説明

立体視用メガネ、立体視用映像形成装置、及び立体視システム

【課題】簡単な構成で、立体視、特にフルカラーでの立体視を可能にする立体視用メガネ、立体視用映像形成装置、及び立体視システムを提供する。
【解決手段】右目用透過部11及び左目用透過部12を有する立体視用メガネ10であって、右目用透過部及び左目用透過部がそれぞれ、可視光に対して少なくとも2つの透過ピーク波長を有し、右目用透過部の透過ピーク波長と、左目用透過部の透過ピーク波長とがずれている、立体視用メガネとする。また、少なくとも2つの波長の可視光で右目用映像を形成し、少なくとも2つの波長の可視光で左目用映像を形成し、且つ右目用映像を形成する可視光の波長が、左目用映像を形成する可視光の波長とずれている、立体視用映像形成装置20とする。また更に、本発明の立体視用メガネ10、及び本発明の立体視用映像形成装置20を有する、立体視システム100とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視用メガネ、立体視用映像形成装置、及び立体視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
立体視を可能にする立体視用メガネのためには、様々な方式が知られている。例えば、下記のようにして、両眼視差を利用して立体感を得る立体視用メガネが知られている(特許文献1):
(1)左右の目がそれぞれ、異なるカラーフィルタを介して、互いに異なる色で形成される右目用及び左目用の映像を見るようにする立体視用メガネ、
(2)左右の目がそれぞれ、偏光方向が異なる偏光フィルタを介して、互いに異なる偏光方向の光で形成される右目用及び左目用の映像を見るようにする立体視用メガネ、及び
(3)左右の目がそれぞれ、左右交互に開閉するシャッタを介して、シャッタに同期して交互に形成される右目用及び左目用の映像を見るようにする立体視用メガネ。
【0003】
しかしながら、上記(1)の方式ではカラーの立体映像を得ることができなかった。また、上記(2)の方式では、互いに異なる偏光方向の偏光で映像を形成する特別な映像形成装置が必要になり、現実的には、このような映像形成装置は、2台の液晶プロジェクタを用いたり、映像形成装置において右目用と左目用の映像の偏光状態を変える素子を備えたりすることが必要であった。また更に、上記(3)の方式では、立体視用メガネと表示装置とを同期させるために複雑な構成が、立体視用メガネと表示装置の両方において必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−250999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、本発明の1つの目的は、簡単な構成で、立体視、特にフルカラーでの立体視を可能にする立体視用メガネ及び立体視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、下記に示す本発明に想到した。
【0007】
〈1〉右目用透過部及び左目用透過部を有する立体視用メガネであって、
前記右目用透過部及び前記左目用透過部がそれぞれ、可視光に対して少なくとも2つの透過ピーク波長を有し、
前記右目用透過部の透過ピーク波長と、前記左目用透過部の透過ピーク波長とがずれている、
立体視用メガネ。
〈2〉前記右目用透過部及び前記左目用透過部がそれぞれ、可視光に対して少なくとも3つの透過ピーク波長を有する、上記〈1〉項に記載の立体視用メガネ。
〈3〉前記右目用透過部の3つの透過ピーク波長がそれぞれ、青色、緑色、及び赤色の波長領域に存在し、且つ前記左目用透過部の3つの透過ピーク波長がそれぞれ、青色、緑色、及び赤色の波長領域に存在する、上記〈2〉項に記載の立体視用メガネ。
〈4〉前記右目用透過部及び前記左目用透過部がそれぞれ、干渉フィルタを有する、上記〈1〉〜〈3〉項のいずれかに記載の立体視用メガネ。
〈5〉前記可視光が偏光である、上記〈1〉項に記載の立体視用メガネ。
〈6〉前記右目用透過部及び前記左目用透過部がそれぞれ、位相差板と偏光板とを有する積層体であり、且つ前記偏光板が目側に配置されている、上記〈5〉項に記載の立体視用メガネ。
〈7〉前記位相差板の位相差が、前記右目用透過部及び前記左目用透過部の一方の少なくとも2つの透過ピーク波長の約n倍(nは0又は正の整数)であり、且つ前記右目用透過部及び前記左目用透過部の他方の少なくとも2つの透過ピーク波長の約n+1/2倍(nは0又は正の整数)である、上記〈6〉項に記載の立体視用メガネ。
〈8〉前記位相差板の位相差が、前記右目用透過部及び前記左目用透過部の一方の少なくとも2つの透過ピーク波長の約n倍(nは0又は正の整数)であり、且つ前記右目用透過部及び前記左目用透過部の他方の少なくとも2つの透過ピーク波長の約n倍(nは0又は正の整数)である、上記〈6〉項に記載の立体視用メガネ。
〈9〉前記位相差板の位相差が、前記右目用透過部及び前記左目用透過部の一方の少なくとも2つの透過ピーク波長の約n+1/4倍(nは0又は正の整数)であり、且つ前記右目用透過部及び前記左目用透過部の他方の少なくとも2つの透過ピーク波長の約n+3/4倍(nは0又は正の整数)である、上記〈6〉項に記載の立体視用メガネ。
〈10〉前記右目用透過部が、前記右目用透過部の少なくとも2つの透過ピーク波長に対応する波長以外の円偏光を選択的に反射する円偏光選択反射板を有し、且つ前記左目用透過部が、前記左目用透過部の少なくとも2つの透過ピーク波長に対応する波長以外の円偏光を選択的に反射する円偏光選択反射板を有する、上記〈6〉項に記載の立体視用メガネ。
〈11〉少なくとも2つの波長の可視光で右目用映像を形成し、
少なくとも2つの波長の可視光で左目用映像を形成し、且つ
前記右目用映像を形成する可視光の波長が、前記左目用映像を形成する可視光の波長とずれている、
立体視用映像形成装置。
〈12〉少なくとも3つの波長の可視光で右目用映像を形成し、且つ
少なくとも3つの波長の可視光で左目用映像を形成する、
上記〈11〉項に記載の立体視用映像形成装置。
〈13〉前記右目用映像及び前記左目用映像を形成する可視光の波長に対応するカラーフィルタを有する液晶型映像形成装置である、上記〈11〉又は〈12〉項に記載の立体視用映像形成装置。
〈14〉前記可視光が偏光である、上記〈11〉〜〈13〉項のいずれかに記載の立体視用映像形成装置。
〈15〉前記右目用映像を形成する可視光領域の偏光と前記左目用映像を形成する可視光領域の偏光とが、同じ方向の直線偏光又は同じ回転方向の円偏光である、上記〈14〉項に記載の立体視用映像形成装置。
〈16〉上記〈1〉〜〈10〉項のいずれかに記載の立体視用メガネ、及び上記〈11〉〜〈15〉項のいずれかに記載の立体視用映像形成装置を有する、立体視システム。
【発明の効果】
【0008】
本発明の立体視用メガネ、立体視用画像形成装置、及び立体視システムによれば、比較的簡単な構成で、立体視、特にフルカラーでの立体視を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の立体視用メガネ、立体視用映像形成装置、及び立体視システムを示す図である。
【図2】(a)特定の2つの波長の可視光に対する右目用透過部の透過率、及び(b)特定の2つの波長の可視光に対する左目用透過部の透過率を示す図である。
【図3】(a)特定の3つの波長の可視光に対する右目用透過部の透過率、及び(b)特定の3つの波長の可視光に対する左目用透過部の透過率を示す図である。
【図4】立体視用メガネの右目用透過部(第2実施形態)が、一方の偏光を透過させ、且つ他方の偏光を遮る機構を説明する図である。
【図5】立体視用メガネの左目用透過部(第2実施形態)が、一方の偏光を透過させ、且つ他方の偏光を遮る機構を説明する図である。
【図6】立体視用メガネの透過部で使用される位相差板の位相差(5000nm)と、偏光の波長との関係を示す図である。
【図7】立体視用メガネの透過部で使用される位相差板の位相差(2200nm)と、偏光の波長との関係を示す図である。
【図8】立体視用メガネの透過部で使用される位相差板の位相差(10000nm)と、偏光の波長との関係を示す図である。
【図9】立体視用メガネの透過部で使用される位相差板の位相差(5500nm〜4500nm)と、偏光の波長との関係を示す図である。
【図10】立体視用メガネの右目用透過部(第2実施形態の変形)が、一方の偏光を透過させ、且つ他方の偏光を遮る機構を説明する図である。
【図11】立体視用メガネの左目用透過部(第2実施形態の変形)が、一方の偏光を透過させ、且つ他方の偏光を遮る機構を説明する図である。
【図12】立体視用メガネの右目用透過部(第3実施形態)が、一方の偏光を透過させ、且つ他方の偏光を遮る機構を説明する図である。
【図13】立体視用メガネの左目用透過部(第3実施形態)が、一方の偏光を透過させ、且つ他方の偏光を遮る機構を説明する図である。
【図14】立体視用メガネの透過部で使用される位相差板の位相差(3000nm)と、偏光の波長との関係を示す図である。
【図15】立体視用メガネの右目用透過部(第4実施形態)が、一方の偏光を透過させ、且つ他方の偏光を遮る機構を説明する図である。
【図16】立体視用メガネの左目用透過部(第4実施形態)が、一方の偏光を透過させ、且つ他方の偏光を遮る機構を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
《定義》
本発明に関して「可視光」は、人間の眼で認識できる光を意味するものとし、その波長の下限は約360〜400nmであり、且つその波長の上限は約760〜830nmである。したがって例えば、本発明に関して「可視光」は400nm〜760nmの波長の光を意味するものとする。
【0011】
本発明に関して「青色の波長領域」、「緑色の波長領域」及び「赤色の波長領域」は、それぞれ人間の眼で青色、緑色及び赤色として認識できる光の波長範囲を意味するものとし、特に混色したときに人間の眼にフルカラーを認識させることができる光の波長範囲を意味するものとする。したがって例えば、本発明に関して「青色の波長領域」、「緑色の波長領域」及び「赤色の波長領域」は、それぞれ400nm〜490nmの波長範囲、491〜590nmの波長範囲、及び591〜760nmの波長範囲を意味するものとする。
【0012】
《立体視用メガネ》
本発明の立体視用メガネは例えば、図1に示すようなものである。この図1で示す本発明の立体視用メガネ10は、右目用透過部11及び左目用透過部12を有する。また、この本発明の立体視用メガネ10は、右目用透過部11及び左目用透過部12がそれぞれ、可視光に対して少なくとも2つの透過ピーク波長、特に可視光に対して少なくとも3つの透過ピーク波長を有する。
【0013】
ここで、この可視光は、偏光であっても、非偏光であってよい。また、この可視光が、偏光である場合、この偏光は、特に直線偏光又は円偏光であってもよい。この場合、右目用透過部が透過ピーク波長を有する偏光と左目用透過部が透過ピーク波長を有する偏光とは、同じ方向の偏光であってよい。したがって例えば、右目用透過部が透過ピーク波長を有する直線偏光、及び左目用透過部が透過ピーク波長を有する直線偏光は、同じ方向の直線偏光であってよく、また右目用透過部が透過ピーク波長を有する円偏光、及び左目用透過部が透過ピーク波長を有する円偏光は、同じ回転方向の円偏光であってよい。
【0014】
この本発明の立体視用メガネ10では、右目用透過部11の透過ピーク波長と、左目用透過部の透過ピーク波長12とがずれている。
【0015】
ここで、隣り合う透過ピーク波長の差は、2nm以上、5nm以上、10nm以上、15nm以上、又は20nm以上にすることできる。それぞれの透過ピーク波長の差が小さすぎると、立体視用メガネの透過部による可視光の分離が充分に行えないことがある。
【0016】
また他方で、隣り合う透過ピーク波長の差は、100nm以下、80nm以下、60nm以下、又は50nm以下にすることができる。それぞれの透過ピーク波長の差が大きすぎると、全ての透過ピーク波長を可視光領域に入れることが難しくなることがあり、また右目で観察される映像の色合いと、左目で観察される映像の色合いとの差が大きくなり、自然な映像を認識することが難しくなることがある。
【0017】
すなわち例えば、本発明の立体視用メガネ10は、図2(a)に示すように右目用透過部11が、可視光に対して2つの透過ピーク波長B1及びG1を有し、図2(b)に示すように左目用透過部12が、可視光に対して2つの透過ピーク波長B2及びG2を有し、且つ右目用透過部11の透過ピーク波長B1及びG1と、左目用透過部の透過ピーク波長B2及びG2とがずれている。
【0018】
このような立体視用メガネは、右目用透過部11の2つの透過ピーク波長B1及びG1に対応する2つの波長の可視光で右目用映像を形成し、且つ左目用透過部12の2つの透過ピーク波長B2及びG2に対応する2つの波長の可視光で左目用映像を形成する立体視用映像形成装置と組み合わせて用いることができる。このような立体視用メガネと立体視用映像形成装置とを組み合わせて用いると、右目では右目用映像を観察し、且つ左目では左目用映像を観察することができる。すなわち、これによれば、右目と左目とで、それぞれ異なる映像を観察することができ、それによって両眼視差を利用して立体感を得ることができる。
【0019】
また例えば、本発明の立体視用メガネ10では、図3(a)に示すように、右目用透過部11が、可視光に対して3つの透過ピーク波長B1〜R1を有し、図3(b)に示すように左目用透過部12が、可視光に対して3つの透過ピーク波長B2〜R2を有し、且つ右目用透過部11の透過ピーク波長B1〜R1と、左目用透過部の透過ピーク波長B2〜R2とがずれている。
【0020】
図3で示される透過ピーク波長を有する立体視用メガネは、図2で示される透過ピーク波長を有する立体視用メガネの場合と同様に、右目と左目とで、異なる映像を観察することができ、それによって両眼視差を利用して立体感を得ることができる。
【0021】
また特に、図3で示される透過ピーク波長を有する立体視用メガネでは、右目と左目とで、それぞれ3つの波長の可視光で形成される異なる映像を観察することができる。したがって例えば、右目用透過部の3つの透過ピーク波長がそれぞれ、青色、緑色、及び赤色の波長領域に存在し、且つ左目用透過部の3つの透過ピーク波長がそれぞれ、青色、緑色、及び赤色の波長領域に存在するようにすることによって、右目用映像及び左目用映像をそれぞれフルカラーの映像とすることができる。
【0022】
なお、右目用透過部及び左目用透過部は、透過ピーク波長に関する上記の特徴を与えるための層に加えて、任意の他の層を有することができる。例えば右目用透過部及び左目用透過部は、それらの目側の表面、目側と反対側の表面、又は両方の表面に、例えばトリアセチルセルロース(TAC)やポリカーボネート(PC)などの保護層、ハードコート層、反射防止層などの機能層を有することができる。
【0023】
《立体視用メガネ−透過部の構成》
このような本発明の立体視用メガネの右目及び左目用透過部はそれぞれ、可視光に対して少なくとも2つの透過ピーク波長を有するための任意の構成を有することができる。
【0024】
《立体視用メガネ−透過部の構成−第1実施形態(偏光又は非偏光を利用)》
立体視用メガネの第1実施形態では、本発明の立体視用メガネの右目及び左目用透過部はそれぞれ、干渉フィルタを有することによって、可視光領域の偏光又は非偏光に対して少なくとも2つの透過ピーク波長を有することができる。ここで、「干渉フィルタ」は、光の波長程度の厚さの薄膜による干渉を利用して、所望の波長領域の光だけを通過又は反射させるフィルタとして知られるものである。また、干渉フィルタに関しては例えば、特開昭58−031307を参照することができる。
【0025】
《立体視用メガネ−透過部の構成−第2実施形態(直線偏光を利用)》
本発明の立体視用メガネの右目及び左目用透過部はそれぞれ、位相差板と偏光板とを有する積層体を有し、且つ偏光板が目側に配置されていることよって、可視光領域の偏光に対して少なくとも2つの透過ピーク波長を有することができる。なお、右目及び左目用透過部のための位相差板及び偏光板はいずれも、有機材料、無機材料、又は有機−無機複合材料、特に有機材料、より特に高分子材料で作ることができる。また、位相差板は、単独の位相差板から構成されていても、複数の位相差板の積層体から構成されていてもよい。また更に、偏光板は、単独の層から構成されていても、複数の層の積層体から構成されていてもよい。
【0026】
これに関し、立体視用メガネの第2実施形態では、本発明の立体視用メガネの右目用透過部11は、図4に示すように、位相差板11aと偏光板11bとを有する積層体であり、且つ偏光板11bが目側に配置されている。
【0027】
この右目用透過部11では、位相差板11aによって、短波長側から長波長側に異なる波長を有する直線偏光B1、B2、G1、G2、R1及びR2に対して、直線偏光B1、G1及びR1の偏光方向を維持し、且つ直線偏光B2、G2及びR2の偏光方向を入射光に対して90度回転させる。その後、この右目用透過部11では、偏光板11bによって、見かけ上の偏光方向が維持された直線偏光B1、G1及びR1を透過させ、且つ偏光方向が90度回転した直線偏光B2、G2及びR2を遮蔽する(「遮蔽」は「吸収」及び「反射」の両方を含むものとする)。すなわち、右目用透過部11を透過して右目201で観察される映像は、直線偏光B1、G1及びR1で形成される映像となる。
【0028】
同様にこの実施形態では、本発明の立体視用メガネの左目用透過部12は、図5に示すように、位相差板12aと偏光板12bとを有する積層体であり、且つ偏光板12bが目側に配置されている。
【0029】
この左目用透過部12では、位相差板12aによって、位相差板11aと同様に、直線偏光B1、G1及びR1の偏光方向を維持し、且つ直線偏光B2、G2及びR2の偏光方向を入射光に対して90度回転させる。その後、この左目用透過部12では、位相差板12bによって、見かけ上の偏光方向が維持された直線偏光B1、G1及びR1を遮蔽し、且つ偏光方向が90度回転した直線偏光B2、G2及びR2を透過させる。すなわち、左目用透過部12を透過して左目202で観察される映像は、直線偏光B2、G2及びR2で形成される映像となる。
【0030】
図4及び5で示す実施形態でのように、透過部の位相差板が、異なる波長を有する可視光領域の複数の直線偏光のうちの一方の偏光の偏光方向を維持し、且つ他方の偏光の直線偏光方向を入射光に対して90度回転させるためには、位相差板の位相差が、偏光方向を維持される直線偏光の波長のn倍(nは0又は正の整数、以下同じ)であり、且つ偏光方向を入射光に対して90度回転される直線偏光の波長のn+1/2倍であることが必要である。これは、位相差板の位相差が、直線偏光の波長のn倍である場合には、直線偏光は偏光方向が変化せず、また位相差板の位相差が、直線偏光の波長のn+1/2倍である場合には、直線偏光は偏光方向が90度回転することによる。
【0031】
これに関して、透過部の位相差板の位相差が、400nm〜800nmの波長範囲で5000nmとした場合の偏光の波長と位相差との関係を図6に示す。図6において、実線は、「位相差板の位相差/偏光の波長」(左軸)を示しており、また点線は、「位相差板の位相差(nm)」(右軸)を示している。
【0032】
この場合、位相差の値(5000nm)は、417nmの波長の12倍、455nmの波長の11倍、500nmの波長の10倍、556nmの波長の9倍、625nmの波長の8倍、且つ714nmの波長の7倍となり、したがってこれらの波長の直線偏光は、偏光方向を維持される。また、この位相差の値(5000nm)は、400nmの波長の12.5倍(すなわち12+1/2倍)、435nmの波長の11.5倍倍、476nmの波長の10.5倍、526nmの波長の9.5倍、588nmの波長の8.5倍、667nmの波長の7.5倍、且つ769nmの波長の6.5倍なり、したがってこれらの波長の直線偏光は、偏光方向が90度回転する。
【0033】
位相差が5000nmであるこのような位相差板を偏光板と組み合わせて本発明の立体視用メガネの透過部とする場合例えば、偏光方向が維持される波長417nm、500nm及び625nmの直線偏光を、右目で観察される映像を形成するための偏光B1、G1及びR1(図4)とし、且つ偏光方向が90度回転する波長435nm、526nm及び667nmの直線偏光を、左目で観察される映像を形成するための偏光B2、G2及びR2(図5)とすることができる。
【0034】
偏光板と組み合わせて使用される位相差板は、本発明の立体視用メガネの右目及び左目用透過部を形成できる任意の位相差板であってよい。したがって例えば、この位相差板は、右目及び左目用透過部が所望の透過ピーク波長を有するように、任意の大きさの位相差を有することができる。参考までに、位相差板の位相差が2200nm及び10000nmの場合の波長と位相差との関係を図7及び8に示す。
【0035】
なお、図6〜8では、説明を簡単にするために、位相差板が400nm〜800nmの波長範囲において一定の位相差を有するものとした。しかしながら、実際の位相差板では、位相差は波長毎に異なっており、一般的には、短い波長の光に対する位相差が、長い波長の光に対する位相差よりも大きくなっている。すなわち、実際の位相差板を用いたときの波長と位相差との関係は一般に、図9で示すようなものである。
【0036】
したがって、偏光板と組み合わせて使用される位相差板の選択は、位相差板の位相差のみでなく、位相差の波長依存性(「波長分散性」とも言う)も考慮して行うことができる。このような位相差の波長依存性は、位相差板を構成する材料を選択することによって調節でき、例えば位相差板を積層すること、位相差板が高分子材料でできている場合には、この高分子材料を共重合体、高分子ブレンド等にすることによって調節できる。
【0037】
《立体視用メガネ−透過部の構成−第2実施形態(直線偏光を利用)の変形》
なお、上記の説明では、右目用透過部を構成する位相差板の位相差と、左目用透過部を構成する位相差板の位相差とを同じにしてきた。すなわち、上記の説明においては、右目用透過部を構成する位相差板と左目用透過部を構成する位相差板とを同じにし、これらの位相差板に積層する偏光板の透過軸を、右目用透過部と左目用透過部とで異ならせてきた。しかしながら当然に、右目用透過部を構成する位相差板の位相差と、左目用透過部を構成する位相差板の位相差とは異なっていてもよい。
【0038】
右目用透過部を構成する位相差板の位相差と、左目用透過部を構成する位相差板の位相差とを異で異ならせる場合、本発明の立体視用メガネの右目用透過部11は、図10に示すように、位相差板11aと偏光板11bとを有する積層体であり、且つ偏光板11bが目側に配置されている。
【0039】
この右目用透過部11では、位相差板11aによって、短波長側から長波長側に異なる波長を有する直線偏光B1、B2、G1、G2、R1及びR2に対して、直線偏光B1、G1及びR1の偏光方向を維持し、且つ直線偏光B2、G2及びR2の偏光方向を入射光に対して90度回転させる。その後、この右目用透過部11では、偏光板11bによって、偏光方向が維持された直線偏光B1、G1及びR1を透過させ、且つ偏光方向が90度回転した直線偏光B2、G2及びR2を遮蔽する。すなわち、右目用透過部11を透過して右目201で観察される映像は、直線偏光B1、G1及びR1で形成される映像となる。
【0040】
またこの場合、本発明の立体視用メガネの左目用透過部12は、図11に示すように、位相差板12aと偏光板12bとを有する積層体であり、且つ偏光板12bが目側に配置されている。この左目用透過部12では、位相差板12aによって、直線偏光B1、G1及びR1の偏光方向を入射光に対して90度回転させ、且つ直線偏光B2、G2及びR2の偏光方向を維持する。その後、この左目用透過部12では、位相差板12bによって、偏光方向が90度回転した直線偏光B1、G1及びR1を遮蔽し、且つ偏光方向が維持された直線偏光B2、G2及びR2を透過させる。すなわち、左目用透過部12を透過して左目202で観察される映像は、直線偏光B2、G2及びR2で形成される映像となる。
【0041】
《立体視用メガネ−透過部の構成−第3実施形態(円偏光を利用)》
上記記載のように、本発明の立体視用メガネの右目及び左目用透過部はそれぞれ、位相差板と偏光板とを有する積層体を有し、且つ偏光板が目側に配置されていることよって、可視光領域の偏光に対して少なくとも2つの透過ピーク波長を有することができる。
【0042】
これに関し、立体視用メガネの第3実施形態では、本発明の立体視用メガネの右目用透過部11は、図12に示すように、位相差板11aと偏光板11bとを有する積層体であり、且つ偏光板11bが目側に配置されている。
【0043】
この右目用透過部11では、位相差板11aによって、短波長側から長波長側に異なる波長を有する円偏光B1’、B2’、G1’、G2’、R1’及びR2’に対して、円偏光B1’、G1’及びR1’を、第1の偏光方向の直線偏光に変換し、且つ円偏光B2’、G2’及びR2’を、第1の偏光方向の偏光方向とは垂直方向の第2の偏光方向の直線偏光に変換する。その後、この右目用透過部11では、偏光板11bによって、第1の偏光方向の直線偏光に変換された円偏光B1’、G1’及びR1’を透過させ、且つ第2の偏光方向の直線偏光に変換された円偏光B2’、G2’及びR2’を遮蔽する。すなわち、右目用透過部11を透過して右目201で観察される映像は、円偏光B1’、G1’及びR1’で形成される映像となる。
【0044】
同様にこの実施形態では、本発明の立体視用メガネの左目用透過部12は、図11に示すように、位相差板12aと偏光板12bとを有する積層体であり、且つ偏光板12bが目側に配置されている。
【0045】
この左目用透過部12では、位相差板12aによって、位相差板11aと同様に、円偏光B1’、G1’及びR1’を、第1の偏光方向の直線偏光に変換し、且つ偏光B2、G2及びR2を、第1の偏光方向の偏光方向とは垂直方向の第2の偏光方向の直線偏光に変換する。その後、この左目用透過部12では、位相差板12bによって、第1の偏光方向の直線偏光に変換された円偏光B1’、G1’及びR1’を遮蔽し、且つ第2の偏光方向の直線偏光に変換された円偏光B2’、G2’及びR2’を透過させる。すなわち、左目用透過部12を透過して左目202で観察される映像は、円偏光B2’、G2’及びR2’で形成される映像となる。
【0046】
図12及び13で示す実施形態のように、透過部の位相差板が、異なる波長を有する可視光領域の複数の円偏光のうちの一方の円偏光の偏光方向を、第1の偏光方向の直線偏光に変換し、且つ他方の円偏光の偏光方向を、第1の偏光方向の偏光方向とは垂直方向の第2の偏光方向の直線偏光に変換するためには、位相差板の位相差が、第1の偏光方向に偏光に変換される円偏光の波長のn+1/4倍(nは0又は正の整数、以下同じ)であり、且つ第2の偏光方向に偏光に変換される円偏光の波長のn+3/4倍であることが必要である。これは、位相差板の位相差が円偏光の波長のn+1/4倍である場合、及び位相差板の位相差が円偏光の波長のn+3/4倍である場合には、円偏光が、直線偏光に変換され、これらの場合に得られる直線偏光の偏光方向は互いに直交することによる。なお、参考までに、位相差板の位相差が円偏光の波長のn+1/2倍である場合には、円偏光は、反対向きの回転方向を有する円偏光に変換される。
【0047】
これに関して、透過部の位相差板の位相差が、400nm〜800nmの波長範囲で3000nmとした場合の偏光の波長と位相差との関係を図14に示す。図14において、実線は、「位相差板の位相差/偏光の波長」(左軸)を示しており、また二点破線は、n+1/4、及びn+3/4を示している。
【0048】
この場合、位相差の値(3000nm)は、444nmの波長の6.75倍(すなわち6+3/4倍)、522nmの波長の5.75倍、632nmの波長の4.75倍、且つ800nmの波長の3.75倍となり、これらの波長の円偏光は、第1の偏光方向の直線偏光に変換される。また、この位相差の値(3000nm)は、414nmの波長の7.25倍(すなわち7+1/4倍)、480nmの波長の6.25倍、571nmの波長の5.25倍、且つ706nmの波長の4.25倍となり、これらの波長の円偏光は、第1の偏光方向に対して垂直方向の第2の偏光方向の直線偏光に変換される。
【0049】
位相差が3000nmであるこのような位相差板を偏光板と組み合わせて本発明の立体視用メガネの透過部とする場合例えば、第1の偏光方向の直線偏光に変換される波長444nm、522nm及び623nmの円偏光を、右目で観察される映像を形成するための円偏光B1’、G1’及びR1’(図12)とし、且つ第2の偏光方向の直線偏光に変換される波長480nm、571nm及び706nmの円偏光を、左目で観察される映像を形成するための円偏光B2’、G2’及びR2’(図13)とすることができる。
【0050】
偏光板と組み合わせて使用される位相差板は、本発明の立体視用メガネの右目及び左目用透過部を形成できる任意の位相差板であってよい。したがって例えば、この位相差板は、右目及び左目用透過部が所望の透過ピーク波長を有するように、任意の大きさの位相差を有することができる。
【0051】
なお、位相差板及び位相差についての説明については、第2実施形態に関する説明を参照できる。また、第2実施形態の場合と同様に、右目用透過部を構成する位相差板の位相差と、左目用透過部を構成する位相差板の位相差とは異なっていてもよい。
【0052】
《立体視用メガネ−透過部の構成−第4実施形態(円偏光を利用)》
本発明の立体視用メガネでは、右目用透過部が、右目用透過部の少なくとも2つの透過ピーク波長に対応する波長以外の円偏光を選択的に反射する円偏光選択反射板を有し、且つ左目用透過部が、左目用透過部の少なくとも2つの透過ピーク波長に対応する波長以外の円偏光を選択的に反射する円偏光選択反射板を有することによって、右目用透過部及び左目用透過部がそれぞれ、少なくとも2つの透過ピーク波長を有することができる。
【0053】
したがって第4実施形態では、本発明の立体視用メガネの右目用透過部11は、図15に示すように、短波長側から長波長側に異なる波長を有する円偏光B1’、B2’、G1’、G2’、R1’及びR2’に対して、円偏光B1’、G1’及びR1’を透過させ、且つ円偏光B2’、G2’及びR2’を遮蔽する。すなわち、右目用透過部11を透過して右目201で観察される映像は、円偏光B1’、G1’及びR1’で形成される映像となる。
【0054】
同様にこの実施形態では、本発明の立体視用メガネの左目用透過部12は、図16に示すように、円偏光B1’、G1’及びR1’を遮蔽し、且つ円偏光B2’、G2’及びR2’を透過させる。すなわち、左目用透過部12を透過して左目202で観察される映像は、円偏光B2’、G2’及びR2’で形成される映像となる。
【0055】
図15及び16で示す実施形態でのような透過部を得るために用いられる円偏光選択反射板、すなわち特定の波長以外の円偏光を選択的に反射する円偏光選択反射板としては、反射する円偏光の波長に相当するらせん状分子構造を有する透明構造体、すなわち例えばコレステリック液晶板を用いることができる。
【0056】
ここで、このコレステリック液晶板のような円偏光選択反射板は、一方の回転方向の円偏光を反射し、且つ他方の回転方向の円偏光を透過させる材料として、一般に知られている。しかしながら、このような円偏光選択反射板は、円偏光の回転方向に対する選択性を有するだけでなく、波長選択性も有する。すなわち、同じ回転方向の円偏光でも、円偏光選択反射板のらせん状分子構造に相当する波長の円偏光を強く反射し、これとは異なる波長の円偏光を比較的透過させる。したがって、円偏光選択反射板、特に複数の円偏光選択反射板を有する積層体によって、特定の波長以外の円偏光を選択的に反射する円偏光選択反射板を得ることができる。
【0057】
《立体視用映像形成装置》
本発明の立体視用映像形成装置は、少なくとも2つの波長の可視光、特に少なくとも3つの波長の可視光で右目用映像を形成し、且つ少なくとも2つの波長の可視光、特に少なくとも3つの波長の可視光で左目用映像を形成する立体視用映像形成装置である。ここで、右目用映像を形成する可視光の波長は、左目用映像を形成する可視光の波長とずれている。
【0058】
したがって例えば、隣り合う可視光の波長の差は、2nm以上、5nm以上、10nm以上、15nm以上、又は20nm以上にすることできる。それぞれの可視光の波長の差が小さすぎると、この映像形成装置を本発明の立体視用メガネと組み合わせて使用したときに、立体視用メガネの透過部による可視光の分離が充分に行えないことがある。
【0059】
また他方で、隣り合う可視光の波長の差は、100nm以下、80nm以下、60nm以下、又は50nm以下にすることができる。それぞれの波長の差が大きすぎると、この映像形成装置を本発明の立体視用メガネと組み合わせて使用したときに、本発明の立体視用メガネを通して右目で観察される映像の色合いと左目で観察される映像の色合いとの差が大きくなり、自然な映像を認識することが難しくなることがある。
【0060】
図1に示すように、この本発明の立体視用映像形成装置20は、本発明の立体視用メガネ10と組み合わせて用いることによって、右目では、少なくとも2つの波長の可視光で形成される右目用映像を観察し、且つ左目では、少なくとも2つの波長の可視光で形成される左目用映像を観察することができる。すなわち、これによれば、右目と左目とで、それぞれ異なる映像を観察することができ、それによって両眼視差を利用して立体感を得ることができる。
【0061】
立体視用映像形成装置は例えば、右目用映像及び左目用映像を形成する可視光の波長に対応するカラーフィルタを有する映像形成装置である。また特に、この可視光が偏光である場合、立体視用映像形成装置は例えば、右目用映像及び左目用映像を形成する偏光の波長に対応するカラーフィルタを有する液晶型映像形成装置、すなわち二次元光学スイッチとして液晶素子を用いた映像形成装置である。この液晶型映像形成装置としては、液晶プロジェクタ液晶、ディスプレイなどを挙げることができる。
【0062】
一般的な映像形成装置が、青色、緑色及び赤色の3色のカラーフィルタを用いてフルカラーの映像を作っているのに対して、本発明の立体視用映像形成装置では、右目用映像及び左目用映像を形成する自然光の波長に対応するカラーフィルタを有することができる。すなわち、例えば、本発明の立体視用映像形成装置が、2つの波長の可視光で右目用映像を形成し、且つ2つの波長の可視光で左目用映像を形成する場合、本発明の立体視用映像形成装置は、合計で4つのこれらの波長に対応するカラーフィルタを有することができる。
【0063】
また、例えば本発明の立体視用映像形成装置が、それぞれ青色、緑色、及び赤色の波長領域の3つの波長の可視光で右目用映像を形成し、且つそれぞれ青色、緑色、及び赤色の波長領域の3つの波長の可視光で左目用映像を形成する場合、本発明の立体視用映像形成装置は、合計で6つのこれらの波長に対応するカラーフィルタを有することができる。
【0064】
当然に、本発明の立体視用映像形成装置を、複数の映像形成装置から構成することもできる。すなわち例えば右目用映像を一方の映像プロジェクタで形成し、且つ左目用映像を他方の映像プロジェクタで形成することもできる。
【0065】
なお、立体視用映像形成装置において偏光によって映像を形成する場合は、この偏光は、直線偏光であっても、円偏光であってもよい。この偏光が直線偏光である場合には、液晶型映像形成装置で得られる直線偏光をそのまま用いることができる。また、この偏光が円偏光である場合には、液晶型映像形成装置で得られる直線偏光を、円偏光板(すなわち例えば1/4波長分又は3/4波長分の位相差を有する位相差板)によって円偏光に変換することができる。
【0066】
《立体視システム》
図1に示すように、本発明の立体視システム100は、本発明の立体視用メガネ10及び本発明の立体視用映像形成装置20を有する。
【0067】
本発明の立体視システムでは、本発明の立体視用映像形成装置において、少なくとも2つの波長の可視光で右目用映像を形成し、且つ少なくとも2つの波長の可視光で左目用映像を形成する。またこのような本発明の立体視システムでは、本発明の立体視用メガネの右目用透過部によって、右目用映像を透過させ、且つ左目用映像を遮蔽し、また本発明の立体視用メガネの左目用透過部によって、左目用映像を透過させ、且つ右目用映像を遮蔽する。これによれば、本発明の立体視システムでは、右目で右目用映像を観察し、且つ左目で左目用映像を観察することができ、それによって両眼視差を利用して立体感を得ることができる。
【符号の説明】
【0068】
10 立体視用メガネ
11 右目用透過部
11a 位相差板
11b 偏光板
12 左目用透過部
12a 位相差板
12b 偏光板
20 立体視用映像形成装置
100 立体視システム
201 右目
202 左目
B1、B2、G1、G2、R1、R2 直線偏光
B1’、B2’、G1’、G2’、R1’、R2’ 円偏光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
右目用透過部及び左目用透過部を有する立体視用メガネであって、
前記右目用透過部及び前記左目用透過部がそれぞれ、可視光に対して少なくとも2つの透過ピーク波長を有し、
前記右目用透過部の透過ピーク波長と、前記左目用透過部の透過ピーク波長とがずれている、
立体視用メガネ。
【請求項2】
前記右目用透過部及び前記左目用透過部がそれぞれ、可視光に対して少なくとも3つの透過ピーク波長を有する、請求項1に記載の立体視用メガネ。
【請求項3】
前記右目用透過部の3つの透過ピーク波長がそれぞれ、青色、緑色、及び赤色の波長領域に存在し、且つ前記左目用透過部の3つの透過ピーク波長がそれぞれ、青色、緑色、及び赤色の波長領域に存在する、請求項2に記載の立体視用メガネ。
【請求項4】
前記右目用透過部及び前記左目用透過部がそれぞれ、干渉フィルタを有する、請求項1〜3のいずれかに記載の立体視用メガネ。
【請求項5】
前記可視光が偏光である、請求項1に記載の立体視用メガネ。
【請求項6】
前記右目用透過部及び前記左目用透過部がそれぞれ、位相差板と偏光板とを有する積層体であり、且つ前記偏光板が目側に配置されている、請求項5に記載の立体視用メガネ。
【請求項7】
前記位相差板の位相差が、前記右目用透過部及び前記左目用透過部の一方の少なくとも2つの透過ピーク波長の約n倍(nは0又は正の整数)であり、且つ前記右目用透過部及び前記左目用透過部の他方の少なくとも2つの透過ピーク波長の約n+1/2倍(nは0又は正の整数)である、請求項6に記載の立体視用メガネ。
【請求項8】
前記位相差板の位相差が、前記右目用透過部及び前記左目用透過部の一方の少なくとも2つの透過ピーク波長の約n倍(nは0又は正の整数)であり、且つ前記右目用透過部及び前記左目用透過部の他方の少なくとも2つの透過ピーク波長の約n倍(nは0又は正の整数)である、請求項6に記載の立体視用メガネ。
【請求項9】
前記位相差板の位相差が、前記右目用透過部及び前記左目用透過部の一方の少なくとも2つの透過ピーク波長の約n+1/4倍(nは0又は正の整数)であり、且つ前記右目用透過部及び前記左目用透過部の他方の少なくとも2つの透過ピーク波長の約n+3/4倍(nは0又は正の整数)である、請求項6に記載の立体視用メガネ。
【請求項10】
前記右目用透過部が、前記右目用透過部の少なくとも2つの透過ピーク波長に対応する波長以外の円偏光を選択的に反射する円偏光選択反射板を有し、且つ前記左目用透過部が、前記左目用透過部の少なくとも2つの透過ピーク波長に対応する波長以外の円偏光を選択的に反射する円偏光選択反射板を有する、請求項6に記載の立体視用メガネ。
【請求項11】
少なくとも2つの波長の可視光で右目用映像を形成し、
少なくとも2つの波長の可視光で左目用映像を形成し、且つ
前記右目用映像を形成する可視光の波長が、前記左目用映像を形成する可視光の波長とずれている、
立体視用映像形成装置。
【請求項12】
少なくとも3つの波長の可視光で右目用映像を形成し、且つ
少なくとも3つの波長の可視光で左目用映像を形成する、
請求項11に記載の立体視用映像形成装置。
【請求項13】
前記右目用映像及び前記左目用映像を形成する可視光の波長に対応するカラーフィルタを有する液晶型映像形成装置である、請求項11又は12に記載の立体視用映像形成装置。
【請求項14】
前記可視光が偏光である、請求項11〜13のいずれかに記載の立体視用映像形成装置。
【請求項15】
前記右目用映像を形成する可視光領域の偏光と前記左目用映像を形成する可視光領域の偏光とが、同じ方向の直線偏光又は同じ回転方向の円偏光である、請求項14に記載の立体視用映像形成装置。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれかに記載の立体視用メガネ、及び請求項11〜15のいずれかに記載の立体視用映像形成装置を有する、立体視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−217752(P2010−217752A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66652(P2009−66652)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】