説明

空間光変調器、および当該空間光変調器に用いる駆動回路、並びに当該空間光変調器の駆動方法

【課題】 本発明の目的は、電極配線の本数および電極配線の抵抗を低下させることによって、画素が高密度でかつ消費電力の少ない空間光変調器を提供することにある。さらには、当該空間光変調器に用いる駆動回路、並びに当該駆動回路を用いた空間光変調器の駆動方法を提供することに関する。
【解決手段】 本発明にかかる空間光変調器50は、マトリックス状に配設された複数の光磁気効果素子1と、隣接する前記光磁気効果素子1の間に配設される下部電極配線2と上部電極配線3と、前記下部電極配線2と上部電極配線3各々に流れる電流の向きを設定する駆動回路とを備えた空間光変調器50において、下部電極配線2と上部電極配線3が前記各光磁気効果素子の間に1本となるように配設されている。また下部電極配線2と上部電極配線3の一端は各々共通配線4に接続され、かつ他端が前記駆動回路に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光を空間的に変調する空間光変調器、および当該空間光変調器に用いる駆動回路、並びに当該駆動回路の駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
入射光を空間的に変調する空間光変調器は、光学的な情報処理やコンピュータ合成ホログラム等の分野において用いられている。
【0003】
従来の空間光変調器としては、液晶を用いたものや、マイクロミラーデバイスを用いたものが知られている。上述の光学的な情報処理やコンピュータ合成ホログラム等の分野では、大量の情報を高速で処理する必要があるため、それに適用する空間光変調器としては動作速度が大きいことが好ましいといえる。
【0004】
しかしながら、液晶を用いた空間光変調器では、動作速度が小さいという欠点があり、液晶の中では比較的動作速度が大きい強誘電性液晶を空間光変調器に用いた場合であっても、応答時間はマイクロ秒のオーダーである。
【0005】
一方、マイクロミラーデバイスを用いた空間光変調器では、比較的、高速の動作が可能である。しかしながら、この空間光変調器は、高度な半導体製造プロセスによって製造される構造が複雑なマイクロマシーンであるため、製造コストが高いこと、および機械的な駆動部分を有するので信頼性に劣ること等の問題がある。
【0006】
そこで、上記問題点に鑑みて磁気光学効果を利用した空間光変調器が開発された。かかる磁気光学効果を利用した空間光変調器は、それぞれ光磁気材料よりなり、独立に磁化の方向を選択可能な複数の画素を有している。磁気光学効果を利用した空間光変調器では、ファラデー効果によって、各画素における磁化の方向に応じて、各画素を通過する光の偏光方向が互いに反対方向に所定角度ずつ回転される。従って、各画素における磁化の方向を任意に選択することにより、空間的に変調された光を生成することができる。
【0007】
磁気光学効果を利用した空間光変調器は、旋光を用いる点では液晶ディスプレイと同様であるが、以下に挙げる点において液晶ディスプレイより優れている。
【0008】
(1)応答スピードが、高速液晶の10μs程度に対して、数nsと1000倍以上速い。
【0009】
(2)画像分解能が、1000dpi以上と容易に高くできる。
【0010】
(3)タッチパネルなどの他の手段を追加して用いなくても、磁気ペンで画像への追記が容易にできる。
【0011】
(4)液体漏れ防止のための袋機能(ガラス板やプラスチック板及び液の封止)が不要である。
【0012】
(5)画素の状態を切り替えるためのトランジスタ等によって、画素の一部が利用できなくなることがない。
【0013】
上記磁気光学効果を利用した空間光変調器としては、例えば特許文献1〜3に開示されたものが知られている。
【特許文献1】特開2002−277842(公開日:平成14(2002)年9月25日)
【特許文献2】特開2001−343619(公開日:平成13(2001)年12月14日)
【特許文献3】特許2739736号公報(登録日:平成10年(1998)1月23日、公開公報:特開平2−79017号公報、公開日:平成2年(1990)3月19日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述のような従来の磁気光学効果を利用した空間光変調器(従来型空間光変調器100)では、任意の画素における磁化の方向を設定(反転)させるために、図8および図9に示すようなループ状の電極配線(以下、ループ状電極配線といい、特に空間光変調器の観者側に近いループ状電極配線を上部ループ状電極配線32、反対に観者側から遠いループ状電極配線を下部ループ状電極配線31という)を各画素(光磁気効果素子1)に対応するように格子状に設け、その画素(光磁気効果素子1)が配置された位置で交差する2本の下部ループ状電極配線31および上部ループ状電極配線32に通電することによって、その画素(光磁気効果素子1)における磁化の方向を反転させるための磁界を発生させるようにしている。
【0015】
また、従来の磁気光学効果を利用した空間光変調器(従来型空間光変調器100)では、図9に示すように、スイッチ6a及び6bをオン/オフを行なうことによって、下部ループ状電極配線31の各端子7がプラス、もしくはマイナスに短絡(接続)させることができる。このような構造においては、各磁気ヘッド(下部ループ状電極配線31)に同時に通電することが可能であるため、同時に多くの光磁気効果素子1の磁化方向を変更(設定)することが可能となる。
【0016】
しかしながら、従来の磁気光学効果を利用した空間光変調器(従来型空間光変調器100)では、図9における下部ループ状電極配線31を用いており、図10に示すように各画素(光磁気効果素子1)間に下部ループ状電極配線31が2本配置されるため、画素(光磁気効果素子1)の間隔を小さく、高密度に配置しようとすることが困難であった。
【0017】
上記問題点を解決するものとして、特許文献2および図11に開示されている従来型空間光変調器101のごとき、下部ループ状電極配線31上に画素(光磁気効果素子1)を形成するという構成があるが、下部ループ状電極配線31に使用する材料は、少なくとも使用する光に対して透過性を持たなければならず、透明導電膜を用いる必要がある。
【0018】
透明導電膜としては、可視光の透過率が高く、また導電性を有する、酸化錫膜(SnO2)、酸化インジウム(In23)膜の系統が代表的な材料として挙げられる。しかし透明導電膜は、金属電極に比べ電気比抵抗が2桁程度大きい(例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜=1.5×10-4Ωcm、Al膜=2.6×10-6Ωcm)ため、消費電力が非常に大きくなるという問題点がある。かかる場合、透明導電膜からなる導線の断面積を大きくして電気抵抗を低下させ、消費電力を小さくさせるなどの対策があるが、金属電極ほど消費電力を小さくすることはできない。
【0019】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電極配線の本数および電極配線の電気抵抗を低下させることによって、画素が高密度で、かつ消費電力が少ない空間光変調器を実現し、提供することにある。さらには、当該空間光変調器に用いる駆動回路、並びに当該駆動回路を用いた空間光変調器の駆動方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、本発明を完成させるに至った。
【0021】
すなわち本発明にかかる空間光変調器は、マトリックス状に配設された複数の光磁気効果素子と、隣接する前記光磁気効果素子の間に配設され、前記マトリックスの行または列のいずれかに沿う方向に延伸する複数の電極配線と、前記複数の電極配線各々に流れる電流の向きを設定する駆動回路とを備えた空間光変調器において、前記複数の電極配線が前記各光磁気効果素子の間に1本となるように配設されており、同一方向に延伸する前記複数の電極配線の一端が各々共通配線に接続され、かつ当該複数の電極配線の他端が前記駆動回路に接続されていることを特徴としている。
【0022】
かかる構成によれば、マトリックス状に配置された光磁気効果素子の間に配設される電極配線が1本であるため、光磁気効果素子、すなわち画素をより高密度に配置することが可能となる。それゆえ、より解像度の高い空間光変調器を提供することができるという効果を奏する。
【0023】
また本発明にかかる空間光変調器は、上記空間光変調器が、透過型であることが好ましい。
【0024】
かかる構成によれば、マトリックス状に配置された光磁気効果素子の間に配設される電極配線が1本であるため、透過型空間光変調器であっても、電極配線の材料として電気抵抗の低い金属電極配線を用いることができる。それゆえ、電極配線の断面積を広くする必要が無く、より高密度に光磁気効果素子(画素)を配置することが可能となる。また、消費電力を少なくすることが可能となる。さらには、金属電極配線は光透過性が無く、光磁気効果素子(画素)間に配置された電極配線自体がブラックマトリックスとなり、コントラストを高め、より鮮明な画像を得ることが可能となるという効果を奏する。
【0025】
また本発明にかかる空間光変調器は、マトリックス状に配設された複数の光磁気効果素子と、隣接する前記光磁気効果素子の間に配設され、前記マトリックスの行または列のいずれかに沿う方向に延伸する複数の電極配線と、前記複数の電極配線各々に流れる電流の向きを設定する駆動回路と、反射膜とを備える反射型空間光変調器において、前記複数の電極配線の内、空間光変調器の観者からの距離が、前記反射膜より近い位置に配設された電極配線を透過部電極配線とすると、前記透過部電極配線が前記各光磁気効果素子の間に1本となるように配設されており、かつ同一方向に延伸する前記透過部電極配線の一端が各々共通配線に接続され、かつ前記透過部電極配線の他端が前記駆動回路に接続されていることを特徴としている。
【0026】
反射型空間光変調器は、空間光変調器の観者側とは反対側の面、換言すれば空間光変調器の光に入射面とは反対の面に、上記のごとく反射膜を備えている。空間光変調器に入射した光は、当該反射膜で反射され観者の目に届くことになるため、観者からの距離が反射膜より遠い位置に配設される電極配線等は、必ずしも光の透過性を有する必要が無い。したがって、光磁気効果素子(画素)を高密度化していく過程において、光の透過性を有しない金属電極配線を利用できる。かかる金属電極配線は、電気抵抗値が低いため断面積を小さくすることが可能である。それゆえ、従来のループ状の電極配線を用いた場合であっても、光磁気効果素子(画素)の高密度化に対して比較的障害とはならない。
【0027】
他方、観者からの距離が反射膜より近い位置に配設される電極配線(透過部電極配線)は、光磁気効果素子(画素)を高密度化していく過程において、光磁気効果素子上を電極配線が覆ってしまうという事態が発生する。かかる場合は、電極配線を光の透過性を有する透明電極を利用しなければならず、既述のごとく消費電力の増加等の問題が生じることとなる。
【0028】
したがって、反射型空間光変調においては、少なくとも透過部電極配線が、既述のごとく、前記各光磁気効果素子の間に1本となるように配設されており、かつ同一方向に延伸する前記透過部電極配線の一端が各々共通配線に接続され、かつ前記複数の電極配線の他端が前記駆動回路に接続されていることが必要であるといえる。
【0029】
上記構成によれば、反射型空間光変調器において、マトリックス状に配置された光磁気効果素子の間に配設される電極配線が1本であるため、光磁気効果素子すなわち画素をより高密度に配置することが可能となる。それゆえ、より解像度の高い反射型空間光変調器を提供することができるという効果を奏する。
【0030】
また透過部電極配線であっても、当該電極配線の材料として電気抵抗値の低い金属電極配線を用いることができる。それゆえ、電極配線の断面積を広くする必要が無く、より高密度に光磁気効果素子(画素)を配置することが可能となる。また、消費電力を少なくすることが可能となる。さらには、金属電極配線は光透過性がなく、光磁気効果素子(画素)間に配置された電極配線自体がブラックマトリックスとなり、コントラストを高め、より鮮明な画層を得ることが可能となるという効果を奏する。
【0031】
また本発明にかかる空間光変調器は、上記電極配線に流れる電流の向きが相互に直交するように前記複数の電極配線が配設されていることが好ましい。
【0032】
上記構成によれば、相互に直交する電極配線によって形成される四角形(正方形、長方形)の領域に磁化方向を設定することができる。したがって上記四角形に対応するように2次元的に配置されている光磁気効果素子各々について独立して磁化の方向を設定し、制御することが可能となる。さらには、上記電極配線が相互に直交することによって、上記磁化の方向を設定することができる領域の面積をより小さくすることができ、光磁気効果素子(画素)をより高密度化することができるという効果を奏する。
【0033】
また本発明にかかる空間光変調器は、上記駆動回路が、上記電極配線の他端を、電源のプラス電位に接続するか、グラウンド電位に接続するか、または開放状態するかを切り替える手段を有することが好ましい。
【0034】
上記構成のごとく電源のプラス電位に接続するか、グラウンド電位に接続するか、または開放状態するかを切り替える手段を有することによって、当該駆動回路に接続された電極配線各々に流れる電流の方向を任意に設定することが可能となる。かかる電流の方向を任意に設定することによって、電極配線に囲まれる領域個々について、発生する磁化の方向を任意に設定・制御することが可能となる。したがって、光磁気効果素子(画素)の高密度化を行ないながら、各光磁気効果素子(画素)個々についてより緻密に駆動することが可能となる。
【0035】
一方、本発明にかかる駆動回路は、マトリックス状に配設された複数の光磁気効果素子の間に電極配線が1本となるように配設されており、同一方向に延伸する前記複数の電極配線の一端が各々共通配線に接続された空間光変調器を駆動する駆動回路であって、前記共通配線に接続されている電極配線の一端とは反対の端部に接続され、前記端部を電源のプラス電位に接続するか、グラウンド電位に接続するか、または開放状態するかを切り替える手段を有することを特徴としている。
【0036】
上記構成のごとく電源のプラス電位に接続するか、グラウンド電位に接続するか、または開放状態するかを切り替える手段を有することによって、当該駆動回路に接続された電極配線各々に流れる電流の方向を任意に設定することが可能となる。かかる電流の方向を任意に設定することによって、電極配線に囲まれる領域個々について、発生する磁化の方向を任意に設定・制御することが可能となる。したがって、光磁気効果素子(画素)の高密度化を行ないながら、各光磁気効果素子(画素)個々について緻密に駆動することが可能となる。
【0037】
一方、本発明にかかる画像表示装置は、上記いずれかの空間光変調器を備えることを特徴としている。
【0038】
上記構成によれば、光磁気効果素子(画素)が高密度に配設された高画質の画像表示装置を提供することが可能となる。また空間光変調器の構造が単純であること、及び応答速度が液晶方式に比べてはるかに速いこと等の特性から、画面サイズを大小自在に作製することが容易であり、ICカードや携帯型電話機等の小型表示素子から、広告用大画面ディスプレイまでの種々広範な画像表示装置を提供することができるという効果を奏する。
【0039】
一方、本発明にかかる空間光変調器の駆動方法は、マトリックス状に配設された複数の光磁気効果素子の間に電極配線が1本となるように配設されており、同一方向に延伸する前記複数の電極配線の一端が各々共通配線に接続され、当該複数の電極配線の他端が前記駆動回路に接続された空間光変調器の駆動方法であって、前記駆動回路により、前記複数の電極配線の他端を、電源のプラス電位に接続するか、グラウンド電位に接続するか、または開放状態するかの切り替えを行なうことによって、前記複数の電極配線各々に流れる電流の向きを適宜組み合わせ、対応する光磁気効果素子に対して任意の磁化の方向を設定することを特徴としている。
【0040】
上記駆動方法によれば、電極配線各々に流れる電流の方向を任意に設定することが可能となる。かかる電流の方向を任意に設定することによって、電極配線に囲まれる領域個々について、発生する磁化の方向を任意に設定・制御することが可能となる。したがって、光磁気効果素子(画素)の高密度化を行ないながら、各光磁気効果素子(画素)個々についてより緻密に駆動することが可能となる。
【発明の効果】
【0041】
本発明にかかる空間光変調器によれば、光磁気効果素子間に設置される電極配線が1本とすることができる。それゆえ、光磁気効果素子、すなわち画素を高密度に配置することができ、高密度な空間光変調器を提供することができるという効果を奏する。
【0042】
また、本発明にかかる駆動回路、および当該駆動回路の駆動方法によれば、高密度に配置された光磁気効果素子の各々について、磁化の方向を設定することが可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明の実施の形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。また、以下の説明においては、便宜上、空間光変調器の観者に近い側の面(すなわち光の入射面)が上面、反対側の面が底面になるように、空間光変調器を載置したものとして説明する。
【0044】
〔実施の形態1〕
以下、本実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施の形態にかかる透過型空間光変調器50の要素部の概略図であり、図2は本実施の形態にかかる透過型空間光変調器50の要素部の平面図であり、図3は図2におけるA−A’断面図を示している。
【0045】
図1〜図3に示したように、本実施の形態にかかる透過型空間光変調器50は、光磁気効果素子1と下部電極配線2と上部電極配線3と共通配線4とを有しており、複数の光磁気効果素子1は、基板5の同一平面上にマトリックス状に配設されている。
【0046】
かかるマトリックス状に配設された光磁気効果素子1(画素)間には、図3に示すごとく絶縁層8が形成されている。
【0047】
一方電極配線(下部電極配線2、上部電極配線3)は、隣接する前記光磁気効果素子1の間に配設され、前記マトリックスの行(図2においてはx軸方向)または列(図2においてはy軸方向)のいずれかに沿う方向に延伸している。より具体的には、下部電極配線2はマトリックスの列方向(図2においてはy軸方向)に延伸しており、上部電極配線3はマトリックスの行方向(図2においてはx軸方向)に延伸している。すなわち下部電極配線2と上部電極配線3とは、直交する方向に延伸していることとなる。なお下部電極配線2、及び上部電極配線3の延伸する方向は上記に限られるものではなく、逆のパターンであってもよい。すなわち、下部電極配線2はマトリックスの行方向(図2においてはx軸方向)に延伸しており、上部電極配線3はマトリックスの列方向(図2においてはy軸方向)に延伸している態様であってもよい。
【0048】
ここで、複数の電極配線の内、観者側に近い電極配線(すなわち図1〜3においては上側に位置する電極配線)を上部電極配線3と称し、観者からより遠い電極配線(すなわち図1〜3においては下側に位置する電極配線)を下部電極配線2と称する。なお下部電極配線2及び上部電極配線3は、隣接する光磁気効果素子1間に1本づつ配設されている。図2を参照すれば、光磁気効果素子1が、下部電極配線2と上部電極配線3で囲まれた領域に一つずつ形成されており、1つの画素領域となっている。
【0049】
また同一方向に延伸する複数の電極配線からなる下部電極配線2は、その一端で共通配線4に接続されている。同様に同一方向に延伸する複数の電極配線からなる上部電極配線3は、その一端で共通配線4に接続されている。なお、共通配線4と、下部電極配線2(または上部電極配線3)は、分離別体として構成されていてもよいし、共通配線4と下部電極配線2(または上部電極配線3)が一体の配線として構成されていてもよい。かかる下部電極配線2と共通配線4と接続してなる電極配線、及び上部電極配線3と共通配線4と接続してなる電極配線各々に、流れる電流の方向を所望の方向とすることによって、下部電気配線2及び上部電極配線3で囲まれた領域に所望の磁化の方向を設定することことができる。なお、上記電極配線に流れる電流の方向・磁化の方向の設定動作については後述する。
【0050】
ここで、下部電極配線2および上部電極配線3の材料については特に限定されるものではなく、空間光変調器の構成等に応じて適宜選択の上、採用すればよい。例えば、銅・アルミニウム・ニッケル・白金等の光透過性を有しない金属電極配線を用いてもよいし、ITO等の透明導電性電極配線を用いてもよい。ただし、電気抵抗値が低く断面積を小さくすることができ、消費電力を低減することが可能であるとの理由から、光透過性を有しない金属電極配線が好ましいといえる。なお、本実施の形態における下部電極2および上部電極3には、可視光を通さず、強磁性を示さない金属薄膜材料を用いた。
【0051】
一方、光磁気効果素子1を構成する材料としては、入射光に対して透過性を有する磁気光学効果(ファラデー効果)を有する光磁気材料であればよいが、特に、磁性ガーネット薄膜または一次元フォトニック結晶を用いることが好ましい。磁性ガーネット薄膜の代表的なものとしては、希土類鉄系ガーネット薄膜がある。磁性ガーネット薄膜を作製する方法としては、例えば、ガドリニウムガリウムガーネット基板の上に、液相エピタキシャル成長法(LPE法)またはスパッタ法によって単結晶の磁性ガーネット薄膜を形成する方法がある。
【0052】
また一次元フォトニック結晶の代表的なものは、磁性体層の両面側に誘電体多層膜を形成した構造をとっている。磁性体の材料としては、希土類ガーネットやビスマス置換希土類ガーネット等が用いられる。誘電体多層膜は、例えばSiO2膜とTa25膜を交互に積層して構成される。一次元磁性フォトニック結晶における層構造の周期は、使用する光の波長の1/4程度である。この一次元磁性フォトニック結晶では、大きなファラデー効果を得ることが可能となる。
【0053】
なお、本実施の形態にかかる透過型空間光変調器50は、すべての構成要素をモノシリックに形成して製造してもよいし、複数の部分に分けて形成した後、複数の部分を組み合わせて製造してもよい。透過型空間光変調器50を複数の部分に分けて形成する場合には、例えば、基板5から光磁気効果素子1までの部分と、他の部分とに分けてもよい。また本実施の形態にかかる透過型空間光変調器50の構成要素は、すべて半導体プロセスを用いて製造することが可能である。
【0054】
次に図4を用いて、本実施の形態にかかる空間光変調器50の駆動方法・作用について説明する。図4は本実施の形態にかかる空間光変調器50における駆動回路を示す図である。なお説明の便宜上、図4は上部電極配線3についての駆動回路を省略し、下部電極配線2の駆動回路のみを示す。
【0055】
図4に示すように、下部電極配線2の端子であって、共通配線4に接続されている端子(70a〜70c,・・・)とは反対側の端子(7a〜7c,・・・)各々と、駆動回路9の端子とが接続されている。駆動回路9は、スイッチ6a〜6f,・・・が配置されており、スイッチ6a,6c,6e・・・は、電源のプラス電位(端子)と並列で電気接続されている。またスイッチ6b,6d,6f・・・はグラウンド電位と電気接続されている。駆動回路9上に配置されたスイッチ6a〜6fは、電界効果トランジスタ(FET)を用いたスイッチである。また駆動回路9に配置されたスイッチ6a〜6f,・・・は、公知の制御手段によって動作し、当該駆動回路9に接続された端子7a〜7c,・・・各々について、電源のプラス電位に接続するか、グラウンド電位に接続するか、または開放状態するかを切り替えることができるようになっている。換言すれば、スイッチ6a〜6f,・・・が動作することによって、端子7a〜7c,・・・は、プラスに短絡(接続)するか、マイナスに短絡(接続)するか、いずれも開放するかを切り替えることができるようになっている。
【0056】
端子7aを例に挙げてより具体的に説明すれば、スイッチ6a・6bが共にオフ状態の場合は、端子7aは「開放状態」であるといえ、スイッチ6aがオン状態でスイッチ6bがオフ状態の場合は、端子7aは「電源のプラス電位に接続(プラスに短絡(接続))」であるといえ、スイッチ6aがオフ状態でスイッチ6bがオン状態の場合は、端子7aは「グラウンド電位に接続(マイナスに短絡(接続))」であるといえる。
【0057】
上記のごとく、駆動回路9によって各端子7a〜7c・・・が電源のプラス電位に接続するか、グラウンド電位に接続するか、または開放状態するかを切り替えられ、その切り替えパターンに応じて下部電極配線2各々に電流が所望の方向で流れることとなる。
【0058】
例えば、スイッチ6a,スイッチ6dをオン状態にし、スイッチ6b,スイッチ6c,スイッチ6e,スイッチ6fをオフ状態にすると、電流は端子7a→端子70a→端子70b→端子7b→グラウンドの順に流れる。すなわち、光磁気効果素子1aを中心に時計回り(右回り)の電流が発生する。
【0059】
逆に、スイッチ6b,スイッチ6cをオン状態にし、スイッチ6a,スイッチ6d,スイッチ6e,スイッチ6fをオフ状態にすると、電流は端子7b→端子70b→端子70a→端子7a→グラウンドの順に流れる。すなわち、光磁気効果素子1aを中心に反時計回り(左回り)の電流が発生する。
【0060】
一方、スイッチ6c,スイッチ6fをオン状態にし、スイッチ6a,スイッチ6b,スイッチ6d,スイッチ6eをオフ状態にすると、端子7b→端子70b→端子70c→端子7c→グラウンドに流れる。すなわち、光磁気効果素子1bを中心に時計回り(右回り)の電流が発生する。
【0061】
また,逆にスイッチ6d,スイッチ6eをオン状態にし、スイッチ6a,スイッチ6b,スイッチ6c,スイッチ6fをオフ状態にすると、端子7c→端子70c→端子70b→端子7b→グラウンドに流れる。すなわち、光磁気効果素子1bを中心に反時計回り(左回り)の電流が発生する。
【0062】
上記と同様にして、スイッチの接続パターンを変化させていけば、下部電極配線2において所望の方向に電流を流すことができる。さらには、図4において省略した上部電極配線3についても同様の駆動回路9を用いて駆動することによって、所望の方向に電流を流すことができる。
【0063】
上記ように下部電極配線2と上部電極配線3に流れる電流の方向を組み合わせることによって、下部電極2と上部電極配線3に囲まれる領域に所望の磁化の方向を有する磁界を発生させることができる。このことについて図2を用いてさらに説明を加える。
【0064】
図2の下部電極配線2において地点ア→地点イ、および地点ウ→地点エの方向に電流が流れるように設定し、上部電極配線3において地点イ→地点ウ、および地点エ→アの方向に電流が流れるように設定したとすると、下部電極配線2と上電極配線3により囲まれる領域、すなわち地点ア,地点イ,地点ウ,地点エを頂点とする四角形を中心として、見かけ上、時計回りの方向(右回り)に電流が流れることとなる。このとき、かかる下部電極配線2と上電極配線3により囲まれる領域には、図2の表面から裏面に向かう方向の磁化を有する磁界が発生する。よってかかる領域に対応して配設された光磁気効果素子1aには、上記と同じ方向の磁化を設定することができる。
【0065】
ここで、図2の表面から裏面に向かう方向をオフ方向といい、オフ方向の磁化が設定された光磁気効果素子(画素)をオフ画素という。また逆に図2の裏面から表面に向かう方向をオン方向といい、オン方向の磁化が設定された光磁気効果素子(画素)をオン画素という。したがって、上記の状態では、光磁気効果素子1aにはオフ方向の磁化が設定され、オフ画素となっている。
【0066】
また、逆に光磁気効果素子1aが配設された領域に反時計回り(左回り)の方向に電流が流れることによって光磁気効果素子1aにオン方向の磁化を設定することができ、オン画素とすることができる。このようにして、各光磁気効果素子1を各々に対して所望の磁化の方向を設定していくことで、空間光変調器として機能することとなる。
【0067】
ただし隣接する光磁気効果素子1(画素)同士を同時に駆動することはできない。隣接する光磁気効果素子として光磁気効果素子1aと1bを例に挙げて考えると、光磁気効果素子1aをオフ画素にする場合、地点ア→イ、地点イ→ウ、地点ウ→エ、地点エ→アの方向に電流を流す必要がある。一方、光磁気効果素子1bをオン画素とする場合には、地点エ→カ、地点カ→オ、地点オ→ウ、地点ウ→エの方向に電流を流す必要がある。しかしながら、一本の配線の中で異なる向きに同時に電流を流すことは物理的に不可能である。すなわち、電極配線地点エ→アの方向の電流の流れと、地点エ→カの方向の電流の流れを同一の上部電極配線3上において同時に実現することは不可能である。よって、隣接する光磁気効果素子1aと1bを同時に駆動することができないということがわかる。
【0068】
この他のパターンで隣接する光磁気効果素子1aと1bを同時に駆動しようとする場合であっても、必ず上記と同様に電流の流れに物理的矛盾が生じてしまう。よって、実際に本実施の形態にかかる空間光変調器を駆動する場合においては、個々の光磁気効果素子1を時間差で駆動する時分割走査方式で駆動することが必要となる。
【0069】
次に図5を用いて、本実施の形態にかかる透過型空間光変調器50における1画素(光磁気効果素子1)領域の構造を説明する。光磁気効果素子1は、磁気光学効果を有する光磁気材料13と、その上部にカラー表示を行なうために用いられるカラーフィルタ12と変調された光のフィルターとなる偏光子11が形成されて、さらにその上部に光磁気効果素子1(画素)を破損等を防止する保護膜10が形成している。また図5によれば、本実施の形態にかかる空間光変調器には、基板5の下層に、偏光子11およびバックライト14が形成されている。なお、本発明にかかる空間光変調器には、上記構成に加え、公知の構成が含まれていてもよい。
【0070】
なお、図1〜図3に示したように、本実施の形態にかかる透過型空間光変調器50は、光磁気効果素子1が基板5上にマトリックス状に配設されており、この光磁気効果素子1に対応するように設けられ、各光磁気効果素子1(画素)における磁化の方向を独立に設定するための磁界を発生する磁界発生手段として、互いに電流方向が直角に交わるように(直交するように)配置された、下部電極配線2および上部電極配線3とを備えて構成されているが、特に直交するように構成されている必要はなく、光磁気効果素子1を囲むように配置され、光磁気効果素子1に磁化の向きを設定させることができる位置関係であればよい。ただし光磁気効果素子1をより高密度化するためには、下部電極配線2および上部電極配線3に流れる電流の向きが直交するような位置関係で配設されていることが好ましいといえる。
【0071】
また図2において、下部電極配線2と上部電極配線3で囲まれる領域は25μm角である。このとき、当該領域の中心部の磁界強度は、それぞれの電極配線(下部電極配線2,上部電極配線3)に200mAを通電した時に、約340Oeであった。この磁界強度は、磁化設定素子中に含まれる光磁気材料の磁化の方向を反転させることができるものである。
【0072】
なお、本実施の形態にかかる空間光変調器50は、図3に示すとおり、光磁気効果素子1を挟むように上部電極配線2および下部電極配線3を配置しているが、2つの電極が短絡しないように各電極配線間に絶縁層を設ければ、光磁気効果素子1の上層あるいは下層に上部電極配線2および下部電極配線3を併設しても同様の効果が得られる。
【0073】
すなわち空間光変調器の観者側から見て、上部電極配線、下部電極配線、光磁気効果素子の順序で構成されている態様であっても、光磁気効果素子、上部電極配線、下部電極配線の順序で構成されている態様であっても、本発明の効果は得られる。
【0074】
〔実施の形態2〕
図6に、本実施の形態にかかる反射型空間光変調器60における1画素(光磁気効果素子1)領域の構造を示す説明図である。光磁気効果素子1の構造については、実施の形態1において記載した構成と同様である。ただし本実施の形態にかかる空間光変調器は、反射型であるため、実施の形態1に記載した透過型光磁気効果素子50の構成に対して、下部電極配線2の下層に設けられたバックライト14、偏光子11が省かれている。上記省略の代わりに、入射光を反射するための反射膜15が形成されている。上記構成の違いにより、本実施の形態にかかる反射型空間光変調器60は、画像表示を行なう際にバックライト駆動のための電力が不要となり、実施の形態1に記載した透過型空間光変調器50に対して消費電力を約1/4に低下することができる。
【0075】
なお、本実施の形態にかかる空間光変調器60は、実施の形態1の構成の内、上部電極配線3に対向して配設される電極配線として、図7に示すような従来型の下部ループ状電極配線31を採用している。かかる下部ループ状電極配線31の各端子を、各々独立にプラスまたはマイナスに短絡(接続)させることにより、全ての電極に同時に通電することが可能となる。
【0076】
一般に反射型空間光変調器は、空間光変調器の観者側とは反対側の面、換言すれば空間光変調器の光に入射面とは反対の面に、上記のごとく反射膜を備えている。空間光変調器に入射した光は、当該反射膜で反射され観者の目に届くことになるため、反射膜の下層、すなわち観者に対して遠い位置に配設される電極配線等の部材は、必ずしも光の透過性を有する必要が無い。したがって、光磁気効果素子(画素)を高密度化していく過程において、光の透過性を有しない金属電極配線を利用できる。かかる金属電極配線は、電気抵抗値が低いため断面積を小さくすることが可能である。それゆえ、従来のループ状の電極配線を用いた場合であっても、光磁気効果素子(画素)の高密度化に対して比較的障害とはならない。よって、本実施の形態にかかる反射型空間光変調器60においては、下部ループ状電極配線31を採用している。
【0077】
なお、かかる下部ループ状電極配線31を実施の形態1において説示した下部電極配線2と同様の構成を持つ電極配線に変更することによって、さらに光磁気効果素子1(画素)の高密度化を実現することができるため、より好ましい構成であるといえる。
【0078】
他方、反射膜の上層、すなわち観者に対してより近い位置に配設される電極配線(透過部電極配線)は、光磁気効果素子(画素)を高密度化していく過程において、光磁気効果素子上を電極配線が覆ってしまうという事態が発生する。よって、かかる透過部電極配線は、電極配線を光の透過性を有する透明電極を利用しなければならず、既述のごとく消費電力の増加等の問題が生じることとなる。それゆえ、本実施の形態にかかる空間光変調器60においては、実施の形態1に説示した上部電極配線3を用いている。
【0079】
本実施の形態にかかる反射型空間光変調器60は、実施の形態1で述べた電極配線のスイッチ操作により、磁界を印加したい光磁気効果素子1が存在する上部電極配線3に電流を流し、図7における光磁気効果素子1の行(x軸方向)を選択した後、磁界を印加したい光磁気効果素子1が存在する下部ループ状電極配線31の任意の列(y軸方向)すべてに同時に通電することによって、一回の動作で多数の光磁気効果素子1の磁化の方向を変更することが可能となり、駆動速度を高速にすることができる。
【0080】
なお、本発明にかかる空間光変調器は、以下に示す構成であってもよい。
【0081】
(1)光磁気材料から成る複数の光磁気効果素子を有し、磁気光学効果により、入射する光に対して前記光磁気効果素子の磁化の方向に応じた偏光方向の回転を与える光磁気効果層と、前記光磁気効果層の主面の広がる方向に広がり、磁界を発生させることにより、前記複数の光磁気効果素子に対して、それぞれ独立に(個別に)磁化の方向を設定する磁界発生層とを有する空間光変調器において、前記光磁気効果素子はマトリックス状に配置され、前記磁界発生層は前記光磁気素子に対応して設けられた電極配線と駆動回路を有し、前記電極配線は、マトリックスの行か列のいずれかに沿う方向に延伸する複数の分岐配線から成る分岐配線群を2群含み、前記駆動回路は、前記各分岐配線を独立に駆動する複数の駆動手段部を有し、前記各分岐配線の一方の端が各群の共通配線に接続され、もう一方の端が独立に前記駆動手段部に接続されていることを特徴とする空間光変調器。
【0082】
(2)上記磁界発生素子は、可視光を通さない金属薄膜電極で形成されていることを特徴とする(1)に記載の空間光変調器。
【0083】
(3)上記電極配線は、前記2系統の分岐配線群が、その電流の進行方向が互いに直交するように配置されることを特徴とする(1)または(2)に記載の空間光変調器。
【0084】
(4)上記各駆動手段部は、上記各分岐配線との接続部から分岐される配線部分の両端に2つのスイッチを持ち、前記スイッチの一方は各接地部に接続でき、もう一方は統合配線に接続でき、前記スイッチの開閉により、プラスに短絡する状態とマイナスに短絡する状態といずれとも開放されている状態になることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の空間光変調器の駆動回路。
【0085】
(5)上記磁化発生層の各端子に繋がっている駆動回路の各スイッチは、プラスに短絡する状態とマイナスに短絡する状態といずれとも開放されている状態との組み合わせにより、磁化の方向を任意の磁化設定層に設定することができることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の空間光変調器の駆動方法(方式)。
【0086】
(6)上記磁化発生層に繋がっている駆動回路において、隣接する2つの出力の間では、片側がプラス、他方がマイナスに短絡し、その他すべてが開放する駆動方法(方式)をとることを特徴とする(5)に記載の空間光変調器の駆動方法。
【0087】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明にかかる空間光変調器は、強磁性体を用いているため、エネルギーフリーで長期保存が可能であり、また書き換え自由に行なうことができる。また画素をカラー化することも容易であり、手書きによる情報をデジタル入力として読み出し・送信する事も可能な空間光変調器を作製することも可能である。さらには、液晶ディスプレイに代わる画像表示装置(素子)として用いることも可能である。またその画面サイズは、大小自在に製作可能であるので、ICカードや携帯型電話器等の小型画像表示装置(素子)から、広告用大画面画像表示装置(ディスプレイ)に至るまで、各種画像表示装置(素子)として利用が可能である。それゆえ本発明は、電子・電気機器産業全般に好適に利用可能であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる透過型空間光変調器の要素部の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる透過型空間光変調器の要素部の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる透過型空間光変調器の要素部の平面図(図2)におけるA−A’断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる透過型空間光変調器の駆動回路を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1にかかる透過型空間光変調器における1画素(光磁気効果素子)領域の構造を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態2にかかる反射型空間光変調器における1画素(光磁気効果素子)領域の構造を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態2にかかる反射型空間光変調器の要素部の平面図である。
【図8】従来公知の空間光変調器の要素部の概略図である。
【図9】従来公知の空間光変調器の駆動回路を示す図である。
【図10】従来公知の空間光変調器の要素部の断面図である。
【図11】従来公知の空間光変調器の要素部の断面図である。
【符号の説明】
【0090】
1 光磁気効果素子
2 下部電極配線
3 上部電極配線
4 共通配線
5 基板
6a〜6f スイッチ
7a〜7c 端子
8 絶縁層
9 駆動回路
10 保護膜
11 偏光子
12 カラーフィルタ
13 光磁気材料
14 バックライト
15 反射膜
31 下部ループ状電極配線
32 上部ループ状電極配線
50 透過型空間光変調器
60 反射型空間光変調器
70a〜c 端子
100 空間光変調器
101 空間光変調器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス状に配設された複数の光磁気効果素子と、
隣接する前記光磁気効果素子の間に配設され、前記マトリックスの行または列のいずれかに沿う方向に延伸する複数の電極配線と、
前記複数の電極配線各々に流れる電流の向きを設定する駆動回路とを備えた空間光変調器において、
前記複数の電極配線が前記各光磁気効果素子の間に1本となるように配設されており、
同一方向に延伸する前記複数の電極配線の一端が各々共通配線に接続され、かつ当該複数の電極配線の他端が前記駆動回路に接続されていることを特徴とする空間光変調器。
【請求項2】
上記空間光変調器が、透過型であることを特徴とする請求項1に記載の空間光変調器。
【請求項3】
マトリックス状に配設された複数の光磁気効果素子と、
隣接する前記光磁気効果素子の間に配設され、前記マトリックスの行または列のいずれかに沿う方向に延伸する複数の電極配線と、
前記複数の電極配線各々に流れる電流の向きを設定する駆動回路と、
反射膜とを備える反射型空間光変調器において、
前記複数の電極配線の内、空間光変調器の観者からの距離が、前記反射膜より近い位置に配設された電極配線を透過部電極配線とすると、
前記透過部電極配線が前記各光磁気効果素子の間に1本となるように配設されており、 かつ同一方向に延伸する前記透過部電極配線の一端が各々共通配線に接続され、
かつ前記透過部電極配線の他端が前記駆動回路に接続されていることを特徴とする空間光変調器。
【請求項4】
上記電極配線に流れる電流の向きが相互に直交するように前記複数の電極配線が配設されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の空間光変調器。
【請求項5】
上記駆動回路が、上記電極配線の他端を、電源のプラス電位に接続するか、グラウンド電位に接続するか、または開放状態するかを切り替える手段を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の空間光変調器。
【請求項6】
マトリックス状に配設された複数の光磁気効果素子の間に電極配線が1本となるように配設されており、
同一方向に延伸する前記複数の電極配線の一端が各々共通配線に接続された空間光変調器を駆動する駆動回路であって、
前記共通配線に接続されている電極配線の一端とは反対の端部に接続され、
前記端部を電源のプラス電位に接続するか、グラウンド電位に接続するか、または開放状態するかを切り替える手段を有することを特徴とする駆動回路。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の空間光変調器を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
マトリックス状に配設された複数の光磁気効果素子の間に電極配線が1本となるように配設されており、
同一方向に延伸する前記複数の電極配線の一端が各々共通配線に接続され、
当該複数の電極配線の他端が前記駆動回路に接続された空間光変調器の駆動方法であって、
前記駆動回路により、前記電極配線の他端を、電源のプラス電位に接続するか、グラウンド電位に接続するか、または開放状態するかの切り替えを行なうことによって、前記複数の電極配線各々に流れる電流の向きを適宜組み合わせ、
対応する光磁気効果素子に対して任意の磁化の方向を設定することを特徴とする空間光変調器の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−38944(P2006−38944A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214664(P2004−214664)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】