説明

空調システム

【課題】空調システムに関する知識が乏しい者であっても、集中管理装置に配置された各運転スイッチによる操作対象となる空調端末機を、容易に変更することができる空調システムを提供する。
【解決手段】操作対象変更モードにおいて、集中管理管理装置のアドレス00hの運転スイッチと、アドレス01hの運転スイッチと、アドレス1Ehの運転スイッチが順に操作されたときに、該アドレスを順番にアドレス保持部205aに保持し、その後、00h,01h,1Ehの運転スイッチに割り当てられていた空調端末機の運転スイッチが順に操作されて、該空調端末機からIDコード1Eh,00h,01hをそれぞれ含む点火信号を順に受信したときに、該IDコードを順番にIDコード保持部205bに保持して、仮登録マップ205を生成し、該仮登録マップ205に基づいて操作対象マップを変更する操作対象マップ変更手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の空調端末機を集中管理装置により遠隔操作する空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、図6に示したように、複数の空調端末機601a〜630aと集中管理装置500を通信ケーブル505により接続して相互に通信可能に構成し、集中管理装置500に備えられた運転スイッチ541〜570の操作により、空調端末機601a〜630aの遠隔操作を可能とした空調システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6に示した空調システムにおいては、各空調端末機601a,602a,…,630aに、他の空調端末機とは異なるIDコードが割り当てられている。例えば、教室601に設置された空調端末機601aにはIDコード(1)が割り当てられ、教室602に設置された空調端末機602aにはIDコード(2)が割り当てられている。
【0004】
そして、各運転スイッチ541〜570に対して操作対象となる空調端末機601a〜630aのいずれかのIDコードが予め割り当てられている。例えば、運転スイッチ541に対しては空調端末機601aのIDコード(1)が割り当てられ、運転スイッチ542に対してはIDコード(2)が割り当てられている。そして、運転スイッチ541が操作されたときに、集中管理装置500から、該運転スイッチ541に割り当てられたIDコード(1)を有する空調端末機601に対して、運転開始或いは運転停止を指示する制御信号を送信するようにしていた。
【0005】
このように、図6に示した空調システムにおいては、各運転スイッチ541〜570に対して、操作対象となる空調端末機601a〜630aのIDコードが固定されていた。そのため、教室の配置を変更して、例えばそれまで1年1組であった教室601を1年2組とし、1年2組であった教室602を1年1組とするときには、教室601に設置された空調端末機601aのIDコードと、教室602に設置された空調端末機602aのIDコードを変更する作業が必要となる。
【0006】
具体的には、作業者は、教室601に設置された空調端末機601aの位置をずらして筐体を開け、内部に配置されたID設定スイッチ601bの操作によりIDコードを(1)から(2)に変更する。同様に、作業者は、教室602に設置された空調端末機602aの位置をずらして筐体を開け、内部に配置されたID設定スイッチ602bの操作によりIDコードを(2)から(1)に変更する。
【0007】
そして、このうように空調端末機601a及び空調端末機602aの位置をずらして筐体を開けるときに、通信ケーブル505が外れたり接続が不良となることがあり、作業者がこれに気付かないと、IDコードの変更後に集中管理装置500と空調端末機601a或いは空調端末機602a間の通信が不良となる。また、作業者は各運転スイッチ541〜570に割り当てられた空調端末機のIDコード(1〜30)を認識した上で、各教室に設置された空調端末機のIDコードを各運転スイッチに割り当てられた操作対象のIDコードに合わせて設定する必要があり、IDコードの設定を間違えると運転スイッチにより操作される空調端末機が誤って設定されてしまう。
【0008】
そのため、空調端末機のIDコードを変更する作業は、ある程度空調システムの仕様を習熟した作業者が、通信ケーブル505の接続不良やIDコードの設定ミスが生じないように慎重に行う必要がある。したがって、教員等の一般の使用者がこの作業を行うことは困難であった。
【0009】
この場合、学校側においては、教室の配置を変更するためには、空調システムの管理業者に連絡して作業者を派遣してもらわなければならず、時間と費用がかかる。また、納入業者においては、教室の配置換えを行う度に作業者を派遣しなければならず、作業者の確保についての負担が大きかった。
【特許文献1】特開平06−300298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記背景を鑑みてなされたものであり、空調システムに関する知識が乏しい者であっても、集中管理装置に配置された各運転スイッチによる操作対象とされる空調端末機を、容易に変更することができる空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、複数の空調端末機と、該複数の空調端末機と相互に通信可能に構成されて該複数の空調端末機を遠隔操作する集中管理装置とを備えた空調システムに関する。
【0012】
そして、前記各空調端末機は、他の空調端末機とは異なるIDコードを有し、前記集中管理装置は、少なくとも前記空調端末機の台数分の個数の運転スイッチが配置された操作手段と、前記各運転スイッチに対して、操作対象となる1台の前記空調端末機のIDコードが割り当てられた操作対象マップのデータを保持したデータ保持手段と、前記運転スイッチのいずれかが操作されたときに、前記操作対象マップを参照して、該操作された運転スイッチの操作対象となる前記空気端末機のIDコードを取得し、該IDコードを有する前記空気端末機に対して所定の制御信号を送信する通常運転モードと、前記運転スイッチの操作に応じて、前記操作対象マップにおける該操作された運転スイッチに対する前記空気端末機の割り当てを変更する操作対象変更モードとを切換えるモード切換手段と、前記操作対象変更モードにおいて、複数の前記運転スイッチが操作された後に、該操作された各運転スイッチに対して前記操作対象マップで割り当てられたIDコードを有する前記空調端末機で所定操作がなされて、該所定操作がなされた各空調端末機から自身のIDコードを含む所定の報知信号を受信したときに、該複数の運転スイッチが操作された順番と、該報知信号を受信した順番とを一致させて、該操作された各運転スイッチに、該報知信号に含まれるIDコードを割り当てて、前記操作対象マップを変更する操作対象マップ変更手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
かかる本発明によれば、前記集中管理装置の運転スイッチにより操作する前記空調端末機の変更を行う作業者は、先ず、前記モード切換手段により前記操作対象変更モードとする。そして、作業者は、操作対象を変更したい複数の運転スイッチを操作し、その後、それまで該複数の運転スイッチによる操作対象されていた空調端末機について、該複数の運転スイッチを操作した順番に合わせて、新たな操作対象とする空調端末機の前記所定操作を順次行う。これにより、前記操作対象マップ変更手段によって、前記操作対象マップにおける前記運転スイッチと前記空調端末機との対応が変更され、前記運転スイッチによる操作対象となる空調端末機を変更することができる。そして、この場合、作業者は、空調端末機のIDコードを変更する作業を行う必要がなく、また、各空調端末機に割り当てられているIDコードを認識する必要もない。そのため、空調システムの知識が乏しい作業者であっても、前記運転スイッチによる操作対象とする前記空調端末機を容易に変更することができる。
【0014】
また、前記各運転スイッチには、他の運転スイッチと異なるアドレスが設定され、前記操作対象マップ変更手段は、前記操作対象変更モードにおいて、複数の前記運転スイッチが操作されたときに、該操作された運転スイッチのアドレスを該運転スイッチが操作された順番に保持するアドレス保持部と、前記報知信号を受信したときに、該報知信号に含まれるIDコードを該報知信号を受信した順番に保持するIDコード保持部とを、該アドレス及び該報知信号を保持した順番で対応付けた仮登録マップを生成し、該仮登録マップに基づいて、前記操作対象マップを変更することを特徴とする。
【0015】
かかる本発明によれば、詳細は後述するが、前記操作対象変更モードにおいて、操作された運転スイッチのアドレスを前記アドレス保持部に保持し、受信した前記報知信号に含まれるIDコードを前記IDコード保持部に保持して、前記仮登録マップを生成することにより、前記操作対象マップの変更を容易に行うことができる。
【0016】
また、前記所定操作は前記空調端末機の運転開始操作であって、前記報知信号は空調運転を開始したことを報知する信号であり、前記操作対象マップ変更手段は、前記操作対象変更モードにおいて、前記報知信号を受信したときに、前記報知信号を送信した前記空調端末機に対して、空調運転の停止を指示する運転停止信号を送信することを特徴とする。
【0017】
かかる本発明によれば、前記運転スイッチによる操作対象とする前記空調端末機を変更する作業を行う作業者は、前記空調端末機の運転開始操作をして、前記空調端末機が空調運転を開始した後、前記運転停止信号の受信により前記空調端末機が運転を停止したことを確認することにより、前記報知信号が前記集中管理装置で受信されたことを認識することができる。
【0018】
また、前記各運転スイッチには異なる部屋の名称が付され、前記各空調端末機は、前記異なる部屋に1台ずつ設置されていることを特徴とする。
【0019】
かかる本発明によれば、部屋の名称と部屋の配置の関係を変更するときに、各運転スイッチの名称を変更せずに、前記操作対象マップ変更手段により各運転スイッチの操作対象となる前記空調端末機を変更して、容易に対応することができる。
【0020】
また、前記各運転スイッチに対して個別に配置されたランプを備え、前記操作対象マップ変更手段は、前記操作対象変更モードにおいて、前記操作対象マップにより操作対象となる前記空調端末機が既に割り当てられた前記運転スイッチに対して配置された前記ランプを点灯状態とし、前記操作対象マップの変更により操作対象となる前記空調端末機を変更する処理が実行されている前記運転スイッチに対して配置された前記ランプを点滅状態とすることを特徴とする。
【0021】
かかる本発明によれば、作業者は、前記操作対象変更モードにおいて、前記ランプの点滅を確認することにより、操作対象となる前記空調端末機を変更する処理が実行されている運転スイッチを認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の形態の一例について、図1〜図5を参照して説明する。
【0023】
図1は本発明の空調システムの全体的な構成を示した図であり、通信ケーブル100を介して相互に通信可能に接続された、集中管理装置1と複数の空調端末機101a〜130aとにより構成されている。そして、本実施の形態の空調システムは、学校の各教室101〜130に設置された空調端末機101a〜130aの運転を、職員室等に設置された集中管理装置1により一括して管理するものである。
【0024】
集中管理装置1は、前面パネル2(本発明の操作手段に相当する)に配置された30個の運転スイッチ51,52,…,80、各運転スイッチに対して個別に設けられたLED51a,52a,…,80a、各運転スイッチの操作対象の空調端末機が設置された教室を示す教室ラベル21,22,…,50、ガス漏れLED10、通信異常LED11、器具異常LED12、ブザー停止スイッチ13、全点火スイッチ14、全消火スイッチ15、及び電源スイッチ16を備えている。また、集中管理装置1は、後面パネルに後述する通常運転モードと操作対象変更モードとを切換えるモード切換スイッチ90を備えている。
【0025】
なお、各運転スイッチ51〜80に対して教室ラベル21〜50が付された態様は、本発明の運転スイッチには異なる部屋の名称が付され、に相当する。
【0026】
運転スイッチ51〜80には、アドレス00h〜1Ehが順に割り当てられている。そして、使用者は、各運転スイッチ51〜80を操作することによって、対応する空調端末機の運転と停止を指示することができる。
【0027】
全点火スイッチ14は、全ての空調端末機101a〜130aを運転状態にすることを指示するものである。全消火スイッチ15は、全ての空調端末機101a〜130aを停止状態にすることを指示するものである。ブザー停止スイッチ13は、異常発生時等におけるブザー(図示しない)の鳴動の停止を指示するものである。電源スイッチ16は、集中管理装置1への電源供給/遮断の切り換えを指示するものである。
【0028】
空調端末機101a〜130aは、ガス温風暖房機であり、各教室101〜130に一台ずつ設置されている。各空調端末機101a〜130aは、それぞれ、IDコードを設定するIDスイッチ101b〜130bと、暖房運転の開始/停止を指示する運転スイッチ101c〜130cとを備えている。また、通信ケーブル100の終端には終端抵抗110が接続されている。
【0029】
次に、図2を参照して、集中管理装置1と空調端末機101aの構成について説明する。なお、他の空調端末機102a〜130aの構成も、空調端末機101aと同様である。
【0030】
集中管理装置1は、集中管理装置1の全体的な作動を制御するマイコン(マイクロコンピュータ)200と、通信回路210とを備えている。マイコン200には、運転スイッチ51〜80、モード切換スイッチ90、及びLED51a〜80aが接続されている。そして、マイコン200は、モード切換スイッチ90により、通常運転モードとされているときに、運転スイッチ51〜80の操作に応じて、空調端末機101a〜130aに空調運転の開始を指示する運転開始信号や空調運転の停止を指示する運転停止信号を送信して、空調端末機101a〜130aを遠隔操作する制御手段203を備えている。
【0031】
また、マイコン200は、図3(a)に示した操作対象マップ202のデータをメモリ(図示しない。本発明のデータ保持手段に相当する)に保持している。操作対象マップ202は、各運転スイッチ51〜80のアドレス(00h〜1Eh)に対して、操作対象とするいずれかの空調端末機101a〜130aのIDコード(00h〜1Eh)を割り当てたものである。
【0032】
操作対象マップ202は、初期状態では、図3(a)に示したように、各運転スイッチ51〜80に対して、操作対象とする空調端末機101a〜130aのIDコード00h〜1Ehが割り当てられている。そして、マイコン200は、操作対象マップ202における運転スイッチのアドレスと空調端末機のIDコードとの対応関係変更する操作対象マップ変更手段201を備えている。また、制御手段203は、運転スイッチ51〜80のうちのいずれかが操作されたときに、操作対象マップ202を参照して、操作対象とする空調端末機を認識する。
【0033】
次に、図4に示したフローチャートに従って、操作対象マップ変更手段201による操作対象マップ202の変更方法について説明する。以下では、(1)1年1組の教室ラベル21が付された運転スイッチ51の操作対象を、教室101の空調端末機101aから教室130の空調端末機130aに変更し、(2)1年2組の教室ラベル22が付された運転スイッチ52の操作対象を、教室102の空調端末機102aから教室101の空調端末機101aに変更し、(3)6年3組の教室ラベル50が付された運転スイッチ80の操作対象を、教室130の空調端末機130aから教室102の空調端末機102aに変更する場合について説明する。
【0034】
この場合、作業者は、(1)モード切換スイッチ90をON状態として、通常運転モードから操作対象変更モードに切換える。(2)運転スイッチ51と、運転スイッチ52と、運転スイッチ80を順番に操作する。(3)教室130に行って、1番目に操作した運転スイッチ51の操作対象とする空調端末機130aの運転スイッチ130cを操作し、次に教室101に行って、2番目に操作した運転スイッチ52の操作対象とする空調端末機101aの操作スイッチ101cを操作し、次に教室102に行って、3番目に操作した運転スイッチ80の操作対象とする空調端末機102aの運転スイッチ102cを操作する。(4)モード切換スイッチ90をOFF状態として、操作対象変更モードから通常運転モードに切換える。という作業を行って、操作対象マップ202の内容を変更する。
【0035】
操作対象マップ変更手段201は、モード切換スイッチ90がOFF状態からON状態に切換えられて、通常運転モードから操作対象モード変更モードに切り換わったときに、図4に示したフローチャートの処理を実行する。
【0036】
操作対象マップ変更手段201は、先ず、STEP1,STEP10,STEP20からなるループを実行して、STEP1で運転スイッチ51〜80のうちのいずれかがONした(操作された)か否かを判断し、STEP10で空調端末機101a〜130aのうちのいずれかから、点火操作がなされたことを示す点火信号(本発明の報知信号に相当する)を受信したか否かを判断し、STEP20でモード切換スイッチ90がOFFしたか否かを判断する。
【0037】
そして、STEP1で運転スイッチ51〜80のうちのいずれかがONしたときはSTEP2に進み、操作対象マップ変更手段201は、ONした運転スイッチののアドレスを順番に仮登録する。ここで、図5(b)の205はこの仮登録のためのマップ(以下、仮登録マップという)を示したデータであり、左側のアドレス保持部205aに、ONした運転スイッチのアドレスがONした順番に保持される。
【0038】
作業者が、運転スイッチを操作する毎に、STEP1からSTEP2に進んで、操作された運転スイッチのアドレスが、仮登録マップ205のアドレス保持部205aに保持される。図5(b)の仮登録マップ205では、上述した最初に1年1組の教室ラベル21が付された運転スイッチ51が操作され、次に1年2組の教室ラベル22が付された運転スイッチ52が操作され、次に6年3組の教室ラベル50が付された運転スイッチ80が操作された場合を示している。この場合は、1番目に運転スイッチ51のアドレス00hが保持され、2番目に運転スイッチ52のアドレス01hが保持され、3番目に運転スイッチ80のアドレス1Ehが保持されている。
【0039】
そして、図3(a)に示した操作対象マップ202で登録されている運転スイッチ51のアドレス00h、運転スイッチ52のアドレス01h、及び運転スイッチ80のアドレス1Ehに対応した、空調端末機00h,01h,1Ehが、変更対象となる。
【0040】
次に、STEP10で、空調端末機101a〜130aのいずれかから、点火処理がなされたことを示す点火信号(本発明の報知信号に相当する)を受信したときはSTEP11に進む。そして、操作対象マップ変更手段201は、STEP11で、点火信号に含まれる空調端末機のIDコードが、変更対象である00h,01h,1Ehであったときは、図5(b)に示したように、該IDコードを仮登録マップ205のIDコード保持部205bに保持する。
【0041】
また、続くSTEP13で、操作対象マップ変更手段201は、点火信号を送信した空調端末機に対して、消火指示信号を送信する。これにより、変更作業者が運転スイッチを操作して点火処理を実行した空調端末機が、該消火指示信号を受信してバーナを消火し、温調運転を停止する。この場合、変更作業者は、運転スイッチを操作して点火処理を行った空調端末機が、運転を停止したことを確認することにより、仮登録が受け付けられたことを認識することができる。
【0042】
一方、STEP11で、受信した点火信号に含まれるIDコードが、変更対象である00h,01h,1Eh以外であったとき、すなわち、操作対象マップ202で既に登録されている他のIDコードと重複しているときは、STEP14に分岐し、仮登録マップ205のIDコード保持部205bへの保持は行わない。
【0043】
次のSTEP14〜STEP17の処理は、上述したSTEP10〜STEP13と同様であり、操作対象マップ変更手段201は、STEP14で受信した点火信号に含まれるIDコードが、登録済みの他のIDコードと重複していなければ、STEP16で仮登録マップ205のIDコード部210bに順番に保持する。
【0044】
図5(b)の仮登録マップ205では、上述した、最初に教室130に行って、1番目に操作した運転スイッチ51の操作対象とする空調端末機130aの運転スイッチ130cを操作し、次に教室101に行って、2番目に操作した運転スイッチ52の操作対象とする空調端末機101aの操作スイッチ101cを操作し、次に教室102に行って、3番目に操作した運転スイッチ80の操作対象とする空調端末機102aの運転スイッチ102cを操作した場合を示している。この場合は、1番目に教室130に設置された空調端末機130aのIDコード1Ehが保持され、2番目に教室101に設置された空調端末機101aのIDコード00hが保持され、3番目に教室102に設置された空調端末機102aのIDコード01hが保持される。
【0045】
そして、STEP30でモード切換スイッチ90がOFFしたときにSTEP31に進み、操作対象マップ変更手段20は、仮登録マップ205のアドレス保持部205aに保持した運転スイッチのアドレスの個数と、仮登録マップ205のIDコード保持部205bに保持したIDコードの個数とが一致しているか否かを判断する。
【0046】
ここで、仮登録マップ205のアドレス保持部205aに保持した運転スイッチのアドレスの個数と、仮登録マップ205のIDコード保持部205bに保持したIDコードの個数とが一致しているときは、仮登録の処理が正しく完了したことを意味する。そのため、STEP32に進み、操作対象マップ変更手段201は、仮登録マップ205の内容に基づいて、操作対象マップ202の内容を変更する。
【0047】
これにより、操作対象マップ202の内容が、図3(a)から図3(b)へと変更される。一方、STEP31で、仮登録マップ205のアドレス保持部205aに保持した運転スイッチのアドレスの個数と、仮登録マップ205のIDコード保持部205bに保持したIDコードの個数とが一致していないときには、仮登録の作業が正しく完了していないことを意味する。そのため、この場合はSTEP33に分岐し、操作対象マップ202の内容は変更されない。
【0048】
なお、STEP20でモード切換スイッチ90が操作されたときは、仮登録マップ205のIDコード保持部205bにIDコードが未だ保持されておらす、仮登録の作業が正しく完了していない。そのため、この場合もSTEP33に分岐して処理を終了し、操作対象マップ変更手段201は、操作対象マップ202の内容を変更しない。
【0049】
図5(a)は、これまで説明した仮登録の処理のタイミングチャートを示したものである。先ず、変更作業者は、操作対象の変更を希望する運転スイッチ51(アドレス00h)をt10で操作し、運転スイッチ52(アドレス01h)をt11で操作し、運転スイッチ80(アドレス1Eh)を操作する。これにより、図5(b)に示した仮登録マップ205のアドレス保持部210aに、00h,01h,1Ehが順番に保持される。
【0050】
次に、変更作業者は、1番目に操作した運転スイッチ51の操作対象としたい教室130の空調端末機130aの運転スイッチ130cを操作する。これにより、空調端末機130aがバーナの点火処理を行って、自身のIDコード1Ehを含む点火信号を集中管理装置1に送信する。そして、t13で該点火信号を受信した集中管理装置1は、該IDコードを図5(b)に示した仮登録マップ205のIDコード保持部205bに保持し、該点火信号を送信した空調端末機130aに消火指示信号を送信する。
【0051】
これにより、空調端末機130aが空調運転を停止し、この停止を確認した変更作業者は、2番目に操作した運転スイッチ52の操作対象としたい教室101の空調端末機101aの運転スイッチ101cを操作する。これにより、空調端末機101aがバーナの点火処理を行って、自身のIDコード00hを含む点火信号を集中管理装置1に送信する。そして、t14で該点火信号を受信した集中管理装置1は、該IDコードを図5(b)に示した仮登録マップ205のIDコード保持部205bに保持し、該点火信号を送信した空調端末機101aに消火指示信号を送信する。
【0052】
これにより、空調端末機101aが空調運転を停止し、この停止を確認した変更作業者は、3番目に操作した運転スイッチ80の操作対象としたい教室102の空調端末機102aの運転スイッチ102cを操作する。これにより、空調端末機102aがバーナの点火処理を行って、自身のIDコード01hを含む点火信号を集中管理装置1に送信する。そして、t15で該点火信号を受信した集中管理装置1は、該IDコード01hを図5(b)に示した仮登録マップ205のIDコード保持部205bに保持し、該点火信号を送信した空調端末機102aに消火指示信号を送信する。
【0053】
以上の処理により、図5(b)に示した仮登録マップ205が生成される。そして、仮登録マップ205に基づいて、図3(a)に示した操作対象マップ202の内容が、図3(b)に示したように変更される。そして、以後の通常運転モードにおいて、制御手段203は、変更された操作対象マップ202を参照して、各運転スイッチ51〜80の操作対象となる空調端末機を認識する。
【0054】
なお、本実施の形態では、本発明の空調端末機としてガス温風暖房機を示したが、電気温風暖房機等、他の種類の温調端末機に対しても本発明の適用が可能である。
【0055】
また、本実施の形態では、図4のSTEP13及びSTEP17で、点火信号を受信したときに、該点火信号を送信した空調端末機に消火指示信号を送信したが、該消火指示信号を送信しない場合であっても、本発明の効果を得ることができる。
【0056】
また、操作対象モードにおいて、操作対象マップにより操作対象となる空調端末機が既に割り当てられた運転スイッチのLEDを点灯状態とし、操作対象マップ変更手段により、操作対象を変更する処理が行われている運転スイッチのLEDを点滅状態としてもよい。
【0057】
また、本実施の形態では、各運転スイッチ51〜80に対して、教室ラベル21〜50により操作対象の空調端末機が設置された部屋の名称を付したが、このような名称を付さない場合であっても、本発明の効果を得ることができる。
【0058】
また、本実施の形態では、集中管理装置1と各空調端末機101a〜130aを通信ケーブル100で接続した空調システムを示したが、集中管理装置と各空調端末機間の通信を無線で行う空調システムに対しても本発明の適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の空調システムの全体構成図。
【図2】集中管理装置及び空調端末機の構成図。
【図3】操作対象マップの説明図。
【図4】操作対象マップの変更処理のフローチャート。
【図5】仮登録マップの作成過程のタイミングチャート及び仮登録マップの説明図。
【図6】従来の空調システムの全体構成図。
【符号の説明】
【0060】
1…集中管理装置、2…前面パネル、21〜50…教室ラベル、51〜80…運転スイッチ、51a〜80a…LED、90…モード切換スイッチ、100…通信ケーブル、101〜130…教室、101a〜130a…空調端末機、101b〜130b…IDコード設定スイッチ、101c〜130c…(空調端末機の)運転スイッチ、201…操作対象マップ変更手段、202…操作対象マップ、203…制御手段、205…仮登録マップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空調端末機と、該複数の空調端末機と相互に通信可能に構成されて該複数の空調端末機を遠隔操作する集中管理装置とを備えた空調システムであって、
前記各空調端末機は、他の空調端末機とは異なるIDコードを有し、
前記集中管理装置は、少なくとも前記空調端末機の台数分の個数の運転スイッチが配置された操作手段と、
前記各運転スイッチに対して、操作対象となる1台の前記空調端末機のIDコードが割り当てられた操作対象マップのデータを保持したデータ保持手段と、
前記運転スイッチのいずれかが操作されたときに、前記操作対象マップを参照して、該操作された運転スイッチの操作対象となる前記空気端末機のIDコードを取得し、該IDコードを有する前記空気端末機に対して所定の制御信号を送信する通常運転モードと、前記運転スイッチの操作に応じて、前記操作対象マップにおける該操作された運転スイッチに対する前記空気端末機の割り当てを変更する操作対象変更モードとを切換えるモード切換手段と、
前記操作対象変更モードにおいて、複数の前記運転スイッチが操作された後に、該操作された各運転スイッチに対して前記操作対象マップで割り当てられたIDコードを有する前記空調端末機で所定操作がなされて、該所定操作がなされた各空調端末機から自身のIDコードを含む所定の報知信号を受信したときに、該複数の運転スイッチが操作された順番と、該報知信号を受信した順番とを一致させて、該操作された各運転スイッチに、該報知信号に含まれるIDコードを割り当てて、前記操作対象マップを変更する操作対象マップ変更手段とを備えたことを特徴とする空調システム。
【請求項2】
請求項1記載の空調システムにおいて、
前記各運転スイッチには、他の運転スイッチと異なるアドレスが設定され、
前記操作対象マップ変更手段は、前記操作対象変更モードにおいて、複数の前記運転スイッチが操作されたときに、該操作された運転スイッチのアドレスを該運転スイッチが操作された順番に保持するアドレス保持部と、前記報知信号を受信したときに、該報知信号に含まれるIDコードを該報知信号を受信した順番に保持するIDコード保持部とを、該アドレス及び該報知信号を保持した順番で対応付けた仮登録マップを生成し、該仮登録マップに基づいて、前記操作対象マップを変更することを特徴とする空調システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の空調システムにおいて、
前記所定操作は前記空調端末機の運転開始操作であって、前記報知信号は空調運転を開始したことを報知する信号であり、前記操作対象マップ変更手段は、前記操作対象変更モードにおいて、前記報知信号を受信したときに、前記報知信号を送信した前記空調端末機に対して、空調運転の停止を指示する運転停止信号を送信することを特徴とする空調システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載の空調システムにおいて、
前記各運転スイッチには異なる部屋の名称が付され、
前記各空調端末機は、前記異なる部屋に1台ずつ設置されていることを特徴とする空調システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちいずれか1項記載の空調システムにおいて、
前記各運転スイッチに対して個別に配置されたランプを備え、
前記操作対象マップ変更手段は、前記操作対象変更モードにおいて、前記操作対象マップにより操作対象となる前記空調端末機が既に割り当てられた前記運転スイッチに対して配置された前記ランプを点灯状態とし、前記操作対象マップの変更により操作対象となる前記空調端末機を変更する処理が実行されている前記運転スイッチに対して配置された前記ランプを点滅状態とすることを特徴とする空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−267614(P2008−267614A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106904(P2007−106904)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】