説明

空気清浄装置

【課題】光触媒モジュールで発生したオゾンを効果的に分解することができ、かつ光触媒モジュールを通過して空気吹出口側に送風される空気を風量低下させることなく送風することができる空気清浄装置を提供する。
【解決手段】空気吸入口4から送風路3に空気を導入する送風ファン5と、送風路3に設置され、高電圧印加による放電によって紫外線及びオゾンを発生し、紫外線により光触媒を励起させて送風路3に導入された空気中の有害ガス成分及び臭気成分を分解する光触媒モジュール7とを有し、光触媒モジュール7の空気流れ方向下流側に位置する送風路3の内面と空気吹出口8の内面の少なくとも一方の内面に、光触媒モジュール7で発生したオゾンを分解するオゾン分解触媒Cを塗布した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄装置に関し、特に車両(自動車)に設置される車両用の空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車室内の空気中の粉塵等を除去し、有害ガス成分や空調装置の熱交換器(蒸発器)から発生するかび臭などを分解して、清浄された空気を車室内に送風する車両用の空気清浄装置においては、近年、有害ガス成分やかび臭などを効果的に分解するために光触媒モジュールを用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の空気浄化装置(空気清浄装置)は、送風路に放電手段で得られた紫外線が照射されることにより生じる光触媒作用によって、有害ガス成分やかび臭などを分解する光触媒モジュールを有している。
【特許文献1】特開2003−39944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記光触媒モジュールを有している特許文献1の空気浄化装置(空気清浄装置)は、放電手段による高電圧放電によって人体に有害なオゾンが発生するため、送風路の光触媒モジュールの空気流れ方向下流側にオゾンを分解してオゾン濃度を人体に無害なレベルまで下げるためのオゾン分解フィルタが設置されている。このオゾン分解フィルタは、例えば、ハニカム状のアルミ基材にオゾンを分解する触媒を塗布して構成されている。
【0005】
このため、送風ファンの駆動によって送風路内を流れる空気が光触媒モジュールの空気流れ方向下流側に設けた前記オゾン分解フィルタを通過する際に、通気抵抗の増加によって空気吹出口から吹出す清浄された空気の風量が低下する。このため、このオゾン分解フィルタでの通気抵抗による風量低下を抑えるには、高出力で大型の送風ファンが必要となり、コストが高くなる。
【0006】
そこで、本発明は、光触媒モジュールで発生したオゾンを効果的に分解することができ、かつ光触媒モジュールを通過して空気吹出口側に送風される空気を風量低下させることなく送風することができる空気清浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために請求項1に係る本発明の空気清浄装置は、空気吸入口から送風路に空気を導入する送風ファンと、前記送風路に設置され、高電圧印加による放電によって紫外線及びオゾンを発生し、前記紫外線により光触媒を励起させて前記送風路に導入された空気中の有害ガス成分及び臭気成分を分解する光触媒モジュールとを有し、前記光触媒モジュールの空気流れ方向下流側に位置する前記送風路の内面と前記送風路の最下流側に設けた空気吹出口の内面の少なくとも一方の内面に、前記光触媒モジュールで発生したオゾンを分解するオゾン分解触媒を塗布したことを特徴としている。
【0008】
請求項2に係る本発明の空気清浄装置は、送風ファンにより空気吸入口から送風路に導入される空気を冷媒との熱交換により冷却する熱交換器を備えた車両用空調装置に設けられる空気清浄装置において、前記送風路の前記熱交換器の空気流れ方向上流側で、かつ前記熱交換器周囲の湿度環境に影響されないような距離を隔てた位置に、高電圧印加による放電によって紫外線及びオゾンを発生し、前記紫外線により光触媒を励起させて前記送風路に導入された空気中の有害ガス成分及び臭気成分を分解する光触媒モジュールを設置し、前記光触媒モジュールの空気流れ方向下流側に位置する前記送風路の内面と前記送風路の最下流側に設けた空気吹出口の内面の少なくとも一方の内面に、前記光触媒モジュールで発生したオゾンを分解するオゾン分解触媒を塗布したことを特徴としている。
【0009】
請求項3に係る本発明の空気清浄装置は、前記空気吹出口に吹出しグリルを設け、該吹出しグリルの表面に前記光触媒モジュールで発生したオゾンを分解するオゾン分解触媒を塗布したことを特徴としている。
【0010】
請求項4に係る本発明の空気清浄装置は、前記光触媒モジュールを前記送風路の前記送風ファンの空気流れ方向上流側に設置されることを特徴としている。
【0011】
請求項5に係る本発明の空気清浄装置は、送風ファンにより空気吸入口から送風路に導入される空気を冷媒との熱交換により冷却する熱交換器を備えた車両用空調装置に設けられる空気清浄装置において、前記送風路の前記熱交換器の空気流れ方向上流側で、かつ前記熱交換器周囲の湿度環境に影響されないような距離を隔てた位置に、高電圧印加による放電によって紫外線及びオゾンを発生し、前記紫外線により光触媒を励起させて前記送風路に導入された空気中の有害ガス成分及び臭気成分を分解する光触媒モジュールを設置し、前記送風路の前記光触媒モジュールの空気流れ方向下流側で、かつ空気吹出口のドア上流側に位置するようにして、前記光触媒モジュールで発生したオゾンを分解するオゾン分解触媒を設置したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、2に係る本発明の空気清浄装置によれば、光触媒モジュールで発生したオゾンを、送風路の内面と空気吹出口の内面の少なくとも一方の内面に塗布したオゾン分解触媒(例えば、二酸化マンガンの粉末)で分解する構成により、従来のように光触媒モジュールの空気流れ方向下流側の送風路にオゾン分解フィルタを設置する必要がない。従って、オゾン分解フィルタを設置した場合の通気抵抗の増大に伴う風量低下を防止することができるので、有害ガス成分やかび臭成分などが除去されたクリーンな空気を風量低下させることなく空気吹出口から吹出させることができる。
【0013】
請求項3に係る本発明の空気清浄装置によれば、空気吹出口に設けた吹出しグリルの表面にも光触媒モジュールで発生したオゾンを分解するオゾン分解触媒を塗布したことにより、より効果的に光触媒モジュールで発生したオゾンを分解することができる。
【0014】
請求項4に係る本発明の空気清浄装置によれば、光触媒モジュールを送風路の送風ファンの空気流れ方向上流側に設置したことにより、光触媒モジュールがエバポレータ周囲の高湿度環境の影響を受けにくくなるので、この高湿度環境による異常放電の発生がなくなり、安定した放電を得ることができる。
【0015】
請求項5に係る本発明の空気清浄装置によれば、光触媒モジュールを送風路の送風ファンの空気流れ方向上流側に設置したことにより、光触媒モジュールがエバポレータ周囲の高湿度環境の影響を受けにくくなるので、この高湿度環境による異常放電の発生がなくなり、安定した放電を得ることができる。更に、送風路の光触媒モジュールの空気流れ方向下流側で、かつ空気吹出口のドア上流側に位置するようにして、光触媒モジュールで発生したオゾンを分解するオゾン分解触媒を設置したことにより、空気吹出口のドア上流側で光触媒モジュールで発生したオゾンを確実に分解することができ、かつ臭気も良好に脱臭することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
〈実施形態1〉
図1は、本発明の実施形態1に係る空気清浄装置を示す概略構成図であり、本実施形態では、車両(自動車)の車室内の空気を清浄化する車両用空気清浄装置に適用した例である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る空気清浄装置1は、空気清浄ケース2内に形成される送風路3の最上流側の空気吸入口4近傍に設置した送風ファン5と、送風ファン5の空気流れ方向下流側に設置した集塵フィルタ6と、集塵フィルタ6の空気流れ方向下流側に設置した光触媒モジュール7と、を有しており、送風路3の最下流側には空気吹出口8が形成されている。なお、図1において、矢印Aは空気流れ方向である。
【0018】
集塵フィルタ6は、送風ファン5の回転によって空気取入口4から送風路3内に導入される空気中の塵埃や花粉等を除去するための不織布からなるプリーツフィルタであり、枠体(不図示)に保持された状態で送風路3に設置されている。
【0019】
光触媒モジュール7は、メッシュ状の複数(図では、3枚)の電極板9の間にブロック状の光触媒部材10を挟むようにして構成されており、各電極板9間には電源部11が接続されている。電源部11から各電極板9間にパルス状の直流高電圧を印加することによって各電極板9間に放電が発生し、この放電時に発生する紫外線によって光触媒部材10を励起することにより、光触媒作用により空気中に含まれる有害ガス成分やかび臭成分などを分解する。なお、前記放電時には紫外線とともにオゾンが発生する。光触媒部材10は、多孔質セラミックからなる基材の表面に酸化チタンなどの光触媒材料を付着させ、乾燥または焼結することによって構成されている。
【0020】
そして、この空気清浄装置1の空気吹出口8の内面、空気吹出口8に設置される吹出グリル12、および光触媒モジュール7の空気流れ方向下流側に位置している送風路3の内面には、オゾンを分解する触媒(例えば、二酸化マンガンの粉末)Cが塗布されている。
【0021】
本実施形態に係る空気清浄装置1は上記のように構成されており、乗員のスイッチ操作により空気清浄モードで運転が開始されると、ファンモータMの回転駆動により送風ファン5が回転し、空気吸入口4から送風路3に空気が導入される。送風路3に導入された空気は最初に集塵フィルタ6を通過することにより、空気中の塵埃や花粉等が捕獲され除去される。塵埃や花粉等が除去された空気は次に光触媒モジュール7に入る。
【0022】
この際、電源部11から光触媒モジュール7の各電極板9間にパルス状の直流高電圧を印加することによって各電極板9間に放電を発生させ、この放電時に発生する紫外線によって光触媒部材10が励起される。そして、光触媒部材10の励起による光触媒作用により、光触媒モジュール7を通過する空気中に含まれる有害ガス成分やかび臭気成分などが酸化分解される。
【0023】
そして、光触媒モジュール7で有害ガス成分やかび臭成分などが除去された空気(および前記各電極板9間の放電時に紫外線とともに発生したオゾン)が、送風路3の空気吹出口8側に送風され、有害ガス成分やかび臭気成分などが除去された空気は空気吹出口8の吹出グリル12を通して車室内に吹出される。この際、光触媒モジュール7で発生したオゾンは、送風路3の内面、空気吹出口8の内面、および吹出グリル12の表面に塗布しているオゾン分解触媒(例えば、二酸化マンガンの粉末)Cにより分解され、オゾン濃度を人体に無害なレベルまで低減される。
【0024】
このように、本実施形態の空気清浄装置1によれば、光触媒モジュール7で発生したオゾンを送風路3の内面、空気吹出口8の内面、および吹出グリル12の表面に塗布しているオゾン分解触媒(例えば、二酸化マンガンの粉末)Cで分解する構成により、従来のように光触媒モジュール7の空気流れ方向下流側の送風路3にオゾン分解フィルタを設置する必要がない。従って、オゾン分解フィルタを設置した場合の通気抵抗の増大に伴う風量低下を防止することができるので、有害ガス成分やかび臭成分などが除去されたクリーンな空気を風量低下させることなくスムーズに空気吹出口8から車室内に吹出させることができる。
【0025】
〈実施形態2〉
図2は、本発明の実施形態2に係る空気清浄装置が設置された車両用空調装置(以下、「空調装置」という)を示す概略構成図である。なお、図1に示した実施形態1の空気清浄装置と同一機能を有する部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0026】
図2に示すように、本実施形態の空調装置20は、車室前部のインストルメントパネル(不図示)内に設けられる空調ケース21を有し、この空調ケース21内に形成される送風路22中に、送風ファン23と、該送風ファン23の空気流れ方向下流側に設置した熱交換器(以下、「エバポレータ」という)24と、該エバポレータ24の空気流れ方向下流側に設置したヒータコア25と、エバポレータ24とヒータコア25との間に設置したエアミックスドア26を有している。ヒータコア25は、エンジン駆動に循環される温水(冷却水)を熱源として該ヒータコア25を通過する空気を加熱する。
【0027】
空調ケース21の空気流れ方向上流側(図2の左側)には、内外気切替ドア27が設置されており、内外気切替ドア27の回動により内気導入口28aと外気導入口28bのいずれかを選択的に切替えることで、内気または外気が導入される。また、空調ケース21の空気流れ方向下流側(図2の右側)には、エアミックス室29にて温調された空気(空調エア)を、デフロスター吹出口30に分配するデフドア31と、ベント吹出口32に分配するベントドア33と、フット吹出口34に分配するフットドア35が設けられている。なお、図2において、矢印Aは空気流れ方向である。
【0028】
エバポレータ24は、不図示のエンジンにより駆動されるコンプレッサ、コンデンサ、リキッドタンク、循環パイプ等と共に冷凍サイクルを構成し、送風ファン23の回転によってエバポレータ24側に送風される空気(内気又は外気)とエバポレータ24の冷媒チューブ(不図示)内を循環する冷媒との間で熱交換を行い、エバポレータ24を通過する空気を冷却するものである。
【0029】
この空調装置20に設置される空気清浄装置は、送風ファン23の空気流れ方向上流側に設置した光触媒モジュール7を有している。光触媒モジュール7の各電極板9には、電源部11が接続されている。光触媒モジュール7の構成は実施形態1と同様である。
【0030】
また、各空気吹出口(デフロスター吹出口30、ベント吹出口32、フット吹出口34)の内面、これらの各空気吹出口に設置された吹出グリル36a、36b、36cの表面、各ドア(エアミックスドア26、デフドア31、ベントドア33、フットドア35)表面、および光触媒モジュール7の空気流れ方向下流側に位置している送風路22の内面には、オゾンを分解する触媒(例えば、二酸化マンガンの粉末)Cが塗布されている。なお、送風路22の光触媒モジュール7の空気流れ方向上流側には、不図示の集塵フィルタが設置されている。
【0031】
本実施形態の空調装置20は上記のように構成されており、乗員のスイッチ操作により例えば冷房モードで運転が開始されると、ファンモータMの回転駆動により送風ファン23が回転し、例えば内気導入口28aから送風路22に空気(内気)が導入される。送風路22に導入された空気は、集塵フィルタ(不図示)を通して光触媒モジュール7に入る。
【0032】
この際、電源部11から光触媒モジュール7の各電極板9間にパルス状の直流高電圧を印加することによって各電極板9間に放電を発生させ、この放電時に発生する紫外線によって光触媒部材10が励起される。そして、光触媒部材10の励起による光触媒作用により、光触媒モジュール7を通過する空気中に含まれる有害ガス成分やかび臭成分などが酸化分解される。
【0033】
そして、光触媒モジュール7で有害ガス成分やかび臭成分などが除去された空気(および前記各電極板9間の放電時に紫外線とともに発生したオゾン)が、エバポレータ24に導入される。この際、エンジン駆動によりコンプレッサ(不図示)を回転駆動して前記した冷凍サイクルを作動させることで、エバポレータ24を通過する空気は、冷媒チューブ(不図示)内を循環する冷媒との間で熱交換されて所定温度に冷却される。
【0034】
そして、エバポレータ吹出温度情報、乗員のスイッチ操作によって入力される空調設定情報(風量、設定温度等)などに基づいて、エアミックスドア駆動部(不図示)が駆動され、エアミックスドア26の開度が調整される。これにより、エバポレータ24を通過した冷風(空気)の一部をヒータコア25側に導入させて、前記冷風とヒータコア25により得られた温風とをエアミックス室29で混合させることで、所望温度に温調された冷風(光触媒モジュール7で有害ガス成分やかび臭成分などが除去された空気)が、例えばベントドア33を開位置に回動させることでベント吹出口32から吹出される。
【0035】
なお、光触媒モジュール7で発生したオゾンがエバポレータ24を通過するときに、このオゾンによってエバポレータ24が殺菌されることにより、高湿度環境下にあるエバポレータ24でのかびの発生を抑えることができる。
【0036】
また、エバポレータ24を通過したオゾンは、エバポレータ24の空気流れ方向下流側に位置する送風路22の内面、各空気吹出口(図2の場合では、ベント吹出口32)の内面、これらの各空気吹出口に設置された吹出グリル(図2の場合では、ベント吹出口32の吹出グリル36b)の表面、および各ドア(エアミックスドア26、デフドア31、ベントドア33、フットドア35)表面にそれぞれ塗布されているオゾン分解触媒(例えば、二酸化マンガンの粉末)により分解され、オゾン濃度を人体に無害なレベルまで低減される。
【0037】
このように、本実施形態の空気清浄装置が設置された空調装置20によれば、光触媒モジュール7で発生したオゾンを、エバポレータ24の空気流れ方向下流側に位置する送風路22の内面、各空気吹出口(デフロスター吹出口30、ベント吹出口32、フット吹出口34)の内面、これらの各空気吹出口に設置された空気吹出グリル36a、36b、36cの表面、および各ドア(エアミックスドア26、デフドア31、ベントドア33、フットドア35)の表面にそれぞれ塗布されているオゾン分解触媒(例えば、二酸化マンガンの粉末)Cで分解する構成により、従来のように光触媒モジュール7の空気流れ方向下流側の送風路22にオゾン分解フィルタを設置する必要がない。
【0038】
従って、オゾン分解フィルタを設置した場合の通気抵抗の増大に伴う風量低下を防止することができるので、有害ガス成分やかび臭成分などが除去されたクリーンな空気を風量低下させることなくスムーズに空気吹出口(デフロスター吹出口30、ベント吹出口32、フット吹出口34)から車室内に吹出させることができる。
【0039】
更に、従来のようにエバポレータの空気流れ方向下流側の送風路にオゾン分解フィルタが設置されていると、エバポレータを殺菌したオゾンがオゾン分解フィルタで直に分解されるため、エバポレータの空気流れ方向下流側の送風路の内面に吸着している臭気を脱臭することができなかったが、本実施形態では、エバポレータ24の空気流れ方向下流側に位置する送風路22の内面に塗布しているオゾン分解触媒でオゾンを分解する際に、送風路22の内面に吸着している臭気を脱臭することができる。
【0040】
また、本実施形態では、光触媒モジュール7を送風ファン23の空気流れ方向上流側に設置して、光触媒モジュール7を高湿度環境下にあるエバポレータ24からできるだけ離れた位置に設けている。よって、光触媒モジュール7はエバポレータ24周囲の高湿度環境の影響を受けにくくなるので、この高湿度環境による異常放電の発生がなくなり、安定した放電を得ることができる。
【0041】
なお、本実施形態では、光触媒モジュール7を送風ファン23の空気流れ方向上流側に設置した構成であったが、送風ファン23からエバポレータ24が離れている場合には、光触媒モジュール7を送風ファン23の空気流れ方向下流側近傍に設置してもよい。
【0042】
また、エバポレータ24の空気流れ方向下流側に位置する送風路22の内面、各空気吹出口(デフロスター吹出口30、ベント吹出口32、フット吹出口34)の内面、これらの各空気吹出口に設置された吹出グリル36a、36b、36cの表面、および各ドア(エアミックスドア26、デフドア31、ベントドア33、フットドア35)の表面にそれぞれ微小突起部を複数形成して、この微小突起部の表面にオゾン分解触媒(例えば、二酸化マンガンの粉末)を塗布するようにしてもよい。この場合には、オゾン分解触媒を複数の微小突起部の表面に塗布されることで、オゾン分解触媒の塗布面積をより大きくすることが可能となり、エバポレータ24を通過したオゾンをより効果的に分解することができる。
【0043】
〈実施形態3〉
図3は、本発明の実施形態3に係る空気清浄装置が設置された空調装置を示す概略構成図である。なお、図2に示した実施形態2の空調装置と同一機能を有する部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0044】
前記実施形態2では、エバポレータ24の空気流れ方向下流側に位置する送風路22の内面、各空気吹出口の内面、これらの各空気吹出口に設置された空気吹出グリルの表面、および各ドアの表面にオゾン分解触媒を塗布した構成であったが、本実施形態の空調装置20aでは、図3に示すように、送風路22の光触媒モジュール7の空気流れ方向下流側で、かつ空気吹出口のドア(エアミックスドア26、デフドア31、ベントドア33、フットドア35)上流側に空気流れ方向Aに対して略直交するよう位置させて、光触媒モジュール7で発生したオゾンを分解するオゾン分解触媒37を設置した構成である。
【0045】
オゾン分解触媒37は、例えば、ハニカム状のアルミ基材にオゾンを分解する触媒を塗布して構成されている。
【0046】
このように、本実施形態では、光触媒モジュール7を送風路22の送風ファン23の空気流れ方向上流側に設置したことにより、光触媒モジュール7がエバポレータ24周囲の高湿度環境の影響を受けにくくなるので、この高湿度環境による異常放電の発生がなくなり、安定した放電を得ることができる。更に、送風路22の光触媒モジュール7の空気流れ方向下流側で、かつ空気吹出口のドア上流側に位置するようにして、オゾン分解触媒37を設置したことにより、空気吹出口のドア上流側で光触媒モジュール7で発生したオゾンを確実に分解することができ、かつ臭気も良好に脱臭することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態1に係る空気清浄装置を示す概略構成図。
【図2】本発明の実施形態2に係る空気清浄装置が設置された空調装置を示す概略構成図。
【図3】本発明の実施形態3に係る空気清浄装置が設置された空調装置を示す概略構成図。
【符号の説明】
【0048】
1 空気清浄装置
3、22 送風路
4 空気吸入口
5、23 送風ファン
7 光触媒モジュール
8 空気吹出口
9 電極板
10 光触媒部材
11 電源部
12 吹出グリル
20 空調装置
24 エバポレータ
25 ヒータコア
26 エアミックスドア
30 デフロスター吹出口
31 デフドア
32 ベント吹出口
33 ベントドア
34 フット吹出口
35 フットドア
37 オゾン分解触媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吸入口から送風路に空気を導入する送風ファンと、前記送風路に設置され、高電圧印加による放電によって紫外線及びオゾンを発生し、前記紫外線により光触媒を励起させて前記送風路に導入された空気中の有害ガス成分及び臭気成分を分解する光触媒モジュールとを有し、
前記光触媒モジュールの空気流れ方向下流側に位置する前記送風路の内面と前記送風路の最下流側に設けた空気吹出口の内面の少なくとも一方の内面に、前記光触媒モジュールで発生したオゾンを分解するオゾン分解触媒を塗布したことを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
送風ファンにより空気吸入口から送風路に導入される空気を冷媒との熱交換により冷却する熱交換器を備えた車両用空調装置に設けられる空気清浄装置において、
前記送風路の前記熱交換器の空気流れ方向上流側で、かつ前記熱交換器周囲の湿度環境に影響されないような距離を隔てた位置に、高電圧印加による放電によって紫外線及びオゾンを発生し、前記紫外線により光触媒を励起させて前記送風路に導入された空気中の有害ガス成分及び臭気成分を分解する光触媒モジュールを設置し、
前記光触媒モジュールの空気流れ方向下流側に位置する前記送風路の内面と前記送風路の最下流側に設けた空気吹出口の内面の少なくとも一方の内面に、前記光触媒モジュールで発生したオゾンを分解するオゾン分解触媒を塗布したことを特徴とする空気清浄装置。
【請求項3】
前記空気吹出口に吹出しグリルを設け、該吹出しグリルの表面に前記光触媒モジュールで発生したオゾンを分解するオゾン分解触媒を塗布したことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気清浄装置。
【請求項4】
前記光触媒モジュールは、前記送風路の前記送風ファンの空気流れ方向上流側に設置されることを特徴とする請求項2に記載の空気清浄装置。
【請求項5】
送風ファンにより空気吸入口から送風路に導入される空気を冷媒との熱交換により冷却する熱交換器を備えた車両用空調装置に設けられる空気清浄装置において、
前記送風路の前記熱交換器の空気流れ方向上流側で、かつ前記熱交換器周囲の湿度環境に影響されないような距離を隔てた位置に、高電圧印加による放電によって紫外線及びオゾンを発生し、前記紫外線により光触媒を励起させて前記送風路に導入された空気中の有害ガス成分及び臭気成分を分解する光触媒モジュールを設置し、
前記送風路の前記光触媒モジュールの空気流れ方向下流側で、かつ空気吹出口のドア上流側に位置するようにして、前記光触媒モジュールで発生したオゾンを分解するオゾン分解触媒を設置したことを特徴とする空気清浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−149536(P2010−149536A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326709(P2008−326709)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】