説明

立体表示装置

【課題】観察者にとっては、表示の異なる経路が、異なる角度の下で観察者の目に到達するという事実のおかげで、"暗いバンド"と称された、表示における強度の変調が、なお生じる。観察者が、表示に対して平行に移動すると、バンドは、表示の上でシフトし、且つ、観察者が、ディスプレイに向かって又はディスプレイから離れて移動すると、バンドのピッチは、変化する立体表示装置を提供する。
【解決手段】相互に対して平行に延在し、且つ、画素の行及び列の一つに対する角度に傾斜させられる、レンチキュラー素子4のような光学的なディレクトリ素子を有する立体表示装置において、画素2は、"暗い帯域"の変調度を最小にするような様式で、光学的なディレクトリ素子における焦点の外に位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一の平面において横方向に分離された画素を有する表示を生じさせるための手段及び光学的なディレクトリ素子の群を含む光学的なディレクトリ手段を含む立体表示装置に関し、それら素子の各々は、画素の群と関連させられ、光学的なディレクトリ手段は、相互に異なる角度の方向において画素の出力を方向付けるために、第一の平面における画素に重なる。
【0002】
このような立体表示装置は、電話のようなハンドヘルドの用途及び(TV)モニターの両方においてますます使用され、複数のビューが使用される。
【背景技術】
【0003】
上に述べた種類の立体表示装置は、米国特許第6,118,584号明細書(特許文献1)に記載され、その明細書は、画素の群に配置された画素及び表示パネルに重なる(シリンドリカル)レンチキュラー素子又はレンチキュラーを有するレンチキュラースクリーンを有するアクティブマトリックスの液晶ディスプレイパネルを示す。ブラックマトリックスによって引き起こされた暗いバンド形成のような望まれないアーチファクトを予防するために、各々のレンチキュラーは、画素の群と関連させられ、各々の群における画素は、列の方向において隣接した表示の要素が相互に重なり合うように、配置させられる。この表示装置において、レンズと画素との間の距離は、レンズの焦点距離におおよそ等しい。各々のレンズは、数個の画素を覆う。各々の画素の光は、レンズに関して画素の位置に依存して、異なる良好に定義された方向の中へ送られる。このようにして、典型的には九個の独立なビューが九個の異なる視角に対応して作り出される。観察者は、各々の目に異なるビューを受け、且つ、適切な画像のコンテンツを使用するとき、三次元の画像を観察する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,118,584号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、観察者にとっては、表示の異なる経路が、異なる角度の下で観察者の目に到達するという事実のおかげで、"暗いバンド"と称された、表示における強度の変調が、なお生じる。観察者が、表示に対して平行に移動すると、バンドは、表示の上でシフトし、且つ、観察者が、ディスプレイに向かって又はディスプレイから離れて移動すると、バンドのピッチは、変化する。小さい変調度(例えば、1%のみ)でさえも、効果は、非常にじれったいものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従ったデバイスにおいては、第一の平面は、実質的に、光学的なディレクトリ素子の主要な焦点の平面の外にある。主要な焦点の平面は、光学的なディレクトリ素子の中央部分の焦点平面と実質的に一致する平面を意味する。例えば、シリンドリカルレンチキュラーが、使用されるとすれば、製造工程によって、焦点は、特に近隣のシリンドリカルレンチキュラーを付け加える側で、変動することになる。
【0007】
本発明は、ディスプレイの表面(LCDセル)が、故意に"焦点の外に"あるようにレンズを設計することによって、バンドの変調度が、最小にされるという理解に基づく。そのレンズが、それの焦点が主要な焦点の平面と正確に一致するように、設計されるとすれば、全てのビューの合計の強度は、視角の関数として上に述べた変調を示す。これは、(LCDの)画素の周囲の放射しないエリア(ブラックマトリックス)の存在によって引き起こされ、それらエリアは、ある一定の、よってより暗い、方向へと結像させられる。観察者にとって、角度の変調は、一般に、上に述べた"暗いバンド"を生み出す。
【0008】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に記載した実施形態から明白であり、且つ、それらを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に従ったデバイスの一部分を概略的に示す図。
【図2】図1のデバイスの一部の平面図。
【図3】本発明に従ったデバイスについてのレンズ半径の関数としてバンド構造の(相対的な)変調度を示す図。
【図4】このようなデバイスにおけるビューの間のクロストークについての尺度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図は、概略的なものであり、且つ、一定の縮尺のものではない;対応する構成要素は、一般に、同じ符号によって表記される。
【0011】
図1は、第一の平面3において横方向に分離された画素2を備えた表示デバイス5を有する本発明に従ったデバイス1の一部分の概略図を示す。デバイス1は、光学的なディレクトリ手段、この例においては、レンズ(レンチキュラー)4の群を有し、それら手段の各々は、画素2の群と関連させられる。レンズ4は、相互に異なる角度の方向において画素の出力を方向付けるために、第一の平面3において画素2を覆い、第一の平面は、実質的に、レンズ4の主要な焦点の平面の外にある。この例において、レンズは、ディスプレイの前方における別個の平面5に提供されると共に、湾曲した側面は、ディスプレイに面する。角度の方向は、矢印6によって示される。レンチキュラーの縦方向の側面が、垂直な軸となす角度αの正接は、1/6である(図2を参照のこと)。よって、この特定の事例においては、α=atan(1/6)であり、そのαは、正又は負であり得る。レンチキュラーは、知覚された画素の構造を改善するために、傾斜させられる。レンズのピッチpは、本質的に、水平な方向において測定されたレンズの間の距離が、サブ画素のピッチAの4.5倍に等しい、即ち、p=4.5*A/cos(α)であるようなものである。これは、2*4.5=9個のビューの表示に帰着する。ディスプレイの前側のパネル7の屈折率及びレンズの屈折率は、n=1.5に選ばれる。さらには、レンズ本体は、シリンダー(の部分)である。
【0012】
図3及び4は、図1、2の幾何学的配置及び構造を有するデバイスについての典型的な結果を示す。図3は、レンズの半径の関数としてのバンド構造の(相対的な)変調度を示す。図4は、"重なり合い"、ビューの間のクロストークについての尺度を示す(小さい重なり合いが、好適である)。焦点の平面がLCDのセルと一致する事例についてのレンズの半径Rは、点線8によって示される(この例では、R=303.3μmである)。この半径は、相対的に高い変調度を与える。(矢印9によって示された)388.5μmの半径では、変調度は、二桁程度より低い大きさであり、且つ、"重なり合い"の値は、また、より好ましいものである。より大きい半径では、分散値におけるより多い最小値が、観察されるが、しかし、それらは、分散値及び重なり合いの両方に関して相対的にあまり好ましいものはない。r=388.5μmの事例においては、レンズの焦点の平面は、LCDセルの約257μm下に、位置させられる。
【0013】
最適な半径は、系の構成及び具体的な寸法に依存する。図2の構成(別個の平面におけるレンズがディスプレイに面する、九個のビュー、傾斜1/6)では、最も重要なパラメーターは、
1)((LCDセルの)画素2とレンズ4との間の)前方のパネルの(ガラスの)厚さd
2)A:B=1:3を仮定して、p=3*Aによって特徴付けられた、(LCDセルの)画素2の大きさp
:である。
【0014】
図1、2に示された寸法に近い寸法について、最適な半径Roptが、
opt=0.3665*d+0.2403*p−0.0063 (mm単位のR、d及びp)
:のように、厚さd及び画素ピッチpに依存することを、導き出すことができる。
【0015】
比較のために、LCセルと一致する焦点の平面を備えた理想的なレンズの場合には、d及びpに対するRの依存性が、R=0.3333*dであることは、注意されるべきことである。
【0016】
同様の方式で、最適な半径が、
opt=0.3934*d+0.3805*p−0.0156 (mm単位のR、d及びp)
:のように、厚さd及び画素ピッチpに依存することが、α=atan(1/3)を伴った八個のビューの表示について導き出される。
【0017】
ここで、レンズのピッチは、水平な方向における測定されたレンズの間の距離が、サブ画素のピッチの八倍に等しい、即ち、ピッチ=8*A/cos(α)であるようなものである。これは、八個のビューの表示に帰着する。(レンズのピッチは、目視の点の補正を提供するために、わずかに適合させられることもある。)
【0018】
ここに述べたような値は、実際には、設計及び製造の両方によって、変動することもあることは、留意されるべきことであり、0.8*Roptと1.25*Roptとの間のRの分散値に帰着する。
【0019】
例において液晶ディスプレイが示されるとはいえ、本発明を、ホイルディスプレイ、LEDディスプレイなどのような他の種類のディスプレイにもまた使用することができる。
【0020】
本発明は、各々の及びあらゆる新規な特有な特徴及び特徴のあらゆる組み合わせにある。請求項における符号は、これらの請求項の保護の範囲を限定するものではない。動詞「有する」「含む」などの使用及びそれらの活用形は、請求項に記載されたもの以外の要素の存在を排除するものではない。要素に先立つ冠詞"ある"の使用は、複数のこのような要素の存在を排除するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の平面において横方向に分離された画素を有する表示を生じさせる手段及び光学的なディレクトリ素子の群を含む光学的なディレクトリ手段を含む、立体表示装置であって、
該素子の各々は、該画素の群と関連させられ、
該光学的なディレクトリ手段は、相互に異なる角度の方向において該画素の出力を方向付けるように、該第一の平面における該画素に重なり、
該第一の平面は、実質的に、該光学的なディレクトリ素子の主要な焦点の平面の外にある、立体表示装置。
【請求項2】
前記主要な焦点の平面と光学的なディレクトリ素子の中央の表面との間の距離は、最大限でも0.9Lにあり、Lは、該光学的なディレクトリ素子の中央の表面の焦点距離である、請求項1に記載の立体表示装置。
【請求項3】
前記主要な焦点の平面と光学的なディレクトリ素子の中央の表面との間の距離は、少なくとも1.1Lであり、Lは、該光学的なディレクトリ素子の中央の表面の焦点距離である、請求項1に記載の立体表示装置。
【請求項4】
前記横方向に分離された画素は、行及び列に配置される、請求項1に記載の立体表示装置。
【請求項5】
前記光学的なディレクトリ素子は、画素の繰り返しの群を作り出すように、相互に平行に延在するレンチキュラー素子を有し、且つ、前記画素の行及び列の一つに対してある角度で傾斜させられ、該群の各々は、前記行及び列の少なくとも二つにおける隣接した画素によって構成される、請求項4に記載の立体表示装置。
【請求項6】
前記レンチキュラー素子は、前記表示の要素の行及び列の一つに対してある傾斜で延在し、該傾斜の角度の正接は、0.3と0.6との間の値を有する、請求項5に記載の立体表示装置。
【請求項7】
前記レンチキュラー素子は、表示の要素の九個の繰り返しの群を作り出し、前記傾斜の角度は、実質的に逆正接1/6の値αを有する、請求項5に記載の立体表示装置。
【請求項8】
前記レンチキュラー素子の中央の表面の曲率半径Rは、0.80*ρ<R<1.25*ρの値を有し、ρ=0.3665*d+0.2403*p−0.0063であり、dは、mm単位での第一の及び中央の表面のレンチキュラーアレイ素子の間の距離であり、pは、mm単位での画素ピッチである、請求項7に記載の立体表示装置。
【請求項9】
前記レンチキュラー素子は、画素の八個の繰り返しの群を作り出し、前記傾斜の角度は、実質的に逆正接1/3の値αを有する、請求項6に記載の立体表示装置。
【請求項10】
前記レンチキュラー素子の中央の表面の曲率半径Rは、0.80*ρ<R<1.25*ρの値を有し、ρ=0.3934*d+0.3805*p−0.0156であり、dは、mm単位での第一の及び中央の表面のレンチキュラーアレイ素子の間の距離であり、pは、mm単位での画素ピッチである、請求項9に記載の立体表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−168512(P2012−168512A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−4796(P2012−4796)
【出願日】平成24年1月13日(2012.1.13)
【分割の表示】特願2007−536297(P2007−536297)の分割
【原出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】