立体画像表示装置、及び表示パネル
【課題】立体画像表示装置を通常の観察方向から90°回転させた場合でも、カラーの立体画像を視認性が優れた状態で観察者に認識させることができる立体画像表示装置、及び前記立体画像表示装置に組み込まれる表示パネルを提供する。
【解決手段】カラーの立体画像を表示する立体画像表示装置1において、観察者側から光学手段3、表示パネル2及び光源を設ける。表示パネル2においては、第1方向21における画素の配列ピッチと第2方向22における画素の配列ピッチとが相互に等しい。表示パネル2は相互に同色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、第1方向21及び第2方向22において相互に異なる色の画素マトリクスが繰返し配列されている。
【解決手段】カラーの立体画像を表示する立体画像表示装置1において、観察者側から光学手段3、表示パネル2及び光源を設ける。表示パネル2においては、第1方向21における画素の配列ピッチと第2方向22における画素の配列ピッチとが相互に等しい。表示パネル2は相互に同色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、第1方向21及び第2方向22において相互に異なる色の画素マトリクスが繰返し配列されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像を表示し得る立体画像表示装置、及び前記立体画像表示装置に組み込まれる表示パネルに関し、特に、立体画像表示装置を一の方向だけでなくこの一の方向に直交する他の方向に配置した場合でも立体視が可能な立体画像表示装置、及び表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、立体画像を表示することができる表示装置の検討が行われている。紀元前280年にギリシャの数学者ユークリッドは「立体視とは、同一物体の異なる方向から眺めた別々の映像を左右両眼が同時に見ることによって得られる感覚である」と考察している(例えば、非特許文献1(増田千尋著、産業図書株式会社刊「3次元ディスプレイ」)参照。)。即ち、立体画像表示装置の機能としては、左右両眼に視差のある画像を夫々提示することが必要となる。
【0003】
この機能を具体的に実現する方法として、かねてから多くの立体画像表示方式が検討されているが、これらは眼鏡を使用する方式と眼鏡を使用しない方式に大別することができる。このうち、眼鏡を使用する方式には、色の違いを利用したアナグリフ方式、及び偏光を利用した偏光眼鏡方式等があるが、本質的に眼鏡をかける煩わしさを避けることができないため、近年では眼鏡を使用しない眼鏡なし方式が盛んに検討されている。眼鏡なし方式には、レンチキュラレンズ方式及びパララックスバリア方式等がある。
【0004】
先ず、レンチキュラレンズ方式について説明する。レンチキュラレンズ方式は、例えば前述の非特許文献1に記載されているように、Ives等により1910年頃に発明された。図29はレンチキュラレンズを示す斜視図であり、図30はレンチキュラレンズを使用する立体画像表示方法を示す光学モデル図である。図29に示すように、レンチキュラレンズ121は一方の面が平面となっており、他方の面には、一方向に延びるかまぼこ状の凸部(シリンドリカルレンズ122)が、その長手方向が相互に平行になるように複数個形成されている。
【0005】
そして、図30に示すように、レンチキュラレンズ方式の立体画像表示装置においては、観察者側から順に、レンチキュラレンズ121、表示パネル106、光源108が配置されており、レンチキュラレンズ121の焦点面に表示パネル106の画素が位置している。表示パネル106においては、右眼141用の画像を表示する画素123と左眼142用の画像を表示する画素124とが交互に配列されている。このとき、相互に隣接する画素123及び画素124からなる群は、レンチキュラレンズ121の各シリンドリカルレンズ(凸部)122に対応している。これにより、光源108から出射し各画素を透過した光は、レンチキュラレンズ121のシリンドリカルレンズ122により左右の眼に向かう方向に振り分けられる。これにより、左右の眼に相互に異なる画像を認識させることが可能となり、観察者に立体画像を認識させることが可能になる。このように、左眼用画像及び右眼用画像を夫々の眼に対して表示して、観察者に立体画像を認識させる方式は、2つの視点を形成するため2視点方式と呼ばれている。
【0006】
次に、通常のレンチキュラレンズと表示パネルとを備えた立体画像表示装置の各部のサイズについて詳細に説明する。図31は、通常のレンチキュラレンズ方式の2眼式立体画像表示装置の光学モデルを示す図であり、図32はこの2眼式立体画像表示装置の立体可視域を示す図である。図31に示すように、レンチキュラレンズ121の頂点と表示パネル106の画素との間の距離をHとし、レンチキュラレンズ121の屈折率をnとし、焦点距離をfとし、レンズ要素の配列周期、即ちレンズピッチをLとする。表示パネル106の表示画素においては、各1個の左眼用画素124及び右眼用画素123が1組になって配置されている。この画素のピッチをPとする。従って、各1個の左眼用画素124及び右眼用画素123からなる表示画素の配列ピッチは2Pとなる。この各1個の左眼用画素124及び右眼用画素123の2画素からなる表示画素に対して、1つのシリンドリカルレンズ122が対応して配置されている。
【0007】
また、レンチキュラレンズ121と観察者との間の距離を最適観察距離ODとし、この距離ODにおける画素の拡大投影幅、即ち、レンズから距離ODだけ離れレンズと平行な仮想平面上における左眼用画素124及び右眼用画素123の投影像の幅を夫々eとする。更に、レンチキュラレンズ121の中央に位置するシリンドリカルレンズ122の中心から、横方向112におけるレンチキュラレンズ121の端に位置するシリンドリカルレンズ122の中心までの距離をWLとし、表示パネル106の中心に位置する左眼用画素124と右眼用画素123からなる表示画素の中心と、横方向112における表示パネル106の端に位置する表示画素の中心との間の距離をWPとする。更にまた、レンチキュラレンズ121の中央に位置するシリンドリカルレンズ122における光の入射角及び出射角を夫々α及びβとし、横方向112におけるレンチキュラレンズ121の端に位置する凸部122における光の入射角及び出射角を夫々γ及びδとする。更にまた、距離WLと距離WPとの差をCとし、距離WPの領域に含まれる画素数を2m個とする。
【0008】
シリンドリカルレンズ122の配列ピッチLと画素の配列ピッチPとは相互に関係しているため、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてレンチキュラレンズを設計することが多いため、画素の配列ピッチPを定数として扱う。また、レンチキュラレンズ121の材料を選択することにより、屈折率nが決定される。これに対して、レンズと観察者との間の観察距離OD、及び観察距離ODにおける画素拡大投影幅eは所望の値を設定する。これらの値を使用して、レンズの頂点と画素との間の距離H及びレンズピッチLを決定する。スネルの法則と幾何学的関係より、下記数式1乃至6が成立する。また、下記数式7乃至9が成立する。
【0009】
【数1】
【0010】
【数2】
【0011】
【数3】
【0012】
【数4】
【0013】
【数5】
【0014】
【数6】
【0015】
【数7】
【0016】
【数8】
【0017】
【数9】
【0018】
上記数式1乃至3より、夫々下記数式10乃至12が成立する。
【0019】
【数10】
【0020】
【数11】
【0021】
【数12】
【0022】
また、上記数式6及び9より下記数式13が成立する。また、上記数式8及び数式9より、下記数式14が成立する。更に、上記数式5より、下記数式15が成立する。
【0023】
【数13】
【0024】
【数14】
【0025】
【数15】
【0026】
なお、通常はレンチキュラレンズの頂点と画素との間の距離Hを、レンチキュラレンズの焦点距離fと等しくするため、下記数式16が成立し、レンズの曲率半径をrとすると、曲率半径rは下記数式17により求まる。
【0027】
【数16】
【0028】
【数17】
【0029】
図32に示すように、全ての右眼用画素123からの光が到達する領域を右眼領域171とし、全ての左眼用画素124からの光が到達する領域を左眼領域172とする。観察者は、右眼141を右眼領域171に位置させ、左眼142を左眼領域172に位置させれば、立体画像を認識することができる。但し、観察者の両眼間隔は一定なので、右眼141及び左眼142を夫々右眼領域171及び左眼領域172の任意の位置に配置できるわけではなく、両眼間隔を一定値に保つことができる領域に限定される。即ち、右眼141及び左眼142の中点が立体可視域107に位置する場合にのみ、立体視が可能となる。表示パネル106からの距離が最適観察距離ODとなる位置では、立体可視域107における横方向112に沿った長さが最長となるため、観察者の位置が横方向112にずれた場合の許容度が最大となる。このため、表示パネル106からの距離が最適観察距離ODとなる位置が、最も理想的な観察位置である。
【0030】
後述するように、パララックスバリア方式が不要な光線をバリアにより「隠す」方式であるのに対し、レンチキュラレンズ方式は光の進む向きを変える方式であり、原理的にレンチキュラレンズを設けることによる表示画面の明るさの低下がない。そのため、特に高輝度表示及び低消費電力性能が重視される携帯機器等への適用が有力視されている。
【0031】
レンチキュラレンズ方式による立体画像表示装置を開発した例が、例えば非特許文献2(2003年1月6日発行の日経エレクトロニクスNo.838、第26〜27頁)に記載されている。立体画像表示装置を構成する液晶表示パネルは、対角7インチ型の大きさで横800ドット×480ドットの表示ドット数を有する。レンチキュラレンズと液晶表示パネルの距離を0.6mm変えることにより、立体画像表示と平面表示とを切替えることができる。横方向視点数は5であり、横方向に角度を変えると5つの異なる画像を見ることができる。縦方向の視点数は1であるため、縦方向に角度を変えても画像は変化しない。
【0032】
次に、パララックスバリア方式について説明する。パララックスバリア方式は、1896年にBerthierが着想し、1903年にIvesによって実証された。図33は、パララックスバリアを使用する立体画像表示方法を示す光学モデル図である。図33に示すように、パララックスバリア105は、細い縦縞状の多数の開口、即ち、スリット105aが形成されたバリア(遮光板)である。そして、このパララックスバリア105の一方の表面の近傍には、表示パネル106が配置されている。表示パネル106においては、スリットの長手方向と直交する方向に右眼用画素123及び左眼用画素124が配列されている。また、パララックスバリア105の他方の表面の近傍、即ち、表示パネル106の反対側には、光源108が配置されている。
【0033】
光源108から出射され、パララックスバリア105の開口(スリット105a)を通過し、右眼用画素123を透過した光は、光束181となる。同様に、光源108から出射され、スリット105aを通過し、左眼用画素124を通過した光は光束182となる。このとき、立体画像の認識が可能となる観察者の位置は、パララックスバリア105と画素との位置関係により決定される。即ち、観察者104の右眼141は、複数の右眼用画素123に対応する全ての光束181の通過域内にあり、且つ、観察者の左眼142は、全ての光束182の通過域内にあることが必要となる。これは、図33において、観察者の右眼141と左眼142との中点143が図33に示す四角形の立体可視域107内に位置する場合である。
【0034】
立体可視域107における右眼用画素123及び左眼用画素124の配列方向に延びる線分のうち、立体可視域107における対角線の交点107aを通る線分が最も長い線分となる。このため、中点143が交点107aに位置するとき、観察者の位置が左右方向にずれた場合の許容度が最大となるため、観察位置としては最も好ましい。従って、この立体画像表示方法においては、この交点107aと表示パネル106との距離を最適観察距離ODとし、この距離で観察することを観察者に推奨している。なお、立体可視域107における表示パネル106からの距離が最適観察距離ODとなる仮想的な平面を、最適観察面107bという。これにより、観察者の右眼141及び左眼142に夫々右眼用画素123及び左眼用画素124からの光が到達することになる。このため、観察者は表示パネル106に表示された画像を、立体画像として認識することが可能になる。
【0035】
次に、表示パネルの前面にスリット状の開口部が形成されたパララックスバリアが配置された立体画像表示装置について、その各部のサイズを詳細に説明する。図34は、表示パネルの観察者側にスリット状のパララックスバリアを備えた2眼式立体画像表示装置の光学モデルを示す図である。なお、説明の都合上、パララックスバリアの開口幅は微小であり無視できるものとする。図34に示すように、パララックスバリア105のスリット105aの配列ピッチをLとし、表示パネル106とパララックスバリア105との間の間隔をHとする。また、画素の配列ピッチをPとする。前述の如く、表示パネル106においては、2個の画素、即ち、各1個の右眼用画素123及び左眼用画素124が1組の画素群となって配置されているため、その画素群の配列ピッチは2Pとなる。スリット105aの配列ピッチLと画素群の配列ピッチPとは相互に関係しているため、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてパララックスバリアを設計することが多いため、画素の配列ピッチPを定数として扱う。
【0036】
また、全ての右眼用画素123からの光が到達する領域を右眼領域171とし、全ての左眼用画素124からの光が到達する領域を左眼領域172とする。観察者は、右眼141を右眼領域171に位置させ、左眼142を左眼領域172に位置させれば立体画像を認識することができる。但し、観察者の両眼間隔は一定なので、右眼141及び左眼142を夫々右眼領域171及び左眼領域172の任意の位置に配置できるわけではなく、両眼間隔を一定値に保つことができる領域に限定される。即ち、右眼141及び左眼142の中点143が立体可視域107に位置する場合にのみ、立体視が可能となる。表示パネル106からの距離が最適観察距離ODとなる位置では、立体可視域107における横方向112に沿った長さが最長となるため、観察者の位置が横方向112にずれた場合の許容度が最大となる。このため、表示パネル106からの距離が最適観察距離ODとなる位置が、最も理想的な観察位置である。立体可視域107における表示パネル106からの距離が最適観察距離ODである仮想平面を最適観察面107bとする。また、最適観察面107bにおける1個の画素の拡大投影幅をeとする。
【0037】
次に、上述の各値を使用して、パララックスバリア105と表示パネル106の画素との間の距離Hを決定する。図34に示す幾何学的関係より、下記数式18が成立し、これにより、下記数式19に示すように、間隔Hが求まる。
【0038】
【数18】
【0039】
【数19】
【0040】
更に、表示パネル106の横方向112における中心に位置する画素群の中心と、横方向112における端に位置する画素群の中心との間の距離をWPとし、これらの画素群に夫々対応するスリット105aの中心間の距離をWLとすると、距離WPと距離WLとの差Cは下記数式20で与えられる。また、表示パネル106において距離WPに含まれる画素数を2m個とすると、下記数式21が成立する。更に、幾何学的関係から下記数式22が成り立つため、パララックスバリア105のスリット105aのピッチLは下記数式23により与えられる。
【0041】
【数20】
【0042】
【数21】
【0043】
【数22】
【0044】
【数23】
【0045】
次に、表示パネルの背面にパララックスバリアを備えた立体画像表示装置について、各部のサイズについて詳細に説明する。図35は、表示パネルの背面にスリット状のパララックスバリアを備えた2眼式立体画像表示装置の光学モデルを示す図である。なお、説明の都合上、パララックスバリアの開口幅は微小であり無視できるものとする。前述の表示パネルの前面にパララックスバリアが配置された場合と同様に、パララックスバリア105のスリット105aの配列ピッチをLとし、表示パネル106とパララックスバリア105との間の間隔をHとする。また、画素の配列ピッチをPとする。前述の如く、表示パネル106においては、2個の画素、即ち、各1個の右眼用画素123及び左眼用画素124が1組の画素群となって配置されているため、その画素群の配列ピッチは2Pとなる。スリット105aの配列ピッチLと画素群の配列ピッチPとは相互に関係しているため、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてパララックスバリアを設計することが多いため、画素の配列ピッチPを定数として扱う。
【0046】
また、全ての右眼用画素123からの光が到達する領域を右眼領域171とし、全ての左眼用画素124からの光が到達する領域を左眼領域172とする。観察者は、右眼141を右眼領域171に位置させ、左眼142を左眼領域172に位置させれば立体画像を認識することができる。但し、観察者の両眼間隔は一定なので、右眼141及び左眼142を夫々右眼領域171及び左眼領域172の任意の位置に配置できるわけではなく、両眼間隔を一定値に保つことができる領域に限定される。即ち、右眼141及び左眼142の中点143が立体可視域107に位置する場合にのみ、立体視が可能となる。表示パネル106からの距離が最適観察距離ODとなる位置では、立体可視域107における横方向112に沿った長さが最長となるため、観察者の位置が横方向112にずれた場合の許容度が最大となる。このため、表示パネル106からの距離が最適観察距離ODとなる位置が、最も理想的な観察位置である。更に、立体可視域107における表示パネル106からの距離が最適観察距離ODである仮想平面を最適観察面107bとする。更に、最適観察面107bにおける1個の画素の拡大投影幅をeとする。
【0047】
次に、上述の各値を使用して、パララックスバリア105と表示パネル106の画素との間の距離Hを決定する。図35に示す幾何学的関係より、下記数式24が成立し、これにより、下記数式25に示すように、間隔Hが求まる。
【0048】
【数24】
【0049】
【数25】
【0050】
更に、表示パネル106の横方向112における中心に位置する画素群の中心と、横方向112における端に位置する画素群の中心との間の距離をWPとし、これらの画素群に夫々対応するスリット105aの中心間の距離をWLとすると、距離WPと距離WLとの差Cは下記数式26で与えられる。また、表示パネル6において距離WPに含まれる画素数を2m個とすると、下記数式27及び数式28が成立する。更に、幾何学的関係から下記数式29が成り立つため、パララックスバリア105のスリット105aのピッチLは下記数式30により与えられる。
【0051】
【数26】
【0052】
【数27】
【0053】
【数28】
【0054】
【数29】
【0055】
【数30】
【0056】
パララックスバリア方式は、当初考案された際には、パララックスバリアが画素と眼との間に配置されていたこともあり、目障りで視認性が低い点が問題であった。しかし、近時の液晶表示パネルの実現に伴って、図33に示すように、パララックスバリア105を表示パネル106の裏側に配置することが可能となって視認性が改善された。このため、パララックスバリア方式の立体画像表示装置については、現在盛んに検討が行われている。
【0057】
パララックスバリア方式を用いて実際に製品化された例が、前述の非特許文献2の表1中に記載されている。これは、3D対応液晶パネルを搭載した携帯電話であり、立体画像表示装置を構成する液晶表示パネルは、対角2.2インチ型の大きさで横176ドット×縦220ドットの表示ドット数を有する。そして、パララックスバリアの効果をオン・オフするスイッチ用の液晶パネルが設けられており、立体画像表示と平面画像表示を切替えて表示することができる。立体画像表示時には、前述のように左眼用画像と右眼用画像の2枚の画像を表示する。即ち、2視点方式の立体画像表示装置である。
【0058】
これに対し、2枚の画像だけでなく、更に多くの画像を使用して、立体感を高める試みが行われている。例えば、前述のように、左眼用画像と右眼用画像の2枚の画像の組を横方向に表示するだけでなく、この2枚の画像の組とは異なった更に2枚の画像の組を上下方向にも配置する。パララックスバリアの開口部の形状はピンホール状にしておく。すると、観察者の位置が上下方向に移動した場合、異なる立体画像が認識できる。上下方向に配置した2枚の画像の組は、表示する物体を上下方向から観察した画像にしておく。すると、観察者が上下方向に位置を変えることで、上下方向にも立体感を感じることができ、結果として立体感を高めることができる。
【0059】
横方向と上下方向の2次元状に画像を表示する立体画像表示装置の開発例が、非特許文献3に記載されている。これは、横方向に7視点、上下方向に4視点を実現した28視点式の多視点立体画像表示装置であり、立体画像表示装置を構成する液晶表示装置は対角22インチ型の大きさでQUXGA−W(横3840ドット×縦2400ドット)の表示ドット数を有する。観察位置を横方向のみならず、上下方向に移動した場合にも連続的に変化する立体画像を観察することができる。
【0060】
しかしながら、上述の従来の立体画像表示装置においては、表示画面の配置方向を、観察者に対して常に一方向に設定することを前提としている。このため、観察者に対する表示画面の方向を変えた場合には、観察者に立体画像を視認させることが不可能になる。例えば、上述の表示装置を、通常の方向からどちらかに90°回転させると、観察者が両眼で同一の画像を観察することになるため、立体画像を認識することができなくなる。
【0061】
この問題を解決するために、特許文献1(特開平06−214323号公報)には、2枚のレンチキュラレンズを、レンズの長手方向が相互に直交し、各レンズの焦点が同一平面上に位置するように重ね合わせ、マトリクス状に配列された複数の画素からの光を画面の縦方向及び横方向の双方に振り分ける技術が開示されている。特許文献1には、これにより、例えば観察者が横になるなどして、観察者に対する表示画面の方向が90°回転した場合でも、観察者に立体画像を認識させることができると記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0062】
【非特許文献1】増田千尋著、産業図書株式会社刊「3次元ディスプレイ」
【非特許文献2】2003年1月6日発行の日経エレクトロニクスNo.838、第26〜27頁
【非特許文献3】2003年3月20日発行の光技術コンタクト第41巻第3号、第21〜32頁
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開平06−214323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0064】
しかしながら、上述の従来の技術には以下に示すような問題点がある。本発明者等が検討した結果、特許文献1に記載の表示装置では、カラー画像を表示する場合に、観察者に対する表示装置の配置方向を変更すると、うまく立体表示することができないことが明らかになった。以下、この現象について詳細に説明する。
【0065】
先ず、レンズを使用する場合について説明する。表示装置を縦横どちらに配置しても立体画像を観察できるようにするために、前述の特許文献1においては、レンズの長手方向が相互に直交するように配置された2枚のレンチキュラレンズを使用しているが、レンズ要素が二次元的に配列されたフライアイレンズを使用してもよい。図36はフライアイレンズを示す斜視図である。
【0066】
立体画像表示装置に使用する表示装置としては、現在最も汎用的なストライプ状の色配列を採用した表示装置を使用する。そして、説明の都合上、第1方向と第2方向を次のように定義する。即ち、第1方向は各色の画素のうち、同色の画素が連続して配置される方向であり、第2方向は各色の画素が繰り返し配列される方向とする。第1方向と第2方向とは、表示面内で相互に直交している。1つの表示単位は赤青緑の3色の画素を含み、各色の画素が夫々ストライプ状に配列されている。また、第1方向の解像度と第2方向の解像度は相互に等しく設定されているため、第2方向における色画素のピッチは、第1方向におけるピッチの(1/3)になっている。
【0067】
第1方向だけでなく、第2方向にも左右画素を配置して立体画像を観察可能にするためには、第2方向に配列され相互に隣接する2つの同色画素に対して1つのレンズ要素を配置する方法が考えられる。この場合、第2方向の画素ピッチは第1方向の画素ピッチの(1/3)となるため、前述の数式3は、下記数式31に置き換えられる。
【0068】
【数31】
【0069】
このとき、レンズと画素との間の距離Hは、1枚のフライアイレンズを使用する都合上、前述の第1方向におけるレンズ−画素間距離Hと同一の値を使用しなければならない。同様に、レンズの屈折率nも同一である。また、観察距離ODも不変であることが望ましい。これにより数式1は以下の数式32となる。また数式2は以下の数式33となる。
【0070】
【数32】
【0071】
【数33】
【0072】
なお、α、β、α´、β´の角度は一般的に小さく、近軸近似が成立する範囲であるので、e´はほぼ(e/3)と等しくなり、画素拡大投影幅は(e/3)となる。例えば、前述の第1方向における画素拡大投影幅eが97.5mmである場合、第2方向における画素拡大投影幅e/3は32.5mmとなる。即ち、左右画像が32.5mmピッチで拡大投影されることになる。この結果、両眼間隔が65mmである一般的な観察者は、一時に左右どちらか一方の画像しか観察できなくなり、表示装置は立体画像を表示しているにも拘らず、観察者は立体画像が認識できなくなる。
【0073】
同様の問題はレンズ方式だけでなく、パララックスバリア方式を使用した立体画像表示装置でも発生する。以下、パララックスバリア方式の立体画像表示装置について、観察者に対する表示装置の角度を通常の観察位置から90°回転させたときに発生する現象について説明する。
【0074】
図33に示す従来の立体画像表示装置は、スリット状の開口部が形成されたパララックスバリアを使用した立体画像表示装置である。この装置を通常の配置から90°回転させると、観察者が両眼で同一の画像を観察することになるため、立体画像を視認することができない。表示装置を縦横どちらに配置しても立体画像を観察できるようにするためには、ピンホール状の開口部が二次元的に配列されたパララックスバリアを使用する必要がある。なお、本装置においても、上述のフライアイレンズを使用した装置と同様に、各色の配列はストライプ状とし、第1方向及び第2方向を上述の定義と同様に定義する。この結果、第2方向における色画素のピッチは、第1方向におけるピッチの(1/3)となる。
【0075】
第1方向だけでなく、第2方向にも左右画素を配置して立体画像を観察可能にするためには、第2方向に配列され相互に隣接する2つの色画素に対して1つのピンホールを配置する方法が考えられる。この場合、画素ピッチは第1方向の(1/3)であるため、上記数式19は下記数式34に置き換えられる。
【0076】
【数34】
【0077】
このとき、バリア−画素間距離Hは、1枚のパララックスバリアを使用する都合上、前述の第1方向におけるバリア−画素間距離Hと同一の値を使用しなければならない。また、観察距離ODも不変であることが望ましい。これにより下記数式35が成立する。
【0078】
【数35】
【0079】
これは、画素拡大投影幅が(e/3)となることを意味する。この結果、フライアイレンズの場合と同様に、表示装置が立体画像を表示しているにも拘らず、観察者が立体画像を認識できなくなるという現象が発生する。
【0080】
更に、表示パネルの背面にパララックスバリアを備えた立体画像表示装置においても、同様な現象が発生する。この場合も、第2の方向における画素のピッチは、第1方向におけるピッチの(1/3)になるため、上記数式25は下記数式36となる。
【0081】
【数36】
【0082】
このとき、バリア−画素間距離Hは、1枚のパララックスバリアを使用する都合上、前述の第1方向におけるバリア−画素間距離Hと同一の値を使用しなければならない。また、観察距離ODも不変であることが望ましい。これにより以下の数式37が成立する。
【0083】
【数37】
【0084】
これは、画素拡大投影幅が(e/3)となることを意味し、前述のフライアイレンズの場合と同様に、表示装置が立体画像を表示しているにも拘らず、観察者が立体画像を認識できなくなる現象が発生する。
【0085】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、立体画像表示装置を通常の観察方向から90°回転させた場合でも、カラーの立体画像を視認性が優れた状態で観察者に認識させることができる立体画像表示装置、及び前記立体画像表示装置に組み込まれる表示パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0086】
本発明の第1の観点に係る立体画像表示装置は、右眼用の画像を表示する画素及び左眼用の画像を表示する画素を含む複数の表示単位が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、前記第1方向に配列された画素から出射した光を前記第1方向に沿って相互に異なる方向に振り分けると共に前記第2方向に配列された画素から出射した光を前記第2方向に沿って相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、前記右眼用の画像を表示する画素及び前記左眼用の画像を表示する画素は夫々3色に色分けされ、同色の前記画素が前記第1方向に沿って連続して配列されており、観察者の両眼間隔をY、前記第1方向における画素の拡大投影幅をeとし、jを自然数とするとき、下記数式38が成立することを特徴とする。
【0087】
【数38】
【0088】
本発明においては、表示パネルが右眼用の画像及び左眼用の画像を表示し、光学手段が表示パネルから出射した光を第1方向及び第2方向に沿って振り分ける。そして、画素の拡大投影幅eを観察者の両眼間隔Yに関連付けて上記数式38のように選択することにより、観察者の両眼を結ぶ線が延びる方向(以下、両眼方向という)を第1方向としたとき及び第2方向としたときの双方の場合において、観察者が右眼及び左眼を夫々右眼用画像の投影域及び左眼用画像の投影域に位置させることができ、立体画像を認識することができる。
【0089】
また、kを自然数とするとき、前記両眼間隔Y及び前記拡大投影幅eが下記数式39を満たすことが好ましく、下記数式40を満たすことがより好ましい。
【0090】
【数39】
【0091】
【数40】
【0092】
これにより、観察者が両眼を観察面に無作為に位置させたときに立体画像を認識できる確率が高くなり、立体視できるような両眼の位置速やかに探索することができる。
【0093】
又は、kを自然数とするとき、前記両眼間隔Y及び前記拡大投影幅eが下記数式41を満たしていてもよく、下記数式42を満たしていてもよい。
【0094】
【数41】
【0095】
【数42】
【0096】
これにより、両眼方向が第1方向及び第2方向のいずれであっても、観察者が立体画像を認識できる確率が等しくなる。
【0097】
更に、Y/6<e/3であることが好ましい。これにより、観察者の両眼間隔中において左右の画像が切替わる回数が少なくなり、立体可視域が細分化されることが防止されるため、立体視が容易になる。
【0098】
本発明の第2の観点に係る立体画像表示装置は、複数色に色分けされた複数の画素が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、前記第1方向に配列された画素から出射した光を前記第1方向に沿って相互に異なる方向に振り分けると共に前記第2方向に配列された画素から出射した光を前記第2方向に沿って相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、前記第1方向における前記画素の配列ピッチと前記第2方向における前記画素の配列ピッチとが相互に等しく、前記表示パネルは相互に同色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、前記第1方向及び第2方向において相互に異なる色の前記画素マトリクスが繰返し配列されており、前記光学手段は前記画素マトリクスに対応する複数の光学要素からなることを特徴とする。
【0099】
本発明においては、第1方向及び第2方向における画素の配列ピッチが相互に等しいため、画素の拡大投影域の幅を、第1方向と第2方向とで相互に等しくすることができる。この結果、両眼方向が第1方向及び第2方向のいずれの方向であっても、立体画像の視認性を良好にすることができる。
【0100】
本発明の第3の観点に係る立体画像表示装置は、複数色に色分けされた複数の画素が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、前記第1方向に配列された画素から出射した光を前記第1方向に沿って相互に異なる方向に振り分けると共に前記第2方向に配列された画素から出射した光を前記第2方向に沿って相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、前記第1方向における前記画素の配列ピッチと前記第2方向における前記画素の配列ピッチとが相互に等しく、前記表示パネルは相互に異なる色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、前記画素マトリクスが前記第1方向及び第2方向に繰返し配列されており、前記光学手段は前記画素マトリクスに対応する複数の光学要素からなることを特徴とする。
【0101】
本発明の第4の観点に係る立体画像表示装置は、右眼用の画像を表示する画素及び左眼用の画像を表示する画素を含む複数の表示単位が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、長手方向が前記第1方向である複数のシリンドリカルレンズが前記第2方向に配列された第1のレンチキュラレンズと、前記表示パネルと共に前記第1のレンチキュラレンズを挟む位置に配置され、長手方向が前記第2方向である複数のシリンドリカルレンズが前記第1のレンチキュラレンズにおける前記シリンドリカルレンズの配列ピッチよりも大きい配列ピッチで前記第1方向に配列された第2のレンチキュラレンズと、を有し、前記右眼用の画像を表示する画素及び前記左眼用の画像を表示する画素は夫々3色に色分けされ、同色の前記画素が前記第1方向に沿って連続して配列されていることを特徴とする。
【0102】
本発明においては、第1のレンチキュラレンズにおけるシリンドリカルレンズの配列ピッチが第2のレンチキュラレンズにおける配列ピッチよりも小さいため、第1のレンチキュラレンズの焦点と第2のレンチキュラレンズの焦点とを同一平面上に位置させたときに、表示パネルにおける第2方向の画素の配列ピッチを第1方向の配列ピッチよりも小さくすることができる。このため、第2方向に3色の画素を配列させることができる。このとき、第1のレンチキュラレンズのレンズ面が第2のレンチキュラレンズのレンズ面よりも表示パネルに近いため、第2方向における画素の拡大投影幅を第1方向における画素の拡大投影幅よりも大きくすることができる。この結果、両眼方向が第1方向及び第2方向のいずれの方向であっても、立体画像の視認性を良好にすることができる。
【0103】
また、このとき、第1のレンチキュラレンズはそのレンズ面が表示パネルに対向するように配置されており、第2のレンチキュラレンズはそのレンズ面の反対面が第1のレンチキュラレンズに対向するように配置されていることが好ましい。これにより、第2方向における画素の配列ピッチを第1方向における配列ピッチよりも小さくすることが容易になる。
【0104】
本発明の第5の観点に係る立体画像表示装置は、右眼用の画像を表示する画素及び左眼用の画像を表示する画素を含む複数の表示単位が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、長手方向が前記第1方向である複数のスリット状の開口部が形成された第1のパララックスバリアと、前記表示パネルと共に前記第1のパララックスバリアを挟む位置に配置され、長手方向が前記第2方向である複数のスリット状の開口部が形成された第2のパララックスバリアと、を有し、前記右眼用の画像を表示する画素及び前記左眼用の画像を表示する画素は夫々3色に色分けされ、同色の前記画素が前記第1方向に沿って連続して配列されていることを特徴とする。
【0105】
本発明においては、第1のパララックスバリアが第2のパララックスバリアよりも表示パネルに近いため、第2方向における画素の拡大投影幅を第1方向における画素の拡大投影幅よりも大きくすることができる。この結果、両眼方向が第1方向及び第2方向のいずれの方向であっても、立体画像の視認性を良好にすることができる。
【0106】
また、前述の各立体画像表示装置が、前記第1方向が観察者の右眼から左眼に向かう方向と一致するように配置されたときには各表示単位内で前記第1方向に配列された1対の画素に夫々右眼用の画像及び左眼用の画像を表示すると共に各表示単位内で前記第2方向に配列された複数の画素に相互に異なる画像を表示し、前記第2方向が観察者の右眼から左眼に向かう方向と一致するように配置されたときには各表示単位内で前記第2方向に配列された1対の画素に夫々右眼用の画像及び左眼用の画像を表示すると共に各表示単位内で前記第1方向に配列された複数の画素に相互に異なる画像を表示するものであってもよい。これにより、観察者が立体画像表示装置を観察する角度を縦方向に変えるだけで、異なる画像を観察することができる。
【0107】
本発明の第6の観点に係る携帯端末装置は、本体部と、この本体部に連結された上記のいずれか1つの立体画像表示装置と、を有することを特徴とする。
【0108】
また、前記立体画像表示装置が前記本体部に対して回転可能に連結されていることが好ましく、前記立体画像表示装置の前記本体部に対する配置方向を検出する検出手段を有し、前記立体画像表示装置は前記検出手段の検出結果に基づいて前記右眼用の画像を表示する画素及び左眼用の画像を表示する画素の配列方向を前記第1方向及び前記第2方向のいずれかに切替えるものであることが好ましい。これにより、観察者は本体部を回転させることなく、画像の表示方向を切替えることができる。また、立体画像表示装置の配置方向に連動して、画像の表示方法を切替えることができる。
【0109】
本発明の第7の観点に係る表示パネルは、複数色に色分けされた複数の画素が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルにおいて、前記第1方向における前記画素の配列ピッチと前記第2方向における前記画素の配列ピッチとが相互に等しく、相互に同色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、前記第1方向及び第2方向の双方において、相互に異なる色の前記画素マトリクスが繰返し配列されていることを特徴とする。
【0110】
本発明においては、第1方向及び第2方向における画素の配列ピッチが相互に等しいため、光学手段により画素から出射した光を振り分けたときに、画素の拡大投影幅を、第1方向と第2方向とで相互に等しくすることができる。この結果、両眼方向が第1方向及び第2方向のいずれの方向であっても、立体画像の視認性を良好にすることができる。
【0111】
本発明の第8の観点に係る表示パネルは、複数色に色分けされた複数の画素が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルにおいて、前記第1方向における前記画素の配列ピッチと前記第2方向における前記画素の配列ピッチとが相互に等しく、相互に異なる色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、前記画素マトリクスが、前記第1方向及び第2方向の双方において繰返し配列されていることを特徴とする。
【0112】
本発明の第9の観点に係るフライアイレンズは、複数個のレンズ要素がマトリクス状に配置されたフライアイレンズにおいて、前記マトリクスの一の方向とこの一の方向に直交する他の方向における前記レンズ要素の配列ピッチが相互に異なることを特徴とする。
【0113】
本発明の第10の観点に係る立体画像表示装置は、右眼用の画像を表示する画素及び左眼用の画像を表示する画素を含む複数の表示単位が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、前記第1方向に配列された画素から出射した光を前記第1方向に沿って相互に異なる方向に振り分けると共に前記第2方向に配列された画素から出射した光を前記第2方向に沿って相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、前記右眼用の画像を表示する画素及び前記左眼用の画像を表示する画素は夫々Z色(Zは2以上の整数)に色分けされ、同色の前記画素が前記第1方向に沿って連続して配列されており、観察者の両眼間隔をY、前記第1方向における画素の拡大投影幅をeとし、jを自然数とするとき、下記数式43が成立することを特徴とする。
【0114】
【数43】
【0115】
本発明においては、表示パネルが右眼用の画像及び左眼用の画像を表示し、光学手段が表示パネルから出射した光を第1方向及び第2方向に沿って振り分ける。そして、画素の拡大投影幅eを観察者の両眼間隔Yに関連付けて上記数式43のように選択することにより、観察者の両眼を結ぶ線が延びる方向(両眼方向)を第1方向としたとき及び第2方向としたときの双方の場合において、観察者が右眼及び左眼を夫々右眼用画像の投影域及び左眼用画像の投影域に位置させることができ、立体画像を認識することができる。
【0116】
また、kを自然数とするとき、前記両眼間隔Y及び前記拡大投影幅eが下記数式44を満たすことが好ましく、下記数式45を満たすことがより好ましい。
【0117】
【数44】
【0118】
【数45】
【0119】
これにより、観察者が両眼を観察面に無作為に位置させたときに立体画像を認識できる確率が高くなり、立体視できるような両眼の位置速やかに探索することができる。
【0120】
又は、kを自然数とするとき、前記両眼間隔Y及び前記拡大投影幅eが下記数式46を満たしていてもよく、下記数式47を満たしていてもよい。
【0121】
【数46】
【0122】
【数47】
【0123】
これにより、両眼方向が第1方向及び第2方向のいずれであっても、観察者が立体画像を認識できる確率が等しくなる。
【0124】
また、前記両眼間隔Yの値が62乃至65mmの範囲に設定されていることが好ましい。これにより、一般成人に対応した立体画像表示装置を実現することができる。
【0125】
本発明の第11の観点に係る立体画像表示装置は、右眼用の画像を表示する画素及び左眼用の画像を表示する画素を含む複数の表示単位が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、複数個のレンズ要素が前記第1方向及び前記第2方向にマトリクス状に配列され前記第1方向に配列された画素から出射した光を前記第1方向に沿って相互に異なる方向に振り分けると共に前記第2方向に配列された画素から出射した光を前記第2方向に沿って相互に異なる方向に振り分けるフライアイレンズと、を有し、前記右眼用の画像を表示する画素及び前記左眼用の画像を表示する画素は夫々Z色(Zは2以上の整数)に色分けされ、同色の前記画素が前記第1方向に沿って連続して配列されており、前記フライアイレンズにおける前記第1方向における前記レンズ要素の配列ピッチと、前記第2方向における前記レンズ要素の配列ピッチとが相互に異なることを特徴とする。
【0126】
本発明によれば、観察者の両眼方向が第1方向及び第2方向のうちいずれの方向であっても、観察者が右眼及び左眼を夫々右眼用画像の投影域及び左眼用画像の投影域に位置させることができ、カラーの立体画像を良好に視認することができる。
【0127】
また、前記第1方向における前記レンズ要素の配列ピッチが、前記第2方向における配列ピッチのZ倍であってもよい。更に、前記画素の色数Zが3であってもよい。
【0128】
本発明の第12の観点に係る立体画像表示装置は、右眼用の画像を表示する画素及び左眼用の画像を表示する画素を含む複数の表示単位が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、長手方向が前記第1方向である複数のシリンドリカルレンズが前記第2方向に配列された第1のレンチキュラレンズと、前記表示パネルと共に前記第1のレンチキュラレンズを挟む位置に配置され、長手方向が前記第2方向である複数のシリンドリカルレンズが前記第1のレンチキュラレンズにおける前記シリンドリカルレンズの配列ピッチよりも大きい配列ピッチで前記第1方向に配列された第2のレンチキュラレンズと、を有し、前記右眼用の画像を表示する画素及び前記左眼用の画像を表示する画素は夫々Z色(Zは2以上の整数)に色分けされ、同色の前記画素が前記第1方向に沿って連続して配列されていることを特徴とする。
【0129】
本発明においては、第1のレンチキュラレンズにおけるシリンドリカルレンズの配列ピッチが第2のレンチキュラレンズにおける配列ピッチよりも小さいため、第1のレンチキュラレンズの焦点と第2のレンチキュラレンズの焦点とを同一平面上に位置させたときに、表示パネルにおける第2方向の画素の配列ピッチを第1方向の配列ピッチよりも小さくすることができる。このため、第2方向にZ色の画素を配列させることができる。このとき、第1のレンチキュラレンズのレンズ面が第2のレンチキュラレンズのレンズ面よりも表示パネルに近いため、第2方向における画素の拡大投影幅を第1方向における画素の拡大投影幅よりも大きくすることができる。この結果、両眼方向が第1方向及び第2方向のいずれの方向であっても、立体画像の視認性を良好にすることができる。
【0130】
また、このとき、第1のレンチキュラレンズはそのレンズ面が表示パネルに対向するように配置されており、第2のレンチキュラレンズはそのレンズ面の反対面が第1のレンチキュラレンズに対向するように配置されていることが好ましい。これにより、第2方向における画素の配列ピッチを第1方向における配列ピッチよりも小さくすることが容易になる。
【0131】
本発明の第13の観点に係る立体画像表示装置は、右眼用の画像を表示する画素及び左眼用の画像を表示する画素を含む複数の表示単位が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、長手方向が前記第1方向である複数のスリット状の開口部が形成された第1のパララックスバリアと、前記表示パネルと共に前記第1のパララックスバリアを挟む位置に配置され、長手方向が前記第2方向である複数のスリット状の開口部が形成された第2のパララックスバリアと、を有し、前記右眼用の画像を表示する画素及び前記左眼用の画像を表示する画素は夫々Z色(Zは2以上の整数)に色分けされ、同色の前記画素が前記第1方向に沿って連続して配列されていることを特徴とする。
【0132】
本発明においては、第1のパララックスバリアが第2のパララックスバリアよりも表示パネルに近いため、第2方向における画素の拡大投影幅を第1方向における画素の拡大投影幅よりも大きくすることができる。この結果、両眼方向が第1方向及び第2方向のいずれの方向であっても、立体画像の視認性を良好にすることができる。
【発明の効果】
【0133】
本発明によれば、観察者の両眼方向が第1方向及び第2方向のうちいずれの方向であっても、観察者が右眼及び左眼を夫々右眼用画像の投影域及び左眼用画像の投影域に位置させることができ、カラーの立体画像を良好に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る立体画像表示装置において、1つの表示画素を示す斜視図である。
【図2】図1に示すA−A’線による断面を示す光学モデル図である。
【図3】図1に示すB−B’線による断面を示す光学モデル図である。
【図4】本実施形態に係る携帯端末装置を示す斜視図である。
【図5】本実施形態に係る立体画像表示装置において、第1方向が両眼方向と一致するように立体画像表示装置を配置した場合の動作を示す断面図である。
【図6】本実施形態に係る立体画像表示装置において、第2方向が両眼方向と一致するように立体画像表示装置を配置した場合の動作を示す断面図である。
【図7】図7(a)及び(b)は、両眼方向を第1方向21に一致させたときに、左眼61が左眼用の拡大投影域に位置し、右眼62が右眼用の拡大投影域に位置することにより、観察者が立体画像を認識することが可能となるような配置のうち、両端の配置について示す図であり、(a)は(Y/3)≦(e/3)即ち、0≦Y≦eである場合を示し、(b)は(Y/6)≦(e/3)≦(Y/3)即ち、e≦Y≦(2×e)である場合を示す。
【図8】(e/3)=(Y/2)即ち、Y=(2/3)×eである場合の光学モデルを示す図である。
【図9】(e/3)=(Y/4)即ち、Y=(4/3)×eである場合の光学モデルを示す図である。
【図10】(a)乃至(f)は、両眼方向を第2方向22に一致させたときに、左眼61が左眼用の拡大投影域に位置し、右眼62が右眼用の拡大投影域に位置することにより、観察者が立体画像を認識することが可能となるような配置のうち、両端の配置について示す図であり、(a)はY≦(e/3)即ち、0≦Y≦(e/3)である場合を示し、(b)は(Y/2)≦(e/3)≦Y即ち、(e/3)≦Y≦(2/3)×eである場合を示し、(c)は(Y/3)≦(e/3)≦(Y/2)即ち、(2/3)×e≦Y≦eである場合を示し、(d)は(Y/4)≦(e/3)≦(Y/3)即ち、e≦Y≦(4/3)×eである場合を示し、(e)は(Y/5)≦(e/3)≦(Y/4)即ち、(4/3)×e≦Y≦(5/3)×eである場合を示し、(f)は(Y/6)≦(e/3)≦(Y/5)即ち、(5/3)×e≦Y≦(2×e)である場合を示す。
【図11】(e/3)=(Y/2)即ち、Y=(2/3)×eである場合の光学モデルを示す図である。
【図12】(e/3)=(Y/4)即ち、Y=(4/3)×eである場合の光学モデルを示す図である。
【図13】横軸に(e/3)の値及びYの値をとり、縦軸に立体視確率PRをとって、数式53乃至数式60を示すグラフ図である。
【図14】(a)及び(b)は第1の実施形態の変形例に係る携帯電話を示す斜視図であり、(a)は立体画像表示装置を通常の配置で使用する場合を示し、(b)は90°回転させて使用する場合を示す。
【図15】本変形例において立体画像表示装置の配置方向により表示画像を切替える動作を示すフローチャート図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る立体画像表示装置において、第1方向が観察者の両眼方向になるように立体画像表示装置を配置した場合の光学モデル図である。
【図17】本発明の第2の実施形態に係る立体画像表示装置において、第2方向が観察者の両眼方向になるように立体画像表示装置を配置した場合の光学モデル図である。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る立体画像表示装置において、第1方向が観察者の両眼方向になるように立体画像表示装置を配置した場合の光学モデル図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係る立体画像表示装置において、第2方向が観察者の両眼方向になるように立体画像表示装置を配置した場合の光学モデル図である。
【図20】本発明の第4の実施形態に係る立体画像表示装置を示す斜視図である。
【図21】図20に示すC−C’線による断面を示す光学モデル図である。
【図22】図20に示すD−D’線による断面を示す光学モデル図である。
【図23】本発明の第4の実施形態の変形例に係る立体画像表示装置を示す斜視図である。
【図24】本発明の第5の実施形態に係る立体画像表示装置を示す斜視図である。
【図25】本発明の第6の実施形態に係る立体画像表示装置を示す斜視図である。
【図26】図25に示すE−E’線による断面を示す光学モデル図である。
【図27】図25に示すF−F’線による断面を示す光学モデル図である。
【図28】本発明の第7の実施形態に係る立体画像表示装置を示す斜視図である。
【図29】レンチキュラレンズを示す斜視図である。
【図30】従来のレンチキュラレンズを使用する立体画像表示方法を示す光学モデル図である。
【図31】従来のレンチキュラレンズ方式の2眼式立体画像表示装置の光学モデル図である。
【図32】従来のレンチキュラレンズ方式の2眼式立体画像表示装置の観察範囲を示した光学モデル図である。
【図33】従来のパララックスバリアを使用する立体画像表示方法を示す光学モデル図である。
【図34】従来の表示パネルの観察者側にスリット状のパララックスバリアを備えた2眼式立体画像表示装置の光学モデル図である。
【図35】従来の表示パネルの背面にスリット状のパララックスバリアを備えた2眼式立体画像表示装置の光学モデル図である。
【図36】フライアイレンズを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0135】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0136】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る立体画像表示装置における1つの表示画素を示す斜視図であり、図2は図1に示すA−A’線による断面を示す光学モデル図であり、図3は図1に示すB−B’線による断面を示す光学モデル図である。また、図4は、本実施形態に係る携帯端末装置を示す斜視図である。
【0137】
図1に示すように、本実施形態に係る立体画像表示装置1においては、観察者側から順に、フライアイレンズ3、表示パネル2及び光源(図示せず)が設けられている。表示パネル2は例えば透過型液晶パネルである。表示パネル2は多数の表示画素から構成され、1つの表示画素はストライプ状に配置された赤青緑(RGB)の3原色の画素401乃至412から構成されている。即ち、赤色画素A401と赤色画素B402とが相互に隣接し、赤色画素A401と緑色画素A405とが相互に隣接している。同様に、赤色画素B402と緑色画素B406とが相互に隣接している。更に、緑色画素A405に青色画素A409が隣接し、緑色画素B406に青色画素B410が隣接している。その他の画素についても、図1に示すように同様の色配置関係にある。
【0138】
そして、図1に示すように、同色の色画素が連続して配列されている方向を第1方向21とし、相互に異なる色画素が繰り返し配列されている方向を第2方向22とする。第2方向22における色画素のピッチは、第1方向21における色画素ピッチの(1/3)である。フライアイレンズ3は、第1方向21と第2方向22における曲率が同一であり、第2方向22におけるレンズピッチは第1方向におけるレンズピッチの(1/3)となっている。即ち、フライアイレンズ3における1つのレンズ要素には、第1方向21及び第2方向22に沿って(2×2)のマトリクス状に配置された合計4個の画素(例えば、赤色画素A401、赤色画素B402、緑色画素A405及び緑色画素B406)が対応する。そして、12個の画素401乃至412により、1つの表示単位が構成されている。遮光部6は、画像の混色を防止すると共に、画素に表示信号を伝送する配線を隠す目的で、各画素間に設けられている。
【0139】
このとき、表示パネルを第1方向21が観察者の両眼を結ぶ線が延びる方向(両眼方向)と平行になるよう配置した場合には、フライアイレンズに対する位置関係に基づいて、第1方向21に配列する2個の画素が夫々左眼用画素及び右眼用画素として作用する。一例では、赤色画素A401及び緑色画素A405が左眼用画素として作用し、赤色画素B402及び緑色画素B406が右眼用画素として作用する。
【0140】
同様に、表示パネルを第2方向22が前記両眼方向と一致するよう配置した場合には、フライアイレンズに対する位置関係に基づいて、第2方向22に配列する2個の画素が夫々左眼用画素及び右眼用画素として機能する。一例では、赤色画素A401及び赤色画素B402が左眼用画素として機能し、緑色画素A405及び緑色画素B406が右眼用画素として機能する。なお、隣接するフライアイレンズでは、同様に、青色画素A409及び青色画素B410が左眼用画素として機能し、赤色画素C403及び赤色画素D404が右眼用画素として機能する。更に隣接するフライアイレンズでは、同様に、緑色画素C407及び緑色画素D408が左眼用画素として機能し、青色画素C411及び青色画素D412が右眼用画素として機能する。
【0141】
図2に示すように、第1方向21における画素ピッチはPであり、フライアイレンズ3と表示パネル2との間の距離(以下、レンズ−画素間距離ともいう)はHである。レンズ表面から観察距離ODだけ離れた位置に観察面が設定されており、1つの画素の拡大投影幅をeとし、観察者の両眼間隔をYとする。なお、成人男子の両眼間隔の平均値は65mm、標準偏差は±3.7mmであり、成人女子の両眼間隔の平均値は62mm、標準偏差は±3.6mmである(Neil
A. Dodgson, “Variation and extrema of
human interpupillary distance”, Proc. SPIE vol.5291)。従って、本実施形態に係る立体表示装置を一般成人用に設計する場合は、両眼間隔Yの値を62乃至65mmの範囲に設定することが適当であり、一例ではY=63mmとする。そして、両眼方向が第1方向21と一致するときには、右眼用の画像を表示する画素と左眼用の画像を表示する画素とが交互に配列される。例えば、赤色画素A401が左眼用の画像を表示するときには、赤色画素B402は右眼用の画像を表示する。
【0142】
また、図3に示すように、第2方向22における画素ピッチは(P/3)となるため、1つの画素の拡大投影幅は(e/3)である。そして、本実施形態においては、観察者の左眼61は緑色画素A405の拡大投影域に位置し、観察者の右眼62は緑色画素C407の拡大投影域に位置しており、緑色画素A405の拡大投影域と緑色画素C407との間には、青色画素A409の拡大投影域及び赤色画素C403の拡大投影域が配置されている。即ち、観察者の左眼61と右眼62との間には、左眼61側から右眼62に向かって、緑色画素A405の拡大投影域、青色画素A409の拡大投影域、赤色画素C403の拡大投影域及び緑色画素C407がこの順に配置されている。そして、観察者の両眼方向が第2方向22と一致するときには、右眼用の画像を表示する画素と左眼用の画像を表示する画素とが交互に配列される。例えば、緑色画素A405、赤色画素C403及び青色画素C411が左眼用の画像を表示するときには、赤色画素A401、青色画素A409及び緑色画素C407は右眼用の画像を表示する。即ち、観察者の両眼間隔中において、左右の画像は3回切替わっている。
【0143】
本実施形態においては、観察面において、j及びkを自然数とすると、観察者の両眼間隔Y及び第1方向21における画素拡大投影幅eは下記数式48を満たし、例えば、下記数式49を満たし、例えば、下記数式50を満たす。なお、下記数式50は、下記数式49においてk=1の場合である。
【0144】
【数48】
【0145】
【数49】
【0146】
【数50】
【0147】
なお、上記数式48及び数式49は夫々、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数をNとすると、Nが奇数である場合には、下記数式51及び数式52のように表現することもできる。
【0148】
【数51】
【0149】
【数52】
【0150】
図3においては、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数は3であるが、両眼の位置によっては、この回数は2になる。このとき、Nの値としては奇数の値である3を採用すれば、上記数式52は上記数式50に等しくなる。
【0151】
また、図4に示すように、本実施形態に係る立体画像表示装置1は、携帯端末装置に搭載することができ、例えば、携帯電話9に搭載することができる。
【0152】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る立体画像表示装置1の動作、即ち、本実施形態に係る立体画像表示方法について説明する。先ず、観察者の両眼方向が第1方向21に一致するように立体画像表示装置1を配置した場合について説明する。図5は、本実施形態に係る立体画像表示装置において、前記第1方向が両眼方向と一致するよう立体画像表示装置を配置した場合の動作を示す光学モデル図である。図1及び図5に示すように、先ず、光源10が点灯する。光源10が点灯すると、光源10から出射した光が表示パネル2に入射する。一方、制御装置(図示せず)が表示パネル2を駆動し、各表示画素の左眼用画素及び右眼用画素に、左眼用画像及び右眼用画像を夫々表示させる。このとき、表示パネル2は、画素401、405、409、403、407及び411からなる画素群(以下、第1群という)と、画素402、406、410、404、408及び412からなる画素群(以下、第2群という)とに、相互に異なる眼用の画像を表示する。例えば、第1群に左眼用の画像を表示し、第2群に右眼用の画像を表示する。
【0153】
そして、表示パネル2の左眼用画素及び右眼用画素に入射した光は、これらの画素を透過し、フライアイレンズ3に向かう。そして、これらの光はフライアイレンズ3により屈折し、表示パネル2の第1群を透過した光は領域EL1に向かい、第2群を透過した光は領域ER1に向かう。このとき、観察者が左眼61を領域EL1に位置させ、右眼62を領域ER1に位置させることにより、左眼61に左眼用の画像が入力されると共に、右眼62に右眼用の画像が入力される。左眼用画像と右眼用画像に視差が存在する場合には、観察者は表示パネル2が表示する画像を立体画像として認識することができる。
【0154】
次に、両眼方向が第2方向22に一致するように立体画像表示装置1を配置した場合について説明する。図6は、本実施形態に係る立体画像表示装置において、前記第2方向が両眼方向に一致するように立体画像表示装置を配置した場合の動作を示す光学モデル図である。図1及び図6に示すように、制御装置(図示せず)が表示パネル2を駆動し、画素401、402、409、410、407及び408からなる画素群(以下、第3群という)と、画素405、406、403、404、411及び412からなる画素群(以下、第4群という)とに、相互に異なる眼用の画像を表示する。例えば、第3群に右眼用の画像を表示し、第4群に左眼用の画像を表示する。
【0155】
そして、光源1が点灯し、光源10から出射した光が表示パネル2の各画素を透過し、フライアイレンズ3に向かう。これらの光はフライアイレンズ3により屈折し、表示パネル2の第3群を透過した光と第4群を透過した光とは、相互に異なる方向に向かう。即ち、青色画素A409及び赤色画素C403から出射した光は、対応するレンズ要素3bにより、夫々領域ER0及び領域EL0に投影される。同様に、赤色画素A401及び緑色画素A405から出射した光は、対応するレンズ要素3aにより、夫々領域ER0及び領域EL0に投影され、緑色画素C407及び青色画素C411から出射した光は、対応するレンズ要素3cにより、夫々領域ER0及び領域EL0に投影される。また、赤色画素A401及び緑色画素A405の光は、対応するレンズ要素3aに隣接するレンズ要素3bを通過すると、夫々領域ER2及び領域EL1に投影される。同様に、緑色画素C407及び青色画素C411から出射した光は、対応するレンズ要素3cに隣接するレンズ要素3bを通過すると、夫々領域ER1及び領域EL2に投影される。これにより、領域EL0、EL1及びEL2には、左眼用の画像を表示する画素からの光が投影され、領域ER0、ER1及びER2には、右眼用の画像を表示する画素からの光が投影される。
【0156】
このとき、観察者が左眼61を左眼用の光が投影される領域EL0、EL1又はEL2に位置させ、右眼62を右眼用の光が投影される領域ER0、ER1又はER2に位置させることにより、左眼61に左眼用の画像が入力されると共に、右眼62に右眼用の画像が入力される。左眼用画像と右眼用画像に視差が存在する場合には、観察者は表示パネル2が表示する画像を立体画像として認識することができる。
【0157】
次に、本発明の数値限定理由について説明する。即ち、上記数式48乃至数式50が成立する理由について説明する。以下、観察者が自分の両眼を無作為に立体画像表示装置の観察面に位置させたときに、立体視が可能となる確率(以下、立体視確率という)について説明する。
【0158】
先ず、両眼方向を第1方向21に一致させた場合について説明する。図7(a)及び(b)は、両眼方向を第1方向21に一致させたときに、左眼61が左眼用の拡大投影域に位置し、右眼62が右眼用の拡大投影域に位置することにより、観察者が立体画像を認識することが可能となるような配置のうち、両端の配置について示す図であり、(a)は(Y/3)≦(e/3)即ち、0≦Y≦eである場合を示し、(b)は(Y/6)≦(e/3)≦(Y/3)即ち、e≦Y≦(2×e)である場合を示す。なお、図7(a)及び(b)においては、観察面のうち左眼用の画像が投影される領域を太線で示し、右眼用の画像が投影される領域を細線で示す。また、左眼用の画素の拡大投影域と右眼用の画素の拡大投影域との境界点を原点Oとする。図8は(e/3)=(Y/2)即ち、Y=(2/3)×eである場合の光学モデルを示す図であり、図9は(e/3)=(Y/4)即ち、Y=(4/3)×eである場合の光学モデルを示す図である。前述の如く、両眼方向が第1方向21に一致している場合、1つの画素の拡大投影域の幅はeであるため、相互に隣接する左右1対の画素の拡大投影域の幅は(2×e)である。そこで、この長さが(2×e)の領域を基本単位領域とし、左眼61と右眼62との中点63がこの基本単位領域内のどの位置にあれば、立体視が可能であるかについて説明する。
【0159】
(1−1) (Y/3)≦(e/3)(0≦Y≦e)である場合
図7(a)に示すように、観察者が立体画像を認識することが可能となるのは、左眼61と右眼62との中点63と原点Oとの間の距離Eが、(Y/2)以下である場合である。従って、立体画像の認識が可能となる中点63の配置範囲の長さは(2×E)となるため、観察者が自分の両眼を無作為に立体画像表示装置の観察面に位置させたときに、立体視できる立体視確率PRは、下記数式53により与えられる。
【0160】
【数53】
【0161】
(1−2) (Y/6)≦(e/3)≦(Y/3)(e≦Y≦(2×e))である場合
図7(b)に示すように、観察者が立体画像を認識することが可能となるのは、中点63と原点Oとの間の距離Eが、(e−(Y/2))以下である場合である。従って、立体画像の認識が可能となる中点63の配置範囲の長さは(2×E)となるため、立体視確率PRは下記数式54により与えられる。
【0162】
【数54】
【0163】
上記数式53及び数式54からわかるように、立体視確率PRは、(e/3)の値が上記(1−1)の範囲にある場合には単調増加し、(e/3)の値が(Y/3)のときに極大値をとり、(e/3)の値が上記(1−2)の範囲にある場合に単調減少する。
【0164】
次に、いくつかの(e/3)の値について、立体視確率PRの値を計算する。上記数式53から、(e/3)が無限大(∞)、即ち、Y=0である場合、PR=0である。また、図8に示すように、(e/3)=(Y/2)、即ち、Y=(2/3)×eである場合、PR=(1/3)≒0.33である。更に、(e/3)=(Y/3)、即ち、Y=eである場合、上記数式53から、PR=(1/2)=0.5である。更にまた、図9に示すように、(e/3)=(Y/4)、即ち、Y=(4/3)×eである場合、上記数式54から、PR=(1/3)≒0.33である。更にまた、(e/3)=(Y/6)、即ち、Y=(2×e)である場合、上記数式54から、PR=0である。
【0165】
次に、両眼方向を第2方向22に一致させた場合の立体視確率について説明する。図10(a)乃至(f)は、両眼方向を第2方向22に一致させたときに、左眼61が左眼用の拡大投影域に位置し、右眼62が右眼用の拡大投影域に位置することにより、観察者が立体画像を認識することが可能となるような配置のうち、両端の配置について示す図であり、(a)はY≦(e/3)即ち、0≦Y≦(e/3)である場合を示し、(b)は(Y/2)≦(e/3)≦Y即ち、(e/3)≦Y≦(2/3)×eである場合を示し、(c)は(Y/3)≦(e/3)≦(Y/2)即ち、(2/3)×e≦Y≦eである場合を示し、(d)は(Y/4)≦(e/3)≦(Y/3)即ち、e≦Y≦(4/3)×eである場合を示し、(e)は(Y/5)≦(e/3)≦(Y/4)即ち、(4/3)×e≦Y≦(5/3)×eである場合を示し、(f)は(Y/6)≦(e/3)≦(Y/5)即ち、(5/3)×e≦Y≦(2×e)である場合を示す。なお、図10(a)乃至(f)においては、観察面のうち左眼用の画像が投影される領域を太線で示し、右眼用の画像が投影される領域を細線で示す。また、左眼用の画素の拡大投影域と右眼用の画素の拡大投影域との境界点を原点Oとする。
【0166】
また、図11は(e/3)=(Y/2)即ち、Y=(2/3)×eである場合の光学モデルを示す図であり、図12は(e/3)=(Y/4)即ち、Y=(4/3)×eである場合の光学モデルを示す図である。前述の如く、両眼方向が第2方向22である場合、1つの画素の拡大投影域の幅は(e/3)であるため、相互に隣接する左右1対の画素の拡大投影域の幅は(2/3)×eである。そこで、この長さが(2/3)×eの領域を基本単位領域とし、左眼61と右眼62との中点63がこの基本単位領域内のどの位置にあれば、立体視が可能であるかについて説明する。
【0167】
(2−1) Y≦(e/3)(0≦Y≦(e/3))である場合
図10(a)に示すように、観察者が立体画像を認識することが可能となるのは、左眼61と右眼62との中点63と原点Oとの間の距離Eが、(Y/2)以下である場合である。従って、立体画像の認識が可能となる中点63の配置範囲の長さは(2×E)となるため、観察者が自分の両眼を無作為に立体画像表示装置の観察面に位置させたときに、立体視が可能となる立体視確率PRは、下記数式55により与えられる。なお、このとき、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数Nは0又は1である。
【0168】
【数55】
【0169】
(2−2) (Y/2)≦(e/3)≦Y((e/3)≦Y≦(2/3)×e)である場合
図10(b)に示すように、観察者が立体画像を認識することが可能となるのは、中点63と原点Oとの間の距離Eが、((e/3)−(Y/2))以下である場合である。従って、立体画像の認識が可能となる中点63の配置範囲の長さは(2×E)となるため、立体視確率PRは、下記数式56により与えられる。なお、このとき、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数Nは1又は2である。
【0170】
【数56】
【0171】
(2−3) (Y/3)≦(e/3)≦(Y/2)((2/3)×e≦Y≦e)である場合
図10(c)に示すように、観察者が立体画像を認識することが可能となるのは、中点63と基本単位領域の端縁との間の距離Eが、((Y/2)−(e/3))以上である場合である。従って、立体画像の認識が可能となる中点63の配置範囲の長さは(2×E)となるため、立体視確率PRは、下記数式57により与えられる。なお、このとき、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数Nは2又は3である。
【0172】
【数57】
【0173】
(2−4) (Y/4)≦(e/3)≦(Y/3)(e≦Y≦(4/3)×e)である場合
図10(d)に示すように、観察者が立体画像を認識することが可能となるのは、中点63と基本単位領域の端縁との間の距離Eが、((2/3)×e−(Y/2))以上である場合である。従って、立体画像の認識が可能となる中点63の配置範囲の長さは(2×E)となるため、立体視確率PRは、下記数式58により与えられる。なお、このとき、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数Nは3又は4である。
【0174】
【数58】
【0175】
(2−5) (Y/5)≦(e/3)≦(Y/4)((4/3)×e≦Y≦(5/3)×e)である場合
図10(e)に示すように、観察者が立体画像を認識することが可能となるのは、中点63と原点Oとの間の距離Eが、((Y/2)−(2/3)×e)以下である場合である。従って、立体画像の認識が可能となる中点63の配置範囲の長さは(2×E)となるため、立体視確率PRは、下記数式59により与えられる。なお、このとき、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数Nは4又は5である。
【0176】
【数59】
【0177】
(2−6) (Y/6)≦(e/3)≦(Y/5)((5/3)×e≦Y≦(2×e))である場合
図10(f)に示すように、観察者が立体画像を認識することが可能となるのは、中点63と原点Oとの間の距離Eが、(e−(Y/2))以下である場合である。従って、立体画像の認識が可能となる中点63の配置範囲の長さは(2×E)となるため、立体視確率PRは、下記数式60により与えられる。なお、このとき、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数Nは5又は6である。
【0178】
【数60】
【0179】
上記数式55乃至数式60は相互に連続した関数となっており、立体視確率PRは、(e/3)の値が上記(2−1)、(2−3)及び(2−5)の範囲にある場合には単調増加し、(e/3)の値が上記(2−2)、(2−4)及び(2−6)の範囲にある場合に単調減少し、(e/3)の値が(Y/5)、(Y/3)及びYのときに極大値をとり、(e/3)の値が(Y/4)及び(Y/2)のときに極小値をとる。上記数式53乃至数式60をまとめて表1に示す。
【0180】
【表1】
【0181】
次に、いくつかの(e/3)の値について、立体視確率PRの値を計算する。上記数式55から、(e/3)が無限大(∞)、即ち、Y=0である場合、PR=0である。また、(e/3)=Yである場合、PR=(1/2)=0.5である。更に、上記数式56及び数式57から、図11に示すように、(e/3)=(Y/2)、即ち、Y=(2/3)×eである場合、PR=0である。更に、(e/3)=(Y/3)、即ち、Y=eである場合、上記数式57及び数式58から、PR=(1/2)=0.5である。更にまた、上記数式58及び数式59から、図12に示すように、(e/3)=(Y/4)、即ち、Y=(4/3)×eである場合、PR=0である。更にまた、上記数式59及び数式60から、(e/3)=(Y/5)、即ち、Y=(5/3)×eである場合、PR=(1/2)=0.5である。更にまた、上記数式60から、(e/3)=(Y/6)、即ち、Y=(2×e)である場合、PR=0である。
【0182】
図13は横軸に(e/3)の値及びYの値をとり、縦軸に立体視確率PRをとって、上記数式53乃至数式60を示すグラフ図である。なお、図13の縦軸の単位は(%)である。また、両眼方向が第1方向であるときの立体視確率(数式53及び数式54)は実線で示し、両眼方向が第2方向であるときの立体視確率(数式55乃至数式60)は破線で示している。図13に示すように、立体画像表示装置を第1方向21が観察者の両眼方向になるよう配置したときに立体視確率の周期は、第2方向22が両眼方向になるよう配置したときに立体視確率の周期の3倍となっていることがわかる。なお、(Y/6)<(e/3)以外の範囲においても、立体視確率と(e/3)値との間には、同様な周期性が認められる。
【0183】
そして、図13に示すように、第2方向22における画素の拡大投影域の周期(e/3)が下記数式61を満たせば、両眼方向を第1方向21及び第2方向22のいずれの方向としても、0より大きい確率で立体画像を認識することができる。なお、下記数式61は前述の数式48と同じ数式である。
【0184】
【数61】
【0185】
また、(e/3)の値が下記数式62を満たせば、(e/3)の値が図13に示す範囲31の範囲内に入る。なお、下記数式62は前記数式49と同じ数式である。この結果、両眼方向を第1方向21及び第2方向22のいずれに設定しても、高い立体視確率を得ることができる。即ち、上記数式53及び数式54より、両眼方向を第1方向21とした場合の立体視確率PRは42乃至50%となる。また、上記数式57及び数式58より、両眼方向を第2方向22とした場合の立体視確率PRは、25乃至50%となる。本実施形態においては、(e/3)の値は例えば下記数式63を満たす。
【0186】
【数62】
【0187】
【数63】
【0188】
更に、図13に示すように、(e/3)の値が下記数式64を満たすことがより好ましい。なお、下記数式64において、k=1であれば、(e/3)=(Y/3)、即ち、Y=eとなる。これは図13に示す交点32に相当する。この場合、両眼方向を第1方向21及び第2方向22のいずれに設定しても立体視確率PRは50%となり、立体画像の視認性を最大にすることができる。
【0189】
【数64】
【0190】
なお、両眼間隔Yに対する(e/3)の値が小さくなるほど、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数が増加する。このため、同一の立体視確率であっても、観察面において立体視が可能な範囲と不可能な範囲との配列周期が短くなり、観察者が、立体視が可能な範囲に両眼を位置させることが困難になる。このため、Y/6<e/3とすることが好ましい。これにより、両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数Nが6以下となる。なお、この範囲は、図13における範囲35(Y/6<e/3<Y/4)、範囲30(Y/4<e/3<Y/2)及び範囲33(Y/2<e/3)に相当する。
【0191】
本実施形態においては、拡大投影域の周期を上記数式61を満たすように設定しているため、両眼方向が第1方向21及び第2方向22のいずれであっても、観察者に立体画像を認識させることができる。特に、前記周期を上記数式62を満たすように設定すれば、立体画像の視認性はより向上し、上記数式64を満たすように設定すれば、視認性は更に向上する。
【0192】
また、本実施形態に係る立体画像表示装置においては、光学手段としてフライアイレンズを使用しているために、パララックスバリアを使用した場合と比較して、バリアに起因する黒縞模様が発生せず、また、光の損失が少ない。
【0193】
更に、本実施形態に係る立体画像表示装置は、携帯電話等の携帯機器に好適に適用することができ、良好な立体画像を表示することができる。本実施形態に係る立体画像表示装置を携帯機器に適用すれば、大型の表示装置に適用する場合と異なり、観察者が自分の両眼と表示画面との位置関係を任意に調節できるため、最適な可視域を速やかに見出すことができる。
【0194】
なお、前述の数式16乃至17に示したように、通常はレンズの頂点と画素との間の距離Hをレンズの焦点距離fと等しくするが、異なる値に設定することも可能である。この場合、画素の拡大投影像はぼやけるため大きな幅になるが、この場合に本発明を適用するためには、画素の拡大投影幅eの値をぼやけた像の幅として扱えばよい。画素の像をぼやかすことにより、非表示領域の像もぼやけるため、非表示領域に起因する縞模様の発生を抑制することができる。
【0195】
また、本実施形態においては、表示パネルとして透過型液晶表示パネルを使用したが、本発明はこれに限定されず、反射型液晶表示パネル、又は各画素に透過領域及び反射領域が設けられた半透過型液晶表示パネルを使用してもよい。また、液晶表示パネルの駆動方法は、TFT(Thin
Film Transistor:薄膜トランジスタ)方式及びTFD(Thin
Film Diode:薄膜ダイオード)方式等のアクティブマトリクス方式でもよく、STN(Super
Twisted Nematic liquid crystal)方式等のパッシブマトリクス方式でもよい。更に、表示パネルには液晶表示パネル以外の表示パネル、例えば、有機エレクトロルミネッセンス表示パネル、プラズマ表示パネル、CRT(Cathode-Ray
Tube:陰極線管)表示パネル、LED(Light Emitting
Diode:発光ダイオード)表示パネル、フィールドエミッション表示パネル、又はPALC(Plasma
Address Liquid Crystal:プラズマ・アドレス液晶)を使用してもよい。
【0196】
更に、上述の説明は2視点の場合についてであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、3視点以上の多視点にした場合でも同様である。更にまた、上述の説明は、表示画素がストライプ状に配置された赤青緑の3原色の画素から構成される場合についてのものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、3色以外の色数に対しても同様に適用可能である。即ち、色数は2色又は4色以上であってもよい。色数を一般的にZ色(Zは2以上の整数)とした場合、上記数式61、数式62、数式64は夫々、数式43、数式44、数式45のように一般的に表現できる。
【0197】
更にまた、本実施形態に係る立体画像表示装置は携帯電話のみならず、携帯端末、PDA、ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の携帯端末装置に適用することができる。
【0198】
(第1の実施形態の変形例)
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。図14(a)及び(b)は本変形例に係る携帯電話を示す斜視図であり、(a)は立体画像表示装置を通常の配置で使用する場合を示し、(b)は90°回転させて使用する場合を示す。図14(a)及び(b)に示すように、本変形例に係る携帯電話においては、立体画像表示装置1が回転可能に搭載されている。そして、立体画像表示装置1を、図14(a)に示すような通常の配置(以下、縦配置という)とすることができると共に、図14(b)に示すような通常の配置から90°回転させた配置(以下、横配置という)とすることもできるようになっている。例えば、立体画像表示装置1は、携帯電話9の本体部に対して、電気的な接続を維持したまま回転可能な回転接続部材(図示せず)により連結されている。また、本変形例の携帯電話は立体画像表示装置1の配置方向を検出する検出手段(図示せず)を備えており、その配置方向により、観察者が立体画像を視認できるように、表示する画像を切替えるようになっている。
【0199】
次に、本変形例に係る携帯電話の動作について説明する。図15は、本変形例において立体画像表示装置の配置方向により表示画像を切替える動作を示すフローチャート図である。本変形例においては、説明の都合上、立体画像表示装置を縦配置した場合には両眼方向が第2方向22となり、横配置した場合には両眼方向が第1方向21となるものとする。
【0200】
初期状態においては、使用者(観察者)は携帯端末装置の電源をオフにしている。そして、図15のステップS1に示すように、携帯電話の電源がオンにされると、携帯電話は立体画像表示装置1の配置方向を検出する。
【0201】
そして、検出結果が縦配置である場合、ステップS2に示すように、携帯端末装置は立体画像表示装置の各表示単位において、第2方向に配列する画素に左右の視差画像を表示する。これにより、使用者は縦配置で立体画像を認識することができる。その後、ステップS1に戻る。
【0202】
一方、立体画像表示装置が回転され横配置となった場合、携帯電話はステップS1において携帯端末装置が横配置であることを検出する。この場合、ステップS3に進み、立体画像表示装置1は各表示単位における第1方向に配列する画素に左右の視差画像を表示する。これにより、使用者は横配置で立体画像を認識することができる。その後、ステップS1に戻る。
【0203】
なお、上述のように、立体画像表示装置は、縦配置時には第2方向に配列した画素に視差画像を表示するが、第1方向に配列した画素には同じ情報を表示すれば良い。これにより、縦方向に観察角度を変えた場合でも、広い視野角を得ることができる。また、第1方向に配列した画素に異なる情報を表示することもできる。これにより、立体画像表示装置を観察する角度を縦方向に変えるだけで、異なる情報を取得することができる。これは横配置時でも同様である。
【0204】
このように、本変形例においては、携帯電話本体を回転させることなく、立体画像表示装置のみを回転させて、画像表示の方向を切替えることができる。また、検出手段が立体画像表示装置の方向を検出することにより、立体画像表示装置の方向に連携して、画像の表示方向を切替えることができる。
【0205】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図16は、本実施形態に係る立体画像表示装置において、前記第1方向が観察者の両眼方向になるよう立体画像表示装置を配置した場合の光学モデル図であり、図17は、本実施形態に係る立体画像表示装置の動作において、前記第2方向が両眼方向になるよう立体画像表示装置を配置した場合の光学モデル図である。本実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して画素の拡大倍率を大きくした場合であり、図13において、(e/3)の値が範囲33内にある場合である。即ち、(e/3)の値が下記数式65を満たす。この場合、第2方向22が両眼方向になるように立体画像表示装置を配置すると、観察者の両眼間隔中における左右画像の切替回数Nは、両眼の位置によって0回又は1回となり、立体画像の認識が可能になるように両眼を位置させた場合には、N=1となる。
【0206】
【数65】
【0207】
また、図13に示すように、(e/3)の値を数式53と数式56との交点34に一致させれば、両眼方向を第1方向21とした場合の立体視確率PRと、両眼方向を第2方向22とした場合の立体視確率PRとを一致させ、縦配置及び横配置において同等な視認性を得ることができる。上記数式53及び数式56から、交点34における(e/3)の値は下記数式66に示すようになり、そのときの立体視確率PRは、両眼方向が第1方向21である場合及び第2方向22である場合の双方において、25%となる。従って、(e/3)の値を下記数式66に示す値とすることが好ましい。なお、下記数式66は、一般的に下記数式67のように表現することもできる。下記数式66は下記数式67におけるk=1の場合である。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0208】
【数66】
【0209】
【数67】
【0210】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図18は、本実施形態に係る立体画像表示装置を前記第1方向が観察者の両眼方向と一致するように配置した場合の光学モデル図であり、図19は、本実施形態に係る立体画像表示装置を前記第2方向が観察者の両眼方向と一致するように配置した場合の光学モデル図である。本実施形態は前述の第1の実施形態と比較して画素の拡大倍率を小さくしており、第2方向22における画素拡大投影幅e/3が両眼間隔Yに対して下記数式68を満たす。これは、図13に示す範囲35に相当する。なお、この場合、第2方向22が両眼方向になるように立体画像表示装置を配置すると、観察者の両眼間隔中における左右画像の切替回数Nは、両眼の位置によって4回乃至6回となり、立体画像の認識が可能になるように両眼を位置させた場合には、N=5となる。
【0211】
【数68】
【0212】
また、図13に示すように、(e/3)の値を数式54と数式59との交点36に一致させれば、両眼方向を第1方向21とした場合の立体視確率PRと、両眼方向を第2方向22とした場合の立体視確率PRとが一致し、縦配置及び横配置において同等な視認性を得ることができる。上記数式55及び数式60から、交点36における(e/3)の値は下記数式69に示すようになり、そのときの立体視確率PRは、両眼方向が第1方向21である場合及び第2方向22である場合の双方において、25%となる。従って、(e/3)の値を下記数式69に示す値とすることが好ましい。なお、下記数式69は、一般的に下記数式70のように表現することもできる。下記数式69は下記数式70におけるk=1の場合である。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0213】
【数69】
【0214】
【数70】
【0215】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図20は本実施形態に係る立体画像表示装置を示す斜視図であり、図21は図20に示すC−C’線による断面を示す光学モデル図であり、図22は図20に示すD−D’線による断面を示す光学モデル図である。図20に示すように、本第4の実施形態においては、表示パネル2における画素は、第1方向21及び第2方向22におけるピッチが相互に等しい正方配置となっている。各表示単位において、第1方向21における左右2視点用の画素と、第2方向22における左右2視点用の画素は、(2×2)のマトリクス状に配置され、画素マトリクスを構成している。上述のように画素の形状は正方形であるため、画素マトリクスの形状も正方形となる。そして、表示パネル2において、複数の画素マトリクスがマトリクス状に配列されている。
【0216】
また、フライアイレンズ3は、(2×2)個の画素からなるの画素マトリクス1個に対して1つのレンズ要素が対応するように配置されている。即ち、レンズ要素はマトリクス状に配列されている。図示した例では、赤色画素A401、赤色画素B402、赤色画素C403及び赤色画素D404からなる画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応する。同様に、緑色画素A405、緑色画素B406、緑色画素C407及び緑色画素D408からなる画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応し、青色画素A409、青色画素B410、青色画素C411及び青色画素D412からなる画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応し、青緑色画素A413、青緑色画素B414、青緑色画素C415及び青緑色画素D416からなる画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応する。画素の形状は正方形であるため、第1方向と第2方向におけるレンズピッチは同一である。1つの画素マトリクスに属する4個の画素は同色の画素であり、隣接する画素マトリクス間では画素の色が相互に異なっている。
【0217】
そして、(2×2)のマトリクス状に配列された4個の画素マトリクス、即ち(4×4)のマトリクス状に配列された16個の画素、が1つの表示単位を形成している。従って、各表示単位には4色の画素が設けられており、3原色である赤色、青色及び緑色に加え、この緑色とはスペクトルが異なる緑色である青緑色の画素が設けられている。
【0218】
また、図21及び図22に示すように、観察距離OD、及び観察距離ODにおける画素拡大投影幅e、レンズの頂点と画素との間の距離H、第1方向における画素ピッチPは、前記数式10乃至13を満たすように構成されている。そして、第2方向22においても、画素ピッチPが第1方向の画素ピッチと同一である。本実施形態における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0219】
本実施形態においては、第1方向21における画素ピッチが第2方向における画素ピッチと等しいため、その他のパラメータも同一にすることができる。このため、同一の観察面における画素の拡大投影幅を、第1方向と第2方向とで同一にすることができる。この結果、立体画像表示装置をどちらの方向に配置した場合でも、立体画像の視認性を向上することができる。また、各画素マトリクスは、同色の複数の画素により構成されている。これにより、表示パネル2における同色の連続領域を大きくすることができ、表示パネルの製造が容易になる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0220】
なお、上述の説明は、表示パネルが赤色、青色、緑色、青緑色の4色の画素から構成される場合についてのものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら以外の4色に対しても同様に適用可能である。また、4色以外の色数に対しても同様に適用可能である。
【0221】
(第4の実施形態の変形例)
次に、本第4の実施形態の変形例について説明する。前述の第4の実施形態においては、1つのレンズ要素に対応する画素マトリクスは同色の画素から構成したが、本変形例においては、異色の画素により構成する。図23は本変形例に係る立体画像表示装置を示す斜視図である。図23に示すように、本変形例においては、例えば、1つの画素マトリクスが赤色画素A401、緑色画素B406、青色画素C411及び青緑色画素D416により構成されており、この画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応する。同様に、緑色画素A405、青色画素B410、青緑色画素C415及び赤色画素D404からなる画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応し、青色画素A409、青緑色画素B414、赤色画素C403及び緑色画素D408からなる画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応し、青緑色画素A413、赤色画素B402、緑色画素C407及び青色画素D412からなる画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応する。即ち、1つの視点が異なる色から構成されるように、モザイク状の色配列になっている。
【0222】
このため、本変形例に係る立体画像表示装置は自然風景等の画像表示に適している。これに対して、上述の如く、1つの画素マトリクスを同色の画素により構成した場合には、同色の連続領域を大きくすることができるため、表示パネルの製造が容易になるという利点がある。
【0223】
本実施形態及びその変形例においては、4色の色画素に対応するため、スペクトルが相互に異なる2色の緑色を使用しているが、これにより立体画像表示装置の色再現性を向上させることができる。また、スペクトルの異なる2色の緑色の代わりに、通常の緑色と白色の画素を使用することも可能である。この場合、立体画像表示装置の輝度を向上させる効果がある。
【0224】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図24は本実施形態に係る立体画像表示装置を示す斜視図である。本第5の実施形態では、前述の第4の実施形態と比較して、フライアイレンズにおけるレンズ要素がデルタ配列となっており、1つの表示単位を構成する画素マトリクスがデルタ配列となっている点が異なっている。各画素マトリクスを構成する(2×2)個の画素は、前述の第4の実施形態と同様に正方配列であり、1つの画素マトリクスは同色の画素から構成される。即ち、赤色画素A401、赤色画素B402、赤色画素C403及び赤色画素D404が1つの画素マトリクスを構成し、この画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応する。同様に、緑色画素A405、緑色画素B406、緑色画素C407及び緑色画素D408が1つの画素マトリクスを構成し、この画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応し、青色画素A409、青色画素B410、青色画素C411及び青色画素D412が1つの画素マトリクスを構成し、この画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応する。そして、上述の画素401乃至412により、1つの表示単位が構成されている。
【0225】
本実施形態においては、レンズ要素及び画素マトリクスがデルタ配列となっているために、表示単位を赤色、緑色及び青色の3原色で構成することができる。このため、従来の色表示との互換性を保ちつつ、第1方向及び第2方向における立体画像の視認性を向上させることができる。また、デルタ配列となっているために、自然画等を好適に表示することができる。
【0226】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。図25は、本実施形態に係る立体画像表示装置を示す斜視図であり、図26は図25に示すE−E’線による断面を示す光学モデル図であり、図27は図25に示すF−F’線による断面を示す光学モデル図である。前述の第1の実施形態においては、光学手段としてフライアイレンズを使用したが、本実施形態においては、光学手段として2枚のレンチキュラレンズを使用する。即ち、図25に示すように、立体画像表示装置1においては、観察者側から順に、レンチキュラレンズ51、レンチキュラレンズ52、表示パネル2及び光源(図示せず)が設けられている。
【0227】
レンチキュラレンズ51を構成する複数個のシリンドリカルレンズは、その長手方向が第2方向22と一致しており、第1方向21に沿って配列されている。また、レンチキュラレンズ52を構成する複数個のシリンドリカルレンズは、その長手方向が第1方向21と一致しており、第2方向22に沿って配列されている。従って、レンチキュラレンズ51とレンチキュラレンズ52とは、シリンドリカルレンズの長手方向が相互に直交するように重ね合わされている。更に、レンチキュラレンズ51はレンズ面を観察者(図示せず)に向けて配置され、レンチキュラレンズ52はレンズ面を表示パネル2に向けて配置されている。即ち、レンズ51の平坦面(レンズ面の反対面)がレンズ52に対向し、レンズ52のレンズ面が表示パネル2に対向するようになっている。更にまた、レンチキュラレンズ51のレンズピッチは、レンチキュラレンズ52のレンズピッチの3倍となっている。
【0228】
図26に示すように、観察距離OD、観察距離ODにおける画素拡大投影幅e、レンズ51の頂点と画素との間の距離H、第1方向21における画素ピッチPの間には、前記数式1及び2より、下記数式71乃至数式73が成立する。
【0229】
【数71】
【0230】
【数72】
【0231】
【数73】
【0232】
また、図27に示すように、観察距離OD、観察距離ODにおける画素拡大投影幅e、レンズ52の頂点と画素との間の距離H2、第2方向22における画素ピッチ(P/3)の間には、下記数式74乃至数式76が成立する。
【0233】
【数74】
【0234】
【数75】
【0235】
【数76】
【0236】
上記数式71乃至数式73からレンズ51と画素との間の距離Hを算出し、数式74乃至数式76からレンズ52と画素との間の距離H2を算出することにより、レンチキュラレンズ51及び52の位置を求めることができる。
【0237】
本実施形態に係る立体画像表示装置は、2枚のレンチキュラレンズのレンズの頂点と画素との間の距離を独立に設定できるため、前記第1方向と前記第2方向における画素の拡大投影幅をそれぞれ独立に設定できる。このため、同一の観察面における画素の拡大投影像幅を、第1方向と第2方向で同一にすることができる。この結果、両眼方向を第1方向21及び第2方向22のいずれの方向に一致させた場合でも、立体画像の視認性を向上することができる。また、レンチキュラレンズ51のレンズピッチは、レンチキュラレンズ52のレンズピッチの3倍とすることにより、第2方向に沿って3色の画素を繰返し配列した場合に、第1方向及び第2方向における画像の解像度を相互に等しくすることができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0238】
なお、レンチキュラレンズ52はレンズ面を観察者側に配置することも可能であるが、本実施形態の如く、レンズ51の平坦面とレンズ52の平坦面とが相互に対向するように配置すれば、レンズ52の頂点と画素との間の距離H2を、レンズ51の頂点と画素との間の距離Hの1/3程度の値とすることができるため、より小さな距離H2に対応することが可能となり、画素ピッチPが小さな高精細パネルに適用することができる。このため、本実施形態においては、レンズ51及び52を、その平坦面同士を対向させて配置している。
【0239】
また、レンチキュラレンズ51とレンチキュラレンズ52の間に偏光板等の光学フィルム(図示せず)を配置すると、より小さな距離H2に対応することが可能となるため、高精細化には有効である。更に、2枚のレンチキュラレンズ51及び52の替わりに、スリット状の開口部が形成された2枚のパララックスバリアを使用してもよい。このとき、2枚のパララックスバリアにおける開口部の長手方向は、相互に直交する方向とする。そして、開口部の長手方向が第2方向であり開口部の配列方向が第1方向である一方のパララックスバリアを、他方のパララックスバリアよりも表示パネルから遠い位置に配置し、前記一方のパララックスバリアにおける開口部の配列ピッチを、前記他方のパララックスバリアにおける開口部の配列ピッチの3倍とすることが好ましい。
【0240】
更に、上述の説明は赤青緑の3色の画素から構成される場合についてのものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、3色以外の色数に対しても同様に適用可能である。即ち、色数Z(Zは2以上の整数)に応じて、前記一方のレンチキュラレンズにおけるレンズピッチを前記他方のレンチキュラレンズにおけるレンズピッチのZ倍とすることが好ましい。また、パララックスバリアの場合についても同様であり、前記一方のパララックスバリアにおける開口部の配列ピッチを、前記他方のパララックスバリアにおける開口部の配列ピッチのZ倍とすることが好ましい。
【0241】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。図28は本実施形態に係る立体画像表示装置を示す斜視図である。図28に示すように、本実施形態においては、前述の第1の実施形態と比較して、表示パネル2の観察者側に、フライアイレンズ3の替わりにパララックスバリア7が設けられている。そして、パララックスバリア7には、ピンホール8がマトリクス状に形成されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0242】
本実施形態においては、レンズの代わりにバリアを設けることにより、レンズの表面反射に起因する縞模様の発生を抑制でき、この縞模様に起因する表示画質の低下を防止することができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0243】
なお、パララックスバリア7を表示パネル2の背面側に設けてもよい。この場合には、観察者が画像を観察する際にバリアが目障りにならないため、視認性がより向上する。また、前述の第6の実施形態において、2枚のレンチキュラレンズのうち一方をスリット状の開口が形成されたパララックスバリアに置き換えてもよい。更に、パララックスバリアに形成されたピンホール又はスリット状の開口は、実際には有限の大きさを持つため、画素の拡大投影像がぼやけて大きな幅になる。この場合は、画素の拡大投影幅eの値をこのぼやけた像の幅として扱うことにより、本発明を適用することが可能となる。開口幅を大きくすることにより、左右画像のクロストークが増加する一方で、明るい表示が可能になる。更にまた、第7の実施形態は前述の第1の実施形態においてフライアイレンズの替わりにパララックスバリアを使用した例であるが、同様に、前述の第2乃至第5の実施形態においても、フライアイレンズの替わりにピンホール状の開口部が形成されたパララックスバリアを使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0244】
本発明の活用例として、携帯電話、PDA、ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の携帯端末装置がある。本発明はカラーの立体画像を表示する装置に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0245】
1;立体画像表示装置
2;表示パネル
3;フライアイレンズ
3a、3b、3c;レンズ要素
6;遮光部
7;パララックスバリア
8;ピンホール
9;携帯電話
10;光源
21;第1方向
22;第2方向
30、31、33、35;範囲
32、34、36;交点
51、52;レンチキュラレンズ
61;左眼
62;右眼
63;中点
104;観察者
105;パララックスバリア
105a;スリット
106;表示パネル
107;立体可視域
107a;対角線の交点
107b;最適観察面
108;光源
112;横方向
121;レンチキュラレンズ
122;シリンドリカルレンズ(凸部)
123;右眼用画素
124;左眼用画素
125;フライアイレンズ
141;右眼
142;左眼
143;右眼141と左眼142の中点
171;右眼領域
172;左眼領域
181、182;光束
401;赤色画素A
402;赤色画素B
403;赤色画素C
404;赤色画素D
405;緑色画素A
406;緑色画素B
407;緑色画素C
408;緑色画素D
409;青色画素A
410;青色画素B
411;青色画素C
412;青色画素D
413;青緑色画素A
414;青緑色画素B
415;青緑色画素C
416;青緑色画素D
e;画素の拡大投影域の幅
EL、EL0、EL1、EL2、ER、ER0、ER1、ER3;領域
H;レンズの頂点と画素との間の距離
L;レンズピッチ
OD;最適観察距離
P;画素の配列ピッチ
Y;観察者の両眼間隔
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像を表示し得る立体画像表示装置、及び前記立体画像表示装置に組み込まれる表示パネルに関し、特に、立体画像表示装置を一の方向だけでなくこの一の方向に直交する他の方向に配置した場合でも立体視が可能な立体画像表示装置、及び表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、立体画像を表示することができる表示装置の検討が行われている。紀元前280年にギリシャの数学者ユークリッドは「立体視とは、同一物体の異なる方向から眺めた別々の映像を左右両眼が同時に見ることによって得られる感覚である」と考察している(例えば、非特許文献1(増田千尋著、産業図書株式会社刊「3次元ディスプレイ」)参照。)。即ち、立体画像表示装置の機能としては、左右両眼に視差のある画像を夫々提示することが必要となる。
【0003】
この機能を具体的に実現する方法として、かねてから多くの立体画像表示方式が検討されているが、これらは眼鏡を使用する方式と眼鏡を使用しない方式に大別することができる。このうち、眼鏡を使用する方式には、色の違いを利用したアナグリフ方式、及び偏光を利用した偏光眼鏡方式等があるが、本質的に眼鏡をかける煩わしさを避けることができないため、近年では眼鏡を使用しない眼鏡なし方式が盛んに検討されている。眼鏡なし方式には、レンチキュラレンズ方式及びパララックスバリア方式等がある。
【0004】
先ず、レンチキュラレンズ方式について説明する。レンチキュラレンズ方式は、例えば前述の非特許文献1に記載されているように、Ives等により1910年頃に発明された。図29はレンチキュラレンズを示す斜視図であり、図30はレンチキュラレンズを使用する立体画像表示方法を示す光学モデル図である。図29に示すように、レンチキュラレンズ121は一方の面が平面となっており、他方の面には、一方向に延びるかまぼこ状の凸部(シリンドリカルレンズ122)が、その長手方向が相互に平行になるように複数個形成されている。
【0005】
そして、図30に示すように、レンチキュラレンズ方式の立体画像表示装置においては、観察者側から順に、レンチキュラレンズ121、表示パネル106、光源108が配置されており、レンチキュラレンズ121の焦点面に表示パネル106の画素が位置している。表示パネル106においては、右眼141用の画像を表示する画素123と左眼142用の画像を表示する画素124とが交互に配列されている。このとき、相互に隣接する画素123及び画素124からなる群は、レンチキュラレンズ121の各シリンドリカルレンズ(凸部)122に対応している。これにより、光源108から出射し各画素を透過した光は、レンチキュラレンズ121のシリンドリカルレンズ122により左右の眼に向かう方向に振り分けられる。これにより、左右の眼に相互に異なる画像を認識させることが可能となり、観察者に立体画像を認識させることが可能になる。このように、左眼用画像及び右眼用画像を夫々の眼に対して表示して、観察者に立体画像を認識させる方式は、2つの視点を形成するため2視点方式と呼ばれている。
【0006】
次に、通常のレンチキュラレンズと表示パネルとを備えた立体画像表示装置の各部のサイズについて詳細に説明する。図31は、通常のレンチキュラレンズ方式の2眼式立体画像表示装置の光学モデルを示す図であり、図32はこの2眼式立体画像表示装置の立体可視域を示す図である。図31に示すように、レンチキュラレンズ121の頂点と表示パネル106の画素との間の距離をHとし、レンチキュラレンズ121の屈折率をnとし、焦点距離をfとし、レンズ要素の配列周期、即ちレンズピッチをLとする。表示パネル106の表示画素においては、各1個の左眼用画素124及び右眼用画素123が1組になって配置されている。この画素のピッチをPとする。従って、各1個の左眼用画素124及び右眼用画素123からなる表示画素の配列ピッチは2Pとなる。この各1個の左眼用画素124及び右眼用画素123の2画素からなる表示画素に対して、1つのシリンドリカルレンズ122が対応して配置されている。
【0007】
また、レンチキュラレンズ121と観察者との間の距離を最適観察距離ODとし、この距離ODにおける画素の拡大投影幅、即ち、レンズから距離ODだけ離れレンズと平行な仮想平面上における左眼用画素124及び右眼用画素123の投影像の幅を夫々eとする。更に、レンチキュラレンズ121の中央に位置するシリンドリカルレンズ122の中心から、横方向112におけるレンチキュラレンズ121の端に位置するシリンドリカルレンズ122の中心までの距離をWLとし、表示パネル106の中心に位置する左眼用画素124と右眼用画素123からなる表示画素の中心と、横方向112における表示パネル106の端に位置する表示画素の中心との間の距離をWPとする。更にまた、レンチキュラレンズ121の中央に位置するシリンドリカルレンズ122における光の入射角及び出射角を夫々α及びβとし、横方向112におけるレンチキュラレンズ121の端に位置する凸部122における光の入射角及び出射角を夫々γ及びδとする。更にまた、距離WLと距離WPとの差をCとし、距離WPの領域に含まれる画素数を2m個とする。
【0008】
シリンドリカルレンズ122の配列ピッチLと画素の配列ピッチPとは相互に関係しているため、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてレンチキュラレンズを設計することが多いため、画素の配列ピッチPを定数として扱う。また、レンチキュラレンズ121の材料を選択することにより、屈折率nが決定される。これに対して、レンズと観察者との間の観察距離OD、及び観察距離ODにおける画素拡大投影幅eは所望の値を設定する。これらの値を使用して、レンズの頂点と画素との間の距離H及びレンズピッチLを決定する。スネルの法則と幾何学的関係より、下記数式1乃至6が成立する。また、下記数式7乃至9が成立する。
【0009】
【数1】
【0010】
【数2】
【0011】
【数3】
【0012】
【数4】
【0013】
【数5】
【0014】
【数6】
【0015】
【数7】
【0016】
【数8】
【0017】
【数9】
【0018】
上記数式1乃至3より、夫々下記数式10乃至12が成立する。
【0019】
【数10】
【0020】
【数11】
【0021】
【数12】
【0022】
また、上記数式6及び9より下記数式13が成立する。また、上記数式8及び数式9より、下記数式14が成立する。更に、上記数式5より、下記数式15が成立する。
【0023】
【数13】
【0024】
【数14】
【0025】
【数15】
【0026】
なお、通常はレンチキュラレンズの頂点と画素との間の距離Hを、レンチキュラレンズの焦点距離fと等しくするため、下記数式16が成立し、レンズの曲率半径をrとすると、曲率半径rは下記数式17により求まる。
【0027】
【数16】
【0028】
【数17】
【0029】
図32に示すように、全ての右眼用画素123からの光が到達する領域を右眼領域171とし、全ての左眼用画素124からの光が到達する領域を左眼領域172とする。観察者は、右眼141を右眼領域171に位置させ、左眼142を左眼領域172に位置させれば、立体画像を認識することができる。但し、観察者の両眼間隔は一定なので、右眼141及び左眼142を夫々右眼領域171及び左眼領域172の任意の位置に配置できるわけではなく、両眼間隔を一定値に保つことができる領域に限定される。即ち、右眼141及び左眼142の中点が立体可視域107に位置する場合にのみ、立体視が可能となる。表示パネル106からの距離が最適観察距離ODとなる位置では、立体可視域107における横方向112に沿った長さが最長となるため、観察者の位置が横方向112にずれた場合の許容度が最大となる。このため、表示パネル106からの距離が最適観察距離ODとなる位置が、最も理想的な観察位置である。
【0030】
後述するように、パララックスバリア方式が不要な光線をバリアにより「隠す」方式であるのに対し、レンチキュラレンズ方式は光の進む向きを変える方式であり、原理的にレンチキュラレンズを設けることによる表示画面の明るさの低下がない。そのため、特に高輝度表示及び低消費電力性能が重視される携帯機器等への適用が有力視されている。
【0031】
レンチキュラレンズ方式による立体画像表示装置を開発した例が、例えば非特許文献2(2003年1月6日発行の日経エレクトロニクスNo.838、第26〜27頁)に記載されている。立体画像表示装置を構成する液晶表示パネルは、対角7インチ型の大きさで横800ドット×480ドットの表示ドット数を有する。レンチキュラレンズと液晶表示パネルの距離を0.6mm変えることにより、立体画像表示と平面表示とを切替えることができる。横方向視点数は5であり、横方向に角度を変えると5つの異なる画像を見ることができる。縦方向の視点数は1であるため、縦方向に角度を変えても画像は変化しない。
【0032】
次に、パララックスバリア方式について説明する。パララックスバリア方式は、1896年にBerthierが着想し、1903年にIvesによって実証された。図33は、パララックスバリアを使用する立体画像表示方法を示す光学モデル図である。図33に示すように、パララックスバリア105は、細い縦縞状の多数の開口、即ち、スリット105aが形成されたバリア(遮光板)である。そして、このパララックスバリア105の一方の表面の近傍には、表示パネル106が配置されている。表示パネル106においては、スリットの長手方向と直交する方向に右眼用画素123及び左眼用画素124が配列されている。また、パララックスバリア105の他方の表面の近傍、即ち、表示パネル106の反対側には、光源108が配置されている。
【0033】
光源108から出射され、パララックスバリア105の開口(スリット105a)を通過し、右眼用画素123を透過した光は、光束181となる。同様に、光源108から出射され、スリット105aを通過し、左眼用画素124を通過した光は光束182となる。このとき、立体画像の認識が可能となる観察者の位置は、パララックスバリア105と画素との位置関係により決定される。即ち、観察者104の右眼141は、複数の右眼用画素123に対応する全ての光束181の通過域内にあり、且つ、観察者の左眼142は、全ての光束182の通過域内にあることが必要となる。これは、図33において、観察者の右眼141と左眼142との中点143が図33に示す四角形の立体可視域107内に位置する場合である。
【0034】
立体可視域107における右眼用画素123及び左眼用画素124の配列方向に延びる線分のうち、立体可視域107における対角線の交点107aを通る線分が最も長い線分となる。このため、中点143が交点107aに位置するとき、観察者の位置が左右方向にずれた場合の許容度が最大となるため、観察位置としては最も好ましい。従って、この立体画像表示方法においては、この交点107aと表示パネル106との距離を最適観察距離ODとし、この距離で観察することを観察者に推奨している。なお、立体可視域107における表示パネル106からの距離が最適観察距離ODとなる仮想的な平面を、最適観察面107bという。これにより、観察者の右眼141及び左眼142に夫々右眼用画素123及び左眼用画素124からの光が到達することになる。このため、観察者は表示パネル106に表示された画像を、立体画像として認識することが可能になる。
【0035】
次に、表示パネルの前面にスリット状の開口部が形成されたパララックスバリアが配置された立体画像表示装置について、その各部のサイズを詳細に説明する。図34は、表示パネルの観察者側にスリット状のパララックスバリアを備えた2眼式立体画像表示装置の光学モデルを示す図である。なお、説明の都合上、パララックスバリアの開口幅は微小であり無視できるものとする。図34に示すように、パララックスバリア105のスリット105aの配列ピッチをLとし、表示パネル106とパララックスバリア105との間の間隔をHとする。また、画素の配列ピッチをPとする。前述の如く、表示パネル106においては、2個の画素、即ち、各1個の右眼用画素123及び左眼用画素124が1組の画素群となって配置されているため、その画素群の配列ピッチは2Pとなる。スリット105aの配列ピッチLと画素群の配列ピッチPとは相互に関係しているため、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてパララックスバリアを設計することが多いため、画素の配列ピッチPを定数として扱う。
【0036】
また、全ての右眼用画素123からの光が到達する領域を右眼領域171とし、全ての左眼用画素124からの光が到達する領域を左眼領域172とする。観察者は、右眼141を右眼領域171に位置させ、左眼142を左眼領域172に位置させれば立体画像を認識することができる。但し、観察者の両眼間隔は一定なので、右眼141及び左眼142を夫々右眼領域171及び左眼領域172の任意の位置に配置できるわけではなく、両眼間隔を一定値に保つことができる領域に限定される。即ち、右眼141及び左眼142の中点143が立体可視域107に位置する場合にのみ、立体視が可能となる。表示パネル106からの距離が最適観察距離ODとなる位置では、立体可視域107における横方向112に沿った長さが最長となるため、観察者の位置が横方向112にずれた場合の許容度が最大となる。このため、表示パネル106からの距離が最適観察距離ODとなる位置が、最も理想的な観察位置である。立体可視域107における表示パネル106からの距離が最適観察距離ODである仮想平面を最適観察面107bとする。また、最適観察面107bにおける1個の画素の拡大投影幅をeとする。
【0037】
次に、上述の各値を使用して、パララックスバリア105と表示パネル106の画素との間の距離Hを決定する。図34に示す幾何学的関係より、下記数式18が成立し、これにより、下記数式19に示すように、間隔Hが求まる。
【0038】
【数18】
【0039】
【数19】
【0040】
更に、表示パネル106の横方向112における中心に位置する画素群の中心と、横方向112における端に位置する画素群の中心との間の距離をWPとし、これらの画素群に夫々対応するスリット105aの中心間の距離をWLとすると、距離WPと距離WLとの差Cは下記数式20で与えられる。また、表示パネル106において距離WPに含まれる画素数を2m個とすると、下記数式21が成立する。更に、幾何学的関係から下記数式22が成り立つため、パララックスバリア105のスリット105aのピッチLは下記数式23により与えられる。
【0041】
【数20】
【0042】
【数21】
【0043】
【数22】
【0044】
【数23】
【0045】
次に、表示パネルの背面にパララックスバリアを備えた立体画像表示装置について、各部のサイズについて詳細に説明する。図35は、表示パネルの背面にスリット状のパララックスバリアを備えた2眼式立体画像表示装置の光学モデルを示す図である。なお、説明の都合上、パララックスバリアの開口幅は微小であり無視できるものとする。前述の表示パネルの前面にパララックスバリアが配置された場合と同様に、パララックスバリア105のスリット105aの配列ピッチをLとし、表示パネル106とパララックスバリア105との間の間隔をHとする。また、画素の配列ピッチをPとする。前述の如く、表示パネル106においては、2個の画素、即ち、各1個の右眼用画素123及び左眼用画素124が1組の画素群となって配置されているため、その画素群の配列ピッチは2Pとなる。スリット105aの配列ピッチLと画素群の配列ピッチPとは相互に関係しているため、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてパララックスバリアを設計することが多いため、画素の配列ピッチPを定数として扱う。
【0046】
また、全ての右眼用画素123からの光が到達する領域を右眼領域171とし、全ての左眼用画素124からの光が到達する領域を左眼領域172とする。観察者は、右眼141を右眼領域171に位置させ、左眼142を左眼領域172に位置させれば立体画像を認識することができる。但し、観察者の両眼間隔は一定なので、右眼141及び左眼142を夫々右眼領域171及び左眼領域172の任意の位置に配置できるわけではなく、両眼間隔を一定値に保つことができる領域に限定される。即ち、右眼141及び左眼142の中点143が立体可視域107に位置する場合にのみ、立体視が可能となる。表示パネル106からの距離が最適観察距離ODとなる位置では、立体可視域107における横方向112に沿った長さが最長となるため、観察者の位置が横方向112にずれた場合の許容度が最大となる。このため、表示パネル106からの距離が最適観察距離ODとなる位置が、最も理想的な観察位置である。更に、立体可視域107における表示パネル106からの距離が最適観察距離ODである仮想平面を最適観察面107bとする。更に、最適観察面107bにおける1個の画素の拡大投影幅をeとする。
【0047】
次に、上述の各値を使用して、パララックスバリア105と表示パネル106の画素との間の距離Hを決定する。図35に示す幾何学的関係より、下記数式24が成立し、これにより、下記数式25に示すように、間隔Hが求まる。
【0048】
【数24】
【0049】
【数25】
【0050】
更に、表示パネル106の横方向112における中心に位置する画素群の中心と、横方向112における端に位置する画素群の中心との間の距離をWPとし、これらの画素群に夫々対応するスリット105aの中心間の距離をWLとすると、距離WPと距離WLとの差Cは下記数式26で与えられる。また、表示パネル6において距離WPに含まれる画素数を2m個とすると、下記数式27及び数式28が成立する。更に、幾何学的関係から下記数式29が成り立つため、パララックスバリア105のスリット105aのピッチLは下記数式30により与えられる。
【0051】
【数26】
【0052】
【数27】
【0053】
【数28】
【0054】
【数29】
【0055】
【数30】
【0056】
パララックスバリア方式は、当初考案された際には、パララックスバリアが画素と眼との間に配置されていたこともあり、目障りで視認性が低い点が問題であった。しかし、近時の液晶表示パネルの実現に伴って、図33に示すように、パララックスバリア105を表示パネル106の裏側に配置することが可能となって視認性が改善された。このため、パララックスバリア方式の立体画像表示装置については、現在盛んに検討が行われている。
【0057】
パララックスバリア方式を用いて実際に製品化された例が、前述の非特許文献2の表1中に記載されている。これは、3D対応液晶パネルを搭載した携帯電話であり、立体画像表示装置を構成する液晶表示パネルは、対角2.2インチ型の大きさで横176ドット×縦220ドットの表示ドット数を有する。そして、パララックスバリアの効果をオン・オフするスイッチ用の液晶パネルが設けられており、立体画像表示と平面画像表示を切替えて表示することができる。立体画像表示時には、前述のように左眼用画像と右眼用画像の2枚の画像を表示する。即ち、2視点方式の立体画像表示装置である。
【0058】
これに対し、2枚の画像だけでなく、更に多くの画像を使用して、立体感を高める試みが行われている。例えば、前述のように、左眼用画像と右眼用画像の2枚の画像の組を横方向に表示するだけでなく、この2枚の画像の組とは異なった更に2枚の画像の組を上下方向にも配置する。パララックスバリアの開口部の形状はピンホール状にしておく。すると、観察者の位置が上下方向に移動した場合、異なる立体画像が認識できる。上下方向に配置した2枚の画像の組は、表示する物体を上下方向から観察した画像にしておく。すると、観察者が上下方向に位置を変えることで、上下方向にも立体感を感じることができ、結果として立体感を高めることができる。
【0059】
横方向と上下方向の2次元状に画像を表示する立体画像表示装置の開発例が、非特許文献3に記載されている。これは、横方向に7視点、上下方向に4視点を実現した28視点式の多視点立体画像表示装置であり、立体画像表示装置を構成する液晶表示装置は対角22インチ型の大きさでQUXGA−W(横3840ドット×縦2400ドット)の表示ドット数を有する。観察位置を横方向のみならず、上下方向に移動した場合にも連続的に変化する立体画像を観察することができる。
【0060】
しかしながら、上述の従来の立体画像表示装置においては、表示画面の配置方向を、観察者に対して常に一方向に設定することを前提としている。このため、観察者に対する表示画面の方向を変えた場合には、観察者に立体画像を視認させることが不可能になる。例えば、上述の表示装置を、通常の方向からどちらかに90°回転させると、観察者が両眼で同一の画像を観察することになるため、立体画像を認識することができなくなる。
【0061】
この問題を解決するために、特許文献1(特開平06−214323号公報)には、2枚のレンチキュラレンズを、レンズの長手方向が相互に直交し、各レンズの焦点が同一平面上に位置するように重ね合わせ、マトリクス状に配列された複数の画素からの光を画面の縦方向及び横方向の双方に振り分ける技術が開示されている。特許文献1には、これにより、例えば観察者が横になるなどして、観察者に対する表示画面の方向が90°回転した場合でも、観察者に立体画像を認識させることができると記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0062】
【非特許文献1】増田千尋著、産業図書株式会社刊「3次元ディスプレイ」
【非特許文献2】2003年1月6日発行の日経エレクトロニクスNo.838、第26〜27頁
【非特許文献3】2003年3月20日発行の光技術コンタクト第41巻第3号、第21〜32頁
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開平06−214323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0064】
しかしながら、上述の従来の技術には以下に示すような問題点がある。本発明者等が検討した結果、特許文献1に記載の表示装置では、カラー画像を表示する場合に、観察者に対する表示装置の配置方向を変更すると、うまく立体表示することができないことが明らかになった。以下、この現象について詳細に説明する。
【0065】
先ず、レンズを使用する場合について説明する。表示装置を縦横どちらに配置しても立体画像を観察できるようにするために、前述の特許文献1においては、レンズの長手方向が相互に直交するように配置された2枚のレンチキュラレンズを使用しているが、レンズ要素が二次元的に配列されたフライアイレンズを使用してもよい。図36はフライアイレンズを示す斜視図である。
【0066】
立体画像表示装置に使用する表示装置としては、現在最も汎用的なストライプ状の色配列を採用した表示装置を使用する。そして、説明の都合上、第1方向と第2方向を次のように定義する。即ち、第1方向は各色の画素のうち、同色の画素が連続して配置される方向であり、第2方向は各色の画素が繰り返し配列される方向とする。第1方向と第2方向とは、表示面内で相互に直交している。1つの表示単位は赤青緑の3色の画素を含み、各色の画素が夫々ストライプ状に配列されている。また、第1方向の解像度と第2方向の解像度は相互に等しく設定されているため、第2方向における色画素のピッチは、第1方向におけるピッチの(1/3)になっている。
【0067】
第1方向だけでなく、第2方向にも左右画素を配置して立体画像を観察可能にするためには、第2方向に配列され相互に隣接する2つの同色画素に対して1つのレンズ要素を配置する方法が考えられる。この場合、第2方向の画素ピッチは第1方向の画素ピッチの(1/3)となるため、前述の数式3は、下記数式31に置き換えられる。
【0068】
【数31】
【0069】
このとき、レンズと画素との間の距離Hは、1枚のフライアイレンズを使用する都合上、前述の第1方向におけるレンズ−画素間距離Hと同一の値を使用しなければならない。同様に、レンズの屈折率nも同一である。また、観察距離ODも不変であることが望ましい。これにより数式1は以下の数式32となる。また数式2は以下の数式33となる。
【0070】
【数32】
【0071】
【数33】
【0072】
なお、α、β、α´、β´の角度は一般的に小さく、近軸近似が成立する範囲であるので、e´はほぼ(e/3)と等しくなり、画素拡大投影幅は(e/3)となる。例えば、前述の第1方向における画素拡大投影幅eが97.5mmである場合、第2方向における画素拡大投影幅e/3は32.5mmとなる。即ち、左右画像が32.5mmピッチで拡大投影されることになる。この結果、両眼間隔が65mmである一般的な観察者は、一時に左右どちらか一方の画像しか観察できなくなり、表示装置は立体画像を表示しているにも拘らず、観察者は立体画像が認識できなくなる。
【0073】
同様の問題はレンズ方式だけでなく、パララックスバリア方式を使用した立体画像表示装置でも発生する。以下、パララックスバリア方式の立体画像表示装置について、観察者に対する表示装置の角度を通常の観察位置から90°回転させたときに発生する現象について説明する。
【0074】
図33に示す従来の立体画像表示装置は、スリット状の開口部が形成されたパララックスバリアを使用した立体画像表示装置である。この装置を通常の配置から90°回転させると、観察者が両眼で同一の画像を観察することになるため、立体画像を視認することができない。表示装置を縦横どちらに配置しても立体画像を観察できるようにするためには、ピンホール状の開口部が二次元的に配列されたパララックスバリアを使用する必要がある。なお、本装置においても、上述のフライアイレンズを使用した装置と同様に、各色の配列はストライプ状とし、第1方向及び第2方向を上述の定義と同様に定義する。この結果、第2方向における色画素のピッチは、第1方向におけるピッチの(1/3)となる。
【0075】
第1方向だけでなく、第2方向にも左右画素を配置して立体画像を観察可能にするためには、第2方向に配列され相互に隣接する2つの色画素に対して1つのピンホールを配置する方法が考えられる。この場合、画素ピッチは第1方向の(1/3)であるため、上記数式19は下記数式34に置き換えられる。
【0076】
【数34】
【0077】
このとき、バリア−画素間距離Hは、1枚のパララックスバリアを使用する都合上、前述の第1方向におけるバリア−画素間距離Hと同一の値を使用しなければならない。また、観察距離ODも不変であることが望ましい。これにより下記数式35が成立する。
【0078】
【数35】
【0079】
これは、画素拡大投影幅が(e/3)となることを意味する。この結果、フライアイレンズの場合と同様に、表示装置が立体画像を表示しているにも拘らず、観察者が立体画像を認識できなくなるという現象が発生する。
【0080】
更に、表示パネルの背面にパララックスバリアを備えた立体画像表示装置においても、同様な現象が発生する。この場合も、第2の方向における画素のピッチは、第1方向におけるピッチの(1/3)になるため、上記数式25は下記数式36となる。
【0081】
【数36】
【0082】
このとき、バリア−画素間距離Hは、1枚のパララックスバリアを使用する都合上、前述の第1方向におけるバリア−画素間距離Hと同一の値を使用しなければならない。また、観察距離ODも不変であることが望ましい。これにより以下の数式37が成立する。
【0083】
【数37】
【0084】
これは、画素拡大投影幅が(e/3)となることを意味し、前述のフライアイレンズの場合と同様に、表示装置が立体画像を表示しているにも拘らず、観察者が立体画像を認識できなくなる現象が発生する。
【0085】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、立体画像表示装置を通常の観察方向から90°回転させた場合でも、カラーの立体画像を視認性が優れた状態で観察者に認識させることができる立体画像表示装置、及び前記立体画像表示装置に組み込まれる表示パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0086】
本発明の第1の観点に係る立体画像表示装置は、右眼用の画像を表示する画素及び左眼用の画像を表示する画素を含む複数の表示単位が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、前記第1方向に配列された画素から出射した光を前記第1方向に沿って相互に異なる方向に振り分けると共に前記第2方向に配列された画素から出射した光を前記第2方向に沿って相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、前記右眼用の画像を表示する画素及び前記左眼用の画像を表示する画素は夫々3色に色分けされ、同色の前記画素が前記第1方向に沿って連続して配列されており、観察者の両眼間隔をY、前記第1方向における画素の拡大投影幅をeとし、jを自然数とするとき、下記数式38が成立することを特徴とする。
【0087】
【数38】
【0088】
本発明においては、表示パネルが右眼用の画像及び左眼用の画像を表示し、光学手段が表示パネルから出射した光を第1方向及び第2方向に沿って振り分ける。そして、画素の拡大投影幅eを観察者の両眼間隔Yに関連付けて上記数式38のように選択することにより、観察者の両眼を結ぶ線が延びる方向(以下、両眼方向という)を第1方向としたとき及び第2方向としたときの双方の場合において、観察者が右眼及び左眼を夫々右眼用画像の投影域及び左眼用画像の投影域に位置させることができ、立体画像を認識することができる。
【0089】
また、kを自然数とするとき、前記両眼間隔Y及び前記拡大投影幅eが下記数式39を満たすことが好ましく、下記数式40を満たすことがより好ましい。
【0090】
【数39】
【0091】
【数40】
【0092】
これにより、観察者が両眼を観察面に無作為に位置させたときに立体画像を認識できる確率が高くなり、立体視できるような両眼の位置速やかに探索することができる。
【0093】
又は、kを自然数とするとき、前記両眼間隔Y及び前記拡大投影幅eが下記数式41を満たしていてもよく、下記数式42を満たしていてもよい。
【0094】
【数41】
【0095】
【数42】
【0096】
これにより、両眼方向が第1方向及び第2方向のいずれであっても、観察者が立体画像を認識できる確率が等しくなる。
【0097】
更に、Y/6<e/3であることが好ましい。これにより、観察者の両眼間隔中において左右の画像が切替わる回数が少なくなり、立体可視域が細分化されることが防止されるため、立体視が容易になる。
【0098】
本発明の第2の観点に係る立体画像表示装置は、複数色に色分けされた複数の画素が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、前記第1方向に配列された画素から出射した光を前記第1方向に沿って相互に異なる方向に振り分けると共に前記第2方向に配列された画素から出射した光を前記第2方向に沿って相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、前記第1方向における前記画素の配列ピッチと前記第2方向における前記画素の配列ピッチとが相互に等しく、前記表示パネルは相互に同色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、前記第1方向及び第2方向において相互に異なる色の前記画素マトリクスが繰返し配列されており、前記光学手段は前記画素マトリクスに対応する複数の光学要素からなることを特徴とする。
【0099】
本発明においては、第1方向及び第2方向における画素の配列ピッチが相互に等しいため、画素の拡大投影域の幅を、第1方向と第2方向とで相互に等しくすることができる。この結果、両眼方向が第1方向及び第2方向のいずれの方向であっても、立体画像の視認性を良好にすることができる。
【0100】
本発明の第3の観点に係る立体画像表示装置は、複数色に色分けされた複数の画素が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、前記第1方向に配列された画素から出射した光を前記第1方向に沿って相互に異なる方向に振り分けると共に前記第2方向に配列された画素から出射した光を前記第2方向に沿って相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、前記第1方向における前記画素の配列ピッチと前記第2方向における前記画素の配列ピッチとが相互に等しく、前記表示パネルは相互に異なる色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、前記画素マトリクスが前記第1方向及び第2方向に繰返し配列されており、前記光学手段は前記画素マトリクスに対応する複数の光学要素からなることを特徴とする。
【0101】
本発明の第4の観点に係る立体画像表示装置は、右眼用の画像を表示する画素及び左眼用の画像を表示する画素を含む複数の表示単位が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、長手方向が前記第1方向である複数のシリンドリカルレンズが前記第2方向に配列された第1のレンチキュラレンズと、前記表示パネルと共に前記第1のレンチキュラレンズを挟む位置に配置され、長手方向が前記第2方向である複数のシリンドリカルレンズが前記第1のレンチキュラレンズにおける前記シリンドリカルレンズの配列ピッチよりも大きい配列ピッチで前記第1方向に配列された第2のレンチキュラレンズと、を有し、前記右眼用の画像を表示する画素及び前記左眼用の画像を表示する画素は夫々3色に色分けされ、同色の前記画素が前記第1方向に沿って連続して配列されていることを特徴とする。
【0102】
本発明においては、第1のレンチキュラレンズにおけるシリンドリカルレンズの配列ピッチが第2のレンチキュラレンズにおける配列ピッチよりも小さいため、第1のレンチキュラレンズの焦点と第2のレンチキュラレンズの焦点とを同一平面上に位置させたときに、表示パネルにおける第2方向の画素の配列ピッチを第1方向の配列ピッチよりも小さくすることができる。このため、第2方向に3色の画素を配列させることができる。このとき、第1のレンチキュラレンズのレンズ面が第2のレンチキュラレンズのレンズ面よりも表示パネルに近いため、第2方向における画素の拡大投影幅を第1方向における画素の拡大投影幅よりも大きくすることができる。この結果、両眼方向が第1方向及び第2方向のいずれの方向であっても、立体画像の視認性を良好にすることができる。
【0103】
また、このとき、第1のレンチキュラレンズはそのレンズ面が表示パネルに対向するように配置されており、第2のレンチキュラレンズはそのレンズ面の反対面が第1のレンチキュラレンズに対向するように配置されていることが好ましい。これにより、第2方向における画素の配列ピッチを第1方向における配列ピッチよりも小さくすることが容易になる。
【0104】
本発明の第5の観点に係る立体画像表示装置は、右眼用の画像を表示する画素及び左眼用の画像を表示する画素を含む複数の表示単位が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、長手方向が前記第1方向である複数のスリット状の開口部が形成された第1のパララックスバリアと、前記表示パネルと共に前記第1のパララックスバリアを挟む位置に配置され、長手方向が前記第2方向である複数のスリット状の開口部が形成された第2のパララックスバリアと、を有し、前記右眼用の画像を表示する画素及び前記左眼用の画像を表示する画素は夫々3色に色分けされ、同色の前記画素が前記第1方向に沿って連続して配列されていることを特徴とする。
【0105】
本発明においては、第1のパララックスバリアが第2のパララックスバリアよりも表示パネルに近いため、第2方向における画素の拡大投影幅を第1方向における画素の拡大投影幅よりも大きくすることができる。この結果、両眼方向が第1方向及び第2方向のいずれの方向であっても、立体画像の視認性を良好にすることができる。
【0106】
また、前述の各立体画像表示装置が、前記第1方向が観察者の右眼から左眼に向かう方向と一致するように配置されたときには各表示単位内で前記第1方向に配列された1対の画素に夫々右眼用の画像及び左眼用の画像を表示すると共に各表示単位内で前記第2方向に配列された複数の画素に相互に異なる画像を表示し、前記第2方向が観察者の右眼から左眼に向かう方向と一致するように配置されたときには各表示単位内で前記第2方向に配列された1対の画素に夫々右眼用の画像及び左眼用の画像を表示すると共に各表示単位内で前記第1方向に配列された複数の画素に相互に異なる画像を表示するものであってもよい。これにより、観察者が立体画像表示装置を観察する角度を縦方向に変えるだけで、異なる画像を観察することができる。
【0107】
本発明の第6の観点に係る携帯端末装置は、本体部と、この本体部に連結された上記のいずれか1つの立体画像表示装置と、を有することを特徴とする。
【0108】
また、前記立体画像表示装置が前記本体部に対して回転可能に連結されていることが好ましく、前記立体画像表示装置の前記本体部に対する配置方向を検出する検出手段を有し、前記立体画像表示装置は前記検出手段の検出結果に基づいて前記右眼用の画像を表示する画素及び左眼用の画像を表示する画素の配列方向を前記第1方向及び前記第2方向のいずれかに切替えるものであることが好ましい。これにより、観察者は本体部を回転させることなく、画像の表示方向を切替えることができる。また、立体画像表示装置の配置方向に連動して、画像の表示方法を切替えることができる。
【0109】
本発明の第7の観点に係る表示パネルは、複数色に色分けされた複数の画素が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルにおいて、前記第1方向における前記画素の配列ピッチと前記第2方向における前記画素の配列ピッチとが相互に等しく、相互に同色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、前記第1方向及び第2方向の双方において、相互に異なる色の前記画素マトリクスが繰返し配列されていることを特徴とする。
【0110】
本発明においては、第1方向及び第2方向における画素の配列ピッチが相互に等しいため、光学手段により画素から出射した光を振り分けたときに、画素の拡大投影幅を、第1方向と第2方向とで相互に等しくすることができる。この結果、両眼方向が第1方向及び第2方向のいずれの方向であっても、立体画像の視認性を良好にすることができる。
【0111】
本発明の第8の観点に係る表示パネルは、複数色に色分けされた複数の画素が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルにおいて、前記第1方向における前記画素の配列ピッチと前記第2方向における前記画素の配列ピッチとが相互に等しく、相互に異なる色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、前記画素マトリクスが、前記第1方向及び第2方向の双方において繰返し配列されていることを特徴とする。
【0112】
本発明の第9の観点に係るフライアイレンズは、複数個のレンズ要素がマトリクス状に配置されたフライアイレンズにおいて、前記マトリクスの一の方向とこの一の方向に直交する他の方向における前記レンズ要素の配列ピッチが相互に異なることを特徴とする。
【0113】
本発明の第10の観点に係る立体画像表示装置は、右眼用の画像を表示する画素及び左眼用の画像を表示する画素を含む複数の表示単位が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、前記第1方向に配列された画素から出射した光を前記第1方向に沿って相互に異なる方向に振り分けると共に前記第2方向に配列された画素から出射した光を前記第2方向に沿って相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、前記右眼用の画像を表示する画素及び前記左眼用の画像を表示する画素は夫々Z色(Zは2以上の整数)に色分けされ、同色の前記画素が前記第1方向に沿って連続して配列されており、観察者の両眼間隔をY、前記第1方向における画素の拡大投影幅をeとし、jを自然数とするとき、下記数式43が成立することを特徴とする。
【0114】
【数43】
【0115】
本発明においては、表示パネルが右眼用の画像及び左眼用の画像を表示し、光学手段が表示パネルから出射した光を第1方向及び第2方向に沿って振り分ける。そして、画素の拡大投影幅eを観察者の両眼間隔Yに関連付けて上記数式43のように選択することにより、観察者の両眼を結ぶ線が延びる方向(両眼方向)を第1方向としたとき及び第2方向としたときの双方の場合において、観察者が右眼及び左眼を夫々右眼用画像の投影域及び左眼用画像の投影域に位置させることができ、立体画像を認識することができる。
【0116】
また、kを自然数とするとき、前記両眼間隔Y及び前記拡大投影幅eが下記数式44を満たすことが好ましく、下記数式45を満たすことがより好ましい。
【0117】
【数44】
【0118】
【数45】
【0119】
これにより、観察者が両眼を観察面に無作為に位置させたときに立体画像を認識できる確率が高くなり、立体視できるような両眼の位置速やかに探索することができる。
【0120】
又は、kを自然数とするとき、前記両眼間隔Y及び前記拡大投影幅eが下記数式46を満たしていてもよく、下記数式47を満たしていてもよい。
【0121】
【数46】
【0122】
【数47】
【0123】
これにより、両眼方向が第1方向及び第2方向のいずれであっても、観察者が立体画像を認識できる確率が等しくなる。
【0124】
また、前記両眼間隔Yの値が62乃至65mmの範囲に設定されていることが好ましい。これにより、一般成人に対応した立体画像表示装置を実現することができる。
【0125】
本発明の第11の観点に係る立体画像表示装置は、右眼用の画像を表示する画素及び左眼用の画像を表示する画素を含む複数の表示単位が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、複数個のレンズ要素が前記第1方向及び前記第2方向にマトリクス状に配列され前記第1方向に配列された画素から出射した光を前記第1方向に沿って相互に異なる方向に振り分けると共に前記第2方向に配列された画素から出射した光を前記第2方向に沿って相互に異なる方向に振り分けるフライアイレンズと、を有し、前記右眼用の画像を表示する画素及び前記左眼用の画像を表示する画素は夫々Z色(Zは2以上の整数)に色分けされ、同色の前記画素が前記第1方向に沿って連続して配列されており、前記フライアイレンズにおける前記第1方向における前記レンズ要素の配列ピッチと、前記第2方向における前記レンズ要素の配列ピッチとが相互に異なることを特徴とする。
【0126】
本発明によれば、観察者の両眼方向が第1方向及び第2方向のうちいずれの方向であっても、観察者が右眼及び左眼を夫々右眼用画像の投影域及び左眼用画像の投影域に位置させることができ、カラーの立体画像を良好に視認することができる。
【0127】
また、前記第1方向における前記レンズ要素の配列ピッチが、前記第2方向における配列ピッチのZ倍であってもよい。更に、前記画素の色数Zが3であってもよい。
【0128】
本発明の第12の観点に係る立体画像表示装置は、右眼用の画像を表示する画素及び左眼用の画像を表示する画素を含む複数の表示単位が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、長手方向が前記第1方向である複数のシリンドリカルレンズが前記第2方向に配列された第1のレンチキュラレンズと、前記表示パネルと共に前記第1のレンチキュラレンズを挟む位置に配置され、長手方向が前記第2方向である複数のシリンドリカルレンズが前記第1のレンチキュラレンズにおける前記シリンドリカルレンズの配列ピッチよりも大きい配列ピッチで前記第1方向に配列された第2のレンチキュラレンズと、を有し、前記右眼用の画像を表示する画素及び前記左眼用の画像を表示する画素は夫々Z色(Zは2以上の整数)に色分けされ、同色の前記画素が前記第1方向に沿って連続して配列されていることを特徴とする。
【0129】
本発明においては、第1のレンチキュラレンズにおけるシリンドリカルレンズの配列ピッチが第2のレンチキュラレンズにおける配列ピッチよりも小さいため、第1のレンチキュラレンズの焦点と第2のレンチキュラレンズの焦点とを同一平面上に位置させたときに、表示パネルにおける第2方向の画素の配列ピッチを第1方向の配列ピッチよりも小さくすることができる。このため、第2方向にZ色の画素を配列させることができる。このとき、第1のレンチキュラレンズのレンズ面が第2のレンチキュラレンズのレンズ面よりも表示パネルに近いため、第2方向における画素の拡大投影幅を第1方向における画素の拡大投影幅よりも大きくすることができる。この結果、両眼方向が第1方向及び第2方向のいずれの方向であっても、立体画像の視認性を良好にすることができる。
【0130】
また、このとき、第1のレンチキュラレンズはそのレンズ面が表示パネルに対向するように配置されており、第2のレンチキュラレンズはそのレンズ面の反対面が第1のレンチキュラレンズに対向するように配置されていることが好ましい。これにより、第2方向における画素の配列ピッチを第1方向における配列ピッチよりも小さくすることが容易になる。
【0131】
本発明の第13の観点に係る立体画像表示装置は、右眼用の画像を表示する画素及び左眼用の画像を表示する画素を含む複数の表示単位が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、長手方向が前記第1方向である複数のスリット状の開口部が形成された第1のパララックスバリアと、前記表示パネルと共に前記第1のパララックスバリアを挟む位置に配置され、長手方向が前記第2方向である複数のスリット状の開口部が形成された第2のパララックスバリアと、を有し、前記右眼用の画像を表示する画素及び前記左眼用の画像を表示する画素は夫々Z色(Zは2以上の整数)に色分けされ、同色の前記画素が前記第1方向に沿って連続して配列されていることを特徴とする。
【0132】
本発明においては、第1のパララックスバリアが第2のパララックスバリアよりも表示パネルに近いため、第2方向における画素の拡大投影幅を第1方向における画素の拡大投影幅よりも大きくすることができる。この結果、両眼方向が第1方向及び第2方向のいずれの方向であっても、立体画像の視認性を良好にすることができる。
【発明の効果】
【0133】
本発明によれば、観察者の両眼方向が第1方向及び第2方向のうちいずれの方向であっても、観察者が右眼及び左眼を夫々右眼用画像の投影域及び左眼用画像の投影域に位置させることができ、カラーの立体画像を良好に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る立体画像表示装置において、1つの表示画素を示す斜視図である。
【図2】図1に示すA−A’線による断面を示す光学モデル図である。
【図3】図1に示すB−B’線による断面を示す光学モデル図である。
【図4】本実施形態に係る携帯端末装置を示す斜視図である。
【図5】本実施形態に係る立体画像表示装置において、第1方向が両眼方向と一致するように立体画像表示装置を配置した場合の動作を示す断面図である。
【図6】本実施形態に係る立体画像表示装置において、第2方向が両眼方向と一致するように立体画像表示装置を配置した場合の動作を示す断面図である。
【図7】図7(a)及び(b)は、両眼方向を第1方向21に一致させたときに、左眼61が左眼用の拡大投影域に位置し、右眼62が右眼用の拡大投影域に位置することにより、観察者が立体画像を認識することが可能となるような配置のうち、両端の配置について示す図であり、(a)は(Y/3)≦(e/3)即ち、0≦Y≦eである場合を示し、(b)は(Y/6)≦(e/3)≦(Y/3)即ち、e≦Y≦(2×e)である場合を示す。
【図8】(e/3)=(Y/2)即ち、Y=(2/3)×eである場合の光学モデルを示す図である。
【図9】(e/3)=(Y/4)即ち、Y=(4/3)×eである場合の光学モデルを示す図である。
【図10】(a)乃至(f)は、両眼方向を第2方向22に一致させたときに、左眼61が左眼用の拡大投影域に位置し、右眼62が右眼用の拡大投影域に位置することにより、観察者が立体画像を認識することが可能となるような配置のうち、両端の配置について示す図であり、(a)はY≦(e/3)即ち、0≦Y≦(e/3)である場合を示し、(b)は(Y/2)≦(e/3)≦Y即ち、(e/3)≦Y≦(2/3)×eである場合を示し、(c)は(Y/3)≦(e/3)≦(Y/2)即ち、(2/3)×e≦Y≦eである場合を示し、(d)は(Y/4)≦(e/3)≦(Y/3)即ち、e≦Y≦(4/3)×eである場合を示し、(e)は(Y/5)≦(e/3)≦(Y/4)即ち、(4/3)×e≦Y≦(5/3)×eである場合を示し、(f)は(Y/6)≦(e/3)≦(Y/5)即ち、(5/3)×e≦Y≦(2×e)である場合を示す。
【図11】(e/3)=(Y/2)即ち、Y=(2/3)×eである場合の光学モデルを示す図である。
【図12】(e/3)=(Y/4)即ち、Y=(4/3)×eである場合の光学モデルを示す図である。
【図13】横軸に(e/3)の値及びYの値をとり、縦軸に立体視確率PRをとって、数式53乃至数式60を示すグラフ図である。
【図14】(a)及び(b)は第1の実施形態の変形例に係る携帯電話を示す斜視図であり、(a)は立体画像表示装置を通常の配置で使用する場合を示し、(b)は90°回転させて使用する場合を示す。
【図15】本変形例において立体画像表示装置の配置方向により表示画像を切替える動作を示すフローチャート図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る立体画像表示装置において、第1方向が観察者の両眼方向になるように立体画像表示装置を配置した場合の光学モデル図である。
【図17】本発明の第2の実施形態に係る立体画像表示装置において、第2方向が観察者の両眼方向になるように立体画像表示装置を配置した場合の光学モデル図である。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る立体画像表示装置において、第1方向が観察者の両眼方向になるように立体画像表示装置を配置した場合の光学モデル図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係る立体画像表示装置において、第2方向が観察者の両眼方向になるように立体画像表示装置を配置した場合の光学モデル図である。
【図20】本発明の第4の実施形態に係る立体画像表示装置を示す斜視図である。
【図21】図20に示すC−C’線による断面を示す光学モデル図である。
【図22】図20に示すD−D’線による断面を示す光学モデル図である。
【図23】本発明の第4の実施形態の変形例に係る立体画像表示装置を示す斜視図である。
【図24】本発明の第5の実施形態に係る立体画像表示装置を示す斜視図である。
【図25】本発明の第6の実施形態に係る立体画像表示装置を示す斜視図である。
【図26】図25に示すE−E’線による断面を示す光学モデル図である。
【図27】図25に示すF−F’線による断面を示す光学モデル図である。
【図28】本発明の第7の実施形態に係る立体画像表示装置を示す斜視図である。
【図29】レンチキュラレンズを示す斜視図である。
【図30】従来のレンチキュラレンズを使用する立体画像表示方法を示す光学モデル図である。
【図31】従来のレンチキュラレンズ方式の2眼式立体画像表示装置の光学モデル図である。
【図32】従来のレンチキュラレンズ方式の2眼式立体画像表示装置の観察範囲を示した光学モデル図である。
【図33】従来のパララックスバリアを使用する立体画像表示方法を示す光学モデル図である。
【図34】従来の表示パネルの観察者側にスリット状のパララックスバリアを備えた2眼式立体画像表示装置の光学モデル図である。
【図35】従来の表示パネルの背面にスリット状のパララックスバリアを備えた2眼式立体画像表示装置の光学モデル図である。
【図36】フライアイレンズを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0135】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0136】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る立体画像表示装置における1つの表示画素を示す斜視図であり、図2は図1に示すA−A’線による断面を示す光学モデル図であり、図3は図1に示すB−B’線による断面を示す光学モデル図である。また、図4は、本実施形態に係る携帯端末装置を示す斜視図である。
【0137】
図1に示すように、本実施形態に係る立体画像表示装置1においては、観察者側から順に、フライアイレンズ3、表示パネル2及び光源(図示せず)が設けられている。表示パネル2は例えば透過型液晶パネルである。表示パネル2は多数の表示画素から構成され、1つの表示画素はストライプ状に配置された赤青緑(RGB)の3原色の画素401乃至412から構成されている。即ち、赤色画素A401と赤色画素B402とが相互に隣接し、赤色画素A401と緑色画素A405とが相互に隣接している。同様に、赤色画素B402と緑色画素B406とが相互に隣接している。更に、緑色画素A405に青色画素A409が隣接し、緑色画素B406に青色画素B410が隣接している。その他の画素についても、図1に示すように同様の色配置関係にある。
【0138】
そして、図1に示すように、同色の色画素が連続して配列されている方向を第1方向21とし、相互に異なる色画素が繰り返し配列されている方向を第2方向22とする。第2方向22における色画素のピッチは、第1方向21における色画素ピッチの(1/3)である。フライアイレンズ3は、第1方向21と第2方向22における曲率が同一であり、第2方向22におけるレンズピッチは第1方向におけるレンズピッチの(1/3)となっている。即ち、フライアイレンズ3における1つのレンズ要素には、第1方向21及び第2方向22に沿って(2×2)のマトリクス状に配置された合計4個の画素(例えば、赤色画素A401、赤色画素B402、緑色画素A405及び緑色画素B406)が対応する。そして、12個の画素401乃至412により、1つの表示単位が構成されている。遮光部6は、画像の混色を防止すると共に、画素に表示信号を伝送する配線を隠す目的で、各画素間に設けられている。
【0139】
このとき、表示パネルを第1方向21が観察者の両眼を結ぶ線が延びる方向(両眼方向)と平行になるよう配置した場合には、フライアイレンズに対する位置関係に基づいて、第1方向21に配列する2個の画素が夫々左眼用画素及び右眼用画素として作用する。一例では、赤色画素A401及び緑色画素A405が左眼用画素として作用し、赤色画素B402及び緑色画素B406が右眼用画素として作用する。
【0140】
同様に、表示パネルを第2方向22が前記両眼方向と一致するよう配置した場合には、フライアイレンズに対する位置関係に基づいて、第2方向22に配列する2個の画素が夫々左眼用画素及び右眼用画素として機能する。一例では、赤色画素A401及び赤色画素B402が左眼用画素として機能し、緑色画素A405及び緑色画素B406が右眼用画素として機能する。なお、隣接するフライアイレンズでは、同様に、青色画素A409及び青色画素B410が左眼用画素として機能し、赤色画素C403及び赤色画素D404が右眼用画素として機能する。更に隣接するフライアイレンズでは、同様に、緑色画素C407及び緑色画素D408が左眼用画素として機能し、青色画素C411及び青色画素D412が右眼用画素として機能する。
【0141】
図2に示すように、第1方向21における画素ピッチはPであり、フライアイレンズ3と表示パネル2との間の距離(以下、レンズ−画素間距離ともいう)はHである。レンズ表面から観察距離ODだけ離れた位置に観察面が設定されており、1つの画素の拡大投影幅をeとし、観察者の両眼間隔をYとする。なお、成人男子の両眼間隔の平均値は65mm、標準偏差は±3.7mmであり、成人女子の両眼間隔の平均値は62mm、標準偏差は±3.6mmである(Neil
A. Dodgson, “Variation and extrema of
human interpupillary distance”, Proc. SPIE vol.5291)。従って、本実施形態に係る立体表示装置を一般成人用に設計する場合は、両眼間隔Yの値を62乃至65mmの範囲に設定することが適当であり、一例ではY=63mmとする。そして、両眼方向が第1方向21と一致するときには、右眼用の画像を表示する画素と左眼用の画像を表示する画素とが交互に配列される。例えば、赤色画素A401が左眼用の画像を表示するときには、赤色画素B402は右眼用の画像を表示する。
【0142】
また、図3に示すように、第2方向22における画素ピッチは(P/3)となるため、1つの画素の拡大投影幅は(e/3)である。そして、本実施形態においては、観察者の左眼61は緑色画素A405の拡大投影域に位置し、観察者の右眼62は緑色画素C407の拡大投影域に位置しており、緑色画素A405の拡大投影域と緑色画素C407との間には、青色画素A409の拡大投影域及び赤色画素C403の拡大投影域が配置されている。即ち、観察者の左眼61と右眼62との間には、左眼61側から右眼62に向かって、緑色画素A405の拡大投影域、青色画素A409の拡大投影域、赤色画素C403の拡大投影域及び緑色画素C407がこの順に配置されている。そして、観察者の両眼方向が第2方向22と一致するときには、右眼用の画像を表示する画素と左眼用の画像を表示する画素とが交互に配列される。例えば、緑色画素A405、赤色画素C403及び青色画素C411が左眼用の画像を表示するときには、赤色画素A401、青色画素A409及び緑色画素C407は右眼用の画像を表示する。即ち、観察者の両眼間隔中において、左右の画像は3回切替わっている。
【0143】
本実施形態においては、観察面において、j及びkを自然数とすると、観察者の両眼間隔Y及び第1方向21における画素拡大投影幅eは下記数式48を満たし、例えば、下記数式49を満たし、例えば、下記数式50を満たす。なお、下記数式50は、下記数式49においてk=1の場合である。
【0144】
【数48】
【0145】
【数49】
【0146】
【数50】
【0147】
なお、上記数式48及び数式49は夫々、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数をNとすると、Nが奇数である場合には、下記数式51及び数式52のように表現することもできる。
【0148】
【数51】
【0149】
【数52】
【0150】
図3においては、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数は3であるが、両眼の位置によっては、この回数は2になる。このとき、Nの値としては奇数の値である3を採用すれば、上記数式52は上記数式50に等しくなる。
【0151】
また、図4に示すように、本実施形態に係る立体画像表示装置1は、携帯端末装置に搭載することができ、例えば、携帯電話9に搭載することができる。
【0152】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る立体画像表示装置1の動作、即ち、本実施形態に係る立体画像表示方法について説明する。先ず、観察者の両眼方向が第1方向21に一致するように立体画像表示装置1を配置した場合について説明する。図5は、本実施形態に係る立体画像表示装置において、前記第1方向が両眼方向と一致するよう立体画像表示装置を配置した場合の動作を示す光学モデル図である。図1及び図5に示すように、先ず、光源10が点灯する。光源10が点灯すると、光源10から出射した光が表示パネル2に入射する。一方、制御装置(図示せず)が表示パネル2を駆動し、各表示画素の左眼用画素及び右眼用画素に、左眼用画像及び右眼用画像を夫々表示させる。このとき、表示パネル2は、画素401、405、409、403、407及び411からなる画素群(以下、第1群という)と、画素402、406、410、404、408及び412からなる画素群(以下、第2群という)とに、相互に異なる眼用の画像を表示する。例えば、第1群に左眼用の画像を表示し、第2群に右眼用の画像を表示する。
【0153】
そして、表示パネル2の左眼用画素及び右眼用画素に入射した光は、これらの画素を透過し、フライアイレンズ3に向かう。そして、これらの光はフライアイレンズ3により屈折し、表示パネル2の第1群を透過した光は領域EL1に向かい、第2群を透過した光は領域ER1に向かう。このとき、観察者が左眼61を領域EL1に位置させ、右眼62を領域ER1に位置させることにより、左眼61に左眼用の画像が入力されると共に、右眼62に右眼用の画像が入力される。左眼用画像と右眼用画像に視差が存在する場合には、観察者は表示パネル2が表示する画像を立体画像として認識することができる。
【0154】
次に、両眼方向が第2方向22に一致するように立体画像表示装置1を配置した場合について説明する。図6は、本実施形態に係る立体画像表示装置において、前記第2方向が両眼方向に一致するように立体画像表示装置を配置した場合の動作を示す光学モデル図である。図1及び図6に示すように、制御装置(図示せず)が表示パネル2を駆動し、画素401、402、409、410、407及び408からなる画素群(以下、第3群という)と、画素405、406、403、404、411及び412からなる画素群(以下、第4群という)とに、相互に異なる眼用の画像を表示する。例えば、第3群に右眼用の画像を表示し、第4群に左眼用の画像を表示する。
【0155】
そして、光源1が点灯し、光源10から出射した光が表示パネル2の各画素を透過し、フライアイレンズ3に向かう。これらの光はフライアイレンズ3により屈折し、表示パネル2の第3群を透過した光と第4群を透過した光とは、相互に異なる方向に向かう。即ち、青色画素A409及び赤色画素C403から出射した光は、対応するレンズ要素3bにより、夫々領域ER0及び領域EL0に投影される。同様に、赤色画素A401及び緑色画素A405から出射した光は、対応するレンズ要素3aにより、夫々領域ER0及び領域EL0に投影され、緑色画素C407及び青色画素C411から出射した光は、対応するレンズ要素3cにより、夫々領域ER0及び領域EL0に投影される。また、赤色画素A401及び緑色画素A405の光は、対応するレンズ要素3aに隣接するレンズ要素3bを通過すると、夫々領域ER2及び領域EL1に投影される。同様に、緑色画素C407及び青色画素C411から出射した光は、対応するレンズ要素3cに隣接するレンズ要素3bを通過すると、夫々領域ER1及び領域EL2に投影される。これにより、領域EL0、EL1及びEL2には、左眼用の画像を表示する画素からの光が投影され、領域ER0、ER1及びER2には、右眼用の画像を表示する画素からの光が投影される。
【0156】
このとき、観察者が左眼61を左眼用の光が投影される領域EL0、EL1又はEL2に位置させ、右眼62を右眼用の光が投影される領域ER0、ER1又はER2に位置させることにより、左眼61に左眼用の画像が入力されると共に、右眼62に右眼用の画像が入力される。左眼用画像と右眼用画像に視差が存在する場合には、観察者は表示パネル2が表示する画像を立体画像として認識することができる。
【0157】
次に、本発明の数値限定理由について説明する。即ち、上記数式48乃至数式50が成立する理由について説明する。以下、観察者が自分の両眼を無作為に立体画像表示装置の観察面に位置させたときに、立体視が可能となる確率(以下、立体視確率という)について説明する。
【0158】
先ず、両眼方向を第1方向21に一致させた場合について説明する。図7(a)及び(b)は、両眼方向を第1方向21に一致させたときに、左眼61が左眼用の拡大投影域に位置し、右眼62が右眼用の拡大投影域に位置することにより、観察者が立体画像を認識することが可能となるような配置のうち、両端の配置について示す図であり、(a)は(Y/3)≦(e/3)即ち、0≦Y≦eである場合を示し、(b)は(Y/6)≦(e/3)≦(Y/3)即ち、e≦Y≦(2×e)である場合を示す。なお、図7(a)及び(b)においては、観察面のうち左眼用の画像が投影される領域を太線で示し、右眼用の画像が投影される領域を細線で示す。また、左眼用の画素の拡大投影域と右眼用の画素の拡大投影域との境界点を原点Oとする。図8は(e/3)=(Y/2)即ち、Y=(2/3)×eである場合の光学モデルを示す図であり、図9は(e/3)=(Y/4)即ち、Y=(4/3)×eである場合の光学モデルを示す図である。前述の如く、両眼方向が第1方向21に一致している場合、1つの画素の拡大投影域の幅はeであるため、相互に隣接する左右1対の画素の拡大投影域の幅は(2×e)である。そこで、この長さが(2×e)の領域を基本単位領域とし、左眼61と右眼62との中点63がこの基本単位領域内のどの位置にあれば、立体視が可能であるかについて説明する。
【0159】
(1−1) (Y/3)≦(e/3)(0≦Y≦e)である場合
図7(a)に示すように、観察者が立体画像を認識することが可能となるのは、左眼61と右眼62との中点63と原点Oとの間の距離Eが、(Y/2)以下である場合である。従って、立体画像の認識が可能となる中点63の配置範囲の長さは(2×E)となるため、観察者が自分の両眼を無作為に立体画像表示装置の観察面に位置させたときに、立体視できる立体視確率PRは、下記数式53により与えられる。
【0160】
【数53】
【0161】
(1−2) (Y/6)≦(e/3)≦(Y/3)(e≦Y≦(2×e))である場合
図7(b)に示すように、観察者が立体画像を認識することが可能となるのは、中点63と原点Oとの間の距離Eが、(e−(Y/2))以下である場合である。従って、立体画像の認識が可能となる中点63の配置範囲の長さは(2×E)となるため、立体視確率PRは下記数式54により与えられる。
【0162】
【数54】
【0163】
上記数式53及び数式54からわかるように、立体視確率PRは、(e/3)の値が上記(1−1)の範囲にある場合には単調増加し、(e/3)の値が(Y/3)のときに極大値をとり、(e/3)の値が上記(1−2)の範囲にある場合に単調減少する。
【0164】
次に、いくつかの(e/3)の値について、立体視確率PRの値を計算する。上記数式53から、(e/3)が無限大(∞)、即ち、Y=0である場合、PR=0である。また、図8に示すように、(e/3)=(Y/2)、即ち、Y=(2/3)×eである場合、PR=(1/3)≒0.33である。更に、(e/3)=(Y/3)、即ち、Y=eである場合、上記数式53から、PR=(1/2)=0.5である。更にまた、図9に示すように、(e/3)=(Y/4)、即ち、Y=(4/3)×eである場合、上記数式54から、PR=(1/3)≒0.33である。更にまた、(e/3)=(Y/6)、即ち、Y=(2×e)である場合、上記数式54から、PR=0である。
【0165】
次に、両眼方向を第2方向22に一致させた場合の立体視確率について説明する。図10(a)乃至(f)は、両眼方向を第2方向22に一致させたときに、左眼61が左眼用の拡大投影域に位置し、右眼62が右眼用の拡大投影域に位置することにより、観察者が立体画像を認識することが可能となるような配置のうち、両端の配置について示す図であり、(a)はY≦(e/3)即ち、0≦Y≦(e/3)である場合を示し、(b)は(Y/2)≦(e/3)≦Y即ち、(e/3)≦Y≦(2/3)×eである場合を示し、(c)は(Y/3)≦(e/3)≦(Y/2)即ち、(2/3)×e≦Y≦eである場合を示し、(d)は(Y/4)≦(e/3)≦(Y/3)即ち、e≦Y≦(4/3)×eである場合を示し、(e)は(Y/5)≦(e/3)≦(Y/4)即ち、(4/3)×e≦Y≦(5/3)×eである場合を示し、(f)は(Y/6)≦(e/3)≦(Y/5)即ち、(5/3)×e≦Y≦(2×e)である場合を示す。なお、図10(a)乃至(f)においては、観察面のうち左眼用の画像が投影される領域を太線で示し、右眼用の画像が投影される領域を細線で示す。また、左眼用の画素の拡大投影域と右眼用の画素の拡大投影域との境界点を原点Oとする。
【0166】
また、図11は(e/3)=(Y/2)即ち、Y=(2/3)×eである場合の光学モデルを示す図であり、図12は(e/3)=(Y/4)即ち、Y=(4/3)×eである場合の光学モデルを示す図である。前述の如く、両眼方向が第2方向22である場合、1つの画素の拡大投影域の幅は(e/3)であるため、相互に隣接する左右1対の画素の拡大投影域の幅は(2/3)×eである。そこで、この長さが(2/3)×eの領域を基本単位領域とし、左眼61と右眼62との中点63がこの基本単位領域内のどの位置にあれば、立体視が可能であるかについて説明する。
【0167】
(2−1) Y≦(e/3)(0≦Y≦(e/3))である場合
図10(a)に示すように、観察者が立体画像を認識することが可能となるのは、左眼61と右眼62との中点63と原点Oとの間の距離Eが、(Y/2)以下である場合である。従って、立体画像の認識が可能となる中点63の配置範囲の長さは(2×E)となるため、観察者が自分の両眼を無作為に立体画像表示装置の観察面に位置させたときに、立体視が可能となる立体視確率PRは、下記数式55により与えられる。なお、このとき、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数Nは0又は1である。
【0168】
【数55】
【0169】
(2−2) (Y/2)≦(e/3)≦Y((e/3)≦Y≦(2/3)×e)である場合
図10(b)に示すように、観察者が立体画像を認識することが可能となるのは、中点63と原点Oとの間の距離Eが、((e/3)−(Y/2))以下である場合である。従って、立体画像の認識が可能となる中点63の配置範囲の長さは(2×E)となるため、立体視確率PRは、下記数式56により与えられる。なお、このとき、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数Nは1又は2である。
【0170】
【数56】
【0171】
(2−3) (Y/3)≦(e/3)≦(Y/2)((2/3)×e≦Y≦e)である場合
図10(c)に示すように、観察者が立体画像を認識することが可能となるのは、中点63と基本単位領域の端縁との間の距離Eが、((Y/2)−(e/3))以上である場合である。従って、立体画像の認識が可能となる中点63の配置範囲の長さは(2×E)となるため、立体視確率PRは、下記数式57により与えられる。なお、このとき、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数Nは2又は3である。
【0172】
【数57】
【0173】
(2−4) (Y/4)≦(e/3)≦(Y/3)(e≦Y≦(4/3)×e)である場合
図10(d)に示すように、観察者が立体画像を認識することが可能となるのは、中点63と基本単位領域の端縁との間の距離Eが、((2/3)×e−(Y/2))以上である場合である。従って、立体画像の認識が可能となる中点63の配置範囲の長さは(2×E)となるため、立体視確率PRは、下記数式58により与えられる。なお、このとき、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数Nは3又は4である。
【0174】
【数58】
【0175】
(2−5) (Y/5)≦(e/3)≦(Y/4)((4/3)×e≦Y≦(5/3)×e)である場合
図10(e)に示すように、観察者が立体画像を認識することが可能となるのは、中点63と原点Oとの間の距離Eが、((Y/2)−(2/3)×e)以下である場合である。従って、立体画像の認識が可能となる中点63の配置範囲の長さは(2×E)となるため、立体視確率PRは、下記数式59により与えられる。なお、このとき、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数Nは4又は5である。
【0176】
【数59】
【0177】
(2−6) (Y/6)≦(e/3)≦(Y/5)((5/3)×e≦Y≦(2×e))である場合
図10(f)に示すように、観察者が立体画像を認識することが可能となるのは、中点63と原点Oとの間の距離Eが、(e−(Y/2))以下である場合である。従って、立体画像の認識が可能となる中点63の配置範囲の長さは(2×E)となるため、立体視確率PRは、下記数式60により与えられる。なお、このとき、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数Nは5又は6である。
【0178】
【数60】
【0179】
上記数式55乃至数式60は相互に連続した関数となっており、立体視確率PRは、(e/3)の値が上記(2−1)、(2−3)及び(2−5)の範囲にある場合には単調増加し、(e/3)の値が上記(2−2)、(2−4)及び(2−6)の範囲にある場合に単調減少し、(e/3)の値が(Y/5)、(Y/3)及びYのときに極大値をとり、(e/3)の値が(Y/4)及び(Y/2)のときに極小値をとる。上記数式53乃至数式60をまとめて表1に示す。
【0180】
【表1】
【0181】
次に、いくつかの(e/3)の値について、立体視確率PRの値を計算する。上記数式55から、(e/3)が無限大(∞)、即ち、Y=0である場合、PR=0である。また、(e/3)=Yである場合、PR=(1/2)=0.5である。更に、上記数式56及び数式57から、図11に示すように、(e/3)=(Y/2)、即ち、Y=(2/3)×eである場合、PR=0である。更に、(e/3)=(Y/3)、即ち、Y=eである場合、上記数式57及び数式58から、PR=(1/2)=0.5である。更にまた、上記数式58及び数式59から、図12に示すように、(e/3)=(Y/4)、即ち、Y=(4/3)×eである場合、PR=0である。更にまた、上記数式59及び数式60から、(e/3)=(Y/5)、即ち、Y=(5/3)×eである場合、PR=(1/2)=0.5である。更にまた、上記数式60から、(e/3)=(Y/6)、即ち、Y=(2×e)である場合、PR=0である。
【0182】
図13は横軸に(e/3)の値及びYの値をとり、縦軸に立体視確率PRをとって、上記数式53乃至数式60を示すグラフ図である。なお、図13の縦軸の単位は(%)である。また、両眼方向が第1方向であるときの立体視確率(数式53及び数式54)は実線で示し、両眼方向が第2方向であるときの立体視確率(数式55乃至数式60)は破線で示している。図13に示すように、立体画像表示装置を第1方向21が観察者の両眼方向になるよう配置したときに立体視確率の周期は、第2方向22が両眼方向になるよう配置したときに立体視確率の周期の3倍となっていることがわかる。なお、(Y/6)<(e/3)以外の範囲においても、立体視確率と(e/3)値との間には、同様な周期性が認められる。
【0183】
そして、図13に示すように、第2方向22における画素の拡大投影域の周期(e/3)が下記数式61を満たせば、両眼方向を第1方向21及び第2方向22のいずれの方向としても、0より大きい確率で立体画像を認識することができる。なお、下記数式61は前述の数式48と同じ数式である。
【0184】
【数61】
【0185】
また、(e/3)の値が下記数式62を満たせば、(e/3)の値が図13に示す範囲31の範囲内に入る。なお、下記数式62は前記数式49と同じ数式である。この結果、両眼方向を第1方向21及び第2方向22のいずれに設定しても、高い立体視確率を得ることができる。即ち、上記数式53及び数式54より、両眼方向を第1方向21とした場合の立体視確率PRは42乃至50%となる。また、上記数式57及び数式58より、両眼方向を第2方向22とした場合の立体視確率PRは、25乃至50%となる。本実施形態においては、(e/3)の値は例えば下記数式63を満たす。
【0186】
【数62】
【0187】
【数63】
【0188】
更に、図13に示すように、(e/3)の値が下記数式64を満たすことがより好ましい。なお、下記数式64において、k=1であれば、(e/3)=(Y/3)、即ち、Y=eとなる。これは図13に示す交点32に相当する。この場合、両眼方向を第1方向21及び第2方向22のいずれに設定しても立体視確率PRは50%となり、立体画像の視認性を最大にすることができる。
【0189】
【数64】
【0190】
なお、両眼間隔Yに対する(e/3)の値が小さくなるほど、観察者の両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数が増加する。このため、同一の立体視確率であっても、観察面において立体視が可能な範囲と不可能な範囲との配列周期が短くなり、観察者が、立体視が可能な範囲に両眼を位置させることが困難になる。このため、Y/6<e/3とすることが好ましい。これにより、両眼間隔中で左右の画像が切替わる回数Nが6以下となる。なお、この範囲は、図13における範囲35(Y/6<e/3<Y/4)、範囲30(Y/4<e/3<Y/2)及び範囲33(Y/2<e/3)に相当する。
【0191】
本実施形態においては、拡大投影域の周期を上記数式61を満たすように設定しているため、両眼方向が第1方向21及び第2方向22のいずれであっても、観察者に立体画像を認識させることができる。特に、前記周期を上記数式62を満たすように設定すれば、立体画像の視認性はより向上し、上記数式64を満たすように設定すれば、視認性は更に向上する。
【0192】
また、本実施形態に係る立体画像表示装置においては、光学手段としてフライアイレンズを使用しているために、パララックスバリアを使用した場合と比較して、バリアに起因する黒縞模様が発生せず、また、光の損失が少ない。
【0193】
更に、本実施形態に係る立体画像表示装置は、携帯電話等の携帯機器に好適に適用することができ、良好な立体画像を表示することができる。本実施形態に係る立体画像表示装置を携帯機器に適用すれば、大型の表示装置に適用する場合と異なり、観察者が自分の両眼と表示画面との位置関係を任意に調節できるため、最適な可視域を速やかに見出すことができる。
【0194】
なお、前述の数式16乃至17に示したように、通常はレンズの頂点と画素との間の距離Hをレンズの焦点距離fと等しくするが、異なる値に設定することも可能である。この場合、画素の拡大投影像はぼやけるため大きな幅になるが、この場合に本発明を適用するためには、画素の拡大投影幅eの値をぼやけた像の幅として扱えばよい。画素の像をぼやかすことにより、非表示領域の像もぼやけるため、非表示領域に起因する縞模様の発生を抑制することができる。
【0195】
また、本実施形態においては、表示パネルとして透過型液晶表示パネルを使用したが、本発明はこれに限定されず、反射型液晶表示パネル、又は各画素に透過領域及び反射領域が設けられた半透過型液晶表示パネルを使用してもよい。また、液晶表示パネルの駆動方法は、TFT(Thin
Film Transistor:薄膜トランジスタ)方式及びTFD(Thin
Film Diode:薄膜ダイオード)方式等のアクティブマトリクス方式でもよく、STN(Super
Twisted Nematic liquid crystal)方式等のパッシブマトリクス方式でもよい。更に、表示パネルには液晶表示パネル以外の表示パネル、例えば、有機エレクトロルミネッセンス表示パネル、プラズマ表示パネル、CRT(Cathode-Ray
Tube:陰極線管)表示パネル、LED(Light Emitting
Diode:発光ダイオード)表示パネル、フィールドエミッション表示パネル、又はPALC(Plasma
Address Liquid Crystal:プラズマ・アドレス液晶)を使用してもよい。
【0196】
更に、上述の説明は2視点の場合についてであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、3視点以上の多視点にした場合でも同様である。更にまた、上述の説明は、表示画素がストライプ状に配置された赤青緑の3原色の画素から構成される場合についてのものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、3色以外の色数に対しても同様に適用可能である。即ち、色数は2色又は4色以上であってもよい。色数を一般的にZ色(Zは2以上の整数)とした場合、上記数式61、数式62、数式64は夫々、数式43、数式44、数式45のように一般的に表現できる。
【0197】
更にまた、本実施形態に係る立体画像表示装置は携帯電話のみならず、携帯端末、PDA、ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の携帯端末装置に適用することができる。
【0198】
(第1の実施形態の変形例)
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。図14(a)及び(b)は本変形例に係る携帯電話を示す斜視図であり、(a)は立体画像表示装置を通常の配置で使用する場合を示し、(b)は90°回転させて使用する場合を示す。図14(a)及び(b)に示すように、本変形例に係る携帯電話においては、立体画像表示装置1が回転可能に搭載されている。そして、立体画像表示装置1を、図14(a)に示すような通常の配置(以下、縦配置という)とすることができると共に、図14(b)に示すような通常の配置から90°回転させた配置(以下、横配置という)とすることもできるようになっている。例えば、立体画像表示装置1は、携帯電話9の本体部に対して、電気的な接続を維持したまま回転可能な回転接続部材(図示せず)により連結されている。また、本変形例の携帯電話は立体画像表示装置1の配置方向を検出する検出手段(図示せず)を備えており、その配置方向により、観察者が立体画像を視認できるように、表示する画像を切替えるようになっている。
【0199】
次に、本変形例に係る携帯電話の動作について説明する。図15は、本変形例において立体画像表示装置の配置方向により表示画像を切替える動作を示すフローチャート図である。本変形例においては、説明の都合上、立体画像表示装置を縦配置した場合には両眼方向が第2方向22となり、横配置した場合には両眼方向が第1方向21となるものとする。
【0200】
初期状態においては、使用者(観察者)は携帯端末装置の電源をオフにしている。そして、図15のステップS1に示すように、携帯電話の電源がオンにされると、携帯電話は立体画像表示装置1の配置方向を検出する。
【0201】
そして、検出結果が縦配置である場合、ステップS2に示すように、携帯端末装置は立体画像表示装置の各表示単位において、第2方向に配列する画素に左右の視差画像を表示する。これにより、使用者は縦配置で立体画像を認識することができる。その後、ステップS1に戻る。
【0202】
一方、立体画像表示装置が回転され横配置となった場合、携帯電話はステップS1において携帯端末装置が横配置であることを検出する。この場合、ステップS3に進み、立体画像表示装置1は各表示単位における第1方向に配列する画素に左右の視差画像を表示する。これにより、使用者は横配置で立体画像を認識することができる。その後、ステップS1に戻る。
【0203】
なお、上述のように、立体画像表示装置は、縦配置時には第2方向に配列した画素に視差画像を表示するが、第1方向に配列した画素には同じ情報を表示すれば良い。これにより、縦方向に観察角度を変えた場合でも、広い視野角を得ることができる。また、第1方向に配列した画素に異なる情報を表示することもできる。これにより、立体画像表示装置を観察する角度を縦方向に変えるだけで、異なる情報を取得することができる。これは横配置時でも同様である。
【0204】
このように、本変形例においては、携帯電話本体を回転させることなく、立体画像表示装置のみを回転させて、画像表示の方向を切替えることができる。また、検出手段が立体画像表示装置の方向を検出することにより、立体画像表示装置の方向に連携して、画像の表示方向を切替えることができる。
【0205】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図16は、本実施形態に係る立体画像表示装置において、前記第1方向が観察者の両眼方向になるよう立体画像表示装置を配置した場合の光学モデル図であり、図17は、本実施形態に係る立体画像表示装置の動作において、前記第2方向が両眼方向になるよう立体画像表示装置を配置した場合の光学モデル図である。本実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して画素の拡大倍率を大きくした場合であり、図13において、(e/3)の値が範囲33内にある場合である。即ち、(e/3)の値が下記数式65を満たす。この場合、第2方向22が両眼方向になるように立体画像表示装置を配置すると、観察者の両眼間隔中における左右画像の切替回数Nは、両眼の位置によって0回又は1回となり、立体画像の認識が可能になるように両眼を位置させた場合には、N=1となる。
【0206】
【数65】
【0207】
また、図13に示すように、(e/3)の値を数式53と数式56との交点34に一致させれば、両眼方向を第1方向21とした場合の立体視確率PRと、両眼方向を第2方向22とした場合の立体視確率PRとを一致させ、縦配置及び横配置において同等な視認性を得ることができる。上記数式53及び数式56から、交点34における(e/3)の値は下記数式66に示すようになり、そのときの立体視確率PRは、両眼方向が第1方向21である場合及び第2方向22である場合の双方において、25%となる。従って、(e/3)の値を下記数式66に示す値とすることが好ましい。なお、下記数式66は、一般的に下記数式67のように表現することもできる。下記数式66は下記数式67におけるk=1の場合である。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0208】
【数66】
【0209】
【数67】
【0210】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図18は、本実施形態に係る立体画像表示装置を前記第1方向が観察者の両眼方向と一致するように配置した場合の光学モデル図であり、図19は、本実施形態に係る立体画像表示装置を前記第2方向が観察者の両眼方向と一致するように配置した場合の光学モデル図である。本実施形態は前述の第1の実施形態と比較して画素の拡大倍率を小さくしており、第2方向22における画素拡大投影幅e/3が両眼間隔Yに対して下記数式68を満たす。これは、図13に示す範囲35に相当する。なお、この場合、第2方向22が両眼方向になるように立体画像表示装置を配置すると、観察者の両眼間隔中における左右画像の切替回数Nは、両眼の位置によって4回乃至6回となり、立体画像の認識が可能になるように両眼を位置させた場合には、N=5となる。
【0211】
【数68】
【0212】
また、図13に示すように、(e/3)の値を数式54と数式59との交点36に一致させれば、両眼方向を第1方向21とした場合の立体視確率PRと、両眼方向を第2方向22とした場合の立体視確率PRとが一致し、縦配置及び横配置において同等な視認性を得ることができる。上記数式55及び数式60から、交点36における(e/3)の値は下記数式69に示すようになり、そのときの立体視確率PRは、両眼方向が第1方向21である場合及び第2方向22である場合の双方において、25%となる。従って、(e/3)の値を下記数式69に示す値とすることが好ましい。なお、下記数式69は、一般的に下記数式70のように表現することもできる。下記数式69は下記数式70におけるk=1の場合である。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0213】
【数69】
【0214】
【数70】
【0215】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図20は本実施形態に係る立体画像表示装置を示す斜視図であり、図21は図20に示すC−C’線による断面を示す光学モデル図であり、図22は図20に示すD−D’線による断面を示す光学モデル図である。図20に示すように、本第4の実施形態においては、表示パネル2における画素は、第1方向21及び第2方向22におけるピッチが相互に等しい正方配置となっている。各表示単位において、第1方向21における左右2視点用の画素と、第2方向22における左右2視点用の画素は、(2×2)のマトリクス状に配置され、画素マトリクスを構成している。上述のように画素の形状は正方形であるため、画素マトリクスの形状も正方形となる。そして、表示パネル2において、複数の画素マトリクスがマトリクス状に配列されている。
【0216】
また、フライアイレンズ3は、(2×2)個の画素からなるの画素マトリクス1個に対して1つのレンズ要素が対応するように配置されている。即ち、レンズ要素はマトリクス状に配列されている。図示した例では、赤色画素A401、赤色画素B402、赤色画素C403及び赤色画素D404からなる画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応する。同様に、緑色画素A405、緑色画素B406、緑色画素C407及び緑色画素D408からなる画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応し、青色画素A409、青色画素B410、青色画素C411及び青色画素D412からなる画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応し、青緑色画素A413、青緑色画素B414、青緑色画素C415及び青緑色画素D416からなる画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応する。画素の形状は正方形であるため、第1方向と第2方向におけるレンズピッチは同一である。1つの画素マトリクスに属する4個の画素は同色の画素であり、隣接する画素マトリクス間では画素の色が相互に異なっている。
【0217】
そして、(2×2)のマトリクス状に配列された4個の画素マトリクス、即ち(4×4)のマトリクス状に配列された16個の画素、が1つの表示単位を形成している。従って、各表示単位には4色の画素が設けられており、3原色である赤色、青色及び緑色に加え、この緑色とはスペクトルが異なる緑色である青緑色の画素が設けられている。
【0218】
また、図21及び図22に示すように、観察距離OD、及び観察距離ODにおける画素拡大投影幅e、レンズの頂点と画素との間の距離H、第1方向における画素ピッチPは、前記数式10乃至13を満たすように構成されている。そして、第2方向22においても、画素ピッチPが第1方向の画素ピッチと同一である。本実施形態における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0219】
本実施形態においては、第1方向21における画素ピッチが第2方向における画素ピッチと等しいため、その他のパラメータも同一にすることができる。このため、同一の観察面における画素の拡大投影幅を、第1方向と第2方向とで同一にすることができる。この結果、立体画像表示装置をどちらの方向に配置した場合でも、立体画像の視認性を向上することができる。また、各画素マトリクスは、同色の複数の画素により構成されている。これにより、表示パネル2における同色の連続領域を大きくすることができ、表示パネルの製造が容易になる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0220】
なお、上述の説明は、表示パネルが赤色、青色、緑色、青緑色の4色の画素から構成される場合についてのものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら以外の4色に対しても同様に適用可能である。また、4色以外の色数に対しても同様に適用可能である。
【0221】
(第4の実施形態の変形例)
次に、本第4の実施形態の変形例について説明する。前述の第4の実施形態においては、1つのレンズ要素に対応する画素マトリクスは同色の画素から構成したが、本変形例においては、異色の画素により構成する。図23は本変形例に係る立体画像表示装置を示す斜視図である。図23に示すように、本変形例においては、例えば、1つの画素マトリクスが赤色画素A401、緑色画素B406、青色画素C411及び青緑色画素D416により構成されており、この画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応する。同様に、緑色画素A405、青色画素B410、青緑色画素C415及び赤色画素D404からなる画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応し、青色画素A409、青緑色画素B414、赤色画素C403及び緑色画素D408からなる画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応し、青緑色画素A413、赤色画素B402、緑色画素C407及び青色画素D412からなる画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応する。即ち、1つの視点が異なる色から構成されるように、モザイク状の色配列になっている。
【0222】
このため、本変形例に係る立体画像表示装置は自然風景等の画像表示に適している。これに対して、上述の如く、1つの画素マトリクスを同色の画素により構成した場合には、同色の連続領域を大きくすることができるため、表示パネルの製造が容易になるという利点がある。
【0223】
本実施形態及びその変形例においては、4色の色画素に対応するため、スペクトルが相互に異なる2色の緑色を使用しているが、これにより立体画像表示装置の色再現性を向上させることができる。また、スペクトルの異なる2色の緑色の代わりに、通常の緑色と白色の画素を使用することも可能である。この場合、立体画像表示装置の輝度を向上させる効果がある。
【0224】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図24は本実施形態に係る立体画像表示装置を示す斜視図である。本第5の実施形態では、前述の第4の実施形態と比較して、フライアイレンズにおけるレンズ要素がデルタ配列となっており、1つの表示単位を構成する画素マトリクスがデルタ配列となっている点が異なっている。各画素マトリクスを構成する(2×2)個の画素は、前述の第4の実施形態と同様に正方配列であり、1つの画素マトリクスは同色の画素から構成される。即ち、赤色画素A401、赤色画素B402、赤色画素C403及び赤色画素D404が1つの画素マトリクスを構成し、この画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応する。同様に、緑色画素A405、緑色画素B406、緑色画素C407及び緑色画素D408が1つの画素マトリクスを構成し、この画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応し、青色画素A409、青色画素B410、青色画素C411及び青色画素D412が1つの画素マトリクスを構成し、この画素マトリクスに1つのレンズ要素が対応する。そして、上述の画素401乃至412により、1つの表示単位が構成されている。
【0225】
本実施形態においては、レンズ要素及び画素マトリクスがデルタ配列となっているために、表示単位を赤色、緑色及び青色の3原色で構成することができる。このため、従来の色表示との互換性を保ちつつ、第1方向及び第2方向における立体画像の視認性を向上させることができる。また、デルタ配列となっているために、自然画等を好適に表示することができる。
【0226】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。図25は、本実施形態に係る立体画像表示装置を示す斜視図であり、図26は図25に示すE−E’線による断面を示す光学モデル図であり、図27は図25に示すF−F’線による断面を示す光学モデル図である。前述の第1の実施形態においては、光学手段としてフライアイレンズを使用したが、本実施形態においては、光学手段として2枚のレンチキュラレンズを使用する。即ち、図25に示すように、立体画像表示装置1においては、観察者側から順に、レンチキュラレンズ51、レンチキュラレンズ52、表示パネル2及び光源(図示せず)が設けられている。
【0227】
レンチキュラレンズ51を構成する複数個のシリンドリカルレンズは、その長手方向が第2方向22と一致しており、第1方向21に沿って配列されている。また、レンチキュラレンズ52を構成する複数個のシリンドリカルレンズは、その長手方向が第1方向21と一致しており、第2方向22に沿って配列されている。従って、レンチキュラレンズ51とレンチキュラレンズ52とは、シリンドリカルレンズの長手方向が相互に直交するように重ね合わされている。更に、レンチキュラレンズ51はレンズ面を観察者(図示せず)に向けて配置され、レンチキュラレンズ52はレンズ面を表示パネル2に向けて配置されている。即ち、レンズ51の平坦面(レンズ面の反対面)がレンズ52に対向し、レンズ52のレンズ面が表示パネル2に対向するようになっている。更にまた、レンチキュラレンズ51のレンズピッチは、レンチキュラレンズ52のレンズピッチの3倍となっている。
【0228】
図26に示すように、観察距離OD、観察距離ODにおける画素拡大投影幅e、レンズ51の頂点と画素との間の距離H、第1方向21における画素ピッチPの間には、前記数式1及び2より、下記数式71乃至数式73が成立する。
【0229】
【数71】
【0230】
【数72】
【0231】
【数73】
【0232】
また、図27に示すように、観察距離OD、観察距離ODにおける画素拡大投影幅e、レンズ52の頂点と画素との間の距離H2、第2方向22における画素ピッチ(P/3)の間には、下記数式74乃至数式76が成立する。
【0233】
【数74】
【0234】
【数75】
【0235】
【数76】
【0236】
上記数式71乃至数式73からレンズ51と画素との間の距離Hを算出し、数式74乃至数式76からレンズ52と画素との間の距離H2を算出することにより、レンチキュラレンズ51及び52の位置を求めることができる。
【0237】
本実施形態に係る立体画像表示装置は、2枚のレンチキュラレンズのレンズの頂点と画素との間の距離を独立に設定できるため、前記第1方向と前記第2方向における画素の拡大投影幅をそれぞれ独立に設定できる。このため、同一の観察面における画素の拡大投影像幅を、第1方向と第2方向で同一にすることができる。この結果、両眼方向を第1方向21及び第2方向22のいずれの方向に一致させた場合でも、立体画像の視認性を向上することができる。また、レンチキュラレンズ51のレンズピッチは、レンチキュラレンズ52のレンズピッチの3倍とすることにより、第2方向に沿って3色の画素を繰返し配列した場合に、第1方向及び第2方向における画像の解像度を相互に等しくすることができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0238】
なお、レンチキュラレンズ52はレンズ面を観察者側に配置することも可能であるが、本実施形態の如く、レンズ51の平坦面とレンズ52の平坦面とが相互に対向するように配置すれば、レンズ52の頂点と画素との間の距離H2を、レンズ51の頂点と画素との間の距離Hの1/3程度の値とすることができるため、より小さな距離H2に対応することが可能となり、画素ピッチPが小さな高精細パネルに適用することができる。このため、本実施形態においては、レンズ51及び52を、その平坦面同士を対向させて配置している。
【0239】
また、レンチキュラレンズ51とレンチキュラレンズ52の間に偏光板等の光学フィルム(図示せず)を配置すると、より小さな距離H2に対応することが可能となるため、高精細化には有効である。更に、2枚のレンチキュラレンズ51及び52の替わりに、スリット状の開口部が形成された2枚のパララックスバリアを使用してもよい。このとき、2枚のパララックスバリアにおける開口部の長手方向は、相互に直交する方向とする。そして、開口部の長手方向が第2方向であり開口部の配列方向が第1方向である一方のパララックスバリアを、他方のパララックスバリアよりも表示パネルから遠い位置に配置し、前記一方のパララックスバリアにおける開口部の配列ピッチを、前記他方のパララックスバリアにおける開口部の配列ピッチの3倍とすることが好ましい。
【0240】
更に、上述の説明は赤青緑の3色の画素から構成される場合についてのものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、3色以外の色数に対しても同様に適用可能である。即ち、色数Z(Zは2以上の整数)に応じて、前記一方のレンチキュラレンズにおけるレンズピッチを前記他方のレンチキュラレンズにおけるレンズピッチのZ倍とすることが好ましい。また、パララックスバリアの場合についても同様であり、前記一方のパララックスバリアにおける開口部の配列ピッチを、前記他方のパララックスバリアにおける開口部の配列ピッチのZ倍とすることが好ましい。
【0241】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。図28は本実施形態に係る立体画像表示装置を示す斜視図である。図28に示すように、本実施形態においては、前述の第1の実施形態と比較して、表示パネル2の観察者側に、フライアイレンズ3の替わりにパララックスバリア7が設けられている。そして、パララックスバリア7には、ピンホール8がマトリクス状に形成されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0242】
本実施形態においては、レンズの代わりにバリアを設けることにより、レンズの表面反射に起因する縞模様の発生を抑制でき、この縞模様に起因する表示画質の低下を防止することができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0243】
なお、パララックスバリア7を表示パネル2の背面側に設けてもよい。この場合には、観察者が画像を観察する際にバリアが目障りにならないため、視認性がより向上する。また、前述の第6の実施形態において、2枚のレンチキュラレンズのうち一方をスリット状の開口が形成されたパララックスバリアに置き換えてもよい。更に、パララックスバリアに形成されたピンホール又はスリット状の開口は、実際には有限の大きさを持つため、画素の拡大投影像がぼやけて大きな幅になる。この場合は、画素の拡大投影幅eの値をこのぼやけた像の幅として扱うことにより、本発明を適用することが可能となる。開口幅を大きくすることにより、左右画像のクロストークが増加する一方で、明るい表示が可能になる。更にまた、第7の実施形態は前述の第1の実施形態においてフライアイレンズの替わりにパララックスバリアを使用した例であるが、同様に、前述の第2乃至第5の実施形態においても、フライアイレンズの替わりにピンホール状の開口部が形成されたパララックスバリアを使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0244】
本発明の活用例として、携帯電話、PDA、ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の携帯端末装置がある。本発明はカラーの立体画像を表示する装置に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0245】
1;立体画像表示装置
2;表示パネル
3;フライアイレンズ
3a、3b、3c;レンズ要素
6;遮光部
7;パララックスバリア
8;ピンホール
9;携帯電話
10;光源
21;第1方向
22;第2方向
30、31、33、35;範囲
32、34、36;交点
51、52;レンチキュラレンズ
61;左眼
62;右眼
63;中点
104;観察者
105;パララックスバリア
105a;スリット
106;表示パネル
107;立体可視域
107a;対角線の交点
107b;最適観察面
108;光源
112;横方向
121;レンチキュラレンズ
122;シリンドリカルレンズ(凸部)
123;右眼用画素
124;左眼用画素
125;フライアイレンズ
141;右眼
142;左眼
143;右眼141と左眼142の中点
171;右眼領域
172;左眼領域
181、182;光束
401;赤色画素A
402;赤色画素B
403;赤色画素C
404;赤色画素D
405;緑色画素A
406;緑色画素B
407;緑色画素C
408;緑色画素D
409;青色画素A
410;青色画素B
411;青色画素C
412;青色画素D
413;青緑色画素A
414;青緑色画素B
415;青緑色画素C
416;青緑色画素D
e;画素の拡大投影域の幅
EL、EL0、EL1、EL2、ER、ER0、ER1、ER3;領域
H;レンズの頂点と画素との間の距離
L;レンズピッチ
OD;最適観察距離
P;画素の配列ピッチ
Y;観察者の両眼間隔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色に色分けされた複数の画素が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、
前記第1方向に配列された画素から出射した光を前記第1方向に沿って相互に異なる方向に振り分けると共に前記第2方向に配列された画素から出射した光を前記第2方向に沿って相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、
前記第1方向における前記画素の配列ピッチと前記第2方向における前記画素の配列ピッチとが相互に等しく、
前記表示パネルは相互に同色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、前記第1方向及び第2方向において相互に異なる色の前記画素マトリクスが繰返し配列されており、
前記光学手段は前記画素マトリクスに対応する複数の光学要素からなることを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項2】
複数色に色分けされた複数の画素が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、
前記第1方向に配列された画素から出射した光を前記第1方向に沿って相互に異なる方向に振り分けると共に前記第2方向に配列された画素から出射した光を前記第2方向に沿って相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、
前記第1方向における前記画素の配列ピッチと前記第2方向における前記画素の配列ピッチとが相互に等しく、
前記表示パネルは相互に異なる色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、前記画素マトリクスが前記第1方向及び第2方向に繰返し配列されており、
前記光学手段は前記画素マトリクスに対応する複数の光学要素からなることを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項3】
前記表示パネルは複数の表示単位により構成されており、この表示単位は前記第1方向及び第2方向に各2つずつマトリクス状に配列された4つの前記画素マトリクスにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
前記表示パネルは複数の表示単位により構成されており、この表示単位はデルタ状に配列された3色の前記画素マトリクスにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
前記光学手段がフライアイレンズであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項6】
前記光学手段が複数個のピンホール状の開口部がマトリクス状に形成されたパララックスバリアであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項7】
前記光学手段が、長手方向が前記第1方向に延びるスリット状の開口部が複数個形成された第1のパララックスバリアと、長手方向が前記第2方向に延びるスリット状の開口部が複数個形成された第2のパララックスバリアと、を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項8】
前記第1方向が観察者の右眼から左眼に向かう方向と一致するように配置されたときには各表示単位内で前記第1方向に配列された1対の画素に夫々右眼用の画像及び左眼用の画像を表示すると共に各表示単位内で前記第2方向に配列された複数の画素に相互に異なる画像を表示し、
前記第2方向が観察者の右眼から左眼に向かう方向と一致するように配置されたときには各表示単位内で前記第2方向に配列された1対の画素に夫々右眼用の画像及び左眼用の画像を表示すると共に各表示単位内で前記第1方向に配列された複数の画素に相互に異なる画像を表示するものであることを特徴とする請求項3乃至7のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項9】
複数色に色分けされた複数の画素が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルにおいて、
前記第1方向における前記画素の配列ピッチと前記第2方向における前記画素の配列ピッチとが相互に等しく、相互に同色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、
前記第1方向及び第2方向の双方において、相互に異なる色の前記画素マトリクスが繰返し配列されていることを特徴とする表示パネル。
【請求項10】
複数色に色分けされた複数の画素が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルにおいて、
前記第1方向における前記画素の配列ピッチと前記第2方向における前記画素の配列ピッチとが相互に等しく、相互に異なる色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、
前記画素マトリクスが、前記第1方向及び第2方向の双方において繰返し配列されていることを特徴とする表示パネル。
【請求項11】
複数の表示単位により構成されており、この表示単位は前記第1方向及び第2方向に各2つずつマトリクス状に配列された4つの前記画素マトリクスにより構成されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の表示パネル。
【請求項12】
複数の表示単位により構成されており、この表示単位はデルタ状に配列された3色の前記画素マトリクスにより構成されていることを特徴とする請求項9に記載の表示パネル。
【請求項13】
前記第1方向が観察者の右眼から左眼に向かう方向と一致するように配置されたときには各表示単位内で前記第1方向に配列された1対の画素に夫々右眼用の画像及び左眼用の画像を表示すると共に各表示単位内で前記第2方向に配列された複数の画素に相互に異なる画像を表示し、
前記第2方向が観察者の右眼から左眼に向かう方向と一致するように配置されたときには各表示単位内で前記第2方向に配列された1対の画素に夫々右眼用の画像及び左眼用の画像を表示すると共に各表示単位内で前記第1方向に配列された複数の画素に相互に異なる画像を表示するものであることを特徴とする請求項11又は12に記載の表示パネル。
【請求項1】
複数色に色分けされた複数の画素が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、
前記第1方向に配列された画素から出射した光を前記第1方向に沿って相互に異なる方向に振り分けると共に前記第2方向に配列された画素から出射した光を前記第2方向に沿って相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、
前記第1方向における前記画素の配列ピッチと前記第2方向における前記画素の配列ピッチとが相互に等しく、
前記表示パネルは相互に同色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、前記第1方向及び第2方向において相互に異なる色の前記画素マトリクスが繰返し配列されており、
前記光学手段は前記画素マトリクスに対応する複数の光学要素からなることを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項2】
複数色に色分けされた複数の画素が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルと、
前記第1方向に配列された画素から出射した光を前記第1方向に沿って相互に異なる方向に振り分けると共に前記第2方向に配列された画素から出射した光を前記第2方向に沿って相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、
前記第1方向における前記画素の配列ピッチと前記第2方向における前記画素の配列ピッチとが相互に等しく、
前記表示パネルは相互に異なる色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、前記画素マトリクスが前記第1方向及び第2方向に繰返し配列されており、
前記光学手段は前記画素マトリクスに対応する複数の光学要素からなることを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項3】
前記表示パネルは複数の表示単位により構成されており、この表示単位は前記第1方向及び第2方向に各2つずつマトリクス状に配列された4つの前記画素マトリクスにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
前記表示パネルは複数の表示単位により構成されており、この表示単位はデルタ状に配列された3色の前記画素マトリクスにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
前記光学手段がフライアイレンズであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項6】
前記光学手段が複数個のピンホール状の開口部がマトリクス状に形成されたパララックスバリアであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項7】
前記光学手段が、長手方向が前記第1方向に延びるスリット状の開口部が複数個形成された第1のパララックスバリアと、長手方向が前記第2方向に延びるスリット状の開口部が複数個形成された第2のパララックスバリアと、を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項8】
前記第1方向が観察者の右眼から左眼に向かう方向と一致するように配置されたときには各表示単位内で前記第1方向に配列された1対の画素に夫々右眼用の画像及び左眼用の画像を表示すると共に各表示単位内で前記第2方向に配列された複数の画素に相互に異なる画像を表示し、
前記第2方向が観察者の右眼から左眼に向かう方向と一致するように配置されたときには各表示単位内で前記第2方向に配列された1対の画素に夫々右眼用の画像及び左眼用の画像を表示すると共に各表示単位内で前記第1方向に配列された複数の画素に相互に異なる画像を表示するものであることを特徴とする請求項3乃至7のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項9】
複数色に色分けされた複数の画素が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルにおいて、
前記第1方向における前記画素の配列ピッチと前記第2方向における前記画素の配列ピッチとが相互に等しく、相互に同色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、
前記第1方向及び第2方向の双方において、相互に異なる色の前記画素マトリクスが繰返し配列されていることを特徴とする表示パネル。
【請求項10】
複数色に色分けされた複数の画素が第1方向及びこの第1方向に直交する第2方向にマトリクス状に配列された表示パネルにおいて、
前記第1方向における前記画素の配列ピッチと前記第2方向における前記画素の配列ピッチとが相互に等しく、相互に異なる色の複数の画素がマトリクス状に配列された複数の画素マトリクスからなり、
前記画素マトリクスが、前記第1方向及び第2方向の双方において繰返し配列されていることを特徴とする表示パネル。
【請求項11】
複数の表示単位により構成されており、この表示単位は前記第1方向及び第2方向に各2つずつマトリクス状に配列された4つの前記画素マトリクスにより構成されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の表示パネル。
【請求項12】
複数の表示単位により構成されており、この表示単位はデルタ状に配列された3色の前記画素マトリクスにより構成されていることを特徴とする請求項9に記載の表示パネル。
【請求項13】
前記第1方向が観察者の右眼から左眼に向かう方向と一致するように配置されたときには各表示単位内で前記第1方向に配列された1対の画素に夫々右眼用の画像及び左眼用の画像を表示すると共に各表示単位内で前記第2方向に配列された複数の画素に相互に異なる画像を表示し、
前記第2方向が観察者の右眼から左眼に向かう方向と一致するように配置されたときには各表示単位内で前記第2方向に配列された1対の画素に夫々右眼用の画像及び左眼用の画像を表示すると共に各表示単位内で前記第1方向に配列された複数の画素に相互に異なる画像を表示するものであることを特徴とする請求項11又は12に記載の表示パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【公開番号】特開2011−164637(P2011−164637A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63430(P2011−63430)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【分割の表示】特願2004−316395(P2004−316395)の分割
【原出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(303018827)NEC液晶テクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【分割の表示】特願2004−316395(P2004−316395)の分割
【原出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(303018827)NEC液晶テクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】
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