説明

立体造形物の製造方法、立体造形物、立体造形粉体、および立体造形装置

【課題】造形した固形物の層間が剥離しにくい立体造形物を造形することができる立体造形物の製造方法、立体造形物、立体造形粉体、および立体造形装置を提供する。
【解決手段】立体造形装置は、水溶性ポリマーを含有した立体造形粉体を載置ベルト上に供給する(S2)。立体造形粉体の水溶性ポリマーは、部分けん化型ポリビニルアルコールを含有している。立体造形装置は、インクジェットヘッドから立体造形粉体に造形液を吐出することで、造形液と立体造形粉体とを混合させる。その結果、立体造形粉体に含まれる部分けん化型ポリビニルアルコールが造形液に溶融することによって生じる生成物を有する固形物の層が生成される(S3)。層を積み重ねることで、作業者が所望する形状の立体造形物が造形される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造形液と立体造形粉体とを混合して固化することで造形される立体造形物の製造方法、立体造形物、造形に用いられる立体造形粉体、および立体造形物を造形するための立体造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体造形粉体と造形液とを混合して固化することにより、立体造形物を造形する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の粉体は、接着剤と、充填剤と、繊維とを含む。粉体に含まれる接着剤として、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーが開示されている。水を溶媒とする造形液が粉体に混合されると、粉体に含まれる接着剤が溶解する。溶解した接着剤同士が結合し、層が生成される。より具体的には、インクジェットヘッド等によって、載置台に配置された粉体に造形液が滴下されることで、固形物の層が得られる。上記処理が繰り返されて固形物の層が重ねられると、作業者が所望する形状の立体造形物が造形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3607300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような立体造形粉体を用いて固形物の層を造形すると、用いる立体造形粉体によっては、造形した固形物の層間が剥離して反り返ってしまうという問題点があった。従って、強固な立体造形物を所望の形状に造形することは困難であった。
【0005】
本発明は、造形した固形物の層間が剥離しにくい立体造形物を造形することができる立体造形物の製造方法、立体造形物、立体造形粉体、および立体造形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様に係る立体造形物の製造方法は、水溶性ポリマーを含有した立体造形粉体によって層を形成する層形成工程と、前記層形成工程において形成された前記層に、水を溶媒とする造形液を滴下することで、前記立体造形粉体が前記造形液に溶解することによって生じる生成物を有する層を生成する生成工程とを備える立体造形物の製造方法であって、前記水溶性ポリマーは部分けん化型ポリビニルアルコールを含有することを特徴とする。第一の態様に係る立体造形物の製造方法によって生成される固形物の層間は、剥離し難い。従って、立体造形物を所望の形状に造形することができる。
【0007】
前記水溶性ポリマーが含有する前記部分けん化型ポリビニルアルコールの粒子径は、250μm以下であってもよい。この場合、立体造形粉体の表面を滑らかにすることができる。従って、立体造形粉体の層の厚みの調整が容易となり、所望とする形状の立体造形物をより正確に造形することができる。
【0008】
前記立体造形粉体は、平均粒子径が9μm以上40μm以下の接着力を有さない無機物または有機物をフィラーとして含有してもよい。立体造形粉体がフィラーを含有することによって、水の蒸発による立体造形物の収縮が抑制される。よって、寸法精度が高い立体造形物を造形することができる。
【0009】
前記立体造形粉体は、平均粒子径が9μm以上40μm以下の炭酸カルシウムをフィラーとして含有してもよい。立体造形粉体がフィラーを含有することによって、水の蒸発による立体造形物の収縮が抑制される。さらに、炭酸カルシウムをフィラーとして用いることで、立体造形粉体が飛散することを抑制することができる。
【0010】
本発明の第二の態様に係る立体造形物は、水溶性ポリマーを含有した立体造形粉体と、水を溶媒とする造形液とから生成される生成物が層状に積層されることによって形成される立体造形物であって、前記水溶性ポリマーは部分けん化型ポリビニルアルコールを含有することを特徴とする。第二の態様に係る立体造形物は、製造の過程で生成される固形物の層間が剥離し難い。
【0011】
本発明の第三の態様に係る立体造形粉体は、水溶性ポリマーを含有し、水を溶媒とする造形液が滴下されて前記造形液に溶解することによって立体造形物の層を生成する立体造形粉体であって、前記水溶性ポリマーは部分けん化型ポリビニルアルコールを含有することを特徴とする。第三の態様に係る立体造形粉体によると、層間が剥離し難い固形物の層を生成することができる。従って、立体造形物を所望の形状に造形することができる。
【0012】
本発明の第四の態様に係る立体造形装置は、水溶性ポリマーとして部分けん化型ポリビニルアルコールを含有した立体造形粉体を載置する載置台と、水を溶媒とする造形液を吐出可能なインクジェットヘッド部と、前記インクジェットヘッド部と前記載置台に載置された前記立体造形粉体との相対位置を移動させる移動機構と、前記移動機構を動作させることで、前記載置台に載置された前記立体造形粉体と前記インクジェットヘッド部との間の、前記載置台に垂直な方向の距離を調整する距離制御手段と、前記載置台に載置された前記立体造形粉体の特定の範囲に前記造形液が吐出されるように、前記インクジェットヘッド部が前記造形液を吐出する動作、および前記移動機構が前記載置台に平行な方向における前記相対位置を移動させる動作を制御する吐出制御手段とを備えている。
【0013】
第四の態様に係る立体造形装置は、層間が剥離し難い固形物の層を生成することができる。従って、所望する形状の立体造形物を造形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】立体造形装置1を右斜め上方から見た斜視図である。
【図2】図1におけるI−I線矢視方向断面図である。
【図3】立体造形装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】立体造形装置1が実行する造形処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具現化した実施の形態の一例について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0016】
立体造形粉体の用途について、概略的に説明する。立体造形粉体は、立体造形物を造形するための材料として、造形液と共に用いられるものである。立体造形粉体と造形液とを混合させて固化させることによって、所望の形状の立体造形物を造形することができる。具体的には、まず、立体造形粉体によって平坦な層が形成される。形成された層に、立体造形装置1(図1から図3参照)から造形液が滴下されることで、立体造形粉体が造形液に溶融して生成物が生じ、この生成物を有する固形物の層が生成される。1つの固形物の層を形成する処理が終了すると、形成した固形物の層の上面に、立体造形粉体の層がさらに重ねて形成される。立体造形装置1から再び造形液が滴下され、固形物の層が重ねられる。以上の処理が繰り返されて層が重ねられることで、立体造形物が所望の形状に造形される。
【0017】
図1および図2を参照して、立体造形物の製造に用いられる立体造形装置1の機械的構成について説明する。図1の左下側を立体造形装置1の正面側とし、図1の右上側を立体造形装置1の背面側とする。図1の右側を立体造形装置1の右側とし、図1の左側を立体造形装置1の左側とする。
【0018】
図1に示すように、立体造形装置1は、直方体状の基部2を備える。基部2は、立体造形装置1の全体を支持し、且つ搬送部20等の各種機構を備える。基部2の上部背面側には、箱状の印刷部3が設けられている。印刷部3の右端には、造形液を収納する4つのカートリッジ4が配置される。カートリッジ4の内部には、造形液を封入して脱気された密封パックが収容されている。密封パックは造形液の使用量に応じて収縮し、密封パック内に気体が混入することがないため、造形液に気泡は生じない。よって、立体造形装置1は、確実に造形液を吐出することができる。カートリッジ4の各々は、インクジェットヘッド部5(図2参照)が備える4つのインクジェットヘッドの各々にチューブ6によって接続し、各インクジェットヘッドに造形液を供給する。印刷部3の正面壁部7の下部には、矩形の開口8が形成されている。
【0019】
基部2は、上部中央に搬送部20を備える。搬送部20は、立体造形粉体25が載置される幅広のタイミングベルトである載置ベルト21を備える。基部2の正面左側には、作業者からの種々の入力を受け付ける操作部28が設けられる。基部2の右側面の背面側端部には、立体造形装置1と外部機器(例えば、パーソナルコンピュータ)とを接続するための外部I/F29が設けられる。
【0020】
図2に示すように、印刷部3の内部には、インクジェットヘッド部5が設けられる。インクジェットヘッド部5は、4つのインクジェットヘッドを左右方向に並べて保持する。インクジェットヘッド部5には、左右方向に延びるガイドシャフト9が貫通している。さらに、インクジェットヘッド部5にはタイミングベルト10が接続している。立体造形装置1は、ステップモータであるヘッド用モータ35(図3参照)によってタイミングベルト10を回転させることで、インクジェットヘッド部5をガイドシャフト9に沿って左右方向に移動させつつ、載置ベルト21に載置された立体造形粉体25に造形液を吐出させることができる。
【0021】
印刷部3の内部の左端には、インクジェットヘッド吸引部12が設けられる。インクジェットヘッド吸引部12は、4つのキャップ(図示せず)を備えており、上下方向に昇降することができる。インクジェットヘッド部5がガイドシャフト9に沿って左端に移動すると、インクジェットヘッド吸引部12が上昇する。4つのキャップの各々が、インクジェットヘッド部5に設けられた4つのインクジェットヘッドの各々の下部に密着し、インクジェットヘッド内部の造形液を吸引する。その結果、造形液は、インクジェットヘッドの下端のノズル(図示せず)に到達する。造形液がノズルに到達すると、立体造形装置1は、造形液を円滑に吐出できる状態となる。さらに、立体造形装置1は、造形液の吐出を行わない間、インクジェットヘッド吸引部12のキャップをインクジェットヘッドに密着させる。従って、立体造形装置1は、立体造形粉体25を載置ベルト21上に載置する際に、立体造形粉体25がインクジェットヘッドに付着することを防止することができる。
【0022】
搬送部20は、左右方向を回転軸の伸長方向とする2つのプーリ22,23を備える。立体造形粉体25が載置される載置ベルト21は、左右方向に所定の幅を有する。ステップモータである載置ベルト用モータ41(図3参照)によって2つのプーリ22,23が回転することで、載置ベルト21は前後方向に回転する。載置ベルト21は、基部2の先端部から後端部まで延びる。従って、載置ベルト21に載置された立体造形粉体25は、開口8を通って印刷部3の内部と外部との間を移動できる。立体造形粉体25は、印刷部3の外部で載置ベルト21に載置される。立体造形装置1は、立体造形粉体25が載置ベルト21に載置される際に、飛散した立体造形粉体25の印刷部3内部への侵入を、印刷部3の正面壁部7によって防ぐことができる。
【0023】
さらに、搬送部20は、載置ベルト21を上下方向に昇降させる昇降機構42(図3参照)を備える。立体造形装置1は、立体造形物の層が重ねられる毎に載置ベルト21を下方に移動させることで、立体造形物および立体造形粉体25の上面とインクジェットヘッド部5との間の距離を一定に保つことができる。よって、立体造形装置1は、より正確な位置に造形液を吐出することができる。なお、基部2の内部の背面側下部には、立体造形装置1の動作を制御する制御部30が設けられる。
【0024】
図3を参照して、立体造形装置1の電気的構成について説明する。立体造形装置1は、制御部30、印刷部3、搬送部20、操作部28、および外部I/F29を備える。各部は、バス45によって電気的に接続される。
【0025】
制御部30は、CPU31、RAM32、およびROM33を備える。CPU31は、立体造形装置1の制御を司る。RAM32は、制御プログラムで使用される各種の情報を一時的に記憶する。ROM33は、立体造形装置1を動作させるためのプログラムおよび初期値等を記憶している。
【0026】
印刷部3は、インクジェットヘッド部5、ヘッド用モータ35、吐出制御回路36、および吸引制御機構37を備える。ステップモータであるヘッド用モータ35は、CPU31からの信号に従って回転することでタイミングベルト10(図2参照)を回転させて、インクジェットヘッド部5を左右方向に移動させる。吐出制御回路36は、CPU31からの信号に従って、インクジェットヘッド部5が備える各インクジェットヘッドからの造形液の吐出を制御する。吸引制御機構37は、CPU31からの信号に従って、インクジェットヘッド吸引部12の昇降動作、およびインクジェットヘッド内部の造形液の吸引動作を制御する。
【0027】
搬送部20は、載置ベルト用モータ41および昇降機構42を備える。ステップモータである載置ベルト用モータ41は、CPU31からの信号に従って回転することで載置ベルト21を回転させて、立体造形粉体25を搬送する。昇降機構42は、載置ベルト21を昇降させて、立体造形粉体25の上面とインクジェットヘッド部5との間の上下方向の距離を調整する。
【0028】
なお、図示しないが、立体造形装置1は、立体造形粉体を計量する計量機構と、計量機構によって計量された立体造形粉体が投入されるふるいと、ふるいを振動させる振動機構とを備える。立体造形装置1は、計量機構、ふるい、および振動機構によって、一定量の立体造形粉体を均一に載置ベルト21上にふるい落とすことができる。また、立体造形装置1は、載置ベルト21の上方に、載置ベルト21と平行にスキージ(図示外)を備える。立体造形装置1は、昇降機構42によって載置ベルト21の上下方向の位置を調整し、載置ベルト21を回転させることで、立体造形粉体の上面をスキージに接触させて、粉体上面を平坦化させることができる。スキージの材質は、ステンレス、アルミニウム等の錆び難い金属、または紙が望ましい。また、静電気が生じ難い材質のスキージを用いることで、静電気の影響等によって粉体の上面が荒れることを防止することができる。
【0029】
図4を参照して、立体造形装置1を用いた立体造形物の造形手順(製造方法)について説明する。作業者は、あらかじめカートリッジ4内に造形液を詰めて、立体造形装置1に配置する。次いで、インクジェットヘッド吸引部12によって、カートリッジ4内の造形液をインクジェットヘッドのノズルまで導入させる。さらに、作業者は、造形する立体造形物の三次元データから、固形物の層の厚み毎に、立体造形物の断面データをパーソナルコンピュータ等に生成させる。以上の処理を行った後、造形処理の開始指示を立体造形装置1の操作部28に入力すると、立体造形装置1のCPU31は、図4に示す造形処理を実行する。
【0030】
まず、立体造形装置1は、立体造形物の断面データをパーソナルコンピュータ等から取得する(S1)。計量機構および振動機構を動作させて、載置ベルト21上に敷かれた載置媒体(例えば、布、プラスチックシート、アルミ箔等)の上に、立体造形粉体を供給する(S2)。なお、本実施の形態に係る立体造形装置1は、立体造形粉体の供給が終了すると、載置ベルト21を回転させて立体造形粉体の上面をスキージに接触させることで、立体造形粉体を所定の厚みで平坦化させる。
【0031】
次いで、立体造形装置1は、造形する立体造形物についての1または複数の断面データのうち、最下層の断面データに基づいて、ヘッド用モータ35および載置ベルト用モータ41を駆動して立体造形粉体を移動させながら造形液を吐出する(S3)。その結果、造形液に立体造形粉体が溶解して生成物が生じ、この生成物を含む固形物の層が生成される。生成された層は、立体造形物の最下層となる。ここで、立体造形装置1は、同一箇所に造形液を複数回吐出してもよい。具体的には、立体造形装置1は、固形物の層の厚みに応じて吐出回数を変えてもよい。また、立体造形装置1は、周囲に吐出される造形液の量が少ない箇所には、より多くの造形液を吐出することが望ましい。この場合、立体造形装置1は、細い線、点等の細かい形状の造形物も確実に造形することができる。
【0032】
1または複数の固形物の層のうち、最も上面の層の造形が終了していなければ(S4:NO)、立体造形装置1は、1つの層の厚み分だけ載置ベルト21を降下させる(S5)。立体造形装置1は、既に造形された固形物の層の上面に立体造形粉体を供給する(S2)。立体造形装置1は、前回造形した層よりも1つ上の層の断面データに基づいて、造形液を吐出する(S3)。S2〜S5の手順が繰り返されることで、三次元データによって示される形状の立体造形物が、下の層から順に造形されていく。なお、造形される固形物の層は1つでもよい。つまり、層を積み重ねなくてもよい。
【0033】
最も上面の層の造形が終了すると(S4:YES)、立体造形装置1は、造形された固形物の上面に再び立体造形粉体を供給する(S6)。その結果、立体造形物の最上面の造形の精度が向上し、且つ余分な粉体を除去し易くなる。以上により、造形処理は終了する。その後、作業者は、粉体中から立体造形物を取り出す。集塵機で粉塵を吸引しながら、エアガンで余分な粉体を吹き飛ばし、除去する。以上の手順によって、1つの立体造形物の造形が完了する。
【0034】
次に、造形液の組成について説明する。純水を造形液として用いることも可能であるが、造形液は、水を溶媒として増粘湿潤剤を含有することが望ましい。増粘湿潤剤は、造形液の粘度を上昇させると共に、溶媒である水の蒸発を抑制するものである。造形液は、増粘湿潤剤を含有することで、インクジェットによって容易に吐出できるものとなり、且つインクジェットヘッドの目詰まりが生じ難くなる。増粘湿潤剤には種々の物質を用いることができるが、グリセリン、ジエチレングリコール、およびポリエチレングリコール等の2価以上のアルコールを用いることが望ましい。また、造形液は、界面活性剤を含有することが望ましい。界面活性剤によって造形液の表面張力が低下すれば、立体造形装置1は精度良く造形液を吐出させることができる。さらに、造形液のpH値は7以上であり、9以下であることが望ましい。造形液のpH値が7以上であれば、インクジェットヘッド等に錆びを生じさせ難くすることができる。造形液が弱アルカリ性であれば、立体造形粉体に含有されている水溶性ポリマーが活性化されるため、立体造形粉体と造形液とによって生成される生成物が生成されやすくなる。その結果、立体造形物が円滑に造形される。また、造形液のpH値が9以下であれば、水溶性ポリマーの加水分解も生じ難くなる。
【0035】
次に、立体造形粉体の組成について説明する。立体造形粉体は、部分けん化型ポリビニルアルコールを含有する。部分けん化型ポリビニルアルコールを含有した立体造形粉体を用いることで、他の水溶性材料を接着剤として含有した立体造形粉体を用いる場合に比べ、強度の高い立体造形物を造形することができる。立体造形粉体は、部分けん化型のポリビニルアルコールを用いることで、完全けん化型のポリビニルアルコールを用いる場合に比べて容易に造形液を吸収することができる。従って、円滑に造形工程を進行させることができる。さらに、造形された立体造形物の層間が剥離し難いため、作業者が所望する形状の立体造形物が精度良く造形される。造形された立体造形物の強度も高い。また、立体造形粉体が完全けん化型のポリビニルアルコールである場合、固形物の層が反り返り易く、且つ引っ張りに弱いという問題点があった。これに対し、部分けん化型のポリビニルアルコールを含有した立体造形粉体を用いると、造形された立体造形物は、引っ張られても破損し難く、且つ層が反り返り難いものとなった。本実施の形態では、けん化度が98mol%以上であるポリビニルアルコールを完全けん化型とし、けん化度が89mol%以下であるポリビニルアルコールを部分けん化型とする。これらの詳細については後述する。
【0036】
なお、スクロース(蔗糖)等を立体造形粉体に用いると、溶解性が高すぎるため、強固な立体造形物を造形することが困難である。カルボキシルメチルセルロースナトリウム等を立体造形粉体に用いると、溶解速度が遅いため、造形が困難である。ポリアクリル酸ナトリウム等は、ゲル化して保水した状態で膨張するため、立体造形物を所望の形状に造形することが困難である。以上より、層間が剥離し難く、且つ強固な立体造形物を、所望の形状に造形するためには、部分けん化型のポリビニルアルコールを採用するのが望ましい。
【0037】
部分けん化型のポリビニルアルコールの粒子径は、250μm以下であることが望ましい。粒子径を250μm以下とすることで、例えば、スキージによって平坦化した後に、立体造形粉体の表面が滑らかになる。よって、立体造形物の層を積層させていく場合等に、立体造形物をより正確に造形することができる。特に、粒子径を65μm以下とすれば、立体造形粉体の表面はさらに滑らかになるため、より望ましい。
【0038】
立体造形粉体は、接着力を有さないフィラー(充填剤)を含有することが望ましい。立体造形粉体にフィラーを含有させることで、水の蒸発による立体造形物の収縮を抑制することができるため、作業者が所望する形状の立体造形物が精度良く造形される。フィラーは、無機物でも有機物でもよい。フィラーは、撥水性がないことが望ましい。撥水性がないフィラーを立体造形粉体に含有させることで、造形液が立体造形粉体にはじかれ難くなる。その結果、円滑に立体造形物を造形することができる。
【0039】
立体造形粉体に含有させるフィラーには、種々の材質を用いることができる。例えば、炭酸カルシウム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、タルク、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)等、粉の状態で撥水性が低い材質をフィラーとして用いるのが望ましい。特に、炭酸カルシウムの粉体は、他の材質に比べて飛散し難く、インクジェットヘッド等に付着して詰まりおよび汚れを生じさせ難いため、より望ましい。フィラーの平均粒子径は、9μm以上40μm以下とすることが望ましい。この場合、作業者が所望する寸法と、造形された立体造形物の寸法との誤差が約3%以内に納まる。さらに、フィラーの平均粒子径を9μm以上25μm以下とすれば、寸法誤差は約2%以内に収まるため、より望ましい。
【0040】
以上説明した立体造形粉体および造形手順によって得られる効果を確認するために、実施例1〜5に示す試験を行った。以下、実施例1〜5について説明する。
[実施例1]
部分けん化型のポリビニルアルコールを立体造形粉体に用いることの効果を確認するための試験を行った。この試験では、3種類の立体造形粉体のいずれかと、2種類の造形液のいずれかとを混合させて、5つの立体造形物A〜Eを造形した。造形した立体造形物A〜Eの性質の観察および測定を行った。
【0041】
実施例1に使用した立体造形粉体は、「完全けん化(比較例)」、「部分けん化A」、および「部分けん化B」の3種類である。「完全けん化(比較例)」は、けん化度が98〜99mol%、重合度が1700のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、製品名「クラレポバール」、グレード117S)からなる。「部分けん化A」は、けん化度が87〜89mol%、重合度が500のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、製品名「クラレポバール」、グレード205S)からなる。「部分けん化B」は、けん化度が87〜89mol%、重合度が2400のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、製品名「クラレポバール」、グレード224S)からなる。いずれの立体造形粉体もフィラーは含有していない。なお、ポリビニルアルコールは、けん化度が高いと溶解性および吸湿性が低く、重合度が高いと水溶性粘度および被膜強度が高いという性質を有する。また、造形液には、純水のみからなる造形液と、ジエチレングリコール(表1中、「DEG」と記す)を含有する造形液とを使用した。
【0042】
表1中、「層間の剥離」とは、隣り合う固形物の層が互いに剥離しているか否かを目視によって観察した結果である。「硬度」は、デュロメータによる硬度の測定結果である。使用したデュロメータは、株式会社テクロック製GS−701Nであり、JIS S6050に則っている。「落下時の割れ」とは、造形された立体造形物を約3m上方に投げ上げて落下させたときの、割れおよび変形の有無である。「引張時の切れ」とは、造形された立体造形物を手で引っ張った場合に切れたか否かを示す。
【0043】
【表1】

【0044】
表1に示すように、ポリビニルアルコールを立体造形粉体として用いることで、落下衝撃に強い立体造形物が造形されることが分かる。また、「完全けん化(比較例)」の立体造形粉体によって造形された立体造形物A,Bには、層間の剥離があった。これに対し、「部分けん化A」および「部分けん化B」の立体造形粉体によって造形された立体造形物C〜Eには、層間の剥離が無かった。よって、部分けん化型のポリビニルアルコールを用いることで、固形物の層が剥離し難くなることが分かる。けん化度が低いと、立体造形粉体が円滑に溶解するため、固形物の層同士がより強く接着すると考えられる。
【0045】
「完全けん化(比較例)」の立体造形粉体によって造形された立体造形物A,Bは、手で引っ張ると切れた。これに対し、「部分けん化A」および「部分けん化B」の立体造形粉体によって造形された立体造形物C〜Eは、引っ張っても切れなかった。よって、部分けん化型のポリビニルアルコールを用いることで、引っ張っても切れ難い立体造形物を造形できることが分かる。
【0046】
使用する造形液が同じであれば、完全けん化型のポリビニルアルコールを用いるよりも部分けん化型のポリビニルアルコールを用いる方が、硬い立体造形物を造形できることが分かる。また、立体造形物C,Dの結果より、重合度が高いポリビニルアルコールを使用した方が、硬い立体造形物を得られることが分かる。なお、「部分けん化A」および「部分けん化B」の立体造形粉体によって造形された立体造形物は、「完全けん化(比較例)」の立体造形粉体によって造形された立体造形物に比べて、固形物の層が反り返り難かった。けん化度が低いと、立体造形粉体が水になじみ易い。立体造形粉体が水になじむと、水が乾燥する速度が減少するため、反り返りの発生が抑制されると考えられる。
【0047】
[実施例2]
ポリビニルアルコールの粒子径と、平坦化された立体造形粉体の層の上面の滑らかさとの関係を確認するための試験を行った。以下、試験内容を説明する。
(1)けん化度が87〜89mol%、重合度が2400のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、製品名「クラレポバール」、グレード224S)を、所定の開口径のふるいを使って平面上にふるい落とす。
(2)長さ154mmの棒状のスキージを用いて、ふるい落としたポリビニルアルコールの上面を平坦化させる。
(3)平坦化させたポリビニルアルコールの上面のうち、30mm×110mmの長方形の範囲内の25箇所の高さを、レーザー変位計(株式会社キーエンス製、L−KG)で測定する。
(4)25回の測定の結果から、平均値、標準偏差、最大値と平均値との差、最小値と平均値との差を算出する。標準偏差、最大値と平均値との差、および最小値と平均値との差は、立体造形粉体の層の上面の滑らかさ(なだらかさ)となる。
(5)上記(1)〜(4)を3回繰り返し、算出された3つの標準偏差の平均値を算出する。
以上の試験を、開口径Φ425μm、開口径Φ250μm、開口径Φ63μmの3つのふるいを用いて行った。結果を表2に示す。
【0048】
【表2】

【0049】
立体造形物を造形する場合、1つの固形物の層が厚すぎると、造形液が層の下端まで浸透しない場合がある。一方、層が薄すぎると、スキージによって層の上面を平坦化した際に、下の層の固形物にスキージが引っ掛かって位置ずれ等の不具合が生じ、正確な造形が困難になる。以上の理由から、層の厚みは0.1mm〜0.01インチ(0.254mm)とすることが一般的である。層の厚みを0.1mmとした場合、標準偏差が0.1mmに近くなれば、ある層の一部が、1つ上の層の上面よりも上に位置する可能性がある。この場合、層を正確に積み重ねることが困難になる。開口径Φ425μmのふるいを用いた試験では、標準偏差の平均値が0.0861mmとなり、0.1mmに近くなった。これに対し、開口径Φ250μmのふるいを用いた試験では、標準偏差の平均値は0.0809mmとなり、表面がより滑らかになった。従って、ポリビニルアルコールの粒子径は250μm以下であることが望ましい。開口径Φ63μmのふるいを用いた試験では、滑らかさはさらに大幅に改善され、標準偏差の平均値は0.0519mmとなった。従って、ポリビニルアルコールの粒子径は63μm以下であることがさらに望ましい。
【0050】
[実施例3]
フィラーと立体造形物の収縮との関係を確認するための試験を行った。この試験では、フィラーの含有条件が異なる複数の立体造形粉体A〜Gのそれぞれを用いて、同一形状の立体造形物を複数造形した。造形した各立体造形物の寸法を、顕微鏡のステージの移動距離から計測し、実測値を寸法の目標値で割ることで、各立体造形物の収縮率を算出した。算出結果を、以下の表3に示す。
【0051】
立体造形物の寸法の目標値は、立体造形装置1における主操作方向の長さ30mm、副走査方向の長さ25mm、厚み5mmである。全ての立体造形物を、同一の造形液(純水を69.79重量%、グリセリンを30重量%、トリエタノールアミンを0.01重量%、非イオン性界面活性剤を0.2重量%含有)によって造形した。立体造形粉体Aは、ポリビニルアルコールのみからなる。立体造形粉体B〜Gは、ポリビニルアルコールを50重量%、フィラーを50重量%含有する。立体造形粉体A〜Gが含有するポリビニルアルコールは全て同一である。詳細には、けん化度が87〜89mol%、重合度が2400のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、製品名「クラレポバール」、グレード224S)である。なお、表3中、PETとは、ポリエチレンテレフタレート(株式会社セイシン企業製、SK−RP−25CL/7CL)である。PESとは、発明者自身が研究試作したポリエステルである。EVAとは、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(株式会社セイシン企業製、SK−EVA−40)である。炭酸カルシウムおよびタルクには、関東化学株式会社製の特級試薬を用いた。
【0052】
【表3】

【0053】
フィラーを含有しない立体造形粉体Aによって造形された立体造形物は、収縮率(寸法誤差)が3%以上となった。また、フィラーの平均粒子径が7μmである立体造形粉体B、およびフィラーの平均粒子径が97μmである立体造形粉体Gでも、約3%以上の収縮率となった。これに対し、フィラーの平均粒子径が9.2μm〜40μmである立体造形粉体C〜Fを用いた場合、収縮率は3%以内に収まった。従って、立体造形粉体は、平均粒子径が9μm〜40μmであるフィラーを含有することが望ましい。また、フィラーの平均粒子径が9μm〜25μmである立体造形粉体C〜Eを用いた場合、収縮率は2.1%以内に収まった。従って、立体造形粉体は、平均粒子径が9μm〜25μmであるフィラーを含有することがさらに望ましい。なお、実施例3の試験範囲では、フィラーの材質は、立体造形物の収縮率に影響を与えなかった。
【0054】
[実施例4]
フィラーに適した材料を撥水性の有無によって判別するために、試験を行った。この試験では、純水からなる造形液と、増粘湿潤剤を含有した造形液とを、複数の粉状の材料に滴下した。滴下した造形液が材料に浸透するか、水滴として残存するかを、目視によって観察した。観察結果を表4に示す。表4では、造形液が浸透したこと(粉状の材料に撥水性が無いこと)を「○」で示す。造形液が水滴として残存したこと(粉状の材料に撥水性があること)を「×」で示す。「○」と「×」の中間を「△」で示す。なお、表4中、PTFEとは、ポリテトラフルオロエチレン(株式会社セイシン企業製、TFW−1000、粒子径10μm)である。PEとは、ポリエチレン(株式会社セイシン企業製、SK−PE−20、粒子径20μm)である。PPWとは、プロピレンワックス(株式会社セイシン企業製、PPW−5、粒子径5μm)である。PET、EVA、炭酸カルシウム、およびタルクは、実施例3で用いたものと同一である。
【0055】
【表4】

【0056】
前述したように、フィラーは撥水性が無いことが望ましい。フィラーに撥水性が無ければ、造形液が立体造形粉体にはじかれ難くなり、円滑に立体造形物を造形できるためである。PTFE、PE、およびPPWは、純水からなる造形液、および増粘湿潤剤を含有した造形液のいずれに対しても撥水性があった。これに対し、PET、EVA、炭酸カルシウム、およびタルクは、増粘湿潤剤を含有した造形液に対する撥水性が無かった。よって、PET、EVA、炭酸カルシウム、およびタルクは、フィラーの材料として適している。さらに、炭酸カルシウムおよびタルクは、純水に対する撥水性も弱かった。よって、炭酸カルシウムおよびタルクは、フィラーの材料としてさらに適している。
【0057】
[実施例5]
炭酸カルシウムが立体造形粉体の飛散を抑制することを確認するための試験を行った。この試験では、けん化度が87〜89mol%、重合度が2400のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、製品名「クラレポバール」、グレード224S)のみからなる立体造形粉体Xと、上記のポリビニルアルコールと炭酸カルシウムとを重量比1:1で混合させた立体造形粉体Yとを用意した。それぞれの立体造形粉体を用いて、以下の手順に沿って試験を行った。(1)まず、タッピングセル50mlに、5ml標線まで立体造形粉体を入れ、蓋をする。(2)タッピングセルの内壁のうち、5ml標線よりも上方に付着した立体造形粉体を除去する。(3)株式会社セイシン企業製マルチテスターMT−1001に、タッピングセルをセットする。(4)タッピングモードで10回タップさせる(2回/秒)。(5)タップ後に、タッピングセルの内壁に付着した立体造形粉体を観察する。
【0058】
試験の結果、ポリビニルアルコールのみからなる立体造形粉体Xは、17ml表線近傍まで付着していた。一方、炭酸カルシウムを含有した立体造形粉体Yは、8ml表線近傍までしか付着していなかった。以上より、炭酸カルシウムをフィラーとして用いることで、立体造形粉体の飛散を抑制できることが、試験によって確認できた。
【0059】
上記実施の形態において、図4のS2で立体造形粉体を載置ベルト21に供給して層を形成する工程が、本発明の「層形成工程」に相当する。図4のS3で造形液を吐出する工程が「生成工程」に相当する。載置ベルト21が本発明の「載置台」に相当する。搬送部20と、印刷部3のガイドシャフト9、タイミングベルト10、ヘッド用モータ35とが、本発明の「移動機構」に相当する。図4のS5で載置ベルト21を降下させる制御を行うCPU31が、本発明の「距離制御手段」として機能する。図4のS3で載置ベルト21上の立体造形粉体を移動させながら造形液を吐出させる制御を行うCPU31が、本発明の「吐出制御手段」として機能する。
【0060】
本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、様々な変形が可能であることは言うまでもない。例えば、図4を参照して説明した造形手順は適宜変更できる。より具体的には、最上層の造形の終了後に、立体造形粉体の供給(S6)を行うことなく、余分な粉体を除去してもよい。立体造形粉体は、部分けん化型ポリビニルアルコールおよびフィラー以外の物質を含有してもよい。
【0061】
立体造形粉体を載置ベルト21に供給する処理は、作業者自身が行ってもよい。この場合、望ましくは、作業者は、立体造形粉体の厚みを調整するための冶具を載置ベルト21上に配置する。例えば、作業者は、1段毎の高さが所定距離(例えば、2mm)である階段状の2つの冶具を、段部が向かい合うように対称に配置するとよい。この場合、作業者は、後述する平坦化の工程において、スキージを2つの冶具の所定の段部に摺動させることで、立体造形粉体を正確な厚みで且つ平坦に配置することができる。冶具の構成は適宜変更できる。
【符号の説明】
【0062】
1 立体造形装置
5 インクジェットヘッド部
9 ガイドシャフト
10 タイミングベルト
20 搬送部
21 載置ベルト
22,23 プーリ
25 立体造形粉体
31 CPU
35 ヘッド用モータ
41 載置ベルト用モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ポリマーを含有した立体造形粉体によって層を形成する層形成工程と、
前記層形成工程において形成された前記層に、水を溶媒とする造形液を滴下することで、前記立体造形粉体が前記造形液に溶解することによって生じる生成物を有する層を生成する生成工程とを備える立体造形物の製造方法であって、
前記水溶性ポリマーは部分けん化型ポリビニルアルコールを含有することを特徴とする立体造形物の製造方法。
【請求項2】
前記水溶性ポリマーが含有する前記部分けん化型ポリビニルアルコールの粒子径が250μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項3】
前記立体造形粉体は、平均粒子径が9μm以上40μm以下の接着力を有さない無機物または有機物をフィラーとして含有することを特徴とする請求項1または2に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項4】
前記立体造形粉体は、平均粒子径が9μm以上40μm以下の炭酸カルシウムをフィラーとして含有することを特徴とする請求項1または2に記載の立体造形物の製造方法。
【請求項5】
水溶性ポリマーを含有した立体造形粉体と、水を溶媒とする造形液とから生成される生成物が層状に積層されることによって形成される立体造形物であって、
前記水溶性ポリマーは部分けん化型ポリビニルアルコールを含有することを特徴とする立体造形物。
【請求項6】
水溶性ポリマーを含有し、水を溶媒とする造形液が滴下されて前記造形液に溶解することによって立体造形物の層を生成する立体造形粉体であって、
前記水溶性ポリマーは部分けん化型ポリビニルアルコールを含有することを特徴とする立体造形粉体。
【請求項7】
水溶性ポリマーとして部分けん化型ポリビニルアルコールを含有した立体造形粉体を載置する載置台と、
水を溶媒とする造形液を吐出可能なインクジェットヘッド部と、
前記インクジェットヘッド部と前記載置台に載置された前記立体造形粉体との相対位置を移動させる移動機構と、
前記移動機構を動作させることで、前記載置台に載置された前記立体造形粉体と前記インクジェットヘッド部との間の、前記載置台に垂直な方向の距離を調整する距離制御手段と、
前記載置台に載置された前記立体造形粉体の特定の範囲に前記造形液が吐出されるように、前記インクジェットヘッド部が前記造形液を吐出する動作、および前記移動機構が前記載置台に平行な方向における前記相対位置を移動させる動作を制御する吐出制御手段と
を備えたことを特徴とする立体造形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−230422(P2011−230422A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104309(P2010−104309)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】