説明

空調システム

【課題】低コストな構成でありながらも、高いエネルギー効率で空気調和と換気を同時に行うことが可能な空調システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る空調システム1は、室100内の空気を吸引し、調和した調和空気を吐出する空調機10と、室100外の外気を室100内に導入する導入管路20と、室100内の空気を室100外に排出する排出管路30と、導入管路20の途中に設けられ、空調機10から吐出された調和空気を外気に混合する混合空間41〜43と、空調機10から吐出された調和空気を混合空間に供給する供給管路51〜54と、を備え、混合空間41〜43は、調和空気を外気に段階的に混合させるために複数設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の空気を調和する空調システムに関し、特に空気調和と同時に換気を行うものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の空気を調和する、すなわち室内空気の温度、湿度および清浄度等の調節を行う空調機は、室内の空気を循環させるものが一般的に使用されている。このため、工場や厨房等、換気を必要とする場所においては、室外の新鮮な外気を室内に導入し、室内の汚染された空気を室外に排出する換気システムが、空調機とは別個に設けられることが多かった。
【0003】
しかしながら、空調機とは別個に換気システムを設けた場合、換気システムによって調和されていない外気が直接室内に導入されると共に、空調機が調和した室内の空気が室外に排出されるため、空調機の負荷が高まり、エネルギー効率が悪いという問題があった。また、室内に導入した外気と室内の調和空気を適切に混合させることが難しいため、室内に温度むらが生じやすいという問題があった。
【0004】
このような問題に対し、外気を空調機によって調和した上で室内に導入する、いわゆる全外気空調を行う空調システム(例えば、特許文献1参照)や、室内に導入する外気と室外に排出する室内空気の間で熱交換を行う熱交換型換気装置(例えば、特許文献2参照)等が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−60956号公報
【特許文献2】特開2004−212043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、全外気空調を行うシステムでは、室内空気とは大きく温度が異なる外気を直接冷却または加熱する必要があるため、やはり空調機の負荷が高くなり、エネルギー効率が悪いという問題があった。また、熱交換型換気装置では、コストが高い割に、熱交換器における流動抵抗によって換気効率が悪いという問題があった。
【0007】
本発明は、斯かる実情に鑑み、低コストな構成でありながらも、高いエネルギー効率で空気調和と換気を同時に行うことが可能な空調システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、室内の空気を吸引し、調和した調和空気を吐出する空調機と、前記室外の外気を前記室内に導入する導入管路と、前記室内の空気を前記室外に排出する排出管路と、前記導入管路の途中に設けられ、前記空調機から吐出された前記調和空気を前記外気に混合する混合空間と、前記空調機から吐出された前記調和空気を前記混合空間に供給する供給管路と、を備え、前記混合空間は、前記調和空気を前記外気に段階的に混合させるために複数設けられることを特徴とする、空調システムである。
【0009】
(2)本発明はまた、前記空調機は、前記室内を冷房する場合に、複数の前記混合空間のそれぞれに対し、前記混合空間から流出する空気の温度が前記混合空間に流入する空気の露点温度以上の温度となるように前記調和空気を供給することを特徴とする、上記(1)に記載の空調システムである。
【0010】
(3)本発明はまた、前記供給管路は、前記導入管路の上流側から斜めに前記混合空間に接続されることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の空調システムである。
【0011】
(4)本発明はまた、前記空調機は、前記室内の下部の空気を吸引するように構成され、前記導入管路は、前記室内の上部から下方に向けて前記外気と前記調和空気の混合気を吹き出すように構成されることを特徴とする、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の空調システムである。
【0012】
(5)本発明はまた、前記排出管路は、前記室内の上部の空気を吸引して前記室外に排出するように構成されることを特徴とする、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の空調システムである。
【0013】
(6)本発明はまた、前記導入管路から吹き出される前記外気と前記調和空気の混合気によってエアカーテンを形成することを特徴とする、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の空調システムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る空調システムによれば、低コストな構成でありながらも、高いエネルギー効率で空気調和と換気を同時に行うことが可能という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る空調システムの構成を示した概略図である。
【図2】導入管路における第1〜第3混合空間周辺を拡大して示した概略図である。
【図3】室内を冷房する場合の導入管路における空気の温度変化を概念的に示したグラフである。
【図4】本発明のその他の実施形態に係る空調システムの構成を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0017】
まず、本実施形態に係る空調システム1の構成について説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る空調システム1の構成を示した概略図である。本実施形態の空調システム1は、室100内の冷房または暖房等の空気調和を行うと共に、換気を行うものである。空調システム1は、複数の空調機10と、室100外の空気(外気)を室100内に導入する導入管路20と、室100内の空気(室内空気)を室100外に排出する排出管路30と、を備えている。また、空調システム1は、導入管路20の途中に設けられ、導入管路20を通過する外気に空調機10から吐出された調和空気を混合する第1混合空間41、第2混合空間42および第3混合空間43を、さらに備えている。
【0019】
空調機10は、室100内の空気を吸引して温度、湿度および清浄度等を調節する空気調和を行い、調和した調和空気を吐出するものである。空調機10としては、既存のものを使用することができる。本実施形態では、第1空調機10a、第2空調機10b、第3空調機10cおよび第4空調機10dの、4台の空調機10を使用している。この第1〜第4空調機10a〜10dは、室100から略隔絶された機械室110内に配置されている。
【0020】
第1〜第4空調機10a〜10dの吐出側は、それぞれ導入管路20に接続されている。具体的には、第1空調機10aの吐出側は、第1供給管路51を介して第1混合空間41に接続され、第1空調機10bの吐出側は、第1供給管路52を介して第2混合空間42に接続されている。そして、第3空調機10cおよび第2空調機10dの吐出側は、それぞれ第3供給管路53および第4供給管路54を介して第3混合空間に接続されている。すなわち、本実施形態では、第1〜第4空調機10a〜10dから吐出される調和空気は、全て第1〜第3混合空間41〜43に供給され、導入管路20を通過する外気と混合されるようになっている。
【0021】
また、第1〜第4空調機10a〜10dの吸引側には、レターン管路60が接続されている。このレターン管路60は、第1〜第4空調機10a〜10dの吸引側と室100内を繋ぐ管路である。すなわち、本実施形態では、第1〜第4空調機10a〜10dは、レターン管路60を介して室100内の室内空気を吸引するように構成されている。
【0022】
レターン管路60の吸入口62は、室100内の下部に配置されると共に、室100内の塵埃等を排除するためのフィルタ62aが設けられている。なお、レターン管路60を分岐させることにより、吸入口62を複数設けるようにしてもよい。また、第1〜第4空調機10a〜10dに対し、それぞれ個別にレターン管路60を設けるようにしてもよい。
【0023】
なお、本実施形態では、第1〜第4空調機10a〜10dに加え、必要に応じて予備空調機12を備えるようにしている。この予備空調機12は、室100内の室内空気を吸引し、調和した調和空気を室100内に吐出する室内循環型の空調機である。予備空調機12は、室100の大きさ等に応じて、適宜の台数が配置される。
【0024】
導入管路20は、室100外と室100内を繋ぐ管路であり、一般的なダクトから構成されている。導入管路20は、機械室110を横断するように配置されており、室100外に配置されて外気を吸引する吸入口22と、室100内に配置されて室100内に空気を吹き出す複数の吹出口24と、を備えている。
【0025】
吸入口22は、新鮮な外気を吸入可能な位置に配置される。本実施形態では、吸入口22の直後にフィルタ22aを設けることで、外気中の塵埃や虫等を吸い込まないようにしている。複数の吹出口24は、室100の大きさや室100内のレイアウト等に応じて導入管路20を分岐させることにより、それぞれ適宜の位置に配置される。本実施形態では、吹出口24を室100の上部に配置し、室100内の下方に向けて外気と調和空気の混合気を吹き出すようにしている。
【0026】
導入管路20の途中には、導入管路20内で空気を流動させるための送風機26が設けられている。そして、送風機26の下流側には送風機26の騒音を低減するための消音器28が設けられている。この送風機26および消音器28は、機械室110内に配置されている。なお、送風機26および消音器28は、既存のものを使用することができる。また、導入管路10の径路長や分岐等の径路構成に応じて、複数の送風機26および消音器28を設けるようにしてもよい。
【0027】
排出管路30は、室100内と室100外を繋ぐ管路であり、一般的なダクトから構成されている。排出管路30は、機械室110を横断するように配置されており、室100内に配置されて室内空気を吸引する複数の吸入口32と、室100外に配置されて室100外に室内空気を排出する排出口34と、を備えている。
【0028】
複数の吸入口32は、導入管路20を分岐させることにより、それぞれ適宜の位置に配置される。本実施形態では、吸入口32を室100内の上部に配置し、室100内の上部に溜まった室内空気を吸入して室100外に排出するようにしている。排出口34は、室100外の適宜の位置に配置される。
【0029】
なお、同図に示す例では、導入管路20の吸入口22の近傍に排出管路30の排出口34を配置しているが、実際には、導入管路20の吸入口22と排出管路30の排出口34は、排出口34から排出された室内空気を直接吸入口22から吸い込まないように、互いにある程度離れた位置に配置することが好ましい。
【0030】
排出管路30の途中には、排出管路30内で空気を流動させるための送風機36が設けられている。この送風機36は、機械室110内に配置されている。なお、送風機36は、既存のものを使用することが可能であり、排出管路30の径路長や分岐等の径路構成に応じて適宜の位置に適宜の個数を配置することができる。また、導入管路20と同様に、排出管路30の送風機36についても消音器を設けるようにしてもよい。
【0031】
第1〜第3混合空間41〜43は、第1〜第4空調機10a〜10dから吐出された調和空気を導入管路20内において外気と混合するための空間であり、導入管路20の機械室110内における部分に設けられている。第1〜第3混合空間41〜43は、それぞれ送風機26の上流側における導入管路20の一部から構成されており、上流側から第1混合空間41→第2混合空間42→第3混合空間43の順に配置されている。
【0032】
なお、本実施形態では、第3混合空間43に第3供給管路53および第4供給管路54の2本の供給管路を接続するようにしているため、第3混合空間43の幅方向寸法は、第1混合空間41および第2混合空間42よりも拡大されたものとなっている。
【0033】
以上の構成により、本実施形態の空調システム1は、室100内を冷暖房等する運転時において、第1〜第4空調機10a〜10dが、室100内からレターン管路60を介して室内空気を吸引して調和し、生成した調和空気を第1〜第4供給管路51〜54を介して導入管路20中の第1〜第3混合空間41〜43に供給する。そして、導入管路20では、送風機26によって室100外から吸引された外気が、第1〜第3混合空間41〜43において第1〜第4空調機10a〜10dからの調和空気と混合されて混合気となり、室100内に吹き出される。
【0034】
また、排出管路30では、送風機36によって室100内から吸引された室内空気が室100外に排出される。さらに、第1〜第4空調機10a〜10dのみでは、冷暖房能力が不足する場合には、予備空調機12が稼働する。このようにして、本実施形態の空調システム1では、室100内の冷房または暖房等の空気調和を行うと共に室100内の換気を行う。なお、空調システム1の運転は、図示を省略した制御装置および操作盤によって行われる。制御装置は、各部に配置された温度センサ等の各種センサ(図示省略)からの情報に基づいて空調システム1全体を制御する。
【0035】
本実施形態では、導入管路20に吸引された外気は、第1〜第4空調機10a〜10dからの調和空気と混合された上で室100内に導入されるため、外気を直接導入する従来の換気システムと比較して、室100内に温度むらが生じにくいようになっている。また、第1〜第4空調機10a〜10dは、室内空気を吸引して調和するように構成されているため、外気を直接調和する従来の全外気空調システムと比較して、低負荷で稼働するようになっている。すなわち、本実施形態の空調システムによれば、高いエネルギー効率で冷暖房等の空気調和と換気を同時に行うことが可能となっている。
【0036】
次に、第1〜第3混合空間41〜43における外気と調和空気の混合の詳細について説明する。
【0037】
図2は、導入管路20における第1〜第3混合空間41〜43周辺を拡大して示した概略図である。なお、同図においては、導入管路20を上方から見た場合を示している。上述のように、第1〜第3混合空間41〜43は、それぞれ送風機26の上流側における導入管路20の一部から構成されており、上流側から第1混合空間41→第2混合空間42→第3混合空間43の順に配置されている。
【0038】
また、第1混合空間41には、第1空調機10aに繋がる第1供給管路51が接続され、第2混合空間42には、第2空調機10bに繋がる第2供給管路52が接続されている。また、第3混合空間43には、第3空調機10cに繋がる第3供給管路53および第4空調機10dに繋がる第4供給管路54の2つの管路が接続されている。
【0039】
本実施形態では、上流側に接続される第1供給管路51および第2供給管路52については、気流のスムーズな合流を重視して、第1混合空間41および第2混合空間42に対して上流側から斜めに接続するようにしている。また、下流側に接続される第3供給管路53および第4供給管路54については、気流の十分な混合を重視して、第3混合空間43に対して略直角に接続するようにしている。
【0040】
なお、第1供給管路51の第1混合空間41に対する角度θ、および第2供給管路52の第2混合空間42に対する角度θは、特に限定されるものではないが、スムーズな合流と十分な混合を両立させるためには、20°〜40°の範囲内であることが好ましく、本実施形態では、それぞれ30°に設定している。
【0041】
本実施形態では、第1〜第3混合空間41〜43の3つの混合空間を設けることにより、導入管路20内に吸引された外気OAと、第1〜第4空調機10a〜10dから吐出された調和空気CA1〜CA4を段階的に混合していくようにしている。
【0042】
具体的には、まず第1混合空間41において第1空調機10aからの調和空気CA1を外気OAに混合し、第1混合気MA1を生成する。次に、第2混合空間42において第2空調機10bからの調和空気CA2を第1混合気MA1に混合し、第2混合気MA2を生成する。そして、第3混合空間43において第3空調機10cおよび第4空調機10dからの調和空気CA3、CA4を第2混合気MA2に混合し、第3混合気MA3を生成する。この結果、外気OAに全ての調和空気CA1〜CA4が混合された第3混合気MA3が吹出口24から室100内に吹き出されることとなる。
【0043】
このように、調和空気CA1〜CA4を3段階に分けて外気OAに混合していくようにすることで、調和空気CA1〜CA4と外気OAを十分に混合することができる。これにより、室100内に導入される第3混合気MA3を、非常に均質且つ室内空気に近い状態に調和された空気とすることができるため、室100内に温度むらを生じさせることなく、新鮮な外気OAを室100内に導入することが可能となっている。
【0044】
なお、外気OAに混合する調和空気CA1〜CA4の温度、湿度および流量は、室100内の設定温度および設定湿度、ならびに外気OAの温度、湿度および設定導入流量に応じてそれぞれ適宜に設定されている。すなわち、第1〜第4空調機10a〜10dは、図示を省略した制御装置により、室100内の設定温度および設定湿度、ならびに外気OAの温度、湿度および設定導入流量に応じた温度、湿度および流量の調和空気CA1〜CA4を吐出するように運転を制御されている。
【0045】
さらに、本実施形態では、冷房を行う場合に、第1〜第3混合空間41〜43から流出する空気の温度が、それぞれ第1〜第3混合空間41〜43に流入する空気の露点温度以上の温度となるように、外気OAに混合する調和空気CA1〜CA4の温度、湿度および流量を設定している。このようにすることで、導入管路20内における結露の発生を防止することが可能となる。
【0046】
図3は、室100内を冷房する場合の導入管路20における空気の温度変化を概念的に示したグラフである。空調システム1によって室100を冷房する場合、導入管路20の吸入口22から吸引された外気OAは、まず第1混合空間41内に流入して第1空調機10aからの調和空気CA1と混合される。調和空気CA1は外気OAよりも低い温度に設定されているため、外気OAは、温度Tから温度Tに冷却された第1混合気MA1となって第1混合空間41から流出する。
【0047】
第1混合空間41から流出した第1混合気MA1は、次に第2混合空間42内に流入して第2空調機10bからの調和空気CA2と混合される。調和空気CA2は第1混合気MA1よりも低い温度に設定されているため、第1混合気MA1は、温度Tから温度Tに冷却された第2混合気MA2となって第2混合空間42から流出する。
【0048】
第2混合空間42から流出した第2混合気MA2は、次に第3混合空間43内に流入して第3空調機10cおよび4空調機10dからの調和空気CA3、CA4と混合される。調和空気CA3、CA4は第2混合気MA2よりも低い温度に設定されているため、第2混合気MA2は、温度Tから温度Tに冷却された第3混合気MA3となって第3混合空間43から流出する。以上のようにして、室100内の設定温度に応じた所定の温度Tに設定された第3混合気MA3が生成される。
【0049】
そして、本実施形態では、第1混合空間41において外気OAに調和空気CA1を混合する場合に、生成される第1混合気MA1の温度Tが外気OAの露点温度Td0以上となるように調和空気CA1の温度および流量を設定している。このようにすることで、外気OAが自身の露点温度Td0を超える温度まで冷却されないようにすることができる。すなわち、結露の発生を防止することができる。
【0050】
同様に、第2混合空間42において第1混合気MA1に調和空気CA2を混合する場合には、生成される第2混合気MA2の温度Tが第1混合気MA1の露点温度Td1以上となるように調和空気CA2の温度および流量を設定している。また、第3混合空間43において第2混合気MA2に調和空気CA3、CA4を混合する場合には、第3混合気MA3の温度Tが第2混合気MA2の露点温度Td2以上となるように調和空気CA3、CA4の温度および流量を設定している。本実施形態では、このようにして、導入管路20内における結露の発生を防止している。
【0051】
なお、調和空気CA1の湿度は、混合される外気OAの湿度よりも低く設定されている。このため、第1混合気MA1の露点温度Td1は、調和空気CA1が混合されたことによって外気OAの露点温度Td0よりも低くなっている。また、調和空気CA2の湿度は、混合される第1混合気MA1の湿度よりも低く設定されているため、第2混合気MA2の露点温度Td2は、調和空気CA2が混合されたことによって第1混合気MA1の露点温度Td1よりも低くなっている。
【0052】
すなわち、本実施形態のように、調和空気CA1〜CA4を混合して外気OAの温度を下げる場合、調和空気CA1〜CA4の湿度を低く設定すれば、温度と同時に露点温度も下がるようになっている。従って、調和空気CA1〜CA4を段階的に外気OAに混合していくようにすれば、外気OAの温度を、露点温度を超えない範囲で段階的に下げていくことが可能となり、これにより、結露の発生を防止することができるようになっている。
【0053】
さらに、本実施形態では、第1供給管路51および第2供給管路52を、第1混合空間41および第2混合空間42に対して上流側から斜めに接続し、調和空気CA1、CA2を外気OAおよび第1混合気MA1にスムーズに合流させることによっても、結露の発生を防止している。すなわち、比較的露点温度の高い外気OAおよび第1混合気MA1に低温の調和空気CA1、CA2が激しく衝突することによって発生する局部的な急冷却に起因する結露を防止するようにしている。
【0054】
このように、本実施形態では、調和空気CA1〜CA4を段階的に外気OAに混合することにより、外気OAに調和空気CA1〜CA4を十分に混合して室100内における温度むらの発生を防止すると共に、冷房時における結露の発生をも防止することが可能となっている。
【0055】
なお、本実施形態では、調和空気CA1〜CA4と外気OAの混合を3段階に分けるようにしているが、混合空間を4つ以上設けることにより、混合を4段階以上に分けるようにしてもよい。また、外気OAの状態によっては、調和空気CA1〜CA4と外気OAの混合を2段階に分けるようにしてもよいが、冷房時の結露の発生を十分に防止するためには、3段階以上に分けることが好ましい。
【0056】
また、本実施形態では、第1供給管路51および第2供給管路52を第1混合空間41および第2混合空間42に対して斜めに接続するようにしているが、第1供給管路51のみを第1混合空間41に対して斜めに接続するようにしてもよい。また、使用条件によっては、第3供給管路53および第4供給管路54についても、第3混合空間43に対して斜めに接続するようにしてもよいし、第1〜第4供給管路51〜54の全てを第1〜第3混合空間41〜43に対してそれぞれ直角に接続するようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、第3混合空間43に第3空調機10cおよび第4空調機10dの2台の空調機10を接続するようにしているが、1台の空調機10を接続するようにしてもよい。さらに、1台の空調機10を複数の混合空間に接続するようにしてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、第1〜第4空調機10a〜10dは、レターン管路60を介して室内空気を吸引するようにしているが、レターン管路60を省略し、第1〜第4空調機10a〜10dが直接室内空気を吸引するようにしてもよい。
【0059】
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。
【0060】
図4は、本発明のその他の実施形態に係る空調システム2の構成を示した概略図である。なお、同図および以下の説明においては、上述の空調システム1と同一の部分については同一の符号を付すと共にその説明を省略する。
【0061】
本実施形態の空調システム2は、導入管路20の吹出口24から吹き出す外気と調和空気の混合気によってエアカーテンACを形成し、室100内を第1空間100aおよび第2空間100bに分割するように構成されている。
【0062】
この空調システム2では、1台の空調機10を備えている。この空調機10は、室100の上部に形成された天井裏空間120の第1空間100a側に配置されており、ダクト等を介さずに直接第1空間100a内の室内空気を吸引するようになっている。空調機10の吐出側には、1つの分岐供給管路56が接続されている。この分岐供給管路56は、途中で4つに分岐することにより、第1〜第3混合空間41〜43にそれぞれ接続されるように構成されている。すなわち、空調システム2では、1つの空調機10から吐出された調和空気を分岐させて第1〜第3混合空間41〜43に供給するようになっている。
【0063】
導入管路20および第1〜第3混合空間41〜43、ならびに排出管路30は、天井裏空間120の第1空間100a側に配置されている。また、排出管路30の送風機36は、天井裏空間120において直接第1空間100a内の室内空気を吸引するように配置されている。そして、導入管路20の吹出口24はスリット状に構成されており、吹き出した混合気によってエアカーテンACを形成するようになっている。
【0064】
エアカーテンACを形成した混合気はその後、同図に示されるように、空調機10および送風機36の吸引によってほとんどが空調機10および排出管路30の送風機36に向かって流動することとなる。すなわち、本実施形態の空調システム2によれば、エアカーテンACによって第1空間100aと第2空間100bの間の空気の流通を遮断するだけではなく、エアカーテンACを形成した後の混合気によって第1空間100a内の空気調和と換気を行うことが可能となっている。
【0065】
従って、例えば、第1空間100aを喫煙室とし、第2空間100bを禁煙室とした場合、第1空間100a内の煙草の煙が第2空間100bに流出するのを防止しながら、第1空間100a内の空気調和と換気を行うことができる。さらに、第2空間100b内の汚染された室内空気が第1空間100aに流入するのも防止することができる。
【0066】
従来の喫煙室では、喫煙室側を負圧にすることで煙草の煙が喫煙室外に流出するのを防止するものが大半であったため、外部の汚染された空気、例えばトイレや厨房の臭気等が喫煙室内に流入する場合があり、利用者に不快感を与えてしまうことがあった。これに対し、本実施形態の空調システム2では、第1空間100aと第2空間100bの間に気圧差を設けていないため、このような不具合が生じないようになっている。
【0067】
なお、本実施形態の空調システム2によれば、第1空間100a内の室内空気と第2空間100b内の室内空気が略完全に隔絶されることとなるため、第2空間100b側に第2空調機14を別個に設ける必要がある。この第2空調機14は、同図に示されるように、室内循環型の空調機であってもよいし、外気を導入可能な空調機であってもよい。また、第2空間100b側に、空調システム1または空調システム2と同様の構成の空調システムを設けるようにしてもよい。
【0068】
また、空調機10および排出管路30の送風機36の設置位置は、特に限定されるものではないが、第1空間100a内の空気調和および換気を効率的に行うためには、導入管路20の吹出口24からなるべく離れた位置であることが好ましく、本実施形態では、吹出口24の反対側の壁の近傍に空調機10および送風機36を配置している。なお、空調機10にレターン管路60を接続し、適宜の位置から吸引を行うようにしてもよい。
【0069】
以上説明したように、上記実施形態に係る空調システム1、2は、室100内の空気を吸引し、調和した調和空気を吐出する空調機10(第1〜第4空調機10a〜10d)と、室100外の外気を室100内に導入する導入管路20と、室100内の空気を室100外に排出する排出管路30と、導入管路20の途中に設けられ、空調機10から吐出された調和空気を外気に混合する混合空間(第1〜第3混合空間41〜43)と、空調機10から吐出された調和空気を混合空間に供給する供給管路(第1〜第4供給管路51〜54または分岐供給管路56)と、を備え、混合空間は、調和空気を外気に段階的に混合させるために複数設けられている。
【0070】
このような構成とすることで、外気に調和空気を十分に混合し、室内空気に近い状態にした上で室100内に導入することができるため、室100内に温度むらが発生しないようにすることが可能となる。また、空調機10を、室内空気を調和する低負荷状態で稼働させることが可能となる。この結果、低コストな構成でありながらも、高いエネルギー効率で空気調和と換気を同時に行うことができる。
【0071】
また、空調機10は、室100内を冷房する場合に、複数の混合空間のそれぞれに対し、混合空間から流出する空気(第1混合気MA1、第2混合気MA2および第3混合気MA3)の温度が混合空間に流入する空気(外気OA、第1混合気MA1および第2混合気MA2)の露点温度以上の温度となるように調和空気を供給する。このようにすることで、導入管路20内における結露の発生を防止することが可能となり、室100内の空気調和および換気を快適に行うことができる。
【0072】
また、供給管路(第1供給管路51および第2供給管路52)は、導入管路20の上流側から斜めに混合空間(第1混合空間41および第2混合空間42)に接続されている。このようにすることで、外気と調和空気の混合を促進させると共に、冷房時には、局部的な急冷による結露の発生を防止することができる。
【0073】
また、空調システム1において、空調機10は、室100内の下部の空気を吸引するように構成され、導入管路20は、室100内の上部から下方に向けて外気と調和空気の混合気を吹き出すように構成されている。このようにすることで、室100内の室内空気を適宜に流動させ、効率的に空気調和を行うことができる。また、冷房時においては、室100の下部に溜まった冷気を第1〜第4空調機10a〜10dに吸引させることが可能となるため、第1〜第4空調機10a〜10dの負荷をより低減し、エネルギー効率を高めることができる。
【0074】
また、排出管路30は、室100内の上部の空気を吸引して室100外に排出するように構成されている。このようにすることで、例えば煙草の煙等の上昇する汚染物質を迅速に室100外に排出することが可能となるため、換気を効率的に行うことができる。また、冷房時においては、室100上部に溜まる熱気を効率的に排出することが可能となるため、エネルギー効率を高めることができる。
【0075】
また、空調システム2は、導入管路20から吹き出される外気と調和空気の混合気によってエアカーテンACを形成するように構成されている。このような構成とすることで、室100内を略完全に遮断された2つの空間に分割すると共に、一方の空間内において空気調和と換気を同時に行うことができる。これにより、例えばトイレの臭気等が外部から流入することのない、快適な喫煙室を設けることができる。
【0076】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の空調システムは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の空調システムは、各種工場やオフィスビル、店舗、住宅等、空調と換気の必要な各種建物の空調設備において利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1、2 空調システム
10(10a、10b、10c、10d) 空調機
20 導入管路
30 排出管路
41 第1混合空間
42 第2混合空間
43 第3混合空間
51 第1供給管路
52 第2供給管路
53 第3供給管路
54 第4供給管路
56 分岐供給管路
100 室
AC エアカーテン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の空気を吸引し、調和した調和空気を吐出する空調機と、
前記室外の外気を前記室内に導入する導入管路と、
前記室内の空気を前記室外に排出する排出管路と、
前記導入管路の途中に設けられ、前記空調機から吐出された前記調和空気を前記外気に混合する混合空間と、
前記空調機から吐出された前記調和空気を前記混合空間に供給する供給管路と、を備え、
前記混合空間は、前記調和空気を前記外気に段階的に混合させるために複数設けられることを特徴とする、
空調システム。
【請求項2】
前記空調機は、前記室内を冷房する場合に、複数の前記混合空間のそれぞれに対し、前記混合空間から流出する空気の温度が前記混合空間に流入する空気の露点温度以上の温度となるように前記調和空気を供給することを特徴とする、
請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記供給管路は、前記導入管路の上流側から斜めに前記混合空間に接続されることを特徴とする、
請求項1または2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記空調機は、前記室内の下部の空気を吸引するように構成され、
前記導入管路は、前記室内の上部から下方に向けて前記外気と前記調和空気の混合気を吹き出すように構成されることを特徴とする、
請求項1乃至3のいずれかに記載の空調システム。
【請求項5】
前記排出管路は、前記室内の上部の空気を吸引して前記室外に排出するように構成されることを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれかに記載の空調システム。
【請求項6】
前記導入管路から吹き出される前記外気と前記調和空気の混合気によってエアカーテンを形成することを特徴とする、
請求項1乃至5のいずれかに記載の空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−83083(P2012−83083A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231869(P2010−231869)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(505336208)株式会社躍進 (4)
【出願人】(510273938)株式会社システム空調 (1)
【Fターム(参考)】