説明

筐体構造

【課題】第1部材及び第2部材が一体化された筐体が前記第1部材に固定されるブラケットにて所定物に取付けられる場合に、前記第2部材の前記所定物に対する取付け寸法誤差が極力小さくなるような「筐体構造」を提供する。
【解決手段】第1部材10及び第2部材20が一体化されてなる筐体の第1部材10に当該筐体を所定物に取付けるためのブラケット50aが固定された筐体構造であって、前記第1部材10に形成された位置決め部511aに前記ブラケット50aが位置決めされた状態で固定され、前記第2部材20が前記ブラケット50aに位置決めされた状態で前記第1部材10に一体化された構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器等の機器の筐体構造に係り、詳しくは、第1部材及び第2部材が一体化されてなる筐体の前記第1部材に当該筐体を所定物に取付けるためのブラケットが固定された筐体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車載音響機器の筐体構造が開示されている。この筐体構造では、前面にカセット挿入口及びCD挿入口の形成された筐体の2つの側壁のそれぞれにブラケットが固定され、そのブラケットによって前記筐体が車室内に設けられた機器取付け板に取り付けられる。そして、前記筐体の前面に形成されたカセット挿入口及びCD挿入口に対応するカセット挿入口及びCD挿入口の形成されたパネルが別個に前記機器取付け板に取り付けられる。このように車載音響機器の筐体及びパネルがそれぞれ別個に機器取付け板に取り付けられた状態で、前記パネルに形成されたCD挿入口等から挿入されたCD等が更に前記筐体の前面に形成されたCD挿入口等を通して筐体内に挿入される。
【0003】
ところで、筐体が、例えば、CD挿入口及びカセット挿入口の形成されたフロント部と、それ以外の本体部分との2つの部材から構成される場合がある。このような場合、フロント部と本体部分とが一体化されてなる筐体が、前記本体部分の2つの側壁のそれぞれに固定されたブラケットによって前記機器取付け板に取り付けられることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−129362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記フロント部及び本体部分の2つの部材が一体化されてなる筐体をその本体部分に固定されたブラケットによって機器取付け板に取り付ける場合、フロント部と、前記機器取付け板との間の取付け寸法誤差は、フロント部と本体部分との取付け寸法誤差と、ブラケットと本体部分との間の取付け寸法誤差とが累積されたものとなる。このような累積された寸法誤差によって、筐体とパネルとが別個に機器取付け板に取付けられた状態で、パネルに形成されたCD挿入口やカセット挿入口と、筐体のフロント部に形成されたCD挿入口やカセット挿入口とがずれるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、第1部材及び第2部材が一体化されてなる筐体が前記第1部材に固定されるブラケットにて所定物に取付けられる場合に、前記第2部材の前記所定物に対する取付け寸法誤差が極力小さくなるような筐体構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る筐体構造は、第1部材及び第2部材が一体化されてなる筐体の前記第1部材に当該筐体を所定物に取付けるためのブラケットが固定された筐体構造であって、前記第1部材に形成された位置決め部に前記ブラケットが位置決めされた状態で固定され、前記第2部材が前記ブラケットに位置決めされた状態で前記第1部材に一体化された構成となる。
【0008】
このような構成により、第2部材がブラケットに位置決めされた状態で第1部材に一体化されるので、第2部材の所定物に対する取付け寸法誤差は、ブラケットと第1部材との間の取付け寸法誤差と、第2部材と第1部材との取付け寸法誤差とに影響されなくなる。
【0009】
本発明に係る筐体構造において、前記第1部材は、位置決め孔が前記位置決め部として形成された壁板部を有し、前記ブラケットは、前記第1部材の前記壁板部に形成された前記位置決め孔に嵌入される突出部を有し、前記位置決め孔に前記突出部が嵌入されることで前記ブラケットが前記第1部材に位置決めされた状態となるように構成することができる。
【0010】
このような構成により、ブラケットの突出部を壁板部に形成された位置決め孔に嵌入することで、ブラケットが第1部材に位置決めされた状態になるので、比較的容易にブラケットを第1部材に位置決めされた状態で固定することができるようになる。
【0011】
また、本発明に係る筐体構造において、前記第2部材は、前記ブラケットの前記突出部に係止可能となる係止部を有し、前記突出部に前記係止部が係止されることで前記第2部材が前記ブラケットに位置決めされた状態となる構成とすることができる。
【0012】
このような構成により、第1部材の位置決め孔に嵌入されたブラケットの突出部に係止部を係止させることで、第2部材が前記ブラケットに位置決めされた状態となるので、比較的容易に第2部材を前記ブラケットに位置決めされた状態で前記第1部材に一体化させることができるようになる。
【0013】
更に、本発明に係る筐体構造において、前記ブラケットは、前記所定物に固定されるべき第1板部及びそれに実質的に直交するように続く第2板部を有し、前記突出部は、前記第2板部の一部を切起こして当該第2板部から突出するように形成された切起こし部であり、前記切起こし部が前記第1部材の前記壁板部に形成された前記位置決め孔に嵌入されるとともに、前記ブラケットの前記第2板部が前記第1部材の前記壁板部に固定された構成とすることができる。
【0014】
このような構成により、ブラケットの第2板部に形成された切起こし部を第1部材の壁板部に形成された位置決め孔に嵌入するとともに、その第2板部を第1部材の壁板部に固定することで、ブラケットが第1部材に位置決めされた状態で固定されるようになるので、比較的容易にブラケットを第1部材に位置決めされた状態で固定できるようになる。
【0015】
本発明に係る筐体構造は、底板部及び該底板部の前後方向に伸びる2つの縁のそれぞれから立ち上がる側壁板部を有するボトムシャーシ及び該ボトムシャーシの前面に配置されるフロントシャーシが一体化されてなる筐体の前記ボトムシャーシの前記側壁板部に当該筐体を所定物に取付けるためのブラケットが固定された筐体構造であって、前記ボトムシャーシの前記側壁板部に位置決め部が形成され、前記ブラケットが、前記位置決め部に位置決めされた状態で前記ボトムシャーシの前記側壁板部に固定され、前記フロントシャーシが前記ブラケットに位置決めされた状態で前記ボトムシャーシに一体化された構成となる。
【0016】
このような構成により、フロントシャーシがブラケットに位置決めされた状態でボトムシャーシに一体化されるので、フロントシャーシの所定物に対する取付け寸法誤差は、ブラケットとボトムシャーシとの間の取付け寸法誤差と、フロントシャーシとボトムシャーシとの間の取付け寸法誤差に影響されなくなる。
【0017】
本発明に係る筐体構造において、前記ブラケットは、前記所定物に固定されるべき第1板部及びそれに実質的に直交するように続く第2板部を有するとともに、該第2板部から前記第1板部と逆側に突出する突出部を有し、前記ボトムシャーシの前記側壁板部には、位置決め孔が前記位置決め部として形成され、前記突出部が前記ボトムシャーシの前記側壁板部に形成された前記位置決め孔に当該ボトムシャーシの外側から内側に嵌入されることによって位置決めされた状態となって、前記ブラケットの第2板部が前記側壁板部に固定された構成とすることができる。
【0018】
このような構成により、ブラケットの第2板部から突出する突出部を側壁板部に形成された位置決め孔にボトムシャーシの外側から内側に嵌入することで、ブラケットがボトムシャーシに位置決めされた状態で固定されるようになるので、比較的容易にブラケットをボトムシャーシに位置決めされた状態で固定することができるようになる。
【0019】
また、本発明に係る筐体構造において、前記フロントシャーシは、前記ボトムシャーシの内側にて前記ブラケットの前記突出部に係止可能となる係止部を有し、前記突出部に前記係止部が係止されることで前記フロントシャーシが前記ブラケットに位置決めされた状態となるように構成することができる。
【0020】
このような構成により、ボトムシャーシの位置決め孔に嵌入されたブラケットの突出部に係止部を係止させることで、フロントシャーシが前記ブラケットに位置決めされた状態となるので、比較的容易にフロントシャーシを前記ブラケットに位置決めされた状態で前記ボトムシャーシに一体化させることができるようになる。
【0021】
更に、本発明に係る筐体構造において、前記突出部は、前記第2板部の一部を切起こして当該第2板部から突出するように形成された切起こし部であり、前記ボトムシャーシの前記側壁板部に形成された位置決め孔に嵌入された構成とすることができる。
【0022】
このような構成により、ブラケットの第2板部に形成された切起こし部をボトムシャーシの側壁板部に形成された位置決め孔に嵌入するとともに、その第2板部をボトムシャーシの側壁板部に固定することで、ブラケットがボトムシャーシに位置決めされた状態で固定されるようになるので、比較的容易にブラケットをボトムシャーシに位置決めされた状態で固定できるようになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る筐体構造によれば、第1部材(ボトムシャーシ)及び第2部材(フロントシャーシ)が一体化されてなる筐体が前記第1部材(ボトムシャーシ)に固定されるブラケットにて所定物に取付けられる場合に、前記第2部材(フロントシャーシ)の所定物に対する取付け寸法誤差が、ブラケットと第1部材(ボトムシャーシ)との間の取付け寸法誤差と、第2部材(フロントシャーシ)と第1部材(ボトムシャーシ)との取付け寸法誤差とに影響されなないので、前記第2部材(フロントシャーシ)の所定物に対する取付け誤差を極力小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る筐体構造の斜め前方から見た状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る筐体構造の斜め後方から見た状態を示す斜視図である。
【図3】筐体のボトムシャーシを示す斜視図である。
【図4】ボトムシャーシのサイドブラケット(第1サイドブラケット)の取り付け部位を示す平面図である。
【図5A】第1サイドブラケットを示す斜視図である。
【図5B】第2サイドブラケットを示す斜視図である。
【図6】第1及び第2サイドブラケットが取付けられたボトムシャーシを示す斜視図である。
【図7】サイドブラケット(第1サイドブラケット)が取付けられたボトムシャーシの当該サイドブラケットの取り付け部位を拡大して示す平面図である。
【図8】サイドブラケット(第1サイドブラケット)が取付けられたボトムシャーシの当該サイドブラケットの取り付け部位を拡大して示す斜視図である。
【図9】第1及び第2サイドブラケットが取付けられたボトムシャーシとフロントシャーシとが一体となった筐体を示す斜視図である。
【図10】サイドブラケット(第1サイドブラケット)によって位置決された状態でボトムシャーシに一体化されるフロントシャーシを拡大して示す斜視図である。
【図11】サイドブラケットが固定されたボトムシャーシとフロントシャーシとが一体化されてなる筐体を示す側面図である。
【図12】サイドブラケットが固定されたボトムシャーシとフロントシャーシとが一体化されてなる筐体が車両のダッシュボードパネルに取付けられた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0026】
本発明の実施の形態に係る筐体構造は、図1及び図2に示すようになっている。この筐体構造は、車載オーディオ装置の筐体に適用されるものである。
【0027】
図1及び図2において、筐体100は、ボトムシャーシ10(第1部材)とボトムシャーシ10の前面に配置されるフロントシャーシ20(第2部材)とが一体化された構造となっている。ボトムシャーシ10には、第1サイドブラケット50a及び第2サイドブラケット50bが固定されており、それら第1サイドブラケット50a及び第2サイドブラケット50bによって、筐体100が、例えば、車両のダッシュボードの取り付け部位に取付けられる。ボトムシャーシ10、フロントシャーシ20、第1サイドブラケット50a及び第2サイドブラケット50bは、それぞれ板金加工により形成されている。
【0028】
フロントシャーシ20には、CDやDVD等のディスクが通るディスク挿入口21が形成されるとともに、位置決め凹部22a、22bが形成されている。位置決め凹部22a、22bは、フロントシャーシ20の前方に配置される機器前面パネルの位置決めに利用されるものであって、後述するように(図12参照)、機器前面パネルの裏面から突出するリブが位置決め凹部22a、22bに当接することで当該機器前面パネルのフロントシャーシ20に対する位置決めがなされる。
【0029】
なお、この筐体100は、前述したフロントシャーシ20のほか、天板30及び背面板40がボトムシャーシ10に一体化された構造となっている。また、ボトムシャーシ10の側壁板部(図1及び図2においては、後述する第2側壁板部12bだけが示されている)には、筐体100(車載オーディオ機器)を車両内に設置する際に利用されるガイドブッシュが固定されている(図1及び図2においては、第2側壁板部12bにガイドブッシュ13bが固定されている)。
【0030】
ボトムシャーシ10は、図3に示すように、底板11及び底板11の前後方向に伸びる2つの縁から立ち上がる第1側壁板部12a及び第2側壁板部12bを有している。第1側壁板部12aの前方所定部位には、図4にも詳細に示すように、上位置決めスリット121a及び下位置決めスリット122aが上下方向に並んで形成されている。これら上位置決めスリット121a及び下位置決めスリット122aの前後方向位置及び上下方向位置は、筐体100の取付け部位との相対的な位置(上下方向及び前後方向の位置)を基準にして所定精度にて決められている。また、上位置決めスリット121a及び下位置決めスリット122aの近傍には、3つのブラケット止め孔123a、124a、125aが三角形状に配置されるように形成されている。
【0031】
また、第2側壁板部12bの前方所定部位にも、前述した第1側壁板部12aの場合と同様に、上位置決めスリット121b及び下位置決めスリット122b、及び3つのブラケット止め孔123b、124b、125bが形成されている。第1側壁板部12aに形成された上位置決めスリット121a及び第2側壁板部12bに形成された上位置決めスリット121bの形状、前後方向位置及び上下方向位置は同じになるとともに、第1側壁板部12aに形成された下位置決めスリット122a及び第2側壁板部12bに形成された下位置きめスリット122bの形状、前後方向位置及び上下方向位置は同じになっている。
【0032】
ボトムシャーシ10の底板11の前縁の第1側壁板部12aとの隣接部分から立ち上がるように係止片111が形成されている。係止片111の先端所定部分と第1側壁板部12aの前縁との間には隙間GPが形成されている。なお、図示されてはいないが、底板11の前縁の第2側壁板部12bとの隣接部分にも前述した係止片111と同様のものが形成されている。
【0033】
第1サイドブラケット50aは、図5Aに示すように構成されている。第1サイドブラケット50aは、1つの板金を実質的に直角に折り曲げるように形成されており、第1板部51aから第2板部52aが直交するように続く構造となっている。第2板部52aは、その上側所定部分が矩形状に切起こされて、第1板部51aから続いて第2板部52aから突出するように形成された上突出部511aと、その下側所定部分が矩形状に切起こされて、第1板部51aから続いて第2板部52aから突出するように形成された下突出部512aとを有している。第1板部51aには、車両のダッシュボードの取り付け部位に取付けるための2つの取り付け孔513a、514aが形成されている(取り付け孔514aについては図1参照)。また、第2板部52aには、3つのバーリング孔523a、524a、525aが形成されている。前述した上突出部511a、下突出部512a及び3つのバーリング孔523a、524a、524bの配置関係は、第1側壁板部12aに形成された上位置決めスリット121a、下位置決めスリット122a及び3つのブラケット止め孔123a、124a、125aの配置関係と同じになっている。
【0034】
第2サイドブラケット50bは、前述した第1サイドブラケット50aと左右反転した関係になること以外は同様に構成されており、具体的に図5Bに示すようになっている。即ち、第2サイドブラケット50bは、第1サイドブラケット50aと同様に、第1板部51b及び第2板部52bを有するとともに、第2板部52bの矩形状の切起こしによって形成された上突出部511b及び下突出部512bを有している。そして、第1板部51bには、車両のダッシュボードの取り付け部位に取付けるための2つの取り付け孔513b、514bが形成され(取付け孔514bについて図1及び図2参照)、第2板部52bには、3つのバーリング孔523b、524b、525bが形成されている。第2サイドブラケット50bにおいても、第1サイドブラケット50aと同様に、上突出部511b、下突出部512b及び3つのバーリング孔523b、524b、525bの配置関係が、第2側壁板部12bに形成された上位置決めスリット121b、下位置決めスリット122b及び3つのブラケット止め孔123b、124b、125bの配置関係と同じになっている。
【0035】
第1サイドブラケット50a及び第2サイドブラケット50bは、次のようにしてボトムシャーシ10に固定される。なお、第1サイドブラケット50aは、ボトムシャーシ10の第1側壁板部12aに固定され、第2サイドブラケット50bは、ボトムシャーシ10の第2側壁板部12bに固定されるが、その固定構造は同じであるので、以下、第1サイドブラケット50aの固定について説明する。
【0036】
図6に示すとともに図7及び図8に拡大して示すように、第1サイドブラケット50aの上突出部511a及び下突出部512aが第1側壁板部12aの上位置決めスリット121a及び下位置決めスリット122aに嵌入されるとともに、第1サイドブラケット50aの3つのバーリング孔523a、524a、525aのその突出した部分が第1側壁板部12aに形成された3つのブラケット止め孔123a、124a、125aに嵌め込まれる。そして、3つのバーリング孔523a、524a、525aのブラケット止め孔123a、124a、125aから突出した部分をカシメルことにより、第1サイドブラケット50aがボトムシャーシ10の第1側壁板部12aに固定される。上突出部511a及び下突出部512aが上位置決めスリット121a及び下位置決めスリット122aに嵌入されることにより、第1サイドブラケット50aの第1側壁板部12aに対する前後方向位置及び上下方向位置が規制されて第1サイドブラケット50aの位置決めがなされる。
【0037】
例えば、図8に示すように、第1サイドブラケット50aの上突出部511aの上端511aa(上位置決めスリット121aの上縁)は、その第1板部51aに形成された取り付け孔513aの中心と同じ高さ位置となって、その上突出部511aの上端511aaを上下方向の基準位置Zoとすることができる。また、第1サイドブラケット50aの上突出部511a及び下突出部512a(上位置決めスリット121a及び下位置決めスリット122a)を通る直線を前後方向の基準位置Xoとすることができる。そして、基準位置Xoの直線を含む第1側壁板部12aに直行する面、例えば、第1サイドブラケット50aの第1板部51aの面を前後方向の基準面Ps(Xo)とすることができる。
【0038】
前述したようにして第1側壁板部12aに第1サイドブラケット50aが固定されるとともに第2側壁板部12bに第2サイドブラケット50bが固定された(図6参照)ボトムシャーシ10に対して、次のようにしてフロントシャーシ20が取付けられる。
【0039】
図9に示すとともに図10に拡大して示すように、フロントシャーシ20は、ボトムシャーシ10の第1側壁板部12a側の端部から後方に突出するように形成された2つの引掛け係止部23a、24aを有している。2つの引掛け係止部23a、24aは上下方向に配列され、その位置関係は、第1サイドブラケット50aの上突出部511aと下突出部512aとの位置関係に対応するようになっている。そして、上側の引掛け係止部23aが、ボトムシャーシ10の第1側壁板部12aに形成された上位置決めスリット121aからボトムシャーシ10の内方に突出する第1サイドブラケット50aの上突出部511aに、その上端511aaに当接するように、引掛け係止されるとともに、下側の引掛け係止部24aが、第1側壁板部12aに形成された下位置決めスリット122aからボトムシャーシ10の内方に突出する第1サイドブラケット50aの下突出部512aに引掛け係止される。これにより、フロントシャーシ20が、第1サイドブラケット50aに前後方向及び上下方向におい位置決めされた状態となる。この状態において、フロントシャーシ20の引掛け係止部23a、24aの形成された端部板が底板11の前縁から立ち上がる係止片111の先端部分と第1側壁板部12との間の隙間GPに差し込まれて係止される。
【0040】
また、図示されてはいないが、フロントシャーシ20は、その逆側の端部においても、上述したのと同様に、2つの引掛け係止部が、ボトムシャーシ10の第2側壁板部12bに形成された上位置決めスリット121b及び下位置決めスリット122bからボトムシャーシ10の内方に突出する第2サイドブラケット50bの上突出部511b及び下突出部512bに係止されることにより、第2サイドブラケット50bに、前後方向及び上下方向において位置決めされた状態となっている。この状態において、同様に、フロントシャーシ20の逆側の端部板が底板11の前縁から立ち上がる係止片(係止片111に相当)の先端部分と第2側壁板部12との間に係止される。
【0041】
前述したようにしてフロントシャーシ20は、第1サイドブラケット50a及び第2サイドブラケット50bに前後方向及び上下方向において位置決めされた状態でボトムシャーシ10に一体化される。そして、このボトムシャーシ10及びフロントシャーシ20が一体化してなる車載機器の筐体100は、図1及び図2に示すとともに側面図となる図11に示すような構造となる。この筐体100は、例えば、図12に示すように、車両のダッシュボードパネル200内に設置される。なお、図12は、ボトムシート10の第2側壁板部12b側を示しているが、第1側壁板部12a側も実質的に同様のものとなっている(以下、第1側壁板部12a側については括弧書きにて記載する)。
【0042】
図12において、機器前面パネル300が、その裏面から突出するリブ301がフロントシャーシ20に形成された位置決め凹部22b(22a)に当接することで相対的位置が維持された状態でフロントシャーシ20に取付けられている。そして、ボトムシャーシ10の第2側壁板部12b(第1側壁板部12a)に固定された第2サイドブラケット50b(第1サイドブラケット50a)がダッシュボードパネル200と一体となった取付け面Pに固定される。具体的には、第2サイドブラケット50b(第1サイドブラケット50a)の第1板部51b(51a)が取り付け孔513b(513a)、514b(514a)を通るボルトによって取付け面Pに固定される。この状態で、第2サイドブラケット50b(第1サイドブラケット50a)の第1板部51b(51a)で決まる筐体100の前後方向位の基準面Ps(Xo)(図8参照)が取付け面Pに合致し、第2サイドブラケット50b(第1サイドブラケット50a)の上突出部511b(511a)の上端の位置で決まる上下方向の基準位置Zo(図8参照)が、取り付け面Pにおける上下方向の取り付け位置に合致する。そして、機器前面パネル300がダッシュボードパネル200から露出した状態となる。
【0043】
フロントシャーシ20は第2サイドブラケット50b(第1サイドブラケット50a)に位置決めされた状態でボトムシャーシ10に一体化されているので、フロントシャーシ20のダッシュボードパネル200(取り付け面P)に対する前後方向及び上下方向の取付け寸法誤差は、第2サイドブラケット50b(第1サイドブラケット50a)とボトムシャーシ10との間の取り付け誤差及と、フロントシャーシ20とボトムシャーシ10との取り付け誤差とに影響されない。従って、フロントシャーシ20とダッシュボードパネル200との間の取り付け寸法誤差を極力小さくすることができ、その結果、フロントシャーシ20に取付けられた機器前面パネル300とダッシュボードパネル200との間の取り付け寸法誤差も極力小さくすることができる。このように、機器前面パネル300を上下方向においてダッシュボードパネル200に対して精度良く配置することができるので、ダッシュボードパネル200と機器前面パネル300の上辺との間の隙間Gp1と、ダッシュボードパネル200と機器前面パネル300の下辺との隙間Gp2とが均一となるように筐体100をダッシュボードパネル200内に容易に設置することができるようになる。また、機器前面パネル300を前後方向においてもダッシュボードパネル200に対して精度良く配置することができるので、ダッシュボードパネル200の表面と機器前面パネル300の表面とからなる全体表面Scの連続性を容易に確保することができる。
【0044】
また、第2サイドブラケット50b(第1サイドブラケット50a)の上突出部511b(511a)の上端の位置で決まる上下方向の基準位置Zo(図8参照)に対する精度の良い取り付け位置Z1、Z2にてガイドブッシュ13bをボトムシャーシ10の第2側壁板部12b(第1側壁板部12a)に取付けることにより、第2サイドブラケット50b(第1サイドブラケット50a)を取付け面Pの取付け部位に精度良く位置づけることができるようになる。
【0045】
前述した実施の形態では、車載オーディオ機器のボトムシャーシ10及びフロントシャーシ20が一体化されてなる筐体100について説明したが、本発明は、これに限られず、第1部材及び第2部材が一体化されてなる筐体の前記第1部材に当該筐体を所定物に取付けるためのブラケットが固定された構造であれば、どのようなものであっても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る筐体構造は、第1部材及び第2部材が一体化されてなる筐体が前記第1部材に固定されるブラケットにて所定物に取付けられる場合に、前記第2部材の前記所定物に対する取付け寸法誤差が極力小さくなるという効果を有し、車載機器等の機器の筐体構造として有用である。
【符号の説明】
【0047】
10 ボトムシャーシ(第1部材)
11 底板部
12a 第1側壁板部
12b 第2側壁板部
13b ガイドブッシュ
20 フロントシャーシ(第2部材)
21 ディスク挿入口
22a、22b 位置決め凹部
23a、24a 引掛け係止部
30 天板
40 背面版
50a 第1サイドブラケット
50b 第2サイドブラケット
100 筐体
111 係止片
121a、121b 上位置決めスリット
122a、122b 下位置決めスリット
123a、124a、125a ブラケット止め孔
123b、124b、125b ブラケット止め孔
51a、51b 第1板部
52a、52b 第2板部
511a、511b 上突出部
512a,512b 下突出部
513a、514a 取り付け孔
513b、514b 取り付け孔
523a、524a、525a バーリング孔
523b、524b、525b バーリング孔
200 ダッシュボードパネル
300 機器前面パネル
301 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材及び第2部材が一体化されてなる筐体の前記第1部材に当該筐体を所定物に取付けるためのブラケットが固定された筐体構造であって、
前記第1部材に形成された位置決め部に前記ブラケットが位置決めされた状態で固定され、
前記第2部材が前記ブラケットに位置決めされた状態で前記第1部材に一体化された筐体構造。
【請求項2】
前記第1部材は、位置決め孔が前記位置決め部として形成された壁板部を有し、
前記ブラケットは、前記第1部材の前記壁板部に形成された前記位置決め孔に嵌入される突出部を有し、
前記位置決め孔に前記突出部が嵌入されることで前記ブラケットが前記第1部材に位置決めされた状態となる請求項1記載の筐体構造。
【請求項3】
前記第2部材は、前記ブラケットの前記突出部に係止可能となる係止部を有し、
前記突出部に前記係止部が係止されることで前記第2部材が前記ブラケットに位置決めされた状態となる請求項2記載の筐体構造。
【請求項4】
前記ブラケットは、前記所定物に固定されるべき第1板部及びそれに実質的に直交するように続く第2板部を有し、
前記突出部は、前記第2板部の一部を切起こして当該第2板部から突出するように形成された切起こし部であり、
前記切起こし部が前記第1部材の前記壁板部に形成された前記位置決め孔に嵌入されるとともに、前記ブラケットの前記第2板部が前記第1部材の前記壁板部に固定された請求項2または3記載の筐体構造。
【請求項5】
底板部及び該底板部の前後方向に伸びる2つの縁のそれぞれから立ち上がる側壁板部を有するボトムシャーシ及び該ボトムシャーシの前面に配置されるフロントシャーシが一体化されてなる筐体の前記ボトムシャーシの前記側壁板部に当該筐体を所定物に取付けるためのブラケットが固定された筐体構造であって、
前記ボトムシャーシの前記側壁板部に位置決め部が形成され、
前記ブラケットが、前記位置決め部に位置決めされた状態で前記ボトムシャーシの前記側壁板部に固定され、
前記フロントシャーシが前記ブラケットに位置決めされた状態で前記ボトムシャーシに一体化された筐体構造。
【請求項6】
前記ブラケットは、前記所定物に固定されるべき第1板部及びそれに実質的に直交するように続く第2板部を有するとともに、該第2板部から前記第1板部と逆側に突出する突出部を有し、
前記ボトムシャーシの前記側壁板部には、位置決め孔が前記位置決め部として形成され、
前記突出部が前記ボトムシャーシの前記側壁板部に形成された前記位置決め孔に当該ボトムシャーシの外側から内側に嵌入されることによって位置決めされた状態となって、前記ブラケットの第2板部が前記側壁板部に固定された請求項5記載の筐体構造。
【請求項7】
前記フロントシャーシは、前記ボトムシャーシの内側にて前記ブラケットの前記突出部に係止可能となる係止部を有し、
前記突出部に前記係止部が係止されることで前記フロントシャーシが前記ブラケットに位置決めされた状態となる請求項6記載の筐体構造。
【請求項8】
前記突出部は、前記第2板部の一部を切起こして当該第2板部から突出するように形成された切起こし部であり、前記ボトムシャーシの前記側壁板部に形成された位置決め孔に嵌入された請求項6または7記載の筐体構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−199404(P2010−199404A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44257(P2009−44257)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】