立体視印刷物
【課題】
高い立体感を有する立体視印刷物を作製するために、表示画像数を増加させ階調を高くして表現することさらに粒状感を解消ないし低減して表現することができる立体視印刷物を提供する。
【解決手段】
縦方向に向いた複数本のシリンドリカルレンズが横方向に連続して並列されてなるレンチキュラーレンズ11と、横方向に縮小された複数画像のそれぞれが、縦長画像に分割されて、レンチキュラーレンズ11の背面に立体視されるように配置されてなるカラー印刷画像12とからなる立体視印刷物1であって、前記縦長画像は縦一列の複数の画素により構成され、かつ前記各画素が1つの縦長ドットまたは縦一列の複数のドットにより構成されている。
高い立体感を有する立体視印刷物を作製するために、表示画像数を増加させ階調を高くして表現することさらに粒状感を解消ないし低減して表現することができる立体視印刷物を提供する。
【解決手段】
縦方向に向いた複数本のシリンドリカルレンズが横方向に連続して並列されてなるレンチキュラーレンズ11と、横方向に縮小された複数画像のそれぞれが、縦長画像に分割されて、レンチキュラーレンズ11の背面に立体視されるように配置されてなるカラー印刷画像12とからなる立体視印刷物1であって、前記縦長画像は縦一列の複数の画素により構成され、かつ前記各画素が1つの縦長ドットまたは縦一列の複数のドットにより構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンチキュラーレンズを用いた立体視印刷物の印刷画像を作成するためのドットの形成技術に関し、階調を高くして表現すること、さらに粒状感を解消ないし低減して表現することができる立体視印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
レンチキュラー方式(長体レンズ方式)による立体視印刷物は、図1に示すように印刷画像91と、この印刷画像91上に配置されたレンチキュラーレンズ92とから構成される。レンチキュラーレンズ92は、縦方向に配置したN本のシリンドリカルレンズ93が横方向に並列して構成される。
【0003】
印刷画像91の作成には、たとえば、図2に示すように水平方向に配置した4個のカメラC1,C2,C3,C4により撮影した画像が用いられる。
図3(A),(B),(C),(D)は、図2に示したカメラC1,C2,C3,C4により、2つの物体A,Bを撮影したときの撮影画像G1,G2,G3,G4をモデル化して示している。
たとえば、立体視印刷物の作成には、まず図4(A),(B),(C),(D)に示すように、撮影画像G1,G2,G3,G4をそれぞれ縦方向にNの短冊画像、
s11,s12,・・・,s1N
s21,s22,・・・,s2N
s31,s32,・・・,s3N
s41,s42,・・・,s4N
に分割する。
【0004】
そして、横方向位置が同一位置の短冊画像を、4つで1つの画像として、Nのグループ画像g1,g2,・・・,gNを作成する。
g1:s11+s21+s31+s41
g2:s12+s22+s32+s42
g3:s13+s23+s33+s43
・・・・・・
gN:s1N+s2N+s3N+s4N
(ここで、「+」は短冊画像を並列させることを意味する)
この後、グループ画像g1,g2,・・・,gNを図5(A)に示すように連接し、この連接した画像を、図5(B)に示すように横方向(1/4)倍に縮小して印刷画像91を作成する。
【0005】
本明細書では、シリンドリカルレンズの背面の画像を縦長画像と称する。図5(B)の例では、縦長画像v1,v2,v3,・・・,vNは、グループ画像g1,g2,・・・,gNをそれぞれ横方向(1/4)倍に縮小した画像である。
画像G1,G2,G3,G4の短冊画像sxy(x=1,2,・・・,4,y=1,2,・・・,N)への分割、各短冊画像sxyの並列による縦長画像g1〜gNの作成、作成した並列画像g1,g2,・・・,gNの縮小による縦長画像v1,v2,v3,・・・,vNの作成は、コンピュータ(画像処理装置)上で行うことができる。なお、説明は省略するが、撮影画像の撮影の手法、グループ画像の構成方法については、上記で説明したものは一例であって、上記以外にも様々な方法が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、高い立体感を有する立体視印刷物を作成するためには、表示画像数を多数にする必要がある。従来の立体視印刷物では、印刷解像度の限界から、表示画像数は多くても16程度に制限されていた。
面積階調表現では、1画素に何ドットを割り当てるかで表現できる階調数が決まる。従来は、横と縦に同じドット数をもつ正方形内のドット群を1画素として階調表現を行ってきた。例えば、4×4ドットで1画素を表現すると17階調が表現でき、16×16ドットで1画素を表現すると257階調が表現できる。立体視印刷物の印刷において、表示画像数を多くすると、ひとつの縦長画像内に並列させる短冊画像の数が多くなるため、表現できる階調数が少なくなる。
本発明では、表示画像数を最大にするために、1画素を縦方向に並ぶドット列で表現する。立体視印刷物において、縦方向のみで階調を表現する技術は知られておらず、粒状感が少ない立体視印刷物を実現する階調表現技術が希求される。
【0007】
本発明の目的は、立体視印刷物において、表示画像数を増加させるために、ドットの縦方向の塗り潰しを調整するに際して、階調を高くして表現すること、さらに粒状感等を低減して表現することができる立体視印刷物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下(1)から(21)を要旨とする。
(1)
縦方向に向いた複数本のシリンドリカルレンズが横方向に連続して並列されてなるレンチキュラーレンズと、
複数画像がそれぞれ短冊画像に分割されて横方向に並列し縮小した縦長画像を、前記レンチキュラーレンズの背面に立体視されるように配置されてなるモノクロまたはカラーの印刷画像と、
からなる立体視印刷物であって、
前記縦長画像は縦一列の複数の画素により構成され、かつ前記各画素が1つの縦長ドットまたは縦一列の複数のドットにより構成されていることを特徴とする立体視印刷物。
【0009】
(2)
前記各画素を構成する縦一列のドット数がMのとき、この画素の単色の階調を0から1の値でHと表したときに、n=H×Mとして、MドットのうちH×Mドットを着色する(1)に記載の立体視印刷物。
【0010】
(3)
前記各画素を構成する縦一列のドット数がMのとき、この画素をCMY色分解したときの各色の着色ドット数がnc、nm、nyのときに、Mドットのうちnc、nm、nyドットをCMY各色に着色する(1)に記載の立体視印刷物。
【0011】
(4)
前記各画素を構成する縦一列のドット数がMのとき、この画素をCMY色分解したときの各色の階調を0から1の値でHc、Hm、Hyと表したときに、nc=Hc×M、nm=Hm×M、ny=Hy×Mとして、Mドットのうちnc、nm、nyドットをCMY各色に着色する(1)に記載の立体視印刷物。
【0012】
(5)
前記各画素を構成する縦一列のドット数がMのとき、この画素をCMY色分解したときの各色の階調を0から1の値でHc、Hm、Hyと表したときに、nc=Hc×M、nm=Hm×M、ny=Hy×Mとして、nc、nm、nyの最小値よりも小さい値をnk×として、Mドットのうちnc−nk、nm−nk、ny−nk、nkドットをCMYK各色に着色する(1)に記載の立体視印刷物。
【0013】
(6)
単色の階調が強度変調方式により表現され、
CMYの階調が強度変調方式により表現され、または、
CMYKの階調が強度変調方式により表現され、
ていることを特徴とする(5)に記載の立体視印刷物。
【0014】
(7)
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKの各ドットが、縦長に形成されていることを特徴とする(5)または(6)に記載の立体視印刷物。
【0015】
(8)
前記画素の、前記単色の各ドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKの各ドットが縦長に形成され、前記画素の中心に対して縦方向に対称に形成されていることを特徴とする(7)に記載の立体視印刷物。
【0016】
(9)
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKの各ドットが、複数の縦長ドットとして形成されていることを特徴とする(5)または6記載の立体視印刷物。
【0017】
(10)
CMY色分解した場合に前記CMYの3色のドットが重複して形成されるべき領域に、前記Kのドットが形成されることを特徴とする(5)から9のいずれかに記載の立体視印刷物。
【0018】
(11)
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKの各ドットの大きさが、各指定されている階調に応じて設定されることを特徴とする(5)から(10)の何れかに記載の立体視印刷物。
【0019】
(12)
単色の階調が周波数変調方式により表現され、
CMYの階調が周波数変調方式により表現され、または、
CMYKの階調が周波数変調方式により表現され、
ていることを特徴とする(1)に記載の立体視印刷物。
【0020】
(13)
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットがランダムに形成されていることを特徴とする(12)に記載の立体視印刷物。
【0021】
(14)
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットが各色で略一定のドットピッチで規則的に形成されていることを特徴とする(12)に記載の立体視印刷物。
【0022】
(15)
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットが、各色で(ドットピッチ)/2に対応した距離だけ、基準位置から縦方向にオフセットを持って形成されていることを特徴とする(12)に記載の立体視印刷物。
【0023】
(16)
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットが、各色で最大でドットピッチに対応した距離だけ、基準位置から縦方向にランダムなオフセットを持って形成されていることを特徴とする(12)に記載の立体視印刷物。
【0024】
(17)
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットが、各色で最大で(ドットピッチ)/2に対応した距離だけ、前記基準位置から縦方向にランダムなオフセットを持って形成されていることを特徴とする(12)に記載の立体視印刷物。
【0025】
(18)
CMYKの階調が周波数変調方式により表現されている立体視印刷物であって、
Kのドットがランダムまたは略一定のドットピッチで規則的に形成され、
CMYの各ドットが前記Kのドットが形成されていない領域に、当該領域が連続しているものとして位置決定されて形成されている、
ことを特徴とする(12)から(17)に記載の立体視印刷物。
【0026】
(19)
CMY色分解した場合のCMYの各階調のうち最小階調と同一の階調で前記Kのドットが形成され、
CMYの各ドットが各指定されている階調から前記最小階調を差し引いた階調で形成されていることを特徴とする(18)に記載の立体視印刷物。
【0027】
(20)
CMY色分解した場合のCMYの各階調のうち最小階調未満の階調で前記Kのドットが形成され、
CMYの各ドットが各指定されている階調からKの階調を差し引いた階調で形成されていることを特徴とする(18)に記載の立体視印刷物。
【0028】
(21)
前記Kのドットがある階調以上かつある階調以下で形成され、CMY色分解した場合のCMYの各階調からKの階調を差し引いた階調でCMYのドットが形成されていることを特徴とする(18)に記載の立体視印刷物。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、立体印刷物において、一画素の横方向のドット数を1つにして縦方向のドット列で階調表現することで、表示画像数を最大にすることができる。また、画像の粒状感を解消ないし低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
《第1実施形態》
本発明の立体視印刷物の第1実施形態を図6、図7、図8(A),(B)により説明する。図6において、立体視印刷物1は、本実施形態の他、第2〜第6実施形態において共通に使用できるもので、レンチキュラーレンズ11と、カラー印刷画像12とからなる。レンチキュラーレンズ11は、縦方向に向いた複数本のシリンドリカルレンズ111が横方向に連続して並列されて構成されている。本発明の立体視印刷物は、インクジェット、熱転写、熱昇華等による印刷、スクリーン印刷などによって作製することができる。すなわち、本発明におけるドットは、網点であってもよいし、インクジェット、熱転写、熱昇華等の印刷方法によるドットなどであってもよい。また、以下の実施形態では、カラー印刷物の例を示すが、同様の手法を用いてモノクロ印刷物を作製することも可能である。
【0031】
カラー印刷画像12は、横方向に縮小された複数画像(図4のG1,G2,・・・,GN参照)のそれぞれをもとに構成した縦長画像121に分割されて、レンチキュラーレンズ11の背面に立体視されるように配置されている。
【0032】
図7に示すように、印刷物の最小構成要素を「ドット」と称し、階調表現を行う最小単位である縦方向に並ぶMドット(たとえば、Mは30個)全体を「ピクセル(PIX)」と称す。
【0033】
三次元表示を行う表示単位を「三次元画素」と称し、これはピクセルが横方向に並んだもので、水平方向にシリンドリカルレンズ111と等しい、或いはほぼ等しい幅をもつ。図7では、ピクセルが横方向にL個並んだ集合でひとつの三次元画素を構成している。すなわち、ひとつの三次元画素は横にLドットで縦にMドットのドット群で構成される。以下では、簡単のために、シリンドリカルレンズの水平幅と三次元画素の水平幅は等しいとして説明する。
【0034】
印刷によるドットの分解能をm[dpi(dot per inch)]、シリンドカルレンズのライン密度をk[lpi(lens per inch)]とすると、一つのシリンドカルレンズの横幅にL=m/k個のドット列が対応する。たとえば、m=2,400[dpi]、k=80[lpi]だとすると、L=30となる。ひとつの三次元画素には、水平方向にL個分(たとえば30個分)のドット列が対応する。
以下の説明では、印刷に用いるインクの色を、シアンをCで、マジェンダをMで、イエローをYで、黒をKで表す。
【0035】
本実施形態では、CMYによる色分解を行う。一ピクセルPIXを縦方向に並ぶMドットで構成するとき、CMY各色で表現できる最大階調数はM+1になる。一つのシリンドリカルレンズ111の幅が見た目上の三次元表示の一画素の幅になるので、ピクセルPIXの高さをシリンドリカルレンズ111の横幅にほぼ等しくすれば、水平と垂直の解像度のバランスが良い三次元像が表示できる。この場合、
M=L=m/k
となる。
【0036】
CMYの階調Hc,Hm,Hyを、「0」以上から「1」以下の実数で表すとする(0≦Hc≦1,0≦Hm≦1,0≦Hy≦1)。
このとき、1つのピクセル内でCMYの各色に着色するドット数は、それぞれ、nc=MHc、nm=MHm、ny=MHyで与えられる。
【0037】
本実施形態では、CMYの階調は強度変調(AM)方式により表現する。すなわち、ピクセルPIX内にCMYの各色ごとに縦長ドットを形成し、CMYの階調によって対応する縦長ドットの高さを決定する。具体的には、CMYに対応する縦長ドットは、それぞれnc、nm、ny個のドットを縦方向に連続して着色することで構成する。なお、同一のドットが同時にCMYの複数の色に着色されることも当然許される。
【0038】
図8(A),(B)に、本実施形態の詳細を示す。ここでは、M=30,nc=19、nm=14、ny=3の場合を示す。
縦長ドットは、着色したドットの間隔が大きいと、観察者にとって着色されたドットが、「ドット」として認識されることが多く、このようなドットが水平方向に中心位置を揃えずに配列されると、画像表面の乱雑さとして知覚される場合がある。
図8(A)では、YCMを用いて印刷画像を形成するに際して、ドットが中心位置を揃えずに配列されている。そこで、図8(B)に示すように、横方向に縦長ドットの中心を一致させて形成することで、画像の乱雑さを軽減することができる。
以上の第1実施形態では、CMYの色分解を行った場合について説明したが、CMYKの色分解を行った場合でも同様にドットパターンを形成できる。ただし、Kに着色したドットはCMYの色でさらに着色してもKの色のままであることを考慮して、着色するドットを決定する。
【0039】
《第2実施形態》
第2実施形態では、CMYKによる色分解を行う。第1実施形態に示すCMY色分解にもとづく方法で着色したドットパターンに対して、CMYがすべて重複されて着色されるドットの色をK(ブラックインクドット)とすることで実現する。
【0040】
図9(A)および(B)は、図8(A)および(B)に示すCMYのドットパターンをもとに、CMYKのドットパターンを決定したものである。
【0041】
以上では、単色のドット、CMYの各色のドット、またはCMYKの各色のドットをひとつの縦長ドットとして説明してきたが、これを複数の縦長ドットとして形成することもできる。
【0042】
以上の例ではドットの大きさは一定であるとして説明してきたが、単色のドット、CMYの各ドット、またはCMYKの各ドットの大きさを、各指定されている階調に応じて設定することもできる。
《第3実施形態》
【0043】
第3実施形態では、CMYの階調は周波数変調(FM)方式により表現する。すなわち、ピクセルPIX内のドットを分散してCMYに着色する。第1実施形態と第2実施形態のAM方式による表現では縦長ドットが知覚され易く、縦方向に不連続感を生じることがあるが、FM方式を採用する本実施形態では、この不連続感は少なくなる。
【0044】
1ピクセルPIXを構成するMドットを、図10に示すように、CMYの色にそれぞれnc個、nm個、nm個のドットをランダムに着色する。ただし、ひとつのドットは同時にCMYの複数の色に着色されることも当然許される。図10では、M=30,nc=14、nm=12、ny=14の場合を示す。
【0045】
《第4実施形態》
第3実施形態ではドットの着色パターンをランダムに決定するため、画像に粒状感が感じられ、また、立体表示した際に、左右の網膜に映し出される2つの画像上の対応点での着色ドットパターンの違いにより視野闘争が起こり画像のギラツキを感じることがある。そこで、第4実施形態ではこれらの問題点を解決するめに、CMYの各色でドットをランダムではなく、ほぼ等間隔に着色する。ここで、CMYの各色のドットピッチはpc=M/nc、pm=M/nm、py=M/nyで表される。
【0046】
ピッチpc、pm、pyの値が整数ではなく実数の場合、これを整数で近似して等間隔でドットを着色すると、1ピクセル内のM個のドットの着色に偏りが生じることがある。そこで、小数点以下の値も評価して、ほぼ等間隔でドットを着色することで、ドットの着色の偏りをなくすることができる。
【0047】
例えば、M=30,n=7とするとp=4.29となる。p=4と近似すると、着色するドット位置は0,4,8,12,16,20,24となり、図11(A)に示すように、着色するドット位置が全体に上側に偏り、非着色領域が下側に形成される。小数点以下を評価することで、着色するドット位置が0,4,9,13,17,21,25となり、図11(B)に示すように、ピクセル内でドットの着色位置の偏りがなくなる。ただし、図11(B)ではCMYのいずれか一色のドットパターンを示している。
【0048】
ただし、ドット着色位置が全体に上側にシフトしているので、さらに、CMY各色でそれぞれ最初に着色するドット位置を、基準位置から、pc/2、pm/2、py/2だけオフセットさせて、ピクセル内で着色されるドット位置の上下対称性を向上させる。
上記の例では、p/2=2.14であるので、着色するドット位置は2,6,11,15,19,24,28となり、図11(C)に示すように、着色位置の上下対称性が向上する。
【0049】
ピクセルPIX内でのドットの着色位置の上下対称性がなく、全体に上側にシフトしている場合には、水平方向に階調変化が緩やかに変化する部分では、レンチキュラーシートを通して見える画像のドットパターンは図12(A)に示すようになり、着色するドット位置の分布が上側に集中する。図12(A)では着色されたドット数nが9,8,7と変化する場合について示している。これに対して、着色されたドットの位置をオフセットさせると、図12(B)に示すように、着色するドット位置が上下対称に変化するため、ドットパターンの変化が目立たなくなる。ただし、図12(A),(B)ではCMYのいずれか一色のドットパターンのみを示している。
【0050】
上下対称性を向上させたドットの着色法で形成したCMYドットパターンの例を図13に示す。M=30,nc=15、nm=10、ny=12の場合を示している。
《第5実施形態》
【0051】
第5実施形態では、第4実施形態で述べたCMYの着色されたドットパターンの形成法でドットパターンの縦方向のオフセット量をランダムに変化させる。
第4実施形態では、例えば階調が水平方向に一定あるいは穏やかに変化する箇所では、レンチキュラーシートを通して見える画像のドットパターンは図14(A)(M=30,n=7の場合)に示すように、ピクセル内の着色パターンが水平方向に一定あるいはほぼ一定になり、着色されたドットが横につながり、これが横ラインとして知覚されることがある。そこで、図14(B)に示すように、着色パターンを垂直方向にランダムにオフセットすることで、横ラインの発生を抑制する。CMYのドットピッチが,pc、pm、pyであることから、上下に隣り合うピクセルPIXに着色されたドットが入り込まない最大オフセット量はpc−1、pm−1、py−1である。ただし、ランダムなオフセット量が大きいと、画像に粒状感が感じられ、また、立体表示した際に、左右の網膜に映し出される2つの画像上の対応点での着色ドットパターンの違いにより視野闘争が起こり画像のギラツキを感じることがある。そのため、実際には、最大オフセット量をpc/2、pm/2、py/2とする方が好ましい場合が多い。
【0052】
最大オフセット量をpc/2、pm/2、py/2として形成したCMYドットパターンの例を図15に示す。M=30,nc=15、nm=10、ny=12の場合を示している。
以上の第3実施形態から第5実施形態では、CMYの色分解を行った場合について説明したが、CMYKの色分解を行った場合でも同様にドットパターンを形成できる。ただし、Kに着色したドットはCMYの色でさらに着色してもKの色のままであることを考慮して、着色するドットを決定する。
【0053】
《第6実施形態》
第6実施形態では、CMYKによる色分解を行う。第3から第5実施形態に示した周波数変調(FM)方式で着色したドットパターンに対して、CMYがすべて重複されて着色されるドットの色をKとすることで実現する。
図16(A)は第3実施形態の例である図10をCMYK色分解へ変換した例を示し、図16(B)は第4実施形態の例である図13をCMYK色分解へ変換した例を示し、図16(C)は第5実施形態の例である図15をCMYK色分解に変換した例を示す。
【0054】
《第7実施形態》
本実施形態は、第3実施形態から第5実施形態におけるCMYによる表現に、Kを追加してCMYKで表現する。
【0055】
第6実施形態では、最初に、Kのドットの着色位置を、第3実施形態から第5実施形態に記載のCMYのドット着色法と同様の方法で決定する。つぎに、Kのドットが着色されていないドットに対して、これらのドットが連続しているものとみなして、第3実施形態から第5実施形態に記載のCMYのドット着色法を適用する。ちなみに、Kに着色したドットをCMYでさらに着色ドットの色はKのままであるため、上記のように、KとCMYの着色されたドットを別々に決定する。
【0056】
図17(A)は第3実施形態にKの形成を導入した実施形態を示し、図17(B)は第4実施形態にKの形成を導入した実施形態を示し、図17(C)は第5実施形態にKの形成を導入した実施形態を示している。図17(A),(B),(C)では、CMYで色表現した際にnc=15、nm=14、ny=8の場合で、これをCMYKでnk=8、nc=7、nm=6、ny=0と色表現した場合を示している。ただし、nkはKのドット数を表す。
【0057】
ここで、黒色は必ずしもKを用いなくてもCMYの合成で表すことができるので、Kのドットを任意の階調で形成することもできるが、図17では、Kのドットを、CMYの各階調のうち最小階調と同一の階調で形成している。この場合、CMYの各ドットが、各指定されている階調から前記最小階調を差し引いた階調で形成するようにできる。すなわち、CMY色分解した場合のそれぞれの色のドット数をnc、nm、nyとして、Kのドット数をnk=min(nc,nm,ny)としてCMYのそれぞれの色のドット数はnc−nk、nm−nk、ny−nkとする。
【0058】
なお、所定の階調下限以上でKを形成することができる。さらに、所定の階調下限値以上と所定の階調上限値以下の間でKを形成することができる。Kを用いると画像のコントラストを高める効果をもち、使用するインクの量も節約できる。また、文字などを印刷する場合には重要である。しかし、周波数変調(FM)方式でKを多用すると、Kのドットは他のCMYのドットに比べてコントラストが高いことから階調として認識されるよりも画像のくすみや汚れとして認識されることがある。また、CMYの合成として表現される黒とKで表現される黒が異なることもある。したがって、Kを利用する階調範囲を画像によって調節する必要がある。具体的には、Kのドットを、CMYの各階調のうち最小階調未満の所定の階調下限値以上の階調で形成することができる。あるいは、所定の階調下限値以上と所定の階調上限値以下の間でKを形成することができる。
以上の各実施例では、カラー印刷をCMYとCMYKの色分解で行う場合について説明したが、インクジェットプリンターのようにより多くの色分解を行う場合についても、同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】従来のレンチキュラー方式による立体視印刷物を示す図である。
【図2】並列配置した4個のカメラC1,C2,C3,C4により、立体視印刷物に用いる画像を撮影する様子を示す図である。
【図3】(A),(B),(C),(D)は、図2に示した4つのカメラにより、2つの物体A,Bを撮影したときの撮影画像をモデル化して示す図である。
【図4】M→Nへ変更 (A),(B),(C),(D)は、撮影画像をそれぞれ縦方向にMの短冊画像に分割した様子を示す図である。
【図5】M→Nへ変更 (A)はグループ画像連接した様子を示す図、(B)はこの連接した画像を横方向1/4倍に圧縮して作成した印刷物を示す図である。
【図6】本発明の立体視印刷物の実施形態を示す説明図であり、(A)は立体視印刷物の概略説明図である。
【図7】DC削除 本発明の立体視印刷物における三次元画素、ピクセル、およびドットを詳細に示す図である。
【図8】CMYのドットによる着色を行う本発明の第1実施形態における処理を施したピクセルを構成するドットパターンを示す図で、(A)はドットパターンの着色位置が上下対称でない場合で、(B)はドットパターンの着色位置が上下対称な場合である。
【図9】CMYKのドットによる着色を行う本発明の第2実施形態における処理を施したピクセルを構成するドットパターンを示す図で、(A)はドットパターンの着色位置が上下対称でない場合で、(B)はドットパターンの着色位置が上下対称な場合である。
【図10】CMYのドットによる着色を行う本発明の第3実施形態における処理を施したピクセルを構成するドットパターンを示す図である。
【図11】本発明の第4実施形態における処理を施したピクセルを構成するドットパターンを示す図であり、(A)は小数点以下のドットピッチを考慮しない場合のドットパターンを示す図、(B)は小数点以下のドットピッチを考慮して着色されたドットの配置の偏りをなくした図、(C)は着色されたドットの配置を半ピッチ分ずらして当該ドットの配置を画素の中心に対して縦方向に対称に形成した図である。
【図12】本発明の第4実施形態を示す図であり、(A)は各ピクセル内でのドットの着色位置の上下対称性がなく、全体に上側にシフトしている場合を示す図、(B)は各ピクセル内において着色されたドットの配置を半ピッチ分ずらして当該ドットの配置を画素の中心に対して縦方向に対称に形成した図である。
【図13】CMYのドットによる着色を行う本発明の第4実施形態において、上下対称性を向上させたドットの着色法で形成したドットパターンの例を示す図である。
【図14】本発明の第5実施形態を示す図であり、(A)は、ドットが横につながり横ラインとして知覚される様子を示す図、(B)は、着色パターンを垂直方向にランダムにオフセットすることで横ラインの発生を抑制した様子を示す図である。
【図15】CMYのドットによる着色を行う本発明の第5実施形態において、上下対称性を向上させたドットの着色法で形成したドットパターンの例を示す図である。
【図16】CMYのドットによるブラックの表現をCMYKにおけるKドットにより行う本発明の第6実施形態を示す図であり、(A)は第3実施形態におけるCMY色分解をCMYK色分解に変換した例を示す図、(B)は第4実施形態におけるCMY色分解をCMYK色分解に変換した例を示す図、(C)は第5実施形態におけるCMY色分解をCMYK色分解に変換した例を示す図である。
【図17】最初にKドットの着色位置を決めた後に、CMYの着色ドット位置を決める本発明の第7実施形態を示す図であり、(A)は第3実施形態における着色法を適用した実施形態を示す図、(B)は第4実施形態における着色法を適用した実施形態を示す図、(C)は第5実施形態における着色法を適用した実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 立体視印刷物
11 レンチキュラーレンズ
12 カラー印刷画像
111 シリンドリカルレンズ
121 縦長画像
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンチキュラーレンズを用いた立体視印刷物の印刷画像を作成するためのドットの形成技術に関し、階調を高くして表現すること、さらに粒状感を解消ないし低減して表現することができる立体視印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
レンチキュラー方式(長体レンズ方式)による立体視印刷物は、図1に示すように印刷画像91と、この印刷画像91上に配置されたレンチキュラーレンズ92とから構成される。レンチキュラーレンズ92は、縦方向に配置したN本のシリンドリカルレンズ93が横方向に並列して構成される。
【0003】
印刷画像91の作成には、たとえば、図2に示すように水平方向に配置した4個のカメラC1,C2,C3,C4により撮影した画像が用いられる。
図3(A),(B),(C),(D)は、図2に示したカメラC1,C2,C3,C4により、2つの物体A,Bを撮影したときの撮影画像G1,G2,G3,G4をモデル化して示している。
たとえば、立体視印刷物の作成には、まず図4(A),(B),(C),(D)に示すように、撮影画像G1,G2,G3,G4をそれぞれ縦方向にNの短冊画像、
s11,s12,・・・,s1N
s21,s22,・・・,s2N
s31,s32,・・・,s3N
s41,s42,・・・,s4N
に分割する。
【0004】
そして、横方向位置が同一位置の短冊画像を、4つで1つの画像として、Nのグループ画像g1,g2,・・・,gNを作成する。
g1:s11+s21+s31+s41
g2:s12+s22+s32+s42
g3:s13+s23+s33+s43
・・・・・・
gN:s1N+s2N+s3N+s4N
(ここで、「+」は短冊画像を並列させることを意味する)
この後、グループ画像g1,g2,・・・,gNを図5(A)に示すように連接し、この連接した画像を、図5(B)に示すように横方向(1/4)倍に縮小して印刷画像91を作成する。
【0005】
本明細書では、シリンドリカルレンズの背面の画像を縦長画像と称する。図5(B)の例では、縦長画像v1,v2,v3,・・・,vNは、グループ画像g1,g2,・・・,gNをそれぞれ横方向(1/4)倍に縮小した画像である。
画像G1,G2,G3,G4の短冊画像sxy(x=1,2,・・・,4,y=1,2,・・・,N)への分割、各短冊画像sxyの並列による縦長画像g1〜gNの作成、作成した並列画像g1,g2,・・・,gNの縮小による縦長画像v1,v2,v3,・・・,vNの作成は、コンピュータ(画像処理装置)上で行うことができる。なお、説明は省略するが、撮影画像の撮影の手法、グループ画像の構成方法については、上記で説明したものは一例であって、上記以外にも様々な方法が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、高い立体感を有する立体視印刷物を作成するためには、表示画像数を多数にする必要がある。従来の立体視印刷物では、印刷解像度の限界から、表示画像数は多くても16程度に制限されていた。
面積階調表現では、1画素に何ドットを割り当てるかで表現できる階調数が決まる。従来は、横と縦に同じドット数をもつ正方形内のドット群を1画素として階調表現を行ってきた。例えば、4×4ドットで1画素を表現すると17階調が表現でき、16×16ドットで1画素を表現すると257階調が表現できる。立体視印刷物の印刷において、表示画像数を多くすると、ひとつの縦長画像内に並列させる短冊画像の数が多くなるため、表現できる階調数が少なくなる。
本発明では、表示画像数を最大にするために、1画素を縦方向に並ぶドット列で表現する。立体視印刷物において、縦方向のみで階調を表現する技術は知られておらず、粒状感が少ない立体視印刷物を実現する階調表現技術が希求される。
【0007】
本発明の目的は、立体視印刷物において、表示画像数を増加させるために、ドットの縦方向の塗り潰しを調整するに際して、階調を高くして表現すること、さらに粒状感等を低減して表現することができる立体視印刷物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下(1)から(21)を要旨とする。
(1)
縦方向に向いた複数本のシリンドリカルレンズが横方向に連続して並列されてなるレンチキュラーレンズと、
複数画像がそれぞれ短冊画像に分割されて横方向に並列し縮小した縦長画像を、前記レンチキュラーレンズの背面に立体視されるように配置されてなるモノクロまたはカラーの印刷画像と、
からなる立体視印刷物であって、
前記縦長画像は縦一列の複数の画素により構成され、かつ前記各画素が1つの縦長ドットまたは縦一列の複数のドットにより構成されていることを特徴とする立体視印刷物。
【0009】
(2)
前記各画素を構成する縦一列のドット数がMのとき、この画素の単色の階調を0から1の値でHと表したときに、n=H×Mとして、MドットのうちH×Mドットを着色する(1)に記載の立体視印刷物。
【0010】
(3)
前記各画素を構成する縦一列のドット数がMのとき、この画素をCMY色分解したときの各色の着色ドット数がnc、nm、nyのときに、Mドットのうちnc、nm、nyドットをCMY各色に着色する(1)に記載の立体視印刷物。
【0011】
(4)
前記各画素を構成する縦一列のドット数がMのとき、この画素をCMY色分解したときの各色の階調を0から1の値でHc、Hm、Hyと表したときに、nc=Hc×M、nm=Hm×M、ny=Hy×Mとして、Mドットのうちnc、nm、nyドットをCMY各色に着色する(1)に記載の立体視印刷物。
【0012】
(5)
前記各画素を構成する縦一列のドット数がMのとき、この画素をCMY色分解したときの各色の階調を0から1の値でHc、Hm、Hyと表したときに、nc=Hc×M、nm=Hm×M、ny=Hy×Mとして、nc、nm、nyの最小値よりも小さい値をnk×として、Mドットのうちnc−nk、nm−nk、ny−nk、nkドットをCMYK各色に着色する(1)に記載の立体視印刷物。
【0013】
(6)
単色の階調が強度変調方式により表現され、
CMYの階調が強度変調方式により表現され、または、
CMYKの階調が強度変調方式により表現され、
ていることを特徴とする(5)に記載の立体視印刷物。
【0014】
(7)
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKの各ドットが、縦長に形成されていることを特徴とする(5)または(6)に記載の立体視印刷物。
【0015】
(8)
前記画素の、前記単色の各ドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKの各ドットが縦長に形成され、前記画素の中心に対して縦方向に対称に形成されていることを特徴とする(7)に記載の立体視印刷物。
【0016】
(9)
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKの各ドットが、複数の縦長ドットとして形成されていることを特徴とする(5)または6記載の立体視印刷物。
【0017】
(10)
CMY色分解した場合に前記CMYの3色のドットが重複して形成されるべき領域に、前記Kのドットが形成されることを特徴とする(5)から9のいずれかに記載の立体視印刷物。
【0018】
(11)
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKの各ドットの大きさが、各指定されている階調に応じて設定されることを特徴とする(5)から(10)の何れかに記載の立体視印刷物。
【0019】
(12)
単色の階調が周波数変調方式により表現され、
CMYの階調が周波数変調方式により表現され、または、
CMYKの階調が周波数変調方式により表現され、
ていることを特徴とする(1)に記載の立体視印刷物。
【0020】
(13)
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットがランダムに形成されていることを特徴とする(12)に記載の立体視印刷物。
【0021】
(14)
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットが各色で略一定のドットピッチで規則的に形成されていることを特徴とする(12)に記載の立体視印刷物。
【0022】
(15)
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットが、各色で(ドットピッチ)/2に対応した距離だけ、基準位置から縦方向にオフセットを持って形成されていることを特徴とする(12)に記載の立体視印刷物。
【0023】
(16)
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットが、各色で最大でドットピッチに対応した距離だけ、基準位置から縦方向にランダムなオフセットを持って形成されていることを特徴とする(12)に記載の立体視印刷物。
【0024】
(17)
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットが、各色で最大で(ドットピッチ)/2に対応した距離だけ、前記基準位置から縦方向にランダムなオフセットを持って形成されていることを特徴とする(12)に記載の立体視印刷物。
【0025】
(18)
CMYKの階調が周波数変調方式により表現されている立体視印刷物であって、
Kのドットがランダムまたは略一定のドットピッチで規則的に形成され、
CMYの各ドットが前記Kのドットが形成されていない領域に、当該領域が連続しているものとして位置決定されて形成されている、
ことを特徴とする(12)から(17)に記載の立体視印刷物。
【0026】
(19)
CMY色分解した場合のCMYの各階調のうち最小階調と同一の階調で前記Kのドットが形成され、
CMYの各ドットが各指定されている階調から前記最小階調を差し引いた階調で形成されていることを特徴とする(18)に記載の立体視印刷物。
【0027】
(20)
CMY色分解した場合のCMYの各階調のうち最小階調未満の階調で前記Kのドットが形成され、
CMYの各ドットが各指定されている階調からKの階調を差し引いた階調で形成されていることを特徴とする(18)に記載の立体視印刷物。
【0028】
(21)
前記Kのドットがある階調以上かつある階調以下で形成され、CMY色分解した場合のCMYの各階調からKの階調を差し引いた階調でCMYのドットが形成されていることを特徴とする(18)に記載の立体視印刷物。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、立体印刷物において、一画素の横方向のドット数を1つにして縦方向のドット列で階調表現することで、表示画像数を最大にすることができる。また、画像の粒状感を解消ないし低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
《第1実施形態》
本発明の立体視印刷物の第1実施形態を図6、図7、図8(A),(B)により説明する。図6において、立体視印刷物1は、本実施形態の他、第2〜第6実施形態において共通に使用できるもので、レンチキュラーレンズ11と、カラー印刷画像12とからなる。レンチキュラーレンズ11は、縦方向に向いた複数本のシリンドリカルレンズ111が横方向に連続して並列されて構成されている。本発明の立体視印刷物は、インクジェット、熱転写、熱昇華等による印刷、スクリーン印刷などによって作製することができる。すなわち、本発明におけるドットは、網点であってもよいし、インクジェット、熱転写、熱昇華等の印刷方法によるドットなどであってもよい。また、以下の実施形態では、カラー印刷物の例を示すが、同様の手法を用いてモノクロ印刷物を作製することも可能である。
【0031】
カラー印刷画像12は、横方向に縮小された複数画像(図4のG1,G2,・・・,GN参照)のそれぞれをもとに構成した縦長画像121に分割されて、レンチキュラーレンズ11の背面に立体視されるように配置されている。
【0032】
図7に示すように、印刷物の最小構成要素を「ドット」と称し、階調表現を行う最小単位である縦方向に並ぶMドット(たとえば、Mは30個)全体を「ピクセル(PIX)」と称す。
【0033】
三次元表示を行う表示単位を「三次元画素」と称し、これはピクセルが横方向に並んだもので、水平方向にシリンドリカルレンズ111と等しい、或いはほぼ等しい幅をもつ。図7では、ピクセルが横方向にL個並んだ集合でひとつの三次元画素を構成している。すなわち、ひとつの三次元画素は横にLドットで縦にMドットのドット群で構成される。以下では、簡単のために、シリンドリカルレンズの水平幅と三次元画素の水平幅は等しいとして説明する。
【0034】
印刷によるドットの分解能をm[dpi(dot per inch)]、シリンドカルレンズのライン密度をk[lpi(lens per inch)]とすると、一つのシリンドカルレンズの横幅にL=m/k個のドット列が対応する。たとえば、m=2,400[dpi]、k=80[lpi]だとすると、L=30となる。ひとつの三次元画素には、水平方向にL個分(たとえば30個分)のドット列が対応する。
以下の説明では、印刷に用いるインクの色を、シアンをCで、マジェンダをMで、イエローをYで、黒をKで表す。
【0035】
本実施形態では、CMYによる色分解を行う。一ピクセルPIXを縦方向に並ぶMドットで構成するとき、CMY各色で表現できる最大階調数はM+1になる。一つのシリンドリカルレンズ111の幅が見た目上の三次元表示の一画素の幅になるので、ピクセルPIXの高さをシリンドリカルレンズ111の横幅にほぼ等しくすれば、水平と垂直の解像度のバランスが良い三次元像が表示できる。この場合、
M=L=m/k
となる。
【0036】
CMYの階調Hc,Hm,Hyを、「0」以上から「1」以下の実数で表すとする(0≦Hc≦1,0≦Hm≦1,0≦Hy≦1)。
このとき、1つのピクセル内でCMYの各色に着色するドット数は、それぞれ、nc=MHc、nm=MHm、ny=MHyで与えられる。
【0037】
本実施形態では、CMYの階調は強度変調(AM)方式により表現する。すなわち、ピクセルPIX内にCMYの各色ごとに縦長ドットを形成し、CMYの階調によって対応する縦長ドットの高さを決定する。具体的には、CMYに対応する縦長ドットは、それぞれnc、nm、ny個のドットを縦方向に連続して着色することで構成する。なお、同一のドットが同時にCMYの複数の色に着色されることも当然許される。
【0038】
図8(A),(B)に、本実施形態の詳細を示す。ここでは、M=30,nc=19、nm=14、ny=3の場合を示す。
縦長ドットは、着色したドットの間隔が大きいと、観察者にとって着色されたドットが、「ドット」として認識されることが多く、このようなドットが水平方向に中心位置を揃えずに配列されると、画像表面の乱雑さとして知覚される場合がある。
図8(A)では、YCMを用いて印刷画像を形成するに際して、ドットが中心位置を揃えずに配列されている。そこで、図8(B)に示すように、横方向に縦長ドットの中心を一致させて形成することで、画像の乱雑さを軽減することができる。
以上の第1実施形態では、CMYの色分解を行った場合について説明したが、CMYKの色分解を行った場合でも同様にドットパターンを形成できる。ただし、Kに着色したドットはCMYの色でさらに着色してもKの色のままであることを考慮して、着色するドットを決定する。
【0039】
《第2実施形態》
第2実施形態では、CMYKによる色分解を行う。第1実施形態に示すCMY色分解にもとづく方法で着色したドットパターンに対して、CMYがすべて重複されて着色されるドットの色をK(ブラックインクドット)とすることで実現する。
【0040】
図9(A)および(B)は、図8(A)および(B)に示すCMYのドットパターンをもとに、CMYKのドットパターンを決定したものである。
【0041】
以上では、単色のドット、CMYの各色のドット、またはCMYKの各色のドットをひとつの縦長ドットとして説明してきたが、これを複数の縦長ドットとして形成することもできる。
【0042】
以上の例ではドットの大きさは一定であるとして説明してきたが、単色のドット、CMYの各ドット、またはCMYKの各ドットの大きさを、各指定されている階調に応じて設定することもできる。
《第3実施形態》
【0043】
第3実施形態では、CMYの階調は周波数変調(FM)方式により表現する。すなわち、ピクセルPIX内のドットを分散してCMYに着色する。第1実施形態と第2実施形態のAM方式による表現では縦長ドットが知覚され易く、縦方向に不連続感を生じることがあるが、FM方式を採用する本実施形態では、この不連続感は少なくなる。
【0044】
1ピクセルPIXを構成するMドットを、図10に示すように、CMYの色にそれぞれnc個、nm個、nm個のドットをランダムに着色する。ただし、ひとつのドットは同時にCMYの複数の色に着色されることも当然許される。図10では、M=30,nc=14、nm=12、ny=14の場合を示す。
【0045】
《第4実施形態》
第3実施形態ではドットの着色パターンをランダムに決定するため、画像に粒状感が感じられ、また、立体表示した際に、左右の網膜に映し出される2つの画像上の対応点での着色ドットパターンの違いにより視野闘争が起こり画像のギラツキを感じることがある。そこで、第4実施形態ではこれらの問題点を解決するめに、CMYの各色でドットをランダムではなく、ほぼ等間隔に着色する。ここで、CMYの各色のドットピッチはpc=M/nc、pm=M/nm、py=M/nyで表される。
【0046】
ピッチpc、pm、pyの値が整数ではなく実数の場合、これを整数で近似して等間隔でドットを着色すると、1ピクセル内のM個のドットの着色に偏りが生じることがある。そこで、小数点以下の値も評価して、ほぼ等間隔でドットを着色することで、ドットの着色の偏りをなくすることができる。
【0047】
例えば、M=30,n=7とするとp=4.29となる。p=4と近似すると、着色するドット位置は0,4,8,12,16,20,24となり、図11(A)に示すように、着色するドット位置が全体に上側に偏り、非着色領域が下側に形成される。小数点以下を評価することで、着色するドット位置が0,4,9,13,17,21,25となり、図11(B)に示すように、ピクセル内でドットの着色位置の偏りがなくなる。ただし、図11(B)ではCMYのいずれか一色のドットパターンを示している。
【0048】
ただし、ドット着色位置が全体に上側にシフトしているので、さらに、CMY各色でそれぞれ最初に着色するドット位置を、基準位置から、pc/2、pm/2、py/2だけオフセットさせて、ピクセル内で着色されるドット位置の上下対称性を向上させる。
上記の例では、p/2=2.14であるので、着色するドット位置は2,6,11,15,19,24,28となり、図11(C)に示すように、着色位置の上下対称性が向上する。
【0049】
ピクセルPIX内でのドットの着色位置の上下対称性がなく、全体に上側にシフトしている場合には、水平方向に階調変化が緩やかに変化する部分では、レンチキュラーシートを通して見える画像のドットパターンは図12(A)に示すようになり、着色するドット位置の分布が上側に集中する。図12(A)では着色されたドット数nが9,8,7と変化する場合について示している。これに対して、着色されたドットの位置をオフセットさせると、図12(B)に示すように、着色するドット位置が上下対称に変化するため、ドットパターンの変化が目立たなくなる。ただし、図12(A),(B)ではCMYのいずれか一色のドットパターンのみを示している。
【0050】
上下対称性を向上させたドットの着色法で形成したCMYドットパターンの例を図13に示す。M=30,nc=15、nm=10、ny=12の場合を示している。
《第5実施形態》
【0051】
第5実施形態では、第4実施形態で述べたCMYの着色されたドットパターンの形成法でドットパターンの縦方向のオフセット量をランダムに変化させる。
第4実施形態では、例えば階調が水平方向に一定あるいは穏やかに変化する箇所では、レンチキュラーシートを通して見える画像のドットパターンは図14(A)(M=30,n=7の場合)に示すように、ピクセル内の着色パターンが水平方向に一定あるいはほぼ一定になり、着色されたドットが横につながり、これが横ラインとして知覚されることがある。そこで、図14(B)に示すように、着色パターンを垂直方向にランダムにオフセットすることで、横ラインの発生を抑制する。CMYのドットピッチが,pc、pm、pyであることから、上下に隣り合うピクセルPIXに着色されたドットが入り込まない最大オフセット量はpc−1、pm−1、py−1である。ただし、ランダムなオフセット量が大きいと、画像に粒状感が感じられ、また、立体表示した際に、左右の網膜に映し出される2つの画像上の対応点での着色ドットパターンの違いにより視野闘争が起こり画像のギラツキを感じることがある。そのため、実際には、最大オフセット量をpc/2、pm/2、py/2とする方が好ましい場合が多い。
【0052】
最大オフセット量をpc/2、pm/2、py/2として形成したCMYドットパターンの例を図15に示す。M=30,nc=15、nm=10、ny=12の場合を示している。
以上の第3実施形態から第5実施形態では、CMYの色分解を行った場合について説明したが、CMYKの色分解を行った場合でも同様にドットパターンを形成できる。ただし、Kに着色したドットはCMYの色でさらに着色してもKの色のままであることを考慮して、着色するドットを決定する。
【0053】
《第6実施形態》
第6実施形態では、CMYKによる色分解を行う。第3から第5実施形態に示した周波数変調(FM)方式で着色したドットパターンに対して、CMYがすべて重複されて着色されるドットの色をKとすることで実現する。
図16(A)は第3実施形態の例である図10をCMYK色分解へ変換した例を示し、図16(B)は第4実施形態の例である図13をCMYK色分解へ変換した例を示し、図16(C)は第5実施形態の例である図15をCMYK色分解に変換した例を示す。
【0054】
《第7実施形態》
本実施形態は、第3実施形態から第5実施形態におけるCMYによる表現に、Kを追加してCMYKで表現する。
【0055】
第6実施形態では、最初に、Kのドットの着色位置を、第3実施形態から第5実施形態に記載のCMYのドット着色法と同様の方法で決定する。つぎに、Kのドットが着色されていないドットに対して、これらのドットが連続しているものとみなして、第3実施形態から第5実施形態に記載のCMYのドット着色法を適用する。ちなみに、Kに着色したドットをCMYでさらに着色ドットの色はKのままであるため、上記のように、KとCMYの着色されたドットを別々に決定する。
【0056】
図17(A)は第3実施形態にKの形成を導入した実施形態を示し、図17(B)は第4実施形態にKの形成を導入した実施形態を示し、図17(C)は第5実施形態にKの形成を導入した実施形態を示している。図17(A),(B),(C)では、CMYで色表現した際にnc=15、nm=14、ny=8の場合で、これをCMYKでnk=8、nc=7、nm=6、ny=0と色表現した場合を示している。ただし、nkはKのドット数を表す。
【0057】
ここで、黒色は必ずしもKを用いなくてもCMYの合成で表すことができるので、Kのドットを任意の階調で形成することもできるが、図17では、Kのドットを、CMYの各階調のうち最小階調と同一の階調で形成している。この場合、CMYの各ドットが、各指定されている階調から前記最小階調を差し引いた階調で形成するようにできる。すなわち、CMY色分解した場合のそれぞれの色のドット数をnc、nm、nyとして、Kのドット数をnk=min(nc,nm,ny)としてCMYのそれぞれの色のドット数はnc−nk、nm−nk、ny−nkとする。
【0058】
なお、所定の階調下限以上でKを形成することができる。さらに、所定の階調下限値以上と所定の階調上限値以下の間でKを形成することができる。Kを用いると画像のコントラストを高める効果をもち、使用するインクの量も節約できる。また、文字などを印刷する場合には重要である。しかし、周波数変調(FM)方式でKを多用すると、Kのドットは他のCMYのドットに比べてコントラストが高いことから階調として認識されるよりも画像のくすみや汚れとして認識されることがある。また、CMYの合成として表現される黒とKで表現される黒が異なることもある。したがって、Kを利用する階調範囲を画像によって調節する必要がある。具体的には、Kのドットを、CMYの各階調のうち最小階調未満の所定の階調下限値以上の階調で形成することができる。あるいは、所定の階調下限値以上と所定の階調上限値以下の間でKを形成することができる。
以上の各実施例では、カラー印刷をCMYとCMYKの色分解で行う場合について説明したが、インクジェットプリンターのようにより多くの色分解を行う場合についても、同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】従来のレンチキュラー方式による立体視印刷物を示す図である。
【図2】並列配置した4個のカメラC1,C2,C3,C4により、立体視印刷物に用いる画像を撮影する様子を示す図である。
【図3】(A),(B),(C),(D)は、図2に示した4つのカメラにより、2つの物体A,Bを撮影したときの撮影画像をモデル化して示す図である。
【図4】M→Nへ変更 (A),(B),(C),(D)は、撮影画像をそれぞれ縦方向にMの短冊画像に分割した様子を示す図である。
【図5】M→Nへ変更 (A)はグループ画像連接した様子を示す図、(B)はこの連接した画像を横方向1/4倍に圧縮して作成した印刷物を示す図である。
【図6】本発明の立体視印刷物の実施形態を示す説明図であり、(A)は立体視印刷物の概略説明図である。
【図7】DC削除 本発明の立体視印刷物における三次元画素、ピクセル、およびドットを詳細に示す図である。
【図8】CMYのドットによる着色を行う本発明の第1実施形態における処理を施したピクセルを構成するドットパターンを示す図で、(A)はドットパターンの着色位置が上下対称でない場合で、(B)はドットパターンの着色位置が上下対称な場合である。
【図9】CMYKのドットによる着色を行う本発明の第2実施形態における処理を施したピクセルを構成するドットパターンを示す図で、(A)はドットパターンの着色位置が上下対称でない場合で、(B)はドットパターンの着色位置が上下対称な場合である。
【図10】CMYのドットによる着色を行う本発明の第3実施形態における処理を施したピクセルを構成するドットパターンを示す図である。
【図11】本発明の第4実施形態における処理を施したピクセルを構成するドットパターンを示す図であり、(A)は小数点以下のドットピッチを考慮しない場合のドットパターンを示す図、(B)は小数点以下のドットピッチを考慮して着色されたドットの配置の偏りをなくした図、(C)は着色されたドットの配置を半ピッチ分ずらして当該ドットの配置を画素の中心に対して縦方向に対称に形成した図である。
【図12】本発明の第4実施形態を示す図であり、(A)は各ピクセル内でのドットの着色位置の上下対称性がなく、全体に上側にシフトしている場合を示す図、(B)は各ピクセル内において着色されたドットの配置を半ピッチ分ずらして当該ドットの配置を画素の中心に対して縦方向に対称に形成した図である。
【図13】CMYのドットによる着色を行う本発明の第4実施形態において、上下対称性を向上させたドットの着色法で形成したドットパターンの例を示す図である。
【図14】本発明の第5実施形態を示す図であり、(A)は、ドットが横につながり横ラインとして知覚される様子を示す図、(B)は、着色パターンを垂直方向にランダムにオフセットすることで横ラインの発生を抑制した様子を示す図である。
【図15】CMYのドットによる着色を行う本発明の第5実施形態において、上下対称性を向上させたドットの着色法で形成したドットパターンの例を示す図である。
【図16】CMYのドットによるブラックの表現をCMYKにおけるKドットにより行う本発明の第6実施形態を示す図であり、(A)は第3実施形態におけるCMY色分解をCMYK色分解に変換した例を示す図、(B)は第4実施形態におけるCMY色分解をCMYK色分解に変換した例を示す図、(C)は第5実施形態におけるCMY色分解をCMYK色分解に変換した例を示す図である。
【図17】最初にKドットの着色位置を決めた後に、CMYの着色ドット位置を決める本発明の第7実施形態を示す図であり、(A)は第3実施形態における着色法を適用した実施形態を示す図、(B)は第4実施形態における着色法を適用した実施形態を示す図、(C)は第5実施形態における着色法を適用した実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 立体視印刷物
11 レンチキュラーレンズ
12 カラー印刷画像
111 シリンドリカルレンズ
121 縦長画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向に向いた複数本のシリンドリカルレンズが横方向に連続して並列されてなるレンチキュラーレンズと、
複数画像がそれぞれ短冊画像に分割されて横方向に並列し縮小した縦長画像を、前記レンチキュラーレンズの背面に立体視されるように配置されてなるモノクロまたはカラーの印刷画像と、
からなる立体視印刷物であって、
前記縦長画像は縦一列の複数の画素により構成され、かつ前記各画素が1つの縦長ドットまたは縦一列の複数のドットにより構成されていることを特徴とする立体視印刷物。
【請求項2】
前記各画素を構成する縦一列のドット数がMのとき、この画素の単色の階調を0から1の値でHと表したときに、n=H×Mとして、MドットのうちH×Mドットを着色する請求項1に記載の立体視印刷物。
【請求項3】
前記各画素を構成する縦一列のドット数がMのとき、この画素をCMY色分解したときの各色の着色ドット数がnc、nm、nyのときに、Mドットのうちnc、nm、nyドットをCMY各色に着色する請求項1に記載の立体視印刷物。
【請求項4】
前記各画素を構成する縦一列のドット数がMのとき、この画素をCMY色分解したときの各色の階調を0から1の値でHc、Hm、Hyと表したときに、nc=Hc×M、nm=Hm×M、ny=Hy×Mとして、Mドットのうちnc、nm、nyドットをCMY各色に着色する請求項1に記載の立体視印刷物。
【請求項5】
前記各画素を構成する縦一列のドット数がMのとき、この画素をCMY色分解したときの各色の階調を0から1の値でHc、Hm、Hyと表したときに、nc=Hc×M、nm=Hm×M、ny=Hy×Mとして、nc、nm、nyの最小値よりも小さい値をnk×として、Mドットのうちnc−nk、nm−nk、ny−nk、nkドットをCMYK各色に着色する請求項1に記載の立体視印刷物。
【請求項6】
単色の階調が強度変調方式により表現され、
CMYの階調が強度変調方式により表現され、または、
CMYKの階調が強度変調方式により表現され、
ていることを特徴とする請求項5に記載の立体視印刷物。
【請求項7】
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKの各ドットが、縦長に形成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の立体視印刷物。
【請求項8】
前記画素の、前記単色の各ドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKの各ドットが縦長に形成され、前記画素の中心に対して縦方向に対称に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の立体視印刷物。
【請求項9】
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKの各ドットが、複数の縦長ドットとして形成されていることを特徴とする請求項5または6記載の立体視印刷物。
【請求項10】
CMY色分解した場合に前記CMYの3色のドットが重複して形成されるべき領域に、前記Kのドットが形成されることを特徴とする請求項5から9のいずれかに記載の立体視印刷物。
【請求項11】
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKの各ドットの大きさが、各指定されている階調に応じて設定されることを特徴とする請求項5から10の何れかに記載の立体視印刷物。
【請求項12】
単色の階調が周波数変調方式により表現され、
CMYの階調が周波数変調方式により表現され、または、
CMYKの階調が周波数変調方式により表現され、
ていることを特徴とする請求項1に記載の立体視印刷物。
【請求項13】
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットがランダムに形成されていることを特徴とする請求項12に記載の立体視印刷物。
【請求項14】
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットが各色で略一定のドットピッチで規則的に形成されていることを特徴とする請求項12に記載の立体視印刷物。
【請求項15】
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットが、各色で(ドットピッチ)/2に対応した距離だけ、基準位置から縦方向にオフセットを持って形成されていることを特徴とする請求項12に記載の立体視印刷物。
【請求項16】
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットが、各色で最大でドットピッチに対応した距離だけ、基準位置から縦方向にランダムなオフセットを持って形成されていることを特徴とする請求12に記載の立体視印刷物。
【請求項17】
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットが、各色で最大で(ドットピッチ)/2に対応した距離だけ、前記基準位置から縦方向にランダムなオフセットを持って形成されていることを特徴とする請求12に記載の立体視印刷物。
【請求項18】
CMYKの階調が周波数変調方式により表現されている立体視印刷物であって、
Kのドットがランダムまたは略一定のドットピッチで規則的に形成され、
CMYの各ドットが前記Kのドットが形成されていない領域に、当該領域が連続しているものとして位置決定されて形成されている、
ことを特徴とする請求項12から17に記載の立体視印刷物。
【請求項19】
CMY色分解した場合のCMYの各階調のうち最小階調と同一の階調で前記Kのドットが形成され、
CMYの各ドットが各指定されている階調から前記最小階調を差し引いた階調で形成されていることを特徴とする請求項18に記載の立体視印刷物。
【請求項20】
CMY色分解した場合のCMYの各階調のうち最小階調未満の階調で前記Kのドットが形成され、
CMYの各ドットが各指定されている階調からKの階調を差し引いた階調で形成されていることを特徴とする請求項18に記載の立体視印刷物。
【請求項21】
前記Kのドットがある階調以上かつある階調以下で形成され、CMY色分解した場合のCMYの各階調からKの階調を差し引いた階調でCMYのドットが形成されていることを特徴とする請求項18に記載の立体視印刷物。
【請求項1】
縦方向に向いた複数本のシリンドリカルレンズが横方向に連続して並列されてなるレンチキュラーレンズと、
複数画像がそれぞれ短冊画像に分割されて横方向に並列し縮小した縦長画像を、前記レンチキュラーレンズの背面に立体視されるように配置されてなるモノクロまたはカラーの印刷画像と、
からなる立体視印刷物であって、
前記縦長画像は縦一列の複数の画素により構成され、かつ前記各画素が1つの縦長ドットまたは縦一列の複数のドットにより構成されていることを特徴とする立体視印刷物。
【請求項2】
前記各画素を構成する縦一列のドット数がMのとき、この画素の単色の階調を0から1の値でHと表したときに、n=H×Mとして、MドットのうちH×Mドットを着色する請求項1に記載の立体視印刷物。
【請求項3】
前記各画素を構成する縦一列のドット数がMのとき、この画素をCMY色分解したときの各色の着色ドット数がnc、nm、nyのときに、Mドットのうちnc、nm、nyドットをCMY各色に着色する請求項1に記載の立体視印刷物。
【請求項4】
前記各画素を構成する縦一列のドット数がMのとき、この画素をCMY色分解したときの各色の階調を0から1の値でHc、Hm、Hyと表したときに、nc=Hc×M、nm=Hm×M、ny=Hy×Mとして、Mドットのうちnc、nm、nyドットをCMY各色に着色する請求項1に記載の立体視印刷物。
【請求項5】
前記各画素を構成する縦一列のドット数がMのとき、この画素をCMY色分解したときの各色の階調を0から1の値でHc、Hm、Hyと表したときに、nc=Hc×M、nm=Hm×M、ny=Hy×Mとして、nc、nm、nyの最小値よりも小さい値をnk×として、Mドットのうちnc−nk、nm−nk、ny−nk、nkドットをCMYK各色に着色する請求項1に記載の立体視印刷物。
【請求項6】
単色の階調が強度変調方式により表現され、
CMYの階調が強度変調方式により表現され、または、
CMYKの階調が強度変調方式により表現され、
ていることを特徴とする請求項5に記載の立体視印刷物。
【請求項7】
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKの各ドットが、縦長に形成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の立体視印刷物。
【請求項8】
前記画素の、前記単色の各ドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKの各ドットが縦長に形成され、前記画素の中心に対して縦方向に対称に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の立体視印刷物。
【請求項9】
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKの各ドットが、複数の縦長ドットとして形成されていることを特徴とする請求項5または6記載の立体視印刷物。
【請求項10】
CMY色分解した場合に前記CMYの3色のドットが重複して形成されるべき領域に、前記Kのドットが形成されることを特徴とする請求項5から9のいずれかに記載の立体視印刷物。
【請求項11】
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKの各ドットの大きさが、各指定されている階調に応じて設定されることを特徴とする請求項5から10の何れかに記載の立体視印刷物。
【請求項12】
単色の階調が周波数変調方式により表現され、
CMYの階調が周波数変調方式により表現され、または、
CMYKの階調が周波数変調方式により表現され、
ていることを特徴とする請求項1に記載の立体視印刷物。
【請求項13】
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットがランダムに形成されていることを特徴とする請求項12に記載の立体視印刷物。
【請求項14】
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットが各色で略一定のドットピッチで規則的に形成されていることを特徴とする請求項12に記載の立体視印刷物。
【請求項15】
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットが、各色で(ドットピッチ)/2に対応した距離だけ、基準位置から縦方向にオフセットを持って形成されていることを特徴とする請求項12に記載の立体視印刷物。
【請求項16】
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットが、各色で最大でドットピッチに対応した距離だけ、基準位置から縦方向にランダムなオフセットを持って形成されていることを特徴とする請求12に記載の立体視印刷物。
【請求項17】
前記単色のドット、前記CMYの各ドット、または前記CMYKのドットが、各色で最大で(ドットピッチ)/2に対応した距離だけ、前記基準位置から縦方向にランダムなオフセットを持って形成されていることを特徴とする請求12に記載の立体視印刷物。
【請求項18】
CMYKの階調が周波数変調方式により表現されている立体視印刷物であって、
Kのドットがランダムまたは略一定のドットピッチで規則的に形成され、
CMYの各ドットが前記Kのドットが形成されていない領域に、当該領域が連続しているものとして位置決定されて形成されている、
ことを特徴とする請求項12から17に記載の立体視印刷物。
【請求項19】
CMY色分解した場合のCMYの各階調のうち最小階調と同一の階調で前記Kのドットが形成され、
CMYの各ドットが各指定されている階調から前記最小階調を差し引いた階調で形成されていることを特徴とする請求項18に記載の立体視印刷物。
【請求項20】
CMY色分解した場合のCMYの各階調のうち最小階調未満の階調で前記Kのドットが形成され、
CMYの各ドットが各指定されている階調からKの階調を差し引いた階調で形成されていることを特徴とする請求項18に記載の立体視印刷物。
【請求項21】
前記Kのドットがある階調以上かつある階調以下で形成され、CMY色分解した場合のCMYの各階調からKの階調を差し引いた階調でCMYのドットが形成されていることを特徴とする請求項18に記載の立体視印刷物。
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2007−233105(P2007−233105A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55622(P2006−55622)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【Fターム(参考)】
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