説明

立体画像表示制御装置ならびにその動作制御方法およびその動作制御プログラム

【課題】画像合成領域に余白が生じないようにする。
【解決手段】ユーザが視差量を設定する(ステップ72)。画像合成領域に立体画像が表示される(ステップ74)。立体画像が,設定された視差量となるように調整される(ステップ75)。視差量が調整されたことにより,画像合成領域内に余白ができたかどうかが判定される(ステップ76)。余白ができると(ステップ76でNO),余白ができない範囲まで立体画像が拡大される(ステップ77)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,立体画像表示制御装置ならびにその動作制御方法およびその動作制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータを利用して電子アルバムを作成する場合,自動的にレイアウトが決定されるものがある(特許文献1)。立体画像を表示する場合に,立体画像の飛び出し量が一意に決まらないので取り出し量を調整するもの(特許文献2),画像の拡大,縮小により飛び出し量が変化するので,変化した飛び出し量が視差範囲内かどうか判別するもの(特許文献3)などがある。
【0003】
電子アルバムに貼り付ける画像は二次元画像が前提であり,立体画像を貼り付けることは考えられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-223764号公報
【特許文献2】特開2010-45584号公報
【特許文献3】特許第4259913号
【発明の概要】
【0005】
この発明は,電子アルバムに立体画像を貼り付けた場合にレイアウトが崩れないようにすることを目的とする。
【0006】
この発明による立体画像表示制御装置は,テンプレートに形成されている貼り付け領域に貼り付ける立体画像を選択する選択手段,上記選択手段によって選択された立体画像を構成する左目用画像と右目用画像との重複画像部分の少なくとも一部分を,上記貼り付け領域からはみ出さないように上記貼り付け領域内に貼り付ける貼り付け手段,立体画像の視差量を設定する視差量設定手段,上記貼り付け手段によって上記貼り付け領域に貼り付けられた立体画像の視差量を,上記視差量設定手段によって設定された視差量に調整する視差量調整手段,上記視差量調整手段によって視差量が調整されたことにより上記貼り付け領域に余白が生じるかどうかを判定する判定手段,および上記判定手段において上記貼り付け領域に余白が生じると判定されたことに応じて,立体画像を拡大し,上記貼り付け領域内の立体画像を表示するように表示装置を制御する表示制御手段を備えていることを特徴とする。
【0007】
この発明は,上記立体画像表示制御装置に適した動作制御方法も提供している。すなわち,その方法は,選択手段が,テンプレートに形成されている貼り付け領域に貼り付ける立体画像を選択し,貼り付け手段が,上記選択手段によって選択された立体画像を構成する左目用画像と右目用画像との重複画像部分の少なくとも一部分を,上記貼り付け領域からはみ出さないように上記貼り付け領域内に貼り付け,視差量設定手段が,立体画像の視差量を設定し,視差量調整手段が,上記貼り付け手段によって上記貼り付け領域に貼り付けられた立体画像の視差量を,上記視差量設定手段によって設定された視差量に調整し,判定手段が,上記視差量調整手段によって視差量が調整されたことにより上記貼り付け領域に余白が生じるかどうかを判定し,表示制御手段が,上記判定手段において上記貼り付け領域に余白が生じると判定されたことに応じて,立体画像を拡大し,上記貼り付け領域内の立体画像を表示するように表示装置を制御するものである。
【0008】
この発明は,上記立体画像表示制御装置の動作制御方法を実施するためのコンピュータが読み取り可能なプログラムも提供している。そのようなプログラムを格納した記録媒体も提供するようにしてもよい。
【0009】
この発明によると,テンプレートに形成されている貼り付け領域に貼り付ける立体画像が選択される。選択された立体画像を構成する左目用画像と右目用画像との重複画像部分が,貼り付け領域からはみ出ないように貼り付け領域内に貼り付けられる。立体画像の視差量が設定され,貼り付け領域に貼り付けられた立体画像が,設定された視差量に調整される。視差量が調整されたことにより貼り付け領域に余白が生じると,立体画像が拡大される。貼り付け領域内に拡大された立体画像が表示される。視差量が調整されて貼り付け領域に余白が生じた場合には立体画像が拡大されるが,貼り付け領域からはみ出た部分は表示されないので,テンプレートのレイアウトが変わってしまうことを未然に防止できる。
【0010】
上記貼り付け領域には視差量が規定されている場合,上記選択手段は,たとえば,上記貼り付け領域に規定されている視差量と一定範囲内の視差量をもつ立体画像を選択するものである。
【0011】
視差量が規定されていない立体画像の視差量を,視差量が規定されている立体画像のうち,撮像日時がもっとも近い立体画像の視差量とする,あるいは構図が近似している立体画像の視差量としてもよい。
【0012】
上記テンプレートは,たとえば,電子アルバムを構成する複数のページである。この場合,上記視差量設定手段は,たとえば,ページ単位で視差量を設定するものとなる。また,上記視差量設定手段は,前半のページから後半のページとなるにつれて立体画像の視差量が大きくなるように視差量を設定するものでもよい。
【0013】
ページと視差量との関係を表すグラフが複数記憶されている場合には,上記視差量設定手段は,たとえば,複数のグラフの中から一つのグラフを選択することにより視差量を設定するものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】パーソナル・コンピュータの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】電子アルバム編集用ウインドウの一例である。
【図3】(A)は左目用画像を,(B)は右目用画像をそれぞれ示している。
【図4】立体画像の一例である。
【図5】電子アルバムを構成するページの一例である。
【図6】立体画像の一例である。
【図7】電子アルバムを構成するページの一例である。
【図8】立体画像の一例である。
【図9】電子アルバムを構成するページの一例である。
【図10】立体画像の一例である。
【図11】電子アルバムを構成するページの一例である。
【図12】電子アルバム生成処理手順を示すフローチャートである。
【図13】電子アルバム生成処理手順の一部を示すフローチャートである。
【図14】電子アルバム生成処理手順の一部を示すフローチャートである。
【図15】電子アルバムを構成するページの一例である。
【図16】立体画像の一例である。
【図17】立体画像の一例である。
【図18】視差量決定処理手順を示すフローチャートである。
【図19】視差量決定処理手順を示すフローチャートである。
【図20】視差量とページ数とを表すグラフである。
【図21】視差量設定ウインドウの一例である。
【実施例】
【0015】
図1は,この発明の実施例を示すもので,パーソナル・コンピュータ1の電気的構成を示すブロック図である。この実施例では,パーソナル・コンピュータ1は,インターネットを介してサーバ・コンピュータ(図示略)と通信する。サーバ・コンピュータ1と通信しながら,ユーザはパーソナル・コンピュータ1を用いて電子アルバムを作成する。もちろん,サーバ・コンピュータと通信せずに電子アルバムを生成してもよいし,パーソナル・コンピュータ1を用いずに,スーパー,デパート,コンビニエンス・ストアなどに置かれている店頭端末装置を利用して電子アルバムを生成することもできる。その場合には,店頭端末装置が図1に示す電気的構成をもつものとなる。
【0016】
パーソナル・コンピュータ1の全体の動作は,CPU2によって統括される。
【0017】
パーソナル・コンピュータ1には,表示装置3,メモリ4,サーバ・コンピュータと通信するための通信装置5,およびキーボード,マウスなどの入力装置6が含まれている。また,パーソナル・コンピュータ1には,多数の画像を表わす画像データなどが記録されているハード・ディスク10およびハード・ディスク10にアクセスするためにハードディスク・ドライブ9が含まれている。さらに,パーソナル・コンピュータ1には,後述する動作を制御するプログラムが格納されているCD-ROM8にアクセスするCD-ROMドライブ7も含まれている。CD-ROM8に格納されているプログラムがCD-ROMドライブ7によって読み取られ,読み取られたプログラムがパーソナル・コンピュータ1にインストールされることにより,パーソナル・コンピュータ1が後述するように動作する。もっとも動作プログラムは,CD-ROM8のようなパーソナル・コンピュータ1に着脱自在な記録媒体に格納されていなくとも,ネットワークを介してパーソナル・コンピュータ1にダウンロードされて,パーソナル・コンピュータ1にインストールされるようにしてもよい。
【0018】
図2は電子アルバム編集用ウインドウ40の一例である。
【0019】
以下,電子アルバムの生成処理について説明するが,パーソナル・コンピュータ1は,サーバ・コンピュータとすでに接続しており,パーソナル・コンピュータ1の表示装置3の表示画面には図2に示す電子アルバム編集用ウインドウ40が表示されているものとする。
【0020】
編集用ウインドウ40の左下部には,電子アルバムに貼り付ける画像42が表示される画像表示領域41が形成されている。この画像表示領域41に,ハード・ディスク10に格納されている画像データによって表わされる画像(ユーザの画像)42が表示されている。店頭端末装置を用いて電子アルバムを作成する場合には,ユーザは画像データが記録されているメモリ・カードなどの記録媒体を持参し,その記録媒体から画像データが読み取られ,読み取られた画像データによって表される画像が画像表示領域41に表示されるのはいうまでもない。そのような場合には,店頭端末装置にはメモリ・カード・リーダが設けられる。画像表示領域41の右側にはスクロール・ボタン43が形成されている。スクロール・ボタン43はカーソル(図示略)によって上下に移動自在である。スクロール・ボタン43がカーソルによって上下に移動させられることにより,画像表示領域41に現れていない画像が画像表示領域41に現れる。
【0021】
詳しくは後述するように,この実施例では電子アルバムに立体画像を表示させることができる。画像表示領域41に表示されている画像42も立体画像である。
【0022】
編集用ウインドウ40の上部には,電子アルバムを構成するページ(テンプレート)の画像45が表示されるページ表示領域44が形成されている。ページ表示領域44の下にはスクロール・ボタン46が形成されている。スクロール・ボタン46もカーソル(図示略)によって左右に移動自在である。スクロール・ボタン46がカーソルによって左右に移動させられることにより,ページ表示領域44に現れていないページの画像がページ表示領域44に現れる。
【0023】
編集用ウインドウ40のほぼ全体にわたって電子アルバムを構成するページを編集する編集領域48が形成されている。ページ表示領域44に表示されているページの画像の中から所望のページの画像が選択されると(たとえば,ドラッグ・アンド・ドロップにより選択されると),その選択されたページの画像49が編集領域48に表示される。選択されたページの画像49の左側のページ50Lには矩形の(矩形でなくともよい)画像合成領域(貼り付け領域)51および52が規定されている。ページの画像49の右側のページ50Rには画像合成領域は規定されていないが規定されていてもよいのはいうまでもない。これらの画像合成領域51および52に,電子アルバムを構成する画像が貼り付けられる。たとえば,画像表示領域41に表示されている画像42の中から所望の画像が,所望の画像合成領域52にドラッグ・アンド・ドロップされることにより,画像貼り付けが行われる。編集用ウインドウ48の右側には,視差量調整,文字合成,画像削除,画像の色変換など行うための編集用ボタン47が形成されている。
【0024】
図3(A)は矩形の左目用画像60Lを示し,図3(B)は矩形の右目用画像60Rを示している。
【0025】
立体画像を表示する場合には,観賞者の左目で見る左目用画像60Lと観賞者の右目で見る右目用画像60Rとが必要である。このために,この実施例では,画像合成領域51,52などに立体画像として表示させたい画像には,左目用画像60Lと右目用画像60Rとがあらかじめ記憶されている。左目用画像60Lおよび左目用画像60Rは矩形でなくともよい。
【0026】
図4は,立体画像を示しており,図5は,図4に示す立体画像が表示される左側のページ50Lを示している。
【0027】
図4を参照して,左目用画像60Lと右目用画像60Rとが水平方向にずらされて(水平方向のずれ量が視差量)重ね合わせられると,観賞者は重複画像部分61を立体画像として見ることができる。重複画像部分61のうち,図5に示す画像合成領域52の大きさと同じ大きさの領域62内の画像部分が画像合成領域52に表示される。画像合成領域52の横幅をw1,重複画像部分61の横幅をw2とすると,重複画像部分61の横幅w2は画像合成領域52の横幅w1よりも大きいので,画像合成領域52に余白が生じることなく,画像合成領域52に立体画像が表示される。この実施例では,画像合成領域内にのみ立体画像が表示されるように,画像合成領域外のページの背景にはマスク処理が行われている。
【0028】
図6は,視差量を拡大した立体画像を示しており,図7は,図6に示す立体画像が表示される左側のページ50Lを示している。
【0029】
図6を参照して,左目用画像60Lが左方向に,右目用画像60Rが右方向にそれぞれ移動させられると視差量が拡大する。視差量が拡大しても左目用画像60Lと右目用画像60Rとの重複画像部分61の横幅w2が画像合成領域52の横幅w1よりも大きければ,図7に示すように画像合成領域52に余白が生じない。
【0030】
図8は,視差量をさらに拡大した立体画像を示しており,図9は,図8に示す立体画像が表示される左側のページ50Lを示している。
【0031】
図8を参照して,視差量がさらに拡大され,左目用画像60Lと右目用画像60Rとの重複画像部分61の横幅w2が画像合成領域52の横幅w1よりも小さくなったものとする。すると,領域62内の画像の両端部分(ハッチングで示す)63は重複画像部分61からはみ出る。ハッチングで示す部分63は,左目用画像60Lまたは右目用画像60Rのうちいずれか一方の画像しか存在していないから,立体画像を構成する部分とはならずに,図9に示すように画像合成領域52内の両端部分63が余白となってしまう。画像合成領域52内に余白ができると,ページのレイアウトが崩れることとなる。このために,この実施例では,余白ができると立体画像(左目用画像60Lおよび右目用画像60R)が拡大される。
【0032】
図10は,拡大された立体画像を示しており,図11は,図10に示す立体画像が表示される左側のページ50Lを示している。
【0033】
立体画像(左目用画像60L,右目用画像60R)が拡大されると,左目用画像60Lと右目用画像60Rとの重複画像部分61の横幅w2も大きくなる。このために,画像合成領域52の横幅w1よりも重複画像部分61の横幅w2の方が大きくなる。画像合成領域52には,余白が生じなくなる。このように,この実施例では,視差量が大きくなることにより画像合成領域に余白ができる場合には立体画像を拡大するものである。
【0034】
図12は,電子アルバム生成処理手順を示すフローチャートである。
【0035】
電子アルバムが選択され,その電子アルバムを構成するページがユーザによって選択される(ステップ71)。ユーザは,その選択されたページに貼り付けられる立体画像の視差量を,編集用ボタン47を用いて設定する(ステップ72)。たとえば,編集用ボタン47のうちの視差量設定ボタンがクリックされると,視差量調整ウインドウが現れ,その視差量調整ウインドウを用いて,画像合成領域の横幅に対する割合を設定する。この割合が視差量となる。視差量は,ページごとに設定してもよいし,画像合成領域ごとに設定してもよいし,選択された電子アルバムに共通としてもよい。
【0036】
つづいて,画像合成領域に貼り付ける立体画像が選択される(ステップ73)。すると,図5に示すように,例えば,画像合成領域52に選択された立体画像が表示される(ステップ74)。このときには,立体画像にもともと規定されている視差量で立体画像が表示される。立体画像に視差量が規定されていなければ,所定の視差量で立体画像が表示されよう。
【0037】
つづいて,ユーザによって設定された視差量となるように立体画像が調整される(ステップ75)。これにより,図7,図9などに示すように,設定された視差量をもつ立体画像が画像合成領域52などに表示される。視差量が調整されることにより,画像合成領域に余白が生じるかどうかが確認される(ステップ76)。
【0038】
図8,図9に示したように,視差量が拡大されることにより画像合成領域に余白が生じると(ステップ76でYES),図10,図11に示したように,画像合成領域に余白が生じない範囲まで立体画像が拡大される(ステップ77)。画像合成領域52の横幅w1と左目用画像60Lと右目用画像60Rとの重複画像部分61の横幅w2とが等しくなるまで,左目用画像60Lと右目用画像60Rとが拡大される。拡大された立体画像が表示されることとなる(ステップ78)。
【0039】
図6,図7に示したように,視差量が拡大されても画像合成領域に余白が生じなければ(ステップ76でNO),ステップ77に示す画像拡大処理はスキップされる。
【0040】
画像合成領域に余白が生じてしまうことを未然に防止できるようになる。
【0041】
図13から図19は,他の実施例を示している。
【0042】
この実施例は,画像合成領域に視差量が規定されている場合に,画像合成領域の視差量に近い視差量が規定されている立体画像を,その画像合成領域に貼り付けるものである。
【0043】
電子アルバムが選択され,その選択された電子アルバムを構成するページがユーザによって選択される(ステップ81)。
【0044】
図15は,選択されたページ100Lおよび100Rの一例である。
【0045】
左側のページ100Lには画像合成領域101,102,103および104が形成されている。これらの画像合成領域101,102,103および104のそれぞれには,視差量が規定されている。画像合成領域101,102,103および104のそれぞれに記載されている「中」,「大」,「小」よび「小」の文字が,画像合成領域101,102,103および104のそれぞれの視差量を表している。たとえば,「大」,「中」および「小」は,それぞれ画像合成領域の横幅の10%,5%および3%の視差量を規定している。
【0046】
同様に,右側のページ100Rには画像合成領域105,106,107および108が形成されている。これらの画像合成領域101,102,103および104には「特大」,「中」,「小」および「中」の視差量が規定されている。「特大」は,たとえば,画像合成領域の横幅の15%の視差量を規定している。
【0047】
上述した視差量は,ページ100Lおよび100Rを表わす画像ファイルのヘッダに記録されている。そのヘッダから所望の画像合成領域の視差量を表わすデータを読み出すことにより,その画像合成領域の視差量が分かる。
【0048】
図13に戻って,選択されたページの画像数(画像合成領域の数)Nが検出される(ステップ82)。図15に示す例では,左側のページ100Lと右側のページ100Rとを合わせて画像数は8となるが,左側のページ100Lと右側のページ100Rとを別々に数えて画像数を4としてもよい。
【0049】
画像数Nが0より大きければ(ステップ83でYES),所望の画像合成領域が選択され,その選択された画像合成領域に規定されている視差量が読み取られる(ステップ84)。
【0050】
電子アルバムに貼り付けようとする(パーソナル・コンピュータに記憶されている)立体画像のうち,視差量が規定されていない立体画像の視差量が決定される(ステップ85)。この視差量決定処理について詳しくは後述する。もっとも,視差量が規定されていない立体画像について視差量を必ずしも決定しなくともよい。視差量が規定されていない立体画像について視差量決定処理が行われない場合にはステップ85の処理はスキップされる。
【0051】
画像合成領域から読み取られた視差量から一定範囲内の視差量をもつ立体画像が検出される(ステップ86)。
【0052】
図16は,立体画像の一例である。
【0053】
パーソナル・コンピュータに立体画像111,112,113,114などが記憶されているものとする。立体画像111,112,113および114には,それぞれ「大」,「中」,「中」および「小」の視差量が規定されているものとする。たとえば,「大」,「中」および「小」は,それぞれ,立体画像の横幅の10%,5%および3%の視差量である。
【0054】
図16に示す立体画像111〜114のうち,図15に示す画像合成領域101〜108の視差量に近い視差量をもつ立体画像が,画像合成領域101〜108に貼り付けられる(図13ステップ87)。例えば,図16に示す画像111は,図15に示す画像合成領域102に貼り付けられ,図16に示す画像112または113は,図16に示す画像合成領域101,106または108のいずれかに貼り付けられる。図16に示す画像114は,図15に示す画像合成領域103,104または107のいずれかに貼り付けられる。画像合成領域への立体画像の貼り付けは,左側または上側が優先するようにしてもよい。すると,画像112は画像合成領域101に貼り付けられ,画像113は画像合成領域106に貼り付けられ,画像114は画像合成領域103に貼り付けられる。
【0055】
画像合成領域に貼り付けられた立体画像に規定されている視差量と,立体画像が貼り付けられた画像合成領域に規定されている視差量とが一致していなければ,画像合成領域に規定されている視差量となるように立体画像が調整される(ステップ88)。例えば,図15に示すページ100Lおよび100Rに視差量が「小」の画像合成領域103,104,107が存在せずに,図16に示す立体画像114が画像合成領域108に貼り付けられたものとする。すると,立体画像114は,画像合成領域108の視差量となるように調整される。
【0056】
立体画像が画像合成領域に規定されている視差量に調整させられたことにより,画像合成領域に余白ができるかどうかが判定される(ステップ89)。余白ができると(ステップ89でYES),上述したのと同様に,余白ができない範囲まで立体画像が拡大される(ステップ90)。拡大された立体画像が表示される(ステップ91)。画像合成領域に余白ができなければ(ステップ89でNO),ステップ90および91の処理はスキップされる。
【0057】
画像数がデクレメントされて(ステップ92),ステップ83からの処理が繰り返される。
【0058】
図17は,立体画像の一例である。
【0059】
立体画像121〜129のうち,「無」の文字が付されている立体画像121,123,124,126,127,129は,視差量が規定されていない。「有」の文字が付されている立体画像122,125,128は,視差量が規定されている。また,立体画像121〜129は撮像日時順に並んでいるものとする。
【0060】
図18は,視差量決定処理手順(図13ステップ85の処理手順)を示すフローチャートである。
【0061】
まず,立体画像に視差量が規定されているかどうかが判定される(ステップ131)。立体画像を表わす画像ファイルのヘッダに視差量が規定されている場合には,そのヘッダに視差量を表すデータが書き込まれているかどうかによって判定処理が行われる。
【0062】
立体画像に視差量が規定されていない場合には(ステップ131でNO),視差量が規定されていない立体画像の撮像日時にもっとも近い撮像日時の立体画像の視差量が,視差量が規定されていない立体画像の視差量と決定される(ステップ132)。たとえば,図17の視差量が規定されている立体画像122,125,128のうち,立体画像123の撮像日時にもっとも近い撮像日時の立体画像が立体画像122であったとすると,立体画像123の視差量は立体画像122の視差量に決定される。
【0063】
図19は,他の視差量決定処理手順(図13ステップ85の処理手順)を示すフローチャートである。
【0064】
立体画像に視差量が規定されていないと(ステップ131でNO),視差量が規定されていない立体画像の構図に近い構図をもち,かつ視差量が規定されている立体画像が見つけられる(ステップ133)。例えば,人物の顔が中央に大きく撮像された立体画像の視差量が規定されていない場合には,そのような構図と同じ構図で,かつ視差量が規定されている立体画像が見つけられる。見つけられた立体画像に規定されている視差量が,視差量が規定されていない立体画像の視差量と決定される(ステップ134)。構図が近いかどうかは,画像のパターン・マッチングを利用できるのはいうまでもない。
【0065】
立体画像に規定されている視差量は,撮像時に立体撮像ディジタル・カメラで規定されてものでもよいし,撮像後にパーソナル・コンピュータなどを用いて規定されたものでもよい。
【0066】
上述の視差量の設定は,ユーザに一定範囲のみ許可し,その一定範囲外の視差量を設定しようとする場合には,一定範囲内の所定の視差量に決定するようにしてもよい。
【0067】
上述の実施例において,電子アルバムを構成するページ単位で視差量を設定できるようにしてもよい。その場合には,編集ボタン47によってページが指定され,かつ指定されたページごとに視差量が編集ボタン47を利用して入力されることとなろう。
【0068】
図20は,視差量とページ数との関係を示すグラフである。
【0069】
グラフ135は,前半のページから後半のページになるにつれて立体画像の視差量が大きくなるような関係を示している。このような視差量とページ数との関係を示すグラフ135をあらかじめ記憶しておき,そのグラフ135にしたがって視差量を設定するようにしてもよい。
【0070】
図21は,視差量設定ウインドウの一例である。
【0071】
視差量設定ウインドウ140には,グラフ・ウインドウ141〜146が設定されている。グラフ・ウインドウ141〜146には,それぞれ視差量とページ数との関係を示すグラフが規定されている。また,視差量設定ウインドウ140には,キャンセル・ボタン147および決定ボタン148が形成されている。
【0072】
グラフ・ウインドウ141〜146の中から所望の視差量を設定するグラフが規定されているグラフ・ウインドウがユーザによって選択される(たとえば,入力装置6としてのマウスを利用してクリックされる)。その後,決定ボタン148がクリックされると,選択されているグラフ・ウインドウに規定されているグラフにもとづいてページごとの視差量が設定される。
【符号の説明】
【0073】
1 パーソナル・コンピュータ(立体画像表示制御装置)
2 CPU(表示制御手段,視差量拡大手段,余白判定手段)
3 表示装置
51,52 画像合成領域
60L 左目用画像
60R 右目用画像
61 重複画像部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンプレートに形成されている貼り付け領域に貼り付ける立体画像を選択する選択手段,
上記選択手段によって選択された立体画像を構成する左目用画像と右目用画像との重複画像部分の少なくとも一部分を,上記貼り付け領域からはみ出さないように上記貼り付け領域内に貼り付ける貼り付け手段,
立体画像の視差量を設定する視差量設定手段,
上記貼り付け手段によって上記貼り付け領域に貼り付けられた立体画像の視差量を,上記視差量設定手段によって設定された視差量に調整する視差量調整手段,
上記視差量調整手段によって視差量が調整されたことにより上記貼り付け領域に余白が生じるかどうかを判定する判定手段,および
上記判定手段において上記貼り付け領域に余白が生じると判定されたことに応じて,立体画像を拡大し,上記貼り付け領域内の立体画像を表示するように表示装置を制御する表示制御手段,
を備えた立体画像表示制御装置。
【請求項2】
上記貼り付け領域には視差量が規定されており,
上記選択手段は,
上記貼り付け領域に規定されている視差量と一定範囲内の視差量をもつ立体画像を選択するものである,
請求項1に記載の立体画像表示制御装置。
【請求項3】
視差量が規定されていない立体画像の視差量を,視差量が規定されている立体画像のうち,撮像日時がもっとも近い立体画像の視差量とする,あるいは構図が近似している立体画像の視差量とする,
請求項1または2に記載の立体画像表示制御装置。
【請求項4】
上記テンプレートは電子アルバムを構成する複数のページであり,
上記視差量設定手段は,ページ単位で視差量を設定するものである,
請求項1から3のうち,いずれか一項に記載の立体画像表示制御装置。
【請求項5】
上記視差量設定手段は,前半のページから後半のページとなるにつれて立体画像の視差量が大きくなるように視差量を設定するものである,
請求項1から4のうち,いずれか一項に記載の立体画像表示制御装置。
【請求項6】
ページと視差量との関係を表すグラフが複数記憶されており,
上記視差量設定手段は,
複数のグラフの中から一つのグラフを選択することにより視差量を設定するものである,
請求項4または5に記載の立体画像表示制御装置。
【請求項7】
選択手段が,テンプレートに形成されている貼り付け領域に貼り付ける立体画像を選択し,
貼り付け手段が,上記選択手段によって選択された立体画像を構成する左目用画像と右目用画像との重複画像部分の少なくとも一部分を,上記貼り付け領域からはみ出さないように上記貼り付け領域内に貼り付け,
視差量設定手段が,立体画像の視差量を設定し,
視差量調整手段が,上記貼り付け手段によって上記貼り付け領域に貼り付けられた立体画像の視差量を,上記視差量設定手段によって設定された視差量に調整し,
判定手段が,上記視差量調整手段によって視差量が調整されたことにより上記貼り付け領域に余白が生じるかどうかを判定し,
表示制御手段が,上記判定手段において上記貼り付け領域に余白が生じると判定されたことに応じて,立体画像を拡大し,上記貼り付け領域内の立体画像を表示するように表示装置を制御する,
立体画像表示制御装置の動作制御方法。
【請求項8】
立体画像表示制御装置のコンピュータを制御するコンピュータが読み取り可能なプログラムであって,
テンプレートに形成されている貼り付け領域に貼り付ける立体画像を選択させ,
選択された立体画像を構成する左目用画像と右目用画像との重複画像部分を,上記貼り付け領域からはみ出さないように上記貼り付け領域内に貼り付けさせ,
立体画像の視差量を設定させ,
上記貼り付け領域に貼り付けられた立体画像の視差量を,設定された視差量に調整させ,
視差量が調整されたことにより上記貼り付け領域に余白が生じるかどうかを判定させ,
上記貼り付け領域に余白が生じると判定されたことに応じて,立体画像を拡大し,上記貼り付け領域内の立体画像を表示装置の表示画面に表示させるように立体画像表示制御装置のコンピュータを制御するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−70299(P2012−70299A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214723(P2010−214723)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】