説明

立体画像表示装置

【課題】複数の視認位置から視認できる画像生成装置を提供する。
【解決手段】表示面を有する表示装置と、前記表示装置の表示面に隣接して、前記表示面と平行に設置され、一方の面は前記表示面からの光が第1結像点で結像する第1凸部及び第1平面部を含み、他方の面は平面である第1光学部と、前記第1光学部に隣接して、前記第1光学部と平行に設置され、一方の面は前記表示面からの光が前記第1結像点と異なる第2結像点で結像する第2凸部及び第2平面部を含み、他方の面は平面である第2光学部とを備え、前記第1凸部を通り前記第1結像点で結像する前記表示面からの光は、前記第2平面部を通り、前記表示面からの光は、前記第1平面部を通り、前記第2凸部を通り前記第2結像点で結像し、前記第1結像点と前記第2結像点とは、前記表示面から異なる距離に設定されている、立体画像表示装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
隣接した2つのカメラで撮影された画像の視差を利用して立体視が可能な画像を生成する立体視画像生成装置がある。立体視画像生成装置は、例えば、隣接した2つのカメラで撮影した画像のうち、一方のカメラによる画像を左眼用画像として、他方のカメラによる画像を右眼用画像として、生成して表示する。
【0003】
同一の対象物に対して、左眼用画像における位置と、右眼用画像における位置との差を、視差という。画像内に存在する2つの対象物で、視差量が異なることにより、一方の対象物が他方の対象物に対して手前または奥に存在するように見える。視差量は、視差の大きさである。
【0004】
図1は、立体視画像の例を示す図である。図1において、画像910が左眼用画像であり、画像920が右眼用画像である。ここで、左眼用画像である画像910、及び、右眼用画像である画像920には、それぞれ、物体A、物体B、物体Cが存在する。画像910及び画像920との間における、これらの物体の視差により、図1の立体視画像を見る者には、手前から、物体A、物体B、物体Cが存在するように見える。
【0005】
立体視画像生成装置は、利用者の左眼に対して左眼用画像を、右眼に対して右眼用画像を表示するようにし、利用者に立体的な画像を感じさせる。立体画像生成装置は、例えば、液晶ディスプレイと、利用者が装着する専用の眼鏡とにより、左眼に対して左眼用画像、右眼に対して右眼用画像を表示することにより、利用者に立体感を知覚させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−235332号公報
【特許文献2】特開2008−170841号公報
【特許文献3】特開平06−148763号公報
【特許文献4】特開平10−174127号公報
【特許文献5】特開2003−131607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、立体視画像生成装置には、液晶ディスプレイにレンズシートを設置することにより、専用の眼鏡を使用することなく、左眼及び右眼にそれぞれ異なった画像を認識させるものもある。このとき、最適な視認位置(視点)は、液晶ディスプレイの画素の大きさ、レンズシートの形状、液晶ディスプレイとレンズシートとの位置関係等により、決定される。このとき、立体視画像を視認する利用者は、レンズシートのレンズの形状、材質、レンズシートの位置等により決定される1つの位置でしか、立体画像を視認することができない。
【0008】
本件開示の技術は、複数の視認位置から視認できる立体画像生成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示の技術は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
【0010】
即ち、第1の態様は、
表示面を有する表示装置と、
前記表示装置の表示面に隣接して、前記表示面と平行に設置され、一方の面は前記表示面からの光が第1結像点で結像する第1凸部及び第1平面部を含み、他方の面は平面である第1光学部と、
前記第1光学部に隣接して、前記第1光学部と平行に設置され、一方の面は前記表示面からの光が前記第1結像点と異なる第2結像点で結像する第2凸部及び第2平面部を含み、他方の面は平面である第2光学部とを備え、
前記第1凸部を通り前記第1結像点で結像する前記表示面からの光は、前記第2平面部を通り、
前記表示面からの光は、前記第1平面部を通り、前記第2凸部を通り前記第2結像点で結像し、
前記第1結像点と前記第2結像点とは、前記表示面から異なる距離に設定されている、立体画像表示装置とする。
【発明の効果】
【0011】
開示の実施形態によれば、複数の視認位置から視認できる立体画像生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、立体視画像の例を示す図である。
【図2】図2は、本実施形態の立体画像表示装置の構成例を示す図である。
【図3】図3は、立体画像表示装置の機能ブロックの例を示す図である。
【図4】図4は、情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図5】図5は、立体画像生成装置100の断面の例を示す図である。
【図6】図6は、第1レンズ及び第2レンズと表示装置の画面の画素との配置の例を示す図である。
【図7】図7は、視点が移動したときの例を示す図である。
【図8】図8は、立体画像生成装置の動作フローの例を示す図である。
【図9】図9は、表示装置に対するレンズシートの取り付けの例を示す図である。
【図10】図10は、表示装置102における、立体画像を表示できない旨の表示の例である。
【図11】図11は、第1光学部及び第2光学部の変形例を示す図である。
【図12】図12は、光学部及び表示装置の変形例を示す図である。
【図13】図13は、第1レンズ及び第2レンズを表示装置に対して斜め方向に配置する例を示す図である。
【図14】図14は、第1光学部及び第2光学部の変形例(1)を示す図である。
【図15】図15は、第1光学部及び第2光学部の変形例(2)を示す図である。
【図16】図16は、第1光学部及び第2光学部の変形例(3)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、開示の構成は、開示の実施形態の具体的構成に限定されない。開示の構成の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0014】
ここで、立体画像生成装置で表示される立体画像は、動画像であっても、静止画像であってもよい。
【0015】
〔実施形態〕
図2は、本実施形態の立体画像表示装置の構成例を示す図である。立体画像生成装置100は、表示装置102、第1光学部104、第2光学部106を含む。立体画像生成装置100は、図2のように、表示部102、第1光学部104、第2光学部106の順に配置される。表示装置102、第1光学部104、第2光学部106は、ほぼ平行になるように配置される。
【0016】
表示装置102は、例えば、液晶ディスプレイである。表示部102は、入力される指示により、画像を表示する。表示装置102は、第1光学部104、第2光学部106が配置される側の面に、画像を表示する。
【0017】
第1光学部104は、表示装置102側の面にレンチキュラーレンズ状の複数の第1レンズと、平面部とを含む。第1光学部104の外側の面(表示装置102側の面の対面)は、平面である。第1光学部104の外側の面は、第2光学部106と接していてもよい。第1レンズ及び平面部は、表示装置の画面の画素配列(表示素子の配列)の縦方向と平行になるように設置される。
【0018】
第2光学部106は、外側の面(表示装置102側の面の対面)にレンチキュラーレンズ状の複数の第2レンズと、平面部とを含む。第2光学部106の表示装置102側の面は、平面である。第2光学部106の表示装置102側の面は、第1光学部104と接していてもよい。第2レンズ及び平面部は、表示装置の画面の画素配列(表示素子の配列)の縦方向と平行になるように設置される。
【0019】
第1光学部104及び第2光学部106は、透明の平面板によって全面を保護されてもよい。第1光学部104及び第2光学部106で使用されるレンズは、かまぼこ状の曲面レンズである。第1光学部104及び第2光学部106で使用されるレンズは、第1光学部104及び第2光学部106における凸部である。かまぼこ状の曲面レンズの形状は、例えば、平面上の閉曲線(例えば、楕円)を当該平面上の直線で切断したときの当該閉曲線と当該直線とで囲まれる部分の1つを、当該平面の法線方向に走査したときにできる立体形状である。かまぼこ状の曲面レンズの形状は、例えば、円柱(又は楕円柱)を、当該円柱(又は楕円柱)の高さ方向の直線と平行な平面で切断した一方の立体形状であってもよい。
【0020】
第1光学部104及び第2光学部106は、一体化されていても、分離していてもよい。
【0021】
図3は、立体画像表示装置の機能ブロックの例を示す図である。立体画像生成装置100は、制御部110、格納部120、送受信部130、表示部140を含む。表示部102、制御部110、格納部120、送受信部130は、バスを介して接続される。
【0022】
制御部110は、格納部120に格納されるプログラム等を実行し、表示部102に対し、所定の画像を表示することを指示する。
【0023】
格納部120は、制御部110により実行されるプログラム、当該プログラムによって利用される各種のデータ等を格納する。格納部120は、表示装置102で表示される立体画像(例えば、左眼用画像のデータ、右眼用画像のデータ)のデータを格納する。格納部120は、各種レンズシートの情報を格納してもよい。
【0024】
送受信部130は、制御部110からの指示に従い、ネットワーク等を介して、外部の装置と通信を行う。送受信部130は、スイッチ等で検出された信号を受信し得る。
【0025】
表示部140は、制御部110からの指示に従い、表示装置102に、所定の画像を表示する。
【0026】
立体画像生成装置100は、パーソナルコンピュータ(PC、Personal Computer)の
ような汎用のコンピュータ、ワークステーション(WS、Work Station)、PDA(Personal Digital Assistant)のような専用または汎用のコンピュータ、あるいは、コンピュータを搭載した電子機器を使用して実現可能である。また、立体画像生成装置100は、スマートフォン、携帯電話、カーナビゲーション装置のような専用または汎用のコンピュータ、あるいは、コンピュータを搭載した電子機器を使用して実現可能である。コンピュータは、情報処理装置ともいう。
【0027】
図4は、情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。立体画像生成装置100は、それぞれ、例えば、図4に示すような情報処理装置1000によって、実現される。
【0028】
情報処理装置1000は、CPU(Central Processing Unit)1002、メモリ10
04、記憶部1006、入力部1008、出力部1010、通信部1012を含む。
【0029】
情報処理装置1000は、CPU1002が記録部1006に記憶されたプログラムをメモリ1004の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて周辺機器が制御されることによって、所定の目的に合致した機能を実現することができる。
【0030】
CPU1002は、記憶部1006に格納されるプログラムに従って処理を行う。
【0031】
メモリ1004は、CPU1002がプログラムやデータをキャッシュしたり作業領域を展開したりする。メモリ1004は、例えば、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。メモリ1004は、主記憶装置である。
【0032】
記憶部1006は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。記憶部1006は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ソリ
ッドステートドライブ(SSD、Solid State Drive)装置、ハードディスクドライブ(
HDD、Hard Disk Drive)装置である。記憶部1006としては、例えば、CD(Compact Disc)ドライブ装置、DVD(Digital Versatile Disk)ドライブ装置、+R/+R
Wドライブ装置、HD DVD(High-Definition Digital Versatile Disk)ドライブ装置、または、BD(Blu-ray Disk)ドライブ装置がある。また、記録媒体としては、例えば、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ)を含むシリコンディスク、ハードディスク、CD、DVD、+R/+RW、HD DVD、または、BDがある。CDとしては、CD−R(Recordable)、CD−RW(Rewritable)、CD−ROMがある。DVDとしては、DVD−R、DVD−RAM(Random Access Memory)がある。BDとしては、BD−R、BD−RE(Rewritable)、BD−ROMがある。また、記憶部1006は、リムーバブルメディア、即ち可搬記録媒体を含むことができる。リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、あるいは、CDやDVDのようなディスク記録媒体である。記憶部1006は、二次記憶装置である。
【0033】
メモリ1004及び記憶部1006は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0034】
入力部1008は、ユーザ等からの操作指示等を受け付ける。入力部1008は、キーボード、ポインティングデバイス、ワイヤレスリモコン、マイクロフォン、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等の入力デバイスである。入力部1008から入力された情報は、CPU1002に通知される。
【0035】
出力部1010は、CPU1002で処理されるデータやメモリ1004に記憶されるデータを出力する。出力部1010は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、EL(Electroluminescence)パネル、プリンタ、スピーカ等の出力デバイスである。
【0036】
通信部1012は、外部装置とデータの送受信を行う。通信部1012は、例えば、信号線を介して、外部装置と接続される。外部装置は、例えば、他の情報処理装置、記憶装置である。通信部1012は、例えば、LAN(Local Area Network)インタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路である。
【0037】
情報処理装置1000は、記憶部1006に、オペレーティングシステム、各種プログラム、各種テーブル等を記憶している。
【0038】
オペレーティングシステムは、ソフトウェアとハードウェアとの仲介、メモリ空間の管理、ファイル管理、プロセスやタスクの管理等を行うソフトウェアである。オペレーティングシステムは、通信インタフェースを含む。通信インタフェースは、通信部1012を介して接続される他の外部装置等とデータのやり取りを行うプログラムである。
【0039】
立体画像生成装置100を実現するコンピュータは、プロセッサが二次記憶装置に記憶されているプログラムを主記憶装置にロードして実行することによって、制御部110としての機能を実現する。一方、格納部120は、主記憶装置または二次記憶装置の記憶領域に設けられる。送受信部130は、CPU1002、通信部1012として実現できる。表示部140は、出力部1010として実現できる。
【0040】
一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。
【0041】
プログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくても、並列的または個別に実行される処理を含む。
【0042】
(表示装置、光学部の構造)
図5は、立体画像生成装置100の断面の例を示す図である。図5のように、表示装置102と第1光学部104の第1レンズの主点との距離を距離G1、表示装置102と第2光学部106の第2レンズの主点との距離を距離G2とする。また、第1レンズの主点と表示装置102の画像が第1レンズを通して結像する位置との距離を距離D1、第2レンズの主点と表示装置102の画像が第2レンズを通して結像する位置との距離を距離D2とする。第1レンズの焦点距離を距離f1、第2レンズの焦点距離を距離f2とする。レンズの焦点距離は、レンズの素材と曲率半径とから得られる。
【0043】
図5のように、第1光学部104の第1レンズと第2光学部106の平面部とは、ほぼ重なるように、設置される。表示装置102から出た光は、第1光学部104の第1レンズを通り、第2光学部106の平面部を通り、利用者の眼に達する。同様に、第1光学部の平面部と第2光学部の第2レンズとは、ほぼ重なるように、設置される。表示装置102から出た光は、第1光学部102の平面部を通り、第2光学部106の第2レンズを通り、利用者の眼に達する。第1光学部104の第1レンズを通る光は、第2光学部106における平面部を通ることにより、第2光学部106の第2レンズの影響を受けない。また、第2光学部106の第2レンズを通る光は、第1光学部104における平面部を通ることにより、第1光学部104の第1レンズの影響を受けない。
【0044】
図5のように、表示装置102の画像が第1のレンズを通して結像する位置に存在する利用者(前方の利用者)の左眼には、表示装置102の1L、3Lの画像(画素)が入射する。また、表示装置102の画像が第1のレンズを通して結像する位置に存在する利用者(前方の利用者)の右眼には、表示装置102の1R、3Rの画像が入射する。同様に、表示装置102の画像が第2のレンズを通して結像する位置に存在する利用者(後方の利用者)の左眼には、表示装置102の2L、4Lの画像が入射する。また、表示装置102の画像が第2のレンズを通して結像する位置に存在する利用者(後方の利用者)の右眼には、表示装置102の2R、4Rの画像が入射する。図5の奥行き方向及び左右方向についても同様である。
【0045】
1L及び2L、1R及び2R、3L及び4L、3R及び4Rの画素は、それぞれ、共通であってもよい。即ち、例えば、1Lの画素と2Lの画素は、共通であってもよい。
【0046】
図6は、第1レンズ及び第2レンズと表示装置の画面の画素との配置の例を示す図である。図6に示される画素は、表示装置の画面の画素の一部の画素である。各画素(1L、2L等)は、それぞれ、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の色画素を有する。例えば、図6のR1、G1、B1で、1つの画素を形成する。1L、2L等の画素によって左眼用画像が表示される。1L、2L等は、左眼用の画素である。同様に、1R、2R等の画素によって右眼用画像が表示される。1R、2R等は、右眼用の画素である。1L、1Rの画素から出た光は、第1レンズに入射される。2L、2Rの画素から出た光は、第2レンズに入射される。各画素は、表示装置の表示面の表示素子によって、形成される。表示素子は、表示面の水平方向(図6の横方向)及び、水平方向と直角に交わる方向(図6の縦方向)に配列される。第1レンズの方向及び第2レンズの方向は、水平方向と直角に交わる方向と平行である。水平方向及び水平方向に直交する方向に配列された表示素子によって、表示面が形成される。
【0047】
レンズの公式により、距離D1、距離G1、距離f1の間には、次の式が成立する。
【0048】
【数1】

【0049】
距離D2、距離G2、距離f2の間にも、同様の式が成立する。従って、距離G1、距離G2、距離f1、距離f2を調整することにより、利用者の位置である距離D1及び距離D2を決定することができる。
【0050】
距離D1及び距離G1の和は、距離D2及び距離G2の和と異なるように設定される。このように設定されることにより、利用者は、複数の位置から、表示装置102に表示される立体画像を、視認することができる。距離D1及び距離G1の和は、表示装置102の表示面と第1レンズを通じて立体画像を視認する利用者との距離である。距離D2及び距離G2の和は、装置102の表示面と第2レンズを通じて立体画像を視認する利用者との距離である。
【0051】
第1光学部における各第1レンズの間隔は、次の式によって、決定される。ここで、図5のように、1Lの画素からの光が入射される第1レンズと、3Lの画素からの光が入射される第1レンズとの距離を、距離Q1とする。1Lの画素からの光が入射される第1レンズと1Rの画素からの光が入射される第1レンズとの距離は、距離Q1の半分である。
2Lの画素からの光が入射される第1レンズと、4Lの画素からの光が入射される第2レンズとの距離を、距離Q2とする。2Lの画素からの光が入射される第2レンズと2Rの画素からの光が入射される第2レンズとの距離は、距離Q2の半分である。また、表示装置102における1Lの画素と1Rの画素との距離を、距離Pとする。表示装置102における1Lの画素と2Lの画素との距離は、距離Pの半分である。
【0052】
【数2】

【0053】
図7は、視点が移動したときの例を示す図である。図7の右側では、利用者は、2L及び2Rからの画像がそれぞれ左右の眼で結像する位置におり、左眼で2Lの画像を見ており、右眼で2Rの画像をみている。これにより、当該利用者は、左眼で左眼用画像を、右眼で右眼用画像を見ることにより、立体画像を認識することができる。
【0054】
ここで、図7の左側のように、利用者が少し右側に移動したとする。このとき、利用者の左眼の位置は、右眼用画像である2Rからの画像が結像する位置にある。すると、利用者の左眼では、右眼用画像が視認される。一方、利用者の右眼の位置は、表示装置102からのいずれかの画像が結像する位置にない。例えば、3Lからの画像は、利用者の前方で結像しているため、利用者の右眼では見ることができない。利用者の右眼では、ぼけた画像しか見られない。従って、利用者は、左右どちらかに移動することにより、両眼により立体画像が見られる。よって、利用者は、逆視状態で、立体画像を視認することにならない。逆視状態とは、左眼で右眼用画像を見て、右眼で左眼用画像を見る状態である。
【0055】
(立体画像表示装置の動作例)
図8は、立体画像生成装置の動作フローの例を示す図である。図8の動作フローは、例えば、立体画像再生プログラムが起動されることにより開始される。立体画像再生プログラムは、格納部120に格納される。立体画像再生プログラムは、表示装置102に立体画像を表示する。
【0056】
立体画像生成装置100は、第1光学部104及び第2光学部106が表示装置102に取り付けられているか否かを確認する(S101)。第1光学部104及び第2光学部106を、レンズシートともいう。立体画像生成装置100は、例えば、表示装置102に取り付けられているスイッチ等により、表示装置102にレンズシートが取り付けられているか否かを確認することができる。スイッチは、例えば、表示装置102のレンズシートを取り付けるフックに設置される。立体画像生成装置100がフックに設置されたスイッチにおける電気的な信号を検出することで、レンズシートの取り付けが認識されうる。
【0057】
図9は、表示装置に対するレンズシートの取り付けの例を示す図である。レンズシートは、表示装置の画面に、位置を固定して取り付けられる。
【0058】
表示装置102にレンズシートが取り付けられていない場合(S101;NO)、立体画像生成装置100は、表示装置102に、立体画像を表示できない旨を表示する(S102)。立体画像生成装置100は、レンズシートが正常に取り付けられていない場合も、レンズシートが取り付けられていないと判断する。その後、立体画像生成装置100は、立体画像再生プログラムを終了する。
【0059】
図10は、表示装置102における、立体画像を表示できない旨の表示の例である。立
体画像生成装置100は、レンズシートが取り付けられていないと判断するとき、図10のような表示を、表示装置102にする。
【0060】
表示装置102にレンズシートが取り付けられている場合(S101;YES)、立体画像生成装置100は、表示装置102に取り付けられているレンズシートの種類を確認する(S103)。レンズシートの焦点距離等によって、表示装置102からの画像がレンズを通して結像する位置が変わるからである。立体画像生成装置100は、例えば、表示装置102に、レンズシートの種類に対応した最適な視認位置を表示することができる。また、立体画像生成装置100は、レンズシートの種類に応じた画素配列にして、立体画像を表示することができる。
【0061】
立体画像生成装置100は、表示装置102に、立体画像を表示する(S104)。立体画像生成装置100は、左眼用の画素に左眼用画像を、右眼用の画素に右眼用画像を表示する。立体画像生成装置100は、立体画像の表示が終了したら、立体画像再生プログラムを終了する。
【0062】
(実施形態の作用効果)
立体画像生成装置100は、複数のレンチキュラー状のレンズを有する2つの光学部を有する。立体画像生成装置100は、2つの光学部が積層されることにより、表示装置102に表示される画像を、表示装置102からの2つの距離において、結像させる。表示装置102の利用者は、複数の位置から、表示装置102に表示される立体画像を視認することができる。
【0063】
立体画像生成装置100は、表示装置102に対して前方の結像点及び後方の結像点を有することにより、どちらか一方の結像点において立体画像を視認する利用者が左右に移動しても、逆視状態にならないようにすることができる。
【0064】
立体画像生成装置100は、内側(表示装置側)に第1レンズを備える第1光学部と、外側(表示装置側の反対側)に第2レンズを備える第2光学部とを有することで、各レンズと表示装置100との距離(距離G1、距離G2)を大きく異ならせることができる。即ち、距離G1と距離G2との差を大きくすることができる。これにより、立体画像生成装置100は、各レンズを通して画像を結像させる位置(結像点;距離G1と距離D1との和、距離G2と距離D2との和)を、大きく異ならせることができる。
【0065】
(変形例)
上記の実施形態の変形例について説明する。変形例は、上記の実施形態との共通点を有する。従って、主として相違点について説明し、共通点については、説明を省略する。
【0066】
図11は、第1光学部及び第2光学部の変形例を示す図である。上記の実施形態では、第1光学部102及び第2光学部104は分離していたが、図11の例では、第1光学部102及び第2光学部104が、結合して、1つの光学部を形成する。光学部をこのように形成することにより、部品点数を減少させることができる。
【0067】
図12は、光学部及び表示装置の変形例を示す図である。図12の例では、立体画像生成装置は、表示装置202、第1光学部204、第2光学部206、第3光学部208を含む。図12の立体画像生成装置は、3つの光学部を含む。
【0068】
第1光学部204、第2光学部206、第3光学部208は、第1光学部104、第2光学部106と同様の構成を有する。本変形例における各光学部は、他の光学部のレンズを通る光を、自己のレンズには通さないように、平面部を有する。従って、本変形例にお
ける各光学部は、上記の実施形態の光学部における平面部よりも大きい平面部を有する。各光学部におけるレンズが存在する面は、表示装置側であってもこの反対側であってもよい。
【0069】
ここでは、3つの光学部を有する例を挙げたが、3つ以上の光学部を有する構成としてもよい。この構成による装置は、複数の光学部を含む構成とすることで、表示画面からの複数の距離で、表示画面からの画像を結像させることができる。
【0070】
図13は、第1レンズ及び第2レンズを表示装置の画素配列に対して斜め方向に配置する例を示す図である。表示装置102の画面上では、色画素の素子(表示素子)は、表示面に対して水平方向(図13の横方向)及び、水平方向に対して直交する方向(図13の縦方向)に配列される。上記の実施形態では、図2や図6のように、第1レンズ及び第2レンズは、表示装置102の画像素子の配列方向(図6の縦方向)、に対して、平行に配置されている。これに対し、図13の例では、表示装置の画像素子の配列の縦方向に対して、斜め方向(非平行の方向)に第1レンズ及び第2レンズを配置する。第1レンズ及び第2レンズは、他方のレンズの方向に対して平行に配置される。これにともなって、表示装置102で表示する各画素は、斜め方向に色画素を配置する。例えば、色画素であるR1、G1、B1が、1つの画素を形成する。同様に、他の色画素についても同様である。各画素における色画素の方向と各レンズの方向とは、平行である。図6の例では、1つの画素は、横方向にR、G、Bの色画素を配置していたが、図13の例では、斜め方向に1つの画素が配置される。1L、1Rの画素から出た光は、そのほとんどが第1レンズに入射される。2L、2Rの画素から出た光は、そのほとんどが第2レンズに入射される。
【0071】
図6の例では、横方向の画素が2次元画像に比べて4分の1に減少する。図13の例では、横方向の画素は、2次元画像に比べて4分の3にしか減少しない。一方、図13の例では、縦方向の画素は、2次元画像に比べて3分の1に減少する。
【0072】
レンズを斜め方向に配置し、1つの画素を斜め方向に配置することにより、横方向のみ解像度が下がることを防ぐことができる。縦方向及び横方向の解像度が下がるほうが、横方向のみの解像度が下がることに比べ、画質の劣化が少なく見える。
【0073】
図13のような斜め方向に配置されたレンズシートが表示装置に設置された場合、立体画像生成装置は、図13のように各画素の色画素を配置するように指示する。例えば、立体画像生成装置100は、図8のステップS103で、斜め方向に配置されたレンズシートが設置されたことを認識し、ステップS104で、図13のように各画素の色画素を配置するように指示する。
【0074】
また、上記の例(図6、図13等)では、表示装置102の画面上の左眼用画像を表示する画素、及び、右眼用画像を表示する画素は、それぞれ、複数の互いに平行な直線上に配置される。しかしながら、画素の配置は、直線上に配置されるものに限定されない。例えば、左眼用画像を表示する画素、及び、右眼用画像を表示する画素は、それぞれ、複数ののこぎり形の線上に配置されてもよい。このとき、第1レンズ及び第2レンズの形状は、各画素の配置に合わせて、のこぎり形の形状をする。即ち、左眼用画像を表示する画素、右眼用画像を表示する画素の配置に限定はない。第1レンズ及び第2レンズの形状は、左眼用画像を表示する画素、右眼用画像を表示する画素の配置に合わせた形状とすればよい。
【0075】
さらに、立体画像生成装置100は、表示装置102に設置される第1レンズ及び第2レンズの形状に合わせて、表示装置102の画面上のどの表示素子に、左眼用画像または右眼用画像のどの画素を表示するかを決定することができる。
【0076】
図14、図15、図16は、第1光学部及び第2光学部の変形例を示す図である。上記の実施形態では、第1光学部102の第1レンズの面は、表示装置側であり、第2光学部104の第2レンズの面は、外側(表示装置側と反対側)である。
【0077】
第1光学部及び第2光学部におけるレンズが存在する面は、上記の実施形態の例に限られず、図14乃至図16のような構成であってもよい。第1光学部または第2光学部におけるレンズが存在する面は、表示装置側であっても、外側(表示装置側と反対側)であってもよい。第1光学部及び第2光学部を図14乃至図16のように配置した場合であっても、表示装置102に表示される画像を、表示装置102からの2つの距離において、結像させ得る。よって、第1光学部及び第2光学部を図14乃至図16のように配置した場合であっても、複数の視認位置から立体画像が視認され得る。
【符号の説明】
【0078】
100 立体画像生成装置
102 表示装置
104 第1光学部
106 第2光学部
110 制御部
120 格納部
130 送受信部
140 表示部
202 表示装置
204 第1光学部
206 第2光学部
208 第3光学部
1000 情報処理装置
1002 CPU
1004 メモリ
1006 記憶部
1008 入力部
1010 出力部
1012 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面を有する表示装置と、
前記表示装置の表示面に隣接して、前記表示面と平行に設置され、一方の面は前記表示面からの光が第1結像点で結像する第1凸部及び第1平面部を含み、他方の面は平面である第1光学部と、
前記第1光学部に隣接して、前記第1光学部と平行に設置され、一方の面は前記表示面からの光が前記第1結像点と異なる第2結像点で結像する第2凸部及び第2平面部を含み、他方の面は平面である第2光学部とを備え、
前記第1凸部を通り前記第1結像点で結像する前記表示面からの光は、前記第2平面部を通り、
前記表示面からの光は、前記第1平面部を通り、前記第2凸部を通り前記第2結像点で結像し、
前記第1結像点と前記第2結像点とは、前記表示面から異なる距離に設定されている、立体画像表示装置。
【請求項2】
前記第1光学部の平面である面は前記第2光学部側であり、
前記第2光学部の平面である面は前記第1光学部側である
請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項3】
前記第1光学部の第1凸部は、前記表示装置の表示面上の表示素子の配列方向に対して、非平行であり、
前記第2光学部の第2凸部は、前記第1光学部の第1凸部と、平行である、
請求項1または2に記載の立体画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−255983(P2012−255983A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130070(P2011−130070)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】