説明

空調用熱交換器

【課題】住宅など建物の設計施工時に伝熱面積の変更や形状変更が可能で、また、設置場所に対して自由度が高い顕熱交換タイプや全熱交換タイプの空調用熱交換器付き機械換気設備の提供。
【解決手段】大口径で一本の蛇腹ホース10の中に小口径で一本または複数の蛇腹ホース20とで構成されていて必要に応じて伝熱面積の変更や形状変更が可能な空調用熱交換器1とした。
顕熱交換タイプの前記空調用熱交換器1は、大口径で一本の蛇腹ホース10は断熱性の高い材質からなり、また、小口径で一本または複数の蛇腹ホース20は金属製を特徴とする顕熱交換タイプの空調用熱交換器1としている。
次に、全熱交換タイプの前記空調用熱交換器1は、大口径で一本の蛇腹ホース10は断熱性の高い材質からなり、また、小口径で一本または複数の蛇腹ホース20は紙製または高分子不織布製を特徴とする全熱交換タイプの空調用熱交換器1としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅など建物に設置する機械換気設備の空調用熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国内では2003年7月に改正された建築基準法において、シックハウス対策として、原則、全ての建築物に機械式換気設備の設置が義務づけられ、これにより、一般住宅の場合では換気回数0、5回/h以上の機械換気設備が必要となりました。
【0003】
ところで、上記、住宅用機械換気設備の多くには換気ファンで排気だけ、また、給気だけを行う方式が採用されており、排気の空気と外気の空気とを熱交換しないで排気の空気がもつ熱量を利用しない為、省エネルギー的には弱点がある。
一方、熱交換方式の採用は、設備費用が高いこと、また、種々の制約条件もあり実態として導入があまり進んでいない。
次に、熱交換器には熱だけを交換する顕熱交換タイプと温度と湿度を交換する全熱交換タイプはあるが、熱交換器として限られた形状と寸法となっており建築物の構造上からも設置場所が限定されるなど自由度に弱点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の事情に鑑み、本発明の目的は、設計施工時に伝熱面積の変更や形状変更が可能で、また、設置場所に対して自由度が高い顕熱交換タイプや全熱交換タイプの空調用熱交換器付き機械換気設備の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を講じた。
第1に、大口径で一本の蛇腹ホースの中に小口径で一本または複数の蛇腹ホースとで構成されていて必要に応じて伝熱面積の変更や形状変更が可能な空調用熱交換器とした。
【0006】
第2に、大口径で一本の蛇腹ホースは断熱性の高い材質からなり、また、小口径で一本または複数の蛇腹ホースは金属製を特徴とする顕熱交換タイプの空調用熱交換器とした。
【0007】
第3に、大口径で一本の蛇腹ホースは断熱性の高い材質からなり、また、小口径で一本または複数の蛇腹ホースは紙または高分子不織布製を特徴とする全熱交換タイプの空調用熱交換器としたことである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記技術的手段の第1の空調用熱交換器としたことで、空調用熱交換器を構成する部品や部材の多くを一般汎用品で調達可能となり安価に製品化できること、また、住宅など建物の形状や構造に対して設置場所に制限を受けない自由度の高い空調用熱交換器にできる。更に、必要に応じて伝熱面積の変更や形状変更が可能で、顕熱交換タイプでは排気の空気と外気の空気が100パーセント混ざることがない空調用熱交換器付き機械換気設備にすることができる。
次に、全熱交換タイプの熱交換器を使用すれば、ある程度の湿度コントロールも可能な空調用熱交換器付き機械換気設備が容易に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、空調用熱交換器の概略図、図2は、空調用熱交換器付き第三種機械換気設備を設置した住宅の概略図である。
これらの図1、図2において、図1は、顕熱交換タイプの空調用熱交換器1で、大口径で断熱性の高い一本の蛇腹ホース10の中に小口径でアルミニウム製の3本の蛇腹ホース20とで構成されていて、設計条件や施工条件により必要に応じて伝熱面積の変更や形状変更が容易に可能な空調用熱交換器1となっている。
【0010】
空調用熱交換器1の構造は、大口径の蛇腹ホース10の両端にフランジキャップ15a、15bが取り付けられていて、このフランジキャップ15a、15bにはそれぞれ排気用の蛇腹ホース貫通穴17a、17bと外気取り入れ蛇腹ホース接続ノズル16a、16bが設けてある。
尚、前記フランジキャップ15a、15bは同形状となっている。
【0011】
次に、図2では、住宅の24時間機械換気設備の空気の流れを示しており、まず、換気ファン90を駆動させると各室内の排気吸引口21から吸引された空気はアルミニウム製の蛇腹ホース20を通じて換気ファン90によって屋外に排気放出されている。
このことによって各室内が負圧となる為、外気導入口30から蛇腹ホース31を通じて吸引された外気の空気は、空調用熱交換器1内で排気の空気が通るアルミニウム製の蛇腹ホース20の伝熱面と接触して温度差による熱移動が起こり熱交換される。
熱交換後の外気の空気は蛇腹ホース36を通じて居室内に導かれる状態を図で示している。
【0012】
尚、空調用熱交換器1の設置において、排気用の蛇腹ホース貫通穴17a、17b部分のシールは、アルミニウム製の蛇腹ホース20を貫通させた後は最終的にシールされ、また、外気を取り入れる蛇腹ホース接続ノズル16a、16bには、それぞれ蛇腹ホース31と蛇腹ホース36が接合されバンドで固定するので漏れがないようになっている。
【0013】
また、図2には、図1の空調用熱交換器1を屋根裏に設置した場合の空気全体の流れを図示していて、給気の空気の流れ35、また、排気吸引口21に吸引される排気の空気の流れ25とし図に示している。
【0014】
尚、本発明の実施形態に限らず、以下のような変更が可能である。
本発明の図1、図2では、顕熱交換タイプの空調用熱交換器付き第三種機械換気設備に関して説明したが、全熱交換タイプの空調用熱交換器付き第三種機械換気設備としてもよい。この場合は、各室内の排気吸引口21から吸引された排気の空気と外気の空気との全熱交換を紙製または高分子不織布製の蛇腹ホース20を使用すればよい。
更に、別な空調用熱交換器1の使用方法、例えば、排気用の蛇腹ホース20を給気用の蛇腹ホースとしてもよいし、給気用の蛇腹ホース31、36を排気用蛇腹ホースに入れ替え使用してもよい。
【0015】
次に、住宅用機械換気設備の換気方式の種類に、
・第一種機械換気設備としては、給気ファンと排気ファンを有する換気方式。
・第二種機械換気設備としては、給気ファンのみを有し住宅内が正圧となる換気方式。
・第三種機械換気設備としては、排気ファンのみを有し住宅内が負圧となる換気方式。
などの機械換気方式はあるが、図1、図2で説明した第三種機械換気設備とは別の換気方式に本発明の空調用熱交換器1を接続するやり方であってもよい。
【産業上の利用の可能性】
【0016】
本発明は、住宅など建物の24時間機械換気設備から排出される熱エネルギーの回収利用を促進する為、住宅など建物の形状や構造に制約されない自由度が高い空調用熱交換器であり、必要に応じて伝熱面積の変更や形状変更が容易で可能な熱交換器として、住宅など建物以外の新たな用途開発に結び付く。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の空調用熱交換器の概略図である。
【図2】空調用熱交換器付き第三種機械換気設備を設置した住宅の概略図である。
【符号の説明】
【0018】
1 空調用熱交換器 20 小口径の蛇腹ホース
10 大口径の蛇腹ホース 25 排気の空気の流れ
15a、15b フランジキャップ 31、36 蛇腹ホース
16a、16b 蛇腹ホース接続ノズル 35 給気の空気の流れ
17a、17b 蛇腹ホース貫通穴 90 換気ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器であって、
大口径で一本の蛇腹ホースの中を貫通する小口径で一本または複数の蛇腹ホースとで構成されていて必要に応じて伝熱面積の変更や形状変更が可能な空調用熱交換器。
【請求項2】
大口径で一本の蛇腹ホースは断熱性の高い材質からなり、また、小口径で一本または複数の蛇腹ホースは金属製を特徴とする請求項1の顕熱交換タイプの空調用熱交換器。
【請求項3】
大口径で一本の蛇腹ホースは断熱性の高い材質からなり、また、小口径で一本または複数の蛇腹ホースは紙製または高分子不織布製を特徴とする請求項1の全熱交換タイプの空調用熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−40683(P2007−40683A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248358(P2005−248358)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(501120889)
【出願人】(505122829)株式会社ウィズ・ワン (9)
【Fターム(参考)】