端子圧着方法および端子圧着装置
【課題】外導体端子に設けられた一対のバレルをシールドケーブルの編組反転部に圧着した後において、スプリングバックによるバレルの開きを抑制することができる端子圧着方法を提供すること。
【解決手段】外導体端子の一端に設けられた一対のバレルを、クリンパの加圧面とアンビルの受圧面により上下に挟み込んでかしめることにより、シールドケーブルの編組反転部の外周に圧着させる端子圧着方法であって、一方のバレルの先端には係止片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には係止孔が切欠形成されており、クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、半円部の中央には押圧型が入れ子式に設けられ、加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導いた後、押圧型により一方のバレルの係止片を押圧して他方のバレルの係止孔に嵌り込ませるようにした。
【解決手段】外導体端子の一端に設けられた一対のバレルを、クリンパの加圧面とアンビルの受圧面により上下に挟み込んでかしめることにより、シールドケーブルの編組反転部の外周に圧着させる端子圧着方法であって、一方のバレルの先端には係止片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には係止孔が切欠形成されており、クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、半円部の中央には押圧型が入れ子式に設けられ、加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導いた後、押圧型により一方のバレルの係止片を押圧して他方のバレルの係止孔に嵌り込ませるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は信号線を一本有する同軸ケーブルや信号線を複数本有するシールドツイストペアケーブルなどのシールドケーブルの端末部に接続されるシールドコネクタの接続に関し、更に詳しくは、シールドケーブルが備える編組にシールドコネクタが備える外導体端子のバレルをかしめて圧着接続する端子圧着方法および端子圧着装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、カーナビゲーションシステム等の自動車の電気装置に内蔵される電子部品やＩＣ（集積回路）等が実装された制御用のプリント基板へ伝送される電気信号は高速化（高周波化）され、また、そのプリント基板に形成された回路パターンも密集し高密度化されてきている。一般的に、このような高周波の電気信号を伝送するためにシールドケーブルが用いられるが、伝送される電気信号の更なる高周波化に伴って、このシールドケーブルに接続されるシールドコネクタにも更なる高周波化対応の要求が高まっている。
【０００３】
シールドケーブルの例として、いわゆる同軸ケーブルと呼ばれるものがある。一般的に用いられている同軸ケーブルは、電気信号等の伝送路として銅線などの複数の素線を束ねた信号導体を絶縁体により覆った信号線と、同じく複数の素線を編んだ導電性の編組と、この編組の外周を覆う絶縁性のシースとが同軸状に配された構造になっており、編組が信号導体の外周を隙間なく覆うことで電磁的にシールドしている。
【０００４】
通常、このような高周波信号を伝送する同軸ケーブルの端末部分に接続されるシールドコネクタには、高周波信号を伝達する信号導体と接続される内導体端子と、編組と接続される共に内導体端子の外周を覆う外導体端子と、これら内導体端子と外導体端子の間に介在される所定の比誘電率を有する誘電体とが備えられており、同軸ケーブルの端末部分の絶縁体とシースが剥ぎ取られて露出された信号導体と編組にそれぞれ内導体端子と外導体端子が接続される。
【０００５】
このようなシールドコネクタの例としては、例えば下記特許文献１に開示されているものがある。図１４（ａ）はこのシールドコネクタの縦断面を示している。図示されるように、同軸ケーブルＷの絶縁体ＷｂとシースＷｅが剥ぎ取られて信号導体Ｗａと編組Ｗｄが露出した部分にシールドコネクタ１００が接続されている。内導体端子１０１はバレル１０１ａを介して信号導体Ｗａと圧着接続され、外導体端子１０３は編組バレル１０３ａ，１０３ｂを介して編組Ｗｄと圧着接続されており、これら両端子を絶縁状態にする誘電体１０２が両端子間に介在して設けられている。図１４（ｂ）は外導体端子１０３の編組バレル１０３ａ，１０３ｂ部分の断面図を示している。
【０００６】
図示されるように外導体端子１０３の編組バレル１０３ａ，１０３ｂは、露出された編組Ｗｄを折り返してシースＷｅ端末部外周に被せた編組反転部Ｗｆ上にかしめられて編組Ｗｄと圧着されている。この場合、一方の編組バレル１０３ａの上に他方の編組バレル１０３ｂがオーバーラップするようにかしめられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】特開２０００−１７３７２５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかしながら、このように先端同士がオーバーラップするようにかしめられた編組バレル１０３ａ，１０３ｂは、スプリングバック（材料に荷重を加えて塑性変形させた後除荷すると、材料のもつ弾性のために原形に戻ろうとする現象）が発生することによって編組バレル１０３ａ，１０３ｂが開いてしまい、編組バレル１０３ａ，１０３ｂによる編組反転部Ｗｆへの締め付け力が低下する結果、シールドコネクタ１００に対する同軸ケーブルＷの引き抜き強度が低下するという問題がある。
【０００９】
そこで本発明が解決する課題は、外導体端子に設けられた一対のバレルをシールドケーブルの編組反転部に圧着した後において、スプリングバックによるバレルの開きを抑制することができる端子圧着方法および端子圧着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記課題を解決するため本発明は、外導体端子の一端に設けられた底板の左右端部から上方に向かって延設された一対のバレルを、上方に配されたクリンパの加圧面と下方に配されたアンビルの受圧面により挟み込んでかしめることにより、信号線を導電性の編組と絶縁性のシースにより被覆してなるシールドケーブルのシース端末部に編組を折り返して被せた編組反転部の外周に前記一対のバレルを圧着させる端子圧着方法であって、一方のバレルの先端には係止片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には係止孔が切欠形成されており、前記クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、前記半円部の中央には押圧型が上下方向にスライド自在になるように入れ子式に設けられ、前記アンビルの受圧面はその断面形状が半円よりも円弧角度が小さい円弧部を有した形状に形成され、前記加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導く第１の工程と、該第１の工程の後、前記押圧型により一方のバレルの係止片を押圧して他方のバレルの係止孔に嵌り込ませる第２の工程とを備え、前記加圧面と前記受圧面による挟み込みによって前記一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるようにしたことを要旨とするものである。
【００１１】
このような構成の端子圧着方法によれば、クリンパの加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導く第１の工程と、その第１の工程の後、半円部の中央に入れ子式に設けられた押圧型により一方のバレルの係止片を押圧して他方のバレルの係止孔に嵌り込ませる第２の工程とを備え、加圧面と受圧面による挟み込みによって一対のバレルはその先端同士が係止された状態でシールドケーブルの編組反転部の外周に圧着されるので、従来のようなスプリングバックによるバレルの圧着後の開きが確実に防止されている。これにより、従来のようなバレルによる編組反転部への締め付け力の低下を抑制することができ、従来よりもバレルに対するシールドケーブルの引き抜き強度を向上させることができる。
【００１２】
また、上記課題を解決するため別の本発明は、外導体端子の一端に設けられた底板の左右端部から上方に向かって延設された一対のバレルを、上方に配されたクリンパの加圧面と下方に配されたアンビルの受圧面により挟み込んでかしめることにより、信号線を導電性の編組と絶縁性のシースにより被覆してなるシールドケーブルのシース端末部に編組を折り返して被せた編組反転部の外周に前記一対のバレルを圧着させる端子圧着方法であって、一方のバレルの先端には折曲片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には突部が突出形成されており、前記クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、前記半円部の中央には押圧型が上下方向にスライド自在になるように入れ子式に設けられ、前記アンビルの受圧面はその断面形状が半円よりも円弧角度が小さい円弧部を有した形状に形成され、前記加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導く第１の工程と、該第１の工程の後、前記押圧型により一方のバレルの折曲片を押圧して他方のバレルの突部の上に折り曲げる第２の工程とを備え、前記加圧面と前記受圧面による挟み込みによって前記一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるようにしたことを要旨とするものである。
【００１３】
このような構成の端子圧着方法によれば、クリンパの加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導く第１の工程と、該第１の工程の後、半円部の中央に入れ子式に設けられた押圧型により一方のバレルの折曲片を押圧して他方のバレルの突部の上に折り曲げる第２の工程とを備え、加圧面と受圧面による挟み込みによって一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるので、従来のようなスプリングバックによるバレルの圧着後の開きが防止されている。これにより、従来のようなバレルによる編組反転部への締め付け力の低下を抑制することができ、従来よりもバレルに対するシールドケーブルの引き抜き強度を向上させることができる。
【００１４】
更に、上記課題を解決するため本発明は、外導体端子の一端に設けられた底板の左右端部から上方に向かって延設された一対のバレルを、上方に配されたクリンパの加圧面と下方に配されたアンビルの受圧面により挟み込んでかしめることにより、信号線を導電性の編組と絶縁性のシースにより被覆してなるシールドケーブルのシース端末部に編組を折り返して被せた編組反転部の外周に前記一対のバレルを圧着させる端子圧着装置であって、一方のバレルの先端には係止片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には係止孔が切欠形成されており、前記クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、前記半円部の中央には押圧型が上下方向にスライド自在になるように入れ子式に設けられ、前記アンビルの受圧面はその断面形状が半円よりも円弧角度が小さい円弧部を有した形状に形成され、前記加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導いた後、前記押圧型により一方のバレルの係止片を押圧して他方のバレルの係止孔に嵌り込ませることにより、前記一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるようにしたことを要旨とするものである。
【００１５】
このような構成の端子圧着装置によれば、クリンパの加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導いた後、半円部の中央に入れ子式に設けられた押圧型により一方のバレルの係止片を押圧して他方のバレルの係止孔に嵌り込ませることにより、一対のバレルはその先端同士が係止された状態でシールドケーブルの編組反転部の外周に圧着されるので、従来のようなスプリングバックによるバレルの圧着後の開きが確実に防止されている。これにより、従来のようなバレルによる編組反転部への締め付け力の低下を抑制することができ、従来よりもバレルに対するシールドケーブルの引き抜き強度を向上させることができる。
【００１６】
また、上記課題を解決するため別の本発明は、外導体端子の一端に設けられた底板の左右端部から上方に向かって延設された一対のバレルを、上方に配されたクリンパの加圧面と下方に配されたアンビルの受圧面により挟み込んでかしめることにより、信号線を導電性の編組と絶縁性のシースにより被覆してなるシールドケーブルのシース端末部に編組を折り返して被せた編組反転部の外周に前記一対のバレルを圧着させる端子圧着装置であって、一方のバレルの先端には折曲片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には突部が突出形成されており、前記クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、前記半円部の中央には押圧型が上下方向にスライド自在になるように入れ子式に設けられ、前記アンビルの受圧面はその断面形状が半円よりも円弧角度が小さい円弧部を有した形状に形成され、前記加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導いた後、前記押圧型により一方のバレルの折曲片を押圧して他方のバレルの突部の上に折り曲げることにより、前記一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるようにしたことを要旨とするものである。
【００１７】
このような構成の端子圧着装置によれば、クリンパの加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導いた後、半円部の中央に入れ子式に設けられた押圧型により一方のバレルの折曲片を押圧して他方のバレルの突部の上に折り曲げることにより、一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるので、従来のようなスプリングバックによるバレルの圧着後の開きが確実に防止されている。これにより、従来のようなバレルによる編組反転部への締め付け力の低下を抑制することができ、従来よりもバレルに対するシールドケーブルの引き抜き強度を向上させることができる。
【発明の効果】
【００１８】
本発明に係る端子圧着方法および端子圧着装置によれば、一対のバレルはその先端同士が係止された状態で編組反転部の外周に圧着されるので、従来のようなスプリングバックによるバレルの圧着後の開きが確実に防止されている。これにより、従来のようなバレルによる編組反転部への締め付け力の低下を抑制すると共に、従来よりもバレルに対するシールドケーブルの引き抜き強度を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本発明の第１の実施形態に係る端子圧着方法および端子圧着装置が適用されるシールドコネクタの概略構成を示した図であり、（ａ）はシールドコネクタを側方から見た断面図、（ｂ）は（ａ）を反対側から見た断面図である。
【図２】図１のシールドコネクタが備える編組バレルを同軸ケーブルの編組反転部に圧着するクリンパとアンビルの概略構成を示した図である。
【図３】図２のクリンパに入れ子式に設けられた押圧型が下降した状態を示した図である。
【図４】図２のクリンパとアンビルを用いて編組バレルを編組反転部に圧着する手順を示した図である。
【図５】図４の次の手順を示した図である。
【図６】圧着後の編組バレルを上方から見た図である。
【図７】図６の編組バレル先端同士の係止構造の変形例を示した図である。
【図８】（ａ）は図７の状態よりも係止片を係止孔の奥側に嵌め込ませた状態を示した図、（ｂ）は図７の状態よりも係止片を係止孔の手前側に嵌め込ませた状態を示した図である。
【図９】本発明の第２の実施形態に係る端子圧着方法および端子圧着装置が適用されるシールドコネクタの概略構成を示した図であり、（ａ）はシールドコネクタを側方から見た断面図、（ｂ）は（ａ）を反対側から見た断面図である。
【図１０】図９のシールドコネクタが備える編組バレルを同軸ケーブルの編組反転部に圧着するクリンパとアンビルの概略構成を示した図である。
【図１１】図１０のクリンパに入れ子式に設けられた押圧型が下降した状態を示した図である。
【図１２】図１０のクリンパとアンビルを用いて編組バレルを編組反転部に圧着する手順を示した図である。
【図１３】図１２の次の手順を示した図である。
【図１４】（ａ）は従来用いられてきたシールドコネクタの概略構成を示した断面図、（ｂ）は（ａ）の編組バレル部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２０】
以下に、本発明に係る端子圧着方法および端子圧着装置の実施の形態について図面を参照して説明する。先ず、本発明の第１の実施形態に係る端子圧着方法および端子圧着装置について図１〜図８を用いて説明する。
【００２１】
図１に示されるようにシールドコネクタ１は、同軸ケーブルＷの端末において、同軸ケーブルＷの信号導体Ｗａに内導体端子２が接続され、この内導体端子２を誘電体５が収容保持し、この誘電体５を外導体端子６が内装し、外導体端子６が同軸ケーブルＷのシールド導体Ｗｄに接続されたもので構成されている。
【００２２】
同軸ケーブルＷは、電気信号等の伝送路として銅線などの複数の素線を撚り合わせて束ねられた信号導体Ｗａと、同じく複数の素線を編んだ編組Ｗｄと、これら導体の間に介在される絶縁体Ｗｂと、編組Ｗｄの外周を覆う絶縁性のシースＷｅとが同軸状に配された構造になっており、編組Ｗｄが信号導体Ｗａの外周を隙間なく覆うことで信号導体Ｗａが電磁的にシールドされている。
【００２３】
図示されるように同軸ケーブルＷは、シースＷｅが所定長さ皮剥されて編組Ｗｄが露出され、露出された編組Ｗｄが所定長さ皮剥されて絶縁体Ｗｂが露出され、露出された絶縁体Ｗｂが所定長さ皮剥されて信号導体Ｗａが露出されている。この場合、露出された編組Ｗｄは折り返されてシースＷｅ端末部に被せられた編組反転部Ｗｆが形成されている。
【００２４】
信号導体Ｗａに接続されるシールドコネクタ１の内導体端子２は、導電性の板材が折り曲げ加工されて一体的に成形されたもので、いわゆるメス型の端子形状を有しており、図示しない相手側コネクタのオス型内導体端子に接続される端子部３を前方に備え、同軸ケーブルＷの信号導体Ｗａに接続される圧着部４を後方に備えている。
【００２５】
図１に示されるように内導体端子２の端子部３は略筒形状を有しており、端子部３の内部に折り返されることにより形成された上下一対の弾性接触片３ａ，３ａが設けられている。これら弾性接触片３ａ，３ａは弾性的に撓み変形可能となっており、図示しない相手側コネクタのオス型内導体端子のタブ部が弾性接触片３ａ，３ａの間に挿入されると弾性的に接触して信号の受け渡しができるようになる。また、端子部３の上面には、係止片３ｂが上方に向けて弾性的に撓み変形可能に突設されている。内導体端子２の圧着部４には、断面円弧状の底板の円弧端から上方に延設された左右一対のバレル５，６が設けられており、同軸ケーブルＷの信号導体Ｗａの外周にはバレル５，６がかしめられて圧着接続されている。
【００２６】
このような内導体端子２を収容保持する誘電体７は、所定の比誘電率を有する絶縁性の合成樹脂により略円柱形状に一体的に成形されており、この誘電体７によって内導体端子２と外導体端子８との間が絶縁状態にされる。この誘電体７の内部には、前後方向に開口した端子収容室７ａが貫通形成されており、この端子収容室７ａ内に内導体端子２が収容保持される。
【００２７】
この端子収容室７ａの後方の天井面には、内導体端子２の係止片３ｂが係止される係止孔７ｂが形成されており、この係止孔７ｂに内導体端子２の係止片３ｂが係止されると、内導体端子２は端子収容室７ａから容易に抜けないように保持される。そして、誘電体７の後方の下面には、ロック突部７ｃが下方に向けて突設されている。
【００２８】
このような誘電体７が内装される外導体端子８は、導電性の板材が折り曲げ加工されて一体的に成形されたもので、誘電体７が内装される略円筒状のシェル部９を前方に備え、同軸ケーブルＷの編組Ｗｄ（編組反転部Ｗｆ）と接続される圧着部１０を後方に備えている。
【００２９】
シェル部９の前方側下面には、図示しないコネクタハウジングの収容部に外導体端子８が収容される際に、コネクタハウジングの収容部の底面に形成されているスリットに挿入されるスタビライザー９ａが下方に突出して形成されている。このスタビライザー９ａにより外導体端子８のコネクタハウジング内への挿入方向が規制される。また、スタビライザー９ａの形成により生じた開口部９ｂの先端には、外導体端子８がコネクタハウジング内に挿入される際に、スタビライザー９ａがコネクタハウジングの収容部の底面スリットに案内される案内片９ｃがテーパ形状に形成されている。
【００３０】
そして、シェル部９の後方側下面には、誘電体７の後方側下面に突設されたロック突部７ｃと係合するロック片９ｄが上方に向けて撓み変形可能に形成されており、誘電体７が外導体端子８のシェル部９内に前方から挿入されると、誘電体７は容易に抜けないように保持される。尚、シェル部９の左右両側壁には、相手側コネクタの外導体端子の外壁と弾性的に接触する舌片状の接触片９ｅ，９ｅが形成されている（図６参照）。
【００３１】
外導体端子８の圧着部１０には、断面円弧形状を有する底板１０ａの左右端から上方に向かって延設された帯形状を有する一対の編組バレル１１，１２が設けられている。この場合、図中の編組バレル１１，１２は編組反転部Ｗｆにかしめられて圧着される前の状態を示している。
【００３２】
図１（ｂ）に示されるように、一方の編組バレル１１の先端１１ａには逆台形状の係止片１１ｂが突出形成され、図１（ａ）に示されるように、他方の編組バレル１２の先端１２ａには台形状の係止孔１２ｂが切欠形成されている。
【００３３】
この場合、編組バレル１２が後述する圧着装置２０によってかしめされたときにその係止孔１２ｂが編組反転部Ｗｆの最上部の上方に位置するようにするために、かしめ前の状態においては、図１（ａ），（ｂ）に示されるように、係止孔１２ｂが設けられた編組バレル１２の先端１２ａは、係止片１１ｂが設けられた編組バレル１１の先端１１ａよりも上方に位置している。
【００３４】
また、編組反転部Ｗｆが載置される圧着部１０の底板１０ａの中央には突起部１０ｂが内側に向かって突出するように形成されており、編組反転部Ｗｆへの編組バレル１１，１２の圧着後においては、突起部１０ｂの先端が編組反転部ＷｆおよびシースＷｅに食い込むようになっている。
【００３５】
図２は、このような係止片１１ｂが設けられた編組バレル１１と、係止孔１２ｂが設けられた編組バレル１２を円形状にかしめつつ、係止片１１ｂを係止孔１２ｂに嵌り込ませて編組バレル１１，１２の先端同士を係止させて、編組バレル１１，１２を編組反転部Ｗｆの外周に圧着する圧着装置２０の概略構成を示している。
【００３６】
図示されるように圧着装置２０が備えるクリンパ２１は、断面形状が下方に開いた半円形状の半円部２２ａと、この半円部２２ａの円弧端に緩やかに繋がる下方に延びたテーパ部２２ｂ，２２ｂを有した加圧面２２が形成されている。この場合、右側のテーパ部２２ｂの下端は、左側のテーパ部２２ｂの下端よりも下方に位置している。
【００３７】
また、加圧面２２の半円部２２ａの中心のやや左側から右側のテーパ部２２ｂの途中部位までの領域には、上下に貫通した型挿通孔２１ｂが形成されており、この型挿通孔２１ｂには押圧型２５が入れ子式に設けられている。押圧型２５はこの型挿通孔２１ｂに上下にスライド可能に挿通されている。この場合、押圧型２５の下端の押圧面２６は、加圧面２２の半円部２２ａの一部と一致する形状に形成されている。
【００３８】
このようなクリンパ２１の上端部および押圧型２５の上端部はクリンパホルダ２７の内部に形成された収容部２７ａに保持されている。
【００３９】
図示されるようにクリンパ２１は、クリンパホルダ２７の下面から収容部２７ａに連通したクリンパ挿通孔２７ｂに上下にスライド可能に挿通されており、クリンパ２１の上端に形成された一対のフランジ部２１ａ，２１ａが収容部２７ａの下面に載置されている。この場合、収容部２７ａの上面の左右両側には、その収容室２７ａ内に断面下半分が臨むように２本のシャフト２８，２８が回転自在に挿入されている。このシャフト２８は、上側に平面部２８ａを有する切欠円形の断面形状を有している。したがって、クリンパ２１のフランジ部２１ａの上面と下面は、シャフト２８の上側の平面部２８ａとは反対側の外周面と、収容部２７ａの下面との間に挟まれて位置決め固定されているので、クリンパホルダ２７の昇降動に伴って、クリンパ２１は上下に移動することが可能になっている。尚、クリンパホルダ２７は、図示しない加圧手段に連結されている。
【００４０】
また、押圧型２５の上端に形成された一対のフランジ部２５ａ，２５ａは、クリンパホルダ２７の収容部２７ａの上面に固定されており、クリンパホルダ２７の昇降動に伴って上下に移動することが可能になっている。
【００４１】
この場合、図３に示されるように、図２に示される状態からシャフト２８を１８０度回転させて、平面部２８ａを下側にすると、クリンパホルダ２７によって押圧型２５だけをクリンパ２１よりも更に下方に所定ストローク下降させることができるようになっている。
【００４２】
また、圧着装置２０が備えるアンビル２３には、断面形状が上方に開いた半円よりも円弧角度が小さい円弧部２４ａを有する受圧面２４が形成されている。
【００４３】
次に、図４および図５を用いて、係止片１１ｂが設けられた編組バレル１１と係止孔１２ｂが設けられた編組バレル１２を、クリンパ２１とアンビル２３によって編組反転部Ｗｆの外周に圧着させる手順について説明する。
【００４４】
図４（ａ）に示されるように、編組反転部Ｗｆが底板１０ａの上面に載置された圧着部１０の上方からクリンパ２１が下降すると、係止片１１ｂが設けられた編組バレル１１の先端１１ａが、右側のテーパ部２２ｂに沿って内側に折り曲げられると共に、係止孔１２ｂが設けられた編組バレル１２の先端１２ａが、左側のテーパ部２２ｂに沿って内側に折り曲げられる。このとき、編組バレル１１の係止片１１ｂは型挿通孔２１ｂ内に臨んだ状態にされる。
【００４５】
次に、図４（ｂ）に示されるように、更にクリンパ２１が下降すると、編組バレル１１の先端１１ａは、右側のテーパ部２２ｂの上方の半円部２２ａには至らない位置でほぼ直立状態に折り曲げられると共に、編組バレル１２の先端１２ａは、半円部２２ａに到達してその半円部２２ａに沿って直立状態から更に内側に折り曲げられる。このときも、編組バレル１１の係止片１１ｂは型挿通孔２１ｂ内に臨んだ状態のままである。
【００４６】
次に、図５（ａ）に示されるように、クリンパ２１が最下点位置まで下降すると、編組バレル１１の先端１１ａは半円部２２ａの中央の右側位置にまで導かれると共に、編組バレル１２の先端１２ａは半円部２２ａの中央を越えて更に右側位置にまで導かれる。このとき、編組バレル１１の係止片１１ｂは、押圧型２５の押圧面２６の下方の型挿通孔２１ｂ内に臨むと共に、編組バレル１２の係止孔１２ｂの右斜め上方でその係止孔１２ｂに嵌り込ませられることができるように配置されている。
【００４７】
そして、シャフト２８を１８０度回転させて、平面部２８ａを下側した状態で、クリンパホルダ２７によって押圧型２５だけをクリンパ２１よりも更に下方に下降させると、図５（ｂ）に示されるように、押圧面２６によって係止片１１ｂが下方に向けて押圧されて係止孔１１ｂに嵌り込まれることになる。
【００４８】
これにより、図６に示されるように編組バレル１１，１２は円形状にかしめされると共に、先端１１ａ，１２ａ同士が係止片１１ｂと係止孔１２ｂによって係止された状態で編組反転部Ｗｆの外周に圧着されることになる。このように一対の編組バレル１１，１２はその先端１１ａ，１２ａ同士が係止された状態で同軸ケーブルＷの編組反転部Ｗｆの外周に圧着されるので、従来のようなスプリングバックによるバレルの圧着後の開きが確実に防止されている。これにより、従来のようなバレルによる編組反転部への締め付け力の低下が抑制され、従来よりもバレルに対する同軸ケーブルの引き抜き強度が向上している。
【００４９】
図７は、上述した係止片１１ｂと係止孔１２ｂの変形例を示した図である。この場合、係止片１１ｂの前端と後端にはそれぞれ三角形状に切り欠かれた切欠溝部１１ｃが、編組バレル１１の長手方向に沿って等間隔になるように複数形成されている。また、係止孔１２ｂの前端と後端にはそれぞれ三角形状に突出した爪部１２ｃが、編組バレル１２の長手方向に沿って切欠溝１１ｃと同じ間隔で等間隔になるように複数形成されている。
【００５０】
このように係止片１１ｂに切欠溝１１ｃを形成し、係止孔１２ｂに爪部１２ｃを形成することで、係止孔１２ｂへの係止片１１ｂの嵌め込み位置を例えば図７に示される状態から図８（ａ），（ｂ）に示されるような状態に変更することができるようになっている。この場合、図８（ａ）は係止片１１ｃを係止孔１２ｂに対して図７の状態よりも奥側に嵌り込ませた状態を示しており、図８（ｂ）は係止片１１ｃを係止孔１２ｂに対して図７の状態よりも手前側に嵌り込ませた状態を示している。このように係止孔１２ｂに対して係止片１１ｃを嵌り込ませる位置を変更することで、圧着後の編組バレル１１，１２の高さ、つまりクリンプハイトを調整することが可能である。通常、編組バレル１１，１２の寸法公差に対して、同軸ケーブルＷの外径の寸法公差は大きいので、このような同軸ケーブルＷの外径のバラツキを吸収できるように圧着後の編組バレル１１，１２のクリンプハイトを調整することが可能となっている。
【００５１】
次に、本発明の第２の実施形態に係る端子圧着方法および端子圧着装置について図９〜図１３を用いて説明する。尚、上述した第１の実施形態と同一の構成については同符号を付して説明は省略し、異なる点を中心に説明する。
【００５２】
図９に示されるように、圧着部１０に設けられた編組バレル１１，１２は、図１に示される編組バレル１１，１２とは先端の形状が異なっている。この場合、図９（ｂ）に示されるように編組バレル１１の先端１１ａには、断面Ｌ字状の折曲片１１ｄが外側に突出するように設けられ、図９（ａ）に示されるように編組バレル１２の先端１２ａには突部１２ｄが外側に突出するように設けられている。
【００５３】
図１０は、このような折曲片１１ｄが設けられた編組バレル１１と、突部１２ｄが設けられた編組バレル１２を円形状にかしめつつ、折曲片１１ｄの先端を突部１２ｄの上に折り曲げて編組バレル１１，１２の先端同士を係止させて、編組バレル１１，１２を編組反転部Ｗｆの外周に圧着させる圧着装置３０の概略構成を示している。
【００５４】
図示されるように圧着装置３０が備えるクリンパ３１は、断面形状が下方に開いた半円形状の半円部３２ａと、この半円部３２ａの円弧端に緩やかに繋がる下方に延びたテーパ部３２ｂ，３２ｂを有した加圧面３２が形成されている。
【００５５】
また、加圧面３２の左側のテーパ部３２ｂの途中部位から半円部３２ａを経て右側のテーパ部３２ｂの途中部位までの領域には、上下に貫通した型挿通孔３１ｂが形成されており、この型挿通孔３１ｂには押圧型３５が入れ子式に設けられている。押圧型３５はこの型挿通孔３１ｂに上下にスライド可能に挿通されている。この場合、押圧型３５の下端の押圧面３６の中央部は、加圧面３２の半円部３２ａの一部と一致する形状に形成されている。また、押圧型３５の押圧面３６の中央には上方に向けて断面半円形状に凹設された凹部３６ａが形成されている。
【００５６】
このようなクリンパ３１の上端部および押圧型３５の上端部はクリンパホルダ３７の内部に形成された収容部３７ａに保持されている。
【００５７】
図示されるようにクリンパ３１は、クリンパホルダ３７の下面から収容部３７ａに連通したクリンパ挿通孔３７ｂに上下にスライド可能に挿通されており、クリンパ３１の上端に形成された一対のフランジ部３１ａ，３１ａが収容部３７ａの下面に載置されている。この場合、収容部３７ａの上面の左右両側には、その収容室３７ａ内に断面下半分が臨むように２本のシャフト３８，３８が回転自在に挿入されている。このシャフト３８は、上側に平面部３８ａを有する切欠円形の断面形状を有している。したがって、クリンパ３１のフランジ部３１ａの上面と下面は、シャフト３８の上側の平面部２８ａとは反対側の外周面と、収容部３７ａの下面との間に挟まれて位置決め固定されているので、クリンパホルダ３７の昇降動に伴って、クリンパ３１は上下に移動することが可能になっている。尚、クリンパホルダ３７は、図示しない加圧手段に連結されている。
【００５８】
また、押圧型３５の上端に形成された一対のフランジ部３５ａ，３５ａは、クリンパホルダ３７の収容部３７ａの上面に固定されており、クリンパホルダ３７の昇降動に伴って上下に移動することが可能になっている。
【００５９】
この場合、図１１に示されるように、図１０に示される状態からシャフト３８を１８０度回転させて、平面部３８ａを下側にすると、クリンパホルダ３７によって押圧型３５だけをクリンパ３１よりも更に下方に所定ストローク下降させることができるようになっている。
【００６０】
また、圧着装置３０が備えるアンビル３３には、断面形状が上方に開いた半円よりも円弧角度が小さい円弧部３４ａを有する受圧面３４が形成されている。
【００６１】
次に、図１２および図１３を用いて、折曲片１１ｄが設けられた編組バレル１１と突部１２ｄが設けられた編組バレル１２を、クリンパ３１とアンビル３３によって編組反転部Ｗｆの外周に圧着させる手順について説明する。
【００６２】
図１２（ａ）に示されるように、編組反転部Ｗｆが底板１０ａの上面に載置された圧着部１０の上方からクリンパ３１が下降すると、折曲片１１ｄが設けられた編組バレル１１の先端１１ａが、右側のテーパ部３２ｂに沿って内側に折り曲げられると共に、突部１２ｄが設けられた編組バレル１２の先端１２ａが、左側のテーパ部３２ｂに沿って内側に折り曲げられる。このとき、編組バレル１１の折曲片１１ｄと、編組バレル１２の突部１２ｄは、型挿通孔３１ｂ内に臨んだ状態にされる。
【００６３】
次に、図１２（ｂ）に示されるように、更にクリンパ３１が下降すると、編組バレル１１の先端１１ａは、右側のテーパ部３２ｂの上方の半円部３２ａに至った位置でほぼ直立状態に折り曲げられると共に、同じく編組バレル１２の先端１２ａは、左側のテーパ部３２ｂの上方の半円部３２ａ半円部２２ａに至った位置でほぼ直立状態に折り曲げられる。このときも、編組バレル１１の折曲片１１ｄと、編組バレル１２の突部１２ｄは、型挿通孔３１ｂ内に臨んだ状態のままである。
【００６４】
次に、図１３（ａ）に示されるように、クリンパ３１が最下点位置まで下降すると、編組バレル１１の先端１１ａは半円部３２ａの中央にまで導かれると共に、同じく編組バレル１２の先端１２ａは半円部２２ａの中央にまで導かれる。このとき、編組バレル１１の折曲片１１ｄと、編組バレル１２の突部１２ｄは、押圧面３６に凹設された凹部３６ａの下方の型挿通孔３１ｂ内に臨むと共に、折曲片１１ｄの先端の下側に突部１２ｄが配置される。
【００６５】
そして、シャフト３８を１８０度回転させて、平面部３８ａを下側にした状態で、クリンパホルダ３７によって押圧型３５だけをクリンパ３１よりも更に下方に下降させると、図１３（ｂ）に示されるように、押圧面３６の中央に凹設された凹部３６ａによる下方への押圧によって編組バレル１１の折曲片１１ｄの先端が編組バレル１２の突部１２ｄを越えるように折り曲げられることになる。
【００６６】
これにより、編組バレル１１，１２は円形状にかしめされると共に、先端１１ａ，１２ａ同士が折曲片１１ｄと突部１２ｄによって係止された状態で編組反転部Ｗｆの外周に圧着されることになる。このように一対の編組バレル１１，１２はその先端１１ａ，１２ａ同士が係止された状態で同軸ケーブルＷの編組反転部Ｗｆの外周に圧着されるので、従来のようなスプリングバックによるバレルの圧着後の開きが確実に防止されている。これにより、従来のようなバレルによる編組反転部への締め付け力の低下が抑制され、従来よりもバレルに対する同軸ケーブルの引き抜き強度が向上している。
【００６７】
以上、本発明に係る端子圧着方法および端子圧着装置の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、上記実施の形態では、信号線を一本有する同軸ケーブルに本発明を適用した場合について説明したが、信号線を複数本有するシールドツイストペアケーブルなどのシールドケーブルにも本発明を適用することができ、シールドケーブルが備える信号線の数は限定されない。また、シールドコネクタはオス型、メス型いずれの場合であっても適用可能なのは言うまでもない。
【符号の説明】
【００６８】
１：シールドコネクタ ２：内導体端子 ７：誘電体 ８：外導体端子 ９：シェル部 １０：圧着部 １０ａ：底板 １１，１２：編組バレル １１ａ，１２ａ：先端 １１ｂ：係止片 １１ｃ：切欠溝 １１ｄ：折曲片 １２ｂ：係止孔 １２ｃ：爪部 １２ｄ：突部 ２０：圧着装置 ２１：クリンパ ２１ｂ：型挿通孔 ２２：加圧面 ２２ａ：半円部 ２２ｂ：テーパ部 ２３：アンビル ２４：受圧面 ２４ａ：円弧部 ２５：押圧型 ２６：押圧面 ２７：クリンパホルダ ２７ａ：収容部 ２７ｂ：クリンパ挿通孔 ２８：シャフト ２８ａ：平面部 ３０：圧着装置 ３１：クリンパ ３１ｂ：型挿通孔 ３２：加圧面 ３２ａ：半円部 ３２ｂ：テーパ部 ３３：アンビル ３４：受圧面 ３４ａ：円弧部 ３５：押圧型 ３６：押圧面 ３６ａ：凹部 ３７：クリンパホルダ ３７ａ：収容部 ３７ｂ：クリンパ挿通孔 ３８：シャフト ３８ａ：平面部 Ｗ：同軸ケーブル Ｗａ：信号導体 Ｗｂ：絶縁体 Ｗｄ：編組 Ｗｅ：シース Ｗｆ：編組反転部
【技術分野】
【０００１】
本発明は信号線を一本有する同軸ケーブルや信号線を複数本有するシールドツイストペアケーブルなどのシールドケーブルの端末部に接続されるシールドコネクタの接続に関し、更に詳しくは、シールドケーブルが備える編組にシールドコネクタが備える外導体端子のバレルをかしめて圧着接続する端子圧着方法および端子圧着装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、カーナビゲーションシステム等の自動車の電気装置に内蔵される電子部品やＩＣ（集積回路）等が実装された制御用のプリント基板へ伝送される電気信号は高速化（高周波化）され、また、そのプリント基板に形成された回路パターンも密集し高密度化されてきている。一般的に、このような高周波の電気信号を伝送するためにシールドケーブルが用いられるが、伝送される電気信号の更なる高周波化に伴って、このシールドケーブルに接続されるシールドコネクタにも更なる高周波化対応の要求が高まっている。
【０００３】
シールドケーブルの例として、いわゆる同軸ケーブルと呼ばれるものがある。一般的に用いられている同軸ケーブルは、電気信号等の伝送路として銅線などの複数の素線を束ねた信号導体を絶縁体により覆った信号線と、同じく複数の素線を編んだ導電性の編組と、この編組の外周を覆う絶縁性のシースとが同軸状に配された構造になっており、編組が信号導体の外周を隙間なく覆うことで電磁的にシールドしている。
【０００４】
通常、このような高周波信号を伝送する同軸ケーブルの端末部分に接続されるシールドコネクタには、高周波信号を伝達する信号導体と接続される内導体端子と、編組と接続される共に内導体端子の外周を覆う外導体端子と、これら内導体端子と外導体端子の間に介在される所定の比誘電率を有する誘電体とが備えられており、同軸ケーブルの端末部分の絶縁体とシースが剥ぎ取られて露出された信号導体と編組にそれぞれ内導体端子と外導体端子が接続される。
【０００５】
このようなシールドコネクタの例としては、例えば下記特許文献１に開示されているものがある。図１４（ａ）はこのシールドコネクタの縦断面を示している。図示されるように、同軸ケーブルＷの絶縁体ＷｂとシースＷｅが剥ぎ取られて信号導体Ｗａと編組Ｗｄが露出した部分にシールドコネクタ１００が接続されている。内導体端子１０１はバレル１０１ａを介して信号導体Ｗａと圧着接続され、外導体端子１０３は編組バレル１０３ａ，１０３ｂを介して編組Ｗｄと圧着接続されており、これら両端子を絶縁状態にする誘電体１０２が両端子間に介在して設けられている。図１４（ｂ）は外導体端子１０３の編組バレル１０３ａ，１０３ｂ部分の断面図を示している。
【０００６】
図示されるように外導体端子１０３の編組バレル１０３ａ，１０３ｂは、露出された編組Ｗｄを折り返してシースＷｅ端末部外周に被せた編組反転部Ｗｆ上にかしめられて編組Ｗｄと圧着されている。この場合、一方の編組バレル１０３ａの上に他方の編組バレル１０３ｂがオーバーラップするようにかしめられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】特開２０００−１７３７２５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかしながら、このように先端同士がオーバーラップするようにかしめられた編組バレル１０３ａ，１０３ｂは、スプリングバック（材料に荷重を加えて塑性変形させた後除荷すると、材料のもつ弾性のために原形に戻ろうとする現象）が発生することによって編組バレル１０３ａ，１０３ｂが開いてしまい、編組バレル１０３ａ，１０３ｂによる編組反転部Ｗｆへの締め付け力が低下する結果、シールドコネクタ１００に対する同軸ケーブルＷの引き抜き強度が低下するという問題がある。
【０００９】
そこで本発明が解決する課題は、外導体端子に設けられた一対のバレルをシールドケーブルの編組反転部に圧着した後において、スプリングバックによるバレルの開きを抑制することができる端子圧着方法および端子圧着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記課題を解決するため本発明は、外導体端子の一端に設けられた底板の左右端部から上方に向かって延設された一対のバレルを、上方に配されたクリンパの加圧面と下方に配されたアンビルの受圧面により挟み込んでかしめることにより、信号線を導電性の編組と絶縁性のシースにより被覆してなるシールドケーブルのシース端末部に編組を折り返して被せた編組反転部の外周に前記一対のバレルを圧着させる端子圧着方法であって、一方のバレルの先端には係止片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には係止孔が切欠形成されており、前記クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、前記半円部の中央には押圧型が上下方向にスライド自在になるように入れ子式に設けられ、前記アンビルの受圧面はその断面形状が半円よりも円弧角度が小さい円弧部を有した形状に形成され、前記加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導く第１の工程と、該第１の工程の後、前記押圧型により一方のバレルの係止片を押圧して他方のバレルの係止孔に嵌り込ませる第２の工程とを備え、前記加圧面と前記受圧面による挟み込みによって前記一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるようにしたことを要旨とするものである。
【００１１】
このような構成の端子圧着方法によれば、クリンパの加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導く第１の工程と、その第１の工程の後、半円部の中央に入れ子式に設けられた押圧型により一方のバレルの係止片を押圧して他方のバレルの係止孔に嵌り込ませる第２の工程とを備え、加圧面と受圧面による挟み込みによって一対のバレルはその先端同士が係止された状態でシールドケーブルの編組反転部の外周に圧着されるので、従来のようなスプリングバックによるバレルの圧着後の開きが確実に防止されている。これにより、従来のようなバレルによる編組反転部への締め付け力の低下を抑制することができ、従来よりもバレルに対するシールドケーブルの引き抜き強度を向上させることができる。
【００１２】
また、上記課題を解決するため別の本発明は、外導体端子の一端に設けられた底板の左右端部から上方に向かって延設された一対のバレルを、上方に配されたクリンパの加圧面と下方に配されたアンビルの受圧面により挟み込んでかしめることにより、信号線を導電性の編組と絶縁性のシースにより被覆してなるシールドケーブルのシース端末部に編組を折り返して被せた編組反転部の外周に前記一対のバレルを圧着させる端子圧着方法であって、一方のバレルの先端には折曲片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には突部が突出形成されており、前記クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、前記半円部の中央には押圧型が上下方向にスライド自在になるように入れ子式に設けられ、前記アンビルの受圧面はその断面形状が半円よりも円弧角度が小さい円弧部を有した形状に形成され、前記加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導く第１の工程と、該第１の工程の後、前記押圧型により一方のバレルの折曲片を押圧して他方のバレルの突部の上に折り曲げる第２の工程とを備え、前記加圧面と前記受圧面による挟み込みによって前記一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるようにしたことを要旨とするものである。
【００１３】
このような構成の端子圧着方法によれば、クリンパの加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導く第１の工程と、該第１の工程の後、半円部の中央に入れ子式に設けられた押圧型により一方のバレルの折曲片を押圧して他方のバレルの突部の上に折り曲げる第２の工程とを備え、加圧面と受圧面による挟み込みによって一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるので、従来のようなスプリングバックによるバレルの圧着後の開きが防止されている。これにより、従来のようなバレルによる編組反転部への締め付け力の低下を抑制することができ、従来よりもバレルに対するシールドケーブルの引き抜き強度を向上させることができる。
【００１４】
更に、上記課題を解決するため本発明は、外導体端子の一端に設けられた底板の左右端部から上方に向かって延設された一対のバレルを、上方に配されたクリンパの加圧面と下方に配されたアンビルの受圧面により挟み込んでかしめることにより、信号線を導電性の編組と絶縁性のシースにより被覆してなるシールドケーブルのシース端末部に編組を折り返して被せた編組反転部の外周に前記一対のバレルを圧着させる端子圧着装置であって、一方のバレルの先端には係止片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には係止孔が切欠形成されており、前記クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、前記半円部の中央には押圧型が上下方向にスライド自在になるように入れ子式に設けられ、前記アンビルの受圧面はその断面形状が半円よりも円弧角度が小さい円弧部を有した形状に形成され、前記加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導いた後、前記押圧型により一方のバレルの係止片を押圧して他方のバレルの係止孔に嵌り込ませることにより、前記一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるようにしたことを要旨とするものである。
【００１５】
このような構成の端子圧着装置によれば、クリンパの加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導いた後、半円部の中央に入れ子式に設けられた押圧型により一方のバレルの係止片を押圧して他方のバレルの係止孔に嵌り込ませることにより、一対のバレルはその先端同士が係止された状態でシールドケーブルの編組反転部の外周に圧着されるので、従来のようなスプリングバックによるバレルの圧着後の開きが確実に防止されている。これにより、従来のようなバレルによる編組反転部への締め付け力の低下を抑制することができ、従来よりもバレルに対するシールドケーブルの引き抜き強度を向上させることができる。
【００１６】
また、上記課題を解決するため別の本発明は、外導体端子の一端に設けられた底板の左右端部から上方に向かって延設された一対のバレルを、上方に配されたクリンパの加圧面と下方に配されたアンビルの受圧面により挟み込んでかしめることにより、信号線を導電性の編組と絶縁性のシースにより被覆してなるシールドケーブルのシース端末部に編組を折り返して被せた編組反転部の外周に前記一対のバレルを圧着させる端子圧着装置であって、一方のバレルの先端には折曲片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には突部が突出形成されており、前記クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、前記半円部の中央には押圧型が上下方向にスライド自在になるように入れ子式に設けられ、前記アンビルの受圧面はその断面形状が半円よりも円弧角度が小さい円弧部を有した形状に形成され、前記加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導いた後、前記押圧型により一方のバレルの折曲片を押圧して他方のバレルの突部の上に折り曲げることにより、前記一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるようにしたことを要旨とするものである。
【００１７】
このような構成の端子圧着装置によれば、クリンパの加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導いた後、半円部の中央に入れ子式に設けられた押圧型により一方のバレルの折曲片を押圧して他方のバレルの突部の上に折り曲げることにより、一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるので、従来のようなスプリングバックによるバレルの圧着後の開きが確実に防止されている。これにより、従来のようなバレルによる編組反転部への締め付け力の低下を抑制することができ、従来よりもバレルに対するシールドケーブルの引き抜き強度を向上させることができる。
【発明の効果】
【００１８】
本発明に係る端子圧着方法および端子圧着装置によれば、一対のバレルはその先端同士が係止された状態で編組反転部の外周に圧着されるので、従来のようなスプリングバックによるバレルの圧着後の開きが確実に防止されている。これにより、従来のようなバレルによる編組反転部への締め付け力の低下を抑制すると共に、従来よりもバレルに対するシールドケーブルの引き抜き強度を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本発明の第１の実施形態に係る端子圧着方法および端子圧着装置が適用されるシールドコネクタの概略構成を示した図であり、（ａ）はシールドコネクタを側方から見た断面図、（ｂ）は（ａ）を反対側から見た断面図である。
【図２】図１のシールドコネクタが備える編組バレルを同軸ケーブルの編組反転部に圧着するクリンパとアンビルの概略構成を示した図である。
【図３】図２のクリンパに入れ子式に設けられた押圧型が下降した状態を示した図である。
【図４】図２のクリンパとアンビルを用いて編組バレルを編組反転部に圧着する手順を示した図である。
【図５】図４の次の手順を示した図である。
【図６】圧着後の編組バレルを上方から見た図である。
【図７】図６の編組バレル先端同士の係止構造の変形例を示した図である。
【図８】（ａ）は図７の状態よりも係止片を係止孔の奥側に嵌め込ませた状態を示した図、（ｂ）は図７の状態よりも係止片を係止孔の手前側に嵌め込ませた状態を示した図である。
【図９】本発明の第２の実施形態に係る端子圧着方法および端子圧着装置が適用されるシールドコネクタの概略構成を示した図であり、（ａ）はシールドコネクタを側方から見た断面図、（ｂ）は（ａ）を反対側から見た断面図である。
【図１０】図９のシールドコネクタが備える編組バレルを同軸ケーブルの編組反転部に圧着するクリンパとアンビルの概略構成を示した図である。
【図１１】図１０のクリンパに入れ子式に設けられた押圧型が下降した状態を示した図である。
【図１２】図１０のクリンパとアンビルを用いて編組バレルを編組反転部に圧着する手順を示した図である。
【図１３】図１２の次の手順を示した図である。
【図１４】（ａ）は従来用いられてきたシールドコネクタの概略構成を示した断面図、（ｂ）は（ａ）の編組バレル部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２０】
以下に、本発明に係る端子圧着方法および端子圧着装置の実施の形態について図面を参照して説明する。先ず、本発明の第１の実施形態に係る端子圧着方法および端子圧着装置について図１〜図８を用いて説明する。
【００２１】
図１に示されるようにシールドコネクタ１は、同軸ケーブルＷの端末において、同軸ケーブルＷの信号導体Ｗａに内導体端子２が接続され、この内導体端子２を誘電体５が収容保持し、この誘電体５を外導体端子６が内装し、外導体端子６が同軸ケーブルＷのシールド導体Ｗｄに接続されたもので構成されている。
【００２２】
同軸ケーブルＷは、電気信号等の伝送路として銅線などの複数の素線を撚り合わせて束ねられた信号導体Ｗａと、同じく複数の素線を編んだ編組Ｗｄと、これら導体の間に介在される絶縁体Ｗｂと、編組Ｗｄの外周を覆う絶縁性のシースＷｅとが同軸状に配された構造になっており、編組Ｗｄが信号導体Ｗａの外周を隙間なく覆うことで信号導体Ｗａが電磁的にシールドされている。
【００２３】
図示されるように同軸ケーブルＷは、シースＷｅが所定長さ皮剥されて編組Ｗｄが露出され、露出された編組Ｗｄが所定長さ皮剥されて絶縁体Ｗｂが露出され、露出された絶縁体Ｗｂが所定長さ皮剥されて信号導体Ｗａが露出されている。この場合、露出された編組Ｗｄは折り返されてシースＷｅ端末部に被せられた編組反転部Ｗｆが形成されている。
【００２４】
信号導体Ｗａに接続されるシールドコネクタ１の内導体端子２は、導電性の板材が折り曲げ加工されて一体的に成形されたもので、いわゆるメス型の端子形状を有しており、図示しない相手側コネクタのオス型内導体端子に接続される端子部３を前方に備え、同軸ケーブルＷの信号導体Ｗａに接続される圧着部４を後方に備えている。
【００２５】
図１に示されるように内導体端子２の端子部３は略筒形状を有しており、端子部３の内部に折り返されることにより形成された上下一対の弾性接触片３ａ，３ａが設けられている。これら弾性接触片３ａ，３ａは弾性的に撓み変形可能となっており、図示しない相手側コネクタのオス型内導体端子のタブ部が弾性接触片３ａ，３ａの間に挿入されると弾性的に接触して信号の受け渡しができるようになる。また、端子部３の上面には、係止片３ｂが上方に向けて弾性的に撓み変形可能に突設されている。内導体端子２の圧着部４には、断面円弧状の底板の円弧端から上方に延設された左右一対のバレル５，６が設けられており、同軸ケーブルＷの信号導体Ｗａの外周にはバレル５，６がかしめられて圧着接続されている。
【００２６】
このような内導体端子２を収容保持する誘電体７は、所定の比誘電率を有する絶縁性の合成樹脂により略円柱形状に一体的に成形されており、この誘電体７によって内導体端子２と外導体端子８との間が絶縁状態にされる。この誘電体７の内部には、前後方向に開口した端子収容室７ａが貫通形成されており、この端子収容室７ａ内に内導体端子２が収容保持される。
【００２７】
この端子収容室７ａの後方の天井面には、内導体端子２の係止片３ｂが係止される係止孔７ｂが形成されており、この係止孔７ｂに内導体端子２の係止片３ｂが係止されると、内導体端子２は端子収容室７ａから容易に抜けないように保持される。そして、誘電体７の後方の下面には、ロック突部７ｃが下方に向けて突設されている。
【００２８】
このような誘電体７が内装される外導体端子８は、導電性の板材が折り曲げ加工されて一体的に成形されたもので、誘電体７が内装される略円筒状のシェル部９を前方に備え、同軸ケーブルＷの編組Ｗｄ（編組反転部Ｗｆ）と接続される圧着部１０を後方に備えている。
【００２９】
シェル部９の前方側下面には、図示しないコネクタハウジングの収容部に外導体端子８が収容される際に、コネクタハウジングの収容部の底面に形成されているスリットに挿入されるスタビライザー９ａが下方に突出して形成されている。このスタビライザー９ａにより外導体端子８のコネクタハウジング内への挿入方向が規制される。また、スタビライザー９ａの形成により生じた開口部９ｂの先端には、外導体端子８がコネクタハウジング内に挿入される際に、スタビライザー９ａがコネクタハウジングの収容部の底面スリットに案内される案内片９ｃがテーパ形状に形成されている。
【００３０】
そして、シェル部９の後方側下面には、誘電体７の後方側下面に突設されたロック突部７ｃと係合するロック片９ｄが上方に向けて撓み変形可能に形成されており、誘電体７が外導体端子８のシェル部９内に前方から挿入されると、誘電体７は容易に抜けないように保持される。尚、シェル部９の左右両側壁には、相手側コネクタの外導体端子の外壁と弾性的に接触する舌片状の接触片９ｅ，９ｅが形成されている（図６参照）。
【００３１】
外導体端子８の圧着部１０には、断面円弧形状を有する底板１０ａの左右端から上方に向かって延設された帯形状を有する一対の編組バレル１１，１２が設けられている。この場合、図中の編組バレル１１，１２は編組反転部Ｗｆにかしめられて圧着される前の状態を示している。
【００３２】
図１（ｂ）に示されるように、一方の編組バレル１１の先端１１ａには逆台形状の係止片１１ｂが突出形成され、図１（ａ）に示されるように、他方の編組バレル１２の先端１２ａには台形状の係止孔１２ｂが切欠形成されている。
【００３３】
この場合、編組バレル１２が後述する圧着装置２０によってかしめされたときにその係止孔１２ｂが編組反転部Ｗｆの最上部の上方に位置するようにするために、かしめ前の状態においては、図１（ａ），（ｂ）に示されるように、係止孔１２ｂが設けられた編組バレル１２の先端１２ａは、係止片１１ｂが設けられた編組バレル１１の先端１１ａよりも上方に位置している。
【００３４】
また、編組反転部Ｗｆが載置される圧着部１０の底板１０ａの中央には突起部１０ｂが内側に向かって突出するように形成されており、編組反転部Ｗｆへの編組バレル１１，１２の圧着後においては、突起部１０ｂの先端が編組反転部ＷｆおよびシースＷｅに食い込むようになっている。
【００３５】
図２は、このような係止片１１ｂが設けられた編組バレル１１と、係止孔１２ｂが設けられた編組バレル１２を円形状にかしめつつ、係止片１１ｂを係止孔１２ｂに嵌り込ませて編組バレル１１，１２の先端同士を係止させて、編組バレル１１，１２を編組反転部Ｗｆの外周に圧着する圧着装置２０の概略構成を示している。
【００３６】
図示されるように圧着装置２０が備えるクリンパ２１は、断面形状が下方に開いた半円形状の半円部２２ａと、この半円部２２ａの円弧端に緩やかに繋がる下方に延びたテーパ部２２ｂ，２２ｂを有した加圧面２２が形成されている。この場合、右側のテーパ部２２ｂの下端は、左側のテーパ部２２ｂの下端よりも下方に位置している。
【００３７】
また、加圧面２２の半円部２２ａの中心のやや左側から右側のテーパ部２２ｂの途中部位までの領域には、上下に貫通した型挿通孔２１ｂが形成されており、この型挿通孔２１ｂには押圧型２５が入れ子式に設けられている。押圧型２５はこの型挿通孔２１ｂに上下にスライド可能に挿通されている。この場合、押圧型２５の下端の押圧面２６は、加圧面２２の半円部２２ａの一部と一致する形状に形成されている。
【００３８】
このようなクリンパ２１の上端部および押圧型２５の上端部はクリンパホルダ２７の内部に形成された収容部２７ａに保持されている。
【００３９】
図示されるようにクリンパ２１は、クリンパホルダ２７の下面から収容部２７ａに連通したクリンパ挿通孔２７ｂに上下にスライド可能に挿通されており、クリンパ２１の上端に形成された一対のフランジ部２１ａ，２１ａが収容部２７ａの下面に載置されている。この場合、収容部２７ａの上面の左右両側には、その収容室２７ａ内に断面下半分が臨むように２本のシャフト２８，２８が回転自在に挿入されている。このシャフト２８は、上側に平面部２８ａを有する切欠円形の断面形状を有している。したがって、クリンパ２１のフランジ部２１ａの上面と下面は、シャフト２８の上側の平面部２８ａとは反対側の外周面と、収容部２７ａの下面との間に挟まれて位置決め固定されているので、クリンパホルダ２７の昇降動に伴って、クリンパ２１は上下に移動することが可能になっている。尚、クリンパホルダ２７は、図示しない加圧手段に連結されている。
【００４０】
また、押圧型２５の上端に形成された一対のフランジ部２５ａ，２５ａは、クリンパホルダ２７の収容部２７ａの上面に固定されており、クリンパホルダ２７の昇降動に伴って上下に移動することが可能になっている。
【００４１】
この場合、図３に示されるように、図２に示される状態からシャフト２８を１８０度回転させて、平面部２８ａを下側にすると、クリンパホルダ２７によって押圧型２５だけをクリンパ２１よりも更に下方に所定ストローク下降させることができるようになっている。
【００４２】
また、圧着装置２０が備えるアンビル２３には、断面形状が上方に開いた半円よりも円弧角度が小さい円弧部２４ａを有する受圧面２４が形成されている。
【００４３】
次に、図４および図５を用いて、係止片１１ｂが設けられた編組バレル１１と係止孔１２ｂが設けられた編組バレル１２を、クリンパ２１とアンビル２３によって編組反転部Ｗｆの外周に圧着させる手順について説明する。
【００４４】
図４（ａ）に示されるように、編組反転部Ｗｆが底板１０ａの上面に載置された圧着部１０の上方からクリンパ２１が下降すると、係止片１１ｂが設けられた編組バレル１１の先端１１ａが、右側のテーパ部２２ｂに沿って内側に折り曲げられると共に、係止孔１２ｂが設けられた編組バレル１２の先端１２ａが、左側のテーパ部２２ｂに沿って内側に折り曲げられる。このとき、編組バレル１１の係止片１１ｂは型挿通孔２１ｂ内に臨んだ状態にされる。
【００４５】
次に、図４（ｂ）に示されるように、更にクリンパ２１が下降すると、編組バレル１１の先端１１ａは、右側のテーパ部２２ｂの上方の半円部２２ａには至らない位置でほぼ直立状態に折り曲げられると共に、編組バレル１２の先端１２ａは、半円部２２ａに到達してその半円部２２ａに沿って直立状態から更に内側に折り曲げられる。このときも、編組バレル１１の係止片１１ｂは型挿通孔２１ｂ内に臨んだ状態のままである。
【００４６】
次に、図５（ａ）に示されるように、クリンパ２１が最下点位置まで下降すると、編組バレル１１の先端１１ａは半円部２２ａの中央の右側位置にまで導かれると共に、編組バレル１２の先端１２ａは半円部２２ａの中央を越えて更に右側位置にまで導かれる。このとき、編組バレル１１の係止片１１ｂは、押圧型２５の押圧面２６の下方の型挿通孔２１ｂ内に臨むと共に、編組バレル１２の係止孔１２ｂの右斜め上方でその係止孔１２ｂに嵌り込ませられることができるように配置されている。
【００４７】
そして、シャフト２８を１８０度回転させて、平面部２８ａを下側した状態で、クリンパホルダ２７によって押圧型２５だけをクリンパ２１よりも更に下方に下降させると、図５（ｂ）に示されるように、押圧面２６によって係止片１１ｂが下方に向けて押圧されて係止孔１１ｂに嵌り込まれることになる。
【００４８】
これにより、図６に示されるように編組バレル１１，１２は円形状にかしめされると共に、先端１１ａ，１２ａ同士が係止片１１ｂと係止孔１２ｂによって係止された状態で編組反転部Ｗｆの外周に圧着されることになる。このように一対の編組バレル１１，１２はその先端１１ａ，１２ａ同士が係止された状態で同軸ケーブルＷの編組反転部Ｗｆの外周に圧着されるので、従来のようなスプリングバックによるバレルの圧着後の開きが確実に防止されている。これにより、従来のようなバレルによる編組反転部への締め付け力の低下が抑制され、従来よりもバレルに対する同軸ケーブルの引き抜き強度が向上している。
【００４９】
図７は、上述した係止片１１ｂと係止孔１２ｂの変形例を示した図である。この場合、係止片１１ｂの前端と後端にはそれぞれ三角形状に切り欠かれた切欠溝部１１ｃが、編組バレル１１の長手方向に沿って等間隔になるように複数形成されている。また、係止孔１２ｂの前端と後端にはそれぞれ三角形状に突出した爪部１２ｃが、編組バレル１２の長手方向に沿って切欠溝１１ｃと同じ間隔で等間隔になるように複数形成されている。
【００５０】
このように係止片１１ｂに切欠溝１１ｃを形成し、係止孔１２ｂに爪部１２ｃを形成することで、係止孔１２ｂへの係止片１１ｂの嵌め込み位置を例えば図７に示される状態から図８（ａ），（ｂ）に示されるような状態に変更することができるようになっている。この場合、図８（ａ）は係止片１１ｃを係止孔１２ｂに対して図７の状態よりも奥側に嵌り込ませた状態を示しており、図８（ｂ）は係止片１１ｃを係止孔１２ｂに対して図７の状態よりも手前側に嵌り込ませた状態を示している。このように係止孔１２ｂに対して係止片１１ｃを嵌り込ませる位置を変更することで、圧着後の編組バレル１１，１２の高さ、つまりクリンプハイトを調整することが可能である。通常、編組バレル１１，１２の寸法公差に対して、同軸ケーブルＷの外径の寸法公差は大きいので、このような同軸ケーブルＷの外径のバラツキを吸収できるように圧着後の編組バレル１１，１２のクリンプハイトを調整することが可能となっている。
【００５１】
次に、本発明の第２の実施形態に係る端子圧着方法および端子圧着装置について図９〜図１３を用いて説明する。尚、上述した第１の実施形態と同一の構成については同符号を付して説明は省略し、異なる点を中心に説明する。
【００５２】
図９に示されるように、圧着部１０に設けられた編組バレル１１，１２は、図１に示される編組バレル１１，１２とは先端の形状が異なっている。この場合、図９（ｂ）に示されるように編組バレル１１の先端１１ａには、断面Ｌ字状の折曲片１１ｄが外側に突出するように設けられ、図９（ａ）に示されるように編組バレル１２の先端１２ａには突部１２ｄが外側に突出するように設けられている。
【００５３】
図１０は、このような折曲片１１ｄが設けられた編組バレル１１と、突部１２ｄが設けられた編組バレル１２を円形状にかしめつつ、折曲片１１ｄの先端を突部１２ｄの上に折り曲げて編組バレル１１，１２の先端同士を係止させて、編組バレル１１，１２を編組反転部Ｗｆの外周に圧着させる圧着装置３０の概略構成を示している。
【００５４】
図示されるように圧着装置３０が備えるクリンパ３１は、断面形状が下方に開いた半円形状の半円部３２ａと、この半円部３２ａの円弧端に緩やかに繋がる下方に延びたテーパ部３２ｂ，３２ｂを有した加圧面３２が形成されている。
【００５５】
また、加圧面３２の左側のテーパ部３２ｂの途中部位から半円部３２ａを経て右側のテーパ部３２ｂの途中部位までの領域には、上下に貫通した型挿通孔３１ｂが形成されており、この型挿通孔３１ｂには押圧型３５が入れ子式に設けられている。押圧型３５はこの型挿通孔３１ｂに上下にスライド可能に挿通されている。この場合、押圧型３５の下端の押圧面３６の中央部は、加圧面３２の半円部３２ａの一部と一致する形状に形成されている。また、押圧型３５の押圧面３６の中央には上方に向けて断面半円形状に凹設された凹部３６ａが形成されている。
【００５６】
このようなクリンパ３１の上端部および押圧型３５の上端部はクリンパホルダ３７の内部に形成された収容部３７ａに保持されている。
【００５７】
図示されるようにクリンパ３１は、クリンパホルダ３７の下面から収容部３７ａに連通したクリンパ挿通孔３７ｂに上下にスライド可能に挿通されており、クリンパ３１の上端に形成された一対のフランジ部３１ａ，３１ａが収容部３７ａの下面に載置されている。この場合、収容部３７ａの上面の左右両側には、その収容室３７ａ内に断面下半分が臨むように２本のシャフト３８，３８が回転自在に挿入されている。このシャフト３８は、上側に平面部３８ａを有する切欠円形の断面形状を有している。したがって、クリンパ３１のフランジ部３１ａの上面と下面は、シャフト３８の上側の平面部２８ａとは反対側の外周面と、収容部３７ａの下面との間に挟まれて位置決め固定されているので、クリンパホルダ３７の昇降動に伴って、クリンパ３１は上下に移動することが可能になっている。尚、クリンパホルダ３７は、図示しない加圧手段に連結されている。
【００５８】
また、押圧型３５の上端に形成された一対のフランジ部３５ａ，３５ａは、クリンパホルダ３７の収容部３７ａの上面に固定されており、クリンパホルダ３７の昇降動に伴って上下に移動することが可能になっている。
【００５９】
この場合、図１１に示されるように、図１０に示される状態からシャフト３８を１８０度回転させて、平面部３８ａを下側にすると、クリンパホルダ３７によって押圧型３５だけをクリンパ３１よりも更に下方に所定ストローク下降させることができるようになっている。
【００６０】
また、圧着装置３０が備えるアンビル３３には、断面形状が上方に開いた半円よりも円弧角度が小さい円弧部３４ａを有する受圧面３４が形成されている。
【００６１】
次に、図１２および図１３を用いて、折曲片１１ｄが設けられた編組バレル１１と突部１２ｄが設けられた編組バレル１２を、クリンパ３１とアンビル３３によって編組反転部Ｗｆの外周に圧着させる手順について説明する。
【００６２】
図１２（ａ）に示されるように、編組反転部Ｗｆが底板１０ａの上面に載置された圧着部１０の上方からクリンパ３１が下降すると、折曲片１１ｄが設けられた編組バレル１１の先端１１ａが、右側のテーパ部３２ｂに沿って内側に折り曲げられると共に、突部１２ｄが設けられた編組バレル１２の先端１２ａが、左側のテーパ部３２ｂに沿って内側に折り曲げられる。このとき、編組バレル１１の折曲片１１ｄと、編組バレル１２の突部１２ｄは、型挿通孔３１ｂ内に臨んだ状態にされる。
【００６３】
次に、図１２（ｂ）に示されるように、更にクリンパ３１が下降すると、編組バレル１１の先端１１ａは、右側のテーパ部３２ｂの上方の半円部３２ａに至った位置でほぼ直立状態に折り曲げられると共に、同じく編組バレル１２の先端１２ａは、左側のテーパ部３２ｂの上方の半円部３２ａ半円部２２ａに至った位置でほぼ直立状態に折り曲げられる。このときも、編組バレル１１の折曲片１１ｄと、編組バレル１２の突部１２ｄは、型挿通孔３１ｂ内に臨んだ状態のままである。
【００６４】
次に、図１３（ａ）に示されるように、クリンパ３１が最下点位置まで下降すると、編組バレル１１の先端１１ａは半円部３２ａの中央にまで導かれると共に、同じく編組バレル１２の先端１２ａは半円部２２ａの中央にまで導かれる。このとき、編組バレル１１の折曲片１１ｄと、編組バレル１２の突部１２ｄは、押圧面３６に凹設された凹部３６ａの下方の型挿通孔３１ｂ内に臨むと共に、折曲片１１ｄの先端の下側に突部１２ｄが配置される。
【００６５】
そして、シャフト３８を１８０度回転させて、平面部３８ａを下側にした状態で、クリンパホルダ３７によって押圧型３５だけをクリンパ３１よりも更に下方に下降させると、図１３（ｂ）に示されるように、押圧面３６の中央に凹設された凹部３６ａによる下方への押圧によって編組バレル１１の折曲片１１ｄの先端が編組バレル１２の突部１２ｄを越えるように折り曲げられることになる。
【００６６】
これにより、編組バレル１１，１２は円形状にかしめされると共に、先端１１ａ，１２ａ同士が折曲片１１ｄと突部１２ｄによって係止された状態で編組反転部Ｗｆの外周に圧着されることになる。このように一対の編組バレル１１，１２はその先端１１ａ，１２ａ同士が係止された状態で同軸ケーブルＷの編組反転部Ｗｆの外周に圧着されるので、従来のようなスプリングバックによるバレルの圧着後の開きが確実に防止されている。これにより、従来のようなバレルによる編組反転部への締め付け力の低下が抑制され、従来よりもバレルに対する同軸ケーブルの引き抜き強度が向上している。
【００６７】
以上、本発明に係る端子圧着方法および端子圧着装置の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、上記実施の形態では、信号線を一本有する同軸ケーブルに本発明を適用した場合について説明したが、信号線を複数本有するシールドツイストペアケーブルなどのシールドケーブルにも本発明を適用することができ、シールドケーブルが備える信号線の数は限定されない。また、シールドコネクタはオス型、メス型いずれの場合であっても適用可能なのは言うまでもない。
【符号の説明】
【００６８】
１：シールドコネクタ ２：内導体端子 ７：誘電体 ８：外導体端子 ９：シェル部 １０：圧着部 １０ａ：底板 １１，１２：編組バレル １１ａ，１２ａ：先端 １１ｂ：係止片 １１ｃ：切欠溝 １１ｄ：折曲片 １２ｂ：係止孔 １２ｃ：爪部 １２ｄ：突部 ２０：圧着装置 ２１：クリンパ ２１ｂ：型挿通孔 ２２：加圧面 ２２ａ：半円部 ２２ｂ：テーパ部 ２３：アンビル ２４：受圧面 ２４ａ：円弧部 ２５：押圧型 ２６：押圧面 ２７：クリンパホルダ ２７ａ：収容部 ２７ｂ：クリンパ挿通孔 ２８：シャフト ２８ａ：平面部 ３０：圧着装置 ３１：クリンパ ３１ｂ：型挿通孔 ３２：加圧面 ３２ａ：半円部 ３２ｂ：テーパ部 ３３：アンビル ３４：受圧面 ３４ａ：円弧部 ３５：押圧型 ３６：押圧面 ３６ａ：凹部 ３７：クリンパホルダ ３７ａ：収容部 ３７ｂ：クリンパ挿通孔 ３８：シャフト ３８ａ：平面部 Ｗ：同軸ケーブル Ｗａ：信号導体 Ｗｂ：絶縁体 Ｗｄ：編組 Ｗｅ：シース Ｗｆ：編組反転部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
外導体端子の一端に設けられた底板の左右端部から上方に向かって延設された一対のバレルを、上方に配されたクリンパの加圧面と下方に配されたアンビルの受圧面により挟み込んでかしめることにより、信号線を導電性の編組と絶縁性のシースにより被覆してなるシールドケーブルのシース端末部に編組を折り返して被せた編組反転部の外周に前記一対のバレルを圧着させる端子圧着方法であって、一方のバレルの先端には係止片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には係止孔が切欠形成されており、前記クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、前記半円部の中央には押圧型が上下方向にスライド自在になるように入れ子式に設けられ、前記アンビルの受圧面はその断面形状が半円よりも円弧角度が小さい円弧部を有した形状に形成され、前記加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導く第１の工程と、該第１の工程の後、前記押圧型により一方のバレルの係止片を押圧して他方のバレルの係止孔に嵌り込ませる第２の工程とを備え、前記加圧面と前記受圧面による挟み込みによって前記一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるようにしたことを特徴とする端子圧着方法。
【請求項２】
外導体端子の一端に設けられた底板の左右端部から上方に向かって延設された一対のバレルを、上方に配されたクリンパの加圧面と下方に配されたアンビルの受圧面により挟み込んでかしめることにより、信号線を導電性の編組と絶縁性のシースにより被覆してなるシールドケーブルのシース端末部に編組を折り返して被せた編組反転部の外周に前記一対のバレルを圧着させる端子圧着方法であって、一方のバレルの先端には折曲片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には突部が突出形成されており、前記クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、前記半円部の中央には押圧型が上下方向にスライド自在になるように入れ子式に設けられ、前記アンビルの受圧面はその断面形状が半円よりも円弧角度が小さい円弧部を有した形状に形成され、前記加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導く第１の工程と、該第１の工程の後、前記押圧型により一方のバレルの折曲片を押圧して他方のバレルの突部の上に折り曲げる第２の工程とを備え、前記加圧面と前記受圧面による挟み込みによって前記一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるようにしたことを特徴とする端子圧着方法。
【請求項３】
外導体端子の一端に設けられた底板の左右端部から上方に向かって延設された一対のバレルを、上方に配されたクリンパの加圧面と下方に配されたアンビルの受圧面により挟み込んでかしめることにより、信号線を導電性の編組と絶縁性のシースにより被覆してなるシールドケーブルのシース端末部に編組を折り返して被せた編組反転部の外周に前記一対のバレルを圧着させる端子圧着装置であって、一方のバレルの先端には係止片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には係止孔が切欠形成されており、前記クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、前記半円部の中央には押圧型が上下方向にスライド自在になるように入れ子式に設けられ、前記アンビルの受圧面はその断面形状が半円よりも円弧角度が小さい円弧部を有した形状に形成され、前記加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導いた後、前記押圧型により一方のバレルの係止片を押圧して他方のバレルの係止孔に嵌り込ませることにより、前記一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるようにしたことを特徴とする端子圧着装置。
【請求項４】
外導体端子の一端に設けられた底板の左右端部から上方に向かって延設された一対のバレルを、上方に配されたクリンパの加圧面と下方に配されたアンビルの受圧面により挟み込んでかしめることにより、信号線を導電性の編組と絶縁性のシースにより被覆してなるシールドケーブルのシース端末部に編組を折り返して被せた編組反転部の外周に前記一対のバレルを圧着させる端子圧着装置であって、一方のバレルの先端には折曲片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には突部が突出形成されており、前記クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、前記半円部の中央には押圧型が上下方向にスライド自在になるように入れ子式に設けられ、前記アンビルの受圧面はその断面形状が半円よりも円弧角度が小さい円弧部を有した形状に形成され、前記加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導いた後、前記押圧型により一方のバレルの折曲片を押圧して他方のバレルの突部の上に折り曲げることにより、前記一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるようにしたことを特徴とする端子圧着装置。
【請求項１】
外導体端子の一端に設けられた底板の左右端部から上方に向かって延設された一対のバレルを、上方に配されたクリンパの加圧面と下方に配されたアンビルの受圧面により挟み込んでかしめることにより、信号線を導電性の編組と絶縁性のシースにより被覆してなるシールドケーブルのシース端末部に編組を折り返して被せた編組反転部の外周に前記一対のバレルを圧着させる端子圧着方法であって、一方のバレルの先端には係止片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には係止孔が切欠形成されており、前記クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、前記半円部の中央には押圧型が上下方向にスライド自在になるように入れ子式に設けられ、前記アンビルの受圧面はその断面形状が半円よりも円弧角度が小さい円弧部を有した形状に形成され、前記加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導く第１の工程と、該第１の工程の後、前記押圧型により一方のバレルの係止片を押圧して他方のバレルの係止孔に嵌り込ませる第２の工程とを備え、前記加圧面と前記受圧面による挟み込みによって前記一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるようにしたことを特徴とする端子圧着方法。
【請求項２】
外導体端子の一端に設けられた底板の左右端部から上方に向かって延設された一対のバレルを、上方に配されたクリンパの加圧面と下方に配されたアンビルの受圧面により挟み込んでかしめることにより、信号線を導電性の編組と絶縁性のシースにより被覆してなるシールドケーブルのシース端末部に編組を折り返して被せた編組反転部の外周に前記一対のバレルを圧着させる端子圧着方法であって、一方のバレルの先端には折曲片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には突部が突出形成されており、前記クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、前記半円部の中央には押圧型が上下方向にスライド自在になるように入れ子式に設けられ、前記アンビルの受圧面はその断面形状が半円よりも円弧角度が小さい円弧部を有した形状に形成され、前記加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導く第１の工程と、該第１の工程の後、前記押圧型により一方のバレルの折曲片を押圧して他方のバレルの突部の上に折り曲げる第２の工程とを備え、前記加圧面と前記受圧面による挟み込みによって前記一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるようにしたことを特徴とする端子圧着方法。
【請求項３】
外導体端子の一端に設けられた底板の左右端部から上方に向かって延設された一対のバレルを、上方に配されたクリンパの加圧面と下方に配されたアンビルの受圧面により挟み込んでかしめることにより、信号線を導電性の編組と絶縁性のシースにより被覆してなるシールドケーブルのシース端末部に編組を折り返して被せた編組反転部の外周に前記一対のバレルを圧着させる端子圧着装置であって、一方のバレルの先端には係止片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には係止孔が切欠形成されており、前記クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、前記半円部の中央には押圧型が上下方向にスライド自在になるように入れ子式に設けられ、前記アンビルの受圧面はその断面形状が半円よりも円弧角度が小さい円弧部を有した形状に形成され、前記加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導いた後、前記押圧型により一方のバレルの係止片を押圧して他方のバレルの係止孔に嵌り込ませることにより、前記一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるようにしたことを特徴とする端子圧着装置。
【請求項４】
外導体端子の一端に設けられた底板の左右端部から上方に向かって延設された一対のバレルを、上方に配されたクリンパの加圧面と下方に配されたアンビルの受圧面により挟み込んでかしめることにより、信号線を導電性の編組と絶縁性のシースにより被覆してなるシールドケーブルのシース端末部に編組を折り返して被せた編組反転部の外周に前記一対のバレルを圧着させる端子圧着装置であって、一方のバレルの先端には折曲片が突出形成されると共に、他方のバレルの先端には突部が突出形成されており、前記クリンパの加圧面はその断面形状が半円部と該半円部の両円弧端に繋がるテーパ部を有した形状に形成されると共に、前記半円部の中央には押圧型が上下方向にスライド自在になるように入れ子式に設けられ、前記アンビルの受圧面はその断面形状が半円よりも円弧角度が小さい円弧部を有した形状に形成され、前記加圧面のテーパ部と半円部に沿って各バレルの先端を該加圧面の半円部中央に導いた後、前記押圧型により一方のバレルの折曲片を押圧して他方のバレルの突部の上に折り曲げることにより、前記一対のバレルはその先端同士が係止された状態で前記編組反転部の外周に圧着されるようにしたことを特徴とする端子圧着装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【公開番号】特開２０１２−４８８３７（Ｐ２０１２−４８８３７Ａ）
【公開日】平成２４年３月８日（２０１２．３．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１８７０５９（Ｐ２０１０−１８７０５９）
【出願日】平成２２年８月２４日（２０１０．８．２４）
【出願人】（３９５０１１６６５）株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】（０００１８３４０６）住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】（０００００２１３０）住友電気工業株式会社 (12,747)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年３月８日（２０１２．３．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年８月２４日（２０１０．８．２４）
【出願人】（３９５０１１６６５）株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】（０００１８３４０６）住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】（０００００２１３０）住友電気工業株式会社 (12,747)
【Ｆターム（参考）】
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