空気調和設備
【課題】吹出し部ごとに簡素な構造の風量調整装置を設けることにより、細かな温度制御により省エネルギーを図ることが可能で、かつ設備費を抑制できる空気調和設備を提供する。
【解決手段】天井内をサプライチャンバーとし、空調装置からの調和空気を天井に設けた複数の吹出し部20から天井下の対象空間に吹出すようにした空調設備において、吹出し部20が、対象空間Zに臨み調和空気を対象空間に吹出す吹出口を形成する放射板50と、その放射板50の背面を含む区画空間に臨んで、放射板50からの吹出し風量を調整する風量調整装置30Xが設けられ、風量調整装置30Xは、ボックス状本体と、その一部に形成された吐出口31A、31Bと、天井内に臨む部分に設けられた風量調整部材32と、前記風量調整部材32を移動させボックス内外の連通面積を可変とする駆動手段33とを有する。
【解決手段】天井内をサプライチャンバーとし、空調装置からの調和空気を天井に設けた複数の吹出し部20から天井下の対象空間に吹出すようにした空調設備において、吹出し部20が、対象空間Zに臨み調和空気を対象空間に吹出す吹出口を形成する放射板50と、その放射板50の背面を含む区画空間に臨んで、放射板50からの吹出し風量を調整する風量調整装置30Xが設けられ、風量調整装置30Xは、ボックス状本体と、その一部に形成された吐出口31A、31Bと、天井内に臨む部分に設けられた風量調整部材32と、前記風量調整部材32を移動させボックス内外の連通面積を可変とする駆動手段33とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和設備に係り、特に天井内をサプライチャンバーとし、空調装置からの調和空気を天井に設けた複数の吹出し部から天井下の対象空間に吹出すようにした空調設備に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和においては、室内温度を調節する場合、風量調整によるのが一般的である。
【0003】
たとえば、可変風量単一ダクト方式においては、空調機から天井面の複数の吹き出し口までダクトを接続し、その途中に設置された可変風量装置(VAV)により室内に供給する風量を変え、室内温度を調節している。この場合の室内温度調節は、通常50m2〜100m2を1つの制御ゾーンとしている。
【0004】
他方、天井内をチャンバーとして使用する場合もあり(特許文献1)、空調機からの送風を当該天井チャンバーに吹き込み、a)天井チャンバーと室内との圧力差(10Pa前後)を利用し、多孔板などの吹き出し口から室内に送風する、b)アネモ型吹き出し口に付設された小型送風機の圧力により室内に送風する、などの方法がとられている。
【0005】
この場合の室内温度調節は、a)では天井チャンバー吹き込み手前のダクトに設置された可変風量装置(VAV)で風量を変える方法、又は吹き出し口の直上部に設置された圧電素子ダンパの開閉で風量を変える方法、などがとられている。b)ではアネモ型吹き出し口に附置した小型送風機の風量を変える方法などがとられている。この場合、室内温度制御ゾーンとしては、前者と同程度の大きさとしており、通常50m2〜100m2を1つの制御ゾーンとしている。
【0006】
しかしながら、天井チャンバー吹き込み手前のダクトに設置されたVAV装置を使用する場合、さらに省エネルギーを実現するためには、より細分化した制御ゾーンが必要とされ、そのためには、吹き出し口1つずつにVAV装置を設置する必要があり、機器費用の高騰、付帯工事の増加及び制御配線の複雑化、などの問題を招く。
【0007】
一方、吹き出し口の直上部に設置された圧電素子ダンパを用いる場合は、圧電素子を作動させるためにDC200V〜250V程度の高圧電源を印加してダンパの開閉を制御しなければならず、工事費の高騰を招く。
【0008】
また、アネモ型吹き出し口に小型送風機を付設する場合には、吹き出し口の数だけ回転体を駆動するモータが天井内に配置され、騒音対策、メンテナンスに負担が大きくなる。
【0009】
上記の各例は、空調機からの送風量又は送風空気の温度で室内を空調する方法である。これに対し、近年その温熱感に与える効果が大きいといわれている、いわゆる放射冷暖房が着目されている。放射冷房においては、通常、天井面に水配管と放射用金属パネルを一体化したシステムにおいて、当該水配管に冷水を通過させ、パネル表面温度を室温より低くし、放射冷房効果を出しているが、天井内への水配管は、漏水のリスクが懸念されることから通常避けられるケースが多く、普及の障害となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3269572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の主たる課題は、吹出し部ごとに簡素な構造の風量調整装置を設けることにより、細かな温度制御により省エネルギーを図ることが可能で、かつ設備費を抑制できる空気調和設備を提供することにある。
【0012】
他の主たる課題は、吹出し部として対象空間に臨み調和空気を対象空間に吹出す吹出口が多数形成された多孔板を使用することと、本発明に係る風量調整装置との組み合わせにより、放射冷暖房を効果的に発揮させることにある。
【0013】
具体的には、温度制御ゾーンの細分化、工事費の抑制、天井内制御配線の単純化、制御方法の単純化及び装置駆動電源の低電圧化などを可能とすることができ、かつ空気による放射冷暖房の効果を引き出すことができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
【0015】
<請求項1記載の発明>
天井内をサプライチャンバーとし、空調装置からの調和空気を天井に設けた複数の吹出し部から天井下の対象空間に吹出すようにした空調設備において、
前記吹出し部が、前記対象空間に臨み調和空気を対象空間に吹出す吹出口を形成する放射板と、その放射板の背面を含む区画空間に臨んで、または前記放射板の背面に直接的に臨んで、吹出し風量を調整する風量調整装置が設けられ、
前記風量調整装置は、ボックス状本体と、その一部に形成された吐出口と、天井内に臨む部分に設けられた風量調整部材と、前記風量調整部材を移動させ前記天井のサプライチャンバーに対する前記ボックス状本体の連通面積を可変とする駆動手段とを有する、
ことを特徴とする空気調和設備。
【0016】
(作用効果)
調和空気を天井に設けた複数の吹出し部から天井下の対象空間に吹出す。各吹出し部には放射板を設けてあり、放射板を通る吹出口又は放射板の周囲の吹出口から、調和空気が対象空間に吹出される。
風量調整装置が放射板の背面を含む区画空間に臨んで、または放射板の背面に直接的に臨んでいるので、調和空気が、吹出口から対象空間に吹出される際に、調和空気が放射板に当たり放射板の温度が調節され、放射板からの放射熱も対象空間に放射される。
その結果、対象空間には温度調節された温冷風のほか、温冷熱も放射されるので、温度についての効果的な体感を与えることができる。なお、当該放射板の吐出口から吹出された調和空気は、当該放射板の周辺の天井部分にも行き渡り、その天井部分の温度を調節する。したがって、各吹出し部の周辺の天井部分も温度調節されるので、天井全体から放射熱が対象空間に放射されるので、吹出口から吹出される調和空気のもっている熱との両者を受けて、快適な空調空間が確保される。
他方、吹出し部ごとに風量調整装置を設けたので、対象空間に対して風量及び放射熱による細かい温度調整が可能であり、省エネルギーな運転が可能である。
風量調整装置は、ボックス状本体と、その一部に形成された吐出口と、天井内に臨む部分に設けられた風量調整部材と、前記風量調整部材を移動させボックス内外の連通面積を可変とする駆動手段とを有する簡素な構成で足りるので、設備費は低廉なものとなり、設置後のメンテナンスの負担は軽いものとなる。
【0017】
<請求項2記載の発明>
前記吹出し部ごと設けられた駆動手段はモータであり、個別または複数個のモータが群とされ、その個別または群単位で制御がなされ、風量が調整されるように構成されている請求項1記載の空気調和設備。
【0018】
(作用効果)
モータに対する制御であると、細かい風量調節が可能である。
【0019】
<請求項3記載の発明>
前記吐出口は、調和空気の吐出方向が複数方向に向くように開口している請求項1記載の空気調和設備。
【0020】
(作用効果)
放熱板の背面の局所でなく全体的に温冷させることができる。
【0021】
<請求項4記載の発明>
前記風量調整装置の吐出口が前記放熱板の背面に臨んでいる請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気調和設備。
【0022】
(作用効果)
風量調整装置の吐出口が放熱板の背面に直接的に臨んでいても、放熱板を温冷させることができる。
【0023】
<請求項5記載の発明>
前記風量調整装置は、ボックス状本体と、その取込み開口を覆う蓋を構成する風量調整部材とを有し、前記風量調整部材は前記駆動手段により前記取込み開口に対して直交して接離移動するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和設備。
【0024】
(作用効果)
風量調整部材が、駆動手段により取込み開口に対して直交して接離移動すると、風量調整部材周囲の取込み開口の縁部に対する離間空間の大小が生じ、その大小により風量調整が可能である。
【0025】
<請求項6記載の発明>
前記風量調整装置は、ボックス状本体と、その調和空気の取込み開口を覆い回転軸心を中心にして回転し、蓋の開閉がなされるように構成された風量調整部材とを有し、前記風量調整部材は前記駆動手段により前記取込み開口に対して回転軸心を中心にしてヒンジ回転するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和設備。
【0026】
(作用効果)
風量調整部材が、駆動手段により取込み開口に対して取込み開口に対して回転軸心を中心にしてヒンジ回転すると、風量調整部材の回転軸心と反対側において、周囲の取込み開口の縁部に対する離間空間の大小が生じ、その大小により風量調整が可能である。
【0027】
<請求項7記載の発明>
前記風量調整装置は、ボックス状本体と、その一部に形成された複数の取込み開口を覆う蓋を構成しかつ複数の連通孔が形成された風量調整部材とを有し、前記風量調整部材は前記駆動手段により前記取込み開口に対して平行に移動するように構成され、前記取込み開口と連通孔との連通面積の大小により風量の調整がなされるように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和設備。
【0028】
(作用効果)
風量調整部材が、駆動手段により取込み開口に対して平行に移動すると、取込み開口と風量調整部材の連通孔との連通面積の大小が生じ、風量の調整が可能である。
【発明の効果】
【0029】
以上のとおり、本発明によれば、吹出し部ごとに簡素な構造の風量調整装置を設けることにより、細かな温度制御により省エネルギーを図ることが可能で、かつ設備費を抑制できる。また、吹出し部として対象空間に臨み調和空気を対象空間に吹出す吹出口が多数形成された多孔板を使用することと、本発明に係る風量調整装置との組み合わせにより、放射冷暖房を効果的に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】空気調和系統例の全体説明図である。
【図2】放熱板及び昇降式の風量調整装置の断面図である。
【図3】放熱板と昇降式の風量調整装置の吐出口との関係を示す平面図である。
【図4】昇降式の風量調整装置の平面図である。
【図5】昇降式の風量調整装置の作動説明用断面図である。
【図6】放熱板及びヒンジ式の風量調整装置の断面図である。
【図7】放熱板とヒンジ式の風量調整装置の吐出口との関係を示す平面図である。
【図8】ヒンジ式の風量調整装置の平面図である。
【図9】ヒンジ式の風量調整装置の作動説明用断面図である。
【図10】放熱板及びスライド式の風量調整装置の断面図である。
【図11】放熱板とスライド式の風量調整装置の吐出口との関係を示す平面図である。
【図12】スライド式の風量調整装置の平面図である。
【図13】スライド式の風量調整装置の平面図である。
【図14】放熱板の他の例を昇降式の風量調整装置と共に示す断面図である。
【図15】放熱板の底面図である。
【図16】放熱板のさらに別の例を昇降式の風量調整装置と共に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
図1は空気調和系統例の全体説明図である。天井10内をサプライチャンバーCとし、空調装置(AHU)12からの調和空気を天井10に設けた複数の吹出し部20,20…から天井10下の対象空間(たとえば事務室)Zに吹出すようにしたものである。空調装置12は外気及び対象空間Zから床下に移行した空気を取り込んで、温度調節後に調和空気として、天井10に設けた複数の吹出し部20,20…から天井10下の対象空間Zに吹出す。
【0032】
他方、吹出し部20,20…のそれぞれには、対象空間Zに臨み調和空気を対象空間Zに吹出す吹出口50a, 50a…が多数形成された多孔板50と、多孔板50からの吹出し風量を調整する風量調整装置30(図1には図示していない)が設けられている。
対象空間Zの適宜の位置には、温度調節器22が設けられ、その温度調節器22に対する居住者による温度調節信号が、あるいは中央管理室(図示せず)などからの温度調節信号が、空調装置12のコントローラ24に与えられ、そのコントローラ24からの指示信号と、吹出し部20単独又は吹出し部20,20…群ごとに区画されたゾーン単位で設けられた温度検出器26からの対象空間の温度信号とを取り込んで、群単位分散コントローラ28が、具体的に風量調整装置30の風量調整部材32を作動させ、吹出し風量を調整するように構成してある。
風量調整装置30のいくつかの例を以下に説明する。
【0033】
<昇降式風量調整装置>
図2〜図5は、昇降式風量調整装置30X例を示したものである。本発明の放熱板の例としての多孔板50は、天井10の開口に設けられた、たとえば600mm×600mmサイズの多数の小吹出口50a, 50a…が多数形成されたものである。吹出口50a, 50a…による開口率は、たとえば5〜70%、より望ましくは25〜65%とされる。多孔板50は、天板51及び側板52も含んで区画されたボックス状を形成している。
【0034】
この区画空間に臨んで(区画されたボックスの多孔板50背面に臨んで)、多孔板50からの吹出し風量を調整する風量調整装置30Xが設けられている。
風量調整装置30Xは、たとえば直方体状の天部、底部及び側壁部を有するボックス状をなし、風量調整装置30Xの本体の一部、図示例では下部にルーバー状の傾斜板間で形成された吐出口31A、31Bと、天部において上方に開口する取込み開口を塞ぐように、天井内に臨む部分(天部)に設けられた風量調整部材32と、風量調整部材32を移動させボックス(風量調整装置30Xの本体)内外の連通面積を可変とする駆動手段33とを有する。
【0035】
駆動手段33はたとえばステッピングモータであり、風量調整装置30Xの本体に固定されている。そのステッピングモータ33の移動軸33aは、風量調整部材32連結され、駆動手段33により取込み開口に対して直交して接離移動(上下移動)するように構成されている。風量調整部材32の四隅において下方に延びるガイドロッド34が、風量調整装置30Xの本体の四隅に設けられたブラケットのブッシュ35に挿通されており、風量調整部材32の上下移動を安定させるようになっている。36は風量調整部材32の動作スイッチであり、ステッピングモータ33が作動し、風量調整部材32が動作した否かを確認するために設けられており、風量調整部材32が動作スイッチ36から離れた場合において動作信号を発するようにしてある。
【0036】
かかる装置においては、風量調整部材32が、駆動手段33(ステッピングモータ)により上下に、風量調整装置30Xの本体の天部の取込み開口に対して直交して接離移動すると、風量調整部材32周囲の取込み開口の縁部に対する離間空間(その開口面積を図2に符号Sで示した)の大小が生じ、その大小により風量調整が可能である。
風量調整装置30Xの本体に取り込まれたサプライチャンバーC内の調和空気は、吐出口31A、31Bから区画空間全体に拡散して吐出され、続いて吐出空気は多孔板50の吹出口50a, 50a…から天井10下の対象空間(たとえば事務室)Zに吹出される。
そのとき、多孔板50自体も調節温度に維持され、その多孔板50が放射熱を発する材料(たとえばアルミなどの金属板)場合には、放射熱も対象空間Zに発せられる。多孔板50の代表例はパンチングメタルである。放射板50(多孔板50)の材質としは、鋼板やアルミニウム板などの金属板のほか、樹脂板又はセラミックスなどを使用できる。
【0037】
<ヒンジ式風量調整装置>
図6〜図9は、ヒンジ式風量調整装置30Y例を示したものである。
ヒンジ式風量調整装置30Yは、たとえば直方体状の天部、底部及び側壁部を有するボックス状をなし、風量調整装置30Yの本体の一部、図示例では下部にルーバー状の傾斜板間に形成された吐出口31A、31Bと、天井のサプライチャンバーに開口する天部の取込み開口を塞ぐように、天井内に臨む部分(天部)に設けられた風量調整部材32と、風量調整部材32を移動させボックス(風量調整装置30Yの本体)内外の連通面積を可変とする駆動手段33とを有する。
駆動手段33はたとえばステッピングモータであり、風量調整装置30Yの本体に固定されている。そのステッピングモータに移動軸33aは、風量調整部材32連結されている。
【0038】
風量調整部材32は、風量調整装置30Yの本体に対し、回転ヒンジ軸38を介して枢着されている。その結果、風量調整部材32は駆動手段33の上下動により取込み開口を開閉するように、回転軸心(回転ヒンジ軸38心)を中心にしてヒンジ回転するように構成されている。このように回転軸心を中心にしてヒンジ回転すると、風量調整部材32の回転軸心と反対側において、周囲の取込み開口の縁部に対する離間空間(その開口面積を図9に符号Sで示した)の大小が生じ、その大小により風量調整が可能である。
【0039】
<スライド式風量調整装置>
図10〜図13は、スライド式風量調整装置30Z例を示したものである。
スライド式風量調整装置30Zは、たとえば直方体状の天部、底部及び側壁部を有するボックス状をなす風量調整装置30Zの本体を有している。風量調整装置30Zは、その本体の一部、図示例では下部にルーバー状の傾斜板間に形成された吐出口31A、31Bと、天部(板)32Pに形成され多数の取込み開口32a,32a…を覆って、多数の連通孔32b,32b…が形成された風量調整部材32と、風量調整部材32を移動させボックス(風量調整装置30Zの本体)内外の連通面積を可変とする駆動手段33とを有する。
【0040】
駆動手段33はたとえばステッピングモータであり、風量調整装置30Zの本体に固定されている。そのステッピングモータの移動軸33aは、ブラケット33bを介して風量調整部材32に連結されている。取込み開口32a,32a…、並びに連通孔32b,32b…は、駆動手段33の移動方向、すなわち図10基準で図面上左右方向に対し、図面を貫く方向に細長いスリット孔とされている。
【0041】
駆動手段33による水平移動により、取込み開口32a,32a…を開閉するように、風量調整部材32は水平方向に移動するように構成されている。水平移動すると、取込み開口32a,32a…全体を風量調整部材32が覆う状態(図13)と、多数の連通孔32b,32b…が取込み開口32a,32a…と一致する全開状態(図13)との間で、適宜の開口状態を選択する。このようにして取込み開口32a,32a…と連通孔32b,32b…との連通面積の大小により風量の調整がなされるように構成されている。42は天部に形成されたボスであり、風量調整部材32の小スライド孔32cをガイドしている。
【0042】
上記各例において、放熱板として多孔板50を使用した例を示したが、図14及び図15に示すように、たとえば放熱板50Aの周囲に4つの長孔50aを形成し、放熱板50Aの周囲のみの吹出口(長孔)50aから吹出すようにしてもよい。このように、本発明において、吹出口50aの形状、数及び配置などは適宜選択できるものである。
【0043】
また、上記各例においては、放熱板50に吹出口50aを形成し、放熱板50を通して調和空気を吹出す例を示したが、図16に示すように、放熱板50Bの周囲と天井10との間に離間部を設け、その離間部を吹出口50aとすることもできる。この場合、放熱板50Bには吹出口50aを形成しないほか、吹出口50aを形成し、放熱板50を通しても調和空気を吹出すようにしてもよい。
【0044】
本発明の駆動手段33、たとえばステッピングモータは、1つの風量調整装置30(風量調整部材32)に限らず複数の風量調整装置30(風量調整部材32)を同時又は時分割個別に制御できる。
また、ステッピングモータは、従来の圧電素子ダンパのような250Vといった高電圧ではなく、5V〜24V程度の低電圧で作動させることができものを使用できる。その結果、圧電素子ダンパに比べて安全性が飛躍的に向上している。
さらに、風量調整部材32の開閉速度は可変とすることができ、通常の空調時は低速動作により騒音発生が抑えられ、火災など非常時は高速動作で全開し、室内から天井内への迅速な蓄煙を可能としている。
【符号の説明】
【0045】
10・・・天井
12・・・空調装置(AHU)
Z・・・対象空間
20・・・吹出し部
22・・・温度調節器
24・・・コントローラ
26・・・温度検出器
28・・・コントローラ
30・・・風量調整装置
30X、30Y、30Z・・・昇降式風量調整装置
31A、31B・・・吐出口
32・・・風量調整部材
33・・・駆動手段(ステッピングモータ)
38・・・回転ヒンジ軸
50・・・多孔板(放熱板)
50a・・・吹出口
50A,50B・・・放熱板
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和設備に係り、特に天井内をサプライチャンバーとし、空調装置からの調和空気を天井に設けた複数の吹出し部から天井下の対象空間に吹出すようにした空調設備に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和においては、室内温度を調節する場合、風量調整によるのが一般的である。
【0003】
たとえば、可変風量単一ダクト方式においては、空調機から天井面の複数の吹き出し口までダクトを接続し、その途中に設置された可変風量装置(VAV)により室内に供給する風量を変え、室内温度を調節している。この場合の室内温度調節は、通常50m2〜100m2を1つの制御ゾーンとしている。
【0004】
他方、天井内をチャンバーとして使用する場合もあり(特許文献1)、空調機からの送風を当該天井チャンバーに吹き込み、a)天井チャンバーと室内との圧力差(10Pa前後)を利用し、多孔板などの吹き出し口から室内に送風する、b)アネモ型吹き出し口に付設された小型送風機の圧力により室内に送風する、などの方法がとられている。
【0005】
この場合の室内温度調節は、a)では天井チャンバー吹き込み手前のダクトに設置された可変風量装置(VAV)で風量を変える方法、又は吹き出し口の直上部に設置された圧電素子ダンパの開閉で風量を変える方法、などがとられている。b)ではアネモ型吹き出し口に附置した小型送風機の風量を変える方法などがとられている。この場合、室内温度制御ゾーンとしては、前者と同程度の大きさとしており、通常50m2〜100m2を1つの制御ゾーンとしている。
【0006】
しかしながら、天井チャンバー吹き込み手前のダクトに設置されたVAV装置を使用する場合、さらに省エネルギーを実現するためには、より細分化した制御ゾーンが必要とされ、そのためには、吹き出し口1つずつにVAV装置を設置する必要があり、機器費用の高騰、付帯工事の増加及び制御配線の複雑化、などの問題を招く。
【0007】
一方、吹き出し口の直上部に設置された圧電素子ダンパを用いる場合は、圧電素子を作動させるためにDC200V〜250V程度の高圧電源を印加してダンパの開閉を制御しなければならず、工事費の高騰を招く。
【0008】
また、アネモ型吹き出し口に小型送風機を付設する場合には、吹き出し口の数だけ回転体を駆動するモータが天井内に配置され、騒音対策、メンテナンスに負担が大きくなる。
【0009】
上記の各例は、空調機からの送風量又は送風空気の温度で室内を空調する方法である。これに対し、近年その温熱感に与える効果が大きいといわれている、いわゆる放射冷暖房が着目されている。放射冷房においては、通常、天井面に水配管と放射用金属パネルを一体化したシステムにおいて、当該水配管に冷水を通過させ、パネル表面温度を室温より低くし、放射冷房効果を出しているが、天井内への水配管は、漏水のリスクが懸念されることから通常避けられるケースが多く、普及の障害となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3269572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の主たる課題は、吹出し部ごとに簡素な構造の風量調整装置を設けることにより、細かな温度制御により省エネルギーを図ることが可能で、かつ設備費を抑制できる空気調和設備を提供することにある。
【0012】
他の主たる課題は、吹出し部として対象空間に臨み調和空気を対象空間に吹出す吹出口が多数形成された多孔板を使用することと、本発明に係る風量調整装置との組み合わせにより、放射冷暖房を効果的に発揮させることにある。
【0013】
具体的には、温度制御ゾーンの細分化、工事費の抑制、天井内制御配線の単純化、制御方法の単純化及び装置駆動電源の低電圧化などを可能とすることができ、かつ空気による放射冷暖房の効果を引き出すことができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
【0015】
<請求項1記載の発明>
天井内をサプライチャンバーとし、空調装置からの調和空気を天井に設けた複数の吹出し部から天井下の対象空間に吹出すようにした空調設備において、
前記吹出し部が、前記対象空間に臨み調和空気を対象空間に吹出す吹出口を形成する放射板と、その放射板の背面を含む区画空間に臨んで、または前記放射板の背面に直接的に臨んで、吹出し風量を調整する風量調整装置が設けられ、
前記風量調整装置は、ボックス状本体と、その一部に形成された吐出口と、天井内に臨む部分に設けられた風量調整部材と、前記風量調整部材を移動させ前記天井のサプライチャンバーに対する前記ボックス状本体の連通面積を可変とする駆動手段とを有する、
ことを特徴とする空気調和設備。
【0016】
(作用効果)
調和空気を天井に設けた複数の吹出し部から天井下の対象空間に吹出す。各吹出し部には放射板を設けてあり、放射板を通る吹出口又は放射板の周囲の吹出口から、調和空気が対象空間に吹出される。
風量調整装置が放射板の背面を含む区画空間に臨んで、または放射板の背面に直接的に臨んでいるので、調和空気が、吹出口から対象空間に吹出される際に、調和空気が放射板に当たり放射板の温度が調節され、放射板からの放射熱も対象空間に放射される。
その結果、対象空間には温度調節された温冷風のほか、温冷熱も放射されるので、温度についての効果的な体感を与えることができる。なお、当該放射板の吐出口から吹出された調和空気は、当該放射板の周辺の天井部分にも行き渡り、その天井部分の温度を調節する。したがって、各吹出し部の周辺の天井部分も温度調節されるので、天井全体から放射熱が対象空間に放射されるので、吹出口から吹出される調和空気のもっている熱との両者を受けて、快適な空調空間が確保される。
他方、吹出し部ごとに風量調整装置を設けたので、対象空間に対して風量及び放射熱による細かい温度調整が可能であり、省エネルギーな運転が可能である。
風量調整装置は、ボックス状本体と、その一部に形成された吐出口と、天井内に臨む部分に設けられた風量調整部材と、前記風量調整部材を移動させボックス内外の連通面積を可変とする駆動手段とを有する簡素な構成で足りるので、設備費は低廉なものとなり、設置後のメンテナンスの負担は軽いものとなる。
【0017】
<請求項2記載の発明>
前記吹出し部ごと設けられた駆動手段はモータであり、個別または複数個のモータが群とされ、その個別または群単位で制御がなされ、風量が調整されるように構成されている請求項1記載の空気調和設備。
【0018】
(作用効果)
モータに対する制御であると、細かい風量調節が可能である。
【0019】
<請求項3記載の発明>
前記吐出口は、調和空気の吐出方向が複数方向に向くように開口している請求項1記載の空気調和設備。
【0020】
(作用効果)
放熱板の背面の局所でなく全体的に温冷させることができる。
【0021】
<請求項4記載の発明>
前記風量調整装置の吐出口が前記放熱板の背面に臨んでいる請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気調和設備。
【0022】
(作用効果)
風量調整装置の吐出口が放熱板の背面に直接的に臨んでいても、放熱板を温冷させることができる。
【0023】
<請求項5記載の発明>
前記風量調整装置は、ボックス状本体と、その取込み開口を覆う蓋を構成する風量調整部材とを有し、前記風量調整部材は前記駆動手段により前記取込み開口に対して直交して接離移動するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和設備。
【0024】
(作用効果)
風量調整部材が、駆動手段により取込み開口に対して直交して接離移動すると、風量調整部材周囲の取込み開口の縁部に対する離間空間の大小が生じ、その大小により風量調整が可能である。
【0025】
<請求項6記載の発明>
前記風量調整装置は、ボックス状本体と、その調和空気の取込み開口を覆い回転軸心を中心にして回転し、蓋の開閉がなされるように構成された風量調整部材とを有し、前記風量調整部材は前記駆動手段により前記取込み開口に対して回転軸心を中心にしてヒンジ回転するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和設備。
【0026】
(作用効果)
風量調整部材が、駆動手段により取込み開口に対して取込み開口に対して回転軸心を中心にしてヒンジ回転すると、風量調整部材の回転軸心と反対側において、周囲の取込み開口の縁部に対する離間空間の大小が生じ、その大小により風量調整が可能である。
【0027】
<請求項7記載の発明>
前記風量調整装置は、ボックス状本体と、その一部に形成された複数の取込み開口を覆う蓋を構成しかつ複数の連通孔が形成された風量調整部材とを有し、前記風量調整部材は前記駆動手段により前記取込み開口に対して平行に移動するように構成され、前記取込み開口と連通孔との連通面積の大小により風量の調整がなされるように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和設備。
【0028】
(作用効果)
風量調整部材が、駆動手段により取込み開口に対して平行に移動すると、取込み開口と風量調整部材の連通孔との連通面積の大小が生じ、風量の調整が可能である。
【発明の効果】
【0029】
以上のとおり、本発明によれば、吹出し部ごとに簡素な構造の風量調整装置を設けることにより、細かな温度制御により省エネルギーを図ることが可能で、かつ設備費を抑制できる。また、吹出し部として対象空間に臨み調和空気を対象空間に吹出す吹出口が多数形成された多孔板を使用することと、本発明に係る風量調整装置との組み合わせにより、放射冷暖房を効果的に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】空気調和系統例の全体説明図である。
【図2】放熱板及び昇降式の風量調整装置の断面図である。
【図3】放熱板と昇降式の風量調整装置の吐出口との関係を示す平面図である。
【図4】昇降式の風量調整装置の平面図である。
【図5】昇降式の風量調整装置の作動説明用断面図である。
【図6】放熱板及びヒンジ式の風量調整装置の断面図である。
【図7】放熱板とヒンジ式の風量調整装置の吐出口との関係を示す平面図である。
【図8】ヒンジ式の風量調整装置の平面図である。
【図9】ヒンジ式の風量調整装置の作動説明用断面図である。
【図10】放熱板及びスライド式の風量調整装置の断面図である。
【図11】放熱板とスライド式の風量調整装置の吐出口との関係を示す平面図である。
【図12】スライド式の風量調整装置の平面図である。
【図13】スライド式の風量調整装置の平面図である。
【図14】放熱板の他の例を昇降式の風量調整装置と共に示す断面図である。
【図15】放熱板の底面図である。
【図16】放熱板のさらに別の例を昇降式の風量調整装置と共に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
図1は空気調和系統例の全体説明図である。天井10内をサプライチャンバーCとし、空調装置(AHU)12からの調和空気を天井10に設けた複数の吹出し部20,20…から天井10下の対象空間(たとえば事務室)Zに吹出すようにしたものである。空調装置12は外気及び対象空間Zから床下に移行した空気を取り込んで、温度調節後に調和空気として、天井10に設けた複数の吹出し部20,20…から天井10下の対象空間Zに吹出す。
【0032】
他方、吹出し部20,20…のそれぞれには、対象空間Zに臨み調和空気を対象空間Zに吹出す吹出口50a, 50a…が多数形成された多孔板50と、多孔板50からの吹出し風量を調整する風量調整装置30(図1には図示していない)が設けられている。
対象空間Zの適宜の位置には、温度調節器22が設けられ、その温度調節器22に対する居住者による温度調節信号が、あるいは中央管理室(図示せず)などからの温度調節信号が、空調装置12のコントローラ24に与えられ、そのコントローラ24からの指示信号と、吹出し部20単独又は吹出し部20,20…群ごとに区画されたゾーン単位で設けられた温度検出器26からの対象空間の温度信号とを取り込んで、群単位分散コントローラ28が、具体的に風量調整装置30の風量調整部材32を作動させ、吹出し風量を調整するように構成してある。
風量調整装置30のいくつかの例を以下に説明する。
【0033】
<昇降式風量調整装置>
図2〜図5は、昇降式風量調整装置30X例を示したものである。本発明の放熱板の例としての多孔板50は、天井10の開口に設けられた、たとえば600mm×600mmサイズの多数の小吹出口50a, 50a…が多数形成されたものである。吹出口50a, 50a…による開口率は、たとえば5〜70%、より望ましくは25〜65%とされる。多孔板50は、天板51及び側板52も含んで区画されたボックス状を形成している。
【0034】
この区画空間に臨んで(区画されたボックスの多孔板50背面に臨んで)、多孔板50からの吹出し風量を調整する風量調整装置30Xが設けられている。
風量調整装置30Xは、たとえば直方体状の天部、底部及び側壁部を有するボックス状をなし、風量調整装置30Xの本体の一部、図示例では下部にルーバー状の傾斜板間で形成された吐出口31A、31Bと、天部において上方に開口する取込み開口を塞ぐように、天井内に臨む部分(天部)に設けられた風量調整部材32と、風量調整部材32を移動させボックス(風量調整装置30Xの本体)内外の連通面積を可変とする駆動手段33とを有する。
【0035】
駆動手段33はたとえばステッピングモータであり、風量調整装置30Xの本体に固定されている。そのステッピングモータ33の移動軸33aは、風量調整部材32連結され、駆動手段33により取込み開口に対して直交して接離移動(上下移動)するように構成されている。風量調整部材32の四隅において下方に延びるガイドロッド34が、風量調整装置30Xの本体の四隅に設けられたブラケットのブッシュ35に挿通されており、風量調整部材32の上下移動を安定させるようになっている。36は風量調整部材32の動作スイッチであり、ステッピングモータ33が作動し、風量調整部材32が動作した否かを確認するために設けられており、風量調整部材32が動作スイッチ36から離れた場合において動作信号を発するようにしてある。
【0036】
かかる装置においては、風量調整部材32が、駆動手段33(ステッピングモータ)により上下に、風量調整装置30Xの本体の天部の取込み開口に対して直交して接離移動すると、風量調整部材32周囲の取込み開口の縁部に対する離間空間(その開口面積を図2に符号Sで示した)の大小が生じ、その大小により風量調整が可能である。
風量調整装置30Xの本体に取り込まれたサプライチャンバーC内の調和空気は、吐出口31A、31Bから区画空間全体に拡散して吐出され、続いて吐出空気は多孔板50の吹出口50a, 50a…から天井10下の対象空間(たとえば事務室)Zに吹出される。
そのとき、多孔板50自体も調節温度に維持され、その多孔板50が放射熱を発する材料(たとえばアルミなどの金属板)場合には、放射熱も対象空間Zに発せられる。多孔板50の代表例はパンチングメタルである。放射板50(多孔板50)の材質としは、鋼板やアルミニウム板などの金属板のほか、樹脂板又はセラミックスなどを使用できる。
【0037】
<ヒンジ式風量調整装置>
図6〜図9は、ヒンジ式風量調整装置30Y例を示したものである。
ヒンジ式風量調整装置30Yは、たとえば直方体状の天部、底部及び側壁部を有するボックス状をなし、風量調整装置30Yの本体の一部、図示例では下部にルーバー状の傾斜板間に形成された吐出口31A、31Bと、天井のサプライチャンバーに開口する天部の取込み開口を塞ぐように、天井内に臨む部分(天部)に設けられた風量調整部材32と、風量調整部材32を移動させボックス(風量調整装置30Yの本体)内外の連通面積を可変とする駆動手段33とを有する。
駆動手段33はたとえばステッピングモータであり、風量調整装置30Yの本体に固定されている。そのステッピングモータに移動軸33aは、風量調整部材32連結されている。
【0038】
風量調整部材32は、風量調整装置30Yの本体に対し、回転ヒンジ軸38を介して枢着されている。その結果、風量調整部材32は駆動手段33の上下動により取込み開口を開閉するように、回転軸心(回転ヒンジ軸38心)を中心にしてヒンジ回転するように構成されている。このように回転軸心を中心にしてヒンジ回転すると、風量調整部材32の回転軸心と反対側において、周囲の取込み開口の縁部に対する離間空間(その開口面積を図9に符号Sで示した)の大小が生じ、その大小により風量調整が可能である。
【0039】
<スライド式風量調整装置>
図10〜図13は、スライド式風量調整装置30Z例を示したものである。
スライド式風量調整装置30Zは、たとえば直方体状の天部、底部及び側壁部を有するボックス状をなす風量調整装置30Zの本体を有している。風量調整装置30Zは、その本体の一部、図示例では下部にルーバー状の傾斜板間に形成された吐出口31A、31Bと、天部(板)32Pに形成され多数の取込み開口32a,32a…を覆って、多数の連通孔32b,32b…が形成された風量調整部材32と、風量調整部材32を移動させボックス(風量調整装置30Zの本体)内外の連通面積を可変とする駆動手段33とを有する。
【0040】
駆動手段33はたとえばステッピングモータであり、風量調整装置30Zの本体に固定されている。そのステッピングモータの移動軸33aは、ブラケット33bを介して風量調整部材32に連結されている。取込み開口32a,32a…、並びに連通孔32b,32b…は、駆動手段33の移動方向、すなわち図10基準で図面上左右方向に対し、図面を貫く方向に細長いスリット孔とされている。
【0041】
駆動手段33による水平移動により、取込み開口32a,32a…を開閉するように、風量調整部材32は水平方向に移動するように構成されている。水平移動すると、取込み開口32a,32a…全体を風量調整部材32が覆う状態(図13)と、多数の連通孔32b,32b…が取込み開口32a,32a…と一致する全開状態(図13)との間で、適宜の開口状態を選択する。このようにして取込み開口32a,32a…と連通孔32b,32b…との連通面積の大小により風量の調整がなされるように構成されている。42は天部に形成されたボスであり、風量調整部材32の小スライド孔32cをガイドしている。
【0042】
上記各例において、放熱板として多孔板50を使用した例を示したが、図14及び図15に示すように、たとえば放熱板50Aの周囲に4つの長孔50aを形成し、放熱板50Aの周囲のみの吹出口(長孔)50aから吹出すようにしてもよい。このように、本発明において、吹出口50aの形状、数及び配置などは適宜選択できるものである。
【0043】
また、上記各例においては、放熱板50に吹出口50aを形成し、放熱板50を通して調和空気を吹出す例を示したが、図16に示すように、放熱板50Bの周囲と天井10との間に離間部を設け、その離間部を吹出口50aとすることもできる。この場合、放熱板50Bには吹出口50aを形成しないほか、吹出口50aを形成し、放熱板50を通しても調和空気を吹出すようにしてもよい。
【0044】
本発明の駆動手段33、たとえばステッピングモータは、1つの風量調整装置30(風量調整部材32)に限らず複数の風量調整装置30(風量調整部材32)を同時又は時分割個別に制御できる。
また、ステッピングモータは、従来の圧電素子ダンパのような250Vといった高電圧ではなく、5V〜24V程度の低電圧で作動させることができものを使用できる。その結果、圧電素子ダンパに比べて安全性が飛躍的に向上している。
さらに、風量調整部材32の開閉速度は可変とすることができ、通常の空調時は低速動作により騒音発生が抑えられ、火災など非常時は高速動作で全開し、室内から天井内への迅速な蓄煙を可能としている。
【符号の説明】
【0045】
10・・・天井
12・・・空調装置(AHU)
Z・・・対象空間
20・・・吹出し部
22・・・温度調節器
24・・・コントローラ
26・・・温度検出器
28・・・コントローラ
30・・・風量調整装置
30X、30Y、30Z・・・昇降式風量調整装置
31A、31B・・・吐出口
32・・・風量調整部材
33・・・駆動手段(ステッピングモータ)
38・・・回転ヒンジ軸
50・・・多孔板(放熱板)
50a・・・吹出口
50A,50B・・・放熱板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井内をサプライチャンバーとし、空調装置からの調和空気を天井に設けた複数の吹出し部から天井下の対象空間に吹出すようにした空調設備において、
前記吹出し部が、前記対象空間に臨み調和空気を対象空間に吹出す吹出口を形成する放射板と、その放射板の背面を含む区画空間に臨んで、または前記放射板の背面に直接的に臨んで、吹出し風量を調整する風量調整装置が設けられ、
前記風量調整装置は、ボックス状本体と、その一部に形成された吐出口と、天井内に臨む部分に設けられた風量調整部材と、前記風量調整部材を移動させ前記天井のサプライチャンバーに対する前記ボックス状本体の連通面積を可変とする駆動手段とを有する、
ことを特徴とする空気調和設備。
【請求項2】
前記吹出し部ごと設けられた駆動手段はモータであり、個別または複数個のモータが群とされ、その個別または群単位で制御がなされ、風量が調整されるように構成されている請求項1記載の空気調和設備。
【請求項3】
前記吐出口は、調和空気の吐出方向が複数方向に向くように開口している請求項1記載の空気調和設備。
【請求項4】
前記風量調整装置の吐出口が前記放熱板の背面に臨んでいる請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気調和設備。
【請求項5】
前記風量調整装置は、ボックス状本体と、その取込み開口を覆う蓋を構成する風量調整部材とを有し、前記風量調整部材は前記駆動手段により前記取込み開口に対して直交して接離移動するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和設備。
【請求項6】
前記風量調整装置は、ボックス状本体と、その調和空気の取込み開口を覆い回転軸心を中心にして回転し、蓋の開閉がなされるように構成された風量調整部材とを有し、前記風量調整部材は前記駆動手段により前記取込み開口に対して回転軸心を中心にしてヒンジ回転するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和設備。
【請求項7】
前記風量調整装置は、ボックス状本体と、その一部に形成された複数の取込み開口を覆う蓋を構成しかつ複数の連通孔が形成された風量調整部材とを有し、前記風量調整部材は前記駆動手段により前記取込み開口に対して平行に移動するように構成され、前記取込み開口と連通孔との連通面積の大小により風量の調整がなされるように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和設備。
【請求項1】
天井内をサプライチャンバーとし、空調装置からの調和空気を天井に設けた複数の吹出し部から天井下の対象空間に吹出すようにした空調設備において、
前記吹出し部が、前記対象空間に臨み調和空気を対象空間に吹出す吹出口を形成する放射板と、その放射板の背面を含む区画空間に臨んで、または前記放射板の背面に直接的に臨んで、吹出し風量を調整する風量調整装置が設けられ、
前記風量調整装置は、ボックス状本体と、その一部に形成された吐出口と、天井内に臨む部分に設けられた風量調整部材と、前記風量調整部材を移動させ前記天井のサプライチャンバーに対する前記ボックス状本体の連通面積を可変とする駆動手段とを有する、
ことを特徴とする空気調和設備。
【請求項2】
前記吹出し部ごと設けられた駆動手段はモータであり、個別または複数個のモータが群とされ、その個別または群単位で制御がなされ、風量が調整されるように構成されている請求項1記載の空気調和設備。
【請求項3】
前記吐出口は、調和空気の吐出方向が複数方向に向くように開口している請求項1記載の空気調和設備。
【請求項4】
前記風量調整装置の吐出口が前記放熱板の背面に臨んでいる請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気調和設備。
【請求項5】
前記風量調整装置は、ボックス状本体と、その取込み開口を覆う蓋を構成する風量調整部材とを有し、前記風量調整部材は前記駆動手段により前記取込み開口に対して直交して接離移動するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和設備。
【請求項6】
前記風量調整装置は、ボックス状本体と、その調和空気の取込み開口を覆い回転軸心を中心にして回転し、蓋の開閉がなされるように構成された風量調整部材とを有し、前記風量調整部材は前記駆動手段により前記取込み開口に対して回転軸心を中心にしてヒンジ回転するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和設備。
【請求項7】
前記風量調整装置は、ボックス状本体と、その一部に形成された複数の取込み開口を覆う蓋を構成しかつ複数の連通孔が形成された風量調整部材とを有し、前記風量調整部材は前記駆動手段により前記取込み開口に対して平行に移動するように構成され、前記取込み開口と連通孔との連通面積の大小により風量の調整がなされるように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−177520(P2012−177520A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40753(P2011−40753)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(390018474)新日本空調株式会社 (88)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(390018474)新日本空調株式会社 (88)
【Fターム(参考)】
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