説明

端末装置、チャージ管理システム、及びチャージ管理方法

【課題】発呼が拒否された場合の再発呼の回数を低減し、発呼による通信量の増加を抑制する。
【解決手段】本発明に係る端末装置2は、発信動作の開始指示を受け付ける発信操作受付部21と、チャージ情報を受信する情報受信部24と、情報受信部24により受信されたチャージ情報を記憶するチャージ情報記憶部25と、発信動作の開始指示を受け付けられたことを契機に、チャージ情報記憶部25を検索してチャージ切れ情報が記憶されているか否かを判定するチャージ情報検索部26と、チャージ情報検索部26によりチャージ情報記憶部25にチャージ切れ情報が記憶されていると判定された場合、ユーザに先払いした料金の残額の確認をさせるための情報を出力する確認情報出力部27と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリペイド方式の端末装置、チャージ管理システム、及びチャージ管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが料金を先払い(チャージ)して通信サービスを受けることが可能なプリペイド方式の端末装置が知られている。例えば、下記の特許文献1には、携帯端末機器の利用可能料金の残額がなくなった場合に、携帯端末管理システムによって使用不可を携帯端末機器に通知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−313743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリペイド方式の端末装置では、先払いした料金の残額がなくなった(チャージ切れした)場合に、ユーザが再度チャージを行う必要がある。ユーザがチャージすることを忘れると、次回発呼を行う際に拒否されてしまう。従来のプリペイド方式の端末装置では、ユーザは発呼が拒否された要因が分からないため、ユーザにより何度も再発呼が行われるという問題があった。また、この再発呼により、通信ネットワークのトラフィックが増加してしまうという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、このような問題点を解決するために、発呼が拒否された場合に行われる再発呼の回数を低減し、発呼による通信量の増加を抑制可能な端末装置、チャージ管理システム、及びチャージ管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の端末装置は、発信動作の開始指示を受け付ける発信操作受付手段と、先払いした料金の残額の有無に関する情報であるチャージ情報を受信する情報受信手段と、情報受信手段により受信されたチャージ情報を記憶するチャージ情報記憶手段と、発信操作受付手段によって開始指示が受け付けられたことを契機に、チャージ情報記憶手段を検索して残額無しを示すチャージ情報であるチャージ切れ情報が記憶されているか否かを判定するチャージ情報検索手段と、チャージ情報検索手段によりチャージ情報記憶手段にチャージ切れ情報が記憶されていると判定された場合、ユーザに残額の確認をさせるための情報を出力する確認情報出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のチャージ管理システムは、端末装置と、当該端末装置の通信を制御する通信制御装置とを備え、当該端末により先払いされた料金を管理するチャージ管理システムであって、端末装置は、発信動作の開始指示を受け付ける発信操作受付手段と、先払いした料金の残額の有無に関する情報であるチャージ情報を受信する情報受信手段と、情報受信手段により受信されたチャージ情報を記憶するチャージ情報記憶手段と、発信操作受付手段によって開始指示が受け付けられたことを契機に、チャージ情報記憶手段を検索して残額無しを示すチャージ情報であるチャージ切れ情報が記憶されているか否かを判定するチャージ情報検索手段と、チャージ情報検索手段によりチャージ情報記憶手段にチャージ切れ情報が記憶されていると判定された場合、ユーザに残額の確認をさせるための情報を出力する確認情報出力手段と、を備え、通信制御装置は、端末装置の先払いした料金の残額を算出して記憶する残額算出手段と、チャージ情報を端末装置に送信する情報送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のチャージ管理方法は、端末装置において、発信動作の開始指示を受け付ける発信操作受付ステップと、先払いした料金の残額の有無に関する情報であるチャージ情報を受信する情報受信ステップと、情報受信ステップにおいて受信されたチャージ情報をチャージ情報記憶手段に記憶するチャージ情報記憶ステップと、発信操作受付ステップにおいて開始指示が受け付けられたことを契機に、チャージ情報記憶手段を検索して残額無しを示すチャージ情報であるチャージ切れ情報が記憶されているか否かを判定するチャージ情報検索ステップと、チャージ情報検索ステップにおいてチャージ情報記憶手段にチャージ切れ情報が記憶されていると判定された場合、ユーザに残額の確認をさせるための情報を出力する確認情報出力ステップと、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ユーザから発信動作の開始指示を受け付けた際に、チャージ情報記憶手段を検索して残額無しを示すチャージ情報であるチャージ切れ情報が記憶されているか否かを判定し、チャージ切れ情報が記憶されている場合、ユーザに先払いした料金の残額の確認をさせるための情報を出力することで、チャージ切れにより端末装置による通信が拒否されることが予測される場合に、ユーザに先払いした料金の残額を確認することを促すことができる。そして、ユーザによって先払いした料金の残額が確認され、残額がなくなっていることが確認されることで、ユーザにチャージ切れを認識させることができ、ユーザに再チャージを促すことができる。このため、通信ネットワークに向けて無駄な発信要求が送信されることを抑制できる。その結果、通信ネットワークのトラフィックを軽減することができる。
【0010】
また、本発明の端末装置において、情報受信手段は、チャージ切れ情報を受信した場合、残額無しを示すフラグをチャージ切れ情報としてチャージ情報記憶手段に記憶し、チャージ情報検索手段は、チャージ情報記憶手段に残額無しを示すフラグが記憶されているか否かを検索することにより、チャージ切れ情報が記憶されているか否かを判定することが好ましい。これによれば、ユーザから発信動作の開始指示を受け付けた際に、チャージ情報記憶手段を検索して残額無しを示すフラグが記憶されているか否かを判定し、残額無しを示すフラグが記憶されている場合、ユーザに先払いした料金の残額の確認をさせるための情報を出力することで、チャージ切れにより端末装置による通信が拒否されることが予測される場合に、ユーザに先払いした料金の残額を確認することを促すことができる。そして、ユーザによって先払いした料金の残額が確認され、残額がなくなっていることが確認されることで、ユーザにチャージ切れを認識させることができ、ユーザに再チャージを促すことができる。このため、通信ネットワークに向けて無駄な発信要求が送信されることを抑制できる。その結果、通信ネットワークのトラフィックを軽減することができる。また、残額無しを示すフラグを使用することで、チャージ切れか否かの判定処理を高速に行うことができる。
【0011】
また、本発明の端末装置において、発信操作受付手段によって開始指示が受け付けられたことを契機に、発信要求を送信する発信要求送信手段をさらに備え、情報受信手段は、発信要求に対する応答としてチャージ情報を受信することが好ましい。これによれば、端末からの発信要求に対する応答としてチャージ情報が受信されるので、通信ネットワーク側での新たな信号送信機能の追加が不要とされ、容易にチャージ情報の送受信が実現される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発呼が拒否された場合の再発呼の回数を低減し、発呼による通信量の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るチャージ管理システムの概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る端末装置に表示される画面を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る通信制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る通信制御装置の発信要求受信時の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る端末装置のSMS受信時の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る端末装置の発信操作時の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の別の実施形態に係る端末装置の発信操作時の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の別の実施形態に係る端末装置の発信操作時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る端末装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の本実施形態に係るチャージ管理システム1の概略構成図である。チャージ管理システム1は、端末装置2のチャージに関する情報を管理するシステムである。図1に示すようにチャージ管理システム1は、端末装置2を含んで構成されている。同図に示す端末装置2は、通信ネットワークNWを利用した通信サービスの提供を受けようとするユーザの使用する携帯用クライアント端末である。なお、端末装置2は、例えば、携帯電話、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、通信機能付ゲーム機等の装置である。
【0016】
チャージ管理システム1は、さらに端末装置2と通信ネットワークNWを介して通信可能な通信制御装置3を含んで構成されている。通信制御装置3は、端末装置2に通信サービスを提供する装置である。通信制御装置3は、例えば、無線アクセスネットワーク装置の基地局装置や無線ネットワーク制御装置、コア・ネットワーク装置の交換機やゲートウェイ装置、加入者情報管理装置等の通信の制御や管理を行う装置である。
【0017】
図2は、端末装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、端末装置2は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)201と、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)202と、ROM(Read Only Memory)203と、他の端末装置やサーバ装置との間での通信ネットワークを介したデータの送受信を行う通信モジュール204と、入力デバイスである入力キー、マウス、マイクロフォン等の入力装置205と、ハードディスク装置等の補助記憶装置206と、出力デバイスであるディスプレイ、スピーカ等の出力装置207と、を含むハードウェアにより構成されている。後述する端末装置2の各機能は、図2に示すCPU201、RAM202等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU201の制御のもとで通信モジュール204、入力装置205、出力装置207等を動作させるとともに、RAM202や補助記憶装置206におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0018】
続いて、本実施形態に係る端末装置2の機能について説明する。図1に示すように端末装置2は、発信操作受付部(発信操作受付手段)21、発信要求送信部22(発信要求送信手段)と、応答受信部23と、情報受信部24(情報受信手段)と、チャージ情報記憶部25(チャージ情報記憶手段)と、チャージ情報検索部26(チャージ情報検索手段)と、確認情報出力部27(確認情報出力手段)と、を含んで構成されている。
【0019】
発信操作受付部21は、ユーザが音声通信やデータ通信等の通信サービスの提供を受けようとする際に、端末装置2から通信ネットワークNWに向けた発信動作の開始指示をユーザから受け付ける。例えば、発信操作受付部21は、入力装置205を介してユーザから入力された開始指示を検出し、その検出をチャージ情報検索部26に通知する。
【0020】
発信要求送信部22は、通信ネットワークNWに向けて発信要求を送信する発信要求送信手段として機能するものである。ここで、発信要求送信部22は、後述するチャージ情報検索部26によってチャージ済み情報が検索されたことを契機に、発信要求を通信制御装置3に対して送信する。
【0021】
応答受信部23は、発信要求送信部22により送信された発信要求に対する応答を通信制御装置3から受信する応答受信手段として機能するものである。応答受信部23は、発信要求を拒否する拒否信号Reject、発信要求を許可する許可信号Accept等の応答を通信制御装置3から受信する。なお、拒否信号Rejectには、発信要求を拒否する要因を示すコード情報RejectCauseが含まれてもよい。
【0022】
情報受信部24は、通信制御装置3から、先払いした料金の残額の有無に関する情報であるチャージ情報を含む通信制御装置3からの通知を受信する情報受信手段として機能するものである。情報受信部24は、先払いした料金の残額がなくなったことを示すチャージ情報であるチャージ切れ情報、料金の先払い処理が完了したことを示すチャージ情報であるチャージ済み情報等のチャージ情報を含む通信制御装置3からの通知を受信する。本実施形態では、チャージ情報は、例えば端末装置2の動作を制御するための信号である制御用SMS(Short Message Service)により送受信される。この制御用SMSは、受信後に端末装置2内のRAM202や補助記憶装置206の保護領域に一時保存され、ユーザによって消去等ができないものである。このため、ユーザの誤操作によるチャージ情報の消去を防止でき、誤動作を防止することが可能となる。
【0023】
チャージ情報記憶部25は、情報受信部24により受信されたチャージ情報を記憶するチャージ情報記憶手段として機能するものである。チャージ情報記憶部25は、チャージ情報をそのチャージ情報が送信又は受信された日時を示す情報であるタイムスタンプと関連付けて記憶する。なお、チャージ情報記憶部25は、チャージ切れを示すチャージ切れフラグを記憶するようにしてもよい。チャージ切れフラグは、情報受信部24によってチャージ切れ情報が受信された場合にONに設定され、情報受信部24によってチャージ済み情報が受信された場合、及び、発信要求が許可(Accept)された場合(回線を接続できた場合)にOFFに設定される。
【0024】
チャージ情報検索部26は、発信操作受付部21から開始指示の受け付けが通知されたことを契機に、チャージ情報記憶部25を検索し、チャージ切れ情報が記憶されているか否かを判定するチャージ情報検索手段として機能するものである。具体的に説明すると、チャージ情報検索部26は、チャージ情報記憶部25に記憶されているチャージ情報のうちタイムスタンプにより示される日時が最新のチャージ情報を検索し、そのチャージ情報がチャージ切れ情報であるかチャージ済み情報であるかを判定する。
【0025】
なお、チャージ情報検索部26は、チャージ情報に所定の情報が含まれているか否かを判定することにより、チャージ情報がチャージ切れ情報であるかチャージ済み情報であるかの判定を行う。例えば、チャージ情報を制御用SMSにより送受信する場合には、チャージ切れ情報を示すコードとチャージ済み情報を示すコードとを、端末装置2と通信制御装置3との間で予め設定しておき、通信制御装置3は、制御用SMSにそのコードを含めて送信する。チャージ情報検索部26は、制御用SMSからそのコードを読み出すことにより、チャージ切れ情報であるかチャージ済み情報であるかの判定を行う。
【0026】
確認情報出力部27は、チャージ情報検索部26によりチャージ情報記憶部25にチャージ切れ情報が記憶されていると判定された場合、ユーザにチャージ状況の確認をさせるための情報を出力する確認情報出力手段として機能するものである。確認情報出力部27は、例えば図3(a)に示す画面を表示し、ユーザにチャージ状況の確認を促す。図3(a)の画面に表示されているアイコン61は、例えば通信ネットワークNWに接続を指示するためのボタンである。このアイコン61がクリックされることにより、端末装置2が通信ネットワークNWに接続されて、端末装置2のチャージ残額を示すウェブページ等が端末装置2の表示画面に表示される。
【0027】
また、確認情報出力部27は、情報受信部24がチャージ切れ情報を受信した場合に、例えば図3(b)に示す画面を表示し、ユーザに契約の更新、すなわち先払い料金の再チャージを促す。図3(b)の画面に表示されているアイコン62は、例えば通信ネットワークNWに接続を指示するためのボタンである。このアイコン62がクリックされることにより、端末装置2が通信ネットワークNWに接続されて、端末装置2の契約を更新する(再チャージする)ためのウェブページ等が端末装置2の表示画面に表示される。あるいは、単にチャージを促す画面を表示してもよい。
【0028】
続いて、本実施形態に係る通信制御装置3の機能について説明する。図1に示すように通信制御装置3は、発信要求受信部31と、残額算出部32(残額算出手段)と、応答送信部33と、情報送信部34(情報送信手段)と、を含んで構成されている。なお、通信制御装置3は単体の装置ではなく、複数の装置から構成されていてもよい。
【0029】
発信要求受信部31は、端末装置2からの発信要求を受信する発信要求受信手段として機能するものである。発信要求受信部31は、発信要求を受信したことを示す情報を残額算出部32に出力する。
【0030】
残額算出部32は、端末装置2の先払い料金(チャージ)の残額に関する情報を図示しないサービス制御装置を介して顧客情報管理データベースから定期的に取得し、端末装置2が通信を行った時間又は通信を行ったデータ量に基づいて残額を算出し、残額を示す残額情報を保持する。残額算出部32は、残額がなくなった場合に、残額不足を示す情報を情報送信部34に出力する。また、残額算出部32は、発信要求受信部31から発信要求を受信したことを示す情報を受信すると、発信要求を行った端末装置2の残額情報を応答送信部33に出力する。
【0031】
応答送信部33は、発信要求に対する応答を端末装置2に送信する応答送信手段として機能するものである。具体的に説明すると、応答送信部33は、残額算出部32から発信要求を行った端末装置2の残額情報を受信すると、残額があるか否かを判定する。残額がある場合には、応答送信部33は、発信を許可する許可信号Acceptを端末装置2に送信する。一方、残額がない場合には、応答送信部33は、発信を拒否する拒否信号Rejectを端末装置2に送信する。この際、応答送信部33は、拒否信号Rejectに、チャージ切れを示すコード情報RejectCauseを含めて送信してもよい。
【0032】
情報送信部34は、チャージ情報を端末装置2に送信する情報送信手段として機能するものである。情報送信部34は、残額算出部32から残額不足を示す情報を受信すると、チャージ切れ情報を端末装置2に送信する。また、情報送信部34は、端末装置2によって料金の先払い処理が行われたことを示す情報をサービス制御装置から受信すると、チャージ済み情報を端末装置2に送信する。
【0033】
次に、図4及び図5を参照して、通信制御装置3の動作について説明する。図4は、端末装置2が通信中である場合の通信制御装置3の動作を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、チャージ情報は、制御用SMSを利用して送受信されるため、以降の説明においては、チャージ情報を「チャージSMS」とし、チャージ切れ情報を「チャージ切れSMS」とし、チャージ済み情報を「チャージ済みSMS」とする。
【0034】
残額算出部32は、端末装置2の先払い料金の残額に関する情報を図示しないサービス制御装置を介して顧客情報管理データベースから定期的に取得する(S1)。次に、残額算出部32は、端末装置2が通信中であるか否かを判定する(S2)。判定の結果、端末装置2が通信中でないと判定された場合には(S2;No)、この判定処理が所定周期で繰り返される。S2の判定において、通信中であると判定された場合(S2;Yes)、通信料金をカウントして残額から減算する(S3)。ここで、通信料金は、端末装置2が通信を行った時間又は通信を行ったデータ量に基づいて定まる金額であって、端末装置2のユーザが予め契約した料金プランにより定められる。
【0035】
次に、残額算出部32は、端末装置2の残額がなくなったか否かの判定を行う(S4)。残額があると判定された場合(S4;No)、残額算出部32は、S2に戻って端末装置2が通信中であるか否かの判定を行う。一方で、S4の判定において、残額がなくなったと判定された場合(S4;Yes)、情報送信部34は、チャージ切れSMSを端末装置2に送信する(S5)。
【0036】
その後、残額算出部32は、端末装置2によってチャージが行われたか否かを判定する(S6)。残額算出部32は、例えば、顧客情報管理データベースから残額情報を取得することで、チャージが行われたか否かを判定する。S6の判定において、チャージが行われていないと判定された場合(S6;No)、この判定処理が所定周期で繰り返される。S6の判定において、チャージが行われたと判定された場合(S6;Yes)、情報送信部34は、チャージ済みSMSを端末装置2に送信する。
【0037】
図5は、通信制御装置3の発信要求受信時の動作を示すフローチャートである。
【0038】
発信要求受信部31は、端末装置2から発信要求を受信したか否かを定期的に判定する(S11)。判定の結果、端末装置2から発信要求を受信していないと判定された場合には(S11;No)、この判定処理が所定周期で繰り返される。S11の判定において、発信要求受信部31が発信要求を受信した場合(S11;Yes)、残額算出部32は、発信要求を送信した端末装置2の残額情報を参照する(S12)。
【0039】
そして、残額算出部32は、残額があるか否かを判定する(S13)。残額がないと判定された場合(S13;Yes)、応答送信部33は、発信要求を送信した端末装置2に拒否信号Rejectを送信し、通信制御装置3の発信要求受信時の動作を終了する。一方で、S13の判定において、残額があると判定された場合は(S13;No)、応答送信部33は、発信要求を送信した端末装置2に許可信号Acceptを送信して端末装置2の通信ネットワークNWを利用した通信を開始させ、通信制御装置3の発信要求受信時の動作を終了する。
【0040】
次に、図6〜図9を参照して、端末装置2の動作について説明する。図6は、端末装置2のSMS受信時の動作を示すフローチャートである。
【0041】
情報受信部24は、制御用SMSを受信すると(S21,情報受信ステップ)、チャージ情報に関連したチャージ関連SMSであるか否かを判定する(S22)。チャージ関連SMSでないと判定された場合(S22;No)、情報受信部24は、所定の動作を行う(S23)。ここで、所定の動作とは、制御用SMSの内容に応じた動作である。一方で、S22の判定において、チャージ関連SMSであると判定された場合は(S22;Yes)、情報受信部24は、さらに、そのチャージ関連SMSがチャージ切れSMSであるか否かを判定する(S24)。チャージ切れSMSであると判定された場合(S22;Yes)、確認情報出力部27は、例えば図3(b)に示す画面を表示し、ユーザに契約更新、すなわち先払い料金の再チャージを促す(S25)。一方、チャージ切れSMSでない、すなわちチャージ済みSMSであると判定された場合(S22;No)は、S25の処理をスキップし、確認情報出力部27による画面出力は行われない。その後、当該チャージ関連SMSはそのタイムスタンプとともにチャージ情報記憶部25に記憶される(S26、チャージ情報記憶ステップ)。
【0042】
なお、S24の判定において、チャージ切れSMSであると判定された場合、確認情報出力部27は、単にチャージ切れを示す画面を表示してもよい。一方で、S24の判定において、チャージ済みSMSであると判定された場合、確認情報出力部27は、チャージ済みを示す画面を表示してもよい。また、チャージ切れを示すチャージ切れフラグによりチャージの管理を行っている場合、S24において、受信したSMSがチャージ済みSMSであれば、情報受信部24は、チャージ切れフラグをOFFにする。一方、S24において、受信したSMSがチャージ切れSMSであれば、情報受信部24は、チャージ切れフラグをONにする。
【0043】
図7は、端末装置2の発信操作時の動作の一例を示すフローチャートである。
【0044】
発信操作受付部21は、ユーザにより発信ボタンが操作されたことを検出することにより、発信動作の開始指示を受け付ける(S31,発信操作受付ステップ)。次に、発信操作受付部21による開始指示の受付を契機に、チャージ情報検索部26は、チャージ情報記憶部25に記憶されているチャージに関する制御用SMSのうち最新のSMSを検索する(S32,チャージ情報検索ステップ)。チャージ情報検索部26は、SMSに関連付けて記憶されているタイムスタンプにより最新のSMSを検索する。そして、チャージ情報検索部26は、当該最新のSMSがチャージ切れSMSであるか、チャージ済みSMSであるかの判定を行う(S33)。チャージ済みSMSであると判定された場合(S33;チャージ済みSMS)、発信要求送信部22は、発信要求を通信制御装置3に送信する(S34)。
【0045】
一方、S33の判定において、チャージ切れSMSであると判定された場合(S33;チャージ切れSMS)、確認情報出力部27は、図3(a)に示す画面を表示し、ユーザにチャージ状況の確認を促す(S35,確認情報出力ステップ)。そして、端末装置2は、発信操作時の動作を終了する。
【0046】
図8は、端末装置2の発信操作時の動作の変形例を示すフローチャートである。この変形例では、情報受信部24は、チャージ切れSMSを受信した場合、チャージ情報記憶部25に記憶されているチャージ切れフラグをONにするものとする。また、情報受信部24は、チャージ済みSMSを受信した場合、及び、発信要求が許可された場合に、チャージ情報記憶部25に記憶されているチャージ切れフラグをOFFにするものとする。
【0047】
S41〜S42の処理は、図7のS31〜S32の処理と同様であるので、その説明を省略する。S42においてチャージ情報記憶部25が検索され、チャージ情報検索部26により、チャージ情報記憶部25に記憶されているチャージ切れフラグが判断される(S43)。そこで、チャージ情報検索部26は、当該チャージ切れフラグが、ONであるかOFFであるかの判定を行う。チャージ切れフラグがOFFであると判定された場合(S43;OFF)、発信要求送信部22は、発信要求を通信制御装置3に送信する(S44)。
【0048】
一方、S43の判定において、チャージ切れフラグがONであると判定された場合(S43;ON)、確認情報出力部27は、図3(a)に示す画面を表示し、ユーザにチャージ状況の確認を促す(S45)。そして、端末装置2は、発信操作時の動作を終了する。
【0049】
図9は、端末装置2のチャージ情報受信時の動作の変形例を示すフローチャートである。図6には、端末装置2がチャージ情報を受信する際に制御用SMSとして受信する動作手順を示したが、図9では、端末装置2が、端末装置2からの発信要求に対する通信制御装置3からの応答信号としてチャージ情報を受信する動作手順を示している。この場合は、端末装置2の応答受信部23が、チャージ情報を受信する情報受信手段となる。
【0050】
まず、端末装置2の発信操作受付部21において発信操作が受け付けられた後、発信要求送信部22により、通信制御装置3に向けて発信要求が送信される(S51)。これに対して、通信制御装置3から応答信号が端末装置2に送信されると、応答受信部23によって受信された応答信号の種別がデータの中身から解析される(S52)。S52の解析において、応答が拒否信号Rejectであると判定された場合(S52;Yes)、応答受信部23は、コード情報RejectCauseを確認し、コード情報RejectCauseが所定のコードであるか否かを判定する(S53)。所定のコードとは、チャージ切れが要因である場合にのみ使用されるコードであって、例えば、通信規制によって接続できないことを示す“Operator Determined Barring”を示すコード等である。
【0051】
所定のコードでないと判定された場合(S53;No)、通常の発信操作に関するエラー処理として、例えば、端末装置2においてコード情報RejectCauseに対応するエラー情報が出力される(S54)。一方で、S53の判定において、所定のコードであると判定された場合(S53;Yes)、応答受信部23は、チャージ切れフラグをONにする(S55)。そして、確認情報出力部27は、例えば図3(b)に示す画面を表示し、ユーザに契約更新、すなわち先払い料金の再チャージを促す(S56)。S52の判定において、応答が許可信号Acceptであると判定された場合(S52;No)、端末装置2の通信ネットワークNWを利用した通信が開始される(S57)。
【0052】
次に、本実施形態の端末装置2の作用効果について説明する。本実施形態の端末装置2は、ユーザから発信動作の開始指示を受け付けた際に、チャージ情報記憶部25を検索して、最新のチャージSMSとしてチャージ切れSMSが記憶されているか否かを判定し、チャージ切れSMSが記憶されている場合、ユーザにチャージ状況の確認を促す画面を表示する。これにより、チャージ切れにより端末装置2による通信が拒否されることが予測される場合に、ユーザにチャージ状況の確認を促すことができる。そして、ユーザによってチャージ状況が確認され、残額がなくなっていることが確認されることで、ユーザにチャージ切れを認識させることができ、ユーザに再チャージ処理を促すことができる。これにより、通信ネットワークNWに向けて無駄な発信要求が送信されることを抑制できる。その結果、通信ネットワークNWのトラフィックを軽減することができる。
【0053】
また、本実施形態の端末装置2は、チャージ切れSMSを受信した場合、チャージ切れフラグをONにし、チャージ済みSMSを受信した場合、及び、発信要求が許可された場合に、チャージ切れフラグをOFFにする。これにより、チャージ切れフラグを確認することで、チャージ切れか否かを識別することが可能となる。このため、端末装置2は、チャージ切れか否かの判定処理を高速に行うことができる。
【0054】
また、本実施形態の端末装置2においては、チャージ情報が、端末装置2からの発信要求に対する通信制御装置3からの応答信号として受信されるので、通信ネットワークNW側での新たな信号送信機能の追加が不要とされ、容易にチャージ情報の送受信が実現される。また、SMSが削除されたり、端末を変更した場合でも、チャージ切れの可能性が判断でき、以降の発信要求が送信されることを抑制することで、通信ネットワークNWのトラフィックを軽減することができる。
【0055】
なお、上述した実施形態は本発明に係る端末装置の最良な実施形態を説明したものであり、本発明に係る端末装置は本実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る端末装置は、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る端末装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0056】
上述した実施形態において、チャージ情報は、制御用SMSを利用して送受信されている。制御用SMSに代えて、テキストデータの送受信用のメッセージSMS、電子メール等によりチャージ情報を送受信するようにしてもよい。この場合、チャージ切れ情報を示す所定の文字列とチャージ済み情報を示す所定の文字列とを、端末装置2と通信制御装置3との間で予め設定しておき、通信制御装置3は、メッセージSMS又は電子メールの本文にその文字列を含めて送信する。チャージ情報検索部26は、メッセージSMS又は電子メールの本文からその文字列を読み出して、文字列マッチングを行うことにより、チャージ切れ情報であるかチャージ済み情報であるかの判定を行うようにしてもよい。
【0057】
メッセージSMSを利用してチャージ情報を送受信する場合、情報受信部24がチャージ切れSMSを受信したと判定されたとき(図6のS22;Yes)、図3(b)のような画面を表示することなく、単にSMSの着信だけを通知するようにしてもよい。
【0058】
チャージ情報記憶部25は、チャージ情報又はチャージ切れフラグを不揮発性の記憶領域に記憶することが好ましい。端末装置2に内蔵された不揮発性メモリであってもよく、USIM(Universal Subscriber Identity Module)等の不揮発性の記憶媒体であってもよい。チャージ情報又はチャージ切れフラグをUSIMに記憶することで、端末装置2が初期化、電源オフ、あるいは、置換されたとしても、チャージ情報又はチャージ切れフラグは消去されることなく記憶されている。したがって、チャージ情報検索部26は、USIMを検索して、最新のチャージSMSとしてチャージ切れSMSが記憶されているか否かを判定すること、あるいは、チャージ切れフラグがONか否かを判定することで、端末装置2がチャージ切れか否かを確実に識別することができる。
【0059】
上述した実施形態において、チャージ情報記憶部25は、受信したSMSをそのタイムスタンプと共に記憶し、タイムスタンプを比較することで、最新のチャージSMSを判定している。これに代えて、情報受信部24は、チャージ済みSMSを受信した場合、及び、発信要求が許可された場合に、チャージ情報記憶部25からチャージ切れSMSを削除するようにしてもよい。このようにすることで、チャージ情報検索部26は、チャージ情報記憶部25にチャージ切れSMSが記憶されているか否かの判定を行うだけで、端末装置2がチャージ切れか否かを識別することができる。
【0060】
なお、図4及び図5に記載の各ステップは、通信制御装置の各機能部によって実施される構成に限定されず、通信制御装置において各ステップを実施できればよい。同様に、図6〜図9に記載の各ステップは、端末装置の各機能部によって実施される構成に限定されず、端末装置において各ステップを実施できればよい。
【0061】
例えば、端末装置2における各機能を実行するためのプログラムモジュールとして構成してもよい。すなわち、発信操作受付部21に相当する発信操作受付モジュール、発信要求送信部22に相当する発信要求送信モジュール、応答受信部23に相当する応答受信モジュール、情報受信部24に相当する情報受信モジュール、チャージ情報記憶部25にチャージ情報を記憶する手段に相当するチャージ情報記憶モジュール、チャージ情報検索部26に相当するチャージ情報検索モジュール、及び、確認情報出力部27に相当する確認情報出力モジュールを備えたチャージ管理プログラムであって、携帯端末等のコンピュータシステムに当該プログラムを読み込ませることにより、上述の端末装置2と同等の機能を実現することができる。上述のチャージ管理プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVDもしくはROM等の記憶媒体または半導体メモリに格納されて提供される。また、上述のチャージ管理プログラムは、搬送波に重畳されたコンピュータデータ信号としてネットワークを介して提供されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…チャージ管理システム、2…端末装置、3…通信制御装置、21…発信操作受付部(発信操作受付手段)、22…発信要求送信部(発信要求送信手段)、23…応答受信部(情報受信手段)、24…情報受信部(情報受信手段)、25…チャージ情報記憶部(チャージ情報記憶手段)、26…チャージ情報検索部(チャージ情報検索手段)、27…確認情報出力部(確認情報出力手段)、32…残額算出部(残額算出手段)、34…情報送信部(情報送信手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信動作の開始指示を受け付ける発信操作受付手段と、
先払いした料金の残額の有無に関する情報であるチャージ情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段により受信されたチャージ情報を記憶するチャージ情報記憶手段と、
前記発信操作受付手段によって前記開始指示が受け付けられたことを契機に、前記チャージ情報記憶手段を検索して残額無しを示すチャージ情報であるチャージ切れ情報が記憶されているか否かを判定するチャージ情報検索手段と、
前記チャージ情報検索手段により前記チャージ情報記憶手段に前記チャージ切れ情報が記憶されていると判定された場合、ユーザに前記残額の確認をさせるための情報を出力する確認情報出力手段と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記情報受信手段は、前記チャージ切れ情報を受信した場合、残額無しを示すフラグをチャージ切れ情報として前記チャージ情報記憶手段に記憶し、
前記チャージ情報検索手段は、前記チャージ情報記憶手段に前記残額無しを示すフラグが記憶されているか否かを検索することにより、前記チャージ切れ情報が記憶されているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記発信操作受付手段によって前記開始指示が受け付けられたことを契機に、発信要求を送信する発信要求送信手段をさらに備え、
前記情報受信手段は、前記発信要求に対する応答として前記チャージ情報を受信する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の端末装置。
【請求項4】
端末装置と、当該端末装置の通信を制御する通信制御装置とを備え、当該端末により先払いされた料金を管理するチャージ管理システムであって、
前記端末装置は、
発信動作の開始指示を受け付ける発信操作受付手段と、
先払いした料金の残額の有無に関する情報であるチャージ情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段により受信されたチャージ情報を記憶するチャージ情報記憶手段と、
前記発信操作受付手段によって前記開始指示が受け付けられたことを契機に、前記チャージ情報記憶手段を検索して残額無しを示すチャージ情報であるチャージ切れ情報が記憶されているか否かを判定するチャージ情報検索手段と、
前記チャージ情報検索手段により前記チャージ情報記憶手段に前記チャージ切れ情報が記憶されていると判定された場合、ユーザに前記残額の確認をさせるための情報を出力する確認情報出力手段と、を備え、
前記通信制御装置は、
前記端末装置の先払いした料金の残額を算出して記憶する残額算出手段と、
前記チャージ情報を前記端末装置に送信する情報送信手段と、を備える
ことを特徴とするチャージ管理システム。
【請求項5】
端末装置において、
発信動作の開始指示を受け付ける発信操作受付ステップと、
先払いした料金の残額の有無に関する情報であるチャージ情報を受信する情報受信ステップと、
前記情報受信ステップにおいて受信されたチャージ情報をチャージ情報記憶手段に記憶するチャージ情報記憶ステップと、
前記発信操作受付ステップにおいて前記開始指示が受け付けられたことを契機に、前記チャージ情報記憶手段を検索して残額無しを示すチャージ情報であるチャージ切れ情報が記憶されているか否かを判定するチャージ情報検索ステップと、
前記チャージ情報検索ステップにおいて前記チャージ情報記憶手段に前記チャージ切れ情報が記憶されていると判定された場合、ユーザに前記残額の確認をさせるための情報を出力する確認情報出力ステップと、
を備えることを特徴とするチャージ管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−138697(P2012−138697A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288769(P2010−288769)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】