説明

空調装置、空調システムおよび空調制御方法

【課題】使用者に対する快適性を向上させて、エネルギー消費量の削減を実現すること。
【解決手段】エアコン室内機100は、室内の温度を検知する室温センサ108と、電気機器110,120から、消費電力と動作状態を取得するI/F101と、取得した消費電力および動作状態と室内の温度とに基づいて、室内の温度から目標の設定温度に到達するまでの設定温度到達時間tcを算出する算出部103と、設定温度到達時間tcと所定の第1基準時間との大小を判断する判断部102と、判断の結果に基づいて所定の処理を行う制御部104と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調制御を行う空調装置、空調システムおよび空調制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和装置(以下、「空調装置」という。)は、装置本体もしくは装置本体に接続されたリモートコントローラに設置された温度センサにより室温を測定し、使用者によって設定された目標温度(以下、設定温度という)に室温が一致するように動作を制御することによって、室温の調整を行う。このような空調装置では、同室に他の暖房装置を設置して使用した場合、空調装置と他の暖房装置とが独立して動作するため、室温が設定温度を超えて、快適性が損なわれるばかりでなく、全体として無駄なエネルギーを消費することになる。
【0003】
そのため、従来から、空調装置と床暖房装置等の他の暖房装置を協調動作させる方法として、空調装置と他の暖房装置を機器コントロール装置に接続し、機器コントロール装置により、試運転で行われる床温センサを用いた床温度上昇確認の際に、部屋の熱的特性を把握することによって、床の表面温度を予測し、ネットワークに接続した床暖房装置と空調装置とを併用した場合に、快適性を損なわない範囲で、省エネルギー化または、低コスト、またはCO2排出量を低減する制御を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−55102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の空調装置では、協調動作を行う装置は暖房装置に限られており、熱を発生する電気機器については考慮されていない。しかしながら部屋で調理機器、アイロンなどの熱を利用する機器を使用する場合にはそれらの機器の発熱の影響も考えられる。また、PC(パーソナルコンピュータ)やテレビ等の電気機器から発生する熱も無視できない場合がある。特に、PCのような情報処理機器は、熱を利用するのが目的ではないにも関わらず、高速かつ大容量のデータ処理を行うほど消費電力は大きくなり、それに比例して多大な熱が発生することが知られている。
【0006】
一般的にどのような電気機器であっても、投入された電力をその機器の本来の目的に全て使用することは困難であり、消費電力の一部あるいは大部分は熱の形で外部に放出される。このため、空調装置が暖房運転を行う際に、これら他の電気機器から放出される熱により室温が設定温度を超える可能性がある。
【0007】
また、これらの電気機器は暖房を目的としないものを含むため、空調装置が冷房運転を行う際にも使用される。このため、空調装置が、冷房運転時において、設定温度まで室温を低下させることができなかったり、設定温度に到達させるまで長時間を要する場合がある。従って、暖房運転時、冷房運転時ともに、快適性が損なわれるばかりでなく、無駄なエネルギーを消費してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、同室に他の電気機器等が設置されている場合でも、使用者に対する快適性を向上させて、エネルギー消費量の削減を実現することができる空調装置、空調システムおよび空調制御方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる空調装置は、電気機器とネットワークで接続された空調装置であって、前記空調装置が設置されている室内の温度を検知する温度検出手段と、前記電気機器から、前記電気機器の消費電力と動作状態を取得する取得手段と、取得した消費電力および動作状態と前記室内の温度とに基づいて、前記室内の温度から目標の設定温度に到達するまでの第1設定温度到達時間を算出する算出手段と、前記第1設定温度到達時間と所定の第1基準時間との大小を判断する判断手段と、判断の結果に基づいて所定の処理を行う制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる空調システムは、電気機器と、空調を制御する空調装置とを備えた空調システムであって、前記空調装置は、前記空調装置が設置されている室内の温度を検知する温度検出手段と、前記電気機器から、前記電気機器の消費電力と動作状態を受信する取得手段と、取得した消費電力および動作状態と前記室内の温度とに基づいて、前記室内の温度から目標の設定温度に到達するまでの第1設定温度到達時間を算出する算出手段と、前記第1設定温度到達時間と所定の第1基準時間との大小を判断する判断手段と、判断の結果に基づいて所定の処理を行う制御手段と、を備え、前記電気機器は、前記消費電力と前記動作状態とを、ネットワークを介して前記空調装置に送信することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる空調制御方法は、電気機器とネットワークで接続された空調装置で実行される空調制御方法であって、前記空調装置が設置されている室内の温度を検知する温度検出ステップと、前記電気機器から、前記電気機器の消費電力と動作状態を取得する取得ステップと、取得した消費電力および動作状態と前記室内の温度とに基づいて、前記室内の温度から目標の設定温度に到達するまでの第1設定温度到達時間を算出する算出ステップと、前記第1設定温度到達時間と所定の第1基準時間との大小を判断する判断ステップと、判断の結果に基づいて所定の処理を行う制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電気機器から取得した消費電力および動作状態と室内の温度とに基づいて、室内の温度から目標の設定温度に到達するまでの第1設定温度到達時間を算出し、第1設定温度到達時間と所定の第1基準時間との大小を判断して、判断の結果に基づいて所定の処理を行うことで、省エネルギーを実現するとともに、快適性を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施の形態1にかかるネットワーク協調型空調システムのネットワーク構成図である。
【図2】図2は、実施の形態1にかかるエアコン室内機100による冷房運転の空調制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図3は、実施の形態1のエアコン室内機100による暖房運転の空調制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、実施の形態2にかかるネットワーク協調型空調システムのネットワーク構成図である。
【図5】図5は、実施の形態2にかかるエアコン室内機200による冷房運転の空調制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、実施の形態2の変形例にかかるエアコン室内機200による冷房運転の空調制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、実施の形態3にかかるネットワーク協調型空調システムのネットワーク構成図である。
【図8】図8は、実施の形態3にかかるエアコン室内機300による冷房運転の空調制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、実施の形態4にかかるネットワーク協調型空調システムのネットワーク構成図である。
【図10】図10は、実施の形態4にかかるエアコン室内機400による冷房運転の空調制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、実施の形態5にかかるネットワーク協調型空調システムのネットワーク構成図である。
【図12】図12は、LANアダプタ600のハードウェア構成を示す図である。
【図13】図13は、LANアダプタ700のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明にかかる空調装置、空調システムおよび空調制御方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかるネットワーク協調型空調システムのネットワーク構成およびエアコン室内機100と各外部機器110,120の機能的構成を示すブロック図である。本実施形態のネットワーク協調型空調システムは、図1に示すように、空調装置としてのエアコン室内機100と、電気機器としての液晶テレビ110及び電熱調理器120(以下、「外部機器」という場合もある。)と、が、家庭内LAN10を介して接続されている。また、リモコン107は、エアコン室内機100に接続されている。
【0016】
リモコン107は、エアコン室内機100と有線もしくは無線接続されており、使用者によるエアコン室内機100の操作を受け付ける。リモコン107は、室温センサ108と、操作表示部109と、を備えている。室温センサ108は、現在の室内温度(室温)を検知する。操作表示部109は、利用者による設定温度と、エアコン室内機100の動作モードとして冷房運転もしくは暖房運転の切り替え指示と、各動作モードの運転強度の指示と、を受け付ける。
【0017】
エアコン室内機100は、冷房運転または暖房運転を行い、室内の空調を制御する。ここで、エアコン室内機100は、エアコン室内機100とネットワークに接続された電気機器を外部機器として、各外部機器を一意に識別する識別情報を用いて管理する。本実施の形態のエアコン室内機100は、液晶テレビ110(外部機器1)と、電熱調理器120(外部機器2)とをそれぞれの識別情報で管理する。
【0018】
エアコン室内機100は、I/F101と、判断部102と、算出部103と、制御部104と、熱交換機105と、FAN106と、を備えている。I/F101は、エアコン室内機100のLANインタフェースであり、液晶テレビ110や電熱調理器120等の外部機器に対して、家庭内LAN10を介して、各外部機器の消費電力と動作状態の取得要求を送信し、各外部機器から消費電力と動作状態を受信する。
【0019】
ここで、外部機器の動作状態としては、具体的に、液晶テレビ110 の場合には、電源ON/電源OFF/スタンバイモードなどの動作モードや、バックライトの輝度、音量等の設定値の状態等が該当する。また、電熱調理器120の場合における動作状態としては、電源ON/電源OFFや、ヒータ128の強/弱等の強度等が該当する。
【0020】
算出部103は、液晶テレビ110や電熱調理器120等の外部機器から受信した消費電力と動作状態から公知の手法を用いて外部機器ごとの発熱量を算出し、全ての外部機器の発熱量と、エアコン室内機100の冷房能力(冷房運転時の場合)あるいは暖房能力(暖房運転時の場合)と、室温センサ108で検知した現在の室温とから、公知の手法を用いて、現在の室温から利用者により設定された目標の設定温度に到達するまでの時間である設定温度到達時間tcを算出する。
【0021】
判断部102は、算出された設定温度到達時間tcと予め定められた所定の第1基準時間とを比較して、大小を判断する。
【0022】
制御部104は、エアコン室内機100が冷房運転をしている場合において、設定温度到達時間tcが第1基準時間よりも大きい場合に、冷房運転の風量等の強度を増加させることにより、室温調整を制御する。また、制御部104は、空調装置100が暖房運転をしている場合において、設定温度到達時間tcが第1基準時間よりも小さい場合に、暖房運転の風量等の強度を減少させることにより、室温調整を制御する。
【0023】
熱交換機105は、冷媒をエアコン室外機(図示せず)との間で循環させることにより、熱交換によって、空気の温度を室温よりも高く(あるいは低く)なるようにする。
【0024】
FAN106は、熱交換機により発生させた室温よりも高い(あるいは低い)温度の空気を、温風(または冷風)として室内に送り出す。
【0025】
液晶テレビ110は、テレビ受像機であり、I/F111と、制御回路116と、チューナー115と、映像表示部117と、を主に備えている。
【0026】
I/F111は、LANに接続するためのインタフェースであり、液晶テレビ110の消費電力および動作状態(電源ON、電源OFF、スタンバイモード、映像表示部117のバックライトの輝度や音量等)のデータを家庭内LAN10に送出する。制御回路116は、液晶テレビ110全体を制御する。チューナー115は、放送を受信するための機器である。映像表示部117は、チューナーから受信した映像を表示する。
【0027】
電熱調理器120は、I/F121と、制御回路127と、電源部126と、ヒーター128と、を主に備えている。
【0028】
制御回路127は、電熱調理器120の全体を制御する。I/F121は、家庭内LAN10に接続するためのインタフェースであり、電熱調理器120の消費電力および動作状態(電源ON/電源OFF、ヒータ128の強/弱等)のデータを家庭内LAN10に送出する。電源部126は、電熱調理器120の電源ユニットであり、AC電源線によりACプラグに接続されている。ヒータ128は調理用の熱を発生させる。
【0029】
次に、以上のように構成された実施の形態1にかかるエアコン室内機100による冷房運転の空調制御処理について説明する。図2は、実施の形態1にかかるエアコン室内機100による冷房運転の空調制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0030】
ここで、エアコン室内機100の動作モードは、利用者により予め、冷房運転に設定され、目標の設定温度が設定されているものとする。
【0031】
まず、算出部103は、室温センサ108から現在の室温を取得する(ステップS201)。次に、I/F101は、液晶テレビ110および電熱調理器120等の外部機器のそれぞれに対して、各外部機器の消費電力と現在の動作状態の送信要求を行って、各外部機器から、消費電力と現在の動作状態を取得する(ステップS202)。
【0032】
次に、算出部103は、受信した外部機器の消費電力と動作状態から、外部機器の発熱量を算出する(ステップS203)。
【0033】
次に、算出部103は、全ての外部機器(本実施形態では、液晶テレビ100、電熱調理器120)からの消費電力と動作状態の取得、発熱量の算出の処理が完了したか否かを判断する(ステップS204)。全ての外部機器につき上記処理が完了していないと判断した場合(ステップS204:No)、ステップS202、S203の処理を繰り返し実行する。
【0034】
一方、算出部103は、全ての外部機器につき上記処理が完了したと判断した場合、(ステップS204:Yes)、算出された全ての外部機器の発熱量と、現在の室温と、設定温度と、エアコン室内機100の現在の冷房能力とから、設定温度到達時間tcを算出する(ステップS205)。
【0035】
次に、判断部102は、算出された設定温度到達時間tcが、所定の第1基準時間よりも大きいか否か判断する(ステップS206)。算出された設定温度到達時間tcが、第1基準時間以下であると判断した場合(ステップS206:No)、エアコン室内機100は、何も処理を行わず、ステップS201の処理に戻る。
【0036】
一方、算出された設定温度到達時間tcが、第1基準時間よりも大きいと判断した場合(ステップS206:Yes)、制御部104は、エアコン室内機100が冷房運転の強度を上げる処理を行う(ステップS207)。例えば、制御部104は、エアコン室内機100の冷房運転の風量の強度を一段階あげる。これにより、エアコン室内機100は、短時間で目標の設定温度に到達できるため、省エネルギーを実現することができる。この後、ステップS201の処理へ移行する。
【0037】
次に、エアコン室内機100による暖房運転の空調制御処理について説明する。図3は、実施の形態1にかかるエアコン室内機100による暖房運転の空調制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0038】
ここで、エアコン室内機100の動作モードは、利用者により予め、暖房運転に設定され、目標の設定温度が設定されているものとする。
【0039】
室温の取得処理(ステップS301)、全ての外部機器からの消費電力と動作状態の取得(ステップS302)、発熱量の算出の処理(ステップS303)、全ての外部機器につきこれらの処理が完了したか否かの判断処理(ステップS304)については、冷房運転時の空調制御処理におけるステップS201からS204までの処理と同様に行われる。
【0040】
全ての外部機器につき上記処理を完了した場合には(ステップS304:Yes)、算出部103は、算出された全ての外部機器の発熱量と、室温と、設定温度と、エアコン室内機100の現在の暖房能力とから、設定温度到達時間tcを算出する(ステップS305)。
【0041】
そして、判断部102は、算出された設定温度到達時間tcが、第1基準時間よりも小さいか否か判断する(ステップS306)。算出された設定温度到達時間tcが、第1基準時間以上であると判断した場合(ステップS306:No)、室温調整制御部104は、何も処理を行わず、ステップS301の処理に戻る。
【0042】
一方、算出された設定温度到達時間tcが、第1基準時間よりも小さいと判断した場合(ステップS306:Yes)、制御部104は、エアコン室内機100が設定温度に到達するまでの時間を基準時間よりも短くする必要性はないとみなし、エアコン室内機100の暖房能力を下げる処理を行う(ステップS307)。
【0043】
例えば、室温調整制御部104は、エアコン室内機100の暖房運転の風量の強度を一段階小さくする。これにより、エアコン室内機100は、外部機器の発熱量を効率的に利用して、省エネルギーを実現することができる。
【0044】
このように本実施の形態では、エアコン室内機100が冷房運転を行っている場合で、設定温度到達時間tcが第1基準時間より大きい場合に、冷房運転の強度を上げることにより、短時間で目標の設定温度に到達できるため、省エネルギーを実現することができる。
【0045】
また、本実施の形態では、エアコン室内機100が暖房運転を行っている場合で、設定温度到達時間tcが第1基準時間より小さい場合に、暖房運転の強度を下げることにより、外部機器の発熱量を効率的に利用して、省エネルギーを実現することができる。
【0046】
実施の形態2.
実施の形態1にかかるエアコン室内機100は、第1基準時間と設定温度到達時間tcの大小の比較結果により、冷房運転の強度の増加、あるいは暖房運転の強度の減少を行っていたが、実施の形態2では、設定温度到達時間tcと、外部機器の動作状態を電源OFFにした場合における目標温度までに到達するまでの設定温度到達時間tk_offとの差分を算出し、この差分と第2基準時間とを比較して、比較結果に応じて、外部機器の動作状態を電源OFFにすべき旨を利用者に報知する。
【0047】
図4は、実施の形態2にかかるネットワーク協調型空調システムのネットワーク構成およびエアコン室内機200と各外部機器110,120の機能的構成を示すブロック図である。実施の形態2にかかるネットワーク協調型空調システムは、図4に示すように、エアコン室内機200と、電気機器としての液晶テレビ110及び電熱調理器120と、が家庭内LAN10を介して接続されている。ここで、液晶テレビ110及び電熱調理器120の機能および構成については実施の形態1と同様である。
【0048】
エアコン室内機200は、I/F101と、判断部202と、算出部203と、制御部204と、熱交換機105と、FAN106と、を備えている。I/F101、熱交換機105、FAN106の機能は実施の形態1と同様である。また、外部機器から受信する消費電力、動作状態についても実施の形態1と同様である。
【0049】
算出部203は、実施の形態1と同様に、液晶テレビ110や電熱調理器120等の外部機器から受信した消費電力と動作状態から公知の手法を用いて外部機器ごとの発熱量を算出し、全ての外部機器の発熱量と、エアコン室内機100の冷房能力と、室温センサ108で検知した現在の室温とから、公知の手法を用いて、現在の室温から利用者により設定された目標の設定温度に到達するまでの時間である設定温度到達時間tcを算出する。
【0050】
また、本実施の形態では、算出部203は、さらに、各外部機器の動作状態を、外部機器の発熱量が現在の発熱量より低い状態としての電源OFFの状態にした場合における、室温から目標の設定温度に到達するまでの設定温度到達時間tk_offを、エアコン室内機100の冷房能力と、室温センサ108で検知した現在の室温とから、公知の手法を用いて算出する。
【0051】
判断部202は、算出部203で算出された設定温度到達時間tcと設定温度到達時間tk_offの差分が予め定められた第2基準時間と比較して、大小を判断する。
【0052】
制御部204は、エアコン室内機200が冷房運転をしている場合において、設定温度到達時間tcと設定温度到達時間tk_offの差分が第2基準時間よりも大きい場合に、外部機器の電源をOFFにする旨のメッセージを報知する。
【0053】
報知の手法としては、任意であり、例えば、液晶テレビ110の映像表示部117を用いることができる。すなわち、エアコン室内機200のI/F101が家庭内LAN10を介して、エアコン室内機200からの上記メッセージを液晶テレビ110に送信し、液晶テレビ110の映像表示部117に表示することができる。このようなメッセージとしては、例えば、「電熱調理器の使用により、冷房効率が低下しています。電熱調理器の使用を中止し、電源を切ることをおすすめします」、「液晶テレビの使用により、冷房効率が低下しているため、液晶テレビの電源を切ることをおすすめします。」などと表示することが考えられる。
【0054】
また、他のメッセージとして、算出した設定温度到達時間tcおよび設定温度到達時間t2_offを用いて、「電熱調理器の使用により、冷房効率が低下しています。設定温度に達するのに(設定温度到達時間tc)分必要です。電熱調理器の使用を中止することにより設定温度への到達が(設定温度到達時間tk_off)分に短縮されます」などと具体的に時間を表示しても良い。
【0055】
また、液晶テレビ110の映像表示部117は、メッセージ表示機能を有していない場合には、例えば、エアコン室内機200のリモコン107に設けられた操作表示部109に上記メッセージを表示することにより使用者に報知するように構成してもよい。また、メッセージの表示に代えて音声やアラーム音などの手法によって利用者に警告を報知することもできる。このように液晶テレビ110を使用しない報知手法であれば、例えば液晶テレビ110が電源OFFの場合にも利用者に報知することができるという利点がある。
【0056】
次に、以上のように構成された実施の形態2にかかるエアコン室内機200による冷房運転の空調制御処理について説明する。図5は、実施の形態2にかかるエアコン室内機200による冷房運転の空調制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0057】
室温の取得処理(ステップS501)、全ての外部機器からの消費電力と動作状態の取得(ステップS502)、発熱量の算出の処理(ステップS503)、全ての外部機器につきこれらの処理が完了したか否かの判断処理(ステップS504)については、実施の形態1の冷房運転時の空調制御処理におけるステップS201からS204までの処理と同様に行われる。
【0058】
全ての外部機器につき上記処理を完了した場合には(ステップS504:Yes)、算出部203は、実施の形態1と同様の手法で、算出された全ての外部機器の発熱量と、室温と、設定温度と、エアコン室内機200の現在の冷房能力とから、設定温度到達時間tcを算出する(ステップS505)。
【0059】
次に、算出部203は、外部機器の動作状態を電源OFFにした場合における上記設定温度到達時間tk_offを算出する(ステップS506)。
【0060】
次に、判断部202は、設定温度到達時間tcと設定温度到達時間tk_offとの差分(tc−tk_off)が、所定の第2基準時間よりも大きいか否かを判断する(ステップS507)。そして、差分(tc−tk_off)が、第2基準時間以下である場合(ステップS507:No)、ステップS509の処理に移る。
【0061】
一方、差分(tc−tk_off)が、第2基準時間よりも大きい場合(ステップS507:Yes)、制御部204は、外部機器を電源OFFにした時に設定温度に到達する時間を短縮できる効果があると判断し、外部機器を電源OFFにすべき旨を報知する(ステップS508)。具体的には、I/F101を介して外部機器を電源OFFにすべき旨のメッセージを液晶テレビ110に送信して、液晶テレビ110の映像表示部117に当該メッセージを表示させたり、あるいはエアコン室内機200の操作表示部107に上記メッセージを表示することにより報知を行う。
【0062】
そして、制御部204は、全ての外部機器に対して、ステップS506,S507,S508の処理を完了したか否かを判断し(ステップS509)、完了していなければ(ステップS509:No)、ステップS506からS508までの処理を他の外部機器に対して行う。一方、全ての外部機器に対して、ステップS506からS508までの処理を完了した場合には(ステップS509:Yes)、ステップS501の処理に戻る。
【0063】
このように、実施の形態2では、エアコン室内機200の冷房効果が外部機器からの発熱によって低下している場合、他の外部機器の動作状態を電源OFF停止にするように利用者に報知するため、エアコン室内機200の冷房能力を上げることなく、短い時間で設定温度に到達できるため、エネルギー消費量の削減を実現することができる。
【0064】
実施の形態2の変形例.
実施の形態2にかかるエアコン室内機200は、外部機器の動作状態を電源OFFにするよう報知している、外部機器の動作状態を、発熱量の少ない動作状態に切り替えるように利用者に報知するように構成してもよい。このような場合の実施の形態2の変形例について以下説明する。
【0065】
本変形例の算出部203は、設定温度到達時間tcを算出する他、外部機器の動作状態を、外部機器の現在の発熱量、現在の室温、切り換え後の外部機器の動作状態の発熱量、エアコン室内機の冷房能力等から、現在の動作状態の発熱量より低い発熱量の状態(運転モード)に切り換えた場合における現在の室温から目標の設定温度に到達するまでの設定温度到達時間tk_lowを算出する。
【0066】
また、本変形例の判断部202は、算出部203で算出された設定温度到達時間tcと設定温度到達時間tk_lowの差分が予め定められた第2基準時間と比較して、大小を判断する。
【0067】
また、本変形例の制御部204は、エアコン室内機200が冷房運転をしている場合において、設定温度到達時間tcと設定温度到達時間tk_lowの差分が第2基準時間よりも大きい場合に、外部機器の動作状態を、現在の動作状態の発熱量より低い発熱量の状態に切り換えるべき旨のメッセージを報知する。
【0068】
現在の動作状態の発熱量より低い発熱量の状態(運転モード)に切り換える場合の例としては、電源ONで通常状態の動作状態からスタンバイモードへ切り換えることがあげられる。また、外部機器が液晶テレビ110の場合には、この他、映像表示部117の表示輝度を下げた状態に切り換えることなどがあげられる。映像表示部117には、例えば、冷陰極管等を用いたバックライトが備えられている。このような液晶テレビ110においては冷陰極線管の管電流をインバータ制御によって変化させることで表示輝度を制御する。このため輝度を上げれば消費電力はそれに応じて増加する。投入された電力は光だけでなく熱としても放出されるため、輝度を上げれば発熱は増加し、輝度を下げれば発熱は減少することになる。バックライトとしては冷陰極管以外にもLEDなど他の光源が考えられるが、他の光源においても、輝度と電力そして発熱は正の相関を有する。よって、あらかじめ輝度を低下させる制御値を決めておき、表示輝度を所定の制御値だけ下げた場合の発熱量に基づいて、設定温度に達するのに必要な時間を算出し、これをtk_lowとすればよい。
【0069】
また、他の例として、音量を抑制した動作状態に切り換えたり、映像表示部117の表示解像度を落とした状態に切り換えることにより、画像処理回路の消費電力を抑える手法もあげられる。
【0070】
図6は、実施の形態2の変形例にかかるエアコン室内機200による冷房運転の空調制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0071】
室温の取得処理(ステップS601)、全ての外部機器からの消費電力と動作状態の取得(ステップS602)、発熱量の算出の処理(ステップS603)、全ての外部機器につきこれらの処理が完了したか否かの判断処理(ステップS604)については、実施の形態1の冷房運転時の空調制御処理におけるステップS201からS204までの処理と同様に行われる。
【0072】
全ての外部機器につき上記処理を完了した場合には(ステップS604:Yes)、算出部203は、実施の形態1と同様の手法で、算出された全ての外部機器の発熱量と、室温と、設定温度と、エアコン室内機200の現在の冷房能力とから、設定温度到達時間tcを算出する(ステップS605)。
【0073】
次に、算出部203は、外部機器の動作状態を発熱量の低い状態に切り換えた場合における現在の室温から目標の設定温度に到達するまでの設定温度到達時間tk_lowを算出する(ステップS606)。
【0074】
次に、判断部202は、設定温度到達時間tcと設定温度到達時間tk_lowとの差分(tc−tk_low)が所定の第2基準時間よりも大きいか否かを判断する(ステップS607)。そして、差分(tc−tk_low)が、第2基準時間以下である場合(ステップS607:No)、ステップS609の処理に移る。
【0075】
一方、差分(tc−tk_low)が、第2基準時間よりも大きい場合(ステップS607:Yes)、制御部204は、外部機器の動作状態を現在の発熱量より低い発熱量の状態に切り換えた時に設定温度に到達する時間を短縮できる効果があると判断し、外部機器の動作状態を現在の発熱量より低い発熱量の状態に切り換えるべき旨を報知する(ステップS608)。具体的には、実施の形態2と同様に、I/F101を介して、外部機器の動作状態を現在の発熱量より低い発熱量の状態に切り換えるべき旨のメッセージを液晶テレビ110に送信して、液晶テレビ110の映像表示部117に当該メッセージを表示させたり、あるいはエアコン室内機200の操作表示部107に上記メッセージを表示することにより報知を行う。
【0076】
そして、制御部204は、全ての外部機器に対して、ステップS606,S607,S608の処理を完了したか否かを判断し(ステップS609)、完了していなければ(ステップS609:No)、ステップS606からS608までの処理を他の外部機器に対して行う。一方、全ての外部機器に対して、ステップS606からS608までの処理を完了した場合には(ステップS609:Yes)、ステップS601の処理に戻る。
【0077】
このように、実施の形態2の変形例では、エアコン室内機200の冷房効果が外部機器からの発熱によって低下している場合、発熱量の少ない動作状態に変更するよう使用者へ報知するため、エアコン室内機200の冷房能力を上げることなく、短い時間で設定温度に到達できるため、エネルギー消費量の削減を実現することができる。
【0078】
なお、実施の形態2とその変形例とを組み合わせた構成としてもよい。すなわち、エアコン室内機200は、それぞれの外部機器の特性を判別し、判別結果に応じて、電源OFFすべき旨、発熱量の低い状態に切り換える旨のいずれかの報知をするように構成することができる。また、必ずしも、全ての外部機器について動作状態を停止にするか、もしくは動作状態を変更するように報知する必要はなく、発熱量の大きい外部機器のみを対象とするように構成してもよい。
【0079】
実施の形態3.
実施の形態2およびその変形例では、利用者に対して、外部機器を電源OFFすべき旨、外部機器を発熱量の低い状態に切り換える旨を報知していたが、実施の形態3では、このような報知に代えて、外部機器の動作状態をエアコン室内機から制御している。
【0080】
図7は、実施の形態3にかかるネットワーク協調型空調システムのネットワーク構成およびエアコン室内機300と各外部機器310,320の機能的構成を示すブロック図である。
【0081】
実施の形態3にかかるネットワーク協調型空調システムは、図7に示すように、エアコン室内機300と、電気機器としての液晶テレビ310及び電熱調理器320(外部機器)と、が家庭内LAN10を介して接続されている。
【0082】
エアコン室内機300は、I/F101と、判断部202と、算出部203と、制御部304と、熱交換機105と、FAN106と、を備えている。I/F101、熱交換機105、FAN106については、実施の形態1と同様である。また、判断部202と、算出部203の機能は、実施の形態2の変形例と同様である。また、外部機器から受信する消費電力、動作状態についても実施の形態1と同様である。
【0083】
本実施の形態の制御部304は、エアコン室内機300が冷房運転をしている場合において、設定温度到達時間tcと設定温度到達時間tk_lowの差分が第2基準時間よりも大きい場合に、外部機器の動作状態を、現在の発熱量より低い発熱量の状態に切り換える制御を行う。ここで、このような切り換え制御としては、外部機器に、家庭内LAN10を介してエアコン室内機300から切り換え指令を受信して、切り換え指令に従って動作状態を切り換える機能が備わっている場合、上記切り換え指令を外部機器に送信することがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0084】
外部機器としての液晶テレビ310の制御回路316は、実施の形態2の機能に加えて、エアコン室内機300から動作状態の切り換え制御される機能を有している。外部機器としての電熱調理器320も同様に、実施の形態2の機能に加えて、エアコン室内機300から動作状態の切り換え制御される機能を有している。具体的には、家庭内LAN10を介してエアコン室内機300から切り換え指令を受信して、切り換え指令に従って動作状態を切り換える等があげられるが、これに限定されるものではない。
【0085】
次に、以上のように構成された実施の形態3にかかるエアコン室内機300による冷房運転の空調制御処理について説明する。図8は、実施の形態3にかかるエアコン室内機300による冷房運転の空調制御の処理の手順を示すフローチャートである。
【0086】
なお、ここでは、切り換え制御として、切り換え指令を外部機器に送信することで、切り換え指令を受信した外部機器が切り換え指令に従って動作状態を切り換えることを例にあげて説明する。
【0087】
室温の取得から差分(tc−t_low)の第2基準時間との比較判断までの処理(ステップS801〜S807)については、実施の形態2の変形例におけるステップS601からS607までの処理と同様に行われる。
【0088】
ステップS807において、差分(tc−tk_low)が、第2基準時間よりも大きい場合(ステップS807:Yes)、制御部304は、外部機器の動作状態を現在の発熱量より低い発熱量の状態に切り換えた時に設定温度に到達する時間を短縮できる効果があると判断し、外部機器に対して、動作状態を現在の発熱量より低い発熱量の状態に切り換える旨の切り換え指令をI/F101を介して送信する(ステップS808)。
【0089】
そして、制御部204は、全ての外部機器に対して、ステップS806からS808までの処理を完了したか否かを判断し(ステップS809)、完了していなければ(ステップS809:No)、ステップS806からS808までの処理を他の外部機器に対して行う。一方、全ての外部機器に対して、ステップS806からS808までの処理を完了した場合には(ステップS809:Yes)、ステップS801の処理に戻る。
【0090】
なお、本実施の形態では、切り換え制御は外部機器の動作状態を切り換えることとしているが、外部機器における発熱量の低い動作状態として、電源OFFに設定するように制御してもよい。
【0091】
このように本実施の形態では、エアコン室内機300の冷房効果が外部機器からの発熱によって低下している場合に、エアコン室内機300から家庭内LAN10を介して外部機器を制御することによって、外部機器の動作状態を停止する、もしくは発熱量の小さい動作状態に変更し、エアコン室内機300の冷房能力を上げることなく、短い時間で設定温度に到達できるため、エネルギー消費量の削減が実現できる。
【0092】
実施の形態4.
実施の形態3では、エアコン室内機300は家庭内LAN10を介して外部機器を制御していたが、例えば使用者が意図しない状態でテレビの輝度が暗くなる場合に、テレビの利便性を損なう可能性がある。また、実施の形態2にかかるエアコン室内機300は利用者に対して操作を報知するが、利用者が不在の場合は、所望の効果を得ることが出来ない。
【0093】
このため、この実施の形態4では、人感センサにより室内に人体の存在を検知していない場合にのみ、外部機器の動作状態の切り換え制御を行っている。
【0094】
図9は、実施の形態4にかかるネットワーク協調型空調システムのネットワーク構成およびエアコン室内機400と各外部機器310,320の機能的構成を示すブロック図である。
【0095】
実施の形態4にかかるネットワーク協調型空調システムは、図9に示すように、エアコン室内機400と、電気機器としての液晶テレビ310及び電熱調理器320(外部機器)と、が家庭内LAN10を介して接続されている。
【0096】
エアコン室内機400は、I/F101と、判断部202と、算出部203と、制御部404と、人感センサ401と、熱交換機105と、FAN106と、を備えている。I/F101、熱交換機105、FAN106については、実施の形態1と同様である。また、判断部202と、算出部203の機能は、実施の形態2の変形例と同様である。また、外部機器から受信する消費電力、動作状態についても実施の形態1と同様である。
【0097】
人感センサ401は、エアコン室内機400の設置されている所定の範囲内で人体を検知するセンサである。人感センサを備えたエアコン室内機は従来から存在するが、従来のエアコン室内機は、人感センサの検知信号の受信結果は、エアコン室内機の動作にのみ影響した。しかし、実施の形態4にかかるネットワーク協調型空調システムにおいては、人感センサの検知信号の受信結果は、エアコン室内機の動作にのみならず、外部機器の動作にも影響する。
【0098】
本実施の形態の制御部404は、エアコン室内機400が冷房運転をしている場合において、設定温度到達時間tcと設定温度到達時間tk_lowの差分が第2基準時間よりも大きい場合であって、かつ、人感センサ401から検知信号を受信していない場合、すなわち、エアコン室内機400の所定の範囲内に人体が存在しない場合に、外部機器の動作状態を、現在の発熱量より低い発熱量の状態に切り換える制御を行う。なお、切り換え制御の手法については実施の形態3と同様である。
【0099】
一方、制御部404は、エアコン室内機300が冷房運転をしている場合において、設定温度到達時間tcと設定温度到達時間tk_lowの差分が第2基準時間よりも大きい場合であって、かつ、人感センサ401から検知信号を受信している場合、すなわち、エアコン室内機400の所定の範囲内に人体が存在する場合に、外部機器の動作状態を、現在の発熱量より低い発熱量の状態に切り換えるべき旨を報知する。なお、報知の手法は、実施の形態2およびその変形例と同様である。
【0100】
また、外部機器としての液晶テレビ310,電熱調理器320の機能および構成は実施の形態3と同様である。
【0101】
次に、以上のように構成された実施の形態4にかかるエアコン室内機300による冷房運転の空調制御処理について説明する。図10は、実施の形態4にかかるエアコン室内機300による冷房運転の空調制御の処理の手順を示すフローチャートである。
【0102】
室温の取得から差分(tc−t_low)の第2基準時間との比較判断までの処理(ステップS901〜S907)については、実施の形態2の変形例におけるステップS601からS607までの処理と同様に行われる。
【0103】
ステップS907において、差分(tc−tk_low)が、第2基準時間よりも大きい場合(ステップS907:Yes)、制御部304は、さらに、人感センサ401から検知信号を受信しているか否かを判断する(ステップS908)。
【0104】
そして、人感センサ401から検知信号を受信していない場合には(ステップS908:No)、エアコン室内機400の設置された所定の範囲内に人が存在していないと判断して、外部機器に対して、動作状態を現在の発熱量より低い発熱量の状態に切り換える旨の切り換え指令をI/F101を介して送信する(ステップS909)。
【0105】
一方、ステップS908において、人感センサ401から検知信号を受信している場合には(ステップS908:Yes)、エアコン室内機400の設置された所定の範囲内に人が存在していると判断して、外部機器の動作状態を現在の発熱量より低い発熱量の状態に切り換えるべき旨を報知する(ステップS910)。
【0106】
そして、制御部204は、全ての外部機器に対して、ステップS907からS910までの処理を完了したか否かを判断し(ステップS911)、完了していなければ(ステップS911:No)、ステップS906からS910までの処理を他の外部機器に対して行う。一方、全ての外部機器に対して、ステップS906からS910までの処理を完了した場合には(ステップS911:Yes)、ステップS901の処理に戻る。
【0107】
なお、本実施の形態では、切り換え制御は外部機器の動作状態を切り換える制御あるいは切り換える旨の報知を行うこととしているが、外部機器における発熱量の低い動作状態として、電源OFFに設定する制御あるいは報知を行うように構成してもよい。
【0108】
このように、実施の形態4にかかるエアコン室内機400では、エアコン室内機400の冷房効果が外部機器からの発熱によって低下している場合に、人感センサ401により人体を検知していない場合に、エアコン室内機400から外部機器を制御し、人体を検知している場合には、外部機器の制御を行わず、報知のみ発しているので、省エネルギーを実現しながらも、利用者が意図しない状態で外部機器の動作状態が切り替わることを防止することができ、ネットワーク協調型空調システムの利便性を向上させることが可能となる。
【0109】
なお、人感センサ401が人体を検知している場合には、ステップS910の報知の処理は行わず、かつ何も処理を行わないように構成してもよい。
【0110】
また、人感センサ401が人体を検知していない場合には、ステップS909の切り換え制御の処理は行わず、代わりに、切り替えの報知を行い、人感センサ401が人体を検知している場合には、ステップS910の報知の処理は行わず、かつ何も処理を行わないように構成してもよい。
【0111】
実施の形態5.
実施の形態1〜4にかかるエアコン室内機おいては、家庭内LAN10に接続するため全ての外部機器はLANインタフェースを備えている必要があったが、実施の形態5にかかるエアコン室内機は、LANインタフェースを備えない外部機器においても、同様にネットワーク協調動作を行うものである。
【0112】
図11は、実施の形態5にかかるネットワーク協調型空調システムのネットワーク構成およびエアコン室内機100と各外部機器110,170とLANアダプタ600の機能的構成を示すブロック図である。
【0113】
実施の形態5にかかるネットワーク協調型空調システムは、図11に示すように、エアコン室内機100と、外部機器としての液晶テレビ110および電熱調理器170とを備えている。
【0114】
エアコン室内機100、液晶テレビ110の機能および構成は実施の形態1と同様である。
【0115】
本実施の形態の電熱調理器170は、実施の形態1〜4に示したLANインタフェースであるI/Fを備えておらず、このため、独立では家庭内LAN10に接続不能な構成となっている。このため、本実施の形態では、電熱調理器170と仲介機としてのLANアダプタ600とを接続し、またLANアダプタ600を家庭内LAN10に接続することで、LANインタフェースの装備されていない電熱調理器170をLANアダプタ600を介して家庭内LAN10に接続した構成としている。
【0116】
LANアダプタ600は、I/F602と、電力計測部611とを主に備えている。電力計測部611は、AC電源線によりACプラグに接続されている。電力計測部611は、電熱調理器170の電源部171に接続され、電熱調理器170に電力供給を行うとともに、電熱調理器170の消費電力を計測し、また電熱調理器170の動作状態を取得する。I/F602は、この消費電力と動作状態とを家庭内LANを介してエアコン室内機100に送信するLANインタフェースである。
【0117】
図12は、LANアダプタ600の詳細な構成を示すブロック図である。LANアダプタ600のACプラグ607を家庭用のACコンセントに接続することにより、AC電源線609にAC電源が供給される。AC電源線609はAC出力端子606に接続されており、AC出力端子606に、LANインタフェースを備えない電熱調理器170のような電気機器を接続することにより、電力供給する。
【0118】
一方、AC電源線609はDC電源回路605にもAC電源を供給する。DC電源回路605はAC電源をDC電源に変換して、マイコン603やLANインタフェース602を動作させるのに必要なDC電源を供給する。
【0119】
電力計測部601は、マイコン603と電流検出回路604とから構成されている。電流検出回路604は、接続された電気機器の消費電力を検出する回路である。例えばカレントトランスなどにより電力線の電流を検出し、抵抗によって電流を電圧に変換してマイコン603の内蔵A/D変換器に入力する。商用電源の電圧は一定であるから、これによりマイコン603は消費電力をディジタルデータとして取得することができる。
【0120】
マイコン603は、I/F602およびLANコネクタ608を介して消費電力や動作状態のデータを家庭内LAN10に送出する。
【0121】
このように本実施の形態では、LANアダプタ600を用いることにより、電熱調理器170等の電気機器(外部機器)がLANインタフェースを備えていない場合でも、エアコン室内機100がこのような外部機器の消費電力を取得することができる。
【0122】
また、本実施の形態では、電熱調理器170の消費電力から、電熱調理器170の発熱量を推定することができるため、実施の形態1と同様に、エアコン室内機100の冷房運転の強度を下げる制御によって、設定温度に早く到達できるようになり、快適性が向上する。また、暖房運転の強度を上げる制御によって、無駄なエネルギー消費を抑えることができる。
【0123】
なお、本実施の形態において、実施の形態2あるいはその変形例と同様に、電源調理器170を電源OFFにすべき旨の報知や、電熱調理器170の動作状態を発熱量の低い状態に切り換える旨の報知を行うように構成してもよい。この場合には、より短時間で設定温度に到達でき、省エネルギーが実現できる。
【0124】
また、本実施の形態のLANアダプタ600の構成に、図13に示すように、リレースイッチ702を追加するように構成してもよい。これにより、実施の形態3および実施の形態4と同様に、エアコン室内機100から電熱調理器170の電源OFFを制御したり、動作状態の切り換えを制御することが可能となる。
【0125】
図13に示すように、このLANアダプタ700のリレースイッチ702は、マイコン603により制御され、AC電源線609からAC出力端子606に出力されるAC電源をON/OFFする。これにより、リレースイッチ702をON(入)にした時は電熱調理器170に電源が供給され、リレースイッチ702をOFF(切)にした時には、電源が遮断される。
【0126】
このようにLANアダプタ700を構成することにより、実施の形態3および実施の形態4と同様にして、電熱調理器170の発熱によって設定温度に到達する時間が長くなる場合に、エアコン室内機100から電熱調理器170の電源を遮断することができるので、実施の形態3および実施の形態4と同様の効果を得ることができる。
【0127】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本発明の実施態様は、以上に説明したような特定の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0128】
10 家庭内LAN
100,200,300,400 エアコン室内機
101,111,121 I/F
102,202 判断部
103,203 算出部
104,204,304,404 制御部
105 熱交換機
106 FAN
107 リモコン
108 室温センサ
109 操作表示部
110,310 液晶テレビ
115 チューナー
116,127,316,327 制御回路
117 映像表示部
120,170,320 電熱調理器
126 電源
128 ヒータ
401 人感センサ
600,700 LANアダプタ
601 電力計測部
602 I/F
603 マイコン
604 電流検出回路
605 DC電源回路
606 AC出力端子
607 ACプラグ
608 LANコネクタ
609 AC電源線
702 リレースイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器とネットワークで接続された空調装置であって、
前記空調装置が設置されている室内の温度を検知する温度検出手段と、
前記電気機器から、前記電気機器の消費電力と動作状態を取得する取得手段と、
取得した消費電力および動作状態と前記室内の温度とに基づいて、前記室内の温度から目標の設定温度に到達するまでの第1設定温度到達時間を算出する算出手段と、
前記第1設定温度到達時間と所定の第1基準時間との大小を判断する判断手段と、
判断の結果に基づいて所定の処理を行う制御手段と、
を備えたことを特徴とする空調装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1設定温度到達時間が前記第1基準時間よりも大きい場合に、前記所定の処理として、冷房運転の強度を増加させることにより、室温調整を制御することを特徴とする請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記制御手段は、さらに、前記第1設定温度到達時間が前記第1基準時間よりも小さい場合に、前記所定の処理として、暖房運転の強度を減少させることにより、室温調整を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の空調装置。
【請求項4】
前記算出手段は、さらに、前記室内の温度と前記消費電力と前記動作状態とに基づいて、前記動作状態を、前記電気機器の発熱量が現在の発熱量より低い状態に切り替えた場合における、前記室内の温度から前記設定温度に到達するまでの第2設定温度到達時間を算出し、
前記判断手段は、前記第1設定温度到達時間と第2設定温度到達時間との差分と、所定の第2基準時間との大小を判断し、
前記制御手段は、前記差分が前記第2基準時間より大きい場合に、前記所定の処理として、前記電気機器の発熱量が現在の発熱量より低い状態に切り換えるべき旨を報知することを特徴とする請求項1に記載の空調装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記第2設定温度到達時間として、前記電気機器を停止した場合における、前記室内の温度から前記設定温度に到達するまでの時間を算出し、
前記制御手段は、前記差分が前記第2基準時間より大きい場合に、前記所定の処理として、前記電気機器を停止すべき旨を報知することを特徴とする請求項4に記載の空調装置。
【請求項6】
前記算出手段は、さらに、前記消費電力と前記動作状態と前記室内の温度に基づいて、前記動作状態を、前記電気機器の発熱量が現在の発熱量より低い状態に切り替えた場合における、前記室内の温度から前記設定温度に到達するまでの第2設定温度到達時間を算出し、
前記判断手段は、前記第1設定温度到達時間と第2設定温度到達時間との差分と、所定の第2基準時間との大小を判断し、
前記制御手段は、前記差分が前記第2基準時間より大きい場合に、前記所定の処理として、前記電気機器に対して、発熱量が現在の発熱量より低い状態に切り換える制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の空調装置。
【請求項7】
人体を検知する検知する人体検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記差分が前記第2基準時間より大きい場合に、前記人体検出手段により人体を検知したか否かを判断し、人体を検知していない場合に、前記電気機器に対して、発熱量が現在の発熱量より低い状態に切り換える制御を行うことを特徴とする請求項6に記載の空調装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記差分が前記第2基準時間より大きい場合であって、前記人体検出手段によって人体を検知した場合に、前記電気機器に対して、発熱量が現在の発熱量より低い状態に切り換えるべき旨を報知することを特徴とする請求項7に記載の空調装置。
【請求項9】
電気機器と、空調を制御する空調装置とを備えた空調システムであって、
前記空調装置は、
前記空調装置が設置されている室内の温度を検知する温度検出手段と、
前記電気機器から、前記電気機器の消費電力と動作状態を受信する取得手段と、
取得した消費電力および動作状態と前記室内の温度とに基づいて、前記室内の温度から目標の設定温度に到達するまでの第1設定温度到達時間を算出する算出手段と、
前記第1設定温度到達時間と所定の第1基準時間との大小を判断する判断手段と、
判断の結果に基づいて所定の処理を行う制御手段と、を備え、
前記電気機器は、
前記消費電力と前記動作状態とを、ネットワークを介して前記空調装置に送信することを特徴とする空調システム。
【請求項10】
前記算出手段は、さらに、前記消費電力と前記動作状態と前記室内の温度とに基づいて、前記動作状態を、前記電気機器の発熱量が現在の発熱量より低い低発熱状態に切り替えた場合における、前記室内の温度から前記設定温度に到達するまでの第2設定温度到達時間を算出し、
前記判断手段は、前記第1設定温度到達時間と第2設定温度到達時間との差分と、所定の第2基準時間との大小を判断し、
前記制御手段は、前記差分が前記第2基準時間より大きい場合に、前記所定の処理として、前記電気機器に対して、前記動作状態を前記低発熱状態に切り換える旨の切り換え指令を送信し、
前記電気機器は、
前記切り換え指令を受信した場合に、前記動作状態を前記低発熱状態に切り換えることを特徴とする請求項9に記載の空調システム。
【請求項11】
前記電気機器と接続されるとともに、前記ネットワークに接続される仲介機をさらに備え、
前記仲介機は、前記電気機器の前記消費電力と前記動作状態とを前記電気機器から取得して、取得した前記消費電力と前記動作状態とを、前記ネットワークを介して前記空調装置に送信することを特徴とする請求項10に記載の空調システム。
【請求項12】
電気機器とネットワークで接続された空調装置で実行される空調制御方法であって、
前記空調装置が設置されている室内の温度を検知する温度検出ステップと、
前記電気機器から、前記電気機器の消費電力と動作状態を取得する取得ステップと、
取得した消費電力および動作状態と前記室内の温度とに基づいて、前記室内の温度から目標の設定温度に到達するまでの第1設定温度到達時間を算出する算出ステップと、
前記第1設定温度到達時間と所定の第1基準時間との大小を判断する判断ステップと、
判断の結果に基づいて所定の処理を行う制御ステップと、
を含むことを特徴とする空調制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate