説明

立体視画像表示装置および表示方法

【課題】立体画像表示において、簡単な装置構成で観察者の疲労を正確に把握して観察者の疲労増加を抑制する。
【解決手段】モニタ画面43a,43bの輝度またはコントラストの調整を受け付け、モニタ画面43a,43bの輝度またはコントラストの調整履歴を記録し、モニタ画面43a,43bの輝度またはコントラストの調整回数が所定回数を越えた場合、画面表示および/または音声による警告を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は立体視画像表示装置およびその方法に関する。より詳しくは、異なる2つの撮影方向から被写体を放射線撮影して得られた2つの放射線画像データを用いて表示画面に被写体の立体視画像を表示する立体視画像表示装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、視差を有する2つの画像を組み合わせて表示することにより、立体視できることが知られている。このような立体視できる画像(以下、立体視画像という)は、同一の被写体を互いに異なる2つの撮影方向から撮影して得られた視差のある2つの画像データに基づいて表示される。このような立体視画像の生成は、デジタルカメラやテレビ等の分野だけでなく、放射線撮影の分野においても利用されている。
【0003】
すなわち被写体に対して互いに異なる2つの撮影方向から放射線を照射し、その被写体を透過した放射線を放射線検出器によりそれぞれ検出して視差のある2つの放射線画像データを取得して立体視画像を表示することが行われている。このような立体視画像を用いることにより、奥行き感のある放射線画像を観察することが可能となり、診断をより行いやすくできる。
【0004】
ところで、このような立体視画像の立体視は、互いに視差を有する2つの画像を脳内で合成して立体視画像として認識することにより行われる。したがって、観察者は、両眼で異なった視覚像を知覚する現象(両眼の視野闘争)を抑えながら立体視画像の立体視を行うため、疲労を感じやすい傾向がある。
【0005】
特許文献1には、観察者の瞬目、瞳孔径等の観察者情報を計測することで観察者の疲労を検出し、視差量や表示サイズを調整する立体視画像表示装置が提案されている。また、特許文献2には、立体感の強弱を示す立体強度に基づいて表示時間ともに増加する累積強度を算出し、累積強度が所定の閾値を越える場合に警告を表示する立体視画像表示装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−289527号公報
【特許文献2】特開2004−207773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に提案される技術は、観察者の疲労を検出するために観察者の身体情報を取得する必要があり、装置構成が複雑になる虞がある。また、前述のとおり、立体視画像の立体視は観察者の脳内で行われるため、観察者の慣れや得意不得意によって左右されるとともに、疲労の感じやすさも観察者によってばらつきがある。すなわち特許文献2に提案される技術では、観察者の疲労を正確に検出できない虞がある。
【0008】
ところで、一般的に、観察者は、立体視画像の立体視によって疲労してくると、この疲労を緩和するために表示画面の輝度やコントラストを調整する傾向がある。したがって、観察者の疲労の増加にともない、観察者による表示画面の輝度やコントラストの調整回数も増加するという傾向がある。
【0009】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、簡単な装置構成で観察者の疲労を正確に把握して観察者の疲労増加を抑制する立体視画像表示装置およびその方法を提供することである
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の立体視画像表示装置は、異なる2つの撮影方向から被写体を放射線撮影して得られた2つの放射線画像データを用いて表示画面に被写体の立体視画像を表示する表示部と、表示画面の輝度またはコントラストの調整を受け付ける画面調整手段と、輝度またはコントラストの調整履歴を記録する調整履歴記録手段と、輝度またはコントラストの調整が所定回数を越えて行われた場合、画面表示および/または音声による警告を発する警告手段とを備えていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の立体視画像表示装置は、表示画面の輝度またはコントラストを制御する画面制御手段を備え、画面制御手段が、輝度またはコントラストの調整回数が所定回数を越えた場合、表示画面の輝度またはコントラストの少なくともいずれか一方を低くするものであってもよい。ここで、本発明の立体視画像表示装置における「輝度またはコントラストの少なくともいずれか一方を低くする」とは、輝度またはコントラストの少なくとも一方の設定値が現在の設定値よりも低くなるように変更することを意味する。
【0012】
また、本発明の立体視画像表示装置は、画面制御手段が、輝度またはコントラストの調整間隔が所定時間以下の場合、表示画面の輝度またはコントラストの少なくともいずれか一方を低くするものであってもよい。ここで、本発明の立体視画像表示装置における「調整間隔」とは、前回の調整が行われてから今回の調整が行われるまでの時間を意味する。
【0013】
また、本発明の立体視画像表示装置は、警告手段が、輝度またはコントラストの調整間隔が所定時間以下の場合にも、警告を発するものであってもよい。また、本発明の立体視画像表示装置は、画面調整手段が、輝度またはコントラストの調整回数が所定回数を越えた場合、以後に受け付ける調整を無効にするものであってもよい。また、本発明の立体視画像表示装置は、画面調整手段が、輝度またはコントラストの調整間隔が所定時間以下の場合、以後に受け付ける調整を無効にするものであってもよい。
【0014】
本発明の立体視画像表示装置の表示方法は、異なる2つの撮影方向から被写体を放射線撮影して得られた2つの放射線画像データを用いて表示画面に被写体の立体視画像を表示する立体画像表示装置の表示方法において、表示画面の輝度またはコントラストの調整を受け付け、表示画面の輝度またはコントラストの調整履歴を記録し、表示画面の輝度またはコントラストの調整回数が所定回数を越えた場合、画面表示および/または音声による警告を発することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の立体視画像表示装置およびその表示方法によれば、表示画面の輝度またはコントラストの調整を受け付け、表示画面の輝度またはコントラストの調整履歴を記録し、表示画面の輝度またはコントラストの調整回数が所定回数を越えた場合、画面表示および/または音声による警告を発することにより、観察者による表示画面の輝度またはコントラストの調整を記録するという、簡単な装置構成で立体視中の観察者情報を取得できるとともに、観察者情報に基づいて観察者の疲労を正確に検出して警告を発することで観察者の疲労増加を抑制できる。
【0016】
また、本発明の立体視画像表示装置によれば、輝度またはコントラストの調整回数が所定回数を越えた場合、表示画面の輝度またはコントラストの少なくともいずれか一方を低くするため、調整回数が所定回数を越えた後の立体視による観察者の負担が軽減されて観察者の疲労増加を抑制できる。
【0017】
また、本発明の立体視画像表示装置によれば、輝度またはコントラストの調整回数が所定回数を越えた場合、以後に受け付ける調整を無効にするため、調整回数が所定回数を越えた後、観察者による輝度またはコントラストの少なくともいずれか一方を高くするような調整が防止され、観察者の疲労増加を抑制できる。
【0018】
また、本発明の立体視画像表示装置によれば、警告手段が、表示画面の輝度またはコントラストの調整間隔が所定時間以下の場合にも、警告を発するため、観察者の疲労をより正確に検出して観察者の疲労増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】放射線撮影表示システムの概略構成図
【図2】放射線撮影装置の一部正面図
【図3】立体視画像表示装置の概略構成図
【図4】輝度またはコントラストの調整に関する一連の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る立体視画像表示装置の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態である立体視画像表示装置を用いた放射線撮影表示システムの概略構成図である。この放射線撮影表示システム1は、被写体である乳房Mを互いに異なる2つの撮影方向から放射線撮影し、乳房Mの放射線画像を立体表示するものである。放射線撮影表示システム1は、図1に示すように、放射線撮影装置10および立体視画像表示装置40から構成されている。
【0021】
最初に、放射線撮影装置10について説明する。放射線撮影装置10は、乳房Mに互いに異なる2つの撮影方向から放射線を照射することで3次元撮影を行い、乳房Mの立体表示用の放射線画像G3を取得し、この放射線画像G3の放射線画像データを格納した画像ファイルGFを立体視画像表示装置40に送信するものである。
【0022】
放射線撮影装置10は、図1に示すように、基台11と、基台11に対して上下方向(Z方向)に移動可能であり、且つ回転可能な回転軸12と、回転軸12により基台11と連結されたアーム部13とを備えている。
【0023】
アーム部13はCの形をしており、その一端には撮影台14が、その他端には撮影台14と対向するように放射線照射部16が取り付けられている。アーム部13の回転および上下方向の移動は、基台11に組み込まれたアームコントローラ31により制御される。
【0024】
撮影台14の内部には、フラットパネルディテクタ等の放射線検出器15と、放射線検出器15からの電荷信号の読み出しを制御する検出器コントローラ33が備えられている。また、撮影台14の内部には、放射線検出器15から読み出された電荷信号を電圧信号に変換するチャージアンプや、チャージアンプから出力された電圧信号をサンプリングする相関二重サンプリング回路や、電圧信号をデジタル信号に変換するA/D変換部等も設けられた回路基板等も備えられている。
【0025】
また、撮影台14はアーム部13に対し回転可能に構成されているが、3次元撮影のときには基台11に対してアーム部13が回転した場合でも、撮影台14の向きは基台11に対し固定された向きにできる。
【0026】
放射線検出器15は、電荷信号の記録と読み出しを繰り返して行うことができるものであり、放射線の照射を直接受けて電荷を発生する、いわゆる直接型の放射線画像検出器を用いてもよいし、放射線を一旦可視光に変換し、その可視光を電気信号に変換する、いわゆる間接型の放射線画像の検出器を用いるようにしてもよい。
【0027】
また、電荷信号の読出方式としては、TFT(thin film transistor)スイッチをオン・オフさせることによって電荷信号が読み出される、いわゆるTFT読出方式のものを用いることが望ましいが、これに限らずその他のものを用いるようにしてもよい。
【0028】
放射線照射部16の内部には放射線源17と、放射線源コントローラ32が格納されている。放射線源コントローラ32は、放射線源17から放射線を照射するタイミングと、放射線源17における放射線発生条件(管電流(mA)、照射時間(ms)、管電圧(kV)等)を制御するものであってもよい。また、アーム部13の中央部には、撮影台14の上方に配置されて乳房Mを押さえつけて圧迫する圧迫板18と、その圧迫板18を支持する支持部20と、支持部20を上下方向(Z方向)に移動させる移動機構19とが設けられている。圧迫板18の位置、圧迫厚は、圧迫板コントローラ34により制御される。
【0029】
制御部30は、中央処理装置(CPU)、半導体メモリやハードディスクやSSD等のストレージデバイス、入力部30aを備えている。制御部30は、各種のコントローラ31〜34に対して所定の制御信号を出力し、放射線撮影装置10の全体の制御を行うものである。そして、制御部30は、3次元撮影によって放射線検出器15で検出された電荷信号に所定の信号処理を施した放射線画像データを画像ファイルGFに格納して立体視画像表示装置40に送信する。
【0030】
入力部30aは、たとえば、キーボードやマウス等のポインティングデバイスから構成されるものであり、CC(頭尾方向)や、MLO(内外斜位方向)等の撮影種類や、3次元撮影における、アーム部13が放射線検出器15の検出面15aに垂直な方向に対してなす角度である撮影角度θを含む撮影条件の入力や撮影開始の入力を受け付けるものである。
【0031】
図2は放射線撮影装置10の一部正面図である。放射線撮影装置10の作用について、図1および図2を用いて説明する。まず、撮影台14の上に乳房Mが設置され、圧迫板18により乳房Mを所定の圧力で圧迫する。
【0032】
次に、入力部30aにおいて、撮影者による乳房Mの撮影指示が入力されて撮影が開始する。制御部30は入力された撮影種類を読み出し、撮影種類の情報をアームコントローラ31に出力する。なお、本実施形態においては、撮影種類としてCC(頭尾方向)が入力されたものとするが、特に限定されるものではない。
【0033】
制御部30は3次元撮影における互いに異なる2つの撮影角度θの組み合わせを読み出し、一方の撮影角度θの情報をアームコントローラ31に出力する。本実施形態において、撮影角度θは、図2示すように時計回りを正方向、反時計回りを負方向とする。なお、本実施形態においては、撮影角度θ=0°および+4°が入力されたものとするが、特に限定されるものではないが、2つの撮影方向のなす角度が、視差に対応するように2°〜8°の範囲となるように、撮影角度θの組み合わせが入力されることが望ましい。
【0034】
そして、アームコントローラ31が、制御部30から出力された撮影種類および撮影角度θ=0°の情報を受け付け、アーム部13が、図2に示すように、検出面15aに垂直となる制御信号を出力する。
【0035】
そして、アームコントローラ31から出力された制御信号に応じてアーム部13が検出面15aに対して0°となる状態において、制御部30は、放射線源コントローラ32および検出器コントローラ33に対して放射線の照射と放射線画像G3を構成する右眼用画像GRの放射線画像データDRの読み出しを行うように制御信号を出力する。
【0036】
この制御信号に応じて、放射線源17が放射線を照射し、放射線検出器15が照射された放射線を検出し、検出器コントローラ33によって放射線検出器15から電荷信号が読み出される。制御部30が、この電荷信号に所定の信号処理を施して右眼用画像GRの放射線画像データDRを記憶する。
【0037】
次に、アームコントローラ31が、制御部30から出力された撮影角度θ=+4°の情報に基づき、アーム部13が、図2に示すように、検出面15aに垂直な方向に対して+4°傾くような制御信号を出力する。
【0038】
そして、アームコントローラ31から出力された制御信号に応じてアーム部13が検出面15aに対して+4°傾いた状態において、制御部30は、放射線源コントローラ32および検出器コントローラ33に対して放射線の照射と放射線画像G3を構成する左眼用画像GLの放射線画像データDLの読み出しを行うように制御信号を出力する。
【0039】
この制御信号に応じて、放射線源17が放射線を照射し、放射線検出器15が照射された放射線を検出し、検出器コントローラ33によって放射線検出器15から電荷信号が読み出される。制御部30は、この電気信号に所定の信号処理を施して左眼用画像GLの放射線画像データDLを記憶する。制御部30は、乳房Mの右眼用画像GRおよび左眼用画像GLのそれぞれの放射線画像データDR,DLを画像ファイルGFに格納して立体視画像表示装置40に送信する。なお、本実施形態では、撮影角度θ=0°で右眼用画像GRの放射線画像データDR、撮影角度θ=+4°で左眼用画像GLの放射線画像データDLの順でそれぞれ読み出して記憶をするものであるが、特に限定されるものではない。すなわち撮影角度θ=0°で左眼用画像GLの放射線画像データDL、撮影角度θ=+4°で右眼用画像GRの放射線画像データDRの順でそれぞれ読み出して記憶してもよい。
【0040】
次に立体視画像表示装置40について説明する。図3は立体視画像表示装置の概略構成図である。立体視画像表示装置40は、図3に示すように、コンピュータ41と、表示部としてのモニタ42とから主に構成されている。立体視画像表示装置40は、モニタ42の2つのモニタ画面43a,43bに右眼用画像GR、左眼用画像GLをそれぞれ表示することにより、乳房Mの放射線画像を立体表示するものである。
【0041】
コンピュータ41には、本実施形態による立体視画像表示装置40として機能させるためのプログラムがインストールされている。コンピュータ41は、中央処理装置(CPU)および半導体メモリやハードディスクやSSD等のストレージデバイス等を備えており、これらのハードウェアにより、制御手段41a、表示制御手段41b、画面制御手段41c、履歴記憶手段41dおよび警告手段41eを構成している。なお、コンピュータ41は不図示の入力手段を備えており、立体表示の開始指示等の観察者からの指示を受け付ける。
【0042】
モニタ42は、上下方向に隣接した2つのモニタ画面43a,43b、モニタ画面43a,43bの間に設けられたハーフミラー44、モニタ画面43a,43bのなす角度αを可変にするヒンジ機構45、モニタ画面43a,43bのコントラストの調整を受け付けるコントラスト調整ボタン46aおよびモニタ画面43a,43bの輝度の調整を受け付ける輝度調整ボタン46bを備えている。
【0043】
モニタ画面43a,43bは、右眼用画像GRおよび左眼用画像GLを互いに直交する偏光によって表示するものである。ヒンジ機構45は、モニタ画面43aをモニタ画面43bに対して図3の矢印α方向に回転させることにより、2つのモニタ画面43a、43bのなす角度αを調整する。ハーフミラー44は、モニタ画面43aをモニタ画面43bに対して傾けることにより、モニタ画面43aの表示光を図中実線で示すように反射させるとともに、モニタ画面43bの表示光を図中破線で示すように透過させるものである。
【0044】
これにより、ハーフミラー44は、右眼用画像GRと左眼用画像GLとをハーフミラー44上で所定の視差を有するように重ね合わせ、光学的に結合させる。そして、観察者が右眼用画像GRを観察する右眼用偏光レンズと左眼用画像GLを観察する左眼用偏光レンズを有する偏光メガネを装着することにより、観察者は、左眼用画像GLおよび右眼用画像GRを左右各眼でそれぞれ観察して乳房Mの放射線画像G3を立体視する。なお、本実施形態では、モニタ画面43aが右眼用画像GR、モニタ画面43bが左眼用画像GLを表示するものであるが、特に限定されるものではない。
【0045】
コントラスト調整ボタン46aおよび輝度調整ボタン46bは、図3に示すように、観察者によるコントラストおよび輝度の調整を受け付けるものである。なお、本実施形態では、コントラスト調整ボタン46aおよび輝度調整ボタン46bをモニタ42の下方に設けられた調整ボタンとして説明するが特に限定されるものではなく、コンピュータ41に接続された不図示の入力手段や、モニタ画面43a,43b上に表示されるアイコン等であってもよい。
【0046】
制御手段41aは、放射線撮影装置10から画像ファイルGFを受信するとともに、コンピュータ41の全体を制御するものである。表示制御手段41bはモニタ42の表示を制御するものである。表示制御手段41bは、画像ファイルGFに格納された左眼用画像GLの放射線画像データDLおよび右眼用画像GRの放射線画像データDRに基づいて、図3に示すように、各乳房Mが鏡像関係を有し、且つ胸壁MWが水平となるように左眼用画像GLおよび右眼用画像GRにモニタ画面43a,43bにそれぞれ表示させる。なお、表示制御手段41bは、必要に応じてモニタ画面43a,43bに撮影条件や、診断レポート等を表示させる。
【0047】
画面制御手段41cは、2つのモニタ画面43a,43bの輝度およびコントラストを制御するものである。ここで、モニタ画面43a,43bに対する輝度(cd/m)は、モニタ画面43a,43bの単位面積当たりの明るさであり、モニタ画面43a,43bに対するコントラストとは、最大輝度、すなわち白色表示をした際の輝度と、最小輝度、すなわち黒色表示をした際の輝度との比を表わすものである。なお、画面制御手段41cによるモニタ画面43a,43bの輝度およびコントラストの制御については後述する。
【0048】
履歴記憶手段41dは、コントラスト調整ボタン46aまたは輝度調整ボタン46bが受け付けたモニタ画面43a,43bの輝度およびコントラストの調整履歴を記憶するものである。履歴記憶手段41dは、輝度またはコントラストの調整回数および調整された日時を記録するものである。
【0049】
警告手段41eは、輝度またはコントラストの調整回数が所定回数を越えて行われた場合、画面表示および/または音声による警告を発するものである。たとえば、警告手段41eは、輝度またはコントラストの調整が同日の2〜5時間程度の間に5回を越えて行われた場合に画面表示および/または音声による警告を発してもよい。なお、発せられた警告は、不図示の入力手段が観察者による警告を解除する旨の指示を受け付けることによって解除できる。
【0050】
そして、警告手段41eは、調整間隔が所定時間以下の場合にも画面表示および/または音声による警告を発してもよい。たとえば、警告手段41eは、今回の輝度またはコントラストの調整が前回の調整から10〜20分以内に行われた場合に画面表示および/または音声による警告を発してもよい。
【0051】
画面制御手段41cによる輝度およびコントラストの制御について説明する。画面制御手段41cは、輝度およびコントラストの調整回数が所定回数以下の場合、観察者によるコントラスト調整ボタン46aおよび輝度調整ボタン46bの調整に基づいて、輝度またはコントラストを観察者の所望の値に変更するように制御する。
【0052】
画面制御手段41cは、輝度またはコントラストの調整回数が所定回数を越えて行われた場合、モニタ画面43a,43bの輝度またはコントラストの少なくともいずれか一方が現在の設定値よりも低くなるように制御する。画面制御手段41cは、たとえば、モニタ画面43a,43bの輝度またはコントラストに少なくともいずれか一方が現在の設定値に対して60〜80パーセントになるように制御してもよく、輝度またはコントラストの少なくともいずれか一方が予め設定された下限値になるように制御してもよい。なお、低く設定された輝度またはコントラストは、不図示の入力手段が観察者による警告を解除する旨の指示を受け付けることによって再び戻すこともできる。
【0053】
また、画面制御手段41cは、調整回数が所定回数を越えて行われた輝度(またはコントラスト)のみを低くし、調整回数が所定回数以下であるコントラスト(または輝度)については、現在の設定のままとするように制御してもよい。そして、画面制御手段41cは、輝度またはコントラストの調整間隔が所定時間以下の場合にも、モニタ画面43a,43bの輝度またはコントラストの少なくともいずれか一方を低くするように制御してもよい。また、画面制御手段41cは、調整間隔が所定時間以下で行われた輝度(またはコントラスト)のみを低くし、調整間隔が所定時間以下であるコントラスト(または輝度)については、現在の設定のままとするように制御してもよい。
【0054】
コントラスト調整ボタン46aおよび輝度調整ボタン46bは、輝度またはコントラストの調整回数が所定回数を越えて行われた場合、観察者による以後の調整の受け付けを無効にする。そして、コントラスト調整ボタン46aおよび輝度調整ボタン46bは、輝度またはコントラストの調整間隔が所定時間以下の場合にも、観察者による以後の調整の受け付けを無効にするものであってもよい。そして、コントラスト調整ボタン46aおよび輝度調整ボタン46bは、調整回数(または調整時間)が所定回数を越えて(所定時間以下で)行われた輝度(またはコントラスト)の調整の受け付けのみを無効にするものであってもよい。そして、コントラスト調整ボタン46aおよび輝度調整ボタン46bは、コントラストおよび輝度を高くする調整の受け付けのみを無効にし、コントラストおよび輝度を低くする調整の受け付けは有効にするものであってもよい。なお、無効にされた観察者による以後の調整の受け付けは、不図示の入力手段が観察者による警告を解除する旨の指示を受け付けることによって解除できる。
【0055】
立体視画像表示装置40の作用について説明する。まず、立体視画像表示装置40による乳房Mの放射線画像G3の立体表示について説明する。制御手段41aが放射線撮影装置10から画像ファイルGFを受信する。表示制御手段41bが、各乳房Mが鏡像関係を有し、且つ胸壁MWが水平となるように左眼用画像GLおよび右眼用画像GRにモニタ画面42a,42bにそれぞれ表示させる。ハーフミラー44が、右眼用画像GRと左眼用画像GLをハーフミラー44上で所定の視差を有するように光学的に結合させて放射線画像G3を立体表示する。
【0056】
次に立体視画像表示装置40におけるモニタ画面43a,43bに対する輝度またはコントラストの調整に関する処理ついて説明する。図4は、輝度またはコントラストの調整における一連の処理を示すフローチャートである。最初に、コントラスト調整ボタン46aおよび/または輝度調整ボタン46bが、観察者によるコントラストおよび/または輝度の調整を受け付ける(ST1)。
【0057】
履歴記憶手段41dが観察者による調整履歴を記憶し、輝度およびコントラストの調整回数が所定回数以下の場合、画面制御手段41cが、観察者によるコントラスト調整ボタン46aおよび輝度調整ボタン46bの調整に基づいて、輝度またはコントラストを観察者の所望の値に変更する(ST2,ST3)。
【0058】
輝度またはコントラストの調整回数が所定回数以下を越えて行われた場合、警告手段41eが、疲労が増加している旨の警告を画面表示および/または音声によって発する(ST2,ST4)。コントラスト調整ボタン46aおよび輝度調整ボタン46bが、観察者による以後の調整の受け付けを無効にし(ST5)、画面制御手段41cが、輝度またはコントラストの少なくともいずれか一方が現在の設定値よりも低くなるように制御して処理を終了する(ST6)。
【0059】
上記の実施形態によれば、コントラスト調整ボタン46aおよび輝度調整ボタン46bが観察者によるモニタ画面43a,43bのコントラストおよび輝度の調整を受け付け、履歴記憶手段41dが調整履歴を記憶し、ユーザによる調整回数が所定回数を越えた場合、警告手段41eが、画面表示および/または音声による警告を発生するため、簡単な装置構成で立体視中の観察者の情報を取得し、観察者情報に基づく正確な疲労検出によって警告を発することにより、観察者の疲労増加を抑制できる。
【0060】
また、上記の実施形態によれば、画面制御手段41cが、観察者による調整回数が所定回数を越えた場合、輝度またはコントラストの少なくともいずれか一方が現在の設定値よりも低くなるように制御するため、調整回数が所定回数を越えた以降の立体視による観察者の負担が軽減され、観察者の疲労増加を抑制できる。
【0061】
また、上記の実施形態によれば、コントラスト調整ボタン46aおよび輝度調整ボタン46bが、観察者による調整回数が所定回数を越えた場合、以後に受け付ける調整を無効にするため、調整回数が所定回数を越えた以降の観察者による輝度またはコントラストの少なくとも一方を高くするような調整が防止され、観察者の疲労増加を抑制できる。
【0062】
また、上記の実施形態によれば、警告手段41eが、モニタ画面43a,43bに対する輝度またはコントラストの調整間隔が所定時間以下の場合にも、警告を発するため、観察者の疲労をより正確に検出して疲労増加を抑制できる。
【0063】
なお、立体視画像表示装置40による放射線画像G3の3次元表示の構成は、上記の構成に限定されるものではなく、パララックスバリア方式およびレンチキュラー方式を用いて、放射線画像G3を立体表示する構成としてもよく、右眼用画像GRおよび左眼用画像GLを所定の周期で交互に切り替えて表示し、観察者が、右眼用部分および左眼用部分のそれぞれに所定の周期に同期して開閉する液晶シャッタ等を有する立体視眼鏡を装着して立体視する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
DL,DR 放射線画像データ
G3 放射線画像
GL 左眼用画像
GR 右眼用画像
M 乳房(被写体)
40 立体画像表示装置
41c 画面制御手段
41d 履歴記憶手段
41e 警告手段
42 モニタ(表示部)
43a,43b モニタ画面(表示画面)
46a コントラスト調整ボタン46a(画面調整手段)
46b 輝度調整ボタン46b(画面調整手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる2つの撮影方向から被写体を放射線撮影して得られた2つの放射線画像データを用いて表示画面に前記被写体の立体視画像を表示する表示部と、
前記表示画面の輝度またはコントラストの調整を受け付ける画面調整手段と、
前記輝度またはコントラストの調整履歴を記録する調整履歴記録手段と、
前記輝度またはコントラストの調整が所定回数を越えて行われた場合、画面表示および/または音声による警告を発する警告手段とを備えていることを特徴とする立体視画像表示装置。
【請求項2】
前記表示画面の輝度またはコントラストを制御する画面制御手段を備え、
該画面制御手段が、前記輝度またはコントラストの調整回数が所定回数を越えた場合、前記表示画面の輝度またはコントラストの少なくともいずれか一方を低くすることを特徴とする請求項1に記載の立体視画像表示装置。
【請求項3】
前記画面制御手段が、前記輝度またはコントラストの調整間隔が所定時間以下の場合、前記表示画面の輝度またはコントラストの少なくともいずれか一方を低くすることを特徴とする請求項2に記載の立体視画像表示装置。
【請求項4】
前記警告手段が、前記輝度またはコントラストの調整間隔が所定時間以下の場合にも、前記警告を発することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の立体視画像表示装置。
【請求項5】
前記画面調整手段が、前記輝度またはコントラストの調整回数が所定回数を越えた場合、以後に受け付ける調整を無効にすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の立体視画像表示装置。
【請求項6】
前記画面調整手段が、前記輝度またはコントラストの調整間隔が所定時間以下の場合、以後に受け付ける調整を無効にすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の立体視画像表示装置。
【請求項7】
異なる2つの撮影方向から被写体を放射線撮影して得られた2つの放射線画像データを用いて表示画面に前記被写体の立体視画像を表示する立体視画像表示装置の表示方法において、
前記表示画面の輝度またはコントラストの調整を受け付け、
前記表示画面の輝度またはコントラストの調整履歴を記録し、
前記表示画面の輝度またはコントラストの調整回数が所定回数を越えた場合、画面表示および/または音声による警告を発することを特徴とする立体視画像表示装置の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−253755(P2012−253755A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−106466(P2012−106466)
【出願日】平成24年5月8日(2012.5.8)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】