説明

第4級N−アルキルモルフィナンアルカロイド塩の調製のための方法

第3級モルフィナンアルカロイド塩基のN−アルキル化を行って、対応する第4級モルフィナンアルカロイド誘導体を形成するための、改善された方法。本発明は、(i)第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質、または第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質を無水溶媒系に懸濁した懸濁液と、アルキル化剤、またはアルキル化剤を無水溶媒系に溶かした溶液とを合わせて、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質の第4級誘導体および任意の未反応の第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質を含有する反応生成物の混合物を形成するステップと;(ii)非可溶化溶媒を反応生成物の混合物に添加して、第4級誘導体を沈殿させるステップとを含む、第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体を調製するための方法を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ナルトレキソンメトブロミドなどのモルフィナンアルカロイドの第4級N−アルキル塩を合成するための、改善された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナルトレキソン(時々、N−シクロプロピルメチル−ノロキシモルホンと呼ばれる、(5α)−17−(シクロプロピルメチル)−4,5−エポキシ−3,14−ジヒドロキシモルフィナン−6−オン)やナロキソン(時々、N−アリル−ノロキシモルホンと呼ばれる、(5α)−4,5−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−(2−プロペニル)モルフィナン−6−オン)などのモルフィナンアルカロイドのN−メチル第4級誘導体は、μ受容体の強力な拮抗薬として有用な、薬理学的性質を有する。これらの誘導体は、主に胃腸管内に位置する末梢受容体に結合し、拮抗薬として作用し、便秘や吐き気などのオピエート療法の望ましくない副作用の一部を効果的に緩和する。しかし、そのイオン電荷が原因となって、血液脳関門を横断して中枢神経系に進入せず、したがって、痛みの軽減に関与するオピエートの中枢活性は、これらの第4級誘導体の存在下で遮断されない。
【0003】
特許文献1、Goldbergらは、一般に、臭化メチル、ヨウ化メチル、または硫酸ジメチルなどのメチル化剤で第3級N−置換モルフィナンアルカロイドを4級化することによる、あるモルフィナンアルカロイドの第4級誘導体の調製について述べている。Goldbergらは、メチル化剤そのものを溶媒として使用してよいこと、あるいは、メタノール、エタノール、もしくはその他のアルコール、塩化メチレン、クロロホルムテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ニトロメタン、またはヘキサメチルリン酸トリアミドなどの別の溶媒媒体を使用してよいことを開示する。Goldbergらは、反応中に生成物が純粋な結晶形態で沈殿するので、また実施例5では無水アセトン50mLおよびジメチルホルムアミド0.5mLからなる混合物中にN−シクロプロピルメチルノロキシモルホンを溶解し、次いで得られた溶液を臭化メチルと混合するので、アセトンが特に好ましいと述べている。臭化メチルは、遊離塩基に対して6倍モルを超えた量で、圧力容器内で3週間にわたり、過剰に使用した。
【0004】
特許文献2、Cantrellらは、ナルトレキソンメトブロミドを合成するための方法を開示する。例えば、ナルトレキソン塩基100gと臭化メチル(MeBr)とを1−メチルピロリジノン(NMP)中で、61から65℃で反応させ、その結果、粗製ナルトレキソンメトブロミド85gが、純度約90%のナルトレキソンメトブロミドとして約60モル%の収率で得られた(実施例1参照)。粗製生成物の精製を3段階で実施することにより、純粋なナルトレキソンメトブロミドが得られ;さらに、未反応のナルトレキソンの20%が廃棄物流に廃棄されたが、これは著しい損失であった。この方法は、ナルトレキソンメトブロミドおよびその他の第4級モルフィナンアルカロイド合成において著しい進歩を成すが、さらになお改善することが、依然として求められている。
【0005】
特許文献3、Doshanらは、メチル化剤での3−O−保護−ナルトレキソンの4級化、およびその後の保護基の除去による、ナルトレキソンメトブロミドのR−異性体の立体選択的合成を開示している。第3級モルフィナンアルカロイドのN−メチル化は、先に公表されたNMR研究において、非常に高い立体選択性でR−異性体をもたらすことが示されている;(Funkeおよびde Graaf、非特許文献1参照)。Doshanら(実施例2)により開示された合成では、3−O−イソブチリル−ナルトレキソンと4倍過剰なヨウ化メチルとを密封ガラス圧力容器内の窒素雰囲気中で、88から90℃で17時間反応させた。次いで容器を周囲温度まで冷却し、内容物を取り除いて未反応のヨウ化メチルを除去した。生成物、3−O−イソブチリル−メチルナルトレキソンヨウ化物の白色固体を最小限の体積のジクロロメタン/メタノール(4:1)に溶解し、シリカゲルクロマトグラフィにより精製した。3−O−保護基は、64から65℃で6.5時間、48%HBrと反応させることによって除去し、混合物は、22から25℃で回転蒸発させることによって、油になるまで濃縮した。粗製生成物の精製を、臭化物カラムでのイオン交換によって実施し、固体を、選択されたプール画分から単離した。メタノールからの固体の連続再結晶により、白色固体が得られた(収率64%)。生成物の分析は、R−異性体が約97%、およびS−異性体が3%である異性体分布を示した。S−異性体を取り除くには、追加の再結晶および/またはクロマトグラフィ(10回まで)を必要とした。このように、さらなる改善が、依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4176186号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/0439634号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2006/127899号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J. Chem. Soc.、Perkins Trans. II、1985年、385頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の様々な態様の中に、第4級モルフィナンアルカロイドの調製および/または回収のための改善された方法がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、簡単に言うと、本発明は、(i)第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質、または第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質を無水溶媒系に懸濁した懸濁液と、アルキル化剤、またはアルキル化剤を無水溶媒系に溶かした溶液とを合わせて、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質の第4級誘導体および任意の未反応の第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質を含有する反応生成物の混合物を形成するステップであって、この溶媒系が、無水非プロトン性双極性溶媒を含み、この非プロトン性双極性溶媒が、溶媒系の少なくとも25重量%を構成しているステップと;(ii)非可溶化溶媒を反応生成物の混合物に添加して、第4級誘導体を沈殿させるステップとを含む、第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体を調製するための方法を対象とする。
【0010】
本発明は、さらに、(i)第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質、または第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質を無水溶媒系に懸濁した懸濁液と、アルキル化剤、またはアルキル化剤を無水溶媒系に溶かした溶液とを合わせて、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質の第4級誘導体および任意の未反応の第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質を含有する反応生成物の混合物を形成するステップであって、この溶媒系が、無水非プロトン性双極性溶媒を含み、この非プロトン性双極性溶媒が、溶媒系の少なくとも25重量%を構成しているステップと;(ii)酸を反応生成物の混合物に添加して、C(3)ヒドロキシ置換基のイオン化およびC(3)アルコキシ副生成物の生成を抑制するステップとを含む、C(3)ヒドロキシ置換基を有する第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体を調製するための方法を対象とする。
【0011】
本発明はさらに、無水双極性非プロトン性溶媒に溶解した3当量未満のアルキル化剤を、無水溶媒系に溶解した第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質に添加して、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質の第4級誘導体および任意の未反応の第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質を含有する反応生成物の混合物を形成するステップであって、アルキル化剤を添加する速度が、1分当たりかつ基質1当量当たりのアルキル化剤が0.02当量未満であるステップを含む、第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体を調製するための方法を対象とする。さらに、溶媒系は、この溶媒系の少なくとも25重量%を構成する非プロトン性双極性溶媒を含み、アルキル化剤の溶液は、約0℃よりも低い温度で維持され、約50℃から約85℃の間の温度で反応混合物に添加されて、O−アルキル化が10%未満に制限されるように、かつアルキル化剤の蒸発損失が阻止されるようになされている。
【0012】
さらになお、本発明は、無水双極性非プロトン性溶媒に溶解したアルキル化剤の3当量未満の溶液を、無水溶媒系に溶解した第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質に添加して、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質の第4級誘導体および任意の未反応の第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質を含有する反応生成物の混合物を形成するステップであって、アルキル化剤を添加する速度が、反応混合物中の基質の濃度に対し、1分当たりかつ基質1当量当たりのアルキル化剤が0.02当量未満であるステップを含み;アルキル化材の溶液が、約0℃よりも低い温度で維持され、約50℃から約85℃の間の温度の反応混合物に添加されて、C(3)ヒドロキシドでのO−アルキル化が10%未満に阻止されかつアルキル化剤の蒸発損失が阻止されるようになされている、第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体を調製するための方法を対象とする。
【0013】
さらになお、本発明は、(i)C(3)−O−保護第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質、またはC(3)−O−保護第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質を無水溶媒系に懸濁した懸濁液と、アルキル化剤、またはアルキル化剤を無水溶媒系に溶解した溶液とを、約2気圧未満の圧力で合わせて、C(3)−O−保護第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質の第4級誘導体および任意の未反応の第3級(C)−O−保護N−置換モルフィナンアルカロイド基質を含有する反応生成物の混合物を形成するステップであって、この溶媒系が無水非プロトン性双極性溶媒を含み、この非プロトン性双極性溶媒が溶媒系の少なくとも25重量%を構成しているステップと、その後、C(3)−O−保護基を除去するステップとを含む、保護C(3)ヒドロキシ置換基を有する第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体を調製するための方法を対象とする。
【0014】
さらになお、本発明は、(i)C(3)−OH−モルフィナンアルカロイドと保護基、PG−Lとを反応させることによって、C(3)−O−保護第3級モルフィナンアルカロイドを発生させるステップと;(ii)発生したC(3)−O−保護第3級N−置換モルフィナンアルカロイドを単離するステップと;(iii)単離したC(3)−O−保護第3級N−置換モルフィナンアルカロイドと、アルキル化剤とを、無水溶媒系中で合わせて、反応生成物の混合物を形成するステップであって、この反応生成物の混合物が、C(3)−O−保護第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質のC(3)−O−保護第4級誘導体および任意の未反応のC(3)−O−保護第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質を無水溶媒系に溶かしたものを含有しており、この無水溶媒系が、非プロトン性双極性溶媒を含み、この非プロトン性双極性溶媒が、溶媒系の少なくとも25重量%を構成しているステップと;(iv)C(3)−O−保護第4級誘導体を、反応生成物の混合物から単離するステップと;(v)単離したC(3)−O−保護第4級誘導体から保護基を除去して、C(3)−ヒドロキシ置換基を有する第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体を得るステップとを含む、C(3)−ヒドロキシ置換基を有する第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体を調製するための方法を対象とする。
【0015】
本発明は、
(i)(A)第3級N−置換モルフィナンアルカロイドを、水および水に混和しない溶媒を含む2相の第1の溶媒系中で保護基前駆体で処理することにより、第3級N−置換モルフィナンアルカロイドのC(3)−保護ヒドロキシ誘導体および水に混和しない溶媒を有機層中に含み、また保護基前駆体、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド、および水を水層中に含む、第1の反応生成物の混合物を形成するステップと、
(B)水層から有機層を分離するステップと、
(C)有機層を乾燥するステップと、
(D)ステップ(i)(C)で生成された、乾燥した有機層を、追加の保護基前駆体で処理することにより、第3級N−置換モルフィナンアルカロイドからC(3)−保護ヒドロキシ誘導体への変換を増大させるステップと、
(E)水に混和しない溶媒を、ステップ(i)(D)で生成された、処理した有機層から除去することにより、C(3)−保護ヒドロキシ誘導体を含む濃縮物を形成するステップと、
(F)無水溶媒系中に、C(3)−保護ヒドロキシ誘導体を含む、ステップ(i)(E)で生成された濃縮物を溶解するステップと
を含む、第3級N−置換モルフィナンアルカロイドのC(3)−保護ヒドロキシ誘導体を形成するステップと;
(ii)ステップ(i)(F)の無水溶媒系中のC(3)−保護ヒドロキシ誘導体を、アルキル化剤で処理することにより、C(3)保護ヒドロキシ誘導体の第4級誘導体、未反応のアルキル化剤、および任意の未反応のC(3)−保護ヒドロキシ誘導体を含む第2の反応生成物の混合物を形成するステップと;
(iii)C(3)−保護ヒドロキシ誘導体の第4級誘導体の脱保護を行って、C(3)−ヒドロキシ置換基を有する第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体を含む第3の反応生成物の混合物を形成するステップと
を含む、C(3)−ヒドロキシ置換基を有する第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体の調製も対象とする。
【0016】
さらになお、本発明は、R−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体、およびナルトレキソンを含む組成物であって、この組成物中のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体、およびナルトレキソンを合わせた重量に対して、R−ナルトレキソンメトブロミドを少なくとも70%(w/w)、S−ナルトレキソンメトブロミドを少なくとも1%(w/w)、しかしナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体を0.2%(w/w)以下含有する組成物を対象とする。
【0017】
さらになお、本発明は、R−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体、およびオキシモルホンを含む組成物であって、この組成物中のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体、およびオキシモルホンを合わせた重量に対して、S−ナルトレキソンメトブロミドを少なくとも70%(w/w)、R−ナルトレキソンメトブロミドを少なくとも1%(w/w)、しかしナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体を0.2%(w/w)以下含有する組成物を対象とする。
【0018】
その他の目的および特徴は、下記において、一部が明らかにされまた一部が指摘されよう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の様々な態様の中には、第3級モルフィナンアルカロイド塩基のN−アルキル化を行って、対応する第4級モルフィナンアルカロイド誘導体を形成するための改善された方法がある。一般に、この方法は、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質とアルキル化剤とを無水溶媒系中で合わせて、対応する第4級誘導体を形成するステップを含む。ある実施形態では、第3級モルフィナンアルカロイド塩基は、C(3)ヒドロキシ基を保有し;そのような実施形態では、このC(3)−ヒドロキシ基の望ましくないC(3)−O−アルキル化を、反応混合物中に無水酸を含めることによって阻止できることが有利である。あるいは、または追加として、反応混合物へのアルキル化剤の添加速度を制御することにより、臭化メチルなどの揮発性アルキル化剤の蒸発損失を阻止できることがわかった。さらに溶媒系は、代替としてまたは追加として、第4級生成物が沈殿するように第4級誘導体の溶解度がそれほど高くない溶媒を含んでよく、また、生成物の混合物の流動性および後続の加工も改善することができる。さらになお、C(3)−ヒドロキシ基は、1つのまたは一連の保護反応で保護されて、第3級モルフィナン出発材料のC(3)−保護ヒドロキシ誘導体を形成することができる。所望の化合物および中間物(例えば、2相混合物中の溶媒/有機層)を含有する反応生成物の混合物(またはその一部)は、不純物および副生成物を除去するために、様々な洗浄および抽出ステップにかけてよい。C(3)−保護ヒドロキシ誘導体が形成される様々な実施形態では、アルキル化剤を反応混合物からパージし、その後、C(3)−ヒドロキシ保護基を除去してよい。
【0020】
(第3級モルフィナンアルカロイド塩基および第4級生成物)
一実施形態では、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質は式1の構造を有し、第4級誘導体は式1Aの構造を有する:
【0021】
【化1】

(式中、
Aは、−C(O)−、−C(S)−、−C(=CH)−、−CH(A)−、または−C(A)=であり、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ハロゲン化物、スルフェート、スルホネート、フルオロボレート、フルオロスルホネート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ヘキサクロロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェート、またはテトラフルオロボレートであり、
Yは、存在する場合には、水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
Zは、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
6および7位、7および8位、8および14位の炭素原子の間の破線は、それぞれ、(i)炭素間単結合であり、(ii)6および7位の間と8および14位の間が炭素間単結合であり、7および8位の間が二重結合であり、または(iii)6および7位の間と8および14位の間が共役炭素間二重結合であり、但し、Yは、8および14位の炭素間が二重結合である場合、存在しないことを条件とする)。
【0022】
一実施形態では、YおよびZは独立に、−OCH、−OAc、−OTHP、−OSiR、−OBn、−OBz、−OBs、−OTs、または−OMsを含む保護ヒドロキシであり、各Rは独立にヒドロカルビルである。
【0023】
前述のように、ある実施形態では、第3級モルフィナンアルカロイド塩基がヒドロキシ基を保有し、より具体的には、第3級モルフィナンアルカロイド塩基が式1に対応する場合、C(3)ヒドロキシ基を保有する。この実施形態では、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質は式11の構造を有し、第4級誘導体は式11Aの構造を有する:
【0024】
【化2】

(式中、A、A、R、R、X、およびYは、式1および1Aに関して定義された通りである)。
【0025】
一実施形態では、第3級モルフィナンアルカロイド塩基が式2によって表され、生成物は式2Aによって表される:
【0026】
【化3】

(式中、
Aは、−C(O)−、−C(S)−、−C(=CH)−、または−CH(A)−であり、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ハロゲン化物、スルフェート、スルホネート、フルオロボレート、フルオロスルホネート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ヘキサクロロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェート、またはテトラフルオロボレートであり、
Yは、水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
Zは、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシである)。
式2の範囲内に包含される、代表的な第3級モルフィナンアルカロイドには、ナルトレキソン((5α)−17−(シクロプロピルメチル)−4,5−エポキシ−3,14−ジヒドロキシモルフィナン−6−オン)、オキシモルホン((5α)−4,5−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、オキシコドン((5α)−4,5−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、ヒドロモルホン((5α)−4,5−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、ナロキソン((5α)−4,5−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−(2−プロペニル)モルフィナン−6−オン)、ナルメフェン((5α)−17−(シクロプロピルメチル)−4,5−エポキシ−6−メチレンモルフィナン−3,14−ジオール)、およびナルブフィン((5α)−17−(シクロブチルメチル)−4,5−エポキシモルフィナン−3,6,14−トリオール)が含まれる。式2および2Aの範囲内に包含される、好ましい第3級モルフィナンアルカロイドおよびその第4級誘導体は、式22および22Aに該当する
【0027】
【化4】

(式中、R、R、X、Y、およびZは、式2および2Aに関して定義された通りであり、A10は、酸素、硫黄、またはメチレンであり;一実施形態では、A10は酸素またはメチレンであることが好ましい)。式22の範囲内に包含される第3級モルフィナンには、ナルトレキソン、オキシモルホン、オキシコドン、ヒドロモルホン、ナロキソン、およびナルメフェンが含まれる。
【0028】
式2および2Aの範囲内に包含される、その他の好ましい第3級モルフィナンアルカロイドおよびその第4級誘導体は、式222および222Aに該当する
【0029】
【化5】

(式中、R、R、X、Y、およびZは、式2および2Aに関して定義された通りであり、Aは、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシである)。式222の範囲内に包含される第3級モルフィナンアルカロイドには、ナルブフィンが含まれる。
【0030】
一実施形態では、第3級モルフィナンアルカロイド塩基は式3によって表され、生成物は式3Aによって表される
【0031】
【化6】

(式中、
Aは、−C(O)−、−C(S)−、−C(=CH)−、または−CH(A)−であり、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ハロゲン化物、スルフェート、スルホネート、フルオロボレート、フルオロスルホネート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ヘキサクロロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェート、またはテトラフルオロボレートであり、
Yは、水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
Zは、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシである)。
式3の範囲内に包含される代表的な第3級モルフィナンアルカロイドには、モルフィン((5α,6α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−17−メチルモルフィナン−3,6−ジオール)、コデイン((5α,6α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン−6−オール)、コデイノン((5α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、14−ヒドロキシ−コデイノン((5α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、14−ヒドロキシモルフィノン((5α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、およびモルフィノン((5α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)が含まれる。
【0032】
別の実施形態では、第3級モルフィナンアルカロイド塩基は式4によって表され、生成物は式4Aによって表される
【0033】
【化7】

(式中、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ハロゲン化物、スルフェート、スルホネート、フルオロボレート、フルオロスルホネート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ヘキサクロロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェート、またはテトラフルオロボレートであり、
Zは、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシである)。
【0034】
式4および式4Aの範囲内に包含される、代表的な第3級モルフィナンアルカロイドおよびその第4級誘導体には、それぞれテバイン((5α)−6,7,8,14−テトラデヒドロ−4,5−エポキシ−3,6−ジメトキシ−17−メチルモルフィナン)、およびオリパビン((5α)−6,7,8,14−テトラデヒドロ−4,5−エポキシ−6−メトキシ−17−メチルモルフィナン−3−オール)が含まれる。
【0035】
第3級アルカロイド塩基がアルキル化されて、式1A、2A、22A、222A、3A、または4Aによって表される対応するN−アルキル第4級アルカロイド塩が形成される、これらの実施形態のそれぞれでは、Zは、好ましくはヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、より好ましくはヒドロキシまたはメトキシである。例えば、これらの実施形態のそれぞれにおいて、Zは、−OCH、−OAc、OTHP、−OSiR(但し、各Rは独立に、ヒドロカルビルであり、好ましくは低級アルキルである)、−OBn、−OBz、−OBs、−OTs、または−OMsから選択してよい。他の例にとして、これらの実施形態のそれぞれでは、Zがヒドロキシでよい。これらの実施形態のそれぞれでは、Yは、存在する場合、好ましくは水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、より好ましくは、水素またはヒドロキシである。例えば、これらの実施形態のそれぞれでは、Yは、存在する場合には、−OCH、−OAc、OTHP、−OSiR(但し、各Rは独立に、ヒドロカルビルであり、好ましくは低級アルキルである)、−OBn、−OBz、−OBs、−OTs、および−OMsから選択してよい。これらの実施形態のそれぞれでは、Rは、好ましくはメチル、エチル、プロピル、アリル(−CHCH=CH)、クロロアリル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、またはプロパルギルである。これらの実施形態のそれぞれにおいて、Rは、好ましくはアルキル、アルケニル、またはアルカリールであり、より好ましくは低級アルキルであり、典型的にはメチルである。これらの実施形態のそれぞれにおいて、Xは、好ましくは臭化物である。
【0036】
(N−アルキル化反応)
本発明の方法では、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質が、無水溶媒系中でアルキル化剤と反応して、対応する第4級誘導体を形成する。
【0037】
ある種類のアルキル化剤を、この目的で使用してよい。一般に、任意選択で置換され、かつ任意選択で不飽和の、1から8個の炭素を含むアルキル化剤が、好ましい。典型的にはアルキル化剤は、ハロゲン化物、または任意選択で置換されたスルフェート、スルホネート、ボレート、ホスフェート、またはアンチモネートなどの、陰イオンのアルキル、アリル、アルカリル、プロパルギル、またはベンジル塩になる。このように、例えばアルキル化剤は、ハロゲン化物、スルフェート、スルホネート、フルオロスルホネート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、トリフルオロメタン−スルホネート、ヘキサクロロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェート、またはテトラフルオロボレートなどの陰イオンの、メチル、エチル、プロピル、アリル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、プロパルギル、またはベンジル塩でよい。代表的な例には、臭化メチル、臭化シクロプロピルメチル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ(シクロプロピルメチル)、フルオロスルホン酸メチル、フルオロホウ酸トリメチルオキソニウム、フルオロホウ酸トリエチルオキソニウム、ヘキサクロロアンチモン酸トリメチルオキソニウム、トリフルオロメタンスルホン酸n−プロピルまたはn−オクチル、ヘキサフルオロリン酸トリメチルオキソニウム、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、およびトリフルオロメタンスルホン酸アリルが含まれる。アルキルハロゲン化物の中で、塩化物およびヨウ化物を使用してもよいが、一般に、アルキル化剤としてはアルキル臭化物が好ましい。対応するアルキル臭化物に対し、ある条件下では、アルキル塩化物によるアルキル化はゆっくりと進行する傾向があり、アルキルヨウ化物は、第3級アルカロイド基質の過剰アルキル化をもたらす傾向がある。したがって一実施形態では、アルキル化剤は、メチル、エチル、プロピル、アリル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、または臭化ベンジルである。典型的な実施形態では、アルキル化剤は、臭化メチルまたは臭化シクロプロピルメチルである。
【0038】
一般に、過剰なアルキル化剤を、反応に用いることになる。アルキル化剤は、使用前に、無水溶媒系(以下に記述される)に溶かした溶液として、予備配合することができる。例として、臭化メチルを約−10℃の温度に冷却し、その一定分量を、やはり−10℃の温度の事前に冷却した無水1−メチル−2−ピロリドン(NMP)が入っている容器に添加して、アルキル化剤の原液を、即ち−10℃のNMPに溶かした臭化メチル(MeBr/NMP)を形成する。しかし、大量に過剰であると(例えば、基質1当量当たりのアルキル化剤が3当量よりも多い)、基質の過剰アルキル化をもたらす傾向がある。したがって、反応に用いられるアルキル化剤と基質とのモル比は、それぞれ約1:1から1.5:1であることが一般に好ましい。さらに、反応混合物へのアルキル化剤の添加速度は、望ましくない副生成物の量に影響を及ぼす可能性もあり、望ましくない副生成物の量は、添加速度の増大と共に増加する傾向がある。このように、ある場合には、この影響が最小限に抑えられるように、添加速度を調節することが好ましいと考えられる。例えばある実施形態では、アルキル化剤の添加速度は、反応混合物中、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質1当量当たり、1分当たりのアルキル化剤が、0.02当量未満であることが好ましい。ある実施形態では、添加速度がさらに遅いことが好ましく;即ち、そのような実施形態では、添加速度は、初期反応混合物中、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質1当量当たり、1分当たりのアルキル化剤が、0.01当量未満であることが好ましい。そのような実施形態では、アルキル化剤の添加速度は、典型的には、反応混合物中で第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質1当量当たり、1分当たりのアルキル化剤が、約0.002から0.02当量の間になる。このように例えば、反応がバッチプロセスとして実施される場合、初期反応混合物は、変換される量の第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質量を含むものが調製され、アルキル化剤は、このアルキル化剤を添加する期間全体を通して、初期反応混合物中、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質1当量当たり、1分当たりのアルキル化剤が0.02当量の速度で、初期反応混合物に導入される。他の例として、反応が連続プロセスとして実施される場合(基質およびアルキル化剤が、連続的にまたは半連続的に反応混合物に導入される)、アルキル化剤は、このアルキル化剤の添加時に、反応混合物中、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質1当量当たり、1分当たりのアルキル化剤が0.02当量未満の速度で、反応混合物に導入される。
【0039】
N−アルキル化が生ずる反応混合物は、溶媒系(即ち、溶媒または溶媒の混合物)を含有し、無水である。好ましい実施形態では、溶媒系は、非プロトン性双極性溶媒を含み、無水である。より具体的には、溶媒系は、好ましくは約0.5重量%未満の水を含み、典型的には約0.2重量%未満の水を含み、さらにより典型的には0.1重量%未満の水を含み、いくつかの実施形態では0.05重量%未満の水を含む。さらに、非プロトン性双極性溶媒(または非プロトン性双極性溶媒の混合物)は、溶媒系のかなりの割合を構成することが好ましく;例えば、一実施形態では、非プロトン性双極性溶媒は、溶媒系の少なくとも約25重量%を構成する。例えば、いくつかの実施形態では、非プロトン性双極性溶媒は、溶媒系の少なくとも約50重量%を構成することが好ましい。いくつかの実施形態では、非プロトン性双極性溶媒は、溶媒系の少なくとも75重量%を構成することが好ましい。他の実施形態では、非プロトン性双極性溶媒は、溶媒系の少なくとも約90重量%を構成する。例示的な非プロトン性双極性溶媒には、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、アセトニトリル、ヘキサメチルホスホラミド(「HMPA」)、およびこれらの混合物が含まれる。一実施形態では、双極性非プロトン性溶媒は、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、HMPA、およびこれらの組合せからなる群から選択される。N−メチルピロリジノン(1−メチル−2−ピロリジノン、NMP)が、典型的には単独でまたは別の非プロトン性素極性溶媒との組合せで好ましい。
【0040】
反応は、広範な温度および圧力にわたって実施してよい。一実施形態では、反応は、室温(約25℃)から約90℃の範囲のいずれかの温度で、典型的には約55℃から約85℃で実施されることになる。例えば、無水1−メチル−2−ピロリジノン中のN−メチル化生成物へのナルトレキソン塩基の速度、変換、収率、および濃度は、24時間にわたって125℃から140℃(>10気圧)で実施されたアセトン中での反応に比べ、より低い反応温度(<70℃)で有利にかつ劇的に増加する。
【0041】
N−アルキル化反応は、ある圧力範囲にわたって実施してよい。例えば、アルキル化剤が臭化メチルであり、臭化メチルガス(MeBr)が無水1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)に溶解する場合、このガスは、高価な圧力容器を必要とすることなく、比較的中高程度の圧力(例えば、≦2気圧)で、85℃程度の高さの温度でその大部分が維持される。したがって一実施形態では、N−アルキル化反応は、NMPなどの非プロトン性双極性溶媒中で、またはNMPを含む溶媒混合物中で、1,5気圧を超えない圧力で実施される。例えば、N−アルキル化反応は、1から1.25気圧の圧力で、または大気圧で実施してよいことが、有利である。
【0042】
本発明の一態様によれば、反応混合物への酸の添加は、C(3)ヒドロキシ置換基を有する第3級N−置換モルフィナンアルカロイドのフェノールC(3)ヒドロキシ基のイオン化を抑制する傾向があると決定された。酸は、無水酸であることが好ましい。さらに、強力な鉱酸または有機酸が好ましい。例えば酸は、
カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、またはこれらの混合物でよい。あるいは、少量の事前に形成されたアルカロイド酸塩を、そのアルカロイド塩基に添加し、それによってアルカロイド塩基のイオン化を抑制してもよく;例えば、臭化水素酸ナルトレキソンをナルトレキソン塩基に添加してよい。他の例として、酸は、約0.5重量%未満の水、0.2重量%未満の水、0.1重量%未満の水、またはさらに0.05重量%未満の水を含有する、HBr、HCl、HSO、NaHSO、NaHPO、またはNaHPOでよい。一実施形態では、例えばHBrガスが好ましく、またはHClガスであり、特にHBrガスである。変換速度は、酸濃度の増加と共に低下する傾向がある。このように、反応混合物中に含まれる酸の量は、最初は、基質1当量当たり0.25当量未満であることが、一般に好ましい。ある実施形態では、反応混合物中に含まれる酸の量は、基質1当量当たりの酸が約0.1当量であることが好ましい。いくつかの実施形態では、さらに少ない酸を用いることが好ましいと考えられ;例えば、いくつかの実施形態では、酸の量は、基質1当量当たりの酸が0.10当量未満、基質1当量当たりの酸が0.05当量未満、または基質1当量当たりの酸が0.01当量未満であることも好ましい。典型的な反応では、強力な無水酸の原液を無水溶媒中に調製し、一定分量を添加する。例えば、HBrが強力な無水酸である反応では、約−70℃の温度に冷却された臭化水素(HBr)の供給源から引き出されたサンプルを、約−20℃の温度の1−メチル−2−ピロリジノン(N−メチルピロリドン;NMP)のサンプルに添加し、この溶液を、室温に温める。次いで溶液をNMPでさらに希釈して、所望の濃度でHBrをNMPに加えた(HBr/NMP)原液を形成してもよい。
【0043】
典型的には、本明細書に記述されるN−アルキル化反応用の基質(例えば、C(3)ヒドロキシドを含有する基質を含む)は、脱水した塩基である。例えば、ナルトレキソンを利用する反応では、カールフィッシャー分析によって含水量が約2%以下に削減されるまで真空中で乾燥させた、塩酸ナルトレキソンから調製してもよい。水和塩基(例えば、ナルトレキソン二水和物、ナルトレキソン.2HO)は、フェノールC(3)ヒドロキシドの事前の保護を含むアルキル化に、使用してもよい。さらに、反応系内に強酸(HBrなど)が存在することにより、無水ナルトレキソンの代わりに出発材料として部分水和ナルトレキソン(ナルトレキソン.2HO)を使用できるようになったことが観察されたことは、有利である。したがって、反応媒体の酸性化は、アルキル化前のナルトレキソン塩基の水和に関連したコストをなくすことによって、加工コストの削減をもたらす。
【0044】
一般に、基質の比較的濃度の高い溶液が好ましい。即ち、初期反応混合物は、N−置換モルフィナンアルカロイド基質の各当量ごとに、約2当量以下の溶媒を含むことが好ましい。いくつかの実施形態では、初期反応混合物は、N−置換モルフィナンアルカロイド基質の各当量ごとに、約1.75当量以下の溶媒を含む。その他の実施形態では、初期反応混合物は、N−置換モルフィナンアルカロイド基質の各当量ごとに、約1.5当量以下の溶媒を含む。
【0045】
一般に、N−アルキル化から得られる第4級誘導体は、N−置換モルフィナンアルカロイド基質よりも、イオン性が高い。その結果、第4級誘導体は、N−置換モルフィナンアルカロイド基質よりも、無極性溶媒における溶解度が低くなる傾向がある。反応混合物からの第4級誘導体の回収を助けるために、非プロトン性双極性溶媒よりも極性が低い溶媒(または溶媒の混合物)を反応混合物に導入して、第4級誘導体を溶液から沈殿させ、それと共に未反応のN−置換モルフィナンアルカロイド基質を溶液中に残してもよい。時には非可溶化溶媒と呼ばれる(第4級誘導体に対して)そのような溶媒を、本発明の一実施形態で用いることが好ましい。典型的には、非可溶化溶媒は、N−アルキル化反応が終了すると反応混合物に導入され、それによって、第4級誘導体を反応混合物から沈殿させる。しかし代替例として、非可溶化溶媒の一部は、N−アルキル化反応の過程の前、開始時、または最中に反応混合物に添加してよい。しかし、この代替例では、アルキル化の動態が悪影響を受ける可能性がある。好ましくは、第4級誘導体は、1気圧25℃で、非可溶化溶媒中に5重量%未満の溶解度を有する。さらに、非可溶化溶媒は、水に対するよりも1−メチル−2−ピロリジノンに対して混和性がより高いことが好ましく;例えば非可溶化溶媒は、1気圧25℃で、水中で約30重量%未満の溶解度を有することが好ましい。例示的な非可溶化溶媒には、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、エーテル、炭化水素、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、およびこれらの混合物が含まれる。これらの中で、クロロホルムが時々好ましい。
【0046】
一般に、また合成経路とは無関係に、C(3)ヒドロキシ部分を含有するモルフィナン基質のN−アルキル化は、望ましくないC(3)アルコキシモルフィナンをもたらす可能性がある。C(3)ヒドロキシおよびC(3)アルコキシモルフィナンを含有する粗製生成物の混合物は、強塩基、例えばナトリウムメトキシド、NaOH、またはKOHをメタノール/水に溶かしたものを添加し、この混合物を加熱して、C(3)ヒドロキシモルフィナンをその酸化物塩(例えば、ナトリウム塩)に変換し、追加のメタノールを添加し、冷却して塩を沈殿させ、濾過し、乾燥することによって、精製してもよい。C(3)アルコキシモルフィナンは、溶液中に残されたままであり、塩と一緒に沈殿せず;その結果、塩およびC(3)アルコキシモルフィナンは容易に分離し得ることが、有利である。
【0047】
所望のN−アルキルモルフィナンは、塩を再溶解し(例えば、メタノール/水の溶液に)、この溶液を低pHに調節して(例えば、45%臭化水素酸を使用して0.5から1のpH)、C(3)位のヒドロキシ基を再生し、生成物を沈殿させることにより、塩から再生してもよい。好ましい実施形態では、沈殿した生成物は、真空濾過、追加のメタノールでの洗浄、および75℃への乾燥によって、回収される。
【0048】
一実施形態では、前述の好ましいステップまたは特徴の、2つ以上を組み合わせる。例えば、1つの好ましい実施形態では、アルキル化剤の平均添加速度を制御して(前述のように)、基質の過剰アルキル化を最小限に抑える。他の例として、一実施形態では、アルキル化剤の平均添加速度を制御して(前述のように)、基質の過剰アルキル化を最小限に抑え、第4級誘導体用の非可溶化溶媒を反応混合物に添加することによって、第4級誘導体を反応混合物から沈殿させると共に、基質は溶媒系中に実質的に溶解させたままにする。他の例として、一実施形態では、アルキル化剤の平均添加速度を制御して(前述のように)、基質の過剰アルキル化を最小限に抑え、強力な無水酸(前述の量で)を反応混合物に含めることによって、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質のC(3)ヒドロキシ置換基のアルキル化を阻止する。他の例として、一実施形態では、アルキル化剤の平均添加速度を制御して(前述のように)、基質の過剰アルキル化を最小限に抑え、強力な無水酸(前述の量で)を反応混合物に含めることによって、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質のC(3)ヒドロキシ置換基のアルキル化を阻止し、第4級誘導体用の非可溶化溶媒を反応混合物に添加して、第4級誘導体を反応混合物から沈殿させると共に、基質は、溶媒系中に実質的に溶解したままにする。1つの好ましい実施形態において、これらの前述の組合せのそれぞれでは、臭化メチルをアルキル化剤として使用し、反応混合物の圧力は2気圧未満であり(好ましくは、1から1.5気圧)、反応混合物の温度は80℃を超えない。
【0049】
1つの好ましい実施形態では、N−アルキル化反応を1.25気圧未満の圧力で実施し、非プロトン性双極性溶媒は、溶媒系の少なくとも75重量%を構成し、非プロトン性双極性溶媒は、1−メチル−2−ピロリジノンである。さらに、この好ましい実施形態では、無水溶媒系は、0.2重量%未満の水、好ましくは0.1重量%未満の水、より好ましくは0.05重量%の水を含有し、前記無水系は、反応容器内で、水分を含まない雰囲気中に維持される。この好ましい実施形態における基質は式1に該当し、但し、YおよびZは独立に、−OCH、−OAc、−OTHP、−OSiR、−OBn、−OBz、−OTs、または−OMsであり、各Rは独立にヒドロカルビルである。1つの特に好ましい実施形態では、基質は、ナルトレキソン((5α)−17−(シクロプロピルメチル)−4,5−エポキシ−3,14−ジヒドロキシモルフィナン−6−オン)、オキシモルホン((5α)−4,5−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、オキシコドン((5α)−4,5−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、ヒドロモルホン((5α)−4,5−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、ナロキソン((5α)−4,5−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−(2−プロペニル)モルフィナン−6−オン)、ナルメフェン((5α)−17−(シクロプロピルメチル)−4,5−エポキシ−6−メチレンモルフィナン−3,14−ジオール)、またはナルブフィン((5α)−17−(シクロブチルメチル)−4,5−エポキシモルフィナン−3,6,14−トリオール)である。あるいは、この好ましい実施形態の基質は式3に該当し、基質は例えば、モルフィン((5α,6α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−17−メチルモルフィナン−3,6−ジオール)、コデイン((5α,6α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン−6−オール)、コデイノン((5α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、または14−ヒドロキシ−コデイノン((5α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−メトキシ−17−メチルモルフィノン−6−オン)である。
【0050】
(C(3)−ヒドロキシモルフィナンアルカロイドのN−アルキル化に関する代替の実施形態)
C(3)−ヒドロキシモルフィナンアルカロイド基質(式11)のN−アルキル化は、保護されていないC(3)−ヒドロキシ基の並行アルキル化により、望ましくないC(3)−アルコキシモルフィナン副生成物を生成する可能性がある。この方法は下記のスキーム1に具体化され、望ましくない副生成物は、C(3)−メトキシモルフィナン(式11B)と、フェノールC(3)−OHのO−アルキル化から得られたおよびN−アルキル化C(3)−メトキシモルフィナン(式11C)とであり、但し、R、R、A、X、およびYは、式1および1Aに関して定義された通りである。
【0051】
【化8】

副反応(即ち、C(3)−O−アルキル化)を阻止するために、第3級モルフィナンアルカロイドのフェノール基(C(3)−OH)を最初に保護して、C(3)−OH−保護第3級モルフィナンアルカロイドを生成してもよい。単一の保護反応を実施してよく、またはC(3)−ヒドロキシモルフィナン出発材料からのC(3)−O−保護誘導体のより完全な変換を行うために、一連の保護反応を実施してよい。一実施形態では、単一の保護ステップは、C(3)−ヒドロキシモルフィナン出発材料をC(3)−保護ヒドロキシ誘導体に変換するように実施される。別の実施形態では、C(3)−ヒドロキシモルフィナン出発材料をC(3)−保護ヒドロキシ誘導体に変換するために、2つの保護ステップが実施される。別の実施形態では、C(3)−ヒドロキシモルフィナン出発材料をC(3)−保護ヒドロキシ誘導体に変換するために、3つの保護ステップが実施される。別の実施形態では、C(3)−ヒドロキシモルフィナン出発材料をC(3)−保護ヒドロキシ誘導体に変換するために、3つ以上の保護ステップが実施される。次いで用いられる保護反応の数とは無関係に、保護された基質をN−アルキル化して、保護第4級モルフィナンアルカロイドを得る。保護基をその後除去することにより、所望の第4級モルフィナンアルカロイド塩が得られる。
【0052】
したがって、ある実施形態では、第3級モルフィナンアルカロイド塩基は、保護C(3)−OHを保有し、但し、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質は式111の構造を有し、第4級誘導体は式111Aの構造を有する:
【0053】
【化9】

(式中、A、A、R、R、X、およびYは、式1および1Aに関連して定義された通りであり;PGは、ヒドロキシ保護基である)。これらの実施形態では、式111Bの化合物は、ヒドロキシ保護基を除去すると生成される。
【0054】
代表的なヒドロキシ保護基には、任意選択で置換されたヒドロカルビル、C〜C−アルキル;C〜C10−アルキルオキシアルコキシ;C〜C−アルケニル;C〜C−アルキニル;飽和環状C〜C−アルキル;C〜C16−(環状飽和)アルケニル;C〜C16−(環状飽和)アルキニル;C〜C16−アリールアルキル;C〜C16−アリールアルケニル;C〜C16−アリールアルキニル;C〜C−アルカノイル;C〜C−アルケノイル;C〜C−アルキノイル;C〜C16−アリールアルカノイル;C〜C16−アリールアルケノイル;C〜C16−アリールアルキノイル;スルホニル、またはホスホニルが含まれる。
【0055】
使用してもよいヒドロキシ保護基の種類には、エーテル(アルコキシ)およびエステル(アシルオキシ)が含まれる;(T.W. GreeneおよびP.G.M. Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis(第3版)、J. Wiley & Sons In.、NY 1999年、第3章参照)。一般的なエーテル保護基には、メチル、メトキシメチル、プロパルギル、ベンジル、トリチル、シリル、トリス−(C〜C−アルキル)シリル、またはトリス−(C〜C16−アリールアルキル)シリルが含まれる。一般的なエステル保護基には、ホルメート、アセテート、アルキルカーボネート、アリールカーボネート、アリールカルバメートアルキルスルホネート、アリールスルホネート、トリフレート、ホスホネート、またはホスフィネートが含まれる。例示的なヒドロキシ保護基には、メトキシメチル、1−エトキシエチル、ベンジルオキシメチル、(β−トリメチルシリルエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、t−ブチル(ジフェニル)シリル、トリアルキルシリル、トリクロロメトキシカルボニル、および2,2,2−トリクロロエトキシメチルが含まれる。
【0056】
C(3)−ヒドロキシ基への、ベンジルやトリチル、シリルなどの保護基の導入は、ベンジルハロゲン化物、トリチルハロゲン化物、またはトリアルキルハロゲンシランを使用したモルフィナン化合物のC(3)−O−ベンジル化、C(3)−O−トリチル化、またはC(3)−O−シリル化によって実現される。そのような誘導体化は、トルエン、クロロホルム、クロロメタン、クロロベンゼン、アセトン、ジメチルホルムアミド、またはこれらの組合せなどの溶媒中で、また重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、重炭酸カリウム、またはピリジンを含めた塩基の存在下で行われる。あるいは、エステル保護基は、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、ピリジン、またはトリエチルアミンなどの塩基の存在下、水性媒体中またはジメチルホルムアミド中の、対応するアシルハロゲン化物または無水物の形で導入してもよい。さらになお、ヒドロキシ保護反応は、上述の塩基の存在下、上述の溶媒の組合せである水性−有機溶媒混合物中で実施してもよい。1つの特定の実施形態では、保護基は、アシル基などのアシル部分であり、アシル保護基前駆体でC(3)−ヒドロキシモルフィナンを処理することによって導入される。ヒドロキシ保護ステップ、および以下に論ずる任意選択の洗浄/濾過/溶媒交換ステップの後に、保護モルフィナンが4級化される(スキーム1参照)。
【0057】
C(3)−ヒドロキシモルフィナンは、遊離塩基または塩の形でよく;しかし典型的には、C(3)−ヒドロキシモルフィナンは遊離塩基形態である。どちらの場合でも、モルフィナンは、実質的に均質な反応混合物の形成が支援されるように、水および塩基(例えば、水酸化ナトリウム)と組み合わされることが好ましい(例えば、化合物を可溶化するために)。典型的には、C(3)−ヒドロキシモルフィナン出発材料は、塩基を添加する前に、反応容器内で水と一緒にされる。しかし代替例として、水および塩基を一緒にし、その後、C(3)−ヒドロキシモルフィナン出発材料が入っている反応容器に添加してもよい。C(3)−ヒドロキシモルフィナン塩形態が用いられる場合、モルフィナンを溶解するための水および塩基の量は、様々に変えてよいことが理解されよう。例えば、C(3)−ヒドロキシモルフィナン塩が塩酸塩である場合、化合物を完全に溶解するのに2当量以上の塩基が必要である可能性がある。
【0058】
可溶化後、可溶化した化合物を、水と混和しない溶媒と一緒にして2相溶媒系を形成し;2相混合物の有機層は、水と混和しない溶媒(およびエマルジョンの形で溶媒と一緒にされる任意の水)を含み、2相混合物の水層は、C(3)−ヒドロキシモルフィナン出発材料および水を含む。使用してもよい、例示的な水に混和しない溶媒には、限定するものではないが、クロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸プロピル、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、およびこれらの組合せなどが含まれる。特定の実施形態では、水に混和しない溶媒は、トルエンである。
【0059】
C(3)−ヒドロキシ基のC(3)−保護を行うために、2相混合物の層を、保護基前駆体で処理する。保護基前駆体は、一般に、C(3)−ヒドロキシの位置(上述の通り)に望まれる特定の保護基に応じて、変化することになる。一実施形態では、保護基は、アシル保護基であり;より好ましくは、アセチル保護基である。この好ましい実施形態によれば、例えば保護基前駆体は、典型的には無水酢酸である。本明細書の考察は、多段階保護プロトコルでの保護基前駆体としての無水酢酸の使用に焦点を当ててよいが、当業者の範囲に含まれる数々の条件のわずかな修正で、C(3)−ヒドロキシの位置に保護基を導入するのにその他の保護基前駆体を使用してもよいことが理解されよう。
【0060】
C(3)−ヒドロキシの位置でのアセチル基の導入を含む、典型的なC(3)−ヒドロキシ保護反応では、例えば、無水酢酸で2相混合物を処理することにより、C(3)−ヒドロキシモルフィナン出発材料のC(3)−保護ヒドロキシ誘導体を、2相混合物の水相から沈殿させ、有機相に溶解させる。その後、有機層は、C(3)−保護ヒドロキシ誘導体(溶媒層中、大部分であるがこれのみに止まらないモルフィナン種)、水に混和しない溶媒、および典型的には少量の未反応C(3)−ヒドロキシモルフィナン出発材料を含み、水層は、任意の未反応のまたは過剰な保護基前駆体、未反応のC(3)−ヒドロキシモルフィナン出発材料の大部分、および水を含む。
【0061】
初期(即ち、第1)の保護反応では、過剰な保護基前駆体(例えば、無水酢酸)が一般に好ましい。第2、第3、および第4の保護反応では、より少ない量のC(3)−ヒドロキシモルフィナンが典型的には残っているので、より少ない量の保護基前駆体を用いてよい。初期保護反応での過剰な無水酢酸の結果、2相反応混合物のpHは、C(3)−保護ヒドロキシ誘導体を加水分解しかつ/または保護誘導体を有機層から水層に抽出する可能性がある酢酸が形成されるために、低下する傾向がある。このように、保護基前駆体で処理した後、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの塩基を用いて、反応生成物の混合物のpHを、より塩基性の高いpHに任意選択で調節してもよく;例えば、約9.5から約10.5のpHに、より好ましくは10.0に調節してもよい。一般に、保護反応混合物のpHの調節は、所望の生成物の下流収率を改善することができる。このように、ある実施形態では、保護反応の後および次のプロセスステップの前に、保護反応混合物のpHを調節(即ち、より塩基性の高いpHに)することが好ましい。
【0062】
pH調節ステップは、行われる場合、C(3)−ヒドロキシ保護基の望ましくない加水分解(即ち、除去)を引き起こす可能性がある。さらに、または代替として、未反応(即ち非保護)C(3)−ヒドロキシ第3級N−非置換モルフィナンアルカロイドが、反応混合物中に依然として存在する可能性がある。したがって上述のように、第2のC(3)−ヒドロキシ保護反応、第3のC(3)−ヒドロキシ保護反応、またはそれ以上を行うことが、望ましい場合もある。例えば保護反応は、初期(または後続の)保護反応および/またはpH調節ステップの後に残る任意の未反応のまたは加水分解されたC(3)−ヒドロキシ第3級N−非置換モルフィナンアルカロイドのC(3)−ヒドロキシ基を保護するために、1回、2回、3回、またはそれ以上実施してもよい。一実施形態では、C(3)−ヒドロキシ保護反応を、少なくとも1回繰り返す。別の実施形態では、C(3)−ヒドロキシ保護反応を2回繰り返し;この実施形態によれば、例えばC(3)−O−保護第3級モルフィナンアルカロイド基質は、第1の保護反応の後に形成され、追加量のC(3)−O−保護第3級モルフィナンアルカロイド基質が、第2および第3の保護反応の後に形成される。
【0063】
連続保護反応のそれぞれは、先の保護反応と実質的に同じ手法で実施してよく、上述のpH調節ステップを続けても続けなくてもよい。さらに、または代替として、保護反応に少しの修正を加えてもよい。例えば一実施形態において、第1の保護反応では、一般に、C(3)−ヒドロキシ第3級N−非置換モルフィナンアルカロイドを含有する反応混合物を保護基前駆体(例えば、無水酢酸、またはアシルもしくはアセチル部分でC(3)−ヒドロキシ基を保護することが可能なその他の前駆体)で処理し、その後、反応混合物のpHを、約9.5から約10.5に調節する。追加の保護反応は同様の手法で実施してよいが、一般により少ない量の非保護C(3)−ヒドロキシモルフィナンアルカロイドが存在するので、より少ない量の保護基前駆体が後続の(即ち、第2および第3の)保護反応で一般に用いられる。
【0064】
少なくとも2つの保護反応が行われる場合、得られるC(3)−保護生成物の混合物を任意選択で濾過して、全ての沈殿物またはその他の不溶性成分または副生成物を、混合物から除去してもよい。一般に、従来の濾過技法(例えば、マクロもしくはミクロ濾過)を用いてよい。3つ以上の保護反応が用いられる実施形態では、濾過ステップは、第2の保護反応の後に実施されることが好ましい。
【0065】
最初の1つまたは2つの保護ステップが実施され、得られる混合物が任意選択で濾過された後、2相反応生成物の混合物を、水/有機抽出にかけて、副生成物およびその他の不純物を除去してよい。一般に、従来の水/有機抽出技法を利用してよい。特定の実施形態では、追加の水に混和しない溶媒(例えば、トルエン)を、有機層中にC(3)−保護ヒドロキシ誘導体を含有する2相混合物に添加する。追加の溶媒を2相混合物に添加するか否かに関わらず、所望のC(3)−保護ヒドロキシ誘導体を含有する有機層を抽出し、副生成物および不純物を含有する水層から分離し、この水層を廃棄する。水/有機抽出は、望み通りに繰り返してよく、有機層を収集し、合わせてもよい。
【0066】
未反応の過剰なまたは残留する保護基前駆体、および/またはモルフィナンアルカロイドの望ましくない塩(例えば、保護基前駆体との反応によって形成された)を、溶媒交換および4級化(本明細書で既に記述した)の前に反応混合物から除去するために、合わせた有機層画分を緩衝溶液で洗浄することが好ましい。典型的には、C(3)−保護ヒドロキシ誘導体を含む分離された有機混合物を、緩衝溶液で約8.5から約9.5のpHに緩衝させる。特定の実施形態では、有機層のpHは、保護反応の後に約9.0のpHに緩衝される。一般に、緩衝溶液が所望のpH範囲内のpHに反応生成物の混合物を緩衝することが可能であり、かつ/または緩衝溶液がモルフィナンアルカロイドの主鎖およびその置換基に他の方法で影響を及ぼさない限り、様々なpHの緩衝液を用いてよい。適切な緩衝溶液には、例えば、ホウ酸緩衝液(例えば、テトラボレート)、炭酸緩衝液、リン酸緩衝液、第3級アミン緩衝液(例えば、トリエタノールアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、およびこれらの組合せを含むものが含まれる。特定の実施形態では、緩衝溶液は、リン酸緩衝液を含む。別の特定の実施形態では、緩衝溶液はリン酸緩衝液である。保護基前駆体のかなりの部分を除去するために、緩衝液洗浄に要する反応時間は、利用される特定の試薬に応じて数分から数時間のいずれかの範囲に及んでよい。典型的には、C(3)−保護ヒドロキシ誘導体を含有する有機相を、緩衝溶液で約30分から約90分間処理し;好ましくは約60分である。
【0067】
C(3)−O−保護基が水の存在下で除去(即ち、脱保護)され得ることは望ましくないので、比較的無水状態であることが、保護反応と後続の4級化との両方にとって一般に好ましい。このように有機層は、有機層の含水量が低下するように、乾燥ステップにかけることが好ましい。例えば、その他の従来の乾燥方法の中で一般に有効な、例えば蒸留、モレキュラーシーブ、無水塩、およびディーンスタークトラップを含めた様々な乾燥技法を、この段階で用いてよい。水スカベンジャーが用いられる場合、例えば、水スカベンジャーの存在が、4級化反応またはモルフィナンアルカロイド主鎖およびその置換基に悪影響を与えない限り(例えば、C(3)−ヒドロキシ基の脱保護によって)、様々な水スカベンジャーを利用してよい。適切な水スカベンジャーには、限定するものではないが式:RC(ORに対応する化合物が含まれ、但し、Rは水素またはヒドロカルビルであり、Rはヒドロカルビルである。好ましくは、Rは水素またはアルキルであり、Rはアルキルアルキルであり;この実施形態では、例えば水スカベンジャーは、トリメトキシメタン、トリメトキシエタン、トリメトキシプロパン、トリエトキシブタン、トリメトキシペンタン、トリエトキシエタン、トリエトキシプロパン、およびこれらの組合せなどに一致してよい。あるいは水スカベンジャーは、水和物を形成することができる無水無機塩など、例えば硫酸マグネシウム(MgSO)または硫酸ナトリウム(NaSO)などの乾燥剤でよい。しかし乾燥剤は、一般に、反応混合物中で懸濁液を形成するその傾向により、それほど好ましくない。
【0068】
一実施形態では、有機層中に存在する全ての水が除去されるよう蒸留することによって(例えば、水に混和しない溶媒でエマルジョンを形成することによる)、有機層の含水量を低下させる。この技法によれば、水の除去を観察することができ、かなりの部分が系から引き出されたら、得られた脱水有機層を追加の保護基前駆体(例えば、無水酢酸)でさらに処理し、それによって、C(3)−ヒドロキシモルフィナンからC(3)−保護誘導体へのより完全な変換を行うことが好ましい。追加の保護反応に関して既に述べたように、典型的には有機層中に少ない非保護C(3)−ヒドロキシモルフィナンしか存在しなくなるので、このさらなる保護反応は、第1または第2の保護反応に比べて少ない無水酢酸(または、その他の保護基前駆体)しか必要としない可能性もある。
【0069】
上記にて論じたC(3)−ヒドロキシ保護ステップと任意選択の洗浄および濾過ステップの後、C(3)−O−保護モルフィナンを4級化してよい。典型的には、臭化メチルは、C(3)−OH−保護第3級モルフィナンアルカロイドをメチル化するのに好ましい薬剤であり、4級化は、前述のようにNMP中で実施する。しかし、4級化生成物が高収率であるC(3)−ヒドロキシ保護基質のメチル化剤として、硫酸ジメチルを用いることもできることが発見された。硫酸ジメチルを使用したアルキル化は、炭酸ナトリウムの存在下でトルエン中で実施することが好ましいが、その他の塩基(NaHCO、KHPO、i−PrNEt、2,6−ルチジン、および1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン)も、典型的にはより低い収率ではあるが、所望の生成物を提供する。
【0070】
一実施形態において、ヒドロキシ保護基は、アルカロイド基質がナルトレキソンである場合は酢酸基であり、典型的な反応順序を以下のスキーム2に示すが、RおよびXは、式1および1Aに関して定義した通りである。
【0071】
【化10】

この実施形態では、C(3)−OH保護は、i−PrNEt、2,6−ルチジンを含む塩基性媒体中で、またはNaOH、NaHCO、NaCO、またはKHPOの水溶液中で行われる。さらにこの実施形態では、アルキル化剤(即ち、RX)は、ハロゲン化物、硫酸塩、スルホン酸塩、フルオロスルホン酸塩、メチル硫酸塩、エチル硫酸塩、トリフルオロメタン−スルホン酸塩、ヘキサクロロアンチモン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、またはテトラフルオロホウ酸塩など、陰イオンのメチル、エチル、プロピル、アリル、シクロプロピル、プロパルギル、またはベンジル塩を含む。代表的な例には、臭化メチル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、フルオロスルホン酸メチル、フルオロホウ酸トリメチルオキソニウム、フルオロホウ酸トリエチルオキソニウム、ヘキサクロロアンチモン酸トリメチルオキソニウム、トリフルオロメタンスルホン酸n−プロピルまたはn−オクチル、ヘキサフルオロリン酸トリメチルオキソニウム、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、およびトリフルオロメタンスルホン酸アリルが含まれる。典型的には、アルキル化剤はアルキルハロゲン化物または硫酸塩である。好ましくは、アルキル化剤はMeBrである。あるいは、オキシモルホンをナルトレキソンの代わりに用いてもよく、シクロプロピルメチルアルキル化剤を、反応スキーム2のメチル化剤の代わりに用いて、S−メチルナルトレキソンを得てもよい。
【0072】
C(3)−OH−保護アルカロイドモルフィナン基質の4級化は、典型的には、約60から約105℃の温度範囲で低圧(≦2気圧)で実施される。好ましくは反応は、約60から85℃の温度範囲内で実施される。典型的には反応は、約6時間〜24時間の期間にわたって持続され;好ましくは約16時間〜22時間の期間である。好ましい実施形態では、C(3)−OH−保護アルカロイドモルフィナン基質のN−アルキル化は、NMP中のMeBrで実施され;約60〜85℃で;16時間〜22時間の間の期間にわたる。典型的には、約4psiという中程度の圧力差が、MeBrの添加によって実現される。4級化反応が終了すると、ナルトレキソンメトブロミドが酸加水分解によって生成され、それによって、C(3)−O−保護基が除去され、アルコールから沈殿させる。
【0073】
4級化に望ましい溶媒(例えば、NMP)でC(3)−O−保護モルフィナンを提供するために、ある実施形態は、単一または複数の保護反応から得られた反応生成物の混合物(即ち、C(3)−保護ヒドロキシ誘導体を含有する有機相)に対して溶媒交換技法を用いる。一般に、溶媒交換では、保護反応に好ましい第1の溶媒(例えば、水に混和しない溶媒)を除去し、4級化反応に好ましい第2の溶媒(例えば、NMP)に置き換える。このように溶媒交換は、保護反応混合物を濃縮し、したがってC(3)−保護ヒドロキシ誘導体を含む濃縮物を形成し、4級化反応に好ましい第2の溶媒を濃縮物に添加することによって、実現される。好ましい実施形態では、濃縮物は、有機相を蒸留して有機溶媒の全て、実質的に全て、または一部を除去し、C(3)−保護ヒドロキシ誘導体を含む濃縮物または油を残すことによって、形成される。蒸留による溶媒交換を行うには、例えば、有機相を保護反応溶媒(即ち、水に混和しない溶媒)の沸点に加熱して、そのような溶媒を反応生成物から蒸留(大気圧または減圧)することができる。同様に、保護反応用の水に混和しない溶媒が、水と共沸混合物を形成する場合、水を含む有機溶媒の一部または全てを、共沸混合物の蒸留によって除去してよい。しかし、有機層を濃縮するその他の方法を用いてもよく、これは当業者に明らかであろう。
【0074】
C(3)−保護ヒドロキシ誘導体を濃縮し、水に混和しない溶媒と反応混合物中のその他の望ましくない物質(例えば、水、過剰なまたは未反応の保護基前駆体、副生成物など)との除去が実現された後(例えば、蒸留によって)C(3)−O−保護モルフィナンは、一般に、濃縮物の形のままである。有機溶媒の全てまたは実質的に全てが除去された場合、濃縮物は、C(3)−O−保護モルフィナンを含む油の形をとることができる。好ましいアルキル化剤が、4級化をもたらすように濃縮物に効果的に添加することができない場合、その濃縮物は、4級化反応に好ましい溶媒に溶解してよい(即ち、溶媒への濃縮物または油の溶解)。4級化反応に適した溶媒については、本明細書の他の箇所に記述されており、NMPおよび硫酸ジメチルが含まれる。好ましくは、溶解溶媒は、上述のような無水溶媒系である。特定の実施形態では、C(3)−O−保護モルフィナン基質材料をさらに提供することを目指して、追加の保護基前駆体を、第2(4級化)の溶媒の他に濃縮物に添加してよい(即ち、第2、第3などの保護反応で)。
【0075】
実施形態において、C(3)−O−保護4級化生成物の加水分解は、水性HBr中で行われる。約0.5から約1.5当量のHBrを典型的には用い(C(3)−アセトキシナルトレキソンに対して);好ましくは、HBrとC(3)−アセトキシナルトレキソンとの比が約1:1である。酸性混合物を、残留MeBrを除去するために約60〜65℃で約30〜60分間撹拌し、次いで約75〜85℃に加熱し、サンプルの周期的なHPLC分析によってモニタされるように、C(3)−アセトキシナルトレキソンメトブロミドの加水分解が終了するまで撹拌する。典型的には、加水分解は5時間以内で終了する。
【0076】
上述のように加水分解でC(3)−ヒドロキシ基を除去すると、反応混合物中に存在する残留または未反応のアルキル化剤全てが、C(3)−ヒドロキシ基の望ましくないC(3)−O−アルキル化をもたらす可能性がある。例えば、臭化メチルアルキル化剤は、C(3)−O−メチルモルフィナン4級化生成物の望ましくない形成を引き起こす可能性がある。このように、4級化反応を停止させ、アルキル化剤を系からパージすることが、一般に好ましい。これは例えば、4級化の後および加水分解の前に、パージ剤を反応混合物/容器に導入することによって実現することができる。様々な停止/パージ剤を用いてよく、特定のパージ剤の選択は、選択された特定のアルキル化剤および/または様々なその他のプロセス条件に依存する可能性がある。例えば、臭化メチルをアルキル化剤として使用する場合、パージ剤は、系から臭化メチルを除去(パージ)するのを助けるために、臭化物含有剤を含むことが好ましい。
【0077】
4級化反応で臭化メチルを用いる特定の実施形態では、4級化後に系に導入されるパージ剤は、臭化水素またはその塩である(例えば、臭化水素酸トリエチルアンモニウムなどの臭化水素酸トリアルキルアンモニウム)。臭化物含有パージ剤は、一般に、溶媒の存在下で導入される。パージ剤の溶媒は、一般に、臭化水素(またはその塩)に適合し、かつ第4級モルフィナンに悪影響を及ぼさないものである。適切な溶媒には、酢酸などの様々なカルボン酸;非プロトン性、非求核溶媒(例えば、NMP);エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸エチルなど);およびこれらの組合せが含まれる。パージ剤中の臭化物の濃度は、辛うじて重要ではなく;一般に、反応容器からの臭化メチルの望ましい除去を行うには、触媒量の臭化物しか必要としない。このように、溶媒中の臭化水素(またはその塩)の濃度は、1%(w/w)未満からほぼ100%(w/w)まで変わる可能性があり;好ましい実施形態では、パージ剤は、酢酸中に33%の臭化水素またはその塩を含む。
【0078】
4級化C(3)−ヒドロキシ−保護アルカロイドモルフィナンの酸加水分解の生成物は、窒素雰囲気中で冷却した酸性溶液にアルコールを添加することにより沈殿させる。上述の実施形態では、混合物は、約50〜55℃に冷却され、ナルトレキソンメトブロミドを沈殿させるために最適な量のメタノール(初期NMPに対して1.0重量当量)を添加する。最後に、混合物を室温に冷却し、次いで約0〜5℃で約1時間撹拌して、生成物の沈殿を終了させる(HPLC分析によってモニタする)。次いで生成物を濾過し、低温メタノール(約1〜2mL/g C(3)−アセトキシナルトレキソン)で洗浄し、ウェットケークとして単離する。生成物は、最適な条件(約1.5〜2.0mL水/gナルトレキソンメトブロミド、約3.0〜4.0mLメタノール/gナルトレキソンメトブロミド、およびナルトレキソンメトブロミドに対して約12〜24モル%のHBr)を利用して最適に再結晶され、その結果、精製されたナルトレキソンメトブロミドが高収率および高純度で得られる。
【0079】
保護、4級化、パージ、および加水分解ステップは、上述の順序で実施してよく、かつ/または様々な抽出/分離および洗浄ステップを、上述のこれら様々な段階の間に相互分散させてよい。
【0080】
一実施形態では、本発明の方法は、(a)第1の保護ステップ、(b)溶媒抽出/分離ステップ、(c)乾燥ステップ、(d)第2の保護ステップ、(e)濃縮ステップ、(f)溶解ステップ、(g)4級化ステップ、および(h)脱保護ステップを含み、ステップ(a)〜(h)のそれぞれは、実質的に上述の通りである。別の実施形態では、本発明の方法は、(a)第1の保護ステップ、(b)溶媒抽出/分離ステップ、(c)第2の保護ステップ、(d)濃縮ステップ、(e)溶解ステップ、(f)4級化ステップ、および(g)脱保護ステップを含み、ステップ(a)〜(g)のそれぞれは、実質的に上述の通りである。別の実施形態では、本発明の方法は、(a)第1の保護ステップ、(b)pH調節ステップ、(c)溶媒抽出/分離ステップ、(d)乾燥ステップ、(e)第2の保護ステップ、(f)濃縮ステップ、(g)溶解ステップ、(h)4級化ステップ、および(i)脱保護ステップを含み、ステップ(a)〜(i)のそれぞれは、実質的に上述の通りである。これらの実施形態のそれぞれによれば、例えばこの方法はさらに、下記のステップ:(1)保護ステップとpH調節ステップとの(存在する場合)繰返し;(2)パージステップおよびその後の脱保護ステップ;および(3)緩衝液洗浄ステップおよびその後の乾燥ステップの、1つまたは複数を含んでよい。別の実施形態では、本発明の方法は、(a)第1の保護ステップ、(b)第2の保護ステップ、(c)濾過ステップ、(d)溶媒抽出/分離ステップ、(e)緩衝液洗浄ステップ、(f)減水ステップ;(g)第3の保護ステップ、(h)濃縮ステップ、(i)4級化ステップ、(j)パージステップ、および(k)加水分解ステップを含み、ステップ(a)〜(k)のそれぞれは、実質的に上述の通りである。
【0081】
本発明の方法の好ましい実施形態のいくつかによる、ナルトレキソンメトブロミドを調製するためのステップの順序は、上述の通りである。有利には、これらのステップは、ナルトレキソン塩基からナルトレキソンメトブロミドへの変換を高収率でもたらし、ナルトレキソンメトブロミドはそのR−異性体(窒素原子に対して)の立体選択性がS−異性体(窒素原子に対して)よりも高く、ナルトレキソンメトブロミド(そのR−またはS−異性体の形(即ち、それぞれR−MNTXおよびS−MNTX)のいずれかにおいて)のC(3)−O−メチル誘導体は比較的低いレベルであり、R−MNTXおよびS−MNTCは、下記の構造に該当し:
【0082】
【化11】

R−MNTXおよびS−MNTXのC(3)−O−メチル誘導体は上述の構造に該当し、フェノールC(3)−ヒドロキシ基の代わりにC(3)−O−メチル基が用いられる。例えば反応生成物の混合物は、典型的には、反応生成物の混合物中(即ち、組成物中)の、R−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体、およびナルトレキソンの重量を合わせたものに対して、R−ナルトレキソンメトブロミドを少なくとも70%(w/w)、S−ナルトレキソンメトブロミドを少なくとも1%(w/w)、ナルトレキソンを少なくとも1%(w/w)、しかしナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体を0.2%(w/w)以下含有することになる。より典型的には、反応生成物の混合物は、反応生成物の混合物中(即ち、組成物中)の、R−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体、およびナルトレキソンの重量を合わせたものに対して、典型的には2%から5%(w/w)のナルトレキソン、より典型的には2%から4%(w/w)のナルトレキソンを含む。また反応生成物の混合物は、反応生成物の混合物中のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体、およびナルトレキソンの重量を合わせたものに対して、典型的にはS−ナルトレキソンメトブロミドを5%から10%(w/w)、より典型的には6%から7%(w/w)含む。好ましい実施形態では、反応生成物の混合物は、反応生成物の混合物中(即ち、組成物中)のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体、およびナルトレキソンの重量を合わせたものに対して、ナルトレキロンメトブロミド(その異性体形態のそれぞれ)のC(3)−O−メチル誘導体を0.15%(w/w)未満、より好ましくはナルトレキロンメトブロミド(その異性体形態のそれぞれ)のC(3)−O−メチル誘導体を0.1%(w/w)未満、さらにより好ましくはナルトレキロンメトブロミド(その異性体形態のそれぞれ)のC(3)−O−メチル誘導体を約0.05%から0.10%(w/w)含有する。反応生成物の混合物は、反応生成物の混合物中(即ち、組成物中)のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体、およびナルトレキソンの重量を合わせたものに対して、好ましくは少なくとも75%(w/w)のR−ナルトレキソンメトブロミドを含み、より好ましくは少なくとも80%(w/w)のR−ナルトレキソンメトブロミド、さらにより好ましくは少なくとも85%のR−ナルトレキソンメトブロミドを含む。言い換えれば、ある実施形態では、反応生成物の混合物中の、ナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比が、少なくとも150:1である。より好ましくは、これらの実施形態において、反応生成物の混合物中のナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも250:1(R−異性体:C(3)−O−メチル)である。このように例えば、反応生成物の混合物中のナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも500:1でよく、または少なくとも750:1、または少なくとも1000:1(R−異性体:C(3)−O−メチル)でよい。同様に、反応生成物の混合物におけるナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、典型的には少なくとも5:1(S−異性体:C(3)−O−メチル)である。より典型的には、反応生成物の混合物におけるナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも10:1(S−異性体:C(3)−O−メチル)である。さらにより典型的には、反応生成物の混合物におけるナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも50:1(S−異性体:C(3)−O−メチル)である。最後に、反応生成物の混合物におけるナルトレキソンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、典型的には少なくとも5:1(ナルトレキソン:C(3)−O−メチル)である。より典型的には、反応生成物の混合物におけるナルトレキソンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも10:1(ナルトレキソン:C(3)−O−メチル)である。さらにより典型的には、反応生成物の混合物におけるナルトレキソンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも50:1(ナルトレキソン:C(3)−O−メチル)である。組み合わせると、一実施形態では、反応生成物の混合物におけるナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも150:1(R−異性体:C(3)−O−メチル)であり、反応生成物の混合物におけるナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも5:1(S−異性体:C(3)−O−メチル)であり、反応生成物の混合物におけるナルトレキソンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも5:1(ナルトレキソン:C(3)−O−メチル)である。より典型的には、反応生成物の混合物におけるナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも250:1(R−異性体:C(3)−O−メチル)であり、反応生成物の混合物におけるナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも10:1(S−異性体:C(3)−O−メチル)であり、反応生成物の混合物におけるナルトレキソンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも5:1(ナルトレキソン:C(3)−O−メチル)である。さらにより典型的には、反応生成物の混合物におけるナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも500:1(R−異性体:C(3)−O−メチル)であり、反応生成物の混合物におけるナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも50:1(S−異性体:C(3)−O−メチル)であり、反応生成物の混合物におけるナルトレキソンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも5:1(ナルトレキソン:C(3)−O−メチル)である。
【0083】
最終的な反応生成物の混合物は、一般に、上述の化学種を含有する溶液またはスラリー(沈殿材料を含んでよい)の形をとる。反応生成物の混合物(例えば、スラリーまたは溶液)は、そのような低レベルの、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体を含有するので、精製ステップが単純化される。このように、反応生成物の混合物から得られた結晶化生成物は、R−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、およびナルトレキソンに対して比較的低いレベルの、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体を含有することになる。例えば、結晶化生成物は、結晶化生成物中の(即ち、組成物中の)R−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体、およびナルトレキソンを合わせた重量に対して、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体を0.25%(w/w)含有することになる(その異性体のそれぞれで)。より典型的には、結晶化生成物は、結晶化生成物中の(即ち、組成物中の)R−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体、およびナルトレキソンを合わせた重量に対して、典型的には0.25%から1%(w/w)のナルトレキソンを、より典型的には0.5%から0.75%(w/w)のナルトレキソンを含む。結晶化生成物は、結晶化生成物中のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体、およびナルトレキソンを合わせた重量に対して、ナルトレキソンメトブロミドのS−異性体も典型的には1%から2%(w/w)、より典型的には1%から1.5%(w/w)も含む。好ましい実施形態では、結晶化生成物は、結晶化生成物中の(即ち、組成物中の)R−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体、およびナルトレキソンを合わせた重量に対して、0.15%(w/w)未満のナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体を含有し(その異性体のそれぞれで)、より好ましくは、0.1%(w/w)未満、さらにより好ましくは約0.5%から0.10%(w/w)のナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体を含有する(その異性体のそれぞれで)。言い換えれば、ある実施形態では、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比が、少なくとも150:1(R−異性体:C(3)−O−メチル)である。より好ましくは、これらの実施形態では、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも250:1(R−異性体:C(3)−O−メチル)である。このように、例えば、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも500:1でよく、または少なくとも750:1、または少なくとも1000:1(R−異性体:C(3)−O−メチル)でよい。同様に、結晶化生成物中の、ナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、典型的には少なくとも2:1(S−異性体:C(3)−O−メチル)である。より典型的には、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも5:1(S−異性体:C(3)−O−メチル)である。さらにより典型的には、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも10:1(S−異性体:C(3)−O−メチル)である。さらにより好ましくは、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも15:1(S−異性体:C(3)−O−メチル)である。最後に、結晶化生成物中のナルトレキソンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、典型的には少なくとも2:1(ナルトレキソン:C(3)−O−メチル)である。より典型的には、結晶化生成物中のナルトレキソンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比は、少なくとも5:1(ナルトレキソン:C(3)−O−メチル)である。さらにより典型的には、結晶化生成物中のナルトレキソンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比が、少なくとも10:1(ナルトレキソン:C(3)−O−メチル)である。組み合わせると、一実施形態では、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比が、少なくとも150:1(R−異性体:C(3)−O−メチル)であり、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比が、少なくとも2:1(S−異性体:C(3)−O−メチル)であり、結晶化生成物中のナルトレキソンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比が、少なくとも2:1(ナルトレキソン:C(3)−O−メチル)である。より典型的には、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比が、少なくとも250:1(R−異性体:C(3)−O−メチル)であり、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比が、少なくとも5:1(S−異性体:C(3)−O−メチル)であり、結晶化生成物中のナルトレキソンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比が、少なくとも2:1(ナルトレキソン:C(3)−O−メチル)である。さらにより典型的には、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比が、少なくとも500:1(R−異性体;C(3)−O−メチル)であり、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比が、少なくとも10:1(S−異性体;C(3)−O−メチル)であり、結晶化生成物中のナルトレキソンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比が、少なくとも2:1(ナルトレキソン;C(3)−O−メチル)である。
【0084】
同様に、本発明の方法は、所望の生成物がS−ナルトレキソンメトブロミドである場合に使用してよい。しかし、この実施形態では、基質としてナルトレキソンの代わりにオキシモルホンが使用され、基質の窒素原子は、シクロプロピルメチルブロミドなどのシクロプロピルメチルアルキル化剤でアルキル化される。対応するC(3)−O−シクロプロピルメチル−S−ナルトレキソンメトブロミドの形成を最小限に抑えるには、ナルトレキソンのN−メチル化および式1、2、3、4、11、22、222などに対応するその他のモルフィナンアルカロイド基質のN−アルキル化に関して、他に本明細書に記述されているように、オキシモルホンのC(3)−O−ヒドロキシ基を、シクロプロピルメチル化反応中にヒドロキシ保護基で保護してよい。例えば、オキシモルホンのC(3)−ヒドロキシ基は、R−ナルトレキソンメトブロミドの合成におけるC(3)−ヒドロキシ基の保護に関連して他に記述されるように、アセチル基で保護してよく、C(3)−ヒドロキシ保護オキシモルホン基質は、R−ナルトレキソンメトブロミドの合成におけるナルトレキソンのN−メチル化に関連して他に記述されるように、シクロプロピルメチルアルキル化剤を使用して、N−アルキル化される。有利には、これらのステップは、オキシモルホン塩基からナルトレキソンメトブロミドへの高収率での変換をもたらし、ナルトレキソンメトブロミドのR−異性体(窒素原子に対して)よりもS−異性体(窒素原子に対して)に関して高い立体選択性があり、そのR−またはS−異性体のいずれかにおいて(即ち、それぞれR−MNTXおよびS−MNTX)ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体は、比較的低いレベルになる。例えば、反応生成物の混合物は、典型的には、反応生成物の混合物中(即ち、組成物中)のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体、およびオキシモルホンを合わせた重量に対して、S−ナルトレキソンメトブロミドを少なくとも70%(w/w)、R−ナルトレキソンメトブロミドを少なくとも1%(w/w)、オキシモルホンを少なくとも1%(w/w)含有することになるが、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体は、0.25%(w/w)以下になる(その異性体のそれぞれで)。より典型的には、反応生成物の混合物は、反応生成物の混合物中(即ち、組成物中)のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体、およびオキシモルホンを合わせた重量に対して、典型的には、2%から5%(w/w)のオキシモルホンを、より典型的には2%から4%(w/w)のオキシモルホンを含む。反応生成物の混合物は、やはり典型的には、反応生成物の混合物中のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体、およびオキシモルホンを合わせた重量に対して、R−ナルトレキソンメトブロミドを5%から10%(w/w)、より典型的には6%から7%(w/w)含む。好ましい実施形態では、反応生成物の混合物は、反応生成物の混合物中(即ち、組成物中)のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体、およびオキシモルホンを合わせた重量に対して、0.15%(w/w)のナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体を(その異性体のそれぞれで)、より好ましくは0.1%(w/w)未満のナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体を(その異性体のそれぞれで)、さらにより好ましくは約0.05%から0.10%(w/w)のナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体を(その異性体のそれぞれで)含有する。反応生成物の混合物は、反応生成物の混合物中(即ち、組成物中)のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体、およびオキシモルホンを合わせた重量に対して、好ましくは少なくとも75%(w/w)のS−ナルトレキソンメトブロミドを、より好ましくは少なくとも80%(w/w)のS−ナルトレキソンメトブロミドを、さらにより好ましくは少なくとも85%のS−ナルトレキソンメトブロミドを含む。言い換えると、ある実施形態では、反応生生物の混合物におけるナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも150:1である。より好ましくは、これらの実施形態において、反応生成物の混合物中のナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも250:1(S−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)である。このように、例えば、反応生成物の混合物中のナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも500:1でよく、または少なくとも750:1でよく、または少なくとも1000:1(S−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)でよい。同様に、反応生成物の混合物中の、ナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、典型的には少なくとも5:1(R−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)である。より典型的には、反応生成物の混合物中の、ナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも10:1(R−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)である。さらにより典型的には、反応生成物の混合物中の、ナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも50:1(R−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)である。最後に、反応生成物の混合物中の、オキシモルホンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体の重量比は、典型的には少なくとも5:1(オキシモルホン:C(3)−O−シクロプロピルメチル)である。より典型的には、反応生成物の混合物中の、オキシモルホンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも10:1(オキシモルホン:C(3)−O―シクロプロピルメチル)である。さらにより典型的には、反応生成物の混合物中の、オキシモルホンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも50:1(オキシモルホン:C(3)−O―シクロプロピルメチル)である。組み合わせると、一実施形態では、反応生成物の混合物中の、ナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも150:1(S−異性体;C(3)−O―シクロプロピルメチル)であり、反応生成物の混合物中の、ナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも5:1(R−異性体;C(3)−O―シクロプロピルメチル)であり、反応生成物の混合物中の、オキシモルホンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも5:1(オキシモルホン;C(3)−O―シクロプロピルメチル)である。より典型的には、反応生成物の混合物中の、ナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも250:1(S−異性体;C(3)−O―シクロプロピルメチル)であり、反応生成物の混合物中の、ナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも10:1(R−異性体;C(3)−O―シクロプロピルメチル)であり、反応生成物の混合物中の、オキシモルホンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも5:1(オキシモルホン;C(3)−O―シクロプロピルメチル)である。さらにより典型的には、反応生成物の混合物中の、ナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも500:1(S−異性体;C(3)−O―シクロプロピルメチル)であり、反応生成物の混合物中の、ナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも50:1(R−異性体;C(3)−O―シクロプロピルメチル)であり、反応生成物の混合物中の、オキシモルホンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも5:1(オキシモルホン;C(3)−O―シクロプロピルメチル)である。
【0085】
最終的な反応生成物の混合物は、一般に、上述の化学種を含有する溶液またはスラリー(沈殿した材料を含んでよい)の形をとる。反応生成物の混合物(例えば、スラリーまたは溶液)は、そのような低レベルのナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体を含有するので、精製ステップが単純化される。このように、反応生成物の混合物から得られる結晶化生成物は、R−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、およびオキシモルホンに対して、比較的低いレベルのナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピメチル誘導体を含有することになる。例えば結晶化生成物は、結晶化生成物中(即ち、組成物中)のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体、およびオキシモルホンを合わせた重量に対して、典型的には、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体を0.25%(w/w)以下含有することになる(その異性体のそれぞれで)。より典型的には、結晶化生成物は、結晶化生成物中(即ち、組成物中)のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体、およびオキシモルホンを合わせた重量に対して、典型的には0.25%から1%(w/w)のオキシモルホンを、より典型的には0.5%から0.75%(w/w)のオキシモルホンを含む。結晶化生成物は、結晶化生成物中のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体、およびオキシモルホンを合わせた重量に対して、やはり典型的には、ナルトレキソンメトブロミドのR−異性体を1%から2%(w/w)、より典型的には1%から1.5%(w/w)含む。好ましい実施形態では、結晶化生成物は、結晶化生成物中(即ち、組成物中)のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体、およびオキシモルホンを合わせた重量に対して、0.15%(w/w)未満のナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体(その異性体のそれぞれで)を、より好ましくは0.1%(w/w)未満のナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体を(その異性体のそれぞれで)、さらにより好ましくは、約0.05%から0.10%(w/w)のナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体を(その異性体のそれぞれで)含有する。言い換えると、ある実施形態では、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも150:1(S−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)である。より好ましくは、これらの実施形態において、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも250:1(S−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)である。このように、例えば、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも500:1、または少なくとも750:1、または少なくとも1000:1(R−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)でよい。同様に、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、典型的には少なくとも2:1(R−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)である。より典型的には、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも5:1(R−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)である。さらにより典型的には、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも10:1(R−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)である。さらにより典型的には、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも15:1(R−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)である。最後に、結晶化生成物中のオキシモルホンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、典型的には少なくとも2:1(オキシモルホン:C(3)−O−シクロプロピルメチル)である。より典型的には、結晶化生成物中のオキシモルホンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも5:1(オキシモルホン:C(3)−O−シクロプロピルメチル)である。さらにより典型的には、結晶化生成物中のオキシモルホンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも10:1(オキシモルホン:C(3)−O−シクロプロピルメチル)である。組み合わせると、一実施形態において、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも150:1(S−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)であり、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも2:1(R−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)であり、結晶化生成物中のオキシモルホンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも2:1(オキシモルホン:C(3)−O−シクロプロピルメチル)である。より典型的には、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも250:1(S−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)であり、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも5:1(R−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)であり、結晶化生成物中のオキシモルホンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも2:1(オキシモルホン:C(3)−O−シクロプロピルメチル)である。さらにより典型的には、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのS−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも500:1(S−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)であり、結晶化生成物中のナルトレキソンメトブロミドのR−異性体とナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも10:1(R−異性体:C(3)−O−シクロプロピルメチル)であり、結晶化生成物中のオキシモルホンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体との重量比は、少なくとも2:1(オキシモルホン:C(3)−O−シクロプロピルメチル)である。
【0086】
より一般的に見ると、分析標準に対してHPLCにより評価した場合、上述の合成からの粗製生成物への反応生成物の混合物の精製は、約98%純度のN−アルキル生成物をもたらす。本明細書に記述される様々な方法および実施形態による保護および4級化反応混合物の処理の結果、本発明の組成物中のC(3)−O−アルキルモルフィナンアルカロイド不純物の濃度が、著しく低下する。上述の4級化生成物を含んでよい組成物は、最終的な生成物の混合物(即ち、粗製最終生成物の混合物、例えば、溶液に溶解したもの)および/または最終結晶化生成物(即ち、結晶形態をとる4級化生成物を含む固体)の両方を含む。特定の実施形態では、組成物は、最終の粗製生成物の混合物を含む。別の特定の実施形態では、組成物は、最初の結晶化のあとに、最終的な生成物の混合物を含む。
【0087】
したがって、本発明の別の態様は、式11Aに対応するC(3)−ヒドロキシ第4級N−置換モルフィナンアルカロイドを含む組成物であって、この組成物中の式11Aに対応するC(3)−ヒドロキシ第4級N−置換モルフィナンアルカロイドの量に対して式11Cに対応するC(3)−アルコキシアルカロイドが0.1%(w/w)以下のものである組成物であり、但し、式11Aおよび式11Cに対応するアルカロイドは、下記の構造を有する:
【0088】
【化12】

(式中、
Aは、−C(O)−、−C(S)−、−C(=CH)−、−CH(A)−、または−C(A)=であり、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;
は、アルキルであり、
は、ハロゲン化物、スルフェート、スルホネート、フルオロボレート、フルオロスルホネート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ヘキサクロロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェート、またはテトラフルオロボレートであり;
Yは、存在する場合には、水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
6および7位、7および8位、8および14位のぞれぞれの炭素原子間の破線は、(i)炭素間単結合;(ii)6および7位の間と8および14位の間の炭素間単結合、7および8位の間の二重結合;または(iii)6および7位と8および14位の間の共役炭素間二重結合を表し、但し、Yは、8および14位の炭素間に二重結合がある場合には、存在しないことを条件とする)。
【0089】
上述のように、本発明の組成物は、粗製最終生成物の混合物(即ち、任意の結晶化ステップの前)、初期結晶化後の最終的な生成物の混合物、または最終的な結晶化活性医薬品成分(例えば、最終形態をとるもの)を含んでよい。本発明の方法は、望ましくない不純物およびその他の化学種の存在が、任意の結晶化の前の粗製最終生成物の混合物段階で、著しく減少する点が、特に有利である。その後の結晶化ステップは、その既に望ましい低レベルよりも低い値にまで、そのような化学種のレベルをさらに低下させるのに役立てることができる。一実施形態では、組成物中に存在するC(3)−ヒドロキシ第4級N−置換モルフィナンアルカロイドが、ナルトレキソンメトブロミドである。
【0090】
上述のように、組成物は、全アルカロイド含量に対して、C(3)−O−アルキル第4級または第3級N−置換モルフィナンアルカロイド不純物を、約0.1%以下含む。例えば組成物は、全アルカロイド含量に対して、C(3)−O−アルキル第4級または第3級N−置換モルフィナンアルカロイド不純物を、約0.05%未満含んでよい。好ましくは組成物は、全アルカロイド含量に対して、C(3)−O−アルキル第4級または第3級N−置換モルフィナンアルカロイド不純物を、約0.01%以下含む。例えば組成物は、全アルカロイド含量に対して、C(3)−O−アルキル第4級または第3級N−置換モルフィナンアルカロイド不純物を、約0.005%未満含んでよい。より好ましくは、組成物は、全アルカロイド含量に対して、C(3)−O−アルキル第4級または第3級N−置換モルフィナンアルカロイド不純物を、約0.001%以下含む。例えば、組成物は、全アルカロイド含量に対して、C(3)−O−アルキル第4級または第3級N−置換モルフィナンアルカロイド不純物を、約0.0005%未満含んでよい。さらにより好ましくは、検出不可能な量のC(3)−O−アルキル第4級または第3級N−置換モルフィナンアルカロイド不純物が、組成物中に存在する。
【0091】
(定義)
本明細書で使用される「Ac」はアセチルを意味し、「Bn」はベンジルを意味し、「Bs」はブロシルを意味し、「Bz」はベンゾイルを意味し、「Ms」はメシルを意味し、「THP」はテトラヒドロピラニルを意味し、「Ts」はトシルを意味する。
【0092】
本明細書で使用される「無水溶媒」という用語は、好ましくは反応中に窒素ガス中に維持され取り扱われる、0.5重量%未満の水を含有する溶媒を指す。
【0093】
本明細書で使用される「炭化水素」および「ヒドロカルビル」という用語は、本質的に炭素および水素の元素のみからなる有機化合物または基を指す。これらの部分には、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール部分が含まれる。これらの部分は、アルカリール、アルケナリール、およびアルカニリールなど、その他の脂肪族または環状炭化水素基で置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール部分も含む。他に指示しない限り、これらの部分は1から20個の炭素原子を含むことが好ましい。
【0094】
本明細書に記述される「置換ヒドロカルビル」部分は、炭素鎖原子が窒素、酸素、ケイ素、リン、ホウ素、硫黄、またはハロゲン原子などのヘテロ原子で置換されている部分を含めた、炭素以外の少なくとも1個の原子で置換されたヒドロカルビル部分である。これらの置換基には、ハロゲン、ヘテロシクロ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、ケト、アシル、アシルオキシ、ニトロ、第3級アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、ケタール、アセタール、エステル、およびエーテルが含まれる。
【0095】
他に指示しない限り、本明細書に記述されるアルキル基は、主鎖に1から8個の炭素原子を含有する低級アルキルであることが好ましい。この基は、直鎖もしくは分岐鎖または環状でよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アリル、ベンジル、およびヘキシルなどが含まれる。
【0096】
他に指示しない限り、本明細書に記述されるアルケニル基は、好ましくは、主鎖に2から8個の炭素原子を含有し、最大20個の炭素原子を含有する低級アルケニルである。この基は、直鎖もしくは分岐鎖または環状でよく、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、およびヘキシルなどが含まれる。
【0097】
他に指示しない限り、本明細書に記述されるアルキニル基は、好ましくは、主鎖に2から8個の炭素原子を含有し、最大20個の炭素原子を含有する低級アルキニルである。この基は、直鎖もしくは分岐鎖でよく、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、およびヘキシニルなどが含まれる。
【0098】
単独でまたは別の基の一部として、本明細書で使用される「アリール」または「ar」という用語は、任意選択で置換された単素環式芳香族基、好ましくは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニル、または置換ナフチルなど、環部分に6から12個の炭素を含有する単環式または二環式基を指す。フェニルおよび置換フェニルは、より好ましいアリールである。
【0099】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用される「アシル」という用語は、例えばRC(O)−など、有機カルボン酸の基−COOHからのヒドロキシル基の除去によって形成された部分を指し、但し、RはR、RO−、RN−、またはRS−であり、Rはヒドロカルビル、ヘテロ置換ヒドロカルビル、またはヘテロシクロであり、Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルである。
【0100】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用される、「アシルオキシ」という用語は、酸素結合(−O−)を通して結合された上述のアシル基を指し、例えばRC(O)O−であり、但し、Rは、「アシル」という用語に関連して定義された通りである。
【0101】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用される「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、塩素、臭素、フッ素、およびヨウ素を指す。
【0102】
「ハロゲン化物」という用語は、フッ化物、塩化物、臭化物、またはヨウ化物イオンを指す。
【0103】
本明細書で使用される「麻酔薬」という用語は、中枢神経系を抑制しかつ適度な要領で使用したときに痛みを緩和する薬物を指す。
【0104】
本明細書で使用される「オピオイド」という用語は、痛みの感覚を低下させるよう中枢神経系に作用する、非オピウム由来(合成または天然に生ずる)の麻酔薬を指す。
【0105】
本発明について詳細に述べてきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく修正および変更が可能になることが、明らかであろう。
【0106】
以下の非限定的な実施例は、本発明をさらに例示するために示す。
【実施例】
【0107】
(試薬)
脱水ナルトレキソン塩基を、フェノール系C(3)−ヒドロキシド保護を必要としない実験で使用した。この塩基は、カールフィッシャー分析によって含水率が約2%になるまで真空乾燥した、塩酸ナルトレキソンから調製した。水和ナルトレキソン塩基(二水和物)を、フェノール系水酸化物の保護を必要とする実験で使用した。
【0108】
臭化水素(HBr)の瓶を−70℃に冷却し、1−メチル−2−ピロリジノン(N−メチルピロリドン;NMP)を−20℃にまで冷却した。HBr(13.01g;160mmol)をNMP(130ml)に添加し、溶液を室温に温めた。次いで溶液を、NMPで160.0mLに希釈して、NMPにHBrを溶かした1N溶液(HBr/NMP)を形成した。
【0109】
臭化メチル(MeBr;沸点4℃)が入っている瓶を、−10℃まで冷却した。MeBr(50.00mL)を注ぎ、計量した(88.53g;d=1.77g/mL)。臭化メチルを、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP){50.00mL;54.39g、−10℃}が入っている予備冷却した瓶に添加して、−10℃の約100mLの溶液(MeBr/NMP)を形成した。
【0110】
(比較例A)
ナルトレキソンメトブロミドの合成
比較N−メチル化は、WO2004/043964の実施例1に開示された一般的手順を大規模化した形態に従って、12.5Kgの無水ナルトレキソンをNMPに懸濁したバルク懸濁液(1.5体積当量(vol.equiv.))に1.5当量のMeBr/NMPを添加することによって行った。粗製ナルトレキソンメトブロミド生成物の収量は、9.43Kgであった。生成物の収率は、比較実施例Aで60.9モル%であり、副生成物12.6モル%が生成された。
【0111】
(実施例1)
ナルトレキソンメトブロミドの合成:MeBrの低速添加
1−メチル−2−ピロリジノン(N−メチルピロリジノン、NMP、150mL)を、3つ口1000mlフラスコに添加し、窒素流中で58℃に加熱した。ナルトレキソン塩基(100.00g、固体、2%の水を含有;287mmol)を添加した。漏斗をNMP 25mLで洗浄した。混合物は、加熱1時間後に懸濁液のままであった。
【0112】
MeBr/NMPの溶液(466mmol MeBr)50mLを、冷却システムを備えた予備冷却済みの滴下漏斗(−10℃)に移して、MeBrを−10℃から0℃の間の温度に維持した。窒素を凝縮器の最上部に通した。MeBr/NMP溶液を、漏斗からナルトレキソン/NMP懸濁液に1滴ずつ、30分間にわたり添加し、温度をこの時間にわたり58℃まで上昇させた。得られた混合物を、20分間で約55〜58℃に加熱して、溶液を形成し、窒素中で12時間撹拌しながら約65℃に加熱し続けた。65℃で2時間後に固形分が形成され始めた。反応混合物を室温に冷却することにより、濃厚な懸濁液が得られ、アセトン250mLを添加し、この混合物を1時間撹拌し、濾過した。固体を、25mLの一定分量のアセトンで2回洗浄し、55℃で真空乾燥して、粗製生成物92.26gが白色固体として得られた。濾液および洗浄液を合わせたものを収集し(液体452g)、未反応のナルトレキソンを回収した。
【0113】
(実施例2)
ナルトレキソンメトブロミドの合成:MeBrの低速添加
1−メチル−2−ピロリジノン(NMP、50mL)を、54℃に温めかつ窒素中でブランケット処理した3つ口250mLフラスコに添加した。2%の水を含有するナルトレキソン塩基40gを添加し、漏斗をNMP 10mLで洗浄した。混合物は、加熱の0.5時間後に懸濁液として残った。
【0114】
MeBr/NMP(93.2mmol MeBr)の溶液20mLを、冷却システムを備えた予備冷却済み滴下漏斗(−10℃)に移して、MeBrを−10から0℃の間に維持した。窒素を、水凝縮器の最上部(約20℃)に導入した。MeBr/NMP溶液の10ml分を、約56〜58℃で15分にわたり、懸濁液に1滴ずつ添加した。得られた混合物を、窒素中でさらに30分間、約56〜58℃で加熱した。固体基質のほとんどは、この時点で溶解した。残されたMeBr/NMP溶液を、約56〜58℃で10分間にわたり、反応混合液に1滴ずつ添加し、撹拌をさらに10分間、約57℃で維持した後、約63〜65℃で12時間さらに加熱した。この期間の後、懸濁液を室温に冷却し、4時間撹拌した。アセトン90mLを反応混合物に添加し、放熱した。混合物を1時間撹拌し、室温に冷却し、次いで濾過した。固体を10mLの一定分量のアセトンで4回洗浄し、55℃で19時間真空乾燥することにより、粗製生成物40.22gが白色固体として得られた。洗浄液を合わせたもの(母液、177.5mL)を収集し、未反応のナルトレキソンの回収に用いた。
【0115】
(実施例3)
ナルトレキソンメトブロミドの合成:MeBrの低速添加;およびアセトンの代わりにクロロホルムを使用
1−メチル−2−ピロリジノン(NMP、25mL)を、3つ口250mLフラスコに添加し、窒素中で57℃に加熱した。ナルトレキソン塩基20g(2%の水を含有)を、漏斗を介して添加し、漏斗を、NMP 5mLで洗浄した。混合物は、30分間加熱した後に懸濁液のままであった。
【0116】
MeBr/NMP(93.2mmol MeBr)の10mL溶液を、冷却システムを備えた予備冷却済みの滴下漏斗(−10℃)に移して、MeBr溶液を0℃よりも低く維持した。窒素スイープを、取着した水冷凝縮器の最上部(約20℃)に導入し、MeBr/NMP溶液約7mLを、約56〜58℃で15分にわたり、1滴ずつ懸濁液に添加した。得られる混合物を、窒素中で約56〜58℃で30分間加熱し、その時間内で、固体のほとんどを溶解した。残留するMeBr/NMP溶液を、約56〜58℃で10分間にわたり、反応混合物中に1滴ずつ添加し、撹拌をさらに10分間継続し、その後、約63〜65℃で、窒素中で12時間加熱した。沈殿物が、2〜3時間後に形成された。12時間の終わりに、懸濁液を室温に冷却し、撹拌をさらに4時間継続した。
【0117】
反応混合物に、CHCl 45mLを添加した。添加は発熱性であり、混合物の温度は、室温から35℃に上昇した。次いで混合物を、1時間撹拌しながら室温に冷却し、その後、固体懸濁液を濾過によって分離し、10mL分のCHClで3回洗浄し、55℃で19時間真空乾燥して、粗製生成物19.55gが白色固体として得られた。合わせた濾液および洗浄液を収集し(母液、84.5ml)、未反応のナルトレキソン塩基の回収に用いた。
【0118】
(実施例4)
HBrの存在下でのナルトレキソンメトブロミドの合成:MeBrの低速添加およびアセトンの代わりのクロロホルムの使用
1−メチル−2−ピロリジノン(NMP、33.3mL)およびナルトレキソン塩基15g(2%の水を含有する)を、窒素中で3つ口250mLフラスコに添加した。1.00N HBr/NMPの溶液11.7mLおよびt−BuOH 14mLを添加した。溶液を約54℃に加熱し、余分な25.00gのナルトレキソン塩基(2%の水を含有)を漏斗を介して添加し、漏斗をNMP 10mLで洗浄した。最終混合物は、30分間加熱した後に、懸濁液として残った。
【0119】
MeBr/NMPの一定分量20mL(186.4mmol MeBr)を、冷却システムを備えた予備冷却滴下漏斗(−10℃)に移して、MeBrを0℃よりも低く維持した。窒素を、取着された水冷凝縮器の最上部(約20℃)に導入した。MeBr/NMP溶液13mLを1滴ずつ、約55〜57℃で15分にわたり懸濁液に添加した。得られる混合物を、窒素中、約55〜57℃でさらに30分間加熱して、透明な溶液を形成した。残りのMeBr/NMP溶液を、1滴ずつ、約55〜57℃で10分間にわたり反応混合物に添加し、さらに10分間撹拌し、次いで約61〜63℃で19時間加熱した。得られた懸濁液を室温に冷却し、4時間撹拌し、クロロホルム90mLを添加することにより、放熱が生じた。室温に冷却しかつ約1時間撹拌した後、固形分を濾過によって分離し、10mL分のクロロホルムで4回洗浄し、約55℃で19時間真空乾燥した。これにより、粗製生成物38.58gが白色固体として得られた。合わせた洗浄液を収集し(母液、166.5mL)、未反応のナルトレキソンの回収に用いた。
【0120】
実施例1〜4および比較例の結果の考察
上述の例のそれぞれでは、最終反応混合物の成分をHPLCにより分析し、その結果を表にした;表1および3と、スキーム3を参照されたい。特定された成分は、下記の通り分類される:
(1)Nal−MeBr=ナルトレキソンメトブロミド、所望の生成物;
(2)Nal=ナルトレキソン=再生可能な出発材料;および
(3)その他の副生成物=Nal−MeBr−異性体、MeO−Nal、MeO−Nal−MeBr;再生可能ではない。
【0121】
【化13】

表3の実施例1〜3に関して記入されたデータは、MeBr/NMPを10〜30分にわたってゆっくりと添加することによって、ナルトレキソンメトブロミドの収率が約68から79%に増加することを示す。
【0122】
表3の実施例4に関する記入は、酸(0.1当量、HBr)の添加の作用を表す。この試薬を組み込むことにより、生成物(ナルトレキソンメトブロミド)の収率が約77.5%に増大し、副生成物が約5.1%に低下した。HBrを添加すると、ナルトレキソンのC(3)ヒドロキシド(フェノール系ヒドロキシド)のイオン化が抑制されて、Nal(スキーム4参照)が形成され、それによって、MeBrに対するC(3)ヒドロキシドの化学反応性が低下する。さらに、反応系への強無水の酸(HBr)を添加することにより、無水ナルトレキソンの代わりの出発材料として、部分水和ナルトレキソン(ナルトレキソン・2HO)の使用が可能になり、それによって、ナルトレキソンの脱水に関連した加工コストが削減される。追加の反応ステップは、水和物(ナルトレキソン・2HO)から無水ナルトレキソンを調製するのに必要であるので、HBrの添加は加工コストを低下させることができる。
【0123】
【化14】

C(3)−O−メチル副生成物約13モル%が、比較例Aでは生じた。実施例1〜3では、C(3)−O−メチル副生成物が、約3分の1から5分の1に減少する。実施例1〜3のプロセス改善を組み込んだ実施例4では、4級化生成物、ナルトレキソンメトブロミドの収率および純度の増加が観察された(表2にまとめたものを参照されたい)。
【0124】
実施例1〜3の手順は、
(i)MeBr/NMPの添加が遅いこと;
(ii)約55〜58℃でナルトレキソンのNMP溶液(2%の水を含有)へのMeBr/NMPの温度(添加中は0℃から−10℃に維持される)が低下すること;および
(iii)反応時間が10から12時間に延びること
が、比較例Aの場合とは異なっている。
【0125】
実施例1〜3の方法は、比較例Aの方法に比べ、生成物、ナルトレキソンメトブロミド(Nal−MeBr)のより高いモルパーセンテージをもたらした。実施例4では、0.1当量のHBrも反応混合物中に添加した。増大した水素イオン(H)濃度は、副生成物、例えばO−メチルナルトレキソンおよびO−メチルハルトレキソンメトブロミドの形成を抑制することが見出され、したがって、粗製生成物の純度が改善された。
【0126】
【表1】

【0127】
【表2】

【0128】
【表3】

(実施例5)
C(3)−アセトキシナルトレキソンの合成
脱イオン水(600mL)およびナルトレキソン塩基(90g、0.26モル(mol))を、機械式撹拌子、添加漏斗、および熱電対を備えた2Lの3つ口丸底フラスコ内で混合した。トルエン(300mL)を添加し、混合物を窒素雰囲気中で5分間撹拌し、次いでNaOH(0.26モル)を、10%w/w水溶液として、添加漏斗を介して10分間にわたり添加した。21.5℃から22.6℃への温度上昇が観察された。次いで得られた溶液を15分間撹拌し(全ての固体が溶解した)、無水酢酸(29.61g、0.29モル)を15分間にわたり添加し、温度を27.1℃に上昇させた。次いで得られた混合物を15分間撹拌し、pHを、NaOHの10重量%溶液(24.2g、0.06モル)で6.55から10.15に調節した。混合物を10分間撹拌し、層を分離し、水層をトルエン(100mL)で1回抽出した。次いで合わせた有機層を、Whatmanガラスマイクロファイバーフィルタ(GF/A、90mm)に通して濾過し、得られた濾液を、そのままの状態で静置して、水のさらなる分離に用いた。残留する水を回収し、C(3)−アセトキシナルトレキソン/トルエン溶液を得た(459.8g)。溶液を減圧下で濃縮することにより、コハク/黄色の油が得られ、次いでこれをNMPに溶解することにより、生成物の30.0重量%が調製された。
【0129】
(実施例6)
ナルトレキソンメトブロミドの合成
研磨ガラス撹拌シャフト、機械式撹拌子、還流凝縮器、圧力マニホールド、サーモウェル、および1/8”ID MeBr添加ラインを備えた、1Lの5つ口ジャケット付き圧力反応器に、C(3)−アセトキシナルトレキソンのNMP溶液(30%wt/wt溶液732.2g、0.57モル)を添加した。次いで臭化メチル(107.9g、1.14モル)を、1時間にわたり強く撹拌しながら表面下添加を介して添加した。反応器に添加したMeBrの量は、MeBrレクチャーボトルの初期および最終重量の差によって、確認された。添加中、反応集団の温度は20.8℃から32.9℃(黄色溶液)に上昇し、最大圧力3〜4psiが観察された。適切な量のMeBrを添加した後、反応器のヘッドスペースを空にし、MeBrで2回再加圧し(約2psiに)、その後、60℃に加熱した。60℃で、圧力2〜4psiが観察された。反応混合物を一晩(15時間)撹拌し、圧力は観察されなかった(黄色溶液が得られた)。水性HBr(1.0当量、0.57モル、48重量%が96.58g)をゆっくりと、60℃で30分間にわたり添加した。HBr添加中に発生した気状臭化メチルを捕捉するために、NMPに反応器を曝した。添加中、反応温度は63.7℃に上昇した。次いで反応温度は1.5時間にわたって80℃に上昇し、臭化メチルの発生が停止した。混合物を80℃で2時間撹拌し、沈殿を観察した。80℃で5時間後、スラリーを、HPLCによって分析し、少量のC(3)−アセトキシナルトレキソンメトブロミドが観察された(<0.5面積%)。次いで混合物を、ガラス撹拌シャフト、機械式撹拌子、還流凝縮器、および熱電対を備えた2Lの3つ口丸底フラスコに、窒素雰囲気中で移した。混合物を56.2℃に冷却し、メタノール(512.5g、1.0重量当量、投入したNMPの量に対して)を素早く添加した。温度は41.2℃に素早く低下し、次いでナルトレキソンメトブロミドの結晶化により42.5℃に上昇した。次いでスラリーを、30分にわたって29.7℃に冷却し、次いで氷浴中で5〜10℃に冷却した。スラリーを、5〜10℃で1時間撹拌し、濾過し、生成物を冷メタノール(319mL、1.45mL/g C(3)−アセトキシナルトレキソン、212.5gのナルトレキソンメトブロミドと仮定すれば(全収率85%))で洗浄することにより、白色固体236.1gが得られた。粗製生成物をHPLCによって分析した。この実施例を、さらに2回繰り返し、その結果を表4にまとめる。固体生成物用のHPLCアッセイデータは、2つの個別の注入の平均である。
【0130】
【表4】

(実施例7)
ナルトレキソンメトブロミドの再結晶化
水の(15.82mL、1.58mL水/gナルトレキソンメトブロミオ)およびメタノール(33.47mL、3.35mLメタノール/gナルトレキソンメトブロミド)の混合物を混合し、ガラス撹拌シャフト、機械式撹拌子、還流凝縮器、および熱電対を備えた100mLの3つ口丸底フラスコ内で、窒素雰囲気中で60℃に加熱し、固体ナルトレキソンメトブロミド(10.00g、22.92mmol)を添加した。15分後、固体が溶解し、水性HBr(48%溶液が0.93g、5.5mmol、24モル%))を添加することにより、1.63mL水/gナルトレキソンメトブロミドおよび3.52mLメタノール/gナルトレキソンメトブロミドからなる水性メタノール混合物が得られる。加熱マントルを除去し、混合物を、ゆっくりと室温に冷却した。結晶化は、48℃で観察された。混合物を、1時間にわたり25℃に冷却し、次いで氷浴内で5〜10℃に冷却し、2時間撹拌し、濾過し、固体を冷メタノール(15mL、1.5mL/gナルトレキソンメトブロミド)で洗浄した。次いで固体をブフナー漏斗上で15分間乾燥することにより、ナルトレキソンメトブロミド10.84gが、メタノールで汚染された白色固体として得られた。生成物をHPLCにより分析した。固体生成物に関するHPLCアッセイデータは、1つの個別の注入の平均である。いくつかの実験の結果を、表5にまとめる。
【0131】
【表5】

(実施例8)
メチルナルトレキソンブロミドの調製
メチルナルトレキソンブロミド(R−MNTX)。ナルトレキソン塩基(110Kg@100.0%、323モル)およびUSP精製水(330Kg、3.00Kg/Kgナルトレキソン塩基、87gal、0.79gal/Kgナルトレキソン塩基)の混合物に、50%NaOH(25.7Kg、0.234Kg/Kgナルトレキソン塩基)を添加した。トルエン(288Kg、2.62Kg/Kgナルトレキソン塩基)を水層に添加した。混合物を撹拌し、無水酢酸(37.8Kg、0.344kg/kgナルトレキソン塩基)を添加した。次いで得られた混合物を撹拌し、pHを、50%NaOH(7.59Kg、0.069Kg/Kgナルトレキソン塩基)で9.5〜10.5に調節した。無水酢酸(36.7Kg、0.030Kg/Kgナルトレキソン塩基)を添加し、混合物を撹拌し、pHを、50%NaOH(5.06Kg、0.046Kg/Kgナルトレキソン塩基)で9.5〜10.5に調節した。混合物を静置し、層を分離した。水層をトルエン(45.5Kg、0.414Kg/Kgナルトレキソン塩基)で抽出し、層を分離した。有機層を合わせ、水層を廃棄した。pH9.0、0.375Mリン酸緩衝溶液(165Kg、1.5Kg/Kgナルトレキソン塩基)は、85%HPO(0.0527Kg/Kgナルトレキソン塩基)5.80Kg、50%NaOH(0.0854Kg/Kgナルトレキソン塩基)9.39Kg、およびDI水(1.36Kg/Kgナルトレキソン塩基)150Kgを混合することによって調製した。次いで合わせたトルエン層を、pH9.0のリン酸緩衝液(165Kg、1.5Kg/Kgナルトレキソン塩基)で洗浄した。層を分離し、トルエン層を濃縮した。真空を窒素で中断し、無水酢酸(330g、0.003Kg/Kg)を添加した。混合物を50〜55℃で撹拌した。再び真空にし、残りのトルエンを蒸留によって除去した。真空を窒素で中断し、1−メチル−2−ピロリジノン(268Kg、2.44Kg/Kgナルトレキソン塩基)を添加した。混合物を60分間撹拌し、室温に冷却することにより、3−アセチルナルトレキソンのNMP溶液が得られた。次いで臭化メチル(61.2Kg、0.556Kg/Kgナルトレキソン塩基)を、強く撹拌しながら添加した。反応混合物を60〜65℃で撹拌して、溶液を得た。反応終了を、HPLC分析を介して確認した。33%HBr/HOAc(w/w)溶液(19.8Kg、0.180Kg/Kgナルトレキソン塩基)を添加した。混合物を約60℃で撹拌した。水性48%HBr(54.3Kg、0.494Kg/Kgナルトレキソン塩基)を60℃で添加した。次いで混合物を約80℃で撹拌し、約55℃に冷却した。メタノール(288Kg、2.62Kg/Kgナルトレキソン塩基)を約55℃で添加し、スラリーを10℃に冷却し、5〜10℃で撹拌し、生成物をメタノール(220Kg、2.0Kg/Kgナルトレキソン塩基)で洗浄することにより、白色の結晶性固体が得られた。粗製メチルナルトレキソンブロミド生成物の純度は、HPLCアッセイ法により確認され、再結晶のための後続の原材料投入は、100%を基に生成物の重量を用いることによって計算した。
【0132】
水(1.58Kg/Kgメチルナルトレキソンブロミド@100%)およびメタノール(2.78Kg/Kgメチルナルトレキソンブロミド@100%)の混合物に、粗製メチルナルトレキソンブロミドを添加した。混合物を、窒素雰囲気中で60〜65℃に加熱し、溶液が得られた。溶液を濾過し、水性48%HBr(0.094kg/kgメチルナルトレキソンブロミド@100%)を添加した。混合物を10℃に冷却し、濾過し、固体をメタノール(1.2Kg/Kgメチルナルトレキソンブロミド@100%)で洗浄した。生成物を70〜75℃で乾燥することにより、白色の結晶性固体100Kgが得られた。
【0133】
本発明またはその好ましい実施形態の要素を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、その要素の1つまたは複数があることを意味するものとする。「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、包括的であるものとし、列挙された要素以外の追加の要素が存在してよいことを意味する。
【0134】
上記事項を考慮すると、本発明のいくつかの目的が達成され、その他の有利な結果が得られることがわかる。
【0135】
上記方法およびプロセスには、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を加えることができるので、上述の説明に含まれる全ての事項は、例示として解釈すべきであり、限定を意味するものではないとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質とアルキル化剤とを無水溶媒系中で合わせて、前記第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質の第4級誘導体および任意の未反応の第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質を含有する反応生成物の混合物を形成するステップであって、前記溶媒系が、無水非プロトン性双極性溶媒を含み、前記非プロトン性双極性溶媒が、前記溶媒系の少なくとも25重量%を構成しているステップと;(ii)非可溶化溶媒を前記反応生成物の混合物に添加して、前記第4級誘導体を沈殿させるステップとを含む、第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体を調製するための方法であって、前記第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質は式1の構造を有し、前記第4級誘導体は式1Aの構造を有する方法
【化15】

(式中、
Aは、−C(O)−、−C(S)−、−C(=CH)−、−CH(A)−、または−C(A)=であり、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ハロゲン化物、スルフェート、スルホネート、フルオロボレート、フルオロスルホネート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ヘキサクロロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェート、またはテトラフルオロボレートであり;
Yは、存在する場合には、水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
Zは、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
6および7位、7および8位、8および14位の炭素原子の間の破線は、それぞれ、(i)炭素間単結合、(ii)6および7位の間と8および14位の間の炭素間単結合と、7および8位の間の二重結合、または(iii)6および7位の間と8および14位の間の共役炭素間二重結合を表し、但し、Yは、8および14位の炭素間が二重結合である場合、存在しないことを条件とする)。
【請求項2】
前記非可溶化溶媒が、水に対してよりも1−メチル−2−ピロリジノンに対してより混和性があり、1気圧25℃の水中で約30重量%未満の溶解度を有し;前記第4級誘導体が、前記非可溶化溶媒中、1気圧25℃で、約5重量%未満の溶解度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非可溶化溶媒には、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、酢酸プロピル、クロロベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、またはメチルブチルケトンが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アルキル化剤が臭化メチルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記アルキル化剤および前記基質が、それぞれ約1:1から1.5:1のモル比で存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
(i)第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質と、アルキル化剤とを、無水溶媒系中で合わせて、前記第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質の第4級誘導体および任意の未反応の第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質を含有する反応生成物の混合物を形成するステップであって、前記溶媒系が、無水非プロトン性双極性溶媒を含み、前記非プロトン性双極性溶媒が、前記溶媒系の少なくとも25重量%を構成しているステップと、(ii)無水の酸を前記反応生成物の混合物に添加して、C(3)ヒドロキシ置換基のイオン化およびC(3)アルコキシ副生成物の生成を抑制するステップとを含む、C(3)ヒドロキシ置換基を有する第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体を調製するための方法であって、前記第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質が式11の構造を有し、前記第4級誘導体が式11Aの構造を有する方法
【化16】

(式中、
Aは、−C(O)−、−C(S)−、−C(=CH)−、−CH(A)−、または−C(A)=であり、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ハロゲン化物、スルフェート、スルホネート、フルオロボレート、フルオロスルホネート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ヘキサクロロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェート、またはテトラフルオロボレートであり;
Yは、存在する場合には、水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
6および7位、7および8位、8および14位の炭素原子の間の破線は、それぞれ、(i)炭素間単結合、(ii)6および7位の間と8および14位の間の炭素間単結合と、7および8位の間の二重結合、または(iii)6および7位の間と8および14位の間の共役炭素間二重結合を表し、但し、Yは、8および14位の炭素間が二重結合である場合、存在しないことを条件とする)。
【請求項7】
前記無水の酸が、鉱酸、強鉱酸の酸塩、有機酸、事前に形成されたアルカロイド酸塩、またはこれらの組合せである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記無水の酸が、無水のHBr、HCl、HSO、NaHSO、NaHPO、またはNaHPOである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記無水の酸がHBrガスである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
無水の酸と基質との当量比が、約0.01:1から0.25:1である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記アルキル化剤がメチル化剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記アルキル化剤が、臭化メチル、硫酸ジメチル、フルオロスルホン酸メチル、フルオロホウ酸トリメチルオキソニウム、ヘキサクロロアンチモン酸トリメチルオキソニウム、ヘキサフルオロリン酸トリメチルオキソニウム、またはトリフルオロメタンスルホン酸メチルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アルキル化剤および前記基質が、それぞれ約1:1から1.5:1のモル比で存在する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
無水双極性非プロトン性溶媒に溶解した3当量未満のアルキル化剤の溶液を、無水溶媒系に溶解した第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質に添加して、前記第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質の第4級誘導体および任意の未反応の第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質を含有する反応生成物の混合物を形成し、但し、前記アルキル化剤を添加する速度が、前記反応混合物中の基質の濃度に対して1分当たりかつ基質1当量当たりのアルキル化剤が0.02当量未満であるステップを含む、第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体を調製するための方法であって、前記アルキル化剤の溶液は、約0℃よりも低い温度で維持され、約50℃から約85℃の間の温度で前記反応混合物に添加されて、C(3)ヒドロキシドでのO−アルキル化が10%未満に制限されるように、かつアルキル化剤の蒸発損失が阻止されるようになされており、前記第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質が式1の構造を有しており、前記第4級誘導体が式1Aの構造を有する方法
【化17】

(式中、
Aは、−C(O)−、−C(S)−、−C(=CH)−、−CH(A)−、または−C(A)=であり、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ハロゲン化物、スルフェート、スルホネート、フルオロボレート、フルオロスルホネート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ヘキサクロロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェート、またはテトラフルオロボレートであり;
Yは、存在する場合には、水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
Zは、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
6および7位、7および8位、8および14位の炭素原子の間の破線は、それぞれ、(i)炭素間単結合、(ii)6および7位の間と8および14位の間の炭素間単結合と、7および8位の間の二重結合、または(iii)6および7位の間と8および14位の間の共役炭素間二重結合を表し、但し、Yは、8および14位の炭素間が二重結合である場合、存在しないことを条件とする)。
【請求項15】
前記アルキル化剤が、約45℃の温度で前記双極性非プロトン性溶媒に溶解し、約55℃から85℃の間の温度で前記反応混合物に添加される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記アルキル化剤溶液が前記反応混合物に添加され、添加する平均速度が、1分当たりの基質1当量当たり、約0.01から0.02当量のアルキル化剤である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記アルキル化剤が、1−メチル−2−ピロリジノンに溶解した臭化メチルである、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記アルキル化剤および前記基質が、それぞれ約1:1から1.5:1の当量比で存在する、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記反応生成物の混合物に非可溶化溶媒を添加して、第4級誘導体を沈殿させるステップであって、前記第4級誘導体は、前記非可溶化溶媒中で約5重量%未満の溶解度を有するステップをさらに含む、請求項6から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
無水の酸がHBrガスであり、前記非可溶化溶媒がクロロホルムである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記反応生成物の混合物に非可溶化溶媒を添加して、前記第4級誘導体を沈殿させるステップであって、前記第4級誘導体は、前記双極性非プロトン性溶媒中よりも非可溶化溶媒中で低い溶解度を有するステップをさらに含む、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
双極性非プロトン性溶媒に溶解した3当量未満のアルキル化剤を、無水溶媒系に溶解した第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質に添加して、前記第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質の第4級誘導体および任意の未反応の第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質を含有する反応生成物の混合物を形成するステップであって、前記アルキル化剤を添加する平均速度が、1分当たりの基質1当量当たり、0.02当量未満のアルキル化剤であるステップをさらに含む、請求項6から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記無水の酸がHBrガスであり、約1.0から1.5当量のMeBrが添加され、添加平均速度が1分当たりの基質1当量当たり、約0.1当量のMeBrである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
(i)無水の酸を前記反応混合物に添加して、生成物の形成を高めかつ前記基質がC(3)ヒドロキシ置換基を含有する場合には副生成物を阻害するステップと;(ii)非可溶化溶媒を前記反応生成物の混合物に添加して、前記第4級誘導体を沈殿させるステップであって、前記第4級誘導体が、前記双極性非プロトン性溶媒中よりも前記非可溶化溶媒中で低い溶解度を有するステップとをさらに含む、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記無水の酸がHBrガスであり、前記非可溶化溶媒がクロロホルムである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質が、ナルトレキソン((5α)−17−(シクロプロピルメチル)−4,5−エポキシ−3,14−ジヒドロキシモルフィナン−6−オン)、オキシモルホン((5α)−4,5−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、オキシコドン((5α)−4,5−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、ヒドロモルホン((5α)−4,5−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、ナロキソン((5α)−4,5−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−(2−プロペニル)モルフィナン−6−オン)、ナルメフェン((5α)−17−(シクロプロピルメチル)−4,5−エポキシ−6−メチレンモルフィナン−3,14−ジオール)、ナルブフィン((5α)−17−(シクロブチルメチル)−4,5−エポキシモルフィナン−3,6,14−トリオール)、テバイン((5α)−6,7,8,14−テトラデヒドロ−4,5−エポキシ−3,6−ジメトキシ−17−メチルモルフィナン)、またはオリパビン((5α)−6,7,8,14−テトラヒドロ−4,5−エポキシ−6−メトキシ−17−メチルモルフィナン−3−オール)である、請求項1、6、および14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
1.25気圧未満の圧力で実施される、請求項1、6、および14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記非プロトン性双極性溶媒が、前記溶媒系の少なくとも75重量%を構成する、請求項1、6、および14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記非プロトン性双極性溶媒が1−メチル−2−ピロリジノンである、請求項1、6、および14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
YおよびZが、独立に、−OCH、−OAc、−OTHP、−OSiR、−OBn、−OBz、−OBs、−OTs、または−OMsであり、但し、各Rは独立にヒドロカルビルである、請求項1、6、および14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記無水溶媒系が、0.2%未満の水を含有し、反応容器内で水分を含まない雰囲気中に維持される、請求項1、6、および14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記無水溶媒系が0.05重量%未満の水を含有する、請求項1、6、および14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記無水双極性非プロトン性溶媒および前記基質が、それぞれ1.5:1から1.75:1の体積対重量比で存在する、請求項1、6、および14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記反応が、55〜85℃の温度範囲で実施される、請求項1、6、および14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記第3級モルフィナンアルカロイド基質が式3によって表され、生成物が式3Aによって表される、請求項1、6、および14のいずれか一項に記載の方法
【化18】

(式中、
Aは、−C(O)−、−C(S)−、−C(=CH)−、または−CH(A)−であり、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ハロゲン化物であり、
Yは、水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
Zは、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシである)。
【請求項36】
前記第3級モルフィナンアルカロイド基質が、モルフィン((5α,6α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−17−メチルモルフィナン−3,6−ジオール)、コデイン((5α,6α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン−6−オール)、コデイノン((5α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、14−ヒドロキシ−コデイノン((5α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、14−ヒドロキシモルフィノン((5α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、またはモルフィノン((5α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
(i)C(3)−O−保護第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質と、アルキル化剤とを、約2気圧未満の圧力で、無水溶媒系中で合わせて、C(3)−O−保護第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質の第4級誘導体および任意の未反応の第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質を含有する反応生成物の混合物を形成するステップであって、前記溶媒系が、無水非プロトン性双極性溶媒を含み、前記非プロトン性双極性溶媒が、前記溶媒系の少なくとも25重量%を構成しているステップと、(ii)非可溶化溶媒を反応生成物の混合物に添加して、第4級誘導体を沈殿させるステップであって、前記第4級誘導体が、双極性非プロトン性溶媒におけるよりも非可溶化溶媒中で低い溶解度を有するステップとを含み、C(3)−O−保護第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質が式111の構造を有し、第4級誘導体が式111Aの構造を有する、保護C(3)ヒドロキシ置換基を有する第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体を調製するための方法
【化19】

(式中、
Aは、−C(O)−、−C(S)−、−C(=CH)−、−CH(A)−、または−C(A)=であり、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
PGは、ヒドロキシ保護基であり;
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ハロゲン化物、スルフェート、スルホネート、フルオロボレート、フルオロスルホネート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ヘキサクロロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェート、またはテトラフルオロボレートであり;
Yは、存在する場合には、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
6および7位、7および8位、8および14位の炭素原子の間の破線は、それぞれ、(i)炭素間単結合、(ii)6および7位の間と8および14位の間の炭素間単結合と、7および8位の間の二重結合、または(iii)6および7位の間と8および14位の間の共役炭素間二重結合を表し、但し、Yは、8および14位の炭素間が二重結合である場合、存在しないことを条件とする)。
【請求項38】
式111のC(3)−O−保護第3級モルフィナンアルカロイドが、式11のC(3)−OHモルフィナンアルカロイドと保護剤PG−Lとを反応させることによって生成され、但し、PGは保護基であり、Lは対応する対イオンまたは脱離基である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
PGには、メチル、エチル、プロパルギル、ベンジル、アセチル、トリチル、シリル、メトキシメチル、1−エトキシエチル、ベンジルオキシメチル、(β−トリメチルシリルエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、トリチル、t−ブチル(ジフェニル)シリル、トリアルキルシリル、トリクロロメトキシカルボニル、および2,2,2−トリクロロエトキシメチルが含まれる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
PGがアセチルである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
保護反応が、水性媒体中で、またはトルエン、クロロホルム、クロロメタン、クロロベンゼン、アセトンジメチルホルムアミド、またはこれらの組合せの中で、かつ重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、重炭酸カリウム、またはピリジンを含む塩基の存在下で実施される、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
無水酢酸による保護が、水/トルエン混合物および水酸化ナトリウム中で実施される、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
加水分解によって、式111Aの前記C(3)−O−保護第4級モルフィナンアルカロイドから前記C(3)−O保護基を除去することにより、式111Bの生成物を得るステップをさらに含む、請求項37に記載の方法
【化20】


【請求項44】
(i)式11に該当するC(3)−OH−モルフィナンアルカロイドと保護剤、PG−Lとを反応させることによって、式111に該当するC(3)−O−保護第3級モルフィナンアルカロイドを発生させるステップと;
(ii)発生した前記C(3)−O−保護第3級N−置換モルフィナンアルカロイドを単離するステップと;
(iii)単離した前記C(3)−O−保護第3級N−置換モルフィナンアルカロイドと、アルキル化剤とを、無水溶媒系中で合わせて、反応生成物の混合物を形成するステップであって、前記反応生成物の混合物は、前記C(3)−O−保護第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質のC(3)−O−保護第4級誘導体および任意の未反応のC(3)−O−保護第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質を無水溶媒系中に含有しており、前記無水溶媒系は、非プロトン性双極性溶媒を含み、前記非プロトン性双極性溶媒は、前記溶媒系の少なくとも25重量%を構成しており、前記C(3)−O−保護第4級誘導体は、式111Aに該当しているステップと;
(iv)前記C(3)−O−保護第4級誘導体を、前記反応生成物の混合物から単離するステップと;
(v)単離した前記C(3)−O−保護第4級誘導体から保護基を除去して、式11Aに該当するC(3)−ヒドロキシ置換基を有する第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体を得るステップとを含み、式11、11A、111、および111Aが下記の構造を有する、C(3)−ヒドロキシ置換基を有する第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体を調製するための方法
【化21】

(式中、
Aは、−C(O)−、−C(S)−、−C(=CH)−、−CH(A)−、または−C(A)=であり、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
PGは、ヒドロキシ保護基であり、
Lは、ヒドロキシ保護基の対イオンであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ハロゲン化物、スルフェート、スルホネート、フルオロボレート、フルオロスルホネート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ヘキサクロロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェート、またはテトラフルオロボレートであり;
Yは、存在する場合には、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
6および7位、7および8位、8および14位の炭素原子の間の破線は、それぞれ、(i)炭素間単結合、(ii)6および7位の間と8および14位の間の炭素間単結合と、7および8位の間の二重結合、または(iii)6および7位の間と8および14位の間の共役炭素間二重結合を表し、但し、Yは、8および14位の炭素間が二重結合である場合、存在しないことを条件とする)。
【請求項45】
PGは、メチル、エチル、プロパルギル、ベンジル、アセチル、トリチル、シリル、メトキシメチル、1−エトキシエチル、ベンジルオキシメチル、(β−トリメチルシリルエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、トリチル、t−ブチル(ジフェニル)シリル、トリアルキルシリル、トリクロロメトキシカルボニル、および2,2,2−トリクロロエトキシメチルである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
PGがアセチルである、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記C(3)−ヒドロキシ保護反応が、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、もしくはその類似体などの塩基の存在下、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、もしくはジメチルホルムアミドを含む溶媒中で;または、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、ピリジン、もしくはトリエチルアミンなどの塩基の存在下、水性媒体もしくはジメチルホルムアミド中で実施される、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記C(3)−ヒドロキシ保護剤が無水酢酸であり、前記反応が、水/トルエン混合物および水酸化ナトリウム中で実施される、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記C(3)−O保護基が、酸または塩基中での加水分解によって、式111Aの前記C(3)−O−保護第4級モルフィナンアルカロイドから除去されることにより、式11Aの生成物が得られる、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記酸がHBrである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記アルキル化剤が臭化メチルである、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
(i)(A)第3級N−置換モルフィナンアルカロイドを、水および水に混和しない溶媒を含む2相の第1の溶媒系中で保護基前駆体で処理することにより、前記第3級N−置換モルフィナンアルカロイドのC(3)−保護ヒドロキシ誘導体および前記水に混和しない溶媒を有機層中に含み、かつ保護基前駆体、第3級N−置換モルフィナンアルカロイド、および水を水層中に含む、第1の反応生成物の混合物を形成するステップと;
(B)前記水層から前記有機層を分離するステップと;
(C)前記有機層を乾燥するステップと;
(D)ステップ(i)(C)で生成された、乾燥した有機層を、追加の保護基前駆体で処理することにより、前記第3級N−置換モルフィナンアルカロイドから前記C(3)−保護ヒドロキシ誘導体への変換を増大させるステップと;
(E)水に混和しない溶媒を、ステップ(i)(D)で生成された、処理した有機層から除去することにより、前記C(3)−保護ヒドロキシ誘導体を含む濃縮物を形成するステップと;
(F)無水溶媒系中に、前記C(3)−保護ヒドロキシ誘導体を含む、ステップ(i)(E)で生成された濃縮物を溶解するステップと
を含む、第3級N−置換モルフィナンアルカロイドのC(3)−保護ヒドロキシ誘導体を形成するステップと;
(ii)ステップ(i)(F)の前記無水溶媒系中の前記C(3)−保護ヒドロキシ誘導体を、アルキル化剤で処理することにより、前記C(3)−保護ヒドロキシ誘導体の第4級誘導体、未反応のアルキル化剤、および任意の未反応のC(3)−保護ヒドロキシ誘導体を含む第2の反応生成物の混合物を形成するステップと;
(iii)前記C(3)−保護ヒドロキシ誘導体の第4級誘導体の脱保護を行って、C(3)−ヒドロキシ置換基を有する前記第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体を含む第3の反応生成物の混合物を形成するステップと
を含む、C(3)−ヒドロキシ置換基を有する第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体を調製するための方法であって、
前記C(3)−ヒドロキシ第3級N−置換モルフィナンアルカロイドは式(11)の構造を有し、前記C(3)−O−保護第3級N−置換モルフィナンアルカロイドは式(111)の構造を有し、前記C(3)−O−保護第3級N−置換モルフィナンの第4級誘導体は式(111A)の構造を有し、前記C(3)−ヒドロキシ第3級N−置換モルフィナンアルカロイドの第4級誘導体は式(111B)の構造を有する方法
【化22】

(式中、
Aは、−C(O)−、−C(S)−、−C(=CH)−、−CH(A)−、または−C(A)=であり、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
PGは、ヒドロキシ保護基であり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
は、ハロゲン化物、スルフェート、スルホネート、フルオロボレート、フルオロスルホネート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ヘキサクロロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェート、またはテトラフルオロボレートであり;
Yは、存在する場合には、水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、またはアシルオキシであり、
6および7位、7および8位、8および14位の炭素原子の間の破線は、それぞれ、(i)炭素間単結合、(ii)6および7位の間と8および14位の間の炭素間単結合と、7および8位の間の二重結合、または(iii)6および7位の間と8および14位の間の共役炭素間二重結合を表し、但し、Yは、8および14位の炭素間が二重結合である場合、存在しないことを条件とする)。
【請求項53】
ステップ(i)(A)を1回繰り返して、ステップ(i)(B)が実施される前に、前記反応生成物の混合物中での第3級N−置換モルフィナンアルカロイドから前記C(3)−保護ヒドロキシ誘導体への変換を増大させる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
ステップ(i)(A)で生成された、前記第1の反応生成物の混合物のpHが、ステップ(i)(B)で前記水層から前記有機層を分離する前に調節される、請求項52または53に記載の方法。
【請求項55】
前記第2の反応生成物の混合物をパージ剤で処理して、ステップ(iii)で脱保護を行う前に前記第2の反応生成物の混合物から未反応のアルキル化剤を除去するステップをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
ステップ(i)(B)の前記有機層を緩衝液で洗浄して、ステップ(i)(C)の前記有機層の含水量を低下させる前に前記第1の反応生成物の混合物から未反応の保護基前駆体を除去するステップをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記第3の反応生成物の混合物が、前記第3の生成物の混合物の全アルカロイド含量に対して、C(3)−O−アルキル第4級または第3級N−置換モルフィナンアルカロイド不純物を約0.1%以下含む、請求項52に記載の方法。
【請求項58】
前記アルキル化剤がメチル化剤である、請求項52から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記アルキル化剤が、臭化メチル、臭化シクロプロピルメチル、硫酸ジメチル、硫酸ジ(シクロプロピルメチル)、フルオロスルホン酸メチル、フルオロホウ酸トリメチルオキソニウム、ヘキサクロロアンチモン酸トリメチルオキソニウム、ヘキサフルオロリン酸トリメチルオキソニウム、またはトリフルオロメタンスルホン酸メチルである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記アルキル化剤が臭化メチルである、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記水に混和しない溶媒がトルエンである、請求項52から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記無水溶媒系が、1−メチル−2−ピロリジノンを含む、請求項52から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質が、ナルトレキソン((5α)−17−(シクロプロピルメチル)−4,5−エポキシ−3,14−ジヒドロキシモルフィナン−6−オン)、オキシモルホン((5α)−4,5−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、ヒドロモルホン((5α)−4,5−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン)、ナロキソン((5α)−4,5−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−(2−プロペニル)モルフィナン−6−オン)、ナルメフェン((5α)−17−(シクロプロピルメチル)−4,5−エポキシ−6−メチレンモルフィナン−3,14−ジオール)、ナルブフィン((5α)−17−(シクロブチルメチル)−4,5−エポキシモルフィナン−3,6,14−トリオール)、またはオリパビン((5α)−6,7,8,14−テトラヒドロ−4,5−エポキシ−6−メトキシ−17−メチルモルフィナン−3−オール)である、請求項52から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
ステップ(ii)が、1.25気圧未満の圧力で実施される、請求項52から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
YおよびZが、独立に、−OCH、−OAc、−OTHP、−OSiR、−OBn、−OBz、−OBs、−OTs、または−OMsであり、但し、各Rは独立にヒドロカルビルである、請求項52から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記無水溶媒系が、0.2%未満の水を含有し、反応容器内で水分を含まない雰囲気中に維持される、請求項52から65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記無水溶媒系が、0.05重量%未満の水を含有する、請求項52から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
ステップ(ii)が、55〜85℃の温度範囲で実施される、請求項52から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記保護基前駆体が無水酢酸を含む、請求項52から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
PGがアセチルである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
ステップ(i)(A)の保護が、水/トルエン混合物および水酸化ナトリウム中で無水酢酸により実施される、請求項52に記載の方法。
【請求項72】
前記第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質がナルトレキソンである、請求項52から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記アルキル化剤がシクロプロピルメチルアルキル化剤である、請求項52に記載の方法。
【請求項74】
前記アルキル化剤が臭化シクロプロピルメチルである、請求項57に記載の方法。
【請求項75】
前記第3級N−置換モルフィナンアルカロイド基質がオキシモルホンである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
R−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体、およびナルトレキソンを含む組成物であって、前記組成物中のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体、およびナルトレキソンを合わせた重量に対して、R−ナルトレキソンメトブロミドを少なくとも70%(w/w)、S−ナルトレキソンメトブロミドを少なくとも1%(w/w)、しかし前記ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体を0.2%(w/w)以下含有する組成物。
【請求項77】
混合物中のS−ナルトレキソンメトブロミドとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比が少なくとも10:1である混合物の形をとる、請求項76に記載の組成物。
【請求項78】
前記混合物が、スラリーまたは溶液の形をとる、請求項77に記載の組成物。
【請求項79】
前記混合物中のナルトレキソンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比が少なくとも10:1である混合物の形をとる、請求項76に記載の組成物。
【請求項80】
前記混合物が、スラリーまたは溶液の形をとる、請求項79に記載の組成物。
【請求項81】
前記組成物中のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体、およびナルトレキソンを合わせた重量に対して、前記ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体を0.1%(w/w)以下含有する、請求項77に記載の組成物。
【請求項82】
結晶化固体の形をとり、前記結晶化固体中のS−ナルトレキソンメトブロミドとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比が少なくとも10:1である、請求項76に記載の組成物。
【請求項83】
結晶化固体の形をとり、前記結晶化固体中のナルトレキソンとナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体との重量比が少なくとも10:1である、請求項76に記載の組成物。
【請求項84】
前記組成物中のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体、およびナルトレキソンを合わせた重量に対して、前記ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−メチル誘導体を0.1%(w/w)以下含有する、請求項82に記載の組成物。
【請求項85】
R−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体、およびオキシモルホンを含む組成物であって、前記組成物中のR−ナルトレキソンメトブロミド、S−ナルトレキソンメトブロミド、ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体、およびオキシモルホンを合わせた重量に対して、S−ナルトレキソンメトブロミドを少なくとも70%(w/w)、R−ナルトレキソンメトブロミドを少なくとも1%(w/w)、しかし前記ナルトレキソンメトブロミドのC(3)−O−シクロプロピルメチル誘導体を0.2%(w/w)以下含有する組成物。

【公表番号】特表2010−520288(P2010−520288A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552750(P2009−552750)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/003070
【国際公開番号】WO2008/109156
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(503102685)マリンクロット インコーポレイテッド (33)
【Fターム(参考)】