説明

端子挿入装置、ワイヤーハーネス製造装置、物品検出装置、及び、端子挿入方法、ワイヤーハーネス製造方法、物品検出方法

【課題】 様々な形態のワイヤーハーネスを提供すること、あるいは、端子装着の良否の確認や、ハウジングの正確かつ迅速な供給などを可能にした端子挿入装置などを提供する。
【解決手段】 端子挿入装置1は、端子Tを把持してハウジングHのキャビティに挿入するものであって、ハウジングHが所定位置にあることを確認する手段140を備える。同手段Hは、所定位置においてハウジングHが当接する部材135に形成された空所137、該空所の空気を吸引する吸引機構160、及び、該空所137に連通するパイプ161の圧力を検出する圧力センサ162を有する。該センサで検出された圧力に応じてハウジングHが所定位置にあるか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の端部に圧着された端子を、コネクタハウジングのキャビティに挿入する装置あるいは方法等に関する。さらには、同装置を使用して、端子圧着電線がコネクタハウジングに装着されたワイヤーハーネスを製造する装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤーハーネスの製造には、電線の端部(一方の端部あるいは両端)に圧着された端子を、コネクタハウジングのキャビティに挿入する端子挿入装置が使用されている。このような装置の一つとして、電線の両端に圧着された端子を、それぞれコネクタハウジングに挿入する装置において、電線にねじれを生じさせることなく端子を挿入できる装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、ワイヤーハーネスの製造効率を上げる点で、ハウジングを正確にかつ迅速に挿入位置に供給することも必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−10375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、様々な形態のワイヤーハーネスを提供すること、あるいは、端子装着の良否の確認や、ハウジングの正確かつ迅速な供給などを可能にした端子挿入装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に関連する第1の態様の端子挿入装置は、 電線の端部に圧着された端子を、コネクタハウジングのキャビティに挿入する装置であって、 前記端子を把持する端子把持手段と、 前記ハウジングの保持手段と、 前記端子を前記キャビティに位置決めして挿入する手段と、 前記端子把持手段が前記端子を把持する際における、該端子の電線軸方向回りの角度を調整する手段と、を具備することを特徴とする。
【0007】
本発明のこの態様によれば、端子把持手段が端子を把持する前に、端子角度調整手段で、端子の電線軸方向回り(電線ねじり方向)の角度を調整する。一般には、端子圧着電線は、端子圧着装置で端子が圧着されたままの姿勢(上開きU字型の端子の両側が内側に押しつぶされた姿勢、圧着面が上側の姿勢)で、ハウジングのキャビティに挿入される場合が多い。しかし、製造されるワイヤーハーネスの種類や、端子圧着電線を挿入する順番、キャビティの位置などによっては、圧着面をハウジングに対して90°、180°あるいは270°傾けて挿入する方が好ましい場合もある。そこで、端子角度調整手段で、所望の角度だけ端子圧着電線を回転させる。これにより、多様な挿入作業が可能になる。また、ねじれくせの強い電線の場合は、電線のねじれ分を補正するため、ハウジングに対して圧着面の角度を微調整することができる。
【0008】
本発明のこの態様においては、 前記端子角度調整手段が、 前記電線の端子圧着側の端部を把持する手段と、 該把持手段を、前記電線軸方向回りに回動させる手段と、を備えることとできる。
【0009】
本発明に関連する第2の態様の端子圧着装置は、 電線の端部に圧着された端子を、コネクタハウジングのキャビティに挿入する装置であって、 前記端子を把持する端子把持手段と、 前記ハウジングの保持手段と、 前記端子を前記キャビティに位置決めして挿入する手段と、を具備し、 さらに、前記端子の挿入後に、該端子に反挿入方向への力を加えて該端子と前記ハウジングとの間の変位を検出することにより、該端子とハウジングとの係合の良否を判定する手段と、を具備することを特徴とする。
【0010】
特に、電線の本数が多いワイヤーハーネスの場合は、1本でも挿入不備があれば不良品となる。そこで、いったんハウジングのキャビティに挿入された端子を反挿入方向に引いて、端子が確実にハウジングに係合しているかどうかを確認する。この端子を引く作業を、端子を挿入させる機構と独立させて、かつ、低い摺動抵抗で安定して作動するアクチュエータを使用することにより、適宜な大きさの引抜力を与えることができる。
さらに、端子を反挿入方向に引き抜く力を与えて端子とハウジングとの変位を検出する方法として、精度が3μm程度、分解能が1μm程度以下の性能を有する接触式の変位センサを使用すれば、微細な変位の検出が可能となる。
【0011】
本発明のこの態様においては、 前記判定手段の、端子を引き抜く力を与えるアクチュエータとして、端子挿入機構と独立した低摺動抵抗アクチュエータを有することが好ましい。
【0012】
摺動抵抗の低いアクチュエータを使用することにより、0.01N単位程度の出力コントロールが可能となる。
【0013】
さらに、 前記判定手段の、端子とハウジングとの間の変位を検出する手段が、精度が3μm程度、分解能が1μm程度以下の性能を有する接触式の変位センサであることが好ましい。
【0014】
本発明の第3の態様の端子挿入装置は、 電線の端部に圧着された端子を、コネクタハウジングのキャビティに挿入する装置であって、 前記端子を把持する端子把持手段と、 前記ハウジングの供給手段及び保持手段と、 前記端子を前記キャビティに位置決めして挿入する手段と、を具備し、 さらに、前記ハウジングが所定位置にあることを確認する手段を具備し、 該ハウジング位置確認手段が、 前記所定位置において前記ハウジングが当接する部材に形成された空所、 該空所の空気を吸引する吸引機構、 該空所又はそれに連通する部位の圧力を検出する圧力センサ、及び、 該センサで検出された圧力に応じて前記ハウジングが所定位置にあるか否かを判定する判定手段と、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明のこの態様によれば、ハウジングが所定位置に搬送された、あるいは保持されたことを確認した後で挿入作業を行うので、挿入ミスを防ぐことができる。なお、ハウジング位置確認を行う適切な位置の一つとしてハウジングを搬送するパーツフィーダの終端部で行うことが好ましい。この場合、次工程におけるハウジング送り機構の動作開始信号として活用できる利点がある。
【0016】
また、ハウジングの確認を圧力によって検出するので、ハウジングの所定の部分(面)が、当接部材の空所近傍の面に当たっていないと「所定位置にない」との判定となる。そのため、ハウジングが所定の位置・姿勢にあることを厳密に確認できる。
【0017】
本発明の物品検出装置は、 物品が所定位置にあることを検出する装置であって、 前記所定位置において前記物品が当接する部材に形成された空所、 該空所の空気を吸引する吸引機構、 該空所又はそれに連通する部位の圧力を検出する圧力センサ、 該センサで検出された圧力に応じて前記物品が所定位置にあるか否かを判定する判定手段と、を有することを特徴とする。
【0018】
本発明の第3の態様の端子挿入装置及び本発明の物品検出装置においては、 前記ハウジング又は物品がパーツフィーダにより搬送される終端位置において、前記ハウジング又は物品を確認するものであることが好ましい。
【0019】
本発明に関連する第4の態様の端子挿入装置は、 電線の端部に圧着された端子を、コネクタハウジングのキャビティに挿入する装置であって、 前記端子を把持する端子把持手段と、 前記ハウジングの保持手段と、 該ハウジング保持手段に、ハウジングを次々と供給するハウジング供給手段と、 前記端子を前記キャビティに位置決めして挿入する手段と、を具備し、 前記ハウジング供給手段が、 ハウジングがばらばらの状態で平置きされるトレイと、 該トレイの側辺に形成された、ハウジングが一定の姿勢でのみ係合するガイドと、 該ガイドから前記ハウジング保持手段へ延びる、ハウジングを前記姿勢のままで送るフィーダと、を有することを特徴とする。
【0020】
この態様の端子挿入装置においては、トレイに収容されているハウジングは、作業者の手作業によりトレイからフィーダに送られる。その際、ハウジングは、トレイのガイドに合わせて装着される。ガイドは、ハウジングが一定の姿勢の場合のみにしか係合しないので、言い換えれば、この姿勢以外ではガイドに装着できないので、特に神経を使わなくとも、ハウ ジングを所定の姿勢で並べることができる。そして、ガイドに沿って並んだ一連のハウジングの列をフィーダに向かって押し込めば、ハウジングをトレイからフィーダに移行することができる。このように、作業者の手間を取らせることなく、ハウジングを確実に所定の姿勢でハウジング保持手段に移行させることができる。
【0021】
本発明の上記の態様においては、 前記端子把持手段が、 端子圧着電線の、端子側の電線の端部を把持する電線爪と、 該端子圧着電線の端子を把持する端子爪と、を有し、 前記電線爪と端子爪とが独立して開閉可能であるとともに、前記端子爪が前記電線爪に対して上下方向に移動可能であることが好ましい。
【0022】
本発明のこの形態によれば、端子をハウジングのキャビティに挿入する際に、端子の前端部をキャビティに挿入した後、端子の全体をキャビティに挿入するという、2段階の過程を経て端子をキャビティに挿入することもできる。一段階目は、電線爪及び端子爪で電線及び端子を把持して、端子の前端部をキャビティに挿入する。二段階目は、端子爪を解放するとともに電線爪に対して上方に移動させて、電線爪のみで把持された電線の端子の全体をキャビティに挿入する。このような二段階の作業によって、挿入時に電線が折れ曲がったり、端子の位置がずれたりする不具合を低減できる。
【0023】
本発明の上記の態様においては、 前記ハウジング保持手段が、 ハウジングを上下方向から挟む一対のガイド部材と、 該ガイド部材を水平方向から垂直方向に回動させる回動手段と、を備えることが好ましい。
【0024】
本発明によれば、ガイド部材を垂直方向に回動させることによって、ガイド部材で挟まれたハウジングを自重によってガイド部材から落下させることができる。
【0025】
さらに、 前記ハウジング保持手段が、 該ハウジング保持手段で保持されている、ワイヤーハーネスの電線束を落とす送出ヘッドを備えることとすれば、 製造されたワイヤーハーネスを払い出す際に、より確実にハウジング保持手段から離脱させることができる。
【0026】
本発明のワイヤーハーネス製造装置は、 電線を送給する電線送給装置と、 送給された電線を任意の長さに切断する電線切断装置と、 該電線の両端部の被覆を皮むきする皮むき装置と、 皮むきされた前記電線の一方の端部に端子を圧着する端子圧着装置と、 皮むきされた前記電線のもう一方の端部に端処理を施す端処理装置と、 前記電線端部に圧着された端子をハウジングに挿入する前記に記載の端子挿入装置と、を、備えることを特徴とする。
【0027】
本発明に関連する第1の態様の端子挿入方法は、 電線の端部に圧着された端子を、コネクタハウジングのキャビティに挿入する方法であって、 前記端子を端子把持手段で把持し、 前記ハウジングを保持手段で保持し、 前記端子を前記キャビティに位置決めして挿入し、 前記端子把持手段で前記端子を把持する際に、該端子の電線軸方向回りの角度を調整することを特徴とする。
【0028】
本発明に関連する第2の態様の端子挿入方法は、 電線の端部に圧着された端子を、コネクタハウジングのキャビティに挿入する方法であって、 前記端子を端子把持手段で把持し、 前記ハウジングを保持手段で保持し、 前記端子を前記キャビティに位置決めして挿入し、 前記端子の挿入後に、該端子に反挿入方向への力を加えて該端子と前記ハウジングとの間の変位を検出することにより、該端子とハウジングとの係合の良否を判定することを特徴とする。
【0029】
本発明の第3の態様の端子挿入方法は、 電線の端部に圧着された端子を、コネクタハウジングのキャビティに挿入する方法であって、 前記端子を端子把持手段で把持し、 前記ハウジングを供給手段で供給した後に保持手段で保持し、 前記端子を前記キャビティに位置決めして挿入し、 前記ハウジングが所定位置にあることを確認する際に、 前記所定位置において前記ハウジングを当接部材に当接し、 前記当接部材に空所を形成しておき、該空所の空気を吸引した状態で該空所又はそれに連通する部位の圧力を検出し、検出した圧力が所定値以下の場合に、前記ハウジングが所定位置にあると判定することを特徴とする。
【0030】
本発明の物品検出方法は、 物品が所定位置にあることを検出する方法であって、 前記所定位置において前記物品が当接する部材に空所を形成しておき、 該空所の空気を吸引した状態で該空所又はそれに連通する部位の圧力を検出し、検出した圧力が所定値以下の場合に、前記物品が所定位置にあると判定することを特徴とする。
【0031】
本発明に関連する第4の態様の端子挿入方法は、 電線の端部に圧着された端子を、コネクタハウジングのキャビティに挿入する方法であって、 前記端子を端子把持手段で把持し、 前記ハウジングを保持手段で保持し、 該ハウジング保持手段に、ハウジング供給手段でハウジングを次々と供給し、 前記端子を前記キャビティに位置決めして挿入し、 前記ハウジングを供給する際に、 ハウジングをばらばらの状態でトレイに平置きし、 該トレイの側辺に、ハウジングが一定の姿勢でのみ係合するガイドを形成しておき、 該ガイドから前記ハウジング保持手段へフィーダでハウジングを前記姿勢のままで送ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、端子把持手段が端子を把持する前に、端子角度調整手段で、端子の電線軸方向回り(電線ねじり方向)の角度の調整が可能であるので、ハウジングのキャビティに対する端子の圧着面の角度を選定できる。
【0033】
また、端子の挿入後に、端子に反挿入方向への力を加えて端子とハウジングとの間の変位を検出して、端子とハウジングとの係合の良否を判定する手段を備えれば、係合不良品の製造を防ぐことができる。
さらに、ハウジングが所定位置に送られたこと確認する手段を備えれば、ハウジングが所定位置に搬送された、あるいは保持されたことを確認した後で挿入作業を行うので、挿入ミスを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係る端子挿入装置の全体の構成を示す正面図である。
【図2】図1の端子挿入装置の側面図である。
【図3】製造されるワイヤーハーネスの一例を示す図であり、図3(A)はワイヤーハーネスの斜視図、図3(B)は端子圧着電線の正面図、図3(C)はハウジングの斜視図である。
【図4】端子角度調整手段を示す図であり、図4(A)は全体の斜視図、図4(B)は端子把持状態を示す平面図である。
【図5】端子・電線把持機構を説明する分解斜視図である。
【図6】端子・電線把持機構を示す側面図である。
【図7】電線を端子角度調整手段から端子・電線把持機構へ移行する状態を説明する図であり、図7(A)は正面図、図7(B)は側面図である。
【図8】係合確認手段を説明する側面図である。
【図9】ハウジング供給手段を示す正面図である。
【図10】トレイを示す図であり、図10(A)は全体の斜視図、図10(B)はトレイのガイドにハウジングを装着した状態を示す斜視図、図10(C)はガイドの側断面図である。
【図11】ハウジング供給手段によるハウジング供給動作を説明する図である。
【図12】ハウジング供給手段によるハウジング供給動作を説明する図である。
【図13】ハウジング供給手段におけるハウジング検知手段を説明する分解斜視図である。
【図14】ハウジング保持手段を示す斜視図である。
【図15】端子挿入動作を説明する側面図である。
【図16】ワイヤーハーネス払い出し動作を説明する正面図である。
【図17】本発明のワイヤーハーネス製造装置の構成を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための良好な形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図3を参照して、本発明の端子製造装置で製造されるワイヤーハーネスの一例を説明する。
本発明の端子挿入装置で製造されるワイヤーハーネスPは、図3(A)に示すものであって、図3(B)に示す、電線Wの一方の端部に端子Tが圧着された端子圧着電線の端子Tを、図3(C)に示すコネクタハウジングHに挿入したものである。
この例では、端子圧着電線は、図3(B)に示すように、電線Wの一方の端部に端子Tが圧着され、もう一方の端部は半田Sが付けられたものである。また、ハウジングHには、図3(C)に示すように、複数個(この例では11個)のキャビティCが形成されている。この例では、11本の端子圧着電線Wの各端子Tが、ハウジングHのキャビティCに挿入される。正常に挿入された状態では、端子Tの係合片とキャビティCの係合片とが係合して、多少の力で端子TをキャビティCから引き抜いても、専用の器具を使用しない限り、端子TをキャビティCから外せなくなっている。ワイヤーハーネスPは、11本の端子圧着電線Wの各端子Tを、ハウジングHのキャビティCに挿入して製造される。
【0036】
図1、図2を参照して、本発明の実施の形態に係る端子挿入装置の全体の構造を説明する。図1は、端子挿入装置を端子挿入方向から見た図(正面図)、図2は、端子挿入装置を端子挿入方向と直交する方向から見た図(側面図)である。
端子挿入装置1は、搬送装置(図示されず)により搬送された端子圧着電線の端子の電線軸周りの角度を調整する端子角度調整手段10と、同手段10で端子角度が調整された後で、電線の端部及び該端部に圧着された端子を把持するとともに、端子をハウジングのキャビティに挿入する端子把持・挿入手段20と、ハウジングを挿入位置に保持するハウジング保持手段180と、を備える。
さらに、ハウジングをハウジング保持手段180に供給するハウジング供給手段100と、端子がキャビティに挿入された後で、端子とハウジングとの係合を確認する手段80(図2参照)と、を、備える。これらの各手段は、機台3上に配置されている。
図1において、紙面に垂直な方向が電線挿入方向(電線軸方向)を示し、左右方向が電線挿入方向に直交する方向(横方向)を示す。図2においては、左右方向が電線挿入方向を示し、紙面に直交する方向が電線挿入方向に直交する方向(横方向)を示す。電線挿入方向においては、端子側(図の右側)を前方向(挿入方向、前進方向)、反端子側(図の左側)を後方向(後退方向)という。
【0037】
まず、この端子挿入装置1の動作を簡単に説明する。
まず、端部に端子が圧着された電線(図3(B)参照)が、図示せぬ搬送装置により、端子角度調整手段10に送られて、同手段10で電線の端部が保持される。この位置を電線把持位置P1という。端子角度調整手段10では、必要に応じて電線を軸方向において所定の角度だけ回転させる。電線は、その後、端子把持・挿入手段20に移行され、電線の端部と端子とが把持される。この高さを、電線挿入高さHという。
一方、ハウジング供給手段100から、ハウジングがハウジング保持手段180に送られる。ハウジングはハウジング保持手段180において、挿入位置P2かつ電線挿入高さHに保持されている。そして、端子把持・挿入手段20が、挿入位置P2まで移動し、端子がハウジングの所定の位置のキャビティに挿入される。挿入後、係合確認手段80によって、ハウジングと端子との係合の良否が確認される。所定の数の端子圧着電線がハウジングに挿入された後、ハウジング保持手段180から、端子圧着電線が挿入されたハウジング(ワイヤーハーネス)が排出される。
【0038】
まず、図4を参照して、端子角度調整手段10を説明する。
端子角度調整手段10は、図4(A)に示すように、電線Wの端部を電線軸方向と直交する方向から把持する一対の爪部材11、12と、爪部材11、12を互いに接近する方向及び離間する方向に移動させるアクチュエータ15と、アクチュエータ15を電線軸方向の回りに回転させるポジショナー17とを有する。
【0039】
各爪部材11、12は、全体の平面形状がコの字型の部材であり、コの字の開口が向かい合って、先端面11a、12aが対向するように配置される。一方の爪部材11の先端面11aには凸部11bが形成されており、もう一方の爪部材12の先端面12aには、この凸部11bが嵌合する凹部12bが形成されている。さらに、両先端面11a、12aの高さ方向中央には、切り欠きが形成されている。図4(B)に示すように、両先端面11a、12aの切り欠き間に、電線Wの端子側の端部が把持される。
【0040】
アクチュエータ15は、例えば、平行ハンドと呼ばれるアクチュエータを使用できる。このアクチュエータ15は、リニアガイドと、同ガイドに係合してスライドする2個のスライダを有し、各スライダが中心に対して同期して接近あるいは離間する。各爪部材11、12の基部は、各々スライダに固定されている。両スライダが接近すると、各爪部材11、12の先端面11a、12aが接触して電線Wを把持し、離間すると、先端面11a、12a間にスキマが開き電線Wを解放する。
【0041】
アクチュエータ15は、ポジショナー17の回転軸に連結されており、把持された電線Wの軸周りに回転する。つまり、爪部材11、12に把持されている電線Wを軸周りに回転させる。一般に、端子圧着電線Wは、図4(B)に示すように、端子圧着装置で端子Tが圧着されたままの姿勢(一般には、上開きU字型の端子の両側が内側に押しつぶされた姿勢、圧着面が上側の姿勢)で、ハウジングのキャビティに挿入される場合が多い。本発明の端子挿入装置1においても、この姿勢で端子角度調整手段10に搬送される。しかし、製造されるワイヤーハーネスの種類によっては、圧着面をハウジングに対して90°、180°あるいは270°傾けて挿入する場合もある。そこで、端子角度調整手段10で、所望の角度だけ電線Wを回転させる。
【0042】
次に、図5と、図1、図2を参照して、端子把持・挿入手段20を説明する。
端子把持・挿入手段20は、図1、図2に示すように、電線把持位置P1の、端子角度調整手段10の上方に配置されている。同手段20は、電線Wの端部及び端子Tを把持する電線・端子把持機構30を備える。この電線・端子把持機構30は、上下方向、挿入方向、及び、横方向に移動可能に支持されている。
【0043】
端子把持・挿入手段20の動作を簡単に説明する。
まず、電線・端子把持機構30が端子角度調整手段10まで下降して、同手段10に把持されている電線Wを把持する。その後、電線・端子把持機構30により電線Wを電線挿入高さHまで上昇させた後、挿入位置P2まで横方向に搬送される。その後、電線・端子把持機構30がハウジング保持手段180に保持されているハウジングに向かって前進し、これにより、端子がハウジングに挿入される。
【0044】
図5、図6を参照して、電線・端子把持機構30を説明する。図5は、電線・端子把持機構の分解斜視図、図6は側面図である。
電線・端子把持機構30は、端子角度調整手段10で把持されている電線Wの圧着端子Tを把持する端子爪31と、電線Wの端部を把持する電線爪61と、を有する。電線挿入方向において、端子爪31は前側、電線爪61は後側に配置されている。
【0045】
端子爪31は、固定爪部材32と、固定爪部材32に対して開閉する可動爪部材33とを有し、端子Tを電線軸方向と直交する方向の両側から把持する。
固定爪部材32は、ある程度の厚さを有するプレート状の部材であり、可動爪部材側の内面が平坦な把持面となっている。固定爪部材32は、基部が縦長の中間ベース41に固定されている。
可動爪部材33も、ある程度の厚さを有するプレート状の部材であり、固定爪部材32の把持面と対向する平坦な把持面となっている。可動爪部材33は、基部がリンク部材34に固定されている。リンク部材34は、可動爪部材33の基部から略水平に延びる部材であり、可動爪部材33が固定されている側の端部が、ピン36で可動ベース35に回動可能に連結されている。一方、リンク部材34のもう一方の端部には、シリンダ38のロッド39の先端が連結されている。シリンダ38は、ロッド39が下方に延びるように、中間ベース41に配置されている。ロッド39が伸長すると、リンク部材34の先端が下方に押され、リンク部材34はピン36を中心にして図5の反時計方向に回動する。そして、可動爪部材33もリンク部材34とともにピン36を中心として図5の反時計方向に回動する。この結果、両爪部材32、33の把持面間が開く。逆にロッド39が収縮すると、リンク部材34の先端が引き上げられ、可動爪部材33はピン36を中心にして図の時計方向に回動し、両爪部材32、33の把持面が接触する。
【0046】
可動ベース35は、中間ベース41に対して上下にスライド可能に取り付けられている。中間ベース41には、上下方向に延びる調整ネジ43が取り付けられており、可動ベース35の背面には、同調整ネジ43に係合するスライダ(図示されず)が取り付けられている。調整ネジ43を回転させると、スライダが上下方向に移動して、可動ベース35が中間ベース41に対して上下に移動する。なお、可動ベース35の上限高さは、中間ベース41に取り付けられたロックネジ44で規制される。可動ベース35を上方に移動させると、同ベース35に連結されているリンク部材34の可動爪33が取り付けられている側の端部が上方に移動する。一方、リンク部材34のもう一方の端部はシリンダ38のロッド39の先端に連結されているため移動しない。このため、可動ベース35が上方に移動すると、リンク部材34は、ロッド39の先端との連結点を中心として回動し、可動爪部材33が固定爪部材32に対して開く方向に回動する。この機構により、両爪部材32、33が閉じた状態における開き度合いを微調整できる。
【0047】
さらに、中間ベース41は、主ベース47に対して上下にスライド可能に取り付けられている。図6にも示すように、主ベース47の前面には、上下方向に延びるシリンダ51が、ロッド52が下方に延びるように取り付けられている。図6に示すように、主ベース47には、上下方向に延びるガイド54が取り付けられている。一方、中間ベース41の背面には、ガイド54に係合するスライダ55が取り付けられている。このスライダ55に、シリンダ51のロッド52の先端が連結している。シリンダ51のロッド52を伸縮すると、スライダ55はガイド54に沿って上下し、中間ベース41が主ベース47に対して上下に移動する。これにより、端子爪31を上下方向に移動できる。
【0048】
電線爪61は、電線Wの端部を電線軸方向と直交する方向から把持する一対の爪部材62、63と、同爪部材62、63を互いに接近する方向及び離間する方向に移動させるアクチュエータ65と、を備える。
各爪部材62、63は、図6に示すように、電線軸方向にある程度のスペースを開けて前後に並んだ2か所の把持部62aと62b、63aと63bを有する。
アクチュエータ65は、前述の端子角度調整手段10と同様に、平行ハンドと呼ばれるアクチュエータを使用できる。つまり、アクチュエータ65は、リニアガイドと、同ガイドに係合してスライドする2個のスライダを有し、各スライダが中心に対して同期に接近あるいは離間する。各爪部材62、63の基部は、各々スライダに固定されている。両スライダが接近すると、各爪部材62、63の各把持部の内面が接触して電線Wを把持し、離間すると、各把持部の内面間にスキマが開き電線Wを解放する。
【0049】
アクチュエータ65は、背面が取付板67に高さ調整可能に取り付けられている。この取付板67は、左右の側板68、69によって主ベース47に固定されている。つまり、アクチュエータ65及び電線爪61が主ベース47に固定されることになる。したがって、端子爪31は、前述のような構成により主ベース47に対して上下方向に移動可能であるが、電線爪61は、主ベース47に対して上下方向に移動不能となっている。
このような構成により、端子爪31と電線爪61とは独立して開閉可能であるとともに、端子爪31は電線爪61に対して上下に移動可能である。端子爪31は、把持面が電線爪61の把持面の高さと同じ下位置と、同位置から上方の上位置との間を移動する。
【0050】
図2に示すように、電線・端子把持機構30は、昇降用リニアアクチュエータ71によって上下方向に移動可能に支持されている。
昇降用リニアアクチュエータ71は、例えば、モータで回転するボールネジと、同ネジに係合するスライダと、スライダを直線上に案内するガイドとから構成される。
昇降用リニアアクチュエータ71は、ボールネジが上下方向に延びるように配置され、スライダに、電線・端子把持機構30の主ベース47の背面が固定されている。ボールネジがモータによって回転させられると、スライダはボールネジに沿って上下に移動する。すなわち、電線・端子把持機構30の全体、つまり、端子爪31と電線爪61とが同時に上下に移動する。具体的には、端子爪31と電線爪61の把持部の高さが、端子角度調整機構10の端子把持高さと同じ下位置と、ハウジング保持手段180の挿入位置高さHと同じ上位置とを移動する。下位置では、電線Wが端子角度調整手段10から電線・端子把持機構30に移し替えられる。なお、挿入位置高さHは、ハウジングのキャビティの段数によって変更する場合がある。この場合は、昇降用リニアアクチュエータ71によって挿入位置高さHを任意に設定することができる。
【0051】
図7を参照して、電線が端子角度調整手段10から電線・端子把持機構30に移し替えられる状態を説明する。図7(A)は正面図、図7(B)は側面図である。
昇降用アクチュエータ71によって電線・端子把持機構30が下降した下位置においては、図(B)に示すように、電線軸方向において、端子角度調整手段10の爪部材11、12の先端面が、電線・端子把持機構30の爪部材61の前側把持部62a、63aと後側把持部62b、63bとの間に位置する。これにより、電線Wは、前後方向の2か所で電線・端子把持機構30の電線爪61に把持され、端子Tは端子爪31に把持される。なお、端子角度調整手段10の爪部材11、12が回転しても、図7(A)に示すように、電線・端子把持手段30の各爪31、61は、端子角度調整手段10の両爪部材11、12の間の空間内を上下するので、爪部材11、12の回転を妨げない。
【0052】
図2に示すように、電線・端子把持機構30と昇降用リニアアクチュエータ71は、挿入用リニアアクチュエータ77により挿入方向(電線軸方向)に進退可能に支持されている。ここで、進行方向(前方)は、図2の右方向を示し、端子をハウジングのキャビティに挿入する方向である。後退方向(後方)は、図2の左方向を示し、電線をハウジングに対して引き抜く方向である。
さらに、挿入用リニアアクチュエータ77には、端子がキャビティに挿入された後で、端子とハウジングとの係合を確認する機構80(詳細後述)が含まれる。
【0053】
この挿入用リニアアクチュエータ77も、モータで回転するボールネジと、同ネジに係合するスライダと、主スライダを直線上に案内するガイドとから構成され、挿入方向に延びるように配置されている。
【0054】
昇降用リニアアクチュエータ71の背面には、垂直片73aと水平片73bとを有する、略L字型のプレート73が固定されている。プレート73の垂直片73aは同アクチュエータ71に固定され、水平片73bは挿入方向の前方に延びている。この水平片73bと、挿入用リニアアクチュエータ73のスライダとの間に、係合確認機構80が配置される。
【0055】
電線・端子把持機構30の進退動作を説明する。
挿入用リニアアクチュエータ77が駆動されてスライダが前進又は後退すると、係合確認機構80を介して、プレート73と、プレート73に固定されている昇降用リニアアクチュエータ71と、昇降用リニアアクチュエータ71に支持されている電線・端子把持機構30が前後方向に進退する。
【0056】
図8を参照して、係合確認機構80を説明する。
係合確認機構80は、挿入方向に延びるベース81と、ベース81に係合してスライドする小スライダ82と、スライダ82を相対的に挿入方向に進退させるシリンダ83等から構成される。
小スライダ82は、プレート73の水平片73bの下面に固定されている。また、挿入用アクチュエータ77のスライダ77aには、小スライダ82が係合するベース81が固定されている。シリンダ83は、ロッド84が前方に延びるように配置されて、水平片73bの下面に固定されている。ロッド84の先端には、ベース81の端部が連結している。
【0057】
さらに、プレート73の水平片73bの上面には、接触式の変位センサ86(例えば接触式デジタルセンサ(精度3μm、分解能1m))が配置されている。変位センサ86は、本体部86aと、本体部86aに対してバネで前方に付勢された接触子86bを有する。変位センサ86は、接触子86bが前方を向くように配置されている。そして、この接触子86bに対向して、基準プレート88がベース81から立設している。センサ86の接触子86bはバネが収縮した状態(接触子86bが基準プレート88に押されて本体部86bに押し込まれた状態)で基準プレート88の表面に接触している。センサ86の本体86aと基準プレート88との間隔が変わると、同間隔に応じてバネが伸縮し、センサ86の接触子86bと本体86aとの間隔が変わる。
【0058】
シリンダ83(低摩擦シリンダ)は、前述のようにプレート73の水平片73bの下面に取り付けられている。この例では、摺動抵抗の低い(0.01N単位程度の出力コントロールが可能)低摩擦シリンダを使用することが好ましい。シリンダ83のロッド84が延びると、ベース81に前方への力が加わる。しかし、ベース81が固定されている、挿入用リニアアクチュエータ77のスライダ77aは、ボールネジに対して移動不能であるため、逆にシリンダ83に後方への力がかかる。つまり、シリンダ83が固定されているプレート73が、挿入用リニアアクチュエータ77に対して後方へ動こうとする。すると、プレート73の水平片73bに固定されているセンサ86の本体部86aも後方へ動く。一方、センサ86の接触子86bが接触している基準プレート88は、移動しないスライダ77aに固定されたベース81に立設されているので、図の想像線で示すように、センサ86の本体部86aが後方へ動くと、本体部86aと基準プレート88との間隔が開くことになる。ここで、接触子86bは常に基準プレート88に接触するように付勢されているので、接触子86bと本体部86aの間隔が開く。そこで、本体部86aの変位Dが所定の値以上の場合に警報が発せられる。
詳しくは後述するが、端子Tがハウジングに挿入された後に、この機構80により電線Wを把持した電線・端子把持機構30に対して、ある一定の後方への力(電線Wをハウジングから引き抜こうとする力)をかけて、ハウジングに電線Wが完全に挿入(係合)されていることを確認する。この際、引き抜こうとする力が大きすぎると、正常に挿入された端子を無理に引き抜いてしまうような事態も起こりうるので、引き抜こうとする力は、できるだけ小さく、かつ、小さい範囲内で安定していることが好ましい。このため、引き抜こうとする力を与えるシリンダ83は、前述のように低摩擦シリンダとし、引き抜こうとする力を任意に安定して設定する必要がある。
【0059】
図2に示すように、挿入用リニアアクチュエータ77は、横方向(電線搬送方向)に延びる搬送用リニアアクチュエータ91により、横方向に移動可能に支持されている。
搬送用リニアアクチュエータ91も、モータで回転するボールネジと、同ネジに係合するスライダと、主スライダを直線上に案内するガイドとから構成される。挿入用リニアアクチュエータ77の下面にはプレート78が固定されており、同プレート78が搬送用リニアアクチュエータ91のスライダに固定されている。
搬送用アクチュエータ91は、挿入用リニアアクチュエータ77を、つまり、電線・端子保持手段20を、電線把持位置P1(端子角度調整手段)から、図1の左方向に向かって、電線挿入位置P2(ハウジング保持手段)まで搬送する。
【0060】
次に、ハウジング供給手段100とハウジング保持手段180を説明する。
ハウジング保持手段180は、図1に示すように、端子角度調整手段10の側方(端子角度調整手段10に端子圧着電線が搬送される方向と逆の方向)に配置され、ハウジング供給手段100は、ハウジング保持手段180の、端子角度調整手段10の反対側に配置されている。
【0061】
まず、ハウジング供給手段100を、図9〜図13を参照して説明する。
ハウジング供給手段100は、図9に示すように、多数のハウジングが収容されるトレイ110と、トレイ110に連続する直進型のパーツフィーダ120と、パーツフィーダ120からハウジングが供給されたことを確認した後で、ハウジングをハウジング保持手段に搬送する送り機構130と、を有する。
【0062】
図10(A)に示すように、トレイ110は、平たい形状であり、多数のハウジングHがばらばらの状態で平面に拡がるように収容される。図10(B)に示すように、トレイ110の一側辺(手前側の辺)には、ガイド111が形成されている。ガイド111の側面形状は、ハウジングHの挿入姿勢における側面形状に合う形状を有する。図3(C)に示すように、本実施例の挿入装置に適用されるハウジングHは、キャビティCが形成された前面H1と、前面H1の上縁から前方に張り出す張り出し片H2と、前面H1から連続して下方に突き出る前突部H3と、後面から連続して下方に突き出す後突部H4とを有する。したがって、ガイド111は、図10(C)に示すように、張り出し片H2が載せられる段部112と、前面H1が当てられる壁部113と、前突部H3が嵌り込む溝部114とを有する。
【0063】
トレイ110に収容されているハウジングHを適宜取り出してこのガイド11に位置決めする場合、ハウジングHは、張り出し片H2が段部112に乗るように前面H1を壁部113に当て、さらに、前突部H3が溝部114に嵌り込んだ姿勢(前面H1が、挿入方向において後を向いた姿勢、以降後ろ向きという)でしかこのガイド111に係合しない。つまり、ハウジングHを常に同じ姿勢でガイド111に装着することができる。
【0064】
直進型パーツフィーダ120は、図9に示すように、トレイ110のガイド111の出口111aに連続して配置されている。ガイド111に配列されたハウジングHをパーツフィーダ120に向かって押し込めば、ハウジングHがトレイ110のガイド111の出口111aからパーツフィーダ120の入り口に挿入される。パーツフィーダ120は、ハウジングHを反トレイ方向(図の右方向)に向かって搬送する。
【0065】
パーツフィーダ120の出口には、ハウジング送り機構130が配置されている。ハウジング送り機構130を図11、図12、図13を参照して説明する。図11、図12はハウジング送り機構130の構造を示す平面図である。図13は、分解斜視図である。
ハウジング送り機構130では、ハウジングHが確実に供給されていることを確認した後、ハウジングHをハウジング保持手段180に供給する。ハウジング送り機構130は、ハウジングHが前記の姿勢(後ろ向き姿勢)のままで搬送される通路が形成された送り台131と、ハウジングを通路に沿って送り出す2本のロッド151、153を有する。
【0066】
図13に示すように、送り台131は、直方体状のブロックであり、外壁132で囲まれた平らな上面133を有する。上面133の高さは、パーツフィーダ120の出口の高さと等しい。上面133の外壁132よりもやや内側には、送り台131の平面形状よりも一回り小さいサイズの、平たい直方体状のブロック135が配置されている。このブロック135により、図11に示すように、送り台131のパーツフィーダ側の側辺と、手前側の側辺とには、ブロック135の側面と送り台131の側壁132とで画されたハウジング通路が形成される。通路はL字型で、挿入方向に延びる縦通路146と、同縦通路146と略直交して横方向に延びる横通路147とを有する。縦通路146の幅はハウジングHの横方向長さとほぼ等しく、横通路147の幅はハウジングHの奥行き方向長さとほぼ等しい。横通路147の出口は、ハウジング保持手段180に向かっている。
【0067】
図11、図13に示すように、パーツフィーダ120の出口に対向する部分の側壁132には、ハウジングの入口となる切り欠き132aが形成されており、ハウジングHは、パーツフィーダ120の通路から切り欠き132aを通って縦通路146に供給される。このとき、ハウジングHは、トレイ110のガイド111に装着されたままの姿勢であって、キャビティCが形成された前面H1が後向きの姿勢である。ハウジングHはこの姿勢のまま、縦通路146を前方に進み、次に、横通路147を右方向に進む。
【0068】
図11に示すように、縦通路146には、ハウジングHを送る縦押しロッド151が、伸縮可能に配置されている。縦押しロッド151の先端部の下面には、ハウジングHが収容される溝151aが形成されている。縦押しロッド151は、この溝151aが、側壁132の切り欠き132aに対向する待機位置と、縦通路146の最も先端に達する伸長位置との間を、図示せぬシリンダで駆動されて伸縮する。
【0069】
横通路147にも、ハウジングHを送る横押しロッド153が、伸縮可能に配置されている。この横通路147の、ハウジング保持手段180と反対側の側壁132には、切り欠き132bが形成されている。横押しロッド153は、送り台131の横通路147の側方に配置されて、切り欠き132bを通って通路147内に入り込む。横押しロッド153は、先端が、側壁132の切り欠き132bの外に位置する待機位置と、横通路147を突き抜けてハウジング保持手段180に達する伸長位置との間を伸縮する。このように横押しロッド153の伸縮距離は比較的長く、さらに、送り台131の横通路147を貫通した後に、後述するように、ハウジング保持手段180のガイド溝181a、182a間(図14参照)を通るので、図9に示すように、2個のシリンダ155、157によって2段階で伸縮するように構成されている。つまり、いずれかのシリンダで送り台131の横通路147を貫通させ、もう一方のシリンダでハウジング保持手段180のガイド溝間を通すという2段の動作を、各々のシリンダで行うことが、ストローク距離の調整が容易等の点で好ましい。
【0070】
このような構成により、パーツフィーダ120から供給されたハウジングHは以下のように搬送される。
まず、図11(A)に示すように、縦ロッド151は縦通路146内で待機位置に待機し、横ロッド153も側壁132の外の待機位置に待機している。この状態で、パーツフィーダ120から側壁132の切り欠き132aを通ってハウジングH(図のハッチングで示す)が送り台131に送られると、ハウジングHは縦通路146内の縦ロッド151の溝151a内に収容される。次に、図11(B)に示すように、縦ロッド151が伸長位置まで伸長して、ハウジングHが縦通路146の先端まで搬送される。その後、図12(A)に示すように、横ロッド153が横通路147内に伸長する。これにより、縦ロッド151の溝151a内のハウジングHは、側面が横ロッド153で押されて、後向き姿勢のまま横通路147内を進み、最終的に、図12(B)に示すように、横通路147からハウジング保持手段180に送られる。
【0071】
このハウジング送り機構130には、パーツフィーダ120から供給されたハウジングHを検出するハウジング検出機構140が備えられている。図13を参照して、ハウジング検出機構140を説明する。
ブロック135は、図13に示すように平たい直方体状であり、パーツフィーダ側の側面には、外方に突き出た段部136が形成されている。段部136の高さは、ブロック135の高さの半分程度である。この段部136の、外側の面の、送り台131の外壁132の切り欠き132aに面する位置には、小径の貫通孔137が開けられている。一方、ブロック135の下面には、下面からえぐられた溝138がブロック135を横切るように形成されている。小径貫通孔137は、この溝138に連通している。ブロック135が送り台131の上面133に固定された状態において、溝138と送り台131の上面133との間には、トンネル状の通路が形成される。溝138の末端は、送り台131に開けられた貫通孔141に連通している。この貫通孔141には、負圧発生器160(例えば真空エジェクタ)から延びるパイプ161が接続されている。負圧発生器160が作動すると、パイプ161を介して、送り台131の貫通孔141、トンネル状通路(溝138)、及び、小径貫通孔137内が負圧となる。この際、小径貫通孔137の外側にハウジングHが存在していれば、ハウジングHで小径貫通孔137の出口が塞がれ、これらの貫通孔内は負圧が保たれる。一方、ハウジングが存在していなければ、小径貫通孔137の出口は解放されたままであり、貫通孔内は大気圧のままである。
【0072】
つまり、これらの貫通孔内の圧力を検出することにより、小径貫通孔137の外側にハウジングが存在するかどうかを検知できる。そこで、負圧発生器160には、負圧用圧力センサ162(例えばデジタル圧力センサ)が取り付けられており、貫通孔内の圧力が検出される。一例として、この例の圧力センサ162の検知範囲は、−101.3kPa〜1MPa である。検出された圧力は、図示せぬ制御部で判定され、任意に設定された圧力以下(例えば−10KPa以下)であれば、ハウジングが所定位置に供給されたことを検知できる。
この検知方法においては、ハウジングHが小径貫通孔137の出口を塞ぐように段部136の外面に接触している必要があり、両者のスキマが大きすぎると負圧が保たれないので、より正確にハウジングHの存在を検知できる。
【0073】
このように、ハウジング検知手段140は、パーツフィーダ120の終端部でハウジングの存在を検出するものである。このように、パーツフィーダ120の終端部で検出することにより、次工程におけるハウジング送り機構の動作開始信号として活用できる。
【0074】
次に、図14を参照して、ハウジング保持手段180を説明する。
ハウジング保持手段180は、ハウジングHを上下方向から挟む一対のガイド部材181、182と、ガイド部材181、182を互いに接近する方向及び離間する方向に移動させるアクチュエータ185と、アクチュエータ185を端子挿入方向の回りに回転させるポジショナー187とを有する。ハウジング保持手段180の下方には、製造されたワイヤーハーネスを搬出するコンベア(図示されず)が配置されている。
【0075】
各ガイド部材181、182は、平らな直方体状の部材であり、対向する内面には、ハウジングHをガイドする、横方向に延びるガイド溝181a、182aが形成されている。ガイド溝181a、182aの一方の端部(図14(A)の左側)は、送り台131の横通路147の出口に連続するように配置されている。このガイド溝181a、182aの最も先端(図の右端)がハウジング保持位置(端子挿入位置P2)となる。
【0076】
このアクチュエータ185も、平行ハンドと呼ばれるアクチュエータを使用できる。このアクチュエータは、リニアガイドと、同ガイドに係合してスライドする2個のスライダを有し、各スライダが中心に対して同期に接近あるいは離間する。各ガイド部材181、182は、各々スライダに固定されている。両スライダが接近すると、各ガイド部材181、182のガイド溝181a、182a間にハウジングHが保持される。ただし、各ガイド部材181、182の前面は完全に接触せず、両前面間には、ハウジングHのキャビティCが露出するだけのスキマがあく。各ガイド部材181、182が離間すると、各ガイド部材のガイド溝181a、182a間にスキマが開きハウジングHを解放する。
【0077】
アクチュエータ185は、ポジショナー187の回転軸に連結されており、電線の軸周りに例えば90°回転する。つまり、ガイド溝181a、182aの方向を水平方向から垂直方向に向けることができる。ガイド溝181a、182aが垂直方向にとなるように回転した後、各ガイド部材181、182が離間すると、端子挿入後のハウジングH(ワイヤーハーネス)はガイド部材181、182から離れて自重により下方のコンベア上へ落下する。
【0078】
このように、端子挿入作業終了後は、ハウジング保持手段180が90°回転してガイド部材181、182が開き、ハウジングHが自重で落下する。しかし、より確実にハウジングHをハウジング保持手段180から離脱させるために、ハウジング保持手段180の上方には、送出ヘッド191が、上下に移動可能に支持されている。送出ヘッド191は、図14(B)に示すように、上下方向に配設されたシリンダ192のロッド193の先端に取り付けられており、シリンダ192の伸縮縮に伴って、ハウジング保持手段180の後方の下位置(図14(B)の想像線で示す)と、同手段の上方の上位置(図14(B)の実線で示す)との間を上下に移動する。この送出ヘッド191により、ハウジングHに挿入されている電線束がハウジング保持手段180から下方に押し出されるので、ハウジング保持手段180が90°回転しても何らかの影響でハウジングHが同手段180から離脱しない場合も、確実に押し出すことができる。
【0079】
次に、本発明の端子挿入装置の端子挿入動作をまとめて説明する。
まず、ハウジングHの供給から説明する。
図10(A)に示すトレイ110に収容されているハウジングHは、作業者の手作業により、トレイ110のガイド111に合わせて装着される。この際、前述のように、ハウジングHは前面が、挿入方向における後向きの姿勢でガイド111に装着される。言い換えれば、この姿勢以外の姿勢ではガイド111に装着できないので、特に神経を使わなくとも、ハウ ジングHを所定の姿勢で並べることができる。そして、ガイド111に沿って並んだハウジング連をパーツフィーダ120に向かって押すと、ハウジングHはトレイ110からパーツフィーダ120に移行される。
【0080】
パーツフィーダ120ではハウジングHは、送り機構130に向かって送られる。そして、最終的に、図11に示すように、パーツフィーダ120から、送り機構130の縦通路146に待機している縦押しロッド151の溝151aに嵌り込む。同溝151a内においては、図13で説明したように、ブロック135の小径貫通孔137から空気が吸引されており、溝151a内にハウジングHが存在すると小径貫通孔137の開口が塞がれて同孔137、及び、同孔に連通しているトンネル状の孔138等の内部が負圧になる。この圧力はパイプ161を通して負圧センサ162で検出され、検出された圧力が所定の圧力以下であれば、ハウジングHが存在していると判定される。
【0081】
ハウジングHが存在していると判定されると、縦ロッド151が縦通路146内を先端まで伸長する。ハウジングHは、前面H1が後向きの姿勢のまま、縦通路146内を前進する。その後、横ロッド153が伸長して、ハウジングHを縦ロッド151の溝151aから横通路147内に押し出し、そのまま横通路147内を搬送する。ハウジングHは、後向き姿勢のまま、横通路147内を移動する。横ロッド153はさらに伸長し、ハウジングHを送り台131からハウジング保持手段180のガイド部材181、182のガイド溝181a、181b内を最奥部(挿入位置P2)まで搬送する。その後、横ロッド153が収縮し、ハウジング保持手段180の各ガイド部材181、182が接近して、ハウジングHを挿入位置P2で移動不能に保持する。
【0082】
次に、電線Wの供給を説明する。
図示せぬ搬送装置(図17の符号370)により、電線Wが端子角度調整手段10に搬送される。電線Wは、圧着された端子Tが後方向を向き、かつ、一般には、圧着面が上向きの姿勢で搬送される。端子角度調整手段10では、図4に示すように、圧着端子側の端部の電線Wが両爪部材11、12間に把持される。この例では、端子Tはこのままの姿勢でハウジングのキャビティに挿入されるので、端子角度調整手段10で端子角度を調整する必要はない。ただし、製造されるワイヤーハーネスの種類によって、圧着面をキャビティに対して90°、180°あるいは270°傾けて挿入する場合は、端子角度調整手段10で、所望の角度だけ電線を回転させる。
【0083】
次に、昇降用リニアアクチュエータ71が駆動されて、電線・端子把持機構30が下降し、端子角度調整手段10に把持されている電線Wの、端子Tと、電線端部の2か所とを把持する。この際、図7に示すように、電線爪61は、端子角度調整手段10の爪部材11、12の前後で、電線Wを把持する。電線・端子把持機構30が、電線Wと端子Tとを把持した後、端子角度調整手段10の爪部材11、12が開き、電線Wが電線・端子把持機構30に移し替えられる。その後、昇降用リニアアクチュエータ71が駆動されて、電線・端子把持機構30が上昇して、電線を挿入高さHに保持する。次に、搬送用アクチュエータ91が駆動されて、電線・端子把持機構30が、挿入位置P2(ハウジング保持手段180)に搬送される。
【0084】
図15を参照して、端子挿入動作を説明する。
挿入位置P2では、図15(A)に示すように、電線・端子把持機構30の電線爪61及び端子爪31で把持されている電線の端子Tと、ハウジングHのキャビティ位置とが位置決めされる。そして、挿入用アクチュエータ77が駆動されて、電線・端子把持機構30が進退方向において前進し、図15(B)に示すように、まず、端子Tの前端部がハウジングHのキャビティに挿入される。次に、図15(C)に示すように、電線・端子把持機構30の端子爪31が開き、端子爪31のみが上昇する。この状態では、電線Wが電線爪61のみに把持されている。そして、挿入用アクチュエータ77がさらに駆動されて、図14(D)に示すように、電線・端子把持機構30が進退方向においてさらに前進し、これにより、端子Tの全体がハウジングHのキャビティに挿入される。端子爪31も、開いて上昇した状態のまま前進する。これにより、端子TはハウジングHのキャビティに挿入されて、キャビティに係合することになる。
【0085】
その後、係合確認手段80により端子Tが確実にキャビティに係合したかどうかの判定が行われる(図8参照)。
まず、係合確認手段80のシリンダ83のロッド84が伸長して、小ガイド82に後方への力を加える。小ガイド82が固定されている、挿入用リニアアクチュエータ77のスライダは、ボールネジに対して移動不能であるため、逆にシリンダ83に前方への力がかかる。つまり、シリンダ83が固定されているプレート73、すなわち、同プレート73に固定されている電線・端子把持機構30に後方への力がかかり、図15(E)に示すように、電線爪61が後方へ移動しようとして、ハウジングHに係合した端子Tを引き抜こうとする。引抜力は、正常な係合状態において、端子がハウジングから引き抜かれる力以下に設定されている。端子とキャビティとの係合が十分であれば、このような力がかかっても、プレート73は移動しない。しかし、この係合が不十分の場合は、端子がキャビティから外れてプレート73が前方に移動してしまう。すると、プレート73に取り付けられているセンサ86の本体部86aが初期状態から変位し、変位が所定の間隔以上(例えば0.1mm以上)となると音声や表示装置で警報が発せられる。本発明では、前述のような接触式のセンサ86を使用したので、微細な変位を検出することができる。
【0086】
このように、端子の引き抜きによる係合確認機構は、端子挿入機構と別に設けられている。端子挿入機構では、端子をハウジングに挿入するために比較的強い力が必要になるが、係合確認作業における引き抜こうとする力は、できるだけ小さく、かつ、小さい範囲内で安定していることが好ましい。このように、挿入作業と係合確認作業とでは、端子を電線の軸方向に挿入又は引き抜こうとするので、反対方向への駆動が可能な一つのアクチュエータを使用することもできるが、挿入作業と係合確認作業とでは端子に与える力が大きく異なるので、これらの機構を別々とすることが好ましい。
【0087】
この端子挿入作業を、この例では、ハウジングのキャビティの数である11回行う。なお、ハウジングのキャビティの位置毎に、搬送用アクチュエータ91や挿入用アクチュエータ77によって、端子が位置決めされる。そして、11本の端子圧着電線の端子TがハウジングHのキャビティCに挿入された後、図16(A)に示すように、ハウジング保持手段が90°回転する。これにより、図16(B)に示すように、ガイド溝181a、182aが垂直を向く。そして、アクチュエータ185が駆動されて両ガイド部材181、182が離間し、ハウジングを解放する。さらに、図15(C)に示すように、シリンダ192のロッド193が延びて送出ヘッド191が下降し、両ガイド部材181、182間に挟まれたハウジングから延びる電線束を下方に押し出す。押し出されたハウジング(ワイヤーハーネスP)は、コンベアに落下して回収される。
【0088】
次に、図17を参照して本発明の実施の形態に係るワイヤーハーネス製造装置を説明する。図17は、ワイヤーハーネス製造装置の構成を模式的に示す平面図である。この装置は、図3(A)に示すワイヤーハーネスを製造する。
ワイヤーハーネス製造装置300は、電線束から電線を送給するとともにクランプする電線送給装置310と、電線の切断及び被覆を皮むきするカット・ストリップ装置320と、切断された電線(切断電線)の基端側(挿入方向における前側)の端部をクランプするテールクランプ装置330と、電線送給装置310にクランプされている電線(残留電線)の先端側(挿入方向における後側)の端部を半田付けする半田槽340と、テールクランプ装置330にクランプされている切断電線の基端側端部に端子を圧着する端子圧着装置350と、両端が加工された電線の払い出し装置360と、電線の基端側端部に圧着された端子をハウジングに挿入する端子挿入装置1と、払い出し装置360から端子挿入装置1へ電線を搬送する搬送装置370と、を備える。
図17の上下方向が電線軸方向を示し、電線をハウジングに挿入する際の挿入方向を示す。挿入方向において、図の上方向が前進方向(前方向)、下方向が後退方向(後方向)を示す。
電線送給装置、クランプ装置、端子圧着装置、半田槽などは、通常のワイヤーハーネス製造装置に使用されているものを使用できるので、各装置の詳細な説明を省略する。
【0089】
このワイヤーハーネス製造装置300の動きを説明する。
まず、電線送給装置310から所定の長さだけ電線がテールクランプ装置に向って送り込まれて、同装置でクランプされる。ここで、この電線の先端に、前の工程において半田付けされている。カット・ストリップ装置320で、電線が切断される。電線送給装置310に残った電線(残留電線)は電線送給装置310にクランプされ、切断された電線(切断電線)はテールクランプ装置330にクランプされる。
【0090】
次に、電線送給装置310が旋回して、カット・ストリップ装置320で残留電線の先端部の被覆が剥ぎ取られ、さらに、半田槽340まで旋回して、被覆が剥ぎ取られた先端部が半田付けされる。その後、電線送給装置310は元の位置に戻る。
【0091】
この作業と同時に、テールクランプ装置330が旋回して、カット・ストリップ装置320で切断電線の前端部の被覆が剥ぎ取られ、さらに、端子圧着装置350まで旋回して、被覆が剥ぎ取られた前端部に端子が圧着される。その後、電線はテールクランプ装置330から払い出し装置360に移し替えられる。つまり、この段階では、図3(B)に示した、一方の端部に端子が圧着され、もう一方の端部が半田付けされた端子圧着電線が製造される。
【0092】
次に、この端子圧着電線が、搬送装置370により、図1等で説明した端子挿入装置1に搬送される。そして、同装置1によって、端子がハウジングに挿入されて、図3(A)に示すワイヤーハーネスP(一方の端部がハウジングに挿入され、もう一方の端部が半田付けされたワイヤーハーネス)が製造される。
【0093】
なお、半田槽340の替わりに、端子圧着装置を備えることもできる。この場合、残留電線の先端部に端子が圧着される。つまり、払い出し装置370で払い出される段階では、両端に端子が圧着された端子圧着電線が製造される。そして、一方の端子が挿入装置でハウジングに挿入される。これにより、一方の端部がハウジングに挿入され、もう一方の端部には端子が圧着されたワイヤーハーネスが製造される。
【符号の説明】
【0094】
P ワイヤーハーネス H コネクタハウジング
C キャビティ W 電線(端子圧着電線)
T 端子
1 端子挿入装置 10 端子角度調整手段
20 端子把持・挿入手段
30 電線・端子把持機構
31 端子爪 32 固定爪部材
33 可動爪部材 41 中間ベース
47 主ベース 61 電線爪
71 昇降用リニアアクチュエータ 77 挿入用リニアアクチュエータ
80 係合確認機構 86 変位センサ
91 搬送用リニアアクチュエータ
100 ハウジング供給手段 110 トレイ
111 ガイド 120 パーツフィーダ
130 ハウジング送り機構 131 送り台
135 ブロック 137 小径貫通孔
140 ハウジング検知手段 151、153 ロッド
160 負圧発生器 162 圧力センサ
180 ハウジング保持手段 181、182 ガイド部材
191 送出ヘッド
300 ワイヤーハーネス製造装置 310 電線供給装置
320 カット・ストリップ装置 330 テールクランプ装置
340 半田槽 350 端子圧着装置
360 払い出し装置 370 搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端部に圧着された端子を、コネクタハウジングのキャビティに挿入する装置であって、
前記端子を把持する端子把持手段と、
前記ハウジングの供給手段及び保持手段と、
前記端子を前記キャビティに位置決めして挿入する手段と、
を具備し、
さらに、前記ハウジングが所定位置にあることを確認する手段を具備し、
該ハウジング位置確認手段が、
前記所定位置において前記ハウジングが当接する部材に形成された空所、
該空所の空気を吸引する吸引機構、
該空所又はそれに連通する部位の圧力を検出する圧力センサ、及び、
該センサで検出された圧力に応じて前記ハウジングが所定位置にあるか否かを判定する判定手段と、
を有することを特徴とする端子挿入装置。
【請求項2】
物品が所定位置にあることを検出する装置であって、
前記所定位置において前記物品が当接する部材に形成された空所、
該空所の空気を吸引する吸引機構、
該空所又はそれに連通する部位の圧力を検出する圧力センサ、
該センサで検出された圧力に応じて前記物品が所定位置にあるか否かを判定する判定手段と、
を有することを特徴とする物品検出装置。
【請求項3】
前記ハウジング又は物品がパーツフィーダにより搬送される終端位置において、前記ハウジング又は物品を確認するものであることを特徴とする請求項に記載の端子挿入装置又は請求項に記載の物品検出装置。
【請求項4】
電線を送給する電線送給装置と、
送給された電線を任意の長さに切断する電線切断装置と、
該電線の両端部の被覆を皮むきする皮むき装置と、
皮むきされた前記電線の一方の端部に端子を圧着する端子圧着装置と、
皮むきされた前記電線のもう一方の端部に端処理を施す端処理装置と、
前記電線端部に圧着された端子をハウジングに挿入する請求項1〜3のいずれか1項に記載の端子挿入装置と、
を、備えることを特徴とするワイヤーハーネス製造装置。
【請求項5】
電線の端部に圧着された端子を、コネクタハウジングのキャビティに挿入する方法であって、
前記端子を端子把持手段で把持し、
前記ハウジングを供給手段で供給した後に保持手段で保持し、
前記端子を前記キャビティに位置決めして挿入し、
前記ハウジングが所定位置にあることを確認する際に、
前記所定位置において前記ハウジングを当接部材に当接し、
前記当接部材に空所を形成しておき、該空所の空気を吸引した状態で該空所又はそれに連通する部位の圧力を検出し、検出した圧力が所定値以下の場合に、前記ハウジングが所定位置にあると判定することを特徴とする端子挿入方法。
【請求項6】
物品が所定位置にあることを検出する方法であって、
前記所定位置において前記物品が当接する部材に空所を形成しておき、
該空所の空気を吸引した状態で該空所又はそれに連通する部位の圧力を検出し、検出した圧力が所定値以下の場合に、前記物品が所定位置にあると判定することを特徴とする物品検出方法。
【請求項7】
電線を送給し、
送給された電線を任意の長さに切断し、
該電線の両端部の被覆を皮むきし、
皮むきされた前記電線の一方の端部に端子を圧着し、
皮むきされた前記電線のもう一方の端部に端処理を施し、
請求項5記載の端子挿入方法により、前記電線端部に圧着された端子をハウジングに挿入することを特徴とするワイヤーハーネス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−33771(P2013−33771A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−255456(P2012−255456)
【出願日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【分割の表示】特願2012−137490(P2012−137490)の分割
【原出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000228257)日本オートマチックマシン株式会社 (39)
【Fターム(参考)】