説明

第三表面金属反射体が組込まれているエレクトロクロミックバックミラー

【課題】 自動車用の高反射率で、強靭、低コストの減光可能なバックミラーを提供すること。
【解決手段】 フロント表面とリア表面とを有する、フロント要素及びリア要素を含む、自動車用のエレクトロクロミック可変反射率ミラーであって、当該フロント要素のリア表面上に1層の透明導電性材料を有し、当該リア要素のフロント表面が高反射性反射体/電極を有していて、フロント要素及びリア要素は、一定の間隔を空けて離れた関係で一緒にシールによって結合されて室が画定され、また、当該室は、反射体/電極と接触している溶液相エレクトロクロミック材料を含み、また、反射体/電極は、光がフロント要素とエレクトロクロミック材料とを通過した後に反射体/電極に達するときに、エレクトロクロミック材料及びフロント要素を通過してくる光を反射するのに有効である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
本発明は、自動車用のエレクトロクロミックバックミラーに関するものであり、更に詳しくは、少なくとも1つの溶液相エレクトロクロミック材料と接触している、第三表面反射体/電極が組込まれている改良エレクトロクロミックバックミラーに関するものである。
【0002】
従来、後方から接近して来る自動車のヘッドライトから照射されている光の眩しさを防ぐために全反射モード(昼間)から部分反射モード(複数)(夜間)へと変化する、自動車用の様々なバックミラーが提案されて来た。前記デバイスの中では、サーモクロミック手段、ホトクロミック手段、又は電気光学的手段(例えば液晶、双極性懸濁液、電気泳動、エレクトロクロミズムなど)によって透過率が変化し、その可変透過性によって、少なくとも部分的に可視スペクトル(約3800Å〜 約7800Å)中にある電磁放射に影響を与えるデバイスが挙げられる。電磁放射に対して可逆的に変化させることができる透過性を有するデバイスは、可変透過率光フィルター、可変反射率ミラー、及び情報を伝達するときに前記の光フィルター又はミラーを用いるディスプレーデバイスにおける可変透過率要素として提案されて来た。これらの可変透過率光フィルターは窓を含んでいた。
【0003】
エレクトロクロミック手段によって透過率が変えられる、電磁放射に関して可逆的可変透過率を有するデバイスは、例えば、Non-emissive Electrooptic Displays, A. Kmetz and K. von Willisen 編集 Plenum Press, New York, NY 1976, pp. 155-196 (1976) に掲載されているChangによる"Electrochromic and Electrochemichromic Materials and Phenomena" において、及び Eletrochromism, P.M.S. Monk, R.J. Mortimer, D.R. Rosseinsky, VCH Publishers, Inc., New York, NY (1995) の様々なところで説明されている。多くのエレクトロクロミックデバイスは当業において公知である。例えば、Manosによる米国特許第3,451,741号; Bredfeldt ら による米国特許第4,090,358号;Clecak ら による米国特許第4,139,276号;Kissa ら による米国特許第3,453,038号;Rogers による米国特許第3,652,149号、第3,774,988号及び第3,873,185号;Jones ら による米国特許第3,282,157号、第3,282,158号、第3,282,160号及び第3,283,656号を参照されたし。
【0004】
これらのデバイスに加えて、市販のエレクトロクロミックデバイス及び関連回路が存在し、それらは、例えば、1990年2月20日にH.J. Byker に対して与えられた "Single-Compartment, Self-Erasing, Solution-Phase Electrochromic Devices Solutions for Use Therein, and Uses Thereof" という名称の米国特許第4,902,108号;1992年5月19日に J.H. Bechtel ら に対して与えられた "Automatic Rearview Mirror System for Automotive Vehicles" という名称のカナダ国特許第1,300,945号;1992年7月7日にH.J. Byker に対して与えられた "Variable Reflectance Motor Vehicle Mirror" という名称の米国特許第5,128,799号;1993年4月13日にH.J. Byker ら に対して与えられた "Electro-Optic Device" という名称の米国特許第5,202,787号;1993年4月20日にJ.H. Bechtel に対して与えられた "Control System For Automatic Rearview Mirrors" という名称の米国特許第5,204,778号;1994年1月11日にD.A. Theiste ら に対して与えられた "Tinted Solution−Phase Electrochromic Mirrors" という名称の米国特許第5,278,693号;1994年1月18日に H.J. Bykerに対して与えられた "UV-Stabilized Compositions and Methods"という名称の米国特許第5,280,380号;1994年1月25日にH.J. By- ker に対して与えられた"Variable Reflectance Mirror" という名称の米国特許第5,282,077号;1994年3月15日にH.J. Byker に対して与えられた "Bipyridinium Salt Solutions" という名称の米国特許第5,294,376号;1994年8月9日にH.J. Byker に対して与えられた"Electroch-romic Devices with Bipyridinium Salt Solutions" という名称の米国特許第5,336,448号;1995年1月18日にF.T. Bauer ら に対して与えられた "Automatic Rearview Mirror Incorporating Light Pipe" という名称の米国特許第5,434,407号;1995年9月5日に W.L. Tonar に対して与えられた"Outside Automatic Rearview Mirror for Automotive Vehi-cles" という名称の米国特許第5,448,397号;及び1995年9月19日にJ.H. Bechtel ら に対して与えられた "Electronic Control System" という名称の米国特許第5,451,882号において記載されている。これらの特許のそれぞれは、本発明と共に普通に譲渡され、それぞれの開示(その中に含まれている参照を含む)は、本明細書に参照として完全に取り入れられる。前記エレクトロクロミックデバイスは、完全に一体化された内部/外部バックミラーシステムにおいて、又は分離された内部もしくは外部のバックミラーシステムとして用いることができる。
【0005】
図1は、それぞれフロント及びリア平面要素12及び16を有する典型的なエレクトロクロミックミラーデバイス10を示している。透明な導電性被覆14が、フロント要素12のリア面上に配置されていて、もう一つの透明な導電性被覆18が、リア要素16のフロント面上に配置されている。保護銅金属層20bによって被覆された銀金属層20aと、保護ペイント20cの1つ以上の層とを典型的に含む反射体(20a,20b及び20c)が、リア要素16の後面上に配置されている。前記構造を明確に説明するために、フロントガラスの前面を、時に、第一表面と呼び、フロントガラス要素の内面を、時に、第二表面と呼ぶ。リアガラス要素の内面は、時に、第三表面と呼び、リアガラス要素のバック表面は、時に、第四表面と呼ぶ。フロント要素及びリア要素は、シール22によって平行に且つ間隔のあいた関係で保持され、室26が作られる。エレクトロクロミック媒体24は空間26中に含まれる。エレクトロクロミック媒体24は、透明な電極層14及び18と直接接触していて、そこを通って、クリップ接触(clip contacts)及び電子回路(図示されていない)によって電極層14及び18に対して印加される可変電圧又は可変電位により、当該デバイスおいて可逆的に変調される電磁放射が通る。
【0006】
空間26中に入れられたエレクトロクロミック媒体24は、面によって閉じ込められた、電着タイプ又は溶液相タイプのエレクトロクロミック材料、及びそれらの組合せを含むことができる。すべての溶液相媒体では、溶液中に存在しているかもしれない溶媒、任意の不活性電解質、陽極材料、陰極材料、及び任意の他の部品の電気化学的性質は、好ましくは、陽極材料の電気化学的酸化、陰極材料の電気化学的還元、及び陽極材料の酸化形態と陰極材料の還元形態との間の自己消去反応(self-erasing reaction)以外に、陽極材料を酸化し、陰極材料を還元する電位差において、有意な電気化学的変化又は他の変化が生じないような前記性質である。
【0007】
殆どの場合において、透明な導体14と18との間の電位差が無い場合は、空間26中に存在するエレクトロクロミック媒体24は、実質的に無色か、又は殆ど無色であり、入射光(I)は、フロント要素12を通って入り、透明被覆14、エレクトロクロミック含有室(electrochromic containig chamber)26、透明被覆18、リア要素16を通過し、層20で反射され、デバイスの中を戻り、フロント要素12から外に出る。典型的には、電位差を有していない反射イメージ(I)の強度は、入射光強度(I)の約45%〜 約85%である。正確な値は、以下に概括した多くの変数、例えばフロント要素の前面からの残留反射(I’)、ならびにフロント要素12とフロント透明電極14との間の界面;フロント透明電極14とエレクトロクロミック媒体24との間の界面;エレクトロクロミック媒体24と第二透明電極18との間の界面;及び第二透明電極18とリア要素16との間の界面からの二次反射に左右される。これらの反射は、当業において公知であり、光が2つの材料間の界面を横切るときに1つの材料ともう1つの材料との間の屈折率が違うからである。フロント要素及びバック要素が平行でない場合、残留反射(I’)又は二次反射は、ミラー表面20aから反射されたイメージ(I)と重ならないので、二重イメージが見られる(その場合、観察者は二重(又は三重)であるように物体が見え、反射イメージ中には多数の物体が実際に存在する)。
【0008】
エレクトロクロミックミラーが自動車の内部又は外部に配置されるか否かに左右される反射イメージの強度に関する最小限の要求条件がある。例えば、殆どの自動車製造会社から出される現在の要求条件によると、内部ミラーは、少なくとも70%の最高反射率を有していなければならず、外部ミラーは少なくとも50%の最高反射率を有していなければならない。
【0009】
電極層14及び18は、エレクトロクロミック媒体に通電する有効な電子回路に接続されており、透明導電体14及び18に電圧を印加すると、空間26中に存在するエレクトロクロミック媒体が暗色となり、入射光(I)は、光が反射体20aの方向に通過するとき、及び反射されて光が戻ってくるときに、減弱する。透明電極間の電位差を調節することによって、前記デバイスは、「グレースケール」デバイスとして機能することができ、広範囲にわたって連続して透過率を変化させることができる。溶液相エレクトロクロミックシステムのために、電極間の電位を除去又は0まで戻すと、電位が施用される前にデバイスが持っていたのと同じゼロ電位、平衡色及び透過率まで自然に戻る。他のエレクトロクロミック材料も、エレクトロクロミックデバイスを作るために使用することができる。例えば、エレクトロクロミック媒体は、固体金属酸化物、酸化還元活性ポリマー、溶液相金属酸化物と、固体金属酸化物との、又は酸化還元活性ポリマーとの混合組合せ(hybrid combinations)であるエレクトロクロミック材料を含むことができるが;上述した溶液相設計は、典型的には、現在用いられているエレクトロクロミックデバイスの殆どにおける典型的な設計である。
【0010】
第四表面反射体エレクトロクロミックミラーが市販される前でも、エレクトロクロミックデバイスを研究している様々なグループは、第四表面から第三表面まで反射体を移動させることについて議論して来た。前記設計は、デバイス中に作る層がより少なくて済むので、すなわち第三表面透明電極は、第三表面反射体/電極が存在しているとき不要となるので、理論的に、製造するのが一層容易であるという利点を有する。この概念は早くも1966年に記載されているが、第三表面反射体が組込まれている可動自動減光ミラーから要求される厳しい基準のために、どのグループも商業的に成功していなかった。1966年10月25日にJ. F. Dounelly ら に与えられた "Optically Variable One-Way Mirror" という名称の米国特許第3,280,701号は、pH誘発カラー変化を用いて光を減弱させるシステム用の第三表面反射体に関して最も早く考察したものの1つである。
【0011】
1991年11月19日にN. R. Lynam ら に与えられた "Perimeter Coated, Electro-Optic Mirror" という名称の米国特許第5,066,112号は、シールを覆うためのフロントガラス要素及びリアガラス要素の全週に施用された導電性被覆を有する電気光学的ミラーを教えている。当該特許では、第三表面反射体が考察されているが、第三表面反射体として用いるのに有用である列記されている材料は、次に示した内の1つ以上の欠点を有する:すなわち、内部ミラーとして用いるには反射率が不充分であるか、又は少なくとも1種類の溶液相エレクトロクロミック材料を含む溶液相エレクトロクロミック媒体と接触すると不安定である。
【0012】
他の特許は、すべての固体状態タイプのデバイスの中間に配置された反射体/電極の話題を取り上げていた。例えば Baucke ら による米国特許第4,762,401号;第4,973,141;及び第5,069,535号は、次の構造;すなわち、ガラス要素;透明(ITO)電極;酸化タングステンエレクトロクロミック層;固体イオン導電性層;単層水素イオン透過性反射体;固体イオン導電性層;水素イオン貯蔵層;触媒層;リア金属層;及び(従来の第三及び第四表面を表している)バック要素を有するエレクトロクロミックミラーを教えている。反射体は、第三表面上に付着されず、エレクトロクロミック材料、間違い無く少なくとも1種類ではない溶液相エレクトロクロミック材料、及び関連媒体と直接に接触していない。
【0013】
而して、少なくとも1種類のエレクトロクロミック材料を含む溶液相エレクトロクロミック媒体と接触している第三表面反射体/電極を有する改良高反射率エレクトロクロミックバックミラーを提供することが望ましい。
【0014】
本発明の目的
而して、本発明の第一の目的は、自動車用の高反射率第三表面反射体/電極を組込んでいる、改良された強靭で低コストの減光可能なバックミラーを提供することであって、当該バックミラーは、温度、湿度、振動、大気腐食、塩水噴霧、電子妨害(electronic disturbances)、砂及び粗粒子(grid)における広範な環境変動を伴う苛酷な環境において動作することができ、また一貫して生産し組立てるのに比較的経済的で信頼性があり、動作時も効率的で信頼性がある。
【0015】
本発明の別の目的は、卓越した反射率変化速度、卓越した最高反射率、ミラーの表面領域にわたる反射率変化の良好な均一性、最高反射率状態における中間の色又は外観、連続的に変化可能な反射率及び良好な最低反射率が得られる自動車用の改良された減光可能なバックミラーを提供することである。
【0016】
本発明のもう1つ別の目的は、第三表面反射体/電極の一部と、第二表面上に存在する透明導電性電極に対して電気的に接触するための導電性シール又はストリップとを用いることによって、第二表面の透明な導電性電極のために、改良された高コンダクタンス接触又はバスバー(buss bar)を提供することである。
【0017】
発明の概要
図面を含む明細書全文から明らかである上記及び他の目的は、バックミラーの減光部分の内面(第三表面)上に反射体/電極を組込むことにより、本発明にしたがって達成される。この反射体/電極は、少なくとも1種類の溶液相エレクトロクロミック材料と接触する一体型電極を形成し、高反射性銀合金の単層であることができ、又は外部被覆が高反射性銀合金である一連の被覆を含むことができる。一連の被覆を反射体/電極に関して用いる場合、ガラス表面に結合していて、エレクトロクロミック媒体の任意の部品とのなんらかの悪い相互作用、例えば腐食作用に耐える下塗(base coating)、下塗に充分に結合していて、エレクトロクロミック媒体とのなんらかの悪い相互作用に耐え得る任意の中間層(単層又は複層)、及びエレクトロクロミック媒体と直接接触していて、周囲シールに対する充分な結合、高反射率、良好な貯蔵寿命、電極としての安定な挙動、エレクトロクロミック媒体との悪い相互作用に対する耐性、大気腐食に対する耐性、電気接点腐食に対する耐性、ベース層又は存在する場合には中間層(単層又は複層)に対する付着能力のために主として選択される少なくとも1種類の高反射性銀合金が存在しているべきである。1つの層の高反射性銀合金を用いる場合、当該層も前記の基準を満たしていなければならない。
【0018】
本発明の別の態様では、極めて薄い上塗が、高反射性層の上に配置されるときは、高反射性層は、銀(silver metal)又は銀合金であっても良い。
本発明のもう1つ別の態様では、第三表面反射体/電極は、エレクトロクロミックミラーの第三表面全面にわたって配置される少なくとも1つのベース層を含む。高反射性層は、ベース層(単層又は複層)の中心部分(シールが配置される周囲部分ではない)にわたって配置される。任意に、1つ以上の中間層を、ベース層と反射層との間に挿入しても良く、また第三表面全面にわたって配置しても良く、又は(1つ以上の中間層がある場合には)中心部分もしくは双方の部分に配置しても良い。
【0019】
本発明の第三表面反射体は、更に、エレクトロクロミックミラーの第四表面上にある透明導電体に対して電圧又は駆動電位(drive potential)を与えるために用いられる電気接続技術の有意な向上も提供する。それは、例えばクリップのような接触と反射体層との間に、改良された接触安定性を提供することによって、且つユニークで有利なバスバー構成を提供することによって、達成される。
【0020】
図面の簡単な説明
発明とみなされる主題は、特に指摘され、明細書の結論部分において明確に特許請求される。更なる目的及び利点と共に、本発明は、添付の図面に関する以下の説明を参照することによって最も良く理解される(図面においては同じ番号は同じ部品を示している):
図1は、従来技術のエレクトロクロミックミラーアセンブリの拡大横断面図であり;
図2は、自動車用の車内/車外エレクトロクロミックバックミラーシステムを概略的に図示している正面図であって、内部及び外部ミラーには本発明のミラーアセンブリが組込まれている;
図3は、3−3で切り取った、図2に示した第三表面反射体/電極が組込まれている内部エレクトロクロミックバックミラーの拡大横断面図であり;
図4は、本発明にしたがう第三表面反射体/電極の別の態様が組込まれているエレクトロクロミックミラーの拡大横断面図であり;
図5aは、当該ミラーの第二表面上において透明導電体に対して駆動電位を施用するための改良された配置を有するエレクトロクロミックミラーの拡大横断面図であり;
図5bは、図5aの第三表面反射体の拡大上面図であり;及び
図6は、空間的に離れた関係に透明要素を保持するために硬化され機械圧延されたエポキシシール用いているエレクトロクロミックミラーの拡大横断面図である。
【0021】
発明の詳細な記述
図2は、車内ミラーアセンブリ110、及び運転手側と助手席側それぞれのための2つの車外バックミラーアセンブリ111a及び111bを概略的に図示している正面図であり、前記ミラーすべては、従来の仕方で自動車に取り付けられるように適合されており、その場合、ミラーは自動車の後方に向いていて、それによって自動車の運転手は後方を見ることができる。車内ミラーアセンブリ110と、車外バックミラーアセンブリ111a及び111bとには、上記カナダ特許第1,300,945号;米国特許第5,204,778号;又は米国特許第5,451,822号において図示及び説明されているタイプの光センシング電子回路、及びグレアと周囲光を感じて、エレクトロクロミック要素に対して駆動電圧を供給することができる他の回路を組込むことができる。ミラーアセンブリ110,111a及び111bは、車内ミラー及び車外ミラーの同じ番号で識別される要素と実質的に同じである。これらの部品は、構成は若干異なっていても良いが、実質的に同じ様式で機能し、同じ番号の部品と実質的に同じ結果を得ることができる。例えば、車内ミラー110のフロントガラス要素の形状は、一般的に、車外ミラー111a及び111bに比べて長く且つ狭い。車外ミラー111a及び111bと比較した車内ミラー110上に関するいくつかの異なる性能基準も存在する。例えば、車内ミラー110は、完全に清浄にした場合、一般的に、約70%〜 約85%以上の反射率を有しているべきであり、車外ミラーは、しばしば、約50%〜 約65%の反射率を有する。また、米国では(自動車製造会社によって供給される場合)、助手席側のミラー111bは、典型的に,球状の屈曲、又は凸形状を有するのに対して、運転手側のミラー111a及び車内ミラー110は、現行では平坦でなければならない。欧州では,運転手側のミラー111aは、通常は,平坦又は非球面であるのに対して,助手席側のミラー111bは凸形状を有する。日本では,2つの車外ミラーは、凸形状を有する。以下の説明は,一般的に、本発明のすべてのミラーアセンブリに適用できる。
【0022】
図3は,フロント表面112aとリア表面112bとを有するフロント透明要素112、及びフロント表面114aとリア表面114bとを有するリア要素114を有するミラーアセンブリ110の横断面図を示している。前記構造を明確に説明するために,以下の名称をこれ以降用いる。フロントガラス要素のフロント表面112aは、第一表面と呼び,フロントガラス要素のバック表面112bは、第二表面と呼ぶ。リアガラス要素のフロント表面114aは、第三表面と呼び,リアガラス要素のバック表面114bは、第四表面と呼ぶ。室125は、(第二表面112bに配置された)透明導電体の層128、(第三表面114aに配置された)反射体/電極120、及びシール部材116の内部周縁壁(in
ner circumferential wall )132によって画定される。
【0023】
フロント透明要素112は、透明であって、例えば自動車で通常認められる、温度及び圧力が変化する条件下で動作できる充分な強度を有する任意の材料であっても良い。フロント要素112は、電磁スペクトルの可視領域において透明である硼珪酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、フロートガラス又は任意の他の材料、例えばポリマーもしくはプラスチックの任意のタイプを含むことができる。フロント要素112は、好ましくは1枚のガラスである。リア要素は、透明である必要は無く、従ってポリマー、金属、ガラス、セラミックを含んでいても良い以外は、概略上記した動作条件を満たしていなければならず、好ましくは1枚のガラスである。
【0024】
第三表面114aの被覆は,第二表面112bと第三表面114aとの双方の周囲近傍に配置されたシール部材によって空間的に離れていて且つ平行な関係にある第二表面112b上に封止するように結合される。シール部材116は、エレクトロクロミック媒体126が室125から漏れ出さないように周囲を封止するために、第三表面114a上の被覆に対して、第二表面112b上の被覆を接着剤で結合させることができる任意の材料であることができる。任意に,透明導電性被覆層128及び反射体/電極層120は、シール部材が配置されている部分では除去しても良い(駆動電位を2つの被覆に対して施用できないと思われる)。そのような場合では,シール部材116は、ガラスに充分に結合させなければならない。
【0025】
エレクトロクロミックデバイスで用いられる周囲シール部材116に関する性能要求条件は、当業において公知である液晶デバイス(LCD)で用いられる周囲シールに関する要求条件と同様である。シールは、ガラス、金属及び金属酸化物に対して良好な接着力を有していなければならず,酸素,湿気、蒸気及び他の有害な蒸気及びガスに関して透過性が低くなければならず、またシールが包含されていて、且つシールが保護しようとしているエレクトロクロミック材料又は液晶材料と相互作用してはいけないか又は当該材料を損なってはいけない。周囲シールは、LCD工業で通常用いられている手段によって,例えばシルクスクリーニング又は分配することによって、施用することができる。例えばガラスフリット又はソルダーガラスで作られた完全な気密密閉シールを用いることができるが、このタイプのシールを加工する時に伴う高熱によって、例えばガラス支持体の焼結歪、透明導電性電極の特性変化,及び反射体の酸化又は劣化のように多くの問題を引き起こし得る。より低い温度で加工するためには,熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化有機シーリング樹脂が好ましい。LCD’sのための前記有機樹脂シーリングシステムは,米国特許第4,297,401号、第4,418,102号、第4,695,490号、第5,590,023号及び第5,596,024号に記載されている。ガラスに対する卓越した接着力、低酸素透過性,及び良好な耐溶剤性を有するので、エポキシベースの有機シーリング樹脂は好ましい。これらのエポキシ樹脂シールは、例えば米国特許4,297,401号に記載されているように紫外線硬化することができ、又は例えば液体エポキシ樹脂と、液体ポリアミド樹脂もしくはジシアンジアミドとの混合物を用いて熱硬化させることができ、又は単独重合させることができる。エポキシ樹脂は、流動性及び収縮を抑えるために充填材又は増粘剤、例えばヒュームドシリカ、シリカ、雲母、クレー、カルシウム、アルミナなど;及び/又は着色するための顔料を含んでいても良い。疎水性表面処理又はシラン表面処理で前処理された充填材が好ましい。硬化樹脂架橋密度は、一官能価、二官能価及び多官能価のエポキシ樹脂及び硬化剤を用いることによって調節することができる。例えばシラン又はチタン酸塩のような添加剤を用いて、シールの加水分解安定性を向上させることができ,例えばガラスビーズ又はガラスロッドのようなスペーサーを用いて、最終のシール厚さ及び支持体間隔を調節することができる。周囲シール部材116で用いるための適当なエポキシ樹脂としては:テキサス州ヒューストンにあるShell Cherm-cal Co. から市販されている "EPON RESIN" 813, 825, 826, 828, 830, 834,862, 1001F, 1002F, 2012, DPS−155, 164, 1031, 1074, 58005, 58006, 58034, 58901, 871, 872 及び DPL−862;ニューヨーク州ホーソーンにあるCiba Geigyから市販されている "ARALITE" GY 6010, GY 6020, CY 9579, GT 7071, XU 248, EPN 1139, EPN 1138, PY 307, ECN 1235, ECN 1273, ECN 1280, MT 0163, MY720, MY 0500, MY 0510 及び PT 810;ミシガン州ミットランドにあるDow Chemical Co., から市販されている "D.E.R." 331, 317, 361, 383, 661, 662, 667, 732, 736, "D.E.N." 431, 438, 439 及び 444 が挙げられるが、それらに限定されない。適当なエポキシ硬化剤としては、Shell Chermcal Co. から市販されている V−15, V−25 及び V−40 ポリアミド;東京にある Ajinomoto Co. から市販されている "AJICURE" PN-23, PN-34 及び VDH;東京にある Shikoku Fine Chemicals から市販されている "CUREZOL" AMZ, 2MZ, 2E4MZ, CllZ, Cl7Z, 2PZ, 21Z 及び 2P4MZ;ニュージャージー州メープルシェイド(Maple Shade)にあるCVC Specialty Chemicals から市販されている U−405, 24EMI, U−410 及び U−415 で促進された "ERISYS" DDA 又は DDA;ペンシルベニア州アレンタウンにある Air Products から市販されている "AMICURE" PACM, 352, CG, CG−325 及び CG−l200 が挙げられる。適当な充填材としては、ヒュームドシリカ、例えばイリノイ州トゥスコラ(Tuscola)にあるCabot Corporation から市販されている "CAB-O-SIL" L−90, LM−130, LM−5, PTG, M−5, MS−7, MS−55, TS−720, HS−5, EH−5;オハイオ州アクロンにあるDegussa から市販されている"AEROSIL" R972, R974, R805, R8l2, R812 S, R202, US204 及び US206 が挙げられる。
適当なクレー充填材としては、ニュージャージー州エジソンにある Engelhard Corporation から市販されているBUCA, CATALPO, ASP NC, SATINTONE5, SATlNTONE SP−33, TRANSLINK 37, TRANSLINK 77, TRANSLlNK445, TRANSLINK 555 が挙げられる。 適当なシリカ充填材は、メリーランド州SCM Chemicals から市販されているSILCRON G−130, G−300, G−100
−T 及び G−100 である。シールの加水分解安定性を向上させる適当なシランカップリング剤は、ミシガン州ミットランドにあるDow Corning Corporationから市販されている Z−6020, Z−6030, Z−6os2, Z−6032, Z−6040, Z−6075 及び Z-6076 である。適当な精密ガラスマイクロビーズスペーサーは、カリフォルニア州パロアルトにあるDuke Scientific から、各種サイズを組合せたものが市販されている。
【0026】
透明導電性材料層128は、電極として働くように第二表面112b上に付着される。透明導電性材料128は、フロント要素112に充分に結合する任意の材料であることができ、エレクトロクロミックデバイス内にある任意の材料による腐食に耐え、大気による腐食に耐え、最小の拡散又は正反射率、高い光透過率、中性付近呈色(near neutral coloration)、及び良好なコンダクタンスを有する。透明導電性材料128は、独国アルゼナウにあるLEYBOLD AG のJ.Stolle-nwerk, B. oaker, K.H. Kretschmer による "Transparent Conductive Multilayer-Systems for FPD Applications" において開示されている、弗素でドープ処理された酸化錫、錫でドープ処理された酸化インジウム(ITO)、ITO/金属/ITO(IMI)、及び上記米国特許第5,202,787号に記載されている材料、例えばオハイオ州トレドにあるLibbey Owens-Ford Co. から市販されているTEC 20 又はTEC 15 であっても良い。一般的に、透明導電性材料128のコンダクタンスは、その厚さ及び組成に左右される。IMIは、一般的に、他の材料と比較して優れた導電率を有するが、製造し難く、製造コストが掛かるので、高いコンダクタンスが必要である場合に有用であるかもしれない。IMIにおける様々な層の厚さは、変えることができるが、一般的に、第一ITO層の厚さは約10Å〜 約200Åであり、金属は約10Å〜 約200Åであり、ITOの第二層は約10Å〜 約200Åである。所望ならば、色抑制材料130の任意の層(単層又は複層)は、透明導電性材料128と、第二表面112bとの間に付着して、電磁スペクトルの任意の不要な部分の反射を抑えることができる。
【0027】
本発明にしたがって、反射体/電極120の組合せが第三表面114a上に配置される。反射体/電極120は、ミラー反射層として働き、またエレクトロクロミック媒体中にある任意の成分と接触する一体型電極を形成し、且つ前記成分と化学的及び電気化学的に安定な関係を形成する高反射性材料121の少なくとも1つの層を含む。上記したように、エレクトロクロミックデバイスを作るための従来の方法では、電極として第三表面上に透明導電性材料を組込み、また第四表面上に反射体を配置した。「反射体」と「電極」とを組合せ、その両方を第三表面上に配置することによって、デバイスの製造が単純になるだけでなく、より高い性能でデバイスを動作させることができるといういくつもの予期外の利点が生じる。以下に、本発明の反射体/電極を組合せることの利点を概説する。
【0028】
第一に、第三表面上における組合わせられた反射体/電極120は、一般的に、より柔軟に設計することができる従来の透明電極及び従来の反射体/電極に比べて、高いコンダクタンスを有する。製造者は、第二表面上の透明導電性電極の組成を、第四表面反射体デバイスによって得ることができる着色速度と同様な速度を維持しながら、それと同時に、エレクトロクロミックデバイスを製造するのに要する全コスト及び全時間を実質的に少なくしながら、より低いコンダクタンスを有する組成(より安価に且つより容易に製造される)へと変化させることができる。しかしながら、特定の設計の性能が最も重要である場合、例えばITO,IMIなどのような中程度から高いコンダクタンスを有する透明電極を第二表面上で用いることができる。第三表面における高コンダクタンス反射体/電極と、第二表面における高コンダクタンス透明電極との組合せによって、より一層全体的な着色を有するエレクトロクロミックデバイスが製造されるだけでなく、着消色速度を速くすることができる。更に、第四表面反射体ミラーアセンブリにおいては、比較的低いコンダクタンスを有する2つの透明電極が存在し、従来用いられて来た第三表面反射体ミラーにおいては、透明電極と、比較的低いコンダクタンスを有する反射体/電極とが存在していて、それらは、例えば、電流を入れたり出したりするためのフロント要素及びリア要素上にある長いバスバーが、充分な着色速度を保証するのに必要である。本発明の第三表面反射体/電極はより高いコンダクタンスを有するので、小さな又は不規則な接触面積を有するとしても導電性表面にわたって非常に均一な電圧又は電位の分布を有する。而して、本発明は、充分な着色速度をなお保ちながら、第三表面電極のための電気接触を非常に小さくすることによって、設計時により大きな柔軟性を提供する。
【0029】
第二に、第三表面反射体/電極は、ミラーで見られるイメージを向上させるのに役立つ。図1は、光が従来の第四表面反射体デバイスをどのように通るのかを示している。第四表面反射体では、第四表面反射体によって反射される前に、光は:第一ガラス要素;第二表面上にある透明導電性電極;エレクトロクロミック媒体;第三表面上にある透明導電性電極;及び第二ガラス要素を通る。2つの透明導電性電極は、高い正透過率を示すが、拡散透過成分及び拡散反射成分も有する。一方、任意のエレクトロクロミックミラーで用いられる反射層は、主に、その正反射率のために選択される。拡散反射成分又は拡散透過成分という用語は、光線が分散又は散乱されるランバートの法則にしたがって当該成分に入射する任意の光の一部分を反射又は透過させる材料を意味している。正反射成分又は正透過成分という用語は、反射又は屈折に関するシェルの法則にしたがって、そこに入射している光を反射又は透過させる材料を意味している。実際的な用語では、拡散反射体及び拡散透過体(diffuse transmitters)は、イメージをわずかにぼやかす傾向があるのに対して、正反射体は、くっきりとして明確なイメージを示す。而して、第三表面反射体があるデバイスを有するミラーを通る光は、イメージをぼやかす傾向がある(第二表面及び第三表面上にある)2つの部分拡散反射体を有し、本発明の第三表面反射体/電極は、1つの拡散反射体(第二表面上にある)のみを有する。
【0030】
更に、透明電極は部分拡散透過体として働き、また前記拡散透過体は反射表面化から更に離れているので、ぼやけは一層激しくなり、第四表面反射体を有するミラーは、第三表面反射体を有するミラーに比べて一層著しく不明瞭に見える。例えば、図1に示した第四表面反射体においては、第二表面上にある拡散透過体は、エレクトロクロミック材料、第二導電性電極及び第二ガラス要素によって前記反射体から分離される。第四表面上にある拡散透過体は、第二ガラス要素によって、前記反射体から分離される。本発明にしたがって第三表面上に組合せた反射体/電極を組込むことによって、拡散透過体の1つは取り除かれ、反射体と、残っている拡散透過体との間の距離は、リアガラス要素の厚さだけ接近する。而して、本発明の第三表面金属反射体/電極は、優れた目視イメージ(viewing
image)を有するエレクトロクロミックミラーを提供する。
【0031】
最後に、第三表面金属反射体/電極は、エレクトロクロミックミラーにおける二重イメージを減少させる能力を向上させる。上記したように、反射が起こり得るいくつもの界面が存在している。これらの反射のいくつかは、色抑制又は抗反射被覆によって有意に低下させることができるが;最も重要な「二重結像(double imaging)」反射は、第一表面と、反射体を含む表面との不整合によって引き起こされ、この反射の影響を最小化する最も再現可能な方法は、確実に両方のガラス要素を平行にすることである。現在では、視野を広げ、潜在的な盲点を少なくするために、助手席側のミラーには凸ガラスがしばしば用いられ、運転手側のミラーには非球面ガラスが時に用いられる。しかしながら、同じ曲率半径を有するガラス連続部材を再現可能に曲げることは難しい。而して、エレクトロクロミックミラーを作るときには、フロントガラス要素及びリアガラス要素は、完全に平行でないかもしれないので(同じ曲率半径を有していない)、二重結像の調節がより大きな問題となる。本発明にしたがって、デバイスの第三表面上に組合せた反射体電極を組込むことによって、光は、反射される前に、リアガラス要素を通過する必要は無く、平行ではない前記要素から起こるなんらかの二重結像は有意に減少する。
【0032】
車外バックミラーの組立てにおいては、当該ミラーの配向を操作するために用いられる機構が過負荷とならないように、当該ミラーの全重量を減少させることが望ましい。当該デバイスの重量を減少させると、振動に晒されたときのミラーアセンブリの動的安定性も向上する。従来、薄ガラスは、特に苛酷な環境に晒された場合、曲がりやすくて、歪んだり又は破損したりする傾向があるので、溶液相エレクトロクロミック媒体と、2つの薄ガラス要素とが組込まれているエレクトロクロミックミラーが市販されてきた。この問題は、改良ゲル材料を有する2つの薄ガラス要素が組込まれている改良エレクトロクロミックデバイスを用いることによって実質的に改良される。この改良デバイスは、1997年4月2日頃に出願され、通常譲渡された "AN ELECTROCHROMIC MIlROR WITH TWO THIN GLASS ELEMENTS AND A GELLED ELECTROCHROMIC MEDIUM" という名称の米国特許出願において開示されている。この米国特許出願のすべての開示(本明細書に含まれる参照を含む)は、参照として本明細書に取り入れられる。組合せた反射体/電極をデバイスの第三表面上に配置することは、平行でない2つのガラス要素から生じる任意の残留二重結像を除去するのに役立つ。
【0033】
第三表面反射体/電極120を有する信頼性の高いエレクトロクロミックミラーを得るための最も重要な因子は、反射体/電極が充分な反射率を有し、反射体/電極が組込まれているミラーが充分な運転寿命を有しているということである。反射率に関して、自動車製造会社は、少なくとも70%の最小反射率を有する内部ミラー用の高反射性ミラーを要求するのに対して、外部ミラー用の反射率要求条件は、厳しくなく、一般的に少なくとも50%でなければならない。70%の反射率を有するエレクトロクロミックミラーを製造するためには、反射体は、より高い反射率を有していなければならない。なぜならば、反射体と接触しているエレクトロクロミック媒体を有していると、空気に比べて高い反射率を有する前記媒体の故に、空気中に反射体を有するときと比べて、界面からの反射率が低下するからである。また、ガラス、透明電極及びエレクトロクロミック媒体は、透明な状態でも、わずかに光を吸収する。典型的には、70%の全反射率が望ましい場合、反射体は、約80%の反射率を有していなければならない。而して、本発明の文脈における高反射率とは、空気中での反射率が少なくとも80%である反射体を意味している。
【0034】
運転寿命に関して、反射体/電極120を含む層(単層又は複層)は、周囲シールに対する充分な結合強度を有していなければならない。最外層は、被覆される時間と、ミラーが組立てられる時間との間に良好な貯蔵寿命を有していなければならず、層(単層又は複層)は、大気接触腐食及び電気接触腐食に対して耐性でなければならず、及びガラス表面に対して、又はその下に配置された他の層、例えばベース層もしくは中間層(それぞれ122もしくは123)に対して充分に結合していなければならない。反射体/電極120に関する総面抵抗(overall sheet resistance)は、約0.01Ω/平方 〜 約20Ω/平方であり、好ましくは約0.2Ω/平方〜 約6Ω/平方であることができる。以下で詳細に考察しているように、第三表面反射体/電極のコンダクタンスが約2Ω/平方未満である場合、第三表面反射体/電極のコンダクタンスは、第二表面透明導電性電極のための高コンダクタンス接触又はバスバーとして第三表面反射体/電極の一部分を用いている改良電気的相互接続を用いても良い。
【0035】
本発明の1つの態様を示している図3に関して、少なくとも1種類の溶液相エレクトロクロミック材料と接触していて、高反射性銀合金121の単層から作られる反射体/電極が提供される。銀合金層は、第二要素114の第三表面114a全体を覆うが、1997年4月2日頃に出願された "AN INFORMATION DISPLAY AREA ON ELECTROCHROMIC MIRRORS HAVING A THIRD SURFACE REFLECTOR" という名称の米国特許出願にしたがって、ディスプレイデバイス及びグレアセンサーのために、前記反射体/電極の一部は除去しても良い。前記出願は、参照としてその全体が本明細書に取り入れられる。高反射性銀合金とは、銀と1種類以上の金属との均質もしくは非均質の混合物、又は銀と1種類以上の金属との不飽和、飽和もしくは過飽和の銀固体溶液を意味している。高反射性層121の厚さは、約50Å〜 約2000Åであり、更に好ましくは約200Å〜 約1000Åである。高反射性層121がガラス表面に対して直接配置される場合、ガラス表面をプラズマ放電で処理して接着力を向上させることが好ましい。
【0036】
表1は、本発明の反射体/電極120に適する材料と比較した、第三表面反射体のために提案された多数の異なる金属に関する重要な特性を示している。自動車用の内部エレクトロクロミックミラーのための少なくとも1種類の溶液相エレクトロクロミック材料と接触する第三表面反射体/電極として用いるのに適する反射性能を有する、表1に掲げてある材料は、アルミニウム、銀、及び銀合金である。アルミニウムは、エレクトロクロミック材料において溶液相材料(1種類又は複数種)と接触すると、性能が非常に落ちる。その理由は、アルミニウムが、溶液相材料と反応するか、もしくは溶液相材料によって腐食されるからである。反応又は腐食したアルミニウムは非反射性及び非導電性であり、典型的には、ガラス表面から溶け出し、はがれ又は離層する。銀はアルミニウムに比べて安定であるが、銀は貯蔵寿命が長くなく、自動車環境で認められる環境的極限に晒されると、電気接触腐食に耐えられないので、第三表面全体に付着させると損なわれることがある。前記環境的極限としては、約−40℃〜 約85℃の温度、及び約0%〜 約100%の湿度が挙げられる。更に、ミラーは、100,000サイクルまでの着色サイクル寿命を達成するために、これらの温度及び湿度に耐えなければならない。他の従来の材料(銀/銅、クロム、ステンレス綱、ロジウム、プラチナ、パラジウム、Inconel(登録商標)、銅又はチタン)は、例えば:色彩的中性(color neutrality)が非常に悪い(銀/銅及び銅);反射率が悪い(クロム、ステンレス鋼、ロジウム、白金、パラジウム、Inconel(登録商標)、及びチタン);又は清浄性が悪い(クロム)のような多くの欠点のいずれか1つに悩まされる。
【0037】
第三表面反射体/電極を製造するためにある種の金属と銀を合金にすると、銀及びアルミニウムと関連のある欠点を克服することができる。反射層に適する材料は、銀/パラジウム、銀/金、銀/白金、銀/ロジウム、銀/チタンなどの合金である。溶質材料、すなわちパラジウム、金などの量は変化させることができる。表1に見られるように、驚くべきことに、銀合金は、銀の高い反射率及び低い面抵抗性を保持し、それと同時に、接触安定性及び貯蔵寿命が向上し、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを0.2モル含むプロピレンカーボネートにおいて電極として用いると、電位安定性を有する窓も増える。高反射性層121にとって現在好ましい材料は、銀/金、銀/白金、及び銀/鉛である。
【0038】
更に典型的には、反射体/電極120は、高反射性合金121の層に加えて、第三表面114aに直接付着された導電性金属又は導電性合金の任意のベース層122を有する。また、高反射性材料121と下塗122との間に配置された導電性の金属又は合金の任意の中間層123も存在していても良い。反射体/電極120が1つ以上の層を含む場合、2種類の金属又は合金との間に電食があるべきではない。任意のベース層122を高反射性層121とガラス要素114との間に付着させる場合、環境に対して堅牢であるべきであり、例えば第三(ガラス表面)114a及び高反射性層121に対して充分に結合していて、シール116が反射層に結合されるときに前記結合が保持されるべきである。ベース層122は、約50Å〜 約2000Å、更に好ましくは約100Å〜 約1000Åの厚さを有しているべきである。ベース層122に適する材料は、クロム、ステンレス鋼、チタン、及びクロム/モリブデン/ニッケルの合金、モリブデンとニッケルとをベースとする合金(イリノイ州シカゴにあるCastle Metals から市販されているInconel(登録商標))である。Inconel(登録商標)の主成分は、52% 〜 76%のニッケル(それぞれ Inconel (登録商標)617 及び600 )、1.5% 〜18.5%の鉄(それぞれInconel (登録商標)617 及び 718)、及び15%〜 23%のクロム(それぞれ Inconel (登録商標)600 及び601)である。ニッケル52%、鉄1.5%、クロム22%を有し、更にコバルト12.5%、モリブデン9.0%及びアルミニウム1.2%含む典型的な「他の」成分を有する Inconel (登録商標)617 を本実施例で用いた。
【0039】
いくつかの場合において、層121の材料が層122の材料に対して充分に接着しないか、又は材料間になんらかの悪い相互作用、例えば電食がある場合には、高反射性層121とベース層122との間に任意の中間層123を提供することが望ましい。用いる場合、中間層123は、環境に対して堅牢であるべきであって、例えばベース層122に対して充分に結合し、シール部材116が高反射性層121に対して結合されるときに、この結合を保持すべきである。中間層123の厚さは、約50Å〜 約2000Åであり、更に好ましくは約100Å〜 約1000Åである。任意の中間層123に適する材料は、モリブデン、ロジウム、ステンレス鋼、チタン、銅、ニッケル及び白金である。実施例1及び2は、クロムベース層と、銀又は銀合金の反射層との間にロジウム中間層を挿入すると、10の要因によってキャス噴霧中で劣化する時間がいかに長くなるかを示している。実施例4は、クロムベース層と、モリブデンフラッシュオーバーコート(
molybdenum flash over-coat)層を有する銀合金との間にモリブデン中間層を挿入すると、12の要因によってキャス噴霧中で劣化する時間がいかに長くなるかを示している。
【0040】
最後に、任意のフラッシュオーバーコート124(高反射性層121ではない)が、エレクトロクロミック媒体と接触するように、高反射性層121上に前記フラッシュオーバーコート124を提供することは時に望ましい。このフラッシュオーバーコート層124は、電極として安定した挙動を有し、良好な貯蔵寿命を有し、高反射性層121に対して充分に結合し、シール部材116が結合されるときには、この結合を保持しなければならない。フラッシュオーバーコート層124は、高反射性層121の反射を完全に遮断しないように充分に薄くなければならない。本発明の別の態様にしたがって、極めて薄いフラッシュオーバーコート124を高反射性層の上に配置するとき、高反射性層121は銀又は銀合金であることができる。その理由は、フラッシュ層は、高反射性層121をミラーの反射率に寄与させつつ、前記高反射性層を保護するからである。そのような場合、ロジウム、白金又はモリブデンの薄層(約25Å〜 約300Å)は、高反射性層121上に付着させる。
【0041】
第三表面反射体/電極120は回路内において陰極として保たれることが必須ではないが好ましい。なぜならば、それによって、反射体/電極を陽極として用いた場合に起こり得る陽極分解又は陽極腐食の可能性が排除されるからである。表から分かるが、ある種の銀合金を用いる場合、安定性の陽性電位限界は、かなり充分に広がり(例えば1.2V)、銀合金反射体/電極は、少なくとも1種類の溶液相エレクトロクロミック材料と接触している陽極として安全に用いることができた。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
反射体/電極120の様々な層を、当業において公知である、例えばRF及びDCスパッタリング、電子ビーム蒸発(e-beam evaporation)、化学蒸気蒸着、電着などのような種々の付着(deposition)手順によって付着させることができる。好ましくは、好ましい合金は、支持体表面上に混合金属を付着及び凝固させるときに、付着プロセス中の金属混合物、及び所望の合金が製造されるように、所望の合金の標的をスパッター(RF又はDC)することによって、又は所望の合金を構成する個々の金属の分離標的をスパッターすることによって付着される。
【0045】
別の態様では、図4に示された反射体/電極120は、少なくとも2つ層(121及び122)を有し、その場合、ベース材料122の少なくとも1つの層は第三表面114aの全部を覆い("AN INFORMATION DISPLAY AREA ON ELECTROCHROMIC MIRRORS HAVING A THIRD SURFACE REFLECTOR" という名称の米国特許出願にしたがって、ディスプレーデバイス及びグレアセンサーのために取り除かれた部分を除く)、また高反射性材料121の少なくとも1つの層は、第三表面114aの内側部分を覆うが、シール部材116が配置される周縁部分127は覆わない。周囲部分127は、高反射性材料層121の付着中に層122のその部分を覆うことによって創出することができるか、又は高反射性材料の層を、第三表面全体にわたって付着させし、次に周囲部分において実質的に除去もしくは部分的に除去することができる。層122のマスキングは、物理的マスクを用いることによって、もしくは例えば写真平版などのような他の公知の技術によって行うことができる。別法として、例えばエッチング(レーザー、化学薬品など)、機械的削り取り(mechanical scraping)、サンドブラスチングなどによる様々な技術によって、層122を、周囲部分において、部分的に取り除くことができる。レーザーエッチングは、その正確さ、速さ及び調節の故に、現在好ましい方法である。好ましくは、部分的除去は、シール部材116を第三表面114aに直接結合させるのに充分な金属が除去されるパターン(pattern)において、前記領域におけるコンダクタンスが有意に低下しないように前記領域に充分な金属を残しながら、レーザーエッチングをすることによって達成される。例えば、金属は、直ぐ上で参照した米国特許出願において、情報ディスプレーのための金属の除去に関して教えているドットパターン又は他のパターンで金属を除去することができる。
【0046】
更に、導電性材料の任意の中間層123を、第三表面114aの全領域にわたって配置しても良く、高反射性層121とベース層122との間に配置しても良く、又は層121によって覆われる領域下(すなわち、周縁部分127ではない)のみに配置しても良い。この任意の中間層を用いる場合、第三表面114aの全領域を覆うことができ、又は中間層を、上記したように、マスクしても良く、もしくは周縁部分から取り除いても良い。
【0047】
任意のフラッシュオーバーコート層124を、高反射性層121の上に被覆しても良い。高反射性材料層121は、シール部材116が配置される周囲部分で除去されるので、エポキシシールに対して充分に結合させる必要はないことを除けば、高反射性層121、任意の中間層123及びベース層122は、好ましくは、上記したものと同じ特性を有する。エポキシシールとの相互作用が排除されるので、上記した銀の合金に加えて、銀それ自体は、高反射性層として働く。
【0048】
再び図3参照。透明導電体128(フロント要素リア表面112b上に配置されている)、反射体/電極120(リア要素フロント表面114a上に配置されている)、及びシール部材116の内部周縁壁132によって画定された室127は、エレクトロクロミック媒体126を含む。エレクトロクロミック媒体126は、そこを通る光を減弱させることができ、反射体/電極120と、溶液相、であり、表面が密閉されていても良い少なくとも1種類の追加の電気活性材料と、又は表面上に金属が沈殿している電気活性材料と密接に接触している少なくとも1種類の溶液相エレクトロクロミック材料を有する。しかしながら、現在好ましい媒体は、例えば上記した米国特許第4,902,108号;第5,128,799号、第5,278,693号;第5,280,380号;第5,282,077号;第5,294,376号;第5,336,448号において開示されているような溶液相酸化還元エレクトロクロミック媒体である。"AN IMPROVED ELECTROCHROMIC MEDIUM CAPABLE OF PRODUCING A PRE-SELECTED COLOR" という名称の、同時出願された米国特許出願では、通常の運転範囲を通じて灰色と知覚されるエレクトロクロミック媒体が開示されている。当該出願の全開示は、参照として本明細書に取り入れられる。溶液相エレクトロクロミック媒体を用いる場合、例えば真空裏込め注入などのような公知の技術によって、シール可能な注入口142から室125の中に入れることができる。
【0049】
第四ガラス表面114b上に配置された抵抗性ヒーター(resistive heater)138は、任意に、ITOの層、弗素でドープ処理された酸化錫の層であることができるか、又は当業において公知の他のヒーター層又は構造であることができる。導電性スプリングクリップ134a及び134bは、被覆されたガラスシート(112及び114)上に配置して、透明導電性被覆128の暴露領域(クリップ134b)と、第三表面反射体/電極120の暴露領域(クリップ134a)とを電気接触させる。適当な導電体(図示されていない)は、所望の電圧を適当な電源からデバイスに印加することができるように、スプリングクリップにはんだ付け又は接続することができる。
【0050】
エレクトロクロミック媒体126が暗色になり、それによってその中を通る光の様々な量を減弱させて、エレクトロクロミック媒体126を含むミラーの反射を変化させために、例えば上記したカナダ特許第1,300945号及び米国特許第5,204,778号;第5,434,407号;及び第5,451,822号で教示されているような電気回路150を、反射体/電極120及び透明電極128に接続し、それらに施用される電位を調節する。
【0051】
上記したように、反射体/電極120の抵抗が低いと、充分な着色速度を維持しながら、第三表面反射体/電極のための電気接触を小さくできるので、設計時の柔軟性が更に大きくなる。この柔軟性によって、第二表面112b上にある透明導電性材料層128に対する相互接続が向上する。図5a及び図5b参照。透明導電性材料層128に対して駆動電位を施用するための改良機構が示してある。電源と透明導電性材料層128との間の電気接続は、駆動電位が、透明導電体128に達する前に、反射体/電極領域120a及び導電性粒子116bを通って駆動電位が走るように、バスバー(又はクリップ119a)を、反射体/電極120aの領域に接続することによって作られる。反射体/電極は、反射体/電極領域120aから120bへの電流の流れがなくなるので、領域120cに存在していてはいけない。この構成は、周縁の殆ど全周にわたって透明導電性材料128に対して接続できるので、エレクトロクロミック媒体126の薄暗くなる速度及び明澄になる速度を向上させる。
【0052】
前記構成では、シール部材116は、その中に含まれる導電性粒子116bと共に、典型的なシール材料、例えばエポキシ116aを含む。導電性粒子は、約5ミクロン〜 約80ミクロンの直径を有する、例えば金、銀、銅など、及び被覆プラスチックのような小さな粒子であっても良く、その場合、反射体/電極120aと透明導電性材料128との間には、充分な導電性を保証するのに充分な数の粒子が存在していなければならない。別法として、導電性粒子は、スペーサーとして働くのに充分に大きくても良く、例えば金、銀、銅など、及び被覆ガラスビーズ又は被覆プラスチックビーズであることができる。反射体/電極120は、2つの別の反射体/電極領域に分離される(120a及び120b、反射体/電極の欠損領域120cによって分離される)。領域120cから反射体/電極120を除去する、例えば化学的エッチング、レーザー除去、削り取りによる物理的除去などのような多くの方法がある。領域120cにおける付着は、反射体/電極の付着中にマスクを用いることによって避けることもできる。粒子116bを有するシール部材116は、反射体/電極領域120aと透明導電性材料層128との間に導電路が存在するように、領域120aと接触している。而して、エレクトロクロミック媒体に対して電位を与える反射体/電極領域120bへの電気接続は、反射体/電極領域120dにおいて、電子回路に対してクリップ119bによって接続される(図5b)。導電性粒子116bは、反射体/電極領域120bと透明導電性材料層128との間に電子ショートが起こり得るので、この反射体/電極領域120bに配置することはできない。前記電子ショートが起こった場合、エレクトロクロミックデバイスは正確に動作しないと考えられる。更に、導電性シール116bは、領域120dに存在しているべきではない。
【0053】
例えば導電性材料の反射体/電極欠損領域120cの中に非導電性材料を配置するような様々な方法を用いて、この反射体/電極領域120bの中に導電性粒子116bが入らないことを保証することができる。デュアルディスペンサーを用いて、反射体/電極領域120a上に導電性粒子116bを有するシール116を付着させ、それと同時に、反射体/電極領域120cの中に非導電性材料を付着させることができた。別の方法では、領域120cにおいて非導電性シールを硬化させ、次に、エッジギャップの中に導電性材料116cを配置して、透明導電性層128と反射体/電極領域120aとを電気的に相互接続させることができる。非導電性粒子が反射体/電極領域120bに1個たりとも達しないようにする一般的方法は、シーラント116が組み立て中に搾り出されるとき、及び116の非導電性部分のみが領域120bの中に流れるときに、導電性部分116bが後ろに存在している傾向があるように、シール116が適当な流動性を有することを保証する方法である。別の態様では、スペーサー部材116は、導電性粒子を含んでいる必要はなく、また導電性部材又は導電性材料116cを、部材116の上又は外縁に配置して、透明導電性材料128を反射体/電極領域120aに相互接続しても良い。
【0054】
図6には、改良された電気的相互接続技術に関するもう1つ別の態様が示してあり、当該態様では、シール部材116の第一部分は第三表面114a上に直接施用され、反射体/電極120を施用する前に硬化させる。反射体/電極120を、シール部材116の第一部分にわたって、第三表面114a上に付着させてから、硬化させたシール部材116の一部を機械で取り去って、(第二表面112bと第三表面114aとの間にある所望のセル空間にしたがって変化する)予定の厚さで示してある116iを残す。セル空間は、約20ミクロン〜 約400ミクロンであり、好ましくは約90ミクロン〜 約230ミクロンである。シール部材の第一部分を硬化させ、それを、予定された厚さ(116i)まで機械で加工することによって、一定のセル空間を保証するガラスビーズの必要性が無くなる。ガラスビーズはセル空間提供するのに有用であるが、ガラスビーズは、それらが反射体/電極120及び透明導電体128と接触しているストレスポイントを与える。ガラスビーズを取り除くことによって、これらのストレスポイントも取り除かれる。機械による加工中に、シール部材116の第一部分の上に被覆される反射体/電極120を除去して、反射体/電極120の欠損領域を残す。次に、シール部材116iiの第二部分を、シール部材116iの第一部分の機械加工領域上へと、又は116iに相当する領域にある第二表面112b上の被覆上へと付着させ、シール部材116iiを、従来の様式で組立てた後硬化させる。最後に、外部導電性シール部材117を、シール部材116の外部周囲部分上に任意に付着させて、反射体/電極120の外縁と、透明導電性材料層128の外部周縁との間に電気的接触を作っても良い。この構成は、周縁の殆ど全周にわたって透明導電性材料128への接続を許すので、エレクトロクロミック媒体126の薄暗くなる速度及び明澄になる速度が向上するという点で有利である。 再び図2参照。本発明を具体化しているバックミラーは、それぞれ独立したアセンブリ110,111a及び/又は111bの全周にわたって延びている表縁144を含む。表縁144は、図3のスプリングクリップ134a及び134b、(又は図5aの116a及び116b、図6の116i,116ii及び117)、及びシール部材の周縁部分と、フロントガラス要素及びリアガラス要素(それぞれ112及び114)の双方の周縁部分を隠し保護する。例えば上記した米国特許第5,448,397号で教示され請求されているような広範で様々な表縁デザインは当業において公知である。また、自動車の内部フロントガラスに対してミラーアセンブリ110を取り付けるための、又は自動車の外部に対してミラーアセンブリ111a及び111bを取り付けるための当業において公知である広範で様々なハウジングウェルもある。好ましい取り付けブラケットは、上記米国特許第5,337,948号で開示されている。
【0055】
好ましくは、電気回路には、周囲光センサー(図示されていない)及びグレア光センサー160が組込まれており、当該グレア光センサーは、ミラーガラスの後に配置されていて、完全にもしくは部分的に除去される反射材料を有するミラー部分を通して見るか、又は反射表面の外部、例えば表縁144中に配置することができる。更に、例えば146のような電極及び反射体の領域(単数又は複数の領域)は、例えば点パターン又は線パターンで、完全に又は部分的に除去して、例えばコンパス、時計、又は他の表示のような真空蛍光ディスプレーを自動車の運転手に見せることができる。"AN INFORMATION DISPLAY AREA ON ELECTROCHROMIC MlRRORS HAVCNG A THIRD SURFACE REFLECTOR" という名称で同時出願された上記米国特許出願は、現在好まれている線パターンを記載している。また、本発明は、唯1つのビデオチップ光センサーを用いてグレア及び周囲光の双方を測定し、更にグレアの方向を決めることができるミラーに対しても施用できる。本発明にしたがって作られた、自動車の内部にある自動車ミラーは、自動車ミラーシステムにおいて、外部ミラーの1つ又は両方を調節することができる。
【0056】
以下の実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の施用及び使用を説明することを意図している:
実施例1
自動車ミラー要素付形物に切り取られた、厚さ2.3ミリメートルの平らなソーダ石灰フロートガラス上に、連続してクロムを約700Å及び銀を約500Å付着させることによって、高反射性第三表面反射体/電極が組込まれているエレクトロクロミックミラーデバイスを調製した。高反射性第三表面反射体/電極の第二セットも、ガラス要素付形物の上に、連続して、クロムを約700Å、及びパラジウムを3重量%含む銀合金を約500Å付着させることによって調製した。付着は、ベース圧3x10−6トール及びアルゴン圧3x10−3トールの下で、当該ガラス要素を、マグネトロンスパッタリングシステム中にある分離金属ターゲット(separate metal targets)に通すことによって達成した。
【0057】
クロム/銀及びクロム/銀と3%パラジウムとの合金で被覆されたガラス自動車ミラー付形物を、エレクトロクロミックミラーデバイスのリア平面要素として用いた。フロント要素は、リアガラス要素と同じ形状及び大きさに切り取られた、LOFから市販されているTEC15透明導電体被覆ガラス1枚であった。フロント要素及びリア要素は、導電平面を互いに向かい合うように、且つ互いに中心線をはずして平行になるように、エポキシ全周シールによって共に接合した。電極間の間隔は、約137ミクロンであった。デバイスには、プロピレンカーボネート中に溶かしたElvacite(登録商標)2051 ポリメチルメタクリレート樹脂3重量%中に、次の成分:すなわち、5,10−ジヒドロ−5−10−ジメチルフェナジンを0.028モル、1,1’−ジ(3−フェニル(n−プロパン))−4,4’−ジピリジニウムジ(テトラフルオロボレート)を0.034モル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾールを0.030モル含むエレクトロクロミック溶液を、周囲シール中に残して置いた注入口から真空充填した。
【0058】
注入口は、紫外線に暴露されることによって硬化する紫外線硬化接着剤で閉塞した。
シールによるデバイスの一体性が壊されるか、又は反射体/電極層もしくは透明電極層の積層が実質的に分解もしくは崩れるまで(そのとき、デバイスは破損したと言われる)、当該デバイスに関して促進耐久性試験を行った。行われた第一試験は、蒸気オートクレーブ試験であり、水含有容器中でデバイスを封止し、1平方インチ当たり(psi)15ポンドの圧力下、120℃に晒した。第二試験は、ASTMB 368−85に記載されているキャス試験(CASS)であった。
【0059】
試験において、1日後に、エレクトロクロミックデバイスを観察したとき、すべてのデバイスは、CASS試験に耐えられず、また蒸気オートクレーブ試験にも耐えられなかった
実施例2
特に断りが無ければ、この実施例におけるデバイスは、実施例1の条件及び教示にしたがって作った。当該ガラス要素付形物の表面上に、連続してクロムを約700Å、ロジウムを約100Å及び銀を約500Å付着させることによって、多層組合せ反射体/電極を調製した。多層組合せ反射体/電極の第二セットも、当該ガラス要素付形物の表面上に、連続して、クロムを約700Å、ロジウムを約100Å及びパラジウムを3重量%含む銀合金を約500Å付着させることによって調製した。エレクトロクロミックデバイスを組立て、実施例1にしたがって試験した。
【0060】
クロム、ロジウム及び銀の連続多層組合せ反射体電極が組込まれているデバイスは、破損する前に、実施例1のデバイスに比べて、蒸気オートクレーブ試験に2倍長く耐え、CASS試験には10倍長く耐えた。クロム、ロジウム、及び銀3%パラジウム合金の連続多層組合せ反射体電極が組込まれているデバイスは、破損する前に、実施例1のデバイスに比べて、蒸気オートクレーブ試験に3倍長く耐え、CASS試験には10倍長く耐えた。
【0061】
実施例3
特に断りが無ければ、この実施例におけるデバイスは、実施例1の条件及び教示にしたがって作った。当該ガラス要素付形物の表面上に、連続してクロムを約700Å、モリブデンを約500Å及びパラジウムを3重量%含む銀合金を約500Å付着させることによって、多層組合せ反射体/電極を調製した。エレクトロクロミックデバイスを組立て、実施例1にしたがって試験した。
【0062】
クロム、モリブデン及び銀3%パラジウム合金の連続多層組合せ反射体電極が組込まれているデバイスは、破損する前に、CASS試験に10倍長く耐えた。
実施例4
特に断りが無ければ、この実施例におけるデバイスは、実施例1の条件及び教示にしたがって作った。当該ガラス要素付形物の表面上に、連続してクロムを約700Å、パラジウムを3重量%含む銀合金を約500Å及びモリブデンを約100Å付着させることによって、多層組合せ反射体/電極を調製した。多層組合せ反射体/電極の第二セットも、当該ガラス要素付形物の表面上に、連続して、クロムを約700Å、モリブデンを約500Å、パラジウムを3重量%含む銀合金を約500Å、及びモリブデン約100Åを付着させることによって調製した。エレクトロクロミックデバイスを組立て、実施例1にしたがって試験した。
【0063】
クロム、モリブデン、銀3%パラジウム、モリブデンの連続多層組合せ反射体電極が組込まれているデバイスは、破損する前に、クロム、銀3%パラジウム、モリブデンの連続多層組合せ反射体電極に比べて、蒸気オートクレーブ試験に25%長く耐え、CASS試験には20倍長く耐えた。また、クロム、モリブデン、銀3%パラジウム、モリブデンの連続多層組合せ反射体電極が組込まれているデバイスも、実施例3で作ったデバイスに比べて、CASS試験に3倍長く耐えた。
最後に、クロム、銀3%パラジウム、モリブデンの連続多層組合せ反射体電極デバイスは、実施例1のクロム、銀3%パラジウムの連続多層組合せ反射体電極デバイスに比べて、CASS試験に2倍長く耐え、蒸気オートクレーブ試験には20倍長く耐えた。
【0064】
実施例5
特に断りが無ければ、この実施例におけるデバイスは、実施例1の条件及び教示にしたがって作った。当該ガラス要素付形物の表面上に、連続してクロムを約700Å、ロジウムを約100Å及び銀を約500Å付着させることによって、多層組合せ反射体/電極を調製した。多層組合せ反射体/電極の第二セットも、当該ガラス要素付形物の表面上に、連続して、クロムを約700Å、ロジウムを約100Å及びパラジウムを3重量%含む銀合金を約500Å付着させることによって調製した。多層組合せ反射体/電極の第三セットも、当該ガラス要素付形物の表面上に、連続して、クロムを約700Å、ロジウムを約100Å及び白金を6重量%含む銀合金を約500Å付着させることによって調製した。多層組合せ反射体/電極の第四セットも、当該ガラス要素付形物の表面上に、連続して、クロムを約700Å、ロジウムを約100Å及び金を3重量%含む銀合金を約500Å付着させることによって調製した。多層組合せ反射体/電極の第五セットも、当該ガラス要素付形物の表面上に、連続して、クロムを約700Å、ロジウムを約100Å及び金を15重量%含む銀合金を約500Å付着させることによって調製した。実施例1にしたがってエレクトロクロミックデバイスを組立てた。
【0065】
導電性クリップを、デバイスのフロント要素及びリア要素のオフセット部分に接続した。そのクリップに電源を接続し、約20℃で約250時間、当該デバイスに1.2ボルトを連続して印加した。その場合、反射体/電極が陰極であるように接続を配置した。クロム、ロジウム及び銀の連続多層組合せ反射体電極が組込まれているデバイスは、エレクトロクロミック媒体内において黄変効果を示した。この黄変現象は、銀合金デバイスのいずれにおいても認められなかった。
【0066】
本発明のある種の好ましい態様にしたがって、本明細書で詳細に本発明を説明して来たが、本発明の精神から逸脱せずに、当業者は多くの改良及び改変を行うことができる。而して、本発明は、添付の請求の範囲によってのみ限定されることを意図しており、本明細書で示した態様を説明している詳細な記述及び手段によって限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、従来技術のエレクトロクロミックミラーアセンブリの拡大横断面図であり;
【図2】図2は、自動車用の車内/車外エレクトロクロミックバックミラーシステムを概略的に図示している正面図であって、内部及び外部ミラーには本発明のミラーアセンブリが組込まれている;
【図3】図3は、3−3で切り取った、図2に示した第三表面反射体/電極が組込まれている車内エレクトロクロミックバックミラーの拡大横断面図であり;
【図4】図4は、本発明にしたがう第三表面反射体/電極の別の態様が組込まれているエレクトロクロミックミラーの拡大横断面図であり;
【図5a】図5aは、当該ミラーの第二表面上において透明導電体に対して駆動電位を施用するための改良された配置を有するエレクトロクロミックミラーの拡大横断面図であり;
【図5b】図5bは、図5aの第三表面反射体の拡大上面図であり;及び
【図6】図6は、空間的に離れた関係に透明要素を保持するために硬化され機械圧延されたエポキシシール用いているエレクトロクロミックミラーの拡大横断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがフロント表面とリア表面とを有する、間隔を置いて配置されているフロント要素及びリア要素を含む、自動車用のエレクトロクロミック可変反射率ミラーであって、当該フロント要素のリア表面がその上に配置された1層の透明導電性材料を有し、当該リア要素のフロント表面が少なくとも1層の高反射性銀合金を含む反射体/電極を有していて、ここで、当該間隔を置いて配置されているフロント要素及びリア要素は、一定の間隔を空けて離れた関係で一緒にシールによって結合されて室が画定され、また、当該室は、当該反射体/電極と接触している少なくとも1種類の溶液相エレクトロクロミック材料を含み、また、当該反射体/電極は、光が当該フロント要素と当該少なくとも1種類のエレクトロクロミック材料とを通過した後に当該反射体/電極に達するときに、当該少なくとも1種類のエレクトロクロミック材料及び当該フロント要素を通過してくる光を反射するのに有効である前記エレクトロクロミック可変反射率ミラー。
【請求項2】
銀合金が、銀と、金、白金、ロジウム、及びパラジウムから実質的に成る群より選択される元素との組合せである請求項1記載のミラー。
【請求項3】
当該反射体/電極が、複数の層を含む請求項1記載のミラー。
【請求項4】
当該反射体/電極が、当該高反射性合金の下に配置されたベース層を更に含む請求項3記載のミラー。
【請求項5】
当該ベース層が:クロム;クロム・モリブデン・ニッケル合金;ニッケル・鉄・クロム合金;ステンレス鋼;及びチタンから実質的に成る群より選択される材料を含む請求項4記載のミラー。
【請求項6】
当該反射体/電極が、当該高反射性合金と当該ベース層との間に配置された少なくとも1つの中間層を更に含み、当該中間層が:モリブデン;ロジウム;ステンレス鋼;及びチタンから実質的に成る群より選択される材料を含む請求項5記載のミラー。
【請求項7】
当該反射体/電極が、当該高反射性層上に配置された少なくとも1つのフラッシュオーバーコート層を更に含み、当該フラッシュオーバーコート層が:ロジウム、モリブデン、及び白金から実質的に成る群より選択される材料を含む請求項6記載のミラー。
【請求項8】
当該透明導電性材料層が、約0.1Ω/平方〜約40Ω/平方のシート抵抗を有する請求項1記載のミラー。
【請求項9】
当該多層透明導電体のシート抵抗が、約0.5Ω/平方〜 約15Ω/平方である請求項8記載のミラー。
【請求項10】
それぞれがフロント表面とリア表面とを有する、間隔を置いて配置されているフロント要素及びリア要素を含む、自動車用のエレクトロクロミック可変反射率ミラーであって、当該フロント要素のリア表面がその上に配置された1層の透明導電性材料を有し、当該リア要素のフロント表面が少なくとも1層の高反射性材料とフラッシュオーバーコート層とを含む反射体/電極を有していて、ここで、当該間隔を置いて配置されているフロント要素及びリア要素は、一定の間隔を空けて離れた関係で一緒にシールによって結合されて室が画定され、また、当該室は、当該フラッシュオーバーコート層と接触している少なくとも1種類の溶液相エレクトロクロミック材料を含み、また、当該反射体/電極は、光が当該フロント要素と当該少なくとも1種類のエレクトロクロミック材料とを通過した後に当該反射体/電極に達するときに、当該少なくとも1種の溶液相エレクトロクロミック材料及び当該フロント要素を通過してくる光を反射するのに有効であり、当該反射体/電極が、エレクトロクロミック可変反射率ミラーが少なくとも70%の反射率を示すように構成される、前記エレクトロクロミック可変反射率ミラー。
【請求項11】
当該高反射性材料が、銀及び銀合金から成る群より選択される材料であり、当該銀合金が、銀と、金、白金、ロジウム、及びパラジウムから実質的に成る群より選択される元素との組合せである請求項10記載のミラー。
【請求項12】
当該反射体/電極が、当該高反射性合金の下に配置されたベース層を更に含む請求項11記載のミラー。
【請求項13】
当該ベース層が:クロム;クロム・モリブデン・ニッケル合金;ニッケル・鉄・クロム合金;ステンレス鋼;及びチタンから実質的に成る群より選択される材料を含む請求項12記載のミラー。
【請求項14】
当該反射体/電極が、当該高反射性合金と当該ベース層との間に配置された少なくとも1つの中間層を更に含み、当該中間層が:モリブデン;ロジウム;ステンレス鋼;及びチタンから実質的に成る群より選択される材料を含む請求項11記載のミラー。
【請求項15】
当該フラッシュオーバーコート層が:ロジウム、モリブデン、及び白金から実質的に成る群より選択される材料を含む請求項10記載のミラー。
【請求項16】
それぞれがフロント表面とリア表面とを有する、間隔を置いて配置されているフロント要素及びリア要素を含む、自動車用のエレクトロクロミック可変反射率ミラーであって、当該フロント要素のリア表面がその上に配置された1層の透明導電性材料を有し、当該リア要素のフロント表面が、当該リア要素のフロント表面の当該全部分を覆っているベース層と、当該リア要素のフロント表面の内部を覆っている少なくとも1つの追加層とを含む反射体/電極を有していて、当該少なくとも1つの追加層が高反射性材料層を含み、ここで、当該間隔を置いて配置されているフロント要素及びリア要素は、一定の間隔を空けて離れた関係で一緒にシールによって結合されて室が画定され、また、当該室は、当該反射体/電極と接触している少なくとも1種類の溶液相エレクトロクロミック材料を含み、また、当該反射体/電極は、光が当該フロント要素と当該少なくとも1種類のエレクトロクロミック材料とを通過した後に当該反射体/電極に達するときに、当該少なくとも1種の溶液相エレクトロクロミック材料及び当該フロント要素を通過してくる光を反射するのに有効である前記エレクトロクロミック可変反射率ミラー。
【請求項17】
当該高反射性材料が、銀及び銀合金から成る群より選択される材料であり、当該銀合金が、銀と、金、白金、ロジウム、及びパラジウムから実質的に成る群より選択される元素との組合せである請求項16記載のミラー。
【請求項18】
当該ベース層が:クロム;クロム・モリブデン・ニッケル合金;ニッケル・鉄・クロム合金;ステンレス鋼;及びチタンから実質的に成る群より選択される材料を含む請求項16記載のミラー。
【請求項19】
当該反射体/電極が、当該高反射性合金とベース層との間に配置された少なくとも1つの中間層を更に含み、当該中間層が:モリブデン;ロジウム;ステンレス鋼;チタン;及びそれらの合金及びそれらの組合せから実質的に成る群より選択される材料を含む請求項16記載のミラー。
【請求項20】
当該中間層が、当該リア要素のフロント表面の全表面を覆っている請求項19記載のミラー。
【請求項21】
当該中間層が、当該リア要素のフロント表面の内部を覆っている請求項19記載のミラー。
【請求項22】
当該反射体/電極が、当該高反射性層上に配置された少なくとも1つのフラッシュ保護層を更に含み、当該フラッシュ保護層が:ロジウム、モリブデン、及び白金から実質的に成る群より選択される材料を含む請求項16記載のミラー。
【請求項23】
当該透明導電性材料層が、約0.1Ω/平方〜 約40Ω/平方のシート抵抗を有する請求項16記載のミラー。
【請求項24】
当該多層透明導電体のシート抵抗が、約0.5Ω/平方〜 約15Ω/平方である請求項16記載のミラー。
【請求項25】
当該反射体/電極を、周囲部分で除去する請求項1,20及び16のいずれかに記載のミラー。
【請求項26】
当該反射体/電極を、エッチング、機械的削り取り、サンドブラスチングから成る群より選択される技術によって除去する請求項25記載のミラー。
【請求項27】
それぞれがフロント表面とリア表面とを有する、間隔を置いて配置されているフロント要素及びリア要素を含む、自動車用のエレクトロクロミック可変反射率ミラーであって、当該フロント要素のリア表面がその上に配置された1層の透明導電性材料を有し、当該リア要素のフロント表面が、当該リア要素のフロント表面の内部を覆い、且つそれらの縁の小領域へと延びている高反射性材料と、反射体/電極及び導電性材料の欠損領域によって当該反射体/電極から分離された当該リア要素のフロント表面の周囲部分上に配置された導電性材料とを含む反射体/電極の少なくとも1層を有し、当該間隔を置いて配置されているフロント要素及びリア要素は、当該導電性材料上に配置されたシール部材によって、一定の間隔を空けて離れた関係で一緒に結合されて室を画定しており、ここで、当該ミラーは、当該導電性材料と当該透明導電性材料との間に電気的相互接続を提供する手段を更に含み、当該室が、当該反射体/電極と接触している少なくとも1種類の溶液相エレクトロクロミック材料を含み、また、当該反射体/電極は、光が当該フロント要素と当該少なくとも1種類のエレクトロクロミック材料とを通過した後に当該反射体/電極に達するときに、当該少なくとも1種の溶液相エレクトロクロミック材料及び当該フロント要素を通過してくる光を反射するのに有効である前記エレクトロクロミック可変反射率ミラー。
【請求項28】
当該相互接続手段が、当該シール部材中に配置された導電性粒子を含む請求項27記載のミラー。
【請求項29】
当該導電性粒子が、銀である請求項28記載のミラー。
【請求項30】
当該導電性粒子が、導電性材料で被覆されたビーズである請求項28記載のミラー。
【請求項31】
当該導電性ビーズを、金、銀及び銅の1つで被覆し、スペーサーとして用いる請求項30記載のミラー。
【請求項32】
当該相互接続手段が、当該シール部材の外縁上に配置された導電性相互接続材料を含む請求項28記載のミラー。
【請求項33】
非導電性材料を、当該導電性材料の当該リア要素欠損のフロント表面の当該部分上に配置する請求項27記載のミラー。
【請求項34】
それぞれがフロント表面とリア表面とを有する、間隔を置いて配置されているフロント要素及びリア要素を含む、自動車用のエレクトロクロミック可変反射率ミラーであって、当該フロント要素のリア表面がその上に配置された1層の透明導電性材料を有し、当該リア要素のフロント表面が、高反射性材料を含む反射体/電極によって覆われた周囲シール部材の硬化第一部分を有し、ここで、当該シール部材の硬化第一部分を予定の厚さまで除去して、当該反射体/電極を、当該リア要素のフロント表面の内部を覆い、その縁の小領域まで延びている内部と、シール部材の当該硬化第一部分によって当該内部から分離された外部とに分離されるようにし、ここで、当該反射体/電極の当該外部は当該内部と電気的に接触しておらず、当該間隔を置いて配置されているフロント要素及び当該リア要素は、当該シール部材の硬化第一部分の上に配置された当該シール部材の第二部分によって、一定の間隔を空けて離れた関係で一緒に結合されて室を画定しており、ここで、当該ミラーは、当該反射体/電極の外部と当該透明導電性材料との間に電気的相互接続を提供する手段を更に含み、当該室が、当該反射体/電極と接触している少なくとも1種類の溶液相エレクトロクロミック材料を含み、また、当該反射体/電極は、光が当該フロント要素と当該少なくとも1種類のエレクトロクロミック材料とを通過した後に当該反射体/電極に達するときに、当該少なくとも1種の溶液相エレクトロクロミック材料及び当該フロント要素を通過してくる光を反射するのに有効である前記エレクトロクロミック可変反射率ミラー。
【請求項35】
当該相互接続手段が、当該シール部材の外縁上に配置された導電性相互接続材料を含む請求項34記載のミラー。
【請求項36】
当該導電性相互接続材料が、導電性エポキシ及び導電性塗料から選択される材料を含む請求項35記載のミラー。
【請求項37】
当該リア要素のフロント表面の全部分を覆っているベース層をさらに含む、請求項1記載のミラー。
【請求項38】
当該反射体/電極が、エレクトロクロミック可変反射率ミラーが少なくとも70%の反射率を示すように構成される、請求項1記載のミラー。
【請求項39】
前記フラッシュオーバーコート層が、高反射性材料からなる当該層がミラーの反射率に寄与できるのに足る薄さである、請求項10に記載のミラー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがフロント表面とリア表面とを有する、間隔を置いて配置されているフロント要素及びリア要素を含む、自動車用のエレクトロクロミック可変反射率ミラーであって、当該フロント要素のリア表面がその上に配置された1層の透明導電性材料を有し、当該リア要素のフロント表面が少なくとも1層の高反射性銀合金を含む反射体/電極を有していて、ここで、当該間隔を置いて配置されているフロント要素及びリア要素は、一定の間隔を空けて離れた関係で一緒にシールによって結合されて室が画定され、また、当該室は、当該反射体/電極と接触している少なくとも1種類の溶液相エレクトロクロミック材料を含み、また、当該反射体/電極は、光が当該フロント要素と当該少なくとも1種類のエレクトロクロミック材料とを通過した後に当該反射体/電極に達するときに、当該少なくとも1種類のエレクトロクロミック材料及び当該フロント要素を通過してくる光を反射するのに有効である前記エレクトロクロミック可変反射率ミラー。
【請求項2】
銀合金が、銀と、金、白金、ロジウム、及びパラジウムから実質的に成る群より選択される元素との組合せである請求項1記載のミラー。
【請求項3】
当該反射体/電極が、複数の層を含む請求項1記載のミラー。
【請求項4】
当該反射体/電極が、当該高反射性合金の下に配置されたベース層を更に含む請求項3記載のミラー。
【請求項5】
当該ベース層が:クロム;クロム・モリブデン・ニッケル合金;ニッケル・鉄・クロム合金;ステンレス鋼;及びチタンから実質的に成る群より選択される材料を含む請求項4記載のミラー。
【請求項6】
当該反射体/電極が、当該高反射性合金と当該ベース層との間に配置された少なくとも1つの中間層を更に含み、当該中間層が:モリブデン;ロジウム;ステンレス鋼;及びチタンから実質的に成る群より選択される材料を含む請求項5記載のミラー。
【請求項7】
当該反射体/電極が、当該高反射性層上に配置された少なくとも1つのフラッシュオーバーコート層を更に含み、当該フラッシュオーバーコート層が:ロジウム、モリブデン、及び白金から実質的に成る群より選択される材料を含む請求項6記載のミラー。
【請求項8】
当該透明導電性材料層が、約0.1Ω/平方〜約40Ω/平方のシート抵抗を有する請求項1記載のミラー。
【請求項9】
当該多層透明導電体のシート抵抗が、約0.5Ω/平方〜 約15Ω/平方である請求項8記載のミラー。
【請求項10】
それぞれがフロント表面とリア表面とを有する、間隔を置いて配置されているフロント要素及びリア要素を含む、自動車用のエレクトロクロミック可変反射率ミラーであって、当該フロント要素のリア表面がその上に配置された1層の透明導電性材料を有し、当該リア要素のフロント表面が少なくとも1層の高反射性材料とフラッシュオーバーコート層とを含む反射体/電極を有していて、ここで、当該間隔を置いて配置されているフロント要素及びリア要素は、一定の間隔を空けて離れた関係で一緒にシールによって結合されて室が画定され、また、当該室は、当該フラッシュオーバーコート層と接触している少なくとも1種類の溶液相エレクトロクロミック材料を含み、また、当該反射体/電極は、光が当該フロント要素と当該少なくとも1種類のエレクトロクロミック材料とを通過した後に当該反射体/電極に達するときに、当該少なくとも1種の溶液相エレクトロクロミック材料及び当該フロント要素を通過してくる光を反射するのに有効であり、当該反射体/電極が、エレクトロクロミック可変反射率ミラーが少なくとも70%の反射率を示すように構成される、前記エレクトロクロミック可変反射率ミラー。
【請求項11】
当該高反射性材料が、銀及び銀合金から成る群より選択される材料であり、当該銀合金が、銀と、金、白金、ロジウム、及びパラジウムから実質的に成る群より選択される元素との組合せである請求項10記載のミラー。
【請求項12】
当該反射体/電極が、当該高反射性合金の下に配置されたベース層を更に含む請求項11記載のミラー。
【請求項13】
当該ベース層が:クロム;クロム・モリブデン・ニッケル合金;ニッケル・鉄・クロム合金;ステンレス鋼;及びチタンから実質的に成る群より選択される材料を含む請求項12記載のミラー。
【請求項14】
当該反射体/電極が、当該高反射性合金と当該ベース層との間に配置された少なくとも1つの中間層を更に含み、当該中間層が:モリブデン;ロジウム;ステンレス鋼;及びチタンから実質的に成る群より選択される材料を含む請求項11記載のミラー。
【請求項15】
当該フラッシュオーバーコート層が:ロジウム、モリブデン、及び白金から実質的に成る群より選択される材料を含む請求項10記載のミラー。
【請求項16】
それぞれがフロント表面とリア表面とを有する、間隔を置いて配置されているフロント要素及びリア要素を含む、自動車用のエレクトロクロミック可変反射率ミラーであって、当該フロント要素のリア表面がその上に配置された1層の透明導電性材料を有し、当該リア要素のフロント表面が、当該リア要素のフロント表面の当該全部分を覆っているベース層と、当該リア要素のフロント表面の内部を覆っている少なくとも1つの追加層とを含む反射体/電極を有していて、当該少なくとも1つの追加層が高反射性材料層を含み、ここで、当該間隔を置いて配置されているフロント要素及びリア要素は、一定の間隔を空けて離れた関係で一緒にシールによって結合されて室が画定され、また、当該室は、当該反射体/電極と接触している少なくとも1種類の溶液相エレクトロクロミック材料を含み、また、当該反射体/電極は、光が当該フロント要素と当該少なくとも1種類のエレクトロクロミック材料とを通過した後に当該反射体/電極に達するときに、当該少なくとも1種の溶液相エレクトロクロミック材料及び当該フロント要素を通過してくる光を反射するのに有効である前記エレクトロクロミック可変反射率ミラー。
【請求項17】
当該高反射性材料が、銀及び銀合金から成る群より選択される材料であり、当該銀合金が、銀と、金、白金、ロジウム、及びパラジウムから実質的に成る群より選択される元素との組合せである請求項16記載のミラー。
【請求項18】
当該ベース層が:クロム;クロム・モリブデン・ニッケル合金;ニッケル・鉄・クロム合金;ステンレス鋼;及びチタンから実質的に成る群より選択される材料を含む請求項16記載のミラー。
【請求項19】
当該反射体/電極が、当該高反射性合金とベース層との間に配置された少なくとも1つの中間層を更に含み、当該中間層が:モリブデン;ロジウム;ステンレス鋼;チタン;及びそれらの合金及びそれらの組合せから実質的に成る群より選択される材料を含む請求項16記載のミラー。
【請求項20】
当該中間層が、当該リア要素のフロント表面の全表面を覆っている請求項19記載のミラー。
【請求項21】
当該中間層が、当該リア要素のフロント表面の内部を覆っている請求項19記載のミラー。
【請求項22】
当該反射体/電極が、当該高反射性層上に配置された少なくとも1つのフラッシュ保護層を更に含み、当該フラッシュ保護層が:ロジウム、モリブデン、及び白金から実質的に成る群より選択される材料を含む請求項16記載のミラー。
【請求項23】
当該透明導電性材料層が、約0.1Ω/平方〜 約40Ω/平方のシート抵抗を有する請求項16記載のミラー。
【請求項24】
当該多層透明導電体のシート抵抗が、約0.5Ω/平方〜 約15Ω/平方である請求項16記載のミラー。
【請求項25】
当該反射体/電極を、周囲部分で除去する請求項1,20及び16のいずれかに記載のミラー。
【請求項26】
当該反射体/電極を、エッチング、機械的削り取り、サンドブラスチングから成る群より選択される技術によって除去する請求項25記載のミラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−215574(P2006−215574A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52654(P2006−52654)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【分割の表示】特願平10−541810の分割
【原出願日】平成10年3月26日(1998.3.26)
【出願人】(500119684)ジェンテクス・コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】