説明

空間安定装置のディスク回転固定装置

【課題】本発明は、ジンバルの回転軸に設けられた回転部材に取付けたディスクをブレーキ装置で固定することを目的とする。
【解決手段】本発明による空間安定装置のディスク回転固定装置は、本体(21)に設けられたモータ(22a)又はソレノイド(22b)により、ジャッキスクリュウ(23)又は直動軸(23A)を駆動し、各摩擦板(24,25)を用いて回転部材(11)のディスク(12)を固定又は固定解除とする構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間安定装置のディスク回転固定装置に関し、特に、ジンバルの回転軸に設けられた回転部材に取付けたディスクをブレーキ装置で固定するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のブレーキ構造としては、例えば、特許文献1に開示されている空間安定装置等の回転軸のブレーキ構造としては、特許文献1には開示されていないが、実際には、例えば、図5から図7で示される構成が採用されていた。
【0003】
すなわち、図3から図5の第1従来構成において、符号1で示されるものは空間安定装置の枠体であり、この枠体1に設けられた支持体2には、軸支部3を介して一方向の回転軸4が回転自在に設けられている。
前記回転軸4には、図示しないジンバルの枠体が設けられると共に、この回転軸4は、図示しない有限角トルカにより所定角度回転できるように構成されている。
【0004】
前記軸支部3の回転軸4には、回転アーム5が一体に突出して設けられ、この回転アーム5の先端には凹部6が形成されている。
前記枠体1の下部には、出没ピン7を有する係止体8が設けられ、回転軸4と共に回転アーム5が回転し、図4の状態では回転フリー状態であるが、図5の状態では、凹部6にピン7が係合することにより、回転保持、すなわち、ブレーキ状態となる。
【0005】
【特許文献1】特開10−213438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のブレーキ構造は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述の従来構成の場合、係止体の出没ピンで回転軸の回転アームを係止する構成であるため、ブレーキのかかる位置(角度)まで回転する必要があり、ブレーキのかけられる位置が限定されることになっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による空間安定装置のディスク回転固定装置は、空間安定装置のジンバルの回転軸に設けられた回転部材と、前記回転部材に設けられたディスクと、前記回転部材に隣接して設けられたブレーキ装置と、前記ブレーキ装置を構成する本体と、前記本体に設けられた駆動源と、前記本体に設けられ前記駆動源により作動すると共に前記ディスクと当接するための第1、第2摩擦板と、を備え、前記駆動源により前記第1、第2摩擦板のうち、何れか一方又は両方を作動させて前記ディスクと当接することにより、前記ディスクの回転を固定させる構成であり、また、前記駆動源は、モータよりなり、前記モータに設けられたジャッキスクリュウにより前記第1摩擦板が作動する構成であり、また、前記駆動源は、ソレノイドよりなり、前記ソレノイドに設けられた直動軸により前記第1摩擦板が作動する構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明による空間安定装置のディスク回転固定装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、空間安定装置のジンバルの回転軸に設けられた回転部材と、前記回転部材に設けられたディスクと、前記回転部材に隣接して設けられたブレーキ装置と、前記ブレーキ装置を構成する本体と、前記本体に設けられた駆動源と、前記本体に設けられ前記駆動源により作動すると共に前記ディスクと当接するための第1、第2摩擦板と、を備え、前記駆動源により前記第1、第2摩擦板のうち、何れか一方又は両方を作動させて前記ディスクと当接することにより、前記ディスクの回転を固定させることにより、簡単で、かつ、軸方向に付加する部品を設けることなく、ディスクの固定をすることができる。
また、前記駆動源は、モータよりなり、前記モータに設けられたジャッキスクリュウにより前記第1摩擦板が作動することにより、電源オフ後も、安定してディスクの固定ができる。
また、前記駆動源は、ソレノイドよりなり、前記ソレノイドに設けられた直動軸により前記第1摩擦板が作動することにより、信頼性の高いモータによるディスクの回転固定ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、ジンバルの回転軸に設けられた回転部材に取付けたディスクをブレーキ装置で固定するようにした空間安定装置のディスク回転固定装置を提供することを目的とする。
【実施例】
【0010】
以下、図面と共に本発明による空間安定装置のディスク回転固定装置の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には同一符号を用いて説明する。
図1において符号10で示されるものは空間安定装置であり、この空間安定装置10のジンバル(図示せず)の回転軸4に設けられた回転部材11には、ディスク12が一体回転するように構成されている。
【0011】
前記回転部材11に隣接して前記空間安定装置10に設けられたブレーキ装置20は、全体形状がほぼコ字型をなす本体21と、この本体21に設けられたモータ22aからなる駆動源22と、前記駆動源22により回転し前記本体21内に位置するジャッキスクリュウ23と、前記本体21の第1部材21a側に支持され前記ジャッキスクリュウ23のねじ23aと係合する第1摩擦板24と、前記本体21の第2部材21bに設けられた第2摩擦板25と、から構成されている。
【0012】
前述の構成において、前記空間安定装置10の回転部材11及びディスク12が回転している状態で、前記駆動源22であるモータ22aを駆動させると、前記ねじ23aが回転することによって前記第1摩擦板24がディスク12側へ移動してディスク12が各摩擦板24、25で当接されるため、ディスク12の回転は固定され、回転部材11の回転は固定される。また、ディスク12の固定を解除するためには、前述と逆にモータ22aを回転させればよい。
【0013】
また、前述の構成には示されていないが、例えば。前記ジャッキスクリュウ23を互いに異なるねじ方向とした二方向ねじとし、一方のねじに第1摩擦板24を螺合させ、他方のねじに第2摩擦板25を螺合させ、この二方向ねじを正逆回転させることによって各摩擦板24、25をディスク12に対して当接又は離反させるように構成することもできる。
【0014】
また、図2で示される構成は、図1の他の形態を示すもので、図1と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略するものとし、図1と異なる部分についてのみ説明する。
すなわち、前記駆動源22がソレノイド22bで構成され、このソレノイド22bには軸23Aが矢印Aの方向に出没自在となるように設けられている。
【0015】
前記軸23Aの前記第1部材21a側には、第1摩擦板24が一体状に設けられ、前記第2部材21bの内側には第2摩擦板25が設けられている。
従って、前述の構成において、前記ソレノイド22bを駆動させて直動軸23Aを引くと、第1摩擦板24がディスク12側に移動してディスク12に当接することにより、ディスク12が各摩擦板24、25で当接され、その回転は固定される。
【0016】
また、前記回転部材11を回転させる場合は、前記ソレノイド22bを駆動して直動軸23Aを元のように突き出すことにより、前記第1摩擦板24はディスク12から離反することにより、ディスク12の固定が解除されて回転部材11の回転駆動を行うことができる。
【0017】
また、前述の場合は、第1摩擦板24のみを移動させる構成について述べたが、例えば、前記本体21の前記ソレノイド22bの隣に追加のソレノイド(図示せず)を設け、この追加のソレノイドの軸に前記第2摩擦板25を接続して可動とし、第1、第2摩擦板24、25を可動としてディスク12の固定及び固定解除を行うように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による空間安定装置のディスク回転固定装置を示す構成図である。
【図2】図1の他の形態を示す構成図である。
【図3】従来構成を示す正面図である。
【図4】図3の回転フリー状態を示す要部の拡大図である。
【図5】図3の回転保持(ブレーキ)状態を示す要部の拡大図である。
【符号の説明】
【0019】
4 回転軸
10 空間安定装置
11 回転部材
12 ディスク
20 ブレーキ装置
21 本体
21a 第1部材
21b 第2部材
22 駆動源
22a モータ
22b ソレノイド
23 ジャッキスクリュウ
23a ねじ
23A 直動軸
24 第1摩擦板
25 第2摩擦板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間安定装置(10)のジンバルの回転軸(4)に設けられた回転部材(11)と、前記回転部材(11)に設けられたディスク(12)と、前記回転部材(11)に隣接して設けられたブレーキ装置(20)と、前記ブレーキ装置(20)を構成する本体(21)と、前記本体(21)に設けられた駆動源(22)と、前記本体(21)に設けられ前記駆動源(22)により作動すると共に前記ディスク(12)と当接するための第1、第2摩擦板(24,25)と、を備え、
前記駆動源(22)により前記第1、第2摩擦板(24,25)のうち、何れか一方又は両方を作動させて前記ディスク(12)と当接することにより、前記ディスク(12)の回転を固定させることを特徴とする空間安定装置のディスク回転固定装置。
【請求項2】
前記駆動源(22)は、モータ(22a)よりなり、前記モータ(22a)に設けられたジャッキスクリュウ(23)により前記第1摩擦板(24)が作動することを特徴とする請求項1記載の空間安定装置のディスク回転固定装置。
【請求項3】
前記駆動源(22)は、ソレノイド(22b)よりなり、前記ソレノイド(22b)に設けられた直動軸(23A)により前記第1摩擦板(24)が作動することを特徴とする請求項1記載の空間安定装置のディスク回転固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−25228(P2010−25228A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187253(P2008−187253)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】