説明

空気蒸留によって酸素を生成するための方法および設備

第1及び第2の圧縮空気流を生成するために供給される大気圧の空気の蒸留を介し、更に第1の浄化ユニット(5)及び第2の浄化ユニット(7)を介して酸素を生成するための方法において、第1及び第2の圧縮空気流は第1及び第2の圧力で圧縮手段から排出され、第1及び第2の圧力は少なくとも0.5bar異なる圧力であり;、第1の圧縮空気流は第1の浄化空気流を生成するために圧縮手段の第1の排出口から第1の浄化ユニットへ第1の圧力で送られ;、第1の浄化空気流は第1の浄化ユニットからカラムシステム(15)に含まれるカラムへ送られ;第2の浄化空気流は少なくとも部分的に凝縮された形で第2の浄化ユニットからカラムシステムに含まれるカラムに送られ;、カラムシステムから酸素を豊富に含む液体が取り出され;、上記酸素を豊富に含む液体は少なくとも第2の浄化空気流との熱交換により気化され;、そして上記酸素を豊富に含む液体が原料として供給される。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、空気蒸留によって酸素を生成するための方法および設備に関する。本発明は、要求される酸素圧力が例えば5から20barの間に含まれる範囲内での、例えば非常に多量の酸素の製造に適用される。上記酸素は1または複数の大型の空気蒸留ユニット内で生成され、上記蒸留ユニットで生成される液体酸素を、ポンプを使用してこれらの圧力に到達させること、および、上記液体酸素を、酸素を気化させるに十分な圧力に圧縮された熱発生流体との熱交換により気化させることが好ましく、この熱発生流体は一般的には圧力が高められた空気である。常に扱いにくい酸素圧縮機の使用は、このように避けられる。
【0002】
そのような空気分離ユニット(ASUs)において、並列に配置された1または複数の主な空気圧縮機内で大気圧の空気を圧縮することは一般的な方法である。このように圧縮された空気は、一般的には例えば5および40℃間に含まれる範囲内に冷却手段で冷却される。このように冷却された空気は、水、CO、および炭化水素のような不純物のほとんどの部分が除去される1または複数の浄化装置内で処理される。
【0003】
このように浄化された空気の一部は増圧器に送られ、一般的には10barを超える付加的な圧縮工程を受けるとともに、例えば酸素のような1または複数の生成物を蒸発させる熱発生流体を構成する。
【0004】
ASUsによる多量の酸素の製造は、浄化ユニットにおいて多量の空気を浄化することと、それを行うために、所定体積の空気を処理することができるこれら浄化ユニットのサイズを最小化することとを必要とする。
【0005】
同心円の寝台型(concentric bed type)の浄化ユニットの使用は、それらユニットのサイズの縮小を可能とし、これらのユニットで浄化される空気の圧力を高めるか、または温度を下げることも可能となる。
【0006】
US-A-5337570は2つの空気の流れが異なる圧力で浄化される方法を開示するが、その後にそれら流れの1つは、加圧された液体酸素の流れを蒸発させることが可能となるように、その圧力がより高い圧力に上げられる。
【0007】
本発明は、先行技術の欠点を緩和し、浄化ユニットの後に空気圧昇圧機を付加することを避け、むしろ浄化ユニットにて空気を浄化する工程の前に同等の圧縮を持つことにより、投資コストを減らすことを可能にしようとするものである。
【0008】
浄化ユニットは、第1の空気流は5から9barの間あるいは2から4barの間の第1の圧力で、第2の空気流は11から50barの間あるいは4.5から8barの間で、2つの空気流を2つの異なる圧力にて処理する。
【0009】
本発明の一つの主題は、少なくとも1つのカラムシステムと、少なくとも1つの交換管路と、電気モータおよび/または蒸気タービンに駆動され、1つの第1および1つの第2の圧縮空気流を生成するための大気圧の空気が供給される少なくとも1つの圧縮手段と、1つの第1の浄化ユニットと、1つの第2の浄化ユニットと、を備え、上記第1および第2の圧縮空気流は第1および第2の圧力で上記圧縮手段を出て、上記第2の圧力は少なくとも0.5bar、少なくとも5bar、少なくとも10bar、あるいは少なくとも25barだけ上記第1の圧力よりも高く、そして上記第2の圧力は上記カラムシステムに供給される空気流の中で最も圧力が高い装置によって空気を蒸留することにより酸素を生成する方法であって;、上記第1の圧縮空気流は、水に関してまたは二酸化炭素に関して浄化される第1の空気流を生成するために略上記第1の圧力で上記圧縮手段の第1の排出口から上記第1の浄化ユニットに送られ、上記第2の圧縮空気流は、水に関してまたは二酸化炭素に関して浄化される第2の空気流を生成するために略上記第2の圧力で上記圧縮手段の第2の排出口から上記第2の浄化ユニットに送られ、浄化された上記第1の空気流は、略上記第1の圧力で、上記交換管路において冷却され、浄化された上記第2の空気流は、略上記第2の圧力で、上記交換管路において冷却され、浄化された上記第1の空気流は、上記第1の浄化ユニットから上記カラムシステムに含まれる1つのカラムに送られ、浄化された上記第2の空気流は、少なくとも部分的に凝縮された形で上記カラムシステムに含まれる1つのカラムに送られ、酸素を豊富に含む液体が上記カラムシステムから取り出され、上記交換管路または補助的な蒸発器にて、少なくとも上記第2の圧力の浄化された上記第2の空気流と熱交換することで気化されて、生成物として供給される方法である。
【0010】
本発明の他の主題によれば;
2つの上記圧縮空気流の圧力差は、最大で4bar、または最小で1barかつ最大で3barである。
【0011】
2つの上記圧縮空気流の圧力差は、最小で5barかつ最大で30bar、または場合によって最小で15barかつ最大で25barである。
【0012】
浄化された上記第1の空気流の少なくとも一部は、浄化された上記第2の空気流と同じ上記カラムシステムに含まれる上記カラムに送り込まれる。
【0013】
上記第2の空気流のいずれの部分も上記カラムシステムに含まれるリボイラー(reboiler)に送り込まれない。
【0014】
上記第2の圧力は、上記第1の圧力より最小で5bar高い。
【0015】
上記第2の圧力は、上記第1の圧力より最小で10bar高い。
【0016】
上記第2の圧力は、上記第1の圧力より最大で25bar高い。
【0017】
上記第2の圧力における上記流れは、上記カラムシステムの1つのカラムに入り、上記カラムシステムのリボイラーを温めることに使用されない。
【0018】
本発明の他の主題は、空気を蒸留することによって酸素を生成するための設備であって、少なくとも1つのカラムシステムと、少なくとも1つの交換管路と、少なくとも第1および第2の排出口を有し、圧縮手段蒸気タービンおよび/または電気モータに駆動される少なくとも1つの圧縮手段と、1つの第1浄化ユニットと、1つの第2浄化ユニットと、を備え、上記圧縮手段は、大気圧の空気が供給され、第1の圧力の第1の圧縮空気流を上記第1の排出口から生成するとともに第2の圧力の第2の圧縮空気流を上記第2の排出口から生成するように設計され、上記第2の圧縮空気流は、上記第1の圧縮空気流よりも少なくとも0.5bar、少なくとも5bar、少なくとも10bar、あるいは少なくとも25barだけ高い圧力であり、上記第1の排出口を上記第1の浄化ユニットに接続するための第1の導管と、上記第2の排出口を上記第2の浄化ユニットに接続するための第2の導管と、上記第1の浄化ユニットを上記交換管路に接続するための第3の導管と、上記第2の浄化ユニットを上記交換管路に接続するための第4の導管と、を備え、上記第2の浄化ユニットの下流に接続されて空気の上記圧力を上昇させる手段を備えず、上記交換管路を上記カラムシステムに含まれる1つのカラムに接続するための第5の導管と、上記交換管路を上記カラムシステムに含まれる1つのカラムに接続するための第6の導管と、上記カラムシステムから酸素を豊富に含む液体を取り出して蒸発器(25)に送るための、上記交換管路からなる導管と、上記第2の空気流が凝縮する上記蒸発器に、浄化された上記第2の空気流の少なくとも一部を送るための手段と、を備え、上記第1の排出口と上記第1の浄化ユニットとの間に空気を圧縮する手段を備えず、上記第2の排出口と上記交換管路または上記カラムシステムとの間に空気を圧縮する手段を備えない設備である。
【0019】
本発明の他の側面によれば:
上記圧縮手段は、第1の圧縮機と第2の圧縮機と、大気圧の空気を上記第1の圧縮機と上記第2の圧縮機に供給するための手段と、を備え、上記第1および第2の圧縮機は、共通する蒸気タービンによって駆動される。
【0020】
上記第1および第2の空気圧縮機のいずれか一方は、中間冷却材(等温圧縮)を備える。
【0021】
2つの上記圧縮機の中間冷却材を持たない一方の排出口から熱交換器に空気を送るための手段と、水および/または上記カラムシステムから少なくとも1つの流体を、上記交換器の熱せられた部分に送るための手段。
【0022】
本発明の他の主題は、n≧2であるn個のカラムシステムと、n個の交換管路と、第1の圧力の空気流を生成するために大気圧を圧縮する少なくとも1つの第1の圧縮機と、第2の圧力の空気流を生成するために大気圧を圧縮する少なくとも1つの第2の圧縮機と、を備え、上記第1の圧力は少なくとも0.5bar、少なくとも5bar、少なくとも10bar、あるいは少なくとも25barだけ上記第1の圧力よりも高く、そして上記第2の圧力は蒸留に用いられる空気流の中で最も圧力が高い装置で空気を蒸留することにより酸素を生成する方法であって、上記第1の圧力の空気は、少なくとも1つの第1の圧縮機から少なくとも1つの第1の浄化ユニットに送られ、上記第2の圧力の空気は、少なくとも1つの第2の圧縮機から少なくとも1つの第2の浄化ユニットに送られ、上記第1の空気は、上記第1の浄化ユニットから少なくとも2つのカラムシステムに送られ、上記第2の圧力の空気は、上記第2の浄化ユニットから少なくとも2つのカラムシステムに送られ、そして少なくとも1つのカラムシステムから酸素が生成される方法である。
【0023】
本発明の他の主題は、装置内で空気を蒸留することによって酸素を生成するための設備であって、n≧2であるn個のカラムシステムと、n個の交換管路と、第1の圧力の空気流を生成するために大気圧を圧縮する少なくとも1つの第1の圧縮機と、第2の圧力の空気流を生成するために大気圧を圧縮する少なくとも1つの第2の圧縮機と、を備え、上記第1の圧力は少なくとも0.5bar、少なくとも5bar、少なくとも10bar、あるいは少なくとも25barだけ上記第1の圧力よりも高く、少なくとも1つの第1の浄化ユニットと、少なくとも1つの第2の浄化ユニットと、上記第1の圧縮機から上記第1の浄化ユニットへ上記第1の圧力の空気を送るための手段と、上記第2の圧縮機から上記第2の浄化ユニットへ上記第2の圧力の空気を送るための手段と、上記第1の浄化ユニットから少なくとも2つのカラムシステムに空気を送るための手段と、上記第2の浄化ユニットから少なくとも上記2つのカラムシステムに空気を送るための手段と、を備え、上記第1の圧縮機と上記第1の浄化ユニットの間に圧縮手段を備えず、上記第2の圧縮機と上記各交換管路または上記各カラムシステムの間に圧縮手段を備えない設備。
【0024】
好適には、(いずれか1つの)上記第1の圧縮機の排出口と(いずれか1つの)上記第2の圧縮機の排出口とを接続する手段を備えず、および/または、(いずれか1つの)上記第1の浄化ユニットの排出口と(いずれか1つの)上記第2の浄化ユニットの排出口とを接続する手段を備えない。
【0025】
したがって、上記第1の圧力の空気を生成する少なくとも2つの圧縮機によって与えられる独立した周回路と、上記第2の圧力の空気を生成する少なくとも2つの圧縮機によって与えられる独立した周回路とが存在し、上記各周回路は少なくとも2つの独立したカラムシステムに供給する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【0027】
いくつかの実施形態につき、本発明に係る空気分離設備を示す添付図面を参照して説明する。
【0028】
図1に示された設備は、例えば1または複数の鉄溶融還元ユニット(Corex(登録商標)/Finex(登録商標))、あるいは1または複数の酸素燃焼ユニットに酸素を供給することを意図したものである。第1のケースにおいて、供給される酸素の圧力は、5から15barの範囲に含まれる。第2のケースにおいて、供給される酸素の圧力は、1から5bar(好ましくは1から2bar abs)の範囲に含まれる。
【0029】
上記設備は、同じ場所に設置された第1の圧縮機1および第2の圧縮機3と、大気圧の空気を上記第1の圧縮機および上記第2の圧縮機に供給するための手段とを備え、上記第1および上記第2の圧縮機は電気モータに駆動され、それぞれ空気を2.5から8bar間に含まれる第1の圧力および4から30bar間に含まれる第2の圧力に到達させる。
【0030】
上記2つの空気圧縮機から出る2つの分かれた圧縮空気流は、1つの上記空気流は略第1の圧力で、2つ目は略第2の圧力で、第1および第2の浄化ユニット7,5に送り込まれる前に例えば最終的な冷却材(final coolant)を用いて十分冷やされる。
【0031】
浄化された上記第1の空気流は、導管11によって主交換管路(main exchange line)13に送り込まれ、浄化された上記第2の空気流は、導管9によって上記主交換管路13に送り込まれる。
【0032】
一度交換器13内で冷却されると、上記第1の空気流はカラムシステム15に導入され、上記第2の空気流は導管17およびポンプ23によってカラムシステム15から取り出された酸素を豊富に含む液体を用いる予備の蒸発器25を通過した後に少なくとも部分的に凝縮された形でカラムシステム15に導入される。カラムシステム15に導入された上記第1の空気流は、少なくとも部分的に凝縮してカラムシステム15に導入される上記第2の空気流と同じカラム(例えば高圧カラムと低圧カラムを備える二重カラムの高圧カラム)に少なくとも部分的に導入される。
【0033】
図2は、上記第1および第2の空気圧縮機の一つ、つまり圧縮機1が中間冷却材(同温圧縮)を備え、2つの上記圧縮機のうち中間冷却材を備えない一方の排出口から取り出された空気を熱交換器31へ送るための手段と、水および/または上記カラムシステムから少なくとも1つの流体を上記交換器の熱せられた部分に送るための手段とを備える、この設備の第1の選択的形態を表している。
【0034】
2つの上記空気圧縮機から出た2つの圧縮空気流は、1つは略上記第1の圧力で、2つ目は略上記第2の圧力で、2つの浄化ユニット7,5に送り込まれる。
【0035】
浄化された上記第1の空気流は、導管11によって主交換管路13に送り込まれ、浄化された上記第2の空気流は、導管9によって主交換管路13に送り込まれる。
【0036】
一度交換器13内で冷却されると、上記第1の空気流はカラムシステム15に導入され、上記第2の空気流は導管17およびポンプ23によってカラムシステム15から取り出された酸素を豊富に含む液体を用いる予備の蒸発器25を通過した後に少なくとも部分的に凝縮された形でカラムシステム15に導入される。カラムシステム15に導入された上記第1の空気流は、少なくとも部分的に凝縮された上記第2の空気流15と同じカラムに少なくとも部分的に導入される。導管17によってカラムシステム15から取り出され、浄化された上記第2の空気流に対して予備の蒸発器25において気化された上記酸素を豊富に含む液体は、熱交換器31に導入され、そして、中間冷却材を備えない圧縮機1にて圧縮された空気の冷却を可能とする。
【0037】
図3に示された設備は、酸素を鉄溶融還元ユニット(Corex(登録商標)/Finex(登録商標))に供給することを意図した第2の変形例を表す。供給される上記酸素の圧力は、5から15bar(好ましくは8から12bar abs)の範囲に含まれる。
【0038】
上記設備は、第1の圧縮機1および第2の圧縮機3と、大気圧の空気を第1の圧縮機および第2の圧縮機に供給するための手段とを備え、上記第1および上記第2の圧縮機は共通の蒸気タービンに駆動され、そしてそれぞれ空気を4から7barの第1の圧力および10から30barの第2の圧力に到達させる。
【0039】
2つの上記空気圧縮機から出た2つの圧縮空気流は、1つは略上記第1の圧力で、2つ目は略上記第2の圧力で、2つの浄化ユニット7,5に送り込まれる。
【0040】
浄化された上記第1の空気流の第1の部分は、導管11によって主交換管路13に送り込まれ、浄化された上記第2の空気流は、導管9によって主交換管路13に送り込まれる。
【0041】
浄化された上記第1の空気流の第2の部分は、主交換管路13で冷やされて昇圧タービンのタービン部分35で膨張する前に、導管29によって昇圧タービンの圧縮機33に送り込まれる。上記タービン35で膨張した空気は、導管41を介して上記カラムシステムに送り込まれる。
【0042】
浄化された上記第2の空気流は、一度上記交換管路で冷却されると、導管43によってカラムシステム15に導入される。
【0043】
他の場合と同じように、カラムシステム15に導入された上記第1の空気流は、カラムシステム15に少なくとも部分的に凝縮されて導入される上記第2の空気流と同じカラムに少なくとも部分的に導入される。
【0044】
図4は、いずれか1つの上記第1および第2空気圧縮機(圧縮機3)が中間冷却材(同温圧縮)を備え、2つの上記圧縮機のうち中間冷却材を持たない一方の排出口から上記熱交換器へ空気を送るための手段と、水を上記交換器の熱せられた部分に送るための手段とを備える、図3から派生する第3の選択的形態を表している。
【0045】
図5は、2つの上記圧縮機が例えばアキシャル-ラジアル(axial-radial)圧縮機である1つの同じ機械装置3に結合された、図1に表された設備の第4の変形例を表す。
【0046】
図6は、nの図1に表された設備が相互接続された追加的な変形例を表す。この図は、明瞭さのために、n=2の場合を示す:したがって同図は一方で導管45,47、他方で導管49,51で相互接続された、2つの図1に記載された設備を示す。したがって、導管45は圧縮機1の排出口と圧縮機1’の排出口を接続し、導管47は圧縮機3の排出口と圧縮機3’の排出口を接続し、導管49は浄化手段7の排出口を浄化手段7’の排出口に接続し、そして最後に、導管51は浄化手段5の排出口を浄化手段5’の排出口に接続する。
【0047】
相互接続された2つの上記設備の一つ目は、第1および第2の圧縮機1,3とを備え、2つ目の上記設備は第1および第2の圧縮機1’,3’を備える。第1の圧縮機1,1’と第2の圧縮機3,3’は、大気圧の空気が供給され、上記第1および第2の圧縮機は電気モータに駆動され、それぞれ空気を2.5から8bar間に含まれる第1の圧力および4から30bar間に含まれる第2の圧力に到達させる。
【0048】
一方で圧縮機1,1’に、他方で圧縮機3,3’ に加圧された空気流は、圧縮機1,1’から取り出された当該一方は略第1の圧力で、圧縮機3,3’から取り出された当該他方は略第2の圧力で、当該一方は第1の浄化ユニット7,7’に、当該他方は第2の浄化ユニット5,5’に送り込まれる前に、例えば最終的な冷却材を用いて冷却される。
【0049】
上記設備は、第1の圧縮機1,1’で圧縮された第1の空気流を接続する導管45と、第2の圧縮機3,3’を接続する導管47とを備える。上記設備はまた、浄化手段7,7’で浄化された第1の空気流を接続する導管49と、浄化手段5,5’で浄化された第2の空気流を接続する導管51を備える。
【0050】
全図のカラムシステム15は、数ある中で、1つのカラムや、高圧カラム、中間圧力カラムおよび低圧カラムを備える従来の二重カラムまたは三重カラムを備えてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのカラムシステム(15)と、少なくとも1つの交換管路(13)と、電気モータおよび/または蒸気タービンに駆動され、1つの第1および1つの第2の圧縮空気流を生成するための大気圧の空気が供給される少なくとも1つの圧縮手段と、1つの第1の浄化ユニット(5)と、1つの第2の浄化ユニット(7)と、を備え、前記第1および第2の圧縮空気流は第1および第2の圧力で前記圧縮手段を出て、前記第2の圧力は少なくとも0.5bar、少なくとも5bar、少なくとも10bar、あるいは少なくとも25barだけ前記第1の圧力よりも高く、そして前記第2の圧力は前記カラムシステムに供給される空気流の中で最も圧力が高い装置によって空気を蒸留することにより酸素を生成する方法であって、
前記第1の圧縮空気流は、水に関してまたは二酸化炭素に関して浄化される第1の空気流を生成するために略前記第1の圧力で前記圧縮手段の第1の排出口から前記第1の浄化ユニット(5)に送られ、
前記第2の圧縮空気流は、水に関してまたは二酸化炭素に関して浄化される第2の空気流を生成するために略前記第2の圧力で前記圧縮手段の第2の排出口から前記第2の浄化ユニット(7)に送られ、
浄化された前記第1の空気流は、略前記第1の圧力で、前記交換管路(13)において冷却され、
浄化された前記第2の空気流は、略前記第2の圧力で、前記交換管路(13)において冷却され、
浄化された前記第1の空気流は、前記第1の浄化ユニットから前記カラムシステム(15)に含まれる1つのカラムに送られ、
浄化された前記第2の空気流は、少なくとも部分的に凝縮された形で前記カラムシステム(15)に含まれる1つのカラムに送られ、
酸素を豊富に含む液体が前記カラムシステムから取り出され、前記交換管路または補助的な蒸発器(25)にて、少なくとも前記第2の圧力の浄化された前記第2の空気流と熱交換することで気化されて、生成物として供給される方法。
【請求項2】
2つの前記圧縮空気流の圧力差は、最大で4bar、または最小で1barかつ最大で3barである、請求項1に係る方法。
【請求項3】
2つの前記圧縮空気流の圧力差は、最小で5barかつ最大で30bar、または最小で15barかつ最大で25barである、請求項1に係る方法。
【請求項4】
浄化された前記第1の空気流の少なくとも一部は、浄化された前記第2の空気流と同じ前記カラムシステムに含まれる前記カラムに送り込まれる、請求項1,2または3に係る方法。
【請求項5】
前記第2の空気流のいずれの部分も前記カラムシステムに含まれるリボイラー(reboiler)に送り込まれない、請求項1から4に係る方法。
【請求項6】
前記第2の圧力は、前記第1の圧力より最小で5bar高い、請求項1乃至5のうちいずれか1に係る方法。
【請求項7】
前記第2の圧力は、前記第1の圧力より最小で10bar高い、請求項1乃至6のうちいずれか1に係る方法。
【請求項8】
前記第2の圧力は、前記第1の圧力より最大で25bar高い、請求項1乃至7のうちいずれか1に係る方法。
【請求項9】
空気を蒸留することによって酸素を生成するための設備であって、
少なくとも1つのカラムシステム(15)と、
少なくとも1つの交換管路(13)と、少なくとも第1および第2の排出口を有し、圧縮手段蒸気タービンおよび/または電気モータに駆動される少なくとも1つの圧縮手段と、
1つの第1浄化ユニット(5)と、
1つの第2浄化ユニット(7)と、を備え、
前記圧縮手段は、大気圧の空気が供給され、第1の圧力の第1の圧縮空気流を前記第1の排出口から生成するとともに第2の圧力の第2の圧縮空気流を前記第2の排出口から生成するように設計され、
前記第2の圧縮空気流は、前記第1の圧縮空気流よりも少なくとも0.5bar、少なくとも5bar、少なくとも10bar、あるいは少なくとも25barだけ高い圧力であり、
前記第1の排出口を前記第1の浄化ユニットに接続するための第1の導管と、
前記第2の排出口を前記第2の浄化ユニットに接続するための第2の導管と、
前記第1の浄化ユニットを前記交換管路に接続するための第3の導管(11)と、
前記第2の浄化ユニットを前記交換管路に接続するための第4の導管(9)と、を備え、
前記第2の浄化ユニットの下流に接続されて空気の前記圧力を上昇させる手段を備えず、
前記交換管路を前記カラムシステムに含まれる1つのカラムに接続するための第5の導管と、
前記交換管路を前記カラムシステムに含まれる1つのカラムに接続するための第6の導管と、
前記カラムシステムから酸素を豊富に含む液体を取り出して蒸発器(25)に送るための、前記交換管路からなる導管(17)と、
前記第2の空気流が凝縮する前記蒸発器に、浄化された前記第2の空気流の少なくとも一部を送るための手段と、を備え、
前記第1の排出口と前記第1の浄化ユニットとの間に空気を圧縮する手段を備えず、前記第2の排出口と前記交換管路または前記カラムシステムとの間に空気を圧縮する手段を備えない設備。
【請求項10】
前記圧縮手段は、第1の圧縮機(1)および第2の圧縮機(3)と、大気圧の空気を前記第1の圧縮機および前記第2の圧縮機に供給するための手段と、を備え、前記第1および第2の圧縮機は、共通する蒸気タービン(39)によって駆動される、請求項9に係る設備。
【請求項11】
前記第1および前記第2の空気圧縮機のいずれか一方は、中間冷却材(等温圧縮)を備える、請求項9または10に係る設備。
【請求項12】
2つの前記圧縮機の中間冷却材を持たない一方の排出口から熱交換器(31)に空気を送るための手段と、水および/または前記カラムシステムから少なくとも1つの流体を、前記交換器の熱せられた部分に送るための手段とを備える、請求項11に係る設備。
【請求項13】
n≧2であるn個のカラムシステムと、
n個の交換管路(13,13’)と、
第1の圧力の空気流を生成するために大気圧を圧縮する少なくとも1つの第1の圧縮機(1,1’)と、
第2の圧力の空気流を生成するために大気圧を圧縮する少なくとも1つの第2の圧縮機(3,3’)と、を備え、
前記第1の圧力は少なくとも0.5bar、少なくとも5bar、少なくとも10bar、あるいは少なくとも25barだけ前記第1の圧力よりも高く、そして前記第2の圧力は蒸留に用いられる空気流の中で最も圧力が高い装置で空気を蒸留することにより酸素を生成する方法であって、
前記第1の圧力の空気は、少なくとも1つの第1の圧縮機から少なくとも1つの第1の浄化ユニット(5,5’)に送られ、
前記第2の圧力の空気は、少なくとも1つの第2の圧縮機から少なくとも1つの第2の浄化ユニット(7,7’)に送られ、
前記第1の空気は、前記第1の浄化ユニットから少なくとも2つのカラムシステム(15,15’)に送られ、
前記第2の圧力の空気は、前記第2の浄化ユニットから少なくとも2つのカラムシステムに送られ、そして少なくとも1つのカラムシステムから酸素が生成される方法。
【請求項14】
装置内で空気を蒸留することによって酸素を生成するための設備であって、
n≧2であるn個のカラムシステムと、
n個の交換管路(13,13’)と、
第1の圧力の空気流を生成するために大気圧を圧縮する少なくとも1つの第1の圧縮機(1,1’)と、
第2の圧力の空気流を生成するために大気圧を圧縮する少なくとも1つの第2の圧縮機(3,3’)と、を備え、
前記第1の圧力は少なくとも0.5bar、少なくとも5bar、少なくとも10bar、あるいは少なくとも25barだけ前記第1の圧力よりも高く、
少なくとも1つの第1の浄化ユニット(5,5’)と、
少なくとも1つの第2の浄化ユニット(7,7)と、
前記第1の圧縮機から前記第1の浄化ユニットへ前記第1の圧力の空気を送るための手段と、
前記第2の圧縮機から前記第2の浄化ユニットへ前記第2の圧力の空気を送るための手段と、
前記第1の浄化ユニットから少なくとも2つのカラムシステム(15,15’)に空気を送るための手段と、
前記第2の浄化ユニットから少なくとも前記2つのカラムシステムに空気を送るための手段と、を備え、
前記第1の圧縮機と前記第1の浄化ユニットの間に圧縮手段を備えず、前記第2の圧縮機と前記各交換管路または前記各カラムシステムの間に圧縮手段を備えない設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−509558(P2013−509558A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528420(P2012−528420)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051854
【国際公開番号】WO2011/030050
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】