筐体ユニット及び画像形成装置
【課題】定着装置の位置決め精度の低下を防ぐ。
【解決手段】筐体71は、円筒形状の感光体ドラムを収容する。筐体72は、定着器を収容する。筐体71において感光体ドラムの端と対向する側面には、この側面から筐体71の外側に突出する突出部110が設けられる。耐熱部材120は、突出部110よりも耐熱性の高い材料を用いて形成され、突出部110を覆う。支持部63は、金属製であり、加熱ローラ61を支持する。支持部63には、耐熱部材120と接触して合わさる形状をした接合部130が形成される。筐体71と筐体72は、接合部130が耐熱部材120に合わせられた位置でねじにより固定される。
【解決手段】筐体71は、円筒形状の感光体ドラムを収容する。筐体72は、定着器を収容する。筐体71において感光体ドラムの端と対向する側面には、この側面から筐体71の外側に突出する突出部110が設けられる。耐熱部材120は、突出部110よりも耐熱性の高い材料を用いて形成され、突出部110を覆う。支持部63は、金属製であり、加熱ローラ61を支持する。支持部63には、耐熱部材120と接触して合わさる形状をした接合部130が形成される。筐体71と筐体72は、接合部130が耐熱部材120に合わせられた位置でねじにより固定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体ユニット及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、定着ローラと加圧ローラとを用いて、定着処理を行うものがある。特許文献1には、定着ローラの温度を検出する温度センサの周りに耐熱シートを設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−065361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、定着装置の位置決め精度の低下を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る筐体ユニットは、トナー像が形成される円筒形状の像保持体を収容する第1の筐体と、前記像保持体から記録媒体に転写されたトナー像を、加熱ローラを用いて当該記録媒体に定着させる定着装置を収容する第2の筐体と、前記第1の筐体において前記像保持体の端と対向する面に設けられ、当該面から当該第1の筐体の外側に突出する突出部と、前記突出部よりも耐熱性の高い材料を用いて形成され、当該突出部を覆う耐熱部材と、前記加熱ローラの端を支持する金属製の支持部と、前記支持部に形成され、前記耐熱部材と接触して合わさる形状をした接合部と、前記接合部が前記耐熱部材に合わせられた位置で、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを固定する固定手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る筐体ユニットは、請求項1に記載の構成において、前記耐熱部材は、前記接合部と接触する円弧状の部分と、当該接合部と接触しない直線状の部分とを有し、前記直線状の部分の内側には、前記突出部と接触する突起が設けられることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る筐体ユニットは、請求項1又は2に記載の構成において、前記耐熱部材は、ガラス入りポリエチレンテレフタレートを用いて形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、請求項1から3のいずれか1項に記載の筐体ユニットと、前記像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電部と、帯電した前記像保持体を露光して、潜像を形成する露光部と、トナーを用いて前記潜像を現像し、トナー像を形成する現像部と、前記形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写部と、前記転写されたトナー像を、前記加熱ローラを用いて前記記録媒体に定着させる前記定着装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、定着装置の位置決め精度の低下を防ぐことができる。
請求項2に係る発明によれば、突起を有しない構成と比較して、耐熱部材を突出部により強固に固定することができる。
請求項3に係る発明によれば、耐熱部材がガラス入りポリエチレンテレフタレート以外の材料を用いて形成される場合と比較して、突出部への熱の伝わりを抑制することができる。
請求項4に係る発明によれば、定着装置の位置決め精度の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置の構成を示す模式図。
【図2】筐体71及び筐体72を示す図。
【図3】筐体71及び筐体72を図2中の矢印−Z方向から見た側面図。
【図4】図3中のA部を拡大して示す斜視図。
【図5】耐熱部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の構成を示す模式図である。画像形成装置1は、制御部11と、通信部12と、給紙部13と、搬送部14と、画像形成部15とを備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを有し、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、画像形成装置1の各部を制御する。通信部12は、通信回線を介してコンピュータ装置とデータ通信を行う。制御部11は、コンピュータ装置から送信された画像データを通信部12を介して受信する。給紙部13は、複数枚の用紙を収容する。給紙部13は、給紙ローラ31を有する。給紙ローラ31は、給紙部13に収容された用紙を一枚ずつ送り出す。搬送部14は、給紙部13から送り出された用紙を、画像形成部15を経由して画像形成装置1の外部へと搬送する。搬送部14は、搬送ローラ41と、排紙ローラ42とを有する。搬送ローラ41は、給紙部13から送り出された用紙を、トナー像が転写されるタイミングに合わせて搬送する。排紙ローラ42は、画像形成部15を通過した用紙を画像形成装置1から排出する。
【0012】
画像形成部15は、感光体ドラム51と、帯電器52と、露光装置53と、現像装置54と、一次転写ローラ55と、定着器56とを備える。感光体ドラム51(像保持体の一例)は、円筒形状をしており、モーターなどの駆動部(図示せず)によって回転させられる。帯電器(帯電部の一例)52は、感光体ドラム51の表面を予め決められた電位に均一に帯電させる。露光装置53(露光部の一例)は、帯電した感光体ドラム51の表面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。露光装置53は、コンピュータ装置から受信した画像データに基づいてレーザ光を変調して、感光体ドラム51に照射する。現像装置54は、感光体ドラム51上に形成された静電潜像をトナーで現像し、トナー像を形成する。一次転写ローラ55(転写部の一例)は、感光体ドラム51上に形成されたトナー像を、搬送ローラ41により搬送された用紙(記録媒体の一例)に転写する。定着器56(定着装置の一例)は、加熱ローラ61と加圧ローラ62とを有し、用紙上のトナー像に熱と圧力とを加えて、トナー像を用紙に定着させる。定着器56を通過した用紙は、排紙ローラ42により画像形成装置1から排出される。
【0013】
感光体ドラム51と、帯電器52と、露光装置53とは、筐体71(第1の筐体の一例)に収容される。定着器56は、筐体72(第2の筐体の一例)に収容される。図2は、筐体71及び筐体72を示す図である。筐体71及び筐体72は、ABS樹脂を用いて形成される。筐体72は、筐体71の上に重ねられる。図3は、筐体71及び筐体72を図2中の矢印−Z方向から見た側面図である。なお、図3では、筐体71及び筐体72の一方の側面の構造を示しているが、他方の側面も同様の構造を有する。また、図3では、加圧ローラ62の図示を省略している。加熱ローラ61は、筐体72の下部に設けられる。加熱ローラ61の端は、金属製の支持部63により支持される。より詳細には、支持部63は加熱ローラ61の両端部に設けられたベアリング(不図示)を支持している。
【0014】
図4は、図3中のA部を拡大して示す斜視図である。筐体71の側面には、突出部110が設けられる。この側面とは、筐体71において感光体ドラム51の端と対向する面である。突出部110は、筐体71と同様に、ABS樹脂を用いて形成される。突出部110は、D字状の輪郭を有しており、筐体71の側面から筐体71の外側に突出する。突出部110は、定着器56の位置決めボスとして機能する。突出部110には、耐熱部材120が嵌められる。図5は、耐熱部材120を示す図である。耐熱部材120は、D字状の断面形状をしており、突出部110の外周面を覆う。耐熱部材120は、ガラス入りポリエチレンテレフタレート(PET)などのABS樹脂よりも耐熱性の高い耐熱性樹脂を用いて形成される。ガラス入りポリエチレンテレフタレートは、耐熱性、剛性の高い材料である。耐熱部材120は、直線部120a(直線状の部分の一例)と、円弧部120b(円弧状の部分の一例)とを有する。直線部120aの内側には、突起121が設けられる。突起121は、突出部110に接触して、突出部110を押圧する。この突起121により、耐熱部材120は、突出部110に強固に固定される。
【0015】
図3及び図4に示すように、支持部63には、耐熱部材120の円弧部120bに接触して合わさるU字形状をした接合部130が形成される。筐体72には、切欠部72aが形成されており、接合部130は、この切欠部72aから筐体72の外に露出する。接合部130は、耐熱部材120の円弧部120bに突き当てられる。そして、接合部130と円弧部120bとが合わせられたところで、定着器56が位置決めされる。定着器56が位置決めされると、筐体71と筐体72は、図2に示すように、ねじ73(固定手段の一例)を用いて正面から固定される。
【0016】
加熱ローラ61は、定着処理を行うときに発熱する。支持部63は、金属で形成されており、熱伝導性がよいため、加熱ローラ61が発熱すると、加熱ローラ61に接触する支持部63も高温(例えば、80度以上)になる。仮に耐熱部材120が設けられていないとすると、支持部63の接合部130は、突出部110と直接接触することになる。しかしながら、突出部110を形成するABS樹脂は、加重があると、約70度以上の温度下で変形する恐れがある。突出部110は、定着器56の位置決めボスとして機能するため、突出部110が変形すると、定着器56の位置決め精度が低下してしまう。本実施形態では、支持部63の接合部130が、耐熱性の高い耐熱部材120を介して突出部110と接触するため、突出部110は、熱の影響をあまり受けず変形しにくい。従って、定着器56の位置決め精度の低下が防止される。定着器56の位置がずれると、感光体ドラム51と一次転写ローラ55との間を通過した用紙が、加熱ローラ61と加圧ローラ62との間に搬送されなくなる。このような不具合を防ぐために、定着器56は、筐体71に対して正確に位置決めされることが求められるのである。
【0017】
また、本実施形態では、加熱ローラ61を直接支持する支持部63を用いて定着器56の位置決めをしているため、例えば筐体72と筐体71との間で位置決めをする場合に比べて、定着器56の位置決め精度が高くなる。さらに、本実施形態では、金属製の支持部63を用いて位置決めを行っているため、ABS樹脂等の剛性の低い材料で形成された部材を用いて位置決めを行う場合に比べて、定着器56の位置決め精度が高くなる。
【0018】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下のように変形させて実施してもよい。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
耐熱部材120には、2以上の突起121が設けられてもよい。この場合、これらの突起121は、位置決めの妨げにならないように、接合部130と接触しない直線部120aの内側に設けられるのが好ましい。また、突出部110には、突起121と対向する位置に、突起121の形状に合わせた窪みが設けられていてもよい。
突出部110、耐熱部材120及び接合部130の形状は、実施形態で説明したものに限らない。例えば、突出部110及び耐熱部材120が凹部を有しており、接合部130がこの凹部と合う凸形状をしていてもよい。ただし、突出部110及び耐熱部材120は、耐熱部材120が突出部110の周りを回転するのを防ぐために、角のある形状であることが好ましい。
突出部110及び耐熱部材120は、図に示す向きと異なる向きに設けられていてもよい。この場合、接合部130は、支持部63において、定着器56が目標位置に配置されたときに耐熱部材120の円弧部120bと合わさる位置に形成される。
耐熱部材120は、突出部110よりも耐熱性の高い材料であれば、ガラス入りポリエチレンテレフタレート以外の材料を用いて形成されてもよい。例えば、耐熱部材120は、シリコン樹脂を用いて形成されてもよい。
筐体71と筐体72とを固定する方法は、ねじ73を用いたものに限らない。例えば、筐体72と筐体71とに、互いをはめ込んで固定するための構造を設け、筐体72を筐体71にはめ込んで固定してもよい。
筐体71と突出部110とは、一体に成型されてもよいし、別体に成型されてから結合されてもよい。同様に、耐熱部材120と突起121とは、一体に成型されてもよいし、別体に成型されてから結合されてもよい。
筐体71、筐体72、支持部63、突出部110及び耐熱部材120は、筐体ユニットとして提供されてもよい。
画像形成装置1は、複数色の画像を形成してもよい。この場合、画像形成装置1には、各色に対応する感光体ドラム51、帯電器52、露光装置53、現像装置54及び一次転写ローラ55が設けられる。また、画像形成部15は、OHPシート等の用紙以外の記録媒体上に画像を形成してもよい。
【符号の説明】
【0019】
1…画像形成装置、51…感光体ドラム、52…帯電器、53…露光装置、54…現像装置、55…一次転写ローラ、56…定着器、61…加熱ローラ、62…加圧ローラ、63…支持部材、71、72…筐体、73…ねじ、110…突出部、120…耐熱部材、121…突起、130…接合部
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体ユニット及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、定着ローラと加圧ローラとを用いて、定着処理を行うものがある。特許文献1には、定着ローラの温度を検出する温度センサの周りに耐熱シートを設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−065361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、定着装置の位置決め精度の低下を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る筐体ユニットは、トナー像が形成される円筒形状の像保持体を収容する第1の筐体と、前記像保持体から記録媒体に転写されたトナー像を、加熱ローラを用いて当該記録媒体に定着させる定着装置を収容する第2の筐体と、前記第1の筐体において前記像保持体の端と対向する面に設けられ、当該面から当該第1の筐体の外側に突出する突出部と、前記突出部よりも耐熱性の高い材料を用いて形成され、当該突出部を覆う耐熱部材と、前記加熱ローラの端を支持する金属製の支持部と、前記支持部に形成され、前記耐熱部材と接触して合わさる形状をした接合部と、前記接合部が前記耐熱部材に合わせられた位置で、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを固定する固定手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る筐体ユニットは、請求項1に記載の構成において、前記耐熱部材は、前記接合部と接触する円弧状の部分と、当該接合部と接触しない直線状の部分とを有し、前記直線状の部分の内側には、前記突出部と接触する突起が設けられることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る筐体ユニットは、請求項1又は2に記載の構成において、前記耐熱部材は、ガラス入りポリエチレンテレフタレートを用いて形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、請求項1から3のいずれか1項に記載の筐体ユニットと、前記像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電部と、帯電した前記像保持体を露光して、潜像を形成する露光部と、トナーを用いて前記潜像を現像し、トナー像を形成する現像部と、前記形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写部と、前記転写されたトナー像を、前記加熱ローラを用いて前記記録媒体に定着させる前記定着装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、定着装置の位置決め精度の低下を防ぐことができる。
請求項2に係る発明によれば、突起を有しない構成と比較して、耐熱部材を突出部により強固に固定することができる。
請求項3に係る発明によれば、耐熱部材がガラス入りポリエチレンテレフタレート以外の材料を用いて形成される場合と比較して、突出部への熱の伝わりを抑制することができる。
請求項4に係る発明によれば、定着装置の位置決め精度の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置の構成を示す模式図。
【図2】筐体71及び筐体72を示す図。
【図3】筐体71及び筐体72を図2中の矢印−Z方向から見た側面図。
【図4】図3中のA部を拡大して示す斜視図。
【図5】耐熱部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の構成を示す模式図である。画像形成装置1は、制御部11と、通信部12と、給紙部13と、搬送部14と、画像形成部15とを備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを有し、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、画像形成装置1の各部を制御する。通信部12は、通信回線を介してコンピュータ装置とデータ通信を行う。制御部11は、コンピュータ装置から送信された画像データを通信部12を介して受信する。給紙部13は、複数枚の用紙を収容する。給紙部13は、給紙ローラ31を有する。給紙ローラ31は、給紙部13に収容された用紙を一枚ずつ送り出す。搬送部14は、給紙部13から送り出された用紙を、画像形成部15を経由して画像形成装置1の外部へと搬送する。搬送部14は、搬送ローラ41と、排紙ローラ42とを有する。搬送ローラ41は、給紙部13から送り出された用紙を、トナー像が転写されるタイミングに合わせて搬送する。排紙ローラ42は、画像形成部15を通過した用紙を画像形成装置1から排出する。
【0012】
画像形成部15は、感光体ドラム51と、帯電器52と、露光装置53と、現像装置54と、一次転写ローラ55と、定着器56とを備える。感光体ドラム51(像保持体の一例)は、円筒形状をしており、モーターなどの駆動部(図示せず)によって回転させられる。帯電器(帯電部の一例)52は、感光体ドラム51の表面を予め決められた電位に均一に帯電させる。露光装置53(露光部の一例)は、帯電した感光体ドラム51の表面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。露光装置53は、コンピュータ装置から受信した画像データに基づいてレーザ光を変調して、感光体ドラム51に照射する。現像装置54は、感光体ドラム51上に形成された静電潜像をトナーで現像し、トナー像を形成する。一次転写ローラ55(転写部の一例)は、感光体ドラム51上に形成されたトナー像を、搬送ローラ41により搬送された用紙(記録媒体の一例)に転写する。定着器56(定着装置の一例)は、加熱ローラ61と加圧ローラ62とを有し、用紙上のトナー像に熱と圧力とを加えて、トナー像を用紙に定着させる。定着器56を通過した用紙は、排紙ローラ42により画像形成装置1から排出される。
【0013】
感光体ドラム51と、帯電器52と、露光装置53とは、筐体71(第1の筐体の一例)に収容される。定着器56は、筐体72(第2の筐体の一例)に収容される。図2は、筐体71及び筐体72を示す図である。筐体71及び筐体72は、ABS樹脂を用いて形成される。筐体72は、筐体71の上に重ねられる。図3は、筐体71及び筐体72を図2中の矢印−Z方向から見た側面図である。なお、図3では、筐体71及び筐体72の一方の側面の構造を示しているが、他方の側面も同様の構造を有する。また、図3では、加圧ローラ62の図示を省略している。加熱ローラ61は、筐体72の下部に設けられる。加熱ローラ61の端は、金属製の支持部63により支持される。より詳細には、支持部63は加熱ローラ61の両端部に設けられたベアリング(不図示)を支持している。
【0014】
図4は、図3中のA部を拡大して示す斜視図である。筐体71の側面には、突出部110が設けられる。この側面とは、筐体71において感光体ドラム51の端と対向する面である。突出部110は、筐体71と同様に、ABS樹脂を用いて形成される。突出部110は、D字状の輪郭を有しており、筐体71の側面から筐体71の外側に突出する。突出部110は、定着器56の位置決めボスとして機能する。突出部110には、耐熱部材120が嵌められる。図5は、耐熱部材120を示す図である。耐熱部材120は、D字状の断面形状をしており、突出部110の外周面を覆う。耐熱部材120は、ガラス入りポリエチレンテレフタレート(PET)などのABS樹脂よりも耐熱性の高い耐熱性樹脂を用いて形成される。ガラス入りポリエチレンテレフタレートは、耐熱性、剛性の高い材料である。耐熱部材120は、直線部120a(直線状の部分の一例)と、円弧部120b(円弧状の部分の一例)とを有する。直線部120aの内側には、突起121が設けられる。突起121は、突出部110に接触して、突出部110を押圧する。この突起121により、耐熱部材120は、突出部110に強固に固定される。
【0015】
図3及び図4に示すように、支持部63には、耐熱部材120の円弧部120bに接触して合わさるU字形状をした接合部130が形成される。筐体72には、切欠部72aが形成されており、接合部130は、この切欠部72aから筐体72の外に露出する。接合部130は、耐熱部材120の円弧部120bに突き当てられる。そして、接合部130と円弧部120bとが合わせられたところで、定着器56が位置決めされる。定着器56が位置決めされると、筐体71と筐体72は、図2に示すように、ねじ73(固定手段の一例)を用いて正面から固定される。
【0016】
加熱ローラ61は、定着処理を行うときに発熱する。支持部63は、金属で形成されており、熱伝導性がよいため、加熱ローラ61が発熱すると、加熱ローラ61に接触する支持部63も高温(例えば、80度以上)になる。仮に耐熱部材120が設けられていないとすると、支持部63の接合部130は、突出部110と直接接触することになる。しかしながら、突出部110を形成するABS樹脂は、加重があると、約70度以上の温度下で変形する恐れがある。突出部110は、定着器56の位置決めボスとして機能するため、突出部110が変形すると、定着器56の位置決め精度が低下してしまう。本実施形態では、支持部63の接合部130が、耐熱性の高い耐熱部材120を介して突出部110と接触するため、突出部110は、熱の影響をあまり受けず変形しにくい。従って、定着器56の位置決め精度の低下が防止される。定着器56の位置がずれると、感光体ドラム51と一次転写ローラ55との間を通過した用紙が、加熱ローラ61と加圧ローラ62との間に搬送されなくなる。このような不具合を防ぐために、定着器56は、筐体71に対して正確に位置決めされることが求められるのである。
【0017】
また、本実施形態では、加熱ローラ61を直接支持する支持部63を用いて定着器56の位置決めをしているため、例えば筐体72と筐体71との間で位置決めをする場合に比べて、定着器56の位置決め精度が高くなる。さらに、本実施形態では、金属製の支持部63を用いて位置決めを行っているため、ABS樹脂等の剛性の低い材料で形成された部材を用いて位置決めを行う場合に比べて、定着器56の位置決め精度が高くなる。
【0018】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下のように変形させて実施してもよい。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
耐熱部材120には、2以上の突起121が設けられてもよい。この場合、これらの突起121は、位置決めの妨げにならないように、接合部130と接触しない直線部120aの内側に設けられるのが好ましい。また、突出部110には、突起121と対向する位置に、突起121の形状に合わせた窪みが設けられていてもよい。
突出部110、耐熱部材120及び接合部130の形状は、実施形態で説明したものに限らない。例えば、突出部110及び耐熱部材120が凹部を有しており、接合部130がこの凹部と合う凸形状をしていてもよい。ただし、突出部110及び耐熱部材120は、耐熱部材120が突出部110の周りを回転するのを防ぐために、角のある形状であることが好ましい。
突出部110及び耐熱部材120は、図に示す向きと異なる向きに設けられていてもよい。この場合、接合部130は、支持部63において、定着器56が目標位置に配置されたときに耐熱部材120の円弧部120bと合わさる位置に形成される。
耐熱部材120は、突出部110よりも耐熱性の高い材料であれば、ガラス入りポリエチレンテレフタレート以外の材料を用いて形成されてもよい。例えば、耐熱部材120は、シリコン樹脂を用いて形成されてもよい。
筐体71と筐体72とを固定する方法は、ねじ73を用いたものに限らない。例えば、筐体72と筐体71とに、互いをはめ込んで固定するための構造を設け、筐体72を筐体71にはめ込んで固定してもよい。
筐体71と突出部110とは、一体に成型されてもよいし、別体に成型されてから結合されてもよい。同様に、耐熱部材120と突起121とは、一体に成型されてもよいし、別体に成型されてから結合されてもよい。
筐体71、筐体72、支持部63、突出部110及び耐熱部材120は、筐体ユニットとして提供されてもよい。
画像形成装置1は、複数色の画像を形成してもよい。この場合、画像形成装置1には、各色に対応する感光体ドラム51、帯電器52、露光装置53、現像装置54及び一次転写ローラ55が設けられる。また、画像形成部15は、OHPシート等の用紙以外の記録媒体上に画像を形成してもよい。
【符号の説明】
【0019】
1…画像形成装置、51…感光体ドラム、52…帯電器、53…露光装置、54…現像装置、55…一次転写ローラ、56…定着器、61…加熱ローラ、62…加圧ローラ、63…支持部材、71、72…筐体、73…ねじ、110…突出部、120…耐熱部材、121…突起、130…接合部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成される円筒形状の像保持体を収容する第1の筐体と、
前記像保持体から記録媒体に転写されたトナー像を、加熱ローラを用いて当該記録媒体に定着させる定着装置を収容する第2の筐体と、
前記第1の筐体において前記像保持体の端と対向する面に設けられ、当該面から当該第1の筐体の外側に突出する突出部と、
前記突出部よりも耐熱性の高い材料を用いて形成され、当該突出部を覆う耐熱部材と、
前記加熱ローラの端を支持する金属製の支持部と、
前記支持部に形成され、前記耐熱部材と接触して合わさる形状をした接合部と、
前記接合部が前記耐熱部材に合わせられた位置で、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを固定する固定手段と
を備えることを特徴とする筐体ユニット。
【請求項2】
前記耐熱部材は、前記接合部と接触する円弧状の部分と、当該接合部と接触しない直線状の部分とを有し、
前記直線状の部分の内側には、前記突出部と接触する突起が設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の筐体ユニット。
【請求項3】
前記耐熱部材は、ガラス入りポリエチレンテレフタレートを用いて形成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の筐体ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の筐体ユニットと、
前記像保持体と、
前記像保持体を帯電させる帯電部と、
帯電した前記像保持体を露光して、潜像を形成する露光部と、
トナーを用いて前記潜像を現像し、トナー像を形成する現像部と、
前記形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写部と、
前記転写されたトナー像を、前記加熱ローラを用いて前記記録媒体に定着させる前記定着装置と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
トナー像が形成される円筒形状の像保持体を収容する第1の筐体と、
前記像保持体から記録媒体に転写されたトナー像を、加熱ローラを用いて当該記録媒体に定着させる定着装置を収容する第2の筐体と、
前記第1の筐体において前記像保持体の端と対向する面に設けられ、当該面から当該第1の筐体の外側に突出する突出部と、
前記突出部よりも耐熱性の高い材料を用いて形成され、当該突出部を覆う耐熱部材と、
前記加熱ローラの端を支持する金属製の支持部と、
前記支持部に形成され、前記耐熱部材と接触して合わさる形状をした接合部と、
前記接合部が前記耐熱部材に合わせられた位置で、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを固定する固定手段と
を備えることを特徴とする筐体ユニット。
【請求項2】
前記耐熱部材は、前記接合部と接触する円弧状の部分と、当該接合部と接触しない直線状の部分とを有し、
前記直線状の部分の内側には、前記突出部と接触する突起が設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の筐体ユニット。
【請求項3】
前記耐熱部材は、ガラス入りポリエチレンテレフタレートを用いて形成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の筐体ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の筐体ユニットと、
前記像保持体と、
前記像保持体を帯電させる帯電部と、
帯電した前記像保持体を露光して、潜像を形成する露光部と、
トナーを用いて前記潜像を現像し、トナー像を形成する現像部と、
前記形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写部と、
前記転写されたトナー像を、前記加熱ローラを用いて前記記録媒体に定着させる前記定着装置と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2012−93421(P2012−93421A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238481(P2010−238481)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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