立体駐車場の施工方法
【課題】建物などの構造物の内部にタワー式の立体駐車場を構築する場合、構造物内部の限られたスペースであるピット内での組立て作業が不要で、安全性および施工性を向上できる立体駐車場の施工方法を得る。
【解決手段】ピット内に駐車機械が重層される立体駐車場の施工方法において、ピット外の1階フロアレベルに地組ヤードを設け、この地組ヤードで1ユニット15単位で立体駐車機械の鉄骨を地組し、地組した鉄骨の1ユニット15を吊上げてピット内に建て込み、下段の地組鉄骨の上に次の1ユニット15分の地組鉄骨を順次結合する。
【解決手段】ピット内に駐車機械が重層される立体駐車場の施工方法において、ピット外の1階フロアレベルに地組ヤードを設け、この地組ヤードで1ユニット15単位で立体駐車機械の鉄骨を地組し、地組した鉄骨の1ユニット15を吊上げてピット内に建て込み、下段の地組鉄骨の上に次の1ユニット15分の地組鉄骨を順次結合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建物などの構造物の内部に組込まれる立体駐車場の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物などの構造物の内部に駐車機械をタワー式に組み込む立体駐車場があるが、その施工方法として、従来は例えば、構造物の躯体が完成した後に、躯体の上部がふさがっている状態で、躯体の梁またはスラブに打ち込んだフックに滑車を掛け、ウィンチなどを使用してタワー式の立体駐車場を構築するための鉄骨、パレットその他の機械を駐車場のピット内で組立てている。
【0003】
前記従来技術は、当業者間で一般的に行われているものであり、文献公知発明にかかるものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駐車設備は下層階から上層階へと順に組立てられていくが、上層階での組立ては、既に組んだ下層の鉄骨の隙間を通して材料を上げる必要があり、手間を要する。そして、組立て作業は、ピット内の限られた、しかも、順次高層となる場所で行うことになり、安全性で問題があり、また、施工性もよくない。
【0005】
また、ピット内で材料を上げる箇所は、材料の吊上げの妨げとならないよう下層階から上層階までが通しで解放された開口部となる。このため、この開口部には防護ネットなどを張ることができず、ここから転落するなどの危険性も大きい。
【0006】
本発明は前記従来例の不都合を解消し、建物などの構造物の内部にタワー式の立体駐車場を構築する場合、構造物内部の限られたスペースであるピット内での組立て作業が不要で、安全性および施工性を向上できる立体駐車場の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するため、請求項1の発明は、ピット内に駐車機械が重層される立体駐車場の施工方法において、ピット外の1階フロアレベルに地組ヤードを設け、この地組ヤードで1ユニット単位で立体駐車機械の鉄骨を地組し、地組した鉄骨の1ユニットを吊上げてピット内に建て込み、下段の地組鉄骨の上に次の1ユニット分の地組鉄骨を順次結合することを要旨とするものである。
【0008】
請求項1記載の本発明によれば、立体駐車機械の鉄骨は、建物内のピットの外の、1階フロアレベルで組立てるから、従来のように高所での組立て作業がなくなり安全である。また、従来のようにピット内という限られたスペースでの組立て作業もなくなるから作業性が向上する。
【0009】
そして、地組ヤードで組立てる鉄骨はユニット単位で行い、ユニット単位で吊上げてピット内に建て込み、これを順次積重ねるだけでタワー式の立体駐車場が構築できるから、施工性がよい。
【0010】
請求項2記載の発明は、ピットは、1つの構造物に複数併設され、各ピット毎に地組する鉄骨の1ユニットの層数を異ならせることを要旨とするものである。
【0011】
請求項2記載の本発明によれば、1つの構造物内にピットが複数併設される場合、各ピット毎で地組する1ユニットの層数を異ならせることで、駐車機械の揚重や接続をピット毎に異なる階で行えるから、仕事量の平準化が図れる。
【0012】
請求項3記載の発明は、ピットを形成する構造物の躯体の構築に追随して、地組した鉄骨のユニットをピット内に建て込むことを要旨とするものである。
【0013】
請求項3記載の本発明によれば、構造物の躯体の構築サイクルの中で大型のタワークレーンなどを使用して鉄骨ユニットを組立て、ピット内に建て込むようにしたから、組立て工期が短縮でき、建て込みも容易となる。また、各ユニットごとに水平ネットを架設できるから、安全に施工できる。
【0014】
請求項4記載の発明は、1階フロアレベルで地組する鉄骨の4周囲には仮設足場を構築することを要旨とするものである。
【0015】
請求項4記載の本発明によれば、1階フロアレベルで鉄骨の地組を行うから、周囲に足場を架設することができ、安全であるだけでなく、鉄骨柱の建方時に鉄骨を誘導するガイドを計画して精度よく、効率的に地組を行える。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように本発明の立体駐車場の施工方法は、建物などの構造物の内部にタワー式の立体駐車場を構築する場合、1階フロアレベルに設けた地組ヤードでユニット単位で駐車機械の鉄骨を移動式クレーンなどを使用して地組し、大型のタワークレーンなどを使用して構造物内部のピットに組上げていくから、限られたスペースであるピット内での組立て作業が不要で、安全性および施工性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1から図11は本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの工程図、図12から図14は最下段である鉄骨0節から1節のユニットの建て込み工程図である。
【0018】
1ユニット分の鉄骨の地組工程から説明する。図示は省略したが、立体駐車場が構築される建物などの構造物の外の1階フロアレベルに、立体駐車場の鉄骨の地組ヤードを設ける。本発明は図15に示すようにこの地組ヤードに地組用の仮設足場1を組んで、ここで鉄骨地組を行う。
【0019】
鉄骨地組は、第1工程として、地組ヤードに敷鉄板を敷き、敷鉄板上に芯墨を出し、地組用の束柱を含む取付用架台を設置する。図15にも示すようにラフタークレーンなどの移動式クレーン2を使用して柱3を吊上げて所定位置に建てる(図1参照)。
【0020】
第2工程として図2に示すように第1工程と同様に移動式クレーン2を使用して梁4を吊上げ、下段から梁4を取付ける。梁4の取付後、親綱5を張り、安全を確保する。図中6はラダーを示す。
【0021】
第3工程では図3に示すようにレバーブロック、トラワイヤー、キトークリップなどを使用して建て入れ直しのセットを行い、仮設足場1を利用してボルト本締を行う。
【0022】
次に図4に示す第4工程で、カウンターウェイトレール7、ガイドレール8を取付け、図5に示す第5工程でパレット9を移動式クレーンで吊上げて下段より取付ける。パレット9は対向する(図5において前後方向)一対の梁4側に2箇所ずつに番線を通しラックと固定する。パレット9の取付完了後、ラック部のボルトを本締めする。
【0023】
図6の第6工程では、前記のようにして間隔をおいて前後方向に固定したパレット9に対して、パレット9,9間に鋼製の足場板10を掛渡し番線で固定する。さらに単管、クランプなどにて手摺11を取付ける。
【0024】
次に第7工程として図7に示すようにパレット9間に形成される空所に水平ネット12を取付ける。
【0025】
第8工程では図8に示すようにワイヤー、レバーブロックなどで建て入れ直しを行い、下げ振り13を使用して計測を行う。
【0026】
こうして鉄骨の1節分のユニット15bを1階フロアレベルの地組ヤードで地組する。かかる作業は1階フロアレベルで行えるから、また、仮設足場1を先行して組んで行えるから、安全で施工性もよい。鉄骨の1ユニット15b分が地組されたならば、図9の第9工程で下段の梁に水平ネットを取付け、大型のタワークレーン14で吊上げて建物などの構造物のピット内に取り込む(図15参照)。
【0027】
そして、図10の第10工程で、ピット内に既に設置してある1節分のユニット15aの上に接合する。下段のユニット15aの上に新たに建て入れた上段のユニット15bをジョイント部のボルトを本締めすることで固定する。かかる作業も水平ネットが下方に設置されているから安全性を確保できる。
【0028】
以上のようにして、図11に示すように地組ヤードで新たに組上げた1ユニットをピット内に建て込んで、ここに先に建て込んであるユニットの上に接続するという工程を繰返して下層から上層へと地組鉄骨を積重ね駐車設備を構築する。
【0029】
図12から図14は、最下段である鉄骨0節から1節のユニットの施工工程を示すもので、建物などの構造物のピット内の鉄筋コンクリートの基礎にアンカーボルトを打ち込み、束柱18をセットする。束柱18の設置は、ラフタークレーンまたはタワークレーン14を使用する。
【0030】
次に建物の外の地組ヤードで前記のようにして建て方を行った1ユニット15分の地組鉄骨をタワークレーン14で上架し(図13参照)、ピット内の束柱18の上に接続する(図14参照)。
【0031】
前記の地組で1ユニット15分のフレームは固定されているので吊り込み後は、図14に示すようにすぐにボルトを本締めして、1ユニット15分をピット内に固定する。
【0032】
以上のようにして1階フロアレベルの地組ヤードで1ユニット分の鉄骨を組上げ、組上げた1ユニット15をピット内にタワークレーン14で順次に建て込むものであるが、図16から図19に示すように建物内に構築されるピット19a,19b,19cの数が複数の場合、各ピット19a,19b,19cに建て込む1ユニット15の高さ、すなわち層の数を異ならせる。図17の場合、ピット19aでは1フロア分、ピット19bでは2フロア分、ピット19cでは3フロア分とした。
【0033】
これにより、図17から図19に示すように各ピット19a,19b,19c内で、ユニット15のジョイント位置が異なり、立体駐車機械の揚重、接続を行う階数が異なることになって仕事量の平準化が図れる。
【0034】
また、各ピット19a,19b,19cの躯体20の構築の進行状況に合わせて、ユニット15を建て込み、上層へと接続していく。これにより、躯体サイクルの中で、これと並行して駐車場が構築されるから効率よく施工できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第1工程の斜視図である。
【図2】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第2工程の斜視図である。
【図3】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第3工程の斜視図である。
【図4】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第4工程の斜視図である。
【図5】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第5工程の斜視図である。
【図6】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第6工程の斜視図である。
【図7】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第7工程の斜視図である。
【図8】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第8工程の斜視図である。
【図9】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第9工程の斜視図である。
【図10】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第10工程の斜視図である。
【図11】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第11工程の斜視図である。
【図12】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す最下段である鉄骨0節から1節のユニットの建て込みの第1工程図である。
【図13】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す最下段である鉄骨0節から1節のユニットの建て込みの第2工程図である。
【図14】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す最下段である鉄骨0節から1節のユニットの建て込みの第3工程図である。
【図15】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示すクレーンによる建て方の説明図である。
【図16】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す駐車場の鉄骨立方と躯体工事との関係を示す第1工程図である。
【図17】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す駐車場の鉄骨立方と躯体工事との関係を示す第2工程図である。
【図18】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す駐車場の鉄骨立方と躯体工事との関係を示す第3工程図である。
【図19】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す駐車場の鉄骨立方と躯体工事との関係を示す第4工程図である。
【符号の説明】
【0036】
1 仮設足場 2 移動式クレーン
3 柱 4 梁
5 親綱 6 ラダー
7 カウンターウェイトレール 8 ガイドレール
9 パレット 10 足場板
11 手摺
12 水平ネット 13 下げ振り
14 タワークレーン
15,15a,15b,15c ユニット
16 敷鉄板 17 芯墨
18 束柱 19a,19b,19c ピット
20 躯体
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建物などの構造物の内部に組込まれる立体駐車場の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物などの構造物の内部に駐車機械をタワー式に組み込む立体駐車場があるが、その施工方法として、従来は例えば、構造物の躯体が完成した後に、躯体の上部がふさがっている状態で、躯体の梁またはスラブに打ち込んだフックに滑車を掛け、ウィンチなどを使用してタワー式の立体駐車場を構築するための鉄骨、パレットその他の機械を駐車場のピット内で組立てている。
【0003】
前記従来技術は、当業者間で一般的に行われているものであり、文献公知発明にかかるものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駐車設備は下層階から上層階へと順に組立てられていくが、上層階での組立ては、既に組んだ下層の鉄骨の隙間を通して材料を上げる必要があり、手間を要する。そして、組立て作業は、ピット内の限られた、しかも、順次高層となる場所で行うことになり、安全性で問題があり、また、施工性もよくない。
【0005】
また、ピット内で材料を上げる箇所は、材料の吊上げの妨げとならないよう下層階から上層階までが通しで解放された開口部となる。このため、この開口部には防護ネットなどを張ることができず、ここから転落するなどの危険性も大きい。
【0006】
本発明は前記従来例の不都合を解消し、建物などの構造物の内部にタワー式の立体駐車場を構築する場合、構造物内部の限られたスペースであるピット内での組立て作業が不要で、安全性および施工性を向上できる立体駐車場の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するため、請求項1の発明は、ピット内に駐車機械が重層される立体駐車場の施工方法において、ピット外の1階フロアレベルに地組ヤードを設け、この地組ヤードで1ユニット単位で立体駐車機械の鉄骨を地組し、地組した鉄骨の1ユニットを吊上げてピット内に建て込み、下段の地組鉄骨の上に次の1ユニット分の地組鉄骨を順次結合することを要旨とするものである。
【0008】
請求項1記載の本発明によれば、立体駐車機械の鉄骨は、建物内のピットの外の、1階フロアレベルで組立てるから、従来のように高所での組立て作業がなくなり安全である。また、従来のようにピット内という限られたスペースでの組立て作業もなくなるから作業性が向上する。
【0009】
そして、地組ヤードで組立てる鉄骨はユニット単位で行い、ユニット単位で吊上げてピット内に建て込み、これを順次積重ねるだけでタワー式の立体駐車場が構築できるから、施工性がよい。
【0010】
請求項2記載の発明は、ピットは、1つの構造物に複数併設され、各ピット毎に地組する鉄骨の1ユニットの層数を異ならせることを要旨とするものである。
【0011】
請求項2記載の本発明によれば、1つの構造物内にピットが複数併設される場合、各ピット毎で地組する1ユニットの層数を異ならせることで、駐車機械の揚重や接続をピット毎に異なる階で行えるから、仕事量の平準化が図れる。
【0012】
請求項3記載の発明は、ピットを形成する構造物の躯体の構築に追随して、地組した鉄骨のユニットをピット内に建て込むことを要旨とするものである。
【0013】
請求項3記載の本発明によれば、構造物の躯体の構築サイクルの中で大型のタワークレーンなどを使用して鉄骨ユニットを組立て、ピット内に建て込むようにしたから、組立て工期が短縮でき、建て込みも容易となる。また、各ユニットごとに水平ネットを架設できるから、安全に施工できる。
【0014】
請求項4記載の発明は、1階フロアレベルで地組する鉄骨の4周囲には仮設足場を構築することを要旨とするものである。
【0015】
請求項4記載の本発明によれば、1階フロアレベルで鉄骨の地組を行うから、周囲に足場を架設することができ、安全であるだけでなく、鉄骨柱の建方時に鉄骨を誘導するガイドを計画して精度よく、効率的に地組を行える。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように本発明の立体駐車場の施工方法は、建物などの構造物の内部にタワー式の立体駐車場を構築する場合、1階フロアレベルに設けた地組ヤードでユニット単位で駐車機械の鉄骨を移動式クレーンなどを使用して地組し、大型のタワークレーンなどを使用して構造物内部のピットに組上げていくから、限られたスペースであるピット内での組立て作業が不要で、安全性および施工性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1から図11は本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの工程図、図12から図14は最下段である鉄骨0節から1節のユニットの建て込み工程図である。
【0018】
1ユニット分の鉄骨の地組工程から説明する。図示は省略したが、立体駐車場が構築される建物などの構造物の外の1階フロアレベルに、立体駐車場の鉄骨の地組ヤードを設ける。本発明は図15に示すようにこの地組ヤードに地組用の仮設足場1を組んで、ここで鉄骨地組を行う。
【0019】
鉄骨地組は、第1工程として、地組ヤードに敷鉄板を敷き、敷鉄板上に芯墨を出し、地組用の束柱を含む取付用架台を設置する。図15にも示すようにラフタークレーンなどの移動式クレーン2を使用して柱3を吊上げて所定位置に建てる(図1参照)。
【0020】
第2工程として図2に示すように第1工程と同様に移動式クレーン2を使用して梁4を吊上げ、下段から梁4を取付ける。梁4の取付後、親綱5を張り、安全を確保する。図中6はラダーを示す。
【0021】
第3工程では図3に示すようにレバーブロック、トラワイヤー、キトークリップなどを使用して建て入れ直しのセットを行い、仮設足場1を利用してボルト本締を行う。
【0022】
次に図4に示す第4工程で、カウンターウェイトレール7、ガイドレール8を取付け、図5に示す第5工程でパレット9を移動式クレーンで吊上げて下段より取付ける。パレット9は対向する(図5において前後方向)一対の梁4側に2箇所ずつに番線を通しラックと固定する。パレット9の取付完了後、ラック部のボルトを本締めする。
【0023】
図6の第6工程では、前記のようにして間隔をおいて前後方向に固定したパレット9に対して、パレット9,9間に鋼製の足場板10を掛渡し番線で固定する。さらに単管、クランプなどにて手摺11を取付ける。
【0024】
次に第7工程として図7に示すようにパレット9間に形成される空所に水平ネット12を取付ける。
【0025】
第8工程では図8に示すようにワイヤー、レバーブロックなどで建て入れ直しを行い、下げ振り13を使用して計測を行う。
【0026】
こうして鉄骨の1節分のユニット15bを1階フロアレベルの地組ヤードで地組する。かかる作業は1階フロアレベルで行えるから、また、仮設足場1を先行して組んで行えるから、安全で施工性もよい。鉄骨の1ユニット15b分が地組されたならば、図9の第9工程で下段の梁に水平ネットを取付け、大型のタワークレーン14で吊上げて建物などの構造物のピット内に取り込む(図15参照)。
【0027】
そして、図10の第10工程で、ピット内に既に設置してある1節分のユニット15aの上に接合する。下段のユニット15aの上に新たに建て入れた上段のユニット15bをジョイント部のボルトを本締めすることで固定する。かかる作業も水平ネットが下方に設置されているから安全性を確保できる。
【0028】
以上のようにして、図11に示すように地組ヤードで新たに組上げた1ユニットをピット内に建て込んで、ここに先に建て込んであるユニットの上に接続するという工程を繰返して下層から上層へと地組鉄骨を積重ね駐車設備を構築する。
【0029】
図12から図14は、最下段である鉄骨0節から1節のユニットの施工工程を示すもので、建物などの構造物のピット内の鉄筋コンクリートの基礎にアンカーボルトを打ち込み、束柱18をセットする。束柱18の設置は、ラフタークレーンまたはタワークレーン14を使用する。
【0030】
次に建物の外の地組ヤードで前記のようにして建て方を行った1ユニット15分の地組鉄骨をタワークレーン14で上架し(図13参照)、ピット内の束柱18の上に接続する(図14参照)。
【0031】
前記の地組で1ユニット15分のフレームは固定されているので吊り込み後は、図14に示すようにすぐにボルトを本締めして、1ユニット15分をピット内に固定する。
【0032】
以上のようにして1階フロアレベルの地組ヤードで1ユニット分の鉄骨を組上げ、組上げた1ユニット15をピット内にタワークレーン14で順次に建て込むものであるが、図16から図19に示すように建物内に構築されるピット19a,19b,19cの数が複数の場合、各ピット19a,19b,19cに建て込む1ユニット15の高さ、すなわち層の数を異ならせる。図17の場合、ピット19aでは1フロア分、ピット19bでは2フロア分、ピット19cでは3フロア分とした。
【0033】
これにより、図17から図19に示すように各ピット19a,19b,19c内で、ユニット15のジョイント位置が異なり、立体駐車機械の揚重、接続を行う階数が異なることになって仕事量の平準化が図れる。
【0034】
また、各ピット19a,19b,19cの躯体20の構築の進行状況に合わせて、ユニット15を建て込み、上層へと接続していく。これにより、躯体サイクルの中で、これと並行して駐車場が構築されるから効率よく施工できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第1工程の斜視図である。
【図2】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第2工程の斜視図である。
【図3】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第3工程の斜視図である。
【図4】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第4工程の斜視図である。
【図5】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第5工程の斜視図である。
【図6】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第6工程の斜視図である。
【図7】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第7工程の斜視図である。
【図8】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第8工程の斜視図である。
【図9】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第9工程の斜視図である。
【図10】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第10工程の斜視図である。
【図11】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す1ユニット分の鉄骨地組の工程及び建て込みの第11工程の斜視図である。
【図12】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す最下段である鉄骨0節から1節のユニットの建て込みの第1工程図である。
【図13】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す最下段である鉄骨0節から1節のユニットの建て込みの第2工程図である。
【図14】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す最下段である鉄骨0節から1節のユニットの建て込みの第3工程図である。
【図15】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示すクレーンによる建て方の説明図である。
【図16】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す駐車場の鉄骨立方と躯体工事との関係を示す第1工程図である。
【図17】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す駐車場の鉄骨立方と躯体工事との関係を示す第2工程図である。
【図18】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す駐車場の鉄骨立方と躯体工事との関係を示す第3工程図である。
【図19】本発明の立体駐車場の施工方法の実施形態を示す駐車場の鉄骨立方と躯体工事との関係を示す第4工程図である。
【符号の説明】
【0036】
1 仮設足場 2 移動式クレーン
3 柱 4 梁
5 親綱 6 ラダー
7 カウンターウェイトレール 8 ガイドレール
9 パレット 10 足場板
11 手摺
12 水平ネット 13 下げ振り
14 タワークレーン
15,15a,15b,15c ユニット
16 敷鉄板 17 芯墨
18 束柱 19a,19b,19c ピット
20 躯体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピット内に駐車機械が重層される立体駐車場の施工方法において、ピット外の1階フロアレベルに地組ヤードを設け、この地組ヤードで1ユニット単位で立体駐車機械の鉄骨を地組し、地組した鉄骨の1ユニットを吊上げてピット内に建て込み、下段の地組鉄骨の上に次の1ユニット分の地組鉄骨を順次結合することを特徴とする立体駐車場の施工方法。
【請求項2】
ピットは、1つの構造物に複数併設され、各ピット毎に地組する鉄骨の1ユニットの層数を異ならせる請求項1記載の立体駐車場の施工方法。
【請求項3】
ピットを形成する構造物の躯体の構築に追随して、地組した鉄骨のユニットをピット内に建て込む請求項1または請求項2に記載の立体駐車場の施工方法。
【請求項4】
1階フロアレベルで地組する鉄骨の4周囲には仮設足場を構築する請求項1から請求項3のいずれかに記載の立体駐車場の施工方法。
【請求項1】
ピット内に駐車機械が重層される立体駐車場の施工方法において、ピット外の1階フロアレベルに地組ヤードを設け、この地組ヤードで1ユニット単位で立体駐車機械の鉄骨を地組し、地組した鉄骨の1ユニットを吊上げてピット内に建て込み、下段の地組鉄骨の上に次の1ユニット分の地組鉄骨を順次結合することを特徴とする立体駐車場の施工方法。
【請求項2】
ピットは、1つの構造物に複数併設され、各ピット毎に地組する鉄骨の1ユニットの層数を異ならせる請求項1記載の立体駐車場の施工方法。
【請求項3】
ピットを形成する構造物の躯体の構築に追随して、地組した鉄骨のユニットをピット内に建て込む請求項1または請求項2に記載の立体駐車場の施工方法。
【請求項4】
1階フロアレベルで地組する鉄骨の4周囲には仮設足場を構築する請求項1から請求項3のいずれかに記載の立体駐車場の施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−180058(P2009−180058A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22404(P2008−22404)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レバーブロック
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レバーブロック
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】
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