説明

突起電極付き配線基板及び突起電極付き配線基板の製造方法

【課題】簡易な工程で製造でき、実装信頼性の高い配線基板及び製造方法を提供すること。
【解決手段】絶縁層501の少なくとも一方の面に配線パターン503を形成する配線板形成工程と、貫通孔504を形成する貫通孔形成工程と、貫通孔504に対応する位置に金属コア材505に半田金属506を被覆した球状導電体507を配置する配置工程と、上下の加圧プレート512、513のうち少なくとも一方の加圧プレートに球状導電体507の径より小さい開口部511aを形成した上加圧プレート512を配置して上下の加圧プレート512、513で圧入変形させる加圧工程と、半田金属506を溶融固化して配線パターン503のランド部503aを接続する接合工程を備え、加圧工程により、貫通孔内に球状導電体507を圧入すると共に球状導電体507の表面側は、開口部511aを形成した上加圧プレート512で押圧して変形させて突起部508を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置や電子部品等を実装するための突起電極を有する配線基板とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化および高速動作等のために、半導体チップを直接プリント基板に実装するベアチップ実装や、リードフレームの代わりにインターポーザーを使用したチップサイズパッケージ(CSP)や、このCSPをウェハサイズで作成したウェハスケールパッケージ(WSP)と呼ばれる実装方法が行われている。このようなパッケージでは、クワッドフラットパッケージ(QFP)のように外側に広がる接続用リードがないために、小型実装化と高速動作が可能になる。
【0003】
ベアチップ実装では、半導体チップは、電極上に形成された半田バンプを介して配線基板にフリップチップ実装されている。また、CSPでは、半導体チップは半導体チップサイズより少し大きいインターポーザーと呼ばれる多層の配線基板に、半田バンプで接続されている。このインターポーザーには半田バンプが形成されており、半導体チップ及びインターポーザーは、この半田バンプでさらに他の配線基板に実装される。このため、チップとほぼ同じサイズでの実装が可能である。
【0004】
半田バンプ等の突起電極は、半導体チップや電子部品の半導体素子や電子部品のパッケージ側ではなく、配線基板やパッケージ部品側に設けられる場合もある。しかしながら、量産性、コストの面からは、プリント配線基板側に設けた方が有利である。
【0005】
図7はプリント配線基板上に形成した従来の突起電極付き配線基板100を示す図である。図7に示す突起電極付き配線基板100では、まずガラスエポキシ樹脂基板101、スルーホールメッキによる層間接続用ビアホール導体107、及び配線パターン電極112等でプリント配線基板が形成され、その後、電極部にマスクを介したメッキ法、またはスクリーン印刷法でAu、Ag、Cu等の金属やハンダ合金からなる接続用の突起電極113が形成される。このような突起付きプリント配線基板は半導体素子や電子部品を実装してマルチチップモジュール(MCM)を構成すると同時に、ベアチップを実装するマザー基板としても利用できる。
【0006】
しかしながら、このような突起電極付き配線基板100では、配線基板形成後に、金属箔から配線パターンに形成した電極上に、スクリーン印刷法やメッキ法によって、突起電極が形成されていた。この場合、突起電極と配線基板を形成する材料が異なっていることや、突起電極と配線基板を別々の工程で形成していること等によって、突起電極と配線基板上の電極との間の接着強度が低いという問題点があった。また、ハンダペーストをスクリーン印刷法により突起電極を形成する際に、電極間ピッチを狭くするとリフロー時にハンダが溶融して隣接する電極間がショートするという問題があり、所望の突起電極を安定して形成することが困難になる。更に、ビアホールを有するプリント配線基板などでは、貫通孔(ビアホール)を樹脂で埋めて、その上へ突起電極を形成する必要があり、工程数が増えてしまうという問題があった。
【0007】
上述の問題を解決するため改善を図った突起電極付き配線基板の製造方法が、例えば特許文献1、又は特許文献2、特許文献3に提案されている。
【0008】
以下、図8(a)〜(g)を参照しながら、特許文献1に記載された突起電極付きプリント配線基板の製造方法を説明する。
【0009】
図8(a)〜(g)において、201はプリプレグ、205は離型性フィルム、206はビアホール、207は導電性ペースト、209は金属箔、208は平板状の金型、200は完成した突起電極付きプリント配線基板を示している。
【0010】
まず、図8(a)に示すように、硬化前のプリプレグ201が準備される。次に、図8(b)に示すように、離型処理の行われたポリイミド樹脂フィルムである離型性フィルム205が、熱ローラーによってプリプレグ201に貼り合わされる。その後、図8(c)に示すように、貼り合わされたプリプレグ201と離型性フィルム205に、レーザーによって、任意の位置に貫通孔(ビアホール)206が形成される。次に、図8(d)に示すように、導電性ペースト207が、スクリーン印刷法によりビアホールに充填される。
【0011】
次に、図8(e)に示すように、金属箔209が、プリプレグ201の離型性フィルムが貼り合わされていない面に熱ローラーで貼り合わされる。その後、図8(f)に示すように、離型性フィルム205と金属箔209を貼り合わせたプリプレグ201を、その両面から、ステンレス鋼製の平板状金型208で挟接し、熱プレス機で加圧してプリプレグ201が熱圧着される。
【0012】
その後、図8(g)に示すように、金型208から基板がはずされ、離型性のフィルム205が剥離される。すると、硬化した導電性ペーストからなるビアホール導体と一体構成で、且つ高さが離型性フィルムの厚さに相当する突起電極213を有するプリント配線基板200を得ることができる。
【0013】
特許文献1に記載された突起電極付きプリント配線基板の製造方法では、ビアホール206に充填された導電性ペースト207によって突起電極を形成されているため、図7に示す構成と比べて接着性は向上している。又、簡単な工程で突起電極を形成することができるので生産性に優れ、プリント配線基板の製造コストを低減できる点では有効である。
【0014】
しかしながら、突起電極が導電性ペーストで構成されているため突出量を高くすると実装時に荷重を加えた場合、機械的強度不足で突起電極に破断が生じたり、電極の表面形状が崩れたりして接続不良が発生するおそれがある。
【0015】
この特許文献1の構成よりも突起電極の強度が増した構成が、例えば、特許文献2に提案されている。以下、図9(a)〜(f)を参照しながら、特許文献2に記載された突起電極付き配線基板の製造方法を説明する。
【0016】
図9(a)に示すように、導電性の金属箔301上に感光性絶縁樹脂層形成溶液を塗布し、乾燥することにより絶縁樹脂層302が形成される。次に、図9(b)に示すように、絶縁樹脂層302をマスク304によりパターン露光する。その後、図9(c)に示すように、現像することで貫通孔303を形成し、更に加熱して絶縁樹脂層302を硬化する。次に、図9(d)に示すように、電解メッキ等により貫通孔303内に導電性物質製の突起部306を形成させる。その後、突起部306に電解メッキ等により金属製被覆層307を形成する。次に、図9(e)に示すように、金属箔301面にフォトレジスト308を形成してマスク309を用いて所望の配線パターンを露光する。その後、図9(f)に示すように、現像、エッチング、レジスト剥離を行うことで配線パターン310を形成し、突起部306を有する突起電極付き配線基板300を得ることができる。
【0017】
特許文献2に記載された方法では、突起部306がメッキにより形成されているため、特許文献1よりも突起部の強度が良好な配線基板を製造することができる。
【0018】
しかしながら、貫通孔内の突起部形成にメッキ工法を用いるため所要時間がかかり生産性に問題がありコストアップになることや厚付けメッキで複数個の突起部を形成する場合、メッキ厚みバラツキが発生しやすくなる。また、貫通孔径を100μm以下のように小径になると貫通孔内にメッキ層を均一に形成しにくくなり、配線層の微細化が難しくなる問題があった。
【0019】
このような図9に示す突起電極付き配線基板に対し、特開平7−226456号公報には、特許文献2よりも生産性に優れ、突起部の強度が高い構成の基板と突起が一体形成された半導体パッケージの製造方法が提案されている。
【0020】
以下、図10(a)〜(f)を参照しながら、特許文献3に記載された突起電極付きプリント配線基板の製造方法を説明する。
【0021】
図10(a)に示すように、両面に銅箔402が形成された基板401に貫通孔403を形成する。次に図10(b)に示すようにスルーホールめっきにより貫通孔403の内壁面に銅めっき層404を形成するとともに銅箔表面にも銅めっき層404を形成する。その後、図10(c)に示すように、基板401にバンプ形成面にフォトリソ法によりランド406を形成する。
【0022】
次に、図10(d)に示すようにスルーホール405の上側開口部から導電性ペースト407を一定量押し出し、押し出された導電性ペースト407は、自重と表面張力とによりランド406の下側に半球形に突出する。その後、導電性ペースト407を加熱して固化させ基板401下面に半球部408を形成する。次に、図10(e)に示すように、スルーホール405の上側開口部側の導電性ペースト407端面を研削して平坦化をした後、半球部408外面および基板401表面に銅めっきにより保護めっき409を被着することで半球形バンプ410を形成する。その後に、図10(f)に示すように基板401表面に設けられた導体層をフォトリソ法により配線パターン411を形成することで配線パターン411と基板401下面の半球形バンプ410が電気的に導通したことを特徴とする半球形バンプを有する半導体パッケージ用基板400を得ることができる。
【0023】
特許文献3に記載された方法では、基板401に設けたスルーホール405形成用の貫通孔403内に導電性ペースト407を充填することにより簡易なプロセスで接続端子として半球形バンプを一体形成できる。また、基板とバンプを確実に一体化形成することでバンプの接続強度が確保できる。また、半球部408のバンプに保護メッキを形成することで接続端子として一定の保形性を有するためバンプが欠落したりすることも防止できる。
【0024】
尚、配線層間の層間接続を可能とした多層フレキシブルプリント配線板の製造方法については、特許文献4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特許第3889856号公報
【特許文献2】特開平6−326438号公報
【特許文献3】特開平7−226456号公報
【特許文献4】特開2006−339560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
しかしながら、特許文献3に記載された方法では、接続強度が増したとしても、基板401に形成した複数個のスルーホール405から高粘度の導電性ペースト407を押し出して自重と表面張力により高さの均一な半球形の突起部を形成するのは困難であり、突起部が均一形状でないと接続安定性が得られないという課題を有している。
【0027】
本発明は、従来の配線基板のこの様な課題を考慮し、簡易な生産プロセスで良好な突起部が形成でき、かつ、接続安定性に優れた突起電極付き配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
絶縁層の少なくとも一方の面に配線層が設けられた配線パターンを形成する配線パターン形成工程と、
前記配線層を接続するための貫通孔を前記配線パターンが形成された前記絶縁層に形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔に対応する位置に、金属コア部材に半田金属を被覆した粒状導電体を配置する配置工程と、
前記粒状導電体が配置された側から加圧プレートで前記粒状導電体を押圧して、前記粒状導電体の一部が前記加圧プレート側に突出した突起電極部として存在する様に前記貫通孔に圧入する加圧工程と、
前記半田金属を加熱固化して前記配線パターンを接続する接合工程とを備えた、突起電極付き配線基板の製造方法である。
【0029】
また、第2の本発明は、
前記粒状導電体は球状導電体であり、
前記加圧プレートの表面には、前記貫通孔に対応する位置に前記球状導電体の径より小さい凹部が設けられており、
前記加圧工程では、前記凹部が形成された前記加圧プレートで前記球状導電体を押圧して局所塑性変形させることで凸形状の前記突起電極部を形成する、上記第1の本発明の突起電極付き配線基板の製造方法である。
【0030】
また、第3の本発明は、
前記球状導電体は、前記貫通孔径より小さい金属コア部材を有している上記第2の本発明の突起電極付き配線基板の製造方法である。
【0031】
また、第4の本発明は、
前記金属コア部材が軟質金属からなる、上記第1〜3の何れかの本発明の突起電極付き配線基板の製造方法である。
【0032】
また、第5の本発明は、
前記金属コア部材が金、銀、銅、銅合金から選ばれる少なくとも1種以上である上記第1〜4の何れかの本発明の突起電極付き配線基板の製造方法である。
【0033】
また、第6の本発明は、
前記絶縁層は、ポリイミドフィルム、アラミドフィルム、PPS(ポリフェレンサルファイド)フィルム、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム、LCPフィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)のいずれか選択された材料によって形成されている、上記第1の本発明の突起電極付き配線基板の製造方法である。
【0034】
また、第7の本発明は、
前記加圧工程において、前記粒状導電体は加圧により配線パターンの少なくとも一方の主面から突出した凸形状の前記突起電極部をなす、上記第1の本発明の突起電極付き配線基板の製造方法である。
【0035】
また、第8の本発明は、
前記加圧工程において、前記半田金属の厚みは、前記一方の加圧プレートにより加圧変形することで前記凸形状の根元より先端のほうが厚い、上記第2の本発明の突起電極付き配線基板の製造方法である。
【0036】
また、第9の本発明は、
絶縁層部材と、
絶縁層部材の少なくとも一方の主面に設けられた配線層と、
前記配線層および前記絶縁層部材を厚み方向に貫通した貫通孔と、
前記貫通孔に固定された、金属コア部材に半田金属を被覆した導電性部材とを備えた突起電極付き配線基板であって、
前記導電性部材は、その一部が前記貫通孔から突き出した凸形状の突起電極部を有し、
前記半田金属の厚みは、前記凸形状の根元より先端のほうが厚い、突起電極付き配線基板である。
【0037】
また、第10の本発明は、
前記突起電極部は、前記配線層の主面より突き出している、上記第9記載の突起電極付き配線基板である。
【発明の効果】
【0038】
以上のように、本発明によれば、簡易な工程で製造でき、かつ、実装信頼性の高い突起電極付き配線基板およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明にかかる実施の形態1における突起電極付き配線基板を示す構成断面図
【図2】(a)〜(f):本発明にかかる実施の形態1における突起電極付き配線基板の製造方法の基本的な工程を説明するための図
【図3】本発明にかかる実施の形態2における突起電極付き配線基板を示す構成断面図
【図4】(a)〜(e):本発明にかかる実施の形態2における突起電極付き配線基板の製造方法の基本的な工程の説明図
【図5】本発明の実施の形態3における突起電極付き4層配線基板を示す構成断面図
【図6】(a)〜(f):本発明の実施の形態3における突起電極付き4層配線基板の製造方法の基本的な工程の説明図
【図7】従来の突起電極付き配線基板の説明図
【図8】(a)〜(g):従来の突起電極付きプリント配線基板の製造方法の説明図
【図9】(a)〜(f):従来の突起電極付き配線基板の製造方法の説明図
【図10】(a)〜(f):従来の突起電極付きプリント配線基板の製造方法の説明図
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0041】
(実施の形態1)
以下に、図1を参照しながら、本発明の突起電極付き配線基板の一例として、実施の形態1に係る突起電極付き配線基板について説明する。図1は、本発明にかかる実施の形態1における突起電極付き配線基板の構成断面図である。
【0042】
図1に示すように本実施の形態1における突起電極付き配線基板500は、絶縁層501の両面に銅箔が直接形成された両面銅張積層板に、配線パターン503を形成され、さらに配線パターン503のランド部503aに絶縁層501を含む厚み方向に貫通孔504が形成され、貫通孔504内には金属コア材505に半田金属506を被覆した球状導電体507を圧入変形させて挿入し、球状導電体507を介して上下のランド部503aとの層間接続されるとともに球状導電体507の表面部は、局所加圧変形によりランド部503aの表面から突出するような突起部508を一体形成した構成を有する突起電極付き配線基板である。
【0043】
ここで突起付き配線基板500は、配線層パターン503のランド部503aに絶縁層501を含む厚み方向に形成した貫通孔504内部に圧入した球状導電体507とを備えた構成とし、球状導電体507の金属コア材505は、貫通孔504の孔径より小さいコア部材を有し、金属コア材505表面を半田金属506で被覆された構成としている。かかる構成によれば配線パターン503のランド部503aと球状導電体507の半田金属506が強固な金属接合が得られとともに金属コア材505を有するため十分な機械的強度が確保され、高温環境下でも高い接続信頼性が得られる。
【0044】
また、金属コア材505が軟質金属からなる金、銀、銅、銅合金から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。金属コア材505が軟質金属を用いることにより金属コア材505表面を半田金属506で被覆された球状導電体507を圧入する場合において挿入および変形させやすくなる。
【0045】
さらに、球状導電体507を構成する半田金属506の組成は、共晶半田、高温半田、鉛フリー半田のいずれか選択された材料を用いることが好ましい。
【0046】
なお、絶縁層501は、ポリイミドフィルム、アラミドフィルム、PPS(ポリフェレンサルファイド)フィルム、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム、LCPフィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)のいずれか選択された材料を用いることが好ましい。なかでも耐熱性、寸法安定性、表面平滑性および機械的特性の点で優れるポリイミドフィルムを用いることが最も好ましい。
【0047】
また、図1において突起部508、球状導電体507を加圧変形することにより配線パターン503のランド部503aの主面から突出した凸形状の突起部508を形成することが好ましい。かかる構成によれば突起部508は、実装する半導体チップや電子部品の対応する位置に形成されるもので、半導体チップや電子部品をフリップ実装することができる。
【0048】
また、球状導電体507の半田金属506は加圧変形することで突起部508に被覆された半田金属506の厚みが、根元側より先端側のほうが厚いことが好ましい。かかる構成によればリフロー時に隣接する突起部508に被覆された半田金属506が溶融して隣接ショートの発生を抑制することができる。
【0049】
さらに、配線パターン503の材質は、導電性材料であれば良いが、金、銀、銅およびニッケルから選択される少なくとも1種以上を含有する金属材料から形成されることが好ましい。
【0050】
なお、配線パターン503の厚さは、突起電極付き配線基板500の用途に応じて適宜決定されるものの、3〜18μm程度であることが好ましい。
【0051】
また、貫通孔504の口径はφ100〜500μmが好ましい。より薄型で高密度配線を有する突起電極付き配線基板500を実現するためには、配線パターン503の厚さは3〜12μmであり、貫通孔504の口径は、絶縁層501の厚みにもよるが、φ100〜200μmであることがより好ましい。
【0052】
なお、球状導電体507の径は貫通孔504の孔径よりも大きく、球状導電体507の体積が貫通孔504の体積より大きいことが好ましい。
【0053】
また、絶縁層の厚さは、突起電極付き配線基板500の用途に応じて適宜決定されるものの、4〜50μm程度であることが好ましい。
【0054】
また、例えば、貫通孔504の口径がφ200μm、絶縁層501の厚みが50μm、金属コア505の径がφ100μmとした場合、球状導電体507を貫通孔504に圧入するためには、半田金属506の皮膜厚みは、60μm以上であることが好ましい。
【0055】
なお、本実施の形態において、突起電極付き配線基板500の突起部508は片側面に設けたが両面に形成しても良い。
【0056】
次に、図2を参照して突起電極付き多層配線基板500の製造方法の一例について説明する。
【0057】
図2(a)〜(f)は、本発明の実施に形態1に係る突起電極付き配線基板の製造方法の基本的な工程の説明図である。
【0058】
はじめに、図2(a)に示すように、絶縁層501の両面に銅箔502が直接形成された銅張積層板を用意する。本発明の一実施例の形態においてはポリイミドフィルムからなる絶縁層501に銅箔502が直接形成された接着剤の無い2層タイプを使用した。材料については接着剤の介在する3層タイプを使用しても良く、限定されるものではない。
【0059】
次に、図2(b)に示すように、フォトマスクし、銅箔のエッチング処理を行うことにより配線パターン503が形成された両面基板が得られる。
【0060】
次に、図2(c)に示すように、パンチング金型509を用いたパンチング加工により層間接続部位に対応した位置に貫通孔504が形成される。この貫通孔504の形成方法としてUV−YAGレーザ、エキシマレーザ、ドリル加工等を用いても良く、貫通孔504の大きさや絶縁層501の材質や厚みの種類に応じて最適な加工法が選択される。本実施の形態において貫通孔504の形状は、球状導電体507を貫通孔504内に圧入するため円形であることが望ましい。
【0061】
次に、図2(d)示すように、貫通孔504の位置に球状導電体507を配置する。配置方法としては、貫通孔504に対応する位置に球状導電体507より小径の吸引口を設けた吸着プレートを用意し、真空ポンプ吸引で吸着プレートを用いて球状導電体507に吸着し、貫通孔504の上部に位置合わせして、球状導電体507を落下させて、貫通孔504位置に配置する。従来から知られている半導体パッケージに半田ボールを搭載するボールマウンターを使用することも可能である。ここでは真空吸着による球状導電体507の配置例を示したが、他に静電吸着による配置する方法や貫通孔504に対応した位置に、貫通孔径よりやや大きくした開口部を形成したメタルマスクを用意して底面に設けた吸着プレートで吸引しながらスクリーン印刷法でスクィージを移動させることにより貫通孔504上に球状導電体507を配置させる方法を用いても良い。
【0062】
次に図2(e)に示すように、貫通孔504に対応した位置に球状導電体507の径より小さい開口部511aを形成したマスクプレート511が固定された構成からなる上加圧プレート512と平板の下加圧プレート513を配置する。ここでマスクプレート511には、あらかじめ位置決め孔を形成しておき位置決めピンをはめ込むことで位置合わせが簡単にできるようにすることが好ましい。また、マスクプレート511の厚みは、0.1〜0.3mmの耐磨耗性に優れたゲージ鋼板、ステンレス、耐磨耗鋼板等が好ましい。
【0063】
さらにマスクプレート511に形成した開口部511aの角部形状は、球状導電体507を圧入しやすくするため曲面や斜面を形成することが好ましい。
【0064】
次に、図2(f)に示すように、加圧することにより球状導電体507が圧入変形して貫通孔504内に充填されてランド部503aとの層間接続することができるとともに、上加圧マスクプレート511の開口部511aにより局所加圧することで成形変形して突起部508が形成された突起付き配線基板500が得られる。ここで突起部508の高さは、構成する材料の厚さや径、貫通孔504の径、加圧力等により異なるので予め製造条件設定と形成される突起部508の高さとの相関を把握しておくことが重要である。
【0065】
以上のようにして得られた本発明の一実施の形態における突起付き配線基板の製造方法は、非常に簡単なプロセスで層間接続が行え、他の層間接続方法と比較して工程数が少なく、生産性は、格段に向上するとともに球状導電体507を成形変形して突起部を形成することで半導体チップや電子部品をフリップ実装するのに適した配線基板を提供することができる。
【0066】
(実施の形態2)
以下に、図3を参照しながら、本発明の突起電極付き配線基板の一例として、実施の形態2に係る突起電極付き配線基板について説明する。図3は、本発明にかかる実施の形態2における突起電極付き配線基板の構成断面図である。
【0067】
図3に示すように本実施の形態2における突起電極付き配線基板600は、絶縁層601の片面に銅箔602が直接形成され、他方の面に接着層624が形成された片銅張積層板に、配線パターン603が形成され、さらに配線パターン603のランド部603aに絶縁層601を含む厚み方向に貫通孔604が形成された配線基板620と片面に銅箔が直接形成された銅張積層板に配線パターン633が形成された片面配線板が積層され、貫通孔604内には金属コア材605に半田金属606を被覆した球状導電体607を充填され、ランド部603aとランド部633aが層間接続されるとともに球状導電体607の表面部は、ランド部603aの表面から突出するような突起部608を一体形成した構成を有する突起電極付き配線基板である。本実施の形態の突起電極付き配線基板600は、接着剤付片面配線板620と他方の片面配線板630が積層され、層間接続用にブラインドバイアホール内部に球状導電体607が充填された構成を有する突起付き配線基板600である。接着剤付片面配線板620と他方の片面配線板630は接着層624を介して一体化した構成である。
【0068】
次に、図4を参照して突起電極付き配線基板600の製造方法の一例について説明する。
【0069】
本実施の形態2に係わる突起電極付き配線基板600の製造方法は、図2で示した実施の形態1の突起電極付き配線基板500の製造方法と基本的に同じように球状導電体607を圧入変形させてブラインドバイアホール604を介してランド部603aとランド部633aとの層間接続するとともに球状導電体607の表面部は、局所加圧変形によりランド部603aの表面から突出するような突起部608を一体形成した構成を有する突起電極付き配線基板である。
【0070】
但し、本実施の形態2の突起電極付き配線基板600においては、貫通孔604を形成した接着層付き片面配線板620と他方の片面配線板630を積層したブラインドバイアホールを形成した積層配線板である点が突起電極付き配線基板500とは異なる。なお、実施の形態1で説明した構成と同様の構成については、その詳細な説明は省略する。
【0071】
図4(a)〜(e)は、本発明の実施に形態1に係る突起電極付き多層配線基板の製造方法の基本的な工程の説明図である。
【0072】
はじめに、図4(a)に示すように、絶縁層601の片面に銅箔602が直接形成された他方に接着層624が形成された銅張積層板を用意する。本発明の一実施例の形態においてはポリイミドフィルムからなる絶縁層601に銅箔602が直接形成され、他面側は、接着層624が形成してある接着材付き片面銅張積層板を準備する。
【0073】
次に、図4(b)に示すように、エッチング処理により配線パターン603を形成して接着層付き片面配線板620を得る。ここで得られた接着材付き配線板620の配線パターン603は、実施の形態1で得られた突起電極付き配線基板500の配線パターン503と比較すると、微細化に適した片面エッチングが可能であることから更なる微細化に好適である。通常、両面配線板のパターン形成においては、両面に形成された銅箔を同時にエッチング処理するためエッチング液を上下方向から均一にムラなく当てる必要がある。
【0074】
しかしながら、エッチング液をシャワースプレーした場合、上面側にシャワースプレーされた後の液溜まりをつくりエッチングの均一性が確保しにくいという問題がある。したがって、両面配線板においては、エッチング条件が不安定となり、微細な配線形成をすることに対して不利である。片面配線板の配線パターン形成の場合においては下面からのスプレーシャワーで良いので液溜まりができないのでエッチング条件が安定し、配線の微細化に適している。
【0075】
次に、図4(c)に示すように、パンチング金型609を用いたパンチング加工を接着材付き配線板620の層間接続部位に対応した位置に貫通孔604が形成する。貫通孔604の形状は、球状導電体607を貫通孔604内に圧入するため円形であることが望ましい。
【0076】
次に、図4(d)に示すように、貫通孔604を形成した接着材付き配線板620と配線パターンが形成された片面配線板630とを接着層621を介して接着させて層間接続用のブラインドバイアホール604が形成された両面基板を得る。さらにブラインドバイアホール604に対応する位置に球状導電体607を配置し、球状導電体607の径より小さい開口部611aを形成したマスクプレート611が固定された構成からなる上加圧プレート612と平板の下加圧プレート613を配置して加圧する。
【0077】
次に、図4(e)に示すように、加圧することで球状導電体607が圧入変形してブラインドバイアホール604内に充填されてランド部603aとランド部633aが層間接続することができるとともに、上加圧マスクプレート611の開口部611aにより局所加圧することで成形変形して突起部608が形成された突起電極付き配線基板600が得られる。ここで得られた突起電極付き配線基板600は、配線パターンの精度ばらつきが少なく良好な配線パターン形成がされた片面配線板を積層しているため実施の形態1で得られた突起電極付き配線基板500の配線パターン503と比較すると、さらに微細化した配線基板が実現できる。
【0078】
(実施の形態3)
以下に、図5を参照しながら、本発明の突起電極付き配線基板を積層化する本発明の一例として、実施の形態3に係る突起電極付き4層配線基板について説明する。図5は、本発明にかかる実施の形態3における突起電極付き4層配線基板の構成断面図である。
【0079】
図5に示すように本実施の形態3における突起電極付き4層配線基板700は、実施の形態1と同様の構成からなる第1突起電極付き配線基板720および第2突起電極付き配線基板730との中間にフィルム基材741の両面に接着材742a、742bが形成された接着材付きフィルム基材740とが積層されて構成される突起電極付き4層配線基板である。
【0080】
ここで、第1突起電極付き配線基板720は、絶縁層721の両面に銅箔が直接形成された両面銅張積層板に、配線パターン723が形成され、さらに配線パターン723のランド部723aに絶縁層721を含む厚み方向に貫通孔724が形成され、貫通孔724内には金属コア材725に半田金属726を被覆した球状導電体727を圧入変形させて挿入し、球状導電体727を介して上下のランド部723aとの層間接続されるとともに球状導電体727の表面部は、局所加圧変形によりランド部723aの表面から突出するような突起部728を一体形成している。
【0081】
また、第2突起電極付き配線基板730は、絶縁層731の両面に銅箔が直接形成された両面銅張積層板に、配線パターン733を形成され、さらに配線パターン733のランド部733aに絶縁層731を含む厚み方向に貫通孔734が形成され、貫通孔734内には金属コア材735に半田金属736を被覆した球状導電体737を圧入変形させて挿入し、球状導電体737を介して上下のランド部733aとの層間接続されるとともに球状導電体737の表面部は、局所加圧変形によりランド部733aの表面から突出するような突起部738を一体形成している。
【0082】
また、第1突起電極付き配線基板720と第2突起電極付き配線基板730は、接着材付きフィルム基材の貫通孔744内に充填された導電性ペースト745を介して電気的接続される。
【0083】
また、第1突起電極付き配線基板720の上面側の配線パターン723と第2突起電極付き配線基板730の下面側の配線パターン733は、それぞれ接着材付きフィルム基材の接着材742a、接着材742b内に埋設された構成となっている。
【0084】
また、第1突起電極付き配線基板720の突起部728は、接着材付きフィルム基材の接着材内に形成した導電性ペースト745に埋設され、第2突起電極付き配線基板730
の突起部738が突出した構成を有している。
【0085】
次に、図6を参照して突起電極付き多層配線基板の製造方法の一例について説明する。
【0086】
図6(a)〜(f)は、本発明の実施に形態3に係る突起電極付き4層配線基板700の製造方法の基本的な工程の説明図である。
【0087】
図6(a)に示すように、フィルム基材741の両主面上に接着層742aおよび接着層742bが形成された接着材付きフィルム基材740を準備する。この接着材付きフィルム基材740の両面の接着層742a、742bに離型フィルム749aおよび離型フィルム749bが当接するように重ねられ、真空ラミネート、ロールラミネート、真空プレス、オートクレーブ等により加圧加熱される。この工程により、接着材付きフィルム基材740と離型フィルム749aおよび離型フィルム749bが、貼り合わせられ、積層固定される。尚、本実施の形態3では、接着材付きフィルム基材740として、エポキシ樹脂付きポリイミドシート(「多層フレキシート」京セラケミカル株式会社製)を用いることが出来る。このエポキシ樹脂付きポリイミドシートは、フィルム基材741としてポリイミドフィルムが用いられている。そして、ポリイミドフィルム上に熱硬化型エポキシ樹脂が塗布されている。この両面に熱硬化型エポキシ樹脂が塗布されたポリイミドフィルムを乾燥させて半硬化状態にしたものが、接着材付きフィルム基材740として用いられる。
【0088】
又、離型フィルム749a、749bとしては、PPSフィルム(「トレリナ」東レ株式会社)を用いることが出来る。また、接着材付きフィルム基材740と離型フィルム749a、749bを貼り合わせて積層固定する方法としては、真空ラミネート装置により圧力0.8MPa、温度60℃で、1minの間、加圧及び加熱することにより行われる。
【0089】
次に、図6(b)に示すように離型フィルム749a、749bを設けた接着材付きフフィルム基材740に層間接続部位(以下、「ビア」)に対応した位置に貫通孔744が形成される。この貫通孔744の形成方法としては、UV−YAGレーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、パンチャー等の加工装置を用いて貫通孔の大きさや離型フィルムの種類に応じて最適な加工法が選択される。本実施の形態3では、パンチャーにより、貫通孔744が形成された。
【0090】
次に、図6(c)に示すように貫通孔744に導電性ペースト745を充填し、さらに導電性ペースト745が硬化しない温度で乾燥させることによって、導電性ペースト745が半硬化状態となる。充填方法としては、スクリーン印刷法、真空遠心法、ローラ加圧法等を用いることが出来る。
【0091】
本実施の形態3では、スクリーン印刷機(不図示)により離型フィルム749b上に直接、導電性ペースト745を塗布し、印刷法によって貫通孔744に導電性ペースト745が充填された。この際、離型フィルム749bは、導電性ペースト745の充填マスクの役割と第1の接着層7412の汚染防止の役割を果たしている。導電性ペースト745の乾燥は80℃で、10minの条件で行われた。
【0092】
なお、導電性ペースト745としては、具体的には、平均粒径1〜3μmの銅粉70重量%と、樹脂成分としてのビスフェノールA型エポキシ樹脂10重量%と、エポキシ樹脂の硬化剤としてアミンアダクト硬化剤3重量%と、ブチルカルビトールアセテート17重量%とを3本ロールで混練して生成された導電性ペーストが用いられた。
【0093】
次に、図6(d)に示すように、接着材付きフィルム基材740から、その両側の離型フィルム749a、749bが剥離される。すると、接着材付きフィルム基材740の両側の主面から導電性ペースト745が突出する。
【0094】
次に、図6(e)に示すように、下加圧プレート713上に第1突起電極付き配線基板720、導電性ペースト745を形成した接着材付きフィルム基材740、第2突起電極付き配線基板730の順に位置合わせをして積層し、さらにプレス用緩衝材714を介し、上加圧プレート712を配置する。
【0095】
次に、図6(f)に示すように、加圧加熱することで突起電極付き4層配線基板700が得られる。ここで突起部738の高さは、構成する材料の厚さや、プレス用緩衝材714の硬さ、径、加圧条件等により異なるので予め製造条件設定と形成される突起部738高さとの相関を把握しておくことが重要である。
【0096】
以上のようにして得られた本発明の一実施の形態における突起電極付き4層配線基板は、高接続信頼性で微細な配線パターンをもつ配線基板同士を積層し形成を行うため、接続信頼性が高く、生産性に優れた層間接続を有する突起電極付き多層配線基板が得られる。
【0097】
尚、上記実施の形態では、開口部511aが形成されたマスクプレート511が固定された上加圧プレート512と、平板の下加圧プレート513とを用いて、球状導電体を貫通孔に圧入する場合について説明したが、これに限らず例えば、上下とも平板の加圧プレートを用いて、球状導電体を貫通孔に圧入する構成でも良い。この場合、上加圧プレートで球状導電体の上面を下方に向けて押圧する際には、絶縁層の表面まで完全に押し込むのではなく、その表面から所定の距離だけ離れた位置まで押し込んだところで上加圧プレートの移動を止める。これにより、球状導電体が貫通孔に完全に圧入されずに、その球状導電体の一部が貫通孔から突出した突起電極部として残すことが出来るので、上記と同様の効果を発揮する。
【0098】
また、上記実施の形態では、開口部511aが形成されたマスクプレート511が固定された上加圧プレート512と、平板の下加圧プレート513とを用いて、球状導電体を貫通孔に圧入することにより、突起部の根元側より中央側のほうが厚くなる様に、半田金属506の厚さを変化させる場合について説明したが、これに限らず例えば、上下とも平板の加圧プレートを用いることにより、球状導電体を構成する金属コアの一部が貫通孔より突出しており、その表面に半田金属が覆っている構成構成であれば良く、必ずしも、突起部の根元側より中央側のほうが半田金属の厚みが厚くなる構成でなくても良い。
【0099】
また、上記実施の形態では、絶縁層の両面に配線パターンが形成されており、貫通孔に圧入された球状導電体の表面を覆っている半田金属を加熱して両面の配線パターン同士を電気的に接続する場合について説明したが、これに限らず例えば、絶縁層の何れか一方に配線パターンが形成されており、その配線パターンと貫通孔に圧入された球状導電体の表面の半田金属とが加熱により接続される構成でも良い。また、この場合、突起電極部は、配線パターンが形成された主面側に突出している構成に限らず、例えば、配線パターンが形成されていない面側に突出している構成でも良い。
【0100】
また、上記実施の形態では、絶縁層の一方の面側に突起電極部が突出している場合について説明したが、これに限らず例えば、両方の面側に突起電極部が突出した構成でも良い。この場合、上下の加圧プレートのそれぞれに、開口部511aが形成された構成とすれば良い。
【0101】
また、上記実施の形態では、貫通孔に球状導電体を1つ圧入する場合について説明したが、これに限らず例えば、貫通孔の口径より絶縁層の厚みの寸法が大きい場合等の場合は、球状導電体を複数個圧入しても良い。
【0102】
また、上記実施の形態では、本発明の粒状導電体の一例として、球状導電体を用いた場合について説明したが、これに限らず例えば、圧入により貫通孔の内壁に固定できる粒状の形態であればどの様な形状でも良い。
【0103】
また、上記実施の形態では、本発明の金属コア部材の一例として、球状体を用いた場合について説明したが、これに限らず例えば、圧入により貫通孔の内壁に固定できる粒状の形態であればどの様な形状でも良い。
【0104】
上記実施の形態によれば、層間接続用のビアと表面実装用の突起が一体構成であり強度が大きく、良好な突起が形成された実装信頼性が高い突起電極付き配線基板及びその製造方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明にかかる突起電極付き配線基板及びその製造方法は、簡易な工程で製造でき、かつ、実装信頼性が高いという効果を有し、半導体装置あるいは電子部品等を実装する実装用配線基板やその製造方法などとして有用である。
【符号の説明】
【0106】
500,600 突起電極付き配線基板
700 突起電極付き4層配線基板
501 絶縁層
503 配線パターン
503a ランド部
504 貫通孔
505 金属コア材
506 半田合金
507 球状導電体
508 突起部
511 マスクプレート
512 上加圧プレート
513 下加圧プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層の少なくとも一方の面に配線層が設けられた配線パターンを形成する配線パターン形成工程と、
前記配線層を接続するための貫通孔を前記配線パターンが形成された前記絶縁層に形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔に対応する位置に、金属コア部材に半田金属を被覆した粒状導電体を配置する配置工程と、
前記粒状導電体が配置された側から加圧プレートで前記粒状導電体を押圧して、前記粒状導電体の一部が前記加圧プレート側に突出した突起電極部として存在する様に前記貫通孔に圧入する加圧工程と、
前記半田金属を加熱固化して前記配線パターンを接続する接合工程とを備えた、突起電極付き配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記粒状導電体は球状導電体であり、
前記加圧プレートの表面には、前記貫通孔に対応する位置に前記球状導電体の径より小さい凹部が設けられており、
前記加圧工程では、前記凹部が形成された前記加圧プレートで前記球状導電体を押圧して局所塑性変形させることで凸形状の前記突起電極部を形成する、請求項1に記載の突起電極付き配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記球状導電体は、前記貫通孔径より小さい金属コア部材を有している請求項2に記載の突起電極付き配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記金属コア部材が軟質金属からなる、請求項1〜3の何れかに記載の突起電極付き配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記金属コア部材が金、銀、銅、銅合金から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1〜4の何れかに記載の突起電極付き配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記絶縁層は、ポリイミドフィルム、アラミドフィルム、PPS(ポリフェレンサルファイド)フィルム、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム、LCPフィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)のいずれか選択された材料によって形成されている、請求項1に記載の突起電極付き配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記加圧工程において、前記粒状導電体は加圧により配線パターンの少なくとも一方の主面から突出した凸形状の前記突起電極部をなす、請求項1に記載の突起電極付き配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記加圧工程において、前記半田金属の厚みは、前記一方の加圧プレートにより加圧変形することで前記凸形状の根元より先端のほうが厚い、請求項2に記載の突起電極付き配線基板の製造方法。
【請求項9】
絶縁層部材と、
絶縁層部材の少なくとも一方の主面に設けられた配線層と、
前記配線層および前記絶縁層部材を厚み方向に貫通した貫通孔と、
前記貫通孔に固定された、金属コア部材に半田金属を被覆した導電性部材とを備えた突起電極付き配線基板であって、
前記導電性部材は、その一部が前記貫通孔から突き出した凸形状の突起電極部を有し、
前記半田金属の厚みは、前記凸形状の根元より先端のほうが厚い、突起電極付き配線基板。
【請求項10】
前記突起電極部は、前記配線層の主面より突き出している、請求項9に記載の突起電極付き配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−238843(P2011−238843A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110295(P2010−110295)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】