説明

競争結果分析方法およびシステム

競争結果分析方法およびシステムを提供する。この競争結果分析方法は、競争に用いられた付加条件情報および競争参加者の順位情報を含む競争結果を分析するための確率モデルを提供するステップと、確率モデルを用いて競争結果を分析することにより、各競争参加者の純粋な能力値に関する第1パラメータおよび競争に用いられた付加条件の有利不利の度合いに関する第2パラメータを決定するステップとを含む。このとき、第1および第2パラメータは、第2確率変数に関する事前確率分布を算出し、第2確率変数に対する尤度関数を算出し、第2確率変数の事前確率分布と尤度関数を用いて第1および第2パラメータを推定することにより決定される。このような方法およびシステムによって競争の過程で用いられた付加条件の有利不利の度合いを推定することができ、その推定された付加条件の有利不利の度合いを競争の設計または付加条件の調整に反映して競争を設計することにより、競争への興味を極大化させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、競争結果分析方法およびそのシステムに関し、より詳細には、一連の競争結果から競争に参加した競争参加者の純粋な能力値と競争に用いられた付加条件(Option)の有利不利の度合いを分析することができる競争結果分析方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、コンピュータ産業の発達および通信サービスの発達により、コンピュータと通信サービスを用いた多様な種類のサービスが存在する。コンピュータを通じて提供されるゲームサービスは、そのゲームの種類とゲーム進行方法も多様化しているおかげで、幅広いユーザに用いられている。
【0003】
ユーザの興味喚起および競争意識を鼓舞するために、ゲーム結果を用いてユーザのランキングを算出し、これがユーザに提供される。これにより、各ユーザは、自分のランキングを上昇させることに興味をもち、さらに、上位にランクしたユーザの場合には、これに対する達成感も得られるようになる。
【0004】
このようなゲームだけではなく、検索サービスでも検索結果をランキング形式で提供することにより、ユーザは所望する検索結果をより容易に得ることができる。このように、競争結果や検索結果が、コンピュータとインターネットを用いて実行される競争過程の結果に基づき、ランキングの形式で提供される。
【0005】
しかしながら、このような競争結果に対するランキングから、その競争に参加した参加者の純粋な能力(実力)を評価することは容易ではない。これは、競争結果に競争参加者の能力以外の他の要素も影響を及ぼすためである。その具体的な理由は、次のとおりである。
【0006】
1つ目は、ゲームの行い方の問題によるものである。一般的な競争、例えば、ゲームにおいて大部分のユーザは、ゲームをする能力が同じようなユーザ同士でゲームを行う。具体的には、能力が高いゲームプレーヤーでも自分の能力よりも高い能力を持つゲームプレーヤーと競争をすれば、良い競争結果を得られない。一方、能力が低いゲームプレーヤーでも自分の能力よりも低い能力を持つゲームプレーヤーと競争をすれば、競争の結果が良くなることもある。このような場合、ユーザの純粋な能力は、後者よりも前者が優れているにもかかわらず、後者が前者よりも勝率が優れることになる。
【0007】
2つ目として、ゲームでは多様な種類のオプションが用いられることが挙げられる。具体的には、純粋な能力としては同様であるゲームプレーヤー同士であっても、より良いオプションを用いてゲームに参加したゲームプレーヤーが、より良い結果を出すことができる。例えば、2人のゲームプレーヤーが互いに同じような能力である場合に、一方が優れたオプションを使用し、他方がそれに劣ったオプションを使用した場合を仮定する。その場合には、優れたオプションを使用したゲームプレーヤーが劣ったオプションを使用したゲームプレーヤーよりも良い結果を出すことができる。それにより、優れたオプションを使用したゲームプレーヤーの勝率が劣ったオプションを使用したゲームプレーヤーの勝率よりもより高いものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためのものであり、その競争に用いられた付加条件の有利不利の度合いを分析することができる競争結果分析システムおよび方法を提供することを課題とする。
【0009】
また、本発明は、一連の競争結果からその競争に参加した競争参加者の純粋な競争能力を分析することができる競争結果分析システムおよび方法を提供することを他の課題とする。
【0010】
さらに、本発明は、一連の競争結果から推定された各競争参加者の純粋な競争能力に基づいて競争に参加したすべての参加者の順位情報を算出することができる競争結果分析システムおよび方法を提供することを他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係る競争結果分析システムおよび方法は、競争に用いられた付加条件情報および競争参加者の順位情報を含む競争結果を分析するための確率モデルを提供するステップと、前記確率モデルを用いて前記競争結果を分析することにより、各競争参加者の純粋な能力値に関する第1パラメータ(Parameter)および前記競争に用いられた前記付加条件の有利不利の度合いに関する第2パラメータを決定するステップとにより特徴づけられる。
【0012】
ここで、前記確率モデルは、前記順位情報に基づきその順位が発生する確率を前記競争の過程で示された前記競争参加者の能力値として定義する第1確率変数に関する確率式で表現したモデルであってもよい。
【0013】
また、前記第1確率変数は、前記付加条件を示す変数と前記第1および第2パラメータに対する関数とで定義される第2確率変数に相当する平均値を有する正規分布に基づき決定されてもよい。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記第1および第2パラメータの決定ステップは、前記第2確率変数の尤度関数(Likelihood Function)を算出するステップと、前記尤度関数を最大にする前記第2確率変数から前記第1および第2パラメータを推定するステップとを含む。
【0015】
本発明の変形された実施形態において、前記第1および第2パラメータの決定ステップは、前記第2確率変数に関する事前確率分布(Prior Distribution)を算出するステップと、前記第2確率変数に対する尤度関数を算出するステップと、前記第2確率変数の事前確率分布と前記尤度関数を用いて前記第1および第2パラメータを推定するステップとを含む。このとき、前記第1および第2パラメータを、前記第1および第2パラメータを推定するステップにおいて前記第2確率変数の事前確率分布および前記尤度関数にベイズ分析(Bayesian Analysis)を適用して推定してもよい。
【0016】
また、前記第1および第2パラメータの推定ステップにおいて、前記第1および第2パラメータは、前記第2確率変数の事後確率関数から算出される前記第1および第2パラメータの近似的な事後確率分布(Approximate Posterior Distribution)から推定されてもよい。
【0017】
本発明の他の側面に係る競争結果分析システムは、競争に用いられた付加条件情報および競争参加者の順位情報を含む競争結果を分析するための確率モデルを提供する確率モデル提供部と、前記確率モデルを用いて前記競争結果を分析することにより、各競争参加者の純粋な能力値に関する第1パラメータおよび前記付加条件の有利不利の度合いに関する第2パラメータを決定する競争結果分析部とを含む。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記競争結果分析部は、前記第2確率変数に対する尤度関数を算出する演算部と、前記尤度関数を最大にする前記第2確率変数から前記第1および第2パラメータを推定するパラメータ推定部とを含む。
【0019】
本発明の変形された実施形態において、前記競争結果分析部は、事前に定められた前記第1パラメータの事前確率分布と前記第2パラメータの事前確率分布を用いて前記第2確率変数の事前確率分布を算出する事前確率分布算出部と、前記第2確率変数に対する尤度関数を算出し、前記第2確率変数に対する尤度関数と前記第2確率変数の事前確率分布を用いて前記第2確率変数の事後確率関数を算出する演算部と、前記第2確率変数の事後確率関数から前記第1および第2パラメータを推定するパラメータ推定部とを含んでもよい。
【0020】
このとき、前記パラメータ推定部は、前記第2確率変数の事後確率関数から前記第1および第2パラメータの条件付確率分布を算出し、サンプリング過程を介して前記条件付確率分布から所定の大きさの標本を抽出し、抽出された前記標本から前記第1および第2パラメータを推定してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、一連の競争結果からその競争に用いられた付加条件の有利不利の度合いを測定することができるため、測定された付加条件の有利不利の度合いを競争の設計や付加条件の調整に反映して競争を設計することができ、競争の興味を最大化させることができる。
【0022】
また、本発明によれば、一連の競争結果からその競争に参加した競争参加者の純粋な競争能力を分析することができ、競争参加者の純粋な能力のみを基準として競争参加者に対するランキングサービスを提供することができる。
【0023】
さらに、本発明によれば、すべての競争者が互いに競争を実行しなくとも、すべての競争参加者に対するランキングサービスを提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る競争結果分析システムを示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る競争結果を分析する方法を示すフローチャートである。
【図3】図2に示す競争結果分析方法を「スタークラフト」ゲームに適用して推定した各サンプルあたりのβの値を示すグラフである。
【図4】図3に示すβの値をボックスプロットとして示すグラフである。
【図5】図2に示す競争結果分析方法を「スタークラフト」ゲームに適用して推定したφの値を示すグラフである。
【図6】図2に示す競争結果分析方法を「スキッドラッシュ」ゲームに適用して推定したサンプルあたりのβの値を示すグラフである。
【図7】図6に示すβの値をボックスプロットとして示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、本発明に係る実施形態と従来技術とを比較することにより、より具体的に理解される。ただし、本発明はそれらの実施形態に限定されない。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る競争結果分析システムを示すブロック図である。図1に示すように、本発明の一実施形態に係る競争結果分析システム10は、競争結果抽出部12と、確率モデル提供部14と、競争結果分析部16とを含む。競争結果分析システム10は、一連の競争結果から競争参加者の純粋な能力値を推定し、競争で用いられた付加条件の有利不利の度合いを推定するためのシステムである。
【0027】
ここで、競争で用いられた付加条件(Option)とは、ゲームのような競争で用いられるアイテム、キャラクタ、または競技場(Playground)のように、ゲームの進行においてゲーム参加者により選択されるものを意味する。
【0028】
以下、推定対象となる競争参加者の純粋な能力値に関する確率変数を第1パラメータとして定義し、競争で用いられた付加条件の有利不利に関する確率変数を第2パラメータとして定義する。
【0029】
競争結果抽出部12は、一連の競争の競争結果を競争結果保存部(図示せず)から抽出するものである。競争結果抽出部12によって抽出される競争結果は、競争で用いられた付加条件に関する情報と競争に参加した各競争者の順位情報とを含む。
【0030】
確率モデル提供部14は、競争結果抽出部12によって抽出された競争結果を分析するための確率モデルを提供する。確率モデル提供部14によって提供される確率モデルは、プロビットモデル(Probit Model)に基づき設計されてもよい。
【0031】
本発明の一実施形態において、確率モデルは、競争結果に含まれた競争参加者の順位情報に基づきその順位が発生する確率を、競争参加者が実際の競争で示す能力値である第1確率変数に関する確率式で表すことができる。このような確率モデルの一例が、数式1に提示されている。
【数1】

【0032】

【0033】


【数2】

【0034】


【数3】

【0035】

【0036】

【0037】
競争結果分析部16は、確率モデル提供部14によって提供された確率モデルを用いて第1および第2パラメータを推定する。図1に示すように、競争結果分析部16は、事前確率分布算出部18と、演算部20と、パラメータ推定部22とを備える。
【0038】
本発明の一実施形態において、競争結果分析部16は、確率モデルにベイズ分析(Bayesian Analysis)を適用することによって競争結果を分析することができる。ベイズ分析とは、所望のパラメータの事前確率分布と観測された結果値(Observed Result)から推定しようとするパラメータの事後確率分布(Posterior Distribution)を取得することができる統計学的な方法の1つを意味する。
【0039】
ベイズ分析を適用して確率モデルを分析するためには、まず、事前確率分布と尤度関数が定義されなければならない。ここで、事前確率分布は、事前確率分布算出部18によって算出され、パラメータの尤度関数は、演算部20によって算出される。
【0040】

【0041】
本発明の一実施形態において、第1パラメータをランダム効果(Random Effect)であると決定してもよい。この第1パラメータについては、第1パラメータの個数が抽出された競争結果の個数に比べて相当に多いことがある。推定の効率性を高めるためには、それぞれの第1パラメータに対して推定を行うよりも、第1パラメータと関連したある1つの値に対して推定するほうが容易であるためである。
【0042】
したがって、この実施形態においては、このようなある1つの値として第1パラメータの分散値を用いることにし、第1パラメータの分散値の事前確率分布を用いる。第1パラメータの事前確率分布および第1パラメータの分散値の事前確率分布は、それぞれ下記の数式4および5によって定義される。
【数4】




【数5】

【0043】

【0044】


【数6】

【0045】
事前確率分布算出部18は、下記の数式7に記載されたように、第1パラメータの分散値の事前確率分布と第2パラメータの事前確率分布を用いて第2確率変数の事前確率分布を算出する。
【数7】

【0046】
確率モデルにおいて、第1および第2パラメータは、第2確率変数の形態として新たに定義される。このような第2確率変数の確率分布は、第1パラメータと第2パラメータの同時(Joint)確率分布にかかわる。上述したように、第1パラメータの場合は、ランダム効果として決定されるため、事前確率分布算出部18は、第1パラメータの分散値に対する事前確率分布と第2パラメータの事前確率分布を用いて第2確率変数の確率分布を決定する。
【0047】
次に、演算部20は下記の数式8を用いて尤度関数を算出する。
【数8】

【0048】
より詳細には、演算部20は、下記の数式9に示されるように、競争結果抽出部12によって取得された競争の結果、すなわち、付加条件情報および順位情報を確率モデルに投入することにより、確率モデルから尤度関数を算出する。
【数9】

【0049】
演算部20は、前述の第2確率変数の事前確率分布と尤度関数とを乗算して全体尤度関数を算出する。また、演算部20は、第2確率変数の事後確率関数は全体尤度関数に比例するという概念に基づくベイズ分析を用いて、全体尤度関数から第2確率変数の事後確率関数を算出する。
【数10】

【0050】
パラメータ推定部22は、演算部20によって算出された第2確率変数の事後確率関数から第1および第2パラメータを推定する。この場合に、マルコフ連鎖モンテカルロ(Markov Chain Monte Carlo:MCMC、以下「MCMC」とする)法を用いて、事後確率関数から第1および第2パラメータを推定する。
【0051】
より詳細には、パラメータ推定部22は、第2確率変数の事後確率関数から第1および第2パラメータの条件付確率分布および第1パラメータの分散値の条件付確率分布を算出する。他のパラメータの値は与えられたとの仮定の上で、第2確率変数の事後確率関数から第1および第2パラメータの条件付確率分布を算出する。
【0052】
したがって、第1パラメータの条件付確率分布は、下記の数式11によって算出され、数式11によって算出された第1パラメータの条件付確率分布が数式12に提示される。
【数11】


【数12】

【0053】
一方、第1パラメータの分散値の条件付確率分布は、下記の数式13によって算出され、数式13によって算出された第1パラメータの分散値の条件付確率分布が数式14に提示される。
【数13】


【数14】

【0054】
また、第2パラメータの条件付確率分布は下記の数式15によって算出され、数式15によって算出された第2パラメータの条件付確率分布が数式16に提示される。
【数15】


【数16】

【0055】

【0056】

【0057】
この後、パラメータ推定部22は、サンプリング過程を介して第1および第2パラメータの条件付確率分布から所定の大きさの標本を取得する。本発明の一実施形態においては、条件付確率分布から所定の大きさの標本を取得するためのサンプリング方法として、ギブスサンプリング(Gibbs Sampling)法を用いる。
【0058】
次に、サンプリング過程を介して取得した所定の大きさの標本により第1および第2パラメータを推定する。本発明の一実施形態において、取得した標本の平均値、分散値、または所定の範囲内の値のうち、1つ以上の値を第1および第2パラメータとして推定するようになる。
【0059】
上述した競争結果分析システムを用いて競争結果を分析する方法を、図2を参照しながら説明する。
【0060】
まず、競争に用いられた付加条件情報および競争参加者の順位情報を含む競争結果を抽出し(S100)、抽出された競争結果を分析するために、所定の確率モデルに抽出された競争結果を投入する(S110)。この場合に、確率モデルは、数式1に示されたように、競争結果に含まれた競争参加者の順位情報に基づきその順位が発生する確率を競争過程で示された競争参加者の能力値である第1確率変数に関する確率式で表すことができる。このとき、推定の対象となる第1パラメータおよび第2パラメータに対する関数として定義される第2確率変数を平均値として有し、分散値が1である正規分布に基づき、第1確率変数が取得される。第2確率変数は、上述した数式3に定義されている。
【0061】
次に、ベイズ分析を用いて、第1および第2パラメータの事前確率分布(具体的には、第1パラメータの分散値の事前確率分布と第2パラメータの事前確率分布)により第2確率変数の事前確率分布を決定し(S120)、確率モデルから第2確率変数に対する尤度関数を算出する(S130)。この後、第2確率変数の事前確率分布と尤度関数とを乗算して全体尤度関数を算出し、この全体尤度関数を用いて第2確率変数の事後確率関数を算出する(S140)。
【0062】
本発明の本実施形態においては、S140で算出された第2確率変数の事後確率関数から第1および第2パラメータを推定するために、マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)を用いる。より詳しくは、第2確率変数の事後確率関数を用いて第1および第2パラメータの条件付確率分布を算出する(S150)。第1および第2パラメータの条件付確率分布は、数式12〜16によって決定される。この後、ギブスサンプリング法により算出された条件付確率分布から所定の大きさの標本を取得し(S160)、取得された標本から第1および第2パラメータを推定する(S170)。
【0063】
本発明の一実施形態において、抽出された標本から決定される平均値や分散値を第1および第2パラメータとして推定してもよく、あるいは、平均値と分散値を考慮して決定された所定の値を第1および第2パラメータとして推定してもよい。また、所定範囲の値を第1および第2パラメータとして推定してもよい。
【0064】

【0065】
図3〜7は、上述した競争結果分析方法を適用して生成された結果を示す図である。まず、図3〜5は、ゲーム「スタークラフト」のトーナメントである「MSL」トーナメント結果に上述した競争結果分析方法を適用させて得られた結果を示している。この場合に、ゲーム「スタークラフト」で用いられる付加条件としては、ゲームが進められるマップ(playground)と種族(character)とがあるが、ゲームが進められるマップとしては、「BlitzX」、「DesertFox」、「Longinus2」、「ReverseTemple」の4種類があり、種族としては、「Zerg」、「Protoss」、および「Terran」の3種類がある。
【0066】
したがって、4つのマップと3つの種族から12通りの組合せが発生する。また、付加条件を示す確率変数は、0または1の値を有する。合理的な結果値を得るために、ギブスサンプリングを介して得られた最初の3000個のサンプルは捨てた後に10000個のサンプルを標本として用いた。
【0067】

【0068】

【0069】
したがって、すべての競争参加者どうしで競争することなしに、いくつかの競争結果から取得される参加者の純粋な能力値を比べることにより、競争参加者全体の順位を予想することもできる。
【0070】
本発明に係る競争結果分析方法を適用することによって取得したさらに他の競争結果が、図6〜7に示されている。図6〜7に示す結果は、「ハンゲーム」によって提供される自動車レーシングゲームである「スキッドラッシュ(SkidRush)」から取得されたゲーム結果に本発明に係る競争結果分析方法を適用したものである。
【0071】

【0072】

【0073】

【0074】
当業者にとっては、本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることは明らかであろう。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及びその等価物の範囲内において、本発明の修正や変更したものもをも対象とする。
【符号の説明】
【0075】
10:競争結果分析システム
12:競争結果抽出部
14:確率モデル提供部
16:競争結果分析部
18:事前確率分布算出部
20:演算部
22:パラメータ推定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
競争に用いられた付加条件情報および競争参加者の順位情報を含む競争結果を分析するための確率モデルを提供するステップと、
前記確率モデルを用いて前記競争結果を分析することにより、各競争参加者の純粋な能力値に関する第1パラメータおよび前記競争に用いられた前記付加条件の有利不利の度合いに関する第2パラメータを決定するステップと、
を含むことを特徴とする競争結果分析方法。
【請求項2】
前記確率モデルは、前記順位情報に基づきその順位が発生する確率を前記競争の過程で示された前記競争参加者の能力値として定義される第1確率変数に関する確率式を表現したモデルであることを特徴とする請求項1に記載の競争結果分析方法。
【請求項3】
前記第1確率変数は、前記付加条件を示す変数と前記第1パラメータおよび前記第2パラメータに対する関数で定義される第2確率変数に相当する平均値を有する正規分布に基づき決定されることを特徴とする請求項2に記載の競争結果分析方法。
【請求項4】
前記第2確率変数は、前記付加条件を示す変数と前記第2パラメータとの乗に前記第1パラメータを加算した和により定義されることを特徴とする請求項3に記載の競争結果分析方法。
【請求項5】
前記第1パラメータおよび前記第2パラメータの決定ステップは、
前記第2確率変数の尤度関数を算出するステップと、
前記尤度関数を最大にする前記第2確率変数から前記第1パラメータおよび前記第2パラメータを推定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の競争結果分析方法。
【請求項6】
前記第1パラメータおよび前記第2パラメータの決定ステップは、
前記第2確率変数に関する事前確率分布を算出するステップと、
前記第2確率変数に対する尤度関数を算出するステップと、
前記第2確率変数の事前確率分布と尤度関数を用いて前記第1パラメータおよび前記第2パラメータを推定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の競争結果分析方法。
【請求項7】
前記第2確率変数の事前確率分布は、事前に定められた前記第1パラメータの確率分布および事前に定められた前記第2パラメータの確率分布を用いて算出されることを特徴とする請求項6に記載の競争結果分析方法。
【請求項8】
前記第1パラメータおよび前記第2パラメータの推定ステップは、前記第2確率変数の事前確率分布および前記尤度関数にベイズ分析を適用して前記第1パラメータおよび前記第2パラメータを推定することを特徴とする請求項6に記載の競争結果分析方法。
【請求項9】
前記第1パラメータおよび前記第2パラメータの決定ステップは、
前記第2確率変数の事前確率分布と前記尤度関数を用いて前記第2確率変数の事後確率関数を算出するステップをさらに含み、
前記第2確率変数の事後確率関数から前記第1パラメータおよび前記第2パラメータを推定することを特徴とする請求項6に記載の競争結果分析方法。
【請求項10】
前記第1パラメータおよび前記第2パラメータの推定ステップにおいて、前記第1パラメータおよび前記第2パラメータは、前記第2確率変数の事後確率関数から算出される前記第1パラメータおよび前記第2パラメータの近似的な事後確率分布から推定されることを特徴とする請求項9に記載の競争結果分析方法。
【請求項11】
前記第1パラメータおよび前記第2パラメータの推定ステップは、
前記第2確率変数の事後確率関数を用いて前記第1および第2パラメータの条件付確率分布を算出するステップと、
サンプリング作業を介して前記第1パラメータおよび前記第2パラメータの条件付確率分布から所定の大きさの標本を抽出するステップと、
前記抽出された標本から前記第1パラメータおよび前記第2パラメータの推定値を決定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の競争結果分析方法。
【請求項12】
前記第1および第2パラメータの近似的な事後確率分布は、マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)を用いて算出されることを特徴とする請求項11に記載の競争結果分析方法。
【請求項13】
前記標本抽出ステップにおいて、前記標本は、ギブスサンプリング法を用いて抽出することを特徴とする請求項12に記載の競争結果分析方法。
【請求項14】
前記推定値を決定するステップにおいて、前記抽出された標本から決定された平均値、分散値、または所定の範囲内の値のうちの少なくとも1つを前記第1パラメータの推定値および前記第2パラメータの推定値として決定することを特徴とする請求項11に記載の競争結果分析方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の競争結果分析方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項16】
競争に用いられた付加条件情報および競争参加者の順位情報を含む競争結果を分析するための確率モデルを提供する確率モデル提供部と、
前記確率モデルを用いて前記競争結果を分析することにより、各競争参加者の純粋な能力値に関する第1パラメータおよび競争に用いられた前記付加条件の有利不利の度合いに関する第2パラメータを決定する競争結果分析部と、
を備えることを特徴とする競争結果分析システム。
【請求項17】
前記確率モデルは、前記順位情報に基づきその順位が発生する確率を前記競争の過程で示された前記競争参加者の能力値として定義される第1確率変数に関する確率式を表現したモデルであることを特徴とする請求項16に記載の競争結果分析システム。
【請求項18】
前記第1確率変数は、前記付加条件を示す変数と前記第1パラメータおよび前記第2パラメータに対する関数で定義される第2確率変数に相当する平均値を有する正規分布に基づき決定されることを特徴とする請求項17に記載の競争結果分析システム。
【請求項19】
前記競争結果分析部は、
前記第2確率変数に対する尤度関数を算出する演算部と、
前記尤度関数を最大にする前記第2確率変数から前記第1パラメータおよび前記第2パラメータを推定するパラメータ推定部と、
を備えることを特徴とする請求項18に記載の競争結果分析システム。
【請求項20】
前記競争結果分析部は、
事前に定められた前記第1パラメータの事前確率分布と前記第2パラメータの事前確率分布を用いて前記第2確率変数の事前確率分布を算出する事前確率分布算出部と、
前記第2確率変数に対する尤度関数を算出し、前記第2確率変数に対する尤度関数と前記第2確率変数の事前確率分布を用いて前記第2確率変数の事後確率関数を算出する演算部と、
前記第2確率変数の事後確率関数から前記第1パラメータおよび前記第2パラメータを推定するパラメータ推定部と、
を備えることを特徴とする請求項18に記載の競争結果分析システム。
【請求項21】
前記パラメータ推定部は、ベイズ分析を用いて前記第1パラメータおよび前記第2パラメータを推定することを特徴とする請求項20に記載の競争結果分析システム。
【請求項22】
前記パラメータ推定部は、
前記第2確率変数の事後確率関数から前記第1パラメータおよび前記第2パラメータの条件付確率分布を算出し、サンプリング作業を介して前記条件付確率分布から所定の大きさの標本を抽出し、抽出された前記標本から前記第1パラメータおよび前記第2パラメータを推定することを特徴とする請求項20に記載の競争結果分析システム。
【請求項23】
前記パラメータ推定部は、ギブスサンプリング法を用いて前記条件付確率分布から前記標本を抽出することを特徴とする請求項22に記載の競争結果分析システム。
【請求項24】
前記パラメータ推定部は、前記抽出された標本から決定される平均値、分散値、または所定の範囲内の値のうちの少なくとも1つを推定することを特徴とする請求項22に記載の競争結果分析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−531004(P2010−531004A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509271(P2010−509271)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002731
【国際公開番号】WO2008/143430
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(505205812)エヌエイチエヌ コーポレーション (408)
【Fターム(参考)】