説明

端太材受け金具

【課題】 コンクリートの側圧による接続金具からの外れが生じ難く、コンクリート型枠や接続金具の破損も生じ難い端太材受け金具を提供する。
【解決手段】 この端太材受け金具1は、コンクリート型枠10の連結ピン31に係止されて端太材を受ける金具である。この端太材受け金具1は、端太材支持部2と連結ピン係止用の係止部3とを備える。端太材支持部2は、端太材を載せる底板2aと、底板2aの外側端から立ち上がって端太材を保持する立板2bとを有する断面L字状である。係止部3は、端太材支持部2の底板2aの内側端から立ち上がり立板2bとは反対側に立ち下がる断面逆U字状である。この係止部3は、端太材支持部2の底板2a内側端におけるコンクリート型枠10の両リブ11の重なり部を避けた両側部に分けて一対設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンクリート型枠の組立体に沿って配置される端太材を支持する端太材受け金具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の端太材受け金具の従来例として、図7に斜視図で示すように、断面L字状とされて端太材を支持する端太材支持部42と、この端太材支持部42に隣接して設けられる断面逆U字状の連結ピン係止部43とを有するものが知られている(例えば特許文献1)。図8は、この端太材受け金具41を、隣接するコンクリート型枠の接続に用いられる接続金具に取付けた状態を示した斜視図である。同図において、コンクリート型枠10は端部にリブ11を有し、2枚のコンクリート型枠10は、それらの各リブ11が互いに重なり合うように隣接して配置され、両リブ11の重なり合う部分が接続金具30で連結される。接続金具30は、前記両リブ11に形成されたピン挿通孔12に挿通される連結ピン31と、両リブ11の重なり合う部分を挟む挟持部材32とを有する。前記端太材受け金具41は、その連結ピン係止部43を前記接続金具30の連結ピン31に係止することで接続金具30に取付けられ、この取付状態でコンクリート型枠10の外側に突出する端太材支持部42に端太材が支持される。
【特許文献1】特許第3048903号公報
【特許文献2】特開2005−290724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記構成の端太材受け金具41は、その取付状態を平面図で示す図9のように、幅方向の一端を接続金具30の連結ピン31に係止して取付けられる。このため、片効き状態となり、端太材受け金具41が接続金具30から外れ易く、コンクリート型枠10の接続金具付近が損傷し易くなる。すなわち、コンクリート型枠10に矢印Pで示すように作用する側圧によって、端太材受け金具41に支持された端太材20が押し出され、接続金具30にその片側から引っ張られるようなモーメント(矢印Mで示す)が働くため、端太材受け金具41が接続金具30から外れ易い。それに伴い、コンクリート型枠10の接続金具付近や接続金具30も破損し易い。特に、深い基礎の打設時は、コンクリート型枠10に作用する上記側圧が大きく、端太材受け金具41の外れの問題が生じ易い。
【0004】
この発明の目的は、コンクリートの側圧による接続金具からの外れが生じ難く、コンクリート型枠や接続金具の破損も生じ難い端太材受け金具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の端太材支持金具は、隣接して配置される2枚のコンクリート型枠の端部のリブが重なり合う部分を、両リブに形成されたピン挿通孔に挿通した連結ピン、および前記両リブの重なり合う部分を挟む挟持部材からなる接続金具で連結したコンクリート型枠組立体に対して、前記連結ピンに係止して取付けられ、前記コンクリート型枠組立体に沿って配置される端太材を受ける端太材受け金具である。この端太材受け金具は、前記端太材を載せる底板、およびこの底板の前記コンクリート型枠に対する外側端から立ち上がって端太材を保持する立板を有する断面L字状の端太材支持部と、この端太材支持部の前記底板の内側端から立ち上がり前記立板とは反対側に立ち下がって前記接続金具の連結ピンに係止する断面逆U字状の係止部とを備え、前記係止部は、前記端太材支持部の底板内側端における前記コンクリート型枠の両リブの重なり部を避けた両側部に分けて一対設けたことを特徴とする。
この構成の端太材受け金具は、幅方向の両端に分離された一対の係止部が、コンクリート型枠の接続金物の連結ピンに対して、型枠端部のリブの重なり部の両側に位置して係止される。そのため、従来例の場合のような片効き状態とはならず、コンクリート型枠に側圧が作用した状態で、端太材受け金具は、接続金具をその両端から均等に引っ張ることになる。このため、端太材受け金具が接続金具から外れ難く、コンクリート型枠の損傷が少なくなって、コンクリート型枠の再利用可能回数が増やせ、接続金具の破損も生じ難い。
【0006】
この発明において、前記端太材支持部の底板内側端における前記一対の係止部で挟まれる中間位置に、コンクリート型枠側に突出して前記両リブの重なり部に当接するリブ当接片を設けても良い。
この構成の場合、端太材受け金具が前記リブ当接片で、前記コンクリート型枠の両リブの重なり部に当接する。このため、底板内側端をリブの重なり部に当接させる場合に比べて、広い面で当接させることができて、強く押し当てられることによる端太材受け金具の変形や損傷が防止される。
【発明の効果】
【0007】
この発明の端太材受け金具は、隣接して配置される2枚のコンクリート型枠の端部のリブが重なり合う部分を、両リブに形成されたピン挿通孔に挿通した連結ピン、および前記両リブの重なり合う部分を挟む挟持部材からなる接続金具で連結したコンクリート型枠組立体に対して、前記連結ピンに係止して取付けられ、前記コンクリート型枠組立体に沿って配置される端太材を受ける端太材受け金具であって、前記端太材を載せる底板、およびこの底板の前記コンクリート型枠に対する外側端から立ち上がって端太材を保持する立板を有する断面L字状の端太材支持部と、この端太材支持部の前記底板の内側端から立ち上がり前記立板とは反対側に立ち下がって前記接続金具の連結ピンに係止する断面逆U字状の係止部とを備え、前記係止部は、前記端太材支持部の底板内側端における前記コンクリート型枠の両リブの重なり部を避けた両側部に分けて一対設けたため、深基礎打設時等に生じるコンクリートの大きな側圧に対して、接続金具にかかる力が均等になって、接続金具からの外れが生じ難く、コンクリート型枠や接続金具の破損も生じ難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明の第1の実施形態を図1ないし図5と共に説明する。図1は、布基礎等の基礎コンクリートの打設工事のために組み立てられたコンクリート型枠組立体9、およびこのコンクリート型枠組立体9に沿って配置される端太材20を示し、この端太材20を、この実施形態の端太材受け金具1で支持している。図2は前記端太材受け金具1の斜視図を示し、図4(A)は前記コンクリート型枠組立体9における隣接して配置される2枚のコンクリート型枠10を接続金具30で連結した状態の斜視図である。
【0009】
図4(A)のように、コンクリート型枠10は端部に外側面から突出したリブ11を有し、そのリブ11が重なり合うように2枚のコンクリート型枠10が隣接して配置される。各リブ11には、前記重なり状態において互いに整合する横向きのピン挿通孔12が形成されている。
前記接続金具30は、コンクリート型枠10のリブ11の前記ピン挿通孔12に挿通される連結ピン31と、この連結ピン31の中間部から径方向に伸びたU字状で前記両リブ11が重なり合う部分を挟む挟持部材32とを有する。連結ピン31の基端は、一方のコンクリート型枠10の端部のリブ11に平行して設けられる別のリブ11Aで支持される。すなわち、前記リブ11Aに形成された切欠部14の開口を蓋部材15で閉鎖して構成される支持孔13で、前記連結ピン31の基端が支持される。
【0010】
端太材受け金具1は、端太材20を支持する端太材支持部2と、前記接続金具30の連結ピン31に係止する係止部3とを備える。端太材受け金具1の端太材支持部2は、端太材20を載せる底板2aと、この底板2aの外側端から立ち上がって端太材20を保持する立板2bとを有する断面L字状とされている。底板2aの外側端とは、この端太材受け金具1を前記接続金具30に取付けた状態で、コンクリート型枠10に対して外側となる端部である。端太材受け金具1の係止部3は、前記端太材支持部2における底板2の内側端から立ち上がり、端太材支持部2における立板2bとは反対側に立ち下がった断面U字状とされている。この係止部3は、端太材支持部2の底板2aの内側端における前記コンクリート型枠1の両リブ11の重なり部を避けた両側部に分けて一対設けられている。
【0011】
図4(B)は、この端太材受け金具1を前記接続金具30に取付けた状態を示す。端太材受け金具1は、その一対の係止部3が前記コンクリート型枠10の両リブ11の重なり部を挟むように位置させて、これら両係止部3を接続金具30の連結ピン31に係止させることで、接続金具30に取付けられる。この取付状態で、端太材支持部2の底板2aの内側端が前記両リブ11の重なり部の前面に当接することにより、接続金具20連結ピン31を中心とする端太材受け金具1の揺動が規制され、端太材支持部2の底板2aが水平となる姿勢に維持される。
【0012】
この構成の端太材受け金具1によると、その取付状態を平面図で示す図5のように、幅方向の両端に分離された一対の係止部3が、2枚のコンクリート型枠10の両リブ11の重なり部を挟んで接続金具30の連結ピン31に係止した状態で使用される。そのため、コンクリート型枠10に側圧が作用した状態で、端太材受け金具1は、接続金具30をその両端から均等に引っ張ることになる。したがって、深基礎打設時等の大きな側圧の作用時にも、端太材受け金具1が接続金具30から外れ難く、コンクリート型枠10の接続金具30の付近が損傷し難くて、コンクリート型枠10の再利用可能回数が多くなる。また接続金具30も破損し難くなる。
【0013】
図6は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態では、図2の端太材受け金具1において、端太材支持部2の底板2aの内側端における一対の係止部3で挟まれる中間位置に、コンクリート型枠10側に突出して前記両リブ11の重なり部の前面に当接する断面逆L字状のリブ当接片4を設けている。その他の構成は先の実施形態の場合と同様である。
【0014】
この端太材受け金具1では、前記接続金具30に取付けた状態で、端太材支持部2における底板2aの内側端がコンクリート型枠10の両リブ11の重なり部の前面に直接当接するのではなく、前記リブ当接片4が当接する。このため、コンクリート型枠10からの側圧により端太材支持部2に無理な力が作用して底板2aが変形するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施形態にかかる端太材受け金具をコンクリート型枠の組立工事に使用した状態を示す説明図である。
【図2】同端太材受け金具の斜視図である。
【図3】(A)は同端太材受け金具の平面図であり、(B)は同側面図、(C)は同背面図、(D)は同正面図である。
【図4】(A)は同端太材受け金具を取付ける前の接続金具の使用状態を示す斜視図、(B)は同接続金具へ端太材受け金具を取付けた状態を示す斜視図である。
【図5】同端太材受け金具への作用力についての説明図である。
【図6】この発明の他の実施形態にかかる端太材受け金具の斜視図である。
【図7】従来の端太材受け金具の斜視図である。
【図8】同端太材受け金具を接続金具に取付けた状態を示す斜視図である。
【図9】同端太材受け金具への作用力についての説明図である。
【符号の説明】
【0016】
1…端太材受け金具
2…端太材支持部
2a…底板
2b…立板
3…係止部
4…リブ当接片
9…コンクリート型枠組立体
10…コンクリート型枠
11…リブ
12…ピン挿通孔
20…端太材
30…接続金具
31…連結ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接して配置される2枚のコンクリート型枠の端部のリブが重なり合う部分を、両リブに形成されたピン挿通孔に挿通した連結ピン、および前記両リブの重なり合う部分を挟む挟持部材からなる接続金具で連結したコンクリート型枠組立体に対して、前記連結ピンに係止して取付けられ、前記コンクリート型枠組立体に沿って配置される端太材を受ける端太材受け金具であって、
前記端太材を載せる底板、およびこの底板の前記コンクリート型枠に対する外側端から立ち上がって端太材を保持する立板を有する断面L字状の端太材支持部と、この端太材支持部の前記底板の内側端から立ち上がり前記立板とは反対側に立ち下がって前記接続金具の連結ピンに係止する断面逆U字状の係止部とを備え、前記係止部は、前記端太材支持部の底板内側端における前記コンクリート型枠の両リブの重なり部を避けた両側部に分けて一対設けたことを特徴とする端太材受け金具。
【請求項2】
請求項1において、前記端太材支持部の底板内側端における前記一対の係止部で挟まれる中間位置に、コンクリート型枠側に突出して前記両リブの重なり部に当接するリブ当接片を設けた端太材受け金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−174132(P2009−174132A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11401(P2008−11401)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【出願人】(000108638)タカヤマ金属工業株式会社 (24)
【Fターム(参考)】