立体表示装置
【課題】左右照明クロストークが生じていた。
【解決手段】立体表示装置は、透過型液晶導光板1と、導光板1の2つの入射面Sina、Sinbに設けられた2つの光源2a、2bと、導光板1の出射面Sout1側に設けられた片面異形三角プリズムシート3と、透過型液晶表示パネル4に2つの光源2a、2bを同期させて視差像を表示させる同期駆動回路5を含む3Dバックライトと、表示パネル4とによって構成されている。3Dバックライトの主偏光方向を透過型液晶表示パネル4の片面異形三角プリズムシート3の出射面Sout3側の偏光板4aの偏光軸に一致させている。また、片面異形三角プリズムシート3と透過型液晶表示パネル4との間に、密着層7を設けてある。
【解決手段】立体表示装置は、透過型液晶導光板1と、導光板1の2つの入射面Sina、Sinbに設けられた2つの光源2a、2bと、導光板1の出射面Sout1側に設けられた片面異形三角プリズムシート3と、透過型液晶表示パネル4に2つの光源2a、2bを同期させて視差像を表示させる同期駆動回路5を含む3Dバックライトと、表示パネル4とによって構成されている。3Dバックライトの主偏光方向を透過型液晶表示パネル4の片面異形三角プリズムシート3の出射面Sout3側の偏光板4aの偏光軸に一致させている。また、片面異形三角プリズムシート3と透過型液晶表示パネル4との間に、密着層7を設けてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は立体表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、立体表示装置は、観察者の左右眼に各々の視点からの視差像を提供するものであり、特殊な眼鏡を利用する方式と眼鏡を利用しない方式とがある。
【0003】
図25は眼鏡を利用しない方式としての従来の立体表示装置を示す(参照:特許文献1)。
【0004】
図25の立体表示装置は、導光板1と、導光板1の2つの入射面Sina、Sinbに設けられた2つの光源2a、2bと、導光板1の出射面Sout1側に設けられた片面異形三角プリズムシート3と、片面異形三角プリズムシート3の出射面Sout3上に設けられた透過型液晶表示パネル4と、透過型液晶表示パネル4に2つの光源2a、2bを同期させて視差像を表示させる同期駆動回路5とによって構成されている。片面異形三角プリズム3は、光源2a、2bの一方を点灯させると片側の眼に出射されかつ反対の眼に出射されないように、構成されている。また、透過型液晶表示パネル4内の入射側、出射側には、偏光板4a、4bが設けられている。これにより、透過型液晶表示パネル4の画素数と同数の画素数を有する立体画像を表示できる。
【0005】
図25において、導光板1の代りに、2つの導光板、つまり、下側導光板及び下側導光板の出射面に重ね合わせられた上側導光板を設けることもできる(参照:特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−262198号公報
【特許文献2】特開2010−286813号公報
【特許文献3】特開2002−90717号公報
【特許文献4】特開2010−286700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図25の従来の立体表示装置においては、光源と同期駆動回路と導光板1と片面異形三角プリズム3からなる3Dバックライトの出射面Sout3からの出射光の偏光異方性は明らかでなく、このため透過型液晶表示パネル4の偏光板(偏光フィルタ)の偏光軸と必ずしも整合してなく、この結果、立体表示装置の光学特性が低下していたという課題があった。
【0008】
また、図25の立体表示装置においては、光源と同期駆動回路と導光板1と片面異形三角プリズム3からなる3Dバックライトと透過型液晶表示パネル4との間に空気層6が存在するので、図26に示すごとく、たとえば+4度以内の立体視可能光L1として出射できるが、光L2のように、空気層6へ出光する際に、片面異形三角プリズム3(n=1.57)と空気層6(n=1.0)との屈折率差(△n=0.57)により全反射して迷光となり、その一部はたとえば−4度クロストーク成分となり、立体視に不適切となるという課題があった。
【0009】
尚、液晶表示装置において光源を発した光を多数のプリズムを条線が互いに平行となるよう並べてなるプリズムアレイを有する導光板の透過軸とプリズムの条線とが略平行にされ、具体的には45°以下とすることにより、液晶表示装置の輝度を向上させることは知られている(参照:特許文献3)。また、プリズムシートと偏光板(偏光フィルム)との間を接着剤層を介して貼合して空気層をなくして液晶表示装置の輝度を向上させることも知られている(参照:特許文献4)。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明に係る立体表示装置は、導光板と、導光板の対向する第1、第2の入射面に設けられた第1、第2の光源と、導光板の出射面上に設けられた片面プリズムシートと、片面プリズムシートの出射面上に設けられた透過型表示パネルと、透過型表示パネルに第1、第2の光源を同期させて視差像を表示させる同期駆動回路とを具備し、導光板と、第1、第2の光源と、同期駆動回路と、片面プリズムシートとからなる3Dバックライトの出射面からの出射光の主偏光方向を透過型表示パネルの片面プリズムシート側の偏光板の偏光軸に一致せしめると同時に、片面プリズムシートと透過型表示パネルとの間が空気層を介さずに接続されたものである。
【0011】
また、3Dバックライトと透過型表示パネルとの間に密着層を設ける。この密着層は、ベース層と、ベース層の両面に塗布された接着層とを具備する。もしくは、密着層は、3Dバックライトの出射面に塗布された接着層のみよりなる。
【0012】
さらに、導光板の代りに、第1、第2の導光板を具備することもできる。この場合、第1の導光板が第2の導光板の出射面に重ね合わされ、各第1、第2の光源が第1、第2の導光板の入射面に設けられ、片面プリズムシートが第1の導光板の出射面上に設けられた。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、3Dバックライトと透過型表示パネルとの間に空気層を存在させないので迷光の発生が顕著に抑制される。さらに3Dバックライトの出射光の主偏光方向を透過型表示パネルの偏光板の偏光軸に一致せしめることで迷光成分の出射を抑制し、その重複効果によりクロストークを著しく抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る立体表示装置の第1の実施の形態を示す図である。
【図2】図1の片面異形三角プリズムシートの出射面の偏光異方性の偏光角度と透過型液晶表示パネルの偏光板の偏光軸との関係を示す図である。
【図3】3Dバックライトの主偏光方向と偏光板偏光軸のなす角と光出力の関係を表す図である。
【図4】図1の導光板の第1の例を示す平面図である。
【図5】図1の導光板の第2の例を示す平面図である。
【図6】図4、図5のVI-VI線断面図である。
【図7】図1の導光板からの光の左目用配光分布を示すグラフである。
【図8】図1の片面異形三角プリズムシートの1つのプリズムを示す図である。
【図9】図1の片面異形三角プリズムシート内の光路を説明する図である。
【図10】図1の導光板からの光が50°、60°、70°、80°の場合の片面異形三角プリズムシート内の光路を示す図である。
【図11】図1の片面異形三角プリズムシートからの光の左目用配光分布を示すグラフである。
【図12】本発明に係る立体表示装置の第2の実施の形態を示す図である。
【図13】図12の導光板の平面図である。
【図14】図13のXIV-XIV線断面図である。
【図15】図13のXV-XV線断面図である。
【図16】図12の導光板からの光の配光分布を示すグラフである。
【図17】図12の導光板の変更例を用いた場合の導光板からの光の配光分布を示すグラフである。
【図18】図12の片面三角プリズムシートの例を示す図及びその光の配光分布を示すグラフである。
【図19】本発明に係る立体表示装置の第3の実施の形態を示す図である。
【図20】図19の導光板の第1の例を示す平面図である。
【図21】図19の導光板の第2の例を示す平面図である。
【図22】図20(図21)のXXII-XXII線断面図である。
【図23】図20(図21)のXXIII-XXIII線断面図である。
【図24】図19の導光板からの光の配光分布を示すグラフである。
【図25】従来の立体表示装置を示す図である。
【図26】図25の立体表示装置の課題を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明に係る立体表示装置の第1の実施の形態を示す図である。
【0016】
図1の立体表示装置においては、図25の立体表示装置と異なり、片面異形三角プリズムシート3の出射面Sout3の偏光異方性の偏光方向を透過型液晶表示パネル4の片面異形三角プリズムシート3の出射面Sout3側の偏光板4aの偏光軸に一致させている。尚、片面異形三角プリズムシート3の出射面Sout3の偏光異方性は導光板1によって予め定まっている。つまり、図2に示すように、片面異形三角プリズムシート3の偏光方向P1を偏光板4aの偏光軸P2に平行になるようにしてある。
【0017】
図3は3Dバックライトに対し偏光軸を変化させて偏光板を対向させた際の透過光強度変化を示した図である。
図3から判るように、3Dバックライトの出力光には偏光異方性が生じている。等方性であれば偏光板の角度によらず出力強度に変動は生じないが、偏光軸が特定方向であるとき出力強度が最大になることから異方性は明らかである。偏光板偏光軸が0°であるとき光強度が最大であることから、本実施例の3Dバックライトの光出力の主たる偏光軸は0°方向であると考えられる。
つまり、図3に示すように、偏光板4aの偏光軸に対する3Dバックライトの主偏光方向が0度のときに、透過型液晶表示パネル4の相対輝度は最大となる。
異方性が生じる主因は、導光板1内より外部に光が出射する際の鏡面反射と考えられる。光源側端面方向からの光を反射した光成分は特定方向に偏光異方性をもった光成分となる。他方、導光板1で内部反射を繰り返した光成分は多方向からの光の進行が反射されたものの集合であるため、単一面での反射では偏光異方性を生じても集合としては異方性の少ない光成分となる。
このため、光源側端面方向からの光成分を透過しやすいよう適切に偏光板を配置することで、内部反射を繰り返した光成分を相対的に抑制し、光源側端面方向からの光成分比率を向上することが可能となる。
【0018】
また、図1においては、図25の空気層6の代りに、密着層7を設けてある。たとえば、密着層7は、たとえば、ポリエチレン・テレフタレート(PET)よりなるベース層の両面に塗布されたシリコン系樹脂、ウレタン系樹脂あるいはアクリル系樹脂よりなる接着層で構成される。密着層7の材料は密着層7の屈折率が片面異形三角プリズムシート3の屈折率と近ければよく、これにより、片面異形三角プリズムシート3と密着層7との屈折率差は小さくなり、全反射による迷光を抑制できる。たとえば、片面異形三角プリズムシート3をPETで形成し、密着層7のベース層もPETで形成すれば、片面異形三角プリズムシート3と密着層7との屈折率差はほぼ0となり、全反射による迷光を抑制できる。
全反射による迷光は片面異形プリズムシート3から導光板1内に進行し、前記した内部反射成分となりクロストークの原因となる。
【0019】
尚、密着層7はベース層を省略して接着剤のみで構成してもよい。つまり、接着層をたとえばPETよりなる片面異形三角プリズムシート3の出射面Sout3上に直接塗布してもよい。
【0020】
図4は図1の導光板1の第1の例を示す平面図である。尚、導光板1はアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透光性材料よりなる。
【0021】
図4に示すように、導光板1は、入射面Sina、Sinbに関して対称となっている。また、導光板1の出射面Sout1と反対の配光制御面に入射面Sina、Sinb間方向に延在する複数の平坦鏡面部11を形成する。平坦鏡面部11は光を奥まで均一にするためのものである。また、平坦鏡面部11が形成されていない領域に等間隔の三角形状の複数のプリズムよりなる光を立ち上げるための三角形状プリズム列12を形成する。さらに、入射面Sina、Sinb特に平坦鏡面部11の入射面Sina、Sinbには、戻り光抑止のために、三角形状、円弧形状及びマイクロレンズアレイ等のシボ面13を加工してある。尚、図4に示すごとく、光源2a、2bは、それぞれ、複数個の発光ダイオード(LED)とすることができる。
【0022】
図4においては、光源2a、2bの幅は三角形状プリズム列12の幅と同一である。この場合、光源2a、2b付近から三角形状プリズム列12のプリズム面にて全反射した多くの光が出光され、均一性が減少する。一般に、光源2a、2bの幅に対する三角形状プリズム列12の数は製品の大きさ、面輝度の求められる均一性に依存して異なる。そこで、図1の導光板1の第2の例を示す図5に示すごとく、光源2a、2bの幅に対して平坦鏡面部11及び三角形状プリズム列12を複数個(図5においては3個づつ)配置し、光源2a、2bを左右交互に配置すると、均一性は増加する。
【0023】
また、図4においては、光源2a、2bを三角形状プリズム列12に対して対称に配置している。この場合、互いの導光板の反対側側面つまり入射面Sina、Sinbが平坦面となり、この平坦面から戻り光が発生するという問題がある。これに対し、図5においては、光源2a、2bの反対側側面はシボ面となっているので、戻り光は抑止される。
【0024】
図6は図4及び図5のVI-VI線断面図である。図6の(A)に示すように、平坦鏡面部11より三角形状プリズム列12を下側に突出させてもよく、他方、図6の(B)に示すように、三角形状プリズム列12より平坦鏡面部11を下側に突出させてもよい。図6の(A)、(B)のいずれにおいても、光源2aのみが動作した場合を図示しており、光源2a、2bは対称に設けられているので、光源2bの動作も同様である。
【0025】
図6の(A)、(B)において、光源2aからの光R1は入射面Sinaから入射して三角形状プリズム列12の三角形状プリズムによって直接全反射されて出射光となる。また、光源2aからの光R2は入射面Sinaから入射して平坦鏡面部11において全反射された後に三角形状プリズム列12の三角形状プリズムによって全反射されて出射光となる。他方、シボ面13が存在しない場合には、点線で示す光源2aからの光R3は入射面Sinbから入射して平坦鏡面部11において全反射され、入射面Sin2にて戻り光となり、最後に、三角形状プリズム列12の三角形状プリズムによって全反射されて出射光となる。つまり、光源2aが左目用の視差像を表示させるものとすれば、角度+方向の光R1、R2は左目用視差像に役立つが、角度−方向の戻り光R3は不要な出射光であって、右目用視差像に悪影響するものである。この戻り光R3がシボ面13によって乱反射されて抑止されるので、出射光とならないようにしている。
【0026】
三角形状プリズム列12の三角形状プリズムは光源2a、2bから左右対称な出射光を必要とするので、二等辺三角形でありかつ等間隔に配列されている。また、その頂角は大きくたとえば164°であり、戻り光を抑制している分、光の立ち上がり量を少なくしてある。
【0027】
図7は左目用の光源2aを点灯した場合の図1の導光板1からの光の左目用配光分布を示す。図7において、点線はシボ面13が存在せず図6の戻り光R3が抑制されない場合の導光板1からの光の配光分布である。
【0028】
図7に示すように、図6の戻り光R3が抑制された分、角度0°〜-90°方向には弱い強度の光しか出光しない。従って、右目用の視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。図7においては、出光強度は+50°〜+80°方向で大きく、-64°で最大となる。
【0029】
尚、右目用の光源2bを点灯した場合には、図7の場合と0°を軸とした対称の配光分布となり、角度0〜+90°方向には弱い強度の光しか出光しない。従って、左目用の視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。
【0030】
図8は図1の片面異形三角プリズムシート3の1つのプリズムを示す図である。
【0031】
図8に示すように、片面異形三角プリズムシート3の1つのプリズムは異形三角プリズムたとえば3段三角プリズムであり、つまり、辺部E1、F1(稜部からの距離0μm〜9μmの範囲)は頂角81°であり、辺部E2、F2(稜部からの距離9μm〜39μmの範囲)は頂角71°であり、辺部E3、F3(稜部からの距離39μm〜63μmの範囲)は頂角65°である。尚、このような片面異形三角プリズムシート3は成形用スタンパにより精度よく所望の傾斜角度で形成できる。
【0032】
図9は図1の片面異形三角プリズムシート3内の光路を説明する図である。
【0033】
図9に示すように、導光板1の出射面Sout1から出光した光は、辺部E1、E2、E3において屈折し、辺部F1、F2、F3において全反射して上面へ出光する。図7に示す導光板1からの左目用配光分布は50°〜80°で強いので、図1の片面異形三角プリズムシート3は50°〜80°のいずれの出射角の光でも+方向へ出射させるように作用している。以下、導光板1からの光が配光角50°、60°、70°、80°の場合について片面異形三角プリズムシート3の光路について詳述する。
【0034】
図10の(A)は導光板1からの光の出射角が+50°の場合の光路を示す。図10の(A)に示すように、導光板1からの光はプリズムの辺部E1、E2、E3を透過し、辺部F1、F2、F3で全反射する。この結果、片面異形三角プリズムシート3の出射角が+22°〜+50°方向に出光する。
【0035】
図10の(B)は導光板1からの光の出射角が+60°の場合の光路を示す。図10の(B)に示すように、導光板1からの光はプリズムの辺部E1、E2を透過し、辺部F1、F2、F3で全反射する。この結果、片面異形三角プリズムシート3の出射角が+10°〜+39°方向に出光する。
【0036】
図10の(C)は導光板1からの光の出射角が+70°の場合の光路を示す。図10の(C)に示すように、導光板1からの光はプリズムの辺部E1、E2を透過し、辺部F1、F2、F3で全反射する。この結果、片面異形三角プリズムシート3の出射角が+1°〜+28°方向に出光する。
【0037】
図10の(D)は導光板1からの光の出射角が+80°の場合の光路を示す。図10の(D)に示すように、導光板1からの光はプリズムの辺部E1を透過し、辺部F1で全反射する。この結果、片面異形三角プリズムシート3の出射角が+1°〜+17.5°方向に出光する。
【0038】
尚、導光板1からの光の出射角が0°(垂直)〜50°の場合には、片面異形三角プリズムシート3のプリズムへの入射角及びプリズムの上面において臨界角を超える角度でプリズムに入射する成分が増加し、この結果、プリズムの上面からは出光しづらくなる。
【0039】
図11は左目用の光源2aを点灯した場合の片面異形三角プリズムシート3からの光の左目用配光分布を示す。図11において、点線はシボ面13が存在せず図6の戻り光R3が抑制されない場合の片面異形三角プリズムシート3からの光の配光分布である。
【0040】
図11に示すように、図6の戻り光R3が抑制された分、角度0°〜-90°方向には弱い強度の光しか出光しない。従って、右目用の視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。図8においては、出光強度は0°〜+30°方向で大きく、0°〜-30°方向でほとんど出光しない。
【0041】
尚、右目用の光源2bを点灯した場合には、図11の場合と0°を軸とした対称の配光分布となり、角度0〜+30°方向には弱い強度の光しか出光しない。従って、左目用の視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。
【0042】
尚、上述の第1の実施の形態においては、平坦鏡面部の幅は一定であったが、平坦鏡面部の幅を変化させることもできる。この場合にあっても、入射面Sina、Sinbに関して対称である。
【0043】
さらに、片面異形三角プリズムシート3は1部材に限らず、少なくとも2種類以上の屈折率が異なる部材を張り合わせてもよい。また、片面異形三角プリズムシート3のプリズムは3段三角プリズムであったが、配光分布に合わせて2段もしくは4段の多段三角プリズムにしてもよい。
【0044】
図12は本発明に係る立体表示装置の第2の実施の形態を示す図である。
【0045】
図12の立体表示装置は、導光板1の代りに、2つの導光板1a、1bを設けてある。すなわち、上側の導光板1aが下側の導光板1bの出射面Soutb側に設けられる。また、導光板1a、1bの入射面Sina、Sinbに光源2a、2bを設ける。さらに、片面三角プリズムシートが導光板1aの出射面Souta側に設けられる。これにより、図1の立体表示装置と同様に、透過型液晶表示パネル4の画素数と同数の画素数を有する立体画像を表示できる。
【0046】
図13は図12の導光板1a、1bの平面図である。尚、導光板1a、1bもアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透光性材料よりなる。
【0047】
図13の(A)に示すように、導光板1aは、導光板1aの出射面Soutaと反対の配光制御面に入射面Sinaの長手方向に延在する複数の平坦鏡面加工部11aを形成する。平坦鏡面加工部11aは光を奥まで均一にするためのものであり、平坦鏡面加工部11aの幅は入射面Sinaから遠ざかるに伴って小さくなるように形成されている。また、平坦鏡面加工部11aが形成されていない領域に等間隔の三角形状の複数のプリズムよりなる光を立ち上げるための三角形状プリズム列12aを形成する。三角形状プリズム列12aの幅は入射面Sinaから遠ざかるに伴って大きくなるように形成されている。これにより、奥に行く光をより多く全反射させて均一に面発光させる。この三角形状は非対称であり、たとえば、光源2a側の傾斜角が48°(45°〜50°)、光源2aと反対側の傾斜角が45°(42°〜48°)である。尚、図13の(A)に示すごとく、光源2aは、複数個の発光ダイオード(LED)とすることができる。この場合、発光ダイオードは、三角形状プリズム列12aではなく、平坦鏡面加工部11aに対向せしめて光をより奥まで到達するようにする。
【0048】
他方、図13の(B)に示すように、導光板1bは、導光板1bの出射面Soutbと反対の配光制御面に入射面Sinbの長手方向に延在する複数の平坦鏡面加工部11bを形成する。平坦鏡面加工部11bは光を奥まで均一にするためのものであり、平坦鏡面加工部11bの幅は入射面Sinbから遠ざかるに伴って小さくなるように形成されている。また、平坦鏡面加工部11bが形成されていない領域に等間隔の三角形状の複数のプリズムよりなる光を立ち上げるための三角形状プリズム列12bを形成する。三角形状プリズム列12bの幅は入射面Sinbから遠ざかるに伴って大きくなるように形成されている。これにより、奥に行く光をより多く全反射させて均一に面発光させる。この三角形状は非対称であり、たとえば、光源2b側の傾斜角が48°(45°〜50°)、光源2bと反対側の傾斜角が45°(42°〜48°)である。尚、図13の(B)に示すごとく、光源2bは、複数個の発光ダイオード(LED)とすることができる。この場合、発光ダイオードは、三角形状プリズム列12bではなく、平坦鏡面加工部11bに対向せしめて光をより奥まで到達するようにする。
【0049】
図13の(A)に示す導光板1aを図13の(B)に示す導光板1b上に重ね合わせると、導光板1aの三角形状プリズム列12aは導光板1bの平坦鏡面加工部11bの全体に対向し、他方、導光板1bの三角形状プリズム列12bは導光板1aの平坦鏡面加工部11aの全体に対向する。この結果、導光板1bの三角形状プリズム列12bから出射面Soutbを介して出光する光は導光板1aのパターンに影響されることなく、導光板1aを透過する。尚、導光板1aの三角形状プリズム列12aから出射面Soutaを介して出光する光は導光板1bのパターンに影響されないのは当然である。
【0050】
図14は図13の(A)の導光板1aのXIV-XIV線断面図である。図14の(A)に示すように、平坦鏡面加工部11aより三角形状プリズム列12aを下側に突出させてもよく、他方、図14の(B)に示すように、三角形状プリズム列12aより平坦鏡面加工部11aを下側に突出させてもよい。図14の(A)、(B)のいずれにおいても、光源2aのみが動作した場合を図示している。
【0051】
図14の(A)、(B)において、光源2aからの光R1aは入射面Sinaから入射して三角形状プリズム列12aの三角形状プリズムによって直接全反射されて出射光となる。また、光源2aからの光R2aは入射面Sinaから入射して平坦鏡面加工部11aにおいて全反射された後に三角形状プリズム列12aの三角形状プリズムによって全反射されて出射光となる。つまり、光源2aが左目用の視差像を表示させるものとすれば、角度+方向の光R1a、R2aは左目用視差像に役立ち、角度−方向の不要な出射光はほとんどなく、右目用視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。
【0052】
図15は図13の(A)、(B)の導光板1a、1bを重ね合わせたときのXV-XV線断面図である。図15の(A)に示すように、平坦鏡面加工部11bより三角形状プリズム列12bを下側に突出させてもよく、他方、図15の(B)に示すように、三角形状プリズム列12bより平坦鏡面加工部11bを下側に突出させてもよい。図15の(A)、(B)のいずれにおいても、光源2bのみが動作した場合を図示している。
【0053】
図15の(A)、(B)において、光源2bからの光R1bは入射面Sinbから入射して三角形状プリズム列12bの三角形状プリズムによって直接全反射されて出射光となり、導光板1aの平坦鏡面加工部11aを透過する。また、光源2bからの光R2bは入射面Sinbから入射して平坦鏡面加工部11bにおいて全反射された後に三角形状プリズム列12bの三角形状プリズムによって全反射されて出射光となり、導光板1bの平坦鏡面加工部11bを透過する。つまり、光源2bが右目用の視差像を表示させるものとすれば、角度−方向の光R1b、R2bは右目用視差像に役立ち、角度+方向の不要な出射光はほとんどなく、左目用視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。
【0054】
図16は左目用の光源2a及び右目用の光源2bを点灯した場合の図12の導光板1a、1bからの光の左目用配光分布及び右目用配光分布を示す。
【0055】
図16に示すように、光源2aを点灯した場合には、角度0°〜-90°方向には弱い強度の光しか出光しない。従って、右目用の視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。他方、右目用の光源2bを点灯した場合には、角度0〜+90°方向には弱い強度の光しか出光しない。従って、左目用の視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。
【0056】
図17は図1の導光板の変更例を用いた場合の導光板からの配光分布を示す図である。図17においては、上側導光板1aに設けられるプリズム断面形状が、たとえば、光源2a側の傾斜角が4°(1°〜8°)、光源2aと反対側の傾斜角が45°(10°〜90°)である。また、下側導光板1bに設けられるプリズム断面形状が、たとえば光源2b側の傾斜角が4°(1°〜8°)、光源2bと反対側の傾斜角が45°(10°〜90°)である。
【0057】
図17の配光分布においては、導光板1aからの出射光である左目用配光分布の最大強度の角度(以下、ピーク角度とする)は+76°であり、他方、導光板1bからの出射光である右目用配光分布のピーク角度は-73°であり、従って、左右非対称の配光分布となる。これは導光板1aと片面三角プリズムシート3との距離が導光板1bと片面三角プリズムシート3との距離より大きいこと、導光板1bからの出射光が空気の屈折率と異なる導光板1a内を通過すること等によるものと考えられる。また、ピーク角度の差は149°と大きい。
【0058】
図17に示すピーク角度の差が大きい左右非対称の配光分布は図12の片面三角プリズムシート3によって観察者の裸眼の視差像のピーク角度の差が小さい左右対称の配光分布に変換される。この場合、観察者の左目用配光分布のピーク角度は+5°であり、右目用配光分布のピーク角度は-5°であり、ピーク角度の差は10°であることが好ましいものとする。
【0059】
次に、図12の片面三角プリズムシート3の三角形状と片面三角プリズムシート3からの光の左目用配光分布及び右目用配光分布とを考察する。尚、配光分布の測定は、図17において適用した導光板を用いて行った。
【0060】
図18の(A)に示すごとく、片面三角プリズムシート3の三角形状の角度を段差ありの非対称な角度たとえば36.5°,37°;34°,34°;33°,34°とし、三角形状の各段差の高さを4μm、4μm、4μm(合計12μm)とする。この場合、図18の(B)に示すごとく、左目用配光分布のピーク角度が+5°であり、右目用配光分布のピーク角度が-5°であり、従って、対称となる。しかも、ピーク角度の差が10°で、かつ、各配光分布は急峻に変化している。この結果、配光分布の非対称が解消されていると共に、左右のクロストークが小さくなる。
【0061】
このように、片面三角プリズムシート3に段差を設けると共に非対称な角度を与えると、左目用配光分布のピーク角度及び右目用配光分布のピーク角度が対称となると共に、各配光分布も急峻に変化しているので、左右のクロストークも小さくなる。尚、この場合でも、片面三角プリズムシート3の三角形状の角度が狭角となり過ぎると、ピーク角度が0°に近く、立体表示に不適切となり、他方、片面三角プリズムシート3の三角形状の角度が広角となり過ぎると、ピーク角度の差が大きくなり過ぎ、やはり、立体表示に不適切となる。尚、片面三角プリズムシート3の段差の数及び非対称の角度は適宜変更し得る。
【0062】
図19は本発明に係る立体表示装置の第3の実施の形態を示す図である。
【0063】
図19の立体表示装置においては、図12の導光板1a、1bの代りに、導光板1a’、1b’を設けてある。
【0064】
図20は図19の導光板1a’、1b’の第1の例を示す平面図である。尚、導光板1a’、1b’もアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透光性材料よりなる。
【0065】
図20の(A)に示すように、導光板1a’は、導光板1a’の出射面Soutaと反対の配光制御面に平坦鏡面加工部11a’を形成する。平坦鏡面加工部11a’は光を奥まで均一にするためのものである。また、平坦鏡面加工部11a’が形成されていない領域に三角形状もしくは円弧形状の複数のドット形状プリズムよりなる光を立ち上げるためのドット形状プリズム配列12a’を形成する。このドット形状は非対称であり、たとえば、光源2a側の傾斜角が48°(45°〜50°)、光源2aと反対側の傾斜角が45°(42°〜48°)である。
【0066】
他方、図20の(B)に示すように、導光板1b’は、導光板1b’の出射面Soutbと反対の配光制御面に平坦鏡面加工部11b’を形成する。平坦鏡面加工部11b’は光を奥まで均一にするためのものである。また、平坦鏡面加工部11b’が形成されていない領域に三角形状もしくは円弧形状の複数のドットプリズムよりなる光を立ち上げるためのドット形状プリズム配列12b’を形成する。このドット形状は非対称であり、たとえば、光源2b側の傾斜角が48°(45°〜50°)、光源2bと反対側の傾斜角が45°(42°〜48°)である。
【0067】
図21は図19の導光板1a’、1b’の第2の例を示す平面図である。
【0068】
図21の(A)に示すように、ドット形状プリズム配列12a’の幅は入射面Sinaから遠ざかるに伴って大きくなるように形成されている。これにより、奥に行く光をより多く全反射させて均一に面発光させる。また、図21の(B)に示すように、ドット形状プリズム配列12b’の幅は入射面Sinbから遠ざかるに伴って大きくなるように形成されている。これにより、奥に行く光をより多く全反射させて均一に面発光させる。
【0069】
図20(図21)の(A)に示す導光板1a’を図20(図21)の(B)に示す導光板1b’上に重ね合わせると、導光板1a’のドット形状プリズム配列12a’は導光板1b’の平坦鏡面加工部11b’の一部に対向し、他方、導光板1b’のドット形状プリズム配列12b’は導光板1a’の平坦鏡面加工部11a’の一部に対向する。つまり、ドット形状プリズム配列12a’とドット形状プリズム配列12b’とが同一でない。この結果、導光板1b’のドット形状プリズム配列12b’から出射面Soutbを介して出光する光は導光板1a’のパターンに影響されることなく、導光板1a’を透過する。尚、導光板1a’のドット形状プリズム配列12a’から出射面Soutaを介して出光する光は導光板1b’のパターンに影響されないのは当然である。
【0070】
図22は図20(図21)の(A)の導光板1a’のXXII-XXII線断面図である。図22の(A)に示すように、平坦鏡面加工部11a’よりドット形状プリズム配列12a’を下側に突出させてもよく、他方、図22の(B)に示すように、ドット形状プリズム配列12a’より平坦鏡面加工部11a’を下側に突出させてもよい。図22の(A)、(B)のいずれにおいても、光源2aのみが動作した場合を図示している。
【0071】
図22の(A)、(B)において、光源2aからの光R1a’は入射面Sinaから入射してドット形状プリズム配列12a’のドット形状プリズムによって直接全反射されて出射光となる。また、光源2aからの光R2a’は入射面Sinaから入射して平坦鏡面加工部11a’において全反射された後にドット形状プリズム配列12a’のドット形状プリズムによって全反射されて出射光となる。つまり、光源2aが左目用の視差像を表示させるものとすれば、角度+方向の光R1a’、R2a’は左目用視差像に役立ち、角度−方向の不要な出射光はほとんどなく、右目用視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。
【0072】
図23は図20(図21)の(A)、(B)の導光板1a’、1b’を重ね合わせたときのXXIII-XXIII線断面図である。図23の(A)に示すように、平坦鏡面加工部11b’よりドット形状プリズム配列12b’を下側に突出させてもよく、他方、図23の(B)に示すように、ドット形状プリズム配列12b’より平坦鏡面加工部11b’を下側に突出させてもよい。図23の(A)、(B)のいずれにおいても、光源2bのみが動作した場合を図示している。
【0073】
図23の(A)、(B)において、光源2bからの光R1b’は入射面Sinbから入射してドット形状プリズム配列12b’のドット形状プリズムによって直接全反射されて出射光となり、導光板1a’の平坦鏡面加工部11a’を透過する。また、光源2bからの光R2b’は入射面Sinbから入射して平坦鏡面加工部11b’において全反射された後にドット形状プリズム配列12b’のドット形状プリズムによって全反射されて出射光となり、導光板1a’の平坦鏡面加工部11a’を透過する。つまり、光源2bが右目用の視差像を表示させるものとすれば、角度−方向の光R1b’、R2b’は右目用視差像に役立ち、角度+方向の不要な出射光はほとんどなく、左目用視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。
【0074】
図24は左目用の光源2a及び右目用の光源2bを点灯した場合の図19の導光板1a’からの光の左目用配光分布及び右目用配光分布を示す。
【0075】
図24に示すように、光源2aを点灯した場合には、第3の実施の形態に比較して、光の強さは小さいが、角度0°〜-90°方向には弱い強度の光しか出光しない。従って、右目用の視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。他方、右目用の光源2bを点灯した場合には、やはり、第3の実施の形態に比較して、光の強さは小さいが、角度0〜+90°方向には弱い強度の光しか出光しない。従って、左目用の視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。
【0076】
尚、上述の第3の実施の形態のプリズムのドット形状は台形もしくは円弧台形とすることもできる。また、上述の実施の形態における導光板は楔型にしてもよい。
【0077】
また、上述の第3の実施の形態の導光板のドット形状のプリズムを、第3の実施の形態の図17の変更例で示したプリズム形状、すなわち、上側導光板1aに設けられるプリズム断面形状が、たとえば、光源2a側の傾斜角が4°(1°〜8°)、光源2aと反対側の傾斜角が45°(10°〜90°)であり、下側導光板1bに設けられるプリズム断面形状が、たとえば光源2b側の傾斜角が4°(1°〜8°)、光源2bと反対側の傾斜角が45°(10°〜90°)であってもよい。
【0078】
さらに、図18に示す各種片面三角プリズムシートと組み合わせることも有効である。この場合、前述の通り第2の実施の形態に比較して光の強さは小さいが、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
また、上述の第1、第2、第3の実施の形態は光源、導光板、及び片面三角プリズムシートなどの機能性部材のみでの検討を行ったものであるが、製品としての実装を行う場合、上記の構成全体を所定の筐体内に納めた構成とされる。
【0080】
この場合、上記検討では無視していた導光板裏面から出射する光が、筐体内面での反射を生じさらに複雑な経路を経て配光に影響を及ぼす。
【0081】
筐体内面での反射が導光板内面の全反射角度に近い角度の反射であった場合は、反射光が再度導光板に戻ることで、一反導光板裏側から漏れた光の再利用を可能とし、また、導光板内面の全反射光と近い成分であるため配光を乱さず、全体の輝度上昇につながり好ましい結果をもたらす。
【0082】
しかし、プリズム形成部周辺など全反射角度と大きく異なる角度で裏面に光が出射される場合や、筐体内面で反射光が不規則に拡散される場合、筐体内部での反射光は、導光板を通過し、または不規則な内部反射の後正面方向に出射する。このことにより、導光板とプリズムで光学設計を行った光の経路と異なる経路による迷光を生じ、配光分布に乱れを生じる。これは、導光板裏面に、拡散や全反射を行う反射シートを単に配置する構成を採用することは、配光分布の乱れを生じ、立体表示装置の性能低下をもたらすことを示している。
【0083】
このような現象が生じるため、導光板裏面側には、導光板裏面より生ずる漏光を戻さないよう無反射または低反射となるような構成を採ることが好ましい。なお、導光板内面の全反射角度に近い角度においてのみ反射によって導光板へ光束の戻りを生ずる構成は有効に機能する。
【0084】
このような目的のため、立体表示装置を所定の筐体に納める場合、導光板に裏打ち部材を備えることが有効である。裏打ち部材として好ましい材質は黒色に着色されたフィルムなどが挙げられる。導光板に対向する面は光沢を備えた面であると、全反射角度に近い光束を反射するためより好ましい。
【0085】
発明者らは上記の考察をふまえ、導光板に裏打ち部材を加えた立体表示装置と加えない立体表示装置をそれぞれ筐体に納めて官能評価を行い比較した。裏打ち部材には、PET基材にカーボンブラックを練り込み成形した、東レ株式会社製ルミラーX30 #125を使用した。比較を行うと、裏打ち部材のない立体表示装置は、迷光の発生に起因するものと思われる画像のボケが生じ、対して裏打ち部材のある立体表示装置は筐体の無い時と同様に明りょうな画像が得られた。
【0086】
画像のボケは、配光分布が緩やかであるときに、右目用画像と左目用画像の分離が明りょうに行われずに生じるものと同様のものと考えられる。
【0087】
裏打ち部材に必要とされる要件は裏面への漏光を吸収する低反射性と考えられる。具体的な数値による適正値は不明であるが、実施例のルミラーX30 #125はデータシートによると光学濃度5.0、つまり透過率0.001%程度の特性を備えていた。この特性で有効性が認められたことから、同程度の光学特性を備えた部材であればPET基材のフィルム以外の部材であっても有効に機能すると考えられる。
【0088】
光学特性以外に、耐熱性が備わっていることが好ましい。耐熱性は光源や、電源装置などから発する熱が筐体内にこもることにより生ずる高温環境を想定し、+85℃程度の耐熱性が備わっていることが好ましい。
【符号の説明】
【0089】
1、1a、1b、1a’、1b’:導光板
2a、2b、2a−1、2a−2、2a−3、2b−1、2b−2、2b−3:光源
3:片面三角プリズムシート
4:透過型液晶表示パネル
5、5’:同期駆動回路
6:空気層
7:密着層
11:平坦鏡面加工部
12:三角形状プリズム列
13:シボ面
【技術分野】
【0001】
本発明は立体表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、立体表示装置は、観察者の左右眼に各々の視点からの視差像を提供するものであり、特殊な眼鏡を利用する方式と眼鏡を利用しない方式とがある。
【0003】
図25は眼鏡を利用しない方式としての従来の立体表示装置を示す(参照:特許文献1)。
【0004】
図25の立体表示装置は、導光板1と、導光板1の2つの入射面Sina、Sinbに設けられた2つの光源2a、2bと、導光板1の出射面Sout1側に設けられた片面異形三角プリズムシート3と、片面異形三角プリズムシート3の出射面Sout3上に設けられた透過型液晶表示パネル4と、透過型液晶表示パネル4に2つの光源2a、2bを同期させて視差像を表示させる同期駆動回路5とによって構成されている。片面異形三角プリズム3は、光源2a、2bの一方を点灯させると片側の眼に出射されかつ反対の眼に出射されないように、構成されている。また、透過型液晶表示パネル4内の入射側、出射側には、偏光板4a、4bが設けられている。これにより、透過型液晶表示パネル4の画素数と同数の画素数を有する立体画像を表示できる。
【0005】
図25において、導光板1の代りに、2つの導光板、つまり、下側導光板及び下側導光板の出射面に重ね合わせられた上側導光板を設けることもできる(参照:特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−262198号公報
【特許文献2】特開2010−286813号公報
【特許文献3】特開2002−90717号公報
【特許文献4】特開2010−286700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図25の従来の立体表示装置においては、光源と同期駆動回路と導光板1と片面異形三角プリズム3からなる3Dバックライトの出射面Sout3からの出射光の偏光異方性は明らかでなく、このため透過型液晶表示パネル4の偏光板(偏光フィルタ)の偏光軸と必ずしも整合してなく、この結果、立体表示装置の光学特性が低下していたという課題があった。
【0008】
また、図25の立体表示装置においては、光源と同期駆動回路と導光板1と片面異形三角プリズム3からなる3Dバックライトと透過型液晶表示パネル4との間に空気層6が存在するので、図26に示すごとく、たとえば+4度以内の立体視可能光L1として出射できるが、光L2のように、空気層6へ出光する際に、片面異形三角プリズム3(n=1.57)と空気層6(n=1.0)との屈折率差(△n=0.57)により全反射して迷光となり、その一部はたとえば−4度クロストーク成分となり、立体視に不適切となるという課題があった。
【0009】
尚、液晶表示装置において光源を発した光を多数のプリズムを条線が互いに平行となるよう並べてなるプリズムアレイを有する導光板の透過軸とプリズムの条線とが略平行にされ、具体的には45°以下とすることにより、液晶表示装置の輝度を向上させることは知られている(参照:特許文献3)。また、プリズムシートと偏光板(偏光フィルム)との間を接着剤層を介して貼合して空気層をなくして液晶表示装置の輝度を向上させることも知られている(参照:特許文献4)。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明に係る立体表示装置は、導光板と、導光板の対向する第1、第2の入射面に設けられた第1、第2の光源と、導光板の出射面上に設けられた片面プリズムシートと、片面プリズムシートの出射面上に設けられた透過型表示パネルと、透過型表示パネルに第1、第2の光源を同期させて視差像を表示させる同期駆動回路とを具備し、導光板と、第1、第2の光源と、同期駆動回路と、片面プリズムシートとからなる3Dバックライトの出射面からの出射光の主偏光方向を透過型表示パネルの片面プリズムシート側の偏光板の偏光軸に一致せしめると同時に、片面プリズムシートと透過型表示パネルとの間が空気層を介さずに接続されたものである。
【0011】
また、3Dバックライトと透過型表示パネルとの間に密着層を設ける。この密着層は、ベース層と、ベース層の両面に塗布された接着層とを具備する。もしくは、密着層は、3Dバックライトの出射面に塗布された接着層のみよりなる。
【0012】
さらに、導光板の代りに、第1、第2の導光板を具備することもできる。この場合、第1の導光板が第2の導光板の出射面に重ね合わされ、各第1、第2の光源が第1、第2の導光板の入射面に設けられ、片面プリズムシートが第1の導光板の出射面上に設けられた。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、3Dバックライトと透過型表示パネルとの間に空気層を存在させないので迷光の発生が顕著に抑制される。さらに3Dバックライトの出射光の主偏光方向を透過型表示パネルの偏光板の偏光軸に一致せしめることで迷光成分の出射を抑制し、その重複効果によりクロストークを著しく抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る立体表示装置の第1の実施の形態を示す図である。
【図2】図1の片面異形三角プリズムシートの出射面の偏光異方性の偏光角度と透過型液晶表示パネルの偏光板の偏光軸との関係を示す図である。
【図3】3Dバックライトの主偏光方向と偏光板偏光軸のなす角と光出力の関係を表す図である。
【図4】図1の導光板の第1の例を示す平面図である。
【図5】図1の導光板の第2の例を示す平面図である。
【図6】図4、図5のVI-VI線断面図である。
【図7】図1の導光板からの光の左目用配光分布を示すグラフである。
【図8】図1の片面異形三角プリズムシートの1つのプリズムを示す図である。
【図9】図1の片面異形三角プリズムシート内の光路を説明する図である。
【図10】図1の導光板からの光が50°、60°、70°、80°の場合の片面異形三角プリズムシート内の光路を示す図である。
【図11】図1の片面異形三角プリズムシートからの光の左目用配光分布を示すグラフである。
【図12】本発明に係る立体表示装置の第2の実施の形態を示す図である。
【図13】図12の導光板の平面図である。
【図14】図13のXIV-XIV線断面図である。
【図15】図13のXV-XV線断面図である。
【図16】図12の導光板からの光の配光分布を示すグラフである。
【図17】図12の導光板の変更例を用いた場合の導光板からの光の配光分布を示すグラフである。
【図18】図12の片面三角プリズムシートの例を示す図及びその光の配光分布を示すグラフである。
【図19】本発明に係る立体表示装置の第3の実施の形態を示す図である。
【図20】図19の導光板の第1の例を示す平面図である。
【図21】図19の導光板の第2の例を示す平面図である。
【図22】図20(図21)のXXII-XXII線断面図である。
【図23】図20(図21)のXXIII-XXIII線断面図である。
【図24】図19の導光板からの光の配光分布を示すグラフである。
【図25】従来の立体表示装置を示す図である。
【図26】図25の立体表示装置の課題を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明に係る立体表示装置の第1の実施の形態を示す図である。
【0016】
図1の立体表示装置においては、図25の立体表示装置と異なり、片面異形三角プリズムシート3の出射面Sout3の偏光異方性の偏光方向を透過型液晶表示パネル4の片面異形三角プリズムシート3の出射面Sout3側の偏光板4aの偏光軸に一致させている。尚、片面異形三角プリズムシート3の出射面Sout3の偏光異方性は導光板1によって予め定まっている。つまり、図2に示すように、片面異形三角プリズムシート3の偏光方向P1を偏光板4aの偏光軸P2に平行になるようにしてある。
【0017】
図3は3Dバックライトに対し偏光軸を変化させて偏光板を対向させた際の透過光強度変化を示した図である。
図3から判るように、3Dバックライトの出力光には偏光異方性が生じている。等方性であれば偏光板の角度によらず出力強度に変動は生じないが、偏光軸が特定方向であるとき出力強度が最大になることから異方性は明らかである。偏光板偏光軸が0°であるとき光強度が最大であることから、本実施例の3Dバックライトの光出力の主たる偏光軸は0°方向であると考えられる。
つまり、図3に示すように、偏光板4aの偏光軸に対する3Dバックライトの主偏光方向が0度のときに、透過型液晶表示パネル4の相対輝度は最大となる。
異方性が生じる主因は、導光板1内より外部に光が出射する際の鏡面反射と考えられる。光源側端面方向からの光を反射した光成分は特定方向に偏光異方性をもった光成分となる。他方、導光板1で内部反射を繰り返した光成分は多方向からの光の進行が反射されたものの集合であるため、単一面での反射では偏光異方性を生じても集合としては異方性の少ない光成分となる。
このため、光源側端面方向からの光成分を透過しやすいよう適切に偏光板を配置することで、内部反射を繰り返した光成分を相対的に抑制し、光源側端面方向からの光成分比率を向上することが可能となる。
【0018】
また、図1においては、図25の空気層6の代りに、密着層7を設けてある。たとえば、密着層7は、たとえば、ポリエチレン・テレフタレート(PET)よりなるベース層の両面に塗布されたシリコン系樹脂、ウレタン系樹脂あるいはアクリル系樹脂よりなる接着層で構成される。密着層7の材料は密着層7の屈折率が片面異形三角プリズムシート3の屈折率と近ければよく、これにより、片面異形三角プリズムシート3と密着層7との屈折率差は小さくなり、全反射による迷光を抑制できる。たとえば、片面異形三角プリズムシート3をPETで形成し、密着層7のベース層もPETで形成すれば、片面異形三角プリズムシート3と密着層7との屈折率差はほぼ0となり、全反射による迷光を抑制できる。
全反射による迷光は片面異形プリズムシート3から導光板1内に進行し、前記した内部反射成分となりクロストークの原因となる。
【0019】
尚、密着層7はベース層を省略して接着剤のみで構成してもよい。つまり、接着層をたとえばPETよりなる片面異形三角プリズムシート3の出射面Sout3上に直接塗布してもよい。
【0020】
図4は図1の導光板1の第1の例を示す平面図である。尚、導光板1はアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透光性材料よりなる。
【0021】
図4に示すように、導光板1は、入射面Sina、Sinbに関して対称となっている。また、導光板1の出射面Sout1と反対の配光制御面に入射面Sina、Sinb間方向に延在する複数の平坦鏡面部11を形成する。平坦鏡面部11は光を奥まで均一にするためのものである。また、平坦鏡面部11が形成されていない領域に等間隔の三角形状の複数のプリズムよりなる光を立ち上げるための三角形状プリズム列12を形成する。さらに、入射面Sina、Sinb特に平坦鏡面部11の入射面Sina、Sinbには、戻り光抑止のために、三角形状、円弧形状及びマイクロレンズアレイ等のシボ面13を加工してある。尚、図4に示すごとく、光源2a、2bは、それぞれ、複数個の発光ダイオード(LED)とすることができる。
【0022】
図4においては、光源2a、2bの幅は三角形状プリズム列12の幅と同一である。この場合、光源2a、2b付近から三角形状プリズム列12のプリズム面にて全反射した多くの光が出光され、均一性が減少する。一般に、光源2a、2bの幅に対する三角形状プリズム列12の数は製品の大きさ、面輝度の求められる均一性に依存して異なる。そこで、図1の導光板1の第2の例を示す図5に示すごとく、光源2a、2bの幅に対して平坦鏡面部11及び三角形状プリズム列12を複数個(図5においては3個づつ)配置し、光源2a、2bを左右交互に配置すると、均一性は増加する。
【0023】
また、図4においては、光源2a、2bを三角形状プリズム列12に対して対称に配置している。この場合、互いの導光板の反対側側面つまり入射面Sina、Sinbが平坦面となり、この平坦面から戻り光が発生するという問題がある。これに対し、図5においては、光源2a、2bの反対側側面はシボ面となっているので、戻り光は抑止される。
【0024】
図6は図4及び図5のVI-VI線断面図である。図6の(A)に示すように、平坦鏡面部11より三角形状プリズム列12を下側に突出させてもよく、他方、図6の(B)に示すように、三角形状プリズム列12より平坦鏡面部11を下側に突出させてもよい。図6の(A)、(B)のいずれにおいても、光源2aのみが動作した場合を図示しており、光源2a、2bは対称に設けられているので、光源2bの動作も同様である。
【0025】
図6の(A)、(B)において、光源2aからの光R1は入射面Sinaから入射して三角形状プリズム列12の三角形状プリズムによって直接全反射されて出射光となる。また、光源2aからの光R2は入射面Sinaから入射して平坦鏡面部11において全反射された後に三角形状プリズム列12の三角形状プリズムによって全反射されて出射光となる。他方、シボ面13が存在しない場合には、点線で示す光源2aからの光R3は入射面Sinbから入射して平坦鏡面部11において全反射され、入射面Sin2にて戻り光となり、最後に、三角形状プリズム列12の三角形状プリズムによって全反射されて出射光となる。つまり、光源2aが左目用の視差像を表示させるものとすれば、角度+方向の光R1、R2は左目用視差像に役立つが、角度−方向の戻り光R3は不要な出射光であって、右目用視差像に悪影響するものである。この戻り光R3がシボ面13によって乱反射されて抑止されるので、出射光とならないようにしている。
【0026】
三角形状プリズム列12の三角形状プリズムは光源2a、2bから左右対称な出射光を必要とするので、二等辺三角形でありかつ等間隔に配列されている。また、その頂角は大きくたとえば164°であり、戻り光を抑制している分、光の立ち上がり量を少なくしてある。
【0027】
図7は左目用の光源2aを点灯した場合の図1の導光板1からの光の左目用配光分布を示す。図7において、点線はシボ面13が存在せず図6の戻り光R3が抑制されない場合の導光板1からの光の配光分布である。
【0028】
図7に示すように、図6の戻り光R3が抑制された分、角度0°〜-90°方向には弱い強度の光しか出光しない。従って、右目用の視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。図7においては、出光強度は+50°〜+80°方向で大きく、-64°で最大となる。
【0029】
尚、右目用の光源2bを点灯した場合には、図7の場合と0°を軸とした対称の配光分布となり、角度0〜+90°方向には弱い強度の光しか出光しない。従って、左目用の視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。
【0030】
図8は図1の片面異形三角プリズムシート3の1つのプリズムを示す図である。
【0031】
図8に示すように、片面異形三角プリズムシート3の1つのプリズムは異形三角プリズムたとえば3段三角プリズムであり、つまり、辺部E1、F1(稜部からの距離0μm〜9μmの範囲)は頂角81°であり、辺部E2、F2(稜部からの距離9μm〜39μmの範囲)は頂角71°であり、辺部E3、F3(稜部からの距離39μm〜63μmの範囲)は頂角65°である。尚、このような片面異形三角プリズムシート3は成形用スタンパにより精度よく所望の傾斜角度で形成できる。
【0032】
図9は図1の片面異形三角プリズムシート3内の光路を説明する図である。
【0033】
図9に示すように、導光板1の出射面Sout1から出光した光は、辺部E1、E2、E3において屈折し、辺部F1、F2、F3において全反射して上面へ出光する。図7に示す導光板1からの左目用配光分布は50°〜80°で強いので、図1の片面異形三角プリズムシート3は50°〜80°のいずれの出射角の光でも+方向へ出射させるように作用している。以下、導光板1からの光が配光角50°、60°、70°、80°の場合について片面異形三角プリズムシート3の光路について詳述する。
【0034】
図10の(A)は導光板1からの光の出射角が+50°の場合の光路を示す。図10の(A)に示すように、導光板1からの光はプリズムの辺部E1、E2、E3を透過し、辺部F1、F2、F3で全反射する。この結果、片面異形三角プリズムシート3の出射角が+22°〜+50°方向に出光する。
【0035】
図10の(B)は導光板1からの光の出射角が+60°の場合の光路を示す。図10の(B)に示すように、導光板1からの光はプリズムの辺部E1、E2を透過し、辺部F1、F2、F3で全反射する。この結果、片面異形三角プリズムシート3の出射角が+10°〜+39°方向に出光する。
【0036】
図10の(C)は導光板1からの光の出射角が+70°の場合の光路を示す。図10の(C)に示すように、導光板1からの光はプリズムの辺部E1、E2を透過し、辺部F1、F2、F3で全反射する。この結果、片面異形三角プリズムシート3の出射角が+1°〜+28°方向に出光する。
【0037】
図10の(D)は導光板1からの光の出射角が+80°の場合の光路を示す。図10の(D)に示すように、導光板1からの光はプリズムの辺部E1を透過し、辺部F1で全反射する。この結果、片面異形三角プリズムシート3の出射角が+1°〜+17.5°方向に出光する。
【0038】
尚、導光板1からの光の出射角が0°(垂直)〜50°の場合には、片面異形三角プリズムシート3のプリズムへの入射角及びプリズムの上面において臨界角を超える角度でプリズムに入射する成分が増加し、この結果、プリズムの上面からは出光しづらくなる。
【0039】
図11は左目用の光源2aを点灯した場合の片面異形三角プリズムシート3からの光の左目用配光分布を示す。図11において、点線はシボ面13が存在せず図6の戻り光R3が抑制されない場合の片面異形三角プリズムシート3からの光の配光分布である。
【0040】
図11に示すように、図6の戻り光R3が抑制された分、角度0°〜-90°方向には弱い強度の光しか出光しない。従って、右目用の視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。図8においては、出光強度は0°〜+30°方向で大きく、0°〜-30°方向でほとんど出光しない。
【0041】
尚、右目用の光源2bを点灯した場合には、図11の場合と0°を軸とした対称の配光分布となり、角度0〜+30°方向には弱い強度の光しか出光しない。従って、左目用の視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。
【0042】
尚、上述の第1の実施の形態においては、平坦鏡面部の幅は一定であったが、平坦鏡面部の幅を変化させることもできる。この場合にあっても、入射面Sina、Sinbに関して対称である。
【0043】
さらに、片面異形三角プリズムシート3は1部材に限らず、少なくとも2種類以上の屈折率が異なる部材を張り合わせてもよい。また、片面異形三角プリズムシート3のプリズムは3段三角プリズムであったが、配光分布に合わせて2段もしくは4段の多段三角プリズムにしてもよい。
【0044】
図12は本発明に係る立体表示装置の第2の実施の形態を示す図である。
【0045】
図12の立体表示装置は、導光板1の代りに、2つの導光板1a、1bを設けてある。すなわち、上側の導光板1aが下側の導光板1bの出射面Soutb側に設けられる。また、導光板1a、1bの入射面Sina、Sinbに光源2a、2bを設ける。さらに、片面三角プリズムシートが導光板1aの出射面Souta側に設けられる。これにより、図1の立体表示装置と同様に、透過型液晶表示パネル4の画素数と同数の画素数を有する立体画像を表示できる。
【0046】
図13は図12の導光板1a、1bの平面図である。尚、導光板1a、1bもアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透光性材料よりなる。
【0047】
図13の(A)に示すように、導光板1aは、導光板1aの出射面Soutaと反対の配光制御面に入射面Sinaの長手方向に延在する複数の平坦鏡面加工部11aを形成する。平坦鏡面加工部11aは光を奥まで均一にするためのものであり、平坦鏡面加工部11aの幅は入射面Sinaから遠ざかるに伴って小さくなるように形成されている。また、平坦鏡面加工部11aが形成されていない領域に等間隔の三角形状の複数のプリズムよりなる光を立ち上げるための三角形状プリズム列12aを形成する。三角形状プリズム列12aの幅は入射面Sinaから遠ざかるに伴って大きくなるように形成されている。これにより、奥に行く光をより多く全反射させて均一に面発光させる。この三角形状は非対称であり、たとえば、光源2a側の傾斜角が48°(45°〜50°)、光源2aと反対側の傾斜角が45°(42°〜48°)である。尚、図13の(A)に示すごとく、光源2aは、複数個の発光ダイオード(LED)とすることができる。この場合、発光ダイオードは、三角形状プリズム列12aではなく、平坦鏡面加工部11aに対向せしめて光をより奥まで到達するようにする。
【0048】
他方、図13の(B)に示すように、導光板1bは、導光板1bの出射面Soutbと反対の配光制御面に入射面Sinbの長手方向に延在する複数の平坦鏡面加工部11bを形成する。平坦鏡面加工部11bは光を奥まで均一にするためのものであり、平坦鏡面加工部11bの幅は入射面Sinbから遠ざかるに伴って小さくなるように形成されている。また、平坦鏡面加工部11bが形成されていない領域に等間隔の三角形状の複数のプリズムよりなる光を立ち上げるための三角形状プリズム列12bを形成する。三角形状プリズム列12bの幅は入射面Sinbから遠ざかるに伴って大きくなるように形成されている。これにより、奥に行く光をより多く全反射させて均一に面発光させる。この三角形状は非対称であり、たとえば、光源2b側の傾斜角が48°(45°〜50°)、光源2bと反対側の傾斜角が45°(42°〜48°)である。尚、図13の(B)に示すごとく、光源2bは、複数個の発光ダイオード(LED)とすることができる。この場合、発光ダイオードは、三角形状プリズム列12bではなく、平坦鏡面加工部11bに対向せしめて光をより奥まで到達するようにする。
【0049】
図13の(A)に示す導光板1aを図13の(B)に示す導光板1b上に重ね合わせると、導光板1aの三角形状プリズム列12aは導光板1bの平坦鏡面加工部11bの全体に対向し、他方、導光板1bの三角形状プリズム列12bは導光板1aの平坦鏡面加工部11aの全体に対向する。この結果、導光板1bの三角形状プリズム列12bから出射面Soutbを介して出光する光は導光板1aのパターンに影響されることなく、導光板1aを透過する。尚、導光板1aの三角形状プリズム列12aから出射面Soutaを介して出光する光は導光板1bのパターンに影響されないのは当然である。
【0050】
図14は図13の(A)の導光板1aのXIV-XIV線断面図である。図14の(A)に示すように、平坦鏡面加工部11aより三角形状プリズム列12aを下側に突出させてもよく、他方、図14の(B)に示すように、三角形状プリズム列12aより平坦鏡面加工部11aを下側に突出させてもよい。図14の(A)、(B)のいずれにおいても、光源2aのみが動作した場合を図示している。
【0051】
図14の(A)、(B)において、光源2aからの光R1aは入射面Sinaから入射して三角形状プリズム列12aの三角形状プリズムによって直接全反射されて出射光となる。また、光源2aからの光R2aは入射面Sinaから入射して平坦鏡面加工部11aにおいて全反射された後に三角形状プリズム列12aの三角形状プリズムによって全反射されて出射光となる。つまり、光源2aが左目用の視差像を表示させるものとすれば、角度+方向の光R1a、R2aは左目用視差像に役立ち、角度−方向の不要な出射光はほとんどなく、右目用視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。
【0052】
図15は図13の(A)、(B)の導光板1a、1bを重ね合わせたときのXV-XV線断面図である。図15の(A)に示すように、平坦鏡面加工部11bより三角形状プリズム列12bを下側に突出させてもよく、他方、図15の(B)に示すように、三角形状プリズム列12bより平坦鏡面加工部11bを下側に突出させてもよい。図15の(A)、(B)のいずれにおいても、光源2bのみが動作した場合を図示している。
【0053】
図15の(A)、(B)において、光源2bからの光R1bは入射面Sinbから入射して三角形状プリズム列12bの三角形状プリズムによって直接全反射されて出射光となり、導光板1aの平坦鏡面加工部11aを透過する。また、光源2bからの光R2bは入射面Sinbから入射して平坦鏡面加工部11bにおいて全反射された後に三角形状プリズム列12bの三角形状プリズムによって全反射されて出射光となり、導光板1bの平坦鏡面加工部11bを透過する。つまり、光源2bが右目用の視差像を表示させるものとすれば、角度−方向の光R1b、R2bは右目用視差像に役立ち、角度+方向の不要な出射光はほとんどなく、左目用視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。
【0054】
図16は左目用の光源2a及び右目用の光源2bを点灯した場合の図12の導光板1a、1bからの光の左目用配光分布及び右目用配光分布を示す。
【0055】
図16に示すように、光源2aを点灯した場合には、角度0°〜-90°方向には弱い強度の光しか出光しない。従って、右目用の視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。他方、右目用の光源2bを点灯した場合には、角度0〜+90°方向には弱い強度の光しか出光しない。従って、左目用の視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。
【0056】
図17は図1の導光板の変更例を用いた場合の導光板からの配光分布を示す図である。図17においては、上側導光板1aに設けられるプリズム断面形状が、たとえば、光源2a側の傾斜角が4°(1°〜8°)、光源2aと反対側の傾斜角が45°(10°〜90°)である。また、下側導光板1bに設けられるプリズム断面形状が、たとえば光源2b側の傾斜角が4°(1°〜8°)、光源2bと反対側の傾斜角が45°(10°〜90°)である。
【0057】
図17の配光分布においては、導光板1aからの出射光である左目用配光分布の最大強度の角度(以下、ピーク角度とする)は+76°であり、他方、導光板1bからの出射光である右目用配光分布のピーク角度は-73°であり、従って、左右非対称の配光分布となる。これは導光板1aと片面三角プリズムシート3との距離が導光板1bと片面三角プリズムシート3との距離より大きいこと、導光板1bからの出射光が空気の屈折率と異なる導光板1a内を通過すること等によるものと考えられる。また、ピーク角度の差は149°と大きい。
【0058】
図17に示すピーク角度の差が大きい左右非対称の配光分布は図12の片面三角プリズムシート3によって観察者の裸眼の視差像のピーク角度の差が小さい左右対称の配光分布に変換される。この場合、観察者の左目用配光分布のピーク角度は+5°であり、右目用配光分布のピーク角度は-5°であり、ピーク角度の差は10°であることが好ましいものとする。
【0059】
次に、図12の片面三角プリズムシート3の三角形状と片面三角プリズムシート3からの光の左目用配光分布及び右目用配光分布とを考察する。尚、配光分布の測定は、図17において適用した導光板を用いて行った。
【0060】
図18の(A)に示すごとく、片面三角プリズムシート3の三角形状の角度を段差ありの非対称な角度たとえば36.5°,37°;34°,34°;33°,34°とし、三角形状の各段差の高さを4μm、4μm、4μm(合計12μm)とする。この場合、図18の(B)に示すごとく、左目用配光分布のピーク角度が+5°であり、右目用配光分布のピーク角度が-5°であり、従って、対称となる。しかも、ピーク角度の差が10°で、かつ、各配光分布は急峻に変化している。この結果、配光分布の非対称が解消されていると共に、左右のクロストークが小さくなる。
【0061】
このように、片面三角プリズムシート3に段差を設けると共に非対称な角度を与えると、左目用配光分布のピーク角度及び右目用配光分布のピーク角度が対称となると共に、各配光分布も急峻に変化しているので、左右のクロストークも小さくなる。尚、この場合でも、片面三角プリズムシート3の三角形状の角度が狭角となり過ぎると、ピーク角度が0°に近く、立体表示に不適切となり、他方、片面三角プリズムシート3の三角形状の角度が広角となり過ぎると、ピーク角度の差が大きくなり過ぎ、やはり、立体表示に不適切となる。尚、片面三角プリズムシート3の段差の数及び非対称の角度は適宜変更し得る。
【0062】
図19は本発明に係る立体表示装置の第3の実施の形態を示す図である。
【0063】
図19の立体表示装置においては、図12の導光板1a、1bの代りに、導光板1a’、1b’を設けてある。
【0064】
図20は図19の導光板1a’、1b’の第1の例を示す平面図である。尚、導光板1a’、1b’もアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透光性材料よりなる。
【0065】
図20の(A)に示すように、導光板1a’は、導光板1a’の出射面Soutaと反対の配光制御面に平坦鏡面加工部11a’を形成する。平坦鏡面加工部11a’は光を奥まで均一にするためのものである。また、平坦鏡面加工部11a’が形成されていない領域に三角形状もしくは円弧形状の複数のドット形状プリズムよりなる光を立ち上げるためのドット形状プリズム配列12a’を形成する。このドット形状は非対称であり、たとえば、光源2a側の傾斜角が48°(45°〜50°)、光源2aと反対側の傾斜角が45°(42°〜48°)である。
【0066】
他方、図20の(B)に示すように、導光板1b’は、導光板1b’の出射面Soutbと反対の配光制御面に平坦鏡面加工部11b’を形成する。平坦鏡面加工部11b’は光を奥まで均一にするためのものである。また、平坦鏡面加工部11b’が形成されていない領域に三角形状もしくは円弧形状の複数のドットプリズムよりなる光を立ち上げるためのドット形状プリズム配列12b’を形成する。このドット形状は非対称であり、たとえば、光源2b側の傾斜角が48°(45°〜50°)、光源2bと反対側の傾斜角が45°(42°〜48°)である。
【0067】
図21は図19の導光板1a’、1b’の第2の例を示す平面図である。
【0068】
図21の(A)に示すように、ドット形状プリズム配列12a’の幅は入射面Sinaから遠ざかるに伴って大きくなるように形成されている。これにより、奥に行く光をより多く全反射させて均一に面発光させる。また、図21の(B)に示すように、ドット形状プリズム配列12b’の幅は入射面Sinbから遠ざかるに伴って大きくなるように形成されている。これにより、奥に行く光をより多く全反射させて均一に面発光させる。
【0069】
図20(図21)の(A)に示す導光板1a’を図20(図21)の(B)に示す導光板1b’上に重ね合わせると、導光板1a’のドット形状プリズム配列12a’は導光板1b’の平坦鏡面加工部11b’の一部に対向し、他方、導光板1b’のドット形状プリズム配列12b’は導光板1a’の平坦鏡面加工部11a’の一部に対向する。つまり、ドット形状プリズム配列12a’とドット形状プリズム配列12b’とが同一でない。この結果、導光板1b’のドット形状プリズム配列12b’から出射面Soutbを介して出光する光は導光板1a’のパターンに影響されることなく、導光板1a’を透過する。尚、導光板1a’のドット形状プリズム配列12a’から出射面Soutaを介して出光する光は導光板1b’のパターンに影響されないのは当然である。
【0070】
図22は図20(図21)の(A)の導光板1a’のXXII-XXII線断面図である。図22の(A)に示すように、平坦鏡面加工部11a’よりドット形状プリズム配列12a’を下側に突出させてもよく、他方、図22の(B)に示すように、ドット形状プリズム配列12a’より平坦鏡面加工部11a’を下側に突出させてもよい。図22の(A)、(B)のいずれにおいても、光源2aのみが動作した場合を図示している。
【0071】
図22の(A)、(B)において、光源2aからの光R1a’は入射面Sinaから入射してドット形状プリズム配列12a’のドット形状プリズムによって直接全反射されて出射光となる。また、光源2aからの光R2a’は入射面Sinaから入射して平坦鏡面加工部11a’において全反射された後にドット形状プリズム配列12a’のドット形状プリズムによって全反射されて出射光となる。つまり、光源2aが左目用の視差像を表示させるものとすれば、角度+方向の光R1a’、R2a’は左目用視差像に役立ち、角度−方向の不要な出射光はほとんどなく、右目用視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。
【0072】
図23は図20(図21)の(A)、(B)の導光板1a’、1b’を重ね合わせたときのXXIII-XXIII線断面図である。図23の(A)に示すように、平坦鏡面加工部11b’よりドット形状プリズム配列12b’を下側に突出させてもよく、他方、図23の(B)に示すように、ドット形状プリズム配列12b’より平坦鏡面加工部11b’を下側に突出させてもよい。図23の(A)、(B)のいずれにおいても、光源2bのみが動作した場合を図示している。
【0073】
図23の(A)、(B)において、光源2bからの光R1b’は入射面Sinbから入射してドット形状プリズム配列12b’のドット形状プリズムによって直接全反射されて出射光となり、導光板1a’の平坦鏡面加工部11a’を透過する。また、光源2bからの光R2b’は入射面Sinbから入射して平坦鏡面加工部11b’において全反射された後にドット形状プリズム配列12b’のドット形状プリズムによって全反射されて出射光となり、導光板1a’の平坦鏡面加工部11a’を透過する。つまり、光源2bが右目用の視差像を表示させるものとすれば、角度−方向の光R1b’、R2b’は右目用視差像に役立ち、角度+方向の不要な出射光はほとんどなく、左目用視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。
【0074】
図24は左目用の光源2a及び右目用の光源2bを点灯した場合の図19の導光板1a’からの光の左目用配光分布及び右目用配光分布を示す。
【0075】
図24に示すように、光源2aを点灯した場合には、第3の実施の形態に比較して、光の強さは小さいが、角度0°〜-90°方向には弱い強度の光しか出光しない。従って、右目用の視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。他方、右目用の光源2bを点灯した場合には、やはり、第3の実施の形態に比較して、光の強さは小さいが、角度0〜+90°方向には弱い強度の光しか出光しない。従って、左目用の視差像に悪影響せず、左右のクロストークは少ない。
【0076】
尚、上述の第3の実施の形態のプリズムのドット形状は台形もしくは円弧台形とすることもできる。また、上述の実施の形態における導光板は楔型にしてもよい。
【0077】
また、上述の第3の実施の形態の導光板のドット形状のプリズムを、第3の実施の形態の図17の変更例で示したプリズム形状、すなわち、上側導光板1aに設けられるプリズム断面形状が、たとえば、光源2a側の傾斜角が4°(1°〜8°)、光源2aと反対側の傾斜角が45°(10°〜90°)であり、下側導光板1bに設けられるプリズム断面形状が、たとえば光源2b側の傾斜角が4°(1°〜8°)、光源2bと反対側の傾斜角が45°(10°〜90°)であってもよい。
【0078】
さらに、図18に示す各種片面三角プリズムシートと組み合わせることも有効である。この場合、前述の通り第2の実施の形態に比較して光の強さは小さいが、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
また、上述の第1、第2、第3の実施の形態は光源、導光板、及び片面三角プリズムシートなどの機能性部材のみでの検討を行ったものであるが、製品としての実装を行う場合、上記の構成全体を所定の筐体内に納めた構成とされる。
【0080】
この場合、上記検討では無視していた導光板裏面から出射する光が、筐体内面での反射を生じさらに複雑な経路を経て配光に影響を及ぼす。
【0081】
筐体内面での反射が導光板内面の全反射角度に近い角度の反射であった場合は、反射光が再度導光板に戻ることで、一反導光板裏側から漏れた光の再利用を可能とし、また、導光板内面の全反射光と近い成分であるため配光を乱さず、全体の輝度上昇につながり好ましい結果をもたらす。
【0082】
しかし、プリズム形成部周辺など全反射角度と大きく異なる角度で裏面に光が出射される場合や、筐体内面で反射光が不規則に拡散される場合、筐体内部での反射光は、導光板を通過し、または不規則な内部反射の後正面方向に出射する。このことにより、導光板とプリズムで光学設計を行った光の経路と異なる経路による迷光を生じ、配光分布に乱れを生じる。これは、導光板裏面に、拡散や全反射を行う反射シートを単に配置する構成を採用することは、配光分布の乱れを生じ、立体表示装置の性能低下をもたらすことを示している。
【0083】
このような現象が生じるため、導光板裏面側には、導光板裏面より生ずる漏光を戻さないよう無反射または低反射となるような構成を採ることが好ましい。なお、導光板内面の全反射角度に近い角度においてのみ反射によって導光板へ光束の戻りを生ずる構成は有効に機能する。
【0084】
このような目的のため、立体表示装置を所定の筐体に納める場合、導光板に裏打ち部材を備えることが有効である。裏打ち部材として好ましい材質は黒色に着色されたフィルムなどが挙げられる。導光板に対向する面は光沢を備えた面であると、全反射角度に近い光束を反射するためより好ましい。
【0085】
発明者らは上記の考察をふまえ、導光板に裏打ち部材を加えた立体表示装置と加えない立体表示装置をそれぞれ筐体に納めて官能評価を行い比較した。裏打ち部材には、PET基材にカーボンブラックを練り込み成形した、東レ株式会社製ルミラーX30 #125を使用した。比較を行うと、裏打ち部材のない立体表示装置は、迷光の発生に起因するものと思われる画像のボケが生じ、対して裏打ち部材のある立体表示装置は筐体の無い時と同様に明りょうな画像が得られた。
【0086】
画像のボケは、配光分布が緩やかであるときに、右目用画像と左目用画像の分離が明りょうに行われずに生じるものと同様のものと考えられる。
【0087】
裏打ち部材に必要とされる要件は裏面への漏光を吸収する低反射性と考えられる。具体的な数値による適正値は不明であるが、実施例のルミラーX30 #125はデータシートによると光学濃度5.0、つまり透過率0.001%程度の特性を備えていた。この特性で有効性が認められたことから、同程度の光学特性を備えた部材であればPET基材のフィルム以外の部材であっても有効に機能すると考えられる。
【0088】
光学特性以外に、耐熱性が備わっていることが好ましい。耐熱性は光源や、電源装置などから発する熱が筐体内にこもることにより生ずる高温環境を想定し、+85℃程度の耐熱性が備わっていることが好ましい。
【符号の説明】
【0089】
1、1a、1b、1a’、1b’:導光板
2a、2b、2a−1、2a−2、2a−3、2b−1、2b−2、2b−3:光源
3:片面三角プリズムシート
4:透過型液晶表示パネル
5、5’:同期駆動回路
6:空気層
7:密着層
11:平坦鏡面加工部
12:三角形状プリズム列
13:シボ面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板と、
該導光板の対向する第1、第2の入射面に設けられた第1、第2の光源と、
前記導光板の出射面上に設けられた片面プリズムシートと、
該片面プリズムシートの出射面上に設けられ、前記片面プリズムシート側に偏光板を有する透過型表示パネルと、
該透過型表示パネルに前記第1、第2の光源を同期させて視差像を表示させる同期駆動回路と
を具備し、
前記導光板と、前記第1、第2の光源と、前記片面プリズムシートと、前記駆動回路とからなる3Dバックライトの出射光の主偏光方向を前記透過型表示パネルの前記片面プリズムシート側の偏光板の偏光軸に一致せしめると同時に、前記片面プリズムシートと前記透過型表示パネルとの間が空気層を介さずに接続された立体表示装置。
【請求項2】
前記片面プリズムシートと前記透過型表示パネルとの間に密着層を設けた請求項1に記載の立体表示装置。
【請求項3】
前記密着層は、ベース層と、該ベース層の両面に塗布された接着層とを具備する請求項2に記載の立体表示装置。
【請求項4】
前記密着層は、前記片面プリズムシートの出射面に塗布された接着層のみよりなる請求項2に記載の立体表示装置。
【請求項5】
前記導光板の代りに、第1、第2の導光板を具備し、
前記第1の導光板が前記第2の導光板の出射面に重ね合わされ、
前記各第1、第2の光源が前記第1、第2の導光板の入射面に設けられ、
前記片面プリズムシートが前記第1の導光板の出射面上に設けられた請求項1に記載の立体表示装置。
【請求項1】
導光板と、
該導光板の対向する第1、第2の入射面に設けられた第1、第2の光源と、
前記導光板の出射面上に設けられた片面プリズムシートと、
該片面プリズムシートの出射面上に設けられ、前記片面プリズムシート側に偏光板を有する透過型表示パネルと、
該透過型表示パネルに前記第1、第2の光源を同期させて視差像を表示させる同期駆動回路と
を具備し、
前記導光板と、前記第1、第2の光源と、前記片面プリズムシートと、前記駆動回路とからなる3Dバックライトの出射光の主偏光方向を前記透過型表示パネルの前記片面プリズムシート側の偏光板の偏光軸に一致せしめると同時に、前記片面プリズムシートと前記透過型表示パネルとの間が空気層を介さずに接続された立体表示装置。
【請求項2】
前記片面プリズムシートと前記透過型表示パネルとの間に密着層を設けた請求項1に記載の立体表示装置。
【請求項3】
前記密着層は、ベース層と、該ベース層の両面に塗布された接着層とを具備する請求項2に記載の立体表示装置。
【請求項4】
前記密着層は、前記片面プリズムシートの出射面に塗布された接着層のみよりなる請求項2に記載の立体表示装置。
【請求項5】
前記導光板の代りに、第1、第2の導光板を具備し、
前記第1の導光板が前記第2の導光板の出射面に重ね合わされ、
前記各第1、第2の光源が前記第1、第2の導光板の入射面に設けられ、
前記片面プリズムシートが前記第1の導光板の出射面上に設けられた請求項1に記載の立体表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
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【図4】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
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【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2013−25228(P2013−25228A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161961(P2011−161961)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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