説明

穿孔装置、穿孔用金型及び穿孔用金型の交換方法

【解決手段】本発明の穿孔装置100は、ダイ用金型120と、パンチを有するパンチ用金型130と、パンチを昇降させるパンチ昇降機構60とを備えた穿孔装置であって、パンチ140は、パンチ本体142とパンチ頭部144とを有し、パンチ昇降機構60は、パンチ頭部を把持可能なパンチ頭部把持部82,84を有し、穿孔装置は、パンチ頭部把持部にパンチ頭部を把持させたり、パンチ頭部把持部によるパンチ頭部の把持状態を解除したりする把持状態制御機構をさらに備えている。
【効果】本発明の穿孔装置100によれば、パンチ用金型におけるパンチが消耗したときには、パンチのみを交換することが可能になり、従来の穿孔装置のように穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要がなくなる。その結果、本発明の穿孔装置は、穿孔コストを低減するのが容易な穿孔装置となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿孔装置、パンチの交換方法、穿孔用金型、穿孔用金型の交換方法、ダイプレート、ダイプレートの交換方法、穿孔用金型の取り付け方法、段取り用ダイプレート及び段取り用位置決めピンに関する。
【背景技術】
【0002】
図14は、従来の穿孔用金型910を説明するために示す図である。図14(a)は穿孔用金型910を模式的に示す斜視図であり、図14(b)は穿孔用金型910におけるダイ用金型920を上から見た図であり、図14(c)は図14(b)のC−C断面図である。
従来の穿孔用金型910は、図14に示すように、ダイ用金型920とパンチ用金型930とを有している。そして、図14(b)に示すように、ダイ用金型920には4つの位置決め孔922が設けられ、パンチ用金型930には4つの位置決め孔932が設けられ、図14(a)及び図14(c)に示すように、これらの4つの位置決め孔922のうち2つの位置決め孔及び4つの位置決め孔932のうち2つの位置決め孔の内部にはそれぞれ位置決めピン940が配置されている。また、図14(c)に示すように、穿孔装置900(図示せず。)におけるダイ用金型取付け部902には、2つの位置決めピン940を嵌合可能な位置決め孔903が設けられている。
【0003】
このため、従来の穿孔用金型910によれば、穿孔用金型910の交換を行う際には、まず、(1)古い穿孔用金型910を穿孔装置900から取り外した後、(2)2つの位置決めピン940によって一体化された新しい穿孔用金型910を穿孔装置900のダイ用金型取付け部902に配置する。その後、(3)位置決めピン940を下降させてダイ用金型用920の位置決め孔922及び穿孔装置900におけるダイ用金型取り付け部902に設けられた位置決め孔903の両方に嵌合させた状態でダイ用金型920を穿孔装置900のダイ用金型取付け部902に位置決め固定し、さらにその後、(4)位置決めピン940を上昇させてダイ用金型920の位置決め孔922及びパンチ用金型930の位置決め孔932の両方に嵌合させた状態でパンチ用金型930を穿孔装置900のパンチ用金型取付け部(図示せず。)に位置決め固定する。最後に、(5)位置決めピン940を再び下降させた後、ダイ用金型920とパンチ用金型930とを分離する。従来の穿孔用金型910によれば、上記(1)〜(5)の操作をすることによって、新しい穿孔用金型910を穿孔装置900に精度よく取り付けることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第WO2004/110665号パンフレット(図10〜図13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、穿孔用金型の交換を行うのは、通常、パンチ用金型におけるパンチが消耗したりダイ用金型におけるダイプレートが消耗したりしたときである。しかしながら、従来の穿孔用金型910においては、このようにパンチ用金型におけるパンチが消耗したり、ダイ用金型におけるダイプレートが消耗したりした場合であっても、穿孔用金型910全体を交換することとしているため、穿孔用金型910全体のスペアを準備しておく必要があり、結果として穿孔コストを低減するのが容易ではないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、パンチ用金型におけるパンチが消耗したりダイ用金型におけるダイプレートが消耗したりしたときに穿孔用金型全体を交換しなくても済むようにして、穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要をなくして、穿孔コストを低減するのが容易な穿孔装置、パンチの交換方法、穿孔用金型、穿孔用金型の交換方法、ダイプレート、ダイプレートの交換方法、穿孔用金型の取り付け方法、段取り用ダイプレート及び段取り用位置決めピンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の穿孔装置は、ダイ用金型と、パンチを有するパンチ用金型と、前記パンチを昇降させるパンチ昇降機構とを備えた穿孔装置であって、前記パンチは、パンチ本体と、パンチ頭部とを有し、前記パンチ昇降機構は、前記パンチ頭部を把持可能なパンチ頭部把持部を有し、前記穿孔装置は、前記パンチ頭部把持部に前記パンチ頭部を把持させたり、前記パンチ頭部把持部による前記パンチ頭部の把持状態を解除したりする把持状態制御機構をさらに備えたことを特徴とする。
【0008】
このため、本発明の穿孔装置によれば、パンチ用金型におけるパンチが消耗したときには、まず、把持状態制御機構を用いてパンチ頭部把持部によるパンチ頭部の把持状態を解除することにより使い終わったパンチをパンチ用金型から取り外し、その後、新しいパンチをパンチ用金型に挿入した後、把持状態制御機構を用いてパンチ頭部把持部に新しいパンチのパンチ頭部を把持させることが可能になる。これにより、パンチ用金型におけるパンチが消耗したときには、パンチのみを交換することが可能になり、従来の穿孔用金型の場合のように穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要がなくなる。その結果、本発明の穿孔装置は、穿孔コストを低減するのが容易な穿孔装置となる。
【0009】
(2)上記(1)に記載の穿孔装置においては、前記パンチ昇降機構は、前記パンチの昇降方向に直交する方向にスライド可能であり、前記把持状態制御機構は、前記パンチ昇降機構を前記パンチの昇降方向に直交する方向にスライドさせることにより、前記パンチ頭部把持部に前記パンチ頭部を把持させたり、前記パンチ頭部把持部による前記パンチ頭部の把持状態を解除したりすることが好ましい。
【0010】
このように構成することにより、把持状態制御機構を用いてパンチ昇降機構をパンチの昇降方向に直交する方向にスライドさせることにより、パンチ頭部把持部にパンチ頭部を把持させたり、パンチ頭部把持部によるパンチ頭部の把持状態を解除したりすることで、容易にパンチの交換を行うことができるようになる。
【0011】
(3)本発明のパンチの交換方法は、上記(1)に記載の穿孔装置におけるパンチを交換するパンチの交換方法であって、前記パンチ頭部把持部による前記パンチ頭部の把持状態を解除するステップと、前記パンチを前記パンチ用金型から取り外すステップと、新しいパンチを前記パンチ用金型に取り付けるステップと、前記パンチ頭部把持部に前記パンチ頭部を把持させるステップとを含むことを特徴とする。
【0012】
このため、本発明のパンチの交換方法によれば、パンチ用金型におけるパンチが消耗したときには、穿孔用金型から古いパンチを取り外すとともに穿孔用金型に新しいパンチを挿入することで、パンチのみを交換することが可能になる。
このため、本発明のパンチの交換方法によれば、従来の穿孔用金型の場合のように穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要がなくなり、穿孔コストを低減するのが容易なパンチの交換方法となる。
【0013】
(4)本発明の穿孔用金型は、穿孔装置に取り付けるための取り付け部を有するダイホルダ及び前記ダイホルダに取り付けられダイ孔が設けられたダイプレートを有するダイ用金型と、穿孔装置に取り付けるための取り付け部を有するパンチホルダ、前記パンチホルダに取り付けられた第1パンチプレート及び前記第1パンチプレートに取り付けられパンチガイドが設けられた第2パンチプレートを有するパンチ用金型とを備え、シート状の被加工物に穿孔を実施するための穿孔用金型であって、前記ダイホルダ、前記ダイプレート、前記第2パンチプレート及び前記第1パンチプレートのそれぞれには、少なくとも2つの位置決め孔が設けられ、前記ダイホルダ、前記ダイプレート、前記第2パンチプレート及び前記第1パンチプレートにおける前記少なくとも2つの位置決め孔には、前記ダイプレートの厚さと前記第2パンチプレートの厚さとの算術和を超えない長さの位置決めピンがそれぞれ挿入され、前記穿孔用金型は、前記位置決めピンを昇降させる位置決めピン昇降手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0014】
このため、本発明の穿孔用金型によれば、ダイ用金型におけるダイプレートが消耗したときには、穿孔用金型からダイプレート及び第2パンチプレートのみを取り外すとともに、新しいダイプレート及び第2パンチプレートを穿孔用金型に取付けることが可能になる。その結果、本発明の穿孔用金型によれば、ダイ用金型におけるダイプレートが消耗したときには、ダイプレート及び第2パンチプレートのみを交換することが可能になる。
このため、本発明の穿孔用金型によれば、従来の穿孔用金型のように穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要がなくなり、穿孔コストを低減するのが容易な穿孔用金型となる。
【0015】
なお、本発明の穿孔用金型においては、位置決めピンがダイプレートの厚さと第2パンチプレートの厚さとの算術和を超えない長さに設定されているため、ダイプレートにおける位置決め孔及び第2パンチプレートにおける位置決め孔に位置決めピンを収納することが可能になり、穿孔用金型からダイプレート及び第2パンチプレートを取り外す際に、位置決めピンの存在が障害になることはない。
【0016】
また、本発明の穿孔用金型によれば、位置決めピンを昇降させる位置決めピン昇降手段をさらに備えているため、新しいダイプレート及び第2パンチプレートを穿孔用金型に取付ける際に、穿孔用金型と新しいダイプレート及び第2パンチプレートとの位置決め操作を行うことが可能になり、また、穿孔用金型からダイプレート及び第2パンチプレートを取り外す際に、ダイプレートにおける位置決め孔及び第2パンチプレートにおける位置決め孔に位置決めピンを収納することが可能になる。
【0017】
(5)上記(4)に記載の穿孔用金型においては、前記ダイホルダにおける前記少なくとも2つの位置決め孔のそれぞれには、操作子によって昇降可能な昇降ピンが配置され、前記第1パンチプレートにおける前記少なくとも2つの位置決め孔のそれぞれは、前記位置決めピンとは別の第2位置決めピンを前記ダイホルダ側から挿入可能な構造を有し、前記位置決めピン昇降手段は、前記昇降ピン及び前記第2位置決めピンであり、前記位置決めピンは、前記昇降ピンの上昇動作によって上昇可能で、かつ、前記第2位置決めピンの下降動作によって下降可能であることが好ましい。
【0018】
このように構成することにより、操作子の操作による昇降ピンの上昇動作及び第2位置決めピンの下降動作によって位置決めピンの昇降状態を制御することが可能になる。
【0019】
なお、本発明の穿孔用金型においては、第2位置決めピンを挿抜可能なものとすることで、ダイプレート及び第2パンチプレートを穿孔用金型から取り外す際に第2位置決めピンの存在が障害になることもない。
【0020】
(6)上記(5)に記載の穿孔用金型においては、前記第2パンチプレートにおける前記少なくとも2つの位置決め孔を埋めるための孔埋ピンをさらに有し、前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートを位置決め固定した後、前記第2位置決めピンに代えて、前記第2パンチプレートにおける前記少なくとも2つの位置決め孔に前記孔埋ピンを前記ダイホルダ側から挿入することにより、前記孔埋ピンの下端を前記第2パンチプレートの下面よりも0μm〜100μmだけ上方に配置することが可能な構造を有することが好ましい。
【0021】
このように構成することにより、ダイプレート及び第2パンチプレートを交換した後、第2パンチプレートにおける位置決め孔に挿入されている第2位置決めピンを抜き、その代わりに孔埋ピンを挿入することにより、第2パンチプレートに設けられた位置決め孔の存在によってシート状の被加工物が損傷することが抑制される。
【0022】
(7)上記(4)に記載の穿孔用金型においては、前記ダイホルダにおける前記少なくとも2つの位置決め孔のそれぞれには、操作子によって昇降可能な昇降ピンが配置され、前記位置決めピン昇降手段は、前記昇降ピンであり、前記昇降ピンの上端部及び前記位置決めピンの下端部には、前記昇降ピンと前記位置決めピンとを係合可能な係合部が設けられ、前記ダイプレートには、前記昇降ピンを通過させるためのスライド孔が設けられており、前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートを前記穿孔用金型から取り外すときに前記昇降ピンと前記位置決めピンとの係合が解除され、前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートを前記穿孔用金型に取り付けるときに、前記昇降ピンと前記位置決めピンとが係合されるような構造を有することが好ましい。
【0023】
このように構成することにより、操作子の操作による昇降ピンの昇降動作によって位置決めピンの昇降状態を制御することが可能になる。
【0024】
なお、本発明の穿孔用金型においては、ダイプレート及び第2パンチプレートを穿孔装置から取り外す際には、ダイプレート及び第2パンチプレートをダイプレートのスライド孔に沿った方向にスライドさせることにより、位置決めピンと昇降ピンとの係合を解除してダイプレート及び第2パンチプレートを穿孔用金型から取り外すことができる。
また、新しいダイプレート及び第2パンチプレートを穿孔装置に取り付ける際には、位置決めピンを収納した状態の新しいダイプレート及び第2パンチプレートをダイプレートのスライド孔に沿った方向にスライドさせることにより、位置決めピンと昇降ピンとを係合させるとともに、ダイプレート及び第2パンチプレートをダイホルダと第1パンチプレートとの間に配置することができる。
【0025】
(8)上記(4)〜(7)のいずれかに記載の穿孔用金型においては、前記穿孔用金型は、前記昇降ピンにおける前記操作子の操作により、前記位置決めピンの上端を前記ダイプレートの上面よりも0μm〜100μmだけ下方に配置することが可能な構造を有することが好ましい。
【0026】
このように構成することにより、ダイプレートに設けられた位置決め孔の存在によってシート状の被加工物が損傷することが抑制される。
【0027】
(9)本発明の穿孔用金型の交換方法は、上記(5)に記載の穿孔用金型におけるダイプレート及び第2パンチプレートを同時に交換する穿孔用金型の交換方法であって、前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートにおける前記位置決め孔に前記位置決めピンを収納した状態で、前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートを前記穿孔用金型から取り外すステップと、位置決め孔に位置決めピンを収納した状態の新しいダイプレート及び第2パンチプレートを前記ダイホルダと前記第1パンチプレートとの間に配置するステップと、前記第2位置決めピンを前記第1パンチプレートと前記第2パンチプレートとに嵌合させ、その状態で、第2パンチプレートを前記第1パンチプレートに位置決め固定するステップと、前記第2位置決めピンを下降させて前記位置決めピンを前記ダイプレートと前記ダイホルダとに嵌合させ、その状態で、前記ダイプレートと前記第2パンチプレートとを離隔させるとともに、前記ダイプレートと前記第2パンチプレートとの位置決めがされている状態で前記ダイプレートを前記ダイホルダに固定するステップとを含むことを特徴とする。
【0028】
このため、本発明の穿孔用金型の交換方法によれば、ダイ用金型におけるダイプレートが消耗したときには、穿孔用金型から古いダイプレート及び第2パンチプレートを取り外すとともに穿孔用金型に新しいダイプレート及び第2パンチプレートを取り付けることで、ダイプレート及び第2パンチプレートのみを交換することが可能になる。
このため、本発明の穿孔用金型の交換方法によれば、従来の穿孔用金型の場合のように穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要がなくなり、穿孔コストを低減するのが容易な穿孔用金型の交換方法となる。
【0029】
(10)本発明の穿孔用金型の交換方法は、上記(7)に記載の穿孔用金型におけるダイプレート及び第2パンチプレートを同時に交換する穿孔用金型の交換方法であって、前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートにおける前記位置決め孔の所定位置に前記位置決めピンを収納した状態で、前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートを前記ダイプレートの前記スライド孔に沿った方向にスライドさせ、前記位置決めピンと前記昇降ピンとの係合を解除してから前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートを前記穿孔用金型から取り外すステップと、位置決め孔の所定位置に位置決めピンを収納した状態の新しいダイプレート及び第2パンチプレートを前記ダイプレートの前記スライド孔に沿った方向にスライドさせ、前記位置決めピンと前記昇降ピンとを係合させるとともに、前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートを前記ダイホルダと前記第1パンチプレートとの間に配置するステップと、前記昇降ピンを上昇させて前記位置決めピンを前記第1パンチプレートと前記第2パンチプレートとに嵌合させ、その状態で、第2パンチプレートを前記第1パンチプレートに位置決め固定するステップと、前記昇降ピンを下降させて前記位置決めピンを前記ダイプレートと前記ダイホルダとに嵌合させ、その状態で、前記ダイプレートと前記第2パンチプレートとを離隔させるとともに、前記ダイプレートと前記第2パンチプレートとの位置決めがされている状態で前記ダイプレートを前記ダイホルダに固定するステップとを含むことを特徴とする。
【0030】
このため、本発明の穿孔用金型の交換方法によれば、ダイ用金型におけるダイプレートが消耗したときには、穿孔用金型から古いダイプレート及び第2パンチプレートを取り外すとともに穿孔用金型に新しいダイプレート及び第2パンチプレートを取り付けることで、ダイプレート及び第2パンチプレートのみを交換することが可能になる。
このため、本発明の穿孔用金型の交換方法によれば、従来の穿孔用金型の場合のように穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要がなくなり、穿孔コストを低減するのが容易な穿孔用金型の交換方法となる。
【0031】
(11)本発明の穿孔用金型は、穿孔装置に取り付けるための取り付け部を有するダイホルダ及び前記ダイホルダに取り付けられダイ孔が設けられたダイプレートを有するダイ用金型と、穿孔装置に取り付けるための取り付け部を有するパンチホルダ及び前記パンチホルダに取り付けられ前記ダイ孔の内径よりも太い内径を有するパンチガイドが設けられたパンチプレートを有するパンチ用金型とを備え、シート状の被加工物に穿孔を実施するための穿孔用金型であって、前記ダイホルダ及び前記ダイプレートのそれぞれには、少なくとも2つの位置決め孔が設けられ、前記ダイホルダにおける前記少なくとも2つの位置決め孔のそれぞれには、操作子によって昇降可能な位置決めピンが挿入されており、前記ダイプレートは、前記ダイ孔と前記少なくとも2つの位置決め孔とが同じ工具で同時に形成されたダイプレート又は前記ダイ孔が前記ダイプレートにおける前記少なくとも2つの位置決め孔を基準にして形成されたダイプレートであることを特徴とする。
【0032】
このため、本発明の穿孔用金型によれば、ダイ用金型におけるダイプレートが消耗したときには、穿孔用金型からダイプレートのみを取り外すとともに、新しいダイプレートを穿孔用金型に取付けることが可能になる。その結果、本発明の穿孔用金型によれば、ダイ用金型におけるダイプレートが消耗したときには、ダイプレートのみを交換することが可能になる。
このため、本発明の穿孔用金型によれば、従来の穿孔用金型のように穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要がなくなり、穿孔コストを低減するのが容易な穿孔用金型となる。
【0033】
なお、本発明の穿孔用金型においては、ダイプレートとして、ダイ孔と少なくとも2つの位置決め孔とが同じ工具で同時に形成されたダイプレート又はダイ孔がダイプレートにおける少なくとも2つの位置決め孔を基準にして形成されたダイプレートを備えているため、少なくとも2つの位置決め孔に対するダイ孔の位置精度は極めて高い。その結果、古いダイプレートを新しいダイプレートに交換する際に、位置決め孔及び位置決めピンを用いてダイプレートをダイホルダに位置決め固定するだけで、ダイプレートにおけるダイ孔とパンチプレートにおけるパンチガイドとが自動的に位置決めされることになるため、高精度の位置決めを容易に行うことが可能となる。
【0034】
(12)上記(11)に記載の穿孔用金型においては、前記ダイプレートと前記パンチプレートとの間隔をシート状の被加工物の厚さよりも0.02mm〜3.0mmの範囲内の値だけ大きくした状態でパンチのみを昇降させてシート状の被加工物に穿孔を実施するように構成されていることが好ましい。
【0035】
このように構成することにより、パンチのみを昇降させてシート状の被加工物に穿孔を実施できるようになるため、穿孔加工を高速で行うことが可能になる。
この場合、ダイプレートとパンチプレートとの間隔とシート状の被加工物の厚さとの差が3.0mmを超える場合には、パンチの加工精度が低下する場合が生じる。一方、ダイプレートとパンチプレートとの間隔とシート状の被加工物の厚さとの差が0.02mm未満である場合には、シート状の被加工物に対する穿孔用金型の円滑な移動が妨げられる場合が生ずる。
【0036】
(13)上記(11)に記載の穿孔用金型においては、前記パンチガイドは、前記パンチプレートの下面から前記ダイプレート側に突出するパンチガイドであり、前記パンチ用金型は、前記パンチホルダ又は前記パンチプレートに取り付けられ前記パンチガイドに対応する開口が設けられた半押さえプレートをさらに有するパンチ用金型であり、前記ダイプレートと前記半押さえプレートとの間隔をシート状の被加工物の厚さよりも0.02mm〜0.3mmの範囲内の値だけ大きくした状態でパンチのみを昇降させてシート状の被加工物に穿孔を実施するように構成されていることも好ましい。
【0037】
このように構成することによっても、パンチのみを昇降させてシート状の被加工物に穿孔を実施できるようになるため、穿孔加工を高速で行うことが可能になる。
この場合、ダイプレートと半押さえプレートとの間隔とシート状の被加工物の厚さとの差が0.3mmを超える場合には、シート状の被加工物を押さえることによりシート状の被加工物におけるうねりなどを抑制するという半押さえプレートによる効果が低減する場合が生じる。一方、ダイプレートと半押さえプレートとの間隔とシート状の被加工物の厚さとの差が0.02mm未満である場合には、シート状の被加工物に対する穿孔用金型の円滑な移動が妨げられる場合が生ずる。
【0038】
(14)上記(11)に記載の穿孔用金型においては、前記パンチガイドは、前記パンチプレートの下面から前記ダイプレート側に突出するパンチガイドであり、前記パンチ用金型は、前記パンチホルダ又は前記パンチプレートに取り付けられ前記パンチガイドに対応する開口が設けられたストリッパプレートをさらに有するパンチ用金型であり、前記ストリッパプレートをシート状の被加工物に押し付けた状態でシート状の被加工物に穿孔を実施するように構成されていることも好ましい。
【0039】
このように構成することにより、ストリッパプレートをシート状の被加工物に押し付けた状態でシート状の被加工物に穿孔を実施できるようになるため、高精度の穿孔加工を行うことが可能になる。
【0040】
(15)本発明のダイプレートは、上記(11)〜(14)のいずれかに記載の穿孔用金型に用いるダイプレートであって、前記ダイ孔と前記少なくとも2つの位置決め孔とが同じ切削工具で同時に形成されてなることを特徴とする。
【0041】
このため、本発明のダイプレートによれば、ダイ孔と少なくとも2つの位置決め孔とが同じ切削工具で同時に形成されてなるため、少なくとも2つの位置決め孔に対するダイ孔の位置精度は極めて高い。その結果、古いダイプレートを新しいダイプレートに交換する際に、位置決め孔及び位置決めピンを用いてダイプレートをダイホルダに位置決め固定するだけで、ダイプレートにおけるダイ孔とパンチプレートにおけるパンチガイドとが自動的に位置決めされることになり、高精度の位置決めを容易に行うことが可能となる。
【0042】
(16)本発明のダイプレートは、上記(11)〜(14)のいずれかに記載の穿孔用金型に用いるダイプレートであって、前記ダイ孔が前記ダイプレートにおける前記少なくとも2つの位置決め孔を基準にして形成されてなることを特徴とする。
【0043】
このため、本発明のダイプレートによれば、ダイ孔がダイプレートにおける少なくとも2つの位置決め孔を基準にして形成されてなるため、少なくとも2つの位置決め孔に対するダイ孔の位置精度は極めて高い。その結果、古いダイプレートを新しいダイプレートに交換する際に、位置決め孔及び位置決めピンを用いてダイプレートをダイホルダに位置決め固定するだけで、ダイプレートにおけるダイ孔とパンチプレートにおけるパンチガイドとが自動的に位置決めされることになり、高精度の位置決めを容易に行うことが可能となる。
【0044】
(17)本発明のダイプレートの交換方法は、上記(11)〜(14)のいずれかに記載の穿孔用金型におけるダイプレートの交換方法であって、前記位置決めピンを下降させて前記位置決めピンを前記ダイプレートから退避させた状態で前記ダイプレートを前記ダイホルダから取り外すステップと、前記少なくとも2つの位置決めピンを用いて、新しいダイプレートを前記ダイホルダに位置決めした後、前記ダイプレートを前記ダイホルダに固定するステップとを含むことを特徴とする。
【0045】
このため、本発明のダイプレートの交換方法によれば、ダイ用金型におけるダイプレートが消耗したときには、ダイホルダから古いダイプレートを取り外すとともにダイホルダに新しいダイプレートを取り付けることで、ダイプレートのみを交換することが可能になる。
このため、本発明のダイプレートの交換方法によれば、従来の穿孔用金型の場合のように穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要がなくなり、穿孔コストを低減するのが容易なダイプレートの交換方法となる。
【0046】
(18)本発明の穿孔用金型の取り付け方法は、上記(11)〜(14)のいずれかに記載の穿孔用金型を穿孔装置に取り付ける穿孔用金型の取り付け方法であって、パンチが挿入されていない状態のパンチ用金型を穿孔装置におけるパンチ用金型取り付け部に固定するステップと、前記ダイ孔の代わりに、前記ダイ孔と同軸で、かつ、前記パンチガイドの内径と同一の内径を有する第2位置決め孔が設けられた段取り用ダイプレートを前記ダイホルダに位置決め固定した状態のダイ用金型を穿孔装置におけるダイ用金型取り付け部に仮固定するステップと、前記パンチガイドの内径に対応する外径を有する段取り用位置決めピンを前記パンチガイドに挿入した後、前記段取り用位置決めピンと前記第2位置決め孔とを用いて前記ダイ用金型を微動させながら前記ダイプレートと前記パンチプレートとの位置決めを行い、前記ダイプレートと前記パンチプレートとの位置決めがされている状態で前記ダイ用金型を前記穿孔装置におけるダイ用金型取り付け部に固定するステップと、前記段取り用ダイプレートを前記ダイホルダから取り外した後、前記位置決めピンを用いて新しいダイプレートを前記ダイホルダに位置決め固定するステップと、前記段取り用位置決めピンを前記パンチ用金型から取り外した後、新しいパンチを前記パンチ用金型に挿入するステップとを含むことを特徴とする。
【0047】
このため、本発明の穿孔用金型の取り付け方法によれば、パンチプレートにおけるパンチガイド、段取り用ダイプレートにおける第2位置決め孔及び段取り用位置決めピンを用いて、パンチプレートにおけるパンチガイドと、ダイプレートにおけるダイ孔とが正しい位置関係となった状態で穿孔用金型を穿孔装置に取り付けることが可能になる。
【0048】
(19)本発明の段取り用ダイプレートは、上記(18)に記載の穿孔用金型の取り付け方法に用いる段取り用ダイプレートであって、前記ダイプレートにおける前記ダイ孔の代わりに、前記ダイ孔と同軸で、かつ、前記パンチガイドの内径と同一の内径を有する第2位置決め孔が設けられてなることを特徴とする。
【0049】
このため、本発明の段取り用ダイプレートを用いることによって、上記(18)に記載の穿孔用金型の取り付け方法を実施することが可能になる。
【0050】
(20)本発明の段取り用位置決めピンは、上記(18)に記載の穿孔用金型の取り付け方法に用いる段取り用位置決めピンであって、前記パンチガイドの内径に対応する外径を有することを特徴とする。
【0051】
このため、本発明の段取り用位置決めピンを用いることによって、上記(18)に記載の穿孔用金型の取り付け方法を実施することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施形態1に係る穿孔装置10を説明するために示す図である。
【図2】実施形態1に係る穿孔装置10の要部を説明するために示す図である。
【図3】実施形態1に係る穿孔装置10におけるパンチの交換方法を説明するために示す図である。
【図4】実施形態2に係る穿孔用金型210を説明するために示す図である。
【図5】実施形態3に係る穿孔用金型310を説明するために示す図である。
【図6】実施形態4に係る穿孔用金型410を説明するために示す図である。
【図7】ダイプレート440を説明するために示す図である。
【図8】ダイプレート440の変形例としてのダイプレート440aを説明するために示す図である。
【図9】段取り用ダイプレート440zの平面図である。
【図10】段取り用位置決めピン412z及びパンチ412の側面図である。
【図11】実施形態4に係る穿孔用金型410においてダイプレート440を交換する手順を説明するために示すフローチャートである。
【図12】実施形態5に係る穿孔用金型510を説明するために示す図である。
【図13】実施形態6に係る穿孔用金型610を説明するために示す図である。
【図14】従来の穿孔用金型910を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の穿孔装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0054】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る穿孔装置10を説明するために示す図である。図1(a)は穿孔装置10の正面図であり、図1(b)は穿孔装置10の平面図である。図2は、実施形態1に係る穿孔装置10の要部を説明するために示す図である。図2(a)は穿孔装置10における穿孔機構50の斜視図であり、図2(b)〜図2(d)は穿孔装置10におけるパンチ昇降機構60の動作を示す図である。図3は、実施形態1に係る穿孔装置10におけるパンチの交換方法を説明するために示す図である。図3(a)〜図3(f)はパンチの交換方法の各ステップを示す図である。
【0055】
なお、以下の説明においては、互いに直交する3つの方向をそれぞれx方向(図1における紙面に平行で左右方向)、y方向(図1における紙面に平行かつx軸に直交する方向)及びz方向(図1における紙面に垂直な方向)とする。
【0056】
実施形態1に係る穿孔装置10は、図1に示すように、基台20と、ロール状の被加工物をシート状に繰り出す繰り出し機構30と、シート状の被加工物Wをロール状に巻き取る巻き取り機構40と、繰り出し機構30と巻き取り機構40との間に配置され、シートの被加工物Wに穿孔加工を実施する穿孔機構50とを備えた穿孔装置である。シート状の被加工物Wは、複数のクランパによる移動機構によりx方向に沿って間欠的に送られる。穿孔機構50は、シート状の被加工物Wの送り方向に平行なx方向及び垂直なy方向に沿って適宜移動し、シート状の被加工物Wにおける必要な箇所に穿孔加工を施すことができるようになっている。
【0057】
穿孔機構50は、図2に示すように、ダイ用金型120及びパンチ用金型130を有する穿孔用金型110と、パンチ用金型130における2つのパンチ140,140を昇降させるパンチ昇降機構60とを備えている。
パンチ140は、パンチ本体142とパンチ頭部144とを有し、パンチ昇降機構60は、パンチ頭部144を把持可能なパンチ頭部把持部82,84を有している。穿孔装置10は、パンチ頭部把持部82,84にパンチ頭部144を把持させたり、パンチ頭部把持部82,84によるパンチ頭部144の把持状態を解除したりする把持状態制御機構(図示せず。)をさらに備えている。
【0058】
このため、実施形態1に係る穿孔装置10によれば、パンチ用金型130におけるパンチ140が消耗したときには、まず、把持状態制御機構を用いてパンチ頭部把持部82,84によるパンチ頭部144の把持状態を解除することにより使い終わったパンチ140をパンチ用金型130から取り外し、その後、新しいパンチ140をパンチ用金型130に挿入した後、把持状態制御機構を用いてパンチ頭部把持部82,84に新しいパンチ140におけるパンチ頭部144を把持させることが可能になる。これにより、パンチ用金型130におけるパンチ140が消耗したときには、パンチ140のみを交換することが可能になり、従来の穿孔用金型の場合のように穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要がなくなる。その結果、実施形態1に係る穿孔装置10は、穿孔コストを低減するのが容易な穿孔装置となる。
【0059】
実施形態1に係る穿孔装置10においては、図3に示すように、パンチ昇降機構60は、パンチ144の昇降方向(z方向)に直交するx方向にスライド可能であり、把持状態制御機構は、パンチ昇降機構60をx方向にスライドさせることにより、パンチ頭部把持部82,84にパンチ頭部144を把持させたり、パンチ頭部把持部82,84によるパンチ頭部144の把持状態を解除したりするように構成されている。
【0060】
このため、実施形態1に係る穿孔装置10によれば、把持状態制御機構を用いてパンチ昇降機構60をパンチ144の昇降方向(z方向)に直交するx方向にスライドさせることにより、パンチ頭部把持部82,84にパンチ頭部144を把持させたり、パンチ頭部把持部82,84によるパンチ頭部144の把持状態を解除したりすることで、容易にパンチ140の交換を行うことができる。
【0061】
実施形態1に係る穿孔装置10におけるパンチの交換方法を具体的に説明する。実施形態1に係る穿孔装置10におけるパンチの交換は、以下の(1)〜(4)のようにして行う。
【0062】
(1)まず、図3(a)及び図3(b)に示すように、パンチ昇降機構60を−x方向にスライドして、パンチ頭部把持部82,84によるパンチ頭部144の把持状態を解除する。
(2)次に、図3(c)に示すように、古いパンチ140をパンチ用金型130から取り外す。
【0063】
(3)次に、図3(d)に示すように、新しいパンチ140をパンチ用金型130に挿入する。
(4)最後に、図3(e)及び図3(f)に示すように、パンチ昇降機構60を+x方向にスライドして、パンチ頭部把持部82,84にパンチ頭部144を把持させる。
以上のステップを経ることによって、古いパンチ140と新しいパンチ140とを交換することができる。
【0064】
このため、実施形態1に係る穿孔装置10におけるパンチの交換方法によれば、パンチ用金型130におけるパンチ140が消耗したときには、穿孔用金型110から古いパンチ140を取り外すとともに穿孔用金型110に新しいパンチ140を挿入することで、パンチのみを交換することが可能になる。
このため、実施形態1に係る穿孔装置10におけるパンチの交換方法によれば、従来の穿孔用金型の場合のように穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要がなくなり、穿孔コストを低減するのが容易なパンチの交換方法となる。
【0065】
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係る穿孔用金型210を説明するために示す図である。図4(a)は穿孔用金型210の断面を模式的に示す図であり、図4(b)は第2パンチプレート280を下面から見た図であり、図4(c)はダイプレート240を上面から見た図である。
【0066】
実施形態2に係る穿孔用金型210は、図4に示すように、穿孔装置200(図示せず。)におけるダイ用金型取り付け部202に取り付けるための取り付け部を有するダイホルダ230及びダイホルダ230に取り付けられ2つのダイ孔244,244が設けられたダイプレート240を有するダイ用金型220と、穿孔装置200におけるパンチ用金型取り付け部204に取り付けるための取り付け部を有するパンチホルダ260、パンチホルダ260に取り付けられた第1パンチプレート270及び第1パンチプレート270に取り付けられ2つのパンチガイド284,284が設けられた第2パンチプレート280を有するパンチ用金型250とを備え、シート状の被加工物Wに穿孔を実施するための穿孔用金型である。
【0067】
そして、実施形態2に係る穿孔用金型210においては、ダイホルダ230、ダイプレート240、第2パンチプレート280及び第1パンチプレート270には、位置決め孔232,242,282,272がそれぞれ2つずつ設けられ、ダイホルダ230、ダイプレート240、第2パンチプレート280及び第1パンチプレート270における2つの位置決め孔232,242,282,272には、ダイプレート240の厚さと第2パンチプレート280の厚さとの算術和を超えない長さの位置決めピン290がそれぞれ挿入されている。穿孔用金型210は、位置決めピン290を昇降させる位置決めピン昇降手段をさらに備えている。
【0068】
そして、実施形態2に係る穿孔用金型210においては、ダイホルダ230における2つの位置決め孔232,232のそれぞれには、操作子294によって昇降可能な昇降ピン292が配置され、第1パンチプレート270における2つの位置決め孔272,272のそれぞれは、第2位置決めピン296をダイホルダ230側から挿入可能な構造を有し、位置決めピン昇降手段は、昇降ピン292及び第2位置決めピン296であり、位置決めピン290は、昇降ピン292の上昇動作によって上昇可能で、かつ、第2位置決めピン296の下降動作によって下降可能である。なお、図4(a)に示す符号297は、後述する孔埋ピンを示し、図4(a)及び図4(c)に示す符号246は、ダイプレート240における撮影用孔を示し、図4(b)に示す符号286は、第2パンチプレート280における照明用孔を示す。
【0069】
このため、実施形態2に係る穿孔用金型210によれば、ダイ用金型220におけるダイプレート240が消耗したときには、穿孔用金型210からダイプレート240及び第2パンチプレート280を取り外すとともに、新しいダイプレート240及び第2パンチプレート280を穿孔用金型210に取付けることが可能になる。その結果、実施形態2に係る穿孔用金型210によれば、ダイ用金型220におけるダイプレート240が消耗したときには、ダイプレート240及び第2パンチプレート280のみを交換することが可能になる。
このため、実施形態2に係る穿孔用金型210によれば、従来の穿孔用金型の場合のように穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要がなくなり、穿孔コストを低減するのが容易な穿孔用金型となる。
【0070】
なお、実施形態2に係る穿孔用金型210においては、位置決めピン290がダイプレート240の厚さと第2パンチプレート280の厚さとの算術和を超えない長さに設定されているため、ダイプレート240における位置決め孔242及び第2パンチプレート280における位置決め孔282に位置決めピン290を収納することが可能になり、穿孔用金型210からダイプレート240及び第2パンチプレート280を取り外す際に、位置決めピン290の存在が障害になることはない。
【0071】
また、実施形態2に係る穿孔用金型210は、位置決めピン290を昇降させる位置決めピン昇降手段としての昇降ピン292及び第2位置決めピン296をさらに備えているため、新しいダイプレート240及び第2パンチプレート280を穿孔用金型210に取付ける際に、穿孔用金型210と新しいダイプレート240及び第2パンチプレート280との位置決めを行うことが可能になり、また、穿孔用金型210からダイプレート240及び第2パンチプレート280を取り外す際に、ダイプレート240における位置決め孔242及び第2パンチプレート280における位置決め孔282に位置決めピン290を収納することが可能になる。
【0072】
また、実施形態2に係る穿孔用金型210によれば、操作子294の操作による昇降ピン292の上昇動作及び第2位置決めピン296の下降動作によって位置決めピン290の昇降状態を制御することが可能になる。
【0073】
なお、実施形態2に係る穿孔用金型210においては、第2位置決めピン296を挿抜可能なものとすることで、ダイプレート240及び第2パンチプレート280を穿孔用金型210から取り外す際に第2位置決めピン296の存在が障害になることもない。
【0074】
実施形態2に係る穿孔用金型210においては、第2パンチプレート280における2つの位置決め孔282,282を埋めるための2つの孔埋ピン297,297(図4(a)中には1つの孔埋ピン297のみ図示。)を準備しておき、ダイプレート240及び第2パンチプレート280を位置決め固定した後、第2位置決めピン296に代えて、第2パンチプレート280における位置決め孔282に孔埋ピン297をダイホルダ260側から挿入することにより、孔埋ピン297の下端を第2パンチプレート280の下面よりも0μm〜100μmだけ上方に配置することが可能な構造を有している。
【0075】
このため、実施形態2に係る穿孔用金型210によれば、ダイプレート240及び第2パンチプレート280を交換した後、第2パンチプレート280における位置決め孔282に挿入されている第2位置決めピン296を抜き、その代わりに孔埋ピン297を挿入することにより、第2パンチプレート280に設けられた位置決め孔282の存在によってシート状の被加工物Wが損傷することが抑制される。
【0076】
実施形態2に係る穿孔用金型210においては、穿孔用金型210は、昇降ピン292における操作子294の操作により位置決めピン290の上端をダイプレート240の上面よりも0μm〜100μmだけ下方に配置することが可能となるような構造を有している。
【0077】
このため、実施形態2に係る穿孔用金型210によれば、ダイプレート240に設けられた位置決め孔242の存在によってシート状の被加工物Wが損傷することが抑制される。
【0078】
なお、実施形態2に係る穿孔用金型210においては、ダイホルダ230の位置決め孔決め232は、ダイプレート240、第2パンチプレート280及び第1パンチプレート270の各位置決め孔242,282,272よりも内径が大きく設定されており、ダイプレート240におけるダイ孔244の位置及び第2パンチプレート280におけるパンチホルダ282の位置と、第1パンチプレート270におけるパンチガイド272の位置との間の個体差を吸収できるようになっている。
【0079】
実施形態2に係る穿孔用金型210における穿孔用金型の交換方法を具体的に説明する。実施形態2に係る穿孔用金型210における穿孔用金型の交換方法は、ダイプレート240及び第2パンチプレート280を同時に交換する穿孔用金型の交換方法であって、以下の(1)〜(4)のようにして行う。
【0080】
(1)まず、ダイプレート240及び第2パンチプレート280における位置決め孔242,282に位置決めピン290を収納した状態で、ダイプレート240及び第2パンチプレート280を穿孔用金型210から取り外す。
(2)次に、位置決め孔242,282に位置決めピン290を収納した状態の新しいダイプレート240及び第2パンチプレート280をダイホルダ230と第1パンチプレート270との間に配置する。
【0081】
(3)次に、第2位置決めピン296を第1パンチプレート270と第2パンチプレート280とに嵌合させ、その状態で、第2パンチプレート280を第1パンチプレート270に位置決め固定する。
(4)最後に、第2位置決めピン296を下降させて位置決めピン290をダイプレート240とダイホルダ230とに嵌合させ、その状態で、ダイプレート240と第2パンチプレート280とを離隔させるとともに、ダイプレート240と第2パンチプレート280との位置決めがされている状態でダイプレート240をダイホルダ230に固定する。
【0082】
このため、実施形態2に係る穿孔用金型の交換方法によれば、ダイ用金型220におけるダイプレート240が消耗したときには、穿孔用金型210から古いダイプレート240及び第2パンチプレート280を取り外すとともに穿孔用金型210に新しいダイプレート240及び第2パンチプレート280を取り付けることで、ダイプレート240及び第2パンチプレート280のみを交換することが可能になる。
このため、実施形態2に係る穿孔用金型の交換方法によれば、従来の穿孔装置の場合のように穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要がなくなり、穿孔コストを低減するのが容易な穿孔用金型の交換方法となる。
【0083】
[実施形態3]
図5は、実施形態3に係る穿孔用金型310を説明するために示す図である。図5(a)は穿孔用金型310の断面を模式的に示す図であり、図5(b)は第2パンチプレート380を下面から見た図であり、図5(c)はダイプレート340を上面から見た図であり、図5(d)はダイプレート340の斜視図である。
【0084】
実施形態3に係る穿孔用金型310は、図5に示すように、穿孔装置300(図示せず。)におけるダイ用金型取り付け部302に取り付けるための取り付け部を有するダイホルダ330及びダイホルダ330に取り付けられ2つのダイ孔344,344が設けられたダイプレート340を有するダイ用金型320と、穿孔装置300におけるパンチ用金型取り付け部304に取り付けるための取り付け部を有するパンチホルダ360、パンチホルダ360に取り付けられた第1パンチプレート370及び第1パンチプレート370に取り付けられ2つのパンチガイド384,384が設けられた第2パンチプレート380を有するパンチ用金型350とを備え、シート状の被加工物Wに穿孔を実施するための穿孔用金型である。
【0085】
実施形態3に係る穿孔用金型310は、実施形態2に係る穿孔用金型210と基本的には同様の構成を有しているが、位置決めピン昇降手段の構成が、実施形態2に係る穿孔用金型210とは異なる。
すなわち、実施形態3に係る穿孔用金型310においては、ダイホルダ330における2つの位置決め孔332,332のそれぞれには、操作子394によって昇降可能な昇降ピン392が配置されており、実施形態3に係る穿孔用金型310においては、2つの昇降ピン392,392が位置決めピン昇降手段に該当する。
【0086】
昇降ピン392の上端部及び位置決めピン390の下端部には、昇降ピン392と位置決めピン390とを係合可能な係合部396が設けられ、ダイプレート340には、昇降ピン392の直径と同じかそれよりも大きな値の幅を有する2つのスライド孔348,348がy方向に沿って設けられている(図5(d)参照。)。そして、穿孔用金型310は、ダイプレート340及び第2パンチプレート380を穿孔用金型310から取り外すときに昇降ピン392と位置決めピン390との係合が解除され、ダイプレート340及び第2パンチプレート380を穿孔用金型310に取り付けるときに、昇降ピン392と位置決めピン390とが係合されるような構造を有している。
【0087】
このため、実施形態3に係る穿孔用金型310によれば、操作子394の操作による昇降ピン392の昇降動作によって位置決めピン390の昇降状態を制御することが可能になる。
【0088】
なお、実施形態3に係る穿孔用金型310においては、ダイプレート340及び第2パンチプレート380を穿孔用金型310から取り外す際には、ダイプレート340及び第2パンチプレート380をダイプレート340のスライド孔348に沿った方向にスライドさせることにより、位置決めピン390と昇降ピン392との係合を解除してからダイプレート340及び第2パンチプレート380を穿孔用金型310から取り外すことができる。
また、新しいダイプレート340及び第2パンチプレート380を穿孔用金型310に取り付ける際には、位置決めピン390を収納した状態の新しいダイプレート340及び第2パンチプレート380をダイプレート340のスライド孔348に沿った方向にスライドさせることにより、位置決めピン390と昇降ピン392とを係合させるとともに、ダイプレート340及び第2パンチプレート380をダイホルダ330と第1パンチプレート370との間に配置することができる。
【0089】
実施形態3に係る穿孔用金型310は、位置決めピン昇降手段の構成を除けば、実施形態2に係る穿孔用金型210とは同様の構成を有するため、実施形態2に係る穿孔用金型210が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0090】
実施形態3に係る穿孔用金型310における穿孔用金型の交換方法を具体的に説明する。実施形態3に係る穿孔用金型310における穿孔用金型の交換は、ダイプレート340及び第2パンチプレート380を同時に交換する穿孔用金型の交換方法であって、以下の(1)〜(4)のようにして行う。
【0091】
(1)ダイプレート340及び第2パンチプレート380における位置決め孔342,382の所定位置に位置決めピン390を収納した状態で、ダイプレート340及び第2パンチプレート380をダイプレート340のスライド孔348に沿った方向にスライドさせ、位置決めピン390と昇降ピン392との係合を解除してからダイプレート340及び第2パンチプレート380を穿孔用金型310から取り外す。
【0092】
(2)次に、位置決め孔342,382の所定位置に位置決めピン390を収納した状態の新しいダイプレート340及び第2パンチプレート380をダイプレート340のスライド孔348に沿った方向にスライドさせ、位置決めピン390と昇降ピン392とを係合させるとともに、ダイプレート340及び第2パンチプレート380をダイホルダ330と第1パンチプレート370との間に配置する。
【0093】
(3)次に、昇降ピン392を上昇させて位置決めピン390を第1パンチプレート370と第2パンチプレート380とに嵌合させ、その状態で、第2パンチプレート380を第1パンチプレート370に位置決め固定する。
【0094】
(4)最後に、昇降ピン392を下降させて位置決めピン390をダイプレート340とダイホルダ330とに嵌合させ、その状態で、ダイプレート340と第2パンチプレート380とを離隔させるとともに、ダイプレート340と第2パンチプレート380との位置決めがされている状態でダイプレート340をダイホルダ330に固定する。
【0095】
以上のステップを経ることによって、古いダイプレート340及び第2パンチプレート380と新しいダイプレート340及び第2パンチプレート380とを交換することができる。
【0096】
このため、実施形態3に係る穿孔用金型の交換方法によれば、ダイ用金型320におけるダイプレート340が消耗したときには、穿孔用金型310から古いダイプレート340及び第2パンチプレート380を取り外すとともに穿孔用金型310に新しいダイプレート340及び第2パンチプレート380を取り付けることで、ダイプレート340及び第2パンチプレート380のみを交換することが可能になる。
このため、実施形態3に係る穿孔用金型の交換方法によれば、従来の穿孔用金型の場合のように穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要がなくなり、穿孔コストを低減するのが容易な穿孔用金型の交換方法となる。
【0097】
[実施形態4]
図6は、実施形態4に係る穿孔用金型410を説明するために示す図である。図6(a)は穿孔用金型410の断面を模式的に示す図であり、図6(b)はパンチプレート470を下面から見た図であり、図6(c)はダイプレート440を上面から見た図である。図7は、ダイプレート440を説明するために示す図である。図8は、ダイプレート440の変形例としてのダイプレート440aを説明するために示す図である。図9は、段取り用ダイプレート440zの平面図である。図10は、段取り用位置決めピン412z及びパンチ412の側面図である。図11は、実施形態4に係る穿孔用金型410においてダイプレート440を交換する手順を説明するために示すフローチャートである。
【0098】
実施形態4に係る穿孔用金型410は、図6に示すように、穿孔装置400(図示せず。)におけるダイ用金型取り付け部402に取り付けるための取り付け部を有するダイホルダ430及びダイホルダ430に取り付けられダイ孔444が設けられたダイプレート440を有するダイ用金型420と、穿孔装置400におけるパンチ用金型取り付け部404に取り付けるための取り付け部を有するパンチホルダ460及びパンチホルダ460に取り付けられダイ孔444の内径よりも太い内径を有するパンチガイド472が設けられたパンチプレート470を有するパンチ用金型450とを備え、シート状の被加工物Wに穿孔を実施するための穿孔用金型である。
【0099】
そして、実施形態4に係る穿孔用金型410においては、ダイホルダ430及びダイプレート440には、位置決め孔432,442がそれぞれ2つずつ設けられ、ダイホルダ430における2つの位置決め孔432,432には、操作子492によって昇降可能な位置決めピン490がそれぞれ挿入されている。ダイプレート440は、ダイ孔444と2つの位置決め孔442,442とが同じ切削工具446で同時に形成されたダイプレートである(図7参照。)。
【0100】
このため、実施形態4に係る穿孔用金型410によれば、ダイ用金型420におけるダイプレート440が消耗したときには、穿孔用金型410からダイプレート440のみを取り外すとともに、新しいダイプレート440を穿孔用金型410に取付けることが可能になる。その結果、実施形態4に係る穿孔用金型410によれば、ダイ用金型420におけるダイプレート440が消耗したときには、ダイプレート440のみを交換することが可能になる。このため、実施形態4に係る穿孔用金型410によれば、従来の穿孔用金型のように穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要がなくなり、穿孔コストを低減するのが容易な穿孔用金型となる。
【0101】
なお、実施形態4に係る穿孔用金型410においては、ダイプレートとして、ダイ孔444と2つの位置決め孔442,442とが同じ工具446(例えば、切削工具、研削工具、放電加工工具など。)で同時に形成されたダイプレート440を備えているため、2つの位置決め孔442,442に対するダイ孔444の位置精度は極めて高い。その結果、古いダイプレート440を新しいダイプレート440に交換する際に、ダイプレート440の位置決め孔442、ダイホルダ430の位置決め孔432及び位置決めピン490を用いてダイプレート440をダイホルダ430に位置決め固定するだけで、ダイプレート440におけるダイ孔444とパンチプレート470におけるパンチガイド472とが自動的に位置決めされることになり、高精度の位置決めを容易に行うことが可能となる。
【0102】
なお、実施形態4に係る穿孔用金型410においては、ダイプレートとして、図8に示すように、2つの位置決め孔442a,442aを撮像素子で撮影し、その撮影結果に基づいて決定された2つの位置決め孔442a,442aの位置を基準にしてダイ孔444aが形成されたダイプレート440aを用いることもできる。この場合においても、2つの位置決め孔442a,442aに対するダイ孔444aの位置精度を極めて高くすることができる。その結果、古いダイプレート440aを新しいダイプレート440aに交換する際に、ダイプレート440aの位置決め孔442a、ダイホルダ430の位置決め孔432及び位置決めピン490を用いてダイプレート440aをダイホルダ430に位置決め固定するだけで、ダイプレート440aにおけるダイ孔444aとパンチプレート470におけるパンチガイド472とが自動的に位置決めされることになり、高精度の位置決めを容易に行うことが可能となる。
【0103】
実施形態4に係る穿孔用金型410においては、ダイプレート440とパンチプレート470との間隔をシート状の被加工物Wの厚さよりも0.02mm〜3.0mmの範囲内の値だけ大きくした状態でパンチ412のみを昇降させてシート状の被加工物Wに穿孔を実施するように構成されている。
【0104】
このため、実施形態4に係る穿孔用金型410によれば、パンチ412のみを昇降させてシート状の被加工物Wに穿孔を実施できるようになるため、穿孔加工を高速で行うことが可能になる。
【0105】
実施形態4に係る穿孔用金型410におけるダイプレートの交換方法を具体的に説明する。実施形態4に係る穿孔用金型410におけるダイプレートの交換方法は、ダイプレート440のみを交換するダイプレートの交換方法であって、以下の(1)〜(2)のようにして行う。
【0106】
(1)まず、位置決めピン490を下降させて位置決めピン490をダイプレート440から退避させた状態でダイプレート440をダイホルダ430から取り外す。
(2)次に、新しいダイプレート440をダイホルダ430上に配置した後、2つの位置決めピン490,490を用いて新しいダイプレート440をダイホルダ430に位置決めし、その後、新しいダイプレート440をダイホルダ430に固定する。
以上のステップを経ることによって、古いダイプレート440と新しいダイプレート440とを交換することができる。
【0107】
このため、実施形態4に係るダイプレートの交換方法によれば、ダイ用金型420におけるダイプレート440が消耗したときには、ダイホルダ430から古いダイプレート440を取り外すとともにダイホルダ430に新しいダイプレート440を取り付けることで、ダイプレートのみを交換することが可能になる。
このため、実施形態4に係るダイプレートの交換方法によれば、従来の穿孔用金型の場合のように穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要がなくなり、穿孔コストを低減するのが容易なダイプレートの交換方法となる。
【0108】
次に、実施形態4に係る穿孔用金型410を穿孔装置400に取り付ける穿孔用金型の取り付け方法を具体的に説明する。実施形態4に係る穿孔用金型410の穿孔装置400への取り付けは、以下の(1)〜(5)のようにして行う。
【0109】
(1)パンチ412が挿入されていない状態のパンチ用金型450を穿孔装置400におけるパンチ用金型取り付け部404に固定する(図11のステップS10参照。)。
(2)次に、ダイ孔444に代えて、ダイ孔444と同軸で、かつ、パンチガイド472の内径と同一の内径を有する第2位置決め孔444zが設けられた段取り用ダイプレート440zをダイホルダ430に位置決め固定した状態のダイ用金型(ダイホルダ430)を、穿孔装置400におけるダイ用金型取り付け部402に仮固定する(図11のステップS20参照。)。
【0110】
(3)次に、パンチガイド472の内径に対応する外径を有する段取り用位置決めピン412zをパンチガイド472に挿入した後、段取り用位置決めピン412zと第2位置決め孔444zとを用いてダイ用金型420を微動させながらダイプレート440とパンチプレート470との位置決めを行い、ダイプレート440とパンチプレート470との位置決めがされている状態でダイ用金型420を穿孔装置400におけるダイ用金型取り付け部402に固定する(図11のステップS30参照。)。
(4)次に、段取り用ダイプレート440zを取り外した後、2つの位置決めピン490,490を用いてダイプレート440をダイホルダ430に位置決め固定する(図11のステップS40参照。)。
【0111】
(5)最後に、段取り用位置決めピン412zを取り外した後、パンチ412をパンチ用金型450に挿入する(図11のステップS50参照。)。
以上のステップを経ることによって、穿孔用金型410を穿孔装置410に精度よく取付けることが可能になる。
【0112】
このため、実施形態4に係る穿孔用金型の取り付け方法によれば、パンチガイド472及び段取り用ダイプレート440zにおける第2位置決め孔444z及び段取り用位置決めピン412zを用いて、パンチプレート470におけるパンチガイド472と、ダイプレート440におけるダイ孔444とが正しい位置関係となった状態で穿孔用金型410を穿孔装置400に取り付けることが可能になる。
【0113】
なお、実施形態4で用いる段取り用ダイプレート440zは、ダイプレート440におけるダイ孔444と同軸で、かつ、パンチガイド472の内径と同一の内径を有する第2位置決め孔444zが設けられている。
また、実施形態4で用いる段取り用位置決めピン412zは、パンチガイド472の内径に対応する外径を有している。
【0114】
[実施形態5]
図12は、実施形態5に係る穿孔用金型510を説明するために示す図である。図12(a)は穿孔用金型510の断面を模式的に示す図であり、図12(b)はパンチプレート570を下面から見た図であり、図12(c)はダイプレート540を上面から見た図である。
【0115】
実施形態5に係る穿孔用金型510は、図12に示すように、穿孔装置500(図示せず。)におけるダイ用金型取り付け部502に取り付けるための取り付け部を有するダイホルダ530及びダイホルダ530に取り付けられダイ孔544が設けられたダイプレート540を有するダイ用金型520と、穿孔装置500におけるパンチ用金型取り付け部504に取り付けるための取り付け部を有するパンチホルダ560及びパンチホルダ560に取り付けられダイ孔544の内径よりも太い内径を有するパンチガイド572が設けられたパンチプレート570を有するパンチ用金型550とを備え、シート状の被加工物Wに穿孔を実施するための穿孔用金型である。
【0116】
実施形態5に係る穿孔用金型510は、実施形態4に係る穿孔用金型410と基本的には同様の構成を有しているが、(a)パンチガイド572がパンチプレート570の下面から突出している点及び(b)半押さえプレート580をさらに備えている点で、実施形態4に係る穿孔用金型410とは異なる。
すなわち、実施形態5に係る穿孔用金型510においては、(a)パンチガイド572がパンチプレート570の下面から突出しており、実施形態5に係る穿孔用金型510は半押さえプレート580をさらに備えている。
【0117】
このように、実施形態5に係る穿孔用金型510は、パンチガイド572がパンチプレート570の下面から突出している点及び半押さえプレート580をさらに備えている点で、実施形態4に係る穿孔用金型410の場合とは異なるが、実施形態4に係る穿孔用金型410の場合と同様に、ダイプレート540は、ダイ孔544と2つの位置決め孔542,542とが同じ切削工具546(図示せず。)で同時に形成されたダイプレートであるため、ダイ用金型520におけるダイプレート540が消耗したときには、穿孔用金型510からダイプレート540のみを取り外すとともに、新しいダイプレート540を穿孔用金型510に取付けることが可能になる。
【0118】
その結果、実施形態5に係る穿孔用金型510によれば、ダイ用金型520におけるダイプレート540が消耗したときには、ダイプレート540のみを交換することが可能になる。このため、実施形態5に係る穿孔用金型510によれば、従来の穿孔用金型のように穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要がなくなり、穿孔コストを低減するのが容易な穿孔用金型となる。
【0119】
なお、実施形態5に係る穿孔用金型510においては、パンチガイド572は、パンチプレート570の下面からダイプレート540側に突出するパンチガイドであり、パンチ用金型550は、パンチホルダ560又はパンチプレート570に取り付けられパンチガイド572に対応する開口が設けられた半押さえプレート580をさらに備えたパンチ用金型である。また、実施形態5に係る穿孔用金型510においては、ダイプレート540と半押さえプレート580との間隔をシート状の被加工物Wの厚さよりも0.02mm〜0.3mmの範囲内の値だけ大きくした状態でパンチ512のみを昇降させてシート状の被加工物Wに穿孔を実施するように構成されている。
【0120】
このため、実施形態5に係る穿孔用金型510においても、実施形態4に係る穿孔用金型410におけるのと同様に、パンチのみを昇降させてシート状の被加工物Wに穿孔を実施できるようになるため、穿孔加工を高速で行うことが可能になる。
【0121】
[実施形態6]
図13は、実施形態6に係る穿孔用金型610を説明するために示す図である。図13(a)は穿孔用金型610の断面を模式的に示す図であり、図13(b)は第2パンチプレート670を下面から見た図であり、図13(c)はダイプレート640を上面から見た図である。
【0122】
実施形態6に係る穿孔用金型610は、図13に示すように、穿孔装置600(図示せず。)におけるダイ用金型取り付け部602に取り付けるための取り付け部を有するダイホルダ630及びダイホルダ630に取り付けられダイ孔644が設けられたダイプレート640を有するダイ用金型620と、穿孔装置600におけるパンチ用金型取り付け部604に取り付けるための取り付け部を有するパンチホルダ660及びパンチホルダ660に取り付けられダイ孔644の内径よりも太い内径を有するパンチガイド672が設けられたパンチプレート670を有するパンチ用金型650とを備え、シート状の被加工物Wに穿孔を実施するための穿孔用金型である。
【0123】
実施形態6に係る穿孔用金型610は、実施形態5に係る穿孔用金型510と基本的には同様の構成を有しているが、半押さえプレート580に代えてストリッパプレート680を備えている点で、実施形態5に係る穿孔用金型510の場合とは異なる。
【0124】
このように、実施形態6に係る穿孔用金型610は、上記したように、半押さえプレート580に代えてストリッパプレート680を備えている点で、実施形態5に係る穿孔用金型510の場合とは異なるが、実施形態5に係る穿孔用金型510の場合と同様に、ダイプレート640は、ダイ孔644と2つの位置決め孔642,642とが同じ切削工具646(図示せず。)で同時に形成されたダイプレートであるため、ダイ用金型620におけるダイプレート640が消耗したときには、穿孔用金型610からダイプレート640のみを取り外すとともに、新しいダイプレート640を穿孔用金型610に取付けることが可能になる。
【0125】
その結果、実施形態6に係る穿孔用金型610によれば、ダイ用金型620におけるダイプレート640が消耗したときには、ダイプレート640のみを交換することが可能になる。このため、実施形態6に係る穿孔用金型610によれば、従来の穿孔用金型のように穿孔用金型全体のスペアを準備しておく必要がなくなり、穿孔コストを低減するのが容易な穿孔用金型となる。
【0126】
なお、実施形態6に係る穿孔用金型610においては、パンチガイド672は、パンチプレート670の下面からダイプレート640側に突出するパンチガイドであり、パンチ用金型650は、パンチホルダ660又はパンチプレート670に取り付けられパンチガイド672に対応する開口が設けられたストリッパプレート680をさらに備えたパンチ用金型であり、ストリッパプレート680をシート状の被加工物Wに押し付けた状態でシート状の被加工物に穿孔を実施するように構成されている。
【0127】
このため、実施形態6に係る穿孔用金型610によれば、ストリッパプレート680をシート状の被加工物Wに押し付けた状態でシート状の被加工物Wに穿孔を実施できるようになるため、高精度の穿孔加工を行うことが可能になる。
【0128】
以上、本発明の穿孔装置、パンチの交換方法、穿孔用金型、穿孔用金型の交換方法、ダイプレート、ダイプレートの交換方法、穿孔用金型の取り付け方法、段取り用ダイプレート及び段取り用位置決めピンを上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【符号の説明】
【0129】
10…穿孔装置、20…基台、30…繰り出し機構、40…巻き取り機構、50…穿孔機構、60…パンチ昇降機構、62…モータ、64,68…プーリー、66…ベルト、70…連結軸、72…ロッドエンド、74…振り子部材、76…回転軸、78,80…昇降部材、82,84…パンチ頭部把持部、110,210,310,410,510,610…穿孔用金型、120,220,320,420,520,620…ダイ用金型、130,230,330,430,530,630…パンチ用金型、140,212,312,412,512,612…パンチ、142…パンチ本体、144…パンチ頭部、202,302,402,502,602…ダイ用金型取り付け部、204,304,404,504,604…パンチ用金型取り付け部、230,330,430,530,630…ダイホルダ、232,242,272,282,332,342,372,382,432,442,532,542,632,642…位置決め孔、236,246,336,346…撮影用孔、240,340,440,440a,540,640…ダイプレート、244,344,444,444a,544,644…ダイ孔、260,360,460,560,660…パンチホルダ、270,370…第1パンチプレート、280,380…第2パンチプレート、284,384,472,572,672…パンチガイド、286,386…照明用孔、290,390,490,590,690…位置決めピン、292,392…昇降ピン、294,394,494,594,694…操作子、296…第2位置決めピン、297…孔埋ピン、348…スライド孔、396…係合部、412z…段取り用位置決めピン、440z…段取り用ダイプレート、444z…第2位置決め孔、446…切削工具、470,570,670…パンチプレート、574,674…通し孔、580…半押さえプレート、680…ストリッパプレート、W…シート状の被加工物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイ用金型と、パンチを有するパンチ用金型と、前記パンチを昇降させるパンチ昇降機構とを備えた穿孔装置であって、
前記パンチは、パンチ本体と、パンチ頭部とを有し、
前記パンチ昇降機構は、前記パンチ頭部を把持可能なパンチ頭部把持部を有し、
前記穿孔装置は、前記パンチ頭部把持部に前記パンチ頭部を把持させたり、前記パンチ頭部把持部による前記パンチ頭部の把持状態を解除したりする把持状態制御機構をさらに備えたことを特徴とする穿孔装置。
【請求項2】
請求項1に記載の穿孔装置において、
前記パンチ昇降機構は、前記パンチの昇降方向に直交する方向にスライド可能であり、
前記把持状態制御機構は、前記パンチ昇降機構を前記パンチの昇降方向に直交する方向にスライドさせることにより、前記パンチ頭部把持部に前記パンチ頭部を把持させたり、前記パンチ頭部把持部による前記パンチ頭部の把持状態を解除したりすることを特徴とする穿孔装置。
【請求項3】
請求項1に記載の穿孔装置におけるパンチを交換するパンチの交換方法であって、
前記パンチ頭部把持部による前記パンチ頭部の把持状態を解除するステップと、
前記パンチを前記パンチ用金型から取り外すステップと、
新しいパンチを前記パンチ用金型に取り付けるステップと、
前記パンチ頭部把持部に前記パンチ頭部を把持させるステップとを含むことを特徴とするパンチの交換方法。
【請求項4】
穿孔装置に取り付けるための取り付け部を有するダイホルダ及び前記ダイホルダに取り付けられダイ孔が設けられたダイプレートを有するダイ用金型と、
穿孔装置に取り付けるための取り付け部を有するパンチホルダ、前記パンチホルダに取り付けられた第1パンチプレート及び前記第1パンチプレートに取り付けられパンチガイドが設けられた第2パンチプレートを有するパンチ用金型とを備え、
シート状の被加工物に穿孔を実施するための穿孔用金型であって、
前記ダイホルダ、前記ダイプレート、前記第2パンチプレート及び前記第1パンチプレートのそれぞれには、少なくとも2つの位置決め孔が設けられ、
前記ダイホルダ、前記ダイプレート、前記第2パンチプレート及び前記第1パンチプレートにおける前記少なくとも2つの位置決め孔には、前記ダイプレートの厚さと前記第2パンチプレートの厚さとの算術和を超えない長さの位置決めピンがそれぞれ挿入され、
前記穿孔用金型は、前記位置決めピンを昇降させる位置決めピン昇降手段をさらに備えたことを特徴とする穿孔用金型。
【請求項5】
請求項4に記載の穿孔用金型において、
前記ダイホルダにおける前記少なくとも2つの位置決め孔のそれぞれには、操作子によって昇降可能な昇降ピンが配置され、
前記第1パンチプレートにおける前記少なくとも2つの位置決め孔のそれぞれは、前記位置決めピンとは別の第2位置決めピンを前記ダイホルダ側から挿入可能な構造を有し、
前記位置決めピン昇降手段は、前記昇降ピン及び前記第2位置決めピンであり、
前記位置決めピンは、前記昇降ピンの上昇動作によって上昇可能で、かつ、前記第2位置決めピンの下降動作によって下降可能であることを特徴とする穿孔用金型。
【請求項6】
請求項5に記載の穿孔用金型において、
前記第2パンチプレートにおける前記少なくとも2つの位置決め孔を埋めるための孔埋ピンをさらに有し、
前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートを位置決め固定した後、前記第2位置決めピンに代えて、前記第2パンチプレートにおける前記少なくとも2つの位置決め孔に前記孔埋ピンを前記ダイホルダ側から挿入することにより、前記孔埋ピンの下端を前記第2パンチプレートの下面よりも0μm〜100μmだけ上方に配置することが可能な構造を有することを特徴とする穿孔用金型。
【請求項7】
請求項4に記載の穿孔用金型において、
前記ダイホルダにおける前記少なくとも2つの位置決め孔のそれぞれには、操作子によって昇降可能な昇降ピンが配置され、
前記位置決めピン昇降手段は、前記昇降ピンであり、
前記昇降ピンの上端部及び前記位置決めピンの下端部には、前記昇降ピンと前記位置決めピンとを係合可能な係合部が設けられ、
前記ダイプレートには、前記昇降ピンを通過させるためのスライド孔が設けられており、
前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートを前記穿孔用金型から取り外すときに前記昇降ピンと前記位置決めピンとの係合が解除され、前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートを前記穿孔用金型に取り付けるときに、前記昇降ピンと前記位置決めピンとが係合されるような構造を有することを特徴とする穿孔用金型。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれかに記載の穿孔用金型において、
前記穿孔用金型は、前記昇降ピンにおける前記操作子の操作により、前記位置決めピンの上端を前記ダイプレートの上面よりも0μm〜100μmだけ下方に配置することが可能な構造を有することを特徴とする穿孔用金型。
【請求項9】
請求項5に記載の穿孔用金型におけるダイプレート及び第2パンチプレートを同時に交換する穿孔用金型の交換方法であって、
前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートにおける前記位置決め孔に前記位置決めピンを収納した状態で、前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートを前記穿孔用金型から取り外すステップと、
位置決め孔に位置決めピンを収納した状態の新しいダイプレート及び第2パンチプレートを前記ダイホルダと前記第1パンチプレートとの間に配置するステップと、
前記第2位置決めピンを前記第1パンチプレートと前記第2パンチプレートとに嵌合させ、その状態で、第2パンチプレートを前記第1パンチプレートに位置決め固定するステップと、
前記第2位置決めピンを下降させて前記位置決めピンを前記ダイプレートと前記ダイホルダとに嵌合させ、その状態で、前記ダイプレートと前記第2パンチプレートとを離隔させるとともに、前記ダイプレートと前記第2パンチプレートとの位置決めがされている状態で前記ダイプレートを前記ダイホルダに固定するステップとを含むことを特徴とする穿孔用金型の交換方法。
【請求項10】
請求項7に記載の穿孔用金型におけるダイプレート及び第2パンチプレートを同時に交換する穿孔用金型の交換方法であって、
前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートにおける前記位置決め孔の所定位置に前記位置決めピンを収納した状態で、前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートを前記ダイプレートの前記スライド孔に沿った方向にスライドさせ、前記位置決めピンと前記昇降ピンとの係合を解除してから前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートを前記穿孔用金型から取り外すステップと、
位置決め孔の所定位置に位置決めピンを収納した状態の新しいダイプレート及び第2パンチプレートを前記ダイプレートの前記スライド孔に沿った方向にスライドさせ、前記位置決めピンと前記昇降ピンとを係合させるとともに、前記ダイプレート及び前記第2パンチプレートを前記ダイホルダと前記第1パンチプレートとの間に配置するステップと、
前記昇降ピンを上昇させて前記位置決めピンを前記第1パンチプレートと前記第2パンチプレートとに嵌合させ、その状態で、第2パンチプレートを前記第1パンチプレートに位置決め固定するステップと、
前記昇降ピンを下降させて前記位置決めピンを前記ダイプレートと前記ダイホルダとに嵌合させ、その状態で、前記ダイプレートと前記第2パンチプレートとを離隔させるとともに、前記ダイプレートと前記第2パンチプレートとの位置決めがされている状態で前記ダイプレートを前記ダイホルダに固定するステップとを含むことを特徴とする穿孔用金型の交換方法。
【請求項11】
穿孔装置に取り付けるための取り付け部を有するダイホルダ及び前記ダイホルダに取り付けられダイ孔が設けられたダイプレートを有するダイ用金型と、
穿孔装置に取り付けるための取り付け部を有するパンチホルダ及び前記パンチホルダに取り付けられ前記ダイ孔の内径よりも太い内径を有するパンチガイドが設けられたパンチプレートを有するパンチ用金型とを備え、シート状の被加工物に穿孔を実施するための穿孔用金型であって、
前記ダイホルダ及び前記ダイプレートのそれぞれには、少なくとも2つの位置決め孔が設けられ、
前記ダイホルダにおける前記少なくとも2つの位置決め孔のそれぞれには、操作子によって昇降可能な位置決めピンが挿入されており、
前記ダイプレートは、前記ダイ孔と前記少なくとも2つの位置決め孔とが同じ切削工具で同時に形成されたダイプレート又は前記ダイ孔が前記ダイプレートにおける前記少なくとも2つの位置決め孔を基準にして形成されたダイプレートであることを特徴とする穿孔用金型。
【請求項12】
請求項11に記載の穿孔用金型において、
前記ダイプレートと前記パンチプレートとの間隔をシート状の被加工物の厚さよりも0.02mm〜3.0mmの範囲内の値だけ大きくした状態でパンチのみを昇降させてシート状の被加工物に穿孔を実施するように構成されていることを特徴とする穿孔用金型。
【請求項13】
請求項11に記載の穿孔用金型において、
前記パンチガイドは、前記パンチプレートの下面から前記ダイプレート側に突出するパンチガイドであり、
前記パンチ用金型は、前記パンチホルダ又は前記パンチプレートに取り付けられ前記パンチガイドに対応する開口が設けられた半押さえプレートをさらに有するパンチ用金型であり、
前記ダイプレートと前記半押さえプレートとの間隔をシート状の被加工物の厚さよりも0.02mm〜0.3mmの範囲内の値だけ大きくした状態でパンチのみを昇降させてシート状の被加工物に穿孔を実施するように構成されていることを特徴とする穿孔用金型。
【請求項14】
請求項11に記載の穿孔用金型において、
前記パンチガイドは、前記パンチプレートの下面から前記ダイプレート側に突出するパンチガイドであり、
前記パンチ用金型は、前記パンチホルダ又は前記パンチプレートに取り付けられ前記パンチガイドに対応する開口が設けられたストリッパプレートをさらに有するパンチ用金型であり、
前記ストリッパプレートをシート状の被加工物に押し付けた状態でシート状の被加工物に穿孔を実施するように構成されていることを特徴とする穿孔用金型。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれかに記載の穿孔用金型に用いるダイプレートであって、
前記ダイ孔と前記少なくとも2つの位置決め孔とが同じ工具で同時に形成されてなることを特徴とするダイプレート。
【請求項16】
請求項11〜14のいずれかに記載の穿孔用金型に用いるダイプレートであって、
前記ダイ孔が前記ダイプレートにおける前記少なくとも2つの位置決め孔を基準にして形成されてなることを特徴とするダイプレート。
【請求項17】
請求項11〜14のいずれかに記載の穿孔用金型におけるダイプレートの交換方法であって、
前記位置決めピンを下降させて前記位置決めピンを前記ダイプレートから退避させた状態で前記ダイプレートを前記ダイホルダから取り外すステップと、
前記位置決めピン及び位置決め孔を用いて、新しいダイプレートを前記ダイホルダに位置決め固定するステップとを含むことを特徴とするダイプレートの交換方法。
【請求項18】
請求項11〜14のいずれかに記載の穿孔用金型を穿孔装置に取り付ける穿孔用金型の取り付け方法であって、
パンチが挿入されていない状態のパンチ用金型を穿孔装置におけるパンチ用金型取り付け部に固定するステップと、
前記ダイ孔の代わりに、前記ダイ孔と同軸で、かつ、前記パンチガイドの内径と同一の内径を有する第2位置決め孔が設けられた段取り用ダイプレートを前記ダイホルダに位置決め固定した状態のダイ用金型を穿孔装置におけるダイ用金型取り付け部に仮固定するステップと、
前記パンチガイドの内径に対応する外径を有する段取り用位置決めピンを前記パンチガイドに挿入した後、前記段取り用位置決めピンと前記第2位置決め孔とを用いて前記ダイ用金型を微動させながら前記ダイプレートと前記パンチプレートとの位置決めを行い、前記ダイプレートと前記パンチプレートとの位置決めがされている状態で前記ダイ用金型を前記穿孔装置におけるダイ用金型取り付け部に固定するステップと、
前記段取り用ダイプレートを前記ダイホルダから取り外した後、前記位置決めピンを用いて新しいダイプレートを前記ダイホルダに位置決め固定するステップと、
前記段取り用位置決めピンを前記パンチ用金型から取り外した後、新しいパンチを前記パンチ用金型に挿入するステップとを含むことを特徴とする穿孔用金型の取り付け方法。
【請求項19】
請求項18に記載の穿孔用金型の取り付け方法に用いる段取り用ダイプレートであって、
前記ダイプレートにおける前記ダイ孔の代わりに、前記ダイ孔と同軸で、かつ、前記パンチガイドの内径と同一の内径を有する第2位置決め孔が設けられてなることを特徴とする段取り用ダイプレート。
【請求項20】
請求項18に記載の穿孔用金型の取り付け方法に用いる段取り用位置決めピンであって、
前記パンチガイドの内径に対応する外径を有することを特徴とする段取り用位置決めピン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−148007(P2011−148007A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107710(P2011−107710)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【分割の表示】特願2007−539748(P2007−539748)の分割
【原出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(503210810)株式会社 ベアック (11)
【Fターム(参考)】