転状態への遷移の後、メインフィルタ14の交換検出の有無によって、運転状態の遷移は異なる態様になる。
【0093】
モータファン16が止まっている間、ユーザは、何れかのフィルタを交換するために、開閉蓋20を開けることができる。ユーザがメインフィルタ14を交換し、メインフィルタリセットスイッチ32を動作させると、ブロック68に示されているように、メインフィルタ14の累積作動時間TMは0にセットされる。またこのタイミングで、制御ユニット17は、カウンタ変数NとMをゼロにリセットする。これにより、カウント値Zも0にリセットされる。
【0094】
ブロック64の運転状態に遷移した後に、ユーザがメインフィルタ14を取り替える可能性があり、また取り替えない可能性がある。メインフィルタ14の取り外しは、メインフィルタリセットスイッチ32が取り外し位置に移動することを許容し、メインフィルタ表示ランプ38が連続的に点灯する原因となる。もし取り外し位置が少なくとも3秒、或いは予め決められた時間続くと、制御ユニット17は、メインフィルタ14が取り外されたことを検出する。このことが起こると、ブロック68に示すように、制御ユニット17は、「交換要」を表す値をクリアし、メインフィルタ状態フラグを「交換不要」を表す値(すなわちNull)に切り換える。
【0095】
ブロック68の運転状態からメインフィルタリセットスイッチが入ると、運転状態はブロック72へ続く。プレフィルタ12とメインフィルタ14を交換した後、メインフィルタリセットスイッチ32は、収容位置に移動する。ブロック72では、制御ユニット17は、新しいメインフィルタ14が取り付けられメインフィルタ状態表示ランプ38をオフにする。ユーザは、フロースイッチ44をリセット位置から3つのいずれかの流量設定位置にセットする。その後、運転状態は、図7のブロック53に遷移する。
【0096】
フロースイッチ44をリセット位置にし、ブロック65に運転状態が遷移した後、ユーザは、プレフィルタ12は交換するが、メインフィルタ14を交換し忘れるかもしれない。その場合、運転状態は、ブロック74に移行する。ブロック74に示すように、プレフィルタ状態表示ランプ36は、点灯し続けるが、メインフィルタ状態表示ランプ38は点滅する。ブロック65からブロック74への遷移は、例えば、フロースイッチの切換からの経過時間の間実行される。
【0097】
ブロック74の運転状態からフロースイッチ44を3つのフローセッティング(高、中、低)に移動した場合、ブロック76に示すようにプレフィルタ状態表示ランプ36は、消える。しかしながら、制御ユニット17によるメインフィルタリセットスイッチ32の作動は検出されていないので、メインフィルタ14の状態フラグは、「交換要」を表す値にセットされたままであり、メインフィルタ状態表示ランプ38は、5秒間のみ点滅し、その後消灯する。ブロック76に運転状態が遷移した場合には、オフになっている電源スイッチ42をオンにして電源を再投入した後でも、ブロック78に示すように、メインフィルタ状態表示ランプ38は、5秒間のみ点滅し、メインフィルタ14が交換されるべきことをユーザに合図する。
【0098】
ブロック66の運転状態からフロースイッチ44がリセットされると、制御ユニット17は、ブロック67の運転状態に移行する。その場合は、モータファン16が停止し、プレフィルタ状態表示ランプ36とメインフィルタ状態表示ランプ38が点灯し、プレフィルタ状態フラグがクリア(リセット)される。また、制御ユニット17は、プレフィルタ12の累積作動時間Tpをリセットするこの場合、メインフィルタ14の累積作動時間TMは、ブロック64のような使用状態での交換時よりかなり経過しているため、メインフィルタ14を交換しないことを考慮するステップはなく、メインフィルタ14が交換されるまで67の状態が続く。
【0099】
図9、図10を参照しながら、下記で説明されるように、発明者は、最初の10枚目のプレフィルタの交換までのみが空気清浄器10の粒子捕集能力の低下が空気流量の低下に結びつくことを発見した。
【0100】
図9は、煙を発生するために計量されたはんだを用いて、一定量のはんだの煙霧を一定速度のファンで空気清浄器に吸引した最初の研究の調査結果である。折れ線は、一連の空気清浄器10の試験運転を示す。それぞれの試験運転は、文字「T」で示され、その後に試験運転の順番を示す。それぞれの試験運転は、新しくセットされたプレフィルタ12で始まるが、メインフィルタ14は、交換しなかった。同じメインフィルタ14がすべての試験運転に使用した。それぞれのプレフィルタ12は、新品の時0.3μm以上の空気中粒子を65%捕集する仕様に設定されていた。メインフィルタ14は、新品のとき、0.3μmの空気中粒子を捕集する仕様に設定された。
【0101】
左から右下がりの各湾曲は、はんだ煙が空気清浄器10に吸引されるにつれ空気流量が落ちることを示している。右下がりの曲線は最初の10枚までの試験運転(T1からT10)では、実質的に同じである。即ち、最初の10枚のプレフィルタが使用される期間、空気清浄器10(プレフィルタ12とメインフィルタ14を含む)を通る空気流量は、ほぼ同じ割合でより多くのはんだ煙が吸引されるにつれ減少する。11枚目の運転(T11)とそれ以降(T12からT17)は、右下がりの割合または傾斜角は小さくなる。それはT10以降のそれぞれのプレフィルタの交換は、メインフィルタ14が交換されず粒子の捕集効率が悪化しているにも拘わらず、(煙を発生させるためのはんだ使用量に示される様に)空気清浄器10が目詰まり(空気流量が低下することを示す)するのにより時間がかかったことを示す。
【0102】
T10以降、空気流量が低下するのに時間がかかる理由としては、メインフィルタが特に粒子のブラウン運動や、静電引力による吸着能力により繊維の径より細かい粒子も捕らえているので、この吸着能力が劣化することにより、空気流量の低下に、より時間がかかる影響を与えていると考えられる。
【0103】
図9に示されるように空気流量の低下が11枚目のプレフィルタ交換より長くかかっているにも拘わらず、図10に示される第2の調査からは、メインフィルタ14は、捕集効率が悪くなっていることを確認できる。第2の調査では、第1調査での試験運転T1からT10とT11とT15とで、空気清浄器を通過した(捕集されない)粒子の数を示す。図10に示すように捕集されなかった粒子の数は(1分間での1立方フィートあたり)T1からT10までは、ほぼ同じである。試験運転T11からT15では、捕集されなかった粒子の数がT1からT10よりも著しく多くなっている。
【0104】
いくつかの実施形態では、最初のメインフィルタ14交換の第1条件は、補正係数Cが0.5でメインフィルタ14のリミット値ZLが10である場合、(N+(0.5×M))>10の場合に起こる。本件発明者は、はんだ付け作業で、プレフィルタ12が0.3μm以上サイズの空気中の粒子を65%以上捕集し、メインフィルタ14が0.3μmの空気中の粒子を99%以上捕集するように設計された場合に(N+(0.5×M))>10が適切であると決定した。
【0105】
いく枚かのプレフィルタ後に見られる図9および図10の測定値のシフトは、図9と図10に使用されたプレフィルタとは違う材料で構成された高品質のプレフィルタでも見られた。表2は、濾過能力の高いプレフィルタが使用されたこと以外は図9と同じ要領で実施された別の調査結果を示す。
【0106】
【表2】

【0107】
調査は表2の第1列に示すようにT1’からT14’まで14枚の高品質のプレフィルタを用いてなされた。第2列は、高品質のプレフィルタと組み合わされたメインフィルタ14の劣化が検出される前に(空気清浄器に吸引される煙を生じるために)使用されたはんだの量を示す。3列目ははんだの累積使用量である。目詰まりが検出された後、高品質のプレフィルタ12は、交換されたが、メインフィルタ14は、交換されなかった。表2は、ある数の高品質のプレフィルタが使用された後、目詰まりを引き起こすために、より多くのはんだが必要であったことを示している。目詰まりを起こすためにはんだの使用量が増加することは、メインフィルタ14を通過するはんだ煙の粒子が多くなり、そのことは、メインフィルタ14の劣化を示している。
【0108】
表2は、メインフィルタ14の劣化に相当する著しい測定値のシフトを示す。それはまた、11枚目の高品質プレフィルタによる運転T11’での交換後に起こっていた。表2の2列に示すように目詰まりを起こすため必要なはんだ量は、T12’からT14’まで続けて高くなっている。この調査は、メインフィルタ14の劣化を検出するために(1)式(Z=N+C×M)の関係を使用することが、前述したように、プレフィルタ12をメインフィルタ14と組み合わせて使用するあらゆるタイプに有効であることを示している。
(第2実施形態)
いくつかの実施形態では、図11と図12に示すように、メインフィルタ14は、ヒューズ90を含むことができる。ヒューズ90は、メインフィルタ14が新しい状態であるかを制御ユニット17が検出することを可能にする。ヒューズ90は、交換やヒューズ90を修理されないようメインフィルタ14に固定されて取り付けられる。ヒューズ90は、メインフィルタ14に永久的に取り付けられている電気コネクタ92に接続されている。メインフィルタ14がハウジング11に装着されるとき、メインフィルタ14と電気コネクタ92はハウジング11内に固定されて制御ユニット17に接続されている他の電気コネクタ94と嵌合する。嵌合する時、コネクタ92、94のピン(1番から4番)は様々な回路を形成するために接触する。
【0109】
図12では、「制御ユニット側」に描かれた部品は、制御ユニット17の一部の部品であり、「メインフィルタ14側」に描かれた部品は、メインフィルタ14の全ての部品である。第1の回路96には、制御ユニット17側に5Vの電圧供給ライン96aが接続されている。回路96上の信号は、制御ユニット17により、メインフィルタ14がハウジング11に取り付けられていることを検出するのに使用される。メインフィルタ14をハウジング11に設置された場合、5Vの電圧供給ライン96aは、コネクタピン1と4を通してアースされる結果、制御ユニット17は、低い電圧レベルの信号を検出することとなる。メインフィルタ14がハウジング11から取り除かれると、制御ユニット17は、電圧供給ライン96aの電圧をそのまま検出するので、第1回路96上に高い電圧レベルの信号を検出する。
【0110】
第2の回路98には、制御ユニット17側に5Vの電圧供給ライン98aが接続されている。メインフィルタ14がハウジング11内に設置された場合、第2の回路98は、コネクタピン2と4に導通する。メインフィルタ14側では、ヒューズ90は、コネクタピン2と4の間に接続されている。メインフィルタ14が新品の場合、ヒューズ90は、損なわれておらず、閉じた状態を保ち、5Vの供給がアースされ、第2回路98は低い電圧レベルの信号となる。第2回路98の低いレベルの信号は、制御ユニット17によりメインフィルタ14に交換される必要がないことを検出するために使用される。
【0111】
第2回路98には、R2とR1の値を持つ2つの抵抗とQ1の値を持つトランジスタからなるヒューズ90を溶断するための回路100が接続されている。制御ユニット17からのヒューズ溶断コマンドは、ヒューズ90を通る電流を増加し、ヒューズ90を溶断し、開の状態とする。R2、R1そしてQ1の値はヒューズ溶断コマンドによりヒューズ90を確実に溶断できるのに十分な電流が増加するように選定することができる。ヒューズ90が開の状態の時、5Vの電圧供給源は、アースされなくなる結果、第2回路98は、高い電圧レベルの信号となる。第2回路98の高い電圧レベルの信号は、メインフィルタ14が交換されるべきであることを制御ユニット17が識別するために使用される。第2回路98の高い電圧レベルの信号により、制御ユニット17は、メインフィルタ状態フラグを「交換要」を表す値にセットする。
【0112】
制御ユニット17は、前述したメインフィルタ交換条件のいずれかが検出された時、ヒューズ溶断コマンドを送り、それによりヒューズ90を溶断する。例えば、制御ユニット17は、(1)式(Z=N+C×M)のカウント値Zがメインフィルタ14のリミット値ZLを超えた時ヒューズ溶断コマンドを送る。必要に応じて、制御ユニット17は、メインフィルタ14の累積作動時間TMのメインフィルタ作動タイムリミット値TMLを越えたときにもメインフィルタヒューズ溶断コマンドを送る。ヒューズ90の溶断は、ヒューズ溶断フラグによって管理される。ヒューズ溶断フラグは、ブーリアン型変数で、所定の値がセットされた場合は、ヒューズ90が溶断されたことを示し、それ以外の場合(他の値やNullの場合)は、ヒューズ90が溶断されていないことを示す。
【0113】
図14と図15を参照して、本発明の空気清浄器10のいくつかの実施形態の動作を述べる。
【0114】
図14でのフィルタ交換に関することをまず説明する。
【0115】
ブロック150では、ユーザは、電源スイッチ42(図4)をオフ位置からオン位置に動かす。すると40Vの電圧が制御ユニット17に供給され、電源表示ランプ40が点灯する。
【0116】
もし第1回路96に高い電圧レベルの信号を検出した時(メインフィルタ14が設置されていない)、モータファン16は、ブロック154に示すように回転しない。ブロック154の運転状態では、制御ユニット17は、電源表示ランプ40を点滅する。モータファン16は停止しており、ユーザは、ハウジング11をあけてメインフィルタ14を設置することになる。
【0117】
他方、制御ユニット17が第1回路96に低い電圧レベルの信号を検出し(メインフィルタ14が設置されている)、且つ第2回路98に低い電圧レベルの信号を検出した場合(ヒューズが損なわれていない)、制御ユニット17は、ブロック152に示されるように、メインフィルタ14が交換不要であることを検出し、フロースイッチ44の位置に基づく速度でモータファン16を回転させる。また、ブロック152の運転状態に移行した時点で、制御ユニット17は、プレフィルタ12の累積作動時間TPとメインフィルタ14の累積作動時間TMの更新を開始する。そして、ブロック153に示したように、ブロック152で示した制御の後、制御ユニット17は、同じプレフィルタ12が、ハウジング11内で使用されている間ファン16が運転しているプレフィルタ12の累積作動時間TPを演算する。制御ユニット17は、例えば1分ごと、10分ごと等の定期的な間隔でメモリ素子内のプレフィルタ12の累積作動時間TPを更新する。オフになっている電源スイッチ42をオンにして電源を再投入した後でも、制御ユニット17は、更新の基礎としてメモリ素子に保存されたプレフィルタ12の累積作動時間TPを使用する。
【0118】
ブロック153から続いて、制御ユニット17は、モータ回転数Sを検出し、モータ回転数Sと様々な回転のリミット値SL1とを比較する。ブロック156に示すように、モータ回転数Sが一次モータ回転数リミット値SL1を超えると、制御ユニット17は、プレフィルタ12の耐用期間が終了していると判定して、例えば4750rpmでモータファン16を回転し続ける一方、プレフィルタ状態表示ランプ36を比較的遅い速度で点滅させ始める(一次警告)。比較的遅い点滅は、プレフィルタ12が目詰まりし、交換されるべきであるとユーザに伝える一次警告信号となる。
【0119】
ブロック156に遷移したタイミングで、制御ユニット17は、第1のカウンタ変数Nを1つ増加させて、プレフィルタ状態フラグを「交換要」を表す値にセットし、プレフィルタ12がユーザにより交換されるべきことを示す。第1のカウンタ変数とプレフィルタ状態フラグは、制御ユニット17のメモリ素子に保存される。
【0120】
ブロック156で示した運転状態からさらにモータ回転数Sが、例えば4950rpmに設定された二次モータ回転数リミット値SL2を超えると、制御ユニット17は、ブロック158に示される運転状態に遷移する(二次警告)。このブロック158での運転状態では、制御ユニット17は、モータファン16を回転し続ける一方、プレフィルタ状態表示ランプ36を比較的速い速度で点滅し始める。比較的速い速度の点滅は、プレフィルタ12がいよいよ目詰まりし、交換されるべきであることの二次警告信号をユーザに送る。
【0121】
図7の関連で説明したように、制御ユニット17により使用されるモータ回転数リミット値SL1とSL2はフロースイッチ44の空気流量設定位置に依存する。制御ユニット17は、メモリ素子にモータ回転数リミット値のマトリックスに、それぞれの空気流量設定には一次、二次モータ回転数リミット値があることを保存している。いくつかの実施形態のモータ回転数リミット値は、表1に示されている通りである。
【0122】
プレフィルタ12の累積作動時間TPがプレフィルタ累積作動タイムリミット値TPLを超えた場合、ブロック153の運転状態にあった制御ユニット17は、図14のブロック162で示されるように、プレフィルタ12が耐用期間を終了していると判定して、モータファン16を回転し続ける一方、プレフィルタ状態表示ランプ36を点滅し始める。図7で説明したように、いかなる適切なプレフィルタ累積作動タイムリミット値TPLを使用してもよい。
【0123】
ブロック162の運転状態に遷移すると、制御ユニット17は、第2カウンタ変数(耐用期間終了回数)Mを1つ増加し、プレフィルタ状態フラグを「交換要」を表す値にセットし、プレフィルタ12がユーザにより交換されるべきであることを表示する。
【0124】
プレフィルタ状態フラグがメモリ素子に保存されているので、オフになっている電源スイッチ42をオンにして電源を再投入した後でさえも、制御ユニット17は、現在のプレフィルタ12が交換を要する状態(目詰まりか耐用期間終了の何れかによる)に達しており、依然、交換されるべきである旨の表示を再現することができる。同様に、カウンタ変数NとMは、メモリ素子に保存されているので、オフになっている電源スイッチ42をオンにして電源を再投入した後でも、制御ユニット17は、プレフィルタ12が目詰まりと耐用期間終了を検出された回数を追跡できる。
【0125】
ブロック156、158、または162の運転状態が継続している間、プレフィルタ状態表示ランプ36の点滅に促されて、ユーザは、フロースイッチ44をリセット位置にする。これにより運転状態は、ブロック156、158、または162からブロック160に遷移する。
【0126】
図14のブロック160に示されるように、リセット位置は、モータファン16が回転を止めるように制御ユニット17がモータファン16への電力を切る原因となる一方、プレフィルタ状態表示ランプ36が点灯し続ける原因となる。モータファン16が停止している間、使用しているプレフィルタ12を新しいプレフィルタ12に交換するために、ユーザは、開閉蓋20を開けることができる。リセット位置は、さらに「交換要」を表す値をクリアし、プレフィルタ状態フラグを「交換不要」に切り換え、プレフィルタ12がユーザにより交換されたことを制御ユニット17が判別できるようにする。他方、リセット位置は、カウンタ変数NやMを0に変化する原因とはならない。NやMは、両方とも変更されないままである。新しいプレフィルタ12を既存のメインフィルタ14の上に設置して開閉蓋20を閉めて、ユーザは、フロースイッチ44をリセット位置から3つの空気流量設定位置の何れか1つに設定して吸引を再開することができる。またプレフィルタ12の交換は、メインフィルタ14の累積作動時間TMにも影響しない。
【0127】
メインフィルタ14の交換に関する図15について説明する。上述のようにメインフィルタ14の交換の条件の1つは、プレフィルタ12の目詰まりまたは耐用期間終了を検出した回数に関連するカウンタ変数NとMの関数であり、それは、プレフィルタ12が作動時間により耐用期間終了を検出された回数に相当する。制御ユニット17は、カウント値Zを(1)式(Z=N+C×M)により計算する。制御ユニット17は、メモリ素子に保存されているメインフィルタ14のリミット値ZLを参照し、カウント値Zをリミット値ZLと比較する。図8の関連で説明したように適切な値を補正係数Cやリミット値ZLに使用してもよい。
【0128】
ブロック164に示されたようにカウント値Zがリミット値ZLを越えた場合、第1のメインフィルタ14の交換条件が成立する。この状態において、制御ユニット17は、モータファン16を回転し続けるが、プレフィルタ状態表示ランプ36を点滅させ始める。
【0129】
ブロック164では、制御ユニット17は、ヒューズ溶断コマンドを回路98(図12)に送りヒューズ90の溶断を試みる。
【0130】
所定の回数(図15のX回:例えば合計で10回)以内にヒューズ90の溶断に成功した場合、運転状態は、ブロック166に遷移する。このブロック166に示すような場合、制御ユニット17は、ヒューズ90が溶断されたことを第2回路98(図12)から測定された高い電圧レベルの信号に基づいて識別する。結果、制御ユニット17は、「溶断完了」を表す値にヒューズ溶断フラグをセットする。
【0131】
制御ユニット17は、ヒューズ90の溶断に失敗し、回路98(図12)に低い電圧レベルの信号を検出する場合がある。もしX回の試行の後でもヒューズが溶断できなかった場合、ブロック168に示すように、制御ユニット17は、モータファン16を停止し、ヒューズ溶断フラグをNullにクリアし、3つ全てのランプを点滅する。カウンタ変数N、Mがリセットされていない状態、すなわち
Z≧ZL
の状態で第2の回路98に低い電圧レベルの信号(ヒューズが溶断されていない)が検出されるので、オフになっている電源スイッチ42をオンにして電源を再投入した後でも、制御ユニット17は、モータファン16を停止し続ける。ユーザが正規品でないメインフィルタ14を装着したか、メインフィルタ14の溶断されたヒューズ90(図12)の上をジャンパ線でバイパスしようとしているか、回路がヒューズ溶断に失敗したと考えられるため、制御ユニット17は、モータファン16を停止する。
【0132】
図15を続いて参照し、ブロック166から続けると、ユーザは、フロースイッチ44をリセットし、次いで、新しいプレフィルタ12と新しいメインフィルタ14をハウジング11に装着する。新しいメインフィルタ14は、ヒューズが損なわれていない。引き続いて、ブロック170に示されるように制御ユニット17は、第2回路98(図12)に低い電圧レベルの信号を検出する。このことにより制御ユニット17がカウンタ変数NとMをゼロにし、プレフィルタ12の累積作動時間TPをゼロにし、プレフィルタ状態フラグとヒューズ溶断フラグをクリアする。カウンタ変数NとMが0にリセットされることにより、カウント値Zも0にリセットされる。
【0133】
電源投入時、制御ユニット17は、第1回路96に高い電圧レベルの信号(メインフィルタ14がないことに一致)と第2回路98に低い電圧レベルの信号(ヒューズが損なわれていないことに一致)を検出した場合は、強制リセット条件成立となる。メインフィルタ14の欠如と損なわれていないヒューズとは矛盾しているので、ブロック172に示されるように制御ユニット17は、モータファン16を停止し、全てのパラメータをゼロまたはNullにリセットする。
【0134】
図15のブロック174を参照すると、メインフィルタ14の累積作動時間TMがメインフィルタ作動タイムリミット値TMLを越えると、制御ユニット17は、ヒューズを溶断し、メインフィルタ状態表示ランプを点灯するがモータファン16を回転し続ける。ブロック174において、制御ユニット17は、ヒューズ90をブロック164の場合と同様に溶断しようとする。運転状態は、ヒューズ90の溶断に成功した場合、ブロック170に遷移し、ヒューズ90の溶断にX回以内に成功しなかった場合には、ブロック168に移行する。
【0135】
本発明のいくつかの特徴を図が描かれ、説明したが本発明の範囲を超えることなく様々な変更が可能であることは、明らかである。また本発明の様々なモデルを作るために、開示された実施形態の具体的な特徴や面様々なコンビネーションやサブコンビネーションが結合されるか、または、本発明の変化したモードを作るためにあるものを代用することも考えられる。例えば本発明の実施形態はメインフィルタリセットスイッチ32とメインフィルタ14がヒューズ90を持つことを使用した組み合わせも含んでいる。したがって、本発明の特許請求の範囲によるものを除いて、本発明が限定される意図はない。
【符号の説明】
【0136】
10 エアクリーニング空気清浄器
12 プレフィルタ
14 メインフィルタ
16 モータファン
17 制御ユニット(制御手段の一例)
18 コントロールパネル
32 メインフィルタリセットスイッチ
36 プレフィルタ状態表示ランプ
38 メインフィルタ状態表示ランプ
40 電源表示ランプ
42 電源スイッチ
44 フロースイッチ
90 ヒューズ
C 補正係数
M 耐用期間終了回数
N 目詰まり検出回数
S モータ回転数
L1 モータ回転数リミット値
M メインフィルタの累積作動時間
ML 作動タイムリミット値
P プレフィルタの累積作動時間
PL プレフィルタ累積作動タイムリミット値
Z カウント値
L リミット値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジング内に収容されて当該ハウジング内に空気を吸引するファンと、前記ハウジングの空気通路に配置されるプレフィルタと、前記ハウジング内の前記プレフィルタと前記ファンとの間に配置されるメインフィルタとを備えている空気清浄器において、
各フィルタの交換要否を個別に表示可能な表示手段と、
表示手段の表示を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記プレフィルタの交換時期を検出した場合に当該プレフィルタ交換用の表示を、前記メインフィルタの交換時期を検出した場合に当該メインフィルタ交換用の表示をそれぞれ個別に出力するように前記表示手段を制御するものである
ことを特徴とする空気清浄器。
【請求項2】
請求項1記載の空気清浄器において、
前記制御手段は、前記プレフィルタが目詰まりを起こした場合と前記プレフィルタの耐用期間が終了した場合の何れか一方の場合に、当該プレフィルタの交換を要する旨を表示するように前記表示手段を制御するとともに、前記プレフィルタの目詰まりの発生を検出した回数と前記プレフィルタの耐用期間終了を検出した回数とが所定の条件を満たした場合に、当該メインフィルタの交換を要する旨を表示するように前記表示手段を制御するものである
ことを特徴とする空気清浄器。
【請求項3】
請求項1または2記載の空気清浄器において、
前記制御手段は、前記プレフィルタの目詰まりの発生を検出した回数をNとしてカウントする処理と、前記プレフィルタの耐用期間終了を検出した回数をMとしてカウントする処理と、予め設定された補正係数をCとして、次式のカウント値Z
Z=N+C×M (1)
を演算する処理と、前記カウント値Zが予め設定されたリミット値を越えた場合に、当該メインフィルタの交換を要する旨を表示する処理とを実行するものである
ことを特徴とする空気清浄器。
【請求項4】
請求項3に記載の空気清浄器において、
前記メインフィルタは、溶断制御可能なヒューズを含み、
前記制御手段は、前記カウント値Zが前記リミット値を越えた場合に、当該ヒューズを溶断するものである
ことを特徴とする空気清浄器。
【請求項5】
請求項3または4記載の空気清浄器において、
前記メインフィルタは、新品の場合に定格風量で0.3μmの粒子を少なくとも98%濾過する吸着型フィルタであり、
前記プレフィルタは、新品の場合に定格風量で0.3μmの粒子を少なくとも65%濾過するものであり、
前記カウント値Zは、10であり、
前記補正係数Cは、0.5である
ことを特徴とする空気清浄器。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の空気清浄器において、
前記ファンを駆動するときのモータ回転数を検出するセンサと、前記プレフィルタの目詰まりに対応するモータ回転数リミット値を記憶するモータ回転数リミット値記憶手段とを備え、
前記制御手段は、検出された前記モータ回転数を前記モータ回転数リミット値記憶手段に記憶された前記モータ回転数リミット値と比較する処理を実行し、前記モータ回転数が前記モータ回転数リミット値を越えた場合に、当該プレフィルタが目詰まりしたと判定し、プレフィルタの交換を要する旨を表示するように前記表示手段を制御するものである
ことを特徴とする空気清浄器。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の空気清浄器において、
前記プレフィルタの耐用期間終了に対応するプレフィルタ作動タイムリミット値を記憶するプレフィルタ作動タイムリミット値記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記プレフィルタの累積作動時間を積算する処理を実行し、前記プレフィルタの累積作動時間が前記プレフィルタ作動タイムリミット値を越えた場合に、当該プレフィルタの耐用期間が終了したと判定し、プレフィルタの交換を要する旨を表示するように前記表示手段を制御するものである
ことを特徴とする空気清浄器。
【請求項8】
請求項7記載の空気清浄器において、
前記制御手段は、運転モードをリセットモードに切り換えた場合に、前記プレフィルタの累積作動時間をリセットするプレリセットスイッチのリセット動作で当該プレフィルタの有無を検出するものである
ことを特徴とする空気清浄器。
【請求項9】
請求項8記載の空気清浄器において、
前記制御手段は、前記プレフィルタの交換要否をブーリアン型の値で示すプレフィルタ状態フラグを記憶する不揮発性のプレフィルタ状態フラグ記憶手段を備え、且つ前記プレフィルタの目詰まりと耐用期間終了の何れかを検出した場合に、当該プレフィルタ状態フラグ記憶手段に記憶されているプレフィルタ状態フラグを「交換要」を示す状態に切り換えるとともに、前記プレリセットスイッチが作動したときに前記プレフィルタ状態フラグ記憶手段に記憶されている前記プレフィルタ状態フラグを「交換不要」を示す状態に切り換える処理を実行するものである
ことを特徴とする空気清浄器。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載の空気清浄器において、
前記メインフィルタの有無を検出するメインフィルタ検出手段と、前記メインフィルタの耐用期間終了に対応するメインフィルタ作動タイムリミット値を記憶するメインフィルタ作動タイムリミット値記憶手段とを備え、
前記制御手段は、前記メインフィルタの累積作動時間を積算する処理を実行し、カウントした前記メインフィルタの累積作動時間が前記メインフィルタ作動タイムリミット値を超えた場合に、当該メインフィルタの耐用期間が終了したと判定し、メインフィルタの交換を要する旨を表示するように前記表示手段を制御するものである
ことを特徴とする空気清浄器。
【請求項11】
請求項10記載の空気清浄器において、
前記メインフィルタ検出手段は、前記メインフィルタが交換された場合に、積算された前記メインフィルタの累積作動時間をリセットするメインフィルタリセットスイッチである
ことを特徴とする空気清浄器。
【請求項12】
請求項11記載の空気清浄器において、
前記制御手段は、前記メインフィルタリセットスイッチが作動したときに前記メインフィルタの交換を要する旨の表示を解除するように前記表示手段を制御するものである
ことを特徴とする空気清浄器。
【請求項13】
請求項12記載の空気清浄器において、
前記制御手段は、前記メインフィルタの交換要否をブーリアン型の値で示すメインフィルタ状態フラグを記憶する不揮発性のメインフィルタ状態フラグ記憶手段を備え、且つ前記メインフィルタの耐用期間終了が検出された場合に、当該メインフィルタ状態フラグ記憶手段に記憶されているメインフィルタ状態フラグを「交換要」を示す状態に切り換えるとともに、前記メインフィルタリセットスイッチが作動したときに前記メインフィルタ状態フラグ記憶手段に記憶されている前記メインフィルタ状態フラグを「交換不要」を示す状態に切り換える処理を実行し、前記メインフィルタ状態フラグが「交換要」を示す状態の場合に、当該メインフィルタの交換を要する旨を表示するように前記表示手段を制御するとともに、前記メインフィルタ状態フラグが「交換不要」を示す状態の場合に、当該メインフィルタの交換を要する旨の表示を解除するように前記表示手段を制御するものである
ことを特徴とする空気清浄器。
【請求項14】
請求項1から13の何れか1項に記載の空気清浄器において
前記プレフィルタは、吸着型のフィルタであり、
前記メインフィルタは、吸着型のフィルタであって、前記プレフィルタよりも空気の流れの下流に位置し、濾過能力が前記プレフィルタより優れて、耐用期間が前記プレフィルタより長い
ことを特徴とする空気清浄器。
【請求項15】
ハウジングと、前記ハウジング内に収容されて当該ハウジング内に空気を吸引するファンと、前記ハウジングの空気通路に配置されるプレフィルタと、前記ハウジング内の前記プレフィルタと前記ファンとの間に配置されるメインフィルタと、各フィルタの交換要否を表示する表示手段とを備えている空気清浄器の制御方法であって、
前記プレフィルタの目詰まりの発生を検出した回数をNとしてカウントする目詰まり回数カウントステップと、
前記プレフィルタの耐用期間終了を検出した回数をMとしてカウントするプレフィルタ耐用期間終了カウントステップと、
予め設定された補正係数をCとして、次式のカウント値Z
Z=N+C×M (1)
を演算する演算ステップと、
前記カウント値Zが予め設定されたリミット値を越えた場合に、当該メインフィルタが交換を要する旨を表示するように、前記表示手段を制御するメインフィルタ交換表示ステップとを備えている
ことを特徴とする空気清浄器の制御方法。
【請求項16】
請求項15の空気清浄器の制御方法において、
前記目詰まり回数カウントステップは、前記ファンを駆動するときのモータ回転数を計測し、計測された前記モータ回転数が予め設定されたモータ回転数リミット値を超えた場合に、当該プレフィルタが目詰まりを起こしていると判定する処理を含む
ことを特徴とする空気清浄器の制御方法。
【請求項17】
請求項15または16記載の空気清浄器の制御方法において、
前記プレフィルタ耐用期間終了カウントステップは、前記プレフィルタの累積作動時間を積算し、前記プレフィルタの累積作動時間が予め設定されている作動タイムリミット値を超えた場合に、当該プレフィルタの耐用期間が終了していると判定する処理を含む
ことを特徴とする空気清浄器の制御方法。
【請求項18】
請求項15から17の何れか1項に記載の空気清浄器の制御方法において、
前記カウント値Zが予め設定されたリミット値を越えた場合に、当該空気清浄器に設けられたヒューズを溶断するヒューズ溶断ステップを備えている
ことを特徴とする空気清浄器の制御方法。
【請求項19】
請求項15から18の何れか1項に記載の空気清浄器の制御方法において、
前記メインフィルタの有無を検出し、前記メインフィルタが検出されている間に前記ファンが作動する前記メインフィルタの累積作動時間を積算し、前記メインフィルタの累積作動時間が予め設定されたメインフィルタ作動タイムリミット値を超えた場合に、前記メインフィルタ交換表示ステップを実行するものである
ことを特徴とする空気清浄器の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−167683(P2011−167683A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28757(P2011−28757)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000234339)白光株式会社 (19)
【Fターム(参考)】