説明

第一スズ塩及びトリポリリン酸ナトリウムの口腔用ケア組成物と方法

第一スズ塩及びトリポリリン酸ナトリウムを含有する口腔用ケア組成物を提供し、ここでトリポリリン酸第一スズイオン中間体は、組成物の約1%未満を含む。さらなる効力のために、ピロリン酸四ナトリウム、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、及び/又はシリカ口腔光沢剤を加えてよい。本口腔用ケア組成物は、単相性の混和物では、約10%未満の水を含むように有効に制限してよい。二相性の混和物では、第一相に第一スズ塩、そして第二相にトリポリリン酸ナトリウムを有する混合物をデュアルチャンバ保存チューブ(各相は、別のチャンバより提供される)より、デンタルケア使用の直前に作製してよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001] 本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願番号60/739,130(2005年11月23日出願)の利益を主張する。
【0002】
背景技術
[0002] フッ化第一スズのような第一スズ塩は、プラークを予防するための薬剤として歯磨き剤に使用されている。しかしながら、第一スズ塩のいくつかの短所には、不安定性、歯を着色する傾向、渋み、及び使用者に不快な味が含まれる。その理由のために、フッ化第一スズのような第一スズ塩を含有する口腔用ケア組成物は、渋みや不快な味のような、口腔に対するその負の影響を抑えるために、第一スズ塩が他の成分より分離されている二相性の組成物としてしばしば提示される。例えば、いずれも Glandorf et al. への米国特許第6,521,216号及び米国特許第7,063,833号を参照のこと。
【0003】
[0003] トリポリリン酸ナトリウムは、有効な抗結石(抗歯石)剤であるが、この化合物は、長期保存(通常、包装時と使用後の廃棄時の間に、練り歯磨きチューブの有効期間に維持される保存のような)において第一スズ塩と一般的には適合可能ではない。特に、フッ化第一スズのような第一スズ塩とトリポリリン酸ナトリウムの組合せは、望まれないトリポリリン酸第一スズ中間体をもたらす可能性がある。
【0004】
[0004] 従って、プラークや歯の変色を打破するのに改善された効力を有して、それでも長期安定性を保持することが可能である、口腔用ケア組成物へのニーズが依然としてある。
【0005】
発明の簡単な要約
[0005] (a)約0.01〜約5%の第一スズ塩;
(b)約0.01〜約15%のトリポリリン酸ナトリウム;
(c)約10重量%未満の水;及び
(d)約0.1〜約15重量%のメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体を含んでなる口腔用ケア組成物;ここで該組成物は、約1%未満のトリポリリン酸第一スズイオン中間体を含む。
【0006】
[0006] (a)第一の口腔に受容される運搬体に約0.01〜約5%の第一スズ塩を含んでなる第一相;及び
(b)第二の口腔に受容される運搬体に約0.01〜約15%のトリポリリン酸ナトリウムを含んでなる第二相を含んでなる二相性口腔用ケア組成物;ここで第一相は、第二相との流体界面にあり、そしてここで該口腔用ケア組成物中の全体の水濃度は約10%未満である。
【0007】
[0007] (a)0.01〜約5%の第一スズ塩;(b)約0.01〜約15%のトリポリリン酸ナトリウム;及び(c)約0.1〜約5%のメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体を混和することを含んでなる、口腔用ケア組成物を作製する方法。
【0008】
[0008] (a)約0.01〜約5%の第一スズ塩;(b)約0.01〜約15%のトリポリリン酸ナトリウム;及び(c)約10重量%未満の水の混合物を含有する容器を含んでなる口腔用ケアキット;ここで該混合物は、約1%未満のトリポリリン酸第一スズイオン中間体を含む。
【0009】
[0009] (a)第一チャンバと流体連絡している、第一チャンバからの第一歯磨き剤の放出のための第一アウトレットを有する第一チャンバ;及び
(b)第二チャンバと流体連絡(in fluid communication)している、第二チャンバからの第二歯磨き剤の放出のための第二アウトレットを有する第二チャンバを含んでなる口腔用ケアキット;ここで第一歯磨き剤は、第一の口腔に受容される運搬体に約0.01〜約5%の第一スズ塩を含み、第二歯磨き剤は、第二の口腔に受容される運搬体に約0.01〜約15%のトリポリリン酸ナトリウムと約0.1〜約15%のメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体を含み、そして
ここで、第一チャンバから第一アウトレットを通って第一歯磨き剤が放出されるのと第二チャンバから第二アウトレットを通る第二歯磨き剤が放出されるのが同時に起こる間に、放出された第一歯磨き剤が放出された第二歯磨き剤と流動的に相互作用して混合物を形成するように、第二アウトレットは第一アウトレットの近傍にあり、ここで放出された第一歯磨き剤は該混合物の少なくとも1つの第一部分を提供して、放出された第二歯磨き剤は該混合物の少なくとも1つの第二部分を提供する。
【0010】
[0010] (a)約0.01〜約5%の第一スズ塩;
(b)約0.01〜約15%のトリポリリン酸ナトリウム;
(c)約10重量%未満の水;及び
(d)約0.1〜約15重量%のメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体を含んでなる組成物(ここで該組成物は、約1%未満のトリポリリン酸第一スズイオン中間体を含む)を歯の表面へ適用する工程を含んでなる、該表面を清浄するための方法。
【0011】
[00011] (a)約0.01〜約5%の第一スズ塩;
(b)約0.01〜約15%のトリポリリン酸ナトリウム;
(c)約10重量%未満の水;及び
(d)約0.1〜約15重量%のメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体を含んでなる組成物(ここで該組成物は、約1%未満のトリポリリン酸第一スズイオン中間体を含む)をヒト又は哺乳動物の口腔表面へ適用する工程を含んでなる、ヒト又は哺乳動物の全身健康を維持するための方法。
【0012】
発明の詳細な説明
[0012] 本開示を通して使用するように、範囲は、その範囲内の各数値及び全数値について記載するための簡略法(a shorthand)である。範囲内のどの数値も、範囲の末端として選択することができる。さらに、本開示において引用するすべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。引用する参考文献の開示と本開示の諸定義の間に抵触がある場合、基準となるのは本開示である。
【0013】
[0013] ある態様において、本発明は、第一スズ塩とトリポリリン酸ナトリウムが2つの別の水性混合物に物理的に分離されるように製剤とされる(formulated)、二相性の組成物及び口腔用ケアキットへ向けられる。この2つの水性混合物のそれぞれは、物理的に分離したチャンバに(練り歯磨きのデュアルコンパートメント・チューブにあるように)保存されて、この2つの水性混合物を1つの混合物へ一緒に混和するが、このとき、混合物形成と該混合物の歯への適用の間の予測時間は十分に少ないので、第一スズイオンとトリポリリン酸イオン複合体がトリポリリン酸第一スズへのイオン中間体の配置へ移行するのに必要とされる反応時間は、トリポリリン酸第一スズイオン中間体が使用前に形成するには十分でない。
【0014】
[0014] ある態様では、ピロリン酸四ナトリウム、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、又はシリカ口腔光沢剤の少なくとも1つを製剤へ混合してもよい。ある態様において、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体は、構造式:
【0015】
【化1】

【0016】
[式中、nは、該剤において約60,000〜約500,000の分子量をもたらす整数である]を有する。本発明に適したメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体の例は、商標名Gantrez(登録商標)(例えば、International Specialty Products,ニュージャージー州ウェイン、アメリカより入手可能なGantrez(登録商標)S−96、Gantrez(登録商標)S−97、Gantrez(登録商標)MS及びMS−955、Gantrez(登録商標)ES、ES−225及びES−425)として入手可能なメチルビニルエーテル及び無水マレイン酸の共重合体である。
【0017】
[0015] ある態様において、本発明は、口腔に受容される担体(carrier)又は運搬体(vehicle)を含んでなる組成物を提供する。本明細書に使用するように、「口腔に受容される担体」及び「口腔に受容される運搬体」は交換可能的に使用されて、妥当な利益/リスク比が釣り合って、有意な臨床効果を保持しながら他の成分を組み合わせてよい本組成物における使用に安全である、材料又は材料の組合せを意味する。そのような担体材料は、組成物の他の成分との適合性で選択すべきであり、好ましくは、他の成分の効力を実質的には低下させない。具体的な担体成分の選択は、歯磨き剤、漱ぎ剤、ゲル剤、及び塗り剤が含まれる、望まれる製品形態に依存する。
【0018】
[0016] 担体に有用な材料には、限定されないが、接着剤、粘度調整剤、希釈剤、界面活性剤、フォーム調節剤、過酸化物活性化剤、過酸化物安定剤、研磨剤、pH調整剤、湿潤剤、マウスフィール剤、甘味剤、芳香剤、着色剤、及びこれらの組合せが含まれる。本明細書に使用するように、「接着剤」は、成分が適用される口腔表面へのその保持を高める材料又は材料の組合せである。そのような接着剤には、限定なしに、接着剤、フィルム形成材料、及び粘度亢進剤、例えば、親水性有機ポリマー、疎水性有機ポリマー、シリコーンゴム、シリコーン接着剤、シリカ、及びこれらの組合せが含まれる。
【0019】
[0017] ある態様では、ピロリン酸四ナトリウム、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、及び/又はシリカ口腔光沢剤のいずれかを口腔用ケア組成物へ独立して混合する。ある態様において、シリカ口腔光沢剤は、高清浄シリカである。ある態様において、第一スズ塩は、フッ化第一スズ、塩化第一スズ無水和物のようなハロゲン化第一スズ;ギ酸、酢酸、グルコン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、及びクエン酸の第一スズ塩のような有機カルボン酸第一スズ塩;第一スズエチレングリオキシド、及びこれらの混合物を含む。1以上の第一スズ塩が、約0.01%〜約5%、任意選択的に約0.05〜約4%、約0.1〜約3%、約0.5〜約2%、又は約0.1〜約1%の全量で任意選択的に存在してもよい。
【0020】
[0018] ある態様において、口腔用ケア組成物は:
(a)第一の口腔に受容される水性運搬体を含んでなる第一相;及び
(b)第二の口腔に受容される水性運搬体を含んでなる第二相を有する混合物を含み、ここでは、第一の口腔に受容される水性運搬体へ第一スズ塩を混合し、第二の口腔に受容される水性運搬体へトリポリリン酸ナトリウムを混合し、そして第一相は、該混合物の少なくとも1つの第一部分を提供し、第二相は、該混合物の少なくとも1つの第二部分を提供し、そして該混合物において、第一部分の少なくとも1つは、第二部分の少なくとも1つとの流体界面にある。
【0021】
[0001] ある態様において、ピロリン酸四ナトリウム及び/又はシリカ口腔光沢剤(高清浄シリカのような)のいずれも、第一相及び第二相の少なくとも1つの相において独立して混合してよい。この混合物のある態様では、式Iのそれのようなメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体を第二相において混合する。
【0022】
[0019] ある態様において、本発明は:
(a)約0.01〜約5%の第一スズ塩を第一の口腔に受容される水性運搬体へ混合して第一相を提供すること;
(b)約0.01〜約15%のトリポリリン酸ナトリウムを第二の口腔に受容される水性運搬体へ混合して第二相を提供すること;
(c)第一相を第一エンクロージャーに保存すること;
(d)第二相を第二エンクロージャーに保存すること;及び
(e)第一相と第二相を一緒にして混合物を提供するように、第一相を第一エンクロージャーより取り出して、第二相を第二エンクロージャーより取り出すことを含んでなる方法へ向けられる。
【0023】
[0020] ある態様において、本発明は、
(a)約0.01〜約5%の第一スズ塩;及び
(b)約0.01〜約15%のトリポリリン酸ナトリウムの混合物を含有する容器として第一種の口腔用ケアキットを提供し、ここで該混合物は、約1%未満のトリポリリン酸第一スズイオン中間体を含み、約10%未満の水を含む。
【0024】
[0021] ある態様において、本発明は、
(a)第一チャンバと流体連絡している、第一チャンバからの第一歯磨き剤の放出のための第一アウトレットを有する第一チャンバ;及び
(b)第二チャンバと流体連絡している、第二チャンバからの第二歯磨き剤の放出のための第二アウトレットを有する第二チャンバを含んでなる第二種の口腔用ケアキットを提供し、ここで第一歯磨き剤は、第一の口腔に受容される運搬体に第一スズ塩を含み、第二歯磨き剤は、第二の口腔に受容される運搬体にトリポリリン酸ナトリウムを含み、そして、第一チャンバから第一アウトレットを通って第一歯磨き剤が放出されるのと第二チャンバから第二アウトレットを通って第二歯磨き剤が放出されるのが同時に起こる間に、放出された第一歯磨き剤が放出された第二歯磨き剤と相互作用して混合物を形成するように、第二アウトレットは第一アウトレットの近傍にある。
【0025】
[0022] 本発明に有用な増粘剤には、限定なしに、カルボキシビニルポリマー、カラゲナン(アイリッシュモス、より特別には、ι(イオタ)−カラゲナンとしても知られる)、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(カルメロース)及びその塩(例、カルメロースナトリウム)のようなセルロース系ポリマー、カラヤ、キサンタン、アラビアゴム、及びトラガカントのような天然ゴム、コロイド状ケイ酸アルムニウムマグネシウム、コロイド状シリカ、及びこれらの混合物が含まれる。
【0026】
[0023] 本発明に有用な粘度調整剤には、限定なしに、鉱油、ワセリン、粘土及び有機修飾粘土、シリカ、及びこれらの混合物が含まれる。様々な態様において、粘度調整剤は、成分の沈降又は分離を阻害するか、又は液体組成物の撹拌時に再分散可能性を高めることが可能である。
【0027】
[0024] 本発明に有用な希釈剤には、限定なしに、他の成分を安定化する、及び/又は懸濁させることができる材料又は材料の組合せが含まれる。様々な態様において、希釈剤は、本明細書に考察する粘度調整剤や組成物の他の成分と任意選択的に組み合わせて、組成物の粘度を調整することができる。
【0028】
[0025] 本発明に有用な界面活性剤には、限定なしに、アニオン性、非イオン性、及び両性の界面活性剤が含まれる。界面活性剤は、例えば、製剤の高められた安定性をもたらすため、口腔表面を洗浄力により清浄することに役立てるため、そして撹拌時に(例えば、ブラッシングの間に)フォームを提供するために使用してよい。好適なアニオン性界面活性剤には、例えば、硫酸C8−20アルキルの水溶性塩、C8−20脂肪酸のスルホン化モノグリセリド、サルコシン酸塩、タウリン酸塩(taurate);例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ココヤシモノグリセリドスルホン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルイソエチオン酸(isoethionate)ナトリウム、ラウリルカルボン酸ナトリウム、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びこれらの混合物が含まれる。好適な非イオン性界面活性剤には、例えば、ポロキサマー、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、三級アミンオキシド、三級ホスフィンオキシド、ジアルキルスルホキシド、及びこれらの混合物が含まれる。
【0029】
[0026] 本発明に有用なフォーム調節剤には、限定なしに、撹拌時に組成物(例、歯磨き剤組成物)により発生されるフォームの量、厚さ、又は安定性を高めるように機能可能な材料が含まれる。ポリオキシエチレンとしても知られるポリエチレングリコール(PEG)が含まれる、どの口腔に受容されるフォーム調節剤も使用することができる。高分子量のPEGが好適であり、約200,000〜約7,000,000、例えば、約500,000〜約5,000,000、又は約1,000,000〜約2,500,000の平均分子量を有するものが含まれる。1以上のPEGが、全量約0.1%〜約10%、例えば、約0.2%〜約5%又は約0.25%〜約2%ので存在していてもよい。
【0030】
[0027] 本発明に有用な湿潤剤には、限定なしに、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、又は低分子量PEGのような多水酸基アルコールが含まれる。様々な態様において、湿潤剤は、ペースト又はゲル組成物の空気への曝露時の硬化を防ぐことができる。様々な態様において、湿潤剤は、甘味剤としても機能する。
【0031】
[0028] 第一スズ塩を第一相に有して、トリポリリン酸ナトリウムを第二相に有する二相性口腔用ケア組成物へ向けられるある態様では、第一相の測定pHを約2〜約8に持続して、第二相の測定pHを約5〜約11に持続する。故に、この態様は、第一相において約2と約8の間の測定pH(pHプローブを相へ挿入するときに測定されるpH)で有効に酸性のpH(約7以下の化学pH)を提供し、第二相において約5と約11の間の測定pH(やはり、pHプローブを相へ挿入するときに測定されるpH)で有効にアルカリ性のpH(約7と約11の間の化学pH)を提供する。
【0032】
[0029] 本組成物へは、他の望みの成分を加えてよく、例えば、マウスフィール剤、pH調整剤、芳香剤、甘味剤、追加の抗結石及び抗プラーク剤、研磨剤、光沢剤、米国特許第5,776,435号に記載のような抗微生物(例えば、抗細菌)剤、唾液刺激薬、抗炎症剤、Hアンタゴニスト、栄養薬、ビタミン剤、タンパク質、抗酸化薬、着色剤、又は口腔の硬若しくは軟組織の状態又は障害の予防又は治療に、生理学的な障害又は状態の予防又は治療に、又は美容上の利益をもたらすのに有用な追加の活性材料が含まれる。
【0033】
[0030] ある種の態様は、第一の口腔に受容される水性運搬体を含んでなる第一相に、そして第二の口腔に受容される水性運搬体を含んでなる第二相に、第一スズ塩とトリポリリン酸ナトリウムを有する口腔用ケア組成物を提供する。第一スズ塩を第一の口腔に受容される水性運搬体へ混合して、トリポリリン酸ナトリウムを第二の口腔に受容される水性運搬体へ混合するように、第一相と第二相を独立して製剤としてよい。第一相は、約2〜約8の測定pHで維持してよく、第二相は、約5〜約11の測定pHで維持してよい。第一相と第二相は、歯表面への適用に先立つ短い時間の前には、物理的/化学的相互作用を抑えたままでよい。その時点で、第一相と第二相を混合物(異なる成分の組合せ)として一緒に(例えば、歯ブラシ上で)組み合わせてよく、ここで第一相は、該混合物の少なくとも1つの第一部分を提供し、第二相は、該混合物の少なくとも1つの部分を提供し、そして少なくとも1つの第一部分は、該混合物において、少なくとも1つの第二部分との流体界面にある。このことは、例えば、生じる混合物の歯磨き剤は使用者により即座に歯へ適用されるはずであるという推定の下に、2つのコンパートメントのそれぞれからの2つのほぼ等しい容量部分が歯ブラシ上へ同時に押し出される、デュアル・コンパートメント練り歯磨きチューブの使用により達成してよい。
【0034】
[0031] ある態様では、二相性の混合物が、第一スズ塩としてのフッ化第一スズとトリポリリン酸ナトリウムを区別された相に有する口腔用ケア組成物を提供し、ここで第一相は混合されて、約2〜約8の測定pHを含む。様々な態様において、この第一相と第二相は、それぞれ、クエン酸、クエン酸三ナトリウム二水和物、追加の第一スズ塩、グリセリン、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Sodium CMC 2000)のようなセルロース系ポリマー、キサンタンゴム又はカラゲナンゴム(例、ι(イオタ)−カラゲナン)のようなゴム、芳香剤(例えば、甘味剤のサッカリンナトリウム又はソルビトールのような)、追加の塩(例えば、ピロリン酸四ナトリウムのような)、例えば、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックポリマー(PLURONIC(登録商標)F127)のようなポリマー、二酸化チタン、例えば、ヒマシ油のようなオイル、二酸化シリコン、沈降シリカ、合成非晶質シリカ、又はラウリル硫酸ナトリウムより選択される1以上の成分を追加的に含んでよい。
【0035】
[0032] 様々な態様において、組成物は、上記の(a)に記載の第一相に加えて、混合されてpH約5〜約11の測定pHを含む第二相(b)を含む。
[0033] 本発明の組成物は、相の少なくとも1つにシリカ口腔光沢剤(「シリカ研磨剤」)を含んでもよい。様々な態様において、シリカは、例えば、約10〜約50%、約15〜約40%、又は約20〜約30%の歯科型の沈降非晶質水和二酸化シリコンで、そして約10〜約15%、約11〜約14、及び約12〜約13%の合成非晶質シリカで混合してよい。
【0036】
[0034] 独立して保存される相よりそれぞれが押し出される、少なくとも2つの部分を有する二相性混合物の態様では、約10〜約50%の歯科型の沈降非晶質水和二酸化シリコン、約8%未満の合成非晶質沈降シリカ、約15%未満の合成非晶質シリカとしてシリカを第一相に提供してよい。第二相では、様々な態様において、約10〜約50%の沈降合成非晶質シリカ、約15%未満の合成非晶質シリカ、又は約8%未満の合成非晶質沈降シリカの量でシリカを提供してよい。
【0037】
[0035] 様々な態様において、組成物は、シリカゲル、水和シリカ又は沈降シリカ、アルミナ、不溶性リン酸塩、炭酸カルシウム、尿素−ホルムアルデヒド縮合生成物のような樹脂性研磨剤、及びこれらの混合物の形態でシリカを含む。研磨剤として有用な不溶性リン酸塩には、例えば、オルトリン酸塩、ポリメタリン酸塩、及びピロリン酸塩、例えば、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム、及び不溶性ポリメタリン酸ナトリウム、又はこれらの混合物が含まれる。1以上の研磨剤が、様々な態様において、組成物の重量の約5%〜約70%、約10%〜約50%、又は約15%〜約30%の研磨剤の全有効量で存在していてもよい。存在するならば、研磨剤の平均粒径は、概ね、約0.1〜約30ミクロン、例えば、約1〜約20ミクロン、又は約5〜約15ミクロンである。シリカの使用は、先に述べたように、フッ化第一スズによる歯の着色を押さえるために好ましい。
【0038】
[0036] 様々な態様において、本方法には、ミキサーとともに提供されるステンレススチールタンクのような好適な容器において、成分を加えて混合することが含まれる。ある態様では、第一スズ塩を第一の口腔に受容される水性運搬体へ混合して、歯磨き剤の第一相を提供し;トリポリリン酸ナトリウムを第二の口腔に受容される水性運搬体へ混合して、歯磨き剤の第二相を提供し;第一相を第一エンクロージャーに保存し;第二相を第二エンクロージャーに保存し;そして、歯への適用の直前に、第一相と第二相が一緒に混合物を提供するように、第一相を第一エンクロージャーより放出して、第二相を第二エンクロージャーより放出する。様々な態様において、生じる混合物は、第一相を含んでなる少なくとも1つの第一部分を有し、該混合物は、第二相を含んでなる少なくとも1つの第二部分を有し、そしてそれぞれの第一部分は、少なくとも1つの第二部分との流体界面にある。
【0039】
[0037] 様々な態様において、混合物は、(a)第一チャンバと流体連絡している、第一チャンバからの第一歯磨き剤の放出のための第一アウトレットを有する第一チャンバ(混合物の第一相を保存するための第一保存エンクロージャー);及び(b)第二チャンバと流体連絡している、第二チャンバからの第二歯磨き剤の放出のための第二アウトレットを有する第二チャンバ(混合物の第二相を保存するための第二保存エンクロージャー)を提供する口腔用ケアキットの形態で消費者へ提供してよい。様々な態様において、第一チャンバから第一アウトレットを通って第一歯磨き剤が放出されるのと第二チャンバから第二アウトレットを通って第二歯磨き剤が放出されるのが同時に起こる間に、放出された第一歯磨き剤が放出された第二歯磨き剤と流動的に相互作用して混合物を形成するように、第二アウトレットは第一アウトレットの近傍にある。ある態様では、両相が送達されていることと、混合物が歯に対してブラッシングしているときにその相の迅速な相互混合が起こることを確かめるための簡便な基礎を消費者が有するように、各相の等量を該混合物へ送達する。
【0040】
[0038] 芳香剤、着色剤、又は甘味剤のような追加成分は混合プロセスの間のどの時点でも加えてよいが、様々な態様において、そのような成分は、好ましくは、最後か又は最後近くで加える。
【0041】
[0039] 本発明はまた、本発明による組成物を使用して歯表面を処置するための方法を提供する。ある態様において、該方法は、本発明の組成物を歯表面へ適用することを含む。本明細書に言及するように、「適用すること」は、組成物の態様を歯表面と接触させるあらゆる方法を意味する。そのような方法は、様々な態様において、塗布及びブラッシングのような方法による組成物の直接的な適用を含む。好適な適用デバイスには、例えば、歯ブラシが含まれる。
【0042】
[0040] 1つの予測(prophetic)例において、本発明による組成物は、約10%未満の水と:
約0.4〜約0.8%の第一スズ塩、
約0.20〜約24%の多水酸基アルコール、
約10.0〜約17%の非晶質シリカ、
約0.5〜約4%のピロリン酸四ナトリウム;及び
約1〜約15%のトリポリリン酸ナトリウムをさらに含む。
【0043】
[0041] 別の予測例において、本発明による組成物は:
約0.4〜約0.8%の第一スズ塩、
約1〜約9%の水、
約0.2〜約24%の多水酸基アルコール、
約0.5〜約4%のピロリン酸四ナトリウム、
約1〜約15%のトリポリリン酸ナトリウム、
約10〜約50%の歯科型の沈降非晶質水和二酸化シリコン;及び
約10〜約17%の非晶質シリカを含む。
【0044】
[0042] 1つの予測例において、組成物は、第一スズ塩としてフッ化第一スズを含み、そして
(i)第一相は、混合されて:
約0.9〜約1.8%のフッ化第一スズ、
約0.3〜約1%の塩化第一スズ二水和物、
約0.5〜約4%のピロリン酸四ナトリウム、
約10〜約50%の沈降非晶質水和二酸化シリコン、
約8%未満の合成非晶質沈降シリカ、
15%未満の合成非晶質シリカを含み、そして
(ii)第二相は、混合されて:
約0.5〜約4%のピロリン酸四ナトリウム、
約0.1〜約15%のメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、
約1〜約15%のトリポリリン酸ナトリウム、
約10〜約50%の沈降合成非晶質シリカ、及び
約15%未満の合成非晶質シリカを含む。
【0045】
[0043] さらなる例として、そして限定ではなく、本発明の具体的な態様を以下の実施例に例示する。
実施例1
[0044] 本発明のデュアル成分組成物は、表Iの「サイド1」及び「サイド2」の成分を独立して組み合わせることによって製造することができる。
【0046】
表I
【0047】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約0.01〜約5%の第一スズ塩;
(b)約0.01〜約15%のトリポリリン酸ナトリウム;
(c)約10%未満の水;及び
(d)約0.1〜約15%のメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体を含んでなる口腔用ケア組成物であって、約1%未満のトリポリリン酸第一スズイオン中間体を含む、前記組成物。
【請求項2】
約0.1〜約3%の第一スズ塩を含んでなる、請求項1の組成物。
【請求項3】
約0.1〜約10%のトリポリリン酸ナトリウムを含んでなる、請求項1の組成物。
【請求項4】
第一スズ塩がフッ化第一スズである、請求項1の口腔用ケア組成物。
【請求項5】
約8%未満の水を含んでなる、請求項1の組成物。
【請求項6】
約6%未満の水を含んでなる、請求項5の組成物。
【請求項7】
ピロリン酸四ナトリウムとシリカ光沢剤より選択される化合物をさらに含んでなる、請求項1の組成物。
【請求項8】
メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体が式(I):
【化1】

[式中、nは、該剤において約60,000〜約500,000の分子量をもたらす整数である]により表される、請求項1の口腔用ケア組成物。
【請求項9】
(a)第一の口腔に受容される運搬体に約0.01〜約5%の第一スズ塩を含んでなる第一相;及び
(b)第二の口腔に受容される運搬体に約0.01〜約15%のトリポリリン酸ナトリウムを含んでなる第二相を含んでなる二相性口腔用ケア組成物であって;
ここで第一相は、第二相との流体界面にあり、そしてここで該口腔用ケア組成物中の全体の水濃度は約10%未満である、該組成物。
【請求項10】
シリカ口腔光沢剤を第一相又は第二相の少なくとも1つの相に混合してさらに含んでなる、請求項9の組成物。
【請求項11】
約0.1〜約15%のメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体を第一相又は第二相の少なくとも1つの相にさらに含んでなる、請求項9の組成物。
【請求項12】
第一スズ塩がフッ化第一スズを含み、第一相又は第二相の少なくとも1つが、クエン酸、クエン酸三ナトリウム無水和物、グリセリン、セルロース系ポリマー、キサンタンゴム、又は芳香剤より選択される組成物をさらに含む、請求項9の組成物。
【請求項13】
口腔用ケア組成物を作製する方法であって、(a)0.01〜約5%の第一スズ塩;(b)約0.01〜約15%のトリポリリン酸ナトリウム;及び(c)約0.1〜約15%のメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体を該組成物へ混和することを含んでなる、前記方法。
【請求項14】
(a)第一スズ塩を第一の口腔に受容される水性運搬体へ混合して、歯磨き剤の第一相を提供すること;
(b)トリポリリン酸ナトリウム及びメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体を第二の口腔に受容される水性運搬体へ混合して、歯磨き剤の第二相を提供すること;
(c)第一相を第一エンクロージャーに保存すること;
(d)第二相を第二エンクロージャーに保存すること;及び
(e)第一相と第二相が一緒に混合物を提供するように、第一相を第一エンクロージャーより取り出して、第二相を第二エンクロージャーより取り出すことをさらに含んでなる方法であって、ここで該混合物は、第一相を含んでなる少なくとも1つの第一部分を有し、該混合物は、第二相を含んでなる少なくとも1つの第二部分を有し、そしてそれぞれの第一部分は、少なくとも1つの第二部分との流体界面にある、請求項13記載の方法。
【請求項15】
ピロリン酸四ナトリウムを第一相及び第二相の少なくとも1つの相において混合することをさらに含んでなる、請求項14の方法。
【請求項16】
シリカ口腔光沢剤を第一相及び第二相の少なくとも1つの相において混合することをさらに含んでなる、請求項14の方法。
【請求項17】
(a)約0.01〜約5%の第一スズ塩;(b)約0.01〜約15%のトリポリリン酸ナトリウム;及び(c)約10重量%未満の水の混合物を含有する容器を含んでなる口腔用ケアキットであって、該混合物は、約1%未満のトリポリリン酸第一スズイオン中間体を含む、前記キット。
【請求項18】
混合物が約10%未満の水を含む、請求項17の口腔用ケアキット。
【請求項19】
混合物がピロリン酸四ナトリウムをさらに含む、請求項17の口腔用ケアキット。
【請求項20】
(a)第一チャンバと流体連絡している、第一チャンバからの第一歯磨き剤の放出のための第一アウトレットを有する第一チャンバ;及び
(b)第二チャンバと流体連絡している、第二チャンバからの第二歯磨き剤の放出のための第二アウトレットを有する第二チャンバを含んでなる口腔用ケアキットであって、
ここで第一歯磨き剤は、第一の口腔に受容される運搬体に約0.01〜約5%の第一スズ塩を含み、第二歯磨き剤は、第二の口腔に受容される運搬体に約0.01〜約15%のトリポリリン酸ナトリウムと約0.1〜約15%のメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体を含み、そして
ここで、第一チャンバから第一アウトレットを通って第一歯磨き剤が放出されるのと第二チャンバから第二アウトレットを通って第二歯磨き剤が放出されるのが同時に起こる間に、放出された第一歯磨き剤が放出された第二歯磨き剤と流動的に相互作用して混合物を形成するように、第二アウトレットは第一アウトレットの近傍にあり、ここで放出された第一歯磨き剤は該混合物の少なくとも1つの第一部分を提供して、放出された第二歯磨き剤は該混合物の少なくとも1つの第二部分を提供する、前記キット。
【請求項21】
シリカ口腔光沢剤を第一歯磨き剤及び第二歯磨き剤の少なくとも1つにさらに含んでなる、請求項20の口腔用ケアキット。
【請求項22】
請求項1に記載の組成物を歯の表面へ適用する工程を含んでなる、該表面を清浄する方法。
【請求項23】
請求項1に記載の組成物をヒト又は哺乳動物の口腔表面へ適用する工程を含んでなる、ヒト又は哺乳動物の全身健康を維持する方法。

【公表番号】特表2009−517400(P2009−517400A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542511(P2008−542511)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/061134
【国際公開番号】WO2007/062365
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】