説明

空調機器運転制御装置、空調機器運転制御プログラムおよび空調機器運転制御方法

【課題】 複数の空調機器に対し、全体の消費電力値が常に制限電力値の範囲内なるようにオンオフ制御し、かつ、制限電力値の範囲内で無駄なく電力を割り振って、空調機器を制限電力値の範囲内で最大限に運転することができ、安価な電気料サービスの利用と複数の空調機器の効率的な運転制御とを実現することのできる空調機器運転制御装置を提供する。
【解決手段】 制限電力値を取得する制限電力値取得部91と、各空調機器2の優先順位を判別する優先順位判別部92と、運転要求信号の有無を判別する運転要求信号判別部93と、最大消費電力値を取得する最大消費電力値取得部94と、最大消費電力値の積算値を算出する積算値算出部96と、積算値と制限電力値とを比較する積算値比較部97と、運転オン信号又は運転オフ信号を出力する運転制御信号出力部98と、積算値が制限電力値を超える場合、積算値を前の積算値に戻す積算値復帰部99とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め優先的に運転する優先順位が設定された複数の空調機器を所定の制限電力値の範囲内で運転制御する空調機器運転制御装置、空調機器運転制御プログラムおよび空調機器運転制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、オール電化住宅の普及等により照明等の消費電力の小さい電気機器に限らず、電気パネルヒーターといった消費電力の大きい空調機器等の利用機会が増加している。これに伴い、利用者もそれら消費電力の大きい空調機器等の電気料金を抑制したいというニーズがある。
【0003】
電力会社ではそのようなニーズに応えるため、安価な電気料金の利用時間を余剰電力が多い深夜帯等に制限したり、利用可能な制限電力値を設定することで空調機器へ安価な電力を提供するサービスが用意されている。例えば、北海道電力株式会社では、安価な価格帯を利用できる利用機器として融雪機器や空調機器に限定したホットタイムというサービスが提供されている。
【0004】
従来、そのような電気料金の安いサービスを契約した場合、全ての空調機器を同時に運転する可能性があることを想定し、基本料金の設定に関わる制限電力値は、各空調機器の最大消費電力値を全て積算したものを基準としてきた。
【0005】
しかし、一般住宅において、昨今の省エネへの意識の高まりなどから、全ての空調機器を同時に運転することは極めて少なくなっている。例えば、空調機器が各部屋に設置されている場合でも、リビングや寝室といった居住時間の長い部屋以外の空調機器は停止させておくことが多い。また、部屋の温度が設定値に達したときは、部屋を暖め過ぎないようにその空調機器の運転を停止させることが多い。出願人の調べでは、一般的な2階建て住宅において、全ての空調機器の稼働率は25%〜50%程度になるとの試算がでている。
【0006】
したがって、これまで上記サービスを契約する場合、実際に必要な電力値よりも高い制限電力値が設定されてしまい、基本料金が高く見積もられるという問題があった。
【0007】
なお、従来、制限電力値の超過によるブレーカー遮断の防止等を目的とした、複数の電気機器の運転オンオフ制御を行うデマンド制御装置やデマンド制御方法が提案されている。
【0008】
例えば、特開2010−75015号公報では、デマンド制御の優先度を設定するデマンド優先度設定手段、及び、設定された優先度をコントローラに通知する優先度通知手段を配置した電気機器と、消費電力値を測定する電力値センサーと、前記優先度通知手段からの優先度に基づいて電力抑制対象とする電気機器の作動順番を決定するとともに、前記電力値センサーにより測定された消費電力値が契約電力値を超過した時にデマンド制御処理を実行するコントローラとを有する家電機器デマンド制御システムが提案されている(特許文献1)。
【0009】
また、特開昭51−127355号公報では、複数の電気機器の使用に優先順位を設け、回路内の消費電力値をカレントトランスフォーマで検知して、回路内の消費電力値が制限電力値を超過した場合に、前記優先順位の低い順に電気機器のスイッチをオフとし、回路内の消費電力値が制限電力値の範囲内に復帰したときには、スイッチをオンとする電流自動制御法が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−75015号公報
【特許文献2】特開昭51−127355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載された発明においては、実際に使用されている電力値を測定し、当該測定値が所定の制限電力値を超過したことを検知してから電気機器等の運転制御を行うため、消費電力値は、一旦、制限電力値を超過することになる。そのため、前述した電力会社では、特許文献1および特許文献2に記載された発明等の従来のデマンド制御装置等の利用を前提としていると、上記安価な料金システムのサービスに適用することができなかった。
【0012】
また、特許文献1および特許文献2に記載された発明は、使用されている電力値が制限電力値を超過すると、その範囲内になるまで優先度や優先順位の低い順に電気機器の運転を停止させるものである。そのため、運転が停止にされている下位の電気機器の消費電力値が低く、実際にはその下位の電気機器を運転させても全体の消費電力値が制限電力値の範囲内に収まる場合であっても、当該下位の電気機器は作動されずに停止したままであり、制限電力値の範囲内の電力を有効に利用することができていなかった。
【0013】
さらに、特許文献1および特許文献2に記載された発明において、使用される電力値センサーやカレントトランスフォーマは高価である。また、使用電力値が超過したか否かを判別するためにリアルタイムで監視する必要があるため、システムへの負荷が大きく、また機能が複雑であったり、難易なプログラムを用いる必要があった。したがって、製造コストが高くなるという問題もあった。
【0014】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、複数の空調機器に対し、全体の消費電力値が常に制限電力値の範囲内なるようにオンオフ制御し、かつ、その制限電力値の範囲内で無駄なく電力を割り振って、空調機器を制限電力値の範囲内で最大限に運転することができ、安価な電気料サービスの利用と複数の空調機器の効率的な運転制御とを実現することのできる空調機器運転制御装置、空調機器運転制御プログラムおよび空調機器運転制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る空調機器運転制御プログラムは、空調機器運転制御装置を、予め優先的に運転する優先順位が設定された複数の空調機器を所定の制限電力値の範囲内で運転制御する空調機器運転制御プログラムであって、前記制限電力値を記憶する制限電力値記憶部から前記制限電力値を取得する制限電力値取得部と、前記各空調機器の優先順位を判別する優先順位判別部と、前記空調機器が運転要求信号を発しているか否かを判別する運転要求信号判別部と、前記空調機器からそれぞれに固有の最大消費電力値を取得する最大消費電力値取得部と、前記運転要求信号判別部が前記運転要求信号を発していると判別した全ての前記空調機器について、前記優先順位判別部が判別した優先順位に従って、前記最大消費電力値取得部が取得した最大消費電力値を順次、積算して積算値を算出する積算値算出部と、前記積算値算出部が前記積算値を算出する度に、前記積算値と、前記制限電力値取得部が取得した前記制限電力値とを比較する積算値比較部と、前記積算値比較部による比較結果を参照し、前記積算値が前記制限電力値以下である場合、直近に積算した最大消費電力値を有する前記空調機器に運転オン信号を出力し、前記積算値が前記制限電力値を超える場合、直近に積算した最大消費電力値を有する前記空調機器に運転オフ信号を出力する運転制御信号出力部と、前記積算値比較部による比較結果を参照し、前記積算値が前記制限電力値を超える場合、当該積算値を直近の最大消費電力値を積算する前の積算値に戻す積算値復帰部として機能させる。
【0016】
また、本発明において、前記各空調機器が優先順位に関係なく運転することを要求する割り込み信号を発しているか否かを判別する割り込み信号判別部としてコンピュータを機能させ、前記運転要求信号判別部が前記運転要求信号を発していると判別し、かつ、前記割り込み信号判別部が前記割り込み信号を発していると判別した前記空調機器がある場合、前記積算値算出部は、当該空調機器の前記最大消費電力値を先に積算するようにしてもよい。
【0017】
また、本発明に係る空調機器運転制御方法は、予め優先的に運転する優先順位が設定された複数の空調機器を所定の制限電力値の範囲内で運転制御する空調機器運転制御方法であって、前記制限電力値を記憶する制限電力値記憶部から前記制限電力値を取得する制限電力値取得ステップと、前記各空調機器の優先順位を判別する優先順位判別ステップと、前記空調機器が運転要求信号を発しているか否かを判別する運転要求信号判別ステップと、前記各空調機器からそれぞれに固有の最大消費電力値を取得する最大消費電力値取得ステップと、前記運転要求信号判別ステップにおいて前記運転要求信号を発していると判別された全ての前記空調機器について、前記優先順位判別ステップにおいて判別された優先順位に従って、前記最大消費電力値取得ステップにおいて取得された最大消費電力値を順次、積算して積算値を算出する積算値算出ステップと、前記積算値算出ステップにおいて前記積算値が算出される度に、前記積算値と、前記制限電力値取得ステップにおいて取得された前記制限電力値とを比較する積算値比較ステップと、前記積算値比較ステップにおける比較結果を参照し、前記積算値が前記制限電力値以下である場合、直近に積算した最大消費電力値を有する前記空調機器に運転オン信号を出力し、前記積算値が前記制限電力値を超える場合、直近に積算した最大消費電力値を有する前記空調機器に運転オフ信号を出力する運転制御信号出力ステップと、前記積算値比較ステップにおける比較結果を参照し、前記積算値が前記制限電力値を超える場合、当該積算値を直近の最大消費電力値を積算する前の積算値に戻す積算値復帰ステップとを有する。
【0018】
また、本発明において、前記各空調機器が優先順位に関係なく運転することを要求する割り込み信号を発しているか否かを判別する割り込み信号判別ステップを有しており、前記運転要求信号判別ステップにおいて前記運転要求信号を発していると判別され、かつ、前記割り込み信号判別ステップにおいて前記割り込み信号を発していると判別された前記空調機器がある場合、前記積算値算出ステップでは、当該空調機器の前記最大消費電力値を先に積算するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の空調機器に対し、全体の消費電力値が常に制限電力値の範囲内なるようにオンオフ制御し、かつ、その制限電力値の範囲内で無駄なく電力を割り振って、空調機器を制限電力値の範囲内で最大限に運転することができ、安価な電気料サービスの利用と複数の空調機器の効率的な運転制御とを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る空調機器運転制御装置を用いた空調機器運転制御システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における空調機器運転制御装置の各構成の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】本実施形態における空調機器運転制御装置を示す分解斜視図である
【図4】本実施形態における各構成の作用を示すフローチャート図である。
【図5】本実施例1として空調機器の設置例を示す建物の間取り図である。
【図6】本実施例1における空調機器の運転条件およびそれに対する運転制御信号の有無を示す図である。
【図7】比較例として、従来の空調機器の運転制御装置における運転制御信号の有無を実施例1に対応させて示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る空調機器運転制御装置、空調機器運転制御プログラムおよび空調機器運転制御方法の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態における空調機器運転制御装置3を用いた空調機器運転制御システム1を示すブロック図である。
【0022】
本実施形態の空調機器運転制御システム1は、複数の空調機器2と、それらの空調機器2と信号線10を介して接続された空調機器運転制御装置3とから構成されている。以下、各構成について詳細に説明する。
【0023】
空調機器運転制御装置3は、コンピュータ等から構成されており、主として、通信手段4、優先順位設定手段5、入力手段6、表示手段7、記憶手段8および演算処理手段9から構成されている。
【0024】
通信手段4は、いわゆる通信インターフェース等から構成されており、各空調機器2に備えられた機器側通信手段25と信号線10を介して各種信号やデータの入出力を行うようになっている。本実施形態においては、図2に示すように空調機器2から運転要求信号、割り込み信号および最大消費電力値Nのデータを取得し、運転制御信号を空調機器2へ出力するようになっている。
【0025】
優先順位設定手段5は、各空調機器2の運転に係る優先順位を設定するためのものである。本実施形態の優先順位設定手段5は、図3に示すような複数の端子を有する端子台51から構成されており、その端子台51には複数の端子52が優先順位に従って端から順に配列されている。そして、予め設定された優先順位に従って各空調機器2と各端子52とが一対一で接続されており、この接続位置により優先順位が設定されている。
【0026】
入力手段6は、空調機器運転制御装置3の運転の開始や停止を指示するスイッチ、および、テキストや数値を入力する操作キー等からなる。本実施形態においては、後述する制限電力値記憶部82への制限電力値の入力操作等に用いることができるようになっている。
【0027】
表示手段7は、LEDライト、画像やテキストデータを表示する液晶ディスプレー等からなり、空調機器2の運転状況や運転条件、制限電力値等を表示できるようになっている。本実施形態において、表示手段7は、図3に示すような複数のLEDライト71を有しており、点灯の有無で各空調機器2の運転条件や運転制御信号の状況が表示されるようになっている。
【0028】
記憶手段8は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリ等によって構成されており、各種のデータを記憶するとともに、演算処理手段9が演算を行う際のワーキングエリアとして機能するものである。
【0029】
本実施形態において、記憶手段8は、図1に示すように、主として、プログラム記憶部81、制限電力値記憶部82、運転条件記憶部83、積算値記憶部84および比較結果記憶部85を有している。以下、各記憶部についてより詳細に説明する。
【0030】
プログラム記憶部81には、本実施形態の空調機器運転制御プログラム3aがインストールされている。そして、演算処理手段9が、空調機器運転制御プログラム3aを実行することにより、本実施形態の空調機器運転制御装置3を後述する各構成部として機能させるようになっている。なお、空調機器運転制御プログラム3aの利用形態は、上記構成に限られるものではなく、CD−ROM等の記録媒体に記憶させておき、この記録媒体からコンピュータ等によって直接起動して実行し得るようにしてもよい。
【0031】
制限電力値記憶部82には、電力会社と契約した所定の制限電力値Sが記憶されている。本実施形態における制限電力値Sは、ユーザが勝手に変更してしまうのを防止するため、制限電力値Sが記憶された専用コネクターや、専用ICカード等を用いて、電力会社が制限電力値記憶部82に記憶させている。なお、制限電力値Sを記憶させる手段は、上記に限られるものではなく、入力手段により所定の制限電力値Sを入力することにより制限電力値記憶部82に記憶するようにしてもよい。
【0032】
運転条件記憶部83は、各空調機器2の運転条件を記憶させておくためのものである。本実施形態において、運転条件記憶部83には、図2に示すように、主に、各空調機器2の優先順位データ、各空調機器2の運転要求の有無を示すデータ、各空調機器2の最大消費電力値Nおよび各空調機器2の割り込み信号の有無を示すデータが記憶されている。
【0033】
本実施形態において、各空調機器2の運転要求の有無を示すデータおよび各空調機器2の割り込み信号の有無を示すデータについては、後述する運転要求信号判別部93および割り込み信号判別部95の判別結果として、以下の3つのケースに場合分けして記憶されている。
【0034】
まず、空調機器2から運転要求信号が発せられており、かつ、割り込み信号が発せられている場合は、優先的に運転することを示す運転条件のパラメータPに当該空調機器2の最大消費電力値Nが代入される(ケース1)。また、空調機器2から運転要求信号のみが発せられている場合は、通常運転することを示す運転条件のパラメータMに当該空調機器2の最大消費電力値Nが代入される(ケース2)。一方、空調機器2から運転要求信号が発せられていない場合は、各運転条件パラメータMとPにはともに0が代入される(ケース3)。
【0035】
つぎに、積算値記憶部84は、後述する積算値算出部96が運転要求信号を発している全ての空調機器2について、優先順位に従って最大消費電力値Nを順次積算して算出した積算値(QまはたR)をその都度、記憶するためのものである。本実施形態において、積算値記憶部84には、算出した積算値(QまはたR)とともに、その積算をする前の積算値(Qx−1またはRx−1)が記憶されている。
【0036】
比較結果記憶部85は、各空調機器2に対して、後述する積算値比較部97が積算値算出部96により算出された積算値(QまはたR)と制限電力値Sとを比較した結果を記憶するものである。具体的には、積算値(QまはたR)が制限電力値S以下であると判別された場合は、その空調機器2に運転オン信号を出力するために、比較結果を示すパラメータHに1が記憶される。一方、積算値(QまはたR)が制限電力値Sより大きいと判別された場合は、その空調機器2に運転オフ信号を出力するために、比較結果を示すパラメータHに0が記憶される。
【0037】
演算処理手段9は、CPU(Central Processing Unit)等から構成されており、記憶手段8にインストールされた空調機器運転制御プログラム3aを実行させることにより、図1に示すように、制限電力値取得部91、優先順位判別部92、運転要求信号判別部93、最大消費電力値取得部94、割り込み信号判別部95、積算値算出部96、積算値比較部97、運転制御信号出力部98および積算値復帰部99として空調機器運転制御装置3を機能させるようになっている。以下、各構成部についてより詳細に説明する。
【0038】
制限電力値取得部91は、空調機器運転制御システム1において定められた制限電力値Sを取得するものである。本実施形態において、制限電力値取得部91は、図2に示すように、制限電力値記憶部82から制限電力値Sを取得し、その制限電力値Sを積算値比較部97へ出力するようになっている。
【0039】
優先順位判別部92は、各空調機器2の優先順位を判別するものである。具体的には、優先順位判別部92は、図2に示すように、優先順位設定手段5から優先順位判別用データを取得して各空調機器2に設定されている優先順位を判別し、空調機器2と優先順位とを対応付けた優先順位データを運転条件記憶部83に出力する。なお、本実施形態において、優先順位判別部92は、優先順位設定手段5としての端子台51の端子52に接続されている端子位置によって、その空調機器2の識別とその優先順位を判別するようになっている。
【0040】
運転要求信号判別部93は、各空調機器2が運転要求信号を発しているか否かを判別するためのものである。本実施形態において、運転要求信号判別部93は、図2に示すように、各空調機器2から出力される運転要求信号を通信手段4を介して検知可能な状態にしておき、その運転要求信号を検知したか否かで空調機器2が運転要求信号を発したか否かを判別している。また、その判別結果は、上記のように、割り込み信号判別部95の判別結果とともに、上記ケース1〜3に場合分けされ、運転条件記憶部83に記憶されるようになっている。
【0041】
最大消費電力値取得部94は、各空調機器2からそれぞれに固有の最大消費電力値Nを取得するものである。本実施形態において、最大消費電力値取得部94は、図1および図2に示すように、空調機器2から出力される最大消費電力値Nを通信手段4を介して取得し、運転条件記憶部83に記憶させるようになっている。
【0042】
割り込み信号判別部95は、各空調機器2が優先順位に関係なく運転することを要求する割り込み信号を発しているか否かを判別するためのものである。本実施形態において、割り込み信号判別部95は、前記運転要求信号判別部93が運転要求信号を発していると判別した空調機器2に対し、図2に示すように、各空調機器2から出力される割り込み信号を通信手段4を介して検知可能な状態にしておき、割り込み信号を検知したか否かで空調機器2が割り込み信号を発したか否かを判別している。また、その判別結果は運転要求信号判別部93の判別結果とともに、上記ケース1〜3に場合分けされ、運転条件記憶部83に記憶されるようになっている。なお、割り込み設定は、例えば各空調機器2に設けられた割り込みスイッチ23をオンすることにより設定可能となっている。
【0043】
積算値算出部96は、運転要求信号判別部93が運転要求信号を発していると判別した全ての空調機器2について、優先順位判別部92が判別した優先順位に従って、最大消費電力値取得部94が取得した最大消費電力値Nを順次、積算して積算値(QまはたR)を算出するためのものである。本実施形態において、積算値算出部96は、図2に示すように、積算値記憶部84から取得した積算値(Qx−1またはRx−1)に、運転条件記憶部83から取得した最大消費電力値Nを積算し、算出した積算値(QまはたR)を積算値記憶部84および積算値比較部97へ出力するようになっている。
【0044】
また、本実施形態において、積算値算出部96は、割り込み信号判別部95が割り込み信号を発していると判別した空調機器2の最大消費電力値Nを先に積算するようになっている。また、本実施形態において、割り込み信号を発している空調機器2が複数ある場合には、それらの空調機器2について予め設定されている優先順位に従って、先に積算するようになっている。
【0045】
積算値比較部97は、積算値算出部96によって算出された積算値(QまはたR)と、制限電力値Sとを比較するためのものである。本実施形態において、積算値比較部97は、積算値算出部96が積算値(QまはたR)を算出する度に、図2に示すように、積算値算出部96から出力された積算値(QまはたR)と、制限電力値取得部91が取得した制限電力値Sとの大小を比較し、その比較結果を比較結果記憶部85に記憶させるようになっている。
【0046】
なお、本実施形態では、各空調機器2について、比較結果を一旦、比較結果記憶部85に記憶させているが、これに限定されるものではない。すなわち、比較結果記憶部85を使用することなく、直接、後述する運転制御信号出力部98および積算値復帰部99に比較結果を送信するようにしてもよい。
【0047】
運転制御信号出力部98は、積算値比較部97による比較結果を参照し、その結果に応じて空調機器2に運転オン信号または運転オフ信号を出力するためのものである。本実施形態において、運転制御信号出力部98は、図2に示すように、比較結果記憶部85に記憶されている比較結果を参照し、当該比較結果がH=1である場合、すなわち積算値(QまはたR)が制限電力値S以下である場合、直近に積算した最大消費電力値Nを有する空調機器2に運転オン信号を出力する。一方、比較結果がH=0である場合、すなわち積算値(QまはたR)が制限電力値Sを超える場合、直近に積算した最大消費電力値Nを有する空調機器2に運転オフ信号を出力する、あるいは運転オン信号を出力しない処理を行うようになっている。
【0048】
積算値復帰部99は、積算値比較部97による比較結果を参照し、積算値(QまはたR)が制限電力値Sを超える場合、当該積算値(QまはたR)を直近の最大消費電力値Nを積算する前の積算値(Qx−1まはたRx−1)に戻すためのものである。本実施形態において、積算値復帰部99は、図2に示すように、比較結果記憶部85に記憶されている比較結果を参照し、当該比較結果がH=0の場合、すなわち積算値(QまはたR)が制限電力値Sを超える場合、積算値記憶部84から直近の最大消費電力値Nを積算する前の積算値(Qx−1まはたRx−1)を取得し、当該積算値(Qx−1まはたRx−1)によって積算値記憶部84内の積算値(QまはたR)を書き換えるようになっている。なお、前記積算値復帰部99による積算値(QまはたR)の復帰の方法については、前述のように積算値記憶部84から読み出す方法に代えて、制限電力値Sを超えた積算値(QまはたR)から、直近に積算した最大消費電力値Nを減算することにより前の積算値(Qx−1まはたRx−1)を求めるようにしてもよい。
【0049】
なお、本実施形態において、空調機器2は、主として電気パネルヒーターやエアコン等の冷暖房機器であり、空気清浄機等も含まれる。図1に示すように、本実施形態の空調機器2は、電気パネルヒーターを例示しており、主として空調手段21、運転スイッチ22、割り込みスイッチ23、センサー24、機器側通信手段25、機器側記憶手段26および機器側演算処理手段27を有している。
【0050】
空調手段21は、電気パネルヒーター等の空調機器本体のことであり、電力により発熱するようになっている。また、運転スイッチ22および割り込みスイッチ23は、運転および割り込みのオンオフを切り換えることのできる切換スイッチである。
【0051】
センサー24は、空調機器2が設置されている室内状況を計測するものであり、例えば熱電対を備えた室内温度を計測する温度計である。
【0052】
機器側通信手段25は、通信インターフェース等から構成されており、空調機器運転制御装置3に備えられた通信手段4と信号線10を介して各種信号やデータの入出力を行うようになっている。
【0053】
機器側記憶手段26は、図1に示すように、最大消費電力値記憶部261を有しており、その最大消費電力値記憶部261には、当該空調機器2に固有の最大消費電力値Nが記憶されている。
【0054】
また、機器側演算処理手段27は、マイクロコンピュータ等から構成されており、図1に示すように、運転条件判別部271、信号入出力部272および空調制御部273を有している。
【0055】
本実施形態において、運転条件判別部271は、運転スイッチ22や割り込みスイッチ23がオンかオフかを判別するとともに、センサー24により計測された室内温度が設定値に達しているか否かを判別するものである。
【0056】
信号入出力部272は、運転要求信号や割り込み信号を出力し、運転制御信号を入力するものである。具体的には、運転条件判別部271により運転スイッチ22がオンであると判別されるとともに、室内温度が設定値以下であると判別された場合には、運転要求信号を出力するようになっている。また、運転条件判別部271により割り込みスイッチ23がオンであると判別された場合には、割り込み信号を出力するようになっている。さらに、空調機器運転制御装置3の運転制御信号出力部98が発した運転制御信号を入力し、空調制御部273へ出力するようになっている。
【0057】
空調制御部273は、信号入出力部272が空調機器運転制御装置3の運転制御信号出力部98が発した運転制御信号を入力すると、その運転制御信号に応じて、空調手段21の運転オンオフ制御を行うものである。本実施形態において、空調制御部273は、運転オン信号が入力されると、空調手段21の運転を開始させ、運転オフ信号が入力されると、空調手段21の運転を停止させるようになっている。
【0058】
つぎに、本実施形態の空調機器運転制御プログラム3aによって実行される空調機器運転制御装置3、および本実施形態の空調機器運転制御方法の作用につき、図4のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0059】
まず、空調機器2を運転制御するための前提条件となる制限電力値S、空調機器の数Yを取得し、各空調機器2に優先順位を対応付ける(ステップS1〜S2)。具体的には、制限電力値取得部91が制限電力値記憶部82から制限電力値Sを読み出して取得する(ステップS1)。そして、優先順位判別部92が、優先順位設定手段5から優先順位判別用データを取得して各空調機器2の優先順位データを運転条件記憶部83に記憶させ、空調機器の数Yを取得する(ステップS2)。
【0060】
つぎに、ステップS3〜S8は、各空調機器2から出力される各空調機器2の運転要求信号、最大消費電力値Nおよび割り込み信号を検知し、各空調機器2の運転条件を判別して運転条件記憶部83に記憶させる工程である。
【0061】
具体的には、まず、優先順位が最上位である第1優先順位の空調機器2を選択する(ステップS3)。つぎに、運転要求信号判別部93が、その空調機器2から運転要求信号が発せられているか否かを判別する(ステップS4)。ここで運転要求信号が発せられていると判別された場合(ステップS4:YES)はステップS5へ進む。また、本実施形態では、運転要求信号を発していることを示すLEDライト71を点灯させる。そして、ステップS5において、最大消費電力値取得部94が運転要求信号が発せられている空調機器2の最大消費電力値Nを取得する。
【0062】
一方、運転要求信号が発せられていないと判別された場合(ステップS4:NO)は、上記場合分けにおけるケース3であり、その空調機器2の各運転条件パラメータをP=0,M=0を運転条件記憶部83に記憶させる(ステップS7c)。
【0063】
つぎに、割り込み信号判別部95は、運転要求信号が発せられていると判別した空調機器2が、別途、割り込み信号を発しているか否かを判別する(ステップS6)。
【0064】
その結果、空調機器2が割り込み信号を発していると判別した場合(ステップS6:YES)は、上記場合分けにおけるケース1であり、各運転条件パラメータをP=N,M=0として、その空調機器2の運転条件を運転条件記憶部83に記憶させる(ステップS7a)。また、本実施形態では、割り込み信号を発していることを示すLEDライト71を点灯させる。
【0065】
一方、割り込み信号を発していないと判別した場合(ステップS6:NO)は、上記場合分けにおけるケース2であり、各運転条件パラメータをP=0,M=Nとして、その空調機器2の運転条件を運転条件記憶部83に記憶させる(ステップS7b)。
【0066】
そして、空調機器2の優先順位が最下位であるか否かを判別し(ステップS8)、順次、空調機器2の優先順位が最下位になるまでステップS4〜S8を繰り返す(ステップS8:NO)。そして、空調機器2の優先順位が最下位であると判別されると(ステップS8:YES)、つぎのステップS9へ進む。
【0067】
なお、本実施形態では、各空調機器2の運転条件を判別して運転条件記憶部83に記憶させる工程を優先順位に従って行っているが(ステップS3〜S8)、これに限定されるものではなく、全ての空調機器2の判別を行うことができるのであれば、ランダムに判別するようにしてもよい。
【0068】
つぎに、ステップS9〜ステップS16は、運転条件記憶部83に記憶された各空調機器2の運転条件に基づいて、運転要求信号が発せられており、かつ、割り込み信号が発せられている空調機器2に対して、他よりも優先的に最大消費電力値Nの積算値Qを算出し、その積算値Qと制限電力値Sとを比較して、その比較結果を比較結果記憶部85に記憶させる工程である。
【0069】
具体的には、まず、第1優先順位の空調機器2を選択する(ステップS9)。また、積算値Qに0を代入して、積算値記憶部84に記憶させることで、積算値Qの初期化を行う(ステップS10)。
【0070】
つぎに、運転要求信号が発せられており、かつ、割り込み信号が発せられている空調機器2を抽出するため、運転条件記憶部83に記憶された運転条件を呼び出し、運転条件パラメータがP>0であるか否かを判別する(ステップS11)。運転条件パラメータがP>0である場合(ステップS11:YES)はステップS12に進み、運転条件パラメータがP>0でない場合(ステップS11:NO)は、ステップS14bおよびステップS15へと進む。
【0071】
ステップS12では、積算値算出部96が積算値記憶部84に記憶されている積算値Qを呼び出し、その積算値Qに、空調機器の最大消費電力値N(P)を積算する。本実施形態における積算値算出部96では、積算する前の積算値Qx−1を残しつつ、算出した積算値Qを新しい積算値Qとして積算値記憶部84に記憶させる。
【0072】
つぎに、積算値比較部97が、積算値算出部96が算出した積算値Qと、制限電力値取得部91により取得された制限電力値Sとの大小を比較する。本実施形態では、積算値Qが制限電力値S以下であると判別された場合(ステップS13:YES)は、ステップS14aに進み、その比較結果をH=1として比較結果記憶部85に記憶させる。一方、積算値Qが制限電力値Sを越えると判別された場合(ステップS13:NO)は、ステップS14bおよびステップS15へと進む。
【0073】
本実施形態において、ステップS14bでは、空調機器2から割り込み信号が発せられていないと判別された場合(ステップS11:NO)、または積算値Qが制限電力値Sを越えると判別された場合(ステップS13:NO)に、判別結果として、H=0を比較結果記憶部85に記憶させる。
【0074】
また、ステップS15では、積算値復帰部99が、積算値Qを直近の最大消費電力値N(P)を積算する前の積算値Qx−1に戻す。本実施形態において、積算値復帰部は、積算値記憶部84から積算する前の積算値データQx−1を呼び出し、積算値Qに書き換えて積算値記憶部84に記憶させる。
【0075】
上記のように、積算値復帰部99が、積算値Qを直近の最大消費電力値N(P)を積算する前の積算値Qx−1に戻すことにより、運転制御信号出力部98によって運転オン信号を出力する空調機器2以外の最大消費電力値N(P)を積算値から除くことで、運転オン信号を送信する空調機器2の最大消費電力値N(P)のみを積算するようになっている。
【0076】
そして、空調機器2の優先順位が最下位であるか否かを判別し(ステップS16)、その優先順位が最下位になるまでステップS11〜S16を繰り返す(ステップS16:NO)。そして、空調機器2の優先順位が最下位であると判別されると(ステップS16:YES)、つぎのステップS17へ進む。
【0077】
つぎに、ステップS17〜ステップS24は、割り込み信号が発せられている空調機器2を除いた、運転要求信号のみが発せられている空調機器2に対して、最大消費電力値Nの積算値Rを算出し、その積算値Rと制限電力値Sとを比較して、その比較結果を比較結果記憶部85に記憶させる工程である。
【0078】
具体的には、まず、第1優先順位の空調機器2を選択する(ステップS17)。そして、ステップS11〜S16を繰り返して空調機器2の優先順位が最下位であると判別された(ステップS16:YES)時点における積算値Qを、初期値Rとする(ステップS18)。そのように、割り込み信号が発せられている全ての空調機器2の最大消費電力値N(P)の積算値Qを初期値とすることで、利用可能な電力値を確実に制限電力値S以下となるように制御している。
【0079】
つぎに、割り込み信号が発せられている空調機器2を除く、運転要求信号のみが発せられている空調機器2を抽出するため、運転条件記憶部83に記憶された運転条件を呼び出し、運転条件パラメータがM>0であるか否かを判別する(ステップS19)。運転条件パラメータがM>0である場合(ステップS19:YES)はステップS20に進み、運転条件パラメータがM>0でない場合(ステップS19:NO)は、ステップS23へと進む。
【0080】
ステップS20では、積算値算出部96が積算値記憶部84に記憶されている積算値Rを呼び出し、その積算値Rに、割り込み信号が発せられている空調機器2を除く、運転要求信号が発せられている空調機器2の最大消費電力値N(M)を積算し、積算値Rを算出する。また、ステップS12と同様に、積算値算出部96は、積算する前の積算値Rx−1を残しつつ、算出した積算値Rを新しい積算値Rとして積算値記憶部84に記憶させる。
【0081】
つぎに、ステップS13と同様に、積算値比較部97が、積算値算出部96が算出した積算値Rと、制限電力値取得部91で取得された制限電力値Sとの大小を比較する(ステップS21)。積算値Rが制限電力値S以下であると判別された場合(ステップS21:YES)は、ステップS22に進み、その比較結果をH=1として比較結果記憶部85に記憶させる。
【0082】
一方、積算値Rが制限電力値Sを越えると判別された場合(ステップS21:NO)は、ステップS23へと進む。
【0083】
ステップS23では、ステップS15と同様に、積算値復帰部99が、積算値記憶部84から積算する前の積算値データRx−1を呼び出し、積算値Rに書き換えて積算値記憶部84に記憶させる。
【0084】
なお、本実施形態において、積算値Rが制限電力値Sを越えると判別された場合(ステップS21:NO)の空調機器2に対しては、ステップS14bにおいて既に比較結果H=0として比較結果記憶部85に記憶させているので、再度の記憶はさせていない。
【0085】
そして、空調機器2の優先順位が最下位であるか否かを判別し(ステップS24)、その優先順位が最下位になるまでステップS19〜S24を繰り返す(ステップS24:NO)。一方、空調機器2の優先順位が最下位であると判別されると(ステップS24:YES)、つぎのステップS25へ進む。
【0086】
つぎに、ステップS25〜S28は、運転制御信号出力部98が、積算値比較部97の比較結果に基づき、各空調機器2に対して運転制御信号を出力する工程である。
【0087】
具体的には、まず、第1優先順位の空調機器1を選択する(ステップS25)。そして、比較結果記憶部85から、積算値比較部97による比較結果を呼び出し、比較結果がH=1であるか否かを判別する(ステップS26)。
【0088】
そして、比較結果がH=1である場合(ステップS26:YES)、運転制御信号出力部98は、その空調機器2に対して、運転オン信号を出力する(ステップS27a)。また、本実施形態では、運転オン信号を出力していることを示すLEDライト71を点灯させる。
【0089】
一方、比較結果がH=0である場合(ステップS26:NO)、運転制御信号出力部98は、その空調機器2に対して、運転オフ信号を出力する(ステップS27b)。
【0090】
運転制御信号出力部98により出力された、運転オン信号および運転オフ信号は、通信手段4を介して、各空調機器2に出力される。
【0091】
そして、空調機器2の優先順位が最下位であるか否かを判別し(ステップS28)、空調機器2が最下位になるまでステップS26〜S28を繰り返す(ステップS28:NO)。そして、最下位であると判別されると(ステップS28:YES)、ステップS29へ進む。
【0092】
ステップS29では、運転制御を停止するか否かを判別する。本実施形態において、運転制御の停止は、入力手段6による空調機器運転制御装置3の運転の開始や停止の指示を判別することにより行う(ステップS29)。運転の停止の指示がない場合(ステップS29:NO)は、ステップS3〜S29を繰り返し、空調機器2の運転制御を継続する。一方、運転の停止の指示がある場合(ステップS29:YES)は、制御を終了させる。
【0093】
なお、ステップS3〜S29における空調機器2の運転制御処理の繰り返しは、常時行うようにしてもよい。また、運転中に最大消費電力値Nの積算値(QまはたR)が制限電力値Sを越えることがないため、所定の時間間隔毎に繰り返すようにしてもよい。
【0094】
以上のような本実施形態の空調機器運転制御装置3、空調機器運転制御プログラム3aおよび空調機器運転制御方法によれば、以下のような効果を得ることができる。
1.制限電力値Sの範囲内で、運転要求のある空調機器2を最大限に運転することができる。特に、空調機器2の数が多いほど、従来のデマンド制御技術に比べて運転される空調機器2が増大するため、その差異は顕著になる。
2.各空調機器2の最大消費電力値Nの積算値(QまはたR)を制限電力値S以下に保つことができる。
3.複数の空調機器2に対し、制限電力値Sの範囲内で優先順位に従い無駄なく電力を割り振ることができ、効率的な運転制御をすることができる。
4.安価な電気料サービスを受けることができる。
5.電力使用量を測定するための高価なセンサー等を必要とせず、かつ、常時監視を必要としないため、製造コストおよびプログラムの製作コストを抑制することができる。
6.割り込み信号によって、優先順位を変更することなく所定の空調機器2を優先的に運転させることができる。
【実施例1】
【0095】
本実施例1では、空調機器運転制御装置3、空調機器運転制御プログラム3aおよび空調機器運転制御方法を用いた空調機器運転制御システム1に対する運転制御のシミュレーションを行った。また、比較例として、従来の空調機器の運転制御装置における運転制御のシミュレーションも行った。
【0096】
図5は、本実施例1の空調機器運転制御システム1における空調機器2の設置例を示す建物の間取り図である。図5に示すように、本実施例1における空調機器運転制御システム1を設置する建物は2階建てであり、1階には、玄関ホール、リビングダイニングキッチン(LDK)、和室、脱衣所、ユニットバス(UB)およびトイレ(WC)があり、2階には洋間Aと洋間Bがある。
【0097】
本実施例1では、図5に示すように、建物内に8つの空調機器A〜Hを設置した。具体的には、1階のリビングダイニングキッチンに空調機器Aと空調機器Cを設置している。また、1階の和室に空調機器B設置している。また、2階の洋間Bには空調機器D、同じく2階の洋間Aには空調機器Eが設置されている。さらに、1階の脱衣所には空調機器F、1階の玄関ホールには空調機器Gおよび1階のトイレには空調機器Hがそれぞれ設置されている。
【0098】
また、それぞれの空調機器の最大消費電力値Nは、空調機器Aが1.6kW、空調機器Bが1.0kW、空調機器Cが1.6kW、空調機器Dが1.3kW、空調機器Eが1.0kW、空調機器Fが0.5kW、空調機器Gが0.5kW、空調機器Hが0.3kWである。
【0099】
本実施例1において、各空調機器A〜Hは、そのアルファベット順に優先順位が設定されている。また、制限電力値Sは、4.4kWである。以下に、運転条件を様々なパターンで設定して、各空調機器A〜Hがどのように運転制御されるかのシミュレーションを行った。その結果を、比較例の結果とともに、図6および図7を参照しつつ説明する。
【0100】
『全ての空調機器A〜Hが運転要求信号を発している場合(図6(a)、図7(a))』
本実施例1において、全ての空調機器A〜Hが運転要求信号を発している場合は、図6(a)に示すように、優先順位に従って、空調機器A、BおよびCに運転オン信号が発せられ、その他の空調機器D〜Hには運転オフ信号が発せられる。
【0101】
具体的には、空調機器Aの最大消費電力値NAは1.6kWであり、制限電力値Sの4.4kWを越えていないため、運転オン信号が出力される。
【0102】
つぎに、1つ下位の優先順位にある空調機器Bの最大消費電力値N1.0kWを空調機器Aの最大消費電力値N1.6kWに積算する。その結果は、2.6kWであり、制限電力値Sの4.4kWを越えていないため、空調機器Bに対しても、運転オン信号が出力される。
【0103】
同様に、1つ下位の優先順位にある空調機器Cの最大消費電力値Nを積算値Rに積算すると4.2kWとなり、制限電力値Sの4.4kWを越えていないため、空調機器Cに対しても、運転オン信号が出力される。
【0104】
しかし、1つ下位の優先順位にある空調機器Dの最大消費電力値Nを積算値Rに積算すると5.5kWになり、制限電力値Sの4.4kWを越えてしまう。よって、空調機器Dには運転オフ信号が出力される。そして、積算値Rを積算する前の積算値Rである4.2kWに戻す。
【0105】
つぎに、更に1つ下位の優先順位にある空調機器Eの最大消費電力値Nを積算値Rに積算すると、その積算値Rは、5.2kWとなり、制限電力値Sの4.4kWを越えてしまう。よって、空調機器Eにも運転オフ信号が出力される。
【0106】
以下、同様に、空調機器F〜Hのいずれの最大消費電力値Nを積算しても、制限電力値Sの4.4kWを越えてしまうので、それらの空調機器F〜Hにも運転オフ信号が出力されることになる。
【0107】
つぎに、比較例の従来の空調機器の運転制御装置を用いた場合におけるシミュレーション結果について説明する。従来の空調機器の運転制御装置を用いた場合、全ての空調機器A〜Hには、一旦、運転オン信号が発せられる。このため、使用電力量の最大値は、7.8kWとなり、制限電力値Sの4.4kWを越える。
【0108】
従来の空調機器の運転制御装置では、実際に使用されている電力値が制限電力値S以下になるまで、優先順位の低い空調機器から運転オフ信号が出力される。すなわち、図7(a)に示すように、優先順位が最下位の空調機器Hから順に、制限電力値S以下となる空調機器Dまで運転オフ信号が出力されることになる。
【0109】
したがって、全ての空調機器A〜Hが運転要求信号を発している場合は、本実施例1によるシミュレーション結果と従来の空調機器の運転制御装置によるシミュレーション結果とは、同じ結果となり、空調機器A、BおよびCに運転オン信号が発せられ、その他の空調機器D〜Hには運転オフ信号が発せられることとなった。
【0110】
『空調機器Aのセンサーの計測値が設定温度に到達した場合(図6(b)、図7(b))』
つぎに、空調機器Aのセンサーの計測値が設定温度に到達した場合について説明する(図6(b))。空調機器Aのセンサーの計測値が設定温度に到達すると、空調機器Aからは運転要求信号が発せられなくなる。よって、本実施例1の空調機器運転制御装置からは、空調機器Aに対し、運転オフ信号が出力されることになる。
【0111】
つぎに、空調機器Bから順に最大消費電力値Nを積算し、その都度、制限電力値Sと大小を比較する。まず、空調機器B〜Dの最大消費電力値NB〜Dの積算値Rは3.9kWであり、制限電力値Sの4.4kWを越えていないため、空調機器B〜Dにはそれぞれ運転オン信号が出力される。
【0112】
つぎに、1つ下位の優先順位にある空調機器Eの最大消費電力値Nを積算値積算値Rに積算すると、4.9kWとなるため、空調機器Eには運転オフ信号が出力される。
【0113】
その後も本実施例1では、積算値Rを積算する前の積算値Rである3.9kWに戻し、1つ下位の優先順位にある空調機器Fの最大消費電力値Nを積算値Rに積算する。すると、その積算値Rは、4.4kWとなり、制限電力値Sの4.4kWと等しくその値を越えない。よって、空調機器Fには、運転オン信号が出力されることになる。
【0114】
以下、空調機器G〜Hでは、最大消費電力値Nを積算値Rに積算すると、制限電力値Sの4.4kWを越えるので運転オフ信号が出力される。
【0115】
一方、従来の空調機器の運転制御装置では、空調機器B〜Hに、一旦、運転オン信号が発せられる。このため、使用電力量の最大値は、6.2kWであり、制限電力値Sの4.4kWを越えるため、制限電力値S以下になるまで、優先順位の低い空調機器から運転オフ信号が出力される。
【0116】
その結果、図7(b)に示すように、優先順位が最下位の空調機器Hから順に、制限電力値Sの範囲内となる空調機器Eまで運転オフ信号が出力されることになる。そのときの、最大消費電力値Nの積算値R、3.9kWである。
【0117】
すなわち、従来の空調機器の運転制御装置では、制限電力値Sである4.4kWとの間に0.5kWの余裕があり、空調機器F〜Hのいずれか1つを運転させても制限電力値Sの範囲内になるにもかかわらず、空調機器E〜Hが運転オフ信号が出力されることになる。
【0118】
したがって、空調機器Aのセンサーの計測値が設定温度に到達した場合には、本実施例1によるシミュレーション結果と従来の空調機器の運転制御装置によるシミュレーション結果とは、異なる結果となり、本実施例1による運転制御の方が制限電力値Sの範囲内の電力を最大限利用が出来ていて、効率的であった。
【0119】
『空調機器AおよびDのセンサーの計測値が設定温度に到達した場合(図6(c)、図7(c))』
つぎに、空調機器AおよびDのセンサーの計測値が設定温度に到達した場合について説明する(図6(c))。この場合、空調機器AおよびDには、運転オフ信号が出力される。
【0120】
よって、空調機器B〜Cについて最大消費電力値NB〜Cを積算した後、空調機器Dをとばして、空調機器E〜Hの順に、最大消費電力値NE〜Hを積算値Rを算出し、その都度、制限電力値Sと大小を比較する。
【0121】
その結果、図6(c)に示すように、空調機器B〜C、E〜FおよびHに運転オン信号が出力され、空調機器Gには運転オフ信号が発せられる。
【0122】
一方、従来の空調機器の運転制御装置を用いた場合のシミュレーション結果を図7(c)に示す。図7(c)に示すように、空調機器B、C、EおよびFには運転オン信号が出力され、その他の、空調機器A、D、GおよびHに運転オフ信号が出力される。
【0123】
この比較例において、空調機器B、C、EおよびFの最大消費電力値の積算値は4.1kWであり、制限電力値Sの4.4kWとの間に0.3kWの余裕がある。よって、制限電力値Sの範囲内で空調機器Hを運転させる余力が有るにも関わらず、運転が停止されたままになる。
【0124】
したがって、空調機器AおよびDのセンサーの計測値が設定温度に到達した場合においても、本実施例1によるシミュレーション結果と従来の空調機器の運転制御装置によるシミュレーション結果とは、異なる結果となり、本実施例1による運転制御の方が制限電力値Sの範囲内の電力を最大限利用が出来ていて、効率的であった。
【0125】
すなわち、上記図6(b),(c)の結果より、本発明に係る制御方法によれば、制限電力値の範囲内で空調機器を最大限に運転することができることが示された。また、制御対象となる空調機器の数が多いほど、本発明に係る制御方法によって運転される空調機器の数は、従来のデマンド制御技術(図7(b),(c))によって運転される空調機器の数よりも一層多くなることがわかる。
【0126】
『空調機器AおよびDのセンサーの計測値が設定温度に到達し、かつ、空調機器Cの運転スイッチがオフになっている場合(図6(d)、図7(d))』
空調機器AおよびDのセンサーの計測値が設定温度に到達し、かつ、空調機器Cの運転スイッチがオフになっている場合は、空調機器A、CおよびDには、運転オフ信号が発せられる。そのたの空調機器B、E〜Hの最大消費電力値Nの積算値Rを算出し、制限電力値Sと大小を比較する。
【0127】
そこで、空調機器B、E〜Hの最大消費電力値Nを順に積算すると、積算値Rは、3.3kWになる。よって、図6(d)に示すように、空調機器B、E〜Hの全てに対して、運転オン信号が出力されることになる。
【0128】
なお、従来の空調機器の運転制御装置を用いた場合のシミュレーション結果を図7(d)に示すが、本実施例1と同じ結果となった。
【0129】
『空調機器Dが割り込み信号を出力を発している場合(図6(e))』
つぎに、空調機器Dが割り込み信号を発している場合について説明する。まず、空調機器Dが割り込み信号を発しているため、空調機器Dの最大消費電力値Nと制限電力値Sとの比較を先に行う。その結果、空調機器Dの最大消費電力値Nは1.3kWであり、制限電力値Sの4.4kWを越えていないため、空調機器Dに対して運転オン信号が出力される。
【0130】
つぎに、優先順位に従い、空調機器Aから順に、各最大消費電力値Nを、割り込み信号が発せられた空調機器Dの最大消費電力値Nである1.3kWに積算し、その積算値Rを制限電力値Sと比較する。空調機器AおよびBの最大消費電力値Nを空調機器Dの最大消費電力値Nである1.3kWに積算すると3.9kWとなり、制限電力値Sの4.4kWを越えていない。よって、空調機器AおよびBには、運転オン信号が出力される。
【0131】
つぎに、1つ下位の優先順位にある空調機器Cの最大消費電力値Nを積算値Rに積算すると、5.5kWになり制限電力値Sの4.4kWを越えてしまう。よって、空調機器Cには、運転オフ信号が出力される。
【0132】
その後も本実施例1では、積算値Rを積算する前の積算値Rである3.9kWに戻し、空調機器Eの最大消費電力値Nを積算値Rに積算すると、4.5kWになり、空調機器Cの場合と同様、制限電力値Sの4.4kWを越えてしまうため運転オフ信号が出力される。
【0133】
また同様に、積算値Rを積算する前の積算値Rである3.9kWに戻し、空調機器Fの最大消費電力値Nを積算値Rに積算する。その結果、積算値Rは4.4kWとなり、制限電力値Sの4.4kWと等しくその値を越えない。よって、空調機器Fには、運転オン信号が出力されることになる。
【0134】
以下、空調機器G〜Hでは、最大消費電力値Nを積算値Rに積算すると、制限電力値Sの4.4kWを越えるので運転オフ信号が出力される。
【0135】
『空調機器DおよびHが割り込み信号を出力を発している場合(図6(f))』
空調機器DおよびHが割り込み信号を発している場合、これら空調機器DおよびHの最大消費電力値Nを先に積算する。なお、複数の空調機器で割り込み信号が発せられている場合は、予め設定されている優先順位に従って、処理される。よって、まず、空調機器Dの最大消費電力値Nと制限電力値Sとを比較する。空調機器Dの最大消費電力値Nと制限電力値Sとは、上記の通り、制限電力値Sを越えていないため、空調機器Dに対して運転オン信号が出力される。
【0136】
つぎに、割り込み信号が出力されている空調機器のうち、優先順位が低い空調機器Hの最大消費電力値Nを積算する。その積算値Rは1.6kWであり、制限電力値Sの4.4kWを越えていなため、空調機器Hに対しても運転オン信号が出力される。
【0137】
以下は、割り込み信号が出力されていない各空調機器について、予め設定されている優先順位に従って処理する。その結果、図6(f)に示すように、空調機器AおよびBに、運転オン信号が出力され、その他の空調機器C、E〜Gに対しては、運転オフ信号が出力されることになる。
【0138】
以上のように、割り込み信号を出力する空調機器については、予め定められた優先順位に関わらず、優先的に運転させることができることが示された。
【0139】
なお、本発明に係る空調機器運転制御装置、空調機器運転制御プログラムおよび空調機器運転制御方法は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0140】
例えば、制限電力値Sを記憶させる手段を、上記のように専用コネクターや、専用ICカード等をコネクター端子やカードリーダーに装着させることで記憶させるようにし、その装着の有無を空調機器2の運転制御の開始条件としてもよい。そのようにすることで、電気会社等で支給される専用コネクターや専用ICカードを利用することができるため、上記サービスを受けやすくすることができるものと考えられる。
【符号の説明】
【0141】
1 空調機器運転制御システム
2 空調機器
3 空調機器運転制御装置
3a 空調機器運転制御プログラム
4 通信手段
5 優先順位設定手段
6 入力手段
7 表示手段
8 記憶手段
9 演算処理手段
10 信号線
21 空調手段
22 運転スイッチ
23 割り込みスイッチ
24 センサー
25 機器側通信手段
26 機器側記憶手段
27 機器側演算処理手段
51 端子台
52 端子
71 LEDライト
81 プログラム記憶部
82 制限電力値記憶部
83 運転条件記憶部
84 積算値記憶部
85 比較結果記憶部
91 制限電力値取得部
92 優先順位判別部
93 運転要求信号判別部
94 最大消費電力値取得部
95 割り込み信号判別部
96 積算値算出部
97 積算値比較部
98 運転制御信号出力部
99 積算値復帰部
261 最大消費電力値記憶部
271 運転条件判別部
272 信号入出力部
273 空調制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め優先的に運転する優先順位が設定された複数の空調機器を所定の制限電力値の範囲内で運転制御する空調機器運転制御装置であって、
前記制限電力値を記憶する制限電力値記憶部から前記制限電力値を取得する制限電力値取得部と、
前記各空調機器の優先順位を判別する優先順位判別部と、
前記空調機器が運転要求信号を発しているか否かを判別する運転要求信号判別部と、
前記各空調機器からそれぞれに固有の最大消費電力値を取得する最大消費電力値取得部と、
前記運転要求信号判別部が前記運転要求信号を発していると判別した全ての前記空調機器について、前記優先順位判別部が判別した優先順位に従って、前記最大消費電力値取得部が取得した最大消費電力値を順次、積算して積算値を算出する積算値算出部と、
前記積算値算出部が前記積算値を算出する度に、前記積算値と、前記制限電力値取得部が取得した前記制限電力値とを比較する積算値比較部と、
前記積算値比較部による比較結果を参照し、前記積算値が前記制限電力値以下である場合、直近に積算した最大消費電力値を有する前記空調機器に運転オン信号を出力し、前記積算値が前記制限電力値を超える場合、直近に積算した最大消費電力値を有する前記空調機器に運転オフ信号を出力する運転制御信号出力部と、
前記積算値比較部による比較結果を参照し、前記積算値が前記制限電力値を超える場合、当該積算値を直近の最大消費電力値を積算する前の積算値に戻す積算値復帰部と
を有している空調機器運転制御装置。
【請求項2】
前記各空調機器が優先順位に関係なく運転することを要求する割り込み信号を発しているか否かを判別する割り込み信号判別部を有しており、前記運転要求信号判別部が前記運転要求信号を発していると判別し、かつ、前記割り込み信号判別部が前記割り込み信号を発していると判別した前記空調機器がある場合、前記積算値算出部は、当該空調機器の前記最大消費電力値を先に積算する請求項1に記載の空調機器運転制御装置。
【請求項3】
予め優先的に運転する優先順位が設定された複数の空調機器を所定の制限電力値の範囲内で運転制御する空調機器運転制御プログラムであって、
前記制限電力値を記憶する制限電力値記憶部から前記制限電力値を取得する制限電力値取得部と、
前記各空調機器の優先順位を判別する優先順位判別部と、
前記空調機器が運転要求信号を発しているか否かを判別する運転要求信号判別部と、
前記空調機器からそれぞれに固有の最大消費電力値を取得する最大消費電力値取得部と、
前記運転要求信号判別部が前記運転要求信号を発していると判別した全ての前記空調機器について、前記優先順位判別部が判別した優先順位に従って、前記最大消費電力値取得部が取得した最大消費電力値を順次、積算して積算値を算出する積算値算出部と、
前記積算値算出部が前記積算値を算出する度に、前記積算値と、前記制限電力値取得部が取得した前記制限電力値とを比較する積算値比較部と、
前記積算値比較部による比較結果を参照し、前記積算値が前記制限電力値以下である場合、直近に積算した最大消費電力値を有する前記空調機器に運転オン信号を出力し、前記積算値が前記制限電力値を超える場合、直近に積算した最大消費電力値を有する前記空調機器に運転オフ信号を出力する運転制御信号出力部と、
前記積算値比較部による比較結果を参照し、前記積算値が前記制限電力値を超える場合、当該積算値を直近の最大消費電力値を積算する前の積算値に戻す積算値復帰部と
してコンピュータを機能させる空調機器運転制御プログラム。
【請求項4】
前記各空調機器が優先順位に関係なく運転することを要求する割り込み信号を発しているか否かを判別する割り込み信号判別部としてコンピュータを機能させ、前記運転要求信号判別部が前記運転要求信号を発していると判別し、かつ、前記割り込み信号判別部が前記割り込み信号を発していると判別した前記空調機器がある場合、前記積算値算出部は、当該空調機器の前記最大消費電力値を先に積算する請求項3に記載の空調機器運転制御プログラム。
【請求項5】
予め優先的に運転する優先順位が設定された複数の空調機器を所定の制限電力値の範囲内で運転制御する空調機器運転制御方法であって、
前記制限電力値を記憶する制限電力値記憶部から前記制限電力値を取得する制限電力値取得ステップと、
前記各空調機器の優先順位を判別する優先順位判別ステップと、
前記空調機器が運転要求信号を発しているか否かを判別する運転要求信号判別ステップと、
前記各空調機器からそれぞれに固有の最大消費電力値を取得する最大消費電力値取得ステップと、
前記運転要求信号判別ステップにおいて前記運転要求信号を発していると判別された全ての前記空調機器について、前記優先順位判別ステップにおいて判別された優先順位に従って、前記最大消費電力値取得ステップにおいて取得された最大消費電力値を順次、積算して積算値を算出する積算値算出ステップと、
前記積算値算出ステップにおいて前記積算値が算出される度に、前記積算値と、前記制限電力値取得ステップにおいて取得された前記制限電力値とを比較する積算値比較ステップと、
前記積算値比較ステップにおける比較結果を参照し、前記積算値が前記制限電力値以下である場合、直近に積算した最大消費電力値を有する前記空調機器に運転オン信号を出力し、前記積算値が前記制限電力値を超える場合、直近に積算した最大消費電力値を有する前記空調機器に運転オフ信号を出力する運転制御信号出力ステップと、
前記積算値比較ステップにおける比較結果を参照し、前記積算値が前記制限電力値を超える場合、当該積算値を直近の最大消費電力値を積算する前の積算値に戻す積算値復帰ステップと
を有している空調機器運転制御方法。
【請求項6】
前記各空調機器が優先順位に関係なく運転することを要求する割り込み信号を発しているか否かを判別する割り込み信号判別ステップを有しており、前記運転要求信号判別ステップにおいて前記運転要求信号を発していると判別され、かつ、前記割り込み信号判別ステップにおいて前記割り込み信号を発していると判別された前記空調機器がある場合、前記積算値算出ステップでは、当該空調機器の前記最大消費電力値を先に積算する請求項5に記載の空調機器運転制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−37213(P2012−37213A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180687(P2010−180687)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(595136966)旭イノベックス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】