説明

空調設備およびその加熱出力を制御する方法

【課題】 改良された空調設備を提供する。
【解決手段】 コンプレッサ(2)、発熱体(3)、絞り機構(4)および蒸発器(6)を有する、ヒートポンプとして駆動可能な空調設備、特に自動車用の空調設備において、
コンプレッサ(2)が可変のストロークを有し、絞り機構(4)が制御可能な膨張弁(5)として形成されており、前記膨張弁がヒートポンプ駆動における加熱出力の制御に寄与する膨張弁(5)が、発熱体(3)の後段かつ蒸発器(2)の前段に接続されている。コンプレッサ(2)を制御するために、コンプレッサ弁と接続された高圧制御器が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調設備、特に自動車用の空調設備(すなわち、コンプレッサ、発熱体、絞り機構および蒸発器を有する、ヒートポンプとして駆動可能な空調設備、特に自動車用の空調設備)と、その加熱出力を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空調設備をヒートポンプとして駆動する場合に、発熱体の後の空気の温度を制御するために、所定の加熱出力が提供されなければならない。その場合に発熱体の温度は、所定の高い圧力を予め定めることによって制御することができる。安定化と動特性の理由から、所望の加熱出力を得るために、階層化された発熱体制御、すなわち下位に位置する高圧制御器を有する発熱体制御器が使用されることが多い。しかしこの種の制御は、まだ課題を残している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、改良された空調設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1の特徴を有する空調設備(すなわち、コンプレッサ可変のストロークを有し、絞り機構が制御可能な膨張弁として形成されており、前記膨張弁がヒートポンプ駆動における加熱出力の制御に寄与することを特徴とする空調設備)によって解決される。好ましい形態が、従属請求項の対象である。
【発明の実施形態】
【0005】
本発明によれば、発熱体、絞り機構、蒸発器およびコンプレッサを有する、ヒートポンプとして駆動可能な空調設備、特に自動車空調設備が設けられており、その場合にコンプレッサが可変のストロークを有しており、それによってヒートポンプ駆動と特に発熱体の後の空気の温度が制御可能である。その場合に特に、制御可能な膨張弁として形成されている絞り機構が、ヒートポンプ駆動における加熱出力の制御に寄与する。膨張弁および可変のコンプレッサストロークを用いて加熱出力を制御することによって、ヒートポンプ駆動における空調設備の加熱出力の著しく改良された制御が得られる。
【0006】
膨張弁は、好ましくはヒートポンプ循環内で発熱体の後段かつ蒸発器の前段に接続されている。
【0007】
制御は、コンプレッサのストロークのための制御器を用いて実施される。好ましくはコンプレッサの制御のために、コンプレッサ弁と接続された高圧制御器が、かつ/または膨張弁の制御のために高圧制御器が設けられている。
【0008】
膨張弁は、好ましくは、パルス幅変調された信号によって制御される膨張弁によって形成される。
【0009】
ヒートポンプ駆動における空調設備の加熱出力の制御は、好ましくは、高圧目標値のパイロット制御特性曲線を考慮しながら、発熱体の後の空気の目標温度に従って行われる。その場合にヒートポンプ駆動における空調設備の発熱体温度の制御は、求められた、発熱体の後の空気の温度を考慮しながら、発熱体の後の空気の目標温度に従って行われ、その場合に補正特性曲線が考慮される。さらに、好ましくは、コンプレッサの後のヒートポンプ循環内に存在する冷却剤の圧力の考慮が行われる。
【実施例】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。図面において唯一の図1は、本発明に基づく制御を説明するブロック回路を示している。
【0011】
図1の右下の部分には、ヒートポンプ駆動における空調設備のヒートポンプ循環1が概略的に示されており、その場合にヒートポンプ循環1内にある冷却剤は可変のストロークを有するコンプレッサ2によって圧縮されて、次に発熱体3へ供給されて、その中で熱が車両室内へ放出され、それに続いて絞り機構4、この場合にはパルス幅変調された信号(PWM)を介して制御される膨張弁5内で弛緩され、その後蒸発器6へ供給されて、その中で熱を吸収して、再びコンプレッサ2へ供給される。
【0012】
発熱体3の後の空気の予め定められた目標温度を達成するための、ヒートポンプ循環1の制御が、図に示すように行われる。
【0013】
その場合にヒートポンプ循環1内の圧力が、図示されていない圧力センサによって測定された、コンプレッサ2の後の実際の圧力を考慮しながら、高圧目標値のパイロット制御特性曲線に従って高圧制御器を用いて制御され、その高圧制御器はコンプレッサ2のストロークを、パルス幅変調された信号を用いて制御されるコンプレッサ弁(PWMコンプレッサ弁)を介して制御する。さらに、膨張弁5の高圧制御器を介して、膨張弁5(PWM膨張弁)の然るべきパルス幅変調された制御が行われる。
【0014】
さらに、コンプレッサ2のストロークを制御する場合も、膨張弁5を制御する場合にも、発熱体3の温度が発熱体温度制御器によって、発熱体制御器の補正特性曲線を考慮しながら、図示されていない温度センサを用いて求められた、発熱体3の後の空気の温度に従って考慮される。従ってコンプレッサ2と膨張弁5を用いて発熱体3の温度制御ないし出力制御が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に基づく制御を説明するブロック回路図を示している。
【符号の説明】
【0016】
1 ヒートポンプ循環
2 コンプレッサ
3 発熱体
4 絞り機構
5 膨張弁
6 蒸発器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサ(2)、発熱体(3)、絞り機構(4)および蒸発器(6)を有する、ヒートポンプとして駆動可能な空調設備、特に自動車用の空調設備において、
コンプレッサ(2)が可変のストロークを有し、絞り機構(4)が制御可能な膨張弁(5)として形成されており、前記膨張弁がヒートポンプ駆動における加熱出力の制御に寄与することを特徴とする空調設備。
【請求項2】
膨張弁(5)が、発熱体(3)の後段かつ蒸発器(2)の前段に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の空調設備。
【請求項3】
コンプレッサ(2)を制御するために、コンプレッサ弁と接続された高圧制御器が設けられていることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の空調設備。
【請求項4】
膨張弁(5)を制御するために、高圧制御器が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の空調設備。
【請求項5】
膨張弁(5)が、パルス幅変調される膨張弁であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の空調設備。
【請求項6】
コンプレッサ(2)、発熱体(3)、絞り機構(4)および蒸発器(6)を有する、ヒートポンプとして駆動可能な空調設備、特に自動車空調設備を制御する方法において、
制御が、コンプレッサ(2)のストロークのための制御器を用いて実施され、コンプレッサ(2)のストロークが、高圧制御器によって、絞り弁(4)を形成するコンプレッサ弁(5)の制御と組み合わせて制御されることを特徴とする、空調設備を制御する方法。
【請求項7】
制御が、絞り弁(4)を形成するパルス幅変調される膨張弁(5)の制御に従って実施され、その場合にそのために高圧制御器が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ヒートポンプ駆動における空調設備の制御が、高圧目標値のパイロット制御特性曲線を考慮しながら、発熱体の後の空気の目標温度に従って行われることを特徴とする請求項6または7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ヒートポンプ駆動における空調設備の発熱体温度の制御が、求められた、発熱体(3)の後の空気の温度を考慮しながら、発熱体(3)の後の空気の目標温度に従って行われ、その場合に補正特性曲線が考慮されることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ヒートポンプ駆動における空調設備の制御が、コンプレッサ(2)の後のヒートポンプ循環内に存在する冷却剤の圧力を考慮しながら行われることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の方法。


【図1】
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【公表番号】特表2007−501737(P2007−501737A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522956(P2006−522956)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008730
【国際公開番号】WO2005/016672
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(594042033)ベール ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (222)
【Fターム(参考)】