説明

空気調和装置の室外ユニット

【課題】ユニットケーシングの内部空間を仕切板で左右に分割することによって送風機室と機械室とが形成された空気調和装置の室外ユニットにおいて、ベルマウスの開口部のうち仕切板や熱交換器に近い部分における空気の流れの悪化を抑える。
【解決手段】軸流ファン(70)の外周側に設けられたベルマウス(80)の開口部(81)は、上流側R部(82)と、直線部(83)と、下流側R部(84)とを有する。上流側R部(82)及び/又は下流側R部(84)は、開口部(81)の仕切板(58)及び/又は熱交換器(24)に近い部分の曲率半径が、開口部(81)の仕切板(58)及び/又は熱交換器(24)から遠い部分の曲率半径よりも小さい。直線部(83)は、開口部(81)の仕切板(58)及び/又は熱交換器(24)に近い部分の長さが、開口部(81)の仕切板(58)及び/又は熱交換器(24)から遠い部分の長さよりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置の室外ユニット、特に、ユニットケーシングの内部空間を仕切板で左右に分割することによって送風機室と機械室とが形成された室外ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユニットケーシングの内部空間を鉛直方向に延びる仕切板で左右に分割することによって送風機室と機械室とが形成された空気調和装置の室外ユニットがある。このような室外ユニットは、送風機室内において、ユニットケーシングの前面に対向するように設けられた軸流ファンと、軸流ファンの外周側に設けられたベルマウスと、ユニットケーシングの側面及び背面に対向するように設けられた熱交換器と、を有している。そして、室外ユニットは、ユニットケーシングの背面からユニットケーシング内に空気を吸い込んでユニットケーシングの前面から空気を吹き出すように構成されている。
【0003】
ここで、ベルマウスの開口部は、特許文献1、2(特開2008−64350号公報、特開2010−112204号公報)に示すように、空気の流通方向の下流側に向かって開口サイズが徐々に小さくなるR形状をなし、その後、開口サイズが徐々に大きくなるR形状をなしている。そして、特許文献1、2において、ベルマウスのR形状の曲率半径は、開口部の全周にわたって同じになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の室外ユニットでは、ベルマウスが仕切板や熱交換器に接近して配置される。これに対して、ベルマウスと仕切板や熱交換器との干渉を避けるために、ベルマウスの仕切板や熱交換器に近い部分を切り欠いたような形状にしている。このため、仕切板や熱交換器に近い部分におけるベルマウスの開口部の空気の流通方向の長さが、仕切板や熱交換器から遠い部分におけるベルマウスの開口部の空気の流通方向の長さよりも小さくなっている。これにより、上記従来の室外ユニットでは、ベルマウスの開口部のうち仕切板や熱交換器に近い部分における空気の流れが仕切板や熱交換器から遠い部分に比べて悪くなる傾向にある。そして、このような空気の流れの悪化は、軸流ファンの送風性能の低下や騒音の増大を発生させるおそれがある。特に、室外ユニットのユニットケーシングの小型化が要求される場合には、ベルマウスの仕切板や熱交換器に近い部分の切り欠きの程度が大きくなるため、空気の流れが悪くなる傾向が顕著になる。
【0005】
本発明の課題は、ユニットケーシングの内部空間を仕切板で左右に分割することによって送風機室と機械室とが形成された空気調和装置の室外ユニットにおいて、ベルマウスの開口部のうち仕切板や熱交換器に近い部分における空気の流れの悪化を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点にかかる空気調和装置の室外ユニットは、ユニットケーシングの内部空間を鉛直方向に延びる仕切板で左右に分割することによって送風機室と機械室とが形成されている。室外ユニットは、送風機室内において、ユニットケーシングの前面に対向するように設けられた軸流ファンと、軸流ファンの外周側に設けられたベルマウスと、ユニットケーシングの側面及び背面に対向するように設けられた熱交換器と、を有している。そして、室外ユニットは、ユニットケーシングの背面からユニットケーシング内に空気を吸い込んでユニットケーシングの前面から空気を吹き出すように構成されている。ベルマウスの開口部は、上流側R部と、直線部と、下流側R部とを有している。上流側R部は、空気の流通方向の下流側に向かって開口サイズが徐々に小さくなるR形状をなしている。直線部は、上流側R部の空気の流通方向の下流側の端部から空気の流通方向の下流側に向かって直線状に延びている。下流側R部は、直線部の空気の流通方向の下流側の端部から空気の流通方向の下流側に向かって開口サイズが徐々に大きくなるR形状をなしている。上流側R部及び/又は下流側R部は、開口部の仕切板及び/又は熱交換器に近い部分の曲率半径が、開口部の仕切板及び/又は熱交換器から遠い部分の曲率半径よりも小さくなっている。直線部は、開口部の仕切板及び/又は熱交換器に近い部分の空気の流通方向の長さが、開口部の仕切板及び/又は熱交換器から遠い部分の空気の流通方向の長さよりも大きくなっている。
【0007】
この室外ユニットでは、仕切板や熱交換器に近い部分におけるベルマウスの開口部の空気の流通方向の長さが小さくならないように維持しつつ、ベルマウスと仕切板や熱交換器との干渉を避けることができる。
【0008】
これにより、この室外ユニットでは、ベルマウスの開口部のうち仕切板や熱交換器に近い部分における空気の流れの悪化を抑えることができる。
【0009】
第2の観点にかかる空気調和装置の室外ユニットは、第1の観点にかかる空気調和装置の室外ユニットにおいて、上流側R部及び/又は下流側R部の曲率半径が、開口部の仕切板及び/又は熱交換器に最も近い部分において最小になっており、開口部の仕切板及び/又は熱交換器から遠い部分に向かって徐々に大きくなっている。
【0010】
この室外ユニットでは、ベルマウスの開口部の形状(すなわち、曲率半径)が周方向に急激に変化することを抑えることができる。
【0011】
これにより、この室外ユニットでは、ベルマウスの開口部の周方向の形状の変化によって発生するおそれがある空気の流れの悪化を抑えることができる。
【0012】
第3の観点にかかる空気調和装置の室外ユニットは、第1又は第2の観点にかかる空気調和装置の室外ユニットにおいて、上流側R部、直線部及び下流側R部の空気の流通方向の長さの合計が、開口部の周方向のいずれの位置においても同じである。
【0013】
この室外ユニットでは、仕切板や熱交換器に近い部分におけるベルマウスの開口部の空気の流通方向の長さを仕切板や熱交換器から遠い部分におけるベルマウスの開口部の空気の流通方向の長さと同じ長さに維持することができる。
【0014】
これにより、この室外ユニットでは、ベルマウスの開口部のうち仕切板や熱交換器に近い部分における空気の流れの悪化を抑える効果を最大限発揮させることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0016】
第1の観点にかかる空気調和装置の室外ユニットでは、ベルマウスの開口部のうち仕切板や熱交換器に近い部分における空気の流れの悪化を抑えることができる。
【0017】
第2の観点にかかる空気調和装置の室外ユニットでは、ベルマウスの開口部の周方向の形状の変化によって発生するおそれがある空気の流れの悪化を抑えることができる。
【0018】
第3の観点にかかる空気調和装置の室外ユニットでは、ベルマウスの開口部のうち仕切板や熱交換器に近い部分における空気の流れの悪化を抑える効果を最大限発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態にかかる室外ユニットが採用された空気調和装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる室外ユニットの天板を取り外した状態を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる室外ユニットの前面図である。
【図4】ベルマウスの斜視図である。
【図5】図2〜4のA部におけるベルマウスの拡大断面図である。
【図6】図2〜4のB部におけるベルマウスの拡大断面図である。
【図7】図2〜4のC部におけるベルマウスの拡大断面図である。
【図8】図2〜4のD部におけるベルマウスの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明にかかる空気調和装置の室外ユニットの実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかる空気調和装置の室外ユニットの具体的な構成は、下記の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0021】
(1)空気調和装置の全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる室外ユニット2が採用された空気調和装置1の概略構成図である。
【0022】
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の屋内の空調に使用される装置である。空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、室内ユニット4とが接続されることによって構成されている。ここで、室外ユニット2と室内ユニット4とは、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して接続されている。すなわち、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット4とが冷媒連絡管5、6を介して接続されることによって構成されている。
【0023】
室内ユニット4は、室内に設置されており、冷媒回路10の一部を構成している。この室内ユニット4は、主として、室内熱交換器41を有している。
【0024】
室内熱交換器41は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の放熱器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。室内熱交換器41の液側は液冷媒連絡管5に接続されており、室内熱交換器41のガス側はガス冷媒連絡管6に接続されている。
【0025】
室内ユニット4には、室内熱交換器41に室内空気を送るための室内ファン42が設けられている。
【0026】
室外ユニット2は、室外に設置されており、冷媒回路10の一部を構成している。室外ユニット2は、主として、圧縮機21と、油分離器22と、四路切換弁23と、室外熱交換器24と、膨張弁25と、アキュムレータ26とを有している。圧縮機21の吸入口と四路切換弁23とは、吸入管27によって接続されている。アキュムレータ26は、吸入管26に設けられている。圧縮機21の吐出口と四路切換弁23とは、吐出管28によって接続されている。油分離器22は、吐出管28に設けられている。四路切換弁23と室外熱交換器24のガス側とは、第1ガス冷媒管29によって接続されている。室外熱交換器24の液側と液冷媒連絡管5とは、液冷媒管30に接続されている。そして、膨張弁25は、液冷媒管30に設けられている。四路切換弁23とガス冷媒連絡管6とは、第2ガス冷媒管31によって接続されている。
【0027】
圧縮機21は、吸入管27から冷凍サイクルにおける低圧のガス冷媒を吸入し、圧縮して冷凍サイクルにおける高圧のガス冷媒とした後に、吐出管28に吐出する圧縮機である。
【0028】
油分離器22は、圧縮機21において圧縮された冷媒中から冷凍機油を分離する機構である。油分離器22の油出口には、油戻し管22aが接続されており、吸入管27を介して圧縮機21の吸入側に油分離器22において分離された冷凍機油を戻すことができるようになっている。
【0029】
四路切換弁23は、冷房運転と暖房運転との切換時に、冷媒回路10内における冷媒の流れの方向を切り換えるための弁である。四路切換弁23は、冷房運転時には、図1の実線で示されるように、吐出管28と第1ガス冷媒管29とを接続するとともに吸入管27と第2ガス冷媒管31とを接続し、暖房運転時には、図1の破線で示されるように、吐出管28と第2ガス冷媒管31とを接続するとともに吸入管27と第1ガス冷媒管29とを接続する機能を有する。
【0030】
室外熱交換器24は、冷房運転時には室外空気を冷却源とする冷媒の放熱器として機能し、暖房運転時には室外空気を加熱源とする冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。
【0031】
膨張弁25は、冷房運転時には室外熱交換器24において放熱した冷媒を室内熱交換器41に送る前に減圧し、暖房運転時には室内熱交換器41において放熱した冷媒を室外熱交換器24に送る前に減圧する電動膨張弁である。
【0032】
アキュムレータ26は、冷媒回路10内を循環する冷媒を圧縮機21の吸入側において一時的に溜めるための液溜容器である。
【0033】
また、室外ユニット2には、室外熱交換器24に室外空気を送るための室外ファン70(軸流ファン)が設けられている。
【0034】
(2)室外ユニットの全体構成
次に、図2及び図3を用いて、本実施形態の室外ユニット2の全体構成について説明する。ここで、図2は、室外ユニット2の天板57を取り外した状態を示す平面図である。図3は、室外ユニット2の前面図である。尚、以下の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」や「前面」、「側面」、「背面」、「天面」、「底面」等の方向や面を示す文言は、特にことわりのない限り、図2に示される室外ユニット2を前面とした場合における方向や面を意味する。
【0035】
室外ユニット2は、ユニットケーシング51の内部空間を鉛直方向に延びる仕切板58で左右に分割することによって送風機室S1と機械室S2とを形成した構造(いわゆる、トランク型構造)を有するものである。室外ユニット2は、ユニットケーシング51の背面及び側面の一部からユニットケーシング51内に室外空気を吸い込んでユニットケーシング51の前面から室外空気を吹き出すように構成されている。室外ユニット2は、主として、ユニットケーシング51と、圧縮機21、油分離器22、四路切換弁23、室外熱交換器24、膨張弁25、アキュムレータ26、及び、これらの機器を接続する冷媒管27〜31を含む冷媒回路構成部品と、室外ファン70(軸流ファン)と、ベルマウス80とを有している。尚、ここでは、送風機室S1がユニットケーシング51の左側面寄りに形成され、機械室S2がユニットケーシング51の右側面寄りに形成された例を説明するが、左右が逆であってもよい。
【0036】
ユニットケーシング51は、略直方体状に形成されており、主として、圧縮機21、油分離器22、四路切換弁23、室外熱交換器24、膨張弁25、アキュムレータ26、及び、これらの機器を接続する冷媒管27〜31を含む冷媒回路構成部品と、室外ファン70とを収容している。ユニットケーシング51は、底板52と、送風機室側側板53と、機械室側側板54と、送風機室側前板55と、機械室側前板56と、天板57とを有している。
【0037】
底板52は、ユニットケーシング51の底面部分を構成する金属製の板状部材である。底板52の下側には、現地据付面に固定される2つの基礎脚59、60が設けられている。
【0038】
送風機室側側板53は、ユニットケーシング51の送風機室S1寄りの側面部分を構成する金属製の板状部材である。送風機室側側板53は、その下部が底板52に固定されている。送風機室側側板53には、室外ファン70によってユニットケーシング51内に吸い込まれる室外空気の吸入口53aが形成されている。
【0039】
機械室側側板54は、ユニットケーシング51の機械室S2寄りの側面部分の一部と、ユニットケーシング51の機械室S2寄りの背面部分とを構成する金属製の板状部材である。機械室側側板54は、その下部が底板52に固定されている。ここでは、機械室側側板54は、機械室S2の側面のうち背面寄りの部分を覆っている。送風機室側側板53の背面側の端部と機械室側側板54の送風機室S1側の端部との間には、室外ファン70によってユニットケーシング51内に吸い込まれる室外空気の吸入口53bが形成されている。
【0040】
送風機室側前板55は、ユニットケーシング51の送風機室S1の前面部分と、ユニットケーシング51の機械室S2の前面部分の一部とを構成する金属製の板状部材である。送風機室側前板55には、室外ファン70によってユニットケーシング51内に吸い込まれた室外空気を外部に吹き出すための吹出口55aが設けられている。吹出口55aの前側は、ファングリル55bによって覆われている。送風機室側前板55は、その下部が底板52に固定され、その左側面側の端部が送風機室側側板53の前面側の端部に固定されている。
【0041】
機械室側前板56は、ユニットケーシング51の前面側から機械室S2にアクセスして機械室S2内に配置された機器の点検等を行うために、試運転やメンテナンス時に取り外される金属製の板状部材である。機械室側前板56は、ユニットケーシング51の機械室S2の前面部分の一部と、ユニットケーシング51の機械室S2の側面部分の一部とを構成する金属製の板状部材である。機械室側前板56は、その送風機室S1側の端部が送風機室側前板55の機械室S2側の端部に固定され、その背面側の端部が機械室側側板54の前面側の端部に固定されている。尚、ここでは、ユニットケーシング51の機械室S2の前面部分の一部が送風機室側前板55によって構成されているが、機械室側前板56によって構成されていてもよい。また、室側前板55送風機室側前板55と機械室側前板56とが一体の部材であってもよい。
【0042】
天板57は、ユニットケーシング51の天面部分を構成する金属製の板状部材である。天板57は、送風機室側板53や機械室側側板54、送風機室側前板55に固定されている。
【0043】
仕切板58は、底板52上に配置される鉛直方向に延びる金属製の板状部材である。仕切板58は、ユニットケーシング51の内部空間を左右に分割することによって、左側面寄りの送風機室S1と、右側面寄りの機械室S2とを形成している。仕切板58は、その前後方向の中央部分が送風機室S1側に突出するように湾曲した形状をなしている。仕切板58は、その下部が底板52に固定され、その前面側の端部が送風機室側前板55に固定され、その背面側の端部が室外熱交換器24の機械室S2側の端部に固定されている。
【0044】
室外ファン70は、主として、ハブ71と、ハブ71の外周から突出するように形成された複数(ここでは、3枚)の羽根72とが樹脂一体成形されたプロペラファンである。室外ファン70は、送風機室S1内において、ユニットケーシング51の前面に対向するように設けられている。より具体的には、室外ファン70は、室外熱交換器24の前面側の位置において、送風機室側前板55に形成された吹出口55aに対向するように設けられている。ここでは、羽根72の後縁には、送風性能の向上や騒音の抑制のために、羽根72の前縁側に向かって凹んだ凹み部72aが形成されている。室外ファン70は、室外ファン70と室外熱交換器24との前後方向間に配置されたファンモータ79によって回転駆動される。ファンモータ79は、天板57と底板52との間を鉛直方向に延びるファンモータ台61によって支持されている。尚、ここでは、室外ファン70を樹脂製とし、羽根72の後縁に凹み部72aを形成しているが、室外ファン70が金属製であってもよいし、羽根72の後縁に凹み部72aが形成されていなくてもよい。
【0045】
ベルマウス80は、中央が開口したベル形状の開口部81を有する部材であり、室外ファン70(軸流ファン)の外周側に設けられている。すなわち、ベルマウス80は、室外ファン70と同様に、送風機室S1内において、ユニットケーシング51の前面に対向するように設けられており、その開口部81が室外ファン70の外周を取り囲んでいる。ベルマウス80は、ユニットケーシング51の前面に固定されている。そして、ベルマウス80の送風機室側側板53寄りの部分は、室外熱交換器24の前側端に接近して配置されている。また、ベルマウス80の機械室S1寄りの部分は、仕切板58に接近して配置されている。尚、ベルマウス80の詳細な構成については、後述する。
【0046】
室外熱交換器24は、略L字形状の熱交換器パネルであり、送風機室S1内において、ユニットケーシング51の左側面及び背面に沿うように底板52上に配置されている。
【0047】
圧縮機21は、縦型円筒形状の密閉式圧縮機であり、機械室S2内に配置されている。
【0048】
尚、ここでは図示を省略するが、油分離器22や四路切換弁23、アキュムレータ26等の機器も機械室S2内に配置されている。
【0049】
(3)ベルマウスの詳細構成
次に、図2〜図8を用いて、本実施形態の室外ユニット2に設けられているベルマウス80の詳細な構成について説明する。ここで、図4は、ベルマウス80の斜視図である。図5は、図2〜4のA部におけるベルマウス80の拡大断面図である。図6は、図2〜4のB部におけるベルマウス80の拡大断面図である。図7は、図2〜4のC部におけるベルマウス80の拡大断面図である。図8は、図2〜4のD部におけるベルマウス80の拡大断面図である。
【0050】
ベルマウス80は、主として、中央が開口したベル形状の開口部81と、ユニットケーシング51の前面に固定される平面部85とを有する金属製や樹脂製の部材である。
【0051】
開口部81は、上流側R部82と、直線部83と、下流側R部84とを有している。上流側R部82は、空気の流通方向の下流側に向かって開口サイズが徐々に小さくなるR形状をなしている。直線部83は、上流側R部82の空気の流通方向の下流側の端部から空気の流通方向の下流側に向かって直線状に延びている。下流側R部84は、直線部83の空気の流通方向の下流側の端部から空気の流通方向の下流側に向かって開口サイズが徐々に大きくなるR形状をなしている。ここでは、上流側R部82及び下流側R部84のR形状は、いずれも1/4円弧形状である。
【0052】
そして、上流側R部82は、開口部81の仕切板58に近い部分(D部)の曲率半径r1(図8参照)が、開口部81の仕切板58から遠い部分(A部及びB部)の曲率半径R1(図5及び図6参照)よりも小さくなっている。上流側R部82は、開口部81の室外熱交換器24に近い部分(C部)の曲率半径r1(図7参照)が、開口部81の室外熱交換器24から遠い部分(A部及びB部)の曲率半径R1(図5及び図6参照)よりも小さくなっている。下流側R部84は、開口部81の仕切板58に近い部分(D部)の曲率半径r2(図8参照)が、開口部81の仕切板58から遠い部分(A部及びB部)の曲率半径R2(図5及び図6参照)よりも小さくなっている。下流側R部84は、開口部81の室外熱交換器24に近い部分(C部)の曲率半径r2(図7参照)が、開口部81の室外熱交換器24から遠い部分(A部及びB部)の曲率半径R2(図5及び図6参照)よりも小さくなっている。そして、直線部83は、開口部81の仕切板58に近い部分(D部参照)の空気の流通方向の長さt(図8参照)が、開口部81の仕切板58から遠い部分(A部及びB部)の空気の流通方向の長さT(図5及び図6参照)よりも大きくなっている。直線部83は、開口部81の室外熱交換器24に近い部分(D部)の空気の流通方向の長さt(図7参照)が、開口部81の室外熱交換器24から遠い部分(A部及びB部)の空気の流通方向の長さT(図5及び図6参照)よりも大きくなっている。
【0053】
また、上流側R部82の曲率半径は、開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24に最も近い部分において最小(曲率半径r1)になっており、開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24から遠い部分に向かって徐々に大きくなっている(図4参照)。下流側R部84の曲率半径は、開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24に最も近い部分において最小(曲率半径r2)になっており、開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24から遠い部分に向かって徐々に大きくなっている(図4参照)。そして、直線部83の空気の流通方向の長さは、開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24に最も近い部分において最大(長さt)になっており、開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24から遠い部分に向かって徐々に小さくなっている(図4参照)。
【0054】
また、上流側R部82、直線部83及び下流側R部84の空気の流通方向の長さの合計が、開口部81の周方向のいずれの位置においても同じである。例えば、開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24に最も近い部分の空気の流通方向の長さの合計h(=r1+t+r2)は、開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24から遠い部分の空気の流通方向の長さの合計H(=R1+T+R2)が同じである。
【0055】
平面部85は、下流側R部84の空気の流通方向の下流側の端部から外周側に向かって延びる平板状の部分であり、送風機室側前板55の内面に固定されている。
【0056】
(4)室外ユニットの特徴
本実施形態の空気調和装置1の室外ユニット2には、以下のような特徴がある。
【0057】
まず、本実施形態の室外ユニット2では、ベルマウス80の開口部81を構成する上流側R部82及び下流側R部84の曲率半径と直線部83の空気の流通方向の長さとの関係について、以下のような特徴を有している。上流側R部82及び下流側R部84については、開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24に近い部分の曲率半径r1が、開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24から遠い部分の曲率半径R1よりも小さくなっている。直線部83については、開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24に近い部分の空気の流通方向の長さtが、開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24から遠い部分の空気の流通方向の長さTよりも大きくなっている。
【0058】
このため、仕切板58や室外熱交換器24に近い部分におけるベルマウス80の開口部81の空気の流通方向の長さhが小さくならないように維持しつつ、ベルマウス80と仕切板58や室外熱交換器24との干渉を避けることができるようになっている。具体的には、開口部81のR部82、84の曲率半径及び直線部83の長さを周方向のいずれの位置においても同じにした場合を想定する。この場合には、開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24に近い部分におけるR部82、84の曲率半径及び直線部83の長さも、開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24から遠い部分におけるR1、R2及びTと同じにすることになる。すると、開口部81の仕切板58に近い部分においては、上流側R部82が仕切板58と干渉するおそれがある(図8における2点鎖線で図示されたベルマウス及び仕切板を参照)。また、開口部81の室外熱交換器24に近い部分においては、R部82、84が室外熱交換器24と干渉するおそれがある(図7における2点鎖線で図示されたベルマウス及び室外熱交換器を参照)。これに対して、従来と同様に、開口部81の仕切板58に近い部分における上流側R部82の一部を切り欠いたような形状にすると、ベルマウスの空気の流通方向の長さは、開口部81の仕切板58から遠い部分の長さHよりも小さい長さZになる(図8参照)。また、開口部81の室外熱交換器24に近い部分におけるR部82、84の一部を切り欠いたような形状にすると、ベルマウスの空気の流通方向の長さは、開口部81の室外熱交換器24から遠い部分の長さHよりも小さい長さZになる(図7参照)。このように、仕切板58や室外熱交換器24に近い部分におけるベルマウス80の開口部81の空気の流通方向の長さが小さくなると、この部分における空気の流れが仕切板58や室外熱交換器24から遠い部分(A部及びB部)に比べて悪くなる傾向にある。そこで、本実施形態の室外ユニット2では、上記のようなR部82、84の曲率半径及び直線部83の空気の流通方向の長さの関係を満たすようにベルマウス80の開口部81を構成するようにしている。
【0059】
これにより、本実施形態の室外ユニット2では、ベルマウス80の開口部81のうち仕切板58や室外熱交換器24に近い部分における空気の流れの悪化を抑えることができる。
【0060】
特に、本実施形態の室外ユニット2では、上流側R部82、直線部83及び下流側R部84の空気の流通方向の長さの合計h、Hが、開口部81の周方向のいずれの位置においても同じになっている。
【0061】
このため、仕切板58や室外熱交換器24に近い部分におけるベルマウス80の開口部81の空気の流通方向の長さhを仕切板24や室外熱交換器24から遠い部分におけるベルマウス80の開口部81の空気の流通方向の長さHと同じ長さに維持することができる。
【0062】
これにより、本実施形態の室外ユニット2では、ベルマウス80の開口部81のうち仕切板58や室外熱交換器24に近い部分における空気の流れの悪化を抑える効果を最大限発揮させることができる。
【0063】
また、本実施形態の室外ユニット2では、上流側R部82及び下流側R部84の曲率半径が、開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24に最も近い部分(C部及びD部)において最小(曲率半径r1、r2)になっている。そして、上流側R部82及び下流側R部84の曲率半径は、開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24から遠い部分(A部及びB部)に向かって徐々に大きくなっている(図4参照)。
【0064】
このため、ベルマウス80の開口部81の形状(すなわち、曲率半径)が周方向に急激に変化することを抑えることができる。
【0065】
これにより、本実施形態の室外ユニット2では、ベルマウス80の開口部81の周方向の形状の変化によって発生するおそれがある空気の流れの悪化を抑えることができる。
【0066】
尚、本実施形態の室外ユニット2では、上記のように、ベルマウス80の開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24に近い部分が仕切板58及び室外熱交換器24と干渉するおそれがあった(図7及び図8における2点鎖線で図示されたベルマウスを参照)。このため、ベルマウス80の開口部81の仕切板58及び室外熱交換器24に近い部分の両方について、上記のようなR部82、84の曲率半径及び直線部83の空気の流通方向の長さの関係を満たすようにしている。しかし、ユニットケーシング51内の機器配置によっては、開口部81の仕切板58又は室外熱交換器24に近い部分だけが仕切板58又は室外熱交換器24と干渉するおそれがある場合もある。この場合には、ベルマウス80の開口部81の仕切板58又は室外熱交換器24に近い部分について、上記のようなR部82、84の曲率半径及び直線部83の空気の流通方向の長さの関係を満たすようにしてもよい。また、本実施形態の室外ユニット2では、開口部81の室外熱交換器24に近い部分と対称な形状になるように、開口部81の仕切板58に近い部分のうち、上流側R部82の曲率半径だけでなく、下流側R部84の曲率半径も小さくするようにしている(図8参照)。しかし、開口部81の仕切板58に近い部分のうち上流側R部82だけが仕切板58と干渉するおそれがある場合には、上流側R部82の曲率半径だけを小さくして、下流側R部84の曲率半径を開口部81の仕切板58から遠い部分と同じにしてもよい。また、本実施形態の室外ユニット2では、開口部81と室外熱交換器24との干渉を避けるために、開口部81の室外熱交換器24に近い部分における上流側R部82及び下流側R部84の両方の曲率半径を小さくするようにしている(図7参照)。しかし、開口部81の室外熱交換器24に近い部分のうち上流側R部82だけが室外熱交換器24と干渉するおそれがある場合には、上流側R部82の曲率半径だけを小さくして、下流側R部84の曲率半径を開口部81の室外熱交換器24から遠い部分と同じにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、ユニットケーシングの内部空間を仕切板で左右に分割することによって送風機室と機械室とが形成された空気調和装置の室外ユニットに対して、広く適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
2 室外ユニット
24 室外熱交換器
51 ユニットケーシング
58 仕切板
70 軸流ファン
80 ベルマウス
81 開口部
82 上流側R部
83 直線部
84 下流側R部
S1 送風機室
S2 機械室
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2008−64350号公報
【特許文献2】特開2010−112204号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットケーシング(51)の内部空間を鉛直方向に延びる仕切板(58)で左右に分割することによって送風機室(S1)と機械室(S2)とが形成されており、前記送風機室内において、前記ユニットケーシングの前面に対向するように設けられた軸流ファン(70)と、前記軸流ファンの外周側に設けられたベルマウス(80)と、前記ユニットケーシングの側面及び背面に対向するように設けられた熱交換器(24)と、を備えており、前記ユニットケーシングの背面から前記ユニットケーシング内に空気を吸い込んで前記ユニットケーシングの前面から空気を吹き出すように構成された空気調和装置の室外ユニットにおいて、
前記ベルマウスの開口部(81)は、空気の流通方向の下流側に向かって開口サイズが徐々に小さくなるR形状をなす上流側R部(82)と、前記上流側R部の空気の流通方向の下流側の端部から空気の流通方向の下流側に向かって直線状に延びる直線部(83)と、前記直線部の空気の流通方向の下流側の端部から空気の流通方向の下流側に向かって開口サイズが徐々に大きくなるR形状をなす下流側R部(84)と、を有しており、
前記上流側R部及び/又は前記下流側R部は、前記開口部の前記仕切板及び/又は前記熱交換器に近い部分の曲率半径が、前記開口部の前記仕切板及び/又は前記熱交換器から遠い部分の曲率半径よりも小さくなっており、
前記直線部は、前記開口部の前記仕切板及び/又は前記熱交換器に近い部分の空気の流通方向の長さが、前記開口部の前記仕切板及び/又は前記熱交換器から遠い部分の空気の流通方向の長さよりも大きくなっている、
空気調和装置の室外ユニット(2)。
【請求項2】
前記上流側R部(82)及び/又は前記下流側R部(84)の曲率半径は、前記開口部(81)の前記仕切板(58)及び/又は前記熱交換器(24)に最も近い部分において最小になっており、前記開口部の前記仕切板及び/又は前記熱交換器から遠い部分に向かって徐々に大きくなっている、
請求項1に記載の空気調和装置の室外ユニット(2)。
【請求項3】
前記上流側R部(82)、前記直線部(83)及び前記下流側R部(84)の空気の流通方向の長さの合計は、前記開口部(81)の周方向のいずれの位置においても同じである、
請求項1又は2に記載の空気調和装置の室外ユニット(2)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−96622(P2013−96622A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238909(P2011−238909)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】