説明

空調機システム

【課題】ワイヤードリモコンを接続した室内機が複数備えられた空調機システムにおいて、必要な時のみワイヤードリモコンに電源を供給することにより、ワイヤードリモコンの消費電力を低下させる。
【解決手段】室内機はワイヤードリモコンへ電源を供給する電源部と、ワイヤードリモコンへ電源供給/遮断するリレーと、同リレーを制御する室内機制御部とを備えている。集中管理装置は、室内機毎に、室内機の運転状態とワイヤードリモコンの電源状態とを記憶する電源管理テーブルを記憶している。室内機は、室内機の運転開始、又は運転停止時に集中管理装置へ運転状態の通知データを送信し、集中管理装置は、運転状態の通知データを受信して電源管理テーブル内の対応する室内機の運転状態の項目を更新し、電源管理テーブル内の運転状態の項目が停止中の室内機に対して電源供給を遮断する指示データを送信し、室内機は指示データを受信した時にリレーを開にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤードリモコンを個々に接続した複数の室内機を備えた空調機システムに係わり、より詳細には、室内機からワイヤードリモコンへ供給する電源の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤードリモコンに電力線を使用して電源を供給する室内機が複数備えられた空調機システムが従来より開示されている。このような空調機システムでは集中管理装置が備えられており、この集中管理装置から個別の室内機の運転開始/停止を指示する場合がほとんどである。このため、各室内機に接続されたワイヤードリモコンでは主として温度設定や風量調節の操作が行われている。
【0003】
一方、大規模な空調機システムでは室内機の台数、つまり、ワイヤードリモコンの台数も多く、数十台から数百台となる場合がある。空調機システムで使用される室内機は、運転を停止中であっても常に集中管理装置と通信を行う必要があるため基本的に内部の室内機制御部は電源が投入されたままである。また、ユーザーがワイヤードリモコンを操作して運転を開始する場合に備えて、ワイヤードリモコンへの電源も供給したままである。
従って夜間など運転を行うことが少ないと思われる場合であってもワイヤードリモコンへの電源を供給したままであり、このため、ワイヤードリモコンで消費される電力が無駄となっていた。
【0004】
このような無駄な電力を低減させるため、機器の運転中は機器とワイヤードリモコンとで常時通信を行い、機器が運転を中止中の場合はワイヤードリモコン側から必要な時のみデータを送信する随時通信方式に切り換えるようにしているリモコン装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、このような方式は通信に係わる電力を部分的に低減させる効果はあるが、ワイヤードリモコンにはキー入力部や表示部、記憶部やリモコン制御部など電力を消費する回路が多数あり、これらの電力は低減することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−134675号公報(第3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上述べた問題点を解決し、ワイヤードリモコンを接続した室内機が複数備えられた空調機システムにおいて、必要な時のみワイヤードリモコンに電源を供給することにより、ワイヤードリモコンの消費電力を低下させる空調機システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上述の課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の発明は、ワイヤードリモコンを備えた複数の室内機と、同室内機に通信接続され、前記ワイヤードリモコンの電源供給を管理するリモコン電源管理手段とを備え、
前記室内機は前記ワイヤードリモコンへ電源を供給する電源部と、前記ワイヤードリモコンへの電源供給/遮断を行うスイッチ手段と、同スイッチ手段を制御する室内機制御部とを備え、
前記リモコン電源管理手段は、前記室内機毎に、前記室内機の運転状態と前記ワイヤードリモコンの電源状態とを記憶する電源管理テーブルを格納する記憶部と、同記憶部を制御する制御部とを備え、
前記室内機は、前記室内機の運転開始、又は運転停止時に前記リモコン電源管理手段へ運転状態の通知データを送信し、
前記リモコン電源管理手段は、前記運転状態の通知データを受信した時、前記電源管理テーブル内の対応する前記室内機の運転状態の項目を受信した前記運転状態に更新すると共に、前記ワイヤードリモコンの電源状態の項目について受信した前記運転状態が運転開始ならば供給に、運転停止ならば遮断にそれぞれ更新する一方、前記電源管理テーブル内の運転状態の項目が停止中の室内機に対して電源供給を遮断する指示データを送信し、
前記室内機は前記指示データを受信した時、前記指示データに従って前記スイッチ手段を制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、前記室内機に前記ワイヤードリモコンへの供給電流を検出する電流検出手段と、前記スイッチ手段に並列に接続された抵抗とを設け、前記ワイヤードリモコンに同ワイヤードリモコンの負荷電流を増加させる起動スイッチを設け、
前記室内機が停止状態の場合、前記室内機制御部は、前記電流検出手段を介して電流を監視し、前記起動スイッチの操作により前記負荷電流が増加して予め定めた所定の閾値を越えた場合、前記スイッチ手段を電源供給状態にすると共に、前記リモコン電源管理手段へ前記ワイヤードリモコンが電源供給状態である通知データを送信し、同通知データを受信した前記リモコン電源管理手段は、前記電源管理テーブルにおける同通知元の室内機と対応する前記ワイヤードリモコンの電源状態の内容を供給に更新することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、前記電源管理テーブルに、前記室内機が停止中に前記ワイヤードリモコンへ電源が供給された時間を示す停止中の電源供給時間のタイマ値を前記室内機に対応させて記憶し、
前記リモコン電源管理手段は、前記電源管理テーブルにおける各室内機の運転状態の項目が停止で、かつ、対応する前記ワイヤードリモコンの電源状態が供給となっている室内機を抽出し、時刻の経過に対応して、抽出した室内機と対応する前記電源供給時間のタイマ値を更新し、前記電源供給時間のタイマ値が予め定めた所定値になった時、前記ワイヤードリモコンの電源状態を遮断に更新すると共に、対応する前記室内機へ電源供給を遮断する指示データを送信することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、前記室内機は、運転を停止した時、前記スイッチ手段により前記ワイヤードリモコンへの電源を遮断し、前記ワイヤードリモコンが電源遮断状態である通知データ、もしくは、運転停止の前記運転状態の通知データを前記リモコン電源管理手段へ送信し、同通知データを受信した前記リモコン電源管理手段は、前記電源管理テーブルにおける同通知元の室内機と対応する前記ワイヤードリモコンの電源状態の内容を遮断に更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の手段を用いることにより、本発明による空調機システムによれば、
請求項1に係わる発明は、リモコン電源管理手段で各ワイヤードリモコンの電源供給管理を一括して行うため、各室内機毎に運転や停止を行う場合やスケジュール運転などのシステムが管理する運転の場合も含めて総合的に、ワイヤードリモコンの操作が必要な時のみワイヤードリモコンに電源を供給することにより、ワイヤードリモコンの消費電力を低減させることができる。
【0013】
請求項2に係わる発明は、各ワイヤードリモコン側に起動スイッチを設けたので、ワイヤードリモコンの電源が遮断されている場合であっても、ワイヤードリモコン側からワイヤードリモコンへの電源の供給を開始させることができる。また、起動スイッチが接続された時、リモコン電源管理手段へワイヤードリモコンが電源供給状態である通知データを送信するため、ワイヤードリモコン側の操作であっても総合的な電源管理を行うことができる。
【0014】
請求項3に係わる発明は、ワイヤードリモコンに電源が供給され、かつ、室内機の運転が停止中であって、所定時間が経過したワイヤードリモコンの電源を遮断するため、未使用状態のワイヤードリモコンの消費電流を低減することができる。また、所定時間以内であればワイヤードリモコンの操作が可能であり、この所定時間以内であればユーザーの操作性を低減させることがない。
【0015】
請求項4に係わる発明は、室内機が運転を停止した時にワイヤードリモコンへの電源を遮断し、室内機からこの運転停止、又はワイヤードリモコンの電源遮断の通知データをリモコン電源管理手段へ送信し、リモコン電源管理手段は、電源管理テーブルにおける同通知元の室内機と対応するワイヤードリモコンの電源状態の内容を遮断に更新する。このため、リモコン電源管理手段から室内機へワイヤードリモコンの電源を遮断する指示データを送信する必要がなく、リモコン電源管理手段の送信処理を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による空調機システムの実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明による集中管理装置の実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明による室内機の実施例を示すブロック図である。
【図4】本発明による室内機のワイヤードリモコンの実施例を示すブロック図である。
【図5】本発明によるワイヤードリモコンの電源管理を説明する説明図である。
【図6】本発明によるワイヤードリモコンの電源管理テーブルを説明する説明図である。
【図7】本発明による集中管理装置の制御部の処理を説明するフローチャートである。
【図8】本発明による室内機制御部の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
本発明の特徴は、ワイヤードリモコンの操作が行われると思われる時間帯だけ、つまり、室内機が運転されている期間とその前後の時間だけワイヤードリモコンに電源を供給し、それ以外の期間は電源を遮断することでワイヤードリモコンの消費電力を低減することにある。
なお、実施例ではワイヤードリモコン側からワイヤードリモコンへの電源供給を室内機側に指示するため、ワイヤードリモコン側で微小な電流を常に消費しているが、動作時の電流に比較して非常に小さいため、実施例ではこの微小な電流を消費している状態であっても『供給電源の遮断』と呼称している。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明による空調機システムの実施例を示すブロック図である。この空調機システムは、集中管理装置3と、室外機30と、複数の室内機20a,20b,20c,20dと、各室内機に対応して備えられたワイヤードリモコン10a,10b,10c,10dとを備えている。集中管理装置3と室外機30と各室内機とは通信線1で通信接続されており、また、各室内機と各ワイヤードリモコンとはリモコン接続線2で通信接続されている。なお、リモコン接続線2には通信線の他に、ワイヤードリモコンを駆動するための電源線が備えられており、室内機からワイヤードリモコンへ電源が供給されるようになっている。
【0019】
図2は本発明による空調機システムの集中管理装置3の実施例を示すブロック図である。なお、集中管理装置3は空調機システム全体を制御すると共に、各ワイヤードリモコンの電源供給管理も行うリモコン電源管理手段を兼用している。
集中管理装置3は、管理者によって操作されたキーの状態を入力するキー入力部32と、通信線1を介して各室内機20aや室外機30へ指示データを送信したり、これらから状態データを受信する通信部36と、表示部31と、表示部31の図示しない液晶パネルを背後から照らすバックライト37と、データを記憶する記憶部33と、これらを制御するプログラムを記憶したマイコンを備えた制御部35とを備えている。なお、このマイコンは時計機能を備えており常に時刻を計時している。
【0020】
集中管理装置3は、管理者の操作指示に従って空調機システム内の各機器を制御すると共に、各機器から送信される状態データを受信して表示部31へ表示する。また、予め指示されたスケジュール運転のデータを記憶部33に記憶させておくことにより、所定時刻で各室内機の運転開始/停止を行うことができる。また、この記憶部33には後述する電源管理テーブルが記憶されている。
【0021】
図3は本発明による空調機システムの室内機の実施例を示すブロック図である。この室内機20aは他の室内機と同じ構成であるため、室内機20aを代表的に説明する。
【0022】
室内機20aは、ワイヤードリモコン10aとリモコン接続線2内の通信線2aを介してデータ通信を行う室内機通信部21と、室内の温度を検出する室温検出部27と、データを記憶する記憶部25と、室外機30や集中管理装置3と通信を行う通信部22と、これらを制御する室内機制御部26と、交流電源4を入力して直流電源Vccを出力する電源部28と、この直流電源Vccをワイヤードリモコン10aを駆動する電源として電源線2bに供給するか否かを切り換えるスイッチ手段であるリレー23と、同リレー23の切換接点と並列に接続された抵抗29と、電源部28の出力端とリレー23との間に配置されてワイヤードリモコン10aの負荷電流を検出する電流検出手段である電流センサ24とを備えている。
【0023】
また、電流センサ24で検知された負荷電流と対応する電圧信号は室内機制御部26へ入力されており、室内機制御部26はリレー23の接点が開放されている場合、抵抗29を介してワイヤードリモコン10aに流れる微弱な電流を測定する。
なお、リモコン接続線2は、ワイヤードリモコン10aと室内機20aとの間で通信を行う通信線2aと、直流電源Vccをワイヤードリモコン10aへ供給する電源線2bと、アース線2cとからなる3本の電線で構成されている。
【0024】
各室内機と集中管理装置3とは、それぞれが送信するデータに宛先と送信元のアドレスとが含まれており、このデータを受信した機器では、予め設定されている自身のアドレスにより、宛先が自分宛か否かを確認することで受信するデータの選択が可能である。例えば集中管理装置3から送信するデータは、宛先アドレス、送信元アドレス、送信項目(例えば室内機への指示)、送信項目の内容(例えば宛先アドレス#20のスケジュール運転開始)などで構成されている。一方、室内機からは、宛先アドレス、送信元アドレス、送信項目(例えば室内機の状態)、送信項目の内容(例えばアドレス#20の運転開始)などで構成されている。従ってこれらのデータを受信した機器では、自分宛のデータの受信し、送信項目によって処理する項目を決定し、送信項目の内容に従って処理を実行することができる。この実施例では集中管理装置3は#00、室外機30は#30、室内機20aから室内機20dは、#20から#23の各アドレスが割り当てられている。
【0025】
図4は本発明による空調機システムのワイヤードリモコン10aの実施例を示すブロック図である。ワイヤードリモコン10aは、他のワイヤードリモコンと同じ構成であるためワイヤードリモコン10aを代表として説明する。
ワイヤードリモコン10aは、ユーザーによって操作されたキーの状態を入力するキー入力部12と、通信線2aを介して室内機20aへ指示データを送信したり、室内機20aからの通信データを受信するリモコン通信部16と、表示部11と、表示部11の図示しない反射型液晶パネルを照らすバックライト17と、データを記憶する記憶部13と、これらを制御するプログラムを記憶したマイコンを備えたリモコン制御部15とを備えている。
【0026】
また、ワイヤードリモコン10aは、リモコン接続線2のアース線2cがアースへ接続されている。そして、電源線2bはワイヤードリモコン10a内の制御回路本体10の直流電源Vccの端子に接続されると共に、起動スイッチ14と抵抗18とを介してアースへ接続されている。従って、室内機20aのリレー23の接点が開放されている時、つまり、ワイヤードリモコン10aの電源が遮断されている時、ユーザーが室内機20aの運転を開始するため、まず最初にこの起動スイッチ14をオン(接続)する。これにより、室内機20aの抵抗29を流れている電流が増加する。室内機制御部26は、抵抗29を流れている電流を監視しており、この電流が予め定めた閾値以上になった時、ワイヤードリモコン10aから『電源供給依頼』が有ったと判断する。従って、室内機制御部26は、起動スイッチ14が閉じられて抵抗29を流れる電流が予め定められた閾値を越えたと判断した場合、リレー23の接点を接続し、ワイヤードリモコン10aに直流電源Vccを供給する。
【0027】
なお、起動スイッチ14は押している間だけ接点が閉じる押しボタンスイッチであり、このボタンを押下したユーザーは、ワイヤードリモコン10aに電源が供給されたことを確認したらボタンを離す。なお、抵抗18は短絡防止用の抵抗であり、起動スイッチ14が押下されている間、直流電源Vccが短絡されることを防止している。
【0028】
直流電源Vccが供給されたワイヤードリモコン10aは動作を開始する。そして、リモコン制御部15は、ユーザーによる指示、例えば運転開始の指示操作をキー入力部12を介して受け付けると、キーと対応するキーコードに変換してキー操作内容を受付け、表示部11に表示すると共に、『操作指示』のデータを室内機20aへ送信する。これを受信した室内機20aはこの操作指示の内容に従って室内機20aを運転すると共に、操作指示が運転開始の指示なら『運転開始通知』を集中管理装置3へ送信する。なお、同様に操作指示が運転停止の指示なら『運転停止通知』を集中管理装置3へ送信する。
【0029】
図5は本発明によるリモコンの電源管理を説明する説明図であり、集中管理装置3と室内機20aとワイヤードリモコン10aへの電源供給状態を示している。図5(1)は集中管理装置3が室内機20aへ送信するデータを、図5(2)は室内機20aが集中管理装置3へ送信するデータを、図5(3)は室内機20aの運転状態を、図5(4)はワイヤードリモコン10aへ供給される電源供給状態を、図5(5)は起動スイッチ14の状態を、それぞれ示している。
【0030】
図5(1)の『スケジュール運転の場合』に示すように集中管理装置3は、スケジュール運転開始の時間になった場合、まず最初にスケジュール運転の対象となる室内機20aに、遮断していたワイヤードリモコン10aの電源を供給するように『電源供給』の指示データを送信する。これに続けてスケジュール運転開始の指示データを送信する。これを受信した室内機20aは図5(4)に示すようにワイヤードリモコン10aに電源を供給すると共に、図5(3)に示すようにスケジュール運転を開始する。このとき、室内機20aは集中管理装置3に『運転開始通知』のデータを送信する。
【0031】
同様にスケジュール運転の停止時間になったら、集中管理装置3は室内機20aにスケジュール運転停止の指示データを送信する。またこれに続けて供給していたワイヤードリモコン10aの電源を遮断するように『電源遮断』の指示データを室内機20aに送信する。これを受信した室内機20aは図5(3)に示すようにスケジュール運転を停止すると共に、集中管理装置3に『運転停止通知』のデータを送信する。また、図5(4)に示すようにワイヤードリモコン10aの電源を遮断する。
【0032】
図5(1)の『ユーザー依頼の場合』に示すように、ユーザーが空調機システムの管理者に依頼して、管理者が集中管理装置3から室内機20aを介してワイヤードリモコン10aへ電源を供給することもできる。これは、例えばワイヤードリモコン10aに起動スイッチ14がない場合に有効である。集中管理装置3から室内機20aへ『電源供給』の指示データを送信し、これを受信した室内機20aはワイヤードリモコン10aに電源を供給する。これによりユーザーはワイヤードリモコン10aを操作することができる。
【0033】
しかしながら、ユーザーが電源供給を依頼した後、室内機20aの運転を開始しない場合、例えば会議が中止になって室内機20aの運転が不要になった場合、このまま電源供給を継続すると無駄な電力を消費する。このため、集中管理装置3は『電源供給』の指示データを送信した後、対応する室内機20aで運転が所定時間、例えば30分間以内に開始されない場合、つまり、室内機20aからの運転開始の通知データを受信しない場合、『電源遮断』の指示データを室内機20aに送信し、ワイヤードリモコン10aの電源を遮断する。
【0034】
図5(1)の『リモコン側の依頼の場合』に示すように、図5(5)で起動スイッチ14が押下されると、ワイヤードリモコン10aの制御回路本体10が抵抗18と並列接続されることになり、電流センサ24で検出していた電流が制御回路本体10だけに流れていた場合と比較して増加する。このため、電流センサ24で検出する電流値が閾値を越えると室内機制御部26はリレー23の接点を接続し、図5(4)に示すようにワイヤードリモコン10aに電源を供給する。同時に室内機制御部26は集中管理装置3へ『電源供給通知』のデータを送信する。
【0035】
その後、ユーザーにより手動運転が開始されると室内機20aは集中管理装置3へ『運転開始通知』のデータを送信する。また、ユーザーにより手動運転が停止されると室内機20aは集中管理装置3へ『運転停止通知』のデータを送信する。そして、この場合も集中管理装置3が『運転停止通知』のデータを受信してから運転停止状態が所定時間(30分)以上継続した場合、集中管理装置3は室内機20aへ『電源遮断』の指示データを送信する。
【0036】
図5(1)の『強制遮断の場合』に示すように、図5(3)の手動運転が停止された場合、所定時間(30分)以内であっても、集中管理装置3は室内機20aへ『電源遮断』の指示を強制的に送信する場合がある。例えば、就業時刻が過ぎていた時、運転停止の操作がなされた場合はこれ以降の時間で運転再開はないと集中管理装置3が判断して、ワイヤードリモコン10aへの電源供給を遮断する。
【0037】
次に図6の電源管理テーブルを説明する。
図6は本発明による電源管理テーブルを説明する説明図である。このテーブルは集中管理装置3の記憶部33に記憶されており、スケジュール運転の時刻になった場合や各室内機で運転開始/停止の操作が行われた場合、又は起動スイッチ14によりワイヤードリモコン10aに電源供給が開始された場合に制御部35によって更新される。
【0038】
電源管理テーブルの横の項目は、管理する『対象リモコン』、対象リモコンと対応する室内機の『アドレス』、対象リモコンと対応する室内機の『運転状態』、『対象リモコンの電源状態』、対象リモコンと対応する室内機の『停止中の電源供給時間』である。また、電源管理テーブルの縦の項目は、ワイヤードリモコン10a〜10d(室内機20a〜20dとそれぞれ対応)である。
【0039】
例えば制御部35は時刻を監視し、図示しないスケジュールテーブルに従って、室内機20a(アドレスが#20)がスケジュール運転開始時刻になった場合、図5の『スケジュール運転の場合』で説明したように、制御部35は『電源供給』指示データを室内機20aに送信し、電源管理テーブルのワイヤードリモコン10aと対応する『対象リモコンの電源状態』の欄に『供給』を書き込む。そして、室内機20aから『運転開始通知』データを受信し、この受信した送信元アドレスの値より対象リモコンを特定し、同様に『運転状態』の欄に『スケジュール運転中』を書き込む。なお、『対象リモコンの電源状態』の欄が『供給』で、かつ、『運転状態』の欄が何らかの運転中の場合、『停止中の電源供給時間』は『0分』のままにする。
一方、制御部35は『運転停止通知』データを室内機から受信した時、受信した送信元アドレスの値より対象リモコンを特定し、同様に『運転状態』の欄に『停止中』を書き込む。
【0040】
そして制御部35は、時刻の経過に従って、『運転状態』の欄が『停止中』で、かつ、『対象リモコンの電源状態』の欄が『供給』となっている『停止中の電源供給時間』の欄のタイマ値をカウントアップする。そして、この値が『30分』になった時、集中管理装置3の制御部35はこの『30分』となった室内機に対して『電源遮断』の指示データを送信する。この結果、対応するワイヤードリモコンの電源が遮断される。また、集中管理装置3はこの『30分』となったワイヤードリモコンと対応する『対象リモコンの電源状態』の欄に『遮断』を書き込む。その後、この『30分』のタイマ値を『0分』に書き換える。
【0041】
このように集中管理装置3は、各室内機の運転状態と、対象リモコンの電源状態と、停止中の電源供給時間を電源管理テーブルで管理することにより、運転が停止中で、かつ、ワイヤードリモコンへ電源が供給されている時間を監視し、所定時間が経過したら電源供給を遮断する。
【0042】
以上説明したように、リモコン電源管理手段、つまり、集中管理装置3で各ワイヤードリモコンの電源供給管理を一括して行うため、各室内機毎に運転や停止を行う場合やスケジュール運転などのシステムが管理する運転の場合も含めて総合的に、各ワイヤードリモコンの操作が必要な時のみワイヤードリモコンに電源を供給することにより、ワイヤードリモコンの消費電力を低減させることができる。
【0043】
また、各ワイヤードリモコン側に起動スイッチを設けたので、ワイヤードリモコンの電源が遮断されている場合であっても、ワイヤードリモコン側からワイヤードリモコンへの電源の供給を開始させることができる。また、起動スイッチ14によるワイヤードリモコン10a側からの依頼によるワイヤードリモコン10aへの電源供給が行われた場合、室内機20aからリモコン電源管理手段(集中管理装置3)へワイヤードリモコンが電源供給状態である通知データを送信するため、ワイヤードリモコン10a側の操作であっても総合的な電源管理を行うことができる。
【0044】
また、ワイヤードリモコン10aに電源が供給され、かつ、室内機20aの運転が停止中であって、所定時間が経過したワイヤードリモコン10aの電源を遮断するため、未使用状態のワイヤードリモコン10aの消費電流を低減することができる。また、所定時間以内であればワイヤードリモコン10aの操作が可能であり、この所定時間以内であればユーザーの操作性を低下させることがない。
【0045】
次に、本発明に係わる集中管理装置3の処理動作を、図7に示す制御部35のフローチャートを用いて説明する。なお、図7に記載のSTはステップを表し、これに続く数字はステップ番号を、また、YはYesを、NはNoをそれぞれ表している。
【0046】
図7において制御部35は、室内機からの受信データが有るか確認する(ST1)。室内機からの受信データが有る場合(ST1−Y)、受信データに従って電源管理テーブルを更新する(ST8)。これは前述したように、運転開始/停止や電源供給の各通知データを受信した場合、対応する電源管理テーブルの各室内機に対応したワイヤードリモコンの各項目を更新する動作である。そしてST1へジャンプする。
【0047】
室内機からの受信データが無い場合(ST1−N)、時刻が1分経過したか確認する(ST2)。時刻が1分経過した場合、つまり、1分毎に(ST2−Y)、電源管理テーブルの『停止中の電源供給時間』の内容を更新する(ST3)。これは前述したように、電源管理テーブルの『運転状態』の内容が『停止中』で、かつ、『対象リモコンの電源状態』が『供給』の室内機の『停止中の電源供給時間』の内容をカウントアップする動作である。
【0048】
次に、電源遮断すべきリモコンが有るか確認する(ST4)。これは、電源管理テーブルのカウントアップされた『停止中の電源供給時間』の内容が所定時間、つまり、30分になったことで確認できる。電源遮断すべきリモコンが有る場合(ST4−Y)、このリモコンと対応する室内機へ『電源遮断』の指示データを送信し、電源管理テーブルの対応する『対象リモコンの電源状態』の内容を『遮断』に更新し、同時に『停止中の電源供給時間』の内容を『0分』にする(ST5)。
【0049】
次にスケジュール運転の開始/停止時刻か確認する(ST6)。これは記憶部33に記憶されている図示しない運転管理スケジュールによって予め規定された時刻か確認することである。スケジュール運転の開始/停止時刻の場合(ST6−Y)、スケジュール運転の開始又は停止の指示データ、及び電源供給又は電源遮断の指示データを対象となる各室内機へ送信する(ST10)。そして、ST1へジャンプする。
【0050】
スケジュール運転の開始/停止時刻でない場合(ST6−N)、管理者指示による電源供給があるか確認する(ST7)。これは集中管理装置3のキー入力部32を介して特定の室内機のワイヤードリモコンへの電源供給指示があるか否かで判断できる。管理者指示による電源供給が無い場合(ST7−N)、ST1へジャンプする。管理者指示による電源供給が有る場合(ST7−Y)、電源供給の指示データを対象室内機へ送信し、電源管理テーブルの『対象リモコンの電源状態』の内容を『供給』にする(ST9)。そして、ST1へジャンプする。
【0051】
一方、ST2で時刻が1分経過していない場合(ST2−N)と、電源遮断すべきリモコンが無い場合(ST4−N)とは何もしないでST6へジャンプする。
【0052】
次に、本発明に係わる室内機の処理動作を、図8に示す室内機制御部26のフローチャートを用いて説明する。なお、図8に記載のSTはステップを表し、これに続く数字はステップ番号を、また、YはYesを、NはNoをそれぞれ表している。
【0053】
図8において室内機制御部26は、集中管理装置3が送信した指示データ(自分のアドレス宛)が有るか確認する(ST21)。集中管理装置3が送信した指示データ(自分のアドレス宛)が無い場合(ST21−N)、ワイヤードリモコンが送信した指示データがあるか確認する(ST22)。
【0054】
ワイヤードリモコンが送信した指示データが無い場合(ST22−N)、現在、自身の室内機は運転停止中か確認する(ST23)。自身の室内機が運転停止中でない場合(ST23−N)、つまり、運転中の場合は現在の運転を継続し(ST31)、ST21へジャンプする。
【0055】
自身の室内機が運転停止中の場合(ST23−Y)、次にワイヤードリモコンへの流出電流は閾値以上か確認する(ST24)。ワイヤードリモコンへの流出電流が閾値以上でない場合(ST24−N)、ST21へジャンプする。
【0056】
ワイヤードリモコンへの流出電流が閾値以上の場合(ST24−Y)、電源遮断/供給用のリレー23をオン(閉)にする(ST25)。次に、『電源供給通知』データを集中管理装置3へ送信する(ST26)。そして、ST21へジャンプする。
【0057】
一方、集中管理装置3が送信した指示データ(自分のアドレス宛)が有る場合(ST21−Y)、このデータはワイヤードリモコンに対する電源遮断/供給の指示データか確認する(ST27)。このデータがワイヤードリモコンに対する電源遮断/供給の指示データの場合(ST27−Y)、指示データに従って電源遮断/供給用リレー23を開閉する(ST30)。そして、ST21へジャンプする。
【0058】
ワイヤードリモコンに対する電源遮断/供給の指示データでない場合(ST27−N)、つまり、運転開始/停止の指示データの場合、指示データに従って運転開始/停止を行う(ST28)。次に指示データに対応して運転開始又は停止の通知データを集中管理装置3へ送信する(ST29)。そして、ST21へジャンプする。
【0059】
また、ワイヤードリモコンが送信した指示データが有る場合(ST22−Y)、ユーザーの操作による運転指示であるため、ST28へジャンプして指示された運転を行う。
【0060】
なお、本実施例ではリモコン電源管理手段を集中管理装置3で兼用して実施しているが、これに限るものでなく、特定の室内機や室外機が全てのワイヤードリモコンの電源を管理する機能、つまり、実施例1における集中管理装置3と同じリモコン電源管理手段を備え、各室内機はこのリモコン電源管理手段の指示に従うようにしてもよい。
【0061】
また、本実施例では室内機から送信される運転停止の運転状態データを集中管理装置3で受信し、これに対応して集中管理装置3から室内機へ電源遮断の指示データを送信するようになっているが、これに限るものでなく、室内機が運転を停止した時に自身のリレー23の接点を開放して供給電源を遮断し、その後に運転停止の状態データ、もしくは、運転停止の運転状態の通知データを集中管理装置3へ送信し、これを受信した集中管理装置3は、電源管理テーブル内の対応する室内機の運転状態の項目を運転停止状態に更新すると共に、前記ワイヤードリモコンの電源状態の項目を遮断に更新するようにしてもよい。この場合、集中管理装置3から対応する室内機への電源遮断指示データを送信しない。これにより、集中管理装置3の送信処理を簡素化できる。
【符号の説明】
【0062】
1 通信線
2 リモコン接続線
2a 通信線
2b 電源線
2c アース線
3 集中管理装置
4 交流電源
10 制御回路本体
10a ワイヤードリモコン
11 表示部
12 キー入力部
13 記憶部
14 起動スイッチ
15 リモコン制御部
16 リモコン通信部
17 バックライト
18 抵抗
20a、20b、20c、20d 室内機
21 室内機通信部
22 通信部
23 リレー
23 供給用リレー
24 電流センサ
25 記憶部
26 室内機制御部
27 室温検出部
28 電源部
29 抵抗
30 室外機
31 表示部
32 キー入力部
33 記憶部
35 制御部
36 通信部
37 バックライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤードリモコンを備えた複数の室内機と、同室内機に通信接続され、前記ワイヤードリモコンの電源供給を管理するリモコン電源管理手段とを備え、
前記室内機は前記ワイヤードリモコンへ電源を供給する電源部と、前記ワイヤードリモコンへの電源供給/遮断を行うスイッチ手段と、同スイッチ手段を制御する室内機制御部とを備え、
前記リモコン電源管理手段は、前記室内機毎に、前記室内機の運転状態と前記ワイヤードリモコンの電源状態とを記憶する電源管理テーブルを格納する記憶部と、同記憶部を制御する制御部とを備え、
前記室内機は、前記室内機の運転開始、又は運転停止時に前記リモコン電源管理手段へ運転状態の通知データを送信し、
前記リモコン電源管理手段は、前記運転状態の通知データを受信した時、前記電源管理テーブル内の対応する前記室内機の運転状態の項目を受信した前記運転状態に更新すると共に、前記ワイヤードリモコンの電源状態の項目について受信した前記運転状態が運転開始ならば供給に、運転停止ならば遮断にそれぞれ更新する一方、前記電源管理テーブル内の運転状態の項目が停止中の室内機に対して電源供給を遮断する指示データを送信し、
前記室内機は前記指示データを受信した時、前記指示データに従って前記スイッチ手段を制御することを特徴とする空調機システム。
【請求項2】
前記室内機に前記ワイヤードリモコンへの供給電流を検出する電流検出手段と、前記スイッチ手段に並列に接続された抵抗とを設け、前記ワイヤードリモコンに同ワイヤードリモコンの負荷電流を増加させる起動スイッチを設け、
前記室内機が停止状態の場合、前記室内機制御部は、前記電流検出手段を介して電流を監視し、前記起動スイッチの操作により前記負荷電流が増加して予め定めた所定の閾値を越えた場合、前記スイッチ手段を電源供給状態にすると共に、前記リモコン電源管理手段へ前記ワイヤードリモコンが電源供給状態である通知データを送信し、同通知データを受信した前記リモコン電源管理手段は、前記電源管理テーブルにおける同通知元の室内機と対応する前記ワイヤードリモコンの電源状態の内容を供給に更新することを特徴とする請求項1記載の空調機システム。
【請求項3】
前記電源管理テーブルに、前記室内機が停止中に前記ワイヤードリモコンへ電源が供給された時間を示す停止中の電源供給時間のタイマ値を前記室内機に対応させて記憶し、
前記リモコン電源管理手段は、前記電源管理テーブルにおける各室内機の運転状態の項目が停止で、かつ、対応する前記ワイヤードリモコンの電源状態が供給となっている室内機を抽出し、時刻の経過に対応して、抽出した室内機と対応する前記電源供給時間のタイマ値を更新し、前記電源供給時間のタイマ値が予め定めた所定値になった時、前記ワイヤードリモコンの電源状態を遮断に更新すると共に、対応する前記室内機へ電源供給を遮断する指示データを送信することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空調機システム。
【請求項4】
前記室内機は、運転を停止した時、前記スイッチ手段により前記ワイヤードリモコンへの電源を遮断し、前記ワイヤードリモコンが電源遮断状態である通知データ、もしくは、運転停止の前記運転状態の通知データを前記リモコン電源管理手段へ送信し、同通知データを受信した前記リモコン電源管理手段は、前記電源管理テーブルにおける同通知元の室内機と対応する前記ワイヤードリモコンの電源状態の内容を遮断に更新することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の空調機システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−50223(P2013−50223A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186771(P2011−186771)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】