説明

空調システム

【課題】クリーンルームに加湿のために噴霧した水の蒸発によりクリーンルームの温度が低くなり過ぎないように制御し且つ空調機における空気の加湿に供される蒸気の量を制御することにより、省エネルギを図る。
【解決手段】空気を加湿する蒸気加湿器35を備えた空調機29と、空調機29から給気されて内部で循環する空気を冷却する冷却コイル9a,9b,9c及び冷却コイル9a,9b,9cからの空気を加湿する加湿水噴霧器14a,14b,14cを有するクリーンルーム1a,1b,1aを備え、蒸気加湿器35へ蒸気が供給される温水管路41の噴霧量制御弁42の開度を、空調機29内の加湿された空気の露点温度Hr及び冷却コイル9a,9b,9cの弁開度指令Va,Vb,Vc並びに噴霧量制御弁16a,16b,16cの弁開度指令Wa,Wb,Wcを含めて求めた設定露点温度Hspにより制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
クリーンルームは、半導体のような高集積回路の製造室や、遺伝子工学研究室等として用いられている。このため、クリーンルームには、高い清浄度の空気を供給して内部を所定の温度及び湿度に維持すると共に、この空気を迅速に入れ替えて除塵する必要がある。又、外部からの塵埃などの侵入を防ぐためや、すきま風を排して精密温調を実現するため、クリーンルームを正圧に保つ必要もある。而して、斯かるクリーンルームに空気を供給する空調システムの従来の一例としては、例えば図19に示すシステムがある。
【0003】
図19中、1a,1b,1cは複数のクリーンルームで、クリーンルーム1a,1b内には内室2a,2bが設置されている。内室2a,2bは六面を仕切られていると共に、その床面3a,3bはパンチングメタル等の多孔板により構成されており、内室2a,2bの床面3a,3bと、クリーンルーム1a,1bの底面との間には空気流路4a,4bが形成されている。内室2a,2bの天井部5a,5bには、HEPAフィルタのような高性能フィルタ6a,6bを介して、軸流ファン7a,7bが設置されており、高性能フィルタ6a,6bにより清浄化した冷却空気を内室2a,2bへ供給し得るようになっている。
【0004】
クリーンルーム1a,1bの外壁内面と内室2a,2b外壁面との間の空間である空気流通路8a,8bには、内室2a,2bの床面3a,3b近傍に位置する冷却コイル9a,9bが設置されており、冷却コイル9a,9bでは、中途部に冷水の流量を制御する流量制御弁10a,10bを備えたラインである冷水管路11a,11bから送給された冷水により、空気流通路8a,8bを通過する空気を冷却し得るようになっている。12a,12bは冷却コイル9a,9bから送出された冷水を冷熱源に戻すラインである冷水戻り管路である。
【0005】
又、空気流通路8a,8b内には、冷却コイル9a,9bよりも空気流れ方向下流側において、空気を加湿冷却するための、複数の加湿水噴霧ノズル13a,13bを備えた加湿水噴霧器14a,14bが配置されている。加湿水噴霧器14a,14bには、加湿水管路15a,15bが接続されており、加湿水管路15a,15bの中途部には、加湿水噴霧ノズル13a,13bにおける加湿水の噴霧量を制御する噴霧量制御弁16a,16bが配置されている。
【0006】
クリーンルーム1cの底面よりも所定高さ上部には、パンチングメタル等の多孔板から成る床面3cが敷設されて当該床面3cとクリーンルーム1cの底面との間には、空気流路4cが形成されている。床面3cの一側部上に配置したケーシング17内には、冷却コイル9cが設置されており、冷却コイル9cでは、中途部に冷水の流量を制御する流量制御弁10cを備えたラインである冷水管路11cから送給された冷水により、ケーシング17内を通過する空気を冷却し得るようになっている。12cは冷却コイル9cから送出された冷水を冷熱源に戻す冷水戻り管路である。なお、冷却コイル9a,9b,9cは除湿を行わないドライコイルである。
【0007】
又、ケーシング17内には、冷却コイル9a,9bよりも空気流れ方向下流側において、空気を加湿冷却するための複数の加湿水噴霧ノズル13cを備えた加湿水噴霧器14cが配置されている。加湿水噴霧器14cには、加湿水管路15cが接続されており、加湿水管路15cの中途部には、加湿する水の噴霧量を制御する噴霧量制御弁16cが配置されている。
【0008】
ケーシング17内の空気流れ方向下流側には、ケーシング17上面に近接してファン18が設置されており、冷却コイル9cで冷却されて冷却空気は、加湿水噴霧器14cの加湿水噴霧ノズル13cから噴霧された加湿水により所定の状態に加湿され、ファン18からケーシング17上面に接続したダクト19へ送出され、クリーンルーム1c内の上部に並列に配置された複数のHEPAフィルタのような高性能フィルタ20に送給され、高性能フィルタ20で清浄化されてクリーンルーム1c内に供給されるようになっている。
【0009】
クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b内及びクリーンルーム1c内には所定の生産装置21a,21b,21cが設置されており、生産装置21a,21b,21cには、排気管22a,22b,22cを介してファン23a,23b,23cが接続されている。又、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2bに面した壁面、及びクリーンルーム1cに面した壁面には、内室2a,2b及びクリーンルーム1cの内圧を一定の正圧に保持し得るよう、差圧ダンパ24a,24b,24cが設けられている。
【0010】
25a,25bはクリーンルーム1a,1b内に設置した内室2a,2b内の温度を検出する温度検出器、25cはクリーンルーム1c内に設置した、クリーンルーム1c内の温度を検出する温度検出器であり、温度検出器25a,25b,25cで検出した温度(室温)ta,tb,tcはクリーンルーム1a,1b,1c外部に設けた冷水コントローラ26a,26b,26cへ与え得るようになっている。
【0011】
冷水コントローラ26a,26b,26cでは、温度検出器25a,25b,25cで検出した温度ta,tb,tcから、内室2a,2bの設定温度tao,tbo或はクリーンルーム1cの設定温度tcoを差引いて温度偏差を求め、その温度偏差の大きさに対応した流量制御弁10a,10b,10cの弁開度調整量を求め、その弁開度調整量に対応した弁開度指令Va,Vb,Vcを流量制御弁10a,10b,10cに与えてその開度を制御し得るようになっている。温度偏差の絶対値が大きい場合、流量制御弁10a,10b,10cの開閉量は多くなり、温度偏差の絶対値が小さい場合、流量制御弁10a,10b,10cの開閉量は少なくなる。
【0012】
27a,27bはクリーンルーム1a,1b内に設置した内室2a,2b内の湿度を検出する湿度検出器、27cはクリーンルーム1c内に設置した、クリーンルーム1c内の湿度を検出する湿度検出器であり、湿度検出器27a,27b,27cで検出した湿度はクリーンルーム1a,1b,1c内に設置した加湿水コントローラ28a,28b,28cへ与え得るようになっている。
【0013】
加湿水コントローラ28a,28b,28cでは、湿度検出器27a,27b,27cで検出した湿度ha,hb,hcから、内室2a,2bの設定湿度hao,hbo或はクリーンルーム1cの設定湿度hcoを差引いて湿度偏差を求め、その湿度偏差の大きさに対応した噴霧量制御弁16a,16b,16cの弁開度調整量を求め、その弁開度調整量に対応した弁開度指令Wa,Wb,Wcを噴霧量制御弁16a,16b,16cに与えてその開度を制御し、加湿水噴霧ノズル13a,13b,13cからの加湿水の噴霧量を制御し得るようになっている。湿度偏差の絶対値が大きい場合、噴霧量制御弁16a,16b,16cの開閉量は多くなり、湿度偏差の絶対値が小さい場合、噴霧量制御弁16a,16b,16cの開閉量は少なくなる。
【0014】
29はクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b及びクリーンルーム1cに温調した空気(導入外気)を給気として送給する空調機、いわゆる外気調和機である。空調機29のケーシング30内には、空気流れ方向上流側から下流側に向けて、中性能フィルタ31、冷却除湿コイル32、加熱コイル33、蒸気噴霧ノズル34を備えた蒸気加湿器35、ファン36、HEPAフィルタのような高性能フィルタ37が、順次配置されている。
【0015】
冷却除湿コイル32では、冷水管路39から送給された冷水によって、後述のファン36の吸引力によりケーシング30内に導入された外気OAを露点温度以下に過冷却して除湿し得るようになっている。又、加熱コイル33には、中途部に温水の流量を制御する流量制御弁40を備えた温水管路41が接続されており、加熱コイル33では、温水管路41から送給された温水により、冷却除湿コイル32で過冷却され除湿されてクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b及びクリーンルーム1cの要求する所定の露点温度に調整された空気を、所定温度まで加熱して再熱し得るようになっている。又、蒸気加湿器35には、蒸気噴霧ノズル34からの蒸気の噴霧量を制御する噴霧量制御弁42を中途部に備えた蒸気管路43が接続されており、蒸気加湿器35では、蒸気管路43から送給された蒸気を蒸気噴霧ノズル34から噴霧し、空調機29内の空気を所定の湿度に加湿し得るようになっている。
【0016】
クリーンルーム1a,1b,1cは、それが特に半導体高集積回路の製造室やフラットパネルディスプレイ等の製造室の場合には、室内の機器発熱が非常に大きくて室内で働く人間は少人数であるため、室内の発汗や呼気由来の潜熱負荷は無視できることとなり、外気由来の潜熱変動(露点温度変動と同じ意味)を空調機で調整できれば精密温調の湿度変動を防止できることとなる。上記空調機29はこれを実現できるものである。
【0017】
44はファン36と高性能フィルタ37との間に位置するよう、ケーシング30内に設置されてファン36から吐出された空気の露点温度を検出する露点温度検出器であり、露点温度検出器44で検出した空気の露点温度Hrはケーシング30外部に設けた露点温度コントローラ45へ与え得るようになっている。なお、露点温度検出器44の替りに湿度検出器を用いることもできる。
【0018】
露点温度コントローラ45では、露点温度検出器44で検出した空気の露点温度Hrから、一定値に固定された空気の設定露点温度Hspを差引いて露点温度偏差を検出し、その露点温度偏差の大きさに対応した噴霧量制御弁42の弁開度調整量を求め、その弁開度調整量に対応した弁開度指令Wxを噴霧量制御弁42に与え、噴霧量制御弁42の開度を調整し得るようになっている。湿度偏差の絶対値が大きい場合、噴霧量制御弁42の開閉量は多くなり、湿度偏差の絶対値が小さい場合、噴霧量制御弁42の開閉量は少なくなる。
【0019】
ケーシング30の出側には、高性能フィルタ37で清浄化された空気を給気として送給するための主ダクト46が接続されている。主ダクト46はダクト46a,46b,46cに分岐しており、ダクト46a,46b,46cは、空調機29からの空気をクリーンルーム1a,1b,1cの冷却コイル9a,9b,9c下部(空気流れ方向上流側)に供給し得るようになっている。
【0020】
なお、図示していないが、冷却除湿コイル32へ供給される冷水の流量及び加熱コイル33へ供給される温水の流量は、ケーシング30内の各所定位置の温度を基に流量制御弁38,40の開度が調整されて冷水又は温水の流量制御が行われるようになっている。特に、冷却除湿コイル32へ供給される冷水流量を調整する流量制御弁38へは、露点温度検出器44で検出した空気の露点温度Hrの測定値により、設定値との露点温度偏差を演算して開度制御するのが有利である。これにより、夏期、中間期の過冷却や顕熱冷却による給気露点制御が確実となる。
【0021】
図19に示す従来の空調システムでは、外部からケーシング30内に導入された外気OAは、中性能フィルタ25においてごみを粗取りされ、夏期は、冷却除湿コイル32において冷却除湿コイル32の入口空気の露点以下の温度に過冷却されて除湿され、除湿されて所定の露点温度に調整された空気は加熱コイル33において所定温度まで加熱されて昇温され、冬期は、加熱コイル33により所定温度に加熱された後、蒸気加湿器35の蒸気噴霧ノズル34から噴霧される蒸気により、所定状態に加湿される。而して、蒸気加湿器35下流側の空気は、ファン36で加圧のうえ送出され、高性能フィルタ37により微小なごみを除去され清浄化されて空調された空気としてケーシング30から送出され、主ダクト46からダクト46a,46b,46cを経てクリーンルーム1a,1b,1c内に給気される。なお、夏期においては、蒸気加湿器35により空気を加湿することは行わず、冬期においては、冷却除湿コイル32により空気を過冷却除湿することは行わない。
【0022】
外気OAに含まれる粒子径0.5μm以上のごみは数百万個/cftであるが、中性能フィルタ31及び高性能フィルタ37でごみが除去される結果、空調機29から送出される空気には、ごみは殆んどない状態となる。又、ケーシング30に導入された外気OAを冷却除湿コイル32で過冷却して除湿するのは、精密空調で温湿度の主な外乱となる導入空気の露点温度を所定の値に制御するためであり、例えば、クリーンルーム1a,1b,1c内の露点温度を10.5℃とすることで、23℃乾球温度において相対湿度を約45%に保持するためである。更に、加熱コイル33において空気を所定温度に再熱するのは、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b内やクリーンルーム1c内の温度を所定の状態に保つための制御を行う際に、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b内やクリーンルーム1c内の負荷が変動しても、冷却コイル9a、9b、9cの冷水との熱交換により精密に調整可能とするよう、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b内やクリーンルーム1c内の室側負荷に通常連動しない導入外気(給気)の循環空気還気との温度差による冷却分を少なくして、安定した制御を行うためである。更に又、空調機29の蒸気加湿器35で蒸気により空気の加湿を行うのは、クリーンルーム1a,1b,1cの加湿水噴霧器14a,14b,14cからの水の噴射により、クリーンルーム1a,1b,1cの湿度を所定の状態に保持しようとした場合、クリーンルーム1a,1b,1cの負荷が小さいと、噴射された水の蒸発により当該クリーンルーム1a,1b,1cの温度が低下しすぎ、クリーンルーム1a,1b,1cを所定の温度に維持することができないためである。
【0023】
空調機29のケーシング30から主ダクト46、ダクト46a,46bを通りクリーンルーム1a,1bに送給された空気(給気)は、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2bから内室2a,2bの床面3a,3bに形成された多数の孔を通り空気流路4a,4bに送出された空気(循環空気還気)と合流し、空気流通路8a,8bに配置されている冷却コイル9a,9bにより所定温度に冷却された後、加湿水噴霧器14a,14bの加湿水噴霧ノズル13a,13bから噴霧された水により加湿され且つ噴霧された水の蒸発により冷却されて空気流通路8aを上昇し、軸流ファン7a,7bにより加圧されて高性能フィルタ6a,6bにより更に細かいごみを除去されて内室2a,2b内に吹込まれる。而して、内室2a,2b内に吹込まれた空気は、内室2a,2bに配置された生産装置21a,21bから発生する熱を吸収して熱負荷を処理すると共に、内室2a,2b内をクリーンな状態に保持する。内室2a,2bから床面3a,3bの孔を通り空気流路4a,4bに送出された空気(循環空気還気)は、空調機29からの空気(給気)と合流して、再び上述のように循環する。
【0024】
空調機29のケーシング30から主ダクト46、ダクト46cを通りクリーンルーム1cに送給された空気(給気)は、クリーンルーム1cにおける床面3cの多数の孔を通り空気流路4cに送出された空気(循環空気還気)と合流し、クリーンルーム1c内に設置したケーシング17内に配置されている冷却コイル9cにより所定温度に冷却された後、加湿水噴霧器14cの加湿水噴霧ノズル13cから噴霧された水により加湿され且つ噴霧された水の蒸発により冷却され、ファン17により加圧されてケーシング17からダクト18へ送出され、ダクト18から高性能フィルタ19へ送給されて更に細かいごみを除去され、クリーンルーム1c内へ吹込まれてクリーンルーム1cに配置された生産装置21cから発生する熱を吸収して熱負荷を処理すると共に、クリーンルーム1c内をクリーンな状態に保持する。クリーンルーム1cの上方から床面3cの孔を通って空気流路4cに送出された空気(循環空気還気)は空調機29からの空気と合流して、再び上述のように循環する。
【0025】
クリーンルーム1a,1b内の内室2a,2b内に設置された生産装置21a,21bからは、ファン23a,23bにより排気が行われ、クリーンルーム1c内に設置された生産装置21cからは、ファン23cにより排気が行われ、更には、クリーンルーム1a,1b内の内室2a,2bの室圧は差圧ダンパ24a,24bにより調整され、クリーンルーム1c内の室圧は差圧ダンパ24cにより調整される。このため、クリーンルーム1a,1b内の内室2a,2bの室圧及びクリーンルーム1c内の室圧は所定の圧力に保持される。
【0026】
上記設備において蒸気加湿器35で加湿される空気の露点温度制御、及びクリーンルーム1a,1b,1cで冷却コイル9a,9b,9cにより冷却される空気の温度制御、クリーンルーム1a,1b,1cで加湿水噴霧器14a,14b,14cの加湿水噴霧ノズル13a,13b,13cから噴霧される空気の湿度制御は以下に述べるようにして行われる。
【0027】
すなわち、空調機29のケーシング30内においてファン36から吐出されて露点温度検出器44により検出された空気の露点温度Hrは露点温度コントローラ45へ与えられ、露点温度コントローラ45では、空気の露点温度Hrから空気の設定露点温度Hspを差引かれて露点温度偏差が求められ、この露点温度偏差が比例積分演算されて得られた弁開度指令Wxは噴霧量制御弁42へ与えられて、噴霧量制御弁42は所定の開度に制御される。このため、蒸気管路43から蒸気加湿器35の蒸気噴霧ノズル34へ供給される蒸気が所定の流量に制御され、空気の湿度は所定の湿度になる。その結果、空調機29では、加熱コイル33で所定の温度に制御された空気は、蒸気加湿器35で所定の露点温度(乾球温度が一定なら相対湿度は一定値になる。)に制御される。又、図示しないが、除湿側としても、前記露点温度偏差が別の比例積分演算され得られた弁開度指令により、冷水流量制御弁38が所定の開度に制御され、夏期から中間期において、空調機29から供給される空気を所定の露点温度に制御することにすると更に有利である。具体的には、外気状態により露点温度を中心にした比例勾配を逆に切り換えるようにして別の比例積分演算をすればよい。
【0028】
クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b内の温度ta,tb及びクリーンルーム1c内の温度tcは、温度検出器25a,25b,25cにより検出されて冷水コントローラ26a,26b,26cへ与えられ、冷水コントローラ26a,26b,26cでは、検出された温度ta,tb,tcから予め設定された、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2bやクリーンルーム1cの設定温度tao,tbo,tcoが差引かれて温度偏差が求められ、この温度偏差が比例積分演算されて得られた弁開度指令Va,Vb,Vcが流量制御弁10a,10b,10cへ与えられて、流量制御弁10a,10b,10cは所定の開度に制御される。このため、冷水管路11a,11b,11cから冷却コイル9a,9b,9cへ供給される冷水の流量は所定の流量に制御され、その結果、クリーンルーム1a,1b,1c内の空気は冷却されて所定の温度に制御される。
【0029】
又、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b内の湿度ha,hb及びクリーンルーム1c内の湿度hcは、湿度検出器27a,27b,27cにより検出されて加湿水コントローラ28a,28b,28cに与えられ、加湿水コントローラ28a,28b,28cでは、検出された湿度ha,hb,hcから予め設定されたクリーンルーム1a,1bの内室2a,2bやクリーンルーム1cの設定湿度hao,hbo,hcoが差引かれて湿度偏差が求められ、この湿度偏差が比例積分演算されて得られた弁開度指令Wa,Wb,Wcが噴霧量制御弁16a,16b,16cへ与えられて、噴霧量制御弁16a,16b,16cは所定の開度に制御される。このため、加湿水管路15a,15b,15cを経て加湿水噴霧器14a,14b,14cの加湿水噴霧ノズル13a,13b,13cから噴霧される水は所定の流量に制御され、その結果、クリーンルーム1a,1b,1c内の所定の温度に冷却された空気は加湿されて所定の湿度に制御されると共に、噴霧された水の蒸発により所定の温度に冷却される。
【0030】
従って、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b内の生産装置21a,21b及びクリーンルーム1c内の生産装置21cの熱負荷が処理されて、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b及びクリーンルーム1c内の温度は所定の温度に精密に制御される。又、空気は、夏期は空調機29において冷却除湿コイル32で過冷却により除湿されて所定の露点温度に調整され、又、冬期は、空調機29において蒸気加湿器35により加湿されて所定の露点温度に調整されて、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b及びクリーンルーム1cに導入されているため、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b及びクリーンルーム1cは所定の湿度及び温度に精密に制御される。
【0031】
なお、図19の空調システムには示してないが、空調機29のケーシング30内の複数箇所には温度検出器が設置されており、温度検出器により検出した温度を基に、冷却除湿コイル32へ冷水を供給する冷水管路39の流量制御弁38、加熱コイル33に温水を供給する温水管路41の流量制御弁40も適宜、開度制御が行われる。
【0032】
空調システムの従来の他の例としては、例えば図20に示すシステムがある。図20中、図19のシステムと異なるところは、ダクト46a,46b,46cに図示してない駆動装置により開閉可能なダンパ47a,47b,47cを設けて、空調機29からクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b及びクリーンルーム1cへ供給される空気の流量をも調整し得るようにした点である。図20中、48はクリーンルーム1aにおける内室2aの圧力(室圧:大気基準の差圧)Paを検出するための圧力検出器、49はPID演算器である。図20の実施例では、特に半導体や液晶基板等を製造する室の場合、大空間としてクリーンルームの内室2a、2bは連続している場合があり、工程の生産装置内での製品製造状況により、排気系のファン23a、23b等の風量が変化し、排気分の外気導入給気を受け持つ空調機29のファン36から送られてくる給気を、代表する内室2aの室圧の計測値と設定値との偏差により、ダクト46a,46b、又内室間の空気流れにより間接的に影響を受けるダクト46cの給気量をダンパ47a,47b、47cを同開度で制御するのである。
【0033】
なお、図20に記載してある具体的数値は、内室2a(代表室)Paの計測信号が入力されたPID演算器49により演算され、各生産装置からの排気量が減じて、例えばダンパ開度が50%でのダクト46a,46b,46cの合計風量で導入外気が給気されれば、圧力Paが設定値と測定値との偏差がゼロになると、PID演算器49からダンパ開度Dpidが出力される場合、空調機29からクリーンルーム1a,1b,1cに空気を供給するダクト46a,46b,46cに設けてある全てのダンパ47a,47b,47cのダンパPID開度Dpidを50%とする場合の流量制御弁10a,10b,10c及び噴霧量制御弁16a,16b,16c並びにダンパ47a,47b,47C等の開度情報、露点温度或はその機器により検出された指示値等である。
【0034】
図20の空調システムの場合、その作動は、基本的には図19の空調システムと略同様である。すなわち、空調機29では、噴霧量制御弁42の開度を制御して蒸気加湿器35の蒸気噴霧ノズル34から噴霧される蒸気量を制御し、ケーシング30へ導入されて図19の場合におけると同様処理された空気を所定の露点温度に制御し、クリーンルーム1a,1b,1cでは、流量制御弁10a,10b,10cの開度を制御して冷却コイル9a,9b,9cに供給される冷水の流量を制御し、クリーンルーム1a,1b,1cに導入された空気と内室2a,2b或はクリーンルーム1c内部からの循環空気還気とを合流させた空気を所定の温度に冷却し、この冷却された空気に、噴霧量制御弁16a,16b,16cの開度を制御して加湿水噴霧器14a,14b,14cの加湿水噴霧ノズル13a,13b,13cで流量制御された水を噴霧して、冷却コイル9a,9b,9cで冷却された後の水を所定の湿度に制御すると共に、水の蒸発により空気を所定の温度に冷却し、この空気を内室2a,2bに導入して、或は、クリーンルーム1cの上部に供給して、生産装置21a,21b,21cから発生する熱を吸収し、その熱負荷を処理する。
【0035】
斯かる運転の際には、ダンパ47a,47b,47cの開度は、クリーンルームとして適正な対外気正圧値としての内室2aの圧力が、予め設定圧力PoとしてPID演算器49に設定されている。而して、PID演算器49では、内室2aの圧力Paと設定圧力Poの差を採って圧力偏差が求められ、求められた圧力偏差は比例積分調整されて各ダンパ47a,47b,47cの開度を決めるが、例えば前述のように各ダンパ47a,47b,47cの開度が排気量の減少により50%となる場合は、そのようにダンパ開度調整値が求められ、この調整量により、ダンパ47a,47b,47cの開度が、所定のダンパ開度Dpid=50%となるように制御される。ここで、ダンパ開度Dpid=50%は、例えば開度と流量の割合が同じであるリニア特性のダンパの場合、ダンパ47a,47b,47cが全開の場合の流量を100%とした場合、その半分の開度であり、且つ半分の流量でもある。
【0036】
クリーンルームの温度や湿度を制御するシステムとしては特許文献1〜3がある。特許文献1の空調システムにおいては、熱処理した空気を対応する被空調空間に供給する室内機と、対応する室内機の運転を制御する室内機制御装置と、外気を熱処理して室内機又は被空調空間に供給する外調機と、外調機の運転を制御する制御装置とを有しており、外調機制御装置は、外調機、室内給気センサ、内部センサ、排気センサ、外調機給気センサ及び設定器から受信する室内給気温度、内部温度、排気温度、外調機給気温度、設定温度等のデータに基づいて、外調機の運転を制御するようにしている。
【0037】
特許文献2の外気冷房システムにおいては、還流する室内空気の温度とその室内空気の絶対湿度から外気冷房で吹き出される給気の温度と絶対湿度を設定し、他方導入する外気の温度と絶対湿度の状態から室内の還流空気の加湿量を決定すると共に還流空気と外気OAの混合量を制御するようにしている。
【0038】
特許文献3の空調制御システムにおいては、クリーンルーム等、恒温恒湿の室に対して加湿する場合、安定した制御の下で省エネ効果の高い精密な湿度コントロールを実現するために、外気を処理する空調機の出口付近に露点温度センサと風量計を設置し、空調機を経た導入外気の絶対湿度と導入外気量を検出し、湿度コントローラの演算によって、クリーンルームの設定湿度(絶対湿度)と導入外気との絶対湿度の差に、導入外気量を乗じた量を所要加湿量とし、加湿手段によって当該所要加湿量を循環空気系の循環空気に付加するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】特開2005−156148号公報
【特許文献2】特開2003−148782号公報
【特許文献3】特開平8−82432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
図19の従来の空調システムでは、空調機29からクリーンルーム1a,1b,1cに至るダクト46a,46b,46cには、空気流量を調整するためのダンパは設けられておらず、図20の従来の空調システムでは、空調機29からクリーンルーム1a,1b,1cに至るダクト46a,46b,46cにダンパ47a,47b,47cは設けられてはいるが、何れのダンパ47a,47b,47cとも同一の開度となるよう制御されていた。従って、図19、図20の何れの空調システムにおいても、空調機29から各クリーンルーム1a,1b,1cへ供給される空気の分配量は均等であり、クリーンルーム1a,1b,1cの熱負荷の分布状況によらず一定であった。
【0041】
又、空調機29に設けた蒸気加湿器35へ蒸気を供給する蒸気管路43に設けた噴霧量制御弁42を制御するための空気の設定露点温度Hspは、クリーンルーム1a,1b,1cの熱負荷の分布状況に関係なく固定された一定値(例えば、9℃)であった。
【0042】
更に、各クリーンルーム1a,1b,1cの各室の熱負荷Qは、冷却コイル9a,9b,9cでの空気の冷却量Aと、空調機29からダクト47a,47b,47cを経てクリーンルーム1a,1b,1c内に導入された空気(給気)の冷却量Bと、加湿水噴霧器14a,14b,14cからクリーンルーム1a,1b,1c内に噴霧された水が蒸発することにより冷却される冷却量Cの和になる(Q=A+B+C)。然るに、上述のように、空調機29からクリーンルーム1a,1b,1cに給気される空気の単位時間当りの量は同じで一定であるため、熱負荷の小さい室では、冷却コイル9a,9b,9cによる空気の冷却量及び加湿水噴霧器14a,14b,14cから噴霧された水の蒸発による空気の冷却量も少なくする必要がある。
【0043】
因みに、クリーンルーム1aの内室2aの負荷が大きい場合、流量制御弁10aの開度は大きくしてクリーンルーム1aを循環する空気の冷却コイル9aでの冷却は大きくし、
クリーンルーム1bの内室2bの負荷が内室2aの負荷よりも低い中の場合、流量制御弁10bの開度は流量制御弁10aよりも絞ってクリーンルーム1bを循環する空気の冷却コイル9bでの冷却は冷却コイル9aの場合よりも若干下げる必要がある。又、クリーンルーム1cの負荷が内室2bの負荷よりも更に低い、3室のうち最小の場合、流量制御弁10cの開度は流量制御弁10bよりも更に絞ってクリーンルーム1cを循環する空気の冷却コイル9cでの冷却は空気の冷却コイル9bの場合よりも更に下げて略零の最小としなければならず、加湿水噴霧器14cから噴霧される水の量も噴霧量制御弁16cを絞って少なくしなければならない。なぜなら、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b、クリーンルーム1c内の室温ta,tb,tcは23℃に保持することを要求されているが、クリーンルーム1cの熱負荷が3室のうち、最も少ない場合、湿度を確保するために、加湿水噴霧器14cから噴霧される水の量を増やすと、水の蒸発によりクリーンルーム1cが冷えすぎ、室温tcを23℃に確保できなくなるからである。
【0044】
このように、熱負荷の小さいクリーンルーム1cでは、室の相対湿度を所定の値(湿度hc=45%)にするために、加湿水噴霧器14cによる加湿を行うと水の蒸発により室温tcが下がり過ぎるため、加湿水噴霧器14cでの加湿を行うことができず、従って、熱負荷の小さいクリーンルーム1cの湿度hcを確保するには、空調機29における蒸気加湿器35での加湿を多くする必要があり、その結果、蒸気加湿器35での蒸気の消費量が増加する。
【0045】
又、空調機29の蒸気加湿器35での加湿量Xは、ファン23a,23b,23cによるクリーンルーム1a,1b,1cからの排気に伴う蒸気の損失量α×Bからクリーンルーム1a,1b,1cでの加湿量β×Cを引いたものである(X=α×B−β×C)。ここで、B,Cは上述のQの式中にあるものと同じものであり、α,βは係数である。この式のうち先ずBについて説明すると、室内温湿度が一定で導入外気の温湿度も一定なので、導入外気による冷却量は、導入外気量と比例しており、室を正圧に保つ漏れ空気も排気と考えると導入外気量と等しくなり、排気も室内温湿度一定であれば、室内潜熱が無ければ一定露点となる。上記α×Bで、αの係数を乗じれば、排気に同伴された空気が含む水蒸気量と比例することは明らかである。次にCについて説明すると、導入外気が露点一定であり、循環空気の露点も室内潜熱がないことから一定なので、クリーンルーム内で噴霧され断熱変化する噴霧水による冷却量Cは、噴霧量に比例していることは明らかである。よって、クリーンルームでの加湿量は、Cに比例する。而して、空調機29からダクト47a,47b,47cを経てクリーンルーム1a,1b,1c内に導入された空気(給気)の量はBに比例して一定であるが、加湿水噴霧器14a,14b,14cからクリーンルーム1a,1b,1c内に噴霧された水が蒸発することにより冷却される冷却量Cが少なくなる場合を想定して、蒸気加湿器35での加湿量Xは上述したように大きめな設定露点温度Hsp=9℃として設定しておく必要がある。
【0046】
又、クリーンルーム1a,1b,1cの熱負荷が大きい場合は、加湿水噴霧器14a,14b,14cからの水の噴霧量を多くできるため、室の湿度を所定の値に保持することができるが、クリーンルーム1a,1b,1cの熱負荷が小さくなると、該当する室では、加湿水噴霧器14a,14b,14cから噴霧される水の量を低くしなければならず、所定の室度を保持することができないため、熱負荷の低いクリーンルーム1a,1b,1cの湿度を確保するため、空調機29の設定露点温度Hsを高めの固定値に設定して、蒸気加湿器35で噴霧される蒸気の量を増加する必要があり、従って、十分な省エネルギを達成することが困難である。
【0047】
特許文献1では、室内機及び外調機と、室内機及び外調機を夫々制御するための制御装置を備えて夫々独立して制御を行うことで、例えば、過冷却再熱等のエネルギ消費量が多くなる弊害を抑えるために、室内機の動作状況に応じて外調機の制御パラメータを変更できるよう、外調機の制御装置には、パラメータ変更部を備えている。このパラメータ変更部では、外調機の設定給気温度をパラメータの一つとして設定変更するようにしている。しかし、工場のクリーンルームのように、大風量を循環させることにより、排気や給気が生産装置の可動状態で大きく変動する多数のエリアや室が存在する建物において精密温調を行う場合、大風量を循環する側に水による加湿を行う際には、中間期や冬期は加湿を行うことで断熱加湿しながら空気の温度が低下するので、エリアや室の冷却が可能となる。
【0048】
しかし、各エリアや室に設置された生産装置の種類は一般的には、異なるため、その排気や発熱による熱負荷の程度もエリアや室毎に異なっていることが多く、大多数のエリアや室の熱負荷が大きいのに、あるエリアや室の熱負荷が少ないか或は殆んどないような場合には、精密な調温をするためには、当該エリアや室では冷却し過ぎないよう、外調機の設定給気温度を上げる必要がある。そうすると、外調機の設定給気温度を下げられず、最小のエネルギ消費を図ることはできない。
【0049】
又、引用文献1では、多数のエリアや室に対応して給気の分配の設定を変更するようにはしておらず、外気を各エリアや室に対して均一に分配するようにしているため、前記したように、熱負荷の小さいエリアや室が存在すると、当該エリアや室を加湿したくても噴霧された水の蒸発による冷却により温度が低下しすぎるという問題が生じ、従って、外調機での加湿を行う必要があり、その結果、外調機での消費エネルギの削減に限界がある。更に、特許文献2、3は空調機からの給気を行う室は1室であり、給気の分配については特に考慮を払う必要がないため、本発明とは直接的な関連はない。
【0050】
本発明は、上述の実情に鑑み、複数のクリーンルームのうち熱負荷が他のクリーンルームよりも小さいクリーンルームにおいても、湿度を所定の値に保持するために、当該クリーンルームに水を噴霧した場合に、水の蒸発によりクリーンルームの温度が低くなり過ぎないようにして省エネルギを図ると共に、クリーンルームの温度制御の精度を良好にすることを目的としてなしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0051】
請求項1の空調システムは、
導入された空気を過冷却して除湿する第一の冷却手段と、該第一の冷却手段で冷却された空気を加熱する加熱手段と、該加熱手段で加熱された空気を蒸気により加湿する蒸気加湿手段とを備えた空調機と、
該空調機から給気されて内部で循環する空気を冷却し得るようにした第二の冷却手段と、該第二の冷却手段で冷却された空気を加湿する水加湿手段を備えた少なくとも一つの被空調空間を備え、
前記空調機内の蒸気加湿手段へ蒸気が供給される蒸気管路の噴霧量制御弁の開度を、前記空調機内の蒸気加湿手段で加湿されるか、若しくは前記第一の冷却手段で除湿された空気の露点温度と、前記第二の冷却手段へ冷水を供給するか、若しくは冷水を排出する冷水管路に設けた流量制御弁への弁開度指令、並びに前記水加湿手段へ加湿水を供給する加湿水管路に設けた加湿水噴霧量制御弁の弁開度指令に基いて求めた設定露点温度との差を基に制御するよう構成したものである。
【0052】
請求項2の空調システムは、
導入された空気を過冷却して除湿する第一の冷却手段と、該第一の冷却手段で冷却された空気を加熱する加熱手段と、該加熱手段で加熱された空気を蒸気により加湿する蒸気加湿手段とを備えた空調機と、
該空調機から給気されて内部で循環する空気を冷却し得るようにした第二の冷却手段と、該第二の冷却手段で冷却された空気を加湿する水加湿手段を備えた少なくとも一つの被空調空間を備え、
前記空調機内の蒸気加湿手段へ蒸気が供給される蒸気管路の噴霧量制御弁の開度を、前記空調機内の蒸気加湿手段で加湿されるか、若しくは前記第一の冷却手段で除湿された空気の露点温度と、前記第二の冷却手段へ冷水を供給するか、若しくは冷水を排出する冷水管路に設けた流量制御弁への弁開度指令、並びに前記水加湿手段へ加湿水を供給する加湿水管路に設けた加湿水噴霧量制御弁の弁開度指令に基いて求めた設定露点温度との差を基に制御するよう構成し、
前記空調機から被空調空間へ空気を送るラインに設けたダンパの開度を、前記第二の冷却手段の流量制御弁への弁開度指令に対応して制御し得るよう構成したものである。
【0053】
請求項3の空調システムは、
導入された空気を加熱する第一の加熱手段と、該第一の加熱手段で加熱された空気を水加湿する第一の水加湿手段と、該第一の水加湿手段で加湿しない場合に空気を過冷却して除湿する第一の冷却手段と、該第一の冷却手段からの空気を加熱する第二の加熱手段とを備えた空調機と、
該空調機から給気されて内部で循環する空気を冷却し得るようにした第二の冷却手段と、該第二の冷却手段で冷却された空気を加湿する第二の水加湿手段を備えた少なくとも一つの被空調空間を備え、
前記第一の加熱手段に熱媒が供給される熱媒管路の流量制御弁の開度を、前記空調機内の第二の加熱手段の空気流れ方向下流側第一の水加湿手段で加湿されるか、若しくは前記第一の冷却手段で除湿された空気の露点温度と、前記第二の冷却手段へ冷水を供給するか、若しくは冷水を排出する冷水管路に設けた流量制御弁への弁開度指令、並びに前記第二の水加湿手段へ加湿水を供給する加湿水管路に設けた加湿水噴霧量制御弁の弁開度指令に基づいて求めた設定露点温度との差を基に制御するよう構成したものである。
【0054】
請求項4の空調システムは、
導入された空気を加熱する第一の加熱手段と、該第一の加熱手段で加熱された空気を水加湿する第一の水加湿手段と、該第一の水加湿手段で加湿しない場合に空気を過冷却して除湿する第一の冷却手段と、該第一の冷却手段からの空気を加熱する第二の加熱手段とを備えた空調機と、
該空調機から給気されて内部で循環する空気を冷却し得るようにした第二の冷却手段と、該第二の冷却手段で冷却された空気を加湿する第二の水加湿手段を備えた少なくとも一つの被空調空間を備え、
前記第一の加熱手段に熱媒が供給される熱媒管路の流量制御弁の開度を、前記空調機内の第二の加熱手段の空気流れ方向下流側の第一の水加湿手段で加湿されるか、若しくは前記第一の冷却手段で除湿された空気の露点温度と、前記第二の冷却手段へ冷水を供給するか、若しくは冷水を排出する冷水管路に設けた流量制御弁への弁開度指令、並びに前記第二の水加湿手段へ加湿水を供給する加湿水管路に設けた加湿水噴霧量制御弁の弁開度指令に基いて求めた設定露点温度との差により制御するよう構成し、
前記空調機から被空調空間へ空気を送るラインに設けたダンパの開度を、前記第二の冷却手段の流量制御弁への弁開度指令に対応して制御し得るよう構成したものである。
【0055】
請求項5の空調システムは、
複数の空調空間を対象とし、検出した被空調空間の温度と被空調空間の設定温度の偏差から、該偏差に対応した第二の冷却手段の流量制御弁の弁開度指令を算出する第一の手段と、
検出した被空調空間の湿度と被空調空間の設定湿度の偏差から、該偏差に対応した水加湿手段の加湿水噴霧量制御弁の弁開度指令を算出する第二の手段と、
前記第一の手段からの第二の冷却手段の流量制御弁に対する弁開度指令、前記第二の手段からの前記水加湿手段の加湿水噴霧量制御弁に対する弁開度指令、検出した被空調空間の温度、被空調空間の設定温度、設定された被空調空間の温湿度制御レベル、第二の冷却手段の流量制御弁の流量制御弁開度設定下限値、前記空調機内の蒸気加湿手段で加湿される空気の設定露点温度下限値、前記空調機内の蒸気加湿手段で加湿される空気の設定露点温度上限値、設定露点温度変更量、第二の冷却手段の流量制御弁の流量制御弁開度設定値の不感帯、温湿度制御レベルが二番目の被空調空間の不感帯温度差、温湿度制御レベルが一番下の被空調空間の不感帯温度差、前記水加湿手段における噴霧量制御弁の噴霧量制御弁開度設定下限値及び噴霧量制御弁開度設定上限値から空調機の設定露点温度を算出する第三の手段と、
該第三の手段からの設定露点温度及び前記蒸気加湿手段により加湿された空気の露点温度の偏差から前記蒸気加湿手段の噴霧量制御弁の弁開度指令を算出して前記蒸気加湿手段の噴霧量制御弁に与える第四の手段を設けたものである。
【0056】
請求項6の空調システムは、
複数の被空調空間を対象とし、検出した被空調空間の温度と被空調空間の設定温度の偏差から、該偏差に対応した第二の冷却手段の流量制御弁の弁開度指令を算出する第一の手段と、
検出した被空調空間の湿度と被空調空間の設定湿度の偏差から、該偏差に対応した第二の水加湿手段の噴霧量制御弁の弁開度指令を算出する第二の手段と、
前記第一の手段からの第二の冷却手段の流量制御弁に対する弁開度指令、前記第二の手段からの前記第二の水加湿手段の噴霧量制御弁に対する弁開度指令、検出した被空調空間の温度、被空調空間の設定温度、設定された被空調空間の温湿度制御レベル、第二の流量制御弁の流量制御弁開度設定下限値、前記第一の水加湿手段で加湿される空気の設定露点温度下限値、前記第一の水加湿手段で加湿される空気の設定露点温度上限値、前記第一の水加湿手段で加湿される空気の設定露点温度変更量、第二の冷却手段の流量制御弁の流量制御弁開度設定値の不感帯、温湿度制御レベルが二番目の被空調空間の不感帯温度差、温湿度制御レベルが一番下の被空調空間の不感帯温差度、前記第二の水加湿手段における噴霧量制御弁の噴霧量制御弁開度設定下限値及び噴霧量制御弁開度設定上限値から空調機の設定露点温度を算出する第三の手段と、
該第三の手段からの設定露点温度及び前記空調機内の第一の水加湿手段により加湿された、若しくは第一の冷却手段で除湿された後、第二の加熱手段を通過した空気の露点温度の偏差から前記第一の加熱手段の流量制御弁の弁開度指令を算出して前記第一の加熱手段の流量制御弁に与える第四の演算制御手段を設けたものである。
【0057】
請求項7の空調システムは、
検出した被空調空間の圧力と該被空調空間の設定圧力との偏差から、該偏差に対応したダンパPID開度を算出する第五の手段と、
該第五の手段からのダンパPID開度、前記第二の冷却手段の流量制御弁の弁開度指令、該第二の冷却手段の流量制御弁における流量制御弁開度設定下限値、第二の冷却手段の流量制御弁における流量制御弁開度設定値の不感帯、ダンパのダンパ開度上限値、ダンパのダンパ開度バイアス量上限値、ダンパ開度バイアス量下限値、ダンパ開度バイアス量変更量からダンパ開度バイアス量を算出する第六の手段と、
該第六の手段からのダンパ開度バイアス量と前記第五の手段からのダンパPID開度からダンパ開度を求め、空調機から被空調空間へのライン中に設けられたダンパの開度を制御する第七の手段を設けたものである。
【0058】
請求項8の空調システムは、前記空調機から被空調空間へ供給される給気の温度を、被空調空間で循環する空気の温度よりも低くなるよう構成したものである。
【発明の効果】
【0059】
本発明の請求項1〜請求項8の空調システムによれば、被空調空間に対応した第二の冷却手段の流量制御弁の開度の情報より、熱負荷を知ることができ、且つ、被空調空間の熱負荷を総合的に判断して、最も負荷が小さい室においても熱負荷が所定の値以上ある場合は、設定露点温度を下げるようにしているため、空調機の加熱、加湿エネルギについて省エネルギを図ることができる。又、これにより空調機から被空調空間へ供給される空気中の水蒸気分圧が減少して供給風量中の水分が減少するため、被空調空間の湿度を所定の値に保持する場合には、被空調空間で水加湿手段から噴霧される水の量が増加し、この噴霧された水の蒸発により被空調空間の冷却量が増加するため、被空調空間側の冷水による冷却が減少して冷水による冷却の省エネルギを図ることができ、しかも、被空調空間の温度制御の精度も向上する。
【0060】
又、請求項2、4、7では、熱負荷の大きさにより空調機からの空気の量を調整することができるため、熱負荷が大きくて空調機からの空気が多量となる系統では、第二の冷却手段の流量制御弁の弁開度は絞られ、熱負荷が小さくて空調機からの空気が少量となる系統では、第二の冷却手段の流量制御弁の弁開度は開くよう制御が行われる。このため、熱負荷が相違していても、各系統の第二の冷却手段の流量制御弁の弁開度差は少なくなって均一化し、冷水による冷却量の偏在を平滑化して緩和することができる。
【0061】
従って、空調機における蒸気加湿手段での加熱、加湿エネルギの節減を図ることがで
きると共に、被空調空間における水加湿手段での水の噴霧量を適切に増加させることにより、噴霧された水の蒸発による冷却量が増加するため、第二の冷却手段の冷水流量を減少させて冷却エネルギを節減でき、しかも、空調機から給気される空気の量を被空調空間の熱負荷により調整するようにしているため、より一層効率的に省エネルギを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の空調システムの実施例1であり、システム全体を示す構成図である。
【図2】図1の空調システムにおける制御系統のブロック図である。
【図3】図1の空調システムにおける制御時のフローチャートである。
【図4】(a)は図3のフローチャートに続くフローチャートで、最も厳しい温湿度制御の場合のフローチャートであり、(b)は(a)のフローチャートの演算結果をまとめた表である。
【図5】(a)は図3のフローチャートに続くフローチャートで、二番目に厳しい温湿度制御の場合のフローチャートであり、(b)は(a)のフローチャートの演算結果をまとめた表である。
【図6】図3のフローチャートに続くフローチャートで、最も緩い温湿度制御の場合のフローチャートである。
【図7a】図4a、図5a、図6に示すフローチャートに続くフローチャートである。
【図7b】図7aのフローチャートに続くフローチャートである。
【図8】流量制御弁の実際の開度Apviと個別判断指令yiの関係を示すグラフで、流量制御弁が開閉しない不感帯を説明するためのグラフである。
【図9】クリーンルームの内室若しくはクリーンルームの検出した温度Tpviと個別判断指令yiの関係を示すグラフで、クリーンルームの内室若しくはクリーンルームの温度において流量制御弁が開閉しない不感帯温度を説明するためのグラフである。
【図10】本発明の空調システムの実施例2であり、システム全体を示す構成図である。
【図11】図10の空調システムにおける全運転状態の制御時のフローチャートである。
【図12】図10の空調システムにおける制御系統のブロック図である。
【図13】図12のブロック図により制御を行う際のフローチャートである。
【図14】図10に示す本発明の空調システムの実施例2のサブルーチンIIにおいて、空調機から供給される空気の流量の分配をクリーンルームの熱負荷により変更すると共に、流量制御弁及び噴霧量制御弁の開度情報の読み取りに関する、数値を入れた具体例であり、必要箇所にはその位置の露点温度或は機器により検出された露点温度や指示値を具体的に記載した例である。
【図15】図10に示す本発明の空調システムの実施例2のサブルーチンIIにおいて、図14に示す状態から、空調機より給気される空気の設定露点温度を変更する場合における数値を入れた具体例であり、必要箇所にはその位置の露点温度或は機器により検出された露点温度や指示値を具体的に記載した例である。
【図16a】図10に示す本発明の空調システムの実施例2において、空気線図を作成する際の状態点の乾球温度及び絶対湿度を測定する位置を説明するための図である。
【図16b】図10に示す空調システムにおいて、図16aに示す測定点、及び同様な位置で図20に示す従来の空調システムにおいて測定を行った際に得られる空気線図である。
【図17】本発明の空調システムの実施例3であり、システム全体を示す構成図である。
【図18a】図17に示す本発明の空調システムの実施例3において、空気線図を作成する際の状態点の乾球温度及び絶対湿度を測定する位置を説明するための図である。
【図18b】図17に示す空調システムにおいて、図18aに示す測定点、及び同様な位置で従来の空調システムにおいて測定を行った際に得られる空気線図である。
【図19】従来の空調システムの一例であり、外調機からクリーンルームに至るダクトにダンパが設けられていない空調システム全体を示す構成図である。
【図20】外調機からクリーンルームに至るダクトにダンパが設けられている従来の空調システムの他の例であり、外調機からクリーンルームに至るダクトにダンパが設けられているシステム全体を示す構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照しつつ説明する。以下の説明で「熱負荷が大きい」とは、クリーンルーム1a,1b内の内室2a,2bに設置した生産装置21a,21b若しくはクリーンルーム1cに設置した生産装置21cでの発熱量が所定の一の値よりも多いことをいい、「熱負荷が小さい」とは、クリーンルーム1a,1b内の内室2a,2bに設置した生産装置21a,21b若しくはクリーンルーム1cに設置した生産装置21cでの発熱量が前記一の値よりも小さい他の値よりも少ないことをいい、前記一の値と他の値との中間の値の場合は、熱負荷が「大きい」と「小さい」の中間の場合である。又、生産装置21a,21b,21cの熱負荷が大きい場合としては、冷却コイル9a,9b,9cへ供給される冷水の流量を制御する流量制御弁10a,10b,10cの開度が大きい場合、或は、加湿水噴霧器14a,14b,14cからクリーンルーム1a,1b,1cに噴霧される水の量を制御する噴霧量制御弁16a,16b,16cの開度が大きい場合、若しくは、温度検出器25a,25bで検出したクリーンルーム1a,1bの内室2a,2bの室温ta,tb、温度検出器25cで検出したクリーンルーム1cの室温tcが高いことである。
【0064】
図1〜図9は請求項1、5、8に対応する本発明の実施例1である。図中、図19に示すものと同一のものには同一の符号が付してある。又、実施例1の説明で、クリーンルーム1a,1b,1cは請求項1、4、7の「被空調空間」、冷却除湿コイル32は請求項1の「第一の冷却手段」、加熱コイル33は請求項1の「加熱手段」、蒸気加湿器35は請求項1、4の「蒸気加湿手段」、加湿水噴霧器14a,14b,14cは請求項1、4の「水加湿手段」、冷却コイル9a,9b,9cは請求項1、4の「第二の冷却手段」、噴霧量制御弁16a,16b,16cは請求項1の「加湿水噴霧量制御弁」である。更に、冷水コントローラ26a,26b,26cは請求項4の「第一の手段」、加湿水コントローラ28a,28b,28cは請求項4の「第二の手段」、設定露点温度コントローラ51は請求項4の「第三の手段」、露点温度コントローラ45は請求項4の「第四の手段」である。
【0065】
而して、実施例1では、ダクト46a,46b,46cにはダンパが設けられておらず、クリーンルーム1a,1b,1cには、空調機29から単位時間当たり等量の空気が供給される例である。而して、本図示例において特徴とするところは、以下の点である。
【0066】
すなわち、実施例1の空調システムでは、図1に示すように、設定露点温度コントローラ51が設けられ、温度検出器25a,25b,25cで検出したクリーンルーム1a,1bにおける内室2a,2bの温度ta,tb,tcは冷水コントローラ26a,26b,26c以外に、設定露点温度コントローラ51へ与え得るようになっている。又、温度ta,tb,tcと設定温度tao,tbo,tcoとから、冷水コントローラ26a,26b,26cで求められて冷水管路11a,11b,11cの流量制御弁10a,10b,10cへ与えられる弁開度指令Va,Vb,Vcも設定露点温度コントローラ51へ与え得るようになっている。更に、加湿水コントローラ28a,28b,28cにおいて、湿度検出器27a,27b,27cで検出したクリーンルーム1a,1bにおける内室2a,2b及びクリーンルーム1cの湿度ha,hb,hcと設定湿度hao,hbo,hcoから求められ、加湿水噴霧器14a,14b,14cの加湿水噴霧ノズル13a,13b,13cに与えられる弁開度指令Wa,Wb,Wcも設定露点温度コントローラ51に与え得るようになっている。
【0067】
而して、設定露点温度コントローラ51においては、与えられた前記データ及び後述の設定されたデータを基に空調機29の蒸気加湿器35での設定露点温度Hspを求め、この設定露点温度Hspを露点温度コントローラ45ヘ与えて、設定露点温度Hsp及び、露点温度検出器44で検出した、空調機29のファン36出側における空気の露点温度Hrを基に、蒸気加湿器35に蒸気を送給する蒸気管路43の噴霧量制御弁42に対する弁開度指令Wxを求め、この弁開度指令Wxにより、噴霧量制御弁42の開度を制御し得るように構成してある。
【0068】
冷水コントローラ26a,26b,26c及び加湿水コントローラ28a,28b,28c並びに設定露点温度コントローラ51、露点温度コントローラ45の詳細は図2に示されている。なお、以下の説明では、図が複雑になるため、図1、図2のうちどちらかの図にのみに示してある記号もあるが、実際には図1、図2の系統の両方に必要である。又、設定される各データは図示してない上位コントローラから与えられる。更に、図2では、図の簡略化のため、3台の冷水コントローラ26a,26b,26cを一つの図で示し、又、3台の加湿水コントローラ28a,28b,28cを一つの図で示してあるが、図示例の場合、実際は3台である。
【0069】
冷水コントローラ26a,26b,26cには、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b内やクリーンルーム1cで維持すべき温度を、設定温度tao,tbo,tcoとして設定し得るようになっていると共に(図1、図2参照)、温度検出器25a,25bで検出したクリーンルーム1a,1bの内室2a,2bの温度ta,tb、温度検出器25cで検出したクリーンルーム1c内の温度tcを与え得るようになっている(図1、図2参照)。而して、冷水コントローラ26a,26b,26cの減算部52では、検出した温度ta,tb,tcと設定温度tao,tbo,tcoの差を採って温度偏差Δta,Δtb,Δtcを求め、得られた温度偏差Δta,Δtb,Δtcを比例積分微分演算(比例積分演算の1種)して制御する機能を有する部分、すなわち、PID制御部53へ与え得るようになっている。
【0070】
冷水コントローラ26a,26b,26cのPID制御部53では、温度偏差Δta,Δtb,Δtcを比例積分微分演算して、弁開度指令Va,Vb,Vcを求め、この弁開度指令Va,Vb,Vcは、クリーンルーム1a,1b,1cの冷却コイル9a,9b,9cへ冷水を供給する冷水管路11a,11b,11cの流量制御弁10a,10b,10cへ与え得るようになっていると共に(図1参照)、設定露点温度コントローラ51の設定露点温度算出部54へ与え得るようになっている(図2参照)。
【0071】
湿度コントローラ28a,28b,28cには、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b内やクリーンルーム1cで維持すべき湿度を、設定湿度hao,hbo,hcoとして設定し得るようになっていると共に(図1、図2参照)、湿度検出器27a,27bで検出したクリーンルーム1a,1bの内室2a,2bの湿度ha,hb、湿度検出器27cで検出したクリーンルーム1c内の湿度hcを与え得るようになっている(図1、図2参照)。而して、加湿水コントローラ28a,28b,28cの減算部55では、検出した湿度ha,hb,hcと設定湿度hao,hbo,hcoの差を採って湿度偏差Δha,Δhb,Δhcを求め、得られた湿度偏差Δha,Δhb,Δhcを比例積分微分演算して制御する機能を有する部分、すなわち、PID制御部56へ与え得るようになっている。
【0072】
加湿水コントローラ28a,28b,28cのPID制御部56では、湿度偏差Δha,Δhb,Δhcを比例積分微分演算して、加湿水の弁開度指令Wa,Wb,Wcを求め、この弁開度指令Wa,Wb,Wcは、クリーンルーム1a,1b,1cの加湿水噴霧器14a,14b,14cへ加湿水を送給する加湿水管路15a,15b,15cに設けた噴霧量制御弁16a,16b,16cへ与え得るようになっていると共に(図1参照)、設定露点温度コントローラ51の設定露点温度算出部54へ与え得るようになっている(図2参照)。
【0073】
設定露点温度コントローラ51の設定露点温度算出部54には、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2bの室温設定値である設定温度tao,tbo、クリーンルーム1cの室温設定値である設定温度tcoを設定し得るようになっている(図2参照)。又、設定露点温度コントローラ51の設定露点温度算出部54には、温度検出器25a,25b,25cで検出したクリーンルーム1a,1bの内室2a,2bの室温である温度ta,tb、クリーンルーム1cの室温である温度tcを与え得るようになっている(図1、図2参照)。
【0074】
設定露点温度コントローラ51の設定露点温度算出部54には、クリーンルーム1a,1b,1cに対応した各流量制御弁10a,10b,10cの流量制御弁開度設定下限値Aau,Abu,Acuを設定し得るようになっている(図2参照)。流量制御弁開度設定下限値Aau,Abu,Acuは、流量制御弁10a,10b,10cの全開時の開度(単位:%)の例えば約20%とする。これは、流量制御弁開度設定下限値Aau,Abu,Acuを小さくし過ぎると、各流量制御弁10a,10b,10cの開度調整範囲が大きくなった場合、制御がうまくいかない虞があるためである。この流量制御弁開度設定下限値Aau、Abu、Acuは、流量制御弁の型式や弁特性によって異なることは云うまでもない。
【0075】
更に、設定露点温度コントローラ51の設定露点温度算出部54には、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2bやクリーンルーム1cの温湿度制御レベルLa1,La2,La3,Lb1,Lb2,Lb3,Lc1,Lc2,Lc3を設定し得るようになっている(図2参照)。
【0076】
ここで、温湿度制御レベルLa1,La2,La3,Lb1,Lb2,Lb3,Lc1,Lc2,Lc3はクリーンルーム1a,1bの内室2a,2bやクリーンルーム1cの維持したい温度及び湿度による重み付けである。すなわち、La1、Lb1はクリーンルーム1a、1bの内室2a、2bにおける、又、Lc1はクリーンルーム1cにおける温湿度制御レベルで、例えば室内温調条件として、温度23℃±0.5℃、相対湿度45%±5%の場合であり、製品が晒されたり製造装置の温度管理が最も要求されるゾーンであったりする(最も厳しい温湿度制御レベル)。又、温度管理が最も要求されるゾーンには製造装置が多く設けられており、発熱による熱負荷も多い傾向がある。La2、Lb2はクリーンルーム1a、1bの内室2a、2bにおける、又、Lc2はクリーンルーム1cにおける温湿度制御レベルで、例えば室内温調条件として、温度23℃±1℃、相対湿度45%±10%の場合であり、製品が隔離された場所であったり製造装置のメンテナンス側ゾーンであったりする(二番目に厳しい温湿度制御レベル)。La3、Lb3はクリーンルーム1a、1bの内室2a、2bにおける、又、Lc3はクリーンルーム1cにおける温湿度制御レベルで、例えば室内温調条件として、温度23℃±2℃、相対湿度45%±15%の場合であり、製造装置がこれから設置される予備ラインゾーンであったりする(三番目に厳しい(最も緩い)温湿度制御レベル)。
【0077】
更に、設定露点温度コントローラ51の設定露点温度算出部54には、蒸気加湿器35で空気を加湿する際の、設定露点温度下限値Hspmin、設定露点温度上限値Hspmax、設定露点温度変更量ΔHspを設定し得るようになっており(図2参照)、更に又、流量制御弁10a,10b,10cに関する流量制御弁開度設定値の不感帯Adif、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b、クリーンルーム1cのうち、二番目に厳しい温湿度制御レベルLa2,Lb2,Lc2の不感帯温度(温湿度制御レベルが二番目の室の不感帯温度)T2difαi、T2difβi、最も緩い温湿度制御レベルLa3,Lb3,Lc3の不感帯温度(温湿度制御レベルが三番目の室の不感帯温度)T3difαi、T3difβiを設定し得るようになっている(図2参照)。但し、T2difαiとT2difβiは任意に設定でき、0≦T2difαi<T2difβi≦1である。又、T3difαiとT3difβiは任意に設定でき、1≦T3difαi<T3difβi≦1.5である。なお、「不感帯」については後述する。
【0078】
更に又、設定露点温度コントローラ51の設定露点温度算出部54には、クリーンルーム1a,1b,1cに対応した各噴霧量制御弁16a,16b,16cの噴霧量制御弁開度設定下限値Wmin、噴霧量制御弁開度設定上限値Wmax、を設定し得るようになっている(図2参照)。
【0079】
設定露点温度コントローラ51の設定露点温度算出部54では、冷水コントローラ26a,26b,26cにおけるPID制御部53からの弁開度指令Va,Vb,Vc、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2bやクリーンルーム1cの設定温度tao,tbo,tco、温度検出器25a,25b,25cで検出されたクリーンルーム1a,1bの内室2a,2bやクリーンルーム1cの温度ta,tb,tc、湿度コントローラ28a,28b,28cにおけるPID制御部56からの弁開度指令Wa,Wb,Wc、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2bやクリーンルーム1cの温湿度制御レベルLa1,La2,La3,Lb1,Lb2,Lb3,Lc1,Lc2,Lc3、各流量制御弁10a,10b,10cの流量制御弁開度設定下限値Aau,Abu,Acu、設定露点温度下限値Hspmin又は設定露点温度上限値Hspmax若しくは設定露点温度変更量ΔHsp、流量制御弁開度不感帯Adif、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b、クリーンルーム1cのうち、二番目に厳しい温湿度制御レベルLa2,Lb2,Lc2の不感帯温度T2difαi,T2difβi、最も緩い温湿度制御レベルLa3,Lb3,Lc3の不感帯温度T3difαi,T3difβi、各噴霧量制御弁16a,16b,16cの噴霧量制御弁開度設定下限値Wmin、噴霧量制御弁開度設定上限値Wmaxを基に、空調機29の蒸気加湿器35での設定露点温度Hspが求められ、求められた設定露点温度Hspは露点温度コントローラ45の減算部57に与えられるようになっている(図1、図2参照)。
【0080】
露点温度コントローラ45の減算部57には、設定露点温度Hspの他に、空調機29のファン36の下流側で露点温度検出器44により検出された空気の露点温度Hrを与え得るようになっている(図1、図2参照)。
【0081】
露点温度コントローラ45の減算部57では、空調機29内の露点温度検出器44により検出された、加湿された空気の露点温度Hrと設定露点温度コントローラ51からの設定露点温度Hspとの差が採られて空気の設定露点温度偏差(Hr−Hsp=ΔH)が求められ、求められた設定露点温度偏差ΔHはPID制御部58に与えられるようになっている。又、PID制御部58では、空気の設定露点温度偏差ΔHが比例積分微分演算されて、空調機29の蒸気加湿器35へ蒸気を供給する蒸気管路43の噴霧量制御弁42の弁開度指令Wxが求められ、求められた弁解度指令Wxにより、噴霧量制御弁42の開度を所定の開度に調整し得るようになっている。
【0082】
次に、実施例1の作動について、先ず図2をも参照しつつ説明する。なお、空調機29における外気OAの流れや空調機29での各機器の作動、空調機29からクリーンルーム1a,1bの内室2a,2bやクリーンルーム1cに供給される空気(給気)の流れ、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2bやクリーンルーム1cにおける循環する空気の流れは図19の場合と略同様であるため、説明は省略する。又、冷水コントローラ26a,26b,26c及び加湿水コントローラ28a,28b,28c並びに設定露点温度コントローラ51、露点温度コントローラ45に入力される各データのうち、温度検出器25a,25b,25cで検出したクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b及びクリーンルーム1cの温度ta,tb,tc、湿度検出器27a,27b,27cで検出したクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b及びクリーンルーム1cの湿度ha,hb,hc、空調機29における露点温度検出器44で検出した空気の露点温度Hr以外のデータは図示してない上位コントローラから与えられる。
【0083】
運転時においては、冷水コントローラ26a,26b,26cには、図示してない上位コントローラからクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b内やクリーンルーム1cで維持すべき温度が、設定温度tao,tbo,tcoとして設定されていると共に、温度検出器25a,25bで検出したクリーンルーム1a,1bの内室2a,2bの温度ta,tb、温度検出器25cで検出したクリーンルーム1c内の温度tcが与えられている。而して、冷水コントローラ26a,26b,26cの減算部52では、検出した温度ta,tb,tcと設定温度tao,tbo,tcoの差を採って温度偏差Δta,Δtb,Δtcが求められ、得られた温度偏差Δta,Δtb,Δtcは、冷水コントローラ26a,26b,26cのPID制御部53へ与えられる。
【0084】
PID制御部53では、温度偏差Δta,Δtb,Δtcが比例積分微分演算されて、弁開度指令Va,Vb,Vcが求められ、弁開度指令Va,Vb,Vcは、流量制御弁10a,10b,10cへ与えられて流動制御弁10a,10b,10cは所定の開度に制御される。このため、冷却コイル9a,9b,9cへ供給される冷水の流量が制御され、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b及びクリーンルーム1cの温度(室温)は所定の温度に制御される。又、PID制御部53で得られた弁開度指令Va,Vb,Vcは、同時に、設定露点温度コントローラ51の設定露点温度算出部54へも与えられる(図2参照)。
【0085】
又、運転時においては、加湿水コントローラ28a,28b,28cには、図示してない上位コントローラからクリーンルーム1a,1bの内室2a,2bやクリーンルーム1cで維持すべき湿度が、設定湿度hao,hbo,hcoとして設定されていると共に、湿度検出器27a,27bで検出したクリーンルーム1a,1bの内室2a,bの湿度ha,hb、クリーンルーム1cの湿度hcが与えられている。而して、加湿水コントローラ28a,28b,28cの減算部55では、検出した湿度ha,hb,hcと設定湿度hao,hbo,hcoの差を採って湿度偏差Δha,Δhb,Δhcが求められ、得られた湿度偏差Δha,Δhb,Δhcは、加湿水コントローラ28a,28b,28cのPID制御部56へ与えられる。
【0086】
PID制御部56では、湿度偏差Δha,Δhb,Δhcが比例積分微分演算されて、弁開度指令Wa,Wb,Wcが求められ、弁開度指令Wa,Wb,Wcは、噴霧量制御弁16a,16b,16cへ与えられて噴霧量制御弁16a,16b,16cは所定の開度に制御される。このため、加湿水は、加湿水管路15a,15b,15cから加湿水噴霧器14a,14b,14cの加湿水噴霧ノズル13a、3b,13cへ供給され、加湿水噴霧ノズル13a,13b,13cからクリーンルーム1a,1b,1cに噴霧され、クリーンルーム1a,1b,1c内を循環する空気は加湿されて所定の湿度に制御される。又、PID制御部56で得られた弁開度指令Wa,Wb,Wcは、同時に、設定露点温度コントローラ51の設定露点温度算出部54へも与えられる(図2参照)。
【0087】
設定露点温度コントローラ51の設定露点温度算出部54には、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2bの設定温度tao,tbo、クリーンルーム1cの設定温度tcoが設定されている。又、設定露点温度コントローラ51の設定露点温度算出部54には、温度検出器25a,25b,25cで検出したクリーンルーム1a,1bの内室2a,2bの室温である温度ta,tb、クリーンルーム1cの室温である温度tcが与えられ、各流量制御弁10a,10b,10cの流量制御弁開度設定下限値Aau,Abu,Acuが設定されている。
【0088】
更に、設定露点温度コントローラ51の設定露点温度算出部54には、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2bやクリーンルーム1cの温湿度制御レベルLa1,又はLa2若しくはLa3、温湿度制御レベルLb1又はLb2若しくはLb3、温湿度制御レベルLc1又はLc2若しくはLc3が設定されており、設定露点温度下限値Hspmin、設定露点温度上限値Hspmax、設定露点温度変更量ΔHspが設定されており、流量制御弁開度設定値の不感帯Δdifが設定されている。更に又、設定露点温度算出部54には、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b、クリーンルーム1cのうち、二番目に厳しい温湿度制御レベルLa2,Lb2,Lc2の不感帯温度T2difαi,T2difβi、最も緩い三番目の温湿度制御レベルLa3,Lb3,Lc3の不感帯温度T3difαi,T3difβiが設定されている。又更に、設定露点温度算出部54には、クリーンルーム1a,1b,1cに対応した各噴霧量制御弁16a,16b,16cの噴霧量制御弁開度設定下限値Wmin、噴霧量制御弁開度設定上限値Wmax、が設定されている。
【0089】
設定露点温度コントローラ51の設定露点温度算出部54では、冷水コントローラ26a,26b,26cにおけるPID制御部53からの弁開度指令Va,Vb,Vc、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2bやクリーンルーム1cの設定温度tao,tbo,tco、温度検出器25a,25b,25cで検出されたクリーンルーム1a,1bの内室2a,2bやクリーンルーム1cの温度ta,tb,tc、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2bやクリーンルーム1cの温湿度制御レベルLa1又はLa2若しくはLa3,温湿度制御レベルLb1又はLb2若しくはLb3、温湿度制御レベルLc1又はLc2若しくはLc3、各流量制御弁10a,10b,10cの流量制御弁開度設定下限値Aau,Abu,Acu、設定露点温度下限値Hspmin又は設定露点温度上限値Hspmax又は設定露点温度変更量ΔHsp、流量制御弁開度設定値の不感帯Adif、温湿度制御レベルLa2,Lb2,Lc2の不感帯温度T2difαi,T2difβi、温湿度制御レベルLa3,Lb3,Lc3の不感帯温度T3difαi,T3difβi、噴霧量制御弁16a,16b,16cの噴霧量制御弁開度設定下限値Wmin、噴霧量制御弁開度設定上限値Wmaxを基に、空調機29の蒸気加湿器35における蒸気噴霧ノズル34から噴霧される蒸気の量を定めるための設定露点温度Hspが求められ、求められた設定露点温度Hspは露点温度コントローラ45の減算部57に与えられる。なお、設定露点温度算出部54で演算される設定露点温度Hspは、温湿度制御レベルの如何によって用いられる設定項目は異なる。設定露点温度Hspの算出の詳細については、図3、図4(a)、図5(a)、図6、図7a、図7bのフローチャートにより後述する。
【0090】
露点温度コントローラ45の減算部57には、設定露点温度コントローラ51からの設定露点温度Hspの他に、空調機29におけるファン36の下流側で露点温度検出器44により検出された、蒸気により加湿された空気の露点温度Hrが与えられ、減算部57では、蒸気により加湿された空気の露点温度Hrと設定露点温度Hspとの差が採られて設定露点温度偏差ΔHが求められ、求められた設定露点温度偏差ΔHはPID制御部58に与えられ、PID制御部58では、設定露点温度偏差ΔHが比例積分微分演算されて蒸気加湿器35へ蒸気を送給する蒸気管路43に設けられた噴霧量制御弁42の弁開度指令Wxが求められ、求められた弁開度指令Wxは、空調機29の噴霧量制御弁42に与えられて、その開度は所定の開度に調整される。これにより、冷却除湿コイル32で過冷却されて加熱コイル33で再熱された空気に蒸気噴霧ノズル34から蒸気が噴霧されて空気が所定の露点温度になるまで加湿される。このとき、空調機29の蒸気加湿器35下流側における空気の乾球温度は、クリーンルーム1a,1b、1cの空気流路4a,4b,4cからの循環空気還気の温度よりも低い温度である。
【0091】
次に、設定露点温度コントローラ51の設定露点温度算出部54における設定露点温度Hspの演算の手順を図3、図4(a)、図5(a)、図6、図7a、図7bをも参照しつつ説明する。なお、設定露点温度Hspの演算に際しては、流量制御弁10a,10b,10cの温湿度制御レベルLa1,Lb1,Lc1,La2,Lb2,Lc2,La3,Lb3,Lc3に応じた開度重み付けについても考慮される。すなわち、温湿度制御レベルLa1,Lb1,Lc1の場合は、流量制御弁10a,10b,10cの開度下限値は上述のように例えば10%と、流量制御弁10a,10b,10cの制御性を考慮した値に設定されており、設定露点温度Hspは流量制御弁10a,10b,10cの開度により決定される。温湿度制御レベルLa2,Lb2,Lc2の場合は、流量制御弁10a,10b,10cの開度下限値は0%で、設定露点温度Hspはクリーンルーム1a,1bの内室2a,2bの温度やクリーンルーム1cの温度により決定される。温湿度制御レベルLa3,Lb3,Lc3の場合は、流量制御弁10a,10b,10cの開度下限値は0%で、設定露点温度Hspは、温湿度制御レベルLa2,Lb2,Lc2の場合と同様、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2bの温度やクリーンルーム1cの温度により決定される。
【0092】
而して、温湿度制御レベルLa1,Lb1,Lc1の場合は、温度制御幅が温度23℃±0.5℃と厳しいため、弁の制御性を考慮した開度下限値、例えば10%が温湿度制御レベルに応じた重み付けとして与えられ、温湿度制御レベルLa2,Lb2,Lc2の場合及び温湿度制御レベルLa3,Lb3,Lc3の場合は、温度制御幅が温度23℃±1℃、23℃±2℃と緩いため、弁の制御性を考慮せず開度下限値0%が温湿度制御レベル
に応じた重み付けとして与えられる。これにより、温湿度制御レベルLa1,Lb1,Lc1の場合は、流量制御弁10a,10b,10cの制御性を考慮した開度下限値、例えば10%が与えられ、且つ流量制御弁10a,10b,10cの開度を制御信号として用いることにより、他の温湿度制御レベルLa2,Lb2,Lc2の場合及び温湿度制御レベルLa3,Lb3,Lc3の場合と比べて、流量制御弁10a,10b,10cの開度の制御信号に重み付けを与えられていることが明らかである。′
【0093】
図3、図4(a)、図5(a)、図6、図7a、図7bのフローチャートに従って空調機29の設定露点温度Hspの演算を行う場合について説明すると、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b、クリーンルーム1cについて上位コンピュータにより与えられた温湿度制御レベルLa1,Lb1,Lc1,La2,Lb2,Lc2,La3,Lb3,Lc3の何れかからクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b、クリーンルーム1cについて以下に述べるような手順により、流量制御弁10a,10b,10cの開度や室温について順次所定の演算を一巡し、それらの結果から総合的な判断に基いて今回の設定露点温度Hspを決定し、次いで上記したと同様の手順によりクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b、クリーンルーム1cの全ての室について順次、次回の演算を一巡し、それらの結果から総合的な判断に基いて次回の設定露点温度Hspを決定し、以下同様の手順により一定時間間隔(例えば10分毎)にその回の設定露点温度Hspを決定することになる。なお、以下の図2、図4(a)、図5(a)、図6、図7a、図7bの説明で、図2に示す記号と同一の記号は同一の意義を有する。
【0094】
各機器の運転が開始されると、設定露点温度コントローラ51には、上位コンピューから、例えば、i=1番目の室であるクリーンルーム1aの内室2aに関しては、温湿度制御レベルLa1又はLa2或はLa3の何れかが与えられ、i=2番目の室であるクリーンルーム1bの内室2bに関しては、温湿度制御レベルLb1又はLb2或はLb3の何れかが与えられ、i=3番目の室であるクリーンルーム1cに関しては、温湿度制御レベルLc1又はLc2或はLc3の何れかが与えられる(図3のS1)。
【0095】
例えば、クリーンルーム1aの内室2aの温湿度制御レベルが、最も厳しい温湿度制御レベルLa1の場合、先ず、i番目の検討において、流量制御弁10aの実際に開いている開度Apviの検討※1が行われる(図4(a)のS2)。すなわち、検討※1では、流量制御弁10aの実際に開いている開度Apviは、Apvi>Aau+Adifか否か検討され、YESの場合は、設定露点温度Hspを下げるため、個別判断指令yi=2が出力される。又、NOの場合は、流量制御弁10aの実際に開いている開度Apviの検討※2が行われる(図4(a)のS3)。すなわち、検討※2では、流量制御弁10aの実際に開いている開度Apviは、Apvi>Aauか否か検討され、YESの場合は、設定露点温度Hspを維持するため、個別判断指令yi=1が出力される。又、NOの場合は、設定露点温度Hspを上げるため、個別判断指令yi=0が出力される。温湿度制御レベルLa1の場合は、流量制御弁10aの実際の開度や流量制御弁開度設定下限値Aauや流量制御弁開度設定値の不感帯Adifを考慮した制御を行っているが、これは、流量制御弁10aの開度に対して重み付けを行うことを意味している。なお、ここでは、クリーンルーム1aの内室2aの温湿度制御レベルを最も厳しいLa1と設定して演算を行う場合について説明しているが、クリーンルーム1bの内室2bやクリーンルーム1cの温湿度制御レベルが最も厳しいLb1,Lc1の場合も同様にして演算が行われる。又、温湿度制御レベルLa1の場合、S2のステップから明らかなように、流量制御弁10a,10b,10cの開度余地を残すことになる。図4(a)のフローチャートに示す演算結果をまとめると図4(b)の表に示すようになる。
【0096】
クリーンルーム1aの内室2aの温湿度制御レベルが二番目に厳しい温湿度制御レベルLa2の場合、例えば、先ず、i番目の検討において検出したクリーンルーム1aの内室2aの実際の温度(室温(図1、図2のtaに相当))Tpviの検討※3が行われる(図5(a)のS4)。すなわち、検討※3では、クリーンルーム1aの内室2aの実際の温度Tpviは、Tpvi>Tio−T2difαiか否か検討され、YESの場合は設定露点温度Hspを下げるため、個別判断指令yi=2が出力される。NOの場合は、クリーンルーム1aの内室2aの実際の温度Tpviの検討※4が行われる(図5(a)のS5)。すなわち、検討※4では、クリーンルーム1aの内室2aの実際の温度Tpviは、Tpvi>Tio−T2difβiか否か検討され、YESの場合は設定露点温度Hspを維持するため、個別判断指令yi=1が出力される。又、NOの場合は、設定露点温度Hspを上げるため、個別判断指令yi=0が出力される。温湿度制御レベルLa2の場合、流量制御弁10a,10b,10cの開度は0%を許容することになる。なお、図5(a)では、i番目の検討はクリーンルーム1aの内室2aについて行う場合について説明しているが、実際にはTioはi番目の検討時のクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b又はクリーンルーム1cの設定温度で、設定温度tao,tbo,tcoの何れかに相当する。図5(a)のフローチャートに示す演算結果をまとめると図5(b)の表に示すようになる。
【0097】
クリーンルーム1aの内室2aの温湿度制御レベルが三番目に厳しい(最も緩い)温湿度制御レベルLa3の場合、例えば、先ず、i番目の検討において検出したクリーンルーム1aの内室2aの温度(室温(図1、図2のtaに相当))Tpviの検討※5が行われる(図6のS6)。すなわち、検討※5では、クリーンルーム1aの内室2aの実際の温度Tpviは、Tpvi>Tio−T3difαiか否か検討され、YESの場合は設定露点温度Hspを下げるため、個別判断指令yi=2が出力される。NOの場合は、クリーンルーム1aの内室2aの実際の温度Tpviの検討※6が行われる(図6のS7)。すなわち、検討※6では、クリーンルーム1aの内室2aの実際の温度Tpviは、Tpvi>Tio−T3difβiか否か検討され、YESの場合は設定露点温度Hspを維持するため、個別判断指令yi=1が出力される。又、NOの場合は、設定露点温度Hspを上げるため、個別判断指令yi=0が出力される。温湿度制御レベルLa3の場合、温湿度制御レベルLa2とは、不感帯温度の数値のみが異なる。なお、図6では、i番目の検討はクリーンルーム1aの内室2aについて行う場合について説明しているが、実際にはTioはi番目の検討時のクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b又はクリーンルーム1cの設定温度で、設定温度tao,tbo,tcoの何れかに相当する。又、クリーンルーム1b,1cの内室2b,2c,クリーンルーム1cの温湿度制御レベルがLb2,Lc2,Lb3,Lc3の場合も上述した図4a、図5a、図6に示すようにして演算を行う。図6のフローチャートに示す演算結果をまとめると、前述の図5(b)の表に示すようになる。
【0098】
温湿度制御レベルLa1,Lb1,Lc1,La2,Lb2,Lc2,La3,Lb3,Lc3や流量制御弁10a,10b,10cの開度、室温ta,tb,tcを基に求められた個別判断指令yi=0,1,2は、図7aに示すように集積されて、総合判断に供せられる。すなわち、例えば、i番目であるクリーンルーム1aの内室2aの総合判断指令Yi=Y(i−1)×yiとなる。Y(i−1)は(i−1)番目の総合判断指令である。而して、データはクリーンルーム1aのデータ、クリーンルーム1bのデータ、クリーンルーム1cのデータと順次、i=1,2,3・・・Nのように蓄積されてi=N(図7aのS8)か否か判断されるが、i=N(Nは全ての室についての総数であり、本例の場合は、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2bとクリーンルーム1cの合計3室)がNOの場合は、まだ全ての室(クリーンルーム1a,1bの内2a,2b、クリーンルーム1c)の個別判断指令yi、延いては総合判断指令Yi=Y(i−1)×yiが得られていないため、次の室の個別判断指令y(i+1)を求めるために図3のS1に戻り、例えば、次のクリーンルーム1bの内室2bについて、クリーンルーム1aの内室2aと同様な手順で演算が行われて、クリーンルーム1bの内室2bの個別判断指令yi、延いてはクリーンルーム1a,1bの合計の総合判断指令Yi=Y(i−1)×yiが求められる。
【0099】
更に、S8でi=NがNOの場合は、前記したと同様にして更に次の室であるクリーンルーム1cの個別判断指令yi、延いてはクリーンルーム1a,1b及びクリーンルーム1cの合計の総合判断指令Yi=Y(i−1)×yiが求められる。S8でi=NがYESの場合は、全ての室(3室)の個別判断指令yiを基とした総合判断指令Yi=Y(i−1)×yiが求められるため、次のステップに移行し、図7aのS9に示すように、今回の設定露点温度Hspを上げるか、そのまま維持するか、下げるかを決める最終判断指令Yが0か1か2以上として決定される。
【0100】
而して、図7aのS9における最終判断指令Y=0の場合は、空調機29のファン36出口下流側における設定露点温度Hspのj回目の操作上の上限値の検討※7が行われる(図7aのS10)。すなわち、S10でHsp(j)<Hspmaxか否か検討され、YESの場合は、図7bのS11で、噴霧量制御弁16a,16b,16cの弁開度指令Wa,Wb,Wcの検討※8が行われる。検討※8でクリーンルーム1a,1b,1cにおける噴霧量制御弁16a,16b,16cの弁開度指令Wa,Wb,Wc>Wminか否か検討され、YESの場合は、設定露点温度Hsp(j)をHsp(j)=Hsp(j−1)+ΔHspだけ上げることになる。ここで、Wminは噴霧量制御弁開度設定下限値であり、又、設定露点温度Hsp(j)は、図2の設定露点温度Hspと同一であり、Hsp(j−1)は前回の(J−1)回目に求めた設定露点温度、ΔHspは、今回変更する露点温度変更分である。
【0101】
S9で最終判断指令Y=1の場合は、図7bのように、設定露点温度Hsp(j)は前回の設定露点温度Hsp(j−1)と同一で、設定露点温度Hspはそのまま維持することになる。すなわち、Hsp(j)=Hsp(j−1)である。
【0102】
図7aのS9で最終判断指令Y≧2の場合は、空調機29のファン36出口下流側における設定露点温度Hspのj回目の操作上の下限値の検討※9が行われる(図7aのS12)。すなわち、S12でHsp(j)>Hspminか否か検討され、YESの場合は、図7bのS13で、噴霧量制御弁16a,16b,16cの弁開度指令Wa,Wb,Wcの検討※10が行われる。検討※10でクリーンルーム1a,1b,1cにおける噴霧量制御弁16a,16b,16cの弁開度指令Wa,Wb,Wc<Wmaxか否か検討され、YESの場合は、設定露点温度Hsp(j)をHsp(j)=Hsp(j−1)−ΔHspだけ下げることになる。
【0103】
S10、S11、S12、S13でNOの場合は、Y=1の場合と同様、設定露点温度Hsp(j)は前回の設定露点温度Hsp(j−1)と同一で、Hsp(j)=Hsp(j−1)であり、設定露点温度Hspはそのまま維持することになる。
【0104】
なお、総合判断指令YiをY1として計算する際、式左側最初の項Y(i−1)がY(1−1)つまりY0が必要になるが、このY0は、Y0=1とする。この意味合いは、現状の設定露点温度をそのまま維持するところから始めるということである。この総合判断指令Yi=Y(i−1)×yiの式の特徴は、各室の個別判断指令yiに0と1と2を用いることと、これらを乗じることで、一つでも個別判断指令yiに0があれば、つまり設定露点温度が低すぎる室が一つでもあれば総合判断指令も0となり設定露点温度を上げる指令が出せること、全ての室の個別判断指令yiが1であれば、つまり全ての部屋が現状の設定露点温度が適している場合は、総合判断指令Yiも1となり設定温露点度を維持すること、それ以外では総合判断指令Yiは2以上の解となり、設定露点温度を下げる動作が確実にできることである。
【0105】
本実施例1のようにクリーンルームがクリーンルーム1aの内室2a、クリーンルーム1bの内室2b、クリーンルーム1cの3室の場合は、前記手順で演算した結果、具体的には、最終判断指令Yは、以下のようになる。すなわち、i=1(クリーンルーム1aの1室の場合)の総合判断指令Y1=Y0×y1=1×y1(この場合、Y0=1、y1はクリーンルーム1aの個別判断指令)、i=2(クリーンルーム1a,1bの2室の場合)の総合判断指令Y2=Y1×y2=Y0×y1×y2=1×y1×y2(この場合、y2はクリーンルーム1bの内室2bの個別判断指令)、i=3(クリーンルーム1a,1b,1cの3室の場合)の総合判断指令Y3=Y2×y3=Y0×y1×y2×y3=1×y1×y2×y3=y1×y2×y3であり、3室の総合判断指令Y3が最終判断指令Yとなる。このため、Y=y1×y2×y3となる。なお、最終判断指令Yが2以上になるのは、例えば、個別判断指令yiがy1=y2=y3=2の場合で、総合判断指令Y3=8となるためである。
【0106】
S9において最終判断指令Y=0の場合は、前述のように、j回目(今回)の設定露点温度Hsp(j)と操作上の設定露点温度の上限値Hspmaxが、Hsp(j)<Hspmaxか否か検討され(S10)、YESの場合は、Wa,Wb,Wc>Wminか否か検討され(S11)、S9において最終判断指令Y≧2の場合は、j回目(今回)の設
定露点温度Hsp(j)と設定露点温度の操作上の下限値Hspminが、Hsp(j)>Hspminか否か検討され(S12)、YESの場合は、Wa,Wb,Wc<Wmaxか否か検討される(S13)。
【0107】
而して、Y=0であり、且つS10において、Hsp(j)<HspmaxがYESであり、S11において、Wa,Wb,Wc>WminがYESの場合は、個別判断指令yiが1室でも0があり、且つ、設定露点温度Hsp(j)は、設定露点温度の上限値Hspmaxに対し低い(湿度が低い)ということである。このため、対応する室が湿度を保持すべく加湿水噴霧器14a,14b,14cからの加湿水の噴霧量が増え、噴霧された水の蒸発により冷えすぎになる虞があるので導入外気の湿度、すなわち、空調機29のファン36下流側の露点温度を上昇させなければならない。このため、設定露点温度Hspは改められて、例えばHsp(j)=Hsp(j−1)+ΔHsp(例えば露点温度は0.1℃だけ上昇)となる。
【0108】
すなわち、S10、S11でYESの場合、今回の設定露点温度Hsp(j)は、前回(本図示例では10分前)の設定露点温度Hsp(j−1)よりもΔHspだけ高くなり、空調機29の蒸気加湿器35において蒸気の噴霧量を増加させては空気の露点温度を前回よりも上昇させることになる。これはクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b、クリーンルーム1cのうち、何れかの室に冷えすぎのおそれがあるのでその室の冷えすぎを防止すると共に、当該室の湿度を確保するためである。今回の設定露点温度Hsp(j)及び前回の設定露点温度Hsp(j−1)は、図1、図2では何れもHspとして表示されている(以下の説明でも同様である)。なお、jはj=1,2,・・・Jと一定時間間隔(本図示例では10分間)で変化する時間項であり、本図示例では前述したように、例えば10分間隔で設定露点温度Hspを改めることになる。なお、具体的には、例えば、J=1でクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b、クリーンルーム1cの3室(i=1〜3)の前述した演算を一斉に行って総合判断指令Yを求め、10分後に次回のJ=2でクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b、クリーンルーム1cの3室(i=1〜3)の演算を前述したと同様に一斉に行って総合判断指令Yを求めることになり、以下同様に演算を繰り返す。
【0109】
S9において最終判断指令Y=1の場合、或はS10で、Hsp(j)<HspmaxがNOの場合、S11でWa,Wb,Wc>WminがNOの場合、S12でHsp(j)>HspminがNOの場合、S13でWa,Wb,Wc<WmaxがNOの場合は、設定露点温度Hspは前回((j−1)番目)の設定露点温度と等しく、Hsp(j)=Hsp(j−1)となるのは前述のとおりである。すなわち、今回の設定露点温度Hsp(j)は、前回(本図示例では10分前)の設定露点温度Hsp(j−1)と等しく、空調機29の蒸気加湿器35からの蒸気の噴霧量は、現在噴霧している量を維持し、変更しない。これは流量制御弁10a,10b,10cが最適なバルブ開度にあるか、若しくはクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b、クリーンルーム1cが最適な温度及び湿度状態にあるためである。
【0110】
S9において最終判断指令Y≧2で且つ、S12においてHsp(j)>HspminがYES、S13においてWa,Wb,Wc<WmaxがYESの場合、設定露点温度Hspは改められてHsp(j)=Hsp(j−1)−ΔHspとなり、前回の設定露点温度よりもΔHsp(例えば0.1℃)だけ低くなる。すなわち、今回の設定露点温度Hsp(j)は、前回(本図示例では10分前)の設定露点温度Hsp(j−1)よりも低く、空調機29の蒸気加湿器35における蒸気の噴霧量は、今まで噴霧していた量よりも少なくして露点温度を低下させる。これは流量制御弁10a,10b,10cのバルブ開度が大きい状態で且つ、噴霧量制御弁16a,16b,16cが大きい状態か若しくは、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b、クリーンルーム1cが設定温度tao,tbo,tcoよりも高い温度状態にあるためである。
【0111】
上述のようにして求められた設定露点温度Hsp(j)のうち、温湿度制御レベルLa1,La2,La3,Lb1,Lb2,Lb3,Lc1,Lc2,Lc3に対応した所定の設定露点温度Hsp(j)は、設定露点温度コントローラ51から設定露点温度Hspとして出力されて、露点温度コントローラ45に与えられる。設定露点温度Hspが露点温度コントローラ45に与えられた場合の作動は前述したとおりである。又、システムが停止しているか否か判断され(図7bのS14)、YESの場合、運転は終了し、NOの場合は、一定時間後(本図示例では10分後)に次の順番(図3のSTARTの下の「i番目のデータ」の部分)に移行して再び図3のS1に戻り、クリーンルーム1aの室2aについて演算を開始し、制御を続行する。
【0112】
実施例1においては、クリーンルーム1a,1b,1c内の熱負荷が大きくなった場合には弁開度指令Va,Vb,Vcが大きくなり、流量制御弁10a,10b,10cの開度が大きくなって冷却コイル9a,9b,9cでの冷却が増加する。そこで、この場合は、クリーンルーム1a,1b,1cでの加湿水噴霧器14a,14b,14cからの水の噴霧量を増加させて水の蒸発による冷却を増やすことになるが、この場合は、加湿水の噴霧によりクリーンルーム1a,1b,1c内の湿度も高くなる。このため、クリーンルーム1a,1b,1c内の湿度を一定に保持するには、空調機29の蒸気加湿器35による蒸気の噴霧量を減少させるべく、設定露点温度Hsp延いては噴霧量制御弁42の弁開度指令Wxが小さくなって噴霧量制御弁42が絞られ、空調機29の蒸気加湿器35から噴霧される蒸気は減少するよう制御される。このため、加湿水噴霧器14a,14b,14cからの水の噴霧量が増加してクリーンルーム1a,1b,1cの水の蒸発による冷却が大きくなるため、流量制御弁10a,10b,10cは絞られて冷水の流量が減少するため、冷水の消費量は節減される。
【0113】
又、クリーンルーム1a,1b,1c内の熱負荷が減少した場合には弁開度指令Va,Vb,Vcは小さくなり、流量制御弁10a,10b,10cの開度が絞られて冷却コイル9a,9b,9cでの冷却が低下することになる。しかし、流量制御弁10a,10b,10cの開度が絞られすぎると、クリーンルーム1a,1b,1cの温湿度制御を良好に行うことが難しい。一方、クリーンルーム1a,1b,1cでの加湿水噴霧器14a,14b,14cからの加湿水の噴霧量を減少させて水の蒸発による冷却を減少させると、加湿水の噴霧によるクリーンルーム1a,1b,1c内の湿度は低くなる。このため、クリーンルーム1a,1b,1c内の湿度を一定に保持するには、空調機29の蒸気加湿器35による蒸気の噴霧量を増加させるべく、設定露点温度Hsp延いては噴霧量制御弁42の弁開度指令Wxが大きくなって噴霧量制御弁42が開かれため、空調機29の蒸気加湿器35から噴霧される蒸気は増加するよう制御される。このため、クリーンルーム1a,1b,1cの湿度を所定の値にするための加湿水噴霧器14a,14b,14cからの加湿水の噴霧量が減少するよう制御が行われてクリーンルーム1a,1b,1cの水の蒸発による冷却が低くなるため、流量制御弁10a,10b,10cは開かれる。
【0114】
実施例1では、空調機29の設定露点温度Hspを変更できるため、クリーンルーム1a,1b,1cの空気を冷却する冷却コイル9a,9b,9cへの冷水流量を制御する流量制御弁10a,10b,10cの弁開度指令Va,Vb,Vcの情報により空調機29における設定露点温度Hspを決定できる。すなわち、クリーンルーム1a,1b,1cのうち一室でも流量制御弁10a,10b,10cの開度が所定の値よりも小さい場合は、設定露点温度Hspを上げ、クリーンルーム1a,1b,1cの流量制御弁10a,10b,10cの開度が所定の値よりも大きい場合は、空調機29の設定露点温度Hspを下げ、クリーンルーム1a,1b,1c全室で流量制御弁10a,10b,10cの開度が小さい場合と大きい場合の中間の場合は、空調機29の設定露点温度Hspは変更しないことになる。
【0115】
以上から、実施例1では、クリーンルーム1a,1b,1cに対応した流量制御弁10a,10b,10cの開度情報より、熱負荷を知ることができ、且つ、クリーンルーム1a,1b,1cの熱負荷を総合的に判断して、最も負荷が小さい室においても熱負荷が所定の値以上ある場合は、設定露点温度Hspを下げるようにしているため、空調機29の加熱、加湿エネルギについて省エネルギを図ることができる。又、これにより空調機29からクリーンルーム1a,1b,1cへ供給される蒸気量が減少するため、クリーンルーム1a,1b,1cの湿度を所定の値に保持するためには、クリーンルーム1a,1b,1cで加湿水噴霧器14a,14b,14cから噴霧される水の量が増加し、この噴霧された水の蒸発によりクリーンルーム1a,1b,1cの冷却量が増加するため、クリーンルーム1a,1b,1c側の冷水による冷却が減少して冷水による冷却の省エネルギを図ることができ、しかも、クリーンルーム1a,1b,1cの温度制御の精度も向上する。
【0116】
次に、前述した流量制御弁開度設定値の不感帯Adifについて図8により説明すると、図8では、横軸は流量制御弁10a,10b,10cの実際の開度Apvi(=弁開度指令Va,Vb,Vc)を示し、縦軸は設定露点温度Hspの個別判断指令yiを示している。而して、図4(a)のフローチャートでS2がYES(Apvi>Aau+Adif)の場合は、個別判断指令yi=2を示し、この場合は、設定露点温度Hspは下げることになり、例えば、流量制御弁10aの弁開度指令Vaは、「流量制御弁開度設定下限値Aau+流量制御弁開度設定値の不感帯Adif」から弁開度100%までの範囲が該当する(図8の線イ参照)。
【0117】
図4(a)のフローチャートでS2がNO(Apvi>Aau+Adifでない)で、S3がYES(Avi>Aau)の場合は、個別判断指令yi=1を示し、この場合は設定露点温度Hspはそのまま維持することになり、例えば、流量制御弁10aの弁開度指令Vaは流量制御弁開度設定下限値Aauと、「流量制御弁開度設定下限値Aau+流量制御弁開度設定値の不感帯Adif」との間となる(図8の線口参照)。この線ロの範囲を流量制御弁開度設定値の不感帯Adifといい、流量制御弁10a,10b,10cの開度が、線ロの間にある場合は、設定露点温度Hspを維持することになる。
【0118】
図4(a)のフローチャートでS2がNO(Apvi>Aau+Adifでない)で、且つ、S3がNO(Avi>Aauでない)の場合は、個別判断指令yi=0を示し、この場合は設定露点温度Hspを上げることになり、例えば、流量制御弁10aの弁開度指令Vaは全閉(0%)から流量制御弁開度設定下限値Aauの間に該当する(図8の線ハ参照)。流量制御弁10b,10cの開度Apvi(=弁開度指令Vb,Vc)の場合も同様である。
【0119】
続いて、前述した不感帯温度差T2difαi,T2difβi,T3difαi,T3difβiについて図9により説明すると、図9では、横軸はクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b若しくはクリーンルーム1cの温度Tpvi(=室温ta,tb,tc)、縦軸は設定露点温度の個別判断指令yiである。而して、図5(a)のフローチャートで、S4がYES(Tpvi>Tio−T2difαi(又はTpvi>Tio−T3difαi))の場合は、クリーンルーム1a、1bの内室2a,2b若しくはクリーンルーム1cの温度Tpviは高いため、個別判断指令yi=2となり、設定露点温度Hspを下げることになる(図9の線ニ参照)。
【0120】
図5(a)のフローチャートで、S4がNO(Tpvi>Tio−T2difαiでない(又はTpvi>Tio−T3difαiでない))で、S5がYES(Tpvi>Tio−T2difβi(又はTpvi>Tio−T3difβi))の場合は、個別判断指令yi=1となり、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b若しくはクリーンルーム1cの温度Tpviは適温であるため、設定露点温度Hspを維持することになる(図9の線ホ参照)。而して、温度Tpviが、Tio−T2difαiとTio−T2difβi(又はTspi−T3difαiとTspi−T3difβi)との間の場合は、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b、クリーンルーム1cの温度ta,tb,tcが変化しても、設定露点温度Hspは変えることなく維持される(図9の線ホ参照)。このT2difαiとT2difβiを温湿度制御レベルが二番目の室の不感帯温度差といい、T3difαiとT3difβiを温湿度制御レベルが三番目の室の不感帯温度差という。
【0121】
図5(a)のフローチャートで、S4がNO(Tpvi>Tio−T2difαiでない(又はTpvi>Tio−T3difαiでない))の場合で、S5がNO(Tpvi>Tio−T2difβiでない(又はTpvi>Tio−T3difβiでない))の場合は、個別判断指令yi=0の場合を示し、この場合は、設定露点温度Hspは上げることになる(図9の線へ参照)。
【実施例1】
【0122】
図10〜図15、図16a、図16bは請求項2、5、7、8に対応する本発明の実施例2である。図中、図20と同一のものには同一の符号が付してある。又、実施例2の説明で、クリーンルーム1a,1b,1cは請求項2、4、6、7の「被空調空間」、冷却除湿コイル32は請求項2の「第一の冷却手段」、加熱コイル33は請求項2の「加熱手段」、蒸気加湿器35は請求項2、4の「蒸気加湿手段」、加湿水噴霧器14a,14b,14cは請求項2、4の「水加湿手段」、冷却コイル9a,9b,9cは請求項2、4、6の「第二の冷却手段」である。更に、冷水コントローラ26a,26b,26cは請求項4の「第一の手段」、加湿水コントローラ28a,28b,28cは請求項4の「第二の手段」、設定露点温度コントローラ51は請求項4の「第三の手段」、露点温度コントローラ45は請求項4の「第四の手段」である。更に又、PID検出器49は請求項6の「第5の手段」、設定露点温度コントローラ51内のダンパ開度バイアス量演算部65は請求項6の「第六の手段」、ダンパ開度コントローラ62a,62b,62cは請求項6の「第七の手段」である。
【0123】
而して、本図示例の特徴とするところは、図20の従来の空調システムと同様、図1の空調システムにおけるダクト46a,46b,46cに駆動装置により開閉可能なダンパ47a,47b,47cを設けて、該ダンパ47a,47b,47cの開度を調整することにより、空調機29からクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b及びクリーンルーム1cへ供給される空気の流量をも調整し、これにより、流量制御弁10a,10b,10cの弁開度を調整して流量制御弁10a,10b,10cに供給する冷水量を減少させ、省エネルギを図ること、及び内室2a,2b及びクリーンルーム1cの室圧を確実に所定の値に保持し得るようにしたことである。
【0124】
すなわち、空調機29から主ダクト46、ダクト46a,46b,46cを経てクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b、クリーンルーム1cに導入される空気(給気)の温度は、最大で20℃程度である。又、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2bの空気流路4a,4b、クリーンルーム1cの空気流路4cを通る循環空気還気は、熱負荷の大きい室では、約23℃程度以上に昇温されていることがある。従って、空調機29の加熱コイル33で再熱された後においても20℃と循環空気還気よりも低温の空気を利用するのが省エネルギ上、好ましく、そのためには、流量制御弁10a,1b,10cの弁開度の他に、ダンパ47a,47b,47cの開度を考慮して、蒸気加湿器35へ蒸気を供給する蒸気管路43の流量制御弁42の制御を行うのが望ましいのである。
【0125】
又、図10の空調システムにおいても、図20の示す従来の空調システムと同様、クリーンルーム1aにおける内室2aの圧力(室圧)Paを検出するための圧力検出器48、PID演算器49が設けられているが、制御系統は、図20の空調システムとは異なっている。PID演算器49及び設定露点温度コントローラ51並びにダンパ開度コントローラ62a,62b,62cの詳細は図12に示されている。なお、以下の説明では、図が複雑になるため、図10、図12のうちどちらかの図にのみに示してある記号もあるが、実際には図10、図12の系統の両方に必要である。又、設定される各データは図示してない上位コントローラより付与される。なお、図12では、図の簡略化のため、3台のダンパ開度コントローラ62a,62b,62cを1基で示してあるが、図示例の場合、実際は3基である。
【0126】
PID演算器49は、図12に示すように、圧力検出器48から与えられた内室2aの圧力Paと設定された内室2aの設定圧力Poの差である圧力偏差ΔPを求める減算部63と、減算部63で求められた圧力偏差ΔPを比例積分微分演算してダンパPID開度Dpidを求めるPID制御部64を備えている。又、図12に示すように、実施例2では、設定露点温度コントローラ51には、図2に示す設定露点温度算出部54以外に、ダンパ開度バイアス量演算部65を備えている。而して、設定露点温度コントローラ51のダンパ開度バイアス量演算部65には、PID演算器49におけるPID制御部64からのダンパPID開度Dpidと、流量制御弁10a,10b,10cのダンパ開度演算時に用いる流量制御弁開度設定下限値Bau,Bbu,Bcuと、同じく流量制御弁開度設定値の不感帯Badif,Bbdif,Bcdifと、流量制御弁10a,10b,10cの弁開度指令Va,Vb,Vcと、ダンパ47a,47b,47ccのダンパ開度上限値Doと、同じくダンパ開度バイアス量上限値Dbmax、ダンパ開度バイアス量下限値Dbmin、ダンパ開度バイアス量変更量Dbを設定し得るようになっている。
【0127】
設定露点温度コントローラ51のダンパ開度バイアス量演算部65では、PID演算器49のPID制御部64から与えられたダンパPID開度Dpid、設定された流量制御弁開度設定下限値Bau,Bbu,Bcu、流量制御弁開度設定値の不感帯Badif,Bbdif,Bcdif、流量制御弁10a,10b,10cの弁開度指令Va,Vb,Vc、ダンパ開度上限値Do、ダンパ開度バイアス量上限値Dbmax、ダンパ開度バイアス量下限値Dbmin、ダンパ開度バイアス量変更量ΔDbからダンパ開度バイアス量Dbia,Dbib,Dbicを演算し、演算したダンパ開度バイアス量Dbia,Dbib,Dbicはダンパ開度コントローラ62a,62b,62cのダンパ開度演算部66へ与え得るようになっている。又、PID演算器49のPID制御部64からのダンパPID開度Dpidもダンパ開度コントローラ62a,62b,62cのダンパ開度演算部66へ与えられるようになっている。
【0128】
ダンパ開度コントローラ62a,62b,62cのダンパ開度演算部66では、ダンパPID開度Dpidとダンパ開度バイアス量Dbia,Dbib,Dbicを基に、ダンパ開度Dca,Dcb,Dccを演算し、演算したダンパ開度Dca,Dcb,Dccは、ダンパ開度指令としてダクト46a,46b,46cに設けたダンパ47a,47b,47cの駆動装置に与え得るようになっている。
【0129】
実施例2の空調システムにおける概略の運転手順は図11に示されており、運転が開始されると先ず省エネ運転設定ONが検討される(S21)。而して、省エネ運転設定がYESの場合は、サブルーチンIの運転を開始する。サブルーチンIでは、空調機29から主ダクト46、ダクト46a,46b,46cを経てクリーンルーム1a,1bの内室2a、2b、クリーンルーム1cに導入される空気(給気)についての設定露点温度の変更を行う。具体的には、流量制御弁10a,10b,10cの開度を見て、空調機29の蒸気加湿器35に蒸気を供給する温水管路41に設けられている噴霧量制御弁42の開度を制御して、蒸気加湿器35に供給する蒸気の流量を調整して蒸気加湿器35で加湿される空気の露点温度を制御することが行われ、前述したように省エネルギ及びにクリーンルーム1a,1b,1cの温度制御の精度の向上に役立つ。手順は実施例1と同様である。
【0130】
又、サブルーチンIが終了後にサブルーチンIIに移行する。この場合は、ダンパ47a,47b,47cによりクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b、クリーンルーム1cに分配される空気(給気)の流量を調整することになる。すなわち、例えば熱負荷が高い室では循環空気還気を冷却するため、流量制御弁10a,10b,10cの開度が大きくなり、多量の冷水が必要となるが、ダンパ47a,47b,47cによりクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b、クリーンルーム1cに分配される空気(給気)を増量すれば、当該給気は、クリーンルーム1a,1b,1cにおける空気流路4a,4b,4cの循環空気還気の温度よりも低いため、循環空気還気を冷却するのに用いることができる。このため、流量制御弁10a,10b,10cの開度を絞ることができ、冷水の流量を減少させることができる。
【0131】
サブルーチンIIでは、サブルーチンIIが開始されてから、例えば30分経過しているか否か検討され(S22)、YESの場合は、省エネ運転設定ONの前に戻って次回の省エネ運転設定ONに備え、NOの場合は30分経過するまでは、サブルーチンIIの運転が継続される。云うまでもなくこの経過時間は、ケースにより変更されるが、1分未満ではハンチングする虞があるので、分単位が望ましい。
【0132】
次に、実施例2で、ダンパ開度Dca,Dcb,Dcc求める手順を図12、図13をも参照しつつ説明するが、ここでは、サブルーチンIIの運転となる。以下の説明では、ダンパの開度に関連する記号の単位は%である。なお、図13においてZ1で示す範囲は、図12の設定露点温度コントローラ51におけるダンパ開度バイアス量演算部65での演算となり、Z2で示す範囲は、図12のダンパ開度コントローラ62a,62b,62cにおけるダンパ開度演算部66での演算になる。又、図12と図13に示す記号で同一の記号は同一のものを示している。更に、図13の各記号の添字kは、図12の各記号の添字a,b,cの順にループ演算することをまとめて示している。
【0133】
運転時には一定時間間隔(例えば、10分間隔)でi番目の種々のデータが与えられる。i番目のデータとしては、例えば、クリーンルーム1aの内室2aの設定圧力Po、圧力検出器48により検出した内室2aの圧力Pa、流量制御弁開度設定下限値Bau,Bbu,Bcu、流量制御弁開度設定値の不感帯Badif,Bbdif,Bcdif、流量制御弁10a,10b,10cの弁開度指令Va,Vb,Vc、ダンパ47a,47b,47cのダンパ開度上限値Do、ダンパ開度バイアス量上限値Dbmax、ダンパ開度バイアス量下限値Dbmin、ダンパ開度バイアス量変更量ΔDbがある(図12参照)。而して、これらのデータからi番目の所定の演算が行われる。
【0134】
すなわち、PID演算器49の減算部63には、上位コントローラからクリーンルーム1aの内室2aの設定圧力Poが設定されると共に、圧力検出器48により検出した内室2aの圧力Paが与えられる。而して、PID演算器49の減算部63においては、圧力Paと設定圧力Poの差が採られて圧力偏差ΔPが求められ、求められた圧力偏差ΔPはPID制御部64で比例積分微分演算されてダンパPID開度Dpidが算出され、ダンパPID開度Dpidは設定露点温度コントローラ51のダンパ開度バイアス量演算部65に与えられる。又、同時にダンパPID開度DpidはPID演算器49からダンパ開度コントローラ62a,62b,62cにも与えられる(図12参照)。
【0135】
而して、図13のZ1の範囲の演算は、図12の設定露点温度コントローラ51におけるダンパ開度バイアス量演算部65で行われ、図13のZ2の範囲の演算は、ダンパ開度コントローラ62a,62b,62cにおけるダンパ開度演算部66で行われる。
【0136】
設定露点温度コントローラ51のダンパ開度バイアス量演算部65においては、ダンパPID開度Dpidの他に流量制御弁開度設定下限値Bau,Bbu,Bcu、流量制御弁開度設定値の不感帯Badif,Bbdif,Bcdif、流量制御弁10a,10b,10cの弁開度指令Va,Vb,Vc、ダンパ47a,47b,47cのダンパ開度上限値Do、ダンパ開度バイアス量上限値Dbmax、ダンパ開度バイアス量下限値Dbmin、ダンパ開度バイアス量変更量ΔDbが入力されており、これらのデータからダンパ開度バイアス量Dbia,Dbib,Dbicが演算されてダンパ開度コントローラ62a,62b,62cに与えられる(図12参照)。
【0137】
例えば、i番目のダンパPID開度Dpidとダンパ開度上限値DoがDpid>Doか否か検討され(図13のS31)、YESの場合は優先処理が行われる。すなわち、優先処理となった場合は、ダンパ開度バイアス量Dbia,Dbib,Dbicが「前回の値+ΔDb」として求められる。ここで、優先処理とは、PID演算器49の指示値が大きくて、PID演算器49がダンパ47a,47b,47cに大きな開度を要求している場合、クリーンルーム1a,1b,1c内の陽圧を確保するためには、当該室には、多量の給気が必要となる。従って、バイアスによってダンパ47a,47b,47cの開度を小さくして給気を絞っては危険であるため、バイアスを全系統で増加する処理を行う。
【0138】
優先処理で演算されたダンパ開度バイアス量Dbia,Dbib,DbicはダンパPID開度Dpidと加算され、ダンパ開度Dca或はDcb又はDcc=Dpid+Dbia或はDbib又はDbicとして演算され、このダンパ開度Dca,Dcb,Dccにより、ダンパ47a,47b,47cの開度が制御される。
【0139】
又、Dpid>DoがNOの場合は、ダンパ47a,47b,47cごとの個別処理が、ループ演算kとして行われる。kはクリーンルーム1a,1bの内室2a,2b、クリーンルーム1cのダンパ47a,47b,47cに対応して、a,b,cのループで順次繰り返されることである。すなわち、S31でDpid>DoがNOの場合は、弁開度指令Vk<Bku−Bkdifか否か検討される(図13のS32)。ここで、kはa,b,cの何れかを意味し、順次繰り返されることになる。Vkは図12の弁開度指令Va又はVb若しくはVcのことであり、Bkuは、図12の流量制御弁開度設定下限値Bau又はBbu若しくはBcuのことである。
【0140】
S32でVk<Bku−BkdifがYESの場合は、ダンパ開度バイアス量Dbik>Dbminか否か検討され(図13のS33)、YESの場合は、ダンパ開度バイアス量が「Dbik=前回の値−ΔDb」として演算される。ここで、kはa又はb若しくはcの順で循環したものをまとめて示している。以下の説明でも同様である。
【0141】
S32でVk<Bku−BkdifがNOの場合は、弁開度指令Vk<Bkuか否か検討され(図13のS34)、YESの場合は、ダンパ開度バイアス量は「Dbik=前回の値」となる。
【0142】
S34でVk<BkuがNOの場合は、ダンパ開度バイアス量Dbik<Dbmaxか否か検討され(図13のS35)、YESの場合は、ダンパ開度バイアス量は「Dbik=前回の値+ΔDb」として演算される。
【0143】
S33でDbik>DbminがNOの場合、S35でDbik>DbminがNOの場合は、S34でVk<BkuがYESの場合と同様、ダンパ開度バイアス量は「Dbik=前回の値」となる。
【0144】
kがa,bと順次ループした後、k=cになれば、ループ演算は終了し、ダンパ開度Dca或はDcb又はDcc=Dpid+Dbia或はDbib又はDbicとして演算され、このダンパ開度Dca,Dcb,Dccにより、ダンパ47a,47b,47cの開度が制御される。
【0145】
ダンパ開度Dca,Dcb,Dccの演算が終了した場合は、終了か否か検討され(S36)、YESの場合は次回のダンパ開度の調整を行うまで制御は終了し、NOの場合は次の順番に移行し、i+1番目のデータの入力が開始され、前述の手順が繰り返される。
【0146】
本実施例2においては、実施例1と同様の作用効果を奏し得る他、冷水用の流量制御弁10a,10b,10cの弁開度指令Va,Vb,Vc及び加湿水噴霧器14a,14b,14cに供給される加湿水の流量を制御する噴霧量制御弁16a,16b,16cの弁開度指令Wa,Wb,Wcにより、蒸気加湿器35に蒸気を供給する蒸気管路43の噴霧量制御弁42の開度を制御して設定露点温度Hspを制御すると共に、前記流量制御弁10a,10b,10cの弁開度指令Va,Vb,Vcによりダンパ47a,47b,47cのダンパ開度Dca,Dcb,Dccを制御して各クリーンルーム1a,1b,1cに分配して給気される空気の単位時間当たりの流量も制御するようにしている。この場合、クリーンルーム1a,1b,1cに分配して給気される空気の温度は、冷却除湿コイル32で過冷却されて除湿されて加熱コイル33により加熱され20℃となっているが、、クリーンルーム1a,1b,1cの循環空気還気(23℃)よりも低温である。
【0147】
このため、クリーンルーム1a,1b,1cのうち熱負荷の大きいクリーンルーム1a,1b,1cの系統では、ダンパ47a,47b,47cを開いてクリーンルーム1a,1b,1cに導入される空調機29からの空気(給気)を増やすことで、この給気された空気によるクリーンルーム1a,1bの内室2a,2bやクリーンルーム1cの冷却効果が向上する。従って、ダンパ開度Dca,Dcb,Dccを大きくして給気される空気を増加させた系統の流量制御弁10a,10b,10cの弁開度指令Va,Vb,Vcを絞って冷水の流量を減少させることが可能となる。
【0148】
又、熱負荷の小さいクリーンルーム1a,1b,1cの系統では、ダンパ47a,47b,47cの開度が小さくなってクリーンルーム1a,1b,1cに導入される空調機29からの空気(給気)が減少し、この給気された空気によるクリーンルーム1a,1bの内室2a,2bやクリーンルーム1cの冷却効果が下降する。このため、ダンパ開度Dca,Dcb,Dccを小さくして給気される空気を減少させた系統の流量制御弁10a,10b,10cの弁開度指令Va,Vb,Vcは開いて大きくなるため、冷水の流量が増加する。
【0149】
従って、クリーンルーム1a,1b,1cの空調機29から給気される空気を均等に分配することにより、当該空気による冷却が熱負荷の大小に拘らず同一である実施例1に対して、実施例2では、熱負荷の大きさにより空調機29からの空気の量を調整することができるため、熱負荷が大きくて空調機29からの空気が多量となる系統では、流量制御弁10a,10b,10cの弁開度指令Va,Vb,Vcは絞られ、熱負荷が小さくて空調機29からの空気が少量となる系統では、流量制御弁10a,10b,10cの弁開度指令Va,Vb,Vcは開くよう制御が行われる。このため、熱負荷が相違していても、各系統の流量制御弁10a,10b,10cの弁開度差は少なくなって均一化し、冷水による冷却量の偏在を平滑化して緩和することができる。
【0150】
前述したように、熱負荷が大きいクリーンルーム1a,1b,1cでは、空調機29から給気される空気の流量が増加するため、クリーンルーム1a,1b,1cからファン23a,23b,23cにより排気される湿潤空気の流出量や、間仕切り等の隙間からクリーンルーム1a,1b,1c外へ漏洩する湿潤空気の漏洩量が増加する(給気される空気の量と排気される空気の量は同じになるように制御するため。)。一方、クリーンルーム1a,1b,1c内の湿度は所定の値(45%)に維持する必要があるが、空調機29から給気される空気の湿度は、クリーンルーム1a,1b,1c内の循環空気還気よりも湿度が低いため、ファン23a,23b,23cにより排気される湿潤空気の流出量や、間仕切り等の隙間からクリーンルーム1a,1b,1c外へ漏洩する湿潤空気の漏洩量が増加すると、クリーンルーム1a,1b,1c内の湿度は低くなる。このため、クリーンルーム1a,1b,1cの加湿水噴霧器14a,14b,14cからの水の噴霧量は増加させる必要があり、噴霧量制御弁16a,16b,16cの開度は大きくなるよう制御される。従って、噴霧量制御弁16a,16b,16cから噴霧された水によりクリーンルーム1a,1b,1c内は所定の湿度に維持させると共に、加湿水の蒸発による空気の冷却量は増加し、その結果、流量制御弁10a,10b,10cの弁開度は小さくなるよう制御される。
【0151】
又、同様に熱負荷が小さいクリーンルーム1a,1b,1cでは、空調機29から給気される空気の流量が減少するため、クリーンルーム1a,1b,1cからファン23a,23b,23cにより排気される湿潤空気の流出量や、間仕切り等の隙間からクリーンルーム1a,1b,1c外へ漏洩する湿潤空気の漏洩量が減少する。一方、クリーンルーム1a,1b,1c内の湿度は所定の値(45%)に維持する必要があるが、空調機29から給気される空気の湿度は、クリーンルーム1a,1b,1c内の循環空気還気よりも湿度が低いため、ファン23a,23b,23cにより排気される湿潤空気の流出量や、間仕切り等の隙間からクリーンルーム1a,1b,1c外へ漏洩する湿潤空気の漏洩量が減少すると、クリーンルーム1a,1b,1c内の湿度は高くなる。このため、クリーンルーム1a,1b,1cの加湿水噴霧器14a,14b,14cからの水の噴霧量を減少させる必要があり、噴霧量制御弁16a,16b,16cの開度は絞られるよう制御される。従って、噴霧量制御弁16a,16b,16cから噴霧された少量の水によりクリーンルーム1a,1b,1c内は所定の湿度に維持されると共に、加湿水の蒸発による空気の冷却量は減少し、その結果、流量制御弁10a,10b,10cの弁開度は大きくなるよう制御される。
【0152】
従って、実施例2では、実施例1の場合と同様に、蒸気加湿器35での加熱、加湿エネルギの節減を図ることができると共に、加湿水噴霧器14a,14b,14cでの水の噴霧量が増加することから、当該噴霧される水の蒸発により各クリーンルーム1a,1b,1cを冷却することができるため、冷却コイル9a,9b,9cにおける冷水流量を節減することができて冷却エネルギを節減でき、加えて空調機29から給気される空気の量を各クリーンルーム1a,1b,1cの熱負荷により調整するようにしているため、より一層効率的に省エネルギを達成することができる。
【0153】
次に、図10に示す実施例2の空調システムの動作フローについて、図14、図15により説明する。図14、図15は実施例2のサブルーチンIIにおいて、各クリーンルーム1a、1b,1cの熱負荷に対応してダンパ47a,47b,47cの開度を調整することにより、空調機29からクリーンルーム1a,1b,1cに供給される空気の流量の分配を変更する場合を示している。図14、図15中には、ダクト46a,46b,46cに設けてある全てのダンパ47a,47b,47cの開度を制御する場合の流量制御弁10a,10b,10c及び噴霧量制御弁16a,16b,16c並びにダンパ47a,47b,47c等の開度情報、露点温度或は機器により検出された指示値等を具体的に記載した数値を入れた具体例が示されている。
【0154】
なお、空調機29からクリーンルーム1a,1b,1cに空気を供給するダクト46a,46b,46cにダンパ47a,47b,47cが設けてある場合に、全てのダンパ47a,47b,47cのダンパPID開度Dpidを50%とする場合の流量制御弁10a,10b,10c及び噴霧量制御弁16a,16b,16c並びにダンパ47a,47b,47c等の開度情報、露点温度或はその機器により検出された指示値等を具体的に記載した数値の例は、従来の図20の従来の空調システムに示してある。
【0155】
而して、図14においては、クリーンルーム1a,1b,1cのうち熱負荷が最も少ないクリーンルーム1cの系統の流量制御弁10cの開度(弁開度指令Vc=20%)は少ないので、ダンパ開度バイアス量Dbicを10%減らし、ダンパ開度Dcc=Dpid+Dbic=50%−10%=40%となる。又、ダンパ開度Dccを絞ることにより、空調機29から給気される空気(クリーンルーム1c内の循環空気還気よりも温度及び湿度が低い)の流量が減少し、且つ、ファン23cにより排出される空気の流出量も減るため、クリーンルーム1c内の循環空気還気からの水分の損失量も減少し、このため、加湿水管路15cにおける噴霧量制御弁16cの開度(弁開度指令Wc)は、他のクリーンルーム1a,1bの系統の噴霧量制御弁16a,16bの開度よりも小さく、Wc=10%となる。これにより、クリーンルーム1cの湿度調整が良好に行われる。更に、噴霧量制御弁16cの開度が小さくなることにより、クリーンルーム1cを所定の温度に冷却するべく、流量制御弁10cの開度は、空調機29から給気される空気を、図20に示すダクト47a,47b,47cのダンパPID開度Dpidを均等にしてクリーンルーム1a,1b,1cに均等に分配する場合における流量制御弁10cの開度がVc=10%であったのに対しVc=20%と大きくなる。
【0156】
熱負荷が大のクリーンルーム1aでは、クリーンルーム1aよりも熱負荷が少ないクリーンルーム1b,1cの系統と逆の動作となる。このため、流量制御弁10a,10b,10cの開度のばらつきは、図20に示すように空調機29から給気される空気をクリーンルーム1a,1b,1cに均等に分配する場合の流量制御弁10a,10b,10cの開度(Va=70%、Vb=40%、Vc=10%)に比べて少なくなり、特に、流量制御弁10cの開度が大きくなったため、空調機29から給気される空気をクリーンルーム1a,1b,1cに均等に分配する場合に比較して、その設定露点温度Hspを図15に示すように、低下させることが可能となった。
【0157】
図15で設定露点温度Hspを変更するのは次のようにして行われる。すなわち、図14に示す制御で、流量制御弁10cの弁開度指令Vcは、図20に示す10%から20%と大きくなり、冷水の流量が多量になる。而して、冷水の流量を削減するためには、クリーンルーム1cにおける加湿水噴霧器14cからの加湿水の噴霧量を増加する必要がある。しかるに、加湿水噴霧器14cからの加湿水の噴霧量を増加すると、クリーンルーム1cの湿度が高くなり、所定の湿度に維持できないため、設定露点温度Hspを下げて(図14ではHsp=7℃、図15ではHsp=5℃)空調機29での蒸気加湿器35からの蒸気の噴霧量を削減させる。又、空調機29における蒸気加湿器35の噴霧量制御弁42の開度が減少して(図14ではWx=80%、図15ではWx=70%)蒸気による加湿が減少するため、クリーンルーム1a,1b,1cの湿度を維持するべく、クリーンルーム1a,1b,1cの加湿水噴霧器14a,14b,14cの噴霧量制御弁16a,16b,16cの開度が大きくなる(図14では、Wa=30%、Wb=20%、Wc=10%、図15では、Wa=40%、Wb=30%、Wc=20%)
【0158】
この結果、空調機29における蒸気加湿器35での蒸気の消費量が削減され(図14では、噴霧量制御弁42の弁開度指令Wx=80%、図15では弁開度指令Wx=70%)、又、流量制御弁10a,10b,10cのトータルの冷水流量も削減される(図14では、Va+Vb+Vc=70%+40%+10%=120%、図15では、Va+Vb+Vc=50%+30%+10%=90%)。更に又、空調機29から給気されてクリーンルーム1a,1b,1cに分配される空気の分配を適正化することにより、これらの効果は更に上昇する。
【0159】
前記実施例2において制御を行う場合の空気線図をクリーンルーム1bについて、図20に示す従来の空調システムとの比較で示すと図16bのようになる。今回の空調システムの各計測点は図16aに●Iから●VIIとして示してあり、従来の各計測点は図20に◆Iから◆VIIとして示してある。又、各計測点の状態は図16bにプロットしてあり、●印と◆印の何れにおいても、Iは空調機29に導入される外気OAの状態、IIは空調機29に取込まれて加熱コイル33で加熱された後の空気の状態、IIIは蒸気加湿器35で加湿された後の空気の状態、IVは空調機29からクリーンルーム1b内に給気された空気とクリーンルーム1bの空気流路4bから循環してきた循環空気還気が混合した空気の状態、Vは流量制御弁10bを通る冷水により冷却された後の空気の状態、VIは噴霧量制御弁16bからの水により加湿されると共に、水が蒸発して冷却された後の空気の状態、VIIは、クリーンルーム1bの内室2bに排出されて空気流路4bを流れる空気の状態である。
【0160】
この図16bから◆IIIと●IIIとの差H1は、図10の実施例2の空調システムと図20の従来の空調システムの蒸気加湿器35における蒸気の使用量の差となり、図10の実施例2の場合、図20の場合に比べて差H1だけ蒸気の使用量を削減できることが明らかである。●Vと◆Vとの差T1は、図10の実施例2の空調システムと図20の従来の空調システムの加湿水噴霧器14bにおいて噴霧された水の蒸発量による冷却量の差となり、図10の実施例2の場合、図20の場合に比べて差T1だけ冷却コイル9a,9b,9cにおける冷水の使用量を削減できることが明らかである。クリーンルーム1a,1bにおいても、空気線図は略図16bのようになる。但し、差H1、T1は熱負荷により異なる。
【実施例2】
【0161】
図17、図18a、図18bは請求項3、4、6、6、7、8に対応する本発明の実施例3である。図中、図20と同一のものには同一の符号が付してある。又、実施例3の説明で、クリーンルーム1a,1b,1cは請求項3、5、6、7の「被空調空間」、加熱コイル70は請求項3、5の「第一の加熱手段」、ワッシヤ67は請求項3の「第一の水加湿手段」、冷却コイル71は請求項3の「第一の冷却手段」、再熱コイル72は請求項3の「第二の加熱手段」、温水管路75は請求項3の「熱媒管路」、加湿水噴霧器14a,14b,14cは請求項3、5の「第二の水加湿手段」、冷却コイル9a,9b,9cは請求項3、5、6の「第二の冷却手段」である。更に、冷水コントローラ26a,26b,26cは請求項5の「第一の手段」、加湿水コントローラ28a,28b,28cは請求項5の「第二の手段」、設定露点温度コントローラ51は請求項5の「第三の手段」、露点温度コントローラ45は請求項5の「第四の手段」である。更に又、PID検出器49は請求項6の「第5の手段」、設定露点温度コントローラ51内のダンパ開度バイアス量演算部65は請求項6の「第六の手段」、ダンパ開度コントローラ62a,62b,62cは請求項6の「第七の手段」である。
【0162】
而して、実施例3において実施例2と異なる主なところは、空調機29において空気を加湿するために、実施例2の蒸気加湿器35に替えて、水加湿のためのワッシヤ67を用いるようにしたことである。又、ワッシヤ67を用いることにより、空調機29のファン36上流側の機器の配置が実施例2とは異なっている。而して、空調機29のケーシング30内には、空気流れ方向上流側からワッシヤ67側へ向けて、中性能フィルタ68、予熱コイル69、加熱コイル70が順次配置されている。又、ワッシヤ67の空気流れ方向下流側には、冷却コイル71、再熱コイル72が順次配置されている。
【0163】
予熱コイル69では、中途部に温水の流量を制御する流量制御弁73を備えた温水管路74から送給された温水によって、ケーシング30内にファン36の吸引力により導入された外気OAを予熱し得るようになっている。加熱コイル70では、中途部に温水の流量を制御する流量制御弁75を備えた温水管路76から送給された温水により、予熱コイル69で予熱されて送給されてきた空気を加熱し得るようになっている。又、流量制御弁75には、露点温度コントローラ45において、設定露点温度Hsp及び空気の露点温度Hrを基に求めた弁開度指令Wxを与えて、流量制御弁75の開度を制御し得るようになっている。
【0164】
ワッシヤ67では、中途部に水の流量を制御する流量制御弁77を備えた温水管路78から送給された水により、加熱コイル70で加熱されて送給されてきた空気を噴霧し得るようになっている。冷却コイル71では、中途部に冷水の流量を制御する流量制御弁79を備えた冷水管路80から送給された冷水により、ワッシヤ67からの空気を露点温度以下に過冷却して除湿し得るようになっている。再熱コイル72では、中途部に温水の流量を制御する流量制御弁81を備えた温水管路82から送給された温水により、冷却コイル71で過冷却して除湿された、クリーンルーム1a,1bの内室2a,2b及びクリーンルーム1cの要求する所定の露点温度に調整された空気を、所定温度まで加熱して再熱し得るようになっている。図中、図10に示す符号と同一のものには同一の符号が付してある。
【0165】
実施例3においても、クリーンルーム1a,1b,1c側の流量制御弁10a,10b,10c、噴霧量制御弁16a,16b,16c、ダンパ47a,47b,47cの制御は、実施例2に示す空調システムと略同じである。而して、実施例3においては、ワッシヤ67の系統の流量制御弁77は全開であり、設定露点温度Hspの制御は、ワッシヤ67前段の加熱コイル70の加熱量で調整する。すなわち、露点温度コントローラ45においては、設定露点温度コントローラ51からの設定露点温度Hspと空調機29におけるファン36下流側における空気の露点温度Hrの差を採って設定露点偏差を求め、この設定露点偏差を比例積分処理して弁開度指令Wxを求め、この弁開度指令Wxを流量制御弁75に与えて開度の制御を行い、加熱コイル70へ供給される温水の流量を制御し、空気を所定の温度に加熱する。すなわち、空調機29に取込まれた外気OAは、中性能フィルタ68でごみを粗取りされ、予熱コイル69で予熱され、加熱コイル70で所定の温度に加熱され、ワッシヤ67において水により洗浄されてNH、NOx、SOx等のガス成分を除去され、冷却コイル71で過冷却されて飽和状態に除湿され、再熱コイル72で所定の温度に加熱され、ファン36により加圧されて高性能フィルタ37で細かいごみを除去されたうえ、クリーンルーム1a,1b,1cに供給される。又、ワッシヤ67から噴霧された水の蒸発により空調機29内の空気は冷却される。
【0166】
実施例3でも実施例1、2と同様な作用効果を奏することができる他、以下に述べるような作用効果を奏することもできる。すなわち、実施例3において制御を行う場合の空気線図をクリーンルーム1bについて、従来の空調システムとの比較で示すと図18bのようになる。なお、ここでは従来の空調システムは図示してないが、図17の空調システムと異なるところは、設定露点温度コントローラ51が設けられてはおらず、設定露点温度Hspが固定値である点である。
【0167】
今回の空調システムの各計測点は、図18aに●XIから●XVIIIとして示し、又、従来の計測点は、図18aに◆XIから◆XVIIIとして併記している(正確には、従来は図18aとは設定露点温度コントローラ51がない等、異なるが便宜上本図を利用している。)。又、図18bの空気線図には、各計測点の状態がプロットしてあり、●印と◆印の何れにおいても、XIは空調機29に導入される外気OAの状態、XIIは空調機29に取込まれて加熱コイル70で加熱された後の空気の状態、XIIIはワッシヤ67で水洗された後の空気の状態、XIVは再熱コイル72で再熱された後の空気の状態、XVは空調機29からクリーンルーム1b内に給気された空気とクリーンルーム1bの空気流路4bから循環してきた循環空気還気が混合した空気の状態、XVIは流量制御弁10bを通る冷水により冷却された後の空気の状態、XVIIは噴霧量制御弁16bからの水により加湿されると共に、水が蒸発して冷却された後の空気の状態、XVIIIは、クリーンルーム1bの内室2bに排出されて空気流路4bを流れる空気の状態である。
【0168】
この図18bから◆XIIと●XIIとの差Hllは、実施例3において加熱コイル70での加熱量が少ないことを示しており、温水(又は蒸気)が削減できることを示している。なお、加熱コイル70での加熱は23℃以上を要求されるため、高質な温熱が必要となる。又、●XIIIと◆XIIIとの差H12は、ワッシヤ67でワッシヤされた後の空気の加熱量は増加していることを示しており、ここでは温度は23℃以下であるため、低質の温熱で良く、影響は少ないものと考えられる。又、水は生産装置21bの冷却水として逆に使用することができるという利点がある。図18bの●XIVと◆XIVとの差H13は、クーリングルーム1bの冷却コイル9bで冷却された後の空気の状態を示しており、冷却コイル9bへ供給する冷水の量が節減できたことを示している。
【0169】
なお、本発明の実施例では、蒸気加湿器35の噴霧量制御弁42の制御や加熱コイル70の流量制御弁75は弁開度指令Wxにより行い、加湿水噴霧器14a,14b,14cの制御は弁開度指令Wa,Wb,Wcにより行う場合について説明したが、弁開時間により行うこともできること(この場合には、例えば露点温度コントローラ45や加湿水コントローラ28a,28b,28cにタイマを設けておく必要がある。)、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0170】
1a,1b,1c クリーンルーム(被空調空間)
9a,9b,9c 冷却コイル(第二の冷却手段)
10a,10b,10c 流量制御弁
11a,11b,11c 冷水管路
14a,14b,14c 加湿水噴霧器(水加湿手段)(第二の水加湿手段)
16a,16b,16c 噴霧量制御弁
26a,26b,26c 冷水コントローラ(第一の手段)
28a,28b,28c 湿度コントローラ(第二の手段)
29 空調機
32 コイル(第一の冷却手段)
33 再熱コイル(再熱手段)
35 蒸気加湿器(蒸気加湿手段)
42 噴霧量制御弁
43 蒸気管路
45 露点温度コントローラ(第四の手段)
46a,46b,46c ダクト(ライン)
47a,47b,47c ダンパ
49 PID演算器(第五の手段)
51 設定露点温度コントローラ(第三の手段)
62a,62b,62c ダンパ開度コントローラ(第七の手段)
65 ダンパ開度バイアス量演算部(第六の手段)
67 ワッシヤ(第一の加湿手段)
70 加熱コイル(第一の加熱手段)
71 冷却コイル(第一の冷却手段)
72 再熱コイル(加熱手段)
73 流量制御弁
74 温水管路
75 流量制御弁
76 温水管路(熱媒管路)
ta,tb,tc 温度(室温)
tao,tbo,tco 設定温度
Δta,Δtb,Δtc 温度偏差(偏差)
ha,hb,hc 湿度
hao,hbo,hco 設定湿度
Δha,Δhb,Δhc 湿度偏差(偏差)
Hsp 設定露点温度
Hr 露点温度
ΔH 露点偏差(偏差)
Wa,Wb,Wc 弁開度指令
Wx 弁開度指令
Wmin 噴霧量制御弁開度設定下限値
Wmix 噴霧量制御弁開度設定上限値
Bau,Bbu,Bcu 流量制御弁開度設定下限値
La1,La2,La3,Lb1,Lb2,Lb3,Lc1,Lc2,Lc3 温湿度制御レベル
Aau,Abu,Acu 流量制御弁開度設定下限値
Adif 流量制御弁開度設定値の不感帯
Bau,Bbu,Bcu 流量制御弁開度設定下限値
Badif,Bbdif,Bcdif 流量制御弁開度設値の不感帯
T2difαi,T2difβi,T3difαi,T3difβi 不感帯温度差
Hspmax 設定露点温度上限値
Hspmin 設定露点温度下限値
ΔHsp 設定露点温度変更量
Pa 圧力
Po 設定圧力
ΔP 圧力偏差(偏差)
Va,Vb,Vc 弁開度指令
Do ダンパ開度上限値
Dpid ダンパPID開度
Dbia,Dbib,Dbic ダンパ開度バイアス量
Dbmax ダンパバイアス量上限値
Dbmin ダンパバイアス量下限値
ΔDb ダンパバイアス量変更量
Dca,Dcb,Dcc ダンパ開度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入された空気を過冷却して除湿する第一の冷却手段と、該第一の冷却手段で冷却された空気を加熱する加熱手段と、該加熱手段で加熱された空気を蒸気により加湿する蒸気加湿手段とを備えた空調機と、
該空調機から給気されて内部で循環する空気を冷却し得るようにした第二の冷却手段と、該第二の冷却手段で冷却された空気を加湿する水加湿手段を備えた少なくとも一つの被空調空間を備え、
前記空調機内の蒸気加湿手段へ蒸気が供給される蒸気管路の噴霧量制御弁の開度を、前記空調機内の蒸気加湿手段で加湿されるか、若しくは前記第一の冷却手段で除湿された空気の露点温度と、前記第二の冷却手段へ冷水を供給するか、若しくは冷水を排出する冷水管路に設けた流量制御弁への弁開度指令、並びに前記水加湿手段へ加湿水を供給する加湿水管路に設けた加湿水噴霧量制御弁の弁開度指令に基いて求めた設定露点温度との差を基に制御するよう構成したことを特徴とする空調システム。
【請求項2】
導入された空気を過冷却して除湿する第一の冷却手段と、該第一の冷却手段で冷却された空気を加熱する加熱手段と、該加熱手段で加熱された空気を蒸気により加湿する蒸気加湿手段とを備えた空調機と、
該空調機から給気されて内部で循環する空気を冷却し得るようにした第二の冷却手段と、該第二の冷却手段で冷却された空気を加湿する水加湿手段を備えた少なくとも一つの被空調空間を備え、
前記空調機内の蒸気加湿手段へ蒸気が供給される蒸気管路の噴霧量制御弁の開度を、前記空調機内の蒸気加湿手段で加湿されるか、若しくは前記第一の冷却手段で除湿された空気の露点温度と、前記第二の冷却手段へ冷水を供給するか、若しくは冷水を排出する冷水管路に設けた流量制御弁への弁開度指令、並びに前記水加湿手段へ加湿水を供給する加湿水管路に設けた加湿水噴霧量制御弁の弁開度指令に基いて求めた設定露点温度との差を基に制御するよう構成し、
前記空調機から被空調空間へ空気を送るラインに設けたダンパの開度を、前記第二の冷却手段の流量制御弁への弁開度指令に対応して制御し得るよう構成したことを特徴とする空調システム。
【請求項3】
導入された空気を加熱する第一の加熱手段と、該第一の加熱手段で加熱された空気を水加湿する第一の水加湿手段と、該第一の水加湿手段で加湿しない場合に空気を過冷却して除湿する第一の冷却手段と、該第一の冷却手段からの空気を加熱する第二の加熱手段とを備えた空調機と、
該空調機から給気されて内部で循環する空気を冷却し得るようにした第二の冷却手段と、該第二の冷却手段で冷却された空気を加湿する第二の水加湿手段を備えた少なくとも一つの被空調空間を備え、
前記第一の加熱手段に熱媒が供給される熱媒管路の流量制御弁の開度を、前記空調機内の第二の加熱手段の空気流れ方向下流側第一の水加湿手段で加湿されるか、若しくは前記第一の冷却手段で除湿された空気の露点温度と、前記第二の冷却手段へ冷水を供給するか、若しくは冷水を排出する冷水管路に設けた流量制御弁への弁開度指令、並びに前記第二の水加湿手段へ加湿水を供給する加湿水管路に設けた加湿水噴霧量制御弁の弁開度指令に基づいて求めた設定露点温度との差を基に制御するよう構成したことを特徴とする空調システム。
【請求項4】

導入された空気を加熱する第一の加熱手段と、該第一の加熱手段で加熱された空気を水加湿する第一の水加湿手段と、該第一の水加湿手段で加湿しない場合に空気を過冷却して除湿する第一の冷却手段と、該第一の冷却手段からの空気を加熱する第二の加熱手段とを備えた空調機と、
該空調機から給気されて内部で循環する空気を冷却し得るようにした第二の冷却手段と、該第二の冷却手段で冷却された空気を加湿する第二の水加湿手段を備えた少なくとも一つの被空調空間を備え、
前記第一の加熱手段に熱媒が供給される熱媒管路の流量制御弁の開度を、前記空調機内の第二の加熱手段の空気流れ方向下流側の第一の水加湿手段で加湿されるか、若しくは前記第一の冷却手段で除湿された空気の露点温度と、前記第二の冷却手段へ冷水を供給するか、若しくは冷水を排出する冷水管路に設けた流量制御弁への弁開度指令、並びに前記第二の水加湿手段へ加湿水を供給する加湿水管路に設けた加湿水噴霧量制御弁の弁開度指令に基いて求めた設定露点温度との差により制御するよう構成し、
前記空調機から被空調空間へ空気を送るラインに設けたダンパの開度を、前記第二の冷却手段の流量制御弁への弁開度指令に対応して制御し得るよう構成したことを特徴とする空調システム。
【請求項5】
複数の空調空間を対象とし、検出した被空調空間の温度と被空調空間の設定温度の偏差から、該偏差に対応した第二の冷却手段の流量制御弁の弁開度指令を算出する第一の手段と、
検出した被空調空間の湿度と被空調空間の設定湿度の偏差から、該偏差に対応した水加湿手段の加湿水噴霧量制御弁の弁開度指令を算出する第二の手段と、
前記第一の手段からの第二の冷却手段の流量制御弁に対する弁開度指令、前記第二の手段からの前記水加湿手段の加湿水噴霧量制御弁に対する弁開度指令、検出した被空調空間の温度、被空調空間の設定温度、設定された被空調空間の温湿度制御レベル、第二の冷却手段の流量制御弁の流量制御弁開度設定下限値、前記空調機内の蒸気加湿手段で加湿される空気の設定露点温度下限値、前記空調機内の蒸気加湿手段で加湿される空気の設定露点温度上限値、設定露点温度変更量、第二の冷却手段の流量制御弁の流量制御弁開度設定値の不感帯、温湿度制御レベルが二番目の被空調空間の不感帯温度差、温湿度制御レベルが一番下の被空調空間の不感帯温度差、前記水加湿手段における噴霧量制御弁の噴霧量制御弁開度設定下限値及び噴霧量制御弁開度設定上限値から空調機の設定露点温度を算出する第三の手段と、
該第三の手段からの設定露点温度及び前記蒸気加湿手段により加湿された空気の露点温度の偏差から前記蒸気加湿手段の噴霧量制御弁の弁開度指令を算出して前記蒸気加湿手段の噴霧量制御弁に与える第四の手段を設けた請求項1又は2に記載の空調システム。
【請求項6】

複数の被空調空間を対象とし、検出した被空調空間の温度と被空調空間の設定温度の偏差から、該偏差に対応した第二の冷却手段の流量制御弁の弁開度指令を算出する第一の手段と、
検出した被空調空間の湿度と被空調空間の設定湿度の偏差から、該偏差に対応した第二の水加湿手段の噴霧量制御弁の弁開度指令を算出する第二の手段と、
前記第一の手段からの第二の冷却手段の流量制御弁に対する弁開度指令、前記第二の手段からの前記第二の水加湿手段の噴霧量制御弁に対する弁開度指令、検出した被空調空間の温度、被空調空間の設定温度、設定された被空調空間の温湿度制御レベル、第二の流量制御弁の流量制御弁開度設定下限値、前記第一の水加湿手段で加湿される空気の設定露点温度下限値、前記第一の水加湿手段で加湿される空気の設定露点温度上限値、前記第一の水加湿手段で加湿される空気の設定露点温度変更量、第二の冷却手段の流量制御弁の流量制御弁開度設定値の不感帯、温湿度制御レベルが二番目の被空調空間の不感帯温度差、温湿度制御レベルが一番下の被空調空間の不感帯温差度、前記第二の水加湿手段における噴霧量制御弁の噴霧量制御弁開度設定下限値及び噴霧量制御弁開度設定上限値から空調機の設定露点温度を算出する第三の手段と、
該第三の手段からの設定露点温度及び前記空調機内の第一の水加湿手段により加湿された、若しくは第一の冷却手段で除湿された後、第二の加熱手段を通過した空気の露点温度の偏差から前記第一の加熱手段の流量制御弁の弁開度指令を算出して前記第一の加熱手段の流量制御弁に与える第四の演算制御手段を設けた請求項3又は4に記載の空調システム。
【請求項7】
検出した被空調空間の圧力と該被空調空間の設定圧力との偏差から、該偏差に対応したダンパPID開度を算出する第五の手段と、
該第五の手段からのダンパPID開度、前記第二の冷却手段の流量制御弁の弁開度指令、該第二の冷却手段の流量制御弁における流量制御弁開度設定下限値、第二の冷却手段の流量制御弁における流量制御弁開度設定値の不感帯、ダンパのダンパ開度上限値、ダンパのダンパ開度バイアス量上限値、ダンパ開度バイアス量下限値、ダンパ開度バイアス量変更量からダンパ開度バイアス量を算出する第六の手段と、
該第六の手段からのダンパ開度バイアス量と前記第五の手段からのダンパPID開度からダンパ開度を求め、空調機から被空調空間へのライン中に設けられたダンパの開度を制御する第七の手段を設けた請求項2又は4に記載の空調システム。
【請求項8】
前記空調機から被空調空間へ供給される給気の温度を、被空調空間で循環する空気の温度よりも低くなるよう構成した請求項1乃至7の何れかに記載の空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16a】
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【図16b】
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【図17】
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【図18a】
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【図18b】
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【図19】
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【図20】
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