説明

空調装置

【課題】エバポレータの霜付の阻止。
【解決手段】車室のための空調装置は複数の空気吸込みモードを規定する空調装置ケースを有する。複数の空気吸込みモードには、外気吸込みモードと二層吸込みモードとが含まれている。二層吸込みモードは、前部空気通路を経由して車室の前側に外気を供給し、後部空気通路を経由して車室から車室の後ろ側に循環空気を供給する。制御装置は、エバポレータ温度が第1閾値を下回って低下したときに、吸込みモードを二層吸込みモードから外気吸込みモードに切換えるように空調装置ケースを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の空調装置に関する。(関連出願の参照)この出願は、2011年3月30日に出願された米国仮出願第61/469,513号の利益を請求するものである。上記出願のすべての開示は参照によってここに取り込まれる。
【背景技術】
【0002】
特開平10−203135号公報は、空調装置を開示する。その空調装置は、単一の吸込みモードと二層吸込みモードとの間で吸込み空気モードを切換える。二層吸込みモードでは、空調装置は車両の外部から外気を吸込み、同時に、空調装置は車室の内部から循環空気を吸い込む。
【0003】
しかし、二層吸込みモードでは、第1の空気通路は運転席の上部に外気を供給するように構成されている。また、第2の空気通路は運転席の下部に循環空気を供給するように構成されている。さらに、空調装置は、第1の空気通路に配置された第1のサーミスタ、および第2の空気通路に配置された第2のサーミスタを備える。第1と第2のサーミスタはコンプレッサを制御するために使用される。
【0004】
特開平10−203135号公報に述べられている空調装置は、空調空気を車室の前席側へ供給するだけであり、第2の空気通路を流れる循環空気は運転席のより下部へ供給されるだけであり、空調装置は、目標温度および空気分配モードに基づいてその吸込みモードを切り替える。
【0005】
単一の空調装置が車室の前座席側と車室の後座席側とに同時に空気を供給するように構成される場合、二層吸込みモードの循環空気は、後部乗員席へ、すなわち後部乗員席の下部だけでなく後部乗員席の上部にも供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平10−203135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この開示は、エバポレータの温度に基づいて、吸込みモードを二層吸込みモードと単一吸込みモードとの間で切り替えるように制御される空調装置について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
より具体的に、この開示は、車室のための空調装置を提供する。この空調装置は、車室の外部からの外気を主として導入する外気吸込みモード、および車室の内部からの循環空気および外気を同時に導入する二層吸込みモードを含む複数の吸込みモードを提供する空調装置ケースを備える。空調装置は、空調装置ケースに収容されたエバポレータを備える。空調装置は、エバポレータの温度を検知するように構成された第1のサーミスタ、および空調装置ケースを制御するための制御装置を備える。二層吸込みモードは、前部空気通路によって車室の前部側に外気を供給し、後部空気通路によって車室の後部側に車室からの循環空気を供給する。制御装置は、第1のサーミスタによって検知されたエバポレータ温度が第1閾値を下回って低下する場合、吸込みモードを二層吸込みモードから外気吸込みモードに切り替えるように空調装置ケースを制御する。
【0009】
この開示の他の側面は、前部空気通路の中に設けられたエバポレータの温度を検出するように構成されている第2のサーミスタである。第1のサーミスタは後部空気通路の中に設けられたエバポレータの温度を検出するように構成されており、制御装置は、第2のサーミスタによって検知されたエバポレータ温度が第2閾値を下回って低下する場合、エバポレータを備えた冷凍サイクルを構成するコンプレッサを停止する。
【0010】
この開示のさらに他の側面は、後部空気通路は後部乗員席の上部に循環を供給することである。この開示のなおさらに他の側面は、空調装置ケース中の気流を提供するように構成された第1の送風機、および後部空気通路中の気流を提供するように構成された第2の送風機である。空調装置ケースは、前部空気通路と後部空気通路とを分割する分割壁を区画しており、分割壁の一部は制御装置が吸込みモードを切り替えるように空調装置ケースを制御するときに移動する。
【0011】
この開示の他の側面は、空調装置ケースに収容された加熱用熱交換器であって、分割壁を貫通する加熱用熱交換器、およびエバポレータと加熱用熱交換器との間に配置された対をなす複数のエアミックスドアである。複数のエアミックスドアのひとつは前部空気通路に配置され、複数のエアミックスドアの他のひとつは後部空気通路に配置されている。
【0012】
適用可能な分野はここでの開示によって明らかにされる。この開示の概要における説明と具体的な例示とは、具体的な説明を与える用途だけを意図したものであって、この開示の技術的範囲を限定することを意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、この開示における車両内の空調装置の模式的な断面図である。
【図2】図2は、座席の上部の側に空調空気を分配している、二層吸込みモードにおける空調装置ケースの詳細な形状を示す断面図である。
【図3】図3は、座席の上部の側に空調空気を分配している、外気吸込みモードにおける空調装置ケースの詳細な形状を示す断面図である。
【図4】図4は、座席の上部と下部との側に空調空気を分配している、二層吸込みモードにおける空調装置ケースの詳細な形状を示す断面図である。
【図5】図5は、座席の上部と下部との側に空調空気を分配している、外気吸込みモードにおける空調装置ケースの詳細な形状を示す断面図である。
【図6】図6は、座席の下部の側に空調空気を分配している、二層吸込みモードにおける空調装置ケースの詳細な形状を示す断面図である。
【図7】図7は、座席の下部の側に空調空気を分配している、外気吸込みモードにおける空調装置ケースの詳細な形状を示す断面図である。
【図8】図8は、この開示での空調装置ケースのための制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態ここに説明された図面は、選択された実施形態を図示するためだけのものであって、すべての実用的な可能性を示すものではない。そして、ここに説明された図面は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。複数の図面の図示にわたって、対応する参照符号は、対応する部分を指している。
【0015】
以下、複数の好ましい実施形態を図1ないし図8を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、この開示の中の車両4における空調装置2の模式的な断面図である。空調装置2は、車両4における車室6とエンジンルーム8との間に配置されている。空調装置2は空調装置ケース10、エバポレータ12、加熱用熱交換器14、第1の送風機16、第2の送風機18、および空調装置ケース10に収容された複数のドア25、27、42a、42b、43、58、60、66a−66cを有する。
【0017】
空調装置ケース10は外気入口20、第1の循環空気入口22および第2の循環空気入口24を区画する。複数のドアは、外気−循環空気の切換えドア25と、吸込みモード切換えドア27とを含む。外気入口20は車室6の外部から空調装置ケース10に外気を導入するように構成されている。第1と第2の循環空気入口22および24は車室6からの循環空気を導入するように構成されている。外気−循環空気の切換えドア25は外気入口20あるいは第1の循環空気入口22を二者択一で開くように構成されている。吸込みモード切換えドア27は第1の循環空気入口22を開閉する。
【0018】
空調装置ケース10はさらに多くの吸込みモードを提供する。複数の吸込みモードは、車室6の外部からの外気を主として導入する外気吸込みモード、および車室6の内部からの循環空気および外気を同時に導入する二層吸込みモードを含むことができる。外気吸込みモードでは、外気−循環空気の切換えドア25は、第1の循環空気入口22を閉じて、外気入口20を開く。さらに、外気吸込みモードでは、吸込みモード切換えドア27は第2の循環空気入口24を開く。したがって、吸込みモード切換えドア27は、気流が平行またはシリーズにあることを可能にする。後部送風機が停止される場合、吸込みモード切換えドア27は第2の循環空気入口24を閉じる。
【0019】
エバポレータ12は吸込みモード切換えドア27の下流側に配置されている。エバポレータ12は冷却用熱交換器である。エバポレータ12は、コンプレッサ28、コンデンサ30および膨張弁32を備えた冷凍サイクル26を構成する。コンプレッサ28は、エバポレータ12からガス相冷媒を取り入れて、かつガス相冷媒を圧縮するように構成されている。コンデンサ30はコンプレッサ28から吐出された圧縮された冷媒を冷やすように構成されている。膨張弁32はコンデンサ30からの冷やされた冷媒を減圧するように構成されている。
【0020】
加熱用熱交換器14はエバポレータ12の下流側に配置されている。この実施形態では、加熱用熱交換器14はヒータコアである。ヒータコアは、ラジエータ36、送水ポンプ38およびサーモスタット40を備えたエンジン冷却サイクル34を構成する。ヒータコアは、内燃機関の廃熱を利用する。しかし、加熱用熱交換器14はヒータコアに限定されない。加熱用熱交換器14は、蓄電池を冷やす回路のような他の廃熱利用システムのためのラジエータ36、または他の電気機器を含む。
【0021】
複数のドアは、さらに後部気流量制御ドア42a、42b、および後部分配モードドア43を含む。この実施形態では、2つの後部気流量制御ドア42a、42bが用いられている。ひとつの後部気流量制御ドア42aは加熱用熱交換器14の上流側に配置されている。他のひとつの後部気流量制御ドア42bは加熱用熱交換器14の下流側に配置されている。二層吸込みモードにおいて、空調装置ケース10および後部気流量制御ドア42a、42bは、前部空気通路44および後部空気通路46を分割している分割壁68の一部である。二層吸込みモードでは、外気入口20から来る気流流れは前部空気通路44に流れ込み、第2の循環空気入口24から来る気流流れは後部空気通路46に流れ込む。前部空気通路44、および後部空気通路46は並列の気流流れを提供し、エバポレータ12および加熱用熱交換器14は、両方の空気通路44および46にわたって広がっている。後部空気通路46を通り抜ける気流は、後部分配モードドア43で分割される。
【0022】
空調装置ケース10はさらに複数の吹き出し口を区画する。前部空気通路44の下流の端部にある複数の吹き出し口は、デフロスタ吹出口48、前フェイス吹出口50、および前フット吹出口52を区画する。後部空気通路46の下流の端部にある複数の吹き出し口は、後フェイス吹出口54、および後フット吹出口56を区画する。
【0023】
デフロスタ吹出口48はフロントガラスに条件つきの気流を配達するように構成されます。前フェイス吹出口50は運転席57の上部側に空調された空気流を供給するように構成されている。前フット吹出口52は運転席57の下部側に空調された空気を供給するように構成されている。後フェイス吹出口54は後部乗員席59の上部側に空調された空気流を供給するように構成されている。後フット吹出口56は後部乗員席59の下部に空調された空気を供給するように構成されている。
【0024】
第1の送風機16は、外気入口20および第1の循環空気入口22の下流側に配置され、かつ、エバポレータ12の上流側に配置されている。この実施形態では、第2の送風機18はエバポレータ12の下流側に位置している。しかしながら、別の実施形態では、第2の送風機は、第1の送風機16と並列に、エバポレータ12の上流側に配置することができる。第2の送風機18は、エバポレータ12の下流側、あるいは加熱用熱交換器14の下流側から空気流を取り入れるように構成されている。
【0025】
複数のドアは、さらにエアミックスドアを含む。この実施形態では、2つのエアミックスドア58および60がある。エアミックスドア58は前部空気通路44に位置付けられている。また、他のエアミックスドア60は後部空気通路46に位置付けられている。エアミックスドア58および60は、空調された空気の温度を調節するために加熱用熱交換器14を迂回する気流と加熱用熱交換器14を通過した気流との間の比率を調節する。この実施形態では、前部空気通路44にあるエアミックスドア58はスライド型ドアである。スライド型のエアミックスドア58は、ピニオンギヤ58aによって駆動される。
【0026】
さらに、複数のドアは、前部分配モードドア66a−66c(図1に示されない)、および後部分配モードドア43を含む。前部分配モードドア66a−66cは、デフロスタ吹出口48、前フェイス吹出口50、および前フット吹出口52の各々を開閉する。後部分配モードドア43は後部空気通路46に配置され、後フェイス吹出口54に分配される気流と、後フット吹出口56に分配される気流との間の流量比率を調節する。
【0027】
空調装置2はさらに第1のサーミスタTh1、第2のサーミスタTh2、および電子制御装置ユニット(ECU)を備える。第1のサーミスタTh1は後部空気通路46の中に設けられたエバポレータ12の温度を検出するように構成されている。第2のサーミスタTh2は前部空気通路44の中に設けられたエバポレータ12の温度を検出するように構成されている。ECUは、第1および第2のサーミスタTh1およびTh2、吸込みモード切換えドア27、およびコンプレッサ28に機能的に接続されている。ECUは複数のセンサ62から様々な入力を受け取り、空調装置2の64を切り替える。
【0028】
第1のサーミスタTh1によって検知されたエバポレータ温度が第1閾値を下回って低下する場合、ECUは、吸込みモードを二層吸込みモードから外気吸込みモードに切り替えるように空調装置ケース10を制御する。第2のサーミスタTh2によって検知されたエバポレータ温度が第2閾値を下回って低下する場合、ECUはコンプレッサ28を停止する。
【0029】
図2は、二層吸込みモードにおいて前と後ろの座席の上部側に空調空気を分配している空調装置ケース10の詳細な形状を示す断面図である。図2は、複数の前部分配モードドア66a、66bおよび66cを示す。前デフロスタドア66aはデフロスタ吹出口48を開閉する。前フェイスドア66bは前フェイス吹出口50を開閉する。前フットドア66cは前フット吹出口52を開閉する。図2はさらに付加的な前フット吹出口52aを示す。前フットドア66cは付加的な前フット吹出口52aの上流側に配置されている。よって、前フットドア66cは前フット吹出口52へ入る気流量だけでなく、付加的な前フット吹出口52aへ入る気流量も制御することができる。また、参照符号16aは、第1の送風機16によって生成された気流が流入する空間を示す。
【0030】
図2は二層モードでの空調装置ケース10を示す。二層モードでは、吸込みモード切換えドア27は第2の循環空気入口24を開く。また、外気−循環空気の切換えドア25は外気入口20を開く。二層モードでは、モード切換えドア27は、外気入口20から来る気流と、第2の循環空気入口24から来る気流とを分離する。モード切換えドア27、後部気流量制御ドア42a、42b、およびエアミックスドア60は、分割壁68の一部を構成する。したがって、空調装置ケース10内には、2つの分離された入口および2つの分離された気流パスがある。第1の循環空気入口22は外気−循環空気の切換えドア25によって閉じられる。
【0031】
図2は、さらに2つのエアミックスドア58および60の位置を示す。エアミックスドア58および60は、加熱用熱交換器14を気流が通過することを阻止する。図2はさらにフェイス吹出モードを示す。フェイス吹出モードにおいて、空調装置ケース10は、前席および後席の上部側に空調された空気を供給する。フェイス吹出モードでは、前デフロスタドア66aはデフロスタ吹出口48を閉じる、前フェイスドア66bは前フェイス吹出口50を開く。また、前フットドア66cは前フット吹出口52を閉じる。しかし、フェイス吹出モードでは、後部分配モードドア43は後フェイス吹出口54を開き、後フット吹出口56を閉じる。
【0032】
図3は外気吸込みモードの中で空調装置ケース10を示す。外気吸込みモードでは、吸込みモード切換えドア27は第2の循環空気入口24を閉じる。また、外気−循環空気の切換えドア25は外気入口20を開く。このモードにおいて、外気入口20から来る気流は、2つの気流へ分割される。図3の中のエアミックスドア58、60の位置および分配モードは、図2の中の分配モードなどと同じであるので、両方の気流は加熱用熱交換器14を迂回し、また、2つの気流の一方は前フェイス吹出口50へ流れ込み、2つの気流の他方は後フェイス吹出口54へ流れ込む。しかし、第1の循環空気入口22は外気−循環空気の切換えドア25によって閉じられる。
【0033】
図4は、二層吸込みモードにおいて、座席の上部側および下部側に空調された空気を供給する空調装置ケースの詳細な形を示す断面図である。図4は、図2と同じく、二層モードにおける空調装置ケース10を示す。図4は、さらに2つのエアミックスドア58および60の位置を示す。
【0034】
エアミックスドア58は、外気入口20からの気流を分割する。分割された気流のうちの一方は加熱用熱交換器14を迂回し、他方は加熱用熱交換器14を通過する。さらに、エアミックスドア60は、第2の循環空気入口24からの気流を分割する。一方の気流は加熱用熱交換器14を迂回し、他方は加熱用熱交換器14を通過する。
【0035】
図4はさらにバイレベル吹出モードを示す。バイレベル吹出モードでは、空調装置ケース10は、前席と後席との上部側および下部側に空調された空気を供給する。バイレベル吹出モードでは、前デフロスタドア66aはデフロスタ吹出口48を閉じる、前フェイスドア66bは前フェイス吹出口50を開く。また、前フットドア66cは前フット吹出口52を開く。しかし、バイレベル吹出モードでは、後部分配モードドア43は後フェイス吹出口54と後フット吹出口56とを開く。
【0036】
図5は、外気吸込みモードにおいて、座席の上部側および下部側に空調された空気を供給する空調装置ケースの詳細な形を示す断面図である。外気吸込みモードは図3と同じである。図5の中の、エアミックスドア58および60の分配モードおよび位置は、図4の中の分配モードと同じである。
【0037】
図6は、二層吸込みモードにおいて、座席の下部側に空調された空気を供給する空調装置ケースの詳細な形を示す断面図である。図6は、図2と同じく、二層モードにおける空調装置ケース10を示す。図6は、さらに2つのエアミックスドア58および60の位置を示す。
【0038】
エアミックスドア58および60は、加熱用熱交換器14を気流が迂回することを阻止する。図6はさらにフット吹出モードを示す。フット吹出モードにおいて、空調装置ケース10は、前席および後席の下部側に空調された空気を供給する。フット吹出モードでは、前デフロスタドア66aはデフロスタ吹出口48を閉じる、前フェイスドア66bは前フェイス吹出口50を閉じる。また、前フットドア66cは前フット吹出口52を開く。しかし、フットモードでは、後部分配モードドア43は後フット吹出口56を開き、後フェイス吹出口54を閉じる。
【0039】
図7は、外気吸込みモードにおいて、座席の下部側に空調された空気を供給する空調装置ケースの詳細な形を示す断面図である。外気吸込みモードは図3と同じである。図7の中の、エアミックスドア58および60の分配モードおよび位置は、図6の中の分配モードと同じである。
【0040】
図8は、この開示の中の空調装置ケース10のECUによって操作された制御方法を示したフローチャートである。T1は、サーミスタT1によって検知された気流温度を表わす。T2は、サーミスタT2によって検知された気流温度を表わす。ステップ1では、ECUは、T2が第2閾値以下かどうか判断する。この実施形態では、第2閾値は4℃である。T2が第2閾値以下である場合、方法はステップ2に進み、そうでなければ、方法はステップ3に進む。ステップ2では、ECUは、コンプレッサ28を停止する。次に、方法はステップ1に戻る。ステップ3では、ECUは、コンプレッサ28を運転する。次に、方法はステップ4に進む。ステップ4では、ECUは、T1が第1閾値以下かどうか判断する。この実施形態では、第1閾値は、4℃である。T1が第1閾値以下である場合、方法はステップ5に進み、そうでなければ、方法はステップ6に進む。ステップ5では、ECUは、吸込みモードを外気吸込みモード(図3、5および7に描かれている)に切り替える。次に、方法はステップ1に戻る。ステップ6では、ECUは、吸込みモードを二層吸込みモード(図2、4および6に描かれている)に切り替える。次に、方法はステップ1に戻る。
【0041】
上に説明された、制御方法によって、ECUは車室内の空気の再循環を停止することができ、エバポレータが二層吸込みモードにおいて霜付を生じる場合、外気を導入することができる。外気は湿度が低く、温度が高いかもしれない。したがって、この制御方法によってエバポレータ12の霜付が阻止されることがある。
【0042】
しかし、上に説明された、制御方法によって、エバポレータが二層吸込みモードにおいて霜付を生じる場合、ECUはコンプレッサを止めることができる。
【0043】
以上に述べた実施形態の説明は、図示と説明のために与えられたものである。そこには、発明を限定する意図や、網羅的にする意図はない。それぞれの個別の構成要素、または特定の実施形態の特徴は、その特定の実施形態に限定されない。しかし、具体的に図示され説明されていない限り、適用可能であれば、それらは互いに入れ替え可能であり、特定の選ばれた実施形態において利用可能である。それぞれの個別の構成要素、または特定の実施形態の特徴は、多くの手法に変形可能でもある。それらの変形例は本発明からの派生物として考慮されるべきではなく、すべてのそれらの変形例は本発明の技術的範囲に属するべきものとして意図されている。
【0044】
実施形態は、この開示が完全になるように、また本発明の範囲を当業者に十分に示唆するように提供されるものである。本発明の実施形態の理解のために、多数の具体的な細部が、特定のコンポーネント、特定の装置および特定の方法などについて述べられている。具体的な細部が必須ではないこと、複数の実施形態が種々の異なる形態によって実施可能であること、そして、具体的な細部と複数の実施形態とが本発明の技術的範囲を限定するものではないことは、当業者に明白である。複数の実施形態の説明において、よく知られた製造方法、装置のよく知られた構成、そしてよく知られた技術については詳細に説明されない。
【0045】
ここに使用される用語は、特定の実施形態を説明するために用いられたものであって、本発明の技術的範囲を制限することを意図して用いられたものではない。ここに使用される用語において、単数であることを示唆する記載であっても、それは複数形を包含することを意図している。ただし、単数であることが明白に記載されている場合はこの限りではない。「〜を備える」「〜から構成される」「〜を含む」、および「〜を有する」といった用語は、包括的であって、したがって、記述された特徴、完成体、ステップ、操作、構成要素、または部品の存在を定義するが、ひとつ以上の他の特徴、完成体、ステップ、操作、構成要素、部品、またはそれらの組合せの存在、あるいは追加を妨げない。ここに説明された方法における工程、処理、および操作は、それらの実行順序が具体的に特定されている場合を除いて、ここに説明され、図示された特定の実行順序でのそれらの実行が必ず要求されるものとしては構成されていない。工程、処理、および操作は、異なる順序によって実行することができる場合がある。さらに、追加的な、または代替的な工程を採用することができることも理解されるべきである。
【0046】
構成要素または構成層が、他の構成要素または構成層に対して、「上に」、「連結され」、「接続され」、または「結合され」と記載されて表現されるとき、それは、他の構成要素または構成層に対して上に直接にあるか、直接に連結されているか、直接に接続されているか、または直接に結合されていることを意味しているか、または、他の介在要素または介在層が存在していることを意味している。反対に、構成要素または構成層が、他の構成要素または構成層に対して、「上に直接に」、「直接に連結され」、「直接に接続され」、または「直接に結合され」と記載されて表現されるとき、そこには他の介在要素または介在層が存在しないことを意味している。構成要素の間の関係を表現する他の用語も、同様に解釈されるべきである。例えば、「間に」と「間に直接に」との意味、および「隣接して」と「直接に隣接して」との意味である。ここでは、用語「および/または」は、関連付けて挙げられた複数の要素のうちのひとつまたは複数の組み合わせのいかなるものも、そしてすべてを含むものである。
【0047】
ここでは、様々な要素、部品、領域、層、および/または部分を記述するために、第1、第2、第3といった用語が用いられているが、それらの要素、部品、領域、層、および/または部分は、それらの用語によって限定的に解釈されるべきではない。これらの用語は、ひとつの要素、部品、領域、層、または部分を、他のそれらから区別するために単に使用されているにすぎない。第1、第2といった用語、および他の数的な用語は、明白に記載されている場合を除いて、特定の手順、または順序を示唆するものではない。したがって、例示された実施形態の開示の範囲内において、第1の要素、部品、領域、層、または部分は、第2の要素、部品、領域、層、または部分と名付けることもできる。
【0048】
「内」、「外」、「下」、「低」、「降」、「上」、「高」など空間における相対的な位置を表す用語は、図示された状態における、ひとつの要素または特徴の他の要素または特徴に対する相対的な関係を説明するために、専ら説明と理解の容易化のために用いられたものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。空間における相対的な位置を表す用語は、図示された状態における配置方向に加えて、装置の使用または作動における他の異なる配置方向を包含するように意図されている。
【0049】
例えば、図中における装置がひっくり返して位置される場合、他の要素または特徴との関係で「下」または「低」といった用語で記述された要素または特徴は、当該他の要素または特徴との関係で「上」あるいは「高」といえる配置方向に位置付けられる。したがって、例示された用語「下」は、「上」と「下」との両方の配置方向を包含することができる。
【0050】
なお、装置はさらに他の配置方向に配置することができる。例えば、90度回転させた配置方向、または他の配置方向である。かかる場合、空間における相対的な位置を表す用語は、そのように適合的に解釈されることを意図して使用されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室のための空調装置において、
前記車室の外部からの外気を主として導入する外気吸込みモード、および前記車室の内部からの循環空気および外気を同時に導入する二層吸込みモードを含む複数の吸込みモードを提供する空調装置ケース、
前記空調装置ケースに収容されたエバポレータ、
前記エバポレータの温度を検知するように構成された第1のサーミスタ、および
前記空調装置ケースを制御するための制御装置を備え、
前記二層吸込みモードは、前部空気通路によって前記車室の前部側に外気を供給し、後部空気通路によって車室の後部側に車室からの循環空気を供給し、
前記制御装置は、前記第1のサーミスタによって検知されたエバポレータ温度が第1閾値を下回って低下する場合、前記吸込みモードを前記二層吸込みモードから前記外気吸込みモードに切り替えるように前記空調装置ケースを制御することを特徴とする空調装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空調装置において、さらに、
前記前部空気通路の中に設けられた前記エバポレータの温度を検出するように構成されている第2のサーミスタを備え、
前記第1のサーミスタは前記後部空気通路の中に設けられた前記エバポレータの温度を検出するように構成されており、
前記制御装置は、前記第2のサーミスタによって検知された前記エバポレータ温度が第2閾値を下回って低下する場合、前記エバポレータを備えた冷凍サイクルを構成するコンプレッサを停止することを特徴とする。
【請求項3】
請求項1に記載の空調装置において、前記後部空気通路は後部乗員席の上部に循環を供給することを特徴とする。
【請求項4】
請求項1に記載の空調装置において、さらに、
前記空調装置ケース中の気流を提供するように構成された第1の送風機、および
前記後部空気通路中の気流を提供するように構成された第2の送風機を備え、
前記空調装置ケースは、前記前部空気通路と前記後部空気通路とを分割する分割壁を区画しており、前記分割壁の一部は前記制御装置が前記吸込みモードを切り替えるように前記空調装置ケースを制御するときに移動することを特徴とする。
【請求項5】
請求項4に記載の空調装置において、さらに、
前記空調装置ケースに収容された加熱用熱交換器であって、前記分割壁を貫通する加熱用熱交換器、および
前記エバポレータと前記加熱用熱交換器との間に配置された対をなす複数のエアミックスドアを備え、
複数の前記エアミックスドアのひとつは前記前部空気通路に配置され、複数の前記エアミックスドアの他のひとつは前記後部空気通路に配置されていることを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−210932(P2012−210932A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−74382(P2012−74382)
【出願日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【出願人】(500164385)デンソー インターナショナル アメリカ インコーポレーテッド (49)
【Fターム(参考)】