説明

端末装置

【課題】キャリブレーション作業を簡単に行うことができる端末装置を提供する。
【解決手段】本発明に係わる端末装置は、装置本体に回動自在に支持された表示部(28)と、前記表示部の表示画面上に配置され、物体が接触した位置の座標情報を検出する入力用パネル(27)と、装置本体に固定配置され、当該装置本体の定位置に格納された前記入力用パネルに対し基準点となる少なくとも2つの突起(41、42)を接触可能な基準点接触手段(40)と、前記基準点接触手段の前記突起が接触した位置の座標情報を取得し、当該座標情報に基づいて前記入力用パネルで検出される座標情報のずれを補正する座標情報補正手段(29)と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示入力装置を備えた端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示パネルの表示画面上にタッチパネル(接触型センサ)を配置した表示入力装置が広く用いられている。この表示入力装置を備えたカメラでは、液晶表示パネルに表示しているアイコンなどに合わせてタッチパネルに指やペン型部材(以下、「指など」という)を接触させると、その位置に表示されているアイコンが特定され、カメラ本体では、そのアイコンの示す操作がユーザに選択されたものとして、対応する動作が実行される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−264808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、経年変化などの要因により液晶表示パネルとタッチパネルとの間にずれが生じると、アイコンの表示位置とユーザの接触位置とが一致しなくなるため、ユーザがアイコンの位置に指などを接触させても、そのアイコンに対応する動作が実行されない状態となる。このような不具合を防ぐために、ユーザは定期的にキャリブレーションと呼ばれる位置補正の作業を行う必要がある。具体的には、表示画面上(主に画面の対角線上に設定される)に2つの基準点となる輝点を交互に点灯させ、ユーザがその輝点の位置をペン型部材で接触することにより、輝点の表示位置と実際の接触位置との誤差分を取り込み、輝点の表示位置とペン型部材との接触位置とのずれを補正するというものである。
【0005】
このように、従来の表示入力装置におけるキャリブレーション作業では、ユーザ自身が輝点をペン型部材で接触させる必要があるため、作業が煩雑なものとなっていた。
【0006】
本発明の課題は、キャリブレーション作業を簡単に行うことができる端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、装置本体に回動自在に支持された表示部(28)と、前記表示部の表示画面上に配置され、物体が接触した位置の座標情報を検出する入力用パネル(27)と、装置本体に固定配置され、当該装置本体の定位置に格納された前記入力用パネルに対し基準点となる少なくとも2つの突起(41、42)を接触可能な基準点接触手段(40)と、前記基準点接触手段の前記突起が接触した位置の座標情報を取得し、当該座標情報に基づいて前記入力用パネルで検出される座標情報のずれを補正する座標情報補正手段(29)と、を備えることを特徴とする端末装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の端末装置であって、前記入力用パネル(27)の位置を検出する位置検出手段(30)と、前記位置検出手段により前記入力用パネルの位置が装置本体の定位置に格納されたことが検出されたときは、前記基準点接触手段(40)を駆動して前記入力用パネルに対し基準点となる少なくとも2つの突起を接触させる基準点制御手段(29)とを備えることを特徴とする。
請求項3に記載の発明、請求項1又は2に記載の端末装置であって、前記基準点接触手段(40)の突起(41、42)は、所定電圧の印加により変形する圧電素子(43)により駆動され、当該圧電素子は、第1電圧が印加されたときは伸び変形して前記突起を前記入力用パネルと接触状態とし、第2電圧が印加されたときは縮み変形して前記突起を前記入力用パネルと非接触とすることを特徴とする。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キャリブレーション作業を簡単に行うことができる端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係わるカメラの外観図である。
【図2】(a)〜(d)はカメラのフリーアングルモニタを回動させたときの状態を示す背面図である。
【図3】カメラの電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】(a)、(b)はパネル位置検出部の構成を示す概略断面図である。
【図5】(a)、(b)は突起駆動部の構成を示す概略断面図である。
【図6】自動キャリブレーション処理を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係わる端末装置の一実施形態であるデジタルカメラについて説明する。なお、以下に示す図面には、説明と理解とを容易にするために、適宜にXYZの直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者が光軸Lを水平として横長の画像を撮影する場合のカメラ位置(以下、正位置という)において撮影者から見て左側に向かう方向をXプラス方向とする。また、正位置において上側に向かう方向をYプラス方向とする。さらに、正位置において被写体に向かう方向をZ方向とする。
【0011】
図1は、本実施形態に係わるカメラの外観図である。本実施形態のカメラ10は、カメラボディ11と、このカメラボディ11と一体に取り付けられたレンズ鏡筒12とを備えている。
【0012】
カメラボディ11の上面には、レリーズボタン13、液晶パネル14、露出モードや撮影条件などを入力するコマンドダイアル15が配置されている。また、カメラボディ11の背面側には、フリーアングルモニタ16、ファインダー18、メインスイッチ19、セレクタダイアル20が配置されている。さらに、カメラボディ11の背面には、フリーアングルモニタ16の格納部11aが設けられている。
【0013】
フリーアングルモニタ16は、液晶モニタ28と、その表示面に設けられたタッチパネル27とから構成されている。液晶モニタ28は、後述の撮像部21により撮像された画像の静止画(再生画像)やライブビューの画像を含む動画、各種メニューを表示するほか、指示入力用の特定図柄であるアイコンを表示する。タッチパネル27は、ユーザの指などの物体が接触した位置を入力として検出する入力用パネルであり、感圧式や静電容量式などの接触型センサが用いられる。このタッチパネル27は後述する制御部29により通電されることで動作可能な状態となり、ユーザの指などの物体が接触した位置を座標情報として制御部29に出力する。
【0014】
フリーアングルモニタ16は、カメラボディ11の左端に設けられたヒンジ部17により回動自在に支持されている。本実施形態のヒンジ部17は、回転軸Aおよび回転軸Bを備えた2軸の回動部である。このヒンジ部17により、フリーアングルモニタ16は、回転軸Aを中心として略180度回転可能であり、また回転軸Aと直交する回転軸Bを中心として略360度回動可能となる。これによりユーザは、フリーアングルモニタ16の表示面を任意の方向に向けることが可能となる。
【0015】
また、フリーアングルモニタ16のタッチパネル27側の面であって、ヒンジ部17と反対側の端部には、位置検出用突起32が設けられている。この位置検出用突起32は、タッチパネル27側の面にのみ設けられており、反対側の面には設けられていない。
【0016】
次に、フリーアングルモニタ16の回動について説明する。図2(a)〜(d)は、カメラ10のフリーアングルモニタ16を回動させたときの状態を示す背面図である。この図2では、図1のタッチパネル27の位置を液晶モニタ28の位置として示している。
【0017】
図2(a)は、カメラボディ11の背面にフリーアングルモニタ16が液晶モニタ28を表側にして格納された状態を示しており、この状態がフリーアングルモニタ16の基本的な表示位置となる。フリーアングルモニタ16が表示位置にあるときは、液晶モニタ28の表示面がユーザ側を向いている。このため、ユーザは、液晶モニタ28に表示された画像や複数のアイコンが配置された選択画面を見ることができる。通常、フリーアングルモニタ16から入力を行う場合は、フリーアングルモニタ16を表示位置に格納した状態とし、カメラボディ11をホールドしながらタッチパネル27に指などを接触させる。また撮影時には、カメラ10を適宜に動かすことにより、フリーアングルモニタ16の表示画面を所望の位置にすることができる。
【0018】
一方、フリーアングルモニタ16を表示位置から回転軸Aを中心として矢印方向に180度回転させると、図2(b)に示すように、フリーアングルモニタ16はカメラボディ11の左側に移動する。ただし、この位置では、液晶モニタ28は被写体側を向いているため、ユーザには液晶モニタ28に表示された画像を見ることはできない。さらに、図2(b)の位置から、フリーアングルモニタ16を回転軸Bを中心として矢印方向に180度回転させると、図2(c)に示すように、フリーアングルモニタ16の液晶モニタ28はユーザ側を向くことになる。
【0019】
したがって、液晶モニタ28をライブビュー表示とし、図2(c)の状態からフリーアングルモニタ16を回転軸Bを中心として手前側に略90度回動させ、カメラ10を上方に差し上げることによりハイアングル撮影を行うことが可能となる。また、フリーアングルモニタ16を回転軸Bを中心として向こう側に略90度回動させ、カメラ10を下方に降ろすことによりローアングル撮影を行うことが可能となる。
【0020】
さらに、フリーアングルモニタ16を回転軸Aを中心として矢印方向に180度回転させると、図2(d)に示すように、フリーアングルモニタ16はカメラボディ11の背面に液晶モニタ28を裏側にして格納される。この状態では、液晶モニタ28の表示面がカメラボディ11側を向いているため、ユーザは液晶モニタ28に表示された画像やアイコンなどを見ることはできない。以下の説明においては、フリーアングルモニタ16が図2(d)に示すように、液晶モニタ28を裏側にして格納部11aに格納されている状態を、フリーアングルモニタ16が液晶モニタ28を裏側にして定位置に格納されている、という。
【0021】
再び図1の説明に戻ると、ファインダー18は、カメラボディ11の図示しない光学系により得られた被写体像を確認するための光学ファインダーである。また、メインスイッチ19はカメラの電源をオン、オフするためのスイッチである。セレクタダイアル20は、液晶モニタ28に表示されたメニュー項目の選択や設定などを行う入力手段である。なお、カメラ1には、この他にも各種ダイアル、レバー、スイッチなどの操作部材が配置されているが、これらの図示と説明を省略する。
【0022】
図3は、カメラ10の電気的な構成を示すブロック図である。以下、各部について説明する。
【0023】
レンズ鏡筒12は、内部に撮像光学系であるレンズ12aを備えている。レンズ鏡筒12に入射した被写体光はレンズ12aにより屈折され、射出側となる撮像部21の受光面に被写体像が結像される。
【0024】
撮像部21は、平面配置された複数の図示しない固体撮像素子により構成され、レンズ12aにより結像された被写体像を固体撮像素子の受光面で撮像し、画像信号に変換して画像処理部22へ出力する。
【0025】
画像処理部22は、撮像部21から出力された画像信号に対し、ノイズ除去、A/D変換、色補正処理、サイズ変更、符号化などの、アナログおよびデジタルの画像処理を行い、最終的な画像データを作成する。この画像データは後述するDRAM25に一時的に記憶される。
【0026】
EEPROM23は、カメラ10の電源がオフしても記憶した情報を保持する不揮発性メモリであり、ユーザ設定やカスタム設定などの入力情報が記憶される。
【0027】
ROM24は、カメラ10の動作や制御に必要なプログラムのほか、このプログラムの実行に必要な初期値や設定値などが記憶される。
【0028】
DRAM25は、カメラ10の電源がオフしたときに記憶した情報が消去される揮発性メモリであり、上述した画像データのほか、画像処理部22、制御部29などが処理を行う際に必要なデータが一時的に記憶される。
【0029】
メモリカードI/F(インターフェース)部26は、DRAM25に記憶されている画像データをメモリカード100に記録し、またメモリカード100に記録されている画像データを読み出す機能を備えた書き込み/読み出し装置である。このメモリカードI/F部26の図示しないメモリカードスロットには、メモリカード100が着脱自在に装着される。
【0030】
液晶パネル14は、カメラ10の上面に配置された表示装置であり、シャッタースピード、絞り値、設定感度などの撮影条件に関する情報が表示される。
【0031】
パネル位置検出部30は、フリーアングルモニタ16がカメラボディ11の定位置に格納されているか否かを検出するための位置検出手段である。図4(a)、(b)は、パネル位置検出部30の構成を示す概略断面図である。図4(a)に示すように、カメラボディ11の背面には、プッシュスイッチ31が埋め込まれている。このプッシュスイッチ31は、スイッチヘッド31aが押圧されると電気的に導通状態となり、図示のように押圧されていないときは非導通状態となるスイッチである。また、プッシュスイッチ31は配線33を介して制御部29に接続されている。スイッチヘッド31aの先端は、押圧されていないときは、カメラボディ11の平坦面とほぼ同じ位置となるように調節されている。
【0032】
ユーザがフリーアングルモニタ16を液晶モニタ28を裏側にしてカメラボディ11の格納部11aに格納すると、図4(b)に示すように、フリーアングルモニタ16に設けられた位置検出用突起32がプッシュスイッチ31のスイッチヘッド31aを押圧するため、プッシュスイッチ31は導通状態となる。また、ユーザがフリーアングルモニタ16をカメラボディ11の格納部11aから引き出すと、図4(a)に示すように、フリーアングルモニタ16に設けられた位置検出用突起32がプッシュスイッチ31のスイッチヘッド31aから離れるため、プッシュスイッチ31は非導通状態となる。したがって、フリーアングルモニタ16が液晶モニタ28を裏側にしてカメラボディ11の定位置に格納されているか否かを、プッシュスイッチ31の導通状態、非導通状態により検出することができる。後述する制御部29では、プッシュスイッチ31に対して所定値の検出電流を流しており、電流を検出している導通状態ではパネル検出信号なし、電流を検出しない非導通状態ではパネル検出信号受信と判定する。
【0033】
また、パネル位置検出部30は、図2(d)に示すように、フリーアングルモニタ16が液晶モニタ28を裏側にしてカメラボディ11の定位置に格納されたときに、位置検出用突起32とスイッチヘッド31aとが一致するような位置に配置されている。本実施形態では、フリーアングルモニタ16が液晶モニタ28を裏側にしてカメラボディ11の定位置に格納されていることを検出するために、位置検出用突起32をフリーアングルモニタ16のタッチパネル27側の面であって、ヒンジ部17と反対側に設けている。これは、フリーアングルモニタ16が格納部11aからわずかに引き出された状態を格納状態として検出しないようにするためである。
【0034】
なお、位置検出用突起32は、フリーアングルモニタ16の液晶モニタ28と反対側となる面には設けられていないため、図2(a)に示すように、カメラボディ11の背面にフリーアングルモニタ16が液晶モニタ28を表側にして格納されている状態では、プッシュスイッチ31は非導通状態のままとなる。
【0035】
突起駆動部40は、カメラボディ11の定位置に格納されているフリーアングルモニタ16のタッチパネル27に対し、後述するキャリブレーション処理において基準点となる第1突起41、第2突起42を接触させるための基準点接触手段として機能する。図5は、突起駆動部40の構成を示す概略断面図である。ここでは、第1突起41を例として説明するが、第2突起42についても同一構成となっている。図5(a)に示すように、カメラボディ11の背面には、タッチパネル27に接触する第1突起41と、この第1突起41をカメラボディ11から突出させる圧電素子43とから構成される突起駆動部40が配置されている。
【0036】
第1突起41は、樹脂又はゴム系の素材からなり、略円錐形に形成されている。この第1突起41は圧電素子43の上面に接着により取り付けられており、圧電素子43が伸び変形していない状態では、カメラボディ11の平坦面とほぼ同じ位置となるように調節されている。
【0037】
圧電素子43は、所定電圧の印加により伸縮変形する部材であり、配線44を介して制御部29と接続されている。この圧電素子43は、第1電圧が印加されると伸び変形して、図5(b)に示すように、第1突起41(第2突起42)を突出させてタッチパネル27と接触状態とする。また、第2電圧が印加されると縮み変形して、図5(a)に示すように、第1突起41(第2突起42)を収縮させてタッチパネル27(図示せず)と非接触状態とするものである。なお、第2電圧は0Vであってもよい。
【0038】
また、第1突起41、第2突起42は、図2(d)に示すように、フリーアングルモニタ16を液晶モニタ28を裏側にしてカメラボディ11の定位置に格納したときに、液晶モニタ28の表示画面に対し対角線上の2点に配置されている。すなわち、第1突起41、第2突起42は、通常のキャリブレーション処理において、液晶モニタ28の左上および右下の隅に表示する輝点の位置と一致するように配置されている。なお、本実施形態では、タッチパネル27に2つの突起を接触させる例について示しているが、突起の数は3つ以上であってもよい。
【0039】
制御部29は、カメラ10全体の動作を制御する回路であり、マイクロプロセッサにより構成されている。本実施形態における制御部29は、パネル位置検出部30によりフリーアングルモニタ16がカメラボディ11の定位置に格納されたことが検出されたときは、2つの突起駆動部40を制御してタッチパネル27に対し第1突起41、第2突起42を接触させる基準点制御手段としての機能を有する。このような基準点制御手段としての動作は、キャリブレーション処理のモードが選択されることで実行される。
【0040】
すなわち、キャリブレーション処理のモードにおいて、パネル位置検出部30によりフリーアングルモニタ16がカメラボディ11の定位置に格納されたことが検出されると、制御部29ではパネル位置検出部30からパネル検出信号を受信する。このパネル検出信号を受信すると、制御部29は第1突起41を駆動する圧電素子43に第1電圧を印加し、しかる後、第1突起41を駆動する圧電素子43に第2電圧を印加する。続いて、第2突起42を駆動する圧電素子43に第1電圧を印加し、しかる後、第2突起42を駆動する圧電素子43に第2電圧を印加する。このような電圧印加により、タッチパネル27に対し第1突起41、第2突起42を交互に接触させる。
【0041】
制御部29は、キャリブレーション処理において、ユーザ操作によるペン型部材が接触したタッチパネル27の位置の座標情報、又は突起駆動部40により第1突起41、第2突起42が接触したタッチパネル27の位置の座標情報を取得し、この座標情報に基づいてタッチパネル27で検出される座標情報のずれを補正する座標情報補正手段として機能する。
【0042】
すなわち、通常のキャリブレーション処理において、制御部29は、液晶モニタ28の左上の隅に基準点となる1番目の輝点を表示させる。この輝点にユーザがペン型部材を接触させると、タッチパネル27において接触した位置の座標情報が取得される。この後、左上の隅に表示させた1番目の輝点を消灯させ、液晶モニタ28の右下の隅に基準点となる2番目の輝点を表示させる。この輝点にユーザがペン型部材を接触させると、タッチパネル27において接触した位置の座標情報が取得される。制御部29では、このようにして取得された2点の座標情報に基づいて補正のための係数を演算することにより、液晶モニタ28での表示位置とタッチパネル27での接触位置とのずれを補正する。このキャリブレーション処理については既存の処理プログラムを用いることができる。
【0043】
本実施形態では、上述した通常のキャリブレーション処理モードのほかに、フリーアングルモニタ16が液晶モニタ28を裏側にしてカメラボディ11の定位置に格納されたときに自動的にキャリブレーション処理を実行する自動キャリブレーション処理モードの選択が可能となっている。上記2つの処理モードはユーザにより適宜に選択することができる。
【0044】
制御部29は、この他に、焦点調節のためのレンズ駆動や、露出制御のための図示しない絞りユニットやシャッターユニットの制御を行っている。
【0045】
操作入力部50は、ユーザにより操作される複数の操作入力手段により構成されている。例えば、図1において説明したレリーズボタン13、コマンドダイアル15、メインスイッチ19、セレクタダイアル20などが操作入力部50を構成している。
【0046】
次に、制御部29において、自動キャリブレーション処理を実行する場合の処理手順を図6のフローチャートにより説明する。以下に示すフローチャートの処理は、フリーアングルモニタ16が液晶モニタ28を裏側にしてカメラボディ11の定位置に格納される度に実行されるものとする。
【0047】
制御部29は、パネル位置検出部30からパネル検出信号を受信したかどうかを判定する(ステップS101)。ここでNoであればステップS101にリターンし、Yesであれば、第1突起41に対応する圧電素子43に第1電圧を印加して、第1突起41を突出させる(ステップS102)。これにより、第1突起41の先端がタッチパネル27に接触することなる。そして、制御部29はタッチパネル27から第1突起41の接触位置となる第1座標情報を取得する(ステップS103)。この第1座標情報はDRAM25に記憶される。続いて、制御部29は、第1突起41に対応する圧電素子43に第2電圧を印加して、第1突起41を収縮させる(ステップS104)。
【0048】
次に、制御部29は、第2突起42に対応する圧電素子43に第1電圧を印加して、第2突起42を突出させる(ステップS105)。これにより、第2突起42の先端がタッチパネル27に接触することなる。そして、制御部29はタッチパネル27から第2突起42の接触位置となる第2座標情報を取得する(ステップS106)。この第2座標情報はDRAM25に記憶される。続いて、制御部29は、第2突起42に対応する圧電素子43に第2電圧を印加して、第2突起42を収縮させる(ステップS107)。続いて、制御部29は、DRAM25から第1および第2座標情報を読み出し、この第1および第2座標情報に基づいて、タッチパネル27で検出される座標情報のずれを補正するキャリブレーション処理を実行して(ステップS108)、本ルーチンの処理を終了する。
【0049】
上記実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)カメラボディ11の定位置に格納されているタッチパネル27に対し、カメラボディ11側から基準点となる2つの突起を接触させるようにしたので、ユーザ自身が表示画面上の輝点をペン型部材で接触させる操作が不要となる。このように、ユーザ自身が手動により基準点を入力する操作が不要とるため、キャリブレーション作業を簡単に行うことができる。
(2)カメラボディ11の定位置にタッチパネル27が格納されたことを検出したときに、カメラボディ11側から基準点となる2つの突起を接触させるようにしたので、ユーザはカメラ10に対し基準点を入力させる操作を行う必要がなく、自動的にキャリブレーション作業を行うことができる。したがって、キャリブレーション作業をより簡単に行うことができる。
(3)基準点となる2つの突起を圧電素子により駆動するようにしたので、2つの突起を突出又は収縮する動作を高速に行うことができ、また作動音を小さくすることができる。さらには、パネル位置検出部30の構成を簡素化することができ、重量増も抑えることができる。
(変形形態)
【0050】
以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明は以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態では、パネル位置検出部30として、プッシュスイッチ31と位置検出用突起32とを用いた例について示したが、これに限らず、例えばヒンジ部17に設けたロータリーエンコーダからの信号に基づいて、カメラボディ11の定位置にタッチパネル27が格納されていることを検出するようにしてもよい。
(2)本実施形態では、突起駆動部40において、2つの突起を圧電素子により駆動する例について示したが、これに限らず、例えばソレノイドを用いて駆動してもよい。
(3)自動キャリブレーション処理は、本実施形態のように、フリーアングルモニタ16がカメラ背面の定位置に格納される度に実行するようにしてもよいし、数回の一度の割合で実行するようにしてもよい。また、フリーアングルモニタ16がカメラ背面の定位置に格納され、且つカメラ本体の電源がオフされたときに実行するようにしてもよい(自動キャリブレーション処理後に電源オフとする)。
(4)本実施形態では、自動キャリブレーション処理において、第1突起41、第2突起42を順次タッチパネル27に接触させ、第1および第2座標情報を順次検出したが、タッチパネル27が同時に2点以上の接触位置を検出可能な場合は、第1および第2突起を同時にタッチパネル27に接触させ、第1および第2座標情報を検出するようにしてもよい。
(5)また、本実施形態では、本発明に係わる端末装置をデジタルカメラに適用した例について示したが、これに限らず、ビデオカメラ、カメラ付き携帯電話などのように、フリーアングルモニタを備えた機器全般に適用することができる。
【0051】
また、上記実施形態および変形形態は適宜に組み合わせて用いることができるが、各実施形態の構成は図示と説明により明らかであるため、詳細な説明を省略する。さらに、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0052】
10:カメラ、16:フリーアングルモニタ、27:タッチパネル、28:液晶モニタ、29:制御部、30:パネル位置検出部、40:突起駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に回動自在に支持された表示部と、
前記表示部の表示画面上に配置され、物体が接触した位置の座標情報を検出する入力用パネルと、
装置本体に固定配置され、当該装置本体の定位置に格納された前記入力用パネルに対し基準点となる少なくとも2つの突起を接触可能な基準点接触手段と、
前記基準点接触手段の前記突起が接触した位置の座標情報を取得し、当該座標情報に基づいて前記入力用パネルで検出される座標情報のずれを補正する座標情報補正手段と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の端末装置であって、
前記入力用パネルの位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により前記入力用パネルの位置が装置本体の定位置に格納されたことが検出されたときは、前記基準点接触手段を駆動して前記入力用パネルに対し基準点となる少なくとも2つの突起を接触させる基準点制御手段と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の端末装置であって、
前記基準点接触手段の突起は、所定電圧の印加により変形する圧電素子により駆動され、当該圧電素子は、第1電圧が印加されたときは伸び変形して前記突起を前記入力用パネルと接触状態とし、第2電圧が印加されたときは縮み変形して前記突起を前記入力用パネルと非接触とすること、
を特徴とする端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−170310(P2010−170310A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11926(P2009−11926)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】